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旧車の魅力と知識

鳥のフンで車の塗装が剥がれ場合の対応ガイド!予防策まで解説
旧車の魅力と知識 2025.12.19

鳥のフンで車の塗装が剥がれ場合の対応ガイド!予防策まで解説

「鳥のフンでクルマの塗装が剥がれてしまった」「こんなに早くダメージが進むとは思わなかった」と、お困りではありませんか。鳥のフンを放置すると、わずか数時間で塗装が浸食され、最終的には高額な再塗装やパネル交換が必要になる可能性があります。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、鳥のフンで塗装が剥がれる原因から、正しい除去方法・修復方法・予防対策までを詳しく解説します。 【この記事でわかること】 ・鳥のフンで車の塗装が剥がれる原因 ・鳥のフンが付着した時の正しい除去方法 ・鳥のフン被害を防ぐための予防対策 鳥のフンで車の塗装が剥がれる原因 鳥のフンによって塗装が剥がれてしまうのは、強力な酸性・アルカリ成分と高温環境が主な原因です。わずか2〜3時間で塗装へのダメージが始まり、放置すると段階的に深刻化してしまいます。鳥のフンで車の塗装が剥がれる原因について解説します。 鳥のフンに含まれる酸やアルカリ成分の影響 鳥のフンには消化液の残留物として、尿酸・タンパク質・油分・ナトリウム・アンモニアなどが含まれており、強力な酸性またはアルカリ性を示します。クルマの塗装は、強力な酸性またはアルカリ性のどちらに傾いても塗装を侵食します。 化学反応によって塗装表面にシミになり、さらに進行すると塗装の剥がれる原因のタンパク質へ変化します。タンパク質は接着剤のような役割でフンを塗装面に密着させるため、簡単には取り除けません。 高温時にフンが焼き付き塗装が変質する 夏の陽射しなどで車体が高温になると、鳥のフンによるダメージの進行速度が格段に速くなります。鳥のフンに含まれる油分は、クルマの塗装になじみやすい成分です。熱で柔らかくなった状態の塗装面にフンが付着すると、油分が塗装に浸透しながら焼き付いてしまいます。 さらに、フンが塗装面に張り付いたまま固まってしまうと、シミへ変化します。黒や濃色のクルマは熱を吸収しやすく、色変わりが目立ちやすいでしょう。わずか2〜3時間で塗装のクリア層への浸食が始まるため、炎天下で駐車する際は事前の対策が必要です。 放置時間が長いほどダメージが深刻化する 鳥のフンによる塗装へのダメージは、時間の経過とともに段階的に深刻化していきます。状態によって対処方法が変わるため、下表を参考にしてください。 ダメージの進行度 状態 対処方法 シミ タンパク質が塗装面に密着し、表面がシミになる 専用のクリーナーで取り除ける 白色に変色 塗装面にフンの成分が侵食し、白く変色する ・専用クリーナーで取り除く ・コンパウンドで塗装面を磨く クレーター フンが乾燥して縮み、塗装面が凹む 板金塗装に依頼して再塗装 塗装の剥がれ・錆び ボディが腐食し、塗装の剥がれ・錆びが発生する ・再塗装 ・状態が悪い場合はパネル交換 対処が早ければ早いほど、クルマのダメージは最小限におさえられます。 鳥のフンが付着した時の正しい除去方法 鳥のフンを発見したら、できる限り早く取り除けば塗装へのダメージを防げます。除去の際にもっとも重要なのは、絶対に擦り取らないことです。フンには消化しきれなかった固形物が混ざっている可能性があり、擦ると塗装面にキズをつける恐れがあります。正しい除去方法について詳しくみていきましょう。 付着したばかりの柔らかいフンを落とす方法 付着してから間もない柔らかいフンは、水分で比較的簡単に除去できます。具体的な手順は以下のとおりです。 【除去の手順】 1.水を含ませたマイクロファイバークロス、洗車用ワックスシート、またはウェットティッシュを用意する 2.フンの上から優しく押さえて、じっくりと水分を含ませる 3.十分に柔らかくなったら、摘むようにして取り除く フンは水分を吸収すると柔らかくなる性質があるため、焦らず完全に柔らかくなるまで待ちます。外出先でフンが付着した場合は、コンビニでウェットティッシュや水を購入して応急処置し、クルマに付着する時間を最小限に抑えましょう。 固まったフンをお湯でふやかして除去する方法 時間が経過して固着してしまったフンは、お湯でふやかしてから除去します。無理に剥がそうとすると塗装面も一緒に剥がれてしまう危険性があるため、必ずふやかす工程を踏んでください。 【除去の手順】 1.50〜80℃程度のお湯を含ませたクロスを用意する(ヤケドに十分注意) 2.クロスをフンが付着した部分に当て、5分から30分程度置いて蒸気でふやかす 3.汚れがふやけてきたら、摘むようにして除去する お湯でも落ちない頑固なフンには、食器用の中性洗剤・弱アルカリ性洗剤・鳥フン専用クリーナーのいずれかを使用しましょう。スプレータイプやシートタイプのクリーナーを車内に常備しておくと、すぐに使えて便利です。 複数箇所に付着している場合の対処手順 広範囲や複数箇所に鳥のフンが付着している場合も、基本的には「ふやかして、摘み取る」手順を各箇所で繰り返します。雨の日やホースで散水した後に拭き取ると効率的です。付着してすぐの柔らかいフンであれば、水で流すだけで除去できる場合もあります。 すべてのフンを取り除いた後も、酸性やアルカリ成分が塗装面に残留している可能性があるため、できるだけ早く洗車シャンプーを使用して洗車しましょう。 鳥のフンで塗装が剥がれた時の対処法 鳥のフンで塗装が剥がれてしまった場合、DIYで対応できる場合とプロに依頼すべき場合に対応が分かれます。それぞれの方法と、どちらが適しているかの判断軸について詳しく紹介します。 「コンパウンド」で表面を整える方法 コンパウンドは塗装の表面を磨き削り、に浸食された部分や軽度の凹凸を除去する修復方法です。状態ごとの対処法は以下のとおりです。 ダメージの進行度 コンパウンドでの対処法 変色 細かいコンパウンドで表面を磨き削る クレーター(凹み) 軽度であれば細かいコンパウンドで除去できる 【コンパウンド使用時の注意点】 作業は塗装の表面を削るため、力加減や研磨の方法を誤ると、かえって塗装面を傷つけてしまう危険性があります。適切な粒度のコンパウンドを選び、慎重に作業を進めましょう。判断に迷う場合は、カー用品店や板金業者などの専門家に相談してください。 「再塗装」で元の状態に戻す方法 コンパウンドでは対処できない重度のダメージには、板金塗装による再塗装が必要です。再塗装が必要なダメージや対応は以下のとおりです。 ダメージの進行度 再塗装での対処法 重度のクレーター(深い凹み) 板金塗装による再塗装 塗装の剥がれと錆び ・再塗装は必須 ・状態が悪い場合はパネル交換 【塗装剥がれの修理費用目安】 ・ボンネット:15,000円から ・ドア:35,000円から ・バンパー:15,000円から 錆びが発生すると修理費用は高額になり、修理期間も長くなる傾向があります。 DIY修復とプロ依頼の判断ポイント ダメージを受けた塗装をDIYで修復するか、プロに依頼すべきかのポイントを下記にまとめました。主な相談先とあわせて、参考にしてください。 対応方法 該当するケース DIYで修復 シミや軽度の変色 小さな剥がれや傷 プロへ依頼 侵食・クレーター 自分で対応できるか判断が難しい場合 【主な相談先】 ・カーディーラー ・カーディテーリング店 ・板金業者 ・カーショップ ・ガソリンスタンド 鳥のフン被害を防ぐための予防対策 鳥のフンによるクルマへのダメージを未然に防ぐには、駐車環境の工夫や物理的な保護措置が有効です。効果的な予防法には、簡単にできるものから本格的なものまで複数挙げられます。鳥のフン被害を防ぐための予防対策について詳しくみていきましょう。 サイドミラーをたたんで鳥の接近を防ぐ 駐車時にサイドミラーをたたむのは、簡単で効果的です。サイドミラーの反射は鳥の興味を惹くだけでなく、縄張り意識の高い鳥の場合、攻撃するために近づいてくるなどのリスクでもあります。 サイドミラーをたたんでおくだけで、クルマに近づく鳥の絶対数を減らし、フンが落とされるリスクを軽減できます。なお、サイドミラーがたためない車種の場合は、インターネットでも購入できるカバーをつければ同様の効果が期待できるでしょう。 車にカバーをかけて物理的に防ぐ ボディカバーを装着するとクルマ全体を覆えるため、鳥のフンが直接車体に付着するのを確実に防げます。全体のカバーは鳥のフンだけでなく、黄砂や花粉、雨などの汚れからボディを守るのにも効果的です。 価格も4,000円から5,000円程度で、着脱も慣れればそれほど面倒ではありません。ただし、ボディサイズによって合う合わないがあるため、購入前に適合しているかの確認は必須です。なお、着脱には一定の時間を要します。普段あまりクルマを使用しない方や、駐車中の保護を重視している方に適しています。 カーポートを設置してフン被害を根本的に防ぐ カーポートを設置すれば、鳥のフンがクルマに降ってくるのを物理的に防げます。また、直射日光を防ぎ、鳥のフンの付着によるダメージを広げる熱から守ることにもつながります。 一般的にカーポートは10万円程度から、簡易的に設置できるガレージテントは5万円程度から入手できます。 その他の効果的な予防対策 DIYの対策としては、カーコーティングやカーワックスの施工が効果的です。クルマの表面に保護膜を作り防汚性や水弾き性が向上するため、もし鳥のフンが付いてしまっても簡単に落とせます。ただし、付着した場合はできるだけ早く取り除いてください。 また、鳥よけグッズ(CD・キラキラ光るテープ・目玉風の風船など)の設置も手軽に取り入れられます。 まとめ 鳥のフンはわずか2〜3時間でクルマの塗装にダメージを与え始めます。放置すると段階的に深刻化し、高額な修理費用が必要な事態に発展してしまいます。 フンを発見したら絶対に擦らず、水分やお湯で柔らかくしてから摘むように除去してください。すでに塗装が剥がれてしまった場合は、軽度であればコンパウンド、重度であれば再塗装が必要です。判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。 大切な愛車を守るため、まずは駐車時のサイドミラーや鳥よけグッズなど、手軽に取り入れられる方法から始めてみてはいかがでしょうか。

車のノッキング音は危険?修理の必要性や予防法について解説
旧車の魅力と知識 2025.12.19

車のノッキング音は危険?修理の必要性や予防法について解説

走行中にエンジンから聞こえる「カンカン」「キンキン」といった金属音や、異音とともに車が揺れる現象は「ノッキング」と呼ばれます。 ノッキングはエンジンが発する危険信号のひとつです。放置が続くとエンジンの故障を招き、走行不能に陥る危険性があります。 本記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、ノッキングの基本的な知識からご自身でできる改善策、専門家へ修理を依頼した場合の費用まで詳しく解説します。 【この記事でわかること】 ・ノッキングの症状と原因 ・ノッキングの予防・改善方法 ・ノッキングの修理費用の目安 エンジンのノッキングとは? ノッキングとは、エンジンの燃焼室内で、ガソリンと空気の混合気が「意図しないタイミング」や「不適切な形」で燃焼してしまう異常燃焼のことを指します。 通常、エンジンはピストンがシリンダー内の混合気を圧縮し、最適なタイミングで点火プラグが火花を散らすことで、制御された爆発(燃焼)を起こし、クルマを動かす力を生み出しています。 しかし、何らかの原因で点火プラグが火花を散らす前に混合気が自然発火してしまったり、火炎が燃え広がる速度が異常に速くなったりすると、燃焼室内の圧力が急激に上昇します。その結果、本来発生しない爆発による衝撃波が、シリンダー内で「カンカン」「キンキン」といったノッキング音を発生させるのです。 この異常な衝撃は、ピストンやシリンダーといったエンジン内部の精密な部品に大きなダメージを与える恐れがあります。軽度なうちは走行性能の低下で済みますが、重度のノッキングを放置し続けると、エンジン内部の物理的な破損を招きかねないため、決して軽視できない現象といえるでしょう。 ノッキングの種類と原因 「ノッキング」と一言でいっても、その発生メカニズムや深刻度によっていくつかの種類に分類されます。ここでは、代表的な4種類のノッキングについて、それぞれの原因と現象を説明します。 カーノック・低速ノッキング もっとも多く発生するノッキングの種類が低速ノッキング、通称「カーノック」です。ゆっくりとアクセルを踏み込むときや、低いエンジン回転数で走行するときに「カラカラ」「カリカリ」といった軽い音が発生するのが特徴です。 多くは運転手の操作ミスにより発生する揺れを指しますが、劣化したマウントが衝撃を吸収できなくなった場合の揺れもカーノックに分類されます。 デトネーション(Detonation) デトネーションは、高温・高負荷の状態で発生しやすいノッキングです。点火プラグによって正常に始まった燃焼の火炎が燃え広がる過程で、まだ燃えていない混合気が高温・高圧にさらされ、自己発火してしまう現象を指します。 燃焼室内では複数の火炎が同時に発生し、それらがぶつかり合うことで非常に大きな衝撃波が生まれます。「カンカン」「キンキン」といった鋭い金属音をともなうのが特徴です。この衝撃はエンジンに深刻なダメージを与える可能性があるため、早急な対応が求められます。 プレイグニッション(Pre-ignition) プレイグニッションは「早期着火」とも呼ばれる、点火プラグが着火する前に混合気が燃え始める現象です。燃焼室に堆積したカーボンが火種となり、正規の点火タイミングよりも早く燃焼が始まるため、ピストンが上がりきる前に強烈な爆発圧力がかかります。デトネーションと同じ異常燃焼が原因ですが、一般車ではほとんど発生しません。 ディーゼルノック(ディーゼル車の場合) ディーゼルエンジンは点火プラグを持たず、高温・高圧になったシリンダー内に軽油を噴射し、自己着火させることで燃焼を起こす仕組みです。着火のタイミングが遅れ、一度に多くの燃料が燃焼すると、急激な圧力上昇により「ガラガラ」という特有の大きな音と振動を生み出す原因になります。 ノッキングの症状 ノッキングは異音や振動といった現象を通じて、エンジン内部で起きている異常をドライバーに伝えるサインの役割も果たします。ここでは、ノッキングを疑うべき具体的な症状について解説します。 「カンカン」「キンキン」といった異音 エンジンから発生する金属音は、ノッキングの代表的な症状です。エンジンの内部で異常な衝撃が発生し、金属部品を叩く際に発生します。軽い症状の場合は「カラカラ」「チリチリ」といった小さな音に留まりますが、症状が進行すると「カンカン」「キンキン」といった甲高い音に、さらに深刻になると「ガンガン」という強い音に変わっていきます。音の種類や大きさは、ノッキングの深刻度を判断する1つの重要な手がかりとなるでしょう。 加速時・坂道・アイドリング時に出やすい例 異音が発生するタイミングも、原因を特定する上で重要な情報です。ノッキングはエンジンに負荷がかかったときに発生しやすいため、加速時や上り坂の走行中など、特定の走行シーンで症状が顕著になります。 また、エンジンに強い負荷がかからないアイドリング中にカタカタと音がするようなら、スパークプラグの劣化による点火不良が発生している可能性があります。 加速が鈍い・エンストなどの付随症状 ノッキングはエンジン内の正常な燃焼を阻害するため、クルマのパフォーマンスに影響を及ぼします。異音や振動に加え、アクセルを踏んでも加速しないといった症状が現れることがあります。症状がさらに悪化すると、不安定なアイドリングや走行中のエンストといった症状も発生します。 ノッキングの改善方法 ノッキングの症状に気づいたときには、早めに対処することで大きなトラブルを防止できます。ここでは比較的軽度なノッキングに対して、ご自身で試せる改善策をいくつか紹介します。 燃料添加剤でカーボンを除去する デトネーションやプレイグニッションの原因のひとつであるカーボン堆積には、市販の燃料添加剤が効果的です。燃料添加剤には、燃焼室やインジェクター、吸気バルブなどに付着したカーボンを洗浄する成分が含まれています。ガソリン給油時に燃料タンクへ注入するだけで、走行しながらエンジン内部をクリーンにしてくれる手軽な方法です。また、定期的な燃料添加剤の使用はノッキングを防止する効果も期待できます。 点火プラグを交換する 点火プラグは、エンジン内で火花を飛ばす重要な役割を担う部品です。長期間使用すると、先端の摩耗やカーボンの付着などの原因で、正常に火花を飛ばせなくなります。点火プラグの交換は、比較的安価な費用でエンジンの調子を取り戻せる可能性のあるメンテナンスです。 エンジンオイルを定期交換する エンジンオイルは、エンジン内部の冷却や洗浄という重要な役割も担っています。オイルが劣化するとエンジン内部の潤滑が不十分になるだけでなく、温度抑制や汚れの付着を防止しにくくなり、ノッキングの発生に繋がります。短距離走行が多くエンジンオイルが汚れやすい使用状況であれば、メーカーの指定よりも早めのサイクルで交換することがエンジンの良好な状態を保ちやすくなるでしょう。 高速走行で燃焼室内をクリーンに保つ 短距離走行が多い場合、エンジンは低温状態で使われることが多いため、カーボンが溜まりやすくなります。堆積したカーボンを燃焼させるためにも、定期的に高速道路などを利用して高速走行をする機会を作りましょう。 症状が続く場合は整備工場で診断 上記の方法を試してもノッキングの症状が改善しない、あるいは異音や振動が止まらない場合は、センサーの故障やエンジン内部の機械的な問題など、より深刻な原因が潜んでいる可能性があります。こうした状態のまま自己判断で乗り続けることは非常に危険です。すぐにでも信頼できる整備工場やディーラーに相談し、プロによる正確な診断と修理を依頼しましょう。 ノッキングの予防方法 ノッキングは日頃のメンテナンスや運転習慣を意識することで、発生を未然に防ぐことが可能です。愛車と長く付き合うためにも、ぜひ予防策を実践してみてください。 走行環境に応じたオイル交換頻度の見直し クルマの取扱説明書に記載されているエンジンオイルの交換時期は、あくまでも標準的な使用を想定したものです。1回の走行距離が短い「チョイ乗り」や頻繁な渋滞路の走行、標準よりも過酷な道の走行が多い場合、エンジンオイルの劣化は通常よりも早く進みます。ご自身の乗り方が上記に当てはまる場合は、メーカー指定の半分程度の距離や期間でオイル交換を行うのがおすすめです。 適正な燃料選択(オクタン価の確認) ガソリンにはレギュラーとハイオクがありますが、これはノッキングの起こりにくさを示す「オクタン価」の違いにより分類されています。ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れると、設計上求められるオクタン価を満たせないため、エンジン本来の性能を発揮できずにノッキングが発生しやすくなります。 反対に、レギュラー仕様車にハイオクを入れること自体は問題ありません。多くのハイオクにはエンジン内部の洗浄剤が含まれているため、カーボン除去を期待してハイオクを給油するのも、ノッキングの予防策になります。 短距離走行ばかりの場合の運転習慣改善 エンジンが十分に暖まらないうちに目的地に到着するような短距離走行の繰り返しは、エンジン内部に水分や未燃焼ガスが溜まりやすく、カーボンが堆積する原因となります。可能であれば、週に1度でも30分以上連続して走行する機会を作るなど、エンジンをしっかりと暖めて内部の水分を蒸発させるような運転の習慣化がノッキング予防に効果的です。 ノッキングの修理費用の目安 もしノッキングの症状が改善せず、専門家による修理が必要になった場合、その費用は原因によって大きく変動します。 点火プラグや、エンジンの燃焼を制御するO2センサー、ノックセンサーといった消耗品の交換、燃料を噴射するインジェクターを洗浄する場合は、2万~5万円程度と安価です。 一方、エンジン内部に物理的なダメージが及んでしまった場合、エンジンのオーバーホールまたは載せ替えが必要になります。この場合の費用は30万円から100万円以上と、高額になるのは避けられないでしょう。 特に年式の古いクルマの場合、修理費用がクルマの価値を上回ってしまうことも少なくありません。そのような状況では、高額な費用をかけて修理するよりも、廃車や乗り換えを検討するほうが合理的な選択となる場合もあります。 まとめ ノッキングは一般的に、エンジン内部の異常燃焼が原因の症状です。異音や振動、加速不良といった代表的な症状として挙げられます。症状が軽度であるなら、燃料添加剤の使用やオイル交換などで改善する可能性があります。また、定期的な長距離・高速走行を行うだけでも、ノッキングを予防する効果が期待できるでしょう。 愛車から聞こえるいつもと違う音は、クルマがオーナーに助けを求めているサインかもしれません。わずかな違和感を見のがさず、早めのノッキング対策を行ないましょう。 旧車の買取なら「旧車王」におまかせ! 動かなくなるまで乗り続けた愛車だからこそ、正しく価値を見出してくれる売却先に任せたいという方は多いのではないでしょうか。 旧車王は、旧車に特化して25年以上買取を続けております。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に鑑定いたします。 全国どこでも無料で出張鑑定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。

クルマのドアからの雨漏り放置は事故につながる?原因と対処法を解説
旧車の魅力と知識 2025.12.04

クルマのドアからの雨漏り放置は事故につながる?原因と対処法を解説

クルマの購入から10年、15年経つと、目に見えない部分で確実に劣化が進んでいます。その兆候の一つが、ドアからの「雨漏り」です。 どれほど丁寧に乗っていても、パーツの経年劣化や微妙な歪みなど、ちょっとした要因で雨漏りは発生します。放置すれば重大なトラブルや事故につながる可能性もあり、異変を感じた時点で早めに対処することが大切です。 この記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、クルマのドアから雨漏りする原因と対処法を詳しく解説します。 【この記事でわかること】 ・車のドアから雨漏りする原因と対処法 ・車のドアの雨漏りを放置すると起こるトラブル ・車のドア以外の雨漏りのパターン  車のドアから雨漏りする原因と対処法 運転席の足元に小さな水たまりができている、シートやマットがしっとりと濡れている場合、ドアからの雨漏りかもしれません。 ここでは、雨漏りの原因と特定する方法、対処法について解説します。 ドアパッキン(ゴム)の劣化 もっとも多い原因は、ドアの縁についている帯状のパーツ、ゴムパッキン(ウェザーストリップ)の劣化です。 ウェザーストリップはドアとボディのすき間を埋め、外からの雨風やほこり、騒音などを防ぐ重要なパーツです。しかし、長年の使用によって硬化やひび割れが生じると、密着性が失われ、ドアから雨水が浸入してしまいます。 特定方法 ドアの縁にあるウェザーストリップを確認。触って硬くなっていたり、ひび割れていたりすると劣化のサイン 対処法 劣化を防ぐ方法:ウェザーストリップの保護材を塗布する 軽いひび割れがある:ウェザーストリップの補修材でひび割れをふさぐ 劣化が進んでいる:ウェザーストリップ自体を交換する 雨漏りが酷いときはウェザーストリップを交換しましょう。交換はDIYでも可能ですが、車種専用形状のため、サイズ違いによるズレに気をつけてください。 確実に直して雨漏りを防ぐためには、ディーラーや整備工場への相談・依頼をおすすめします。 ドアの歪みや建付け不良、部品損傷によるズレ クルマのドアにズレが生じ、すき間ができて雨水が入り込むことがあります。ズレが生じる原因は下記のとおりです。 ・衝突事故などによるドアやフレームの歪み ・もともと、あるいは修理後の建付け不良 ・ヒンジなどのパーツの経年劣化や損傷、緩み ドアの開閉がスムーズにできない、閉まりにくいと感じる際、ドアがズレているかもしれません。 特定方法 ドア本体の歪みや建付け、ヒンジ(蝶番の部分)の損傷などを目視で確認。実際にドアを開閉してみて、閉めた際に「浮き」や「引っかかり」がある際は要注意 対処法 ドアやフレームの歪み、建付け不良:ディーラーや整備工場・板金塗装工場などに修理を依頼 ヒンジの損傷:DIY交換も可能だが、安全のため業者依頼が望ましい   ドアのズレは雨漏りだけでなく、重大な事故を引き起こすおそれもあります。ディーラーや整備工場など、専門業者に相談・依頼しましょう。 排水口(ドレン・水抜き穴)の詰まり クルマの内部には複数の排水口(ドレン・水抜き穴)が設けられています。ドアの下部にも排水口がありますが、ここに砂や埃が入って詰まりが生じると、水がうまく排出されず、雨漏りの原因になります。 特定方法 ドア下部の排水口を目視で確認し、詰まりがないかをチェックする 対処法 車種によっては個人で掃除して詰まりを解消することも可能だが、無理に行うと内部が傷つく可能性もある。わからない場合は業者依頼が望ましい 歯ブラシや細めのブラシを使い、排水口の汚れを清掃できるケースもあります。しかし、雨漏りするほど酷い詰まりが疑われる場合は、念のためディーラーや専門業者に確認してもらうほうがよいでしょう。 車のドアの雨漏りを放置すると起こるトラブル クルマのドアの雨漏りを放置すると、次のようなトラブルにつながるおそれがあります。 カビや悪臭の発生 雨漏りによって車内の湿度が高くなると、シートやフロアマットにカビが繁殖しやすくなります。 カビが繁殖すると酸味のある独特の悪臭を放ち、鼻炎や喘息などのアレルギー症状を引き起こすこともあります。 雨漏りは見た目や臭いの問題だけではなく、同乗者の健康リスクにも影響を及ぼす可能性があるのです。 ドア内部やフロア下、金属パーツのサビ・腐食 雨漏りはサビの発生にもつながります。 ドアからの雨漏りで特にサビが生じやすいのはドアの内部です。長年の使用によって排水口に汚れが詰まり、ドア内部に水がたまると、サビが進行します。また、ドアの内側にある内装パネルやヒンジといった金属パーツ、フロア下もサビが生じやすい箇所です。 サビができた部分は水分が侵入しやすくなり、腐食の進行を加速させます。腐食が進むと金属の素材が徐々に失われ、最終的には穴が開くこともあります。放置すれば、クルマ全体の強度や耐久性が低下することになりかねません。 腐食が進んでいる場合、高額な修理代がかかりやすいという懸念もあります。 電子部品や配線への影響 下記のとおり、ドアには多くの電子部品や配線が搭載されています。雨漏りが酷い場合、これらの電子系統に重大な影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。 パワーウィンドウ関連:窓ガラスを電動で昇降させる ドアロック:ドアの施錠・解錠を行う ドアミラー関連:スイッチ操作でミラー角度を調整・格納する 挟み込みセンサー:主にスライドドアに装備され、障害物を検知すると動作を停止・反転させる 電子系統に水が入り誤作動を引き起こすと、走行途中でドアミラーが勝手に格納されたり、動かなくなったりすることも考えられます。また、漏電でバッテリーが上がり、急に走行できなくなる可能性もあります。 電子系統の誤作動・機能停止は重大な事故につながりかねないため、早期の対策が必要です。 車のドア以外の雨漏りのパターン  車内に雨水が浸入する経路はドアだけではありません。 ここでは、ドア以外で雨漏りが発生するパターンも解説します。 サンルーフまわりからの雨漏り 雨の日に天井から水滴が落ちてきたら、サンルーフ周辺からの雨漏りかもしれません。 雨漏りの原因はドアと似ていて、サンルーフ周辺パーツの経年劣化によるひび割れや、蓄積した汚れによる排水口(水抜き穴)の詰まりなどがあります。 国産・外車問わず、サンルーフ付き車輌はこのような雨漏りトラブルが付きものです。定期的にパーツの劣化や排水口のチェックを行いましょう。 フロントガラス・リアガラスの部品やシーリング剤の劣化 フロントガラスやリアガラスから雨漏りが発生している場合、下記のような周辺パーツやシーリング剤が劣化している可能性があります。 ウィンドウモール・ウェザーストリップ:ゴムや樹脂製のパーツで、外部からの水や風の浸入を防ぐ役割がある シーリング剤(接着剤):ガラスとボディとの間に使われている特殊な接着剤で、気密性を確保する役割がある いずれも消耗品のため、長く乗っていると硬化やひび割れが生じやすくなります。劣化している場合はパーツを交換したり、新しいシーリング剤を塗布したりして、早急に対処しましょう。 トランク(荷室)内への浸水 トランク内への浸水もよくあるトラブルです。長年の使用や衝突事故などでトランクに歪みができてうまく閉まらないケースと、周辺パーツの劣化ですき間ができているケースが考えられます。 トランクの開閉に難があると、わずかなすき間から雨水が浸入してしまいます。とくにトランクの使用頻度が高い場合、度重なる開閉でゴムパッキンが摩耗しているかもしれません。 ドアやサンルーフのウェザーストリップ同様、ゴム系のパーツは消耗品です。どれほど丁寧に乗っていても経年劣化は避けられないため、定期的な点検とパーツ交換を心がけるようにしてください。 フロア下・車体下部からの侵入 アンダーパネルや周辺パーツの破損・腐食により、車体下部から雨水が浸入することもあります。 車内のマットが湿っているものの、サンルーフやドアからの雨漏りではない場合、車体下部のどこかが破損しているかもしれません。浸水を放置すれば金属部品のサビが進行し、いずれ周辺パーツの腐食に拡大するため、損傷がさらに酷くなることが予想されます。 フロア下や車体下部の浸水については、専門業者に確認してもらい、早急に対処するようにしてください。 アンテナやルーフモール部分の隙間 クルマ上部についているアンテナやルーフモールといったパーツにすき間ができ、雨漏りにつながることもあります。 アンテナもルーフモールも、取付部分に使用されているモールやシーリング剤の経年劣化によってすき間が生じます。とくに、屋根のない屋外駐車場にクルマを停めている場合、紫外線によって各種パーツの劣化が進みやすくなるため注意しましょう。 屋根なし駐車場や日差しが強い場所にクルマを停めている人には、日よけカバーがおすすめです。手間はかかるものの、紫外線や雨風から各パーツの劣化を少しでも抑えたい場合は、検討してみてください。 エアコン排水口の詰まりによる車内水漏れ 雨漏りではないケースですが、エアコン排水口の水漏れもよくあるトラブルです。 クルマのエアコンを使うと、冷却の過程で多くの結露が発生するため、排水口(ドレンホース)を通じて車外に水を排出する仕組みが作られています。しかし、埃や砂などが蓄積して排水口が詰まると、水が逆流してしまい、車内に漏れ出てしまうことがあるのです。 また、排水口のホース自体が劣化してひび割れが生じ、その箇所から水が漏れ出てしまうトラブルもあります。 エアコンの使用頻度が高くなる季節は水の排出量が増えます。排水口の詰まりやホースの劣化チェックを欠かさず行い、こうしたエアコントラブルを防ぐようにしましょう。 まとめ クルマのドアから雨漏りする原因は、ゴムパッキン(ウェザーストリップ)の劣化やドアのズレ、排水口の詰まりなどがあります。いずれもパーツの経年劣化や長年の汚れの蓄積などに起因しており、誰にでも起こりうるトラブルです。 放置すればカビや悪臭の発生、サビの進行による腐食、電子系統の故障や誤作動など、深刻な二次被害につながりかねません。 雨漏りの可能性を感じたら、早急にディーラーや整備工場などに相談し、大切な愛車を長く維持するために対処しましょう。  

車の事故修理は保険と自費どちらが得?保険料・等級への影響を解説
旧車の魅力と知識 2025.12.02

車の事故修理は保険と自費どちらが得?保険料・等級への影響を解説

事故でクルマのボディがへこんだり傷がついたりなどしたときは、任意保険の補償の1つである「車両保険」を使って修理できる場合があります。 車両保険を使うと、修理費用の全額または一部が保険金で賄われるため、金銭的な負担を軽減できます。ただし、基本的に翌年の保険料は上がるため、車両保険を使うべきかどうかは慎重に判断することが大切です。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、保険を使った修理の流れや、保険を使うべきかの判断基準、過失割合による費用の違いなどについて詳しく解説します。 【この記事でわかること】 ・車両保険の補償内容 ・車の修理に車両保険を使う場合の影響 ・車両保険を使うかどうかの判断のポイント 車両保険とは 車両保険とは、自身のクルマが交通事故や自然災害などで負った損害を補償する保険のことです。以下のようなケースで保険金が支払われます。 ・契約車両が他のクルマと衝突・接触した※1 ・契約車両が自転車や歩行者と衝突・接触した ・契約車両が盗難された ・契約車両がいたずら・落書きされた ・契約車両が電柱やガードレールに衝突した ・契約車両が台風や洪水の被害に遭った など ※1:原則として相手の車とその運転者または所有者が確認できる場合のみ 交通事故だけでなく、台風や洪水といった自然災害(地震・噴火・津波を除く)や火災、盗難、当て逃げなどによる損害も補償対象とすることが可能です。 任意保険の基本的な補償である対人賠償保険や対物賠償保険は、事故相手に与えた損害に対する補償であるのに対し、車両保険は自分のクルマへの補償である点が異なります。 クルマの損害が大きく修理が難しい場合は、受け取った保険金を買い替え費用に充てることもできます。 車両保険の補償内容 車両保険の補償内容は、一般型(フルカバータイプ)とエコノミー型(限定タイプ)で異なります。各タイプの一般的な補償範囲は以下のとおりです。   一般型 限定型(エコノミー型) 他のクルマとの衝突・接触 ◯ ◯ 火災・爆発 ◯ ◯ 盗難 ◯ ◯ 台風・洪水・高潮 ◯ ◯ 落書き・いたずら・ガラス破損 ◯ ◯ 飛び石など飛来物との衝突 ◯ ◯ 自転車や動物との衝突・接触 ◯ ✕ 電柱・ガードレール等との衝突(単独事故) ◯ ✕ 転覆・墜落 ◯ ✕ 当て逃げ(相手が不明な場合) ◯ ✕ 地震・噴火・津波 ✕ ✕ ※補償内容は保険会社によって異なる場合があります。 以下では、一般型とエコノミー型の補償範囲やどちらの場合でも補償対象外となるケースについて詳しく解説します。 一般型(フルカバータイプ)の補償範囲 一般型(フルカバータイプ)は、クルマに関するほとんどの事故による損害をカバーするタイプの車両保険です。 クルマ同士の衝突事故や自然災害、火災、盗難などによる損害だけでなく、単独事故や転覆・墜落、当て逃げ(相手が不明な場合)も補償されます。 補償範囲は広いですが、保険料はエコノミー型に比べて割高です。 エコノミー型(限定タイプ)の補償範囲 エコノミー型は、補償範囲を限定する代わりに保険料が抑えられた車両保険です。 一般型とは異なり、電柱や壁、ガードレールなどとの衝突事故や転覆・墜落、当て逃げなどは基本的に補償の対象にはなりません。保険会社によっては、自転車や動物などとの衝突・接触も補償対象外となります。 一方、エコノミー型でもクルマ同士の衝突・接触による交通事故、盗難、火災、自然災害、いたずらなどは補償の対象となるのが一般的です。 補償対象外となる主なケース 車両保険の種類や保険会社にかかわらず、以下のようなケースは基本的に補償対象外です。 ・地震・噴火、それらにともなう津波による損害 ・飲酒・無免許運転など違法行為による事故 ・故障(電気的、機械的故障)による損害 ・欠陥、自然消耗(摩滅・さび・腐しょく等)による損害 ・戦争、内乱、暴動などの社会的混乱による損害 ・レース・ラリーなどの競技・曲技に使用した際に負った損害 車両保険を付帯するときや保険金を請求するときは、補償対象外となるケースをよく確認することが大切です。 車の修理に車両保険を使う場合の影響 クルマを修理する際に車両保険を使うとノンフリート等級がダウンし、事故有係数も適用されて、任意保険の保険料が高くなる可能性があります。以下で詳しく解説します。 翌年のノンフリート等級が下がる ノンフリート等級とは、契約者の事故歴に応じて決められる保険料の割引率の区分のことです。1〜20等級まであり、数字が大きいほど割引率が増加(1〜4等級は割増率が低下)し、保険料は安くなります。 任意保険を初めて契約する際は通常6等級から始まり、1年間保険を使わなければ翌年に1等級上がります。 一方、事故で任意保険を使うと等級が下がります。等級の下がり幅は以下のとおりです。   該当する事故の例 3等級ダウン事故 (翌年度の等級が3等級下がる事故) ・他のクルマとの衝突・接触 ・電柱やガードレールへの衝突(自損事故) ・当て逃げ(相手不明) 1等級ダウン事故 (翌年度の等級が1等級下がる) ・クルマの盗難 ・落書き、いたずらによる損傷 ・飛び石による窓ガラスの破損 ・台風、洪水、高潮などの自然災害 ノーカウント事故 (翌年度の等級に影響がない事故) ・人身傷害保険や搭乗者傷害保険のみの使用 ・弁護士費用特約やロードサービスのみの使用 車両保険を使うと、基本的に翌年のノンフリート等級が3等級または1等級下がり、割引率が低くなる(または割増になる)ため、保険料負担は増加します。 事故有係数が適用される 事故有係数とは、事故で保険を使った契約者に適用される割引率・割増率のことです。 事故有係数が適用されると、事故がなかった人に比べて割引率が低下(または割増率が増加)するため、保険料が高くなります。 事故有係数が適用される期間(事故有係数適用期間)は、事故の種類に応じて決まります。 ・3等級ダウン事故:3年間 ・1等級ダウン事故:1年間 たとえば、クルマ同士の衝突事故により車両保険の保険金を請求する場合、3等級ダウン事故に該当するため、翌年に3等級下がり、以後3年間は事故有係数が適用されます。 車両保険を使うかどうかの判断のポイント 交通事故や自然災害などでクルマの修理が必要になったときは、車両保険を使うべきか慎重に検討することが大切です。以下では、車両保険を使うべきか判断する際のポイントについて解説します。 修理費用と免責金額の比較 車両保険には、契約者自身が負担する金額である「免責金額」が設定されていることがあります。車両保険を使うべきか判断する際は、クルマの修理費用と免責金額を比較しましょう。 たとえば、車両保険の免責金額が10万円、クルマの修理費用が40万円かかった場合、自己負担額は10万円で、残りの30万円が保険金として支払われます。 一方、クルマの修理費用が5万円の場合、免責金額を下回っているため、車両保険の保険金は請求できません。修理費用が15万円であると、車両保険は使えるものの保険金の受取額はわずか5万円となります。 契約内容によっては、車両保険の免責金額が「1回目5万円、2回目以降10万円」のような増額方式である場合があります。事故によりクルマの修理が必要になったときは、車両保険の免責金額を確認し、修理費用とよく比較することが大切です。 等級ダウンと翌年以降の保険料への影響 車両保険を使って受け取れる保険金額と、保険金の請求により増加する保険料の合計金額を比較することも重要なポイントです。 たとえば、3等級ダウン事故を起こし、クルマの修理に合計5万円の費用がかかるとしましょう。 翌年のノンフリート等級が3等級下がり、事故有係数が3年間適用されることで保険料が合計10万円増える場合、増加分が修理費用を上回るため、車両保険は使わないほうがよいといえます。 車両保険の利用を検討するときは、保険金を請求した場合に増加する保険料を保険会社の担当者に試算してもらい、クルマの修理費用と比較することをおすすめします。 保険会社によっては、Webサイトやアプリで保険料を試算することも可能です。 過失割合による保険適用範囲の違い 相手がいる事故の場合「過失割合」によって保険金の支払金額が変わります。過失割合は、交通事故に対する当事者の責任の割合のことです。 一般的には、交通事故の当事者のそれぞれが自動車保険の契約を結んでいる保険会社の担当者同士が話し合いをして過失割合を決めます。 車両保険は、原則として「自身の過失分に応じた損害」を補償します。 たとえば、クルマの修理費用が50万円、車両保険の免責金額が5万円、過失割合が「自分20:相手80」であるとしましょう。 この場合、自身の車両保険でカバーされるのは「修理費用50万円×20%=10万円」です。残りの40万円は相手方から賠償金として支払われます。5万円の免責金額は賠償金で賄われるため、自己負担は発生しません。 相手がいる事故でクルマの修理が必要になったときは、自身の過失分に相当する修理費用がいくらなのかも確認し、車両保険を使うべきか検討しましょう。 車の修理に保険を使う場合の流れ 事故でクルマが損傷した際、保険を使って修理する場合の手順は以下のとおりです。 ・負傷者の救護と警察への通報 ・保険会社へ連絡 ・整備工場の選定と見積もり依頼 ・必要書類の提出と保険会社の審査 ・保険金額の確定と支払い 以下では、クルマの修理に保険を使う際の一般的な手順を解説します。 1.負傷者の救護と警察への通報 事故が発生したときにもっとも優先すべきは負傷者の救護です。ケガ人がいる場合は、止血や人工呼吸、心臓マッサージなどの応急処置を行い、必要に応じて救急車を呼びましょう。 また、後続車が衝突するなどの二次災害を防ぐため、ハザードランプを点灯し、クルマを路肩など安全な場所へ移動させます。 ケガ人の救護や安全の確保と並行して必ず警察へ通報しましょう。自動車保険の保険金を請求する際、保険会社に提出する「交通事故証明書」を発行してもらうためには警察への届け出が必要です。 相手がいる場合は氏名や連絡先、加入している保険会社などの情報を交換しましょう。 2.保険会社へ連絡する 続いて、自身が契約している保険会社の事故受付窓口に連絡します。 多くの保険会社は、専用ダイヤルやWebサイト、スマートフォンアプリで、24時間365日対応が可能な事故受付の窓口を設けています。 連絡の際、保険会社に伝える項目は以下のとおりです。わかる範囲で正確に伝えましょう。 ・事故の日時、場所、事故の状況 ・自動車保険の証券番号、運転者の氏名、生年月日、連絡先 ・相手の氏名、住所、連絡先、クルマのナンバープレート、車種 ・クルマの破損状況 など 整備工場の選定と見積もり依頼 保険会社へ連絡した後は、損傷したクルマを整備工場へ持ち込み、修理費用の見積もりを依頼しましょう。クルマが自走できない場合は、保険会社やJAFのロードサービスを利用するなどして整備工場までレッカー移動しましょう。 クルマの修理は、懇意にしているディーラーや整備工場などに依頼して問題ありません。保険会社に指定工場や提携する工場を紹介してもらう方法もあります。 見積書を受け取ったら、修理費用や修理箇所、作業内容などを確認し、保険を使った場合の保険料の増加分を試算して、車両保険を使うべきか検討しましょう。 必要書類の提出と保険会社の審査 車両保険を使う場合は、必要書類を準備して保険会社に提出します。必要書類は保険会社によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。 ・保険金請求書 ・印鑑証明書 ・修理費用の見積書 ・交通事故証明書 ・事故車輌の写真 など 提出が不要となる場合や保険会社が代わりに書類を取得する場合があるため、事前によく確認しましょう。 必要書類を提出すると保険会社による損害調査が始まり、クルマの損害状況や事故との整合性などが確認され、保険金の支払額が算出されます。相手がいる事故の場合は、保険会社による示談交渉により決められた過失割合も考慮されます。 保険金額の確定と支払い 保険会社の調査が終了すると保険会社から保険金の支払額が提示されます。提示された金額に契約者が承諾すると保険金の支払額が確定し、整備工場でクルマの修理が始まります。 車両保険の保険金は、保険会社から整備工場へ直接支払われるのが一般的です。 クルマを修理しない場合、保険金を指定の口座に振り込んでもらうことも可能です。 まとめ 車両保険に加入していると、クルマの修理費用や買い替え費用を保険金でカバーできます。 ただし、車両保険を使うと翌年のノンフリート等級が3等級または1等級下がり、事故有係数も適用されるため、保険料は高くなります。 そのため、事故でクルマが損傷したときは修理費用の見積もりを取り、保険を使ったことによる保険料の増加分と比較することが大切です。保険金の受取額が保険料の増加分を下回る場合は、保険を使わず自費で修理するのも1つの方法です。

その不調、電気系統が原因かも?クルマの故障トラブルと修理費用を解説
旧車の魅力と知識 2025.11.17

その不調、電気系統が原因かも?クルマの故障トラブルと修理費用を解説

クルマの電気系統のトラブルは、ドライバーには原因の特定は難しいため、修理は専門家に依頼するのが一般的です。しかし修理費用が高額になる不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、クルマの電気系統でよくある故障トラブルについて、症状別に考えられる原因と対処法、気になる修理費用の目安をわかりやすく解説します。この記事を読めば、ご自身のクルマに起きている不調の原因に見当をつけ、安心して専門工場に相談できるようになるでしょう。 【この記事でわかること】 ・クルマの電気系統のトラブルの種類 ・それぞれの原因と対処法 ・電装系の修理費用の目安 クルマのバッテリーのトラブル バッテリーの不調は、電気系統の中でも代表的なトラブルのひとつです。エンジン始動に必要なバッテリーにトラブルが起きると、クルマを動かすことすらできなくなってしまいます。ここでは、バッテリー周りで起こりがちなトラブルの原因と、その対応方法について詳しく見ていきましょう。 考えられる原因 バッテリートラブルの最も一般的な原因は、バッテリー自体の寿命や劣化による蓄電能力の低下、いわゆる「バッテリー上がり」です。室内灯やヘッドライトの消し忘れといった単純なミスから、長期間クルマに乗らなかったことによる自然放電まで、その要因はさまざまです。 発電機であるオルタネーターの故障により、走行中にバッテリーが十分に充電されず、結果的にバッテリーが上がってしまうケースも少なくありません。さらに、バッテリーターミナルの接触不良や腐食、配線の断線など、さまざまな原因で電気が正常に流れなくなります。 対応方法 まずはジャンピングスタートを試みるのが基本的な対応となります。これは、他のクルマのバッテリーやジャンプスターターと呼ばれる専用の機器から電気を供給してエンジンを始動させる方法です。 ジャンピングスタートにより、バッテリーは一時的に復活する可能性がありますが、あくまで応急処置に過ぎません。一度上がったバッテリーは性能が低下しやすいため、早めに新品への交換を検討しましょう。 もしジャンピングスタートでもエンジンがかからない、あるいはすぐにまたバッテリーが上がってしまう場合は、オルタネーターの故障が疑われます。この修理は専門的な知識が必要なため、速やかに整備工場へ相談することをおすすめします。 ライト・ウィンカーの故障トラブル 夜間走行の安全を確保するヘッドライトや、周囲に自車の動きを知らせるウィンカーが1つでも点灯しない状態は非常に危険です。ここでは、ライトやウィンカーの故障について、その原因と対応を解説します。 考えられる原因 ライトやウィンカーが点灯しない原因の多くは、バルブ(電球)の球切れです。バルブは消耗品であるため、使用していればいずれ寿命を迎えます。特にハロゲンランプは数年程度で切れることが一般的です。 次に疑われるのはヒューズ切れです。ヒューズは過大な電流が流れた際に回路を保護する役割があり、一度切れてしまうと電気が供給されなくなります。その他、スイッチ自体の故障や、リレーと呼ばれる電流を制御する部品の不具合、配線の接触不良や断線なども原因としてあげられます。 対応方法 まずは球切れを疑い、バルブの確認から始めましょう。バルブ交換は比較的簡単な作業であり、DIYで行うことも可能です。部品代も数千円程度で済みます。もしバルブを交換しても点灯しない場合は、ヒューズボックスを確認し、該当する箇所のヒューズが切れていないかチェックしましょう。ヒューズも数百円で購入でき、交換作業自体は難しくありません。 もしヒューズが頻繁に切れる場合は、回路のどこかでショートが起きている可能性があります。スイッチやリレー、配線のトラブルとなると原因の特定が難しくなるため、ディーラーや電装系に強い整備工場に修理を依頼するのがおすすめです。 パワーウィンドウの故障・トラブル ボタン1つで窓の開閉ができるパワーウィンドウは、今やほとんどのクルマに採用されている装備です。この機能も電気系統の部品で動いているため、故障とは無縁ではありません。 考えられる原因 パワーウィンドウが動かなくなる原因でもっとも多いのは、摩耗や接触不良といったスイッチ部分の故障です。運転席の集中スイッチで特定の窓だけが動かない場合、その窓側のスイッチではなく、集中スイッチの故障も疑われます。 次に考えられるのは、窓を上下させるモーターの不具合や寿命です。モーターが動く音はするものの窓が動かない、あるいは動きが非常に遅いといった症状は、モーターやレギュレーター(昇降装置)にトラブルが発生した可能性があります。 対応方法 まずはヒューズが切れていないかを確認しましょう。ヒューズに問題がなければ、スイッチの故障を疑います。モーターやレギュレーターの交換となると、ドアの内張りを剥がすなどの作業が必要になります。 修理が大がかりになるほど専門的な技術を要するため、整備工場へ依頼することをおすすめします。放置すると窓が開いたまま閉まらなくなるリスクもあるため、不調を感じたら早めに対処しましょう。 ワイパーの故障・トラブル 雨や雪の日の視界確保に欠かせないワイパーも、電気モーターで動作する電装のひとつです。ワイパーが故障すると、悪天候の際に安全な運転が困難になり、重大な事故につながる恐れがあります。 考えられる原因 ワイパーが動かない原因の多くは、スイッチやモーターの不具合です。スイッチの接触不良や長年の使用によるモーターの寿命、ワイパーアームへの過大な負荷によるヒューズ切れといった理由が考えられます。 動きがぎこちない、途中で止まるといった症状の場合は、ワイパーの根元にあるリンク機構の固着や破損が疑われます。これは、サビやゴミの蓄積により発生するトラブルです。 対応方法 まずはヒューズから確認し、切れている場合は交換します。これで直らない場合は、スイッチやモーター、リンク機構といった部品の点検が必要になります。 ワイパーは保安基準にも関わる重要な部品であり、その修理には専門知識が求められます。安全のためにも、不具合を感じたら迷わずプロに点検・修理を依頼してください。 オーディオの故障・トラブル オーディオは運転に直接関わる電装ではありませんが、バッテリーやワイパーなどと同様にさまざまな電気系のトラブルが発生します。 考えられる原因 オーディオの異常は本体の故障やヒューズ切れ、裏側にある配線の接触不良が主な原因です。特に社外品のオーディオをDIYで取り付けた場合、配線処理が不適切で接触不良を起こしている可能性があります。 対応方法 まず確認すべきは、オーディオ関連のヒューズです。ヒューズボックスの配置図を見て該当するヒューズをチェックし、切れていれば交換しましょう。ヒューズに問題がない場合は配線の接続に問題がある可能性があるため、オーディオユニットを一度取り外し、背面のコネクターがしっかりと差し込まれているか、配線が抜けかかっていないかを確認します。 これらの確認作業を行っても改善しない場合は、オーディオ本体の故障が濃厚です。本体の修理は高額な費用がかかることも多いため、交換を検討するのが一般的でしょう。 エアコンのトラブル 夏場のドライブに不可欠なエアコンも、電気系統が複雑に絡み合うシステムです。スイッチを入れても冷たい風が出てこない、あるいは全く作動しないといったトラブルは、ドライバーにとって深刻な問題です。 考えられる原因 エアコンが全く作動しない場合、スイッチパネルやブロアモーターといった電気部品の故障が考えられます。また、エアコンシステムを制御するリレーやヒューズのトラブルも原因の1つです。 風は出るものの冷えないという場合は、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサーを作動させる電磁石(マグネットクラッチ)の故障が疑われます。エアコンガスが不足しているケースも多いですが、電気系統の不具合が根本的な原因であることも少なくありません。 対応方法 エアコンのトラブルは原因の特定が難しいため、専門家による診断が不可欠です。まずは整備工場で点検を受け、ガス圧のチェックや診断機によるエラーコードの読み取りを行ってもらいましょう。 故障の原因が特定できた後も、DIYでの修理は非常に難しいため、そのまま工場で修理してもらうとよいでしょう。 エンジンがかからないトラブル 「エンジンがかからない」という症状は、車のトラブルの中でも深刻な部類に入ります。キーを回してもセルモーターが回らない、あるいはキュルキュルと音はするもののエンジンが始動しないといった症状の原因は多岐にわたりますが、多くの場合、電気系統の不具合が関わっています。 考えられる原因 エンジンがかからない原因の多くはバッテリー上がりです。そのため充電すれば解決することがほとんどですが、バッテリーが正常でもエンジンがかからない場合、次に疑うべきはセルモーター(スターター)の故障です。セルモーターは、エンジンを始動させるためにクランクシャフトを強制的に回転させる重要な部品であり、これが故障するとエンジンはかかりません。 点火プラグに火花を飛ばすためのイグニッションコイルや、燃料をエンジンに送り込む燃料ポンプといった部品も電気で動いており、これらの故障もエンジントラブルの原因です。さらに、クルマ全体の電気系統を制御するECU(エンジン・コントロール・ユニット)の不具合といった、より深刻な原因も考えられます。 対応方法 バッテリー上がりはジャンピングスタートで解決できる可能性がありますが、それで始動しない場合、個人での対応は困難です。また症状にあわない方法でエンジンを動かそうとした場合、各部品に負担をかけ被害を拡大させる恐れがあります。エンジン回りの修理には専門知識が必要であり、費用も高額になりやすいため、早々に専門の整備工場への相談をおすすめします。 電装系の修理費用の目安 ここまで症状別に解説してきましたが、最終的に気になるのは修理にかかる総額の費用でしょう。クルマの電気系統、いわゆる電装系の修理費用は、故障した部品や修理の難易度によって大きく変動するため、一概にいくらと断言することはできません。 修理費用は、大きく分けて「部品代」と「工賃(技術料)」で構成されます。ヒューズやリレー、電球といった単純な部品は数百円から数千円と安価ですが、ECUやオルタネーター、エアコンのコンプレッサーといったユニット部品は数万円から十数万円と高額です。 工賃は、作業時間や専門性に応じて設定されます。簡単なバルブ交換であれば数千円で済みますが、ダッシュボードの脱着が必要な修理や、原因特定が困難なトラブルシューティングには、相応の時間がかかるため工賃も高くなる傾向があります。 修理の見積もり額が、クルマの年式や市場価値を考えるとあまりにも高額になってしまうケースもあるでしょう。そのような場合は、修理を断念してクルマの乗り換えや廃車を検討するのも1つの選択肢です。修理するか手放すかの判断に迷った際は、修理費用の見積もりと、現在のクルマの買取査定額を比較してみることをおすすめします。 まとめ クルマの電気系統のトラブルは、予兆なく突然発生するものです。原因によっては多額の修理費用がかかるため、DIYで修理したいと考える方も多いでしょう。しかし、ヒューズやバルブの交換など一部の簡単な作業を除き、電気系統の修理には専門的な知識と技術が不可欠です。 少しでも「おかしいな」と感じたら、自己判断で解決しようとせず、信頼できるディーラーや整備工場に相談することが最も安全で確実な方法です。 愛車のコンディションを良好に保ち、安全で快適なカーライフを送るためにも、電気系統のトラブルサインを見逃さず、早め早めの点検と修理を心がけましょう。

旧車は特別な雪道対策が必要? 冬場に注意したいポイントを徹底解説
旧車の魅力と知識 2025.11.11

旧車は特別な雪道対策が必要? 冬場に注意したいポイントを徹底解説

旧車で雪道を走行する際は、現代の車以上に対策を立てておくことが重要です。雪道は車にとって大きな負担になるため、十分な対策のないまま運転すると不具合のみならず事故にもつながりかねません。 一方で、乗ってこその車という観点で考えると、雪だからといって過度に心配をしてガレージに眠らせておくのはもったいないともいえます。 雪という特別な景色のなかで眺める旧車は、普段とは違って格別なものです。そこで、大切にしている旧車を守りつつも、雪道のドライブを楽しむための対策を詳しく紹介します。 旧車に特別な雪道対策が必要な理由 路面が滑りやすく気温の低い雪道は、通常の走行環境とは大きく異なります。特に設計の古い旧車では、現代の車以上に影響を受けることも少なくありません。 まずは、旧車で雪道対策をすべき理由を、4つの観点でみていきましょう。 車体の傷みが進行しやすい 一見きれいに見える雪ですが、大気中の多くの不純物を含んでいます。さらに、雨と違って車体に降り積もり、溶けるまで車体に付着し続けるため不純物の影響を受けやすいのです。 雪が降ると、とても車体が汚れるというのは実体験で実感している方も多いと思います。塗膜やゴムや樹脂パーツが劣化して弱い状態になっている旧車だと、酸性の不純物の影響で一気に傷みが進みかねません。 さらに雪道で旧車の大きな敵になるのが、凍結防止のために道路上にまかれている融雪剤です。融雪剤として使用されている塩化カルシウムは、車体に付着するとサビを進行させます。 設計が古いため雪で性能が低下しがち 車種にもよりますが、現代に比べて車体の基本設計が古い旧車で雪道を走ると、十分な走行安定性が得られないケースもあります。 前後重量配分やサスペンション、ブレーキといったクルマの安定性に直結する各部の性能が低いため、雪道だと挙動が不安定になりがちです。 また、気温低下によるエンジンへの影響も、旧車のほうがより顕著に出ます。エンジンは、ある程度の熱をもった状態で使用されることを前提に設計されているためです。雪が降る低温下では、エンジン本来の性能を発揮し切れません。 特に、設計が古く長年の使用でエンジン各部の摩耗や劣化が進んでいる旧車では、通常使用の温度から離れるほど性能の低下を招きやすいといえます。 電子デバイスがあまりない 年式にもよりますが、旧車には安定した走行をアシストしてくれる電子デバイスがあまり装備されていません。走行が不安定になりがちな雪道では、トラクションコントロールや横滑り防止装置、ABSといった電子制御の有無が安全性に直結します。 路面との摩擦が低くなるため、丁寧にアクセル操作をしないと車輪が空転してしまいますし、いつもどおりのブレーキングだとすぐにロックしてしまって危険です。旧車で雪道を走る際には、車輌状況を的確に掴んで繊細な操作が求められます。 事故や故障をすると補修部品が入手しにくい 修理の際の補修部品が入手しにくい点も、旧車オーナーが雪道を走るうえで意識しておくべきポイントです。滑りやすい路面では、どうしても事故のリスクが高まります。また、安全運転をしていても、もらい事故に遭わないとも限りません。 また、いつもとは違う温度環境での走行のため、思わぬ故障が発生することもあります。特に、弱いバッテリーを始めとする電気系統、ゴムや樹脂パーツは低温に弱い部分です。 絶対に押さえておきたい旧車の雪道対策 旧車で雪道を走行する際は、不調や故障、事故につながるリスクを最小限に抑えることが重要です。長年の使用によって各部の劣化は避けられないため、車に大きな負担のかかる雪道で無理をすると思わぬトラブルにつながりかねません。 雪道を走行するにあたって、必ず準備しておくべき対策を詳しく紹介します。 スタッドレスタイヤを履く 旧車に限ったことではありませんが、雪道を走行する際は最低限スタッドレスタイヤは装着しておきましょう。特に設計の古い旧車では、わずかな雪でも不安定になるおそれがあります。 また、スタッドレスタイヤを使用する際は、製造からの経過年数も重要なポイントです。ゴムが硬化して柔軟性を失うと、雪道でのグリップ性能が著しく低下します。十分にタイヤの溝が残っていても、3~5年を目安に交換してください。 チェーンを用意しておく 旧車で雪道を走る際は、チェーンも用意しておくことをおすすめします。スタッドレスタイヤは、雪上に水分がないと十分に能力を発揮できません。ABSやトラクションコントロールといった電子デバイスの備わっていない旧車では、現行車よりもさらに限界は低くなります。 水分のあまりない新雪や完全な凍結路を走行する際には、チェーンがないと危険です。また、2018年に導入された「チェーン規制」区間では、そもそもスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを装着しなければ法律上走行できません。 可能ならブレードごとワイパーを交換 劣化したワイパーを使用していると、雪の降る低温下では十分に窓を拭けないこともあります。十分な性能が発揮できないと、降雪時の視界確保ができず危険です。 また、ワイパーゴムを窓に押し付けるワイパーブレードが劣化していると、同様に十分な拭き取り性能を発揮できないおそれがあります。 旧車の場合は部品の調達が困難なケースもありますが、可能な限りワイパーゴムとブレードを合わせて新品に交換しておきましょう。自分の車種に合うモデルがあれば、雪用のワイパーを購入するのもおすすめです。 ヘッドライトを明るいものに変更 夜間に雪道を運転する可能性のある際は、ヘッドライトの交換も検討してください。多くの旧車で使用されるハロゲンランプは、時間の経過とともに明るさが失われていきます。雪によって光が乱反射や吸収をされてしまうと、いつも以上に暗く感じるため注意が必要です。 また、レンズ部分の劣化によっても光量が不足するため、可能な限り汚れやくすみを取り除くこともヘッドライトの明るさ確保につながります。さらに万全を期すのであれば、HIDやLEDといったハロゲンランプ以外の選択肢も検討してください。 十分な暖機運転をする 設計の古い旧車のエンジンでは、冷間時のオイルの循環に時間がかかるものも少なくありません。特に雪が降るほど寒い環境ではオイルの粘度が高くなるため、より時間がかかることもあります。 中でもキャブレター車は、低温時には燃料が十分に気化しません。ある程度エンジンを暖めて、アイドリングが安定してから走行を開始してください。 環境への影響もあるため過度に長い暖気は不要ですが、走行開始後もしばらくはエンジンに負荷をかけないことが重要です。しっかりと暖まっていない状態で急に高回転を使用すると、エンジンに大きな負荷がかかってしまいます。 暖気不足だけですぐに故障することはあまりないとはいえ、ダメージの蓄積によって致命傷を引き起こしかねません。寒い環境で運転する際は、いつも以上にエンジンをいたわる意識が大切です。 融雪剤(塩化カルシウム)は旧車の天敵 雪や凍結によるスリップの防止に大きな力を発揮する融雪剤ですが、旧車に大きなダメージを与える要因でもあります。また、実際に降雪していなくても融雪剤が使用されるケースもあるため、すべての旧車オーナーは融雪剤に対する対応が必要です。 融雪剤が車にダメージを与える理由と対策についてみていきましょう。 金属に付着するとサビが進行する 塩化カルシウムによってサビが進行しやすい理由は、強い吸湿性で水分を含んだまま乾きにくいためです。サビは、水と酸素が鉄に付着することで発生します。融雪剤によって長時間水分が鉄に付着し続けるため、一気にサビが進行するのです。 融雪剤によるダメージは旧車に限ったことではありませんが、経年劣化によって塗膜が弱くなっている旧車の場合はより顕著に影響が出ます。特に下回りやマフラー、ボルト・ナット類は被害を受けやすい箇所です。劣化した塗膜の隙間に入り込むと、腐食が進んでしまいます。 冬が来る前に塗装の状態をチェックしておく 冬が到来する前に、塗装に剥がれや傷みがないか入念に確認しておくことをおすすめします。冬になると、事故防止の目的で雪や凍結がなくても融雪剤が撒かれるケースが多くなるためです。たとえ雪道を走らなくても、融雪剤がボディに付着するとサビが進行します。 ボディ表面はもちろんですが、融雪剤が付着しやすい下回りも可能な限り塗装状態を確認してください。塗装が剥がれている場合は、シャーシブラックや防錆スプレーを塗布して保護しておきましょう。 雪道走行後は下回りを中心に洗車をする 雪道を走った後は、できるだけ早く洗車することが大切です。融雪剤が付着すると、わずか数日でもサビが進行するケースもあります。 特に下回り・ホイールハウス内、マフラー周辺は念入りに洗い流してください。寒い時期の洗車は億劫になりがちですが、大切な旧車を守るために雪道走行後は速やかに洗車をしましょう。 また、どうしても手洗い洗車が難しい場合は、洗車機の下回りメニューの活用でも構いません。少しでも車に付着する融雪剤を落として、サビの進行を食い止めることが重要です。また、洗車後は念入りな拭き上げをして、十分に乾燥させてください。 ポイントさえ押さえれば旧車でも冬を楽しめる(まとめ) 設計が新しく、さまざまな装備の整った現代の車に比べると、旧車が雪道に弱いのは事実です。 一方で、旧車の時代にも当然雪はあったため、しっかりとした準備やケアをすれば雪道でも問題なく走行できます。 冬景色のなかを疾走する愛車は、いつもとはまた違った雰囲気で魅力的です。雪道対策をしっかりと施して、ぜひ雪道のドライブを楽しんでください。

高市早苗氏の愛車「70スープラ」を深掘り!レストアまでの軌跡
旧車の魅力と知識 2025.10.21

高市早苗氏の愛車「70スープラ」を深掘り!レストアまでの軌跡

旧車王ではYouTubeにて、旧車好きによる旧車好きのための「旧車王ちゃんねる」でさまざまな動画を配信しています。 古き良きクルマならではの素晴らしさを伝えるべく、登場から10年以上経過した旧車をメインにご紹介。走行シーンはもちろん、内外装や機関系など、さまざまな角度から1台1台の魅力に迫っています。 ぜひご覧ください。 旧車王ちゃんねる 本日公開のショート動画では、女性初の総理大臣になられた高市早苗氏の愛車「70スープラ」を紹介しています。  70スープラは、1986年に「セリカXX」の後継モデルとして登場し、日本で初めて「スープラ」の名を冠したモデルです。リトラクタブルヘッドライトと豪華な内外装が特徴のグランドツーリングカーで、高市氏の愛車は、1991年式の2.5GTツインターボリミテッドでした。1JZ-GTEエンジンを搭載した後期モデルで、トランスミッションは4ATです。 旧車王で買い取りをした「70スープラ」はこちら 高市氏が愛した70スープラは、22年間大切に乗られた後、どうしても手放せず抹消登録するも、その後10年間、不動車として保管されていました。 2022年に、奈良トヨタの80周年を記念して行われた「レストアプロジェクト」により、復元され、現在では「まほろばミュージアム」に展示されています。 まほろばミュージアム|奈良トヨタ【公式サイト】 旧車王でも、長年愛された車が再び息を吹き返すお手伝いをしています。もしご依頼があれば、しっかりと動く状態に戻し、次のオーナー様へ橋渡しをすることができます。 旧車を愛する方にとって、このような歴史ある車を「再び動かしたい」という思いは、共通の願いではないでしょうか。 私たちは、「旧車を愛する」総理大臣が誕生したという歴史的な瞬間に喜びを感じつつ、これからも日本の旧車文化の発展に努めてまいります。 旧車王は旧車専門の買取サービスです。古いクルマに特化して20年以上の実績をもち、YouTubeのほかにXやInstagram、TikTokでも旧車のさまざまな魅力を発信しています! Twitter:twitter.com/qsha_oh Instagram:instagram.com/qshaoh_channel TikTok:tiktok.com/@qshaoh

一軒家の車庫証明の書き方とは?記載のポイントや取得手続きの流れを解説
旧車の魅力と知識 2025.10.09

一軒家の車庫証明の書き方とは?記載のポイントや取得手続きの流れを解説

新しくクルマを購入したときや引っ越しで住所が変わったときなどは「車庫証明」を取得する手続きが必要です。 車庫証明を取得するときは、必要書類を作成して管轄の警察署に提出します。一軒家にお住まいの場合、自宅の敷地内にある駐車場と自宅外の月極駐車場で申請書類の書き方や提出書類が異なる点に注意が必要です。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、一軒家にお住まいの方が車庫証明を取得する方法や書類の書き方などについて詳しく解説します。 車庫証明とは 車庫証明とは、クルマの保管場所が確保されていることを証明する公的な書類のことです。 正式名称を「自動車保管場所証明書」といい、自動車の使用の本拠の位置を管轄する警察署で「保管場所証明申請手続」をした際に交付されます。 クルマの車検証に記載された使用者は、以下のような場合に管轄の警察署で車庫証明を取得し、運輸支局で手続きをする際に提出しなければならないとされています。   ・新車や中古車を新たに購入したとき(新規登録) ・クルマの所有者が変わったとき(移転登録) ・クルマの所有者が住所を変更したとき(変更登録)   ただし、地域によっては車庫証明の申請が不要な場合があるため、事前に管轄の警察署のWebサイトで確認しておくとよいでしょう。 自動車保管場所証明申請書の記載項目と添付書類 車庫証明を取得するときは「自動車保管場所証明申請書」を記入し、添付書類とあわせて提出します。以下では、申請書の記載項目と添付書類について解説します。 記載項目 自動車保管場所証明申請書は、クルマの車名や型式、自宅と保管場所の位置などを記載します。具体的な記載項目は以下のとおりです。   自動車の情報(車名、型式、車台番号、自動車の大きさ) 使用の本拠の位置 保管場所の位置 申請する日 提出する警察署名 申請する年月日 申請者の住所、氏名、電話番号 など 添付書類 申請の際は、自動車保管場所証明申請書とあわせて以下の書類を提出します。   ・保管場所の所在図(駐車場の場所と自宅からの位置関係を示す地図)と保管場所の配置図(駐車スペースの幅や奥行き、保管場所と接する道路などを記載した図)がセットになったもの ・保管場所を使用する権原を疎明する書面(いずれか1通) ・保管場所使用承諾証明書(貸し駐車場の場合) ・保管場所使用権原疎明書面(自分の所有地の場合)   所在図については、以下のどちらかに該当する場合、添付を省略できます。   ・使用の本拠の位置と保管場所の位置が同一の場合 ・次のいずれにも該当する場合 1.自動車買い替え時等の自動車の入れ替えである。 2.使用の本拠の位置と車庫の位置のいずれも旧自動車と変更がない   一方で配置図の添付を省略することはできません。 【一軒家】自動車保管場所証明申請書の書き方例 ここでは、一軒家の敷地内を駐車場として申請する場合の書き方を紹介します。秋田県警察で公開している自動車保管場所証明申請書の記載例は以下のとおりです。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 上記申請書の記入方法は、以下のとおりです。   記入内容 車名 メーカー名を記載(例:トヨタ・ホンダ・ニッサン) 型式・車台番号 自動車検査証(車検証)のとおりに記載。新車の場合は販売業者に聞いて記載 自動車の大きさ センチメートル単位で右詰め記入(ミリ以下切り捨て) 使用の本拠の位置 実際に居住する場所の所在地を記載(通常は住民票と同じ) 保管場所の位置 自宅の敷地内駐車場:使用の本拠の位置と同じ住所 月極駐車場など:駐車場の住所と車庫の番号 申請者欄 住民票や印鑑証明書どおりに使用者の住所・氏名を記入 使用権原 「自己・他人・共有」のいずれかに〇印 ・自己:車庫が申請者所有の場合 ・他人:車庫が他人所有の場合 ・共有:車庫が共有の場合 自動車登録番号 ナンバープレートに記載される番号 申請内容 該当する箇所に〇印 ・新規:今回申請する保管場所において申請者が新たに保管場所証明を取得する場合 ・代替:現在の保管場所で保管場所証明をすでに受けている車輌があり、その車輌と入れ替える場合 ・増車:複数台分のスペースがある保管場所に車輌を追加する場合(代替の場合は旧車輌の車台番号を記入) 連絡先欄 申請内容の問い合わせが可能な氏名・電話番号を記載  自動車保管場所証明申請書の様式は都道府県によって異なるため、車庫証明の申請をする際は管轄の警察署の公式Webサイトをご確認ください。 【一軒家】自動車保管場所証明申請書の書き方のポイント 自動車保管場所証明申請書を作成する際は、黒色のボールペンまたは黒色のスタンプで明瞭に書きましょう。黒のボールペンであっても、消せるタイプのものは使用できません。 車庫証明が交付された後は訂正できないため、申請書の記載内容に誤りがないか十分に確認したうえで提出することが大切です。 以下では、自動車保管場所証明申請書の項目ごとに書き方のポイントを解説します。 自動車の情報に関する欄を記載する際のポイント 車名の欄にはメーカー名のみを記載します。例えば、トヨタのヤリスに乗っている場合、この欄に記載するのは「トヨタ」のみです。 型式や車台番号の欄には、車検証の内容を正確に書き写しましょう。 また、0(ゼロ)とO(オー)、1とI(アイ)など、数字とローマ字を混同しやすい文字は、はっきりと区別できるよう注意して記載することが大切です。 都道府県によっては、アルファベットの下段にチェックを入れる欄が設けられている場合があります。 使用の本拠の位置と保管場所の位置を記載する際のポイント カーポートやガレージなど、一軒家の敷地内に駐車場がある場合、「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」には、同じ住所を記載します。 保管場所の位置の欄に「同上」や「〃」とは記載せず、使用の本拠の位置と同様に住民票のとおりに正しい住所を記載しましょう。 申請者欄を記載するときのポイント 申請者欄に記載するのは、警察署の窓口に書類を提出する人ではなく、クルマの使用者となっている人の氏名や住所です。使用者が個人の場合は、住民票や印鑑証明書と同一の氏名と住所を記載します。 なお、申請者の押印は不要です。 一軒家の車庫証明を取得するための条件 クルマの保管場所と認められるのは、駐車場、車庫、空き地などの道路以外の場所です。また、一定の要件を満たしている必要があります。以下で各要件について詳しく解説します。 保管場所を利用する権限を持っている(権原の要件) 車庫証明を取得するためには、クルマの使用者が保管場所として利用する権限(権原)を持っている必要があります。 申請の際には、申請書に保管場所の位置を記載するだけでなく、保管場所として利用する権限を持っていることを証明する以下の書類を提出します。   保管場所が自分の所有地:保管場所使用権原疎明書面(自認書) 保管場所が貸し駐車場:保管場所使用承諾証明書   例えば、自宅の敷地内にあるカーポートやガレージを駐車場としている場合は、保管場所使用権原疎明書面(自認書)を作成して提出します。 自宅外に月極駐車場などを借りている場合は、その所有者や管理を委託されている会社などに保管場所使用承諾証明書を作成してもらいます。 保管場所使用承諾証明書が用意できない場合、都道府県によっては駐車場の賃貸借契約書や領収書のコピーを提出することも可能です。 自宅から直線で2km以内に駐車場がある(距離の要件) 保管場所の位置と自宅(使用の本拠の位置)の距離が、地図上の直線距離で2km以内である必要があります。 一軒家で自宅の敷地内に駐車場がある場合、使用の本拠と保管場所が同じ住所になるため、この距離に関する要件を気にする必要はありません。 一方、自宅外にクルマを駐める場合は、自宅から半径2km以内の距離にある駐車場を借りる必要があります。また、車庫証明の申請の際には所在図の作成と提出が必要です。記載例は以下のとおりです。 画像引用:警視庁「保管場所証明申請手続(窓口での申請)」 所在図には、自宅と駐車場の場所と直線距離だけでなく、位置関係がわかるように付近の道路や目標となる建物なども詳しく記載します。手書きで作成する他にも、所在図欄に「別紙」と記載し、Googleマップなどを印刷した地図を添付することも可能です。 十分に収容スペースがある(スペースの要件) クルマが通行できる道路から支障なく出入させ、かつクルマの全体を収容できるほどのスペースがあることも、保管場所と認められるための要件の1つです。 車体の一部が道路にはみ出すような場所や、クルマの出し入れが難しい場所などは、保管場所として認められません。 そのため、車庫証明を申請するときは、クルマの「長さ」「幅」「高さ」を申請書に記載します。また、保管場所に十分な駐車スペースがあることを示すために「配置図」を作成して提出します。 自宅の敷地内に駐車場がある場合の配置図の記載例は以下のとおりです。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 配置図には、駐車スペースの具体的な寸法や駐車場に面した道路の幅などを正確に書き込みます。また、自宅の家屋と保管場所が記載欄に収まるように記入しましょう。 自宅外の月極駐車場を借りる場合は、以下のように記載します。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 所在図と同様に、Googleマップなどを印刷した地図を活用することも可能です。 車庫証明を取得する流れ 管轄の警察署で車庫証明を取得する際の流れは、以下のとおりです。   ・必要書類を準備する ・管轄の警察署の窓口に書類を提出して手数料を支払う ・警察による審査が完了すると車庫証明書が交付される   申請先は、自宅の最寄りではなく「駐車場の所在地」を管轄する警察署です。手数料の金額は地域によって異なりますが、2,200〜2,400円ほどが目安です。 提出した書類に不備がなければ「納入通知書兼領収書」が交付されます。この書類は、後日警察署で車庫証明書を受け取る際に必要なため、大切に保管しておきましょう。 警察署による審査期間は通常3日〜1週間ほどです。申請当日に車庫証明書を受け取れるわけではないため、スケジュールに余裕を持って手続きしましょう。 まとめ 車庫証明を取得する際は、自動車保管場所証明申請書に必要事項を記入して管轄の警察署に提出します。申請の際には、保管場所の所在図・配置図、保管場所の使用権原を疎明する書類も必要です。 一軒家に住んでおり、敷地内を駐車場として使用する場合、使用の本拠の位置と保管場所の位置には自宅の住所を正確に記載します。所在図の作成は不要ですが、配置図は必須です。保管場所の使用権原を疎明する書類は「自認書」を準備します。 月極駐車場を借りる場合は、所在図を作成して保管場所使用承諾証明書も用意しましょう。 申請書類の書き方にはさまざまな注意点があり、車庫証明が交付されるまでに申請してから3日〜1週間ほどかかるため、スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。

車庫証明はどこの警察署でも出せる?地域別のルールと注意点
旧車の魅力と知識 2025.10.08

車庫証明はどこの警察署でも出せる?地域別のルールと注意点

クルマの購入や引っ越しで車庫証明が必要になったとき「どこの警察署でも申請できるのか」「引っ越し前後でどこに出せばいいのか」と迷われる方は少なくありません。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、車庫証明を提出できる警察署の確認方法について、地域別のルールと注意点を交えながら解説します。 車庫証明とは 車庫証明は、違法駐車の防止と交通環境の整備の観点から、クルマを購入する際に適切な保管場所(駐車場)が確保されていることを法的に証明する書類です。正式名称は「自動車保管場所証明書」です。 車庫法によって、新車の登録や中古車の名義変更時には証明書の提出が義務付けられています。 なお、証明書はクルマの保管場所を管轄する警察署長が発行します。書類を揃えて警察署に申請し、取得した車庫証明を購入先に提出するまでが一連の流れです。 車庫証明の取得条件 車庫証明を取得するためには、法律で定められた3つの条件をクリアする必要があります。車庫証明の取得条件について詳しく見ていきましょう。 収容スペースの条件 収容スペースの条件は、以下の3点です。   ・クルマが完全に収まり一部もはみ出さないこと ・クルマが公道から直接出入りできること ・駐車場から出た道路に十分な幅があること   なお、収容できるのは所有地または契約済みの土地と、車庫法で定められています。公道や無許可の私有地は使用できません。 申請時には、条件を満たしていることを示す配置図の提出も求められるため、記載例を参考に漏れなく記載しましょう。 権限に関する条件 車庫証明に関する権限は、駐車場の使用権限に関する条件のことです。戸建てのように自己所有地の場合は保管場所使用権原疎明書面(自認書)、賃貸のように他人の土地を借用する場合では保管場所使用承諾証明書の提出が必要です。 なお、住民票と現住所が異なる場合でも車庫証明は取得可能ですが、使用の本拠地であることを証明する書類(公共料金の領収書や免許証など)が追加で必要です。 虚偽申請に対しては厳しい罰則が設けられており、車庫飛ばしなどの違法行為には20万円以下の罰金が科される可能性があります。また、引っ越し後15日以内に手続きを行わない場合も10万円以下の罰金刑の対象となるため、早めの確認と対応が大切です。 保管場所から自宅までの距離の条件 車庫証明では、保管場所が「使用の本拠地」から直線距離で半径2キロメートル以内にあることが法的要件として定められています。距離は実際の道路距離ではなく、地図上で直線を引いた場合の距離です。 「使用の本拠地」とは、個人の場合は実際に居住している住所、法人の場合はクルマを使用する本店や支店など実際の活動拠点を指します。 ただし、全長5メートル超かつ全幅1.9メートル超のモーターホームやキャンピングトレーラーなどの特殊車両については、特例措置として半径2キロメートルを超えた場所での保管が認められる場合があります。 車庫証明は管轄の警察署に提出する 車庫証明を申請できるのは、クルマの保管場所を管轄する警察署のみです。全国どこの警察署でも申請できるわけではありません。申請先を間違えると車庫証明に要する時間が長引くため、事前にどの警察署かは確認しておきましょう。 管轄の警察署は保管場所の住所ごとに分担されています。詳細な確認方法については、全国の警察署一覧から検索可能です。 警察庁Webサイト「都道府県警察本部リンク」 なお、地域をまたぐ特殊なケースや自宅以外での取得については、以下で詳しく解説します。 保管場所が地域をまたぐ場合の提出先 「保管場所基準」の原則は、地域をまたぐ場合でも変わりません。ただし、申請先を間違えやすいため、確認方法を詳しく解説します。   【具体的なケース】 ・自宅がA県にあり駐車場がB県にある場合:B県の駐車場を管轄する警察署へ申請 ・自宅がC市で駐車場がD市にある場合、D市の駐車場を管轄する警察署へ申請   本ルールは、単身赴任などで住民票の住所と実際の居住地が異なる場合でも変わりません。 とくに注意が必要なのは、県境や市境付近に住んでいる方です。最寄りの警察署であっても車庫証明申請の管轄外となる可能性があります。申請先を間違えると時間の無駄となるため、管轄が不明確な場合は事前に警察署へ電話確認することをおすすめします。 自宅以外のどこでも車庫証明は取得できる? 車庫証明は自宅以外の場所でも取得可能です。ただし、どの場所を選んだとしても法的条件に合致しているかの確認と適切な手続きが必要です。 以下では、取得のための準備(必要書類)と手続き(申請先)の2つの観点から、自宅以外での取得方法を解説します。 必要書類を揃えれば取得できる 車庫証明は、以下の必要書類一式を揃えれば取得可能です。基本書類と駐車場の所有者によって変わる書類があるため、事前に確認しましょう。   【基本書類】 ・自動車保管場所証明申請書 ・使用の本拠の位置が確認できるもの ・保管場所の所在図・配置図   【駐車場の所有者によって変わる書類】 ・自己所有地の場合:保管場所使用権原疎明書面(自認書) ・他人の土地を借用する場合:保管場所使用承諾証明書   なお、実家の駐車場を使用する場合でも、土地所有者が親族であれば借用扱いとなるため保管場所使用承諾証明書が必要です。 住民票と現住所が異なる場合は、使用の本拠地を証明する追加書類を用意します。公共料金の領収書(直近3か月以内、住所と氏名が漢字記載)や消印付きの郵便物(2~3通)のほか、免許証でも問題ありません。 取得場所を管轄する警察署に提出する 自宅以外での車庫証明取得でも、申請先のルールは変わりません。重要なのは「自宅の住所ではなく、保管場所の住所」を基準にすることです。 自宅以外でクルマを保管する場合の注意点として、距離制限(2キロメートル以内)を満たしているかの事前確認が必要です。また、賃貸駐車場などを利用する場合は、契約期間と車庫証明の有効期間が合っているかも確認しておきましょう。 確認した結果条件を満たしていれば、駐車場の住所を管轄している警察署に書類を提出できます。 車庫証明を取得する流れ 車庫証明の取得は、保管場所の決定から証明書受け取りまで4つのステップで進めます。手続きには通常1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しのスケジュールに合わせた早めの準備が大切です。 クルマの保管場所を決める 車庫証明申請の第一歩として、法的条件を満たす保管場所の確保が必要です。以下の内容を満たす場所かどうかを確認しましょう。   【確認すべき法的条件】 ・使用の本拠地から直線距離2キロメートル以内 ・クルマが完全に収まり公道から直接出入り可能   保管場所の選択肢として、持ち家や賃貸住宅に付属した駐車場がない場合は、月極駐車場などの確保が必要です。周辺環境とあわせて以下の条件で問題ないかチェックしましょう。   【確認すべき収容スペースの条件】 ・クルマのはみ出しがないこと ・走行可能道路からの出入りが可能であること ・駐車場前の道路に十分な幅があること   なお、新車購入時は駐車場の利用開始日と納車日の調整が重要です。車庫証明なしでは車両登録ができません。納車前に車庫証明を取得できるよう駐車場契約のタイミングを調整し、スムーズに進められるスケジュールを組む必要があります。 申請書類を準備する 保管場所が確定したら、管轄の警察署で申請書類を入手し必要事項を記入します。書類は警察署交通課での受け取り、またはウェブサイトからのダウンロードが可能です。ウェブサイトでは記入例も閲覧できるため、まとめて作業すれば時短につながります。 申請書類は以下です。改めて用意し忘れがないか確認しておきましょう。   ・自動車保管場所証明申請書 ・保管場所標章交付申請書 ・保管場所の所在図・配置図 ・自己所有地では保管場所使用権原疎明書面(自己所有地の場合) ・保管場所使用承諾証明書(借用地の場合)   書類を記入する際は、以下の情報を正確に記載します。   ・車検証から車輌情報と保管場所住所の転記 ・所在図・配置図用に自宅と保管場所の位置関係の確認 ・車庫の具体的サイズ ・道路幅員 警察署に提出する 完成した書類は、保管場所を管轄する警察署へ提出します。提出先は自宅ではなく駐車場の住所で決まります。地域をまたぐ場合でも保管場所側の警察署が提出先です。 窓口提出時は運転免許証などの本人確認書類と、申請手数料(詳細は警察署へ要確認)を添えます。なお、令和7年3月から、警察署での支払いは原則キャッシュレスまたは現金となっています。ただし、一部のエリアでは窓口で現金が利用できない場合があるため、注意が必要です。 書類提出後は交付予定日が記載された受理票を受け取ります。受理票は証明書受け取り時に必要となるため、財布など身近で忘れない場所に保管しておくと安心です。 車庫証明書を受け取る 受理票記載の交付予定日になったら、申請した警察署で車庫証明を受け取ります。交付される書類は自動車保管場所証明書(車庫証明書)のみです。保管場所標章や保管場所標章番号通知書は、令和7年4月1日から廃止されています。 地域によっては郵送対応が可能な場合があります。申請時に地区交通安全協会で手数料を支払うことで自宅へ郵送してもらえます。なお、申請自体は郵送に対応していません。 手続きの時間が確保できない方は、クルマの販売店に代行してもらうことも可能です。代行費用は発生しますが、書類作成の不安や時間の問題を解消できます。 まとめ 車庫証明の申請は保管場所を管轄する警察署でのみ受け付けており、どこの警察署でも申請できるわけではありません。自宅と保管場所が地域をまたぐ場合でも、保管場所の住所を基準に管轄警察署が決まります。 申請には法定の条件を満たす保管場所の確保と、土地の所有形態に応じた必要書類の準備が必要です。手続きに1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しに合わせて早めに準備しましょう。  

ナンバー 無しの車を廃車にする方法は?必要書類や手順を解説
旧車の魅力と知識 2025.10.06

ナンバー 無しの車を廃車にする方法は?必要書類や手順を解説

クルマの廃車手続きをする際は、車体から取り外したナンバープレートを返却する必要があります。 しかし、盗難や事故、災害などの事情があればナンバープレートがなくても廃車手続きをすることが可能です。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、ナンバープレートのない場合の廃車手続きの流れや必要書類などについて詳しく解説します。 ナンバープレートがなくても廃車できる 廃車とは、クルマの登録情報を抹消して公道を走行できない状態にする手続きのことです。 廃車手続きの際には所定の申請書類を提出するとともに、車輌の前後に付いている2枚のナンバープレートを返却する必要があります。 これは、盗難車にナンバープレートが取り付けられるなどの不正利用を防ぐためです。 ただし、紛失や盗難、災害など正当な理由でナンバープレートが手元にない場合は、その事情を説明・証明する書類を添付することで廃車手続きができます。 ナンバープレート紛失時に必要な書類 ナンバープレートがないクルマを廃車にするためには「理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」や罹災証明書が必要です。以下で詳しく解説します。 盗難された場合 ナンバープレートが盗難された場合は、廃車手続きの前に最寄りの警察署か交番へ「盗難届」を提出しましょう。 廃車手続きの際に必要な理由書を作成するには「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」という3つの情報が必要です。これらの情報は、盗難届を提出したあとに警察から交付される「受理票」に記載されています。 災害で紛失した場合 台風による洪水や地震といった自然災害によってクルマが流されたり、ナンバープレートが破損・紛失したりした場合は「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」を取得します。 罹災証明書は、お住まいの市区町村役場や消防署で発行してもらえる公的な書類です。 通常の申請書類とあわせて罹災証明書を提出することで、災害によりナンバープレートがなくなったクルマの廃車手続きができます。 その他の紛失の場合 「走行中にどこかで落としてしまった」「事故の衝撃で外れて見つからなくなった」などの理由でナンバープレートを返却できない場合は、警察へ「遺失届」を提出します。 遺失届を提出した場合も受理票が交付され、理由書の記載に必要な「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」の3つの情報を取得できます。 ナンバープレート無し車を廃車にする手順 ナンバープレートがないクルマを先に解体してから廃車にする場合、普通自動車は「永久抹消登録」、軽自動車は「解体返納」という手続きをします。 以下では、ナンバープレートがないクルマを廃車にする手順について詳しく解説します。 必要書類をそろえる まずは廃車手続きに必要な書類をすべてそろえましょう。普通自動車と軽自動車を廃車にする際の主な必要書類は以下のとおりです。   普通自動車 (永久抹消登録) 軽自動車 (解体返納) 自動車検査証(車検証) 〇 〇 所有者の印鑑登録証明書 (発行日から3ヶ月以内のもの) 〇 × 所有者の実印 〇 × 所有者の認印 × 〇 受理票または罹災証明書 〇 〇 使用済自動車引取証明書 〇 〇 普通自動車の場合は、所有者の「実印」「発行後3ヶ月以内の印鑑証明書」が必要です。 一方、軽自動車の場合は「認印」で手続きができ、印鑑証明書の取得もいりません。 また、クルマの所有者本人ではない人が手続きをする場合、普通自動車は「委任状」、軽自動車は「申請依頼書」という書類が必要です。 運輸支局または軽自動車検査協会へ行く 必要書類がすべてそろったら、以下の窓口で手続きをします。   普通自動車:運輸支局または自動車検査登録事務所 軽自動車:軽自動車検査協会の事務所・支所・分室   手続き先は、車検証に記載されている「使用の本拠の位置」の住所を管轄する運輸支局や軽自動車検査協会などです。 手続きの前に、インターネットで管轄の窓口を検索するとよいでしょう。 理由書・申請書・納付書を記入する 運輸支局や軽自動車検査協会の窓口に到着したら、備え付けられている以下の書類を記入します。 普通自動車 軽自動車 ・理由書 ・永久抹消登録申請書(第3号様式の3) ・手数料納付書 ・車両番号標未処分理由書 ・解体届出書(軽第4号様式の3) 理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)は、受理票に記載される内容をもとに作成します。 永久抹消登録申請書と解体届出書には、クルマの解体作業が完了した際に業者から報告される「解体報告がなされた年月日」と「移動報告番号」の記載が必要です。これは、解体業者から発行される使用済自動車引取証明書に記載されています。 普通自動車の永久抹消登録では「手数料納付書」を記入しますが、手数料は原則無料であるため、印紙を貼る必要はありません。 窓口に提出して手続き完了 書類の記入が終わったら、準備してきた書類と合わせて窓口に提出します。書類に不備がなければ申請が受理され、廃車を証明する以下の公的な書類が交付されます。   普通自動車:登録事項等証明書 軽自動車:検査記録事項等証明書   交付された証明書類は自賠責保険料の解約や任意保険の中断などで必要になるため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。 自動車税(種別割)・自動車重量税の還付 運輸支局や軽自動車検査協会で廃車手続きをすると、自動車税(種別割)や自動車重量税の還付を受けられる場合があります。 自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点でクルマを所有している人に課される地方税です。 普通自動車の永久抹消登録をすると、残りの期間分に応じた以下の税額が還付されます。 ただし、軽自動車の場合、自動車税(種別割)の還付はありません。 自動車重量税は、クルマの重量、種別、用途などに応じて課せられる税金です。永久抹消登録や解体返納を行い、かつ残りの車検期間が1ヶ月以上ある場合、残存期間に応じた自動車重量税が還付されます。 自動車重量税の還付を受けるためには、永久抹消登録申請書または解体届出書に必要事項を記入します。また、個人番号(マイナンバー)の記入と、本人確認書類(マイナンバーカード・個人番号通知カード+運転免許証など)の提示または写しの添付が必要です。 ナンバープレート無し車の廃車で注意すべきこと ナンバープレートがないクルマの廃車手続きを進める際には、以下の点に注意しましょう。 ナンバー無しでの走行は道路運送車両法違反 ナンバープレートを装着していないクルマで公道を走ることは、道路運送車両法に違反します。もし違反した場合、違反点数2点が加算されるだけでなく、50万円以下の罰金が科される可能性があります。 解体工場まで少しの距離であっても、ナンバープレートがないクルマを運転するのは避けましょう。 やむをえずクルマを移動させる場合は、レッカーサービスの利用や仮ナンバーの取得をおすすめします。 月末・年度末は運輸支局が混雑するので避ける 廃車手続きをスムーズに進めるためには、運輸支局や軽自動車検査協会が混雑する月末や年度末(3月)、9月末を避けるとよいでしょう。 自動車販売店の決算期や、就職・転勤などにより、車検や登録手続きなどをする人が増えるため、手続きが終わるまでに数時間待たされる可能性もあります。 書類不備は当日完了できない恐れがある 提出書類が不足していたり、記入内容に誤りがあったりすると、申請当日に廃車手続きが完了しない恐れがあります。不備の例は以下のとおりです。   ・自動車検査証(車検証)の有効期限が切れている ・印鑑証明書の有効期限(発行後3ヶ月以内)が切れている ・委任状への実印の押印漏れ ・盗難届や遺失届の受理番号がわからない   また、車検証の「所有者」欄がディーラーやローン会社などになっている場合、先にローンを完済して所有権留保の解除手続きをした後でないと廃車にはできません。 クルマを廃車にする際は、運輸支局や軽自動車検査協会のWebサイトで必要書類や記入時の注意点についてよく確認することが大切です。不明点や疑問点がある場合は、電話で確認しておくのもよいでしょう。 面倒な手続きは買取業者に任せられる ナンバープレートがないクルマの廃車手続きは通常よりも複雑です。そこで、買取業者にクルマを売却して廃車手続きを代行してもらうのも1つの方法です。以下で詳しく解説します。 業者に任せれば書類代行やレッカーも無料 買取業者の多くは、廃車手続きの書類の作成や提出の代行手数料を無料としています。買取業者によっては、ナンバープレートが付いておらず、そのままでは動かせないクルマを移動させるためのレッカー費用もかかりません。 買取業者に任せることで、平日に休みを取って運輸支局や軽自動車検査協会に行く手間や時間を省けるだけでなく、レッカー移動にかかるコストも削減できます。 事故車・災害車でも引き取り可能 「事故で大破してしまった」「洪水による水没でエンジンがかからない」など、一見すると価値がなさそうなクルマでも買取業者は引き取ってくれる可能性があります。 買取業者の多くは、まったく動かないクルマや損傷箇所があるクルマなどでも、以下のようなさまざまな方法で収益化できるためです。   自社工場や提携工場で修理して国内で再販売する・海外へ輸出する エンジン、ドア、シートなどまだ使用できる部品を取り出して販売する 鉄やアルミニウムなどの金属資源をリサイクル市場で販売する   買取業者にクルマを売却すると、解体費用を自己負担せずに済むだけでなく、売却代金を受け取れる可能性もあるため、スクラップにする前に査定を依頼してみるとよいでしょう。 還付金の手続きも代行してくれる業者が多い 買取業者に廃車の手続きを依頼した場合でも、要件を満たしていれば自動車税(種別割)や自動車重量税の還付は受けられるケースがほとんどです。 買取業者によっては、買取金額に還付金額を含めて支払ってくれることもあります。 ただし、買取業者によって還付金の取り扱いは異なります。契約を結ぶ際は、還付金の有無や返還方法などをよく確認することが大切です。 まとめ 盗難や紛失が理由でナンバープレートがないクルマを廃車にする場合は、盗難届や遺失届を警察に提出しましょう。警察から受理票を受け取り、理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」を作成することでクルマを廃車にできます。 地震や津波などが理由でナンバープレートや車輌本体がない場合は、市区町村役場や消防署で罹災証明書を取得すると廃車手続きができます。 ただし、ナンバープレートがないクルマの廃車手続きには複雑な部分があり、普通自動車と軽自動車では必要書類や申請窓口などが異なるため、買取業者に任せることも検討するとよいでしょう。

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