性能よりカッコ優先?昭和のクルマいじりにまつわる5つのエピソード

目次
1.■1.鉄チンからアルミへ!インチアップも! 2.■2.車高を調整する 3.■3.カーフィルム(プライバシー保護は重要) 4.■4.チカチカハイフラ! 5.■5.ハイマウントストップランプを後付け 6.■まとめ:自ら手を動かし、汚すことで見える世界がある(はず)

アラカン筆者がまだ若葉マークだった頃の思い出話など

令和の今ではまったく想像できないような世界があった。

当時の道路交通法に抵触する部分もあるが、そこはもう時効ということでお許しいただきたい。

若くて、免許取り立てで、特に裕福でもない場合、昭和末期の若者は知り合いから譲ってもらったりしてクルマを入手していた。

当然、親に新車を買ってもらえる人もいたかもしれないが、少なくとも筆者の周囲には皆無だった。

友人のお父さんが買い替えるということで放出されたクルマを、縁あって破格(ヒトケタ万円とか)で譲ってもらったりしていた。

トヨタでいえばマークIIやクレスタ、日産でいえばグロリアやブルーバードあたりが定番だったように思う。

そういった安く手に入れたクルマを思い思いにいじっていた。

とはいえ、ほとんどのことは性能向上には貢献せず、カッコに関することばかりだった。

今回、その当時、カッコ優先でいじっていた5つのエピソードを振り返ってみたい。

■1.鉄チンからアルミへ!インチアップも!

当時もアルミホイールは存在していたものの、多くの激安車はスチールホイールだった。

ホイールカバーがついていればまだマシな方で、実際には「ない」方が多かった。

そのため「鉄チン」と呼んでいた。

それにしても、なんで「チン」なんだろう?(笑)。

鉄チンじゃカッコ悪いので(当時ね)、まずは足元から引き締めて、ということでアルミホイールへの交換にチャレンジすることが多かった。

今のようにドライバーズスタンドがたくさんあったり、専門の店が多いわけでもなかった。

そして、新品を買うというアイディアはなかったようにも思う。

そこで街の解体屋さんや部品屋さんへ行って、サイズの合う、タイヤ付きのホイールを探した。

運が良ければ掘り出し物があって、インチアップもできた。

「インチアップ」とは、タイヤの外周のサイズは同じだが、ホイールの直径を大きなものに交換するということだ。

ホイールが大きいと何がいいのか?

まず、何がいいってカッコがいい(笑)。

カッコ以外にもメリットはあって、重たいゴム(タイヤ)の量が減り、ホイール自身も軽くなる。

さらに足下のバネ下重量が軽減されるため、バタつき感がなくなり乗り心地が良くなる。

また、タイヤの左右のたわみも減るので、カチっとしたコーナーリングが可能になる。

カッコばかりでなく性能の向上にも貢献するのだ。

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■2.車高を調整する

カッコいいアルミホイールに交換したら、次にタイヤとフェンダーの隙間が気になりだすのは当然の流れだと思う。

げんこつが入るほど隙間が開いていたら、ちょっと悲しい気持ちになってしまう。

かといって、スポーツショックや、ショートスプリングを買うお金もないが、スプリングコンプレッサーを買うくらいのお金だけはなぜか持っていたりした。

というわけで、若者はバネを切って車高を調整することになる。

その状態で車検を通るかどうか微妙なことになるし、乗り心地も悪くなる。

段差や障害物でサスペンションが深く沈んだあとの反発で伸びるときに、スプリングが外れるなんてリスクもあるし、アライメントもずれるので、再調整も必要になる。

いいことなんてないことはわかっているが、唯一いいのは「カッコいい」ことだけだ。

車種によっては、ジャッキで持ち上げてタイヤをはずし、スプリングコンプレッサーをかませておけば、グラインダーでバネを切ることができてしまうものもあった。

いま思えばありがたい時代だった。

少しでも臆病な若者は半巻または一巻きカットしたところで一度ジャッキから下ろし、調整の具合を確認するが、気の短い若者はいきなり二巻カットしたりする。

バネを切って、タイヤを着け、ジャッキを抜こうとするが、ジャッキをかける部分が下がり過ぎて、ジャッキが抜けなくなることがあった。

もう大バカものである。

しかし、当時の若者は「ジャッキが抜けなくなるほどバネを切った」ことが自慢話にもなった。

そんなバカなところも含めて昭和のカッコよさはちょっとおかしかった・・・のかもしれない。

■3.カーフィルム(プライバシー保護は重要)

当時のクルマは今のクルマに比べて、ガラスの面積が広く、車外から車内の様子が比較的よく見えた。

エアバッグが入ったり、構造が強化されて太くなってしまったピラーがまだ細かったこともあるのかもしれない。

プライバシー保護のため、若者はガラスへカーフィルムを貼ることになる。

これはもう、必然なのだ。

夏の日差し対策でもあるが、車外から車内が見えない方が都合がいいことが多かったのだ。

ほら、シートを倒して助手席のカノジョ・・・まぁ、詳細は割愛することとしよう(笑)。

サイドガラスはたいていのクルマの場合、ほぼ平面だったが、リアガラスはクルマごとに差はあるものの、複雑な曲面になっている。

おかげでフィルムを貼る際に苦労したものだ。

失敗するとフィルムがシワシワになって縞状の模様になってしまい、これは一番ダサいとされたものだった。

何度かこのリアガラスの局面にフィルムを貼ってコツを掴んでくると、友人のクルマのフィルム貼りに駆り出されてさらに経験値があがって、回数を重ねるごとにみるみる上手になっていく「フィルム職人」が友だちにひとりくらいはいたものだ。

そして、透過度(フォルムの黒さ)は濃ければ濃いほどカッコいいとされていたようだ。

前列のサイドガラスには、透過度の低いフィルムを貼るのは違反ではあったが、おかまいなしの無法者も少なくなかったように記憶している(時効ね)。

ちなみにこのカーフィルム、通常は車内側から貼るものだが、併せて外側からも貼ると、もう、本当に真っ黒になる。

いわゆる「2重貼り」だ。

特に気合の入った一部の人は採用していたようだ。

良い子はもちろん、そうでない子も決して真似をしないように。

夜、何も見えなくなります。

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■4.チカチカハイフラ!

ウインカーの点滅のタイミングは道路交通法に定められているが、点滅間隔をそれよりも短くして速い周期で点滅させる改造部品が存在していた。

当時の配線はアナログで単純な構造だったので、通常のリレーと入れ替えるだけで取り付けられ、運転席に点滅の速さ調整をするつまみをつけられるものもあった。

いざというとき、普通の間隔に戻せるように、だ。

これはあんまりカッコいいとは思えなかったので、筆者はチャレンジしなかったが、街中で見たことはあった。

そんな世代の筆者が最近驚いたのは、スローウインカーの存在だ。

ものすごくゆっくり点滅するので、これは危険なことこの上ない。

ウインカーもつけずに車線変更する大型車がいるなーと思ってみてたら、そのトラックは超スロー点滅のウインカーだったりすることがある。

これは危険だし、まずカッコ悪いと思う。

今すぐに止めていただきたい。

■5.ハイマウントストップランプを後付け

今となっては、製造時から標準で装備されているハイマウントストップランプ。

昭和末期のそこそこ年式のいってしまった中古車には装着されていないものの方がまだ多かった。

新車についているハイマウントストップランプを旧型の自車にもつけようと思うのは、まあ、理解はしやすい。

リアガラスの内側に貼り付けるもの、トランクにくっつけるもの、屋根にくっつけるものなど、いろいろなタイプがあった。

確か、カーステレオの据え置き型スピーカーにストップランプが内蔵されているものまであったように記憶している、

ただ、このブレーキランプの増設のためには、ブレーキランプまわりの配線をいじる必要があった。

これは安全面で重要な制動灯の配線に関わるモノという観点で、無資格者の取り付けは禁止されていたはずだ。

なんてことおかまいなしに取り付けていたのは・・・、いま思えば昭和末期だからこそ許されそうな雰囲気と誤解していたからなのかもしれない。

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■まとめ:自ら手を動かし、汚すことで見える世界がある(はず)

いろいろな改造をするのは、自分のクルマのことをよく知るには一番の近道だ。

足回りの構造、ダッシュボードの配線、ドアの構造を知り、内装をはがしたりと、一向に性能の向上には貢献しないにも関わらず汗だくで作業をしていたことを思い出す。

自分ではもう何もいじれなくなってしまった最近のクルマに魅力を感じなくなってしまったのは、そういうこともあるのではないか、と思う。

これから「アガリのクルマ」選びをする予定のアラカン筆者としては、どうしても若いころのこんな改造を思い出してしまう。

あの頃のクルマもいいなあ、と考えたりしてしまうが、今度選ぶクルマはせめてエアコンが装着されたクルマにしよう、とは思っている。

[画像/Adobe Stock ライター/ryoshr]

 

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