18年・33万キロを駆けぬけてきた愛車、ホンダS2000の3つの魅力とは?

目次
1.■発売から25年が経過したホンダ S2000 2.■S2000との出会い 3.■所有して感じたS2000の魅力 4.■背中を押した2つのこと 5.■購入するなら今…かもしれないが、しかし 6.■あのレジェンドコミックの外伝作品に!

運転免許を取得するまで、クルマにまったく興味がなかった筆者。

運転はむしろ苦手で当初はAT限定免許を取得。

そんな自分がS2000を愛車とし、20年近く所有している。

「嫌い」が「好き」に変わった。

これは人生でもベスト3に入るほどの謎だ。

S2000はクルマの愉しさを教えてくれ、今も充実したカーライフを与えてくれている。

■発売から25年が経過したホンダ S2000

S2000はホンダ創立50周年記念車として1999年4月に発売、2009年まで生産された。

ホンダ伝統のオープンスポーツモデル「Sシリーズ」の系譜を受け継いでいる。

キャッチコピーは「リアルオープンスポーツ」。

オープンカーでありながら「サーキットが本籍」というほどの、高い走行性能を備えている。

▲駆動方式はFR。50:50の理想的な車体重量配分を実現した

生産終了から15年が経とうとしている今でも多くのファンに愛されているのは、量産車でありながら量産車にはない「車格を超えた存在感」があるからではないだろうか。

日常生活でもサーキットでも、乗る人の心を解き放ってくれるS2000。

これまで過ごしてきた日々とともに、筆者なりに感じた魅力を振り返ってみたい。

旧車王バナー旧車王バナー

■S2000との出会い

筆者が1999年式の初期型(前期型/AP1)を所有し始めて、18年を迎えた。

ボディカラーはグランプリホワイト。

手に入れた当時4万5000キロだったオドメーターは、33万キロに迫っている。

S2000が発売となった1999年当時、筆者はシビック・クーペに乗っており、クルマに興味を抱き始めたばかり。

同じホンダの最新スポーツカーだったS2000も自然とチェックした。

ホンダの公式サイトにはS2000専用コンテンツが開設され、ドアの開閉音やエンジンサウンドなどの音声サンプルも聴くことができた。

また、オーナーがカーライフを投稿するコンテンツ「愛車自慢」にもS2000の投稿が増えていた。

あるオーナーの投稿の「山頂まで走り、S2000で車中泊をしてご来光を拝んだ」という内容がきっかけで、S2000との暮らしを妄想するようになった。

「いつか手に入れたい」という気持ちが生まれ、S2000に傾いていく。

■所有して感じたS2000の魅力

【魅力1】官能的なF20C型エンジン

昨年、大規模なリフレッシュを決行した。

経験豊かなショップ「ComeTec」とご縁があり、エンジンを修理していただいた。

心から感謝を伝えたい。

慣らし運転を終え、何の不安もなく高回転まで回せるようになった。

S2000に乗る喜びを噛みしめている。

オーバーホールでは、劣化したエンジンまわりの部品がほぼすべて交換となった。

使われた部品は貴重なストック部品だった。

なかでもエンジンハーネスは、今後供給が危ういとされる部品のひとつと考えられる。

ストックしておくのがおすすめだ。

●16年目・25万キロ超え。愛車ホンダ S2000のエンジンをリフレッシュ
https://www.qsha-oh.com/historia/article/nozuru-s2000/

▲2LのNAエンジンながら最高出力250馬力を誇るF20C。高回転エンジンのため慴動部が多く複雑な構造をしている[写真提供 / ComeTec]

S2000の大きな魅力はエンジン。

AP1に搭載される直列4気筒DOHC VTECエンジン「F20C」は、S2000のために専用開発された、9000回転を許容する超高回転型だ。

VTECが作動し、レッドゾーンに向けてドラマティックに盛り上がる様子は音楽を奏でているようで「心に語りかけてくる感覚」を覚える。

全開にした際の加速感も痺れるが、巡航状態からアクセルを踏み込んだときの機敏な反応も「エスとひとつになっている」というしみじみとした感動を与えてくれる。

【魅力2】オープンカーで良かった

S2000に乗って魅力を感じた点のひとつがオープンカーであること。

最初はオープンカーに憧れていたわけではなかったが、当時装着していたハードトップを外し、オープンエアを感じた瞬間に世界が変わった。

風に包まれる感覚、ダイレクトに聞こえるエンジンサウンド。

海沿いや林道を走るときはオープンに限る。

景色、匂い、温度、音の変化を感じながら走るのが心地いい。

オープンカーがこんなにも五感を刺激するクルマだったとは。

オープンドライブ後に飲むビールも心満意足なのだ。

▲ハイXボーンフレーム構造によって、クローズドボディと同等の剛性を実現。電動ソフトトップは6、7秒で開閉する

【魅力3】操る愉しさと難しさが同居する

S2000は、誰でもある程度楽しく走らせることができる。

道をトレースするように、イメージ通りに曲がっていく。

ただ、調子に乗っていると途端に牙を剥く。

10年ほど前、ワインディングで事故を起こしたS2000(初期型)の救出に仲間と駆けつけたことがある。

オープンの状態で横転しており、ドライバー本人は道路と座席の隙間にうまく入り込んで無事だった。

運良く小柄な体型だったことと、ハイXボーンフレームが命を救った。

事故を起こしたのは、運転歴が浅く、若いオーナーだった。

彼の仲間がいうには「運転がうまくなったと褒められて有頂天になり、勢いよく走り出してまもなくクラッシュした」とのことだった。

そもそも公道でするべきではないのはもちろんだが、S2000の性能を運転がうまくなったと錯覚していたのだろう。

S2000、とくに初期型といえば「ピーキー」、「乗り手を選ぶ」などの言葉が発売当初からついてまわっているが、実際に乗ってみると普段使いでそれらを感じることはない。

高い速度域での旋回時にコントロールすることが難しいという意味だ。

振り返ってみると、乗り手の自制心やクルマへの向き合い方もS2000に試されているのではないだろうかと感じる。

そういう意味でも「乗り手を選ぶ」はあると思っている。

旧車王バナー旧車王バナー

■背中を押した2つのこと

S2000を購入する前、とても迷った。

スポーツドライビング未経験の筆者が、このクルマを購入してオーナーとしてやっていけるのか。

そんなとき、背中を押してくれた2つの言葉があった。

1.自動車誌の記事

S2000が現行車だったころの自動車誌では、特集が頻繁に組まれていた。

記事の中にこんな一文があった。

「乗りこなすことがすべてではない。S2000に取り組んだ時間そのものに価値がある」

都合の良い解釈かもしれないが、この一文を読んで心が軽くなり、前向きになれたことを覚えている。

2.職場仲間の言葉

当時の職場仲間が、念願だったニュービートルを購入するとうれしそうだった。

そんな彼女の言葉が背中を押してくれた。

「本当に欲しかったクルマとすれ違うたびに、あのクルマに乗りたかったと思うのが耐えられない」

この言葉を聞いてからまもなく、中古車店へ足を運んだ。

■購入するなら今…かもしれないが、しかし

一時は高騰していた中古車市場も、少し落ち着きを見せているようだ。

乗りたいと思っているなら今がチャンスかもしれない。

ただ、発売から10年、20年が経過している古いクルマでもあるので、購入時はリフレッシュ込みの予算が望ましいだろう。

せっかく手に入れても、次々に故障して入院を繰り返すようではモチベーションも下がってしまう。

そして修理のときにも感じたことだが、S2000の部品供給状態は厳しい。

メーカーにも事情があるにしろ、S2000という車種をもっと大切してはもらえないだろうか。

これは、同メーカーの他車種のオーナーも同じ気持ちだと思う。

S2000よりも高性能なクルマは、あれから数多く登場している。

それでも今なお多くのクルマファンの心を掴むのは、現代のクルマにはない魅力が詰まっているからなのだろう。

1台でも多く元気で走っていてほしいと、いちファンとして願うばかりだ。

旧車王バナー旧車王バナー

■あのレジェンドコミックの外伝作品に!

最後に、筆者はあのレジェンドコミック「オーバーレブ!」の外伝、「オーバーレブ! 90's -音速の美少女たち-」に出演した。

作者の山口かつみ先生とご縁があり、実現したものだ。

筆者がS2000を購入するまでのエピソードをストーリーにアレンジしていただき、憧れのキャラクターと同じ世界に存在することができた。

山口先生に心から感謝を伝えたい。

▲©️山口かつみ(秋田書店)2021

「オーバーレブ!」は、続編の本編「クロスオーバーレブ!」が進行中。

最新話は「マンガクロス」にて楽しめる。

●クロスオーバーレブ!
https://mangacross.jp/comics/crossoverrev/1

▲©️山口かつみ(秋田書店)2019 

秋田書店公式HPの「ヤングチャンピオン烈」のページにて、「クロスオーバーレブ!」「音速の美少女たち」を試し読みできる。

ぜひ!

●秋田書店
https://www.akitashoten.co.jp/

[取材協力]

・秋田書店

・ComeTec 
広島県福山市神村町2107-2
公式HP:https://www.cometecracing.com/
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100032848646363

・山口かつみ

[ライター・撮影 / 野鶴 美和] 

画像1 画像2 画像3 画像4 画像5 画像6 画像7 画像8 画像9
画像ギャラリー(全9枚)を見る

旧車王のLINE友だち登録
カンタン査定申し込み!

友だち追加

この記事をシェアする

旧車王ヒストリアは
旧車買取20年以上の旧車王
が運営しています

旧車売るなら旧車王

旧車王は、「自動車文化遺産を次世代へ」という信念のもと、旧車・クラシックカーに特化して23年、年間11,000台以上の査定申込をいただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

旧車王サイトはこちら

まずは車について気軽に相談したい

どんな相談ができるの?

関連する記事

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

イベントレポート 2024-04-16
2024年4月にS2000が25年ルール解禁!今後値上がりする?

2024年4月にS2000が25年ルール解禁!今後値上がりする?

旧車市場動向 2024-04-03
参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

イベントレポート 2024-03-31
若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

イベントレポート 2024-03-30
初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと

初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと

イベントレポート 2024-03-21
オープン2シーターとして人気のホンダ S2000!世界一を目指したSシリーズの歴史と魅力に迫る

オープン2シーターとして人気のホンダ S2000!世界一を目指したSシリーズの歴史と魅力に迫る

旧車の魅力 2023-11-30
16年目・25万キロ超え。愛車ホンダ S2000のエンジンをリフレッシュ

16年目・25万キロ超え。愛車ホンダ S2000のエンジンをリフレッシュ

ライター愛車レポート 2023-11-01
23年の歴史に幕を閉じる「チューニングフェスタ2022〜 咆哮を聞け 〜」 イベントレポート

23年の歴史に幕を閉じる「チューニングフェスタ2022〜 咆哮を聞け 〜」 イベントレポート

イベントレポート 2023-02-05

記事ランキング

1
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

ライフスタイル 2023-09-14
2
車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

旧車売買の豆知識 2024-02-02
3
ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

旧車売買の豆知識 2023-10-27
4
アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

旧車市場動向 2023-12-28
5
車のキュルキュル音は放置しないで!原因と修理料金を解説

車のキュルキュル音は放置しないで!原因と修理料金を解説

旧車メンテナンス 2023-11-10
6
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車売買の豆知識 2024-03-04
7
車検証の住所変更はオンラインでできる!方法や必要書類などを紹介

車検証の住所変更はオンラインでできる!方法や必要書類などを紹介

旧車売買の豆知識 2024-01-29
8
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車メンテナンス 2023-10-18

カテゴリ一覧

# 旧車コラム # 旧車の魅力 # 旧車売買の豆知識 # 旧車市場動向 # 旧車メンテナンス # エディターズノート # ライタープロフィール # イベントレポート # ライフスタイル # 加藤久美子&博人の見識 # ドイツ現地レポ # ライター愛車レポート # タイレルP34を追え! # オーナーインタビュー # 名車&迷車烈伝 # マツド・デラックスの世界 # 海外現地レポ