耐久レースで知る、エンジントラブル防止の基本はスパークプラグの交換

目次
1.■寒い日のエンジントラブル。原因はプラグかぶり 2.■プラグかぶりの対処は、強引にエンジンをかけること 3.■四輪ならば、スパークプラグの熱価は適正が最良 4.■耐久レースで学んだ、普及品の性能の高さ!

■寒い日のエンジントラブル。原因はプラグかぶり

少し前、冷え込んだ日のこと。

所用で早朝に出かけるべく、愛車S15のエンジンをかけようしたところ、「キュ、ガッガッガッ!」と、セルは回るものの始動しない。

大丈夫です、こういったアクシデントにはもう慣れました。

いや、慣れちゃダメだろ!

何度か始動を試みるも、症状は改善せず。

くすぶっている感じはあるので、ガソリンはエンジンまで届いている……あっ、プラグかぶりか。

あまりに久しぶりだったので忘れていましたが、これはプラグかぶりの典型的な症状。

クラッチとアクセルをベタ踏みし、一呼吸。

キーをひねって、そのまま戻さない!

キュ、ガッガッガッ、ボッ! ガガッ、ボッ、ボッ。

かかれ! かかれ!

キーを戻すな!

ごめんよバッテリー、もってくれ!

ボッ、ボボッ、ボッ、ボッ……。

かかれぇっ!

ボボボッ、ドゥン!

かかったぁ!

アイドリングに元気はありませんが、かかってしまえばこっちのもの。

5分ほど様子をみましたが問題はなさそうなので、出発することができました。

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■プラグかぶりの対処は、強引にエンジンをかけること

今のクルマは電子制御がよくできているので、プラグかぶりを経験したことがない人も多いと思います。

プラグかぶりのプラグは、おなじみスパークプラグのこと。

プラグかぶりは、なんらかの理由でシリンダーに送られたガソリンが燃焼せず、スパークプラグの電極を濡らしてしまった状況のこと。

プラグかぶりを起こした電極(スパークプラグ)は思うように火花をちらせず、結果、エンジンはひどくかかりづらくなります。

一番、手っ取り早い対処法は先ほど私がやったように、アクセルを踏み込んだままセルを回し続けてシリンダーに空気を送り、火花がちりやすい環境を作って強引に始動させること。

エンジンがかかってしまえば電極も乾燥し、調子も戻ります。

それでも始動しないならプラグかぶりではなく、オイルかぶりやスパークプラグ自体に問題が出ているかもしれません。

スパークプラグはそう高価なものでもないので、交換しちゃうのも手です。

「一度、プラグかぶりをおこしたスパークプラグは、もう元には戻らない」という話もあります。

厳密にはそう(スパークプラグの性能が落ちる)なのかもしれませんが、四輪で街乗りが中心の場合は、そこまで気にしなくてもいいと思います。

エンジンが冷え切る寒い日は、いくぶんかプラグかぶりがおこりやすくなります。

これから旧車に乗られるならば、対処法を覚えておいても損はありません。

■四輪ならば、スパークプラグの熱価は適正が最良

旧車を購入したらリフレッシュとして、スパークプラグは交換すべきパーツのひとつ。

ただ、どれでもいいから交換すればいいものではありません。

スパークプラグは燃焼によって受けた熱を処理する度合を示した「熱価」があります。

熱価の数値が高いほど耐熱性が高く、低いほど火花をちらしやすい特性を持っています。

適正の熱価は車種やグレードによって異なり、デンソーやNGKといった、スパークプラグを扱うメーカーの公式サイトで調べることができます。

「高回転で走行することが多いから」と、適正よりも高い熱価のスパークプラグに交換する方もいらっしゃいます。

実際、スパークプラグメーカーも、乗り方にあわせた熱価を推奨しています。個人的には、それは1万回転以上で長く走行し続ける二輪を想定しての話で、四輪ならば適正な熱価のスパークプラグが、もっともエンジンの性能を引き出すと考えています。

そんな考えに至ったのは、過去の経験から。

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■耐久レースで学んだ、普及品の性能の高さ!

もう20年以上、過去の話になりますが、原付で耐久レースに出ていたことがあるんですよ。その耐久レースはレギュレーションにより「エンジンはノーマル状態であること」が義務付けられていました。

初参加の際はスパークプラグにレーシングプラグを奢り、「半日以上、高回転で走行するのだから」と、熱価も高いものを選択。

ところが実際にレースが始まると、練習走行のときよりもパワーが出ず、タイムも遅い。

排気音も元気がない。

当初は「原因はセッティングのミス」と推測し、どうすれば調子が戻るのかと、チーム全員で頭を抱えました。

あれこれと手直しするも、調子は戻らない。

「この際、全部を練習走行時に戻そう」と、スパークプラグもかぶっていたわけではないのですが、純正で使用される製品に戻します。

すると、とたんに排気音が勇ましく響きだしたじゃないですか! 

実際にパワーやタイムも戻り、調子の良いまま完走することができました。

交換したスパークプラグに問題はなし。

電極に焼けすぎの兆候もありません。

耐久レースなので回転数は6000回転前後をキープ。

この回転数は、日頃から「高回転で走行する」という四輪と同程度じゃないでしょうか。

スパークプラグは普及品でも十分に性能は高く、色々と余裕のある四輪ならば、適正の熱価こそが一番、性能を引き出してくれると学んだ経験でした。

話はプラグかぶりに戻りますが、元気で適正な熱価のスパークプラグはプラグかぶりを予防し、対処の際もエンジンが始動しやすくなります。

リフレッシュの際はもちろんですが、「エンジンの調子が悪いな」と感じたら、交換してはいかがでしょう。

[画像/Adobe Stock、ライター・撮影/糸井賢一]

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