トヨタ ランドクルーザーは、半世紀以上にもわたって世界中で愛され続けており、トヨタシリーズにとって欠かせない存在となっている。 オフロードの先駆者でありながら、いかに伝説的かはいわずと知れたところだろう。 ドイツにとってのメルセデス・ベンツGクラス、アメリカにとってのジープ、イジリスにとってのランドローバー、そして日本にとってはランドクルーザーこそ、そのポジションに相当する。 そんな日本を代表するSUV・オフロード車であるランドクルーザーは、ドイツでどのように評価されているのか。 果たして人気はあるのか。 ドイツから現地調査を行った。 ■ランドクルーザー専門店を発見 現在、ドイツの大手中古車サイトには約800台のランドクルーザーが掲載されており、日本と比べると4分の1程度の台数となっている。 “クロスオーバーを購入するなら、メルセデス・ベンツGクラスか?トヨタ ランドクルーザーか” …という記事を度々見かけるが、正直な感想としてドイツにおけるGクラス人気は圧倒的であり、販売台数や市場規模から比べてもGクラスの圧勝だろう。 日本やアメリカと比べるとまだまだ台数が少ない印象だが、そんなドイツにもランドクルーザー専門店は存在する。 先日シュツットガルトで行われたクラシックカーの祭典には、70系ランドクルーザーを中心としたレストア車が複数台展示されていた。 1951年に登場して以来、長い間愛されて続けてきた歴史あるモデルだけに、一定数の愛好家はいるようだ。 ■1番人気は70系ランドクルーザー トヨタ ランドクルーザーは、誕生から72年間、170か国以上で1,100万台以上も販売されている。 何十万キロにも上る道路を悠々と走行し、自動車の歴史のなかでその独自の地位を証明した。 そのエキサイティングで多様な歴史により、この車輌は世界で最も有名なモデルの1つとなった。 一言でいえば、トヨタ ランドクルーザーはカルトである。 その長い歴史のなかでも特に人気が高いのは、1980年から1989年にかけて生産された、70系ランドクルーザーだ。 クラシックな丸型のヘッドライトに角張ったボディが特徴的で、まるでGクラスと兄弟車であるかのような力強いデザインとなっている。 また、相場も30,000ユーロ〜50,000ユーロ(日本円で約500万円〜800万円)と、クラシックモデルとしても非常に高価な部類である。 ■ドイツでの評価ポイントは? 実際にランドクルーザーを購入した人のほとんどが、故障が少ない信頼性を重視したパターンが多いようだ。 正直、見た目やステータス、内装の豪華さなどは欧州車に劣る部分がある。 カッコ良さやステータスを重視した場合、Gクラスやランドローバーを選ぶ人が多いようだ。 しかし、価格は新旧モデルどちらも高めの相場設定となっており、現行の新型ランドクルーザー(J30)にいたっては、平均価格が175,000ユーロ(日本円で約2700万円)と、非常に高額である。 60系や70系ランドクルーザーの人気モデルでも、低走行で状態の良いモデルになると50,000ユーロ(日本円で約800万円)にもなるため、間違いなく高級車のカテゴリーとなるだろう。 中東やアフリカでは多くのランドクルーザーが市場に出回っているが、ヨーロッパ国内では比較的少ないイメージで、その希少性から値段の相場が上がっていることが予想される。 また、一部のコレクターにとって、状態の良い旧型ランドクルーザーは垂涎モノであり、ドイツにもそのコレクターが数多く存在する。 やはり世界的にも評価されているランドクルーザーは、ドイツでもさすがの人気といったところだろう。 また、ドイツでは2024年3月に、旧型のデザインと最新のテクノロジーを融合した新型ランドクルーザー『250』の導入が予定されており、ネット上でも愛好家たちが今か今かと待ち侘びているそうだ。 トヨタ ランドクルーザーほど長い歴史を誇る自動車は多くない。 15世代を超え、無数のバリエーションがあり、70年以上にわたり車輌の歴史を刻んできた。 すべてのランドクルーザーには、妥協のない信頼性という共通点があり、それこそがドイツ国内でも評価されている所以なのだ。 [ライター・画像 / 高岡 ケン]
著者がドイツで生活を始めて一年以上が経過した。 この国で生活をしていると、いかにSUVが人気かを思い知らされる。 今やクロスカントリー、SUVは世界的に人気が高く、各メーカーも続々とSUVモデルを発表している。 最近では、コンパクトモデルから大型モデルまでラインナップは豊富で、消費者が多くの選択ができるようになった。 日本車も世界的に有名なトヨタ ランドクルーザーをはじめ、人気のSUVモデルは数多く存在する。 かの有名な超高級メーカーのランボルギーニが、初のSUVモデル、ランボルギーニ ウルスを発表したのも記憶に新しい。 そんな世界的大ブームのなかで、日本のSUVはどのように評価されているのか。 また自動車大国で人気の日本メーカーSUVは何なのか? 今回はドイツ本国から現地調査をおこなった。 ■2022年のドイツにおけるSUVの日本車モデル別乗用車新規登録台数 ●第3位 マツダ CX-5(7,610台) マツダの代表的なSUVであり、2011年に登場して以来、世界的な大ヒットを記録したモデルだ。 マツダの2022年度販売台数2位を記録したマツダ3から2倍の差を付けて、好調な売れ行きとなっている。 2011年から2017年までが第一世代、2017年から現在のモデルが第二世代となっている。 ドイツでは特に2.2リッターのディーゼルエンジンを搭載したスカイアクティブDが人気だという。 ●第2位 日産 キャシュカイ(11,042台) 日本ではあまり聞き馴染みのないこのモデル。 それもそのはず。 日本ではかつてデュアリスとして販売されていたコンパクトSUVだが、現在は販売終了となったモデルだからだ。 実はこのモデル、ドイツでの人気は非常に高く、安全性や快適性などを含め非常に高い評価を得ている。 ドイツでは2007年から販売されており、全長4377mm、幅1806mm、高さ1590mmのコンパクトボディながら、ゆとりある室内空間と充実した装備が人気の理由となっている。 また2021年にモデルチェンジを迎え、第3世代へと切り替わった際にこれまでのディーゼルエンジンを廃止。 1.3リッターのマイルドハイブリッドモデルと1.5リッターのハイブリッドモデルの2車種のみとなった。 ●第1位 三菱 エクリプスクロス(18,852台) 全SUVモデルの中で、日本車SUVトップは13位という結果になった。 このモデルは2018年に販売開始となった比較的新しいモデルであり、アウトランダーよりも一回り小さいのが特徴的だ。 豊富なグレードラインナップが揃っており、1.5リッターのガソリン、2.2リッターのディーゼル、そしてプラグインハイブリッドと幅広い選択が可能となっている。 細長いヘッドライトに迫力のあるグリルが近未来的なクルマをイメージさせるデザインとなっており、インテリアも高級感あふれるデザインとなっている。 最新のインフォテイメントシステムや安全機能が装備されていながら、安価な価格設定が人気の秘訣となっているそうだ。 ■まとめ これらのランキングを見ていただいたら分かるとおり、人気SUVモデルの上位にランクインしているのはどれもコンパクトモデルばかりだ。 まさに世はコンパクトSUV時代。 2022年度のランキングでは、メルセデス・ベンツ GLBやアウディ Q2、BMW X2など、並いる強豪を抑えて日本車メーカーがランクインしていた。 特にドイツでは日本車に対するイメージが好意的で、壊れにくい、維持費が安いなどの理由から家族層や若者層に多く選ばれているようだ。 今後もこの熾烈なSUV争いはどうなっていくのか。 また日本車メーカーがトップ10入りを果たす日がくるのか。 今後のドイツにおけるSUV市場に目が離せない。 [画像・日産、マツダ、三菱/ライター・高岡 ケン]
筆者はドイツにて、毎週約800キロをクルマで移動する生活を送っています。 今ではなんとかドイツでの走り方に順応できていますが、ドイツと日本、二つの国で長くクルマを運転していると、運転事情や運転マナーなどについて、日本との違いを感じることも多々あります。 この記事ではその違いについて、いくつかご紹介いたします。 ■アウトバーンは走りやすい?走りにくい? アウトバーンは速度無制限ということで日本でも有名かと思いますが、そんなアウトバーンでの運転は、どのようなものなのか。 あくまで個人的な感想としてですが、スピードを気にしなくて良い走りやすさのみならず、走りにくさもあります。 例えば追い越し車線。 速度無制限区間では、200km/hやそれ以上のスピードで走っているクルマも珍しくありません。 追い越し車線に出るときは、かなり神経を使います。 筆者の場合、追い越し車線に出ようとミラーを確認したときに、追い越しに来るクルマが相当遠くにいる、もしくはいないときに追い越し車線を走るようにしています。 というのも、愛車のルノー・カングーはパワーがなく、アクセルを床まで踏んでもさほど加速しません。 追い越し車線に出ても速いクルマにすぐに追いつかれ急かされるなど、気持ち良いペースで走れないことも多いのです。 また、フルパワーで無理をして追い越し車線に出るくらいなら、空いているときに余裕をもって走り、燃費を良くする方がストレスもなく経済的であり、メリットが大きいという個人的なこだわりもあります。 もちろん公道なのですべてのドライバーに追い越し車線を走る権利はありますが、自分のクルマのスペックをある程度把握しておくということ、周囲への注意力や判断の素早さは日本の高速道路を走るときよりも求められる気がします。 日本の高速道路のように、常に速度制限がある方が周囲のクルマとの速度差も把握しやすく、安全性も上がりますし、ペースも維持しやすく結果的に走りやすいと感じるのです。 筆者が3年ぶりに日本に帰国して高速道路を走行したときは、「アウトバーンよりも伸び伸びと走りやすくて快適」と素直に思いました。 ▲制限速度80km/h区間が終了、速度無制限区間の開始を示すアウトバーンの標識 アウトバーンでは、遅いクルマが追い越し車線を走っていると普通に煽られます。 もちろん煽り運転は許されることではなく、罰則の対象となります。 それでも追い越し車線を延々と遅いクルマが走っていると、ぴったりくっつかれることもあればパッシングされることもありますし、さらには追い越し車線で左ウインカーを点滅させ、遅い車のドライバーに対して道を譲るよう、合図を出しているクルマも頻繁に見かけます。 あまり多くはありませんが、猛スピードで追い越し車線を駆け抜けていくクルマのなかには、「今は追い越し車線に入ってくるな」と言わんばかりに予めパッシングしながら走行しているクルマを見かけることもあります。 ▲愛車のカングー ここまでは、あまりスピードが出ないカングーに乗っているときのドライバー心理からお伝えしましたが、逆に自分が早い速度で運転する際も、周囲のクルマの動きにはより慎重にならなければなりません。 筆者は、知人が所有するディーゼルエンジン仕様(194ps)のメルセデス・ベンツEクラスを運転する機会がしばしばあります。 速度無制限区間での巡行は140~160km/h、追い越し車線では170km/h~190km/hで走ることが多いのですが、走行車線に複数台確認できるときは急に自分より遅いクルマが入ってくることを想定してアクセルを緩めるなど、いつでも安全に車間距離を確保できるよう、常に心がけながら走っています。 ▲しばしば運転する機会があるメルセデス・ベンツEクラス ■ドイツ人はサンキューハザードを使わない? 続いて、ドイツにおける運転マナーについても少しふれておきましょう。 ドイツでは、日本で「割り込み」と認識されるような距離感で堂々と前に入られることが日常茶飯事で、入れる側も当たり前に入れてあげます。 強引に前に入られたときも、また走行中、ウインカーを出しているクルマに進路を譲ったときも、お礼をされることは基本的にありません。 何もアクションなしが93%、手を挙げてお礼が5%、サンキューハザードが2%といったところでしょうか(※あくまで筆者の感覚です)。 日本人に馴染みのあるサンキューハザードは、ドイツではかなりマイナーです。 皆無ではありませんが、1週間800キロ走行する間、1台見かけるか見かけないかです。 乗用車に比べると、トラックドライバーはお礼をしてくれる方が多い印象です。 しかし、こちらもサンキューハザードはマイナーで、ウインカーを左右交互に点滅させてお礼を伝えてくれます。 ■ドイツではフォグランプをいつでも点けて良いわけではない もう一つ、ドイツと日本との大きな違いといえば、フォグランプでしょうか。 日本では、夜間走行中にフォグランプを点灯させているクルマが非常に多い印象があります。 アクセサリーとして点けている方もいれば、明るさを補う目的で点けている方もいらっしゃるでしょう。 しかしドイツでは、フォグランプ・リアフォグランプは基本的に点灯させてはいけません。 点灯させて良いのは、視程が50メートル程まで低下した場合です。 霧や大雨により視程が悪化すると、多くのクルマがフォグランプ・リアフォグランプを点灯させます。 ちなみに50メートルをどのように判断するのかというと、アウトバーン側方には必ず50メートル間隔で目印が設置されているので、それを目安とします。 ▲アウトバーン側方に50m間隔で設置されている目印 ▲豪雨により視程が悪化しリアフォグランプを点灯させるクルマ ■おわりに いかがでしょうか。 ドイツと日本を比較すると、交通ルールはいうまでもなく、マナーや環境にもいくつか違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。 筆者自身にも、まだまだ知らないことや気付けていないことがあるかと思いますので、今後も引き続き、興味深い違いがあればご紹介します。 [ライター・画像 / Shima]
去る2023年2月、ドイツのシュツットガルトで行われたクラシックカーの祭典にて、非常に興味深い会社を発見した。 それは、マツダのクラシックカーのみを専門に取り扱う会社だ。 マツダといえば、1949年に設立された、広島県に本社を置く日本の自動車メーカーだ。 日本から遠く離れたこの国で、マツダを心から愛するドイツ人によって設立されたとのこと。 その名も「Mazda Classic - Automobil Museum Frey」 今回は、マツダ車を愛するドイツのとある会社を調査してみた。 ■世界最大のマツダ博物館 同社は2017年にドイツのアウグスブルクにて設立された会社で、日本ブランドのマツダのみを展示している。 マツダ車をこよなく愛するドイツ人オーナーにより設立され、現在では世界最大のマツダ車のコレクションを備えている。 元々は1897年に建てれた路面電車の停留所に使われていた跡地を買い取り、現在はマツダコレクションの博物館となっている。 約1500平方メートルの敷地に、常時50台ほどの車が展示されている。 敷地内には、展示場のほか、結婚式などのプライベートイベントにも利用可能な700平方メートルのイベントエリア、レストラン、マツダグッズのショップなども併設さている。 驚きなのは、これまでに創業者であるウォルター・フレイ氏とその2人の息子によって、40年以上かけて合計120台程のマツダクラシックカーモデルを収集したことだ。 ■目玉商品はコスモスポーツ 1978年にAuto Freyというドイツ初のマツダ正規販売店が設立して以来、現在に至るまでマツダに人生を捧げてきたという。 すべての始まりは、1980年にアメリカのニュージャージー州で見つけたマツダ コスモスポーツだったそうだ。 この車は、現在展示されているすべてのマツダクラシックカーの中で最も思い入れのあるクルマだという。 現在でもマツダのコレクションを収集しているとのことで、何度も来日しているそうだ。 主な展示車は、目玉商品である1969年式のコスモスポーツを初め、1973年式のB1600ピックアップトラックや1992年式のMX-5、さらに1989年式のRX-7 FCなどなど。 日本でもめったに市場に出回らない、希少価値の高いクラシックモデルばかりだ。 また、車輌の状態も驚くほどキレイで、手入れの行き届いた真っ白な塗装には心底魅了された。 ■3. ドイツではちょっとした観光地に これほどまで程度の良い、かつ希少なマツダのクラシックモデルを一気に見られるのは、日本のマツダミュージアムを除いて他にないだろう。 ゆえに現在では、マツダクラシックを一目見ようと、ヨーロッパ中からマツダ愛好家達が観光に来るそうだ。 さらに数ヶ月に一度、マツダミーティングを行われているそうで、なんと多い時は300台ほどのマツダ車がここマツダミュージアムに集結するとのこと。 博物館は祝日以外、土日も営業しており、大人1人5ユーロ(現在のレートで約800円)と、非常に安価で楽しめるのも魅力的だ。 著者も近くを訪れた際にはぜひ一度足を運んでみたいと思う。 日本から遠く離れたこの国で、日本車の愛に溢れた会社を発見できたことは日本人としても誇り高い。 [ライター・カメラ / 高岡 ケン]
世界中のコレクターが喉から手が出るほど欲しいレクサスをご存知だろうか? その名も「レクサス LFA」 日本が世界に誇る、超一級のスーパースポーツカーである。 2010年12月から2012年12月までのわずか2年間のみ生産され、限定台数500台の希少なモデルだ。 現在ではほとんど市場に出回ることがなく、街中で見かけるのは奇跡に近いほど希少価値が高いモデルだが。 自動車大国ドイツでは現在、2023年7月時点で3台ものLFAが中古車サイトに掲載している。 ちなみに日本の大手中古車サイトでは、現在掲載中のLFAは2台のみとなっている。 ではレクサス LFAはなぜここまで人気を博したのか。 またドイツではどのような評価を受けているのか。 今回はドイツ現地から徹底解説していく。 ■1. 天使の咆哮と呼ばれたサウンド 前述でも述べたとおり、LFAは限定500台のみ生産・販売された2人乗りのスーパーカーだ。 そのうち約50台は、サーキット走行を重視した高性能仕様の「ニュルブルクリンクパッケージ」が生産された。 LFAの名前の由来は、「Lexus Future Advance」の頭文字も取ったものである。 当時、まだ本格的なスポーツカーを持っていなかったレクサスにおける、スポーツカーのコンセプトカーとして誕生した。 コンセプトの内容は「世界超一級レベルの運動性能と、超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」である。 開発に至っては、莫大の開発費がかかっており、新車販売価格は3750万円にも関わらず、赤字だったそうだ。 特にエンジン開発には力を入れており、搭載されるエンジンはトヨタ自動車とヤマハ発動機の共同開発によって誕生した。 専用開発のヤマハ発動機製4.8L V型10気筒エンジンは、最高出力560馬力を発揮する。 音声学に基づいて開発されたエンジンは、そのあまりにも美しく、迫力のあるサウンドから「天使の咆哮」と呼ばれている。 ■2. 日本車最速のクルマ LFAの車両スペックは全てが規格外だ。 ブロンドミッドシップに搭載されたV型10気筒4.8Lエンジンは、最高出力412kW(560PS)、最大トルク480Nmを発揮する。 軽量化と高剛性を図るため、至るところにカーボンが多用されている。 カーボンモノコックシャシーやカーボンセラミックブレーキが採用され、車輌重量はわずか1480kgとなっている。 超軽量化によって繰り出される最高速度は、日本車最速となる驚異の325km/h超え、0-100km/h加速は3.7秒という異次元のパフォーマンスだ。 日本の自動車メーカーとしては、ホンダNSX、日産GT-Rに次いで3番目の本格的なスーパースポーツカーとなった。 ■3. 現在の市場価格は1億越え!? 2009年、東京モーターショーにて市販仕様車が世界初公開された。 世界56ヵ国で500台の限定販売となり、日本国内の割り当ては200台となった。 新車販売価格は3750万円、日本車の量産モデルとしては過去最高額のクルマだ。 発売当初は、半年間に渡って予約を募る予定だったが、予想を遥かに上回る予約が集まったため、予定よりも2ヶ月早い段階で締め切りとなった。 発表からわずか3ヶ月で、購入希望台数は世界累計で500台を超えたそうだ。 現在、日本の大手中古車サイトには2台のLFAが掲載されている。 しかし、価格が公開されていないため、その市場価格は未知数となっている。 ドイツでは、現在3台のLFAが掲載されており、販売価格は最安値の車両でも驚きの829,000ユーロ(2023年7月現在のレートで約1億3,000万円)となっている。 新車価格から3倍以上にも価値が上がっている状況だ。 ■まとめ これまでにも数々の名車を生み出してきた日本の自動車メーカーだが。 恐らく名実ともに日本一のスーパーカーといえば、レクサスLFAではないだろうか。 現在、LFAの後継車となる2台目LFA Ⅱの開発が行われているそうだ。 詳しく情報は発表されていないが、伝説の名車が復活する日をそう遠くはない。 新型LFAもまた新たな伝説の始まりとなるのか。 今後の発表に注目していきたい。 [画像・ライター / 高岡 ケン]
こんにちは!西尾菜々実です。 ドイツへ移住して現地のクルマを見ると、自動車とはどうやって発明されたのか気になってきました。 みなさんは、どの国でガソリンで自走するクルマが発明されたかご存知ですか? 私は産業革命で有名なイギリスだと考えていたのですが、エンジンで走行する自動車は、1879年の年末に初めて単シリンダーのエンジンが駆動したことによって、ドイツのカールベンツが発明しました。 現在は自動車道路が普及しているため、遠く離れた土地へでも移動できます。 また、普段の買い物や旅行など、多様な機会に移動する目的でクルマを使うことができます。 そして、自動車が存在する現在人の移動や、物の移動が広範囲で可能となりました。 今回は、エンジンで走行する自動車が発明された、ドイツのクルマについて触れてみたいと思います。 ■ドイツにおける自動車のはじまり 1886年1月29日、カールベンツは、ガスエンジンの働きによる交通乗り物を特許に登録。 同年の7月には、新聞で初めて公開となった、3人乗りのベンツエンジン自動車の特許を報じました。 その後、たくさんの自動車が開発されていくことになるのです。 現在ではメルセデス・ベンツと肩を並べるブラントとなったBMWでは、1932年にBMW AM1が、バイエルンのモーターベルケAG初の独自の設計をした自動車として誕生します。 外観がクラシックで映画に出てきそうな自動車です。 エンジンが発明されて以降、世界各国で開発が進んでいくことになります。 ベルリンで1926年に開催されたインターナショナル自動車展示会「IAA」では、8シリンダーシリーズの例としてPkw(Personenkraftwagen=乗用車の意) Horch 8 Typ が展示されました。 エンジンが始動している間は、 ・吸気・圧縮爆発と膨張・排気 のサイクルがおこなわれています。 内燃機関、いわゆるエンジンの発明がされたことによって多種多様な自動車が生み出され、現在では種類も豊富になりました。 ■現在のドイツではEV化が進んでいる しかし、現在ドイツでの自動車は、電動化が進んでいます。 皆さんもハイブリッド自動車やEV車をご存知かと思います。 現在のエンジン車は、電気はあくまでも補助的なもの。 対してEV車は、バッテリーに電気を充電することでモーターを動かします。 モーターによって電気を駆動力に変換しているのです。 モーターに電気を供給するのが駆動用バッテリーで、現在よく使われているのがリチウムイオン電池です。 コントローラーによって、バッテリーからモーターへ送られる電気の形を調節します。 モーターに流す電流を制御することで駆動力を制御するため、スイッチを使用するだけで電流が流れます。 そのため駆動力を制御しやすく、加速がスムーズにおこなえます。 EV車には外部からの充電と、回生による充電が可能です。 外部からの充電とは、コンセントを使用する普通充電と、短時間で充電する急速充電があります。 回生とは、減速するときに、走っている運動エネルギーを電気エネルギーに変えて利用することをいいます。 EV車のメリットとして ・走行時の排気ガスが排出されない・パーツが少なくデザインでの制限が少ない・駆動力が制御しやすいため加速がしやすい・電気で自動車の走行をコントロールするためふさわしい などがあげられます。 (EVの定義として、記事中では『電気自動車』としています) 現在、日本ではミニバンのEV車が発売されていませんが、ドイツのフォルクスワーゲンからは2022年12月にミニバンが発表されました。 また、セダンなどに比べて車高を高く設計できるSUVは、無理なく車体にバッテリーを搭載できます。 SUVと同様に、ミニバンもEV車にふさわしい車種のひとつではないでしょうか。 ■おわりに 私は免許を日本で取得するときに、ハイブリッド車を用いて講習をおこないました。 ハイブリッド車は走行が静かで、これが新しい自動車なんだと驚愕した記憶があります。 乗り心地も軽やかな印象でした。 現在はドイツに住んでいるので、近い将来電気自動車も運転する機会があるかもしれないと、ちょっとワクワクしています。 電気自動車と聞くと、近未来感があってクールな印象を感じます。 次から次へと新しいテクノロジーが生み出されるので、未来の自動車はどのように進化していくのか想像ができません。 日本車でも電気自動車がラインナップされていますので、みなさんにもこの記事が参考になればと思います。 [ライター・画像 / 西尾 菜々実]
日本の最大のライバルと言っても過言ではない、自動車大国のドイツ。 この国では、日本と同様に自動車のオークションサイトがあるのはご存知だろうか。 実際に知っているという人は少ないだろう。 それもそのはず。 このオークションサイトは個人での参加はできず、法人のみが閲覧できるようになっているからだ。 その名もAuto1(ドイツ語でアオトアインツ)と呼ばれている。 今回は、ドイツ最大規模の自動車オークションサイトである、Auto1について解説していく。 ■1.日本のソフトバンクが出資!? Auto1グループは、2012年に設立された会社で、法務本部はミュンヘン、管理本部はベルリンに置くヨーロッパ最大の中古車サイトだ。 クリスチャン・ベルダーマンとハカン・コチによって設立されたこの会社は、中古車取引をデジタル化するというアイデアのもと生まれた。 2018年には、日本のソフトバンクが4億6000万ユーロ(現在のレートで約720億円)を投資し、評価額は29億ユーロ(約4500億円)となった。 2019年にはヨーロッパで最高評価の非上場スタートアップ企業となり、2021年にはフランクフルト証券取引所に上場した。 ここ数年で急成長を遂げた、今ヨーロッパでもっとも勢いのある中古車取引会社だ。 ▲点検・査定用ガレージ ■2.ドイツ意外の国からも購入できる? Auto1グループでは、現在3つのプラットフォームで構成されている。 ・Wirkaufendeinauto.de 主に自動車の点検と購入をおこなう部門であり、ドイツ国内だけで120以上の拠点を持っている。 国外では、オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、オランダ、ポルトガルに拠点がある。 クルマの売却希望者はウェブサイトにて車輌データを入力し、あらかじめおおよその買取金額を把握することができる。 実際に売却を行う場合は、車輌を最寄りの拠点へと運び、点検や査定を受けて最終金額の確定をおこない、小切手を受け取り売却完了となる。 ▲買取後の売買手続きを行う事務所 ・Auto1.com Auto1は、中古車の売買をオンラインでおこなうBtoBマーケットプレイスだ。 30カ国以上、6万社以上のディーラーが利用しているヨーロッパ最大のオークションサイトである。 毎日3000台以上の買取を行い、常時在庫は30,000台以上保有している。 ディーラーは専用サイトにて、オークション形式で車輌を購入することができる。 これにはドイツ以外の国のディーラーも参加しているため、もちろんドイツ以外の国からも車輌を購入することができる。 ▲検査場 ・Autohero Autoheroは2016年に設立された、オンライン自動車ディーラーである。 あらゆるメーカーや価格帯のクルマを取り扱う、日本のカーセンサーと同様のサイトである。 ■3.急成長を遂げたその仕組みとは Auto1に掲載された車輛は、すぐにディーラーが車輛データを確認できるようになっている。 サイト上には複数枚の写真とともに、年式、走行距離、グレード、オプションなどはもちろんのこと、直近の整備記録やオーナー数など事細かく記載されている。 さらに、専門の査定士による車輛のチェックが行われ、事故歴や修復箇所、エンジンや足回りなども細かくチェックがおこなわれる。 修理が必要な場合や、タイヤの残り溝やブレーキパッドの残量までもサイト上で確認することができるため、現車を確認せずともほとんどの情報が得られるというわけだ。 しかもオークションの開催期日は最大2日と、非常に短く、オークションに限らず一括で購入することも可能となっている。 ディーラーが車輛を購入した場合は、陸送の手配まで自動でおこなってくれるため、車両金額を振り込めば、あとは到着を待つだけ。 この異常なほどの回転率の速さと効率の良いシステムが、会社の成長へと繋がったのではないだろうか。 ■まとめ ドイツでは、5年ほど前まで中古車市場がまとまっておらず、車輛の売買は主にディーラー同士、または個人とディーラーでおこなわれていたそうだ。 この中古車売買を統一し、一本化に成功したのが、Auto1というわけだ。 実際に、著者はこのサイトを何度も利用しているが、非常に使いやすいサイトとなっている。 ネット上で車輛データを事細かく把握することができ、現車確認をする必要がないからだ。 1つ問題を挙げるとすれば、ドイツ国内以外の出品車輛は買いづらいということ。 なぜなら、ドイツの車検基準は非常に厳しく、ドイツ国外(例えばイタリアやフランス)などから購入した車輛は、ほとんどの確率でドイツの車検に通らないからだ。 しかし、デメリットを踏まえた上でも、非常に扱いやすいサイトであることは間違いない。 今後も利用者が増えることが予想されるため、これからのAuto1グループの成長に目が離せない。 [ライター・撮影/高岡ケン]
日本では、一般的に新車登録から13年が経過したクルマは自動車税と重量税が高くなり、必然的に旧車を維持するためには税金を含めた維持費が上がります。 このような要因も含め、日本では旧車を見かける機会がなかなか少ないのではないかと想像していました。 一方、ドイツでクルマを運転していると、その道中、駐車場を問わず旧車を見かけることがとても多いのです。 毎週クルマで数百キロを移動しますが、行く先々でほぼ毎回見かけるほどです。 この記事では、ドイツにおける旧車の状況について見ていこうかと思います。 ▲フォルクスワーゲン ケーファー(Käfer=ドイツ語でカブトムシ、つまりビートルの意) ■そもそも旧車とは?(ドイツ編) そもそも旧車とは、どのようなクルマを指すのでしょうか。 ドイツでは「オールドタイマー」という定義で法的に統一されており、最初の登録から少なくとも30年が経過しているクルマのことをいいます。 さらに車輌の大部分がオリジナルの状態であるか、もしくはオリジナルの部品で修復されていること、車輌の状態が良好であること、クルマの文化遺産を維持する役割を担っていることなどとされています。 1997年にはHナンバー (H-Kennzeichen) としても知られる、ヒストリックナンバープレートが導入されました。 クルマのナンバープレートには、「ヒストリック」であることを意味するHの文字が追加で記されます。 クルマが上記の条件を満たしていれば申請することが可能で、専門家による肯定的な所見に基づき付与され、自動車文化財として認められるようです。 ちなみに年式こそ古いものの、登録から20年から29年経過しているクルマは「ヤングタイマー」と呼ばれます。 条件としてはオールドタイマー同様、可能な限りオリジナルの状態に近く、保存状態が良好であることなどとされています。 ただし、どうやらこのヤングタイマーにはオールドタイマーのような法的な定義は存在しておらず、保険会社や愛好家、イベント主催者などによりその定義が異なることもあるようです。 ▲外出先に駐車していたメルセデス・ベンツ Sクラス、フォルクスワーゲン ゴルフ(筆者撮影) ■旧車への税金優遇 たいていの場合、Hナンバー登録されているクルマの税金は、通常の自動車税よりも安くなります。 さらに700cc以下、または浄化装置を搭載しているオールドタイマーについては、自動車税はより安くなる場合があるようです。 そんなドイツでも、オールドタイマーに対するこの優遇に対して、異議を唱える声が多くあがっているのが実情です。 例えば、会計検査を管轄する政府機関は、この減税措置に異議を唱え続けており、Hナンバーのオールドタイマーの増加により政府の税収が減少しており、かつ政府が掲げる気候政策目標と矛盾すると主張しているのです。 今後このような優遇措置が見直される可能性もあるかと思いますが、このような声があがっているにもかかわらず、現状オールドタイマーに対する減税措置が維持されていること、そして後述するようにオールドタイマーの登録が右肩上がりに増えていることを踏まえると、ドイツは旧車にとっての楽園ととらえることができるのかもしれません。 ■ドイツにおける旧車の登録数 ドイツではどのくらいオールドタイマーがいるのか、その台数とモデルを見てみましょう。 ドイツで登録されている自動車の数は全体で6,770万台(乗用車以外も含む)ですが、731,795台がオールドタイマーとしてのステータスを持っているとされています。 このうち88.6%にあたる648,403台は乗用車、4.8%にあたる31,536台はトラック、3.1%にあたる22,450台はトラクターとなっています。 ドイツでは、見るからに旧車のトラックなどもしばしば見かけます。 なお統計では、オールドタイマー(Hナンバーの有無は問わず年式のみを考慮)の2022年の登録数は、前年比10.8%増となっています。 2022年現在登録されているオールドタイマーの年代別では、30年~34年のクルマが160,741台、35~39年のクルマが139,848台、40~44年が106,509台、45~49年が97,532台、50~59年が154,598台、60年以上経過しているクルマは72,439台となっています。 さらにKBA(ドイツ連邦自動車庁)の統計を見ると、2011年から2022年にかけての登録数は、30年~40年経過したオールドタイマーは多少上下しているもののほぼ一定であるのにに対し、50年が経過しているオールドタイマーの登録数が右肩上がりに伸びているのは興味深いところです。 次に、州別のオールドタイマーの登録数です。 一番多いのはノルトラインヴェストファーレン州で158,794台、次いでバイエルン州で138,931台、バーデンヴュルテンベルク州で118,605台であり、この3州において登録数がとりわけ多くなっています。 ところが、過去10年の統計では、この3州以外での登録が倍増しており、オールドタイマーの人気が急上昇しているというのです。 今回その理由まで確実に調べることはできませんでしたが、今後追っていきたいと考えています。 ▲外出先に駐車していたメルセデス・ベンツ Sクラス(筆者撮影) ■Hナンバー登録車のメーカー・モデル別ランキング オールドタイマー(Hナンバー登録されているクルマに限る)のメーカー、モデルごとのランキングは下記の通りです。 1:メルセデス・ベンツ2:フォルクスワーゲン3:ポルシェ4:BMW5:オペル6:フィアット7:GMC8:フォードUSA9:アウディ10:フォードEU モデル別では、 1:メルセデス・ベンツ W123, E Class2:フォルクスワーゲン ケーファー(ビートル)3:フォルクスワーゲン バス(全車種)4:メルセデス・ベンツ SL(全車種)5:ポルシェ 911 / 993 / 996 6.:メルセデス・ベンツ Sクラス 7:フォルクスワーゲン ゴルフ 8:BMW 3シリーズ 9:メルセデス・ベンツ W201(190)10:メルセデス・ベンツ Strich 8 となっています。 ▲フォルクスワーゲン バス(T2) ■おわりに いかがでしょうか。 これまでは「ドイツではまだ古いクルマが比較的たくさん走っているんだな」程度にしか思っていませんでしたが、その背景には旧車の立場がしっかりと確立され、さらには税金の優遇措置があったりと、旧車が走り続けやすい、または維持しやすい体制が整っていることがわかりました。 今後はオーナーの実際の声を聞く機会を探り、旧車に関する事情などをオーナー目線も交えながら深堀していきたいと思います。 [画像・Shima,フォルクスワーゲン / ライター・ Shima]
はじめまして。 今回から旧車王ヒストリアにて記事を執筆させていただきます、西尾菜々実です。 私は去年の夏からドイツに移住したのですが、散歩をするだけで日本とは違うクルマ事情と出会います。 日本の京都で生まれ育ったため、街で輸入車見る機会は多くなかったのですが、移住してからはあたりまえのように走っています(現地では"国産車"だったりします)。 その結果、今までの環境とは違い、さまざまな国のメーカーが製造するクルマを見ることができるようになりました。 今回は、ドイツに移住してどのようなクルマと出会い、私がどのような感想を持っているかご紹介いたします。 ■ドイツでどのようなクルマに出会う? ドイツでは路上に駐車場が多く、街を散策するだけでさまざまな種類のクルマと出会うことができます。 日本ではBMWやメルセデス・ベンツというと、やはり高級車というイメージが強いのではないでしょうか。 もちろんBMWといえば小型車も有名なのですが、私が日本で暮らしていた感覚だとやはり高級車を想像します。 私が日本で働いていたときも、高級車向けの部品を担当していました。 ドイツに移住し、街を散策していると、やはり小型車やクラシックカーを見かける機会が多い印象です。 私としては実際にクルマの購入をディーラーの方に相談しなくても、多種多様なクルマを駐車場で観察したり時間をかけて眺めることができるので嬉しいです。 デザインが特徴的なクルマや、日本車では滅多に見ないカラーバリエーションなどと出会うことが多いのです。 その結果、クルマの良さや比較する項目を見つけることができ、散策の時間が楽しく過ごせます。 比較的決まった車種をいつも見るのではなく、いつも新しい車種に出会えます。 ドイツでは、小型車でも二人乗りの小さいミニカーを見かけることがあります。 もちろん日本でも走行しているのですが、ドイツに移住してからのほうが見る機会が多いです。 個人車としての利用も見かけますが、ピザなどの配達の使用としても見ることができます。 軽自動車の定員よりも定員数が少ないので、車体の大きさもより小さくなっており、小回りが効く印象です。 街中で二人乗りのミニカーに出会うと、特徴的な走行に目が引かれます。 電動式のミニカーも存在し、気軽に外出できる印象があります。 ▲筆者撮影 ■輸入車について ドイツではヨーロッパ車だけでなく、さまざまな国のクルマを見ることが可能なことも、移住して気づいた点です。 先ほども記載したのですが、ドイツでは駐車場が車道に多いため、展覧会のように車を眺めることができます。 多種多様なクルマが偶然その日に駐車された順番で並べられているため、配色違いの同車種が停車されている偶然に出会うことがあります。 将来このクルマの新バージョンが購入したいなどと考えながら街を散策しています。 ドイツでは住宅の配色が日本よりも多様であるうえ、建築様式も違うため、クルマが走行していたり停められている姿がより一層映えて目に映ります。 輸入車以外に、もちろん日本車に出会うこともあります。 日本出身の私からすると、見るだけで日本車だと認識できるので、クルマのメーカーを日本車かどうか判断するというのが最近の楽しみ方です。 個人的には、日本車にドイツで遭遇する率は高いという体感を持っています。 アメリカでの日本車の使用率までは届きませんが、やはり目にする機会は多いです。 ドイツではやはり、BMWやメルセデスベンツと言った国産車の使用率が高いですが、有名な輸入車や日本車を均等に見かけることができます。 国ごとの使用されているクルマメーカー率を現地で見ると、他国ごとのクルマに対する要望の違いが現れているので興味深くて楽しいです。 本当に驚いたことは、ベンツの高所作業車を間近で見ることができたことです。 生活を支える働くクルマとしてメルセデス・ベンツを見ると、少しカルチャーショックを受けました。 ドイツ在住の方は日常の光景として暮らしているのだと考えると、本当に身近なクルマメーカーとして親しまれているのだなという印象を持ちました。 ■個人的なドイツの交通事情への感想 ドイツでは、都市の大きさによってのクルマメーカーの使用率が違うという感想を持っています。 やはり大都市では高級車を目にする機会が多く、駐車場の位置によっても停められるクルマのメーカーの違いを見つけることができます。 私の場合、バスで旅行をしたことがあるのですが、窓から見える景色が違う気がしています。 クルマの外観が購入するきっかけとなる人には、大きな違いとして影響するのではないかと思います。 街を散策していて思うことは、クルマのメーカーのこだわりだけではなく、個人がどのような用途でどのような機能を必要としているか? さまざまな国のクルマが並んでいるドイツだからこそ、個人の思いがより深く現れているように受け取れるということです。 などなど、私はドイツでのクルマ事情をこのように感じながら暮らしています。 今後も素敵な街並みが存在するドイツから、現地の情報をお届けする予定です。 これからもよろしくお願いします。 [ライター・西尾菜々実 / 画像・西尾菜々実、AdobeStock]
ドイツで毎日のようにクルマを運転していると、旧車を見かける、またはすれ違うことが日本よりも多く感じます。 クルマへのこだわりが強い人が多いのではないか、そのような印象を受け、そもそもドイツでのクルマ事情がどのようなものなのか気になっていました。 この記事ではそんなドイツのクルマ事情について、いくつか見ていきたいと思います。 ■ドイツ国内における自動車保有率から見えてくることは? ドイツでは、全世帯の77%もの割合で、最低1台は自家用車を保有しているというデータがでています。 また、このデータがとられた同じ時期には、2台を保有する世帯は23.4%から27%に、3台以上のクルマを持つ世帯は3.7%から6.1%に増加しています。 人口1000人あたりの乗用車数で見ても、最新のデータがとられた2021年には、過去最高の記録となっているようです。 加えてドイツにはアウトバーンの存在もあり、年間の走行距離が平均14,259㎞におよび、クルマを伴った人々の移動距離も相当なものであることが分かります。 これらの数字からも、ドイツでの生活にはクルマが欠かせないということが見てとれます。 ▲フォードの旧車、Taunus(画像:筆者撮影) ▲よく見かける旧車モデルの一つ、メルセデス・ベンツ190E ■マーケットシェアと購入実態 ドイツのクルマメーカーといえば、メルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲン、アウディなど名だたるメーカーが数多くありますが、ドイツ本国におけるシェアはどのくらいなのでしょうか。 2022年の新車登録ランキング、およびマーケットシェアを上位5位に絞り見てみると 1位:フォルクスワーゲン(マーケットシェア18.3%)2位:メルセデス・ベンツ(マーケットシェア10.6%)3位:アウディ(マーケットシェア9%)4位:BMW(マーケットシェア8.2%)5位:スコダ(マーケットシェア5.8%) となっています。 もともとクルマに興味があった筆者が初めてドイツを訪れた際、日本ではプレミアムブランドとして認知されている、これらのメーカーのクルマがあたりを駆け巡っている光景を目の当たりにし、衝撃を受けたことをよく覚えています。 いくら本国とはいえ、決して安くはないであろうそのようなクルマが、大量に走っている状況に驚きました。 ドイツでは日本よりもクルマに対してこだわりが強く、お金をかけているということは考えられるのでしょうか。 そこで、2022年に新車登録されたクルマをモデル別に調べてみました。 第1位はテスラ モデルYであり、前年比1064.4%と驚異的な数字となっていますが、スペックやクルマの魅力が大きいことはさることながら、テスラのほかに、フォルクスワーゲンのIDシリーズがシェアを伸ばしてきていることからも、環境問題にとりわけ関心の強いドイツならではという側面があるのかもしれません。 しかし、そのほかのモデルに目を向けると、上位20位にはフォルクスワーゲン パサートやBMW 3シリーズ、メルセデス・ベンツ Cクラスやアウディ A6など、比較的上級といえるモデルもランクインしているのは興味深いところです。 さらに、ドイツにおけるクルマの購入形態を調べてみると、中古での購入が27%であるのに対し、新車で購入する人の割合は47%にものぼります。 現地でのクルマ関連メディアをチェックしていると、上記モデルは本国においても価格帯は高く、同等のスペックを持つ日本メーカーのクルマは、コストパフォーマンスに優れていると紹介されているのをしばしば目にします。 それでもなおこれらのモデルが多く購入されていることから、少々強引な解釈かもしれませんが、ドイツではクルマに対するこだわりが強く、お金をかけることに抵抗がない人が多いと捉えることもできるのではないでしょうか。 この点については、比較対象を明確にしたうえで、機会があればさらに調査をしていきたいと考えています。 ▲メルセデス・ベンツCクラス ▲アウディA6 Avant ▲フォルクスワーゲン パサート ■アウトバーンで速度制限が設けられているエリアは全体の20.7% さて、ドイツでは平均の年間走行距離が14,259㎞におよぶことに言及しましたが、これにはアウトバーンの存在が大きく関わっていることは、間違いないでしょう。 日本の高速道路のような通行料はかからず、かつ速度制限がないことからも、移動距離を問わず重宝されていることは言うまでもありません。 そこで、このアウトバーンについてご紹介します。 日本の高速道路の総延長は9,231.7km、一方のアウトバーンの総延長は13,192㎞におよびます。 上述したように、アウトバーンと聞くと、速度制限がないということで有名だと思います。 日本でもそのイメージを持つ方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし、実際には工事現場、勾配が続くエリア、合流地点付近など、速度制限が設けられているエリアも意外と存在します。 制限速度は130km/h、120km/h、100km/h、80km/h、60km/hなど、状況によりさまざま。 各速度制限が設けられている距離と割合は、130km/h制限が672㎞で全体の4.7%、120km/h制限が2028㎞で全体の7.8%、100km/h制限が1454㎞で全体の5.6%、80km/h制限が585㎞で全体の2.3%、60km/h制限が85㎞で全体の0.3%となっています。 このように、速度制限が設けられているエリアの合計は、アウトバーン全体の20.7%となります。 このほかにも事故などが発生すれば、当然そのエリア付近では速度制限が設けられたり、路面が濡れている場合のみ速度制限が設けられているエリアなどもあります。 この数字を見て多いと感じるでしょうか、少ないと感じるでしょうか。 実際にアウトバーンを走行していると、意外と細かく速度制限が設定されており、標識を気にしながら走ることが多いです。 実際のアウトバーンの様子や走行状況などについては、またの機会に紹介させていただきます。 [画像・Shima,メルセデス・ベンツ,BMW,アウディ,フォルクスワーゲン / ライター・Shima]