パジェロは三菱を代表するモデルであり、1982年から40年近くにわたって世界中から愛されている本格クロカンです。販売年数の長さを考えるとフルモデルチェンジが少ない車種であり、4世代しか販売されていません。
初代はラダーフレームが採用されたFRベースのパートタイム4WDで、高い悪路走破性を誇りました。開発段階では主力車種に位置づけられておらず、発売直後の販売台数も月間わずか数百台。
注目を浴びるきっかけとなったのは、1985年のパリで開催されたラリーレイド競技のダカール・ラリーです。「世界一過酷なモータースポーツ競技」といわれるこのラリーで、なんとパジェロが初めて総合優勝を果たすという好成績をおさめます。以降、一気に人気に火がついて、空前のパジェロブームが巻き起こりました。
1991年に発売された2代目パジェロは、世界で初めてスーパーセレクト4WDを搭載したクルマです。スーパーセレクト4WDとは、フルタイム4WDとパートタイム2WDの特徴を兼ね備えたシステムで、レバー1つで2WDと4WDを切り替えられます。
エンジンも飛躍的にパワーアップし、6G72型 3.0L V型6気筒を採用、最大出力155馬力を発生させました。年を追うごとに改良が重ねられ、1997年には6G74型 3.5L V型6気筒DOHC24バルブにGDIを採用し、最高出力は245馬力にまで向上します。
1999年に登場した3代目パジェロでは、大幅な路線変更が図られます。1997年に高級クロスオーバー・ハリアーがヒットしたことを受け、パジェロの仕様も同路線に変更。内装の高級感が増したほか、サスペンション形式についてもフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクの4輪独立懸架に変わって操縦安定性も向上しました。
また、大きなトピックとして挙げられるのは、ラダーフレーム構造が、ラダーフレームにモノコックを組み合わせたビルトイン構造に変わった点でしょう。内装や足回りが強化されたにも関わらず、100kgもの軽量化に成功しました。
最終型である4代目パジェロが発売されたのは2006年。ビルトイン構造はそのままに、高張力鋼板や構造用接着剤の使用によってボディ剛性が高まりました。新長期規制適合の3.2L 直列4気筒DOHCコモンレール式ディーゼルエンジンが採用されており、最大出力190馬力を発生させます。
日本国内での販売が終了した2019年には、特別仕様車であるファイナルエディションが700台限定で販売されるなど、幕引き間際までファンの声に応え続けたモデルです。