XJは、ジャガーの中で上位に位置する高級セダンです。初代は1968年に発売され、2019年まで製造・販売が続けられました。ビッグマイナーチェンジも数えると、8世代に渡ってモデルチェンジが繰り返されました。
初代であるシリーズ1は、1968年のパリモーターショーでデビューを果たします。創業者であるウィリアム・ライオンズが手掛けた、ロングノーズ・ショートデッキが特徴的な美しくエレガントなデザインが何よりの魅力でしょう。ウォールナットと本革で仕立てられた内装からも、ラグジュアリー感が惜しみなく溢れています。
1973年のマイナーチェンジによってシリーズ2が登場。アメリカの安全基準を満たすためにフロントバンパーの位置が変更されたほか、インストルメントパネルのスイッチも整理されました。
シリーズ2のマイナーチェンジを受け、1979年に登場したのがシリーズ3です。ピニンファリーナが外装デザインを手掛け、前後ドアや窓の大きさを揃えたり、リアシートの頭上空間を広げるなどの工夫が施されました。
1986年に発表されたXJ40は、メルセデス・ベンツ SクラスやBMW 7シリーズなどのFセグメントの競合に対抗するべく生まれた、ヨーロッパ向けモデルです。ウィリアム・ライオンズが手掛けた最後のジャガーとしても知られています。ジャガーの歴史のなかで、角目ヘッドライトを搭載しているのはこの世代のデイムラーとソブリンのみです。ちなみにソブリンは、オプションで丸目ヘッドライトも選択できました。
1994年、大規模なマイナーチェンジによって生まれたのがX300です。先代で不評だった角目ヘッドライトが廃止され、丸目ヘッドライトに変更されました。そのほか、丸みを帯びたボディラインも大きな特徴です。
1998年にはエンジンに大幅な変更が加えられます。直列6気筒エンジン・直列12気筒エンジンに代わってV型8気筒エンジンが採用され、このモデルがX308と呼ばれています。トラスンスミッションが5速 ATに変更されたほか、随所でコストダウンが図られました。
2003年のフルモデルチェンジによって生まれたのがX350です。先代よりもボディサイズが一回りほど大きくなったものの、オールアルミニウムボディが採用され軽量になりました。
2009年に登場したX351は、「Beautiful Fast Car -美しく、速いクルマ-」というコンセプトのもとで開発されました。伝統的な丸目ヘッドライトが廃止され、現代的なデザインに変更されます。新しいスタイルングのなかにもジャガーのクラシカルな雰囲気をまとっており人気を博しましたが、2019年に惜しまれつつ生産が終了しました。