ドイツ現地レポ

ドイツ在住の日本人が考察「ドイツにデートカー」の概念はあるのか?
ドイツ現地レポ 22.09.26

ドイツ在住の日本人が考察「ドイツにデートカー」の概念はあるのか?

かつて、若者だった世代であれば、バブル期に一世を風靡した「デートカー」という概念があったことを記憶している人も多いだろう。 当時のデートカーはホンダ プレリュード、トヨタ ソアラ、日産 シルビアといったクルマたちが代表格であり、それらのクルマはドイツに向けても輸出されていた。 しかし・・・。 そもそも当時、ドイツには「デートカー」という概念は存在していたのだろうか。 さらにいえば、現在のドイツのクルマ好き、あるいは若い人の間に、デートカーという概念は存在しているのだろうか。 今回はその点をドイツで暮らす日本人の視点で考察してみようと思う。 ■そもそもドイツは「流行」そのものが存在しにくい社会 結論を先に書いてしまうと、「デートカー」という概念はドイツには存在しない。 過去に存在しなかったし、これからも存在することはおそらくないだろう。 なぜここまで筆者が断言できるかには理由がある。 大前提として、ドイツにおける「流行」というものについて、少し話をしなければならない。 ドイツでは、なにか特定の文化・考え方が一世を風靡する、という現象は起こりにくい。 というか、そうした現象が起こることについて強い忌避感がある。 第二次世界大戦とその後の東西分断でドイツという国がなにをしたか、ドイツ人はよく知っているし、その時代を想起させるような「極端な一体感」を嫌う。 だから、日本のように「今、○○の間で○○が大流行!」という内容のテレビ番組が放映されることはない。 また、若者や社会人が世代ごとに似たようなファッションになることもないし、「こうした考え方が世間の常識だ」などというような考え方の強要が行われることはない(個々人が抱えている正義や主義・主張は当然あるけれども)。 もちろんドイツにもフォルクスワーゲン ゴルフのような、ろくに宣伝などしなくても黙って月何万台も売れていくようなベストセラー商品は存在する。 ただしそれは、あくまでひとりひとりがゴルフの大きさなり価格なりを「ちょうどいい」と思うから買っているのであり、「ドイツでは今、フォルクスワーゲン・ゴルフが大流行!」「○○人にひとりが購入しています!」という宣伝文句にあおられて買っているのではない。 つまり、ドイツでの「流行」は、ごく身近な人間関係のなかでは形成される可能性はあるものの、テレビや雑誌などが主導で社会全体を動かすものにはなりにくい。 現在ドイツで流行っている概念といえば「自然環境保護」や「無農薬」「地産地消」などだが、これらは政府が力を入れているものだ。 これからも継続していこうという考え方であり、一過性の「流行」とはいい難い。 ドイツは日本におけるような意味の「流行」が起こりにくい社会なのである。 ■ドイツにおける「流行」は局地的に発生するもの? デートカーの概念に戻ろう。 ドイツでは「流行」という概念そのものが存在しにくい社会であるから、「このクルマに乗っていればモテる」「このクルマに乗っている男性・女性はかっこいい」という考え方が、個人の考え方の範囲を超えて社会全体に浸透する、ということは起こらない。 トヨタ ソアラに乗っていればモテる、というような価値観は、ドイツ社会では形成されることすらありえないのである。 そういった意味から、「デートに向いているクルマ」というのも存在しない。 あなたが男性だとして、今売れているからといって最新のスタイリッシュなSUVを購入したとしよう。 そのクルマを意中の女性が気に入ってくれるか(そしてそのクルマに乗っているあなたを気に入ってくれるか)は、その女性がどんな考え方を持っているかに左右される。 彼女は「とても素敵なクルマに乗っていますね」とほめてくれるかもしれないし、「時代遅れでナンセンス。環境保護を考えるとクルマを持たないか、せいぜいピュアEVが妥当なところじゃないですか?」と問い詰めてくるかもしれない。 一方、ベルリンに住む移民の最大派閥・トルコ系の男性の間では今、ドイツ製のハイパフォーマンス・セダンが大人気である。 彼らは、AMGやBMW Mシリーズ、アウディのS・RSシリーズを大きな借金をしてでも買い、ベルリンの街を爆走する。 彼らにとってそうした高級セダンはステータスシンボルであり、成功者の証であり、将来の結婚相手を見つけるときの大きな武器であり、なにか困った事態が発生したときは即座に売ってお金に変える「保険」でもある。 彼らは結婚式の際にフェラーリやランボルギーニをレンタルして、編隊を組んで走行したりもする。 しかし、これはごく狭い文化圏の話だ。 ドイツに住む大多数の人間はこんな価値観を持ってはいないし、こうした価値観を時代遅れだと考えている。 ■「自分らしさ」を大事にしてクルマを選ぶ 「流行」は存在しない。 クルマ(そして自分)が気に入られるかどうかは相手に左右される。 それなら、デートに出かける時のクルマなんて、なんでもいいのだろうか? 個人的に感じるのは、仮に男性側がクルマを用意して女性とどこかに出かける、となったとき、男性側に求められるのは、明確な「なぜそのクルマを選んだのか」という理由と、そのクルマが好きだ、という気持ちだと思う。 それがはっきりしていればしているほど、お互いの理解が進むのは間違いない。 自分は小さくて軽いハッチバックが好きだ、運転していて楽しいし、維持費も安いし燃費もいい、駐車場を探すのにも困らないよ。 僕は古いクルマが好きだ、デザインが美しいと思うし、たしかに壊れやすいけれども、自分で直して面倒見ながら乗るのも楽しみのひとつだよ。 私は乗り心地が良くて静かなセダンが好きだ、友人を乗せても満足してもらえるし、なにより長距離を走っても疲れない。 俺は荷物も家族も友達も、なんでも飲み込むような大きなバンが好きだ、こいつにキャンプ道具をたくさん積み込んでみんなで出かけるんだ、最高だぞ! 自分の主張をはっきりさせたら、あとは相手の判断に委ねるしかない。 その結果、意中の相手とうまくいかなくても、必要以上に落ち込むことはしない。 自分自身に正直に、うそをつかないで生きていくことの方が重要であり、自分を偽って相手に媚びて一緒になっても幸せにはなれない、と多くの人々が考えているからだ。 ■あのクルマだけは唯一「デートカー」と呼べる?かもしれない 当時日本で流行したデートカーたちは、ドイツの中古車市場ではほぼ流通していない。 今では部品が入手困難だし、そもそもそれほど多くの数が輸入されていない。 これまで散々「デートカーという概念は存在しない」と書いてきたが、過去から現在まででほぼ唯一、ドイツの女性の目を見開かせるようなクルマがある。 ポルシェ911だ。ポルシェのことは誰でも知っているし、911のデザインは一目で「あのクルマ」だと認識してもらえる。 高価なクルマであることは一般的に認知されてはいるが、一方で実用性をも兼ね備えた、控えめなスポーツカーである。 ポイントは高い。 しかし一方で、これは踏み絵でもある。 あなたが911に乗って彼女を迎えにいった場合、非常に注意深く観察されることを覚悟しなければならない。 クルマに見合った年収を稼げているか、クルマばかりに熱中して家族をかえりみない人物ではないか、環境保護や政治についての明確な考え方は持っているか……。 ま、それはさておき・・・さあ、楽しいデートの始まりだ。 [ライター/守屋健]  

今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは?
ドイツ現地レポ 22.08.24

今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは?

日本では「ヤングタイマー」への注目度が日に日に増している。 それは筆者が暮らすドイツにおいても同じ現象が起こっている。 ヤングタイマーの線引きは難しいが、1970年代以前のいわゆる「クラシックカー」ほど古くはない、「1980年代から2000年代にかけてのクルマ」を指すことが多い。 ヤングタイマーへの注目度の高さはドイツにおいても例外ではなく、クラシックカー専門誌の兄弟誌として新たに「ヤングタイマー専門誌」が創刊されるほどだ。 今回は「今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは」と題して、ドイツでじりじりと価格が上昇している国産ヤングタイマーを紹介する。 読者の方がかつて乗っていたクルマや、これから購入しようとしているクルマもあるかもしれない。 ■豪快な乗り味が人気! 日産・フェアレディZ(Z33型) まず紹介するのが、Z33型の日産・フェアレディZだ。ドイツではシンプルに「Nissan 350Z」の名前で販売されていた。 製造期間は2002年から2008年と、ヤングタイマーとして扱う中でもかなり新しい部類だが、ドイツでの注目度はとても高い。 ドイツではアウトバーンの速度無制限区間を日常的に走行するため、単純にエンジン出力の大きいクルマが好まれる。 走行時の余裕につながるからだ。 その点、350Zはもっとも初期のモデルで280馬力、後期にいたっては300馬力を超える出力を発揮するため「高速走行時にも余裕を感じられる」と評価されている。 350Zが人気の理由は、ロードスターモデルが存在することと、豪快なエンジンフィーリング、そしてメンテナンスに手がかからないこと、などが挙げられる。 ドイツ人は老若男女問わず、とにかくオープンカーが大好き。 自然吸気の3.5リッターV6エンジンによる低回転からトルクフルな出力特性は「近年の小排気量ターボからは得られないフィーリングだ」と評価されている。 ドイツでの取引相場は、状態の良い個体で1万6千ユーロ(約219万円)からとなっている。 ■純粋主義者を虜にする! ホンダ・S2000 ドイツではオープンカーの人気が高い、と書いたが、どちらかといえば「のんびりと楽しむ」あるいは「余裕を持って楽しむ」という感覚が主流だ。 つまり、武闘派のスポーツカー・ドライバーにとって、オープンカーはあまり選択肢の内には入らない。 さらに「屋根がないクルマに乗るくらいなら、俺はバイクに乗る。その方が爽快でスポーティだ」という考えの人も少なくない。 そんなドイツにおいて、硬派なバイク乗りや武闘派スポーツカー・ドライバーを納得させる唯一のクルマ、と呼ばれているのが、ホンダ・S2000である。 レブリミットが9000回転に設定されたエンジンは、自然吸気ながら2リッターの排気量から240馬力を発生(ドイツ国内仕様。ドイツでは2リッターモデルのみが販売された)。 オープンボディでありながら高いボディ剛性を誇り、コアなスポーツカー・ファンをも納得させる俊敏な走りは「バイク乗りにとって、四輪車における唯一の代替手段」と高く評価されている。 中古車の人気は非常に高く、状態の良い個体で2万5千ユーロ(約345万円)以上の相場となっているが、今後さらに値上がりすると言われている。 ■心臓のルーツはドイツにある! マツダ・RX-7(FD3S) 日本のスポーツカー・ファンにとって、マツダのRX-7シリーズは特別な存在だが、それはドイツにおいても同様だ。 その理由はやはり、マツダが長年熟成を重ねてきたロータリーエンジンにある。 ロータリーエンジンは、ドイツにおいては一般的に「ヴァンケル・モーター」と呼ばれている。 そのネーミングは、ロータリーエンジンの発明者でドイツ人のフェリックス・ヴァンケルに由来する。 彼は世界初のロータリーエンジン搭載市販車、NSU・ヴァンケルスパイダーを世に送り出したことで知られている。 ところが、マツダが初代コスモスポーツを経て初代RX-7を登場させると、ドイツ製のロータリーエンジンは文字通り終焉を迎えた。 マツダのロータリーエンジンは、NSU製のそれより機構が進化していたにもかかわらず、信頼性が高く、走行時の振動も抑制されていたからである。 ドイツにおいて、3代目RX-7(FD3S型)は排気ガス規制のため1992年から1996年のわずかな期間しか販売されなかった。 スタイリングやクルマの完成度は高く評価されていたにもかかわらず、である。 したがって、ドイツの中古車市場での希少性は非常に高く、どんなに状態が悪くても4万ユーロ(約552万円)を下回ることはない。 ある程度良い状態の個体を探すとなると、5万5千ユーロ(約759万円)は必要となる。 ここでは3代目のFD3Sを取り上げたが、初代モデル、2代目モデルの人気も非常に高い。 こちらはまだ庶民でも手が届く範囲の値札(およそ1万2千ユーロ、約165万円から)が付けられているが、いずれ上昇するのは時間の問題と見られている。 ■今こそ乗りたいセダンの筆頭! レクサス・LS400 ここまでスポーツカーばかりを取り上げてしまったが、一般的なセダンとなると、人気のある日本産ヤングタイマーの名前はドイツにおいてはなかなか挙がってこない。 しかし、その中でも別格の存在として今も扱われているのが、トヨタ・初代セルシオ、ドイツでは「レクサス・LS400」として知られるクルマである。 打倒・世界の高級車を目標に生まれたLS400は、ドイツの高級車メーカーにはっきりと打撃を与えた。 静粛性、乗り心地、信頼性、それらすべてが抜群に優れた日本産のクルマが、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWよりもずっと安価で手に入ったからである。 メルセデス・ベンツは1991年に新型Sクラスを販売する予定だったが、LS400の登場により発売直前になって改良を余儀なくされた。 結局それはコストの超過を招き、主任開発者のウォルフガング・ペーターが解雇される事態となっている。 今ドイツで乗ろうと思うと、1万ユーロ(約138万円)の出費で比較的良い状態の個体が手に入る。 走行距離が25万キロを超えても信頼性に問題はない、というのが現地での評価だ。 ■ラリー好きにはたまらない! 三菱・ランサーエボリューションIII ドイツ人はラリー好きだ。 そして彼らは口を揃えて、ラリーのベース車両に乗れた時代が懐かしい、と振り返る。 いや、それを言うのはまだ早い。 むしろ今が最後のチャンスかもしれない。 三菱・ランサーエボリューションは、スバル・インプレッサWRCと並んでドイツで人気のあるモデルだ。 特に「ランエボIII」は、三菱に初めて世界ラリー選手権制覇のトロフィーをもたらしたモデルとして、ドイツでも高く評価されている。 もちろん「現役のレース車両」のベースとして利用しようとする人は少ないが、軽量でコンパクトな4ドアセダン、それでいてパワフルな4輪駆動ターボのマニュアル車、ということで「このクルマでなきゃ!」という人は一定数存在する。 ドイツでの現在の相場は2万ユーロ(約276万円)から。 ただし、1995年から1996年の間にしか生産されていないため、ほとんどの人は「III」にこだわらず、状態の良い個体であれば購入を検討する、というスタンスのようだ。 ■国産ヤングタイマーの価格は今後も上昇傾向か? ここまで、ドイツで人気上昇中のヤングタイマーを5台厳選してお伝えしてきた。 いかがだっただろうか。 意外だと思う方も、順当だと思う方もいたかもしれない。 ドイツの自動車ファンは、日本の技術やクルマの歴史について詳しく、とても敬意を持っている。 それゆえ、みな一様に「古い日本のクルマの部品が、もっと簡単に手に入ればいいのに」と嘆く。 ドイツでは特に、ドイツ産クラシックカーの部品が簡単に手に入るため、その差はより大きく感じられるようだ。 日本の国産旧車人気の盛り上がりを機に、国産旧車のパーツがドイツなどの海外でもより簡単に手に入るようになれば、ドイツの日本産ヤングタイマー人気も一過性ではなく定着するようになると思うのだが……。 今後の国内メーカーの奮起に期待したいところだ。 [画像/トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、三菱・ライター/守屋健]  

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは
ドイツ現地レポ 22.07.04

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは

国産旧車の海外流出や価格高騰が話題となって久しいが、実際にドイツに住んでいる筆者からすると「実感しにくい」というのが本音である。というのも、ドイツ現地の中古車情報誌やインターネット上において国産旧車価格はたしかに上昇しているのだが、公道で見かける国産旧車の顔ぶれは直近の5年間でさほど大きく変化していないからだ。 実は、読者のみなさんの予想通りかもしれないが、ドイツにおいて圧倒的な人気を誇る車種が存在する。まずはそのクルマを冒頭で紹介しつつ、ドイツで見かける主な日本車・旧車について紹介していきたい。 ■長年、ドイツで圧倒的人気を誇るクルマとは? ヨーロッパ各国の中でも、ドイツは比較的「日本車の数が少ない国」に属する。公道をしばらく眺めていても、日本車が通過するまである程度の時間が必要だ。一時期はタクシーとしてトヨタ・プリウスが大量に走っていたが、ここ5年ほどですっかり数を減らしてしまった。かわりに、メルセデス・ベンツのEクラス・Cクラスがタクシーの定番車種として復権している。 そんな中、マツダ・ロードスター(現地名MX-5)の人気は盤石だ。街や田舎、ドイツのどこにでも走っているし、ドライバーの顔ぶれも老若男女さまざま。初代のNAや2代目のNBが今でも現役で数多く見かけるうえ、中古車市場でも一定の人気を保っている。2015年に現行型NDが登場したあとも、コンスタントに毎年約5,000台ずつドイツで登録されている、まさに「ドイツに長年愛され続けるクルマ」の代表格だ。 ドイツでは、初代モデルNAのドイツ向け第1便がわずか3日で完売したエピソードがいまだに紹介されたり、ほぼ絶滅状態だったライトウェイト・オープンスポーツカーを復活させ、BMW・Z3やメルセデス・ベンツ・SLK、MG・F、フィアット・バルケッタ、ポルシェ・ボクスターなど多くのフォロワーを生んだ功績が評価されたりと、単に売上的な面だけでなく、文化的な評価も極めて高いのが特徴だ。 当時のフォロワーたちはすでに後継が途絶えて生産中止になっているか、価格帯をさらに上げてプレミアムクラスに移行しているクルマがほとんどである。そんな中、マツダ・ロードスターは「庶民でもなんとか新車に手が届く稀有なスポーツカー」として、ドイツの人々に広く愛され続けている。 ■ドイツのクラシックカーイベントで見かけるクルマの代表は? 先述のマツダ・ロードスターの件にも通じるのだが、ドイツではとにかくオープンカーが好まれる。「オープンカー大国」といっても過言ではなく、夏の間はひたすら屋根を開けて走るのだ。もっとも、それが可能なのは気候によるところが大きい。真夏でも気温が30度を超える日が続くことは少なく、湿度が低くカラッとしていて、非常に過ごしやすいのだ。しかし温暖化の影響で、毎年少しずつ気温が上昇しているのは間違いなく、ドイツに住む人々も神経をとがらせている。 クラシックカーイベントでもっとも目にする日本車といえば、ホンダ・S600とS800である。ここでもやはりオープンスポーツカーか、と思われるかもしれない。それくらい古くからドイツで好まれているし、クラシックカー専門誌の価格相場表にも必ず記載されている。ちなみに、現在の整備済み車両の相場はおよそ3万2千ユーロ(約448万円)だ。 筆者が以前見かけた個体はエンジンルームまで磨きこまれていて、非常によい状態を保っていた。精密な時計のようなエンジン、とドイツでは評価されている。ホンダ・S2000の人気も高く、2万5千ユーロ(約350万円)以上で取引されているが、クラシックカーイベントで見かけることは少ない。初代NSXに関しては、市場に出回ることすら稀である。 ■「日本のジャガー・Eタイプ」として愛されるのはあのクルマ! クラシックカーイベントで見かける日本車の次点は、日産(ダットサン)・240Zである。流麗なロングノーズ・ショートデッキのスタイリングはドイツでも人気が高く、少なくとも2万5千ユーロ(約350万円)、完璧なコンディションだと3万5千ユーロ(約490万円)で取引されている。ドイツの中古車市場では常時10~15台が流通しているような状況だ。 ドイツ人にとって240Zはとても「イギリス的」に感じるクルマらしく、「日本のジャガー・Eタイプ」として紹介されていることが多い。エンジンの頑丈さや扱いやすさも評価されているようだ。 同じ日産でも、歴代のスカイラインGT-Rを見ることは稀で、クラシックカーイベントにも滅多に姿をあらわさない。初代モデル(PGC-10)の相場は今や7万5千ユーロ(約1,050万円)を超え、トヨタ・2000GTと同様に、オークションでしか手に入らないクルマになりつつある。 ■「ラリー仕様」として見かけるのは、ちょっと意外なあのクルマ 最後に、絶対数は多くないものの、ドイツで存在感を発揮しているメーカーを紹介する。スズキである。ドイツではバイクのほか、船外機のメーカーとしても有名だ。 スズキのクルマでもっとも見かけるのはジムニーである。ドイツの人にとっても、メルセデス・ベンツ・Gクラスやトヨタ・ランドクルーザーは大きすぎると感じる場合があるようで、林道に出かければ「プロの道具」として働く歴代ジムニーを見かけることができる。ドイツはラリーの人気が高いが、三菱・ランサーエボリューションやスバル・インプレッサWRXなどの一連のモデルを見ることはほとんどない。ラリー仕様車として見かけるのはむしろスズキ・スイフトだったりする。かつてジュニア世界ラリー選手権(JWRC)に参戦していたこともあって、スイフトの3ドアモデルをラリー仕様に仕立てて、週末のレースに参加する人は少ないながらも確実に存在している。 ■ドイツの地に爪痕を残し続ける日本車たち ここまで、ドイツで見かける日本車について挙げてきたが、いかがだっただろうか。意外だと思った方も、妥当だと思った方もいると思う。 ここに挙げた車種は、筆者が実際に5年間ドイツで暮らしていて見かけた経験に基づいている。つまり、筆者の居住場所であるベルリンという場所柄が深く関係している。言い換えれば、南のミュンヘンやフランクフルト・アム・マイン、西のケルンやデュッセルドルフではまた違った見え方になるはずだ。ドイツは広く、州によって独自色が強いため、一般化することは難しいということを最後に断っておきたい。 最近始まったマツダの初代ロードスターのレストアサービスは、ドイツでは驚きをもって紹介された。初代NAの部品が手に入りやすくなるはずだ、と期待されている。というのも、国産旧車パーツの手に入りにくさは、ドイツ産クラシックカーの比ではなかったからだ。今後国産旧車が世界で愛され続けるためには、こうしたパーツ供給体制も大きなカギになっていくだろう。今後の他社の奮起にも期待したいところだ。 [ライター/守屋健]  

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