国産自動車第一号「山羽式蒸気自動車」レプリカ製作プロジェクト最新レポート

目次
1.■日本最古の自動車・山羽式蒸気自動車とは 2.■山羽式蒸気自動車複製プロジェクトが進む 3.■京橋朝市「山羽虎夫とはたらく乗り物」に展示 4.■レプリカのアップデート 5.■この先も「山羽式蒸気自動車複製プロジェクト」に注目

岡山県では「国産車第1号・山羽式蒸気自動車」を開発した発明家・山羽(やまば)虎夫の偉業を讃えようと盛り上がりを見せている。

来年2024年で、山羽式蒸気自動車が製作されてちょうど120年を迎える。

旧車王ヒストリアでは、昨年2022年に岡山商科大学附属高等学校 自動車科のみなさんが製作した、山羽式蒸気自動車のレプリカ製作を取材。

今回はその続編として、最新トピックスをお届けする。

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

■日本最古の自動車・山羽式蒸気自動車とは


山羽式蒸気自動車は、日本最古の自動車だ。

開発者の山羽虎夫は、1874(明治7)年に岡山県で生まれた。

1895(明治28)年、岡山市天瀬可真町(現在の千日前商店街あたり)に山羽電機工場を開業。

1904(明治37)年、29歳のとき日本で初めて蒸気自動車を開発して実際に走らせた。

その後、1957(昭和32)年に亡くなるまで発明品で数々の特許を取得した。

地元の資産家・森房三と楠健太郎からの依頼で、10人乗りの「乗合バス」を開発することになった。

製作期間は約7ヶ月を要した。

そして試走当日1904(明治37)年5月7日。

試走ルートは表町から京橋を経て、旭川の土手道を走って新岡山港近くまで、約10kmを力走したとされる。

実用化には至らなかったが、この偉業は国産自動車の未来を切り拓いた。

2022年11月、山羽虎夫は日本自動車殿堂(Japan Automotive Hall of Fame)、略称JAHFA(ジャファ)への殿堂入りを果たした。

120年近くの歳月を経て、その功績が認められたのだ。

▲当時の沿道には試走を一目見ようと大勢のギャラリーが詰めかけたと伝えられている

▲有志団体「山羽虎夫顕彰プロジェクト」により、山羽虎夫像が移設された。人通りが多く試走ルートに近い京橋にたたずんでいる。上の写真は2023年5月2日(火)に行われた除幕式の様子[写真提供:岡山商科大学附属高等学校]

旧車王バナー旧車王バナー

■山羽式蒸気自動車複製プロジェクトが進む

岡山商科大学附属高等学校 自動車科のみなさんによって製作された山羽式蒸気自動車のレプリカが、「国産自動車発祥の地・岡山」のPRに貢献している。

この複製プロジェクトは、地元の放送局・RSK山陽放送が同校にレプリカの製作を依頼し、自動車科設置(2018年)と創立110周年の記念事業として発足したもの。

昨年の2022年5月7日(土)には、レプリカ完成のお披露目を兼ねた記念走行を実施。

旧車王ヒストリアでも試走ルートを走行した様子を取材させていただいた。

●国産自動車第一号は岡山生まれ!「山羽式蒸気自動車」を後世に伝えるレプリカ製作プロジェクト

▲2023年5月2日(火)の除幕式にもレプリカが展示された[写真提供:岡山商科大学附属高等学校]

■京橋朝市「山羽虎夫とはたらく乗り物」に展示

去る2023年5月7日(日)、「京橋朝市」にて「山羽虎夫とはたらく乗り物」と題した試乗展示会が開催された。

京橋朝市は、毎月第一日曜の早朝から催されている。

5月の開催日が、山羽式蒸気自動車が試走した記念日と重なったことから展示が企画されたという。

▲当日は生憎の雨天

岡山商科大学附属高等学校 自動車科のレプリカ展示をはじめ、自衛隊や警察、消防車両、高所作業車などの「はたらく車」が並んだ。

高所作業車の試乗も体験できるなど、雨の中でもはたらくクルマたちは、やはり人気だった。

▲京橋朝市の告知ポスターには山羽虎夫のイラストとレプリカが大きく掲載された

▲イベント限定グッズ「山羽虎夫チョコ」[写真提供:岡山商科大学附属高等学校]

▲旧車王ヒストリアの記事をもとに展示用パネルを作っていただいた。ポスターやグッズ、展示パネルなどのデザインを手掛けたのは、京橋朝市魅力アップ事業実行委員会

この日は生憎の雨天だったが、多くの人が足を止めてレプリカに見入っていた。

レプリカの説明を担当していた自動科3年の新田匡さんは

「地元でも山羽蒸気自動車を知らない人が多く意外でした。このレプリカ製作に関わったことで、岡山の歴史にもふれることができ、発見も多かった。卒業までにレプリカの完成度をできるだけ上げて後輩に受け継いでもらいたい」

と話す。

▲訪れた人に丁寧に説明する新田さん。ちなみに新田さんの好きなクルマはスバル インプレッサWRX。シリーズ2代目の「鷹目」が気に入っているそうだ

旧車王バナー旧車王バナー

■レプリカのアップデート

こちらのレプリカは、2022年のお披露目から少しずつアップデートされている。

このさきも改良を重ねながらできる限り複製を目指しているという。

今回の改良部分を伺った。

●ブレーキを追加

ブレーキは同年代の外国製の車両を参考に製作し、平ベルトでドラム部分を締め付ける構造に。

●グリップを追加

ハンドルに縄のグリップを装着。

当初は革、布、と候補が上がったが、時代背景を考えたとき、稲わらを生活用具に使用していたことを思いついたという。

そこで「巻き付けるとしたら、入手しやすい荒縄を巻き付けるのではないか」ということで縄になったそうだ。

実際に、年配の方からは「これがええ!」と評判が良いのだとか。

●蛇口を追加

2つの蛇口があり、1つはボイラーの水を排出するものと考えられる。

1つは鋳造で複製された。

●減圧弁を追加

構造上、蒸気が抜けないように減圧弁があったと考えられる。

パイプを溶接して作られている。

■この先も「山羽式蒸気自動車複製プロジェクト」に注目

山羽式蒸気自動車のレプリカは、今後も多様なイベントに展示されるようだ。

8月3日(木)には、岡山商科大学附属高等学校で開催されるサマーセミナー「岡山の偉人 日本で初めて自動車を作ったひと  山羽虎夫について(近隣の小学生対象)」で展示されるほか、秋には県内のカーイベントでの展示も予定されているそう。

旧車王ヒストリアでは今後も、山羽式蒸気自動車に関する続報をお届けしていく。

 

[取材協力]
・岡山商科大学附属高等学校
・京橋朝市実行委員会
・京橋朝市魅力アップ事業実行委員会
・吉備旧車倶楽部

[ライター・撮影/野鶴美和]

画像1 画像2 画像3 画像4 画像5 画像6 画像7 画像8 画像9 画像10
画像ギャラリー(全13枚)を見る

この記事をシェアする

旧車王ヒストリアは
旧車買取20年以上の旧車王
が運営しています

旧車売るなら旧車王

旧車王は、「自動車文化遺産を次世代へ」という信念のもと、旧車・クラシックカーに特化して24年、年間11,000台以上の査定申込をいただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

RX-7は「維持できない旧車」なのか?年間維持費・メンテナンスについて解説

RX-7は「維持できない旧車」なのか?年間維持費・メンテナンスについて解説

旧車売買の豆知識 2024-10-15
免許返納する年齢の目安は?手続きの方法や返納するメリット・注意点も解説

免許返納する年齢の目安は?手続きの方法や返納するメリット・注意点も解説

旧車売買の豆知識 2024-10-15
免許返納する時の手続きとは?免許返納するメリットについて解説

免許返納する時の手続きとは?免許返納するメリットについて解説

旧車コラム 2024-10-11
三菱 パジェロの維持費は高い?!維持費の内訳や詳細を解説

三菱 パジェロの維持費は高い?!維持費の内訳や詳細を解説

旧車売買の豆知識 2024-10-10
レクサスの維持費は高い?維持するための費用の内訳や目安を解説

レクサスの維持費は高い?維持するための費用の内訳や目安を解説

旧車売買の豆知識 2024-10-10
クルマを親名義にしておくメリット・デメリットとは?売却手続きや名義変更についても紹介

クルマを親名義にしておくメリット・デメリットとは?売却手続きや名義変更についても紹介

旧車売買の豆知識 2024-10-10
クラウンアスリートの維持費はいくら?燃料、税金、保険、メンテナンスの費用も解説

クラウンアスリートの維持費はいくら?燃料、税金、保険、メンテナンスの費用も解説

旧車売買の豆知識 2024-10-10
トヨタ 100系チェイサーの魅力に迫る! レースでも証明したスポーティモデルとしての実力も紹介

トヨタ 100系チェイサーの魅力に迫る! レースでも証明したスポーティモデルとしての実力も紹介

旧車の魅力 2024-10-09

記事ランキング

1
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

ライフスタイル 2023-09-14
2
マツダ FD3S型RX-7が個性的なスタイリングを手に入れた理由とは? 1型~6型の違いも解説

マツダ FD3S型RX-7が個性的なスタイリングを手に入れた理由とは? 1型~6型の違いも解説

旧車の魅力 2024-10-03
3
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
4
車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

旧車売買の豆知識 2024-02-02
5
日産 R34型GT-RとER34の違いとは?同じR34型なのに中古車価格はひと桁違う!

日産 R34型GT-RとER34の違いとは?同じR34型なのに中古車価格はひと桁違う!

旧車売買の豆知識 2024-05-21
6
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車メンテナンス 2023-10-18
7
ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
8
MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

旧車売買の豆知識 2024-04-19

カテゴリ一覧

# 旧車コラム # 旧車の魅力 # 旧車売買の豆知識 # 旧車市場動向 # 旧車メンテナンス # エディターズノート # ライタープロフィール # イベントレポート # ライフスタイル # 加藤久美子&博人の見識 # ドイツ現地レポ # ライター愛車レポート # タイレルP34を追え! # オーナーインタビュー # 名車&迷車烈伝 # マツド・デラックスの世界 # 海外現地レポ