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旧車の魅力と知識

空飛ぶレンガの再来?! ボルボ伝統のスクエアボディ850 T-5Rエステートの魅力
旧車の魅力と知識 2023.05.30

空飛ぶレンガの再来?! ボルボ伝統のスクエアボディ850 T-5Rエステートの魅力

ボルボ 850のスポーツタイプ特別仕様車として、1995年に発表された850 T-5R。日本国内では、T-5Rエステート(ステーションワゴン)とT-5Rセダンの両モデルが限定650台で販売されました。 特に人気を集めたのが、ステーションワゴンタイプのT-5Rエステートです。イギリスではツーリングカー選手権で優勝、日本ではグッドデザイン大賞を受賞するなど輝かしい経歴をもつ、ボルボ 850 T-5Rエステートの魅力を紹介します。 空飛ぶレンガの名にふさわしい850 T-5R エステート ボルボ 850 T-5Rエステートは、レースでの活躍を受けて開発された限定仕様のスポーツモデルです。もともとスポーティさを追求して設計されたボルボ 850は、異例の形でレースに投入されると、高い実力を証明してみせました。かつてレースで活躍した240の呼び名から「空飛ぶレンガの再来」とまで評されます。 ベース車輌の850も含めて、T-5Rの開発背景を振り返ってみましょう。 ステーションワゴンブームの火付け役ボルボ 850 ボルボ 850 T-5R エステートのベース車輌のボルボ 850 エステートは、先行して発売されていたセダンタイプに加わる形で1993年に登場しました。ボルボの新たな主力車種として位置付けられた850は、ボルボ初のFFレイアウトを採用するなど意欲的に開発されたモデルです。 日本にも同時期に正規輸入されると、大ヒットを記録。輸入車にもかかわらず、スバル レガシィとともにステーションワゴンブームの火付け役といわれています。「頑丈で安全なクルマ」という従来のボルボのイメージに、スポーティな要素を新たに加えた850は、日本のステーションワゴンにも大きな影響を与えました。 真の空飛ぶレンガはT-5R エステート ボルボ 850 T-5R エステートが誕生した直接のきっかけは、850でのレースへの参戦です。ボルボはかつて240ターボでレースに参戦し、直線基調のボディスタイルと輝かしい実績を評して「空飛ぶレンガ」と呼ばれました。 「空飛ぶレンガの再来」と話題になった850でのレース参戦ですが、さらにボルボの選んだ参戦車輌が注目を集めます。レースでは不利といわれるステーションワゴン、エステートを選んだのです。ボディ剛性の不足、リア側の重量など決してレース向きとはいえないステーションワゴンでの参戦は異例のことでした。 そして、1994年に英国ツーリングカー選手権(BTCC)で見事入賞を果たします。シリーズ優勝こそ掴めなかったものの、何度かの入賞で高い運動性能を証明。レース成績によって850 エステートに多くの注目が集まったことから、よりスポーティなT-5Rのリリースにつながりました。 なお、850 T-5Rはセダンも投入されますが、レースで結果を残したことを考えると、真の空飛ぶレンガはステーションワゴンのエステートです。 レースをきっかけに生まれたT-5Rエステートは数週間で完売 レースでの成功を受けて開発された850 T-5Rは、レース車輌のイメージを可能な限り投影したモデルに仕上げられます。チューニングが施されたエンジンに、専用のエアロパーツなどファンの心を掴む特別仕様車T-5Rは、限定2,500台が用意されたクリームイエローの完売後には、追加カラーが投入されるほどの人気ぶりでした。 日本国内でもおよそ600万円という高額だったにもかかわらず、限定台数650台(エステート500台、セダン150台)は数週間で完売。よりスポーティな限定仕様車だったことと、850が火をつけたステーションワゴンブームを背景に高い注目を集めました。 R-DESIGNのルーツらしく魅力的だった850 T-5R 現在のボルボのスポーツモデルには、「R」の文字が含まれるモデル名がつけられていて、総称して「R-DESIGN」と呼ばれています。そして、実はスポーツモデルとしてR-DESIGNが確立したルーツは850 T-5Rでした。 特別仕様にふさわしい数々のチューニングが施された、850 T-5R エステートの魅力を紹介します。 コンプリートカー並みの高性能モデル 850 T-5Rには、専用設計の2.3L直列5気筒ターボエンジンを搭載。ベースモデルの2.5Lよりも排気量が小さいものの、最高出力240ps、最大トルク30.6kg・mを発生するまでにチューニングされていました。0→100km/h加速は6.9秒を誇り、鈍重な印象の強いステーションワゴンのイメージを払拭します。 また、しっかりと固められた足回りやホイールなど、コンプリートカーと呼べるほど専用パーツが盛り込まれていました。 クリームイエローが「T-5R」の証 ホンダ シビック タイプRのチャンピオンシップホワイトのように、特別なスポーツモデルには専用カラーが用意されていることが少なくありません。850 T-5Rも例外ではなく、特別色「クリームイエロー」が限定車の証です。 850 T-5Rは、性能面だけではなく外装も専用設計でよりスポーティに仕上げられています。大きな開口部が目をひくフロントバンパー、ステーションワゴンらしからぬ大型リアスポイラーとレーシングカーを強く意識したデザインが印象的です。 ボルボ特有のボクシーなボディデザインとの組み合わせによって、より骨太な特別感あるエクステリアに仕上がっています。 ボルボ 850 T-5Rは即完売の人気車だっただけに慎重に取引したい ボルボ 850 T-5R エステートの発売の翌年には、実は後継車850Rも販売されました。しかし、こちらもT-5R同様即完売したという逸話が残っています。どちらも限定販売で希少性が高いため、つい細かな確認をしないまま取引してしまいがちです。 しかし、発売からすでに30年近くたっている旧車でもあるため、状態の確認はしっかりとしましょう。 また、売却する際に希少性を理解していない一般中古車店に持ち込むと、正しい評価をしてもらえないおそれもあります。ボルボ 850 T-5Rを取引する際は、必ず知識のある旧車専門業者に相談しましょう。

ドイツでは自分の敷地で洗車しても罰金に!? 納得の理由とは
旧車の魅力と知識 2023.05.29

ドイツでは自分の敷地で洗車しても罰金に!? 納得の理由とは

著者がドイツで生活を始めて、約一年が経過した。 この国でクルマを所有している人にとって、一度は疑問に感じたことがあるのではないだろうか。 そう、ドイツでは自分の敷地内であっても、決められた場所以外での洗車は禁止されていることだ。 自宅での洗車は連邦政府による禁止事項ではなく、地方条例によって規制されているのだ。 仮に自分の敷地、私道、または公共の駐車場で洗車した場合は罰金で処罰を受けることもある。 ではなぜ自宅での洗車が禁止されているのか? 今回はドイツの洗車事情について解説していく。 ■ホースでクルマに水を掛けることさえNG まずクルマを洗うと、汚れやほこりだけでなく、油やガソリンも一緒に洗い流されるだろう。 これらはただの水と違い、蒸発して消えてなくならないため、環境汚染へと繋がることが懸念される。 このような汚染から環境を守るために、水保護条例が制定されている。 ドイツでは水資源法に従って、有害な物質を水域に流してはならないと規定されている。 従って、私有地であったとしても洗車をする場合、汚れた水が浸透して道路を汚染してはならないというわけだ。 ■日曜日は洗車場も使えない? ドイツでは日曜日になると、スーパーやカフェ、レストランをはじめ、ほとんどの店舗が閉まっている。 これは1900年頃に制定された出店法により、基本的に日曜祝日は休みとし、家族と過ごしたり、教会へいくべきとされているからだ。 例外としては基本的な物質を確保するために、ガソリンスタンドや薬局、また日曜営業の特別許可を申請した一部のお店のみが営業を許されている。 そのため、洗車場は一般的に休業となっており、ガソリンスタンドに併設された洗車場もガソリンの販売のみとなっているところが多いようだ。 しかしこれらは、全国的に統一された規制ではなく、連邦州によって異なるため、中には日曜日も営業している洗車場も存在する。 ただでさえ、自宅での洗車が禁止されている上に、日曜日はどこの洗車場も閉まっているとなると不便極まりないという状況だ。 ■洗車をしたい場合は全自動洗車機がお得 上記のような厳しい規制があるため、洗車をしたい場合は決められた洗車場へと行かなければならない。 ドイツの洗車場といえば主に2パターンあり 1.日本と同様に高圧洗浄機と洗剤噴射機が備え付けられた手洗い洗車専用スペース 2.クルマから一切降りずに足回りの洗浄から乾燥、拭き上げまでをすべて自動で行ってくれる全自動洗車機 この2つが存在する。 手洗い洗車の場合は1回1ユーロ(約150円/5月24日現在)と、リーズナブルな価格で高圧洗浄を行えるが、時間制限が設けてある。 従って、洗剤を吹きかけて→ブラッシングして→高圧洗浄して→足回りを洗浄して→また高圧洗浄をする……といった流れだ。 このようにひととおりの工程を行うと、結果的に5〜6ユーロ(約750円〜900円/5月24日現在)が必要になり、最低でも1時間ほどは時間を費やすため、時間とコスパがあまり良くない。 しかし、日本では見かけることがなかったドイツの全自動洗車機はかなり優秀だ。 まず洗車機の入り口へと入り、店員さんに希望のプランを伝えると高圧洗浄機で全体の汚れを落とし、足回りも重点的に洗浄してくれる。 その後、少し進むと次はワイパー下などの洗車機では届かない箇所を洗ってもらい、そのまま20mほどの全自動洗車機へと入る。 洗剤の噴射から始まり、最後は機械が拭き上げまで行ってくれるというシステムだ。 これで所要時間はわずか10分ほど、価格はベージックプランで10ユーロ(約1,500円/5月24日現在)からと、驚くほどにコスパが良い。 洗車機を抜けた時点でほとんど綺麗になっているが、最後の拭き残し等があれば横の室内清掃スペースで仕上げを行えばあっという間に洗車完了だ。 決められた場所でしか洗車ができない分、このような洗車場は平日の昼間でも列ができることがある。 日本では好きな時に好きな場所で出来たはずの洗車が、ドイツでは一苦労だ。 ■まとめ:ドイツ人は綺麗好きが多い? これまでドイツの洗車事情について解説してきたが、ドイツ人は綺麗好きが多いと著者は感じている。 街を走るクルマはどれも綺麗に保たれており、住宅街を歩けば綺麗に手入れが行き届いた庭ばかり。 スーパーや日用品店へ行くと洗車関連商品や清掃用品が豊富に取り揃えており、価格も非常に安い。 だからこそ、綺麗好きが多い国で洗車ができないというギャップに驚かれた。 しかし、必ずしもすべてが不便というわけではなく、自宅での洗車ができない分、全自動洗車機という日本では見かけることがなかった便利なシステムがこの国には存在した。 これには長年、クルマ業界に携わってきた著者も感動した。 日本でも導入されればきっと洗車好きを唸らせるはずだ。 [ライター・撮影/高岡ケン]

EVで復活?! ファイナルミニでもっとも人気の高かったポールスミス・ミニの魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2023.05.25

EVで復活?! ファイナルミニでもっとも人気の高かったポールスミス・ミニの魅力に迫る

2022年10月に開催された「MINI×Paul Smith in東京」でEVバージョンが展示されたことで、再び脚光を浴びたポールスミス・ミニ。伝統のスタイリングを守りながら、ポール・スミス氏のデザインが随所に光る特別仕様車は、当時はもちろん現在でも人気の高いモデルです。 今回は、オールドファンの心をつかんで離さないミニの誕生秘話と、特別仕様車ポールスミス・ミニの魅力をたっぷりと紹介します。 革新的なコンパクトカー「ミニ」 1950年代に登場したミニは、当時としては画期的なコンパクトカーでした。しかも、40年以上に渡って基本的なスタイリングを一切変えなかった珍しい車種です。 ブリティッシュ・モーター・コーポレーションの技術者、アレック・イシゴニス氏が作り上げたミニの開発背景と魅力を改めて振り返りましょう。 ミニの開発は矛盾した挑戦だった 初代ミニが登場したのは、イギリスが石油危機にさらされていた1959年でした。各社が燃費の改善に躍起になるなか、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が発売したコンパクトカーがミニです。 ミニの開発にあたって、BMCの技術者アレック・イシゴニス氏は、「広々とした4人乗りの座席を確保したままで、車体サイズはできるだけコンパクトにする」というテーマを掲げます。車体サイズを小さくするのに、車内のサイズは変えないという大きな矛盾を抱えた挑戦でした。 しかし、ミニは当時としては画期的な方法で、「ボディサイズの縮小」と「居住空間の確保」という相反する2つの要件を満たします。当時は一般的だった縦置きエンジンのFRではなく、ミニは横置きエンジンのFFレイアウトを採用することで、エンジンルームの大幅な縮小に成功。さらに、当時BMCが生産していたエンジンのなかで最小の850ccクラスのAシリーズエンジンを搭載し、コンパクトサイズでありながら居住空間は広い画期的なミニが生まれました。 ミニの名を世界に知らしめたレース参戦 ミニにはいくつかの呼び名がありますが、「ミニ・クーパー」という名で覚えている方も多いのではないでしょうか。「クーパー」は、正確にはミニのスポーツグレード名で車名ではありません。しかし、ミニの存在を世界に知らしめた存在として「クーパー」とミニは切り離せない歴史があります。 ミニの開発当時、テストドライバーとしてステアリングを握っていたジョン・クーパー氏は、開発者のアレック・イシゴニス氏にレース参戦を持ちかけます。あくまでも経済車として開発を進めていたミニのレース参戦に当初は難色を示していたものの、ミニ発売から2年後の1961年についにレース参戦を決定しました。 そして、レース参戦から3年経過した1964年のモンテカルロラリーで、真っ赤なボディカラーの「ミニ クーパーS」が見事に初優勝を飾ります。レースでの活躍によってミニは一気に注目を集め、初代のMK-1は販売台数100万台超という大成功をおさめました。 ポール・スミス・ミニは英国の最強コラボレーション 1998年に限定1,500台で販売された、ポール・スミス・ミニ。イギリスのファッションデザイナー、ポール・スミス氏がデザインを手がけた特別仕様車です。多くの人から愛されるデザインで、40年の販売実績をもつミニに、ポール・スミス氏のデザインが加わるというイギリス最強のデザインコラボレーションが実現したモデルです。 内外装の至るところにポール・スミス氏の遊び心が光るポール・スミス・ミニは、ベース車両のミニ最終型のなかでも圧倒的な人気を誇りました。 ミニのスタイリングに取り込まれたポール・スミス氏の遊び心 ポールスミス・ミニは、ボディデザインが大幅に変わっているわけではありません。歴代のミニ同様、1959年に登場したスタイリングを忠実に踏襲したモデルです。 一方で、専用カラーの設定やエンブレム、ホイール、内装など多くの箇所にポール・スミス氏のデザインが盛り込まれています。オリジナルの良さをスポイルすることなく、新たなデザインを施したことで一気に人気が高まりました。 ポール・スミス・ミニの特徴をさらに詳しく紹介します。 特別感あふれるインテリア ポールスミス・ミニの内装は、ボディカラーに関係なくブラックレザーで統一されています。ドアの内張りといったボディ側だけではなく、シートまでブラックレザーで高級感ある仕上がりです。 一方で、インストゥルメントパネルはボディカラーと同色でペイント。気に入ったボディカラーを選んでも運転をしていると見ることができません。しかし、インテリアにボディカラーを取り入れることで内外装の統一感をもたせるとともに、ドライバーの満足度も向上します。 また、さすがイギリスを代表する有名デザイナーであるがゆえの細部に渡るこだわりも見逃せません。たとえば、グローブボックス内にも塗装が施され、車載ジャッキをいれる工具袋はジーンズ生地で作られるなど遊び心あふれるデザインです。 キラリと光る外装デザイン ポールスミス・ミニのボディ全体のデザインは、歴代のミニと大きくは変わりません。しかし、随所にポール・スミス氏のデザインが光ります。基本的なスタイリングを守っていたことも、オールドファンからの人気を集めた理由かもしれません。 外装面でもっとも大きなポイントは、専用カラー「ポールスミス・ブルー」の設定です。標準車にはないカラーリングを楽しめます。また、チャコールブラックの8本スポークホイールも足回りを引き締め、外観上の印象に大きく影響を与えるポイントです。 一方で、遠目に見ても大きく印象がかわらないものの、エンブレム類には強いこだわりがみられます。ボンネットエンブレムは、ポール・スミス氏が手がけたデザインを宝石職人が七宝焼きで仕上げたものを採用。グリルにはグレート・ブリテン島をかたどったエンブレムもあしらわれています。 リアエンブレムもグレートブリテン島をテーマにしたものを使用。極め付けはリアウィンドウに洋服のタグを思わせるポール・スミスのロゴが施されています。 現在でも色褪せないポール・スミス・ミニ ポールスミス・ミニは、最終型がベースだったとはいえ登場からすでに25年が経過しています。しかし、クラシックミニのスタイリングとともに当時の人気は今も変わらず続いているようです。 ただし、設計の古いミニを中古車で売買する場合は注意が必要です。車輌状態の確認など、専門業者でないと正しく判断ができません。とくに1,500台という限定販売だったポールスミス・ミニは希少車で、正しい査定をするためにはベース車両以上の知識が必要です。 ポールスミス・ミニの売却を検討する際は、名車・希少車・旧車の専門業者に一度ご相談ください。

日産 サファリY60の魅力!ワイルドな風貌で悪路を走破する、クロカンブームを支えた実力派!
旧車の魅力と知識 2023.05.24

日産 サファリY60の魅力!ワイルドな風貌で悪路を走破する、クロカンブームを支えた実力派!

どっしりとしたスタイリングと大型グリルガードが演出するワイルドな風貌が印象的な、日産 Y60型サファリ。販売台数こそトヨタ ランドクルーザーに及ばなかったものの、ラダーフレームによる頑丈な作りと、高い悪路走破性は本格クロカン車として引けをとりません。 Y60型 サファリの本格クロカンとしてのこだわりを、歴代モデルも交えながら振り返ってみましょう。 軍用から民間用へ変化をとげたクロカン車 日産 Y60型サファリは、屈強な四輪駆動車として君臨しました。どんなに厳しいロード環境でも難なく切り抜けるそのタフさは、かつて自衛隊車両として製作された「パトロール」譲りといえます。 パトロールからサファリへ変化をとげたクロスカントリー車の歴史と開発背景を紐解いていきます。 サファリの起源は軍用車輌として開発された4W60 サファリの起源は1950年に登場した4W60です。開発されたきっかけは、日産が警察予備隊(現在の自衛隊)から車輌納品の要請を受けたことです。最終的に採用されたのは三菱 ジープでしたが、サファリはランドクルーザーと並んで国家警察(現在の警視庁)に納車されました。 日産は培ってきたトラック生産の経験に加え、ジープやダッジの下請け修理から学んだ経験をいかし、4W60を独自開発。「パトロール」の愛称で呼ばれた4W60は国家警察に納品後も改良を重ね、消防や医療、建設といった業務用車両として販路を拡大しました。 初代サファリを大きく刷新して地位を確立した2代目Y60型 パトロールと呼ばれた4W60は、業務用車輌としては高い信頼性を得ましたが、個人用としてはランドクルーザーに大きく遅れをとっていました。そこで日産は、国内の一般ユーザー向けにパトロールを一新することを決断。1980年に初代サファリ160型が誕生しました。 サファリの地位を確立したのは、1987年に登場した2代目Y60型です。シャシーと足回りを刷新し、新設計のエンジンも搭載。さらに、現代的な曲線を取り入れた、迫力のあるスタイリングに生まれ変わりました。 骨太設計が光るY60型サファリ ライバル、ランドクルーザーがSUV路線へと舵を切るなか、2代目サファリはあくまでもクロカン車としての性能を追求します。 クロカンとして高い性能を誇っていたY60型サファリの魅力を紹介します。 足回りを中心に悪路走破性を飛躍的に向上 Y60型でのもっとも大きな進化は足回りです。歴代のリーフリジッドサスペンションから、スタビライザー解除装置付きコイルリジッドへ変更。ストロークの長いコイルリジットによって、オフロードでの走破性を格段に向上させました。 さらに、タイヤの動きを制限しないタイヤハウス、障害物の影響を受けにくいボディ形状、頑強なラダーフレームを採用し、徹底的に悪路走破性を追求しました。本格クロカンとして最高の性能を備えたモデルといえるでしょう。 悪路で実力を発揮する大排気量エンジン Y60型の標準モデルに搭載されたエンジンは、TD42型4.2L直列6気筒ディーゼルエンジンです。最高出力135ps、最大トルク28.5kgm・fを発生しました。また、吸気方式をNAとしたことで扱いやすいエンジンに仕上がっています。 さらに1991年には、輸出モデルのみに搭載されていた最高出力175ps最大トルク32.6kgm・fを発揮するTB42E型4.2L直列6気筒ガソリンエンジンを国内向けモデルに追加しました。ライバル車にも引けを取らないスペックを誇るモデルです。 個人ユーザーも強く意識したモデル展開 Y60型サファリは、歴代で初めて4速ATを1988年に追加したモデルです。ほかにも、1991年には3ナンバーサイズのワゴンを追加するなど、ヘビーデューティ目的の特定ユーザーだけではなく個人ユーザーの幅広いニーズにこたえるモデルを展開しました。 ロングボディ、ショートボディ、欧州仕様のディーゼルターボの投入といったバリエーションが多彩にある点もY60サファリの魅力です。 中古車の売買は旧車専門業者に相談が全体条件 本格クロカンとしてさまざまな場面で酷使されやすいY60型サファリ。購入後の思わぬ故障やトラブルを避けるためにも専門業者からの購入をおすすめします。 また、売却する場合も注意が必要です。Y60サファリの本当の価値を評価してもらえない買取業者に査定を依頼すると、経年劣化やヘビーデューティによる傷みから過小評価される恐れもあります。 Y60型サファリは販売台数こそランドクルーザーに及ばなかったものの、高い悪路走破性と風格のあるボディデザインが魅力のクルマです。購入時も売却時もぜひ専門店に相談しましょう。

限定800台のレアモデル! ランクル70をベースに40を復刻したネオクラシックPX10
旧車の魅力と知識 2023.05.24

限定800台のレアモデル! ランクル70をベースに40を復刻したネオクラシックPX10

ランドクルーザー・ネオクラシックPX10は、ランドクルーザー70系(以下ランクル70)をベースに40系(以下ランクル40)のスタイリングを復刻したカスタムカーです。ランクル40の復活を強く望むファンの声に応えるため、1997年に800台限定で生産されました。 実質的にトヨタ純正のカスタムカーとして開発されたPX10の魅力と、ベース車輌のランクル70と40の歴史を振り返ります。 ロングセラーモデルをかけ合わせたPX10 ランドクルーザー・ネオクラシックPX10は、ランクル40をモチーフにランクル70をカスタマイズする形で開発されました。ランドクルーザーのなかでも販売期間の長かった2車種をかけ合わせた魅力的なモデルです。 両車の歴史とPX10誕生について振り返ってみましょう。 レトロスタイリングが魅力的なランクル40 ランクル40は、3代目ランドクルーザーとして1960年に発売されました。北米で人気の高かった先代ランクル20を踏襲しつつ、乗用車としての快適性や高速安定性を重視して開発されたモデルです。 ランクル40は、国内のみならず海外からも高い評価を受け、1984年のモデルチェンジまで24年も生産され続けました。 本格クロカン車としての信頼性とデザイン性の高さから、世界で100万台もの売上を記録。ランクル40発売終了後も、特徴的な丸目ライトに挟まれたグリル、左右独立して張り出したフェンダーというスタイリングにコアなファンは魅了され続けました。 世界でもっとも活躍しているサバイバルカーランクル70 ランクル70は、ランクル40のフルモデルチェンジで1984年に発売。2004年に国内での販売は終了したものの、オーストラリアでは現在も販売され続けているロングセラーモデルです。さらに、国内でも人気の高さから2014年に1年限定で再販されました。 高い悪路走破性を誇るランクル70は、世界でもっとも活躍しているサバイバルカーとして、現在も世界各国で走り続けています。 一方スタイリングは、ランクル40から大幅に現代的に変更されました。独立したフロントフェンダーは残っているものの、大幅にサイズが縮小されています。また、2007年のモデルチェンジでは、特徴の1つだった独立フェンダーそのものが廃止されました。 トヨタ純正のカスタムカーPX10の誕生 PX10の製作は、トヨタのボディ組み立てメーカーである「アラコ」の、創業50周年記念事業として企画されたのがきっかけです。販売終了後も根強い人気のあった、ランクル40の復刻版を製作しようと計画されました。 ランクル40のスタイリングを忠実に再現するため、当初は保存されていたランクル40の金型を再利用して完全復刻する予定でしたが、コスト面などの事情により、ランクル70のミドルサイズ(HZJ-73V)のシャシーを利用して開発されます。 結果的に、ランクル史上もっともモデルライフの長い2車種のかけ合わせという、ファン垂涎のカスタマイズモデルが完成しました。 アラコと同じくトヨタ系列の架装メーカー、モデリスタがPX10としてリリース。90年代のクロカンブームの最中ということもあり、ランクルファンのみならず、幅広い顧客から支持されました。 ランクルマニアの心をくすぐるネオクラシック PX10の魅力 2ドアミドルサイズのランクル70(HZJ73V)をベースにカスタマイズしたPX10。 メーカー直系のカスタマイズモデルだけあって、ドアとリアゲート以外のほとんどを新たに製作するなど、ランクル40ファンを裏切らない忠実な復刻を実現しました。 PX10の魅力を再確認してみましょう。 細かな点まで徹底的にランクル40を再現 PX10の魅力は、なんといってもフロントフェイスです。丸目ヘッドライトに挟まれたグリルやフロントバンパー、フロントフェンダーはランクル40を完璧に再現しています。また、ウインカーやミラー、サイドエンブレムといった細かな点も忠実に復刻され、ランクル40の息づかいを感じられます。 さらに、インテリアでは、初期のランクル40で特徴的だった三角窓とCピラーのリアクオーターガラスを復活。内装面は、保安基準の問題から鉄板むき出しにはできなかったものの、オプションで鉄板風パネルを用意するほどのランクル40へのこだわりをみせました。 70系の馬力と足回りはそのままに ボディデザインや架装はランクル40を再現しているものの、走行性能は最新のランクル70と同等です。エンジンは、1HZ型4.2リッター直列6気筒OHCディーゼルを搭載。最高出力135PS/最大トルク28.5kgmを発生し、レトロ感溢れる見た目とは裏腹に力強い走りを実現しました。 また、足回りも前後共にリーフスプリングとリジッドアクスルを組み合わせたランクル70のものを採用。高い悪路走破性と搭乗者の快適性を確保しました。 人気モデルだからこそ専門業者に相談したい PX10は、ランクル80にランクル60顔を移植するといったユーザーレベルのカスタマイズではなく、メーカー直系のコンプリートモデルです。こだわりをもって開発されただけに、現在でも多くのランクルファンからの支持を集めています。 しかし、PX10は800台限定で生産されたことから、中古車市場でもほとんど見かけません。希少車の場合、専門の業者でないと正しい価値判断ができなかったり、販売力の問題で取り扱いできなかったりすることもあるので注意が必要です。 売却を検討する際には、1990年代の車種を取り扱う旧車専門の業者に相談されることをおすすめします。

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」
旧車の魅力と知識 2023.05.24

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」

2023年の今、マツダ「ボンゴ」というと、トヨタからのOEMとなる商用車「ボンゴバン(タウンエース)」と「ボンゴブローニィバン(ハイエース)」となりますが、かつてはトヨタ「タウンエースワゴン」や日産「バネットラルゴ」などと同様の(どちらも絶版ネームですが)乗用タイプ1ボックスワゴンでした。 1983年に登場した3代目は、フォード「スペクトロン」としてオートラマ店も販売され、三菱「デリカスターワゴン」にも似た雰囲気のRVテイストで一定の人気を獲得。 しかし、1990年代に入ってもフルモデルチェンジは行われず、古さが目立ってきたものでした。 そんな中、1995年に突如として登場したのが、「ボンゴ フレンディ」です(フォード版「フリーダ」も同時に)。 ▲ボンゴフレンディ シティランナーNAVIエディション(2002年) 完全なワンボックススタイルから、衝突安全性への対応のため短いボンネットがついたセミキャブオーバー(エンジンは運転席下のままだった)となり、昭和の面影が残るスタイルから平成時代のテイストへとチェンジ。 しかし、ボンゴ フレンディの真骨頂は、「屋根」にありました。 「オートフリートップ」です。 ■画期的な車中泊テント標準装備 「オートフリートップ」とは、いわゆるポップアップルーフのことで、車中泊などアウトドアユースを意識したもの。 他社にもこうしたルーフを持つモデルはありましたが、特装車扱いで、通常グレードの中にラインナップされたことが画期的でした。 ▲ボンゴフレンディRFS Aero(2001年) テレビCMや新聞広告でも、このオートフリートップが盛んにアピールされ(ここしかアピールされなかったともいう…?)、「ボンゴ フレンディ=屋根が開くワゴン」というイメージが定着。 乗用ワゴンとしては特殊な仕様ではあったものの、当時、流行っていたオートキャンプブームの波に乗って、多くの台数が売れました。 オートフリートップは電動でルーフがポップアップし、テントが出現。 車内が2階建てになるという仕組み。その広さは、大人2人の就寝スペースとして使えるほどでしたから、なかなかのものです。 ▲オートフリートップ ▲RFS Aeroのインテリア (全高以外は5ナンバーサイズだったけど)スクエアで立派に見るスタイリングも相まって、「家族思いの頼もしいお父さんのクルマ」というイメージが定着し、一定の成功を収めます。 以後、同様のルーフを標準ラインナップの中に持つモデルは、日本メーカーから出ていません。 そういう意味では、唯一無二の「名車」といえます。 ■一世代限りで終わった「そんな時代」 では、「迷車」の要素は?  それは、わずか一世代で終わってしまったその存在感にあります。 たしかに、キャブオーバーからFFベースのミニバンへの過渡期にあったセミキャブオーバーというパッケージングは、やや中途半端な存在ではありました。 しかし、それは日産の初代「セレナ」だって同じ。 ▲バネットセレナ(1991年) でも、セレナはFFベースへとパッケージングを改め、“カジュアルなスタイルの5ナンバーミニバン”というキャラクターを変えることなく、生き続けました。 一方のボンゴ フレンディは2006年に生産を終了すると(意外やロングセラーでした)、フルモデルチェンジを行うことなくフェードアウト。 約2年のブランクを経て、マツダはFFベースのミニバンを「ビアンテ」として発売します(これも10年販売されフェードアウトした名車&迷車といえそうです)。 もちろん、オートフリートップの設定はありません。 ▲ビアンテ(2008年) ビアンテを“事実上の後継車”と見る向きもありますが、ボンゴ フレンディの要素はキレイサッパリなくなってしまったのです。 だからといって、マツダの判断が間違っていたとはいいません。 なぜなら、“そんな時代”だったから。 1990年代後半は、ホンダ「オデッセイ」や「ステップワゴン」がヒットし、日産が「エルグランド」で高級ミニバンというジャンルを開拓。 それと相関するように「ハイラックスサーフ」や「パジェロ」といったクロカン4駆の販売が下降し、RVブームが終焉を迎えます。 そして2000年代に入ると「ヴォクシー」や「アルファード」も登場し、3列シート車に求められるものが、1990年代とはまったく異なるものに変わっていくのです。 ■もしも、登場が3年早かったら・・・? 仮に2代目ボンゴ フレンディが2000年代半ばに登場していたところで、オートフリートップ車がたくさん売れる状況にはならなかったでしょう。 事実、ボンゴ フレンディは1999年にエアロパーツ装着グレードを追加し、販売の主力はエアロ仕様に移っていきました。 ▲ボンゴフレンディ シティーランナーIV (2002年) オートフリートップ標準装備のボンゴ フレンディが登場し、10年でモデルライフを終えたのは、まさに“そんな時代”だったからなのです。 ボンゴ フレンディというクルマそのもの、というよりも、惑う時代の中で生まれた結果、その存在感が迷車とさせた。そういったほうが正確かもしれません。 歴史に「もしも」はありませんが、ボンゴ フレンディの誕生が1995年ではなく、オデッセイ発売前夜で、パジェロが飛ぶように売れていた1992年だったら。 あるいはエスティマ誕生と同じ1990年だったら……。 もしかしたら、オートフリートップが爆発的に売れ、マツダやRV車の歴史を変えていたかもしれません。 そう考えると、名車と迷車は紙一重。 だから、こうして「名車&迷車」として書き記しておきたかったのです。 [画像:マツダ、日産自動車/ライター:木谷宗義]

知れば知るほど奥深い?ネジについて掘り下げてみた
旧車の魅力と知識 2023.05.22

知れば知るほど奥深い?ネジについて掘り下げてみた

旧車のレストアに限らず、DIYで何かをするとしたらまず基本となるのがネジ類だと思います。 とはいっても、日常生活でもドライバーとビスと呼ばれる小ネジを締めたり、緩めたり、という行為は特にDIYを趣味としてない人でも当たり前のように行っていると思います。 今回は、ネジについて掘り下げてみようと思います。 ■ネジにはさまざまな規格と種類がある ある程度、機械関係に関わっている人ほどご存じのことだとは思いますが、ネジの種類と規格をすべて網羅している人はなかなかいないのではないかと思います。 原稿を書いておいておかしな話ですが、機械のスペシャリストになるほど、ネジの専門商社にこういうときにはどんなネジを使えばいいのかとか、現物についていたネジを持ち込んで同じものを探して欲しいと任せるかもしれません。 それくらい、使用用途に合わせた専用のネジが存在します。なので今回は主に自動車でDIY程度で弄ることが可能な範囲内に使われているネジを中心にお話しします。 慣例的には頭の部分に、+や-の切れ込みがあり、ドライバーで回すタイプのネジを「ビス」「小ネジ」と呼び、頭の形状によって「鍋小ネジ」「トラス小ネジ」「皿小ネジ」と呼ばれます。もっとも安価でよく使われるのが鍋ビスです。  ▲左から鍋ネジ、トラスネジ、皿ネジ、タッピングネジ 頭の形が六角形でスパナで回すタイプで主に鉄の棒にネジ山が切ってあるネジ(雄ネジ)を「ボルト」と呼び、六角形の主に鉄の輪の内側にネジ山が切っているネジ(雌ネジ)を「ナット」と呼ぶことが一般的です。 ナットはビスと組み合わせて使うこともあります。 ネジのピッチ部分が大きく先がとがっているものは、木ネジ、タッピングネジと呼ばれているもので、雌ネジを切っていない木製部品や樹脂部品、鉄板に直接ネジ山を切りながら締めていくという使い方をします。 ネジ山の形状はISO規格に基づいた世界共通の規格が採用されており、「メートルネジ」と呼ばれています。 一般にホームセンターや金物屋で販売されているネジはもちろん、現在世界中の自動車をはじめとする工業製品に使われているネジがこちらのネジです。 サイズはネジを切った部分の山の先端部分を計った径をmmで表し、主にクルマで使うのはM4、M5、M6、M8、M10、M12となります。  ただ、なかにはネジの径ではなくスパナのサイズで呼ぶ人もいます。 たとえば「10mmのボルト」が欲しいといわれたときにスパナサイズが10mmのボルトなのかネジ径が10mm(M10)のボルトなのか戸惑ったことがあります。 ネジの山と山の距離を「ピッチ」と呼び、同じボルト径でもピッチの数値が大きい並目と数値が小さい細目があります。 ■曲者のインチネジ 旧車王の読者の方の中にはご存じの方も多いと思いますが、イギリスやアメリカのようにメートル法ではなくインチを使っていた国のクルマの中には「インチネジ」というメートルネジとは違った規格のネジを採用している車両も存在します。 インチサイズでは1/4、3/4、1/2等の分数がネジ径やスパナサイズの数値単位に使われます。 国産車の中にも、1970年代初頭までのモデルの中には、アメリカ車やイギリス車のノックダウン生産やライセンス生産で技術習得していた時代の名残で一部インチネジが使われていることがあります。 また、シートベルトの固定用ボルトは世界共通規格としてユニファイ7/16-20(ユニファイについては後述)というインチ規格のネジが使われています。  ▲シートベルト固定用ボルト、実はユニファイという特殊な規格のネジです また厄介なことにこのインチネジにも二種類あり、イギリスの古い規格のウィットワースとアメリカのユニファイがあります。 第二次大戦時に連合国同士だったアメリカとイギリスで軍用車を融通する際に、両国のネジの規格の違いが問題となり、1940年代以降米英の車両はユニファイネジを使用しています。 ユニファイネジはボルトの六角形の頭部分にメルセデス・ベンツのエンブレムのような3本線の打刻が入っているので識別は容易です。 他にもアメリカ製のバイクや楽器、パソコンにもユニファイネジが使われています。  ▲古い輸入車等で3本線の打刻のボルトが使われていたら要注意です しかし、それでも古いイギリス車の中にはユニファイのネジの中に、稀にイギリス古来のウィットワースが使われているケースもあります。 ちなみにウィットワースは、現在でも日本では建築関係や配管関係で一般的に使われています。 水道管のジョイント部分に1/4や3/4等の分数が刻印されているのを目にした経験が一度はあるのではないでしょうか? そのため、ウィットワース規格のネジは比較的入手も容易です。 ところが、「ユニファイ規格のネジ」となると入手の難易度が急に上がります。 アメリカとイギリスで採用された規格のため、「部品の供給が安定している」という理由でアメリカ車とイギリス車のクラシックカーに手を出したところ、ネジがユニファイで苦労するというケースも……。 近年は大型のホームセンターでも輸入バイク用ネジとしてユニファイ規格のネジを店頭で見かけることもあるのですが、ユニファイ1/4-28が2本セットで400~500円です。 ミリネジで似たようなサイズでM6サイズのネジが1本10円前後と考えると、10倍~20倍です。 古いジャガーのレストアで目についたネジを一新しようとすると、ネジだけで何千円、場合によっては1万円を越えてギョッとすることもあります。 アメリカ車やイギリス車を直すときはネジはなるべくなくさないようにしてください。 ■ユニファイネジを格安で入手する方法 そんな高価なユニファイネジですが、筆者が見つけた格安で入手する方法があります。 あくまでも筆者が暮らす中京圏での話になりますが、某有名中古カー用品・バイク用品店チェーン店の名古屋の某店舗では、バイクコーナーのジャンク部品の棚にバケツに中古のネジを入れて1本10円で販売しています。 そのバケツの中のネジを辛抱強く探してみると「輸入バイク」から外したと思われる、3本線の打刻入りのボルトが何本か混じっていることがあり、1本数百円のネジを10円で手に入れることができます。 ユニファイネジのクルマのオーナーの方は、輸入バイクを扱っている店舗で中古ネジの量り売りをしているのを見かけたら、定期的に漁ってみることをお勧めします。 ■しかしメートルネジにも思わぬ落とし穴があった 我々のご先祖様は厄介なことをしてくれたもので、メートルネジにも「旧JISネジ」と呼ばれるJIS規格による日本独自の規格のネジが存在します。 ネジの径はISOネジと同様なのですが、ネジ山の「ピッチ」がISOの並目より僅かに大きくなっています。 無理にISO規格のネジに旧JISのネジを嵌めてしまうとネジ山を潰してしまうことになります。 日本では1960年代初頭からISOネジが導入されているものの、国産車でも1960年代前半までのクルマには旧JISネジが使われています。 おおむね1960年代末ごろにISOに完全移行するのですが、1960年代半ばまでのモデルにはJISネジとISOネジが混在していることがあります。 そればかりか、前述のようにインチネジが混在しているモデルもあり、インチと旧JISとISOが混在したキメラ状態のクルマもあるようなので国産車といえども注意してください。 ■同一サイズのネジにも実は種類がある ネジの径、ピッチが同じでも材質や強度、表面処理、頭部部分の形状に用途に合った種類やグレードがあります。 自動車の場合、高速で動いたり、大きな力がかかる部分が多く、特殊な形状の部品を固定する必要があります。 JISやISOだけでなく自動車の工業規格に基づいたネジが使われています。 ボルトの頭部分に4、6、7、8等の数字が刻印されていた場合は要注意です。 これは強度区分記号であり、強度区分の刻印のあるボルトが使われていた箇所は、同じ区分刻印、あるいはそれに相当するボルトを使ってください。 詳細は割愛しますが、自動車の工業規格では、旧JIS規格の強度規格に基づいた表記が使われています。 一般にホームセンターで流通しているボルトの強度は4.8、自動車では4の刻印がこれに相当します。 それ以上の数字の場合は、一般のホームセンターで売られているボルトでは強度不足を起こす危険性があります。 DIYでクルマを弄る人の中にはホームセンターで売られているボルトは使わず、メーカー純正のボルト、あるいはネジの専門商社に適合するボルトを調べてもらって取り寄せるという注意深い人もいるそうです。 重要な保安部品や強度を要する部品の脱着時は注意してください。 ▲ボルトに数字が強度区分の打刻されていたら、必ず同等の強度のボルトを使用 ■ステンレス製のネジは極力使わない 1990年代、サビ対策でステンレスのネジを使うというのが流行った記憶があります。 ステンレス製は見た目もよく、バイクカスタムではキャップボルトと呼ばれる、六角レンチを使うタイプのステンレス製のネジに交換することも見受けられます。 ところが、近年はサビ対策でステンレスのネジを使うのは逆効果という認識が広まっています。 鉄とステンレスでは異種金属接触腐食が発生し、ステンレスと接触している鉄は酸化が進みやすくなり、ボルトの周りの鉄部分の錆がかえって促進されることになります。 鉄の部品は鉄のネジで固定するのが好ましいでしょう。 しかし、熱で酸化が進みやすくボルトがすぐに折れてしまうエキゾーストパイプ周りや、下回りの常に泥水がかかってボルトが腐食してしまうような場所はステンレスのほうが良いというケースも稀にあります。  ▲ステンレス(SUS)のボルトは見た目は良いが、錆の発生の原因にも…… ■ボルト締結時は必ずワッシャー(座金を)使うべし! ビス・ボルトで部品を固定するときは必ず、緩み止めとしてワッシャーを使ってください。 ワッシャーを使うことでボルトの摩擦面の面積が増え、緩みにくくなります。 さらにスプリングワッシャー(バネ座金)を使うとより緩み止め効果が高まります。 ネジ穴が長穴や大きくなっている場合は、木工用の大きなワッシャーを使うのも一つの手です。 頻繁に外すことが多い、手の入りにくい場所は、いっそワッシャーの必要がないフランジボルトやフランジナットを使うのもいいかもしれません。 小ネジの場合、頭部分の大きいトラスビスを使ってワッシャーを省くという方法もあります。 ■締め付けは適切なトルク(回転力)で もちろんトルクレンチを作って厳格にトルク管理をするのが望ましいのですが、エンジン機関部やサスペンション本体ではなく、今回の記事で対象にしている外装品やアクセサリー類程度の取り付けであれば……。 例えばコンビレンチやラチェットレンチの場合、ちょうど一般的な大人が手で締めて動かなくなるくらいが適正トルクになるよう工具のサイズが作られているといわれています。 パイプで延長したり、ソケットレンチでグリップ部分が伸縮するタイプで標準より伸ばした状態で締めるようなことをしなければオーバートルクにはならないといわれています。 DIYはまずここから始めて、その後、トルクレンチやエアーラチェット、インパクトレンチなどの動力工具にステップアップしていくのが良いと思います。 [画像/AdobeStock、ライター・撮影/鈴木修一郎]

チェロキーとは?チェロキーの歴史・歴代モデルや他のジープの車種との比較についても解説
旧車の魅力と知識 2023.05.19

チェロキーとは?チェロキーの歴史・歴代モデルや他のジープの車種との比較についても解説

アメリカンSUVのチェロキーに一度は乗ってみたいという人も多いでしょう。チェロキーは、悪路走破性に定評のあるジープブランドのSUVとして人気の高いモデルです。今回は、チェロキーの歴史や歴代モデル、他のジープとの違いなどについて解説します。チェロキーの購入を検討中の人は参考にしてください。 チェロキーとは チェロキーを手がけるジープブランドのオフロード性能の高さは圧巻です。1941年に米軍の要請で開発された軍用車から始まり、過酷な戦場で悪路走破性と耐久性を実証することにより世界的なブランドになりました。 チェロキーは、1974年に発売されたジープ ワゴニアをスポーティーに変化させた2ドアモデル(SJ型)が発端です。以降、1984年にフルモデルチェンジした2代目は日本でも大ヒットとなりました。5代目となったチェロキーもジープ伝統の悪路走破性の高さとコストパフォーマンスのよさで、本格的なオフロードを走破するSUVとして多くのファンを魅了しています。 チェロキーの歴史・歴代モデル チェロキーは、1974年の初代発売以降、50年近く販売され続けています。経営母体のアメリカン・モーターズが1987年にクライスラーに買収され、さらに1998年にはダイムラー・ベンツと合併、2009年に経営破綻したことから2014年にはフィアットの完全子会社へと移り変わります。 目まぐるしい変遷の中でも長期にわたって車名を継承したチェロキーは、さまざまな方面から技術やトレンドを取り入れることで、今なお多くのユーザー層に指示されています。一時的なブームにも翻弄されず、着実にブランド力を高めたSUVの代名詞といっても過言ではないでしょう。 続いて、チェロキーの歴代モデルについて詳しく解説します。 1990年式モデル 1990年式モデルのチェロキーは日本でもっとも売れたXJ型で、アメリカ本国では2代目にあたります。XJ型の開発には1979年当時にアメリカン・モーターズの46.1%の株式を取得していたルノー社の影響を強く受けており、ボディサイズや外観デザインにユーロテイストが取り入れられたのが特徴です。初代SJ型よりもコンパクトなボディサイズは日本でも受け入れられ、大ヒットとなりました。 【基本スペック】 排気量 3,959cc(ラレード)、3,928cc(リミテッド) 駆動方式 4WD 乗車定員 5名 ボディサイズ ラレード:全長 4,390mm 全幅 1,780mm 全高 1,635mmリミテッド:全長 4,280mm 全幅 1,780mm 全高 1,635mm 車輌重量 ラレード:1,540kgリミテッド:1,550kg 2001年式モデル 日本では2代目となるチェロキー(KJ型)は先代とテイストが大きく異なり、ジープスターとダカールというモデルをモチーフにデザインされました。アメリカ本国ではチェロキーの後継車として車名をリバティに変更しており、それ以降も2代目リバティが2013年まで販売されています。アメリカ以外の国では知名度の高いチェロキーとして販売されており、先代と大きくテイストを変更したためデザインがよりジープ色の強いものとなりました。 【基本スペック】 排気量 3,700cc 駆動方式 4WD 乗車定員 5名 ボディサイズ 全長 4,495mm 全幅 1,820mm 全高 1,840mm 車輌重量 スポーツ:1,890kgリミテッド:1,900kg 2008年式モデル 日本では3代目となるチェロキー(KK型)は、アメリカ本国の2代目リバティです。先代よりも角ばったデザインが採用され、よりジープらしいワイルドなスタイリングといえるでしょう。 【基本スペック】 排気量 3,700cc 駆動方式 4WD 乗車定員 5名 ボディサイズ 全長 4,500mm 全幅 1,830mm 全高 1,785mm 車輌重量 リミテッド:1,930kgリミテッド スカイスライダー付:1,950kg 2014年式モデル アメリカ本国でもチェロキーの車名が復活したモデルで、コンセプトや技術面で親会社となったフィアットの影響を大きく受けています。フィアット製及びクライスラー製のエンジンに新開発のドイツ フリードリヒスハーフェン社製の9速ATを組み合わせるなど、多くの先進的な技術が投入されました。 また、ジープブランド伝統の7スロットグリルや台形型ホイールアーチも継承され、新生チェロキーとして大胆に生まれ変わりました。 【基本スペック】 排気量 ロンジチュード:2,359ccトレイルホーク、リミテッド、ウォーリアー:3,238cc 駆動方式 ロンジチュード:FFトレイルホーク、リミテッド、ウォーリアー:4WD 乗車定員 5名 ボディサイズ ロンジチュード、リミテッド:全長 4,630mm 全幅 1,860mm 全高 1,700mmトレイルホーク、ウォーリアー:全長 4,630mm 全幅 1,905mm 全高 1,740mm 車輌重量 ロンジチュード:1,730kgトレイルホーク、ウォーリアー:1,990kgリミテッド:1,880kg ※ウォーリアーはトレイルホーク派生の限定車です。 チェロキーと他のジープの車種との比較 ジープといえば本格的なクロスカントリーモデルのラングラーを始め、近年ではコンパクトなレネゲードや街乗りにも映えるコンパスなどラグジュアリータイプのモデルも人気です。いずれも悪路走破性が高い車輌で、コンセプトごとにモデル展開がされています。 各モデルについて詳しく解説します。 グランドチェロキー グランドチェロキーはジープブランドのフラッグシップモデルです。悪路走破性に加えて快適性とラグジュアリーさを兼ね備えた最上級SUVといえるでしょう。リゾート地や高級ホテルに乗りつけても映える風格を備えています。 ラングラー 軍用車の面影を残す無骨な外観デザインと高い悪路走破性が魅力のモデルです。ロングノーズで箱型のシルエットはオフロード車の力強さを印象づけています。また、取り外し可能なフリーダムトップによるオープンエア走行も楽しめます。 レネゲード レネゲードはジープブランドで一番コンパクトなクロスオーバーSUVです。愛嬌のある丸目と箱型のボディはジープの伝統を守りながらも先進的なデザインといえるでしょう。1.3ℓのターボエンジン搭載のため、ランニングコストも気になりません。 コンパス コンパスはコンパクトなボディながらグランドチェロキーに通じる上質さを兼ね備えたモデルです。全席でゆとりのある空間を確保し、価格も抑えられたコストパフォーマンスに優れたモデルといえるでしょう。ジープブランドでデビューするには最適な一台です。

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.11
旧車の魅力と知識 2023.05.17

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.11

■特別編 ~アルミ弁当箱と旧車とシン・仮面ライダー(旧仮面ライダー)の意外な関係~ どうも!「日本アルミ弁当箱協会」会長のマツド・デラックスでございます。 今回は「特別編」と言うことでちょっと変わった(いつもですけど)角度から「シン・仮面ライダー」「旧仮面ライダー」「アルミ弁当箱と旧車の意外な関係」を語って行きたいと思います! 多少のネタバレがありますので、まだ映画をご覧になっていない方はご注意を! また予習したい方、1回見たけど復習したい方はぜひ見て読んで笑ってくださいませ! ■旧仮面ライダーとアルミ弁当箱の不思議な関係 仮面ライダーの当時のアルミ弁当箱には2種類の図柄が現在まで確認されています。 それが「くも男」と「サラセニアン」が仮面ライダーと戦う2種類のアルミ弁当箱です。 こちらは私の著書である「アルミ弁当箱図鑑」にも書かさせて頂いているのですが図柄をよく見ていただきたい。 なぜか「仮面ライダー」の第1話の「くも男」と戦っているライダーにご注目いただきたい。 なにか違和感を感じる方はもうおわかりだろう。 そうなんです!何故か、戦っているのが「2号ライダー」なんです! 今までにもお話しましたが、アルミ弁当箱の図柄の決定は番組が始まる前に決定することが多く、そのせいでちょっと変わった図柄が出来てしまうことがあります。 しかし、どうもこの「仮面ライダー」は人気が出てからアルミ弁当箱の制作に「ヤマト」が急遽参入したために、2号ライダーが活躍中(1号病休中)にこの図柄を作成してしまったのではないかと「想像と妄想」をしたのであります。 ■オートバイだけではない旧車の活躍!立花藤兵衛の愛車? さあ「ライダー」だけにオートバイが主役になる作品ですが、旧車もなかなか渋い車種が登場します。 この先、仮面ライダーシリーズには欠かせない喫茶店「アミーゴ」のマスター「立花藤兵衛」が第1話で乗っている愛車が「コロナ1700(RT84)」でした。 私は人生でコロナを2台(TT100とRT104)乗りましたが、同級生達がケンメリやセリカに乗っている中、地味な(セダン)クルマで肩身の狭い思いをしたのを覚えています。 このRT84のコロナが今回の主役ではなく個人的には第4話にちょこっとだけ登場する「グロリア」が今回の主役なんです。 ■第4話のサラセニアンに登場のグロリアが「シン・仮面ライダーに繋がる? 第4話「人食いサラセニアン」にショッカーの戦闘員が乗っている日産の「グロリア」が登場します。 当時(子供の頃)このグロリア(通称タテグロ)が大好きで、仮面ライダーにちょこっと出てきただけで興奮していたのを覚えています。 ではなぜ今回、グロリアが中心なのか?それはこの回で登場したグロリアのナンバープレートなのです。 このシングルナンバーってどこかで見た覚えがありませんか? そう「シン・仮面ライダー」に登場した「クモオーグ」が乗って逃げる「ホンダアコード」に付いていたシングルナンバーなんです。 他のシーンは旧仮面ライダーと同時に見比べたくなる程リスペクトされているのですが、このクモオーグが逃げるシーンだけはどうも違うようです(くも男はトラックだったような・・・)。 また、違和感(旧車乗りしか感じない?)のあるホンダアコードは1989年~発売されたクルマなので当然、シングルナンバーが付くわけはないのですが、どうも色んな思いがあってこのナンバーがつけられたようです。 そして、このシーンにはもう一つ「庵野監督」の仕掛けがあったのです。 ■シン・仮面ライダーに登場のアコードの所有者はあの監督!?  クモオーグが不自然(?)な旧車アコードで逃げ、そのナンバープレートに秘密があったのですが、実はこのクルマは「ウルトラシリーズ」や「アイアンキング」等で活躍された「故、実相寺昭雄」監督のクルマなのです。 監督は2006年にお亡くなりになり現在までどう保存され、今回登場に至ったのかわかりませんが詳しく知りたい方は、ツイッターの「シン・仮面ライダー」の公式ページにそのヒントがあるかも知れません。 敢えて、リスペクトされてるシーンを続けてるなかで、このシーンになったのはやはり深い意味があったのだと思っております。 ■まさか庵野監督はアルミ弁当箱ファン? 常に「想像と妄想」で活動している「日本アルミ弁当箱協会」ですが最後にもう一つ戯言を書かせて頂くとしたら、アルミ弁当箱の図柄は2個。 それもクモ男とサラセニアン。 だからこのコラムが完成したわけでまるで庵野監督が「マツドデラックス」さんしか思いつかない繋げ方ですよね?って言ってくれてるような気がしている今日この頃です。 当然、個々の細かい話はとっくの昔から公開されているので今さらなのですが、監督が子供の頃このアルミ弁当箱たちを見て「くも男」と「サラセニアン」が好きになってくれていればいいなあと勝手に思っています。 ■お知らせ まったく脈絡のないコラムではありますが「旧車王」共々「マツドデラックスコレクション アルミ弁当箱図鑑」もよろしくお願いいたします。 また、アルミ弁当箱を展示して欲しい・アルミ弁当箱の貸し出し・トークショーやイベント等と、ご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) https://www.amaZon.co.jp/dp/4907061471 ●日本アルミ弁当箱協会会長「アルミ弁当箱図鑑 厳選50」出版への道https://www.qsha-oh.com/historia/article/matsudo-bangai-1/ ※アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●日本アルミ弁当箱協会ホームページhttps://kyokai.fans.ne.jp/arumibenntou/ ●Twitterhttps://twitter.com/keisuke38922 そしてなんと!この私に映画出演のオファーがありました! 「路恋人」監督の「ぜんぶ朝のせいだ!」にちょこっと出演させていただきます。 詳細が決まりましたらまたご報告させてください! ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』オフィシャルTwitterhttps://twitter.com/morningall2023 ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』特報https://www.youtube.com/watch?v=vg0LHPEM6Ss 6月4日(日)には、東京の「東京都産業貿易センター台東館 4F」で「アメイジング商店街V6」に「日本アルミ弁当箱協会」として参戦予定!お時間のある方はぜひお越しください!  ●アメイジング商店街へようこそ!https://www.macleod.jp/01/ ■アメイジング商店街V6 主催:合同会社マクラウド ■出展内容 玩具(新品・古物・ソフビ等オリジナル)・雑貨・同人誌(成人もの不可)・アート展示・フリマ■日時:2023年6月4日 10:30〜16:00■会場:東京都産業貿易センター台東館 4F■入場料:先行入場(10:30〜))1500円、一般入場(11:00〜)1000円 ※再入場可能 ※小学生まで無料*入場チケットはパスマーケットにて5月27日(土) 午前10時より発売開始。チケット販売終了はイベント当日9時。 [撮影/ライター・マツド・デラックス(山本圭亮)]    

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.05 トヨタ「カローラ」8代目
旧車の魅力と知識 2023.05.03

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.05 トヨタ「カローラ」8代目

1966年に初代がデビューし、現在販売されているのは2019年登場の12代目という、トヨタの看板車種にして、超ロングセラーモデルでもある「カローラ」。 その累計販売台数は5000万台を超えており、「ハイエース」や「ランドクルーザー」とともに世界で愛されている名車であることは間違いありません。 とはいえ、50年以上、通算12世代という長い歴史の間には当然、さまざまな試行錯誤や紆余曲折があり、中には迷いが見えたモデルも……。 それが、今回「名車&迷車」として取り上げたい、8代目カローラ(E10#型)です。 ▲1995年 8代目カローラ ■コンセプトは「ベストコンパクトカーの創造」 8代目カローラは、1991年から4年にわたって販売されてきたE9#型モデルに代わって1995年に登場しました。 当時のプレスリリースでは、「トータル コスト オブ オーナーシップに配慮した社会との調和をめざすベストコンパクトカー誕生」が掲げられ、次のように説明されています。 「コンパクトカーの本質を追求した『ベストコンパクトカーの創造』を狙いに、ジャストサイズや高い品質を維持しつつ、まず、社会との調和をめざすという観点から、省資源、省エネルギーおよび安全性を追求。 そして、デザインを一新するとともに、走行性能を飛躍させた上で、価格、維持費を抑え、トータル コスト オブ オーナーシップに配慮している」 7代目カローラは、バブル期の波に乗り高級化。しかし、バブルが弾けてコンパクトファミリーセダンたるカローラの存在価値が見直され、「社会との調和」や「価格、維持費を抑え」といった言葉が並んだのです。 参考までに7代目では、「21世紀に向けて、『新時代を見すえた次世代基準の創出』を基本コンセプトに、来るべき“心に響く感動を求める時代”にふさわしい、新しいクォリティをもつグローバルジャストサイズカーをめざして開発した」と謳われていましたから、イケイケなバブル時代から、コストなどを考えざるを得なくなった時代背景が浮かんできます。 実際、7代目カローラは高級化路線に乗って開発され、「セルシオを意識した」とも言われます。内外装の質感も高く、市場でもそれが受け入れられました。  ▲1991年7代目カローラ 一方、フルモデルチェンジにより8代目となったカローラはというと、見るからに質素。 「ぶつけても目立たず、また部分交換で補修も容易に」と配慮され、無塗装ブラックのパーツを装着したバンパーは高級感に欠き、ナンバー位置がバンパーから6代目以前のようにトランクリッドへと移されたリヤは、どこか1980年代的でありコンビランプの形状や配色もあって、安っぽく見られてしまったのです。   ▲1995年8代目カローラのリヤまわり ■ベーシックセダンであるがゆえのジレンマ? カローラというクルマの基本に立ち返り、「カローラってこういうものだよね」とベーシックセダンとしての姿を追求したこと自体はよかったものの、どこかで「カローラってこんなもんだよね」と、ベーシックセダンであるがゆえに上を見ることを忘れてしまったかのようでした。 これまで、「上級化」「高級化」を目指して進化してきたからカローラが、初めてその路線での歩みを止めてしまったのです。 これはもちろん、双子車の「スプリンター」も同様でした。 ▲8代目カローラのインテリア この変化をユーザーは受け入れられず、8代目カローラは迷走。デビュー翌年の1996年には、エクステリアの売りの1つであった無塗装ブラックのバンパーモールをシルバーに塗る仕様変更を行い、1997年のマイナーチェンジではついに別体モールを廃した一体型のフルカラーバンパーに変更されました。 また、インストルメントパネルのソフトパッド化など、インテリアの質感アップも実行。 モデルライフ後半には、すっかり“従来路線”に戻されたのです。 ▲1996年 カローラ 一部改良モデル ▲1997年 カローラ マイナーチェンジモデル ちなみに、最大のライバルであった日産「サニー」も、1993年の8代目はカジュアルで若々しい雰囲気で登場しましたが、こちらもマイナーチェンジでメッキのグリルを採用するなど、カローラと同様の変更が行われました。いずれも、試行錯誤が実らなかったというわけ。 ■マイナーチェンジによる軌道修正が功を奏した カローラの販売台数は、「カローラワゴン」「カローラレビン」「カローラFX」を含めた“シリーズ合算”となるため、セダン単体での台数は不明瞭ながら、1995年に発売された翌年は販売台数を減らし、質感アップのためのマイナーチェンジが行われた1997年は1995年を超えるレベルにまで回復しています。 マイナーチェンジによる軌道修正は、功を奏したといえるでしょう。   ▲1997年 カローラ マイナーチェンジモデルのリヤまわり その後、8代目カローラは2000年まで生産が続き、NCVカローラと呼ばれた9代目へとバトンタッチします。 NCVには、「New Century Value=新しい世紀の価値」という意味があり、キャッチコピーは「変われるって、ドキドキ。」でした。 ここからも8代目に対するトヨタ社内の評価が見えるような気がします。 ▲9代目 NCVカローラ では、8代目カローラはダメなクルマだったのでしょうか? 販売的には成功しなかったかもしれませんが、そこはトヨタが真面目に考えた世界のカローラです。 実用的な世代としての実力は高く、手堅く作られたクルマだったといえるでしょう。 一部の輸入車好きの中には、軽量な1.3リッターモデルに対し「どこかフランス車のような乗り心地だ」と評する人もいたほど。 あまりに真面目に作りすぎてしまったがゆえに、内外装のコスメティックを間違えてしまった……。これが8代目カローラを迷走へと導いてしまった要因でしょう。 ■昭和的価値観の終わりに でも、仮に8代目カローラが当初から後期型のような内外装で発売されていたとしても、「結果はあまり変わらなかったのではないか」と筆者は見ています。 「名車&迷車烈伝」で何度も触れてきたように、1990年代は激動の時代です。1990年代後半は、日産「キューブ」やマツダ「デミオ」といった実用的でおしゃれなコンパクトカーも生まれてきますし、ファミリーカーは「イプサム」やホンダ「オデッセイ」といった3列シートミニバンに移行していきます。 もうファミリーカーとしてコンパクトなセダンを求める若年層は、いなくなっていたのです。きっと8代目カローラは、どんな形で出ていたとしても、悲運な世代となっていたのではないでしょうか。 [画像:トヨタ/ライター:木谷宗義]

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