現在ミニカー業界でもっとも勢いのあるカテゴリーが、1/64サイズのミニカー。 今や1/43ミニカーや1/18ミニカーを上回る勢いで、各社から新製品が続々登場している。 そこで今回は、1/64サイズのミニカーが主流となってきた歴史的な背景と、人気の理由について掘り下げてみたい。 ■拡大を続ける1/64ミニカー ミニカーといえば、ひと昔前はミニカーの標準スケールとなる1/43製品が主流だった。 そのあとは1/18スケールの製品が数多く発売されるようになり、大きなスケールのミニカーが数多く見られるようになった。 しかしここ数年は1/64サイズのミニカーが急速に勢力を拡大。 逆に1/43スケールのミニカーは新製品が減り、少し前まで元気のあった1/18スケール製品も現在は以前のような勢いは見られなくなっている。 ■1/64ミニカーが好調なワケとは? このようなミニカーのトレンドにはいくつか原因がある。 まず大きな理由として挙げられるのが価格面での優位性。 原材料や人件費の高騰、それに円安に伴い、ミニカー全体の価格上昇が止まらない状況になった。 そのため、1/43ミニカーは今や1万円前後のものが多く、気軽に買えるようなアイテムではなくなっている。 ましてや、1/18ミニカーになると1万円を超えてくるものがほとんどなので、欲しくても手が出せないという状況になってきた。 以前のようにひとつの車種でカラーバリエーションを揃えたり、F1マシンをドライバー違いで揃えるようなミニカーコレクションの楽しみが難しくなってきたのだ。 一方、1/64サイズのミニカーであれば千円以下で買えるアイテムもある。 もちろん単価が安ければ多くのアイテムを購入できるわけで、カラーバリエーションなどの仕様違いも追いかけられる。 1/64サイズのミニカーにはまだミニカーコレクションの醍醐味が残っているのだ。 もうひとつの大きな理由は、1/43や1/18スケールでは、製品化すべき車種がほぼ出尽くしてしまったこと。 人気車種のほとんどが製品化され、複数のメーカーが同じ車種を同スケールで製品化することも珍しいことではなくなった。 そのため、従来とは違うスケールで製品化する必要が出てきたのだ。 お気に入りの車種は、すでに1/43や1/18スケールのミニカーで持っている場合が多い。 しかし、新たに1/64サイズのミニカーが発売されれば、買ってしまうのがミニカーファンというもの。 そういった意味では、1/64サイズのミニカーはまだまだ開拓の余地があるといえる。 しかも近年の1/64サイズミニカーはクオリティの高い製品が多い。 1/43スケール並みの再現度を誇る製品はもはや当たり前。 なかにはボンネットやドアが開閉するフルディテール製品もあり、そのクオリティには度肝を抜かれる。 一切の妥協を廃した精緻な出来の製品も少なくないので、もはや1/64サイズのミニカーに「安かろう悪かろう」という言葉は通用しない。 もうひとつ重要なのは、サイズが手頃ということ。 1/64サイズのミニカーはだいたい6cmから8cm前後のものが多いので、パッケージに入った状態でもさほど保管場所に困らないというメリットがある。 逆にいえば1/18ミニカーは高価でパッケージも大きく、収納場所があっという間に埋まってしまうのがネックだった。 1/64サイズのミニカーは、手軽な価格でコレクションが楽しめ、なおかつ収納場所にも余裕があるのでありがたい。 ミニカーコレクターにとっては最後の楽園というべき存在だ。 ■実は昔からあった1/64サイズ そんな1/64サイズのミニカーは、実は昔からさまざまなブランドが存在していた。 日本のトミカやアメリカのホットウィール、フランスのマジョレットなどの手のひらサイズのミニカーがそれに当たる。 それらは1/64スケールという縮尺ではなく、パッケージサイズに合わせてスケールが決まっている。 そのため、必ずしも1/64スケールであるわけではなく「3インチミニカー」と呼ばれることもある。 ただ、その多くは1/64スケールに近い大きさで、実は子どもの頃から親しんでいた身近な存在であることが分かる。 ■日本の1/64サイズミニカー 1970年に誕生したトミカは、日本を代表する手のひらサイズのミニカー。 「黒箱」と呼ばれる初期の日本車から「青箱」と呼ばれるトミカ外国車シリーズを経て、現在は「赤箱」と呼ばれる製品が販売されている。 トミカで厳密に1/64スケールとなっているものは少なく、例えば1/62など微妙に縮尺が異なる場合がほとんど。 そのため厳密に1/64スケールにこだわるならセレクトから外れてしまうのが難点。 とはいえ、大人の鑑賞に堪える派生アイテムも多数展開されている。 2001年に発売された「トミカリミテッド」は、トミカのボディはそのままに、各部に彩色を施し、さらにゴム製のタイヤと新規製作によるホイールを装着したハイグレード製品。 現在はシリーズ自体がディスコンになってしまったが、その後継といえる「トミカプレミアム」が2015年に誕生した。 こちらはトミカシリーズとは別のオリジナル金型を使用していて、トミカでは発売されないようなネオクラシックのモデルなども発売。 ミニカーファンのみならず、クルマ好きの間で話題となるような車種も多数製品化されている。 「もしトミカが昭和30年代に誕生していたら」というコンセプトで2004年に誕生したのが、トミーテックが発売する「トミカリミテッドヴィンテージ」。 各製品はボディの大きさに関わらず1/64スケールで統一。 懐かしい国産車を中心にラインアップを広げている。 再生産をしないため、プレ値で取引されるアイテムも少なくない。 そして2006年に発売されたのが「トミカリミテッドヴィンテージNEO」。 こちらは1970年代以降に登場した国産車および輸入車を製品化したもの。 フェラーリやレーシングマシンなどはエンジンルームも再現されていて、世界的にもトップクラスの再現度を誇っている。 さらに2010年からは「トミカラマヴィンテージ」も発売。 トミカリミテッドヴィンテージのミニカーと併せて楽しめるジオラマ製品として話題となった。 トミーテックはさらに「トミカラマヴィンテージ」の新作として、高速道路を発表。 2024年2月の発売とされている。 複数の製品を組みわせることで都市部の高速道路を再現できるこの製品は、これまでミニカー関連商品の常識を覆す超大作で、その勢いは止まるところを知らない。 日本のメーカーとしてはもっとも多くの1/64ミニカーを輩出している京商。 サークルKサンクス限定で販売された1/64ミニカーは、高品質と低価格を両立したシリーズとして大好評となった。 かつては精緻な出来の「ビーズコレクション」なども展開。 現在もさまざまな企画で1/64ミニカーをリリースしている。 アオシマの「1/64 ニッサン パイクカーコレクション」は、ボディカラーが分からないブラインドトイとして発売されている製品。 880円という低価格なので、運試しに買ってみるのも面白い。 書店でも1/64ミニカーを買うことができる。 デアゴスティーニの「日本の名車コレクション」は、文字通り日本の名車を1/64ミニカーで再現したシリーズ。 1/64スケールでは表現が難しいフェンダーミラーも、別付けではなく取り付けた状態で再現するなど、精巧なつくりを特徴としている。 ■海外の1/64サイズミニカー 海外メーカーにも1/64サイズのミニカーがたくさんある。 特に最近は香港と中国のメーカーが積極的に参入し、さまざまなミニカーが発売されている。 すべてをご紹介するのは難しいので、その中からいくつかピックアップしてみた。 アメリカ製のミニカーは、ホットウィールで世界を席巻したことでも知られるように、昔から手のひらサイズの製品がたくさん作られている。 発祥はイギリスだが、ホットウィールと同じアメリカのマテル社が展開するマッチボックスは、昔から手のひらサイズのミニカーを展開している老舗ブランド。 ベイシック系からコレクター系までさまざまなアソートがあり、日本未入荷品も少なくない。 コレクション沼にハマってしまいがちなアイテムだ。 アメリカには、写真のジョニーライトニングをはじめとする1/64スケールのミニカーブランドが存在する。 アメリカ以外のメーカーでは製品化されないようなマニアックなアメリカ車もあるので、アメ車好きにはたまらない。 欧州のメーカーは、昔から3インチサイズのミニカーを発売してきた。 なかでもフランスのマジョレットは老舗とも言える存在。 日本では製菓会社のカバヤと共同で新作ミニカーを発売している。 スーパーで手軽に手に入るミニカーとしても貴重な存在だ。 ひと昔前は、100円ショップでもマイスト製などの1/64サイズのミニカーを販売していた。 出来はそれなりだが、トミカよりはるかに安い100円でミニカーが買えるという唯一無二の存在だった。 トイザらスのオリジナルミニカーブランドとして発売されているスピードシティは、現在もっとも手軽に入手できるミニカー。 1/60スケールで249円という低価格が最大の魅力。 売れ線のスポーツカーだけでなく、アウディ・スポーツ クワトロのようなマニアックな車種もラインアップされている。 シトロエン、プジョー、ルノーなどは、純正コレクションとして3インチミニカーを発売している。 1000円以下で買える気軽さとカラーバリエーションの豊富さは、純正品ならではの魅力だ。 ドイツのメーカーは、鉄道模型のHOゲージに相当する1/87スケールの製品が多く、1/64スケールはこれまでマイナーな存在だった。 1990年代につくられたミニチャンプス製の1/64ミニカー「マイクロチャンプス」は、当時人気だったDTMマシンなどをラインアップしていた。 しかし、販売が振るわずディスコンになってしまった。 ミニチャンプスでは「マイクロチャンプス」の失敗の後も「ミニチャンプス 64」ブランドで再び1/64ミニカーに参入した。 ミニチャンプスと同じようなシャープな出来栄えだったが、このシリーズも残念ながら失敗。 短命に終わってしまった。 中国や香港などのメーカーが生産する近年の1/64ミニカーは、非常にクオリティの高い製品が多い。 ターマックワークス製のミニカーは、レースカーやラリーカーのラインアップが豊富で、日本人好みの車種も数多く発売されている。 香港のTSM-Modelが展開する1/64ミニカーのブランドが「MINI GT」。 高品質とリーズナブルな価格を両立しているため人気が高い。 高品質なミニカーをリリースするメイクアップでは「Titan 64」のブランド名で高品質な1/64ミニカーを発売している。 1/43や1/18ミニカーと変わらない入念な仕上げが特徴で、究極的な完成度の高さを見せる。 その代わり価格は1万円を超えるので、良くも悪くも1/64ミニカーを超越した存在だ。 このように、1/64サイズのミニカーはさまざまなアイテムが揃っている。 厳密に1/64スケールにこだわるかどうかはその人次第だが、対象を絞り込んだとしてもバリエーション豊かなミニカーコレクションになることは間違いない。 手のひらサイズのミニカーはやはり奥が深い。 [ライター・画像 / 北沢 剛司]
去る2023年9月30日〜10月1日に「第61回全日本模型ホビーショー」が開催された。 以前ご紹介した毎年5月に開催される静岡ホビーショーは、その年に発売される主な新製品が発表される傾向が強い。 一方、毎年秋に東京で開催される全日本模型ホビーショーでは、年末から翌年にかけて発売される新製品が多いという特徴がある。 そこで今回は、これから発売される各社のクルマ系新製品をはじめ、会場に展示されていた面白いアイテムをピックアップしてみた。 アラフィフ世代を狙い撃ち?タミヤの新製品 まずはホビー業界の世界的なリーディングメーカーであるタミヤから。 今回はカーモデルに関する新製品がなく、再販アイテムとしては1/24スポーツカーシリーズの「トヨタ ソアラ 3.0GT リミテッド」「トヨタ セルシオ(UCF11)」、1/20スケールの「ポルシェ 935 ヴァイラント」の3点のみというやや寂しい内容だった。 一方、1/10スケールの電動RCカーでは、今年5月の静岡ホビーショーで参考出品された「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16V ラリー 」が正式発売となり(税込価格:18,480円)、新たに「フィアット131 アバルト ラリー OLIO FIAT」(税込価格:19,580円)が発表された。 どちらもポリカーボネート製ボディは塗装済み。 しかもフィアット131 アバルト ラリーは、ダークブルー/キャメルイエロー/スモークの3色で塗装済みという内容。 裏側から塗装する必要のあるポリカーボネート製ボディは、塗装が面倒なイメージがあった。 しかし、最初から3色で細かく塗装されているこのボディであれば塗装のマスキングは不要。 手軽に完成させることができるのが最大の売りだ。 特に、フィアット131 アバルト ラリーは、当時1/20プラモデル製品として販売されていたこともあったため、昔のタミヤ製品を知るファンにとっても馴染み深い車種。 アラフィフ以上のファンにとっては嬉しい製品化といえるだろう。 新金型でZ32フェアレディZが登場!ハセガワの新製品 ハセガワの新作カーモデルとして大々的に展示されていたのが「ニッサン フェアレディZ(Z32) 300ZX ツインターボ 2by2(1989)」(税込価格:3,630円)。 1/24プラモデルのZ32フェアレディZといえば、1989年当時にタミヤから発売された「1/24 ニッサン・フェアレディZ 300ZX ターボ」が有名で、長らく名キットとして親しまれてきた。 そんな状況のなか、ハセガワから新たにリリースされたこの製品。 タミヤの2シーターとは異なり、リアシート付きの「2by2」をモデル化しているのが最大の違い。 徹底した実車取材をもとに完全新金型で再現している。 ヘッドライトとサイドミラーの鏡面はツヤ有りメッキで、ホイールがツヤ消しメッキパーツ。 窓の塗り分けシールも付属する。 写真からも分かるように雰囲気は実車そのもの。 名実ともに決定版となりそうなこの製品は、2023年11月18日ごろの発売だ。 RCカーから高級ミニカーまで盛りだくさんの京商 数多くの新製品を展示していたのが、今年創立60周年となる京商。 今回の目玉は、会場発表となる京商オリジナル1/18ダイキャストモデルのフィアット ヌォーヴァ 500(税込価格:26,400円)。 今回製品化されたのはコンバーチブルボディと後ヒンジドアが特徴的な最初期モデル。 ボディカラーは「グリーンクリア」「コーラルレッド」「セレステブルー」の3種類を用意している。 2023年12月の発売予定だ。 京商オリジナル1/18ダイキャストモデルの新製品には、このほかにもモーリス ミニ マイナーとポルシェ 911も展示されていた。 完全新規金型によるダイキャストモデルの1/18 モーリス ミニ マイナー(税込価格:26,400円)は、左右ドアとボンネット、トランクが開閉。 パイピングまで再現されたエンジンルーム、スペアタイヤが収まるトランク内、さらに後席に乗り込むための前席チルト機構なども再現。 ボディカラーは「オールドイングリッシュホワイト」「チェリーレッド」「 クリッパーブルー」の3色を用意。 モーリス ミニ Mk.1のディテールを徹底的に再現した京商らしいハイクオリティモデルだ。 もうひとつ、モーリス ミニ マイナーとともに展示されていたのが、ポルシェ 911(価格未定)。 こちらも最初期のいわゆる901を製品化したもので、エンジンルーム内の造形も見事だった。 ナローの1/18ダイキャストミニカーといえば、CMC製のミニカーが傑作モデルとして知られている。 しかしそのクオリティの高さから現在非常に高価で取引されており、気軽に入手できないという現状がある。 この京商製ミニカーが発売されれば、CMC製ミニカーに匹敵するクオリティのミニカーがおそらく2万円台で購入できるようになると思うので、ファンにとっては朗報だ。 RCカーでは2023年11月発売予定の「1/10 EP 4WD フェーザーMk2 FZ02L レディセット 1971 メルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3 ベージュ グレイ」(税込価格:48,400円)が個人的にとても気になった。 この製品は1/10スケールの完成品RCカーで、“走るディスプレイモデル”とも呼べる細部まで徹底的に作り込んだボディが特徴。 クロームメッキのバンパーやグリル、ワイパーなどが再現され、RCカーの常識を超える再現度を見せている。 しかもメルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3というシブい車種がRCカーとして楽しめるというギャップも面白い。 今後のラインアップも楽しみだ。 京商ブースにはこのほかにも、現在開発が進んでいる1/12ダイキャストミニカーのフェラーリ F40コンペティツィオーネ(税込価格:143,000円)。 従来品からディテールをさらに追求した内容にグレードアップ。 2023年11月下旬発売予定だ。 輸入品では、TOP MARQUES製の1/12ミニカーが気になった。 手前のランチア ストラトス ゼロ コンセプト(税込価格:110,000円)と奥に見えるフェラーリ 250 GTO 1962 ル・マン GTクラスウィナー(税込価格:107,800円)は、どちらもレジン製の完成品モデル。 思わずため息が出るようなクオリティが印象的だった。 1/24スケールのスナップキットを発表したアオシマ 青島文化教材社では、塗装不要・接着剤不要・お手頃価格をコンセプトにした簡単プラモデルとして、1/32スケールの「ザ☆スナップキット」を販売し、多くのラインアップを用意している。 今回のホビーショーでは、このコンセプトを1/24スケールに展開した新シリーズとして「ザ☆スナップカー」を発表。 2024年発売予定のシリーズ第1作として、1/24 KPGC10 スカイライン 2000GT-R '70(価格未定)を発表した。 パーツ数はわずか60点ながら、あらかじめ色分けしたパーツを使用することで無塗装でも見栄えのするモデルに仕上がる予定。 プラモデルを作る楽しさが手軽に味わえて、なおかつクオリティの高さが期待できる製品内容だった。 アオシマではこのほかにも1/24 ニッサン RPS13 180SX TYPE X '96(価格未定)を発表。 こちらのプラモデルは完全新金型によるもので、リトラクタブルヘッドライトは開/閉の2種類から選択可能。 車高もノーマル/ローダウンの2種類が選択できる内容だった。 各社が展示した注目の新製品 トミーテックでは1/64ミニカーの「トミカリミテッド ヴィンテージ」の新作が目立った。 2004に発売した「トミカリミテッド ヴィンテージ」は、発売20周年となる2024年に新ロゴマークとなることを発表。 昔のトミカを彷彿とさせるロゴマークとすることで、よりユニークなブランドを目指していく。 そんなトミーテックの注目の新作は、ストラクチャーシリーズの「トミカラマ ヴィンテージ」の大作となる高速道路。 同社が以前から参考出品として展示してきた高速道路がついに製品化された。 これは全長約400mmの大型製品で、直線道路と曲線道路の2種類を展開。 複数購入することで道路の延長と立体的な積層も可能。 リアルな小物も付属しているので、これまでにないミニカーのディスプレイが楽しめる。 高品質なミニカーをリリースするメイクアップの新作のなかで個人的に気になったのは、1/18レジン完成品モデルのNISMO GT-R LM ロードカー 1995とマクラーレン F1 ロードカー 1994。 どちらもサンプルモデルの展示で発売日・価格未定だが、1/18ミニカーとしてはかつてないクオリティの内容になるだろう。 EBBROの新製品で驚いたのがボンネットバスの1/43ダイキャストミニカー。 1/43 ISUZU BX 352 東京都バス(税込価格:26,400円)は、懐かしい都バスのカラーリングを忠実に再現している。 レースカー中心のラインアップが知られるEBBROの新境地となるのか? 今後の展開に注目したい。 このようにクルマ系ホビーの新製品は今後も続々発売される予定。 クオリティの高さに比例して価格もどんどん上昇しているので、価値の高いものを厳選して買いたいものだ。 [ライター・画像 / 北澤 剛司]
アジア初の会員制ドライビングクラブとして、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが建設を進めていた「THE MAGARIGAWA CLUB」(ザ・マガリガワクラブ)がついに完成。 2023年7月29日と30日には、グランドオープニングイベントとして「房走祭」が開催された。 この「房走祭」のイベント初日に、筆者も車輌展示を兼ねて参加したので、その様子をシェアしてみようと思う。 「THE MAGARIGAWA CLUB」とは? コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが運営する「THE MAGARIGAWA CLUB」は、千葉県南房総市に開業した会員制ドライビングクラブ。 せっかく高性能スポーツカーを買っても、その性能を存分に発揮できない状況にフラストレーションを感じていたユーザーは少なくないはず。 この施設はスポーツカーを存分に走らせたいユーザーにとってはたまらない施設となっている。 全長3.5kmのコースは、800mのストレートに加え、上り20%、下り16%勾配という峠道のような区間もあり、コーナー数は22。 標高差は実に250mというユニークさ。 F1サーキットの設計で知られるTilke Engineers & Architectsによるコースデザインは、地形を最大限に活かしたもの。 世界でも例を見ないプライベートサーキットとなっている。 イベントへのご招待 筆者も「一度愛車を走らせてみたい!」と思ったものの、入会費は正会員で3600万円といわれていた。 そのためまったく縁のない話と感じ、それ以来自分のアタマからは完全に抜け落ちていた。 そんなある日、一通のメールが届いた。 それは以前、筆者の愛車であるシトロエン BX 4TCの撮影でご一緒した方からのメールだった。 驚いたのはその内容。 なんと「THE MAGARIGAWA CLUB」のオープニングイベントである「房走祭」で車輌展示をしませんか?というお誘いだった。 訊けば、「ヒルクライムドライブ」としてコースを実際に走行できるとのこと。 しょせん夢物語だと思っていたスポーツ走行が現実になるとはまったく想像していなかったので、まさに思ってもいない朗報だった。 ただ、ひとつだけ問題があった。 うちのクルマは車検切れのため、現地まで自走できないのだ。 せっかく良いオファーをいただいたのに、なんという不甲斐なさ。 「あぁ、なんてことだ!」と、天を仰いだのはいうまでもない。 仕方ないので正直に事情をお話して、お断りすることにした。 すると、なんと積載車についても対応してもらえるとのこと。 敷地内の走行についてはなんら問題はないので、これなら参加できるかもしれない。 そこで「旧車王ヒストリア」のライター仲間でもある、旧知の中込健太郎さんに連絡。 すると、その日は予定が空いているとのこと。 そこで中込さんの積載車でうちのクルマを運搬し、私も同乗して現地入りすることにした。 予想を超越した天上界 2023年7月29日のイベント当日、予定通り中込さんの積載車に車輌を積み、現地へ向かった。 中込さんと筆者はクルマの趣味が似ていていることもあり、アクアラインの渋滞がまったく気にならないほどクルマトークが炸裂。 あっという間に到着した。 東京都心から約1時間という触れ込みは、確かにその通りだった。 のどかな田舎道を進んだ先に突然現れた「THE MAGARIGAWA CLUB」は、まさに山を開拓して整備された途方もない施設だった。 入口の先で積載車から車輌を降ろし、シトロエン BX 4TC単体で頂上のクラブハウスを目指す。 コースに沿って走る側道は、途中まではなだらかな上り坂が続くものの、最後の急坂セクションがすごい。 うちのシトロエン BX 4TCは、フラットな燃料タンク形状のため急坂で燃料が途切れがちになる。 そんなクルマにとっては鬼門といえる急勾配だ。 この時点でコース走行に若干不安を感じてしまった。 そんな急勾配をなんとかクリアしてクラブハウスに到着すると、そこには別世界が広がっていた。 クラブハウスの周辺には車輌展示を行うクルマたちが受付のため多数集まっていた。 驚いたのはそのラインアップ。 まず、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンは当たり前。 都内でメルセデスやBMWを見るような感覚だ。 もちろんポルシェもRS系しかいないような感覚。 さらにポルシェ 959とかジャガー XJ220のような、レアモデルが普通に集まっている。 日本車もホンダ NSX-R、日産 GT-R NISMO、トヨタ・メガクルーザーといったクセの強い車種ばかり。 あまりにも刺激が強すぎて、朝イチの時点で感覚が麻痺してしまった。 幸いなことに、以前取材させていただいたメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evolution IIにお乗りのGさんのグループと一緒になった。 グループBとグループAエボリューションモデルというホモロゲモデルの並びが実現し、ようやくアウェイ感から脱することができた。 心強い仲間の存在は本当に重要である。 レアな車輌と同じくらい驚いたのがスタッフの運転スキル。 受付を済ませたら、参加者はクラブハウス内に移動。 あとは自分のコース走行の順番が来るまでゆったり飲食をしながら待つという趣旨だった。 そのため、車輌はスタッフがコース内の駐車位置まで運ぶという、ホテルのバレーパーキングのようなサービスを行っていた。 車輌を動かすスタッフは、トランスミッションの操作も駐車ブレーキの解除方法も1台1台異なるクルマをスイスイと動かしていく。 ハイドロニューマティック・サスペンションを備えるうちのBX 4TCも、車高が完全に上がってから移動させていた。 1台数億円クラスの車輌も珍しくないなか、ビビったり操作に戸惑ったりするスタッフが皆無だったことに驚いた。 いったい事前にどんなトレーニングを受けてきたのだろうか? 他人に愛車を預けることに抵抗感のある参加者も少なくなかったはずだが、このオペレーションを見たら、大切な車輌を安心して預けられると納得したことだろう。 ホテルのようなホスピタリティ あまりにも刺激的な個体が多すぎて完全に麻痺してしまったので、クラブハウス内でゆっくり心を落ち着かせることにした。 しかし、その目論見は見事に裏切られた。 クラブハウス内も見どころ満載だったのだ。 なかでも1階のテラス席は、コースを走るクルマを見ながらソファでゆったりとした時間が過ごせる至福の空間。 エグゾーストノートを聴きながらまったりできるこのエリアは、何時間でもいられそうだ。 そして通常は正会員限定となるエリアも一部が開放され、バーラウンジではシャンパンが振る舞われていた。 しかし、運転を控えているため、シャンパンの優雅な泡立ちを横目に、ウィルキンソンの辛口ジンジャエールでやり過ごさなければならないのは本当に辛い。 このときはさすがにコース上での運転を恨めしく思った。 刺激的なサーキットタクシー そうやって施設見学をしているうちに、いよいよコース走行の順番となった。 まずはクラブハウスからコース内にあるトランスポーターのドライバーホスピタリティに移動。 そこでブリーフィングを受けたのちに自分のクルマに乗り込み、コースを1周するというものだった。 ちなみにコースへの移動はBMWとアルファードによるシャトルのみ。 コース内の移動は、タイの3輪タクシーとして知られる「トゥクトゥク」が担っていた。 よく見ると、ドライバーホスピタリティの前ではサーキットタクシーの乗車体験が行われていた。 これはラ・フェラーリ、ランボルギーニ・シアン FKP37、ランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスター、マクラーレン P1といった、超弩級のスポーツカーに同乗してサーキット体験ができるというもの。 乗車できたのは、一部のゲストと来場チケットで入場して当選した方のみだったので、残念ながら体験できず。 見た目にはかなりのハイスピードで周回していたので、機会に恵まれた人は相当に刺激的な体験だったことだろう。 愛車でヒルクライム体験 いよいよメインイベントのコース走行のときが来た。 駐車位置からヒルクライムのスタート地点までは、コース内をゆっくり走って周りのクルマたちを確認する。 すると、受付では見かけなかったモデルたちがたくさん並んでいることに気づいた。 「これらのクルマたちの総額は、ちょっとした国の国家予算に匹敵するのではないだろうか」と思いながら、白昼夢のような光景にまたもやアタマが真っ白になる。 そんな刺激的なクルマたちに目を奪われているの束の間、いよいよスタート地点へ。 1台1台間隔を空けてスタートするので、自分のペースでリラックスして走行できるのはありがたい。 コース脇にはギャラリーの方々もたくさんいるので、少し頑張ってスタートしてみた。 最初はほぼ直線が続き、最初の右コーナーを抜けると、そこからヒルクライム区間。 序盤の勾配はキツくないので比較的ハイスピードでクリアできるが、問題は最後の20%勾配。 連続するコーナーを抜けていくと、目の前に絶壁のように現れるのだ。 「燃料供給が途切れませんように!」と願いつつ慎重にアクセル操作をして、急坂をなんとかクリアすることができた。 しかし、ホッとしていたのも束の間、ふと後ろをみると筆者のあとにスタートしたアルファ ロメオ ジュリエッタ・スパイダーがすぐ背後に迫っていた。 再びペースを上げて後半のコーナーをクリアしたが、本当にあっという間の走行体験だった。 走行した印象は、かなり攻略し甲斐のあるコースということ。 特に後半のヒルクライムセクションからクラブハウス前の区間はアップダウンとブラインドコーナーの連続で、走り込むことでタイムアップにつながる印象を受けた。 街中で運動不足気味のスポーツカーはもちろん、サーキット専用車などは持てるパフォーマンスを存分に発揮することができるはず。 「THE MAGARIGAWA CLUB」では車輌保管サービスもおこなっているので、ここにサーキット専用車を置き、好きなタイミングに走らせるような環境を実現できる方にとっては、極上のスポーツドライビングが愉しめるだろう。 クルマ好きの聖地に コース走行後に改めて展示車輌を観に行ったところ、アメリカ車を含む世界の名車たちが幅広いカテゴリーで展示されていたことに気づいた。 コース走行をしない展示車輌も少なくなかったので、このイベントのために多くの方々が協力したことは想像に難くない。 これまで貴重なクルマたちの海外流出が止まらない状況を見てきただけに、ここに集まったクルマたちに大いに勇気付けられたのも事実。 これだけの車種が集まるイベントが実現できるということは、日本のクルマ好きパワーはまだまだ健在ということ。 もちろん「THE MAGARIGAWA CLUB」自体は、一部の限られたメンバーのための施設であることはいうまでもない。 しかし、このようなイベントを定期的に開催することで、走る人も観る人も楽しめる「クルマ好きの聖地」となることを願いたいものだ。 [ライター / 北沢 剛司 画像 / 北沢 剛司、中込健太郎]
2023年5月に「第61回静岡ホビーショー」が開催された。 タミヤ、ハセガワ、アオシマ、フジミ模型など、国内外に知られるメーカーの本拠地として内外に知られる静岡。 その「プラモデルの聖地」といわれるお膝元で開催される「静岡ホビーショー」は、その年に発売予定の新製品が数多く発表されるため、近年は海外からのバイヤーも大勢訪れ、国際的なイベントになりつつある。 今回は、そんな静岡ホビーショーで発表された気になるクルマ系ホビーの新製品を紹介しながら、会場で感じたトレンドについてもまとめてみた。 ■バラエティ豊かなタミヤの新製品 まずはクルマ系ホビーの王道といえる、組み立てキットの新製品をチェックしてみた。 タミヤブースでは、1/24スポーツカーシリーズの最新作としてゴードン・マレーが手がけた「GMA T.50」が8月に発売。 再販アイテムとしては、1/24スケールの「ランチア ストラトス ターボ」、1/20スケールの「ポルシェ 935 マルティーニ」といった'70年代の懐かしいキットが発売される。 電動RCカーの乗用車系モデルでは、「トヨタ ガズー レーシング WRT/GR ヤリス ラリー1 ハイブリッド」、「ポルシェ 911 GT3(992)」、「フィアット アバルト 1000TCR ベルリーナ コルサ」、「2002 メルセデス・ベンツ CLK AMG レーシングバージョン」、「アルファロメオ 155 V6 TI マルティーニ」、「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」など盛りだくさんの内容。 2022年のWRCチャンピオンマシンの製品化から旧製品の仕様違いまで、バラエティに富んだラインアップはタミヤならではといえるだろう。 個人的に気になったのは、1/10電動RCカーシリーズの「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」(価格未定)。 参考出品ながらとても出来がよく、ゴルフIIの魅力をよく表現していた。 注目すべきポイントは、ゴルフII GTI 16Vのラリー仕様という、比較的マイナーな車種の製品化である。 ビジュアル的にはラリー・ゴルフのグループA仕様のほうが迫力はあるし、ゴルフII GTIという車種的な魅力でいえば、ラリー仕様よりもロードバージョンの方がウケは良さそうだ。 しかし、オンロードとオフロードの両方で楽しめる設計のため、これは以前販売されていた「ランチア デルタ インテグラーレ」の路線を踏襲していることが伺える。 カラーリングを見る限りでは、特定のラリーをイメージしたものではないのであっさりとした印象だ。 同車のベストリザルトは、1987年ポルトガル・ラリーとアルゼンチン・ラリーにおける3位入賞なので、そのあたりのロゴが追加されるのだろうか? 今後の正式発売が気になる内容だ。 ■限定品が気になるハセガワ ハセガワのプラモデルはシャープな表現が特徴的で、今回発表された1/24カーモデルの新製品も実車の雰囲気を凝縮したような出来栄えだった。 1/24スケールのプラモデル「カルソニック スカイライン(スカイラインGT-R [BNR32 Gr.A仕様] 1993 JTC チャンピオン)」は、7月下旬に発売予定の限定品(税込価格:3,960円)。 1993年全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンマシンを再現したもので、Gr.A仕様のディテールを的確に再現。 個人的には、フェンダーに食い込むように再現されたネガティブキャンバーの前輪に魅力を感じた。 カルソニック スカイライン自体は昔から様々なメーカーで製品化されているものの、最新の技術で設計されたハセガワ製品のシャープさは注目に値する。 ブース内で目を惹く存在だったのが「ニッサン スカイライン 2000GT-R(KPGC110)レーシングコンセプト」(税込価格:3,850円)。 1972年の東京モーターショーで展示された、ケンメリGT-Rレーシングコンセプトを再現した製品である。 レーシング仕様のパーツを新金型で製作し、新デカールをセットしたこの新製品。 これまでありそうでなかったアイテムであり、美しいボディカラーが印象的だった。 6月下旬発売の限定品なので、気になる方は早めに入手することをお勧めしたい。 もうひとつの注目アイテムは、7月下旬発売予定の「マットビハイクル “迷彩仕様” w/ロケットランチャー」(税込価格:4,400円)。 ハセガワのマットビハイクルをベースにしたこちらの限定品は、『帰ってきたウルトラマン』第32話「落日の決闘」に登場した、ロケットランチャー装備&迷彩仕様をキット化した内容。 ルーフに装備された30連装ロケットランチャーはレジン部品を新規作成したもので、怪獣キングマイマイとの戦いに使用された姿を再現できる。 ただ、キットに迷彩パターンのデカールは付属せず、塗装指示となるとのこと。 そのため上級者向きの製品内容となっている。 アイテムとしては非常に魅力的だが、多くの人にとっては買ったままコレクションになってしまうのではないだろうか。 ■映画の劇中車がアツいアオシマ 青島文化教材社のブースには、なんと映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンが展示されていた。 これは2024年に発売を予定している、1/24スケールプラモデルのプロモーションのため。 アオシマは以前から同映画のタイムマシンであるデロリアンを製品化しているが、今回発売されるプラモデルは完全新金型により製作されるまったくの別物。 展示されていた試作品の出来も上々で期待が持てそうだ。 アオシマといえば、映画やアニメなどの劇中車を積極的にリリースすることで知られ、ブースには『頭文字D』や『ナイトライダー』などの製品も展示されていた。 なかでも大きな存在感を放っていたのが映画『トラック野郎』シリーズ。 1/32スケールの完成品トイラジコンとして12月発売予定の「一番星 望郷一番星 ACアダプター付き』(税込価格:36,080円)、1/32プラモデルとして8月に発売が予定されている「一番星 熱風5000キロ」と、10月発売予定の「一番星 突撃一番星」(税込価格:19,580円)が展示されていた。 トイラジコンのほうは、LEDをふんだんに使った電飾が特徴的で、付属のACアダプターにより乾電池を使用することなく、安定してイルミネーションを楽しむことができる。 プラモデルのほうは、基本的に以前発売された製品の再生産ながら、より組み立てがしやすくなるような改良を施しているという。 約半世紀近く前の昭和の映画作品が、令和の時代に新製品として発売されるのは実に驚異的だ。 ■F1のビッグスケールモデルも登場 さまざまなジャンルのプラモデルを発売しているプラッツのブースでは、BEEMAX製の「1/12 ロータス 99T 1987 モナコGP ウィナー」(税込価格:28,600円)が展示されていた。 その横には開発中の1/12 マクラーレン MP4/4もあり、アイルトン・セナがドライブしたマシンがビッグスケールモデルとして相次いでリリース。作りごたえ満点の製品内容といえそうだ。 今回各社から発表されたカーモデルの新製品は'70年代から'90年代の車種が多く、逆に新型車の少なさが印象的。 1/24カーモデルの主な価格帯は4千円以上で、メインターゲットは50代以上の男性だ。 まさに筆者もその世代だが、老眼により模型製作は正直しんどいものがある。 しかし、このような素晴らしい完成見本を見ると、思わずやる気スイッチが入るのも事実。 ネオクラシックをはじめとする各社のプラモデル製品は、子育てが落ち着いて時間に余裕ができた世代に新たなモチベーションを与える存在になるかもしれない。 ■トレンドの変化が本格化したミニカー市場 次に完成品ミニカーの新製品をチェックしてみた。 世界的なトップメーカーである京商では、1/18スケールの新製品がメインとなっていた。 少し前はボディの素材にレジンを使用したものが多く見られたが、今回発表された京商オリジナルミニカーは、ダイキャスト製のフルディテール製品が印象的だった。 「京商オリジナル 1/18 フェラーリ F40」(税込予価:38,500円)は、ご覧の通りフルディテール製品。 フロントセクションとエンジンルームは忠実に再現され、カーボンケブラーのデカールも貼り込まれている。 京商のフェラーリ製品は、1/12スケールから1/64スケールまで総じてクオリティが高く、国内外から高く評価されているのは周知の通り。 この新製品が1/18 F40製品の新たなベンチマークとなるのは間違いないだろう。 1/18スケールの新製品には、Gr.Aの国産ラリーカーも含まれる。 「京商オリジナル 1/18 トヨタ セリカ GT-FOUR (ST165) 1991 モンテカルロ #2」と「京商オリジナル 1/18 スバル インプレッサ 1994 RAC #4」(税込価格:28,600円)は、どちらもボンネットとドアの開閉が可能。 作り込まれたエンジンルームと室内を眺めることができる。 ミニカーショップ キッドボックスによる独自のミニカーブランド「ENIF」。 懐かしい国産車をシャープに再現する高品質な仕上がりを特徴としている。 7月発売予定の「トヨペット コロナ マークII 1900 ハードトップ GSS 1971年型」(税込価格:13,600円)は、イエロー、シルバー、ホワイト、ブラックの4色のカラバリを設定。 フロントグリルの繊細な彫刻やレザートップの表現がリアルだ。 毎回ユニークな新製品を発表するトミーテック。 近年は車両以外のストラクチャーにも力を入れ、ちょっとしたジオラマを再現できるフィギュア付き製品なども発売している。 そんなトミーテックが展示したのが、なんと高速道路。 1/64スケールで再現される高速道路は、上下線が立体構造になっていて、車線上に自分の好きなミニカーを展示することができる。 さらに渋滞シーンとか事故処理、速度取り締まりといった、さまざまなシーンに対応できるので、かなり遊びゴコロのある企画だ。 実は、2022年秋に東京で開催された全日本模型ホビーショーにも、同じ高速道路が展示されていた。 今回も展示したということは本気で製品化を考えているということだろう。 販売価格の調整は難しそうだが、もし発売されたらクルマホビー市場に残る快挙になることは間違いない。 トミーテックの遊びゴコロはこんなところにも。 今回発表された1/64スケールの新製品は、ショーケース内に留まらず高速道路上にも並べられていた。 高品質なミニカーで知られる香港のミニカーブランド「TSM-Model」。 その同社が展開する1/64スケールのミニカーブランドが「MINI GT」だ。 会場では開発中のポルシェ 911 RS 2.7と、ポルシェ 911 GT3 RSが展示されていた。 近年目覚ましい伸張を遂げている1/64ミニカー市場の中でも、「MINI GT」はハイクオリティな製品内容とリーズナブルな価格を両立しているのが特徴。 ダイキャスト製ミニカーならではの重みと繊細な仕上がりで人気が高い。 ■ 二極化が進むミニカー 1/64スケールのミニカーは、1/43とか1/18スケールのミニカーに比べてニッチな存在だった。 しかし、今回の静岡ホビーショーにおいては、ミニカーの主役に躍り出た印象がある。 その理由には、前述の1/43とか1/18スケールのミニカーの価格が上昇して手軽に買える価格帯でなくなったことが大きい。 1/43ミニカーは1万円前後のものが主流で、カラバリを揃えるなどのコレクションは難しくなっている。 その点、1/64スケールのミニカーには千円台で買えるアイテムもあるなど、コレクションの楽しみがまだ残っているのだ。 もうひとつの理由は、1/43や1/18スケールで製品化すべき車種がほぼ出尽くしたこと。 売れ筋車種のほとんどが製品化されてしまった現状では、これまでとは違うスケールで製品化する必要が出てきたのだ。 今回のショーでは、トミーテックや「MINI GT」以外にも、1/64ミニカーの新製品が多数展示されていた。 また、置き場所に困らないコンパクトサイズであることも大きなメリット。 特に妻子持ちの場合、かさばる1/18ミニカーはこっそり買ってくることが難しい。 しかし、1/64ミニカーならポケットに入れて持ち帰ることも可能なのだ。 このような理由により、1/64ミニカーに対する需要はますます増えていくはずだ。 1/64ミニカーとは逆に、1/12のビッグスケールも増えてきた。 写真は「TSM-Model」の1/12 ティレル P34で、1977年モナコGPに出走したカーナンバー3のロニー・ピーターソン車を再現したもの(価格未定)。 フォードDFVエンジンをはじめとするディテールの再現が凄まじい。 価格もきっと凄まじいものになるはずだ。 こちらも「TSM-Model」の、1/12 マクラーレン F1 GTR #59 1996 Le Mans 24 Hr Winner。 参考出品のため実際に販売されるかどうか不明だが、ウェザリングされたボディが特徴的で、完成度は極めて高い。 こちらは京商が輸入販売する、TOP MARQUES社製の1/12 ランチア 037 1983 No1 モンテカルロ ウィナー W ロール(税込価格:110,000円)。 TOP MARQUESの本国サイトを確認したところ、同製品にはいくつかのバリエーションが存在した。 筆者は個人的にグループBのミニカーコレクションをしているので、是非ともコンプリートしたいのだが、価格が税込110,000円では1台を買うことさえ難しい。 こちらはエスワンフォーが2023年4月に発売した「キャラクタービークルシリーズ 1/12 ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500」(税込価格:44,000円)。 あまりにも有名なルパン三世の劇中車を1/12スケールのダイキャスト製ミニカーとして製品化したものだ。 付属品が豊富に用意されているので、フィギュアと組み合わせることで映画のシーンを再現することが可能。 このようにミニカーの新製品は、手軽な1/64ミニカーと高級志向の1/12ミニカーが元気で、1/43と1/18ミニカーは脇役に徹した感があった。 クルマホビーのトレンドは少しずつ変わってきているが、アラフィフ世代以上のクルマ好きがメインターゲットとなっているのは間違いない。 子育てが落ち着いて、金銭的にも余裕が出てきた世代が狙われているのだ。 財布のヒモを引き締めたいところだが、「限定品」という言葉についついやられてしまうのも事実。 さて今日は何をポチろうか(笑)。
ミニカーに興味があるクルマ好きにとって、値上がりを続けるミニカー事情に頭を悩ませている人は少なくないだろう。 そんな人にオススメなのが書店で購入できるミニカーシリーズ。 なかでも日本車ミニカーを1/43スケールで製品化した『国産名車プレミアムコレクション』は、価格とクオリティのバランスが取れたミニカーとして着実にファンを獲得している。 そこで今回は、『国産名車プレミアムコレクション』の魅力を掘り下げてみたい。 ■1/43ミニカーの救世主 ミニカーの値上げが止まらない。 生産コストや原材料費の上昇などにより、モノにもよるがだいたい20年前の2倍になったような感覚がある。 そんな状況から買える人も次第に限られてきて、今はコアなファンがマーケットを支えているような状況だ。 筆者自身、以前はミニカーを片っ端から買い集めていたが、今は本当に欲しいアイテムだけを厳選して買っている。 また、以前は1/43ミニカーをメインに買っていた仲間も、最近はトミカとかホットウィールなど数百円で買えるミニカーがメインになっている。 今や1万円以下で買える本格的なコレクター向けミニカーは、絶滅危惧種となりつつあるのだ。 そんな状況のなか、アシェット・コレクションズ・ジャパンが2021年12月に創刊した『国産名車プレミアムコレクション』は、出来の良い1/43ミニカーを求めていたファンにとって久しぶりに明るい話題となった。 創刊号のミニカーは日産 スカイライン 2000GT-R KPGC110 1973で、価格は1,499円。 2号目のホンダ NSXは2,499円という低価格だった。 3号目以降は定価3,999円となったが、それでも標準的な出来の1/43ダイキャスト製ミニカーが現在5千円〜7千円程度で販売されている状況を考えれば、かなりリーズナブルな価格設定といえる。 ■クオリティの高いディテール表現 クオリティの高さも特徴的だ。 書店流通系のミニカーには「安かろう悪かろう」というイメージが少なからずあり、クオリティはあまり期待できないというのがこれまでの常識だった。 しかし、『国産名車プレミアムコレクション』では細部の作り込みがしっかりしていて、いわゆる「つくりの甘さ」の要素が少ないのが特徴的だ。 例えば、クローム部分の再現とかコンビネーションランプの塗り分けなどは忠実に再現され、モデル全体にシャープな印象を与えている。 ミニカー自体も厚みのあるアクリルケースに収められ、高級感を演出している。 この手の書店流通系ミニカーは、台座はあってもアクリルケースが省略されている製品が多い。 その意味でも、アクリルケースが付いていることはコレクターにとってはとても重要なことだ。 ■製造元はミニカーのトップブランド そこで気になったのは製造元である。 台座を外してシャシーを見てみると、“AR box ALMOST REAL SUMS MODEL” という刻印がある。 SUMS MODELは「オールモストリアル」のブランド名で高品質なミニカーを製造している中国のミニカーメーカー。 ハイディテールな製品内容で知られ、1/43ミニカーは1万円前後、1/18ミニカーは2万円台から5万円台という高価格帯のミニカーをラインアップしている。 ドイツでは「ミニチャンプス」ブランドで知られるポールズ・モデル・アート社が販売を行っており、日本では現在、エスワンフォー株式会社が輸入販売代理店となっている。 高品質なミニカーづくりで知られるメーカーが設計および製造を担当しているため、大量生産品でありながら非常にしっかりとした製品内容となっているのだ。 ■ディフォルメのない忠実な表現 ミニカーでは実車の持つ雰囲気を伝えるためにボディをディフォルメしたり、タイヤ/ホイールサイズを調整したりすることがよく行われている。 しかし、このシリーズではそのようなディフォルメがほとんど見られない。 それをもっとも象徴しているのがタイヤで、創刊号のケンメリGT-Rのミニカーを手に取ったときは、あまりのタイヤの細さに違和感を覚えたほどだ。 輸入販売元であるエスワンフォー株式会社の担当者に話を伺う機会があったので、その件について尋ねてみた。 すると、実車を正確に再現するために、あえてディフォルメを行っていないのだという。 確かに改めて調べてみると、オリジナルのタイヤサイズを再現したものであることが分かった。 逆にいえば、それ以前の1/43ミニカーなどで見慣れてきたタイヤは、モデルとしての見栄えを良くするために太くされていたということだ。 車高についても「ちょっと腰高かな?」と思えるようなものが少なくない。 これもモデルとして捉えるなら、もう少しローダウンしたほうがカッコよく見えるに違いない。 しかし、あえてそれをしないで忠実にオリジナルの姿を再現しようとする姿勢は、このシリーズの独自性につながっている。 ■低価格を実現できた理由 『国産名車プレミアムコレクション』が低価格を実現できた理由は大量生産にある。 近年のコレクター向けミニカーは多品種少量生産が基本で、樹脂製のレジン素材でボディを成形しているものが少なくない。 逆に大量生産に適したダイキャスト製ボディは、金型製作の費用がかかるため敬遠されることが多くなった。 しかし、このシリーズでは書店流通系ミニカーということで大量生産に向いたダイキャスト製ボディを採用。 量産効果でコストを下げていることが大きい。 とはいえ、もちろん欠点も存在する。 このシリーズの最大の欠点は内装が無塗装であること。 メーターパネルはデカールで表現されていているし、ウッド製のステアリングやシフトノブは塗装で再現されている。 その反面、シートやインテリアは黒いプラスチックの成形色のままなのだ。 昔の国産車の内装はブラックを基調にしたものが多いのであまり気にならないが、'80年代のハイソカーあたりになるとその欠点が気になる。 特にトヨタ・ソアラをはじめとするハイソカーなどは、ベージュやワインレッドの内装色が特徴のひとつとなっている。 そのため、真っ黒な内装だと魅力が半減してしまうのだ。 このあたりはコストの兼ね合いもあって妥協しなければならないポイントだったのだろう。 そのため、車種によっては残念な印象になっているものもある。 明るい内装色が特徴だった車種の場合は要注意だ。 ■国産車ミニカーの新たなスタンダード このようにメリット・デメリットがそれぞれ存在する『国産名車プレミアムコレクション』。 ただ、今時の1/43ミニカーで3,999円という価格を考えれば、破格の内容であることは間違いない。 特に今後は原材料の高騰や円安などで、ミニカーのさらなる値上げが必至な状況にある。 その意味では、高品質なミニカーが手軽に入手できるだけでも非常にありがたい存在といえるだろう。 [ライター・画像/北沢剛司]