海外現地レポ

憧れはやっぱり3BOX?アジアのネオクラシックセダンを振り返る。~台湾編~
海外現地レポ 2023.09.14

憧れはやっぱり3BOX?アジアのネオクラシックセダンを振り返る。~台湾編~

■台湾で独自進化したセダン達 クルマは一家に一台! そんな感覚も日本ではもはや過去のものになりつつあるが、海外を見ればまだやっとクルマを初めて手に入れることができる家庭も少なくない。 かつての日本も、高度経済成長期のころはクルマの存在は高嶺の花であり、憧れの対象だった。 それを象徴するかのように、各車のグレード名も”スーパーデラックス”や”ロイヤルサルーン”などなど…。 とにかく凄く良いクルマを所有することができたことを実感できる、そんなネーミングが多かったように思える。 ほんの20年位前まで、あるいはまだ進行形なのかもしれないが、アジアの国々で良いクルマの象徴といえば、セダンという見方がまだ強かったと思う。 上を見ればショーファードリブンなクルマたちもいるが、オーナーカーとして手に入れられるクルマで、高級さやスポーティーさの雰囲気を味わうことができるのは嬉しいことだ。 特にそれらが凝縮された3BOXの車種には、色濃く現れていると感じる。 アジア各国の90年代から00年代にリリースされた車種を振り返ってみても、そのラインナップの豊富さは市場を席巻していたことをありありと示しているし、何よりその国々のクルマにまつわるトレンドが見えてくるかのようで興味深い。 今回は、日本からアジアの国々に輸出されていたセダンにフォーカスして紹介してみたいと思う。 といってもその車種群は幅広く、あまりにも数が多いので、少しづつピックアップしていこうと思う。 今回は台湾を走っていたトヨタのセダンを、ごく一部だが取り上げてみよう。 ■小さくてもラグジュアリーに...異なる仕立ての雰囲気! まじめな作りの、壊れない日本車の代名詞といえばやはりトヨタのブランド力は強い。 それは台湾という国の市場でも同じだ。 日本では90年代当時、100万円以下で購入できたエントリーセダンのひとつに、トヨタ ターセルがある。 北米でもバジェットカーとして、まるでゲタ感覚で乗りつぶされることも多かったが、20年以上が経過した今でも時折その姿を見ることができる。 その生命力はシンプルな装備類と頑丈なエンジンの組み合わせの賜物であるが、便利で飽きの来ない実直さもオーナーに愛される理由の一つだろう。 台湾仕様のターセルといえば、日本や北米の仕様よりは少しグレードの高いものだ。 現地法人の国瑞汽車で生産されていた台湾仕様のターセルは、フェイスリフト時にメッキのフロントグリルが装着されたり、専用のバンパーやレザーシート、LEDメーターパネル、木目調パネルの採用などグレード感漂うものだ。 日本国内では1999年に生産を終了しているが、台湾仕様は2003年まで生産を続け、需要に合わせた独自進化をしていったといえるのではないだろうか。 似たように、独自進化っぷりで興味深いのはコロナ・プレミオだ。 日本でいうところのT210型、6代目コロナは名前こそ同一であるが、外観の差異は小さくない。 先述のターセルと同じように、マイナーチェンジが進むほど豪華さを増していったプレミオは、フロントグリルやバンパー、リアランプのメッキモールの縁取りをこさえ、もはやクラスを越えて日本のクラウンのような印象すら感じる。 近年ではだいぶ街中ですれ違う機会も少なくなりつつあるが、それでも当時の販売台数が少なくなかったことを感じさせるものだ。 ■これはUSDM?アジアですれ違う意外な仕様 では、ターセルとコロナ・プレミオの中間を担うカローラも、物凄くリッチな仕様なのでは...?と想像していると、意外な姿を見かけることになる。 例えば日本の90系、100系、110系に相当する台湾仕様のカローラは、北米仕様をほぼそのまま販売していたのである。 そのため、サイドマーカーに5マイルバンパー、90系や100系ではマイルメーターまで装備されている時代もあり、台湾にありながらもアメリカのベーシックカーらしい雰囲気がさらに強まっている。 もちろん台湾独自のグレードも存在しているのだが、車種自体がよりアジアらしい雰囲気が強まるのは、2000年代に入って120系のカローラ・アルティスがリリースされてからといえよう。 この現象は、上位車種のカムリにも同様のことがおきている。 特に筆者がカッコいいと思うのは、日本名トヨタ セプターセダンが、そのままカムリとして台湾市場では販売されていたことだ。(当時、北米では台湾と同じようにカムリとして販売されていた) どちらの車種も、2018年ころの渡航時にはまだ街中で見ることができ、ゴージャスないでたちのトヨタ車と北米ベーシックな雰囲気のセダンが、同じブランドのショールームから販売されていたことを考えるとかなり面白い。 この現象は実はトヨタに限ったことではなく、現地法人が力を入れて生産する車種と、海外からそのまま輸入してくる車種が入り乱れた結果が現れている。 近年でも、独自進化系の車種をラインナップを有するブランドは継続して台湾に存在しているので、もし渡航する際は調べてみると面白いだろう。 [ライター・撮影/TUNA]

日本ではあり得ない!イタリアの交通事情について
海外現地レポ 2023.09.13

日本ではあり得ない!イタリアの交通事情について

イタリアは古代ローマの歴史と山と海に囲まれた自然豊かなとても美しい国で、古今多くの旅行客を魅了させてきました。 日本からもイタリアに旅行される方は多いと思いますが、ツアーや電車、バスの移動ではなく、クルマでしかアクセスできないビーチや湖、スキー場など、自由に回りたいと思われたことはありませんか? そこで今回は、イタリアをクルマで旅行する際に是非知っておいて頂きたい、日本人からしたらそんなことあり得るの?!という常識をシェアしたいと思います。 まずは基本情報から。 イタリアでは日本の運転免許証を所有している方ならば、日本で「国際運転免許証」を発行すれば誰でも運転することができます。 クルマは左ハンドルで右側通行。 そのため高速道路は日本とは逆で、左側が追い越し車線になっています。 また、イタリアでは大半がMT車になるので、レンタカーもAT車を見つけることが困難、もしくは値段が高い可能性があります。 超基本的なことはそのくらいで、以下はもう少しディープな内容をお届けします! ■あり得ない!?日本人には理解不能なイタリアの道路事情 ●ランナバウトが多すぎる 基本的にどこへいっても信号機の代わりにランナバウト…しかしこのランナバウトがかなりやばい…。 街中にあるランナバウトの場合、写真のようにランナバウトを抜けたすぐ先に横断歩道があり、ランナバウトを抜けたからといって安心してスピードを上げると超危険。 特に南イタリアのはランナバウト内で渋滞が発生しクラクションの音が鳴り響き、えらいこっちゃになっていました。 もはや信号機設置すれば?と突っ込みたくなります。 ●一般道路でも追い越しは当たり前 高速道路での追い越しは当たり前ですが、一般道路でも安全な速度で走っていると、よく後方車に追い越されます。 危険な追い越しをする人も多いので、のろのろではなく、追い越しされないような適切な速度で走ることも、イタリアでは大切です。 ●信号のない横断歩道が沢山! 日本と比較すると、イタリアは歩行者用横断歩道の信号機が付いていないことが多いので、横断歩道手前に歩行者や自転車が待っていたら必ず止まりましょう。 歩行者用の信号がない故か、イタリアでは日本より歩行者優先が根付いていると感じます。 ●ウィンカーを使わない人が多い 面倒なのでしょう、ウィンカーを使わない人が多すぎます! そのため、予期しないところでいきなり右左折するクルマが多いので、気を付けてください。 また一般道路だけではなく、高速道路の車線変更時にもウィンカーを使わないクルマが散見されますので、「周囲のクルマはもしかしたら右左折、車線変更をするかも」と常に念頭に置いて運転すると良いと思います。(南に行けば行くほどウィンカーの使用頻度は下がります…) ●荷物はクルマの中に置きっぱなしにしない トランクにトノカバーが付いていれば、荷物をそちらに隠せばよいですが、外から荷物が見えてしまう場合は必ず荷物はホテルに置くか、持ち歩くようにしましょう。 窓ガラスを割られ、荷物を取らる危険性があります。 私の友人は昼中であったにもかかわらず、窓ガラスを割られ、パスポートなどが入ったカバンとカメラを持っていかれたことがあります。 ■怖そう?でも優れている点だってちゃんとある! ここまでイタリアの悪口のようになってしまいましたが、良いところも少し紹介したいです! ●渋滞の時は日本と同じでハザードランプで後方車に知らせる 規則としてはどこにも載っていないですが、日本と同様、前方に渋滞が確認できた場合はハザードランプで後方車に知らせます。 ●イタリア人は皆縦列駐車のプロ イタリアは建物を建てようとしたら遺跡が発掘され、工事ができない等という話をよく聞きます。 そのため地下駐車場や立体駐車場はなかなか見つけることが困難です。 そこでイタリア人は路駐をすることが多いため、自然と縦列駐車が得意になるのでしょう。 時には車間距離が数センチで駐車されているクルマもあり、どうやってここから出るんだ…と真相は謎につつまれたまま。 イタリアで運転する予定がある方は、縦列駐車を事前に練習すると良いと思います。 イタリアのアパートメントには駐車場がないところも多く、以下写真のようにアパートの横に路駐というのが一般的です。 さらにこちらは両側に路駐しているので、道幅がかなり狭まってしまっています。 イタリアでは道路も立派な駐車場です(笑) ●駐車スペースの色分けには意味がある! さて、イタリアでは駐車スペースが3色に分けられています。 黄色:そこの建物に住んでる方限定の駐車場(駐車禁止です) 青:お金を払えばだれでも駐車可能。ただし祝日や週末、時間帯によっては無料になる場合がある 白:誰でも無料で利用可能な駐車スペース というふうに、3色に分けられています。 白の駐車スペースを見つけることができれば一番無難ですが、青しかない場合は、下記画像の機械を使って駐車チケットを購入し、チケットは車のフロントガラスから見える位置に置きましょう。 もし警察が見回りに来た際にチケットがないと、罰金を課せられてしまいます。 ●ゲートの前や、出入り口には絶対に駐車しない ウィンカーは使わないのに、これだけは徹底しているイタリア人。 縁石ブロックが一段低くなっているところには、家のゲートやお店の出入り口があるので「縁石ブロックが一段低くなっている=車の出入りが予想される」ということで、縁石ブロックが一段低くなっているところには駐車しないのが基本です。 ラッキー空いている!と思って駐車する前に、縁石ブロックが一段低くなっていないか確認してみてください。 ●初心者の見分け方 例の日本の初心者マークは存在しませんが、いわゆる初心者、あるいはまだ免許は取得していないけど、実道路で練習中の場合、「Principiante」(初心者)の頭文字をとった「P」が手書きされた紙を車輌に貼り付けることになっています。 なので、下記の画像のように「P」が貼られたクルマを見つけた場合は、手加減してあげてくださいね。 ■Boun viaggio! イタリアで運転予定のあなたへエールを さて、現地の生々しい交通事情を包み隠さずお伝えしましたが、イタリアで運転する勇気は湧きましたでしょうか。 イタリアはもちろん有名な都市同士は公共交通機関でスムーズな移動が可能ですが、ツアーではなかなか行けない地に不自由なく気軽に行きたい場合、クルマは必需品となります。 イタリア旅行で運転される際、上記の内容をもとに事前にイメージトレーニングをし、安全な旅行になるように祈っています! Boun viaggio!  [ライター・画像 / PINO]

今でもフランス人に愛される「シトロエン2CV」の魅力に触れてみた!
海外現地レポ 2023.09.06

今でもフランス人に愛される「シトロエン2CV」の魅力に触れてみた!

7月の中旬、フランスでは「le14 juillet(7月14日の意・パリ祭り)」と呼ばれる祝日がありました。 この日は、さかのぼること1789年、大騒乱に包まれていたパリが、国民によってバスチーユ牢獄を奪取した日。 フランスの絶対王政の終わりを祝した大切な祝日です。 午前中から軍隊によるパレードや航空ショー、夜にはエッフェル塔付近で花火の打ち上げがあり、フランスのバカンスの始まりも意味します。 そんななか私はというと、フランスとスイスの国境付近にある夫の実家で数日間過ごしてきました。 テラスで座ってのんびりとしていたとき、一台のクルマが通過。 すぐに彼が「2CVだ!」と。 そうです、フランス人が愛してやまないシトロエン2CVでした。 しかもお隣さんということで、すぐに義兄が見学の交渉に。 すんなりと承諾をいただけたため、翌日伺うことになりました。 ■家族から譲り受けた大事なクルマ お隣に住むフレデリックさんが所有しているクラシックカーは、シトロエンの2CV special 4vitesse 1987年式です。 29馬力のこのクルマを、2011年より奥様のご家族から譲っていただいたそうです。 ちなみに、彼にとって初めてのクラシックカーだとか。 まったく動かない状態でガレージに保管されていましたが、すべてのパーツを探して取り寄せて修理をされたエピソードを、とても楽しかった思い出としてお話ししてくれました。 やはり長いこと国民に愛されているシトロエンです。 フランスには、現在廃盤となっているシトロエン社の古い型を買い取って、修理用のパーツを製造販売している会社があるようです。 フランス人はクルマの修理だけではなく、家の修繕やキッチン・トイレの配管など、できる範囲は自分たちで直して長く愛用する人が多いのです。 フレデリックさんももちろん、このクルマをこうした会社やサイトで何年もパーツを探して走れるまでに修理をされました。 外装の素敵な赤色は完全にオリジナルで、「年季が入って色褪せてきても絶対に変えたくはない」と語るその少しオレンジがかった赤色は、本当にかっこ良かったです! 逆に内装はすべて変更していて、奥様が作られたデニムのカバーで覆われたシートや小さなフィギュア、ところどころに貼られているステッカーが、フレデリックさんの個性とクルマへの愛着を感じさせてくれました。 ■レッツ ドライブ!!! 話を聞いていると、なんとフレデリックさんがドライブの提案をしてくれました。 天気がよかったので、くるくると屋根を開けて、さあ出発です! 私にとって初めての2CVでしたが、サスペンションが効いていてビックリするほど良い乗り心地。 正直、くねくねの田舎道にクラシックカーは、そんなに相性が良いものではないだろうと考えていました。 しかしスピードを保ったまま回るたび、小坂を上がるたびに、体の振動や歪みを吸収してくれたので、たいへん快適で本当に楽しくドライブができました。 このクルマのお気に入りポイントを伺ったところ、田舎のデコボコ道でも安定していて転ばないところとおっしゃっていたのが納得です。 10年以上大事にお手入れをして、現役で走っているこのクルマとの思い出を聞いてみたところ、毎年一緒にbottes de paille(刈り取った藁の束)の横で家族写真を撮っていることだと教えてくれました。 お子様たちが成長しても、変わらず愛着のあるクルマと生活をしている姿がたいへん素敵です。 前のトラクターが積んでいるのかbottes de paille(藁束)です。 この横にクルマを置いて家族写真とは、想像しただけでも絵になります。 その日の夕方、テラスでアペロ(夕飯前のお酒)をしていると、フレデリックさん家族が2CVに乗って外出されていきました。 おそらく祝日の花火を観に行かれたのでしょう。 クラシックカーだからといってガレージの中で眺めるだけではなく、自分で修理をして、このように家族と過ごすためにいろいろな場所へ行くことが醍醐味なのだと感じました。 快くクルマを紹介してくれたフレデリックさん家族には、感謝でいっぱいです。 ■2CVと一緒にめぐるパリの街並み 今回の滞在から帰るために鉄道に乗っていたとき、車窓から2CVを発見。 パリではなかなかクラシックカーを見かけないので嬉しくなりました。 現在パリでは「PARIS AUTHENTIC」という会社が、観光客向けに2CVを使ってパリの観光ルートを巡るサービスを始めています。 ▲オリジナルではありませんが、シトロエンの型を使って作られたクルマです タクシーを使うよりも気分が上がるかもしれませんし、フランスらしい良い思い出になるのでは? ぜひ、パリに訪れた際に乗車してみるのをお勧めします! [ライター・画像 / スミ]

ニュージーランド 2023年上半期 新車/中古車「人気ランキング」
海外現地レポ 2023.09.05

ニュージーランド 2023年上半期 新車/中古車「人気ランキング」

オークランド在住のtomatoです。 さて、今回の記事では、単純ではありますが、きっと誰もが興味のあるトピックを取り扱おうと思います。 「ニュージーランドでは、今どんなブランド、どんなクルマが売れているのか」です。 さっそく、2023年上半期の車輌登録データから、最新の人気動向を見てみましょう。 ■総市場 / Total Vehicle Industry 日本の自動車市場は、自販連および全軽自協の「初登録/検査データ」を見ると、近年は10台に4台は軽自動車で、残りの多くはコンパクトカー/ミニバン/SUVが占め、なかなか独特だが、ニュージーランド市場も、以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/)でその特徴をお伝えしたとおり、これまた非常に独特です。 ●懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポートhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/ 下表にあるように、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでの販売を目的として、その安全基準や環境規制に適合し開発・製造したクルマ達の「正規輸入/新車市場」がある一方で、他市場では存在感のない「並行輸入/中古車」が4割も占めるのが特徴です。 加えて、その多くが5~7年落ちのの中古車で、9割以上が日本の規制に適合させた日本仕様の中古車なのです。 少し専門的な話をすれば、各自動車メーカーは、開発効率の観点から、国・市場を数種類のグループに分けて新車を開発するのが通例になっています。 ニュージーランドへは、欧州右ハンドル(イギリス)仕様のクルマ、もしくはオセアニア(オーストラリア)仕様のクルマを送り込むのが一般的です。 前者であれば、ウインカーレバーはステアリングホイールの左側であるし、後者であれば、日本で売られている日本車と同じく右側です。 結果的に、この国では同じブランド内でも、ウインカーレバーの位置が異なる場合もあるほどです。 ■正規輸入/新車市場 ●トップ20(ブランド別) この数年で、世界の潮流と同様、大きく様変わりしています。 見てのとおり、韓国や中国ブランド、テスラの存在感が高まっているのです。 「ルノー・日産・三菱」の3社アライアンスで、アセアンやオセアニア地域を戦略的に担当する三菱の強さにも驚かれるかもしれません。 ●トップ20(モデル別) ニュージーランドの新車市場の特徴としては、SUVが増加の一途をたどっている一方で、減少傾向ではあるが、タイやオーストラリアなどと同様に、農耕を支えるUte(「ユートゥ」と発音)と呼ばれるピックアップトラック(商用車カテゴリーに属する)の人気が高い傾向にあります。 ご覧のように、ベストセラーの地位をレンジャーとハイラックスが争っているのです。 ▲フォード レンジャー(新車輸入車「人気ナンバー1」、圧倒的なブランド力を誇る) ▲MG ZS (低価格のBEV/PHEVを中心に躍進する中国ブランド) ちなみに、自販連の「車輌登録データ」によれば、日本の上半期の(軽自動車を除く)乗用車市場はモデル別だと、ヤリス、カローラ、シエンタ、ノート、ノア、プリウス、ヴォクシー、アクア、ルーミー、ハリアーがトップ10となっていて、当然のことながらブランド別ではトヨタが50%以上の占有率で他社を圧倒しています。 ■並行輸入/中古車市場 ●トップ20(ブランド別) 前述のとおり、日本の規制に適合させた日本仕様の中古車が9割以上を占めています。 これは日本市場は、地理的に近く、安価かつ丁寧に使用・メンテナンスされた高品質の右ハンドル中古車が大量にあるためです。 日本市場と比べて、マツダやスバルが強いのがオセアニア地域の特徴です。 ●トップ20(モデル別) 公共交通機関が貧弱なニュージーランドでの、輸入中古車の役割は「国民の足」です。 したがって、基本的には低燃費のコンパクトカーに人気が集中しています。 Uber (ウーバー)ドライバーのほとんどが、走行距離10万キロを優に超えたアクアやプリウスを愛用している印象があります。 なお、軽自動車には税制上のメリットがまったくないので、日本車であれど存在感はほぼありません。 また、クルマは一人一台という国なので、多人数乗車ができるミニバンへの需要も低いことが特徴です。 ▲トヨタ アクア(中古輸入車「人気ナンバー1」、「国民の足」) ■追い風と向かい風 ニュージーランドは、2021年7月から「クリーン カー ディスカウント(Clean Car Discount)」という名のフィーベイト(*)制度を導入しています。 これは購入価格8万NZドル(約700万円)以下に限り、低CO2 車の購入を補助し、その財源を逆に高CO2車の購入者から得るという仕組みになっているのです。 なお、これは初車輌登録時のみで、以降の売買には適応されません。(*)Feebate: Fee=罰金、Rebate=補助金の両方を意味する造語 8月執筆現在のルール(https://rightcar.govt.nz/)では、例えば、テスラの「モデルY(RWD)」であれば、7,015NZドルの補助金を得られます。 反対にトヨタの「ハイラックス(SR5 Cruiser Diesel Double Cab)」であれば、5,002.50NZドルの罰金を支払うことになるのです。 この制度の影響をお伝えすべく、輸入新車市場(SUV/乗用車)のパワートレイン動向をグラフにしてみました。 我々人間とは単純な生き物で、当該制度が非常に効果的なのが顕著に見て取れる。 (出典: MIA) ▲テスラ モデルY(テスラのベストセラーSUV) ▲赤い車輌はBYD アット3。テスラを猛追する中国BEVブランド。日本では見ない、後方のミニバン「ヒョンデ スターリア」にも注目) なお、輸入新車市場とは異なり、輸入中古車市場では補助金や罰金額が半減されるだけでなく、中古車輌の主たる供給元となっている日本市場では中国車や韓国車が少なく、日産 リーフ以外に安価な中古EVがまだ存在しないため、まだまだ電動化の波は新車市場ほど顕在化していません。 実は、このフィーベイト制度とは別に、トヨタなどの各輸入業者に対しても、輸入車輌の平均CO2が規定値を超えると罰金を課せられる制度(Clean Car Standard )があります。 しかし、消費者の購入価格に直接的には影響しないので、ここでは割愛します。 ■最後に 同じ時代、同じ時間を切り取っても、使用用途などの国民性やライフスタイルであったり、税制/仕組みなどが変わるだけで「ここまで違うのか」と驚かれたのではないかと思います。 ちなみに、製造後20年を超えるようないわゆる「旧車」に関しては、ニュージーランド最大のオークション/広告サイト「Trade Me」(https://www.trademe.co.nz/)の自動車セクション“Motors”を覗いてみてください。 少し検索するだけでも、きっと面白いですよ。 いずれ、ニュージーランドでクルマを買い、日本に送るということも記事化しようと思っています。 ご期待ください。 [撮影・ライター / tomato]

アメリカ・ロサンゼルス在住者から見た環境xクルマトレンドとの関係性
海外現地レポ 2023.09.01

アメリカ・ロサンゼルス在住者から見た環境xクルマトレンドとの関係性

アメリカの自動車登録に関する規定は、50州ごとで異なります。 排気ガスに関する規定はそのうちのひとつで、もっとも厳しいのはカリフォルニアではないでしょうか。 ■20数年前のLA近郊はスモッグで街全体が煙に包まれたかのよう 私がアメリカに来たころ(二十数年前)のLA近郊は、スモッグにより街全体が煙に包まれたような日がありましたが、排気ガスの規制が年々厳しくなったり、古いクルマが徐々に少なくなっていったことで改善されていった気がします。 ▲キレイな夕焼けも見せてくれます その頃はまだまだ70年代、80年代のクルマがバリバリ走っていましたし、スモッグチェック(排気ガスの検査)が通らないクルマでも見逃してくれる業者がいたほどです(当時、私は75年式のモンテカルロに乗っていました)。 今はシステムがテスト業者とDMV(日本の陸運局にあたるところ)で直結になったので、そんな裏技をする(してくれる)業者はかなり少なくなったと思います。 しかし、今でもたまに程度良く維持されている初代シビックや、初代プレリュード(ホンダが多い)が元気に走っている姿を見かけます。 新車登録の際、カリフォルニアにおける排気ガス規定(Emission Standard)はとても重要で、州内のメーカーディーラーから購入する場合であれば、当然販売ディーラーは州内における登録を前提としているので問題はありません。 ただし州外のディーラーから購入する際は、カリフォルニア適応、もしくは50州適応のクルマかどうかしっかりと確認する必要があります。 今まで州内・州外ディーラーどちらとも取引をしましたが、メーカーディーラーで働いている販売営業の人間は知識が乏しいため、念には念を入れないとあとで大変面倒なことになります。 カリフォルニアの排気ガス規定に適合するかは、エンジンルーム内にあるEPAステッカーで確認できます。 ▲こちらがEPA ステッカー。今はほとんどのメーカーが、初めからCalifornia Emission Standardになっているようです ■厳しい排ガス規制が、LAの人々の環境に対する意識を高めた この排気ガス規制の厳しい環境だからこそ、LAの人々の環境に対する意識は他州よりは高く、『環境に配慮していることを他者へアピール』⇒『スマートなイメージ』の図式があるように感じます。 このような土壌のなかで、EV、特にテスラは着実にLAでのシェアを獲得しています。 数年前は、日本同様とにかくプリウス(先々代)の数が多く、信号待ちで「四方八方プリウスに囲まれている!」ってことがよくありました。 それが最近はテスラになっています。 前は、Model 3、左右がModel Y、後ろはModel Xといった風に。 アメリカ企業であり、強烈なカリスマ性のあるイーロン・マスクに惹かれる【愛国心の強さ】+【トレンドに敏感】な人々が、それまで乗っていたクルマ(日本、ヨーロッパメーカーが多い)から乗り換えるパターンが多いように思います。 実際、最近私のご近所さんも、1件はレクサス ES300からModel 3へ、もう1件はそれまでトヨタばかり4台所有していたのに、5台目としてModel 3を増車しました。 州のEV購入支援(最大$7,500の税金控除)や、Car Pool(相乗りレーン)の一人乗車での使用可能(テスラは2023年度モデルまで)も、人々の購入を後押ししていると思います。 また私が感じるに、アメリカの人、特にLAの人々はとてもフェアで、合理的な考えを持っています。 なのでとてもフレキシブル。 自分たちの生活に合っていて、それがトレンドや時流に合っていれば、それを選択するのです(なかには、「うちは絶対フォード (シェビー)しか買わない!」という人もいますが…)。 テスラを追随するように、Lucid、Rivian、Polester、FiskerなどEVに特化したメーカーの参入、また大手メーカーも次々とEVのラインナップを投入してしのぎを削っている状況ですが、最近そのなかでも韓国メーカーの台頭が目立ちます。 ▲Rivian R1T ▲Rivian R1S。かわいい外見ですが、実用性も高いです ▲RivianはAmazonデリバリーバンも製造しています ■韓国の自動車メーカーはとにかくマーケットへの対応が早い! 以前から感じていましたが、韓国メーカーはとにかくマーケットへの対応が早いのです! マイナーチェンジも頻繁に行い、消費者に対して常に目新しさを提供してきますし、EVに関しても次々と新しいモデルを投入し、キャッチーなデザイン、標準装備の多さ、どのメーカーよりも長いWarrantyでLAの人々に受け入れられている感があります。 ですが従来からのアメリカンメーカーも負けていません。 以前はシェルビーのVoltとBoltくらいしか見かけませんでしたが、フォード F-150 Lighting、Mach-Eも、よく見かけるようになりました。 【ブランド】+【デザイン】でポジションを確立しているヨーロッパメーカーには、やはり安定の強さがあります。 特にメルセデス・ベンツのEQシリーズ、ポルシェ タイカンも増加中。(このあたりはテスラのModel S/Xと価格帯がかぶるのでしょうか) 私は日本人として、やはり日本メーカーに頑張ってもらいたいと心より思っているのですが、100% EVの選択肢がまだ少ないのが現状です。 ・トヨタ bz4x (252miles)・日産 Ariya (304miles)・日産 Leaf (149miles)・マツダ MX-30 (100miles!?)・スバル Solterra (228miles)※カッコ内は市街/ハイウェイを合わせた平均走行可能距離(ちなみにTesraはほぼ300マイル/約483キロ超え) Youtube ShortのレビューでもAriya以外は結構酷評…。 コロナの影響をもろに受けた人も多いなか、印象としては好景気が続き、人々のインカムは上昇。 利上げの影響すら、一部の人にはあまり大きな影響を与えていないようで、10万ドルを超えるEVの需要も確実に伸びています。 ■ファミリー層でEV1台のみという家庭はかなり少数派 シングルの方は除いて、EV1台のみを所有するファミリーはかなり少なく、ほとんどが複数台所有(公共交通機関があまり便利でない+その他の理由によりetc...)という環境下、今所有しているガソリン車・ハイブリッド車からEVへの買い替えは、今後も増加いしていくと思われます。 各メーカーが在来モデルをEV化させマーケットに送り込んでくるなか、現状ハイブリッドを中心に展開しているトヨタが2026年、新しいバッテリー方式(Solid-State:全個体電池)を搭載したモデルを投入するとのこと。 今のメインストリームとなっているリチウムバッテリー搭載車勢に勝負を挑むときが非常に楽しみです。 [ライター・撮影 / Kenny.M]                              

キャンピングカーを持つことは節約に?フランスのバカンス事情とは
海外現地レポ 2023.08.09

キャンピングカーを持つことは節約に?フランスのバカンス事情とは

去る2023年6月、フランス北西部にあるサンマロへ行った際、何台ものキャンピングカーを見つけました。 高速道路では、うしろに自転車や牽引トレーラーを積んだクルマも。 7月にもなると田舎だけではなく、パリ市内でも無意識にこういった車輌が目に入ってきます。 長くて暗い冬が開けたあとのヨーロッパの夏のバカンスは、フランス人にとって本当に大切な時期で、太陽と自然を求めて旅に出るのです。 ■ドイツのREIMOでカスタムされたフォルクスワーゲン 海辺で見つけた1990年代のフォルクスワーゲンT4ですが、レトロな緑色が駐車場のなかでもひときわ目をひいていました。 なぜでしょうか、フランスの風景には少し古臭いくらいのクルマがしっくりきます。 ぐるっと回って見ていると「REIMO」の文字を見つけました。 持ち主が近くにいる気配がなかったのでお話は聞けなかったのですが、調べてみるとドイツのキャンピングカーメーカーとのこと。 ライモ社は1980年創業の会社だそうで、サイトを見てみると、キャンピングカーシステムやキャンプ用品を幅広く取り扱っていました。 細かなアイテムも多いので、ニーズや家族構成によって車内をカスタムできるのが老舗メーカーの強みなのでしょう。 ■フランス人はキャンプが好き!? 2022年におこなわれているネットでのアンケートによると、約70%以上のフランス人が、過去5年間にキャンプ場に滞在したことがあるという結果が出ています。 特にこの間はコロナの流行もあり、フランス国内で自然に触れて過ごすバカンスが一層人気だったのかと思います。 今年の2月にパリでおこなれたクラシックカーの展示会では、クルマとともに過ごすバカンスや、キャンプの提案をしているコーナーもありました。 普通のクラシックカーの展示と違って、小道具をふんだんに使ってデコレーションされていたので、さまざまな年齢層のファンが思い思いに覗き込んでいました。 まだ雪の降る時期でしたが、私たちの気分も一気に明るくなり、次のバカンスの話に花が咲いたことを覚えています。 ▲「Si trop haine, faites l’amour(嫌っていても愛そう)」と車体に書いてありますが、コンマまでを「シ トロッ エン、」と発音するので、Citroënをもじった言葉遊びとわかります ■キャンプはバカンスの多すぎるフランスでの節約術!? 高速道路を運転していると、何台ものキャンピングカーとすれ違います。 ほとんどが年季の入った車体で、運転をしているのも60代前後のムッシュが横に奥さまを連れて…といった場面が本当に多いのです。 勝手なイメージですが、子どもの誕生とともに購入したキャンピングカーを、独立したのち、今度は夫婦水いらずでキャンプを楽しんでいる、といったイメージでしょうか。 バカンスが多いフランスでは、子どもを持つ親にとっておよそ約2ヶ月ごとにやってくる2週間ほどのバカンスを、いかに楽しく、お金をかけずに過ごすかが悩みの種です。 そうなるとキャンピングカーで過ごすバカンスは、節約をしながらも山や海など毎回違った場所へ訪れることができるので、子どもたちも飽きずに過ごせるのが利点です。 フランス国内には約3000箇所以上のオートキャンプ場があり、日本と比べると断然に多く、無料のキャンプ場もあるので敷居が高くありません。 大抵、バカンスで人気な観光地の近くには、駐車場とは別にキャンピングエリアが用意されていて、日本ほど整っていないサービスエリアの横にすら、シンプルなキャンプ場が準備されています。 「aire de camping(キャンプ場)」とネットで探せば専門のサイトも見つかり、連泊できるか、水道があるか、コンセントは使えるかなど、条件に沿って検索することができます。 日本のキャンプ場ほど綺麗に整っている施設ではありませんが、自然を堪能することを提供しているフランス国内のキャンプ場には、キャンピングカーを利用して、フランス国内だけではなくベルギーやオランダからもバカンスを楽しむ家族がたくさんやってくるのです。 ▲横を通るたびに、私もキャンピングカー生活をイメージしてしまいます   [ライター・写真 / スミ]

クラッシックカーと超低排気量ゾーン(ULEZ)の税金 ~ロンドン事情~
海外現地レポ 2023.07.28

クラッシックカーと超低排気量ゾーン(ULEZ)の税金 ~ロンドン事情~

■ロンドンに導入された超低排気量ゾーンとは? ここイギリスでも、環境問題はいつも取り出されていますが、正直ドライバーにとっては痛いこともあります。 2019年からロンドンでは、ULEZ(Ultra Low Emission Zone)といって、超低排気量ゾーンというものが始まりました。 それは、このエリアを運転するときULEZ対応のクルマでなければ、税金を支払わなければいけないというものです。 このエリアは年々広がっており、今ではロンドン全域のみならず、ロンドン郊外まで拡大しています。 これがきっかけで、クルマを買い替えるオーナーが増えています。 実は私もその一人でありまして、ULEZゾーンをきちんとチェックせずに、たった数メートルその道路を走ったときにしっかりカメラで撮影され、後日罰金請求が届きました。 日本円で約8千円ほどですが、車両税に加え、毎回ロンドンに行くたびに税金がかかるのではやっていられません。 そこで、電気自動車や低排気量車に買い替えざるをえないのです。 最近はクルマを運転していると、本当に電気自動車が増えたと感じます。 目にするクルマの半分は電気自動車です。 ちなみに私のクルマはULEZ対応ではないので、ロンドンに行くときだけもう一台のULEZ対応車を使います(ULEZのためだけに買い替えました)。     ■ULEZとユーロカテゴリー では、クラッシックカーでULEZゾーンを走ると、どうなるのでしょうか? バリバリに黒いガスと騒音を出しながら走っている、とても環境にやさしいと思えないクルマですが、実は税金が「ゼロ」なんです。 1992年に「ユーロカテゴリー」というものが始まりました。 「ユーロカテゴリー」とは、排気量別にクルマをカテゴリー分けすることで納税額が決まる制度です。 クラッシックカーとよばれるクルマは、このユーロカテゴリーに当てはまらないため、税金免除となります。 要はクルマが古いので、40年以上前のものには枠がないのです。 クラッシックカーによっては、エンジンが7リットルを超えるものもありますし、私の好きな車のひとつ、ジャガーE Typeは4. 2リットルです。 こんなに大きくても税金は一切かからないんですね。 ULEZは環境問題への影響を緩和するために始まったものですが、ちょっと矛盾している気もします。 クラッシックカーファンとしては、これでもいいのかなと思ってしまいますが…。 ■クラシックカーとMOTの関係 クラッシックカーは、ULEZのみならず車両税も無料です。 例えば、クルマの製造年月が40年前のもの(1975年以前)であれば、これまた免除です。 今となればたくさんの電気自動車をみますから、高い車両税を払っている人はそれほど多くはないかもしれません。 しかし、クルマによっては今でも高額の税金を払っている人もいます。 例えば、普通車エンジン4リットルの車両税は、年間 約£520(日本円で約95,500円)です。 また、イギリスでは年に一度MOT(Ministry of Transport=陸運省)と呼ばれる、クルマのチェック(日本でいうところの車検)が義務づけられています。 これは道路を走るためにクルマが適しているかどうかというチェックをおこなうことですが、タイヤ、ブレーキの状態、ライト、ミラー、シートベルトなどのベーシックなものです。 実は、クラシックカーならば、これもまたまた免除なんです。 車両製造年月が40年前のクルマであれば、免除の対象になります。 ただ、これに関してだけは不明瞭な点がたくさんあり、誤解をしているオーナーが多いとか。 年間千人以上の人が罰金として、最大£2,500(日本円約456,000円)を科せられています。 免除になるためには、製造時よりエンジン、サスペンション、排気ガスシステムなどの、メジャーな入れ替えをしていないことが条件となっていますが、それを知らずMOTを受けずに走行し続けると、痛い目にあうようです。 こうして税金のことについて考えてみると、クラッシックカーを持つことでの利益はたくさんあるようですし、税金免除ってかなり大きいですよね。 ■免除=必ずしもお得とは限らない? 傍から見たら「オーナーはラッキーだ」なんて思われがちですが、実はその逆で、なんでもそうですが、古いものをいい状態で保つのは簡単ではありません。 特にクラッシックカーに関しては、メンテナンスによってコンディションに雲泥の差がでます。 コンディションを保つために費やす費用は相当なものです。 MOTは金額的にそれほど高いチェックではありませんし、メンテナンス費用の方がはるかに金額を上回ります。 それに加え、手間と時間のかけようもかなりのものです。 まあ、趣味なのでそれに関してはクラシックカーを保有する醍醐味でもあるとは思いますが。 今後、ULEZはロンドンに限らず、いろいろな場所で始まっていくことでしょう。 ちなみにスコットランドのエディンバラでもULEZが開始しています。 さらに、罰金は増大していく可能性も大きいです。 そこで自分自身でこんな質問をしてみました。 「もし自分がどちらかを選べるとしたら?」 クラッシックカーで税金免除でいくか、それとも完全な電気自動車に買い替えて、税金ゼロでいくか?? 果たしてどちらが得なのか? 税金に関してだけ考えると答えが出ません。 でも、ほとんどのクラッシックカーオーナーはこう答えます。 「税金がかかろうがかからまいがどちらでもいい」と。 税金はたまたまフリーになっただけ。 好きなクラッシックカーを毎日眺め、磨き、そして週末だけオープンカーにして田舎町でのドライブを楽しむことが一番なんだと。 本当に納得です…。 そして、それをみて楽しむのが私なのです。 [ 画像・AdobeStock、Jaguer、ライター・SANAE]

スズキ車の楽園・インドでまちかど自動車を眺める
海外現地レポ 2023.07.18

スズキ車の楽園・インドでまちかど自動車を眺める

■5ドアジムニーの祖先、ジプシー 筆者が今一番欲しいクルマ、それはスズキのジムニー5ドアだ。 もう、欲しくてたまらない。 そもそも、本格オフローダーの名を欲しいがままに、セレブリティな車両と肩を並べるその日本車が気にならないはずはないのだが...。 そんなモデルが新車で、性能を考えればそれなりにリーズナブルに登場したとなれば、興味を持ってしまうのは仕方のないことであろう。 残念ながら、国内ではまだ数万台の既存ジムニーのバックオーダーを抱えており、日本での発売は先とのことだが、今から待ち遠しい。 2023年7月現在の販売地域は、南アフリカとオセアニアなどと、生産国であるインドである。 以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/india-car-situation/ )でも少し触れたが、スズキのインドにおけるシェアは国内トップの約40%ある。 これでも少なくなった方で、1981年にインド政府とスズキの合弁会社、マルチ・ウドヨグを設立後、1990年代にはシェアが80%を越えていた。 2006年には、インド政府が全保有株式を売却し完全民営化され、翌年現在の社名マルチ・スズキ・インディアとなった。 先述の5ドアジムニーの生産もマルチ・スズキがおこなっており、今後販売や輸入等どうなるかが楽しみだ。 マルチがジムニー系列のモデルを生産するのは今回が初めてではなく、1985年から2019年頃まで生産を続けていた2代目ジムニーのロング版「ジプシー」が存在する。 「ジプシー」のボディサイズは、全長は4010mm、全幅1540mm、全高1845mm、ホイールベースは2375mm。 日本国内でも数年前まで並行輸入されているケースもあった。 現地ではパーソナルユーズのほか、警察や軍用車両として導入されているのを見ることができる。 その信頼感は抜群のようで、かつてインド政府が掲げた”国民車構想”は深く浸透し、数十年経ってなお生き続けているように思える。 ■世界人口トップの国。その国民車 中国を抜き、いまや世界人口がトップになったインド。 まだ幹線道路は、リアカーやオートバイがひしめき合う光景も見ることができるが、片や徐々に富裕層も増え始め、街のいたるところで再開発をおこなっている光景が見られる。 カラフルなバスや装飾されたトラックも数多く見受けられるが、人々の所得が増えるほどに、各世帯へとクルマが普及していくことだろう。 なかでもマルチ・スズキの発展を支えてきたのは、同社が得意とする小型車の存在だといえる。 マルチ・ウドヨグ時代から、日本のアルトをベースとするマルチ800が、インドにおけるベーシックラインとして販売され続けてきた。 初代モデルは1983年、2代目モデルは1986年から2014年まで生産が続けられ、累計で291万台もの生産がされた。 いまだに街のなかで見かける回数が多い。 マルチスズキでは後継車にアルト800、アルトK10が存在する。 これらはインドの街中で数多く見かけることができ、まさに国民車といえる様相だ。 当然、他のメーカーも黙ってそれを見過ごすわけもなく、ヒョンデからはi10、ルノーからはKWIDなど、近年ではエントリークラスでも商品性の高い車種が増えた。 やはりベーシックカーの人気は依然高く、インドの街中をキビキビと走る小さなモデルを観測してみるのはユーザーによって改造が施されたり、ダメージを受けていたりなど...個性が際立っていてとても面白い。 トップシェアのマルチ・スズキ。 そこにラインナップされるのはベーシックカーだけではない。 街のなかではワゴンR、初代ランディをベースとしたEECO、マルチパーパスカーのエルティガ、スイフトベースのセダン、ディザイアなど、バラエティに富んだ顔ぶれだ。 また、よく街中でみかけるのは7代目キャリーをベースとしたオムニ。 2019年まで生産されてきた廉価なバンは、商用車から乗り合いタクシー、救急車にまで採用され、いまだに数多くが走っている。 ほとんどの車種がインド国内向けに特化した改良が施されており、例えば同じスイフトでも、インド向けでは装着される部品のあしらいかたに差異が感じられるのも特徴だ。 ■現地化されたトレンドのキャッチアップ もちろん、世界的なトレンドはインド市場でもキャッチアップされ、顧客の要望は高まっている。 インドのマネサール工場で生産され、日本へも2020年まで輸入されていた、初代・スズキバレーノ。 インド人の知人に、現地で感じるバレーノの様子を伺うと 「インドでは一般の人にとってクオリティの高い上級車種として捉えられていると思う。特にデザインはカッコいいと思っているけど、自分のような若手のビジネスマンにとってまだ新車では難しいね。」 と教えてくれた。 現在も2代目のバレーノ、そしてOEM車種として、トヨタからはグランツァ(なんと南アフリカ向けの輸出名はスターレットとして販売)が発売されている。 2015年より、マルチ・スズキはインド向けの高級販売チャンネル「NEXA」を立ち上げ、バッレーノを筆頭に上級セダンのシアズ、SUVのフロンクスやグランドビターラなどもラインナップさせている。 現状、インドにおけるスズキブランドの最高級車ジムニーもNEXAでの取り扱いだ。 ディーラーのなかはさながら輸入車ディーラーのようであり、ストリートの雑然とした雰囲気とは一線を画す。 これからもどんどん増えていくと予想される、世界を向いたインドの若い層に響くクルマづくりは欠かせないことであろう。 ベーシックカーから顧客のニーズに応える上位車種まで、インド国内の世相を読み取りながら発展するスズキの動向に、今後も目が離せない。   [ライター・撮影 / TUNA]

ベルリンの街でスタイリッシュなクラシックカーを探そう!
海外現地レポ 2023.07.11

ベルリンの街でスタイリッシュなクラシックカーを探そう!

日本にいたころは、まったくといっていいほどクルマに関心がありませんでした。 公共交通機関が充実している、都会での暮らしに必要性を感じなかったからです。 しかし、ベルリンへ移住してから、道沿いにさり気なく駐めてあるクラシックカーのデザインに一目惚れしました。 もともと、ファッションやインテリアのアンティークやヴィンテージが大好きだった筆者にとっては新たな発見であり、クラシックカーどころかクルマのことなどほとんど知らない素人ですが、ベルリンの街でクラシックカーを見かけるたびに、スマホで写真を撮るようになったのです。 そんなある日、友人から「ヒストリックカー」の存在を教えてもらいました。 ■"H"マーク付きのヒストリックカーとは? ドイツのクラシックカーが好きな人であれば誰でも知っているかと思いますが、ヒストリックカーとは、ナンバープレートに”H”マークが入っているクラシックカーのことを指し、正式に認定されている年代もののクルマを意味します。 生産されてから30年以上経過している、オリジナルの状態が保たれている、走行に支障をきたす欠陥がないと判定された状態であるなど、条件を満たしたクルマのみが認定資格を持てるのです。 この”H”マーク付きのヒストリックカーを見つけると、自然に憧れと尊敬の眼差しを向けるようになりました。 ちなみに、連邦自動車交通局(KBA)調べによると、2022年におけるドイツ国内でのHナンバー登録数は648,365台とのことで、前年より10%も増えているそうです。 ベルリンの街を歩いているだけでも頻繁に見かける理由がよくわかりますね。 では、実際にはどんなクラシックカーがベルリンでは人気なのでしょうか? 街中で見かけたクルマを写真とともに紹介していきたいと思います。 ■メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300D やはり一番人気は、ドイツ車三大メーカーのトップ、メルセデス・ベンツです。 筆者の住むプレンツラウアーベルク地区だけでも、続けてすぐに発見できました! 1985年~1989年に生産されていた、メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300Dは、四角くて、コロンとしたフォルムが特徴的でレトロな印象を受けます。 無駄のないシンプルなデザインが男性に人気がありそうです。 清潔感のあるホワイトカラーもいいですね。 ■メルセデス・ベンツ W123 230E こちらは、大人気のメルセデス・ベンツW123シリーズの、最終モデルとして生産されました。 1976年から1985年に生産されていたW123シリーズは、街中でもよく見かけますが、メルセデス・ベンツならではの圧巻の存在感と、よりクラシックなフォルムと高級感漂うデザインが、個人的にもかなり好みです。 ■フォルクスワーゲン ゴルフガブリオレ 同じくドイツメーカーのフォルクスワーゲンも大人気で、ゴルフガブリオレと、作業用としてよく活用されているバンを見かける機会が多いです。 ビートルの後継者としてゴルフカブリオレが誕生したのは1979年で、コンパクトなサイズと見た目のかわいさで、女性にとても人気があります。 定番のブラックも人気ですが、筆者としてはレッドやブルーといった、発色の良いカラーが目を引きます。 ベルリンでは、住宅の前にクルマがズラリと並んでいる光景が日常的ですが、並んでいるクルマを見るとクラシックカーに限ったことではなく、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンが圧倒的に人気なのが一目瞭然です。 ドイツの国産車だから当然ではありますが、その中にクラシックカーがさり気なく紛れ込んでおり、街の景観を美しく演出しています。 ちなみに、ベルリンでは駐車禁止地域以外であれば、基本的に路上駐車が可能となっています。 ただ、埋まっていることがほとんどのため、空きスペースを探すのは至難の技です。 ■ジャガー XJS ハイブランドショップが立ち並んでいることでも有名な、ベルリン随一のショッピング通り、通称“クーダム”で発見したジャガーのクラシックカー。 ドイツの国産車がトップの人気を誇るなか、イギリス産のジャガーと出会えたのは嬉しかったです。 ごくたまに見かけますが、レトロフューチャーなフォルムと渋いカラーがたまりません。 ■マセラティ 222 同じくクーダムの近辺で発見したのが、イタリア産のマセラティです。 1914年操業と、100年以上もの長い歴史を誇り、高級スポーツカーとして人気を博しています。 記憶が正しければ、筆者はこの日初めてマセラティを見ましたが、フロントの渋さと、バックスタイルでさり気なくブランドを語るかのようにロゴを入れたデザインが、ステキだと思いました。 ■おわりに クルマの国ドイツであっても、意識して見なければクラシックカーに気付かないかもしれません。 しかし、街中を隈なく探すと、持ち主のこだわりや個性の見えるデザイン性の高いクルマと出会うことができます。 特に筆者は、メーカーよりもフォルム、デザイン、カラーに魅了されることが多く、いつの年代に生産されたのか、その時代のトレンドはどんなデザインだったのか、時代背景はどんなだったのか、そんなことに想像を膨らませています。 これからも、ベルリンの街でステキなクラシックカーにたくさん出会えることを楽しみにしています。   [ライター・撮影 / Kana]

クラシックカー人気は世界トップクラス!ドイツにおけるHナンバー制度とは?
海外現地レポ 2023.07.10

クラシックカー人気は世界トップクラス!ドイツにおけるHナンバー制度とは?

皆様はドイツにおけるHナンバー制度をご存知だろうか。 日本でクラシックカーのイメージといえば、税金が高く、維持するのも一苦労。 …といったところだろうか。 初年度登録から13年以上経過したクルマは自動車税が大幅に上がってしまうのが現実だ。 そんなクラシックカーのイメージを覆す制度がここドイツには存在する。 それがこのHナンバー制度だ。 今回は、クラシックカー大国といわれるドイツにて導入されている「Hナンバー制度」について解説していく。 ■1.Hナンバー制度とは 1997年1月1日より、自動車の文化遺産を保護するために導入された。 HナンバーのHとはドイツ語で「Historisch」(歴史的)という意味を表し、ナンパプレートの右側にHが記されるのだ。 ドイツでは一般的に、初年度登録から30年が経過すると、クラシックカーと呼ばれるようになる。 そしてこの国では、クラシックカーの文化を維持するために、Hナンバープレートを取得すると、税負担の軽減などの恩恵が受けられるようになる。 つまり、新しいクルマよりも維持費が安くなるのだ。 なんて素晴らしい制度なんだ。 もちろん、30年経過したクルマが全てこのHナンバーを取得できるかと言われると、そうではない。 このナンバーの取得に際しては、ほぼオリジナルの状態であること、または専門的に修復された車両のみに与えられる。 Hナンバーを取得したクルマだけが、真のクラシックカーとなるのだ。 ■2.自動車税は一律3万円! 前述でも述べたとおり、Hナンバーを取得するのは簡単ではない。 まずは大前提として自動車保険に加入しており、車検が有効である状態でなれければならない。 その後、専門家によるクラシックカーの査定、主な検査を行ってもらい、クラシックカーレポートを取得する。 このレポートや車検証などの必要書類を準備し、登録事務所へと提出する。 ここでHナンバーの基準をクリアすることができれば、晴れて登録が完了するというわけだ。 実際に査定や登録などの費用は車両の状態などにより異なるが、おおよそ300〜400€(現在のレートで約6万円)ほどの費用がかかってくる。 それ以降、年間の税金は排気量に関係なく、一律191.73€(現在のレートで28,759円)となっている。 日本では13年以上経過したクルマで、例えば排気量が3000ccの場合、66,700円にもなってしまう。 Hナンバーの税金が実に安いことをお分かりいただけるだろう。 ちなみに、オートバイにもHナンバー制度は導入されており、この場合の税金は一律46.02€(現在のレートで6,903円)となっている。 ■3.ドイツで30年以上経過したクルマは100万台以上!? 連邦自動車交通局(KBA)の調べによると、2022年1月1日、ドイツでは30年以上経過したクルマが100万台を超えた。 そのうち、Hナンバーのクルマが648,365台も登録されている。 Hナンバープレートの普及率は驚異の57.3%だ。 これは、古い車の所有者の半数以上が、クラシックカーとして登録していることを示している。 クラシックカーの在庫はここ25年間で常に増加傾向にあり、ドイツにおけるクラシックカー人気は今もなお上昇し続けているのだ。 最も人気のあるクラシックカーは、メルセデス・ベンツW124、SLクラス、 フォルクスワーゲンビートル、バスとなっている。 ■まとめ 結果的にHナンバー制度は大成功のモデルとなった。 クラシックカー愛好家は、環境保護区域内でも自由に運転することができ、税金を安く抑えることができるため、Hナンバーを取得しない理由はない。 クラシックカーは自動車の歴史そのものであり、古くなったら終わりではなく、古いからこそ価値があるのではないだろうか。 また、ドイツにおける自動車文化遺産を保存し、維持する姿勢にも素晴らしいものを感じる。 著者は日本にも導入してほしいと切実に願っている。   [ライター・撮影 / 高岡 ケン]

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