シビックのスポーツグレードとして、すっかりお馴染みの「typeR」。赤いヘッドカバーにチューニングが施されたエンジンやサスペンションなど、中でもVTEC機構は国内から海外まで多くのファンを魅了しています。
しかし、実はtypeRじゃないのにツウなファンが好むシビックが存在します。それがEG6シビックSiRです。今回はEK9シビックの先代、typeRを先駆けともなったEG6シビックSiRについてご紹介します。
EG6シビックの歴史
EG6シビックは1991年に登場し、シビックとして2度目の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。
ボディタイプは「3ドアハッチバック」、「4ドアセダン」「2ドアクーペ」の3種類。2ドアクーペは日本では生産されておらず、「ホンダ・オブ・アメリカ」で生産され、1993年に日本に輸入されました。
グレードは6種類あり、その内VTEC仕様が3種類。「ETi」は新開発のVTECである「VTEC-E」という低燃費志向のエンジン。「VTi」はSOHCで吸気のみ可変するVTEC。そして、SiRはDOHCの吸気と排気が両方可変するVTECとなっています。
このSiRこそ、当時のJTC(全日本ツーリングカー選手権)でライバルのトヨタ・カローラに勝つために開発されたスポーツグレードなのです。
格上車とも戦える!軽量・高出力・旋回能力の高さ
EG6シビック(SiR)のB16A型は、最高出力が170ps/7,800rpmというハイパワーエンジンで、足回りには4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用。車両重量はパワステなどの快適装備がないSiRで「1,040kg」、快適装備付きのSiRⅡで「1,050kg」という当時の1,600ccクラスでは軽量な上にパワーも別格だった為、格上車とも同等に戦えるスペックを有していました。
ここからは、エンジン、重量、サスペンションについて細かく紹介していきます。
クラス最強レベルの高回転ハイパワーエンジンと軽量ボディ
B16A型エンジンのスペックは、排気量1,595cc、最高出力125kw(170ps)/7,800rpm、最大トルク156.9N.m(16.0kgf.m)/7,300rpmとなっています。
他の1,600ccクラスと比べれば一目瞭然で、当時のJTCで活躍していたライバルでもあるAE101カローラ GT APEXの4A-GEは、排気量1,587cc、最高出力118Kw(160ps)/7,400rpm、最大トルク161.8N.m(16.5kgf.m)/5,200rpmというエンジンスペック。
最大トルクではやや劣っていますが、カローラの車両重量は「1,140kg」。シビックSiRの車両重量は「1,040kg」と100kg程シビックの方が軽量です。ウエイトレシオで見るとシビックの方がハイスペックで当時の1,600ccクラスで考えるとなかなかのモンスターマシンだと言うことがわかると思います。
先代から改良され進化した4輪ダブルウィッシュボーン
EG6シビックの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションは、先代のEF9から採用されていました。しかし、EF9では贅沢な方式を採用したにも関わらず、サスペンションのストロークが不足。高いスピードで大きな段差を踏むと姿勢を崩す、コーナリング中のインリフトなど、リアのグリップ力が低下することが多くありました。
一方、EG6ではストロークを多くとり、ホイールベースを延長したことにより、路面追従性を大幅に向上させ、コーナリング中の段差などにも対応させました。この改良により、ライバルであるカローラのスーパーストラットサスペンションにも引けを取らないコーナリング性能を実現します。
現在主流となっているトーションビーム(車軸懸架式)に比べ、部品数が多く高コストで重量も増えます。ですが、剛性の高さや安定性、さらに細かなセッティングなどが可能で、JTCに勝つために開発されたEG6にはダブルウィッシュボーンが採用されました。
シビックEG6の中古車&買取相場
旧車王で確認してみると、SiRⅡの最低買取額「50万円」(2020年買取、走行距離20万km)で、最高買取額「200万円」(2021年買取、走行距離9万km)。車体の状態で変動するため、大体「50万円〜200万円」で、年式を考えればかなり高額であることが分かります。
続いて、シビックEG6の中古車市場は、SiRⅡが多くフルノーマルの個体はほとんどありません。現在(2022年4月)の中古販売車両を調べると、150万円〜400万円で販売されています。こちらも車両の状態で価格が変動しますが、やはり程度が良いほど高額で売買されているため、本気で購入を考えているのであれば300万円以上の予算を用意しておくと安心です。
まとめ
シビックEG6は、後継車のEK9や現行型のFK8などのtypeRと比べると、やや目立たない存在です。しかし、EG6の軽量な車重や4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなど、もともと持っている戦闘力はかなり高め。ややハード目に固めた足で、高回転エンジンを回しきる快感は、ダウンサイジングターボや電動化が主流となってしまった最新車種では味わえない感覚です。
当時のJTCに勝つという想いがこもったホンダの最高傑作は、ツウなファンが多く存在し、今後の中古相場も高騰することが予想されます。気になる方は是非今のうちに所有して、当時のホンダのレース魂を感じてみてはいかかでしょうか。
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