手軽で本格的な1/43ミニカー『国産名車プレミアムコレクション』の魅力とは?

目次
1.■1/43ミニカーの救世主 2.■クオリティの高いディテール表現 3.■製造元はミニカーのトップブランド 4.■ディフォルメのない忠実な表現 5.■低価格を実現できた理由 6.■国産車ミニカーの新たなスタンダード

ミニカーに興味があるクルマ好きにとって、値上がりを続けるミニカー事情に頭を悩ませている人は少なくないだろう。

そんな人にオススメなのが書店で購入できるミニカーシリーズ。

なかでも日本車ミニカーを1/43スケールで製品化した『国産名車プレミアムコレクション』は、価格とクオリティのバランスが取れたミニカーとして着実にファンを獲得している。

そこで今回は、『国産名車プレミアムコレクション』の魅力を掘り下げてみたい。

■1/43ミニカーの救世主

ミニカーの値上げが止まらない。

生産コストや原材料費の上昇などにより、モノにもよるがだいたい20年前の2倍になったような感覚がある。

そんな状況から買える人も次第に限られてきて、今はコアなファンがマーケットを支えているような状況だ。

筆者自身、以前はミニカーを片っ端から買い集めていたが、今は本当に欲しいアイテムだけを厳選して買っている。

また、以前は1/43ミニカーをメインに買っていた仲間も、最近はトミカとかホットウィールなど数百円で買えるミニカーがメインになっている。

今や1万円以下で買える本格的なコレクター向けミニカーは、絶滅危惧種となりつつあるのだ。

そんな状況のなか、アシェット・コレクションズ・ジャパンが2021年12月に創刊した『国産名車プレミアムコレクション』は、出来の良い1/43ミニカーを求めていたファンにとって久しぶりに明るい話題となった。

創刊号のミニカーは日産 スカイライン 2000GT-R KPGC110 1973で、価格は1,499円。

2号目のホンダ NSXは2,499円という低価格だった。

3号目以降は定価3,999円となったが、それでも標準的な出来の1/43ダイキャスト製ミニカーが現在5千円〜7千円程度で販売されている状況を考えれば、かなりリーズナブルな価格設定といえる。

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■クオリティの高いディテール表現

クオリティの高さも特徴的だ。

書店流通系のミニカーには「安かろう悪かろう」というイメージが少なからずあり、クオリティはあまり期待できないというのがこれまでの常識だった。

しかし、『国産名車プレミアムコレクション』では細部の作り込みがしっかりしていて、いわゆる「つくりの甘さ」の要素が少ないのが特徴的だ。

例えば、クローム部分の再現とかコンビネーションランプの塗り分けなどは忠実に再現され、モデル全体にシャープな印象を与えている。

ミニカー自体も厚みのあるアクリルケースに収められ、高級感を演出している。

この手の書店流通系ミニカーは、台座はあってもアクリルケースが省略されている製品が多い。

その意味でも、アクリルケースが付いていることはコレクターにとってはとても重要なことだ。

■製造元はミニカーのトップブランド

そこで気になったのは製造元である。

台座を外してシャシーを見てみると、“AR box ALMOST REAL SUMS MODEL” という刻印がある。

SUMS MODELは「オールモストリアル」のブランド名で高品質なミニカーを製造している中国のミニカーメーカー。

ハイディテールな製品内容で知られ、1/43ミニカーは1万円前後、1/18ミニカーは2万円台から5万円台という高価格帯のミニカーをラインアップしている。

ドイツでは「ミニチャンプス」ブランドで知られるポールズ・モデル・アート社が販売を行っており、日本では現在、エスワンフォー株式会社が輸入販売代理店となっている。

高品質なミニカーづくりで知られるメーカーが設計および製造を担当しているため、大量生産品でありながら非常にしっかりとした製品内容となっているのだ。

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■ディフォルメのない忠実な表現

ミニカーでは実車の持つ雰囲気を伝えるためにボディをディフォルメしたり、タイヤ/ホイールサイズを調整したりすることがよく行われている。

しかし、このシリーズではそのようなディフォルメがほとんど見られない。

それをもっとも象徴しているのがタイヤで、創刊号のケンメリGT-Rのミニカーを手に取ったときは、あまりのタイヤの細さに違和感を覚えたほどだ。

輸入販売元であるエスワンフォー株式会社の担当者に話を伺う機会があったので、その件について尋ねてみた。

すると、実車を正確に再現するために、あえてディフォルメを行っていないのだという。

確かに改めて調べてみると、オリジナルのタイヤサイズを再現したものであることが分かった。

逆にいえば、それ以前の1/43ミニカーなどで見慣れてきたタイヤは、モデルとしての見栄えを良くするために太くされていたということだ。

車高についても「ちょっと腰高かな?」と思えるようなものが少なくない。

これもモデルとして捉えるなら、もう少しローダウンしたほうがカッコよく見えるに違いない。

しかし、あえてそれをしないで忠実にオリジナルの姿を再現しようとする姿勢は、このシリーズの独自性につながっている。

■低価格を実現できた理由

『国産名車プレミアムコレクション』が低価格を実現できた理由は大量生産にある。

近年のコレクター向けミニカーは多品種少量生産が基本で、樹脂製のレジン素材でボディを成形しているものが少なくない。

逆に大量生産に適したダイキャスト製ボディは、金型製作の費用がかかるため敬遠されることが多くなった。

しかし、このシリーズでは書店流通系ミニカーということで大量生産に向いたダイキャスト製ボディを採用。

量産効果でコストを下げていることが大きい。

とはいえ、もちろん欠点も存在する。

このシリーズの最大の欠点は内装が無塗装であること。

メーターパネルはデカールで表現されていているし、ウッド製のステアリングやシフトノブは塗装で再現されている。

その反面、シートやインテリアは黒いプラスチックの成形色のままなのだ。

昔の国産車の内装はブラックを基調にしたものが多いのであまり気にならないが、'80年代のハイソカーあたりになるとその欠点が気になる。

特にトヨタ・ソアラをはじめとするハイソカーなどは、ベージュやワインレッドの内装色が特徴のひとつとなっている。

そのため、真っ黒な内装だと魅力が半減してしまうのだ。

このあたりはコストの兼ね合いもあって妥協しなければならないポイントだったのだろう。

そのため、車種によっては残念な印象になっているものもある。

明るい内装色が特徴だった車種の場合は要注意だ。

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■国産車ミニカーの新たなスタンダード

このようにメリット・デメリットがそれぞれ存在する『国産名車プレミアムコレクション』。

ただ、今時の1/43ミニカーで3,999円という価格を考えれば、破格の内容であることは間違いない。

特に今後は原材料の高騰や円安などで、ミニカーのさらなる値上げが必至な状況にある。

その意味では、高品質なミニカーが手軽に入手できるだけでも非常にありがたい存在といえるだろう。

[ライター・画像/北沢剛司]

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