旧車の魅力

メルセデスベンツ SLクラスの方向性を決定づけた? 旧車世代のR107・R129・R230を振り返る
旧車の魅力 2024.02.28

メルセデスベンツ SLクラスの方向性を決定づけた? 旧車世代のR107・R129・R230を振り返る

R129を始めとする旧車世代のメルセデスベンツ SLクラスは、オープン2シーターというスポーツカテゴリのクルマながら、クラシックカー独特の優雅さも兼ね備えたモデルです。 現在でも7代目が販売されている人気のSLクラスですが、実は1971年以降に登場したモデルによって今の方向性が決定づけられました。 SLクラスの大きな転機となった旧車世代のR107・R129・R230について振り返ってみましょう。 70年以上前に登場したSLクラス メルセデスベンツ SLクラスは、今から70年以上前に登場しました。プロトタイプレーシングカーとして開発された300SLに対して、アメリカの輸入車ディーラーが熱心に説得して市販化を実現したのがSLシリーズの始まりです。 当初「軽量スポーツカー」という位置づけで登場したSLクラスが、時代の変遷とともにラグジュアリー方向に転換していった歴史を振り返ってみましょう。 2シーターオープンスポーツ最高峰モデルのSLクラス メルセデスベンツ SLクラスは、2シーターオープンスポーツの最高峰モデルとして1954年に誕生しました。「SL」とは「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」の頭文字で、ドイツ語で軽量スポーツカーという意味です。特に初代の300SLは、ガルウィングを備えたスポーティーで先進的なスタイリングでした。 1963年のフルモデルチェンジで2代目となっていたSLクラスですが、1971年に登場した3代目のR107型で大きな路線変更が果たされました。2シーターオープンスポーツという本来のコンセプトは継承しつつ、より大柄で豪華な風貌に生まれ変わります。「Sport Leicht」から「Sport Laxualy」への転換が図られたのです。 旧車世代と呼ばれるSLクラスは3世代 1971年のフルモデルチェンジで大きな路線変更を果たしたSLクラスは、旧車世代と呼ばれる2000年代初頭までに合計3モデルが登場しました。 スポーツラグジュアリーへの方向転換とともに、3モデルとも当時最先端の技術を取り入れながら世界最高峰のロードスターと呼ぶにふさわしい進化を遂げます。特にイタリア人デザイナー、ブルーノ・サッコ氏の最高傑作とも呼ばれる1989年に登場した4代目SLのR129は、数々の先進装備が搭載されており人気の高いモデルです。 個性はそれぞれ違う旧車世代のSL ラグジュアリー方向へと舵を切ったSLクラスの方向性を決定づけたのが、1971年から2001年までに登場した旧車世代の3モデルです。 R107・R129・R230それぞれの魅力を紹介します。 コストプラス方式で開発されたR129 R129は、モデルライフが比較的長かったR107の後継モデルとして1989年に登場しました。SLクラスとしては4世代目のR129は、コストプラス方式で開発された最後のモデルといわれています。コストプラス方式とは、従来モデルよりも大幅な価格上昇を伴う開発方式です。世界最高峰を目指すべく、性能面、機能面ともに過剰なほどの技術と装備が投入されました。 また、ブルーノ・サッコ氏による流麗で機能的なボディデザインもR129の魅力の1つです。空力効率まで考えたウェッジシェイプデザインとしたことで、スポーツとラグジュアリーを見事に融合させました。さらに、5種類のモーターを使用するパワーシートや、標準装備された電動格納式のソフトトップなどラグジュアリー車にふさわしく快適性を高める装備も充実しています。 安全装備の面では、車輌が姿勢を崩した際にわずか0.3秒でポップアップして乗員を守る、「オートマチック・ロールバー」が目玉の1つです。耐荷重5トンのU字型のスチールチューブに加え、ボディ側にも3層の高強度材を使用してオープンモデルで課題になる安全性を高めています。 スポーツラグジュアリー車ということで、走行性能に関連する装備にも手抜かりはありません。ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やトラクションコントロールといった電子デバイスに加え、スポーツ走行に欠かせない電子制御式のLSD(リミテッドスリップ・ディファレンシャル)まで備えています。 販売期間の長かったR107 ボディを大型化し、モデルの方向性を大きく変更したR107は、1971年の登場からR129の登場まで実に18年間も販売されました。 一般的にオープン2シーターは、大きくわけて2つの方向性のモデルがあります。マツダ ロードスターのようにスポーツカーとしての運動性能を重視したモデルと、運動性能よりもオープンであることのゆとりや開放感、優雅さを求めるモデルです。 それまでのSLクラスは、前者のように運動性能を重視して小型軽量に作られていました。しかし、R107では後者の方向性へと転換し、エレガントさを追い求める性格へと進化。ホイールベースは先代よりも60mmほど拡張されるなど、全体にゆとりのある優雅さのあるスタイリングに仕上がっています。 全長は4,380mmと現代の基準から考えるとコンパクトではありますが、以後のSLクラスの方向性に大きな影響を与えた重要なモデルです。 現代的に進化したR230 2001年にSLクラス5代目として登場したR230は、R129の方向性にならって正統進化したモデルです。大型の楕円を組み合わせた特徴的なフロントフェイスに変更されているものの、優雅さのあるウェッジシェイプは踏襲されています。 装備面では、バリオルーフと呼ばれる電動格納式のハードトップが話題になりました。R129でラインナップされていた、ソフトトップと着脱式のハードトップは廃止されています。SLクラスはオープンスタイルが基本ですが、電動格納式のハードトップを閉めたクーペスタイルもエレガントです。 旧車世代のSLクラスに乗るなら慎重に探したい 当時のメルセデスベンツ SLクラスは、比較的日本国内でも流通していました。特にR129の販売時期はバブル景気にわいていた頃だったため、本来なら十分な個体が国内にも残っているはずです。しかし、状態の良い車輌はバブル崩壊とともに海外に流出したとの話もあり、中古車を購入する際には状態の慎重な確認をおすすめします。 一方で、売却の際には、正しく査定してもらうことで思わぬ価格で買い取ってもらえる可能性もあります。ただし、年式や走行距離だけでなく、車としての価値や状態まで正確に見極められる経験豊富な専門業者にご相談ください。

トヨタ 150系 ランドクルーザープラドは15年前に誕生したのにかっこいい! 魅力と人気の秘密に迫る
旧車の魅力 2024.02.27

トヨタ 150系 ランドクルーザープラドは15年前に誕生したのにかっこいい! 魅力と人気の秘密に迫る

15年前のモデルであるにも関わらず、いまだに洗練されたかっこよさを感じるトヨタ 150系ランドクルーザープラド。派生元のランドクルーザーが本格的なクロスカントリー車なのに対して、オンロードでの使用を意識した高級SUVという位置づけのモデルです。 一方で、ランドクルーザー譲りの堅牢性と、高い悪路走破性もしっかりと備えています。新モデル「ランドクルーザー250」の発表によって注目の集まる、150系ランドクルーザープラドの魅力を詳しく紹介します。 同一モデルのまま10年以上も作られ続けたランドクルーザープラド 150系ランドクルーザープラドは、デビューから15年間(※)もフルモデルチェンジをしていません。選択肢が少なく技術革新も遅かった数十年前ならまだしも、顧客ニーズが変化しやすくなってきた2000年代では驚異的なことです。 長年ユーザーから愛され続けている150系ランドクルーザープラドについて、プラド誕生の歴史も含めて振り返ってみましょう。 ※2024年2月原稿執筆時点 ライトデューティー車としてランドクルーザーから派生 ランドクルーザープラドの起源は、1984年にランドクルーザーのライトデューティー車として登場したランドクルーザーワゴンです。そして、ワゴンのフルモデルチェンジという形で、1990年に初代ランドクルーザープラドが誕生しました。 その後もプラドは市場からの高い支持を受けて、モデルチェンジを重ねて進化し続けます。そして、4代目として2009年に登場したのが、150系ランドクルーザープラドです。完成度が非常に高く、2009年の登場から実に14年間も同一モデルのまま販売され続けています。 マイナーチェンジモデルとの違い 一度もフルモデルチェンジをしていない150系ランドクルーザープラドですが、実は大幅改良、いわゆるマイナーチェンジを二度ほど実施しています。初期モデルから、それぞれ前期、中期、後期と呼ばれています。 最初のマイナーチェンジは、発売から4年経過した2013年でした。外観上でのもっとも大きな変更点は、フロントグリルとヘッドライトのデザインです。前期型では6本だったフロントグリル内の柱が、5本に変わりました。また、ヘッドライトの形状もよりシャープに変更されています。 後期型は、中期型へのマイナーチェンジから4年後の2017年に登場しました。後期型では、ボンネット中央に凹みが設けられた点が大きな違いです。また、前、中期型とヘッドライトの形状が異なります。 ランドクルーザープラドはとにかくかっこいい 150系 ランドクルーザープラドが長期間支持され続けている理由の1つは、多くのユーザーから「かっこいい」と評価されているためです。いかに完成度の高い車でも、販売台数が伸びなければ継続して作られることはありません。 15年間も愛され続けている、150系ランドクルーザープラドの魅力とかっこいいと評価される理由について解説します。 ランドクルーザー譲りの高い悪路走破性 ランドクルーザープラドは、本家ヘビーデューティーのランドクルーザーと基本構造は変わりません。市場を賑わわせているクロスオーバーSUVにありがちな乗用車と同様のモノコックボディではなく、堅牢なラダーフレームによって悪条件下でもダメージを受けにくくなっています。 また、悪路走破性を高めるための装備が充実していて、ランドクルーザーと同様に走行シーンを選びません。スタビライザーを制御して凹凸のある路面へのタイヤの追従性を高めるKDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)や、アクセルとブレーキ操作をせずステアリング操作だけで極低速走行ができるクロールコントロールといった装備で悪路走破性を高めています。 トヨタ最高峰SUVにふさわしい質感 本格クロスカントリー車顔負けのオフロード装備をもつ150系ランドクルーザープラドですが、ポジションはトヨタの誇る最高級SUVです。ヘビーデューティー車との大きな違いは、都市部でも違和感なく溶け込む高級感のあるボディデザインです。オフロードを意識したボックス型のスタイリングながら、曲面をうまく取り入れたデザインとしています。 また、高級セダンのような上質さを感じさせる内装も、150系ランドクルーザープラドの魅力の1つです。特に、上位グレードの「TX“Lパッケージ”」や「TZ-G」ではシートやステアリング、シフトノブなどに本革を使用するなど、さらに高級感を高めています。 取り回しやすいサイズ感など高い実用性 150系ランドクルーザープラドは迫力のあるボディデザインから大型に見えますが、実はトヨタを代表するミニバンのアルファードとそれほどサイズは変わりません。幅はわずか3cmほど広いものの、全長は約12cm、全高は約10cmコンパクトなため、むしろミニバンよりも取り回しやすいかもしれません。 また、7人乗りの3列シートも選択可能なため、日常生活での実用性も十分です。3列目を格納すれば大容量の荷室が確保できますし、大人数の移動やゆったりとした長距離移動などあらゆる場面でランドクルーザープラドの使いやすさを感じるはずです。 後継モデルの発表によって市場に変化が起きる可能性 15年間販売され続けてきた150系ランドクルーザー プラドですが、フルモデルチェンジを迎える可能性が高まっています。後継車種と目される、ランドクルーザー250の発売が発表されたためです。旧モデルの買取価格は、モデルチェンジをすると引き下げられる傾向にあります。150系ランドクルーザー、特に前期型をお持ちの方は今が売却する最後のチャンスかも知れません。 2013年のマイナーチェンジを迎える前の前期型は、もっとも新しい年式でもすでに新車販売から10年以上が経過しています。新モデルとまではいかないまでも、中期型や後期型への乗り換え需要が高まると、市場に流通する前期型が増えて価格が下がってしまうことも大きな懸念です。 150系 ランドクルーザープラドを売却する際は、車そのものの価値がわかる旧車の取扱い経験豊富な専門業者に相談することをおすすめします。

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る
旧車の魅力 2024.02.21

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る

高性能スポーツセダンとしてヒットした三菱 6代目ギャランのなかで、フラッグシップモデルとして開発されたVR-4。日産 R32型GT-Rやスバル レガシィRSよりも2年先行して駆動方式に4WDを採用した、国産ハイパワー4WDターボ車の草分け的存在でもありました。 セダンなのに速かったギャラン VR-4のスペックやレースでの戦績、クルマとしての魅力をたっぷりと紹介します。 ラリー参戦も見据えたトップグレードの開発 ギャラン VR-4は、4ドアセダンでありながら最高出力200psオーバーという当時のスポーツカーをも凌ぐスペックを誇っていました。WRC(世界ラリー選手権)への再挑戦に向け、規定改定を見据えて開発されたモデルでもあったためです。 三菱の看板車種ギャランのトップグレード、VR-4がどんなモデルだったのかを詳しく振り返ってみましょう。 VR-4は6代目ギャランで誕生 ギャラン VR-4は、ギャランの6代目へのフルモデルチェンジと共に1987年に生まれました。ギャランは1969年に初代が登場した三菱の主力セダンで、最終的には2015年に販売終了するまでに実に9世代も作られたモデルです。 VR-4はトップグレードに位置づけられ、数々のハイテク装備や名機4G63型エンジンを搭載。先代よりも大柄になった外観も速さを予感させました。 名機4G63エンジンによる抜群の加速力 ギャラン VR-4に採用された2Lの4G63型エンジンにはターボが搭載され、最高出力205ps、最大トルク30.0kg・mを発揮します。さらに、マイナーチェンジごとに改良が繰り返され、1989年登場の中期モデルでは220ps、1990年には240psまで最高出力が引き上げられました。 最高速度223km/h、0-400mを13.92秒という抜群の加速力で、車重1,360kgのセダンながらスポーツカー顔負けの動力性能を誇りました。 ギャラン VR-4主要諸元エンジン:4G63型直4DOHCターボ排気量:1,997cc最高出力:205ps/6,000rpm最大トルク:30.0kgm/6,000rpmトランスミッション:5速MT全長×全幅×全高:4,560×1,695×1,440mm車輌重量:1,360kg 三菱ワークス体制でWRCに再挑戦 ギャラン VR-4は、WRCが市販車ベースのグループA規定に変更されることに合わせて開発されました。グループA規定のWRCで活躍した三菱車といえばランサーエボリューション(ランエボ)というイメージですが、実はギャラン VR-4が最初です。 ギャラン VR-4は、1988年から1993年の6年間で6度の優勝を飾ります。本格的なワークス体制となった1989年には、いきなり4戦中2勝を上げます。さらに、1991年のコートジボワールラリーでは、篠塚建次郎選手が日本人初のWRC優勝を手にしました。 シリーズタイトルほどの輝かしい成績とはいかなかったものの、VR-4の活躍こそが同じ4G63型エンジンを積むランエボの開発と三菱のWRCの成功につながったといえます。 国産4ドアスポーツセダンの頂点 ギャラン VR-4はギャランのトップグレードというだけでなく、当時の国産4ドアスポーツセダンでは最高峰ともいえるほど装備が充実していました。また、エレガントなイメージのセダンとは異なる、精悍なボディデザインも6代目ギャランの特徴です。 VR-4に注ぎ込まれた技術と、先代から大幅に変更されたデザインをみていきましょう。 惜しみになく注ぎ込まれたハイテク装備 ギャラン VR-4には、当時の技術が最大限投入されています。目玉は「ACTIVE FOUR」と呼ばれる、性能に大きく影響する先進装備です。4バルブターボエンジン(4VALVE)、先に紹介した4WDに加えて4輪操舵の4WSも装備、さらに4輪独立懸架(4IS)と4輪ABS(4ABS)を備えていました。 また、派生車が数多くリリースされたのも、VR-4の特徴の1つです。VR-4RやVR-4RSといったラリー専用車、WRC RACラリー優勝記念モデルの2.0ターボスーパーVR-4、電動リアスポイラーを採用したVR-4アームド・バイ・ラリーアートといった限定車、特別仕様車が販売されました。 速さを感じさせるボディデザイン 6代目ギャランは、性能面だけでなく外観も先代から大きく変わっています。セダンとしてややコンサバティブな印象の5代目に比べて、速さを予感させるマッシブで力強いスタイリングに進化しました。 複合局面で構成しつつもボディラインは全体に直線基調にまとめられていて、室内空間の快適性を高めた6ライトウィンドウを採用するなど迫力のあるデザインです。内装はシンプルながら機能的にまとめられていて、余分な華飾のないところに三菱のこだわりを感じます。 希少性の高まりを感じさせるVR-4 ギャラン VR-4を大手中古車サイトで検索したところ、販売中の車輌はわずか5台でした。三菱車初のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞し販売台数を伸ばした6代目ギャランですが、販売終了からすでに30年以上が経過しており、現在では希少なモデルです。さらに、VR-4の特別仕様車を探すとなると、至難の業かもしれません。 なお、これだけの希少車だと、購入時以上に売却時の業者選びに気をつける必要があります。市場での流通量が少ないため、仕様によって査定額が変わります。実際、大手中古車サイトでは、169万円から399万円まで販売価格に大きな差がありました。ギャラン VR-4のような希少車を売却する際は、旧車の取り扱いに慣れた経験豊富な専門業者に相談しましょう。

第2世代ランサーエボリューションがなぜ人気なのか? 高い戦闘力に込めた三菱の想いに迫る
旧車の魅力 2024.02.16

第2世代ランサーエボリューションがなぜ人気なのか? 高い戦闘力に込めた三菱の想いに迫る

根強いファンから支持を集める三菱 ランサーエボリューション(以下適宜ランエボと表記)。特に第2世代と呼ばれるランエボIVからVIは、WRC(世界ラリー選手権)で輝かしい成績を残しました。 WRCでの活躍によって「トミ・マキネンエディション」というドライバーの名を冠した特別仕様車も発売されるほど人気を集めた、第2世代ランサーエボリューションについて詳しく紹介します。 三菱の実力を世界に示したランエボ ランサーエボリューションは、そもそもWRCで戦うことを目的に作られました。そして、三菱は狙い通り、ランエボで実力を世界に証明します。 特に無類の強さを誇った第2世代を中心に、ランサーエボリューションの開発背景と実績を振り返ってみましょう。 ランサーエボリューションは戦うために作られた ランサーエボリューションは、WRCの当時のトップカテゴリー「グループA」の出場条件を満たすために開発されました。当時の参加車輌の条件は、最低2,500台生産された市販車輌ベースと規定されていたためです。 初代の登場は1992年で、小型なランサーにギャランの4G63型2.0Lターボエンジンを搭載。以降2006年まで、ランサーエボリューションの基本フォーマットとして踏襲されます。 ランサーエボリューションは、1992年から2016年までの14年間で合計10モデル(派生モデルを除く)が販売されました。また、ベースのランサーのフルモデルチェンジにあわせて(ランサーエボリューションXのみギャランフォルティス)4世代に分類されています。 第2世代が三菱の黄金期を作り上げた ランサーエボリューションのなかでも特に人気を集めるのが、第2世代に分類されるIVからVIの3モデルです。第2世代ランサーエボリューションは、トミ・マキネン選手が全てのモデルでドライバーズタイトル4連覇(最初の獲得はランエボIII)という前人未到の記録を達成。さらに、ランエボVでは、三菱初のマニュファクチャラーズタイトルをもたらしました。 実は、初代ランサーエボリューションの投入当初は、開発期間が短かったこともありあまり目立った成績は残せませんでした。しかし、ランエボIIで初勝利を挙げると、ランエボIIIではトミ・マキネン選手が初のドライバーズタイトルを獲得。徐々に強さを見せはじめたなかで、満を持して投入されたのがフルモデルチェンジを図った第2世代だったのです。 結果を追い求めて進化し続けた第2世代ランエボ ベース車輌ランサーのフルモデルチェンジに合わせて、第2世代に更新されたランサーエボリューション。ランエボIVからVIの3モデルは、同モデルがベースです。 しかし、モデルを追うごとにマイナーチェンジとは思えない進化を遂げて、WRCで結果を残し続けました。ここからは各モデルの違いや特徴を、WRCの戦績と合わせて紹介します。(1シーズンに2モデル投入された年度もあるため、成績は単一モデルでのもののみ掲載) ランサーエボリューションIV: 1996年 ランサーエボリューションIVは、ランサーのフルモデルチェンジに合わせてボディを刷新。ボディ刷新に合わせて、エンジンの左右を先代から180度入れ替えました。エンジン回転を逆転させるシャフトが不要な、合理的でシンプルな構造に変更されます。また、エンジンの最高出力は、当時の自主規制いっぱいの280psまで引き上げられました。 次期モデルよりボディをワイド化したため、最後の5ナンバーランエボとしても有名です。WRCの戦績は4勝で、トミ・マキネン選手が2年連続でのドライバーズタイトルを獲得しました。 ランサーエボリューションV: 1998年 ランサーエボリューションVが登場した1998年は、WRCが新たに認めた改造範囲の広いWRカーの参戦が本格化した年でした。三菱は、市販車ベースのグループAでの参戦を決定。より一層高い戦闘力の実現を目指して、ランサーエボリューションVは開発されました。 すでに自主規制いっぱいまで高出力化されていた4G63型エンジンでしたが、細部の見直しでトルクを38.0kg・mまで引き上げます。また、2,500〜6,000回転の常用域のパワーとトルクも引き上げて、高い加速性能を実現しました。 ボディのワイド化も、ランエボVの大きなトピックです。走行性能の向上を目指して、1,770mmまで拡幅されました。迎角調整式の新型リアスポイラーといった、エアロパーツも一新。先代と同じ車種がベースとは思えない、どっしりとした印象になりました。 WRCでは、念願のマニュファクチャラータイトルを獲得します。トミ・マキネン選手は、ついにドライバーズタイトル3連覇を達成しました。 ランサーエボリューションVI: 1999年 第2世代の完成形ともいわれるのが、ランサーエボリューションVIです。先代でワイド化されたボディはサイズこそ変更はないものの、空力性能と冷却性能をさらに向上させました。 エンジンでは大型のオイルクーラーの採用や吸気口の大径化に加え、世界初のチタンアルミ合金製タービンホイールを採用。高回転域での効率化と、レスポンスアップを実現しました。 WRCでは1999年度に4勝を挙げたものの、2年連続でのマニュファクチャラーズタイトルは逃します。しかし、トミ・マキネン選手は前人未到のドライバーズタイトル4連覇を達成しました。 トミ・マキネンエディション: 2000年 トミ・マキネンのドライバーズタイトル4連覇を記念して、三菱はランサーエボリューションVIをベースに開発した特別仕様車をリリースします。ランエボ6.5とも呼ばれる「ランサーエボリューションIV トミ・マキネンエディション」です。 ランサーエボリューションIVを、舗装路(ターマック)向けに特化した仕様に変更。中低速域のレスポンス向上や専用のサスペンションを装備するなど、一般道を走るロードカーに最適な仕様だったこともあって高い人気を集めました。 また、専用に新開発されたフロントバンパーエアロや三菱のWRCワークスラリーカーと同デザインのホイールを採用するなど、細かい点まで三菱ファン垂涎の仕様になっています。 ランエボ第2世代は根強い人気を保っている ランサーエボリューションのなかでも、特に第2世代はWRCでの活躍もあっただけに20年以上が経過した今でも人気は衰えていません。さらに、ランサーエボリューションIV トミ・マキネンエディションともなると販売台数はわずか3,000台前後ともいわれていて、さらに希少性が高まっています。 ただし、中古車の売買をする際は、高い専門性のある業者を選定しましょう。最も新しいランサーエボリューションIV トミ・マキネンエディションでも登場から20年以上が経過していて、ランサーエボリューションIVは1996年の登場から30年近くの年月が経っています。思わぬ不具合に見舞われないよう、車両状態を見極められる業者と取引することが重要です。 また、希少性の高いクルマは、一般的な買取業者に依頼すると売却時に正しく査定してもらえない可能性があります。車輌状態だけでなく、クルマそのものの価値も正しく査定してくれる旧車の取り扱いに慣れた業者に相談しましょう。 ※経過年数は2023年11月執筆当時

マツダ R360クーペは超低価格を実現した大衆の味方! 先進技術も注ぎ込まれたクルマとしての魅力に迫る
旧車の魅力 2024.02.15

マツダ R360クーペは超低価格を実現した大衆の味方! 先進技術も注ぎ込まれたクルマとしての魅力に迫る

小型で低価格ながら、クルマとしての完成度が高かったマツダ R360クーペ。王者スバル360が先行するなか、発売年にはシェアを奪うほどの大ヒット車となりました。 マツダ初の乗用車にも関わらず、軽自動車初の技術も盛り込まれた革新的なR360クーペの歴史と魅力をみていきましょう。 マツダ初の乗用車は超低価格モデル R360クーペは、マツダが初めて開発した乗用車です。トラックの開発経験しかなかったマツダは、自動車メーカーとして乗用車の開発に乗り出します。軽自動車規格の大衆車という価格とサイズに制約のあるなかでの開発でしたが、R360クーペはマツダらしいというべき革新的なモデルでした。 まずは、R360クーペの開発背景を詳しく振り返ってみましょう。 国民車構想に呼応する形で開発 通産省(現在の経済産業省)の抱いていた国民車構想が、1955年にリークされる形で新聞報道されます。マツダは「ピラミッドビジョン」という所得に応じた新車開発構想を掲げ、まずは最下層の大衆車の開発に乗り出すことを決断しました。 国民車構想のなかでマツダが軽自動車専門メーカーと位置づけられていたこともあり、 軽自動車規格の大衆乗用車の開発に着手します。そして1960年に登場したのが、2+2シーターのR360クーペでした。 驚くべき低価格を実現して大ヒットを記録 R360クーペは、当時としても破格の30万円で販売されました。同規格の大衆車として王者に君臨していた、スバル360の販売価格42万5千円から30%近くもの低価格化を実現。結果的に、1960年の軽自動車生産シェアの6割以上を占める大ヒットを記録しました。 「国民車構想」「大衆車」というコンセプトのもとで開発されただけに、低価格の実現はマツダにとって譲れない部分だったのでしょう。4シーターの居住性にこだわったスバル360に対して、2+2シーターという割り切った開発思想に加え、徹底したコストカットを図りました。また、コンピュータで生産管理を行うという当時最先端の工場で効率よく生産されたことも、低価格を実現した一因かもしれません。 先進技術を盛り込んで妥協なく作り込まれたR360クーペ R360クーペの開発リーダーは、のちにロータリーエンジンの実用化に成功し「ミスター・ロータリー」とも呼ばれる山本健一氏でした。徹底的なコストカットを図る一方で、エンジンやサスペンションといった性能の根幹に影響する部分は妥協なく作り込まれています。また、小型でも十分な走行性能を発揮するよう、徹底した軽量化がされていた点もR360クーペの特徴です。 R360クーペのクルマとしての魅力をみていきましょう。 先進技術を盛り込んで作り込まれていた R360クーペのエンジンは、356ccのV型2気筒エンジンです。ベースのエンジンははすでに軽3輪車で使用されていましたが、シリンダーブロックやクランクケースといった主要パーツをアルミ合金化。さらに動弁系や補機類にマグネシウム合金を使用するなど、徹底した軽量化が図られました。また、軽自動車に4サイクルエンジンを搭載していた点も、当時としては画期的でした。 さらに、「クーペ」という車輌コンセプトにふさわしく、サスペンションは4輪独立懸架方式を採用。単に安価で軽量なだけではなく、走行性能にも可能な限り力を尽くした、山本健一氏をはじめとするマツダ開発陣のこだわりが詰まったモデルといえるでしょう。 軽自動車初のATを採用 R360クーペには、軽自動車として初めて2速AT(オートマチックトランスミッション)が搭載されました。価格面も4速MTに比べてわずか2万円の上昇に抑え、「誰もが運転できる」という大衆車のコンセプトをトランスミッションでも体現していました。 日本で初めてAT車が登場したのが1958年ということを考えると、わずか2年で低価格の大衆車にATを搭載したことは大変画期的だといえます。 マツダ創立100周年記念モデルのモチーフになった マツダは2020年に創立100周年を迎えた際、当時販売していた全車種に記念モデルを設定しました。その際にデザイン的なモチーフとしたのが、R360クーペです。どのモデルも、Lパッケージに対して11万円プラスという価格設定でした。 100周年記念車では、R360クーペのカラーリングをうまく現代のモデルに取り入れました。一方で、当時の色をそのまま採用するのではなく、時代背景に対する解釈を加えて100周年記念車にふさわしい上質さを表現しています。 R360クーペのボディカラーは、やや黄味がかったアルペンホワイトでしたが、当時の量産技術では白の再現に限界があったのではないかと解説。100周年記念車では、スノーフレイクホワイトパールマイカをボディカラーとしました。また、ルーフと内装に使用されていたマロンルージュカラーは、マツダ3に使用されていた同系色のバーガンディをシートやフロアマットといった内装に使用しています。 随所にR360クーペを感じる100周年記念車を販売全車種に用意したのは、マツダにとってもいかに重要な車種だったのかがうかがい知れます。 希少車に買取価格をつけるのは実は難しい 歴史的価値の高いR360クーペの生産時期は、1960年から1969年までです。大ヒットを記録し、9年間も生産されていたものの、すでに生産終了から50年以上が経過しています。特に、安価な大衆車だったということもあり、状態のよい個体はほとんど残っていません。 一般的には、希少であれば高く売れるイメージがあります。しかし、実は希少車に買取価格をつけるのは、簡単なことではありません。クルマの状態の見極めはもちろん、市場での価値を正確に把握しておく必要があるためです。R360クーペのようにクルマ自体の性能が高いわけではない大衆車は、さらに査定を難しくします。妥当な買取価格で売却するためには、旧車王のように旧車の買取実績の豊富な専門業者に相談しましょう。  

マツダ ファミリア ロータリークーペは最強の大衆車?! ロータリーエンジン搭載車種として選ばれた理由と魅力に迫る
旧車の魅力 2024.02.08

マツダ ファミリア ロータリークーペは最強の大衆車?! ロータリーエンジン搭載車種として選ばれた理由と魅力に迫る

小型大衆車でありながら、スポーツカー並みの動力性能を誇るマツダ ファミリア ロータリークーペ。コスモスポーツに続いて、量産型ロータリーエンジン搭載モデルに選ばれたのは、大衆車として地位を確立していたファミリアでした。 当時最高の技術で作られたスポーツエンジンと大衆車という意外な組み合わせですが、ファミリア ロータリークーペは欧州レースで活躍して高い実力を証明します。ファミリアにロータリーエンジンを搭載したマツダの思惑も含めて、当時を振り返ってみましょう。 世界2台目のロータリーエンジン搭載車は小型大衆車 ロータリーエンジンが搭載された世界初の量産車はコスモスポーツですが、次の搭載モデルとして選ばれたのが小型大衆車のファミリアでした。夢のエンジンとまでいわれた最新エンジンをいきなり大衆車に搭載するのは、一見不釣り合いで大胆な決断に思えます。しかし、ロータリーエンジンの普及を目指すマツダとしては、当然の選択だったのかもしれません。 まずは、ファミリア ロータリークーペが誕生した経緯を振り返ってみましょう。 ロータリゼーションへの第一歩はファミリアへの搭載 当時「ロータリゼーション」という言葉まで生み出して、マツダは実用化したロータリーエンジンの普及を目指していました。そして、コスモスポーツに続くロータリーエンジン搭載車として、1968年にファミリア ロータリークーペを発売。大衆車への搭載は、ロータリーエンジンをより身近に感じてもらう狙いがあったのではないしょうか。 ファミリア ロータリークーペは、1967年のフルモデルチェンジで登場した2代目ファミリアのラインナップに追加される形でその姿を現しました。しかし、実は開発当初、ロータリーエンジンの搭載予定はなかったといわれています。しかし、ロータリゼーションへの第一歩として、クーペタイプとしてレシプロエンジンを搭載する予定だったファミリア1200クーペのシャシーを流用し、大幅に強化してロータリーエンジンを搭載しました。なお、ファミリア ロータリークーペの発売から3ヶ月遅れて、レシプロエンジンを搭載したファミリア1200クーペも登場します。 小型車だからこそ恩恵が大きかった ロータリーエンジン最大の特徴は、小型軽量ながらハイパワーを生み出せることです。小型車のファミリアに搭載したことで、ロータリーエンジンのよさが最大限引き出されました。最高速度は180km/hに達し、0-400m加速はわずか16.4秒という俊足振りを発揮します。 ファミリア ロータリークーペのロータリーエンジンは、1ローターあたり491ccの2ローター式です。1Lにも満たないわずか982ccの排気量で、最高出力100ps、最大トルク13.5kgf・mを発生させます。さらに、軽量なファミリアのプラットフォームに搭載したことで、国内トップクラスの動力性能を実現しました。 レースでロータリーエンジンの信頼性をアピール ロータリーエンジンの耐久性能を世界にアピールしたいマツダは、欧州の長距離レースへの参戦を決めます。発売翌年の1969年に開催されたシンガポールGPでは、200psのレーシング仕様のファミリア ロータリークーペで見事優勝。どのメーカーも量産化にこぎつけられなかった、ロータリーエンジンの実力の高さを証明しました。 さらに、1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースには4台を出場させ、21時間目までトップを快走して速さを見せつけます。残念ながら残り3時間でエンジントラブルやアクシデントに見舞われたものの、残った1台は5位入賞。甲高いロータリーサウンドが、欧州のファンの心に印象強く残りました。 ロータリーエンジン以外にもこだわって開発されたファミリア ロータリークーペ ファミリア ロータリークーペの魅力は、ロータリーエンジン搭載モデルという点だけに留まりません。エンジンスペックを最大限発揮すべく、細部までこだわって開発されました。 また、スポーツモデルにふさわしく、内装もかなり作り込まれています。ここからは、ファミリア ロータリークーペのクルマとしての魅力を紹介します。 作り込まれたボディがハイパフォーマンスを後押し ファミリア ロータリークーペのボディは、風洞実験を重ねてデザインされています。わずか805kgという車重と空力特性に優れたスタイリングによって、2Lクラスに匹敵する加速性能を実現しました。また、高出力化に合わせてシャシー各部はもちろん、サスペンションやブレーキも強化されています。 ファミリア ロータリークーペに搭載されたロータリーエンジンは、コスモスポーツの同型の10A型だったものの、あくまでも大衆車という位置づけから使いやすさを重視した設計に変更されていました。最高出力は、コスモスポーツの128psから30%近くも低い100psにまでデチューンされています。しかし、最高速度180km/hを発揮する性能を維持しているのは、エンジン以外の部分も作り込まれていたからこそでしょう。 スポーティなT字型パネルが特別感を演出 ファミリア ロータリークーペは、スポーティーカーとしてベースモデルとは異なるインテリアに仕上げられていました。特徴的なのはT字型のインパネで、シフトノブまで一体となった大型のセンターコンソールがスポーティさを高めています。 センターコンソールには燃料計、油圧計、時計の3連メーター、さらにメーターパネルは大型の速度計と回転計が存在感をアピール。エアアウトレットにも円形のデザインを採用するなど、まさにスポーティ車にふさわしいインテリアデザインに仕上がっています。 高級車や特別仕様車に限らない旧車の魅力 ファミリア ロータリークーペは、最高級の内装や他車を寄せ付けないほどの動力性能を誇ったモデルではありませんが、世界で初めてマツダが量産化に成功した、ロータリーエンジンを搭載した大衆車というユニークなモデルです。 また、同等性能の日産 スカイライン2000GTよりも20%近く(当時の価格で16万円程度)安かったことを考えると、ファミリア ロータリークーペがいかに優秀なモデルだったかがわかります。 大衆でも世界唯一のエンジンを手にできたファミリア ロータリークーペは、スペックや内装の豪華さだけでは測れない価値のあるモデルです。発売から半世紀以上経過しているために中古車市場ではほとんど見かけませんが、興味をもった方はぜひ根気強く探してみてください。 一方、ファミリア ロータリークーペを売却する際は、必ず専門業者に相談することをおすすめします。歴史的価値の高い車種であることは間違いありませんが車格的には大衆モデルで、しかも流通量が少ないためノウハウの少ない中古車業者では正しく査定することが困難です。希少車の価値を正しく見極めてもらうには、旧車の買取実績の豊富な専門業者に依頼しましょう。

初代フォード ブロンコの面影を残した新型が24年ぶりに登場!魅力と歴史を振り返る
旧車の魅力 2024.02.05

初代フォード ブロンコの面影を残した新型が24年ぶりに登場!魅力と歴史を振り返る

2020年7月、約24年ぶりとなる新型がアナウンスされたフォード ブロンコ。ドアとルーフの着脱が可能で、最大35インチものタイヤも履けるなど、まさにオフロードで思いっきり遊べる車に仕上がっています。 キャッチーな丸目ライトも、半世紀前に発売した初代ブロンコを感じさせ、ファンのあいだで好評を得ているポイント。今回はそんな新型ブロンコの解説と、今でも根強いファンが多い初代の「アーリーブロンコ」についても紹介していきましょう。 4WDブームの中投入された初代ブロンコ 1966年当時、ジープ チェロキーやインターナショナル スカウトなどのオフロード4WDが盛り上がりを見せていました。 対するフォードもこれらの対抗車種として、オフロードSUVの初代ブロンコを発売。全長4,635×全幅1,695×全高1,640mm小柄なボディに対し、最大出力105psの2.8リッター直列6気筒に加え、オプションで4.7リッターV型8気筒、最高出力205psのパワフルなエンジンが設定されていました。 そして、ルーフが取り外し可能な「パッセンジャーワゴン」や、左右のドアがない「ロードスター」など、アウトドア仕様に特化した多彩なモデルがあるのも、フォード ブロンコ最大の特徴です。 好評を得たものの、人気は長く続かなかった ショートホイールベースのコンパクトボディはオフロードとの相性が良く、ユーザーからも好評でした。しかし、シボレー ブレイザーの登場により、フォードは苦戦を強いられることになります。 ブレイザーの快適性及び、洗練されたスタイリングは話題を呼び、ブロンコの売れ行きは頭打ち。その後はモデルチェンジを繰り返すも、ピックアップトラック「Fシリーズ」のヒットの陰に隠れ、ブロンコは1996年に生産を終了してしまうのです。 ところが、コンパクトオフローダーとして一時代を築いた初代ブロンコの人気は根強く、ファンの間では「アーリー(初期の)ブロンコ」と呼ばれ、今でも愛され続けています。 初代を思わせる新型は4ドアモデルも存在 生産終了から24年が経ち復活したブロンコは、初代モデルを彷彿とさせる丸目ヘッドライトを持ち、武骨ながらコミカルでファニーな雰囲気。車体サイズが全長4,412×全幅1,928×全高1,826mmの2ドアモデルと、全長4,810×全幅1,928×全高1,854mmでシリーズ初となる4ドアモデルの2種類がラインナップされています。 両モデルともドアとルーフの取り外しができ、本格的なオフロード走行を楽しみ遊び倒したいユーザーにとっては嬉しいギミック。そして、解放感という点ではアーリーブロンコへのオマージュを強く感じられます。 オフロード走行を突き詰めたパッケージ 初代ブロンコを思わせる外観に対して、内装は最新のインフォテインメントシステムを採用したモニターが搭載され、サイズは8インチと12インチから選択可能。搭載されるエンジンは最高出力270psの2.3リッター直列4気筒と、最高出力310ps、2.7リッターV型6気筒の上級グレード用の2種類で、どちらも直噴ターボであるエコブーストを採用しています。 高強度スチールのラダーフレームに装備されるサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアが5リンク式リジット。タイヤは7種類の設定があり、30インチからマッドタイプの35インチまで選択でき、新型ブロンコが本気のオフロード仕様だということを伺わせます。 ブロンコを日本で購入するためには 魅力的な要素が備わった新型ブロンコですが、販売元のフォードは2016年に日本市場から撤退しているために、国内での正規購入はできません。それでも新型ブロンコを購入したい!という場合は、個人で車を取り寄せる「並行輸入」という手段があります。 しかし、並行輸入は車の輸送や通関、排出ガス検査など、手続きは自分で行う必要があり、よほど知識が無ければ非常に困難です。その場合は、並行輸入を代行してくれる専門ショップに依頼しましょう。当然費用はかさみますが、業者が輸入の手続きを代行してくれるので、個人で動くよりもハードルはだいぶ低くできます。 初代ブロンコの流通状況 一方、初代ブロンコは大手中古車検索サイト(2021年6月時点)で検索した結果、中古車はわずか1台のみ。価格も「ASK(応相談)」表記となっており、容易に購入できるわけではありせん。 しかし、半世紀以上続く人気もあってか、初代ブロンコを専門に扱うショップが存在し、もちろん並行輸入の代行もお任せできます。純正、社外ともに新品パーツが豊富にそろっているので、購入後のアフターケアもそれほど心配いりません。アーリーブロンコが気になっている方は、一度調べてみる価値がありそうです。 まとめ 新型ブロンコ、アーリー(初代)ブロンコともに、力強いエンジンと脱着可能な車体各部など、ユーザーをワクワクさせるような魅力がたくさん詰まっています。さらに、今回の4ドアモデルの登場でファミリーユースでの使用も多くなり、ブロンコの可能性はさらに広がるかもしれません。 しかし、新旧ブロンコともに、購入に至っては多少手間がかかります。日本国内でもアウトドアやSUVの需要が高まっている今、ぜひ日本仕様の新型ブロンコの発売も期待したいところです。 [ライター/増田真吾]

FC3S型RX-7にもアンフィニが存在した!1〜4世代の特徴を紹介
旧車の魅力 2024.02.05

FC3S型RX-7にもアンフィニが存在した!1〜4世代の特徴を紹介

マツダの販売チャンネル名にもなった「アンフィニ」という名称で真っ先に思いつくのは、3代目RX-7のFD3S型です。しかし、実は2代目RX-7のFC3S型にはアンフィニシリーズという限定モデルが存在していました。初代から劇的に進化したFC3S型に、さらにファインチューニングを施した限定車輌、マツダ サバンナ RX-7 アンフィニシリーズを振り返ってみましょう。 性能だけでなく取り組みも画期的だったFC3S 1980年代中盤に登場した2代目サバンナ RX-7。型式名もFC3S型と改められた2代目サバンナは、ピュアスポーツとして初代から大きく生まれ変わりました。 さらに、FC3S型には、限定販売されたマツダ純正のチューニングモデルが存在します。「アンフィニ」と名付けられたシリーズは、合計4世代も開発するという意欲的な取り組みでした。アンフィニシリーズがいかに画期的なアプローチだったかも含めて、FC3Sの概要を紹介します。 初代サバンナを昇華させたFC3S型RX-7 1985年10月、2代目サバンナ RX-7としてFC3S型が発売されます。1978年の登場から、7年間もの長きにわたって販売されていたRX-7初のフルモデルチェンジでした。ロングノーズショートデッキにリトラクタブルヘッドライトというスタイリングは先代を踏襲しつつ、バンパー形状を一体型とするなど現代的なアプローチでデザインされています。 プラットフォームも刷新され、独立懸架に変更されたリアサスペンションに、国産車初の対抗4ピストンのアルミキャリパーを採用するなど性能面で大幅な進化を遂げました。さらに、エンジンは3代目FD3S型にも受け継がれる13B型ターボエンジンを搭載。初代サバンナ RX-7を、FC3S型でピュアスポーツに昇華させました。 メーカー純正のチューニングカー「アンフィニ」シリーズ FC3S型サバンナ RX-7には、「アンフィニ」の名を冠した限定のチューニングモデルが存在します。シリーズ累計でわずか3,000台という限定生産ながら、スポーツカーファンの人気を集めました。FC3Sアンフィニシリーズの成功が、後にマツダの販売チャネル名に採用されることにつながったのでしょう。アンフィニシリーズは、1986年のアンフィニIを皮切りに合計4世代が投入されました。 日本のチューニングカー市場は1995年の規制緩和で大幅に拡大しますが、アンフィニシリーズの登場ははるか10年近く前。ただでさえチューニングカーの販売が難しかった時代に、メーカー純正のチューニングカーが生産されたことは画期的なことでした。 限定生産ながら4世代も投入されたサバンナ RX-7アンフィニシリーズ 2代目マツダ サバンナ RX-7のメーカー純正チューニングカーとして限定販売されたアンフィニシリーズは、ピュアスポーツとして徹底的にこだわって開発されました。 全モデル2シーター化され、ボンネットは専用のアルミ製、BBS鍛造ホイールに加え、専用ダンパーまで備えています。さらに、エンジンや足回りもそれぞれの世代でチューニングされていて、スポーツカーファンにはたまらない仕上がりでした。アンフィニシリーズの全4モデルの特徴を一気に紹介します。 専用設計パーツ満載で登場したアンフィニI(1986年) アンフィニシリーズの記念すべき初代は、FC3S型発売の1年後、1986年8月に登場した「アンフィニI」です。当初限定300台で発売されましたが、翌年にはさらに300台追加販売されました。内外装、さらに性能面で多くのパーツが専用開発され、単なる特別仕様車の枠を超えたメーカー純正チューニングカーとして話題を呼びます。アンフィニIの基本仕様は、アンフィニII以降のシリーズにも踏襲されました。 販売価格:278万8,000円〜 <性能面の主な専用装備>・専用開発の低圧ガスダンパー・リミテッドスリップデフ <外装の主な専用装備>・BBS製鍛造アルミホイール・ボディ同色リアスポイラー・ブロンズペンガラス・アルミ製ボンネット・アルミ製スペアタイヤホイール <内装の主な専用装備>・2シーター化(リアには小物入れ=ストレージボックス)・MOMO社製本革ステアリングホイール及びシフトノブ・ニット製専用ハイバックスポーツシート&ドアトリム・防眩電動ドアミラー・助手席フットレストバー・新色外板色(ノーブルホワイト) 初代同様に追加販売までされたアンフィニII(1988年) 1988年1月に限定300台として登場したアンフィニIIは、発売からわずか7ヶ月後の8月にさらに300台を追加販売します。初代から大幅な変更はなかったにもかかわらず限定台数が完売してしまう事実から、いかにアンフィニシリーズがファンから支持されていたかがうかがい知れます。 販売価格:281万8,000円〜 <性能面の主な変更点>・最終減速比の変更(4.100→4.300)・ステアリング/シフトレバーなどの剛性向上 <外装の主な変更点>・新設計リアスポイラー(ウイングタイプ)の採用・新色外板色(クリスタルホワイト)・ブロンズ色サンシールド採用 <内装の主な変更点>・ドア内張りとシート地をグレーからブラックに変更 価格が下がったのに性能向上を果たしたアニフィニIII アンフィニIIIは1989年8月に登場。限定台数は600台でしたが、歴代アンフィニシリーズ同様に600台が追加販売されました。エンジン性能の向上やタワーバーの標準装備化、16インチホイールの採用など性能も装備も先代から大幅に向上したにもかかわらず、販売価格は約10万円も引き下げられています。 販売価格:270万4,000円〜 <性能面の主な変更点>・エンジン性能の向上・ストラットタワーバーの標準装備・ショックアブソーバとブッシュ類のファインチューニング <外装の主な変更点>・BBS製16インチ鍛造アルミホイールの採用(205/55R16タイヤ)・新デザインのエアロパーツキット採用・新色外板色(シェイドグリーン) <内装の主な変更点>・専用バケットシート・運転席/助手席ニーパッド 最後までアップデートの手を緩めなかったアニフィニIV アンフィニシリーズ最後のモデル、アンフィニIVは1990年に登場。600台の当初限定台数に追加300台を加えた合計900台が販売されました。シリーズ最終モデルながら、日本車初のトルセンLSDやハンドメイドのフルバケットシートの採用など最後まで意欲的に開発。メーカー純正チューニングモデル、アンフィニシリーズの名に恥じない仕様に仕上げられました。 販売価格:284万3,000円〜 <性能面の主な変更点>・トルセンLSD採用・ブレーキマスターシリンダーのサイズアップ・ブレーキパッド材質変更・ショックアブソーバー&ブッシュのファインチューニング <外装の主な変更点>・専用仕様のピレリP-ZEROタイヤ採用(205/55R16) <内装の主な変更点>・レーシングタイプフルバケットシート(ハンドメイド:運転席)採用 FD3Sにも引き継がれたアンフィニシリーズの手法 FC3S型マツダ サバンナ RX-7のアンフィニシリーズで培われた専用チューニング車を限定生産する販売手法は、続くFD3S型アンフィニ RX-7でも引き継がれます。タイプRZ、バサーストなどさまざまな限定車が販売され、それぞれ人気を集めました。 中古車でFC3Sアンフィニシリーズを入手する際は、信頼のできる中古車業者に依頼しましょう。特殊なロータリーエンジンのメンテナンスには、専門知識とノウハウが欠かせません。最終型のアンフィニIVの追加販売からでもすでに30年以上が経過する旧車のため、しっかりと整備された個体かどうかの見極めが重要です。 また、売却時には、価値のわかる専門業者に正しく査定してもらいましょう。シリーズ合計でわずか3,000台しか販売されなかった希少性の高い車種だけに、単なるFC3Sと査定されてしまうと損をしてしまう可能性もあります。※経過年数は2023年6月執筆当時

R32&R33 GT-Rの違いって何?人気の理由をそれぞれ解説
旧車の魅力 2024.02.01

R32&R33 GT-Rの違いって何?人気の理由をそれぞれ解説

新車登場時から大人気だったR32型と、先代の成功から期待が大きかっただけに不評を買ってしまったR33型。この2台のスカイラインGT-Rは、第2世代GT-Rと呼ばれ海外で大きな人気を呼んでいます。中古車にもかかわらず、スーパーカー並の1,000万円以上で販売されることも少なくありません。 今も色あせない第2世代スカイラインGT-Rの両雄R32とR33の魅力と、その秘密に迫ります。 海外での日本車人気を作り上げた日産 スカイラインGT-R 今海外で人気を集めている車のジャンル、JDM。「Japan Domestic Market」の略で、直訳すると日本国内市場という意味ですが、カーマニアの間では、日本仕様の日本車、特に「スポーツカー」を指すジャンルです。 このJDM人気に火を付けたのが、映画などで人気が高まっていたR34型スカイラインGT-R。さらにその人気はR32、R33にも及びます。 スカイラインGT-Rの中古車が海外で人気を集めている理由 スカイラインGT-Rが海外で人気の理由は、映画「ワイルド・スピード」や、ゲームなどに登場して知名度が高くなったことです。また、スタイリングのかっこよさ、レースに勝つために設計されたという背景と高い走行性能に、多くのカーマニアが魅力を感じています。 しかし、R32、R33の頃のスカイラインGT-Rは、新車時に正規ルートで海外輸出されておらず、欲しいと思っても入手することが困難でした。また、新車販売がされていなかったため、海外では中古車もほとんど市場に出回りません。 需要に対して、車が供給されなかったという問題をクリアしたのが25年ルールと呼ばれる、アメリカの輸入車に適用されるルールです。 価格高騰に火をつけた25年ルールとは アメリカに車を輸入するには、厳しい安全基準をクリアすることが必要で、正規ルートでない限り海外の車を入手するのは困難です。 しかし、発売から25年を経過すると、この厳しい安全基準をクリアする必要がなくなるという、いわゆる「25年ルール」と呼ばれる規則があります。 このルールの追い風を受け、発売から25年が経過した2015年頃からR32型スカイラインGT-Rがアメリカに中古車として正規輸入されるようになり、一気に価格の高騰が始まりました。もともと需要があったところに、輸入規制がなくなったことで購入希望者が殺到。高騰した価格から、カーマニアだけではなく、投機的需要も生まれたことで、さらに価格高騰が加速します。 新車時から人気だった走りのスカイラインGT-Rの地位を築いたR32  先代スカイラインGT-R(KPGC110型)から16年ぶりに、第2世代スカイラインGT-Rの先陣を切ったR32型スカイラインGT-R。ハイパワーエンジンに、4WDという駆動方式、個性的なスタイリングを高額なパッケージに押し込んで発売し、当時大きなインパクトを与えました。 専用に開発されたハイパワーエンジンを搭載 R32型スカイラインGT-Rの目玉は、レース用なら600馬力を発生させられるGT-R専用に開発されたRB26DETTエンジンです。市販モデルでも、当時の自主規制いっぱいの280馬力を発生するハイパワーエンジンは、多くのスポーツカーファンを魅了しました。 また、先進的な4WDシステム、スパルタンな印象のボディデザインなど、他車を圧倒する性能と装備で市場の注目を集めます。 その後、R33型、R34型と後継車が登場しますが、デザインやエンジンなどの基本設計はそのまま受け継がれるほど、R32型の完成度は高かったのです。 高額にも関わらず国内でも人気だった R32型スカイラインGT-Rは、ベース車の2倍近い新車価格という高額モデルだったにも関わらず人気を集めました。レースで勝てる車というコンセプトで開発された規格外のスペックと、先鋭的なスタイリングがユーザーから高い評価を受けたのです。 FRが主流だった当時のレースシーンで、4WDにも関わらず圧倒的な速さを見せつけ、日産の持つ技術の高さを証明し高評価につながりました。 人気の高さは、販売台数に表れています。発売がバブル景気末期の1989年だったにも関わらず、4万台以上の販売台数を記録。後継の、R33型、R34型GT-Rの販売台数が、それぞれ1万台代だったことを考えると驚異的な数字です。 大きなボディサイズが不評だったR33型スカイラインGT-R 人気を博したR32型の後継車種として登場したのがR33型スカイラインGT-Rです。R32の成功から期待が大きかったにも関わらず、発表後から評価はあまり高くありませんでした。大きな理由は、3ナンバーサイズに大型化されたボディサイズと内装。軽くシャープなスタイリングで、走行性能の高さを表現していたR32型のイメージからあまりにかけ離れ、セダンのようなイメージさえ抱かせる大型のボディは当時不評を買いました。 性能は上がったのに不人気 R33型スカイラインGT-Rは、R32型の数少ない弱点の1つだった居住性を補うべく大型化されますが、この大型化が裏目に出ます。シャープな印象のR32型と比べ、大きく重くなったことで愚鈍なイメージになり不評につながったのです。 しかし、そんな世間の評判とは裏腹に、R32型から性能は大幅に向上。エンジンはR32型と同様のRB26DETTながら、ECU変更など細かな見直しによって性能をアップしています。さらに、サイズの大型化によってホイールベースが伸び、コーナリングの安定性も向上。その結果、ニュルブルクリンクでR32型が記録したタイムを21秒も短縮したのです。 世間での低評価に加え、バブル景気の終焉を迎えたことでR33型の販売台数は1.6万台ほどに留まります。ところが、販売台数の少なかったことで、後の中古価格高騰につながることになるのです。 不人気の理由だった大型化が海外で人気の理由 R33型スカイラインGT-Rは、R32型と同様に海外で人気が高まっています。R33型スカイラインGT-Rが海外で人気なのは、もちろん走行性能の高さですが、サイズが大きいことも理由として挙げられます。 日本人に比べ比較的体格の大きい海外の人にとって、R32型よりもゆったりとした設計のR33型の方がちょうどいいサイズなのです。また、セダンのようにゆったりと車を使いたいファミリー層からの支持も集めています。 新車時に日本で不人気だったポイントが、人気を集める理由になるとは不思議なものです。さらに、不人気から新車販売台数がR32型の3分の1ほどに留まったことが、さらに希少価値を高め価格の高騰を招いています。 GT-Rの両雄R32とR33の中古車価格&買取事情 第2世代GT-RであるR32型とR33型の海外人気は変わらず、今後も高値が続くことが予想されます。R33型スカイラインGT-Rが約2,500万円で取引されている事例もあるほどです。 日本の中古車市場でも高値が続いていて、大手中古車サイトを見てみると、R32で1,800万円以上、R33で1,500万円以上の車両もありました。(2021年10月原稿執筆時) また、旧車王での買取価格は、ベースグレードで200万円前後、R32型VスペックIIやR33型LMリミテッドともなると500~600万円という実績が出ています。買取価格は走行距離や車両の状態によって大きな違いが出るものですが、新車価格より高く売れる可能性があるのは流石です。 R32型、R33型それぞれのスカイラインGT-Rの購入を検討している方、逆に手放すことを考えている方共に、今後の価格動向から目が離せません。旧車王では、人気のGT-Rも高価買取しています。R32、R33GT-Rがお手元にある方はぜひ一度相談してみてください。 [ライター/増田真吾]

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旧車の魅力 2024.02.01

V8エンジン搭載!130クラウンロイヤルサルーンGこそバブルの申し子!

シリーズ史上最高傑作と言われる通称130系クラウンの中でも、特別な存在が4リッターV8エンジンを搭載するロイヤルサルーンGです。中古車価格も高い状態をキープしており、発売から30年以上が経過した今でも、200万円を超える個体も珍しくありません。ここでは、130系クラウンロイヤルサルーンGの人気の秘密を紹介します。 クラウン史上もっとも売れた130系8代目クラウン クラウンはセルシオが登場するまで、トヨタを代表する最高級車という位置付けでした。ショーファーカーであるセンチュリーを除き、フラッグシップとして君臨したクラウンの中でも、歴代最高販売台数を記録した130系8代目クラウンの概要を紹介します。 バブル時代に登場したクラウン 130系クラウンは、1987年9月、所謂バブル経済がまさに始まった景気の良い時代に誕生しました。4ドアセダンは後席重視の法人向けで、4ドアハードトップは個人向けのドライバーズカーです。 今回紹介するロイヤルシリーズは4ドアハードトップとセダンがあり、ハードトップには1,755mmの全幅を持つワイドボディが設定されています。ワイドで伸びやかなシルエットに迫力のあるグリルを装備し、3ナンバーボディの威風堂々とした佇まいはフラッグシップを名乗るにふさわしいものでした。 マイナーチェンジと合わせてロイヤルサルーンGが誕生 1989年8月のマイナーチェンジに合わせて登場したのが、ロイヤルサルーンGです。新開発の4リッターV8(1UZ-FE型)が搭載され、トヨタのフラッグシップとしてさらに魅力と存在感が増しました。 その後の1989年10月には、当時レクサスLSとして北米で販売されていたセルシオが日本でも発売され、同車にも同様の4リッターV8エンジンが採用されています。 V8エンジンを搭載したセダン及びハードトップのロイヤルサルーンGを含め、130系クラウンのハードトップは1991年10月に販売を終了。セダンとステーションワゴン、バンは継続して販売されますが、ハードトップは140系(9代目)へフルモデルチェンジされ、V8エンジン搭載車は、初代クラウンマジェスタとして登場することになります。 高級ブランド「レクサス」に繋がる4リッターV8 1UZ-FE型エンジン 130系クラウンロイヤルサルーンGの一番の特徴は、4リッターV8の1UZ-FE型エンジンです。このV8エンジンはのちに多くの車種に搭載され、名機と呼ばれることとなります。ここからは、4リッターV8 1UZ-FE型エンジンが名機と言われる理由を解説します。 後のレクサスにも採用された1UZ-FE型エンジン 派生車種であるクラウン・エイトを除き、クラウンに搭載されることになった1UZ-FE型エンジンは、130系クラウンロイヤルサルーンGに搭載された後に、初代セルシオにも搭載されます。このセルシオは1989年にアメリカでレクサスLSの名でも販売され、ライバルであるメルセデスベンツやBMWの同クラスよりも200万円以上安いにも関わらず、その性能とクオリティは圧倒的でアメリカ高級車市場を席巻しました。 動力性能も高く、同車の最高速度は250km/hを達成。これは排気量の近いエンジンを積むベンツ420SEやBMW735iを超える数値です。1UZ-FE型エンジンを搭載した初代レクサスLSは世界に衝撃を与え、後のレクサスブランドの成功を支えました。 静粛性を極めた4リッターV8エンジン 1UZ-FE型エンジンの一番の特徴は、何といってもその静粛性です。スペックは最高出力260ps、最大トルク36.0kgmと、現代の同クラスの排気量を持つエンジンと比べると目を見張る数値ではないものの、静粛性では他を圧倒していました。 静粛性を高めるために、クランクシャフトやピストンなどの精度をレーシングエンジン並みに高め、不快な振動やノイズを徹底的に排除しています。他社が消音材でごまかしていた雑音も徹底的に源流対策を行い、音の発生源をつぶしていったのです。1UZ-FE型エンジンのなめらかさと静粛性はV12に並ぶとも言われ、今でも一級品の性能を誇っています。 最上級モデルらしく最新機能を満載した130系クラウン 最上級モデルのロイヤルサルーンGにはもちろん、130系クラウンにはバブル期を象徴するような装備が満載でした。ここでは、当時最新鋭だった豪華装備を振り返ります。 ハイテク技術満載のメカニズム クラウンロイヤルサルーンGには、あらゆる走行条件で常にスムーズな変速を行うV8専用のオートマチックトランスミッション「ECT-i」が採用され、なめらかな変速を実現しています。足回りには電子制御エアサスをクラウンとして初めて搭載し、乗り心地と安定性を向上させました。 そのほか、130系クラウンは日本初となるトラクションコントロール(TRC)を採用したことでも知られています。日本初・トヨタ初など時代の最先端の技術を詰め込んでいる点も、初代以降トヨタが常に力を入れて開発してきたクラウンらしいポイントです。 バブルを感じさせる魅力的な豪華装備 130系クラウンには、バブル期ならではの豪華な装備が豊富に搭載されています。 運転席にはエレクトロマルチビジョンが設置され、クルーズコントロールや電動のステアリング調整機構、プリセット機能付き電動シートを装備。また、当時は最新鋭で高額だったCD-ROM式のカーナビを搭載したグレードも設定されていました。 そして、V8のロイヤルサルーンGには、左右分割の電動リアシート、アームレストにはカセットデッキやマッサージ機能も用意され、高級車らしいおもてなしを演出しています。バブルを感じさせる至れり尽くせりの豪華装備は、ロイヤルサルーンGならではの魅力でしょう。 まとめ 2022年7月に、往年のクラウンとは一線を画した新型クラウンが発表されました。新型クラウンはクロスオーバーSUVスタイルへと変貌を遂げ、大きな話題を読んでいます。 しかし、130系の伝統的なスリーボックススタイルは、今見ても決して色褪せることがありません。130系クラウンロイヤルサルーンGは、ビデオカタログの中で「クラウンの新たなるロイヤルプレステージへ」と紹介されています。「プレステージ=威厳」という、現代のクルマにはあまり用いられないフレーズが似合うのは、トップグレードである130系クラウンロイヤルサルーンGならではです。 2022年11月の原稿執筆時点で、大手中古車情報サイトに掲載されている130系クラウンロイヤルサルーンGの中古車相場は170万円から210万円です。また買取では、旧車王で12万km超えの130系クラウンロイヤルサルーンGを100万円で買い取っています。 130系クラウンロイヤルサルーンGは決して高騰している車種ではないものの、いまだに高い人気を誇っています。今後、130系クラウンロイヤルサルーンGのような豪華さにこだわったバブルを象徴する高級車が発売される見込みはないといっていいでしょう。また、V8エンジンを搭載したクルマが製造される可能性も限りなく低いと予想できます。そのため、130系クラウンロイヤルサルーンGの価値が上がることはあっても、これ以上下がることはほぼないでしょう。程度によっては、さらなる高値で買取ってもらえる可能性が十分あります。

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