ほぼ全面がガラスで覆われたキャビンにガルウィングドア、国産車とは思えない個性的なスタイリングのトヨタ・セラ。一方で、派手な見た目とは裏腹に販売台数が伸びなかった不遇の車種でもありました。
しかし、セラの登場から30年経った現在、再びセラの魅力が脚光を浴びつつあるのをご存じでしょうか。今回は、トヨタ・セラが登場した背景を振り返りつつ、人気が高まっている理由を解説します。
挑戦的なデザインを採用したセラ
トヨタ・セラは国産の乗用車として初めてガルウィングドア(正式名称はバタフライウイング)を採用したモデルです。当時大衆車のイメージの強かったトヨタが、挑戦的なデザインのクルマを投入したのには理由がありました。
まずは、セラの開発背景と販売台数が伸び悩んだ理由を紹介します。
トヨタのヤング・プロジェクト発足が始まり
1980年後半、トヨタは若年層向けのシェア争いでホンダや日産に遅れをとっていました。そこで、トヨタはシェアを増やすべく、若者向けの車を開発する「ヤング・プロジェクト」を結成します。ヤング・プロジェクトは若手を中心に構成され、若者にアピールできる商品開発に取り組みました。
若者が好む個性的なデザインを追求した結果、プロジェクトの成果物としてコンセプトカー「AXV-II」を1987年に東京モーターショーに出展。ガルウィングと開放感のあるガラスキャノピーという象徴的なデザインを採用し「翼をつけたライブコンパクトビークル」というキャッチフレーズがつけられました。
コンセプトカーをそのまま市販化
東京モーターショーの出展から3年後の1990年、「AXV-II」は“セラ”という車名で市販化されます。社内上層部の評価が高かったことから、ほぼコンセプトカーのスタイリングのまま発売されました。
ルーフまで伸びたガラスウィンドウをはじめ、車体上部のほとんどをガラスで覆ったデザインは“グラッシーキャビン”と呼ばれ、オープンカーとも異なる独特の開放感を演出。ガルウィングドアとあわせた近未来的なスタイリングは、まさにコンセプトカーそのものといえます。
人気が長続きしなかった理由は先進的なデザイン
上層部の高い評価と話題性から注目されたセラですが、残念ながら人気は一過性のものでした。初年度こそ9,665台と1万台近い販売を記録しますが、翌1991年にはいきなり3,737台の販売と大幅に減少し、人気が再燃することなく1995年7月のに生産を終了しました。
セラの販売台数が伸び悩んだ理由は、皮肉にも先進的なデザインです。全面ガラス張りのキャビンは、夏には灼熱となるうえ、外から丸見えで恥ずかしいという意見もありました。また、車体上部の重量がガラスによって増加したため、スタイリングに対して運動性能があまり高いとはいえなかった点も不人気だった理由の一つです。
現在では実現できない独創的なデザインが再評価
全面ガラス張りというセラのデザインは、安全基準が高められた現在では開発が困難です。ボディの半分がガラスにもかかわらず、美しい曲面で構成されたセラの独特のスタイリングは今も色褪せません。
当時、不人気の理由となっていた「重い」「暑い」といった要素も、実はそれほど問題にならないと再評価されています。クルマとしての個性を追求したセラの魅力を詳しく紹介します。
実は軽くて扱いやすいガルウイングドア
上部が全面ガラスのセラのガルウイングドアは重いイメージがありますが、ダンパーが装備されているので実は驚くほど軽く操作できます。外部から開ける際は指一本でも持ち上がるほどで、内部から開く際も肘で軽く押し上げるだけです。
また、ドア全体が上に持ち上がるため横のスペースもそれほど必要ありません。普通のドアを全開にすることと比べると、はるかに少ないスペースで開閉できます。
実はそれほど重くなかった車重
ガラスルーフが重く、動力性能があまりよくないというのが発売当時の評価でした。しかし、実は最軽量モデルの重量はわずか890kg。現在の基準に照らすと十分に軽い車重です。
また、搭載された1.5Lハイメカツインカムの5E-FHEエンジンは最高出力110ps、最大トルク13.5kgmを発生。1tを切る車重をドライブするには十分なパワーを備えていました。
暑さ対策に1クラス以上大きいエアコンを装備
ガラスルーフの最大の問題は、夏場の車内が灼熱になることです。しかし、ガラス上部を覆う日除けバイザーが搭載されているうえ、エアコン容量も1クラス以上大きいものが装着されています。
一般車と比べると快適性が高いとはいえませんが、個性的なスタイリングと引き換えなら我慢できないレベルではありません。また、ガルウィングによって大きな開口部を確保できるため、駐車後の熱気の放出が早いというメリットも少なからずあります。
セラを売るなら旧車専門の業者へ
実用性重視で車作りをしてきたトヨタが、デザインに特化して開発したセラ。当時の若手エンジニアが実現したデザインは、現代になって再び脚光を浴びています。また、新車販売台数が伸びなかったことから流通台数が少ないため、希少性が高いのもセラの特徴です。
セラの売却をご検討されている場合、こうした背景をしっかりと把握している専門の業者に依頼しましょう。知識や実績に乏しい一般的な買取業者だと、クルマのもつ魅力が価格に反映されません。おすすめなのは、セラが発売された1990年代頃の旧車を専門に取り扱っている業者です。古いクルマについて知り尽くしているため、あなたの大事なセラの価値を最大限に評価し、高価買取を実現します。
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