ライター愛車レポート

手に入れて20年!スバル360とセリカLBが直面するレストア問題
ライター愛車レポート 22.08.16

手に入れて20年!スバル360とセリカLBが直面するレストア問題

■平穏無事とはまったく無縁な筆者のカーライフ 運転免許が取得可能な年齢になる10年以上前からスバル360に惚れ込んできた筆者。 免許取得後は周囲の制止にも聞く耳を持たず(笑)、スバル360とセリカリフトバックのオーナーになって早20年。 これまで、問題に直面してばかりというのが正直なところでしょうか。 ■早20年。経年劣化の残酷さを知る 世間では「クラシックカー」や「旧車」と呼ばれているクルマを買う以上、新車や高年式の中古車を買うのとはワケが違うということは覚悟の上でした。 部品を探したり、時には自分で手を入れることもありました。 トラブルは楽しむくらいのつもりで乗る、苦労は情熱でカバーすればいい・・・今思えば、若かったからこそできたのかもしれません。  しかし、経年劣化に慈悲はないとでもいえばいいのでしょうか。 いくら定期的な消耗品交換やオーバーホールを繰り返していても、「経年劣化」は、まるでこちらの整備スケジュールの裏をかくかのように出現するのです。 入念に整備しても「まったく想定していなかった箇所が突然壊れる」ということは日常茶飯事です。 新車から20年も30年、さらに40年、50年も経てばいくらレストアしても、新車当時からまったく手を付けていない場所があれば、いつどこが壊れるかまったく予想がつきません。 そして、あたふたしているうちに、昔オーバーホールした箇所がまた 耐用年数を迎える。 結果、この繰り返しになるのです。 ■エンジンオーバーホールは定期的? 筆者の愛車である1973年式セリカリフトバックは、現在、通算3度目のエンジンオーバーホールで入庫中です。 最初のオーバーホールは購入してから2年後のこと。 「ノンレストア・未再生」という触れ込みで購入を決めました。 しかし、 筆者が現車確認をしにいった時点ですでに、バルブからオイル下がりが発生していたようです。 さらに、ピストン・シリンダーも圧縮が抜けが発生し(エンジン分解時にバルブが割れ、3番のピストンリングが折れていたことが判明)排気ガスには白煙が混じっていました。 購入当初から、お世話になっている整備工場の社長から「ブローバイガスの圧が高すぎる。今すぐにでもオーバーホールしないとダメなくらいだ」という指摘を受けていました。 そして、購入から2年後、ついにヘッドガスケットが吹き抜け、重篤なオーバーヒートが頻発。 ついに1度目のエンジンオーバーホールとなったのです。 そしてなんと、2度目のオーバーホールはそれからわずか3年後のことでした。 最初のオーバーホールで使用した社外品のハイコンプピストンの形状に問題があったようで(但し、ボアアップを目的としない純正オーバーサイズと同程度のサイズ)、ピストンにクラックが入り(この時も3番のピストン)わずか3年、5万kmにも満たない走行距離でエンジンブローしたのです。 鋳造関係に詳しい知人に割れたピストンを見せたところ「リブの入れ方が間違っている。応力のかかるところが強度不足、いくらなんでも設計がひどすぎる」と指摘を受けました。 このとき、詳細は不明でしたが、かなり古いパーツだったことが判明。 おそらく、チューニングパーツメーカーもまだまだ手探りで、試行錯誤の時代だったのかもしれません。 実は、タイミングよく同年式同グレードの18R-G型エンジンの状態の良い(シリンダー摩耗なし)部品取りが整備工場に余っていたので、ピストンリングだけ交換しました。 部品取りのピストンシリンダーにもとから載っていたシリンダーヘッドと、補器類を組み合わせるという「ニコイチ」で組み上げることにしました。 前回の反省を踏まえ、極力「純正部品」を使用し、メーカー指定値準拠の信頼性を優先しました。 このとき「基本的に、純正のノーマル仕様でエンジンを組めば、最低限のメンテナンスで長く乗れる」と期待したのですが、さすがに2回目のオーバーホールから14年。 走行距離にして15万km以上となると、いくらノーマル準拠で、サーキット走行やスポーツ走行はしないといっても、そろそろ限界のようでした。 そこで2022年3月、クーラントの異常減少とオーバーヒートの頻発という最初のオーバーホールと同じ症状により、通算3回目のオーバーホールとなりました。  エンジンをおろし、ピストンを確認すると、やはり3番4番のシリンダー部分のヘッドガスケットが抜け、異常燃焼を起こしていることを確認。 どうやら、ラジエターから離れている4番と熱の逃げ場のない3番のシリンダーは熱による負荷が大きいことが分かってきました。 ■年々高騰するオーバーホール費用 オーバーホールの度に頭を抱えるのが、いうまでもなく一連の作業にかかる費用です。 詳細な金額は伏せますが、同じような症状でも回を重ねるたびに、おおむね10万~20万円くらいずつ増えていく印象です。 今回のオーバーホールでは、1回目のときと比較して倍近い金額にまで膨れ上がりました。 高額になった原因は、原材料費の高騰による部品の値上げが挙げられます。 また、年々稀少になりつつある部品のプレミア価格もその要因のひとつです。 さらに無視できないのが、前回のオーバーホールでは問題がなかったり、摩耗が規定値内だった箇所について。 (当然ながら)2回目、3回目のオーバーホールのタイミングでついに寿命を迎える部品があるのです。 例えば、当初シリンダーヘッドはバルブとバルブステムの交換とタペット調整と修正の研磨で済んでいたのが、回を重ねるごとに、バルブシートの打ち換えやクラックが発生するようになります。 その結果、アルゴン溶接をおこない、修正漏れがないか水圧検査するといった作業が増えていきます。  エンジン本体でも、ポンプ類や電装部品、点火系および燃料系の補器類で、前回は許容範囲内で「続投」と判断された部品も例外ではありません。 次のオーバーホール、その次のタイミングで寿命と判断され、回を重ねれば修理・交換する箇所が増えていきます。  さらに、新車から50年〜60年を経過することで、気候も使用環境も大きく変化し、日常使用の範囲内でも設計当時の想定をはるかに上回る高負荷がかかっているケースもあります。 そのため、シリンダーブロックやシリンダーヘッドが大きくゆがみ、最悪の場合、前述のアルゴン溶接によるクラック修理、あるいは状態のいいシリンダーブロックやシリンダーヘッドに交換する必要が出てきます。 その結果、オーバーホール代が高額となっていくのです。 ■ただし、部品は手に入りやすくなっている  しかし、悪い話ばかりではありません。 最近は一部の国産車メーカーがヘリテイジ部門を立ち上げ、すでに絶版となった部品の再生産の告知が話題となっています。 中には、「ダメモト」でメーカーの部品販売部門に問い合わせたら、純正部品がそろったという話も聞きます。 レストアの文化が成熟した国では、以前から復刻部品や社外品のアフターマーケットパーツが流通しています。 近年は日本のクラシックカー人気に呼応して、国内の国産クラシックカーの専門店に海外からも部品のリプロダクトのオファーがあると聞きます。 そういう意味では、10年前と比べて部品の供給状態は改善の方向に向かっているといえるでしょう。 筆者のセリカも、以前は、ガスケット一つの入手だけでも何か月も待たされることは当たり前でした。 今回のオーバーホールも、部品をそろえるだけで数か月から半年はかかるだろうと思っていました。 ところが、実際には「クランクシャフトやシリンダーブロックといった大物」を除けば、オーバーホールに必要な補修部品程度なら、大体復刻部品がそろうのです。 しかもネット注文すれば、早いものなら翌日に届くと聞き、拍子抜けでした。 以前は、2.2L仕様のボアアップピストンしかなかったものが、今では純正オーバーサイズ準拠のノーマル圧縮の鍛造ピストンが某有名チューニングパーツメーカーのラインナップに存在するなど、新品の部品が充実しています。 以前は、部品の値段が売主と交渉が成立するまでわからず、ある程度作業が進まなければ概算金額がわからず苦労したものです。 今はエンジンを分解し、どの部品の交換が必要なのかわかれば「定価」が各リプロ部品販売サイトに表示されています。 そのお陰で、かなり早い段階から正確な概算金額が把握できるようになりました。   ■状況は厳しくなる一方だが、悪い話ばかりでもない ガソリン自動車の先行きの不安や、旧型車の市場価格の暴騰、人気車種の盗難の横行など、目をそむけたくなる話題も多い感じることもあります。 しかし、市場価格の高騰や盗難が横行するというのは、それだけ人気があり、需要も多いということでもあります。  それはつまり、弊害はありつつも、人気があって、大金を払ってでも購入する人がいるということです。 見方を変えれば、ある程度手間や金額をかけてでも十分見合った価値があるともみなされることを意味します。 レストアやオーバーホールを敢行するオーナーが増えれば、部品の需要が増えて再販部品、アフターマーケットのリプロ部品の商品化が期待できるということもでもあります。  さらには複数回のレストア作業を受ける個体が増えることで「症例」が蓄積され、レストアのノウハウの共有も進んでいくでしょう。 最近、自動車メディアがクラシックカーの情報を取り上げる機会が増えてきた印象を持ちます。 クラシックカーを手にすること自体のハードルは高くなりましたが、情熱のある人、多少の出費や手間に躊躇しない人にはむしろいい時代になっているのかもしれません。 [ライター・撮影/鈴木修一郎]

愛着があるから手放せない!?気づけば4台の多頭飼いカーライフとは
ライター愛車レポート 22.07.27

愛着があるから手放せない!?気づけば4台の多頭飼いカーライフとは

■1.なぜ「多頭飼い」になってしまったのか? 多くの方が、「多頭飼い」という言葉をニュースなどで1度は目にしたことがあるはずです。 この言葉から連想するのはどちらかというとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、今回は「ポジティブ(?)」な話題なのでご安心ください。 なぜなら、私が多頭飼いに「陥ってしまった」エピソードのご紹介だからです。 そもそも、クルマが勝手に増えることはないモノというはいうまでもありません。 では、なぜ増えたかというと、筆者自身、情が湧いてしまうと手放すことができない性格であるため、自ら招いてしまった結果だからです。 今回、勝手に増えるはずがないクルマが、いつの間にか(?)多頭飼いになっていた経緯をご挨拶も兼ねて紹介いたします。 ■2.これは運命!?巡り合わせの初愛車が嫁いできた! 筆者の初めての愛車は1992年式日産 パルサー GTI-R(RNN14型)。 運転免許取得のため教習所に通っていた17歳のとき、手元にやってきました。 馴れ初めは、高校時代の先輩が手に入れてから3か月足らずで廃車にするということで、菓子折りで譲っていただきました。 廃車にするのにもお金がかかる時代だったので、先輩としては引き取ってくれるだけ助かるわけです。 そして筆者も、格安で憧れのクルマが手に入ったわけですから、お互いにメリットがあったのです。 しかし、前オーナーである先輩が廃車にしようと考えていたくらいですから、それなりの不具合を抱えていたことも事実でした。 そもそも、廃車に至ったきっかけは「アイドリングしないでエンストする」というものでした。 これは、取り付けられていた社外品パーツが壊れていたのが原因だったようです。 引き取りに行った際にすぐ原因が判明。 応急処置を施し、筆者の父に運転してもらい、自宅に持ち帰ったのです。 実は、先輩から譲っていただく時点で他にも不具合を伺っており、「想像以上にお金がかかるから、駄目だと思ったらすぐに手放すように」と忠告されていました。 案の定、免許を取得し、パルサーGTI-R乗るにつれ、さまざまな不具合が表面化していったのです。 ただ、タダ同然で手に入れたこともあり「パルサーGTI-Rを買ったと思えば・・・」と考えて修理をしていたら、それなりの金額を費やす羽目に。 これこそが、「安くて素性の良くないクルマ」を手に入れた際に陥ってしまう錯覚なのです。 いわゆる「ダメ男と付き合う感覚」とは、こういうことなのではないかと考えてしまいます。 さまざまな不具合を抱えたパルサーGTI-R。もっとも深刻だったのはエンジンでした。 いわゆる「オイル上がり」の状態になっていたのです。 「オイル上がり」とは、エンジンの燃焼室にオイルが入って一緒に燃焼してしまう症状のことを指します。 この症状を直すためには、エンジンをオーバーホールするか、載せ替えるしかありません。 当時学生だった筆者に、エンジンの不具合を直すほどのまとまったお金はありません。 どうするべきか悩んでいる最中に、新たな「縁談」が舞い込んできたのです。 ■3.決断を迫られたすえ、増車する道を選んだ2台目 私が中学生だったころ(2000年代初頭)からインターネットが身近なものになりつつあり、ホームページを作っている方とも「掲示板」を通じてやり取りをすることがありました。 免許を取得する前からやり取りをしていただいた方々と、「オフ会」にパルサーに乗っていってお邪魔することもありました(やり取り時は別の車種でしたが)。 そこで知り合った方から、2台目の愛車となる1998年式 日産 HU14ブルーバード SSS-Zを譲っていただけることになったのです。 知り合った方の新しい愛車のお披露目会の帰りに、筆者のパルサーが不調になってしまったのです。 そんな折り、まだ嫁ぎ先が決まっていないブルーバードの話をいただいたのでした。 しかし、筆者は当時二十歳・・・。 実は幼いころからブルーバードは好きなクルマでした。 筆者の祖父は、ブルーバードを910型、U12型を2台、そして私と同じU14型と、幼少期からの記憶でも4台も乗り継いでいたことが影響しているようです。 事実、幼心にブルーバードは背が低くてカッコイイクルマだと思っていましたから。 ・・・というのも、我が家は筆者が物心ついたころから日産バネット(後のセレナ)というミニバンを乗り継いで育ってきた経緯があります。 時々乗せてもらうブルーバードは、バネットとは異なり、目線が低く、まるでスポーツカーのようでした。 現代のミニバンやSUVで育った子どもたちも、筆者のように「目線の低さ」にカルチャーショックを受けることで、セダンやスポーツカーに憧れを持つ日が訪れて欲しい・・・と、実体験を通じて心のなかで密かに願っています。 U14型ブルーバードが新車だったころ、親からもらったカタログをボロボロになるまで読み込むほど好きだった筆者。 結局、知人のブルーバードを迎え入れることにしました。しかし、迎え入れるにあたって問題なのは「パルサーをどうするのか」ということ。 不具合の多いクルマなので「メカにもそれなりに詳しく、大事にしてくれそうな人に乗ってもらいたい」というのが親心というもの。 その結果、このクルマの素性を知っている高校時代の後輩に譲る方向で話を進めていました。 しかしある日の夜、父が「パルサーいろいろ直したのに手放すのはもったいなくないか?」といってきたのです。 筆者のなかでは手放す以外の選択肢を考えていなかったこともあり、事態は急転直下。 父が置き場所を確保したということで、急遽パルサーをそのまま所有することになったのでした。 ただ、勝手に父と私が決めたことであり、家族の他の者には知らせていなかったのです。 「学生の身分でクルマ2台持ち」という大それたことはすぐ母にもバレました。 しかも、筆者がブルーバードを引き取りに行くタイミングで・・・。 激怒した母から逃げるように家を飛び出したことを、今でも鮮明に覚えています。 乗ってきたブルーバードをまったく見ようともせず、1週間ろくに口も聞いてくれませんでした。 その後、謝って許してもらえましたが、クルマを複数台持つということはこんな家庭トラブルもあるので、しっかりと事前に話をするようにしましょう(苦笑)。 メインカーとなったブルーバードはまったく故障知らずで快適。当たり前のことにもの凄く感動をしました。 あまりにも絶好調すぎて、物足りなさすら感じるほど。 「最初の愛車がその後のクルマ人生を決める」といいますが、確実に普通の人の感覚から外れてしまっていることを実感したのでした。 ブルーバードに乗るきっかけとなったオーナーズクラブの方々との交友を続けていくなかで、「カスタム」することも覚えていきました。 元々カスタムパーツが豊富ではないクルマなので、諸先輩方の流用情報、不要となったパーツを譲っていただいたことも。 その結果、自分のクルマを作る楽しさも覚えていったのです。 ブルーバードに乗るようになってからはますます移動距離も延びていき、5万kmで譲っていただいたブルーバードはあっという間に10万、15万kmと距離を伸ばしていくのでした。 その間ブルーバードもそれなりの故障などを経験しましたが、ラッキーなことに復活して今に至っています。 ■4.士気を上げる!?勢いで手に入れた3台目 月日は流れ社会人になりました。 数年が経ち、それなりに仕事を覚えてきたころ・・・。いろいろと不条理なことにぶつかったりするのは多くの方々が経験してきたことと思います(筆者もその一人です)。 仕事でストレスフルだったあるとき、昔からお世話になっている先輩からクルマの買い手を探している話が舞い込んできました。 クルマは2002年式ダイハツ コペン(L880K型)。 クルマに詳しくない方も知っている人気車です。 嫁ぎ先は探せばすぐに見つかると思いました。 売値を聞くと個人売買なので相場よりも安め。 しかも車検を取ったばかり。 これは・・・かなり魅力的に映りました。 コペンがデビューしたとき、まだ中学生だった筆者は気になるクルマだったので自転車でディーラーに観に行くほど気になる存在だったのです。 そのとき、オプションカタログに載っていたトミカを思わず注文してしまったほどです(笑)。 以来、一度は所有したいと思っていたクルマですが、筆者の懐事情はまったく余裕はありません。 しかし、この条件と金額は今後出てくる気がしない。 貯金をかき集めればどうにかなる。 何か生活に弾みをつけたいのも相まって、意を決して購入することにしました。 ブルーバードのときの反省を踏まえ、今回は事前に家族にも相談をしました。 当初は「何を考えているんだ!」といわれましたが、車種がコペンであることを告げると「コペンならいいか」と。コペンの魅力、おそるべし。 売主に「購入者が見つかりましたよ。私です」と伝えると、「待て待て3台持つのか!?」と心配されましたが、筆者の熱意で納得していただきました。 夢のコペン!そしてクルマ好きが一度は夢見るオープンカー生活がスタートしたのでした。 コペンは当初1年程度か、車検のタイミングまで乗り、価値のあるうちに手放そうと思っていました。 しかし、乗ると魅力にどんどんハマってしまい、7年経った現在も所有しています。 ■5.感覚がマヒ!?夢を叶えるための4台目 我が家のラインナップでコペンを除く3台に共通点があります。 それは「すべてSR20型というエンジンを積んでいる」ということが挙げられます。 具体的には・セレナ(父所有):SR20DE・パルサー:SR20DET・ブルーバード:SR20VE といった具合に、SR20シリーズのなかでも種類が異なります。 SR20を大きく分けると4種類に分類されるのですが、気づけばその3/4種類そろっているのです。 そう、残りのSR20シリーズはあと1種類なのです。 残すはSR20VETというエンジンのみ。 このエンジンを積んでいるのは、初代エクストレイルのGTというグレードのみになります。 初代エクストレイルが出たとき、GTだけがエンジンとバンパー&グリルが他のグレードと異なり、そこに惹かれていました。 筆者は前期型のGTのデザインが好きだったため、チャンスがあれば欲しいなと常々思っていました。 実はこれまで、購入を検討する機会が何度かありました。 そのタイミングとは、ブルーバードが不調になったときであり、何度か中古車を見に行ったものの、結局踏み切れずにいました。 そしてあるとき、エクストレイルGTを購入するきっかけ(大義名分?)が訪れます。 それは、父所有のセレナを親がぶつけた際、オールペンしてきれいにしたことでした。 それまでは趣味のスノーボードをする際に借りていましたが、きれいになったことで雪道を走らせたくないというのです。 そこで、スノーボードに行くためのクルマが必要になったのでした。 なぜかそのタイミングで、これまで見たことがないボディーカラーと装備を持つエクストレイルGTの中古車を近所の中古車販売店で発見してしまったのです。 さっそく見に行ったところ、多少汚れていたものの目立つ傷もなく、自身の経験則から、距離や装備、コンディションを総合して妥当な金額に思えました。 しかし、またしても懐事情が厳しいため、コペンを手放そうと決意。何件か査定してもらいました。 しかしここで予想外のことが! 「もし可能なら、手放さずに持ち続けた方が良いですよ」と査定をしていただいたそれぞれの買取り店でいわれることに。 たしかに、ここで手放したらもう買い直せないことは想像できました。 そこで、無茶を承知で4台目を増車することにしたのです。 「どうにもならなくなったら手放せばよい。乗り続けたければ頑張ればよい」というのが、筆者がたどりついた結論です。 ちなみに、家族はもう驚きませんでした(もうクルマが増えることにマヒしていた!?)。 筆者がSR20シリーズエンジン搭載車をコンプリートするという夢を知っていたので「悩んでいるうちに売れて後悔するのは目に見えているから早く買ってきなさい」と後押しまでしてくれました。 そして日産 PNT30型のエクストレイル GTを購入し、所有車が4台となったのでした。 ■6.まとめ:やれる範囲でやろうと思えばどうにかなる!そして自分も周りも感覚がマヒしてくる・・・ 思い出を振り返りながら書いていたら長文となってしまいました。 ここまで読んでいただき「どうしょうもないなぁ」と笑っていただけたら幸いです。 よくクルマを複数台持っている人のことを「浮気癖がある人」という人もいます。 筆者にとって、クルマは「恋人」というより「子ども」の感覚です。 手をかけ「直す」ことが「育てる」感覚になっていました。 筆者としては、可能な限り、このバランスの取れたラインナップを維持していきたいと思っています。 クルマは乗っても乗らなくても所有をしていれば維持費はかかるモノです。 日々の生活からクルマを楽しむために節約をしていますが、それもまた楽しみになっていきました。 よく今後のカーライフについて質問されることがあります。 筆者が手放せない理由に愛着が湧いていることはもちろんですが、知らぬ間に玉数も減っている世代となり、手放すともう二度と手に入れられない気がしているからです。 満足して一気にラインアップが変わることがあるかもしれませんし、現状を維持するために、さらに増車してしまう可能性もゼロではありません(笑)。 さらなる多頭飼いにご期待(?)ください。 [ライター・撮影/お杉]

S660を手に入れたからこそ気づいた、古いクルマならではの魅力
ライター愛車レポート 22.07.20

S660を手に入れたからこそ気づいた、古いクルマならではの魅力

去る2021年の4月1日、エイプリルフールに契約をしたS660。 今年の2月にようやく納車され、これまで2000キロを走破しました。 割と公私ともに古いクルマに縁がある筆者にとって、久しぶりの新車ではありますが、それでもこのクルマには旧車の魅力が多く詰まっていると感じるのです。 今日はそんな、まったく旧車ではないホンダS660に乗って懐かしい気持ちになった、という話です。 ■「最後の旧車」がそもそもの購入理由 約10ヶ月待ったすえに納車されたS660。 これまで、雑誌の取材で何度も広報車に乗ったことがあるクルマだったはずですが、マイカーとしてお迎えすると意外な発見や気づきも多いものです。 そして「よくもまあここまで頑張って作り続けてきました」と思います。 軽自動車規格で作って、世の中的にはやれ「高い」だ、「こんな使えないクルマによくもまあ!」といった評価もよく耳にしました。 しかし、エンジニアさん的にいいこと思いついたかもしれませんが、スペース効率を最優先し、今や大人気のNシリーズ向け、要はFF車用の極めて幅(前後方向)に薄いエンジンをミッドシップ。 色々手も込んでるし、あまり効率的ではないなあと感じる箇所も多々見受けられるこのクルマ。 これでは多分作ってもそれほど利益にはつながらないでしょう。 ホンダのような量販自動車メーカーが作り続けてきた姿勢には一定の評価を下してもいいと思いますし、また、それありきで企業運営が制限されるとなれば、それもそれで由々しきこと。 生産終了も当然のことと思うのです。 ただ、それだけに生産終了のニュースを聞いたときは「なんとなく一目置いていてチャンスがあれば欲しかったクルマ、また買いそびれたか」という気持ちが強かったものでした。 「みんな持ってて僕だけ持ってないんだ」と駄々をこねる子どもではないけれど、自動車メディア関係者で比較的近しい人が立て続けに契約書にハンコを押し出したことは、当時(2021年春)に私をディーラーへと誘ったことに少なからず影響しました。 「もう永遠に新車で買うことができないのではないか」という、ある種の「危機感」が話だけでも聞きに行こうと思わせ、予算オーバーというか、具体的な予算目算は「組んですらいなかった」ものの、わずか30分で購入を決めることになろうとは。 「エイプリルフールであってほしい」と自分自身思ったのもまた事実であります。 車重830kg、絶対的にはそこそこありますが、今となってはなかなか軽量な部類です。 内燃機関だけで動き、ツーシーターで屋根を脱着できることを、安全装備などへの忖度に屈することなく実現する。 乗って爽快感があるマニュアル車、ホンダも2度と作らないだろうし、日本車ばかりか、欧州車でさえ、この手の話では最後の楽園であるように感じるロータスでさえ怪しい雲行き。 生産資源の有効活用を考えたら、常識的に、金輪際2度と登場もしない可能性が高い。 すなわち、ラインオフすることはないのではないか、という確信に近い予感がしたのでした。 旧弊かもしれないけれど、私たちが慣れ親しみ、憧れてワクワクした、あのクルマたちの魅力を持った最新のクルマ、最後の旧車がS660なのではないか。 そう思ったのが私がそもそも商談のテーブルに座ってみようと思った理由だったのです。 ■パワーウエイトレシオでは幻のS360に近い 660ccの3気筒エンジンで64馬力、数字で見ればそんなに力はありません。 乗ってもなかなかマイルドです。 でも小ぶりな1300cc以下のコンパクトカーなどと比べたらそれでも元気に回ります。 十分に身軽な感じ。 これは表現されているわけです。 ターボで過給されるのでトルクもあります。 あとは、重量物が車体中央に集中していますので、回頭性も高く、加減速も十分に機敏。 どちらが速いか、でいえば大きな排気量のクルマや、本格的にチューニングしてあるクルマには敵わないかもしれません。 でも、「軽快さ」、パワーで重さを解決していきますという乱暴なものではなくて、車重を少なく抑えています。 曲がったりするときのねじり、モーメントなど重力や遠心力の影響が少ない感じ。 今時のパフォーマンスカーにはない、これもクラシカルな良さではないかと思うのです。 ツインリンクもてぎに行った際、ホンダコレクションホールに立ち寄り、展示してあったS360(実際には販売はされなかった幻のモデルのレプリカ)を見る機会がありました。 排気量360ccで33馬力。 その車重が510kg。 パワーも車重もS660の方が重いもののの、技術レベルも違う当時としては相当頑張っていてんじゃないか。 そしてそれを当時のホンダの、とにかく高回転型のエンジンで、というのは興味深いところです。 いずれにしても、余分なことは排除して、思いっきり走る。 重さもパワーも、ホンダスポーツの「原点の2倍弱」というところ。 パワーウエイトレシオではそこそこ近いのではないか。 この感じこそ、クルマで味わう爽快感の原点?そしてホンダの原点?そんな気がしていたところでした。 ■この国の自動車の往来を想定していない旧街道で風土に浸る とうに売り切れになって自分には関係ないと思っていたクルマが買えてしまった。 これは達成感とかとは別の、通常はむしろ一物一価で厳密には2台と同じクルマはないはずの中古車選びなどで感じることが多い、一言では言い表せないような「縁」のありがたさなどを感じるのです。 そうなると、出かけた先で神社仏閣など、案外近所にもいいところが少なくないので、お参りをする機会も増えたように感じます。 こういう施設は古くからその地域を守っていたりして、その関係で、位置関係が今の都市計画の区画ではなく、旧道、旧街道の辻などに位置していることが少なくありません。 近くまではいい道が整備されているが、真前はクルマの往来を想定していない時代の道だったりということもしばしばあるものです。 昔の五街道などといっても、今の道幅で言うと路地レベルの道幅だったりする箇所も少なくありません。 そんな場所を走るのに、安全装備ダクダクの今時の自動車は大いに持て余すことでしょう。 こういうところでは、断然旧規格の古いクルマ、せいぜい軽自動車といったレベルがちょうどいいと感じさせてくれるものです。 ちょっと役所に行った帰り、銀行や買い物のついで。 そんな日常の合間で近所のパワースポットを再発見できる。 これ自体妙に嬉しいものです。 「ん?なんだかお導きかな?」こんなふうに思えてきたりして。 実は自分の暮らし、すぐ周りにこんなスポットがあったのか。 小さなくるまはそういうものを教え気づかせてくれたりもするのですね。 昔の車は小さかった。 だからこそ地に足がついた日々の暮らし。 地域に根ざしたカーライフ。 出かけた先々にある「軽自動車専用」という駐車スペースなど、小さなクルマのアドバンテージ、S660は、誇り高く「軽自動車」を堪能させてくれています。 ■アイドリングストップはなくていい S660にはアイドリングストップ機構がありません。 セルモーターへの負荷も小さくないですので、そこにゆとりを持たせ、対応の巨大なバッテリーを搭載する選択肢はなかったのかもしれません。 窒素酸化物等の有害物質も、始動時の排出がかなりの割合を占めます。 ストップアンドゴーを繰り返す都市部の路上で、いちいちアイドリングストップをすることが果たして環境にやさいいことなのかは実に議論の別れるところでしょう。 最新のクルマのなかにはあえてアイドリングストップ機能を省いているモデルもまた出てきています。 そもそも低燃費なクルマは、走行時にその好燃費を叩き出し、停車中はもったいないから止めてるだけ。 10秒以内に再びエンジン始動は正直燃費貢献の観点でも「瑣末なこと」なのでしょう。 大体S660も燃費を意識せず、しっかり回して走って、街中メインでリッターあたり17キロほど。 今時「燃費がいい」と声を大きくするレベルではないのかもしれませんが、まあ不満はないレベル。 あの小気味よい感じは、繰り返しますが、昔からあるライトウェイトなクルマの爽快感と、エンジンの奏でるビート感を楽しみつつ燃費も諦めない。 停止したら、鳥の囀りや風とともに歌う。 むしろ、そんな「内燃機関のが寄り添いつつ主張する」という感じも自動車往年の自動車の面影のように感じるのです。 ■そもそもクルマは「雨風凌げる+アルファ」だったはず 今の世の中にもっとも欠けているいること。 それは「許容すること」ではないか、と思うことがあります。 ボーダーレスとか、非常に幅広い視座が求められる世の中でありながら、すべての課題が解決すべき高いハードルとして積み上げられていくばかりで。 困難を「乗り越えることが成長」という旗印のもと、他者にも、自分にさえ追い込みをかける。 自動車もそういう面は少なくないでしょう。 安全、低環境負荷、人に優しいモビリティ。 確かに新しいクルマは優れているし快適。 けれど、それでなければならないか?と冷静になってみればそうでもない機能がとても多いということはないでしょうか? もちろん、それほどまでに快適なクルマが当然に買えて、昔の贅沢装備が最低レベルなものとして、標準装備で用意されたりしている。 それはとてもありがたいこと。 そういうものを利用できることには、どれだけ感謝しても、し尽くしたということはないでしょう。 しかし、そういう機能は未来永劫担保されるのでしょうか。 あらゆる便利な機能がコンパクトになっている。 当然「電気仕掛け」。 独立配線がハーネス化されて、いるわけではありませんね。 さまざまな可動部分がプリント基盤で繋げられる。 もちろん耐久試験はしているでしょうが、果たして何年持つのか。 そして壊れた時にはいくらかかるのか。 部分補修はできるのか。 考えると個人的には結構深刻になってしまいます。 それでいうと「小さく完結していた昔のクルマ」から、自動車はどのくらい進歩したのか?時々わからなくなるのです。 この下りは前にも書いたかもしれませんが、「もっと安全にしないと」とボディを大きくすると、重たくなる。 動力性能も、燃費も悪化する。 構成部品も大きく重たくなる。 当然ブレーキ・タイヤなどもすべて大きくなる。 今度は性能が向上したので、さらに、安全なものにしなくては、と、ボディが大型化するし、さまざまな機能や運転支援装置などが付加される。 この悪循環の直中に自動車の「進化だと我々が思ってきたこと」はあるのではないか。 この考えを覆すに十分な発見や感動は今のところない、というのが個人的には率直なところなのです。 クルマに多くを求めすぎているのではないか。 そう、反省を含めて感じることがあります。 昔は雨風凌げる「馬なし馬車」だったはずなのではないか、自動車とは。 もちろん、この手のものは富裕層が導入して広まり出しますので、ある種社会的地位や、富の象徴的記号という役割も、黎明期からあったでしょう。 贅沢装備を盛り込むという要素自体、それ自体を否定するつもりはありません。 それでも、大量生産大量消費的なプロダクトというのは、自動車のあり方として考えるべきもの。 博物館へ行って思うのは、カローラ、クラウンの初代モデルの作りのていねいさ。 世に出すならこのくらいは、というメーカーとしての節度というか、メーカーからオーナーへの「メッセージ」のようなものを、例えば窓の周りのモールや、ボディの作り込みに感じるのです。 これは「世の中に出す以上はちゃんとしないと」という、何か「よそ行きの緊張感」に近いものかもしれません。 機能や装備はシンプルであっても風格はある。 それが見映えとなり、やがて路上で人の目に止まる。 クルマへ羨望を集めなくてもよいが、作り手の魂が眼差しを集めるのではないか。 その点、S660はぱっと見は今時のクルマにはなってしまっています。 二人乗りの軽自動車で800キログラムオーバーの車重、絶対的には決して軽量ではありません。 それでも、今時のクルマとしては器としても、機能としても最低限。 そこに清々しさを感じたものでした。 そして、オーバーな言い方をすれば、こういうクルマが新車で販売されることは未来永劫ないだろうと。 ホンダのような量産量販メーカーで、何かが間違って、魔が差せばはんこを押せるレベルの価格で販売されることは私が生きている間では2度とない、と断言に近い予感がしたので購入したというのが正直なところでした。 実はこのクルマ、涼しい夕方に幌を外してというのもいいですが、雨の日のドライブも楽しいものなのです。 赤い幌のルーフトップで駐車場に待っているのを見るのも楽しいですし、乗り込むと、パラパラとその屋根を叩く音がするのです。 幌をしているとそんなに広くはないものの、妙に居心地の良い狭さ。 広い駐車場のコンビニに停めてしばらくその雨音を楽しんだりして。 「クルマは傘だ、雨風しのげて、ホントありがたいよね」トランクもない。 こんな「色々不便なクルマ」です。でもそのクルマが私に「ありがとう」と感謝の念を抱かせてくれるなど、どうして2021年4月1日、私がその販売会社で押さえていた最後一台のモデューロXバージョンZを縁あって注文した時点で思ったでしょうか。 エアコンとナビ、シートヒーターなんかついているのです。 これ以上期待してはバチが当たる。 クルマの装備、これでも十分すぎと思うほどなのです。 このクルマにはクルマ本来の「ありがたさ」が生きていて、どんなクルマも買ってみると見えてくることがあるものです。 ほんとこの二点、クルマ選び、クルマ購入の本質だと思います。 だから、タッチアンドゴーで九州往復、2,500キロのグランドツーリングから帰ってきても「30分だけで、ちょっと一回りしますか」という気持ちになれるのです。 出かけるのではなく「ただいま!をいう代わりのちょっとした挨拶ドライブ」乗るとホッとして、少し元気がもらえる。 なかなか良いものです。 だから、オドメーターは納車5ヶ月すぎて2000キロ強。 中込の所有車としてはものすごく遅々たる歩みのようですが、距離の積み増しの「密度」が今までの他のクルマとは違う。 やはりクルマのプリミティブな魅力、何事にも替え難い相棒感のようなものを感じています。 納車から約半年、全く旧車ではありませんが、S660を通してクルマ本来の魅力楽しさ、そして価値を噛み締めているのです。 しかし、雨の日も楽しくなるのはこのコーティングのおかげもあるでしょう。 江戸川区のアクティブガレージ阿部さんに薦めていただいたXPELのフュージョンプラス。 塗装面を強化に保護することに加えて、水弾きもよく、何より汚れが沈着しにくい。 このおかげで、S660を傘としてもとっても気に入って使えています。 [ライター・画像/中込健太郎]

これからもS15と過ごすため、今、一番、腐心している悲しい現実
ライター愛車レポート 22.07.15

これからもS15と過ごすため、今、一番、腐心している悲しい現実

こんにちは、ライターの糸井賢一です。『旧車王ヒストリア』では初の記事になりますが、よろしくお願いします。 ■20年前のクルマは現行車か?旧車か? はじめての原稿執筆にあたり、まだ旧車王ヒストリアに関して右も左も分からない身。 編集長の松村さんに「どのような記事を書いたらいいか?」と相談したところ、 「所有されるシルビアについて書かれてはどうか。例えばコンディション維持にかかるコストの変化とか」とのアドバイスをいただきました。いやいや、シルビアといってもS15ですよ。 シルビアの最終モデルで、旧車にはほど遠い現役の車種じゃないですか! そう自分では思っていたのですが、購入から22年を経ているということは、今の若い人から見れば自身が生まれた頃に発売されたクルマ。 僕が成人を迎えた頃、1970年のクルマをどう見ていたか。 思い返すと、なるほど今でいう旧車に近い感覚だった気がします。 そうか、S15(おまえ)はもう旧車だったのか。 誇らしくもあり、ちょっとショックでもある、複雑な気分。 ■旧車に強く、良心的な修理屋さんのおかげで維持できてます さて、S15の維持にかかるお話といっても、まだそれほど大きな影響を受けていないというのが正直なところ。 ボディにサビが出てきた。プラスチックパーツが劣化し、雨漏りが出てきた。 樹脂パーツの塗装剥がれが深刻。 エアコンが調子悪く、コンプレッサーの交換が必要。オルタネーターもそろそろ寿命。などなど……。 それなりの手入れは必要ですが、これは予定の通りというか、消耗品交換みたいなもの。 毎年、かけられるお金の範囲で直し直し乗ってます。あ、でも面倒をみてくれている修理屋さんが、ものすごく良心的だから維持できているってのはあります。 販売店に持ち込んでいた頃は、同じ箇所の修理、パーツの交換でも、倍近くの費用が必要でしたから(販売店批判じゃないッスよ。仕組みとして、どうしたってそれくらいかかるものでしょう。 修理にかかる時間は、即対応の環境を整えている販売店の方がずっと短かったですし)。 近年、パーツの欠品や値上げの話をちらほらと耳にするので、今後の維持には苦労させられるかもしれません。 自動車保険の金額は、シルビアの等級のアップにともなって購入より5年目くらい上昇。10年目くらいまでゆっくりと下降。 そこから年々、数百円ずつ上昇しながら今に至っている感じでしょうか。 安くはありませんが、支払える金額です。 ■盗難が不安で乗り換えを検討するも、いつも親バカ状態に 気になっているのは中古車価格の上昇と、それに比例するように多くなった盗難被害の話。 数年前、先述の修理屋さんに「念のため、S15にGPS信号発信装置を取り付けましょう」との助言を受けました。 聞けば愛車を盗まれるお客さんが年々、増えているそう。 盗難は身近な問題なのだと自覚した次第です。 シルビアがまだ販売店で購入できた頃。 GT-Rのようなスペシャルモデルでもない一量産車にここまで需要が増し、盗難が多発するようになるなんて、誰が考えられたでしょう。 ライターという仕事柄、取材で出先のコインパーキングに2~3日、駐車することはよくあります。 これまではなんてことない、心配なのはせいぜいイタズラくらいの行為だったのですが、最近は盗難に怯える有様。 お仕事が終わったのち「S15がなかったら、どうしよう」と、おっかなびっくりコインパーキングに戻り、無事に安堵する状態です。コインパーキングに駐車しても心配のいらない、盗難とは無縁の足車を用意すべきか。 けれど都内でもう一台分、駐車場を借りるのは経済的な負担が大きい。 そもそも「盗難が恐いから、もう一台、クルマを買う」なんて、はたして家族の理解を得られるかどうか……。うん、たぶん無理。 実際、こんな不安を抱えて日々を送るのは精神的によろしくないと、現行車への乗り換えを検討したこともあります。 でもね、販売店で気になるクルマを試乗したのち、帰り道でS15を運転するや「S15って、こんなによくできたクルマだったんだ。 20年後のクルマと比べても、見劣りしないじゃん」と、逆に再確認させられるんですよ。 運転席からの視界は良く、後部座席に気軽に荷物を放り投げることができ、1300キロに満たない車重はヤれたエンジンであっても軽快に走ってくれる。 アップであろうとダウンであろうとシフトチェンジは快感で、適度に低い車高と重心がもたらす安定感とロールの少なさは家族にだって好評。 時に小さなお子さんから「すぽーちゅかー!」と指さされ、手を振りかえしてあげるなんて……。 おぉ、乗り換えたくねぇ! このまま壊れるまでS15に乗っていてぇ! 分かっていたことではありますが、乗り換えの理由が「盗難が恐いから」は、あまりにも馬鹿馬鹿しく、そして悲しい……。 ■心がけ程度でも、やるのとやらないのでは違うと思うから いやもう、お上はもっと本腰を入れて、クルマの盗難を防いでくれないかなと。 SNSでも「盗難されました、拡散希望!」って投稿を見ない日はありませんし、こんなに盗難が多いのは「需要が高まっているから」では片付けられない、異常な事態だって伝わって欲しいですねぇ。 将来のために声を上げるのも大事ですが、今の環境の中で愛車を守るのはもっと大事。 日々、窃盗団に目を付けられないにはどうすればいいか、コインパーキングに駐めるにしても盗みづらいスペースはどこかを考えて行動してます。 念のためにドライブレコーダーも駐車中の記録ができ、GPS機能の付いた機種を選びました。ネガティブだけど、これも旧車を維持するための現実。 そんな心配のいらない時代が、早く来るといいッスねぇ……。 [ライター・カメラ/糸井賢一]

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