ドイツ現地レポ

日本が誇るスズキ ジムニー、自動車大国ドイツにおける評価は?
ドイツ現地レポ 23.01.31

日本が誇るスズキ ジムニー、自動車大国ドイツにおける評価は?

世界にはさまざまなモデルのクロスオーバーSUVが存在する。 一昔前まではセダンタイプがもっとも売れるモデルとされ、各メーカーが力を入れていた車種ではないだろうか。 それが今ではクロスオーバー戦国時代。 スーパーカーでお馴染みのイタリア ランボルギーニが初のクロスオーバーSUV「ウルス」を発表したのも記憶に新しい。 日本が世界に誇るクロスオーバーSUVも数多く存在する。 その中でも悪路走破性、デザイン、価格等全てにおいて完璧に近いスペックを誇っているのがスズキ「ジムニー」ではないだろうか。 今回はそんな長年愛され続けるジムニーがドイツでどのような評価を得ているのか?現地調査を行ってみた。 ■ジムニーとは一体どんなクルマ? スズキ自動車が1970年から販売し続けている軽自動車のオフロード4WDだ。 初代ジムニーはかつて軽三輪自動車の製造、販売を行っていたホープ自動車から「ホープスター」の製造権を購入し、悪路走破性に優れた軽四輪駆動車に改良したのが始まりである。 当時は四輪駆動車といえばトヨタ「ランドクルーザー」、日産「パトロール」、三菱「ジープ」の3車種のみで軽四駆がなかったことから多くの注目を集めた。 50年以上の長い歴史のなかでフルモデルチェンジを行ったのは3回のみで2008年には「ロングライフデザイン賞」を受賞した。 2018年には4代目となるジムニーが発表され、同年スズキでは初となる「グッドデザイン金賞」を受賞し、翌年米国で開催されたニューヨークモーターショー2019においては日本車史上初となる「世界カーオブザイヤーワールドアーバンカー賞」を受賞する快挙を成し遂げた。 ■ジムニーが誇る異次元のスペック 現代のクルマはSUVを含め多くのモデルでモノノック式フレームが増えているが、ジムニーは初代から現行型にかけて一貫して頑丈なラダーフレームも採用している。 したがってボディにダメージを受けても走りに影響が出ないタフな作りになっている。 駆動方式はパートタイム4WDを採用しており、フルタイム4WDと違い前輪もしくは後輪のどちらかが空転しても前に進む駆動力を確保することができる。 加えてシンプルな構造で壊れにくく、整備もしやすいのが特徴である。 2007年にはSJ413型ジムニーが南米オホス・デル・サラード火山で6,688m の自動車高度走でギネス世界記録を達成している。 ■自動車大国ドイツでは実際にどのような評価を受けているのか? これまでにジムニーの「凄さ」について解説をしてきたが、自動車の分野において世界でもトップクラスのドイツではどのような評価を受けているのか? 実際に現地調査を行ってみた。 ドイツが世界に誇るクロスオーバーSUVといえば皆様は何を思い浮かべるだろうか? ゲレンデことメルセデス・ベンツGクラスではないだろうか。 サイズや基本スペック、価格帯などはまるで違うこの二台だがジムニーといえば、小型版ゲレンデと言われるだけにドイツでも同じく人気があるのでないかと著者は考える。 実際に調べてみたところヨーロッパでは普通自動車のジムニーシエラに相当するモデルが欧州仕様として現在も新車販売されており、ドイツでは現行モデルの四代目ジムニーが発表されてからは1年以上の納期待ちが出るほど注文が殺到したようだ。 その背景には1981年から販売された二代目ジムニーの世界的な大ヒットが影響しており、当時ドイツをはじめとして、ヨーロッパ全体でも悪路走破性に優れた安くて壊れにくいインフラ生活用車両として注目を集めることとなった。 ■ジムニーのEV化? 現在でもその圧倒的な悪路走破性を活かし、ドイツの豪雪地帯などではフロント部分に大型のショベルを搭載した除雪車として活躍していたり、純粋にオフロード走行を楽しむマニアなどから親しまれている。 最近では市場が電気自動車へと移行しつつあり、ヨーロッパでは二酸化炭素排出規制が厳しくなりつつあるため近い将来、ジムニーの新車販売も新たな転換期を迎えることになるだろう。 去る1月26日、スズキがジムニーのEV化を示唆する発表を行ったばかりだ。 クロスオーバーSUVとしては唯一無二の存在であるジムニーは、EVモデルへとシフトしたとしても、世界中から親しまれ愛され続けるクルマであり続けるだろう。 [画像/スズキ、ライター/高岡ケン]

名車ばかり!ドイツ人も一目置く日本車7選
ドイツ現地レポ 23.01.16

名車ばかり!ドイツ人も一目置く日本車7選

ドイツ人はとにかく国産車(ドイツ車)を愛している。 ドイツ車が世界一だと自負している。 当たり前といえばそれまでだが、ドイツ連邦自動車局(KBA)の調べによると、2020年度ドイツ国内の乗用車新規登録台数はドイツ3大自動車メーカーが圧倒的シェアで上位を占めている。 そんな自動車大国ドイツでも、一目置かれている日本車が存在する。 ほとんどのドイツ人は日本車のことを安価で壊れにくいと考えているが、なかには例外もあり、世界的にも高く評価されたハイパフォーマンスでエキサイティングなクルマがある。 今回は、そんな日本を代表するスポーツカーのなかでも特にドイツ人から一目置かれるクルマを紹介していく。 ■7位.マツダ RX-7(1978年) マツダが開発したスポーツカー。1978年から1985年まで製造された第1世代は、特に米国で成功を収め、ポルシェ924から多くの顧客を奪った。 当時「貧乏人のポルシェ」と呼ばれていたこのクルマは、耐久性ではポルシェに敵わなかったが、総合点で924を凌ぐ性能を誇っていた。 60万台を超えるRX-7がアメリカで販売され、自動車排出ガス規制の影響により2002年に生産を終了した。 ■6位.ホンダ NSX(1990年) フォーミュラ1のレジェンド、アイルトン・セナとホンダのF1チームが開発に関わって作られたスポーツカー。 この事実だけでも魅力的だが、もともと第2期のF1参戦時に「世界に通用するホンダの顔を持ちたい」という思いから誕生した。 開発にあたってはフェラーリのV8モデル「フェラーリ328」を超える走行性能を目指して開発が進められ、ドイツのニュルブルクリンクなどで何度も走行テストが行われた。 車両の生産はすべて手作業で行われ、販売価格は当時のスポーツカーで最高額であったため、日本車で唯一のスーパーカーと評された。 ■5位.トヨタ 2000GT(1967年) トヨタとヤマハが共同開発したスポーツカー。ジェームズ・ボンド主演の映画「007」にて起用されたことからも世界的に有名になった。 2000GTの開発にあたっては全体のレイアウトやデザイン・基本設計などはトヨタ側、エンジンの高性能化と車体・シャシーの細部設計はヤマハ側が担当したとされている。 1967年から1970年にかけて製造された台数は僅か337台。 この希少価値の高さから2013年に行われたとあるオークションにて日本車としては最高額となる1億8,000万円で落札された。 ■4位.日産GT-R(2007年) 日産スポーツカーの象徴であるスカイラインGT-Rの後継モデルとして開発された。 最高出力480馬力・V6ツインターボエンジンを搭載し、最上位グレードのNISMOになると600馬力・0-100km2.8秒という驚異的な記録を持っている。 2022年現在では、日本の自動車メーカーで300km/h以上で走行できる車種はGT-Rのみとなっており、海外では「ゴジラ」と呼ばれている。 ■3位.三菱 ランサーエボリューションVIII(2003年) 世界ラリー選手権に出場するために開発された三菱のスポーツカー。 2003年に発売された8代目となる通称「エボVⅢ」。ダイムラーより移籍したデザイナーのオリビエ・ブーレイによって富士山型のグリルが採用された。 世界ラリー選手権においては数々の好成績を収め、映画「ワイルド・スピード」で起用されたことからもその名を世界に轟かせた。 ■2位.ホンダ シビック タイプR(2016年) FF車両世界最速を目標にホンダが開発を行ったスポーツカー。 シビックをベースにエンジンやサスペンションをチューニングし、最高出力は310馬力・最高速度は270kmを誇る高性能モデルである。 サーキット走行も可能であり、国内外問わず根強いファンが存在する。 2015年にはニュルブルクリンク北コースにてタイム測定を行い、7分50秒63を記録した。 これは2014年にルノー・メガーヌRSが保持していた記録を4秒程上回り、量産FF車におけるニュルブルクリンク北コースの最速記録となった。 ■1位.レクサス LFA(2010年) トヨタが展開する高級車ブランド「レクサス」が2010年から2012年にかけて限定500台を生産・販売したスーパーカー。 レクサスのプレミアムスポーツ「F」シリーズの頂点に君臨し、「世界超一級レベルの運動性能と超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」として開発された。 搭載される4.8 V10エンジンはヤマハと共同開発され、最高出力は560馬力・最高速度は320km/h以上に達するまさに規格外のクルマだ。 当時の新車販売価格は3750万円であったが、近年では海外のオークションにて1億円以上で取引されている。 いまや世界一高価な日本車といっても過言ではない。 ■まとめ:日本人であることを誇りたい名車ばかり スーパーカーといえば、フェラーリやランボルギーニを思い浮かべる人も少なくないだろう。 日本ではスポーツカーは豊富にラインナップされているが、スーパーカーはそれほど多くない。 和製スーパーカーといえば、トヨタ「2000GT」やホンダ「NSX」、日産「GT-R」、レクサス「LFA」が挙げれられるが、日本が世界に誇るスポーツカーは数多く存在する。 自動車の長い歴史のなかで、ドイツ・イタリア・アメリカなどの自動車大国と肩を並べて戦ってきた数々の日本車は、これからも世界中の自動車ファンを魅了し続けるだろう。 [ライター/高岡ケン]

レギュラー1L/約320円!? ドイツでプリウスαタクシーが急増!
ドイツ現地レポ 22.12.12

レギュラー1L/約320円!? ドイツでプリウスαタクシーが急増!

最近のドイツではタクシー業界にある変化が起きている。 ドイツのタクシーといえば、ご存知の方も多いと思うがメルセデス・ベンツが大多数を占める。 著者が在住しているドイツのシュツットガルトでも、タクシーの9割近くはメルセデス・ベンツが使われている。 そんななか、最近のドイツタクシー業界で日本のあるクルマが人気である。 それは「トヨタ プリウスα」だ。 実際にベルリンやフランクフルトなどの大都市を訪れると、プリウスのタクシーを多く見かけることがある。 ではなぜ、トヨタのプリウス、しかもプリウスαがドイツのタクシーで人気なのか? 今回はその理由について解説していこう。 ■メルセデス・ベンツのタクシーが大多数を占めているドイツ 前述でもお伝えしたとおり、ドイツのタクシーはメルセデス・ベンツEクラスが圧倒的シェアを占めている。 その背景として、メルセデス・ベンツは一般のカスタマーに販売する車両とは別に、法人向けのタクシー専用車両の販売も行っている。 これは一般の車両とは異なり、必要最低限の装備だけを残し、通常の販売価格から2〜3割程安く設定されているからだ。 加えてタクシー業務に必要な料金メーターなどが標準装備されているため、他社のクルマを購入し「イチから」タクシー車両に改造していくよりも圧倒的にコストが抑えられるようになっている。 さらにメルセデス・ベンツの強みは「快適な乗り心地と安全性」を重視した作りとなっている。 つまり「乗客を目的地まで移動するためにもっとも適したクルマ」ということもあり、結果的にヨーロッパ全体でタクシー車両として選ばれているのだ。 ■日本のタクシー事情はというと 日本では主にトヨタ車がタクシーとして起用されており、一昔前まではクラウンが大多数を占めていた。 これはドイツでいうメルセデス・ベンツEクラスと同じ立ち位置になるだろう。 しかし日本も同様にここ数年でプリウスのタクシーが急増している。 トヨタは2017年にLPガスを燃料とするタクシー車両の生産を中止すると発表しており、加えてエコカーへの注目も高まってきたことから、コストなプリウスが採用されるケースもしばしばだ。 最近では、タクシー車両はクラウンからJPNタクシーやプリウスαへと置き換わりつつあるようだ。 ■プリウスはタクシー車両に最適なクルマ? プリウスαの初代は2011年5月から販売開始され、3代目プリウスのプラットフォームを採用したモデルだ。 ホイールベースは80mm延長され、後部座席はかなりゆとりある空間が確保されている。 タクシー車両として選ばれるクルマにはいくつかの共通点がある。 第一に重要視されるのは車両価格だろう。 プリウスαは比較的安価でありながら、十分な装備と乗り心地の良さを誇っている。 さらに価格帯の割に高級感があり、富裕層を乗せても違和感がなくタクシーとしては申し分ないスペックといっていいだろう。 次に重要視されるのがランニングコストである。 タクシーは当然個人で使用するクルマよりも遥かに長い距離を走行するため、かなりのランニングコストが掛かってくる。 ガソリン代は特に多額の費用が必要となるため、低燃費なクルマが重宝されている。 プリウスαはハイブリッドカーであるため航続可能距離も長く、加えて数年に一度のハイブリッド専用バッテリーの交換を除けば交換部品代もそこまで高額にはならないだろう。 ■ドイツのタクシーでプリウスαが人気の理由 ではなぜ、ドイツにはタクシー専用のメルセデス・ベンツがあるにも関わらずプリウスαがここ数年で選ばれるようになったのか。 ここでドイツで生活をする著者も常々感じていることだが、急激なガソリン代の高騰である。 2022年12月現在のドイツでは、レギュラーガソリンが1L当たり(約320円)、ディーゼル(軽油)はさらに高く、1L当たり(約340円)となっている。 これは日本の約2倍の金額である。 ドイツのタクシー車両はディーゼルエンジンのクルマが多く、燃料代がこの価格ではかなりの痛手であることは間違いない。 加えてロシア・ウクライナ問題の影響もあり、収束の見通しが立たないなか、先行きが不安な状況が続いている。 こうした理由を背景に、低価格でありながら低燃費で乗り心地が良く、ランニングコストも非常に抑えられるトヨタのプリウスαが選ばれているのだ。 現状はヨーロッパ全体でガス代の高騰や電力の削減など生活に必要な公共料金の値上がりが激しさを増しており、今後とも厳しい状況が続くとされている。 数年後にはさらに多くの日本車タクシーを見かけることになるだろう。 果たしてこれが喜ばしいことなのかどうかは分からない。 しかし、日本車が世界でも絶大な信用を得ていることの裏付けだといえるのでは?と筆者は考えている。 [ライター・撮影/高岡ケン]

自動車大国・ドイツで人気の日本車8選
ドイツ現地レポ 22.12.07

自動車大国・ドイツで人気の日本車8選

ドイツで日本の旧車が人気の理由について。 ドイツではメルセデス・ベンツやBMWをはじめとした、世界的にも有名な自動車メーカーが数多く存在する。 そんな自動車大国のドイツでも一昔前からJDM(日本国内市場)ブームがあったのはご存じだろうか。 JDMとは「Japanese domestic market」といわれる日本国内市場の頭文字を取った言葉である。 正確には日本国内に流通する車体や自動車部品のことを指すが、海外では日本仕様にカスタマイズされたクルマも同様に「JDM」と呼ばれている。 ■なぜJDMがドイツでも人気があるのか? その火付け役となったのは映画「ワイルド・スピード」であることは間違いないだろう。 主役の今は亡き故ポール・ウォーカーは大のクルマ好きで知られており、プライベートの愛車は日産スカイラインGT-Rやトヨタ スープラなど日本を代表するスポーツカーを所有していたという。 その他にも日本車は低価格で壊れにくいなどの理由から現在でも多くのドイツ人に愛されている。 今回はそんな自動車大国ドイツで特に人気を博した日本車について解説していこうと思う。 ■自動車大国のドイツで人気の日本車8選 8.日産スカイライン 2000 RS-X ターボC 史上最強のスカイラインと謳われた伝説の名車。最高出力205馬力を発揮する最も強力かつ軽量なモデル。またツーリングカーレースでの活躍もあり一躍人気のクルマとなった。なにより比類なき80年代のスポーツカーを代表するルックスが多くの自動車ファンを虜にした。 7.日産ブルーバード ブルーバードは、真のJDMを代表するクルマである。アメリカではダットサン 510として、ヨーロッパではダットサン 1600として、国際的な成功を収めた。当時、日本ではヨーロッパの競合他社BMWへ対抗するため、強い個性を持つスポーツセダンの開発に力を入れていた。そんななか、誕生したのが優れた走行性能とキレのあるハンドリング、加えて低価格のブルーバードである。 6.ホンダ シビック タイプR 現在でも多くの日本車ファンから絶大な人気を誇り、長年愛され続けている名車。1998年にEK9型シビックが登場した当時、ホンダは小型高回転エンジンの製造において世界トップクラスの実力を誇っていた。FFの代表的なスポーツカーといえば間違いなくこのクルマだろう。総重量1070kgという超軽量でディファレンシャルロック、レーストラックに適したシャシーに加えて最高出力185馬力を引き出した。排気量1600ccのVTECエンジンを搭載。 5.トヨタ アルテッツァ RS200 アルテッツァとはイタリア語で「高貴」という意味。1998年に発表されたこのクルマは開発当時コンパクトなボディでFRのセダンというコンセプトだったが、欧州車に対抗する為スポーツセダンとプレミアムセダンの双方で展開されることとなった。プレミアムセダンはレクサスのエントリーモデル「IS」として発売されたがこの2つのモデルは外見が大きく異なる。 4.ホンダ NSX-R 世界に通用するスーパーカーというコンセプトで開発された2シーターのスポーツカー。車名の由来は「New Sportscar X」の略で、Xは未知数を表している。ノーマルモデルと違いタイプRでは軽量化と同時にボディとシャーシの剛性を高めている。なお、販売当初の価格は車両本体価格971万円となっており、これは当時の国産乗用車のなかでは市場最高額での販売となった。 3.マツダ オートザム AZ-1 世界最小のスポーツカーと呼ばれたクルマ。スズキ製のエンジンを使っておりマツダによって開発されたAZ-1は車両重量720kg、全長3,295mmという超小型ながら2シーターのガルウィングドアというスポーツカーらしさも兼ね備えた特徴的な車だ。しかし実用性が低く高価であったため販売台数は伸び悩み、わずか2年で販売終了となった。 2.マツダ ユーノスコスモ コスモはマツダの最後の主要なグランツーリスモである。マツダのホームラグジュアリーブランドであるユーノスを通じて販売されていた。ユーノスコスモ自体はロータリーエンジンのみを動力源としており、量産車としては初の3ローターエンジンを搭載していた。このエンジンはチャンバー容積が2リットルで、後にRX-7で採用された過給のコンセプトを採用し、同じサイズのターボを2つ直列に配置している。 1.三菱ランサーエボリューションIX 栄えある第1位に輝いたのは世界中の自動車ファンを魅了した日本を代表するスポーツカー。1990年代に世界ラリー選手権において数々の好成績を収めランエボの愛称で親しまれる伝説の名車である。映画「ワイルド・スピード」やアニメ「頭文字D」などで起用されたことから今でも熱狂的なファンを抱えている。 ■ドイツでも日本車愛好家の集会が数多く開催されている 若者のクルマ離れといわれる最近の世のなかでドイツでは現在でも多くの自動車愛好家がいることは間違いない。 毎週末にはドイツの各地で様々な車種の集会が開かれている。 なかでも日本車愛好家の集会が数多く開催されている。 ドイツではヨーロッパのなかでも特に自動車に関連するイベントが多く、日本車のイメージについて現地のドイツ人と話していると皆が口を揃えてこういうのだ。 「日本車は壊れにくいから安心して出掛けることができる」と。 ■まとめ:ドイツ人がクルマに求めるものを日本車が有している ドイツには速度無制限の高速道路「アウトバーン」があるのはご存知だろう。 総延長は13,000kmにも及び、ドイツ人の生活には欠かせない道路となっている。 とにかく1日の移動距離が長く、ドイツ連邦自動車局の調べによると年間の総走行距離は約15,000kmだそうだ。 これは日本の1.5倍。 つまり、ドイツ人が本当に求めるクルマは壊れにくく安心して長く乗れるクルマだということだ。 まさに日本車が愛される理由がここにあった、ということではないだろうか? [ライター・撮影/高岡ケン]

旧車の過熱ぶりはドイツと日本も同じ?では、決定的に異なる点とは?
ドイツ現地レポ 22.10.14

旧車の過熱ぶりはドイツと日本も同じ?では、決定的に異なる点とは?

日本における旧車人気の過熱ぶりはとどまるところを知らない。 非常に残念なことではあるが、毎週のように国産旧車スポーツカーが盗難に遭うニュースが聞かれるほど、今注目度が高まっているのはたしかだ。 現オーナーの方たちも、複雑な心境で状況を見守っているのではないかと推察する。 それに比べると、同じ自動車大国・趣味国であるドイツでの「ヒストリックカー熱」は、表面上はとても落ち着いているように見える。 もちろん、ヒストリックカー全体の価格相場は上昇傾向にはあるけれども。 今回は「日本とドイツの旧車(ヒストリックカー)の過熱ぶり、共通しているところと決定的に異なる点」と題して、ドイツと日本における「熱の違い」を紹介していこうと思う。 ■100年以上前から存在する「自動車クラブ」 最初に伝えたいのは、ヒストリックカークラブの数と、その歴史の違いだ。 日本にも数多くの旧車クラブが存在する。 コロナ禍以前は、たくさんのイベントやミーティングが毎週末のように行われていた。 しかし、ドイツのヒストリックカークラブの数はその比ではない。 インターネットで都市名とともにクラブの検索をかけると、それこそ無数に出てくる。 その中でも特に格式高いとされているヒストリックカークラブは、その歴史が非常に古い。 中には19世紀後半に設立されたクラブまで存在する。 それらは、まだ自動車が特権階級だけの乗り物だった時代に設立されているから、ただ自動車を愛好する会というよりは「上流階級たちの社交場」という意味合いも多く含まれていた。 現在ドイツ国内のコンクール・デレガンスを行っている団体は、こうした古いクラブや組織をルーツに持っている場合が多い。 彼らは、ヒストリックカーがヒストリックカーと呼ばれる前、つまり新車として存在していた時代から、クルマを愛好する会を運営し続けている。 もっとも、日本でもっとも古いとされている自動車クラブ「オートモビル・クラブ・ジャパン」の歴史は明治41年(1908年)までさかのぼるというから、決して引けは取らないのだが。 ■ドイツでは、メーカーからの部品供給が手厚い 古くからの愛好家たちが大勢いるという地盤があるおかげだろうか、ドイツではヒストリックカーの部品供給はとても良好だ。 ドイツの主要ブランドは、ポルシェ・クラシックやメルセデス・ベンツ・クラシックといった「ヒストリックカー部門」を社内に持っている。 名車CTR、通称「イエローバード」で知られるルーフ社のようなごく小さな会社ですら、クラシック部門が存在する。 そこでは、純正部品の供給や、メーカー自身によるレストア、ヒストリックカーに対応したデザインのナビゲーションシステムやヒストリックカー専用オイルの開発などが行われている。 こうした純正部品以外にも、サードパーティ製の安価で高性能な部品が多く販売されている。 フォルクスワーゲン・タイプ1のような「ヒストリックカー入門車」の場合、ほとんどすべてのパーツに純正部品か、サードパーティ製部品かの選択肢が存在するほどだ。 これらの部品の中には、ヒストリックカーと呼ばれるようになってから再生産されたものもあるが、単に「新車当時から供給が続いている部品」も多い。 ドイツの人々の中には「そのクルマを気に入ったら、こつこつ直しながらとことん(何十万キロも)乗る」という人も少なくないから、その要望にメーカー側が応えているといえる。 こうしたヒストリックカーに対するメーカー側の姿勢の違いは、日本とは大きく異なる点だろう。 日本でもメーカーによるレストアサービスや旧車の部品供給が少しずつ始まっているが、その車種はかつての人気車種やスポーツカーといった、非常に偏りのあるラインナップにとどまっている。 個人的な願いとしては、国民の生活とともにあった大衆車にこそ、スポットライトが当たってほしいと願っているのだが。 ■ドイツでは「趣味としてのレストア」が成立するほどハードルが低い 日本とドイツ、どちらにもレストアを行う業者は多い。 違いがあるのは、「メルセデス・ベンツ・300SLのレストアだけを行う」といった、超高額・超希少車だけを取り扱うことだけで運営している業者が存在しているという点だ。 日本において「トヨタ・2000GTのレストアを行う」業者は存在していても、2000GTのレストア、ただそれだけで運営を続けるのは非常に難しいはず。 もっとも、ドイツに存在している多くのレストア業者も、さまざまな車種を扱うのが一般的ではあるのだが。 レストア業者に頼んで新車同様に仕上げてもらう人もいれば、ヒストリックカークラブのみんなでこつこつレストアして楽しむ人たちもいる。 先述したように、極端に珍しい車種でなければ、部品の入手は難しくない。 新車当時の整備マニュアルや図面などもインターネットで入手できるし、人気車種であれば車種別の「レストア指南書」も販売されているから、それらを参考にレストアを趣味にしている人も多い。 レストアを趣味にするハードルは、日本よりもずっと低いといえるだろう。 ■綿々と続いている「自動車偏愛」 ここまで、日本の旧車熱と、ドイツのヒストリックカー熱の違いについて取り上げてきたが、いかがだっただろうか。 ざっくりと一言でまとめると「歴史と文化が深い」ということになるだろうか。 ドイツのヒストリックカー熱は今になって盛り上がったわけではなく、それこそ19世紀後半からの「自動車偏愛」が綿々と続いている、といったほうが正しい。 ドイツでは連日、気候変動保護に対する議論が進んでいて、ガソリンエンジン車がいつまで公道を走ることを許されるのか、という問いは市民の間でも話題になるほどだ。 ヒストリックカーを愛好する人々は、公道を走れなくなる最後の日まで、噛みしめるように公道のドライブを楽しむことだろう。 [ライター/守屋健]

ドイツ在住の日本人が考察「ドイツにデートカー」の概念はあるのか?
ドイツ現地レポ 22.09.26

ドイツ在住の日本人が考察「ドイツにデートカー」の概念はあるのか?

かつて、若者だった世代であれば、バブル期に一世を風靡した「デートカー」という概念があったことを記憶している人も多いだろう。 当時のデートカーはホンダ プレリュード、トヨタ ソアラ、日産 シルビアといったクルマたちが代表格であり、それらのクルマはドイツに向けても輸出されていた。 しかし・・・。 そもそも当時、ドイツには「デートカー」という概念は存在していたのだろうか。 さらにいえば、現在のドイツのクルマ好き、あるいは若い人の間に、デートカーという概念は存在しているのだろうか。 今回はその点をドイツで暮らす日本人の視点で考察してみようと思う。 ■そもそもドイツは「流行」そのものが存在しにくい社会 結論を先に書いてしまうと、「デートカー」という概念はドイツには存在しない。 過去に存在しなかったし、これからも存在することはおそらくないだろう。 なぜここまで筆者が断言できるかには理由がある。 大前提として、ドイツにおける「流行」というものについて、少し話をしなければならない。 ドイツでは、なにか特定の文化・考え方が一世を風靡する、という現象は起こりにくい。 というか、そうした現象が起こることについて強い忌避感がある。 第二次世界大戦とその後の東西分断でドイツという国がなにをしたか、ドイツ人はよく知っているし、その時代を想起させるような「極端な一体感」を嫌う。 だから、日本のように「今、○○の間で○○が大流行!」という内容のテレビ番組が放映されることはない。 また、若者や社会人が世代ごとに似たようなファッションになることもないし、「こうした考え方が世間の常識だ」などというような考え方の強要が行われることはない(個々人が抱えている正義や主義・主張は当然あるけれども)。 もちろんドイツにもフォルクスワーゲン ゴルフのような、ろくに宣伝などしなくても黙って月何万台も売れていくようなベストセラー商品は存在する。 ただしそれは、あくまでひとりひとりがゴルフの大きさなり価格なりを「ちょうどいい」と思うから買っているのであり、「ドイツでは今、フォルクスワーゲン・ゴルフが大流行!」「○○人にひとりが購入しています!」という宣伝文句にあおられて買っているのではない。 つまり、ドイツでの「流行」は、ごく身近な人間関係のなかでは形成される可能性はあるものの、テレビや雑誌などが主導で社会全体を動かすものにはなりにくい。 現在ドイツで流行っている概念といえば「自然環境保護」や「無農薬」「地産地消」などだが、これらは政府が力を入れているものだ。 これからも継続していこうという考え方であり、一過性の「流行」とはいい難い。 ドイツは日本におけるような意味の「流行」が起こりにくい社会なのである。 ■ドイツにおける「流行」は局地的に発生するもの? デートカーの概念に戻ろう。 ドイツでは「流行」という概念そのものが存在しにくい社会であるから、「このクルマに乗っていればモテる」「このクルマに乗っている男性・女性はかっこいい」という考え方が、個人の考え方の範囲を超えて社会全体に浸透する、ということは起こらない。 トヨタ ソアラに乗っていればモテる、というような価値観は、ドイツ社会では形成されることすらありえないのである。 そういった意味から、「デートに向いているクルマ」というのも存在しない。 あなたが男性だとして、今売れているからといって最新のスタイリッシュなSUVを購入したとしよう。 そのクルマを意中の女性が気に入ってくれるか(そしてそのクルマに乗っているあなたを気に入ってくれるか)は、その女性がどんな考え方を持っているかに左右される。 彼女は「とても素敵なクルマに乗っていますね」とほめてくれるかもしれないし、「時代遅れでナンセンス。環境保護を考えるとクルマを持たないか、せいぜいピュアEVが妥当なところじゃないですか?」と問い詰めてくるかもしれない。 一方、ベルリンに住む移民の最大派閥・トルコ系の男性の間では今、ドイツ製のハイパフォーマンス・セダンが大人気である。 彼らは、AMGやBMW Mシリーズ、アウディのS・RSシリーズを大きな借金をしてでも買い、ベルリンの街を爆走する。 彼らにとってそうした高級セダンはステータスシンボルであり、成功者の証であり、将来の結婚相手を見つけるときの大きな武器であり、なにか困った事態が発生したときは即座に売ってお金に変える「保険」でもある。 彼らは結婚式の際にフェラーリやランボルギーニをレンタルして、編隊を組んで走行したりもする。 しかし、これはごく狭い文化圏の話だ。 ドイツに住む大多数の人間はこんな価値観を持ってはいないし、こうした価値観を時代遅れだと考えている。 ■「自分らしさ」を大事にしてクルマを選ぶ 「流行」は存在しない。 クルマ(そして自分)が気に入られるかどうかは相手に左右される。 それなら、デートに出かける時のクルマなんて、なんでもいいのだろうか? 個人的に感じるのは、仮に男性側がクルマを用意して女性とどこかに出かける、となったとき、男性側に求められるのは、明確な「なぜそのクルマを選んだのか」という理由と、そのクルマが好きだ、という気持ちだと思う。 それがはっきりしていればしているほど、お互いの理解が進むのは間違いない。 自分は小さくて軽いハッチバックが好きだ、運転していて楽しいし、維持費も安いし燃費もいい、駐車場を探すのにも困らないよ。 僕は古いクルマが好きだ、デザインが美しいと思うし、たしかに壊れやすいけれども、自分で直して面倒見ながら乗るのも楽しみのひとつだよ。 私は乗り心地が良くて静かなセダンが好きだ、友人を乗せても満足してもらえるし、なにより長距離を走っても疲れない。 俺は荷物も家族も友達も、なんでも飲み込むような大きなバンが好きだ、こいつにキャンプ道具をたくさん積み込んでみんなで出かけるんだ、最高だぞ! 自分の主張をはっきりさせたら、あとは相手の判断に委ねるしかない。 その結果、意中の相手とうまくいかなくても、必要以上に落ち込むことはしない。 自分自身に正直に、うそをつかないで生きていくことの方が重要であり、自分を偽って相手に媚びて一緒になっても幸せにはなれない、と多くの人々が考えているからだ。 ■あのクルマだけは唯一「デートカー」と呼べる?かもしれない 当時日本で流行したデートカーたちは、ドイツの中古車市場ではほぼ流通していない。 今では部品が入手困難だし、そもそもそれほど多くの数が輸入されていない。 これまで散々「デートカーという概念は存在しない」と書いてきたが、過去から現在まででほぼ唯一、ドイツの女性の目を見開かせるようなクルマがある。 ポルシェ911だ。ポルシェのことは誰でも知っているし、911のデザインは一目で「あのクルマ」だと認識してもらえる。 高価なクルマであることは一般的に認知されてはいるが、一方で実用性をも兼ね備えた、控えめなスポーツカーである。 ポイントは高い。 しかし一方で、これは踏み絵でもある。 あなたが911に乗って彼女を迎えにいった場合、非常に注意深く観察されることを覚悟しなければならない。 クルマに見合った年収を稼げているか、クルマばかりに熱中して家族をかえりみない人物ではないか、環境保護や政治についての明確な考え方は持っているか……。 ま、それはさておき・・・さあ、楽しいデートの始まりだ。 [ライター/守屋健]  

今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは?
ドイツ現地レポ 22.08.24

今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは?

日本では「ヤングタイマー」への注目度が日に日に増している。 それは筆者が暮らすドイツにおいても同じ現象が起こっている。 ヤングタイマーの線引きは難しいが、1970年代以前のいわゆる「クラシックカー」ほど古くはない、「1980年代から2000年代にかけてのクルマ」を指すことが多い。 ヤングタイマーへの注目度の高さはドイツにおいても例外ではなく、クラシックカー専門誌の兄弟誌として新たに「ヤングタイマー専門誌」が創刊されるほどだ。 今回は「今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは」と題して、ドイツでじりじりと価格が上昇している国産ヤングタイマーを紹介する。 読者の方がかつて乗っていたクルマや、これから購入しようとしているクルマもあるかもしれない。 ■豪快な乗り味が人気! 日産・フェアレディZ(Z33型) まず紹介するのが、Z33型の日産・フェアレディZだ。ドイツではシンプルに「Nissan 350Z」の名前で販売されていた。 製造期間は2002年から2008年と、ヤングタイマーとして扱う中でもかなり新しい部類だが、ドイツでの注目度はとても高い。 ドイツではアウトバーンの速度無制限区間を日常的に走行するため、単純にエンジン出力の大きいクルマが好まれる。 走行時の余裕につながるからだ。 その点、350Zはもっとも初期のモデルで280馬力、後期にいたっては300馬力を超える出力を発揮するため「高速走行時にも余裕を感じられる」と評価されている。 350Zが人気の理由は、ロードスターモデルが存在することと、豪快なエンジンフィーリング、そしてメンテナンスに手がかからないこと、などが挙げられる。 ドイツ人は老若男女問わず、とにかくオープンカーが大好き。 自然吸気の3.5リッターV6エンジンによる低回転からトルクフルな出力特性は「近年の小排気量ターボからは得られないフィーリングだ」と評価されている。 ドイツでの取引相場は、状態の良い個体で1万6千ユーロ(約219万円)からとなっている。 ■純粋主義者を虜にする! ホンダ・S2000 ドイツではオープンカーの人気が高い、と書いたが、どちらかといえば「のんびりと楽しむ」あるいは「余裕を持って楽しむ」という感覚が主流だ。 つまり、武闘派のスポーツカー・ドライバーにとって、オープンカーはあまり選択肢の内には入らない。 さらに「屋根がないクルマに乗るくらいなら、俺はバイクに乗る。その方が爽快でスポーティだ」という考えの人も少なくない。 そんなドイツにおいて、硬派なバイク乗りや武闘派スポーツカー・ドライバーを納得させる唯一のクルマ、と呼ばれているのが、ホンダ・S2000である。 レブリミットが9000回転に設定されたエンジンは、自然吸気ながら2リッターの排気量から240馬力を発生(ドイツ国内仕様。ドイツでは2リッターモデルのみが販売された)。 オープンボディでありながら高いボディ剛性を誇り、コアなスポーツカー・ファンをも納得させる俊敏な走りは「バイク乗りにとって、四輪車における唯一の代替手段」と高く評価されている。 中古車の人気は非常に高く、状態の良い個体で2万5千ユーロ(約345万円)以上の相場となっているが、今後さらに値上がりすると言われている。 ■心臓のルーツはドイツにある! マツダ・RX-7(FD3S) 日本のスポーツカー・ファンにとって、マツダのRX-7シリーズは特別な存在だが、それはドイツにおいても同様だ。 その理由はやはり、マツダが長年熟成を重ねてきたロータリーエンジンにある。 ロータリーエンジンは、ドイツにおいては一般的に「ヴァンケル・モーター」と呼ばれている。 そのネーミングは、ロータリーエンジンの発明者でドイツ人のフェリックス・ヴァンケルに由来する。 彼は世界初のロータリーエンジン搭載市販車、NSU・ヴァンケルスパイダーを世に送り出したことで知られている。 ところが、マツダが初代コスモスポーツを経て初代RX-7を登場させると、ドイツ製のロータリーエンジンは文字通り終焉を迎えた。 マツダのロータリーエンジンは、NSU製のそれより機構が進化していたにもかかわらず、信頼性が高く、走行時の振動も抑制されていたからである。 ドイツにおいて、3代目RX-7(FD3S型)は排気ガス規制のため1992年から1996年のわずかな期間しか販売されなかった。 スタイリングやクルマの完成度は高く評価されていたにもかかわらず、である。 したがって、ドイツの中古車市場での希少性は非常に高く、どんなに状態が悪くても4万ユーロ(約552万円)を下回ることはない。 ある程度良い状態の個体を探すとなると、5万5千ユーロ(約759万円)は必要となる。 ここでは3代目のFD3Sを取り上げたが、初代モデル、2代目モデルの人気も非常に高い。 こちらはまだ庶民でも手が届く範囲の値札(およそ1万2千ユーロ、約165万円から)が付けられているが、いずれ上昇するのは時間の問題と見られている。 ■今こそ乗りたいセダンの筆頭! レクサス・LS400 ここまでスポーツカーばかりを取り上げてしまったが、一般的なセダンとなると、人気のある日本産ヤングタイマーの名前はドイツにおいてはなかなか挙がってこない。 しかし、その中でも別格の存在として今も扱われているのが、トヨタ・初代セルシオ、ドイツでは「レクサス・LS400」として知られるクルマである。 打倒・世界の高級車を目標に生まれたLS400は、ドイツの高級車メーカーにはっきりと打撃を与えた。 静粛性、乗り心地、信頼性、それらすべてが抜群に優れた日本産のクルマが、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWよりもずっと安価で手に入ったからである。 メルセデス・ベンツは1991年に新型Sクラスを販売する予定だったが、LS400の登場により発売直前になって改良を余儀なくされた。 結局それはコストの超過を招き、主任開発者のウォルフガング・ペーターが解雇される事態となっている。 今ドイツで乗ろうと思うと、1万ユーロ(約138万円)の出費で比較的良い状態の個体が手に入る。 走行距離が25万キロを超えても信頼性に問題はない、というのが現地での評価だ。 ■ラリー好きにはたまらない! 三菱・ランサーエボリューションIII ドイツ人はラリー好きだ。 そして彼らは口を揃えて、ラリーのベース車両に乗れた時代が懐かしい、と振り返る。 いや、それを言うのはまだ早い。 むしろ今が最後のチャンスかもしれない。 三菱・ランサーエボリューションは、スバル・インプレッサWRCと並んでドイツで人気のあるモデルだ。 特に「ランエボIII」は、三菱に初めて世界ラリー選手権制覇のトロフィーをもたらしたモデルとして、ドイツでも高く評価されている。 もちろん「現役のレース車両」のベースとして利用しようとする人は少ないが、軽量でコンパクトな4ドアセダン、それでいてパワフルな4輪駆動ターボのマニュアル車、ということで「このクルマでなきゃ!」という人は一定数存在する。 ドイツでの現在の相場は2万ユーロ(約276万円)から。 ただし、1995年から1996年の間にしか生産されていないため、ほとんどの人は「III」にこだわらず、状態の良い個体であれば購入を検討する、というスタンスのようだ。 ■国産ヤングタイマーの価格は今後も上昇傾向か? ここまで、ドイツで人気上昇中のヤングタイマーを5台厳選してお伝えしてきた。 いかがだっただろうか。 意外だと思う方も、順当だと思う方もいたかもしれない。 ドイツの自動車ファンは、日本の技術やクルマの歴史について詳しく、とても敬意を持っている。 それゆえ、みな一様に「古い日本のクルマの部品が、もっと簡単に手に入ればいいのに」と嘆く。 ドイツでは特に、ドイツ産クラシックカーの部品が簡単に手に入るため、その差はより大きく感じられるようだ。 日本の国産旧車人気の盛り上がりを機に、国産旧車のパーツがドイツなどの海外でもより簡単に手に入るようになれば、ドイツの日本産ヤングタイマー人気も一過性ではなく定着するようになると思うのだが……。 今後の国内メーカーの奮起に期待したいところだ。 [画像/トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、三菱・ライター/守屋健]  

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは
ドイツ現地レポ 22.07.04

マツダ ロードスター人気はドイツも盤石!現地で見かける日本車とは

国産旧車の海外流出や価格高騰が話題となって久しいが、実際にドイツに住んでいる筆者からすると「実感しにくい」というのが本音である。というのも、ドイツ現地の中古車情報誌やインターネット上において国産旧車価格はたしかに上昇しているのだが、公道で見かける国産旧車の顔ぶれは直近の5年間でさほど大きく変化していないからだ。 実は、読者のみなさんの予想通りかもしれないが、ドイツにおいて圧倒的な人気を誇る車種が存在する。まずはそのクルマを冒頭で紹介しつつ、ドイツで見かける主な日本車・旧車について紹介していきたい。 ■長年、ドイツで圧倒的人気を誇るクルマとは? ヨーロッパ各国の中でも、ドイツは比較的「日本車の数が少ない国」に属する。公道をしばらく眺めていても、日本車が通過するまである程度の時間が必要だ。一時期はタクシーとしてトヨタ・プリウスが大量に走っていたが、ここ5年ほどですっかり数を減らしてしまった。かわりに、メルセデス・ベンツのEクラス・Cクラスがタクシーの定番車種として復権している。 そんな中、マツダ・ロードスター(現地名MX-5)の人気は盤石だ。街や田舎、ドイツのどこにでも走っているし、ドライバーの顔ぶれも老若男女さまざま。初代のNAや2代目のNBが今でも現役で数多く見かけるうえ、中古車市場でも一定の人気を保っている。2015年に現行型NDが登場したあとも、コンスタントに毎年約5,000台ずつドイツで登録されている、まさに「ドイツに長年愛され続けるクルマ」の代表格だ。 ドイツでは、初代モデルNAのドイツ向け第1便がわずか3日で完売したエピソードがいまだに紹介されたり、ほぼ絶滅状態だったライトウェイト・オープンスポーツカーを復活させ、BMW・Z3やメルセデス・ベンツ・SLK、MG・F、フィアット・バルケッタ、ポルシェ・ボクスターなど多くのフォロワーを生んだ功績が評価されたりと、単に売上的な面だけでなく、文化的な評価も極めて高いのが特徴だ。 当時のフォロワーたちはすでに後継が途絶えて生産中止になっているか、価格帯をさらに上げてプレミアムクラスに移行しているクルマがほとんどである。そんな中、マツダ・ロードスターは「庶民でもなんとか新車に手が届く稀有なスポーツカー」として、ドイツの人々に広く愛され続けている。 ■ドイツのクラシックカーイベントで見かけるクルマの代表は? 先述のマツダ・ロードスターの件にも通じるのだが、ドイツではとにかくオープンカーが好まれる。「オープンカー大国」といっても過言ではなく、夏の間はひたすら屋根を開けて走るのだ。もっとも、それが可能なのは気候によるところが大きい。真夏でも気温が30度を超える日が続くことは少なく、湿度が低くカラッとしていて、非常に過ごしやすいのだ。しかし温暖化の影響で、毎年少しずつ気温が上昇しているのは間違いなく、ドイツに住む人々も神経をとがらせている。 クラシックカーイベントでもっとも目にする日本車といえば、ホンダ・S600とS800である。ここでもやはりオープンスポーツカーか、と思われるかもしれない。それくらい古くからドイツで好まれているし、クラシックカー専門誌の価格相場表にも必ず記載されている。ちなみに、現在の整備済み車両の相場はおよそ3万2千ユーロ(約448万円)だ。 筆者が以前見かけた個体はエンジンルームまで磨きこまれていて、非常によい状態を保っていた。精密な時計のようなエンジン、とドイツでは評価されている。ホンダ・S2000の人気も高く、2万5千ユーロ(約350万円)以上で取引されているが、クラシックカーイベントで見かけることは少ない。初代NSXに関しては、市場に出回ることすら稀である。 ■「日本のジャガー・Eタイプ」として愛されるのはあのクルマ! クラシックカーイベントで見かける日本車の次点は、日産(ダットサン)・240Zである。流麗なロングノーズ・ショートデッキのスタイリングはドイツでも人気が高く、少なくとも2万5千ユーロ(約350万円)、完璧なコンディションだと3万5千ユーロ(約490万円)で取引されている。ドイツの中古車市場では常時10~15台が流通しているような状況だ。 ドイツ人にとって240Zはとても「イギリス的」に感じるクルマらしく、「日本のジャガー・Eタイプ」として紹介されていることが多い。エンジンの頑丈さや扱いやすさも評価されているようだ。 同じ日産でも、歴代のスカイラインGT-Rを見ることは稀で、クラシックカーイベントにも滅多に姿をあらわさない。初代モデル(PGC-10)の相場は今や7万5千ユーロ(約1,050万円)を超え、トヨタ・2000GTと同様に、オークションでしか手に入らないクルマになりつつある。 ■「ラリー仕様」として見かけるのは、ちょっと意外なあのクルマ 最後に、絶対数は多くないものの、ドイツで存在感を発揮しているメーカーを紹介する。スズキである。ドイツではバイクのほか、船外機のメーカーとしても有名だ。 スズキのクルマでもっとも見かけるのはジムニーである。ドイツの人にとっても、メルセデス・ベンツ・Gクラスやトヨタ・ランドクルーザーは大きすぎると感じる場合があるようで、林道に出かければ「プロの道具」として働く歴代ジムニーを見かけることができる。ドイツはラリーの人気が高いが、三菱・ランサーエボリューションやスバル・インプレッサWRXなどの一連のモデルを見ることはほとんどない。ラリー仕様車として見かけるのはむしろスズキ・スイフトだったりする。かつてジュニア世界ラリー選手権(JWRC)に参戦していたこともあって、スイフトの3ドアモデルをラリー仕様に仕立てて、週末のレースに参加する人は少ないながらも確実に存在している。 ■ドイツの地に爪痕を残し続ける日本車たち ここまで、ドイツで見かける日本車について挙げてきたが、いかがだっただろうか。意外だと思った方も、妥当だと思った方もいると思う。 ここに挙げた車種は、筆者が実際に5年間ドイツで暮らしていて見かけた経験に基づいている。つまり、筆者の居住場所であるベルリンという場所柄が深く関係している。言い換えれば、南のミュンヘンやフランクフルト・アム・マイン、西のケルンやデュッセルドルフではまた違った見え方になるはずだ。ドイツは広く、州によって独自色が強いため、一般化することは難しいということを最後に断っておきたい。 最近始まったマツダの初代ロードスターのレストアサービスは、ドイツでは驚きをもって紹介された。初代NAの部品が手に入りやすくなるはずだ、と期待されている。というのも、国産旧車パーツの手に入りにくさは、ドイツ産クラシックカーの比ではなかったからだ。今後国産旧車が世界で愛され続けるためには、こうしたパーツ供給体制も大きなカギになっていくだろう。今後の他社の奮起にも期待したいところだ。 [ライター/守屋健]  

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