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高級車ブランドとして有名なメルセデス・ベンツには、高性能モデルをラインナップするサブブランド「メルセデスAMG」があります。今回は、メルセデスAMGがどのようなブランドなのか、特徴や歴史などについて解説します。また、注目の旧車も合わせて紹介するので、メルセデスAMGを検討中の方は参考にしてみてください。 メルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデスAMG」とは メルセデスAMGは、メルセデス・ベンツの中でも高性能モデルを展開するサブブランドです。メルセデスAMGには、どのような特徴があるのでしょうか。メルセデスAMGをより深く知るために確認しておきたいブランドの特徴や歴史などを紹介します。 特徴 メルセデスAMGは、「究極のハイパフォーマンス」を追求するメルセデス・ベンツのサブブランドです。 モータースポーツの現場で培った独自技術を惜しみなく投入した高性能モデルを展開しており、スポーツカーでありながら日常の快適性と高い安全性を両立していることがメルセデスAMGの特徴です。 歴史 1967年に、「メルセデスAMG」の起源の「AMG社」が誕生しました。ブランド名の「AMG」は、創立者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Aufrecht)、パートナーのエバハルト・メルヒャー(Melcher)、アウフレヒトの出生地グローザスパッハ(Grossaspach)の頭文字からとられています。 創業当初はメルセデス・ベンツの市販車をベースに、独自改良を施したレーシングマシンを製造していました。 AMGの名が全世界に知られるようになったのは、1971年のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースです。スパ・フランコルシャン24時間耐久レースでは、メルセデス・ベンツ300SEL 6.8 AMGが快走し、クラス優勝を飾り、総合順位2位を獲得。このことをきっかけに、AMG知名度がアップしました。 1988年からはメルセデス・ベンツとパートナーシップを組み、モータースポーツ活動で培ったレーシングカーテクノロジーとメルセデス・ベンツの最先端技術を結集し、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルの開発とエンジンの生産を行っています。 2014年にメルセデス・ベンツのサブブランドとなり、社名を「AMG」から「メルセデスAMG」に変更しました。メルセデス・ベンツのサブブランドになってからもAMGの哲学は受け継がれ、AMGの象徴のひとつでもあるひとりのマイスターが最初から最後まで1基のエンジンを手作業で組み上げる「One man - one engine」もこれまでどおり引き継がれています。 エンブレム メルセデスAMGのエンブレムは、月桂冠とリンゴの木とエンジンのバルブ&カムで構成されています。それぞれの意味は次のとおりです。 月桂冠:トロフィーの代わりに優勝者に贈られるもの。レースに勝つことを意味しているリンゴの木:本社のアファルターバッハのことを指しているエンジンバルブ・バルブスプリング・カムシャフト:エンジンの開発・技術に特化していることを意味している リアの左側にはAMGロゴが、右側にはモデルを示すアルファベットと出力相当の数字が付けられています。 メルセデスAMGと通常モデルの違い メルセデスAMGの大きな特徴は、通常のメルセデス・ベンツとは一線を画した性能を持つ点です。 高出力エンジンをはじめ、エンジンの性能に耐えられるブレーキ・サスペンション・タイヤ、空力性能に優れるパーツが取り付けられています。内装は、スポーティなシートやパーツを使いながらも、メルセデス・ベンツの上質さを兼ね備えているインテリアに仕上がっています。 メルセデスAMGで注目の旧車 メルセデスAMG(旧AMG)で注目すべき旧車を紹介します。 メルセデスAMG A45 4MATIC メルセデスAMG A45 4MATICは、Aクラス初のハイパフォーマンスモデルとして、2013年に日本で発売されました。 A45 AMG 4MATICのエンジンは、360psを発生するAMG 2.0L 直列4気筒直噴ターボエンジンで、可変トルク配分型のAMG 4MATIC(四輪駆動)を組み合わせることで、ダイナミックなドライビングを可能としています。 メルセデスAMGのブランドスローガン「ドライビングパフォーマンス」を体現したコンパクトなモデルとして注目の1台です。 SLS AMG ロードスター SLS AMG ロードスターは、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルを手がけるメルセデスAMG初の専用モデルとして、開発されたスーパースポーツカーです。 メルセデス・ベンツの伝説的スポーツカー「300 SL ロードスター」のアイコンでもあるロングノーズ&ショートデッキを現代流にアレンジした圧倒的な存在感を放つスタイリングも魅力となっています。Zシェープに折りたたまれるファブリックソフトトップは11秒で開閉し、50km/hまでであれば走行中の操作も可能です。 特筆すべきは、571psのパワーを発生させるメルセデスAMG独自開発のハイパフォーマンスエンジン「M156」6.3L V型8気筒エンジンを搭載していることです。優れた性能を発揮するエンジンや軽量高剛性なアルミニウムスペースフレームボディ構造などにより、0-100km/h加速3.8秒、最高時速317km/h(電子リミッター作動)を実現しています。 メルセデスAMG C63 メルセデスAMG C63は、メルセデス・ベンツ CクラスをベースにメルセデスAMGがチューニングを施した高性能モデルです。扱いやすいボディサイズのCクラスにV型8気筒エンジンを搭載したC63は、スポーツカー並みのパフォーマンスを発揮しながらも、日常使いしやすいボディサイズとなっていることが特徴です。 V型8気筒エンジンを搭載するCクラスベースのAMGは、4代目(W205)までです。メルセデスAMGの優れたパフォーマンスを凝縮したV型8気筒エンジンを搭載するC63は、歴史に残る名車の1つといえるでしょう。 メルセデスAMGが向いている人 メルセデスAMGは、高性能でありながらメルセデス・ベンツらしい高級感を併せ持つ車です。 高級車に乗りたいという希望と高性能なスポーツモデルに乗りたいという要望を同時に叶えてくれるブランドであるため、高級スポーツカーを欲しい方におすすめのモデルといえるでしょう。 また、車のリセールを気にする方もメルセデスAMGがおすすめです。メルセデスAMGは、高性能で高級感がある車となっているため、リセールバリューがよい傾向がみられます。手放すときのリセールバリューがよい高性能高級車に乗りたい方もメルセデスAMGを検討するとよいでしょう。 まとめ メルセデスAMGは、高性能車に特化したメルセデス・ベンツのサブブランドです。ハイパフォーマンスでありながらラグジュアリーな世界観を持つメルセデスAMGは、高級車にも高性能モデルにも乗りたいという要望を同時に叶えてくれるブランドとなっています。メルセデスAMGは、1台でさまざまな側面を見せてくれる特異な車といえるでしょう。
小型大衆車でありながら、スポーツカー並みの動力性能を誇るマツダ ファミリア ロータリークーペ。コスモスポーツに続いて、量産型ロータリーエンジン搭載モデルに選ばれたのは、大衆車として地位を確立していたファミリアでした。 当時最高の技術で作られたスポーツエンジンと大衆車という意外な組み合わせですが、ファミリア ロータリークーペは欧州レースで活躍して高い実力を証明します。ファミリアにロータリーエンジンを搭載したマツダの思惑も含めて、当時を振り返ってみましょう。 世界2台目のロータリーエンジン搭載車は小型大衆車 ロータリーエンジンが搭載された世界初の量産車はコスモスポーツですが、次の搭載モデルとして選ばれたのが小型大衆車のファミリアでした。夢のエンジンとまでいわれた最新エンジンをいきなり大衆車に搭載するのは、一見不釣り合いで大胆な決断に思えます。しかし、ロータリーエンジンの普及を目指すマツダとしては、当然の選択だったのかもしれません。 まずは、ファミリア ロータリークーペが誕生した経緯を振り返ってみましょう。 ロータリゼーションへの第一歩はファミリアへの搭載 当時「ロータリゼーション」という言葉まで生み出して、マツダは実用化したロータリーエンジンの普及を目指していました。そして、コスモスポーツに続くロータリーエンジン搭載車として、1968年にファミリア ロータリークーペを発売。大衆車への搭載は、ロータリーエンジンをより身近に感じてもらう狙いがあったのではないしょうか。 ファミリア ロータリークーペは、1967年のフルモデルチェンジで登場した2代目ファミリアのラインナップに追加される形でその姿を現しました。しかし、実は開発当初、ロータリーエンジンの搭載予定はなかったといわれています。しかし、ロータリゼーションへの第一歩として、クーペタイプとしてレシプロエンジンを搭載する予定だったファミリア1200クーペのシャシーを流用し、大幅に強化してロータリーエンジンを搭載しました。なお、ファミリア ロータリークーペの発売から3ヶ月遅れて、レシプロエンジンを搭載したファミリア1200クーペも登場します。 小型車だからこそ恩恵が大きかった ロータリーエンジン最大の特徴は、小型軽量ながらハイパワーを生み出せることです。小型車のファミリアに搭載したことで、ロータリーエンジンのよさが最大限引き出されました。最高速度は180km/hに達し、0-400m加速はわずか16.4秒という俊足振りを発揮します。 ファミリア ロータリークーペのロータリーエンジンは、1ローターあたり491ccの2ローター式です。1Lにも満たないわずか982ccの排気量で、最高出力100ps、最大トルク13.5kgf・mを発生させます。さらに、軽量なファミリアのプラットフォームに搭載したことで、国内トップクラスの動力性能を実現しました。 レースでロータリーエンジンの信頼性をアピール ロータリーエンジンの耐久性能を世界にアピールしたいマツダは、欧州の長距離レースへの参戦を決めます。発売翌年の1969年に開催されたシンガポールGPでは、200psのレーシング仕様のファミリア ロータリークーペで見事優勝。どのメーカーも量産化にこぎつけられなかった、ロータリーエンジンの実力の高さを証明しました。 さらに、1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースには4台を出場させ、21時間目までトップを快走して速さを見せつけます。残念ながら残り3時間でエンジントラブルやアクシデントに見舞われたものの、残った1台は5位入賞。甲高いロータリーサウンドが、欧州のファンの心に印象強く残りました。 ロータリーエンジン以外にもこだわって開発されたファミリア ロータリークーペ ファミリア ロータリークーペの魅力は、ロータリーエンジン搭載モデルという点だけに留まりません。エンジンスペックを最大限発揮すべく、細部までこだわって開発されました。 また、スポーツモデルにふさわしく、内装もかなり作り込まれています。ここからは、ファミリア ロータリークーペのクルマとしての魅力を紹介します。 作り込まれたボディがハイパフォーマンスを後押し ファミリア ロータリークーペのボディは、風洞実験を重ねてデザインされています。わずか805kgという車重と空力特性に優れたスタイリングによって、2Lクラスに匹敵する加速性能を実現しました。また、高出力化に合わせてシャシー各部はもちろん、サスペンションやブレーキも強化されています。 ファミリア ロータリークーペに搭載されたロータリーエンジンは、コスモスポーツの同型の10A型だったものの、あくまでも大衆車という位置づけから使いやすさを重視した設計に変更されていました。最高出力は、コスモスポーツの128psから30%近くも低い100psにまでデチューンされています。しかし、最高速度180km/hを発揮する性能を維持しているのは、エンジン以外の部分も作り込まれていたからこそでしょう。 スポーティなT字型パネルが特別感を演出 ファミリア ロータリークーペは、スポーティーカーとしてベースモデルとは異なるインテリアに仕上げられていました。特徴的なのはT字型のインパネで、シフトノブまで一体となった大型のセンターコンソールがスポーティさを高めています。 センターコンソールには燃料計、油圧計、時計の3連メーター、さらにメーターパネルは大型の速度計と回転計が存在感をアピール。エアアウトレットにも円形のデザインを採用するなど、まさにスポーティ車にふさわしいインテリアデザインに仕上がっています。 高級車や特別仕様車に限らない旧車の魅力 ファミリア ロータリークーペは、最高級の内装や他車を寄せ付けないほどの動力性能を誇ったモデルではありませんが、世界で初めてマツダが量産化に成功した、ロータリーエンジンを搭載した大衆車というユニークなモデルです。 また、同等性能の日産 スカイライン2000GTよりも20%近く(当時の価格で16万円程度)安かったことを考えると、ファミリア ロータリークーペがいかに優秀なモデルだったかがわかります。 大衆でも世界唯一のエンジンを手にできたファミリア ロータリークーペは、スペックや内装の豪華さだけでは測れない価値のあるモデルです。発売から半世紀以上経過しているために中古車市場ではほとんど見かけませんが、興味をもった方はぜひ根気強く探してみてください。 一方、ファミリア ロータリークーペを売却する際は、必ず専門業者に相談することをおすすめします。歴史的価値の高い車種であることは間違いありませんが車格的には大衆モデルで、しかも流通量が少ないためノウハウの少ない中古車業者では正しく査定することが困難です。希少車の価値を正しく見極めてもらうには、旧車の買取実績の豊富な専門業者に依頼しましょう。
世界にわずか499台しか存在しない特別車、フェラーリ スクーデリア スパイダー 16M。フェラーリの運営するレーシングチーム「スクーデリア」の名を冠したモデルだけに、単なる特別車の域を超えて走行性能にもこだわって開発されました。 今回は、スクーデリア スパイダー 16Mが制作された理由も含めて、その魅力を徹底的に紹介します。 特別な2台を組み合わせたスクーデリア スパイダー 16M スクーデリア スパイダー 16Mはゼロから開発された新モデルではなく、販売台数限定の特別仕様車です。しかし、ただ記念エンブレムを貼り付けたとか、内装のカラーリングを変えたといったレベルではなく、究極の1台ともいえるほど作り込まれています。 F430スパイダーとスクーデリア 430を高次元で融合させて誕生した、スクーデリア スパイダー 16Mの開発背景を振り返っていきましょう。 フェラーリのコンストラクターズタイトル獲得記念モデル スクーデリア スパイダー 16Mは、2008年のF1シリーズでフェラーリがコンストラクターズタイトルを獲得したことを記念して制作されました。翌2009年に499台の限定モデルとして販売され、日本国内に正規輸入されたのはわずか50台のみといわれています。 ベース車輌はF430のオープンモデル、F430 スパイダー。徹底した風洞実験を行うなど、オープンボディながらオリジナルモデルと遜色ないほどに性能の高さを追求したモデルです。徹底的に作り込まれたクルマをベースにしていることからも、スクーデリア スパイダー M16にかける情熱の強さがうかがえます。 さらに、同じくF430をベースに製造されたスクーデリア 430のテクノロジーを組み込み、性能を飛躍的に向上させている点も大きな特徴です。まさに、記念モデルにふさわしい、フェラーリ究極のモデルといえます。 あのシューマッハが鍛え上げたスクーデリア 430 スクーデリア スパイダー 16Mの性能を大幅に向上させた要因は、スクーデリア 430の革新的な技術を数多く取り入れたことです。実際、スクーデリア スパイダー 16Mは、スクーデリア 430と同じく最高出力510psを発揮します。 スクーデリア 430は、直線で速いだけのただのハイパワーマシンではありません。技術革新の手を緩めることなく、どんなシチュエーションでも速く走れるように仕上げられています。例えば、F430に初めて搭載されたE-DIFF(電子制御デフ)に、F1-TRACと呼ばれるトラクションコントロールシステムを統合。E-DIFF2に進化させ、コーナー脱出速度を従来比で40%も向上させました。 そして、スクーデリア 430が特別なクルマである最大の理由は、F1で揺るぎない実績を残すミハエル・シューマッハが深く関わって開発されたことです。車のポテンシャルを最大限引き出すべく、テスト走行を重ねてスクーデリア 430を鍛え上げました。 これだけこだわって開発されたスクーデリア 430の技術が、スクーデリア スパイダー 16Mに惜しみなく投入されています。 フェラーリ史上最速で特別なオープンスポーツ とことん性能にこだわって開発されたスクーデリア スパイダー 16Mは、フェラーリ史上最速のオープンスポーツです。事実、フェラーリのテストコース「フィオラノ」で、「フェラーリのオープンスポーツ史上最速のラップタイムを刻んだ」と発表されています。 圧倒的な性能の影に隠れがちになってしまう記念モデルとしての魅力も含めて、スクーデリア スパイダー 16Mを紹介します。 オープンモデルなのに妥協のない高い走行性能 走る喜びや爽快感を目指すオープンモデルは、オリジナルモデルに比べて走行性能が犠牲になりがちです。しかし、スクーデリア スパイダー 16Mは、むしろ走行性能が最大の特徴といえるほど妥協せずに開発されています。 搭載エンジンは430 スパイダーと同型のV型8気筒DOHC4.3L自然吸気エンジンながら、各部の徹底的なチューンナップによって最高出力は510psを発揮。パワーアップの難しい自然吸気エンジンで、20psもの引き上げに成功したのは驚異的です。 また、オープンモデルはボディ剛性の問題から車重が重くなる傾向にありますが、オリジナルの430 スパイダーに対して80kgもの軽量化に成功。パワーウェイトレシオは2.0kgを達成し、停止状態から100km/hまでわずか3.7秒で到達します。 エンブレムが歴史的な偉業と希少性を主張 類まれな走行性能とF430譲りの外側からエンジンが見える独創的なデザインを兼ね備えたスクーデリア スパイダー 16Mは、記念モデルという側面を抜きにしても十分魅力的なクルマです。しかし、特別なモデルであることを象徴するエンブレムによってさらにその価値が高まります。 「F1 CONSTRUCTORS 16 2008 WORLD CHAMPIONSHIPS」と刻まれたリアのエンブレムが歴史的偉業を称え、センターコンソール上部の「16M SCUDERIA SPIDER LIMITED 499」が世界でわずか499台のみという希少性を主張。そして、ボディサイドには「16M SCUDERIA」のエンブレムが輝きます。 エンブレムが外観に大きな影響を与えるわけではありませんが、しっかりと作り込まれているモデルだからこそエンブレムがより魅力を高めてくれているのではないでしょうか。 希少性の高さから買取金額はF430の2倍以上 スクーデリア スパイダー 16Mははわずか50台しか正規輸入されていないため、中古車市場にはほとんど出回っていません。ベース車輌であるF430が2,500万円程度のところ、スクーデリア スパイダー 16Mは条件にもよりますが5,000万円を優に超えます。 希少性が高ければ価格も高いことは想像に難くないところですが、実はあまり流通していない車の価値を見極めて値段をつけるのは簡単ではありません。参考にできる流通実績がないため、販売まで考えた場合に買取価格をいくらにすれば妥当なのか判断ができないためです。 スクーデリア スパイダー 16Mのように、歴史的意味合いも含めて希少性のある車の価値を見極められる業者は決して多くありません。もし、歴史的価値の高い旧車の売却をお考えでしたら、専門業者としてのノウハウのある旧車王にご相談ください。
イギリス生まれの小型大衆車「ミニ」には、さまざまな名称があります。「ローバー ミニ」は、比較的多くの方が認識している呼び名の1つです。しかし、ミニ自体は40年に渡って作り続けられたため、ローバー ミニがどのモデルを指すのか理解があいまいになっている人も少なくありません。 そこで、ローバー ミニとはどのモデルなのか、ミニの歴史を振り返りながら解説します。 オリジナルモデルの最後を飾ったローバー ミニ ローバー ミニは、長年製造されたミニの最後の10年間に販売されていたモデルです。ローバー社が開発したクルマではないものの、オリジナルの個性をしっかりと受け継いでいたために「ローバー ミニ」として広く定着したのでしょう。 まずは、登場からローバー社への引き継ぎまでのミニの歴史を紹介します。 ミニはBMC社が生み出した空前のロングセラーモデル そもそもミニは、イギリスの老舗自動車メーカーBMC(ブリティッシュモーターカンパニー)より1959年に発売された小型大衆車です。その後、ローバー ミニの最終モデルが発売される1999年まで、実に40年間も基本的には同一モデルとして生産され続けました。 販売当初の名前は、「オースチン セブン」と「モーリス ミニマイナー」です。販売網の違いから2つの名称がありましたが、「ミニ」の名称に統一が図られてそれぞれ「オースチン ミニ」「モーリス ミニ」になりました。 ローバー社がミニを引き継ぐ 正確な経緯については確かな情報がありませんが、当時のBLMC社(旧BMC社)からローバー社が分離する際にミニを引き継いだといわれています。そして、1989年にローバー ミニとして販売を開始。 そして、1999年に最終モデルである40周年記念モデルを投入するまで、ローバー ミニとして販売され続けます。つまり、モデル最後の10年間を支え、ミニ40年の歴史を締めくくったのがローバー社(正確には1994年からBMW社傘下)だったのです。 精力的なモデル展開をしたローバー社 1959年に販売開始された当初から、ミニの基本的なデザインは変わっていません。しかし、新技術の開発や時代背景に合わせて、細かなモデルチェンジは行われています。 他社から引き継いだブランドではあったものの、ローバー社は1970年代から低迷していたミニの人気を復活させるべく、積極的な開発を行いました。日本人の声も影響した、ローバー ミニのモデルを紹介します。 日本人の声で名車ミニクーパーが復活 ローバーがミニを引き継いだ際、ラインナップのなかにクーパーはありませんでした。しかし、日本市場からの復活を求める熱烈な声がローバー社に届き、1991年にミニ クーパー1.3として再びラインナップに加わりました。 ミニの長い歴史のなかで、性能の高さを世界にアピールしたモデルが「クーパー」です。クーパーカンパニーというレーシングモデルを手掛ける企業が、オリジナルのミニを改良し、レースカーのベース車輌として、「クーパー」を販売していました。 なお、ローバー社がラインナップに復活させたミニ クーパー1.3のうち、発売年の1991年モデルのみがミニ クーパー唯一のキャブレーター仕様です。1992年以降は、全車インジェクション化されました。 ローバー ミニには多様なモデルが存在 ローバー社が最初に販売したモデルは、1989年に登場したミニ1000と呼ばれるE-99Xです。スペックの面では1.3Lのクーパーに劣るものの、軽快な走りで根強い人気を集めています。 さらに、1991年にはターボを搭載したERAターボというモデルも投入。1.3LエンジンにSUキャブレター+とギャレット製ターボを搭載し、最高出力はクーパー1.3よりも34psも高い95psにまで引き上げられました。 数多く流通しているのは1997年以降の最終モデル 日本国内で巻き起こったミニブーム、1997年の消費税引き上げによる駆け込み需要、さらに自社の残価設定型クレジットの導入によって、ローバー ミニは売上台数を伸ばしました。 その影響は根強く、最終モデルが販売終了して20年以上経過した現在でも、中古車市場に多くのローバー ミニが流通しています。特に流通台数が多いのは、1997年発売の最終モデルです。エアバックの追加やシート形状の変更、メッキメーターベゼルの採用など現代的な装備で人気を博しています。 しかし、比較的入手しやすいとはいえ、ローバー ミニやミニ1000は今から30年以上前に販売されていたモデルです。 売買する際には、古いクルマの価値を正しく理解している業者を介して取引することをおすすめします。特に売却時には、その真価を見極めるスキル・経験をもつ旧車専門の業者に査定を依頼しましょう。
仕事柄、クルマのイベントはプレス登録を行い、審査に通過するとプレスパスが発給される。 一般開催日よりも一足先に行われるプレスデーの日に会場へと足を踏み入れることができたり、つい最近まで某夢の国に存在していた"ファストパス"のような役目を果たしてくれるケースもある。 10代の頃、これが羨ましくて仕方なかった。何しろかつての東京モーターショーや、先日開催された東京オートサロンをはじめとするクルマのイベントを観に行くには「気合い」がいる。 ものすごい混雑のなか、どうにか気になるクルマを撮影し、列に並んでカタログを入手する。朝イチで会場入りして、そういえばお腹が空いたと思ったら夕方なんてこともあった。 時は流れ、何の因果か、いつの間にか仕事としてクルマのイベントに行くようになった。つまり「趣味ではなく、取材(仕事)として」だ。。 ■仕事としてクルマのイベントに赴くメリット・デメリットは? 筆者自身、若いときにうらやましいと感じていたことを実際に行うようになってみて気づいたことがある。それを下記にまとめてみた。 ●メリット・いち早く情報が得られる・いち早く実車が観られる・一般の人が立ち入れない場所の出入りが許される・プレスデーの出入りが許される・同業者の方との情報交換の場でもある ●デメリット・ゆっくり観ている時間と気持ちの余裕が(まったく)ない・会場内すべてを観る必要がある。それも何度も何度も・取材という任務という名のノルマを遂行しなければならない・プライベートでクルマを観て楽しむ時間がほぼない・多少体調が悪くても(コロナやインフルでない限り)意地でも現地に行く ■取材のあとは「原稿書き」というミッションが待ち受けている 仕事である以上、いわゆる「〜しなければならない」マストな用件が増える。そのなかには「原稿書き」という重要なミッションが含まれている。 メディアの編集部から依頼があり、「A社とB社とC社とD社の取材をお願いします。締め切りは3日後で」といった具合に取材するとなると、見る場所もピンポイントにならざるを得ない。 他には目もくれず、目指すブースに突撃する。カメラマンが同行する取材なら撮影はお任せ(指示出しは必要な場合も)だが、撮影と取材を1人でこなす「カメライター」として依頼された場合は両方をこなさなくてはならない。下手をするとこれだけで1日が終わってしまう。 ■一眼レフカメラ or スマートフォンでもなんとかなる!? それと、これはあまり知られていないかもしれないが、(こんなことをいうと一部の関係者から怒られそうだが)撮影に一眼レフカメラおよびミラーレス一眼レフカメラが必要かというと実はそうでもない。 もちろん、一眼レフカメラで撮影した方が微細に撮れる。このアドバンテージは絶対だと思う。しかし実際には、紙媒体のページ見開きに掲載するなら必須だが、最近のスマートフォンで撮影するだけでもそれなりに画になるし、ネット記事に使うのであれば解像度も問題ない。アプリやPhotoshopなどで補正できればなおさらだ。 では、なぜ一眼レフカメラで撮るのかというと、せっかくなら少しでもいい画で撮影して記事にしたいという取材者根性と、取材対象者への配慮もある。スマートフォンで撮影するというのもどうも失礼にあたるのではないかと考えてしまうのだ。これはオーナーインタビューのときも同じ。それといちど一眼レフカメラで撮影してしまうと元に戻れない。Canonでいうところの「Lレンズ(赤いリングがついているレンズ)」の再現性を知ってしまったらなおさら。画の力は重要だと思う。 ■結論としてクルマのイベントは「遊びとして行くに限る」 見出しにもあるとおり、クルマのイベントは「遊びとして行くに限る」というのが筆者の結論だ。 確かに、会場内は混んでいるし、駐車場の確保も一苦労だ。しかし、気の合う友人と一緒にあれこれクルマ談義しながら、気の赴くままに会場内を練り歩き、終わったあとの「反省会」も楽しい。公共交通機関で移動すれば、「反省会」の会場をファミレスから居酒屋に変更して飲み会として盛り上がることもできる。 一方で仕事となると、プレスルームで速報記事を書くことはもちろん、目前に迫る〆切にハラハラしながら画像の選別と原稿執筆に追われることになる。途中の飲み屋で軽く一杯…なんて時間はまずないし、その前に睡眠時間すらままならない。 いち早く会場内を観られることは確かに役得かもしれない。しかし、他愛のない話しをしながら、娯楽として行くに限るというのが両方の立場を経験した者としての結論だ。 こうして「趣味を仕事」にする醍醐味と苦悩の狭間で揺れ動きながら、締め切りに追われつつ原稿を書く日々を送ることになります。 [画像/Adobe Stock、ライター・撮影/松村透]
住所に変更があった場合、15日以内に車検証の住所変更をする必要があります。陸運局に出向く時間がないため、オンラインで車検証の住所変更をしたい方もいるでしょう。この記事では、オンラインで車検証の住所変更ができるワンストップサービス(OSS)の概要や、必要書類などについて紹介します。 オンラインで車検証の住所変更ができる「ワンストップサービス(OSS)」とは? ワンストップサービス(OSS)とは、自動車保有関係手続きをオンライン上で行えるサービスのことです。国土交通省が提供しており、サービスが開始された2005年当初は地域限定だったものの、現在では高知県を除く46都道府県で利用できます(※2024年1月時点)。 自動車販売店だけではなく一般の方も利用できます。また、24時間365日使えるため、忙しい方におすすめのサービスです。ただし、申請内容が受理されるのは平日9時〜16時頃までのため、すぐに手続きしたい場合は夜や土日祝日を避けるようにしましょう。 なお、今までどおり陸運局で車検証の住所変更を行うことも可能です。 OSSで手続きを行うメリット OSSで手続きすれば、引っ越し後に陸運局に出向く必要がありません。引っ越し後は転入届の提出やライフラインの変更などと、多くの手続きが必要なため、15日以内に陸運局へ出向けない方もいるでしょう。 OSSで手続きすれば、オンライン上で車検証の住所変更が完結するため、陸運局に出向く手間を省けます。 また、車検証の住所変更には住民票や引っ越し後の保管場所の車庫証明書も必要です。手続き時にマイナンバーカードを提示することで、住民票の添付を省略できるほか、車庫証明書の申請も同時に行えます。 OSSでできる手続き OSSでできる手続きは、以下のとおりです。 種類 説明 新車新規登録 一度も登録したことがない車の手続き 中古車新規登録 抹消した車の再登録の手続き 移転登録 所有者の名義変更手続き 変更登録 所有者の氏名や住所などに変更があった場合に行う手続き 一時抹消登録 一時的に車を抹消する際に行う手続き 永久抹消登録 廃車する際に行う手続き 移転一時抹消登録 所有者の名義変更&一時的に車を抹消登録する手続き 変更一時抹消登録 所有者の氏名や住所などの変更&一時的に車を抹消登録する手続き 継続検査 車検の有効期限が切れた後に引き続き車を使用する際に行う手続き 車検証の住所変更を行う場合は「変更登録」が該当します。変更登録は住所のほかに、婚姻により所有者や使用者の氏名に変更があった際にも行われます。 オンラインで車検証の住所変更をする方法 オンラインで車検証の住所変更をするには、手続きの条件を満たしたうえで必要な書類や物を準備する必要があります。続いて、オンラインで車検証の住所変更をする方法を紹介します。 OSSの利用条件 車検証の住所変更をオンラインで手続きするには、一定の条件を満たす必要があります。たとえば、手続きするクルマがレンタカーやタクシーの場合は、オンラインでの住所変更は行えません。オンラインで手続き可能かどうかは、こちらから簡易チェックができるため、事前に確認してみてください。 必要な準備 オンラインで車検証の住所変更をするには、以下を用意する必要があります。 1.車検証2.自動車保管場所証明申請書3.保管場所の所在図・配置図4.保管場所使用承諾証明書 ※保管場所が所有地の場合は「保管場所使用権原疎明書面」5.使用者の委任状 ※所有者と使用者が異なる場合6.希望番号予約票 ※希望ナンバーを申請した場合7.マイナンバーカード8.ICカードリーダー9.スキャナー ※必要書類を電子化する必要があるため 上記1〜6は、本来陸運局や警察署に提出が必要な書類です。窓口に提出しない代わりに、スキャナーで書類を端末に取り込み、画像として必要書類を添付します。スキャナーがない場合は、スマホで撮影したファイルでも書類の提出が可能です。 ただし、書類は100KB程度のJPEGファイルに電子化する必要があります。ファイルサイズが大きいと、画面の移動に時間がかかったり動作が不安定になったりするため、1024×768ピクセル程度で書類を電子化しましょう。 また、オンラインで車検証の住所変更をするには、以下の利用環境を満たす端末を用意しなければなりません。 ■OS・Windows8.1・Windows10・Windows11 ■ブラウザ・Microsoft Edg・Google Chrome・Internet Explorer※Internet Explorerは2022年6月10日以降利用不可 手続きの流れ 車検証の住所変更をオンラインで行う際の申請の流れは、以下のとおりです。 1.必要書類を準備する2.申請画面で必要事項を入力する3.受付審査時に必要書類を添付して提出する4.車庫証明の申請手数料を納付する5.保管場所の状況を審査してもらう6.車庫証明の交付手数料を納付する7.車庫証明のステッカーや控えを警察署で受け取る8.住所変更の手数料を納付する9.自動車税の税申告をする10.車検証とナンバープレートを陸運局で受け取る 変更後の車検証は、自宅に郵送してもらうことも可能です。ただし、以下を陸運局へ送付しなければなりません。 ・車検証のコピー・返送先の陸運局の郵送先を記入したレターパック 車庫証明のステッカーや控えも、同様に自宅まで郵送してくれる警察署もあります。地域によっては、直接出向いて受け取りに行く必要があるため、管轄の警察署に確認しましょう。 また、管轄の陸運局に変更がある場合は、新ナンバープレートが発行されます。本来、住所変更後すぐにナンバープレートを交換する必要があります。しかし、引越時の負担の軽減の一環として、次回の車検時に新ナンバープレートを受け取っても問題ありません。 たとえば、練馬区から足立区に引っ越した場合は、以下のように管轄の陸運局が異なるためナンバープレートを変更しなければなりません。 住所変更前:練馬自動車検査登録事務所住所変更後:足立自動車検査登録事務所 車検を自動車販売や整備工場へ依頼する際は、新ナンバープレートの受け取りが必要である旨を伝えましょう。 なお、住所変更する際に発生する手数料は以下の方法で、納付できます。 ・ATM・インターネットバンキング・キャッシュレス オンラインで車検証の住所変更をするのが向いている人・向いていない人 OSSは、手軽に車検証の住所変更ができるものの、操作方法や手続きの流れに対して不安に思う方もいるでしょう。続いて、オンラインと陸運局のどちらがよいかを解説します。 向いている人 OSSは、マイナンバーカードやICカードリーダーなど、手続きする際に必要なものをすでに持っている場合や、平日に陸運局へ出向けない人に向いています。 向いていない人 手続きの条件を満たしていない場合は、OSSで住所変更できません。特に、現時点でマイナンバーカードを所持していない場合は手続きを進められないため、陸運局で住所変更しましょう。マイナンバーカードは申請してから発行されるまで1ヶ月程度かかるため、住所変更の期限である15日を過ぎてしまいます。 また、OSSの操作手順は複雑なほか必要書類を電子化する必要もあるため、確実に手続きできるか不安に思う方もいるでしょう。OSSの操作手順や必要書類の電子化に不安がある場合は、陸運局に出向いて住所変更した方が確実に手続きができます。 なお、車検証の住所変更は自動車販売店や行政書士に、手続きの代行を依頼できます。代行費用が発生するものの、車の各種手続きに精通しているため、スムーズな手続きが可能です。住所に変更があってから15日以内に手続きできない場合は、各業者に代行を依頼することも検討してみてください。 まとめ オンライン上でクルマの各種手続きができる「ワンストップサービス(OSS)」を利用すれば、陸運局に出向かずに車検証の住所変更ができます。24時間365日使用できるため、忙しい方におすすめのサービスです。 ただし、オンラインで手続きするには、一定の条件を満たしていなければなりませんOSSは操作手順が複雑なため、陸運局に出向いて直接手続きしたほうが、確実に車検証の住所変更ができるケースもあります。 OSSに対して不安があり、15日以内に陸運局に出向けない場合は、自動車販売店や行政書士に車検証の住所変更を依頼しましょう。
1980年代から90年代にかけて盛んだった「テンロク」と呼ばれるスポーツカテゴリーのなかにあって、歴史に残る名機として現在も愛されるトヨタ 4A-Gエンジン。高回転まで気持ちよく吹け上がるレスポンスのよさが特徴の直列4気筒DOHCエンジンは正統に進化し続け、最終的には自然吸気エンジンながら1Lあたり100psを突破します。 今もなお注目され続けている名機4A-Gの歴史や、AE86へのスワップなどのチューニング事情を詳しく紹介します。 20年近くも作られ続けた4A-Gエンジン 4A-Gエンジンは、1983年の登場から2002年の搭載モデル販売終了まで実に20年近くも作られ続けました。また、単に製造年数が長いだけでなく、過給器搭載の派生モデルも生み出しつつ、最終型のAE111搭載4A-GEまで正統に進化し続けた魅力的なエンジンです。 AE86に搭載された4A-GEUから、4A-Gエンジンの歴史を振り返ってみましょう。 名車AE86搭載エンジンとしてデビュー 1983年発売の名車、AE86に搭載された4A-GEU型が4A-Gエンジンのデビューモデルでした。1.6L 直列4気筒 DOHC 4バルブというコンパクトサイズながら本格的な仕様で、最高出力は6,600rpmで130psを発揮。ターボエンジンや大排気量車のような絶対的パワーはないものの、高回転まで鋭く回る爽快感は多くのクルマファンを魅了しました。 4A-GEU型エンジンは、LASRE(Light-weight Advanced Super Response Engine)と呼ばれる、当時のトヨタが目指していた小型で高性能かつ高応答性を誇るエンジンの延長線上で開発。シリンダーヘッドはアルミ合金製で、バルブの駆動にロッカーアームを介さないシンプルな構造にするなど軽量かつ高耐久性、さらに高応答性を実現しました。7,700rpmのレブリミットまで、わずか0.78秒で到達するレスポンスの良さは絶大な支持を得ます。 また、AE86が発売された翌年の1984年には、AW11型MR2にも搭載されました。ミッドシップに横置きレイアウトされたため、スペックは同様ながら型式は横置きを意味する「L」が加えられ4A-GELUとなっています。 レビトレの世代交代ごとに進化 4A-GエンジンはAE86以降さまざまな車種に搭載されますが、基本的にレビン/トレノ(カローラ/スプリンター、以下レビトレと記載)の世代交代ごとに進化を遂げます。FFへのフルモデルチェンジを果たしたAE92では、横置きモデル4A-GELU型を搭載。続くAE92後期型では縦置きエンジンの生産終了とともに横置きを意味する「L」が外れて再び4A-GEU型と型式名が戻ったものの、スペックは大幅に進化します。9.4だった圧縮比は10.4にまで高められ、7,200rpmで最高出力140psを発揮しました。 さらに、続くAE101型レビトレでは、型式名を4A-GEと改めて5バルブ化を果たします。4連スロットルまで備えた「シルバーヘッド」と呼ばれるこのモデルで最高出力は160psにまで達し、自然吸気エンジンながら1L当たり100psの壁を突破しました。また、VVTと呼ばれる可変バルブタイミング機構で、弱点だった低中速回転域のトルクも底上げされています。 最終的には、AE111型レビトレではさらに高効率化を図り、1L当たり103ps以上となる最高出力165psを達成。「ブラックヘッド」と称され、4A-Gエンジンの最終形と呼べる進化を遂げました。 過給器搭載モデルもラインナップ 4A-Gエンジンには、スーパーチャージャーを搭載したモデルもラインナップされました。最初に登場したのは、1986年のAW11型MR2に搭載された4A-GZE型エンジンです。当時の自然吸気4A-GEU(及び4A-GELU)型の最高出力が130psだったところを145psまで引き上げ、しかも最大トルクは3.8kgf・m増の19.0kgf・mを発揮しました。 さらに、AE92型後期では165psを発揮し、スーパーチャージャーモデルの最終型AE101型に搭載された4A-GZE型では最高出力は170psにまで達しました。 チューニングベースエンジンとして最適 4A-Gエンジンは2002年に生産を終了しています。しかし、今もなお、ライトウェイトスポーツのカテゴリでは人気のエンジンです。また、エンジンとしての人気の高さからアフターパーツも豊富で、多くのユーザーがチューニングを楽しんでいます。 4A-Gエンジンが、現在どのような使われ方をしているのか紹介します。 最終型の5バルブ4A-GEをAE86にスワップ AE86の4A-GEU型エンジンを、AE111に搭載される最終型の4A-GE型にスワップするカスタマイズメニューが人気です。最高出力165psを誇る「ブラックヘッド」を搭載するだけで、軽量なAE86なら実際の出力以上のパワーアップを実感できます。 一方で、同型エンジンとはいえ、スワップはそれほど簡単ではありません。まず、AE111はFFのため横置きエンジンのため、縦置きで搭載するにはエキマニや各種パーツの調達が必要です。また、各種センサー類も異なるためコンピューターや配線などの移植も必要で、ある程度ノウハウのある専門業者でないと施工できません。 さらに、もともと130psでわずか15.2kgf・mというエンジンパワーに合わせた設計のため、165ps/16.5kgf・mという強大なパワーを受け止めるためにクラッチを始めとする駆動系の強化も必須です。 AE86人気で多くのアフターパーツが流通 4A-Gエンジン搭載車が販売終了してから、すでに20年以上が経過しています。しかし、AE86人気を背景に4A-Gは今でも現役エンジンとして使用されているため、エンジンのチューニングパーツが数多く流通しています。エンジンチューニングの定番カムシャフトやバルブスプリング、ピストン関連やコンロッド類まで一通りのパーツが入手可能です。 また、4A-Gを専門にチューニングを手掛けるショップも数多くあり、ノウハウも豊富に蓄積されています。最終型の4A-GEは、パーツの組み合わせとセッティング、条件によっては200psオーバーも十分に狙えるチューニングしがいのあるエンジンです。パーツの選択も含め、4A-Gエンジンをチューニングしたい場合は専門のショップを探してみましょう。 4A-GEエンジンへの評価から搭載車に一定の価値 トヨタ レビン/トレノは、AE86の人気が極端に高い反面、FF化されたAE92以降のモデルの評価はあまり高くありません。さらに、カローラ(スプリンター)セダンやスプリンターカリブなどのワゴン車だとクルマとしての評価は下がります。 しかし、名機4A-GEエンジンの人気が高いため、レビトレはもちろんほかの車種でも4A-G搭載グレードであれば思わぬ高値で売却できるかもしれません。また、エンジン自体が評価されているため、車体の傷や各部の劣化はあまり査定に響かないケースもあります。 ただし、エンジンも含めて、旧車の知識に長けた専門業者で査定してもらうことが重要です。
ドイツツーリングカー選手権(以下DTM)で連覇を成し遂げるなど、レース界で輝かしい戦績を残したメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションⅡ。500台限定の生産台数で、日本国内にはわずか50台しかないともいわれる希少車です。 インパクトのある見た目と名門コスワースによるチューニングエンジンによる高い性能から、憧れる人が後を絶たない190E 2.5-16 エボリューションⅡの歴史と魅力を振り返ってみましょう。 DTMを席巻した190E 2.5-16 エボリューションⅡ メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIは、1990年のDTM投入翌年の1991年には、ドライバーズランキングこそ2位だったもののマニュファクチャラーズタイトルを早くも獲得します。さらに、翌年にはマニュファクチャラーズタイトル連覇と念願のドライバーズタイトルも手中に収め、圧倒的な強さを見せつけました。 日本国内でも多くの人に愛されたベース車輌の190Eについて解説するとともに、メルセデス・ベンツのレースにかける思いを詳しく紹介します。 ベース車輌は赤坂サニー ベース車輌の190Eは、特別希少価値の高いクルマではありませんでした。メルセデス最小という位置づけの、どちらかというと大衆向けの車種です。バブル景気を背景に高級車が売れた当時の日本では、「六本木のカローラ」と呼ばれたBMW E30と並んでメルセデス 190Eは「小ベンツ」「赤坂のサニー」と呼ばれるほどよく目にするクルマでした。 一方で、車としての質感はさすがメルセデス・ベンツといった仕上がりで、燃費や油量に加えて時計まで一望できる3連メーターやゲート式シフトレバーなどは上級車種と共通のスタイルを採用。シートをはじめとする内装にも、メルセデス・ベンツ特有の高級感のあるデザインが施されていました。 勝つためだけに製造された限定500台 190E 2.5-16 エボリューションⅡは、わずか500台しか生産されませんでした。当時のDTMに参戦するためのホモロゲーションを取得するために、市販車としての最低生産台数が500台だったためです。つまり、190E 2.5-16 エボリューションⅡは、モデルとしての商業的成功ではなくレースで勝つためだけに販売されました。 また、190E 2.5-16V エボリューションⅡが作られる前に、同じく2.5L 直列4気筒16バルブエンジンをベースに190E 2.5-16 エボリューション(通称:190E 2.5-16 Evo. I)が1989年に製造されていました。エンジンはチューニングされていたものの、外観的にはタイヤを太くしたことに伴うオーバーフェンダーの装着程度でベース車輌とあまり変わらず、レースでも苦戦を強いられます。 そこで翌年の1990年に投入されたのが、エンジンだけでなく外観にも大幅に手を入れた190E 2.5-16 エボリューションⅡです。500台の限定生産を2年続けてクリアしたあたりに、メルセデスがレースにかける思いがいかに強かったのかが伺い知れます。 空力性能を追い求めた迫力の外観 190E 2.5-16 エボリューションⅡの外観で真っ先に目につくのは、大型のリアウィングです。しかも、見た目だけの装備ではありません。重量増を抑えるためにアルミ合金製となっていて、しっかりとダウンフォースを稼ぎます。 また、大きく張り出したオーバーフェンダーやフロントリップスポイラー、サイドスポイラーと迫力のエアロパーツが特徴的です。この時代のベンツらしく角目で直線基調のボディラインということもあって、圧倒的な存在感と迫力を感じます。 突き詰められたチューニングエンジン 190E 2.5-16 エボリューションⅡのエンジンは、イギリスの名門エンジンメーカーコスワースの手によってとことんチューニングされています。カムシャフトやバルブ、ピストンといった各部には専用部品が用意され、クランクシャフトの重量にまでこだわって設計されました。 軽量な190Eには十分過ぎる235psを販売モデルで発揮。さらに、レース用エンジンでは375psまで高められていたようです。 手抜きのないインテリア レース参戦のホモローゲーション取得のために製造された190E 2.5-16 エボリューションⅡですが、内装面でもまったく手抜きはありません。上質で落ち着いたメルセデスらしい質感とともに、各種装備も充実していました。パワーウィンドウやエアコン、エアバッグ等を備え、4人乗りセダンとして普段使いできる仕様に仕上げられています。 整然と並んだメーターパネルや重厚なドアパネルによって、レースカーとは思えないほどの高級感が与えられています。 3,000万円を超える価格が証明する価値 190E 2.5-16 エボリューションⅡは、ほとんど市場に出回ることはありません。しかし、店頭に並ぶとほぼ確実に3,000万円を超える価格がつけられます。すでに30年以上前のモデルにはなりますが、メルセデス・ベンツがこだわって開発したことと希少性から、その評価は今後も衰えることはないでしょう。 一方で、希少性の高い車の価値を正しく見極めるのは大変困難です。ほとんど流通してない車だと、査定の参考になる価格もありません。歴史的な意味合いも含めて、クルマのもつ本当の価値を理解した価格をつけられるのは旧車王のように専門的に取り扱っている業者だけです。
ホンダ初の小型乗用車の追加モデルとして登場したホンダ 1300 クーペは、1970年からわずか2年しか生産されませんでした。しかし、世界初の方式を採用した空冷エンジンや創業者の引退といった逸話も生まれるなどホンダの歴史において重要な1台です。 近年その価値が再評価されつつある、ホンダ 1300 クーペの歴史を紐解いていきましょう。 ホンダ初の小型乗用車は歴史的な1台になった ホンダ 1300は、二輪車と軽自動車の製造を続けてきたホンダが初めて販売した小型乗用車です。1968年の東京モーターショーで発表され、翌年の1969年にまずはセダンタイプを発売。さらに、翌1970年には2ドアクーペが追加されます。 2ドアクーペは内外装ともに専用設計されたパーツが盛り込まれたスポーティーカーで、ホンダ 1300の高い性能を象徴するモデルでした。 画期的な空冷システムを搭載 ホンダ 1300最大の特徴は、DDAC(Duo Dyna Air Cooling system)と名付けられた画期的な空冷エンジンを採用したことです。冷却効率を高めるためにシリンダーブロックの外壁を二重構造にするという、空冷エンジンへのホンダの挑戦でした。 通常の空冷システムは、エンジン外側に風を当てて冷やします。しかし、DDACエンジンは、さらに二重構造の内側に設けた空気の通り道に、冷却ファンで強制的に空気を送り込んで内外から冷やすという独創的な発想の空冷エンジンでした。 しかし、冷却性能を優先して複雑な構造としたことで、水冷エンジンの強みである軽量さが完全にスポイルされてしまうという大きな欠点がありました。結果的に、水冷化するきっかけになり、ホンダ最後の4輪用空冷エンジンという皮肉な側面も持ち合わせています。 ニーズに合わせた細かいグレード設定 グレード展開の豊富さからも、1300がホンダにとって重要な車種だったことがうかがい知れます。まず、シングルキャブレターの「ホンダ 1300 クーペ7」と4キャブレターの「ホンダ 1300 クーペ9」という2車種をラインナップ。さらに、クーペ7は「スタンダード」「デラックス」「カスタム」「S」、クーペ9は「デラックス」「カスタム」「S」のグレードに分かれ、クーペだけで合計7モデルも存在していました。 ユーザーの嗜好性に合わせたラインナップの広さは、車が単なる移動手段ではなくなってきていた時代背景を色濃く反映しています。 販売台数は思うように伸びなかった ホンダ 1300の販売台数は月間3,000台程度と当初伸び悩んだものの、クーペの追加によって5,000台まで引き上げられます。当時は月間5,000台を超える販売台数を記録する車種は限られていて、決して悪いというほどの数字ではありませんでした。 一方で、小型車開発で先行するトヨタ カローラや日産 サニーは月間1万台以上を販売しており、マツダ ファミリアでも8,000台だったためか、ホンダ内では販売不振という評価だったようです。 結果的に本田宗一郎を引退に追い込んだ ホンダ創業者の本田宗一郎氏らしい独創的な空冷エンジンDDACでしたが、皮肉にも同氏を経営の一線から退けるきっかけにもなりました。販売台数の伸び悩みに呼応するように、1970年頃にホンダ技術者は水冷エンジンへの転換を主張し、空冷へのこだわりをみせる本田氏と真っ向から対立。後にホンダの3代目社長に就任する久米是志氏が辞表を出すほどにまで、社内での議論は加熱したようです。 そこで、設立以来共に経営を担ってきた副社長の藤沢武夫氏が「あなたは社長なのか技術者なのか、どちらなんだ?」と本田氏に問いただします。結局、盟友藤沢氏の説得に本田氏は折れ、ついに水冷エンジンへの転換が図られました。1973年に藤沢氏と同時に引退をした本田氏ですが、空冷水冷問題が決定打だったといわれています。 販売不振でも魅力たっぷりのホンダ 1300 クーペ 販売不振で早期に生産終了を迎えたホンダ 1300 クーペですが、今振り返ると実はかなり魅力的なクルマです。社内でのエンジン論争が引退のきっかけにはなったものの、本田宗一郎氏のこだわりが詰まっていることが伝わってきます。 ホンダ 1300 クーペの魅力はたくさんありますが、特徴的な2点に絞って紹介します。 流麗なボディライン ホンダ 1300 クーペ最大の魅力は、複雑な曲線の組み合わせによる流麗なボディラインです。また、小型車ながらマッスルカーを思わせる精悍なフロントマスクも、他車との違いを主張しています。 しかも、ただデザイン性が高いだけでなく性能面の向上を図った結果だったからこそ、余計に美しさを感じるのかもしれません。空気力学に基づいて設計された複雑な曲線は、超大型のプレス鋼板でモノコック構造を実現。空力とボディ剛性両面で、スポーツモデルにふさわしい性能に仕上げられています。 機能性と豪華さを兼ね備えたコックピット 「フライトコックピット」と呼ばれるドライバーズシートも、ホンダ 1300 クーペの特徴です。立体成形されたインパネによって大型メーターやスイッチ類がすべてドライバーに向けて配置され、スポーツカーらしい操作性と豪華さを演出しています。 また、スペシャルティとしての性格を明確するため、内装全体もセダンから一新されました。 ホンダ 1300は価値が見直されつつある旧車 旧車の魅力は、絶対的な性能の高さだけではありません。現代の車にはないボディラインや独創的な装備、さらに背景にあるストーリーなどさまざまな要素が旧車の価値を決定づけます。大衆車とは一線を画すスポーティーな外観にDDACという個性あふれる空冷エンジン、さらに本田宗一郎氏の引退のきっかけにもなったというストーリー性と、まさにホンダ 1300 クーペは旧車ならではの魅力のつまった1台です。 また、そもそも販売期間がわずか2年ほどと短かったうえ、販売台数も伸び悩んでいたことから中古車市場に出回る台数は限られています。しかも、生産終了からでもすでに50年以上が経過し、希少性が高まっていることも評価が見直されつつある要因の1つです。 ホンダ 1300を売買されたい方は、新車販売当時の評価ではなく旧車としての正しい価値のわかる専門業者に相談することをおすすめします。
現在ミニカー業界でもっとも勢いのあるカテゴリーが、1/64サイズのミニカー。 今や1/43ミニカーや1/18ミニカーを上回る勢いで、各社から新製品が続々登場している。 そこで今回は、1/64サイズのミニカーが主流となってきた歴史的な背景と、人気の理由について掘り下げてみたい。 ■拡大を続ける1/64ミニカー ミニカーといえば、ひと昔前はミニカーの標準スケールとなる1/43製品が主流だった。 そのあとは1/18スケールの製品が数多く発売されるようになり、大きなスケールのミニカーが数多く見られるようになった。 しかしここ数年は1/64サイズのミニカーが急速に勢力を拡大。 逆に1/43スケールのミニカーは新製品が減り、少し前まで元気のあった1/18スケール製品も現在は以前のような勢いは見られなくなっている。 ■1/64ミニカーが好調なワケとは? このようなミニカーのトレンドにはいくつか原因がある。 まず大きな理由として挙げられるのが価格面での優位性。 原材料や人件費の高騰、それに円安に伴い、ミニカー全体の価格上昇が止まらない状況になった。 そのため、1/43ミニカーは今や1万円前後のものが多く、気軽に買えるようなアイテムではなくなっている。 ましてや、1/18ミニカーになると1万円を超えてくるものがほとんどなので、欲しくても手が出せないという状況になってきた。 以前のようにひとつの車種でカラーバリエーションを揃えたり、F1マシンをドライバー違いで揃えるようなミニカーコレクションの楽しみが難しくなってきたのだ。 一方、1/64サイズのミニカーであれば千円以下で買えるアイテムもある。 もちろん単価が安ければ多くのアイテムを購入できるわけで、カラーバリエーションなどの仕様違いも追いかけられる。 1/64サイズのミニカーにはまだミニカーコレクションの醍醐味が残っているのだ。 もうひとつの大きな理由は、1/43や1/18スケールでは、製品化すべき車種がほぼ出尽くしてしまったこと。 人気車種のほとんどが製品化され、複数のメーカーが同じ車種を同スケールで製品化することも珍しいことではなくなった。 そのため、従来とは違うスケールで製品化する必要が出てきたのだ。 お気に入りの車種は、すでに1/43や1/18スケールのミニカーで持っている場合が多い。 しかし、新たに1/64サイズのミニカーが発売されれば、買ってしまうのがミニカーファンというもの。 そういった意味では、1/64サイズのミニカーはまだまだ開拓の余地があるといえる。 しかも近年の1/64サイズミニカーはクオリティの高い製品が多い。 1/43スケール並みの再現度を誇る製品はもはや当たり前。 なかにはボンネットやドアが開閉するフルディテール製品もあり、そのクオリティには度肝を抜かれる。 一切の妥協を廃した精緻な出来の製品も少なくないので、もはや1/64サイズのミニカーに「安かろう悪かろう」という言葉は通用しない。 もうひとつ重要なのは、サイズが手頃ということ。 1/64サイズのミニカーはだいたい6cmから8cm前後のものが多いので、パッケージに入った状態でもさほど保管場所に困らないというメリットがある。 逆にいえば1/18ミニカーは高価でパッケージも大きく、収納場所があっという間に埋まってしまうのがネックだった。 1/64サイズのミニカーは、手軽な価格でコレクションが楽しめ、なおかつ収納場所にも余裕があるのでありがたい。 ミニカーコレクターにとっては最後の楽園というべき存在だ。 ■実は昔からあった1/64サイズ そんな1/64サイズのミニカーは、実は昔からさまざまなブランドが存在していた。 日本のトミカやアメリカのホットウィール、フランスのマジョレットなどの手のひらサイズのミニカーがそれに当たる。 それらは1/64スケールという縮尺ではなく、パッケージサイズに合わせてスケールが決まっている。 そのため、必ずしも1/64スケールであるわけではなく「3インチミニカー」と呼ばれることもある。 ただ、その多くは1/64スケールに近い大きさで、実は子どもの頃から親しんでいた身近な存在であることが分かる。 ■日本の1/64サイズミニカー 1970年に誕生したトミカは、日本を代表する手のひらサイズのミニカー。 「黒箱」と呼ばれる初期の日本車から「青箱」と呼ばれるトミカ外国車シリーズを経て、現在は「赤箱」と呼ばれる製品が販売されている。 トミカで厳密に1/64スケールとなっているものは少なく、例えば1/62など微妙に縮尺が異なる場合がほとんど。 そのため厳密に1/64スケールにこだわるならセレクトから外れてしまうのが難点。 とはいえ、大人の鑑賞に堪える派生アイテムも多数展開されている。 2001年に発売された「トミカリミテッド」は、トミカのボディはそのままに、各部に彩色を施し、さらにゴム製のタイヤと新規製作によるホイールを装着したハイグレード製品。 現在はシリーズ自体がディスコンになってしまったが、その後継といえる「トミカプレミアム」が2015年に誕生した。 こちらはトミカシリーズとは別のオリジナル金型を使用していて、トミカでは発売されないようなネオクラシックのモデルなども発売。 ミニカーファンのみならず、クルマ好きの間で話題となるような車種も多数製品化されている。 「もしトミカが昭和30年代に誕生していたら」というコンセプトで2004年に誕生したのが、トミーテックが発売する「トミカリミテッドヴィンテージ」。 各製品はボディの大きさに関わらず1/64スケールで統一。 懐かしい国産車を中心にラインアップを広げている。 再生産をしないため、プレ値で取引されるアイテムも少なくない。 そして2006年に発売されたのが「トミカリミテッドヴィンテージNEO」。 こちらは1970年代以降に登場した国産車および輸入車を製品化したもの。 フェラーリやレーシングマシンなどはエンジンルームも再現されていて、世界的にもトップクラスの再現度を誇っている。 さらに2010年からは「トミカラマヴィンテージ」も発売。 トミカリミテッドヴィンテージのミニカーと併せて楽しめるジオラマ製品として話題となった。 トミーテックはさらに「トミカラマヴィンテージ」の新作として、高速道路を発表。 2024年2月の発売とされている。 複数の製品を組みわせることで都市部の高速道路を再現できるこの製品は、これまでミニカー関連商品の常識を覆す超大作で、その勢いは止まるところを知らない。 日本のメーカーとしてはもっとも多くの1/64ミニカーを輩出している京商。 サークルKサンクス限定で販売された1/64ミニカーは、高品質と低価格を両立したシリーズとして大好評となった。 かつては精緻な出来の「ビーズコレクション」なども展開。 現在もさまざまな企画で1/64ミニカーをリリースしている。 アオシマの「1/64 ニッサン パイクカーコレクション」は、ボディカラーが分からないブラインドトイとして発売されている製品。 880円という低価格なので、運試しに買ってみるのも面白い。 書店でも1/64ミニカーを買うことができる。 デアゴスティーニの「日本の名車コレクション」は、文字通り日本の名車を1/64ミニカーで再現したシリーズ。 1/64スケールでは表現が難しいフェンダーミラーも、別付けではなく取り付けた状態で再現するなど、精巧なつくりを特徴としている。 ■海外の1/64サイズミニカー 海外メーカーにも1/64サイズのミニカーがたくさんある。 特に最近は香港と中国のメーカーが積極的に参入し、さまざまなミニカーが発売されている。 すべてをご紹介するのは難しいので、その中からいくつかピックアップしてみた。 アメリカ製のミニカーは、ホットウィールで世界を席巻したことでも知られるように、昔から手のひらサイズの製品がたくさん作られている。 発祥はイギリスだが、ホットウィールと同じアメリカのマテル社が展開するマッチボックスは、昔から手のひらサイズのミニカーを展開している老舗ブランド。 ベイシック系からコレクター系までさまざまなアソートがあり、日本未入荷品も少なくない。 コレクション沼にハマってしまいがちなアイテムだ。 アメリカには、写真のジョニーライトニングをはじめとする1/64スケールのミニカーブランドが存在する。 アメリカ以外のメーカーでは製品化されないようなマニアックなアメリカ車もあるので、アメ車好きにはたまらない。 欧州のメーカーは、昔から3インチサイズのミニカーを発売してきた。 なかでもフランスのマジョレットは老舗とも言える存在。 日本では製菓会社のカバヤと共同で新作ミニカーを発売している。 スーパーで手軽に手に入るミニカーとしても貴重な存在だ。 ひと昔前は、100円ショップでもマイスト製などの1/64サイズのミニカーを販売していた。 出来はそれなりだが、トミカよりはるかに安い100円でミニカーが買えるという唯一無二の存在だった。 トイザらスのオリジナルミニカーブランドとして発売されているスピードシティは、現在もっとも手軽に入手できるミニカー。 1/60スケールで249円という低価格が最大の魅力。 売れ線のスポーツカーだけでなく、アウディ・スポーツ クワトロのようなマニアックな車種もラインアップされている。 シトロエン、プジョー、ルノーなどは、純正コレクションとして3インチミニカーを発売している。 1000円以下で買える気軽さとカラーバリエーションの豊富さは、純正品ならではの魅力だ。 ドイツのメーカーは、鉄道模型のHOゲージに相当する1/87スケールの製品が多く、1/64スケールはこれまでマイナーな存在だった。 1990年代につくられたミニチャンプス製の1/64ミニカー「マイクロチャンプス」は、当時人気だったDTMマシンなどをラインアップしていた。 しかし、販売が振るわずディスコンになってしまった。 ミニチャンプスでは「マイクロチャンプス」の失敗の後も「ミニチャンプス 64」ブランドで再び1/64ミニカーに参入した。 ミニチャンプスと同じようなシャープな出来栄えだったが、このシリーズも残念ながら失敗。 短命に終わってしまった。 中国や香港などのメーカーが生産する近年の1/64ミニカーは、非常にクオリティの高い製品が多い。 ターマックワークス製のミニカーは、レースカーやラリーカーのラインアップが豊富で、日本人好みの車種も数多く発売されている。 香港のTSM-Modelが展開する1/64ミニカーのブランドが「MINI GT」。 高品質とリーズナブルな価格を両立しているため人気が高い。 高品質なミニカーをリリースするメイクアップでは「Titan 64」のブランド名で高品質な1/64ミニカーを発売している。 1/43や1/18ミニカーと変わらない入念な仕上げが特徴で、究極的な完成度の高さを見せる。 その代わり価格は1万円を超えるので、良くも悪くも1/64ミニカーを超越した存在だ。 このように、1/64サイズのミニカーはさまざまなアイテムが揃っている。 厳密に1/64スケールにこだわるかどうかはその人次第だが、対象を絞り込んだとしてもバリエーション豊かなミニカーコレクションになることは間違いない。 手のひらサイズのミニカーはやはり奥が深い。 [ライター・画像 / 北沢 剛司]