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旧車王をご覧の皆様! いつもこの「邪道」なコラムをお読み頂きありがとうございます。 今回は輸入車の旧車についてアルミ弁当箱を通してお話をさせて頂きます。 よろしくお願いいたします。 ■第13回 ~今回の斜めから見た旧車~ 今回の話はとてもいい加減な話です。 「ここに描かれているくるまは何なのか?」なんです。 ひどいですよね?車種もわからないのにコラム化するなんて!? しかし、アルミ弁当箱の世界ではよくある話で、わざとぼやけて描くことは少ないことではありません。 これが「パチモン」などを生むことになるベースだと思われます。 と言うわけで、個人のSNSでも反響があった「このくるまな~に?」的な、遊び心満載のテーマを刑事ドラマ風にお送りしたいと思います。 ■第1容疑車「MG-B」 個人的にこのアルミ弁当箱を初めてみた時の印象は「MG-B」でした。 好きなクルマのひとつでもあり、私みたいな体型でも安心して乗れるイギリス車のオープンカーのひとつだったので、若いころは何回か買おうと思っていた時期もあったほどです。 アルミ弁当箱の全盛期の70年代前半なら「MG-B」は年代的「アリバイ」はどんぴしゃではないでしょうか? ■第2容疑車「MG-A」 正直、「MG-A」に関しては全く容疑車としてはノーマークでした。 しかし、実際にクルマを見てみるとなるほどと思うところもあり、ユーザーのみなさまの知見や感覚の凄さを改めて感じました。 自分では勝手に、もっと丸みのあるクルマと思い込んでいました。 同じ「MG」から容疑車が2台とは、この年代の「オープンカー=MGまたは英国車」という暗黙のルールが、アルミ弁当箱業界にはあったのかもしれません。 ■第3容疑車「ジャガーEタイプ ロードスター」 クーペ好きの私にとって「ジャガーEタイプ」はクーペ推しだったので、このロードスターもノーマークでした。 確かにライトの角度などはアリかと思うのですが、全体の「鋭さ」がこの図柄からは感じられなかったので、本ボシではないような気がします。 しかし、図柄があまりにも雑なので、Eタイプも容疑車の1台として残しておきたいと思います。 ■第4容疑車「トライアンフ スピットファイヤーMK3」 そして、最後の大穴! それが「スピットファイヤー MK3」です。 なぜMK3にこだわったかというと、図柄が雑でどの時代のスピットかわからないこともあるのですが、注目したいのが「左ハンドル」ということです。 今までご紹介してきた「容疑車」たちは全て英国車。 ということは「右ハンドル」。 にも関わらずこの図柄は左、ということは「輸出車」と勝手に「想像と妄想」をしてしまう・・・と、輸出が盛んであった「MK3」にたどり着くという推理なのです。 どうでしょうか? 「?」マークだらけの根拠が全くない話の流れなのですが、「サンビーム」「フィアレディSRL」などの「タレコミ」を沢山いただきました。 ぜひみなさまもアルミ弁当箱の図柄から、当時の旧車の「想像と妄想」で楽しんでみてはいかがでしょうか? ■お知らせ そしてここでお知らせを・・・・・。 私のコレクター本「アルミ弁当箱図鑑 マニアック編」がアマゾンにて絶賛発売中です。オールカラーの100ページに様々なジャンルのアルミ弁当箱を詰め込んでおります。是非、読んで頂ければありがたいです!よろしくお願いいたします。 ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) https://www.amazon.co.jp/dp/4907061471 そしてなんと!この私に映画出演のオファーがありました! 「路恋人」監督の「ぜんぶ朝のせいだ!」にちょこっと出演させていただきます。 詳細が決まりましたらまたご報告させてください! ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』オフィシャルTwitterhttps://twitter.com/morningall2023 ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』特報https://www.youtube.com/watch?v=vg0LHPEM6Ss [画像 / FavCars.com 撮影/ライター マツド・デラックス(山本圭亮)]
軽自動車を相続したものの、手続き方法や必要書類を把握していない方もいるでしょう。方法や必要書類を理解していれば、適切に軽自動車の相続手続きを完了できます。この記事では、軽自動車の相続手続きの流れや必要書類、かかる費用などを紹介します。 軽自動車の相続手続きの流れ 軽自動車は、必要書類を軽自動車検査協会へ提出し、被相続人から相続人へ名義変更すると相続手続きが完了します。まずは、軽自動車の相続手続きの流れを具体的に紹介します。 1.軽自動車の所有者の確認 最初に軽自動車の所有者が「誰なのか」を確認します。なぜなら、軽自動車をローンで購入していると、所有者は被相続人ではなく、ディーラーや信販会社になっている可能性があるからです。 所有者がディーラーや信販会社になっている場合、ローンを完済し、所有者を被相続人に変更する「所有権解除」の手続きをしなければなりません。所有者であるディーラーや信販会社に問い合わせて、軽自動車を相続する旨を伝えて、所有権解除してもらいましょう。 2.必要書類の用意 所有者が被相続人になっていれば、名義変更の手続きに提出する必要書類を用意します。被相続人の本籍が遠方にあり転籍が多い場合は、必要書類が揃うまでに時間がかかるため、余裕を持って行動しましょう。 3.軽自動車協会への登録 必要書類を持参し、軽自動車検査協会が運営している「主管事務所」や、各県の「事務所」で手続きします。軽自動車検査協会の事務所は全国に複数あり、相続人(新所有者)が軽自動車を使用する管轄の場所で手続きしなければなりません。 例えば、相続前が大宮ナンバー(埼玉事務所)で、相続人が足立区に住んでいる場合は「東京主管事務所 足立支所」に出向く必要があります。管轄の事務所が不明な場合は、こちらから確認してみてください。 4.ナンバープレートの取り付け 軽自動車を使用する管轄に変更がある場合や、希望ナンバーを取得した際は、新しいナンバープレートが交付されます。旧ナンバープレートを窓口に返却し、新しいナンバープレートを受け取って、クルマに取り付けましょう。 なお軽自動車は、ナンバープレートを固定するボルトの上に被せるアルミ製の「封印」が不要なため、車輌を軽自動車検査協会に持ち込む必要がありません。必要書類と旧ナンバープレートを持参すれば手続きが完了するため、空き時間を有効活用してみてください。 5.車庫の届け出 名義変更が完了したら、管轄の警察署で車庫証明書を取得します。提出先は軽自動車検査協会ではなく、住んでいる地域を管轄する警察署です。軽自動車は基本的に車庫証明書は不要ですが、地域によっては届出が必要になるケースもあります。車庫証明書の届出が必要かどうかは、管轄の警察署に問い合わせてみましょう。 軽自動車の相続手続きの必要書類 軽自動車の相続手続きに必要な書類は以下のとおりです。 ■自分で揃える書類・戸籍謄本 ※被相続人が故人であることが証明できるもの・相続人の住民票・相続人の認印・車検証・ナンバープレート※変更がない場合は不要 ■軽自動車検査協会で入手する書類・申請依頼書 ※第三者に代行を依頼しない場合は不要・軽自動車税申告書・自動車検査証記入申請書 軽自動車の相続手続きには、遺産分割協議書を提出する必要がないため、普通車より容易に名義変更できます。なお、軽自動車税申告書や自動車検査証記入申請書は、上記からもダウンロードできるため活用してみてください。 自分で揃える書類 ここからは、自分で揃える必要のある5つの書類について解説します。用途や取得先などについて確認していきましょう。 戸籍謄本 旧所有者が死亡した事実と、新所有者が旧所有者の相続人であることを確認する書類です。 市区町村役場や行政サービスコーナーのほか、マイナンバーカードがあればコンビニやオンラインでも取得できます。なお、コピーでも手続きが可能です。 相続人の住民票 車検証記載の氏名の変更や、新しい氏名を証明する書類として旧姓の記載がある住民票が必要です。 市区町村役場や行政サービスコーナーのほか、マイナンバーカードがあればコンビニやオンラインでも取得できます。 相続人の認印 認印とは、印鑑登録をしていない印鑑のことです。宅配便の受け取りや保険の手続きなど、日常的に使う印鑑と言えばイメージしやすいでしょう。 なお、インクと一体型のスタンプ印は、公的な書類の認印として認められない場合があります。手元にスタンプ印しかない方は、朱肉を付けて押印する認印で相続手続きを進めましょう。 車検証 旧所有者の車検証のことです。車内に保存しているケースが多いですが、手続き前に所在を確認しておくと慌てず進められます。なお、車検切れの車検証でも手続き上は問題ありません。 ナンバープレート 管轄地域を変更する場合は、ナンバープレートが必要です。管轄地域とは、クルマの使用の本拠地の位置を管轄する運輸支局または、自動車検査登録事務所の所在地のことです。 複数の地域をまとめて管轄しているため、居住地と異なる場合もあります。希望ナンバーに変更する場合は、希望番号予約センターの窓口かホームページで手続きします。 軽自動車検査協会で入手する書類 続いて、軽自動車検査協会で入手する3つの書類について解説します。 申請依頼書 代理人が手続きを進める場合に必要な書類です。軽自動車検査協会の窓口やホームページからのダウンロードで入手できます。 ▼下記の記入例を参考に作成しましょう。軽自動車検査協会「各種申請書の一覧と記入例」 軽自動車税申告書 軽自動車検査協会で名義変更する際に、軽自動車税を申告するための用紙です。用紙のフォーマットは地域によって異なり、用途別に分かれている場合もあります。手続き自体は、軽自動車検査協会に隣接した地方税申告窓口で行います。 自動車検査証記入申請書 軽自動車検査協会のWebサイトから印刷するか、窓口で入手できます。機械で記載内容を読み取るOCRシートのため、自分で印刷する際は注意事項を確認のうえ、読み取りに支障のない形で準備する必要があります。 ▼申請書は、下記から印刷できます。必要に応じてご利用ください。自動車検査証記入申請書 軽自動車の相続手続きは誰が代行できる? 軽自動車の相続手続きは、行政書士や弁護士、ディーラーなどに代行を依頼できます。クルマの相続に関する手続きに精通しているため、スムーズに名義変更してくれます。ただし、ディーラーで名義変更はできても、遺産相続に関われるのは行政書士や弁護士に限られるため、自分のニーズに合った業者に代行を依頼しましょう。 行政書士 行政書士は、官公署に提出する書類の作成や手続き代行を専門とする国家資格者です。相続関連では、遺産分割協議書の作成、相続人・相続財産の調査を代行できます。また、クルマの名義変更や各種許認可申請などの代行も可能です。 報酬は比較的リーズナブルで、相場は遺産分割協議書の作成が3万~5万円程度、クルマの名義変更手続きが1台あたり2万~5万円程度です。遺産分割の話し合いを親族間で進めつつ、遺産分割協議書の作成のみを依頼したい場合や、クルマの名義変更だけを代行してほしい場合など、スポットでの依頼もできます。 弁護士 弁護士は、不動産登記と税務を除く幅広い相続関連業務をワンストップで対応できる法律の専門家です。相続人・相続財産の調査から、遺産分割協議書の作成、相続放棄の手続き、遺留分侵害額請求まで包括的にサポートします。また、相続争いが発生した場合は、弁護士でなければ代理人になれません。 費用相場は他の専門家と比べて高めで、相続放棄の手続きを例にあげると、司法書士が3万~5万円程度であるのに対し、弁護士は5万~10万円程度です。 遺産分割調停を依頼する場合の費用相場は、初期費用である着手金が20万~60万円程度、案件解決後に支払う報酬金は獲得した遺産額の4~16%程度です。たとえば1,000万円の遺産を獲得できた場合、報酬率10%なら報酬金は100万円です。 軽自動車の相続手続きの注意点 ここからは、手続きを進めるうえで気にかけたい3つの注意点を解説します。 使用者以外が手続きする場合は委任状が必要 軽自動車の各種手続きを、使用者本人以外の方が代理で行う場合には、正式な委任状である「申請依頼書 様式5」の提出が必須です。書類自体は、事前に軽自動車検査協会のWebサイトからダウンロード・印刷するか、窓口で直接入手できます。 名義変更は15日以内に行う 道路運送車両法第12条では、車輌の名義変更に関する期限を定めています。 (変更登録) 第十二条 自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。ただし、次条の規定による移転登録又は第十五条の規定による永久抹消登録の申請をすべき場合は、この限りでない。 出典:e-Gov法令検索『道路運送車両法第12条第1項』 所有者が死亡し相続人が確定した場合、新しい所有者は15日以内に名義変更を完了させなければなりません。法律上は期限を過ぎた場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。 軽自動車税の支払いは相続人が行う 軽自動車税は、相続による所有権の移転後、新所有者が納税義務を負うことになります。4月1日以降に前所有者が死亡した場合でも、その年度の税金支払い者は新所有者です。また、過去の未納税がある場合も、相続人が支払い責任を引き継ぎます。 名義変更に伴い新しい車検証が発行されたら、陸運局内の自動車税事務所で税申告の手続きをしましょう。その際は、自動車税申告書に加えて、戸籍謄本と遺産分割協議書の提出も必要です。 ▼支払いに関する手続きは、下記の記事でより詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。クルマの相続時の自動車税は誰が払う?税額や納めないとどうなるかを紹介 軽自動車の相続手続きにかかる費用 軽自動車の相続手続きは、基本的に費用は発生しません。ただし、ナンバー変更がある場合や車庫証明の届出が必要な際は、費用が発生します。具体的な金額は以下のとおりです。 ナンバープレート交付料 ・希望なし 1,500円程度・希望あり 4,200円程度・白ナンバー 7,000〜9,000円程度 車庫証明取得費用 500〜600円程度 ナンバープレート交付料や車庫証明取得費用は、地域によって金額が変わるため、上記は目安として参考にしてください。
日本では、一般的に新車登録から13年が経過したクルマは自動車税と重量税が高くなり、必然的に旧車を維持するためには税金を含めた維持費が上がります。 このような要因も含め、日本では旧車を見かける機会がなかなか少ないのではないかと想像していました。 一方、ドイツでクルマを運転していると、その道中、駐車場を問わず旧車を見かけることがとても多いのです。 毎週クルマで数百キロを移動しますが、行く先々でほぼ毎回見かけるほどです。 この記事では、ドイツにおける旧車の状況について見ていこうかと思います。 ▲フォルクスワーゲン ケーファー(Käfer=ドイツ語でカブトムシ、つまりビートルの意) ■そもそも旧車とは?(ドイツ編) そもそも旧車とは、どのようなクルマを指すのでしょうか。 ドイツでは「オールドタイマー」という定義で法的に統一されており、最初の登録から少なくとも30年が経過しているクルマのことをいいます。 さらに車輌の大部分がオリジナルの状態であるか、もしくはオリジナルの部品で修復されていること、車輌の状態が良好であること、クルマの文化遺産を維持する役割を担っていることなどとされています。 1997年にはHナンバー (H-Kennzeichen) としても知られる、ヒストリックナンバープレートが導入されました。 クルマのナンバープレートには、「ヒストリック」であることを意味するHの文字が追加で記されます。 クルマが上記の条件を満たしていれば申請することが可能で、専門家による肯定的な所見に基づき付与され、自動車文化財として認められるようです。 ちなみに年式こそ古いものの、登録から20年から29年経過しているクルマは「ヤングタイマー」と呼ばれます。 条件としてはオールドタイマー同様、可能な限りオリジナルの状態に近く、保存状態が良好であることなどとされています。 ただし、どうやらこのヤングタイマーにはオールドタイマーのような法的な定義は存在しておらず、保険会社や愛好家、イベント主催者などによりその定義が異なることもあるようです。 ■旧車への税金優遇 たいていの場合、Hナンバー登録されているクルマの税金は、通常の自動車税よりも安くなります。 さらに700cc以下、または浄化装置を搭載しているオールドタイマーについては、自動車税はより安くなる場合があるようです。 そんなドイツでも、オールドタイマーに対するこの優遇に対して、異議を唱える声が多くあがっているのが実情です。 例えば、会計検査を管轄する政府機関は、この減税措置に異議を唱え続けており、Hナンバーのオールドタイマーの増加により政府の税収が減少しており、かつ政府が掲げる気候政策目標と矛盾すると主張しているのです。 今後このような優遇措置が見直される可能性もあるかと思いますが、このような声があがっているにもかかわらず、現状オールドタイマーに対する減税措置が維持されていること、そして後述するようにオールドタイマーの登録が右肩上がりに増えていることを踏まえると、ドイツは旧車にとっての楽園ととらえることができるのかもしれません。 ■ドイツにおける旧車の登録数 ドイツではどのくらいオールドタイマーがいるのか、その台数とモデルを見てみましょう。 ドイツで登録されている自動車の数は全体で6,770万台(乗用車以外も含む)ですが、731,795台がオールドタイマーとしてのステータスを持っているとされています。 このうち88.6%にあたる648,403台は乗用車、4.8%にあたる31,536台はトラック、3.1%にあたる22,450台はトラクターとなっています。 ドイツでは、見るからに旧車のトラックなどもしばしば見かけます。 なお統計では、オールドタイマー(Hナンバーの有無は問わず年式のみを考慮)の2022年の登録数は、前年比10.8%増となっています。 2022年現在登録されているオールドタイマーの年代別では、30年~34年のクルマが160,741台、35~39年のクルマが139,848台、40~44年が106,509台、45~49年が97,532台、50~59年が154,598台、60年以上経過しているクルマは72,439台となっています。 さらにKBA(ドイツ連邦自動車庁)の統計を見ると、2011年から2022年にかけての登録数は、30年~40年経過したオールドタイマーは多少上下しているもののほぼ一定であるのにに対し、50年が経過しているオールドタイマーの登録数が右肩上がりに伸びているのは興味深いところです。 次に、州別のオールドタイマーの登録数です。 一番多いのはノルトラインヴェストファーレン州で158,794台、次いでバイエルン州で138,931台、バーデンヴュルテンベルク州で118,605台であり、この3州において登録数がとりわけ多くなっています。 ところが、過去10年の統計では、この3州以外での登録が倍増しており、オールドタイマーの人気が急上昇しているというのです。 今回その理由まで確実に調べることはできませんでしたが、今後追っていきたいと考えています。 ■Hナンバー登録車のメーカー・モデル別ランキング オールドタイマー(Hナンバー登録されているクルマに限る)のメーカー、モデルごとのランキングは下記の通りです。 1:メルセデス・ベンツ2:フォルクスワーゲン3:ポルシェ4:BMW5:オペル6:フィアット7:GMC8:フォードUSA9:アウディ10:フォードEU モデル別では、 1:メルセデス・ベンツ W123, E Class2:フォルクスワーゲン ケーファー(ビートル)3:フォルクスワーゲン バス(全車種)4:メルセデス・ベンツ SL(全車種)5:ポルシェ 911 / 993 / 996 6.:メルセデス・ベンツ Sクラス 7:フォルクスワーゲン ゴルフ 8:BMW 3シリーズ 9:メルセデス・ベンツ W201(190)10:メルセデス・ベンツ Strich 8 となっています。 ■おわりに いかがでしょうか。 これまでは「ドイツではまだ古いクルマが比較的たくさん走っているんだな」程度にしか思っていませんでしたが、その背景には旧車の立場がしっかりと確立され、さらには税金の優遇措置があったりと、旧車が走り続けやすい、または維持しやすい体制が整っていることがわかりました。 今後はオーナーの実際の声を聞く機会を探り、旧車に関する事情などをオーナー目線も交えながら深堀していきたいと思います。 [画像・Shima,フォルクスワーゲン / ライター・ Shima]
独特のスタイリングと優れた走行性能から、現在でも高い人気を誇るRX-7。維持や補修が困難になりがちな旧車であるにも関わらず、現在でも多くの補修部品が供給されています。特にRX-7の核であるロータリーエンジンは、現在でも新品の購入が可能です。 今回は、ロータリーエンジンという視点から、RX-7の魅力とマツダの取り組みを詳しく紹介します。なぜマツダが現在もなおロータリーエンジンの製造を続けているのか、その理由からRX-7の魅力を紐解いていきましょう。 世界で唯一ロータリーエンジンを量産したマツダ 量産ロータリーエンジンが世界で初めて採用されたのは、1967年発売のマツダ コスモスポーツでした。その後もマツダは数々の車種にロータリーエンジンを搭載し、世界で唯一無二の量産ロータリーエンジン生産メーカーとして技術を磨いていきます。コツコツと積み上げてきたノウハウを投入して作られたのがRX-7です。 ロータリーエンジンの実力を示した名車RX-7 マツダが作り続けてきたロータリーエンジンの実力を世界に知らしめたのはRX-7といえるでしょう。特に、2代目FC3S型、3代目FD3S型は現在でも多くのファンを魅了する人気車種です。 1985年のFC3S型RX-7のリリースによって、マツダが突き詰めてきたロータリーエンジンの実力が一気に開花しました。軽量でコンパクトなのに高出力というロータリーエンジン最大の武器を活かしたスポーツカーとして、低重心化と最適な前後重量配分を実現。世界のスポーツカーファンを魅了する、高い走行性能を発揮しました。 先鋭的なスタイリングも魅力 RX-7の魅力は、高い走行性能と他車とは異なる独特のスタイリングです。FC3S型でワイド&ロー、ロングノーズショートデッキというスポーツカーとして理想的なスタイリングを確立。さらにFD3S型では、曲線を取り入れた流線型で戦闘機を彷彿させる先鋭的なデザインに昇華させました。 ロータリーエンジンはコンパクトでレイアウトの自由度が高かったためにデザイン上の制約が少なく、マツダならではの独特の世界観をもつスタイリングの実現に至りました。 ロータリーエンジンを今でも購入できる理由 生産終了からかなり年月の経つRX-7ですが、現在でも補修用ロータリーエンジンを始め多くの部品が入手可能です。生産効率を考えると、旧車のパーツをいつまでも供給するのは無駄とも思えますが、これにはRX-7ならではの事情とマツダの企業思想が大きく影響しています。 ロータリーエンジンがなぜ作り続けられているのか、理由を紐解いていきましょう。 RX-7は現存台数が多い 補修用のロータリーエンジンが現在も入手可能な最大の理由は、RX-7の残存台数が多く高い需要があるためです。FC3S型RX-7が投入された1985年からは35年以上が経過し、最終のFD3S型の販売終了からもすでに20年が経ちますが、現在でもRX-7はかなりの台数が残っています。FD3S型なら16,000台、さらに古いFC3S型でも8,000台が残っているとの情報もありました。 スポーツモデルだけに酷使された個体もありますが、一方で多くの根強いファンが大切に乗っていることが要因といえるでしょう。また、高い走行性能と独自のスタイリングによって、新車販売自体も好調だった点も残存台数が多い理由です。 唯一無二のロータリーエンジンの評価の高さは世界規模 ロータリーエンジン車を所有するユーザーは日本国内のみにとどまりません。とくにクルマとしての完成度の高かったRX-7は、世界のスポーツカーファンから愛されています。独特のロータリーサウンドを味わいたいのであれば、マツダのRX-7に乗るしかありません。 マツダが展開するCLASSIC MAZDA ロータリーエンジンを始めとする旧車のパーツが供給され続けている理由は、マツダの企業としての思想による影響も少なくありません。「新しいクルマだけではなく、古いクルマをも大切にできる社会を育みたい」「世の中の自動車文化に貢献したい」として、マツダはCLASSIC MAZDAという取り組みを通じ、旧型車のレストアやパーツの復刻に取り組んでいます。 CLASSIC MAZDAの取り組みが始まったのは近年ですが、おそらくマツダそのものの企業文化として同様の考え方は以前からあったのでしょう。実際CLASSIC MAZDAの一環として2020年から取り組んでいるRX-7の復刻パーツはわずか91種類(FD3S用、FC3S用)ですが、そもそも全体の7割程度の部品が以前から継続供給されていたという情報もあります。 新型車で新たな活路を見出したロータリーエンジン 実は、燃費面では不利といわれていたロータリーエンジンが、新時代のプラグインハイブリッド車で復活すると最近発表されました。軽量かつコンパクトで高出力という特性が、プラグインハイブリット車の発電用エンジンに最適だったのです。 欧州で発表された「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、発電用にロータリーエンジンを搭載。EV車と同様にモーターで駆動するため、大型の駆動用バッテリーを搭載するプラグインハイブリッド車にとって、システム全体をいかにコンパクトな設計にできるかは大きな課題です。ロータリーエンジンであれば、同出力のレシプロエンジンに比べて圧倒的に小型化できます。さらに、ピストンの往復運動がない分振動を抑えられるため、モーター駆動ならではの乗り心地も犠牲にしません。 マツダがこだわって作り続けてきたロータリーエンジンのノウハウは、決して過去の技術ではなく現在も生き続けていると証明しました。 人気のRX-7は今も安心して乗れる旧車 核であるロータリーエンジンを始め、多くのパーツが現在も供給され続けているRX-7は、旧車ながら購入後もメンテナンスについて心配しなくてもよい珍しい車種です。一方で、スポーツカーという特性からサーキットなど過酷な状況で使用されていた中古車もあるため、購入時には入念に状態を確認しましょう。 ロータリーエンジンは特殊なエンジンのため、整備ノウハウのある専門業者に相談することを強くおすすめします。 一方で、売却する際は旧車の取り扱い経験が豊富な業者を選びましょう。部品が供給されていると知らない業者に相談してしまった場合、故障箇所を指摘されて必要以上に減額される恐れがあります。さらに、RX-7は限定車が数多く販売されました。グレードや年式から、正しい価値判断をしてもらえる業者を選ぶと安心です。
はじめまして。 今回から旧車王ヒストリアにて記事を執筆させていただきます、西尾菜々実です。 私は去年の夏からドイツに移住したのですが、散歩をするだけで日本とは違うクルマ事情と出会います。 日本の京都で生まれ育ったため、街で輸入車見る機会は多くなかったのですが、移住してからはあたりまえのように走っています(現地では"国産車"だったりします)。 その結果、今までの環境とは違い、さまざまな国のメーカーが製造するクルマを見ることができるようになりました。 今回は、ドイツに移住してどのようなクルマと出会い、私がどのような感想を持っているかご紹介いたします。 ドイツでどのようなクルマに出会う? ドイツでは路上に駐車場が多く、街を散策するだけでさまざまな種類のクルマと出会うことができます。 日本ではBMWやメルセデス・ベンツというと、やはり高級車というイメージが強いのではないでしょうか。 もちろんBMWといえば小型車も有名なのですが、私が日本で暮らしていた感覚だとやはり高級車を想像します。 私が日本で働いていたときも、高級車向けの部品を担当していました。 ドイツに移住し、街を散策していると、やはり小型車やクラシックカーを見かける機会が多い印象です。 私としては実際にクルマの購入をディーラーの方に相談しなくても、多種多様なクルマを駐車場で観察したり時間をかけて眺めることができるので嬉しいです。 デザインが特徴的なクルマや、日本車では滅多に見ないカラーバリエーションなどと出会うことが多いのです。 その結果、クルマの良さや比較する項目を見つけることができ、散策の時間が楽しく過ごせます。 比較的決まった車種をいつも見るのではなく、いつも新しい車種に出会えます。 ドイツでは、小型車でも二人乗りの小さいミニカーを見かけることがあります。 もちろん日本でも走行しているのですが、ドイツに移住してからのほうが見る機会が多いです。 個人車としての利用も見かけますが、ピザなどの配達の使用としても見ることができます。 軽自動車の定員よりも定員数が少ないので、車体の大きさもより小さくなっており、小回りが効く印象です。 街中で二人乗りのミニカーに出会うと、特徴的な走行に目が引かれます。 電動式のミニカーも存在し、気軽に外出できる印象があります。 ▲筆者撮影 輸入車について ドイツではヨーロッパ車だけでなく、さまざまな国のクルマを見ることが可能なことも、移住して気づいた点です。 先ほども記載したのですが、ドイツでは駐車場が車道に多いため、展覧会のように車を眺めることができます。 多種多様なクルマが偶然その日に駐車された順番で並べられているため、配色違いの同車種が停車されている偶然に出会うことがあります。 将来このクルマの新バージョンが購入したいなどと考えながら街を散策しています。 ドイツでは住宅の配色が日本よりも多様であるうえ、建築様式も違うため、クルマが走行していたり停められている姿がより一層映えて目に映ります。 輸入車以外に、もちろん日本車に出会うこともあります。 日本出身の私からすると、見るだけで日本車だと認識できるので、クルマのメーカーを日本車かどうか判断するというのが最近の楽しみ方です。 個人的には、日本車にドイツで遭遇する率は高いという体感を持っています。 アメリカでの日本車の使用率までは届きませんが、やはり目にする機会は多いです。 ドイツではやはり、BMWやメルセデスベンツと言った国産車の使用率が高いですが、有名な輸入車や日本車を均等に見かけることができます。 国ごとの使用されているクルマメーカー率を現地で見ると、他国ごとのクルマに対する要望の違いが現れているので興味深くて楽しいです。 本当に驚いたことは、ベンツの高所作業車を間近で見ることができたことです。 生活を支える働くクルマとしてメルセデス・ベンツを見ると、少しカルチャーショックを受けました。 ドイツ在住の方は日常の光景として暮らしているのだと考えると、本当に身近なクルマメーカーとして親しまれているのだなという印象を持ちました。 個人的なドイツの交通事情への感想 ドイツでは、都市の大きさによってのクルマメーカーの使用率が違うという感想を持っています。 やはり大都市では高級車を目にする機会が多く、駐車場の位置によっても停められるクルマのメーカーの違いを見つけることができます。 私の場合、バスで旅行をしたことがあるのですが、窓から見える景色が違う気がしています。 クルマの外観が購入するきっかけとなる人には、大きな違いとして影響するのではないかと思います。 街を散策していて思うことは、クルマのメーカーのこだわりだけではなく、個人がどのような用途でどのような機能を必要としているか? さまざまな国のクルマが並んでいるドイツだからこそ、個人の思いがより深く現れているように受け取れるということです。 などなど、私はドイツでのクルマ事情をこのように感じながら暮らしています。 今後も素敵な街並みが存在するドイツから、現地の情報をお届けする予定です。 これからもよろしくお願いします。 [ライター・西尾菜々実 / 画像・西尾菜々実、AdobeStock]
■5ドアジムニーの祖先、ジプシー 筆者が今一番欲しいクルマ、それはスズキのジムニー5ドアだ。 もう、欲しくてたまらない。 そもそも、本格オフローダーの名を欲しいがままに、セレブリティな車両と肩を並べるその日本車が気にならないはずはないのだが...。 そんなモデルが新車で、性能を考えればそれなりにリーズナブルに登場したとなれば、興味を持ってしまうのは仕方のないことであろう。 残念ながら、国内ではまだ数万台の既存ジムニーのバックオーダーを抱えており、日本での発売は先とのことだが、今から待ち遠しい。 2023年7月現在の販売地域は、南アフリカとオセアニアなどと、生産国であるインドである。 以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/india-car-situation/ )でも少し触れたが、スズキのインドにおけるシェアは国内トップの約40%ある。 これでも少なくなった方で、1981年にインド政府とスズキの合弁会社、マルチ・ウドヨグを設立後、1990年代にはシェアが80%を越えていた。 2006年には、インド政府が全保有株式を売却し完全民営化され、翌年現在の社名マルチ・スズキ・インディアとなった。 先述の5ドアジムニーの生産もマルチ・スズキがおこなっており、今後販売や輸入等どうなるかが楽しみだ。 マルチがジムニー系列のモデルを生産するのは今回が初めてではなく、1985年から2019年頃まで生産を続けていた2代目ジムニーのロング版「ジプシー」が存在する。 「ジプシー」のボディサイズは、全長は4010mm、全幅1540mm、全高1845mm、ホイールベースは2375mm。 日本国内でも数年前まで並行輸入されているケースもあった。 現地ではパーソナルユーズのほか、警察や軍用車両として導入されているのを見ることができる。 その信頼感は抜群のようで、かつてインド政府が掲げた”国民車構想”は深く浸透し、数十年経ってなお生き続けているように思える。 ■世界人口トップの国。その国民車 中国を抜き、いまや世界人口がトップになったインド。 まだ幹線道路は、リアカーやオートバイがひしめき合う光景も見ることができるが、片や徐々に富裕層も増え始め、街のいたるところで再開発をおこなっている光景が見られる。 カラフルなバスや装飾されたトラックも数多く見受けられるが、人々の所得が増えるほどに、各世帯へとクルマが普及していくことだろう。 なかでもマルチ・スズキの発展を支えてきたのは、同社が得意とする小型車の存在だといえる。 マルチ・ウドヨグ時代から、日本のアルトをベースとするマルチ800が、インドにおけるベーシックラインとして販売され続けてきた。 初代モデルは1983年、2代目モデルは1986年から2014年まで生産が続けられ、累計で291万台もの生産がされた。 いまだに街のなかで見かける回数が多い。 マルチスズキでは後継車にアルト800、アルトK10が存在する。 これらはインドの街中で数多く見かけることができ、まさに国民車といえる様相だ。 当然、他のメーカーも黙ってそれを見過ごすわけもなく、ヒョンデからはi10、ルノーからはKWIDなど、近年ではエントリークラスでも商品性の高い車種が増えた。 やはりベーシックカーの人気は依然高く、インドの街中をキビキビと走る小さなモデルを観測してみるのはユーザーによって改造が施されたり、ダメージを受けていたりなど...個性が際立っていてとても面白い。 トップシェアのマルチ・スズキ。 そこにラインナップされるのはベーシックカーだけではない。 街のなかではワゴンR、初代ランディをベースとしたEECO、マルチパーパスカーのエルティガ、スイフトベースのセダン、ディザイアなど、バラエティに富んだ顔ぶれだ。 また、よく街中でみかけるのは7代目キャリーをベースとしたオムニ。 2019年まで生産されてきた廉価なバンは、商用車から乗り合いタクシー、救急車にまで採用され、いまだに数多くが走っている。 ほとんどの車種がインド国内向けに特化した改良が施されており、例えば同じスイフトでも、インド向けでは装着される部品のあしらいかたに差異が感じられるのも特徴だ。 ■現地化されたトレンドのキャッチアップ もちろん、世界的なトレンドはインド市場でもキャッチアップされ、顧客の要望は高まっている。 インドのマネサール工場で生産され、日本へも2020年まで輸入されていた、初代・スズキバレーノ。 インド人の知人に、現地で感じるバレーノの様子を伺うと 「インドでは一般の人にとってクオリティの高い上級車種として捉えられていると思う。特にデザインはカッコいいと思っているけど、自分のような若手のビジネスマンにとってまだ新車では難しいね。」 と教えてくれた。 現在も2代目のバレーノ、そしてOEM車種として、トヨタからはグランツァ(なんと南アフリカ向けの輸出名はスターレットとして販売)が発売されている。 2015年より、マルチ・スズキはインド向けの高級販売チャンネル「NEXA」を立ち上げ、バッレーノを筆頭に上級セダンのシアズ、SUVのフロンクスやグランドビターラなどもラインナップさせている。 現状、インドにおけるスズキブランドの最高級車ジムニーもNEXAでの取り扱いだ。 ディーラーのなかはさながら輸入車ディーラーのようであり、ストリートの雑然とした雰囲気とは一線を画す。 これからもどんどん増えていくと予想される、世界を向いたインドの若い層に響くクルマづくりは欠かせないことであろう。 ベーシックカーから顧客のニーズに応える上位車種まで、インド国内の世相を読み取りながら発展するスズキの動向に、今後も目が離せない。 [ライター・撮影 / TUNA]
高い運動性能と、欧州でも通用する高級感を兼ね備えたアルテッツァ。トヨタ入魂のFRスポーツセダンであり、エンジンをフロントミッドシップに配置する本格的なFRレイアウトを採用しています。一方で、発売当時の評価はあまり高くなく、不遇なモデルでもありました。 打倒欧州車を掲げて開発したトヨタの意地を感じるアルテッツァは、近年評価が見直されつつあります。開発背景と魅力を改めて振り返ってみましょう。 1代限りながら7年間も販売されたアルテッツァ アルテッツァは結果的にモデルチェンジすることなく、1代限りで姿を消しました。しかし、7年間にも及ぶ販売期間からは、その完成度の高さがうかがえます。 実際にアルテッツァとはどのようなクルマだったのでしょうか。まずは開発背景やグレードについて詳しく紹介します。 欧州に通用するFRスポーツセダン 1998年に登場したアルテッツァは、欧州で通用するFRスポーツセダンを目指して開発されました。BMWの3シリーズやメルセデス・ベンツのCクラスといった、競合各社が力を入れるDセグメント市場を強く意識したモデルです。海外では、レクサスブランドのエントリーモデルである「IS」の初代として投入されます。 ベースは、当時のトヨタ プログレに採用されていた「FRマルチプラットフォーム」を徹底的に改良。ショートオーバーハングでホイールベースも短縮し取り回しやすいスタイリングにする一方、トレッド幅を広げて安定性を高め、FRスポーツセダンにふさわしいハンドリング性能を備えていました。 開発では、ニュルブルクリンクでの走り込みや公道での走行テストを繰り返し、2年間以上の年月をかけて走行性能が徹底的に煮詰められます。欧州のFRスポーツセダンと肩を並べるため、アルテッツァは限界まで鍛え抜かれました。 グレードは大きく2種類を用意 アルテッツァに用意されたグレードは、大きく2種類。ラグジュアリー志向のAS200と、高い走行性能を誇るRS200です。 AS200のエンジンは、2L直列6気筒の1G-FE型で最高出力が160ps。一方のRS200には、MR-2にも搭載されたトヨタのスポーツエンジンとして十分な実績をもつ2L直列4気筒3S-GE型エンジンを搭載し、最高出力は実に210psを発揮しました。 おすすめのグレードはやはりRS200です。トヨタがこだわり抜いたアルテッツァの高い走行性能を最大限発揮します。 スポーツセダンを突き詰めたアルテッツァ アルテッツァの魅力を紐解いていくと、細部に渡ってとことんこだわって開発されているのがよくわかります。ライバルが強力で、要求の高い欧州のスポーツセダンファンを納得させる性能を兼ね備えたモデルだといえるでしょう。 アルテッツァのこだわり、そして高性能を突き詰めたトヨタが限定で投入した280Tについて紹介します。 とことんこだわった運動性能 エンジンに名機3S-GEを採用するだけでなく、アルテッツァは運動性能にとことんこだわりました。軽快なハンドリングを実現するために、エンジンをフロントミッドシップに搭載。切り詰めたオーバーハングと相まって、FRスポーツセダンにふさわしい前後重量バランスに仕上げられています。 足回りも前後ダブルウィッシュボーンに加え、車輌重量がはるかに重いアリストと同クラスのブレーキを採用しました。さらに、徹底的な走り込みによって、減衰力からブッシュ特性に至るまで細かく調整。パワフルなエンジンで単に速いだけではなく、曲がる、止まるといったスポーツモデルに欠かせない要素をとことん取り入れています。 セダンとしての風格も一級品 高い走行性能を誇るアルテッツァですが、セダンのもつラグジュアリーな面にもとことんこだわって開発されました。 エクステリアには、フロント部に風格を与える大きな開口部と低くレイアウトされたグリル。さらに、ボディサイドは流麗で抑揚のあるラインを形成しています。 インテリアに目を移すと、スポーティで視認性の高いインパネメーター類には電圧計、水温計、油圧計まで配置され、スポーツ腕時計のクロノグラフを彷彿させる高級感を演出。ドライバーズカーとして機能性を重視しつつも、全体を黒でまとめてセダンならではのモダンシックな印象を与えました。 また、スポーツカーではなく、あくまでもセダンというコンセプトを表現しているのが後席です。十分に確保されたヘッドクリアランスや足元のスペースによって、スポーツモデルとは思えない快適な居住性を実現しています。独立したトランクスペースとともに、日常使いでの利便性も強く意識されました。 コンプリートカー280Tまでリリース アルテッツァには、トムスが専用チューニングを施した「アルテッツァ TOM'S 280T」という限定生産車が存在します。生産台数はわずか100台ながら、アルテッツァの本来もつ実力を極限まで引き出した魅力的なモデルです。 最大の特徴はターボ化されたコンプリートエンジンで、当時の自主規制限界である280psを発揮します。専用設計のタービンやインタークーラー、エキゾーストマニホールドを備え、インジェクターなど細部に至るまでチューニングされたエンジンをTOM'S製ECU(エンジンコンピュータ)で制御していました。 高出力エンジンのパワーをしっかりと受け止めるべく、クラッチはOS技研製のツインプレートクラッチ、足回りはAdvox製に交換され、サーキット走行にも耐えうる仕様に仕上げられています。 また、外装面でも専用のエアロパーツが装着され、標準車とは違うアルテッツァのスポーティな面が全面に押し出されました。 発売当時は不評だったものの再評価されつつある 限界まで鍛え上げられた走行性能と欧州車並の高級感を兼ね備えたアルテッツァですが、発売当時の評価は高いとはいえませんでした。。実際、モデルチェンジせずに1代限りで開発を中止している点からも、当時の不人気ぶりがわかります。 スポーツカーにしては重く、大排気量でゆったり乗りたいセダンにしては非力という見識が先行し、当時の日本ではどっちつかずのイメージがついてしまったのかもしれません。 しかし、スポーツセダンというジャンルが確立し多くのユーザーから支持を集める現在、アルテッツァの評価は高まりつつあります。特に評価の高いモデルは、名機3S-GEが搭載されたRS200です。限定販売の希少車、280Tはさらに高い評価を受けています。 一方で、時代を先取りしたアルテッツァが市場へ投入されたのは1998年。販売開始からすでに25年が経過しています。セダンであるため比較的状態の良い個体が残っているものの、購入する際は専門業者でしっかり整備された車輌を選びましょう。 また、売却する際は近年の評価をしっかりと査定に反映してくれる、旧車取り扱いに慣れた業者の選定をおすすめします。
多くの読者においては、梅雨でなかなか愛車を引っ張りして、出かけられない日々が続いたことだろう。 梅雨明けした地域では、待ちに待ったツーリングシーズンの到来である! しかし、酷暑と渋滞は、旧車にはツラいところ。 今回、旧車オーナーたちと梅雨の晴れ間に、ツーリングをおこなった。 旧車に優しく、オーナーには楽しいツーリングルートの一例をご紹介したいと思う。 ■スタートは高速道路のサービスエリアに集合 この日、普段お世話になっている方にお誘いいただき、一緒にツーリングをすることとなった。 「ツーリング」というと、バイクのイメージをお持ちになられるかと思う。 クルマなら「ドライブ」の方が一般的とは思う。 「ドライブ」というと、1台のクルマに乗り合わせて出かけたり、1人で走る時に使う方がしっくりくると思う。 今回、1人1台で連なって走るため「ツーリング」という単語の方が、適していると筆者は考えた。 当日の朝、曇り空ではあるが、雨は降らない予報だ。 厳しい暑さにはならないことは、クルマにもドライバーにも都合がよい。 今回のツーリングは、暑さと混雑を避けるために設定された日程でもあった。 まだ、街が動き始めた頃、自宅を出発して最初の目的地を目指す。 待ち合わせ場所は、高速道路のパーキングエリア。 パーキングエリアに到着すると、すでに2台が到着していた。 今回、息子さんもご一緒されることになり、3台でのツーリングだ。 参加車輌は、お世話になっている方の日産 N15 パルサー VZ-R。 息子さんの日産 R32 スカイラインGT-R。 筆者の日産 N14 パルサー GTI-Rである。 息子さんとは初めてお会いするが、クルマを前に話しはじめると、初対面同士でも話題に困ることはない。(笑) まだまだ話を伺いたいところだが、道路が混む前に出発した。 高速道路上を走っているクルマの台数は多いが、流れは悪くなく、3台で連なって走る。 ストップ&ゴーの多い市街地とは違い、一定のペースで走れてクルマへの負担も少ない。 ■オーシャンビューな海沿いのルート 高速を走り、たどり着いたのは西湘バイパス。 ここは、海沿いを走る有料道路であり、眼下に広がる海と開けた景色が楽しめる。 もちろん、ドライバーのよそ見は厳禁だ。 しかし、西湘バイパスには海沿いのパーキングエリアもあるのでご安心を。 一時、台風の影響で損壊してしまい利用不可になっていたが、最近リニューアルオープンした。 海を臨む展望スペースもあるため、落ち着いてじっくり景色を楽しみたい方は、ぜひ寄っていただきたい。 西湘バイパスを降りたあとも海沿いの道を走り、漁港を目指す。 向かっている道中も、眺めの良いポイントがいくつもあった。 筆者としては、海と山と道路が同時に見えるポイントの景色が、お気に入りであった。 ■昼食は海の幸に舌鼓 漁港に到着後、休憩をしつつ、駐車場で海をバックに、各々写真撮影を楽しんだ。 そこは、パルサー VZ-Rオーナーさんお気に入りのフォトスポットとのことだ。 昼食の時間が近づいてきたので、地元の方に教えていただいたという、人気の定食屋へ向かった。 人気店とのことだが、タイミング良く、並ばずに入店することができた。 やはり海が近いので、海鮮丼を選ぶこととしたが、店内に掲げられた「オススメ」の握り寿司5貫の誘惑にも負け、勢いで2品もオーダーしてしまった。 美味しい海の幸を、お腹一杯お得に味わうことができた。 行った先で、美味しい食事に舌鼓を打つことも、ツーリングならではの楽しみである。 ■海から山へ!日本が誇るワインディング お腹が満たされたあとは、日本が誇るワインディング、箱根を目指す。 意外なことに、海沿いを走っていた西湘バイパスからすぐ、箱根の入口にたどり着く。 今回はターンパイクで箱根を登ることとした。 ここで、それぞれの愛車を乗り換えて山頂を目指す提案をいただいた。 最初に、N15パルサー VZ-Rに乗らせていただいた。 高回転型エンジンが自慢のグレードである。 実は、筆者が初めての愛車選びの際に憧れていたクルマの1台が、このVZ-Rというグレードであった。 オーナーから、せっかくなのでエンジンを高回転まで、回して乗ってみることを勧めていただいた。 ターンパイクは、料金所を抜けると長い上り坂である。 お言葉に甘え、低いギアで高回転まで回させていただいた。 MTのダイレクトな繋がりもあり、エンジンがとても気持ちよく吹け上がることを体感できた。 マフラーの発する音はもちろんだが、エンジン自体が発する音も心地よい快音である。 途中のパーキングで、再度乗り換えをおこなった。 続いて、R32スカイラインGT-Rを運転することとなった。 実は、GT-Rを運転するのは初めての経験である。 ドッシリとした乗り味に、上り坂の勾配を忘れさせる力強さ。 筆者の愛車と並べると大きく感じるが、現代の目で見るとR32 スカイラインGT-Rはコンパクトである。 車内はベース車と同じ、5ナンバーサイズであることも手伝い、運転をする際には大きさを感じさせない。 この点も、今もなお第一線を突き進んでいる、理由の一つなのかもしれない。 ターンパイクの頂上に到着し、ラウンジで休憩をすることとした。 お互いのクルマを運転した感想、さまざまなクルマの話題で会話は尽きないのであった。 ■帰路のルートは選び放題! 時間はあっという間に過ぎ、帰路につくこととなった。 箱根の頂上から、首都圏へのルートは複数選択肢がある。 ・ワインディングを楽しみながら、湯河原方面へ下り海沿いルート・御殿場方面へ下り、アウトレットなどでお買い物を楽しみ、東名高速ルート・箱根駅伝で知られる、国道1号線を下り、小田原経由ルート 他にも意外とルートはあり、お気に入りのルートを見つけることができるかもしれない。 ■猛暑前に楽しもう! これからのシーズン、気温が上がり、クルマにもオーナーにも厳しいものとなる。 旧車となると、猛暑は思わぬトラブルに見舞われるリスクも考えられる。 今回、首都圏に住む読者の方にはピンとくるであろうルートを紹介させていただいた。 読者の方々も、地元付近のツーリング・ドライブルートを開拓して、気温が高くなる前に、愛車との語らいをぜひ楽しんでいただきたいと思う。 [ライター・撮影 / お杉]
スバル360を購入して24年、セリカLBを購入して20年。 ハードボイルド作品の主人公のように、旧型車をカジュアルに乗り回すキャラに憧れ、この20年はいろいろなトラブル、不具合、経年変化と戦いながら戦いながら、筆者の日常の相棒として頑張ってくれていたのですが・・・。この何年かは、1年で整備工場に入庫している時間が長いため(酷いと数か月~半年もザラ)、ほとんど代車ですごしていたり、時には保険の代車特約で現行モデルのコンパクトカーを期限いっぱいまで借りたり…。 スマートキーにBluetooth対応ナビが装備された今のクルマは、本当に便利だなと感心するありさまです。 整備工場の代車がないときは、格安のマンスリーレンタカーを借りたりしていました。 いよいよセリカLBも普段乗りから退役させ、現状で車体価格一桁万円に収まるかどうかくらいの軽自動車を普段乗りに・・・と考えはじめたのが昨年の夏ごろでした。 ■経年劣化との戦いに敗北 ちょうど 「後世に残せるかは現オーナー次第!ネオクラシックカーを持つ覚悟とは?」(https://www.qsha-oh.com/historia/article/be-prepared/) 「手に入れて20年!スバル360とセリカLBが直面するレストア問題」(https://www.qsha-oh.com/historia/article/celica-subaru-restore/) を執筆していた時期です。 その稿に思わず「経年劣化に慈悲はない」と書きましたが、実はこのころから「経年劣化との戦いからの撤退戦」を考えるようになっていきました。 昨年末、エンジンオーバーホールからセリカLBが戻るものの、その翌月には早くもオルタネーターが寿命を迎え、さらにオルタネーター交換時、ヒーターホースのジョイント部分のパイプの腐食部分から、クーラント漏れが発生していることが発覚しました。 前述の稿に書いたように「もはや、次はいつどこの部品が壊れるのか、主治医の整備工場の社長ですらまったく予想がつかない」という状態に陥ったのが今年の2月。 最悪なことに、冷却系の不具合が出てるところに水温計まで動作不良を起こし、常にクーラントの残量を気にする必要があるものの、頼りの水温計はまったくアテにならず。 予備のクーラントを携行し、エンジン停止時にクーラントの残量を確認しなければならないという事態にまでいたったのです。 整備工場の社長に聞くと、「ジョイントのパイプ部分がリプロ品で手に入れば、片手で収まる工賃で3~4日あれば直せるが、部品が手に入らなければラジエター屋で現物から採寸して作ってもらう必要があり、金額も納期も全く読めなくなる」とのこと。 あいにく18R-G車用のヒーターパイプのリプロ品は存在せず(注:1600ccの2T-Gエンジン車用のヒーターパイプはTHサービスで入手可)、さすがにまた何か月も代車を借りっぱなしで直るまで預けるという気にはなれません。 これから気温があがっていくことを考えると、クーラントをつぎ足しながら「だましだまし」乗るのにも抵抗を感じます。 なにより、ここでジョイントの修理を出したところで、相手は50年も前のクルマです。 その後、問題なく乗り続けられるとは限りません。 ジョイントの修理費用と、普段使いの格安中古車を天秤にかけたうえ、ついに自分の友人にいつものファミレスで「もう、自分もいよいよ旧車の普段使いからドロップアウトする」と宣言したのが3月の某日でした。 ■普段使い用マシーン探し 普段乗りに関しては、そこに趣味性を求める気もなく、以下の条件をあげました。 ・維持費、燃費が安く、登録手続きの簡単な軽自動車・趣味性は求めないとは言いつつも、やっぱり好みでMT車は外せない・ボディ形式は軽トラック以外。ワンボックス、トールワゴン、ボンネットバン、セダ ンetc...エアコンさえあればメーカー車種、年式色装備、問わず・金額は現状・車体費用が出来れば1桁万円に収まるかどうかくらい。名義変更、車検、車庫証明は自分で手続きして極力安く済ます・安物買いの銭失いはある程度覚悟の上 また 【この出物に当たると嬉しい枠】・エブリイ、ハイゼット、サンバー等の軽ワンボックス・パジェロミニ、デリオスキッド等の軽SUV 【これは絶対無理だろう枠】・アルトワークス、ジムニー、ミラジーノ等の趣味性の高いモデル・スバル(旧富士重工)内製軽乗用車、ヴィヴィオに至っては90年代のスバル360みたいなヴィンテージ価格 といった車種の候補も。 いざ中古車サイトで探してみると、近年の中古車の高騰ぶりは聞きしに勝るもので、バブル状態のヴィンテージモデルはもちろん、新車の供給不足で高年式のモデルは新車と変わらないプライスタグを下げています。 その影響は低価格帯の車両にも影響しているようで、新車の納車が間に合わない、経済不況でとにかく安いクルマが欲しいという需要が多いのか、激安中古車が皆無、5万円以下の激安中古車は全滅というありさまです。 あくまで筆者の私見ですが、最近は中古スポーツカー高騰の影響か、ボディタイプ問わず安価なMT車にスポーツ走行目的の需要があるようです。 軽自動車などの低価格帯のMT車ですら高くなるという傾向が感じられました。 人気のモデルで、高年式で走行距離が少ない車両ならば総支払額で50万円を越えるのはザラ、車齢10年走行距離10km越えでようやく総支払額20万円以下という感じです。 筆者の住む愛知県では、総支払額10万円以下の売り物はほぼ全滅、まれに遠方でMT車でギリ両手で収まるかという出物があっても、陸送費のほうが高くつくというありさまでした。 東海三県でMTの軽となると、どうしても総支払額で20万円近くになります。 登録や車検は自分でするので、現状で車両価格だけで売ってほしいといおうにも、総支払額に粗利が乗っているためそれも難しいという話です。 ためしに予算オーバーの30万円以上で見てみると、高年式の軽ハイトワゴンの売り物が出てくる一方で、ダブルタイヤのマツダ ボンゴバンのMT、「スポーツ」ではない一般グレードのスズキ スイフトのMT、果てはBE/BH系スバル レガシィのMTまで出てくる始末。 いかに、維持費が経済的な軽自動車が、低価格帯中古車のボリュームゾーンになっているかが垣間見えます。 ■縁あって思わぬ出物は思わぬ所から 昨年から再開したスバル360のレストアで、そろそろ部品調達の相談をしようと、昔お世話になったスバル360専門店に行ったときのことです。 なにげなく「普段乗りにMTの軽自動車を探してる」なんて話をしたところ、「MTの軽?前俺が乗ってたR2のMTなら、去年一時抹消してそこに置いてあるぞ」と・・・。 まさかの、一番期待してなかった(無理だと思っていた)旧富士重工(現SUBARU)内製末期の軽乗用車の出物が思わぬ身近なところから。 まさに灯台下暗し・・・。 R2のMTモデルとしては最上級グレードのR(機械式スーパーチャージャー付のSはCVTのみ)、STiの純正エアロや、Sグレードのバンパーとアルミホイールという組み合わせ。 あとになって、Bluetooth対応の地デジナビにHIDまでついてることを知ったときは、むしろ面喰いました。 もとは関東のオーナーがワンオーナーで使用していた個体を、スバル360専門店の社長が普段使い用にゆずり受け、5~6年ほど使用したそう。 ところが最近腰が調子悪くなり、MT車の普段使いをやめて一時抹消。 ネットオークションに出すか業販に出すかを考えあぐねていたところへ、筆者がMTの軽自動車を普段乗りに欲しいとやってきたわけです。 走行距離は17万kmを越えていましたが、2オーナーで、前オーナーはスバル360専門店の社長なので、出どころは悪くありません。 売る側としても、スバル360をDIYレストアしている愛好家へ託すというのは、悪い話ではないとのこと。 現状販売で引き取り、登録、車検の手続きは自分でするので、車両価格でとお願いしたところ、両手で収まる金額とはいきませんでしたが、予算の上限+αで話がつきました。 富士重工内製時代の軽MTで、STiエアロをはじめとするオプションがついていることを考慮すれば、むしろ破格と言ってもいいかもしれません。 ■クルマというのはつくづく縁 因果なもので初めての愛車となり、現在DIYレストア中のスバル360を購入(正確には委託販売)した店で、20年以上も経ってからスバルの軽自動車を買うことになるとは思いもしませんでした。 色も青で(購入時は純正のシャンパンゴールドから青に塗り替えられた状態)、スバル360をリバイバルしたデザインのR2というのも、なにかの縁かもしれません。 [ライター・撮影 / 鈴木修一郎]
■半年でクルマを4台買う人間 まさか自分だって、半年でこんなにクルマを買うとは思っていなかった。 昨年の12月から約半年で、筆者はクルマを4台立て続けに購入したのだ。 それも家族のためなどではなく、完全に自分の趣味。 それもエンスージアストな趣味からはほど遠い、ごく普通のコンパクトカーばかりだ。 今はなんだか無性に、そんな気分なのである。 もちろん、購入の理由はどのクルマも一長一短があってのことなのだが、可能であればすべて手元に残したいくらい大好きである。 昨年購入した三菱・アイ、スズキ・セルボ、ダイハツ・タントと、3台軽自動車が続いたが、今回久しぶりに(?)普通自動車を購入することとなった。 これらの共通点は、すべて“00年代のクルマ”であるということだ。 中古車の値段が底値に差し掛かろうとしていることも、気軽な買いやすさの理由ではあるのだが、00年代に青春時代を過ごした筆者には、いずれにしても気になるクルマたちであることには変わりない。 さて、筆者と3代目キューブの出会いは2008年までさかのぼる。 当時高校生だった筆者は、北海道の地方にある小さな街に住んでいた。 インターネット通販はすでにあったが、現代のようにアマゾンプライムで翌日に配送されたり、送料が無料ということは滅多になかった。 そのため、デザイン用の画材一つ買うために、180km離れた札幌市まで足を運ぶことも少なくなかった。 なけなしのバイト代で、鈍行列車を乗り継いでいった札幌。 地元の小さな街に比べれば、文明を肌で感じられるほどの大きな都市なのだ。 関東に長く住み、地元の良さに気が付いた今ですら、地元の小さな街と札幌のことを比べて思い出すと、その落差には卑屈な気持ちになる。 そんな札幌には、日産自動車のギャラリーが存在していた。 1997年、当時最新の商業施設として開業していた、札幌ファクトリー(現・ペットランドプラス)で開業。 2004年には大通り地区に移転してオープンした。 大通り地区にあった日産ギャラリーは、ビルの1、2階部分に展示場が入っていた。 最新の日産車が鎮座する姿と存在感は、はるか遠くにある東京の銀座ギャラリー(現・NISSAN CROSSING)を想起させるような、都市型の展示施設であった。 特にデザインを“SHIFT”させて以降の日産車のデザインと、ギャラリーの雰囲気が非常にマッチしており、落ち着いた空間で光り輝く最新モデルの姿にゴクリと生唾を飲んだのを、今でも覚えている。 ■憧れの空間で見た最新モデルの記憶 その中でもひと際記憶に残っているのが、2008年に登場した3代目キューブだ。 キューブというクルマは初代、2代目ともに若い世代のユーザーへと訴求する商品力を感じさせていたモデルだが、3代目のキューブも負けず劣らずの商品性を有していたように思う。 当時風にいうと“癒し系”のデザインは、高校生の筆者から見ても「タイムレスなデザインになるであろうな...」と予感させるほど、普遍的な良さが車体の内外に表現されていた。 が、心に残っていたのは車体だけでなく、展示場でのプロモーションの面白さにもある。 新色であった“クラフトダンボール”という明るいブラウンの車体の隣には、ダンボールで制作されたキューブを模した大きなモックアップが並べられ、「このクルマのコンセプトはこうなんだ!」と語っているかのようでだった。 デザインを学ぼうと躍起になっていた当時の筆者の心に非常に響いたものである。 左右非対称のバックドアや、サングラスをかけたブルドックをモチーフの1つとしたデザイン、陶器のようにまるっこい車体は非常に親しみやすく、日本の自動車における既成概念をゆるやかに破壊してくれそうな期待感すらもてた。 内装にも驚きは多く、シャギー調の足の長いフロアマットや数多くのカップホルダー、ジャグジーのように乗員を取り囲むようなインテリアなどなど...そのコンセプトからアイテムに至るまで、所有欲だけでない部分までを刺激してくれそうだ。 特に気に入ったのは、上級グレードに設定されるサンルーフの「スタイリッシュガラスルーフ+SHOJIシェード&ロールブラインド」だ。 ルーフガラス部分自体はハメ殺しだが、巻き取り式のサンシェードの他に透過素材で出来た障子調の層が存在する。 直射日光を弱めつつ、頭上の光を柔らかに室内へ取り込むことができる和風な感覚は、00年代に日産がコンセプトで提示したいくつかのコンセプトカー、例えばインフィニティ・クラーザや日産・JIKOOなど、日本的な意匠からのインスピレーションも取り込まれているのかもしれない。(なお、残念ながら筆者のキューブにはサンルーフがついていないが...) 3代目キューブの前年に発売されたGT-Rも日産...いや、日本車の極みにあるモデルだと思うが、キューブもまた長く愛される、日本らしいプロダクトといえるのではないだろうか。 2008年に発売され、2020年まで生産され続けた3代目キューブは、2018年度にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞のアワードを受賞している。 マイナーチェンジや特別仕様車における細やかな差異は多いものの、長いモデルライフにおいて外観における大きな変更点がほとんどないことも、3代目キューブの良き特徴であることだろう。 ■偶然にも「ガチャ」で出会った白いキューブ 筆者が購入したキューブは2009年モデルだ。 きっかけは、ゲームセンターで回したガチャポンで出てきたカプセルトイのミニカーが、白い2代目キューブが出たからという、軽い理由からなのだが...。 それまで所有していたクルマは2代目タントなのだが、所有して実際に数か月走ってみると、オイルの消費量がかなり激しいことに気付いてしまった(中古車のKF-VE型エンジンにありがちな症状)。 小さなクルマで長距離移動をするのが大好きな筆者なので、これは致命的であり...手離そうと考えていた際に、ふと思いついたのがガチャでひいたキューブだったのだ。 実際に中古車の3代目キューブを探してみると、総額で30万円前後からの個体が多かったのだが、今回はラッキーにも車検付きで5万キロ未満、乗り出しは15万円に満たない値段で購入することができた。 今回のクルマはエンジンも好調で、大変にご機嫌だ。 色もガチャでひいたカプセルトイに似せて、当時のオプション色ホワイトパール(3コートパール)を選択した。 1.5LのHR15DEエンジンを搭載し、109psを出力する。 のんびりしたデザインの印象とはうらはらに、意外と元気な出足だ。 足回りもふんわりした感じではなく、むしろ段差のショックはそれなりに入力するものである。 ただそれがとても不快に感じるものでないのは、大きく作られたシートとの相性が良いからであろう。 座面にハイバック、ヘッドレストまで厚みがあり、柔らかである。 角度の立ったフロントウインドウと、まるく縁どられたサイドウインドウは、街中で見かけていた印象よりも、実際に車内に入ってみるとまるっこさがさらに際立つ。 さらに、室内にはいたるところに波紋状のデザインが入れられて、柔らかな印象が取り込まれている。 グレードは下から数えて一つ上のXでマニュアルエアコンだが、スイッチ部がぼんやりと透過して光る工夫があるなど、安いからといってこだわりがなくなるわけではないのも好印象だ。 かつて、札幌の日産ギャラリーで見たときから不可思議だったのが、メーターのグラフィック。 白と青が交わるような意匠上の箇所は、車体を見回しても外観のエクストロニックCVTのバッジ以外にはないのだが、やはりエコカー的なデザインを意識した色使いなのだろうか。 他が牧歌的な印象すら感じるデザインなので、ここだけは意外な配色だ。 先述のとおり、バックドアは左右非対称のデザイン。 ヒンジドアを開くとその重厚な印象に驚かされる(とはいえさほど操作しにくいわけでもないのだが...)。 荷室は深くとられ、右側のピラー部にはしっかりと物入も設けられる。 こんな風にデザインが実用性を兼ねているのを見つけたとき、さらにキューブの魅力にハマっていくのだろうな、と感じさせられる。 まだまだ街の中で見かける3代目キューブだが、もう間もなく登場から15年が経過しようとしているものの、その魅力はまだまだ色褪せそうもない。 2023年のオートサロンにおける、日産ブースで展示されていた「日産・キューブ リフレッシュ&レトロコンセプト」は、中古車の魅力を向上させる事をコンセプトとしたモデルだ。 各部の部品をリフレッシュさせながら、カスタムカーとしての魅力も付与していた同モデルだが、キューブという個性的かつタイムレスなデザインの車種を同社が有していたからこそ、新たな魅力を加え世の中に問う一台となったのであろう。 日産には他にも魅力的なクルマは数多い。 そのクルマが持つ魅力をリスペクトしながら、リフレッシュ&カスタムされることがビジネス化されるのを今から期待してしまう。 半年に4台のクルマを買う自分のことだから、この先またいつ何を購入したくなるかは自分でももうわからないのだが...この3代目キューブでいけるところまでいってみたいと思う。 小さな目標は、左ハンドル仕様のキューブはバックドアの開き方も逆...ということなので、いつかこのキューブで右側通行の国へ行き、並べて写真を撮ることができれば最高だ...なんて妄想は欲張りすぎだろうか。 お気に入りの空間をそのまま連れて、旅に出かけられる日を夢に見ながら、日々を暮らしてみようと思う。 [ライター・撮影 / TUNA]