「"買えば何とかなる"という悪魔の囁き」を真に受けてはいけない話

クルマ好きのあいだでたびたび交わされる常套句のひとつに「買えばなんとかなる」がある。

購入を迷っている友人・知人に対して、ドスンと背中を押す(殺し文句?)ともなりえる破壊力を秘めている。

「買えば何とかなる」。

いやはや、実に何とも無責任な発言だ(笑)。

この言葉に乗せられて購入を決めてしまった当の本人は「買えば何とかなる」のではなく、「買ったら何とかするしかない」のが現実だ。

迂闊に口走ると、その人の人生を狂わせかねない。

実は「買えば何とかなる」の文字(言葉)の裏には隠れているメッセージがある。

「買えば何とかなる(※ただし、勢いだけで手を出していなければ)」がコトの真相だ。

「買えば何とかなる」で買おうとしているクルマは、たいていの場合、ちょっと、もしくはかなり無理をしないと手が出せない存在だったりする。

虎の子の貯金や埋蔵金(へそくり)、定期預金などを解約して軍資金に充てることも少なくないだろう。

そしてここからが本題であり、運命の別れ道だ。

「買えば何とかなるクルマを買う行為そのもの」が目的なのか、「買えば何とかなるクルマを買ってからの未来予想図が描けるか」。

これをご自身でじっくりと、それも短時間のうちに見極める必要がある。

一見すると相反しており、矛盾していることに気づくだろう。

では、なぜ「じっくりと、それも短時間のうち」なのか?

それはモタモタしていると、突如現れたライバルが「横からあっさりとかっさらっていく」可能性があるからだ。

つまり、迷っている時間はないと思った方がいい。

直観的に前者だと感じた場合「勇気ある撤退」を勧める。

買うことが目的だと気づいた場合、納車された瞬間にその想いは冷める。

そしてこう思うのだ。

「オレ、なんでこんなの買っちゃったんだろう」と。

衝動買いしたクルマへの想い入れが希薄なだけに、おのずと扱いも雑になる。

その結果、多少の不具合が気になっても先送りしてしまう。

軽い気持ちで手に入れたのだから仕方がない。

そして、決定的なトラブルや、車検のときに膨大な費用が伴うことが判明して、二束三文でも構わないと手放してしまう。

これではオーナーも、嫁いできたクルマも不幸だ。

それゆえ、もっとも避けておきたい「悲劇」といえるだろう。

逆に後者だった場合、費用面の算段がつくのなら「清水ダイブもあり」だ。

このクルマとこんな場所を走ってみたい、自分ならココに手を入れてみたいといった、「購入したあとのカーライフ」が描けるとしたら・・・それはきっと、幸運の女神が微笑んでくれたと信じていいはずだ。

さらにもうひとつ、何としても避けておきたいケースがある。

授業中なら「ココ、テストに出るぞ!」といいたくなるほど重要なポイントだ。

それは「迷っているうちに他の誰かにかっさわられる」というオチだ。

経験がある方は分かると思うが、これはかなりダメージが大きく、意外なほど尾を引く。

その理由として「あと一息だったのに!それならもっと程度の良い個体を見つけてやる!」と、このときの悔しさを打ち消すこと自体が目的となり、その後の判断や行動を大きく狂わせる可能性を秘めているからだ。

そんなわけで、自分で決断を下すのではなく、外的要因、つまり強制終了となってしまう事態だけは何としても避けたい。

「ぜったいに手に入れてやる!」という、「買うことが目的」のトリガーになりかねないからだ。

数十万、下手をすると一千万円単位の出費が伴うこともあるだろう。

プラモデルやミニカーを買うのとはワケが違うのだ。

多くの場合、失敗すると日常生活に影響をおよぼしかねないからだ。

普段から何となく気になっているクルマが、突如、現実的な選択肢として目の前に現れることがある。

周囲の友人・知人に相談すれば十中八九「買えば何とかなる」といわれるに決まっているし、当の本人もどこかでそれを望んでいるはずだ。

繰り返しになるが、この「悪魔の囁き」を真に受けてはならない。

重大な決断を下すのも、そして引導を渡すのも「周囲惑わされず、自ら決断を下す」ようにしたいものだ。

もちろん、自分自身への戒めも込めて。

[ライター・撮影/松村透]

 

 

 

 

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