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こんにちは!西尾菜々実です。 今回は、ドイツ在住の筆者の視点で「ドイツにおけるガソリンの価格事情」、そして「EVのニーズ」についてご紹介いたします。 ■ドイツでのガソリンの価格変動についての考察 ドイツではどのようにガソリンの価格が決められるのでしょうか? 筆者自身、昨年の夏からドイツへと移住しました。 それから1年以上が経過した現在、当時よりもガソリンの価格が高騰しています。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ドイツをはじめとするヨーロッパ全体で、内燃機関のクルマからEVへの置き換えの動きが加速しています。 それと当時に、環境に配慮した代替燃料への置き換えも進みつつあります。 ドイツはヨーロッパ各国と隣接していることもあり、他国からのエネルギー資源の供給を受けやすい位置にあります。 そんなドイツですら、ガソリンの価格をはじめ、光熱費も上昇傾向にあるのです。 ドイツ各地においてガソリン車とEVの比率が異なる事情もあり、ハイブリッド車が多い地域や県ではもとより、経済的な変動や時事的な環境によってガソリンの値段の変動が起こりやすいのです。 さらに、ヨーロッパでは他国からのガソリンの輸入が行われているため、近隣国との関係が価格にも影響を及ぼします。 ■ドイツにおけるガソリンの値段が高めな地域とは? 筆者がドイツ国内で気づいたことがあります。 同じ県内でも日本円にして1000円近い価格差があるガソリンスタンドを見掛けたことがあるのです。 基本的に、街や都市の中心部ではガソリンの価格は高め、郊外の方が安い傾向にあります。 このあたりは日本とあまり変わらないように感じます。 ■ドイツではどのようにEVが親しまれているのか? 「eオート」と呼ばれ親しまれているEV車。 ここドイツでは、ガソリンスタンドの敷地内にEV用の充電スタンドが置かれているケースはほとんどありません。 むしろ、スーパーや日用雑貨店の方が多い印象です。 買い物のついでに充電してください、ということなのだと推察します。 筆者が暮らす地域でも、EVが充電可能であることを示すマークが路上に描かれており、かわいらしい印象を受けました。 ■EVのニーズはどのように反映されるのか? ドイツではEVの導入について目標値が掲げられていることもあり、目にする機会も多い印象です。 古いクルマがEVに改造され、雑誌に掲載されるケースも増えつつあります。 旧東ドイツ製のトラバントがEVにコンバートされた例もあるほどです。 また、EVの商用利用が広がりつつあり、配達用の小型EVをはじめ、多種多様になりつつあるようです。 ■広がりを見せるドイツにおけるEVのニーズ 最新のEVをはじめ、クラシックカーをEVにコンバートしたり、デリバリーバンなどの配達用の小型EVなど、人々の生活に確実にEVが浸透しつつあることを日々実感しています。 これからもEV事情など、ドイツに暮らしているからこそお伝えできる情報を発信していきたいと思います。 [ライター・画像 / 西尾 菜々実]
道路を走行するには、必ずナンバープレートを取り付けなければなりません。さまざまな情報が記載されているため、第三者に個人情報が知られてしまわないか気になる方もいるでしょう。この記事では、ナンバープレートで個人を識別できるかどうかや、特定できる情報などを解説します。 ナンバープレートの記載内容 ナンバープレートの記載内容は、以下のとおりです。 地名 ナンバープレートには、クルマを登録している「運輸支局」や「自動車検査登録事務所」の所在地の地名が記載されています。たとえば、東京運輸支局で車を登録すると「品川」神奈川運輸支局の場合は「横浜」と、それぞれの地域によって区別されています。 2006年10月からは「ご当地ナンバー」が導入されたため、運輸支局や自動車検査登録事務所の所在地以外の地名が記載されているケースもあります。世田谷区に住んでいる場合、東京運輸支局で車を登録する必要があるため、本来であれば品川ナンバーが付与されます。ご当地ナンバーを申請すれば「世田谷」と記載されたナンバープレートを発行してもらうことも可能です。 分類番号 地名の隣の3桁の数字は、クルマの種類や用途を区別する分類番号です。たとえば、普通乗用車は「3ナンバー」、小型乗用車や軽自動車は「5ナンバー」と区別されています。 ひらがな ひらがなはクルマの用途を区別するためにあり、自家用車やレンタカー、事業用車両なのかを判別できます。 一連指定番号 一連指定番号とは、1〜9999までの4桁以下の数字のことです。4桁以下の数字は登録時にランダムで与えられます。ただし、「希望ナンバー」を申請すれば、好きな数字を自由に設定できます。 そもそも個人情報とは 個人情報とは、氏名や顔写真など生存している個人に関する情報です。生年月日や住所など、2つ以上の情報を組み合わせて、特定の個人を識別できるものも個人情報に含まれます。たとえば、「中村」や「鈴木」では識別できませんが、名前や住所などを組み合わせると、個人を特定できるため個人情報に該当します。また、運転免許証やパスポートなどの「個人識別番号」が含まれたものも個人情報です。 ナンバープレートからは、所有者を識別できる情報を得られないため、個人情報には含まれません。ただし、車検証や注文書には氏名や住所などが記載されているため、個人情報に該当します。 参考:日本自動車整備振興会連合会公式Webサイト「個人情報保護法Q&A」 ナンバープレートから個人情報は特定できる? クルマのナンバープレートから個人情報を特定することは可能です。ただし、正当な理由がなければ情報の開示ができないため、単に「所有者を知りたいからクルマに関する個人情報を開示してください」と請求しても断られるでしょう。 もし、ナンバープレートを元に個人情報を開示してもらわなければならない理由があるときは、「登録事項等証明書」を運輸支局に請求することで開示されます。 登録事項等証明書は、車の登録内容が記載されている書類です。車検証と同様の情報が記載されており、所有者の名前や住所、使用の本拠地などを特定できます。運輸支局内で入手できる「手数料納付書」と「OCR申請書(第3号様式)」を記入し、以下を窓口へ提示すれば発行してもらうことが可能です。 ・ナンバープレートの記載内容・車体番号下7桁・本人確認書類・請求理由 登録事項等証明書は、所有者に限らず誰でも請求できます。そのため、悪用される可能性がゼロではありません。 たとえば、自分の私有地に停められている放置車輌によって迷惑しているなど、個人情報を開示する正当な理由があると客観的に判断される場合は、第三者であってもクルマに関する個人情報を開示してもらうことができるでしょう。 ただし、実際には迷惑駐車がないのにそのように請求事由を記載することで、不正に取得される可能性があります。 なお、軽自動車の場合は登録事項等証明書ではなく「検査記録事項等証明書」を請求すれば、クルマの情報を確認できます。検査記録事項等証明書は、車検証に記載されている所有者しか請求できないため、紛失しない限り個人情報は特定されることはないでしょう ナンバープレートからわかる個人情報 ナンバープレートからは、クルマを登録している地域しか特定できません。ただし、クルマを登録している地域に加えて、他の情報と組み合わせた場合は個人情報が特定される可能性があります。 たとえば、よく利用している洗車場で洗車後の愛車の写真をSNSにアップしたときや、職場の制服を着た所有者も写り込んでいる場合などです。所有者の行動範囲や住んでいるおおよその地域、職場を特定される可能性があります。 ナンバープレートだけでは個人を識別できないものの、他の情報が加わると個人情報を特定される可能性があるため注意しましょう。 なお、警察署ではナンバープレートの記載内容を照会すると、所有者を特定できるシステムを保有しています。事件性がある場合に限り、ナンバープレートから所有者を特定します。 クルマをSNSにアップするときはナンバープレートを隠した方がよい クルマをSNSにアップするときは、ナンバープレートを隠したほうがよいでしょう。ナンバープレートには地名が記載されているため、他の情報が加われば住んでいるおおよその地域を特定される可能性があります。自分のクルマだけではなく、他人のクルマが写り込んだ場合にも、ナンバープレートを隠しクルマの持ち主に承諾を得たうえでアップするとトラブルに発展しにくいです。 現に、個人情報を保護する観点から「Googleのストリートビュー」に写っている車のナンバーには、ぼかしが入っています。建物や風景なども同時に写してSNSに写真をアップした場合は、ナンバープレートにスタンプやぼかしを入れて隠してから投稿しましょう。 まとめ ナンバープレートでは、個人を特定できる情報は得られないため、個人情報に該当しません。また、所有者の氏名や住所などが記載されている「登録事項等証明書」は、車体番号下7桁の明示や正当な請求理由が求められるため、第三者には容易に取得できません。 ただし、ナンバープレートからはクルマを登録している地域がわかるため、他の情報が加わった場合は個人情報を特定される可能性があります。SNSに車の写真をアップする場合は、ナンバープレートをスタンプで加工したり、ぼかしを入れたりして個人情報の流失を防止しましょう。
「人とは違う車に乗れる」「現在の車にはないスタイリング」など多くの魅力が詰まった旧車。しかし、旧車を保有するには、現行車にはない特有の苦労もあります。旧車に乗る際は、魅力だけではなくリスクも十分検討することが重要です。 そこで、オーナーを悩ませる旧車所有の苦労を紹介します。少しでも苦労をなくすためのポイントも紹介しているため、これから旧車を購入予定の方はぜひ参考にしてみてください。 旧車乗りが必ず直面する三重苦 旧車オーナーが直面する問題は、税金を含めた維持費用の高騰です。一方で、そもそもパーツが入手できないという、お金では解決できない問題もあります。 まずは旧車の所有により直面する、3つの問題点を詳しくみていきましょう。 税金が高い 旧車に乗るうえでオーナーの直接的な負担になるのが、毎年かかる自動車税と車検ごとの自動車重量税です。自動車税は、新車登録から13年が経過すると15%程度(ガソリン車の場合)上昇します。自動車重量税に関しては13年経過のあと、さらに18年経過でも加算されるため注意が必要です。 また、明確に旧車に乗ろうと思っていない方でも、13年経過時点での重課は車の購入時に意識しておく必要があります。日本の自動車の平均保有期間は7年というデータもあり、購入時点で6年が経過していれば、普通に車を保有しているだけでも13年に達してしまうためです。 故障リスクが高い 旧車最大の問題は、故障リスクが高い点です。自動車の実際の耐用年数は一概にはいえないものの、目安として法定耐用年数を参考にすると、普通車でも6年とされています。新車登録から10年どころか20年以上が経過する旧車であれば、ゴムや革製パーツの劣化、ポンプやコンプレッサーといった稼動部の故障リスクは避けられません。 旧車に乗る際は日常的に小まめなメンテナンスを行い、故障箇所をできるだけ早く見つけることが重要です。また、一ヶ所を修理すると他の部品に負荷がかかり、連鎖的に故障するケースも少なくありません。旧車を所有する場合は、小さな違和感にも常に気を配るようにしましょう。 パーツが入手しにくくなる 旧車が故障した場合、パーツが入手しにくい点にも気をつけましょう。税金の高くなる13〜18年程度であれば、国産メーカーなら入手可能です。しかし、ゴルフ 5を始めとした欧州車などでは部品の廃盤も始まっている車種もあります。 ただし、国産メーカーでも生産終了から10年を目安としているほか、ディーラーオプションなどは車輌の生産終了とともにパーツの生産も打ち切られるケースもあるため注意が必要です。 故障の発生しやすくなる旧車だけに、パーツの入手性は事前に確認しておきましょう。 旧車に乗るなら特に注意したいポイント 旧車を保有する以上、三重苦を完全になくすことはできません。しかし、いくつかのポイントに注意すれば、苦労を軽減できます。せっかく入手した旧車をできるだけ長く維持するために、ぜひ参考にしてください。 旧車を維持するうえで気をつけたいポイントを3つ紹介します。 夏や冬といった温度変化の激しい季節 旧車で故障が発生しやすいのは、真夏や真冬といった温度変化の激しい季節です。特に真夏は、温暖化の進行によって新車販売時には想定していなかった気温になる日も少なくありません。 具体的に注意したいポイントは、温度変化に弱いゴムや革製のパーツの劣化です。例えば、2008年式のプジョー308SWでは、酷暑の影響でシフトノブが突然ポロポロと崩れ落ちたといった事例もあります。 また、ボディ塗装の劣化も、旧車を保有していると避けられない問題です。塗装は紫外線の影響で、時間経過とともに徐々に劣化していきます。特に夏場は紫外線が強いうえ、雨上がりの水滴がレンズの役目をして、太陽光線がボディを焼いてしまうこともあるようです。屋根付きのガレージや車全体を覆うカバー、日除けの装備など、できるだけ温度変化を抑えられる工夫をして保管しましょう。 さらに、酷暑による影響は劣化しやすいパーツだけではありません。エンジンの冷却系やエアコンのコンプレッサーなど、熱を逃がすための機器類に過剰に負荷がかかる恐れもあります。特にエアコンは、夏を迎える前に点検とメンテナンスを実施し、突然の故障に見舞われないよう注意しましょう。 比較的新しくても油断しない 旧車というと、極端に古いクルマをイメージしがちです。しかし、FD2型シビックタイプR 、Z33型フェアレディZ 、GRB型やGVB型インプレッサWRX STI、NC型ロードスター、ポルシェ911(Type99)など、現代的なイメージの強いクルマも製造から10年以上経過する旧車の域に入っています。 今は目立った劣化がなくても、ちょっとしたきっかけで故障に発展する恐れもあるため注意が必要です。日常的に点検をすることで、大きな故障への発展を防げる場合もあります。できるだけ軽微なうちに故障箇所に対応して、愛車をより長く健全な状態を保ちましょう。 重要なパーツは予備を保有しておく 旧車を保有する場合は、重要パーツの予備を準備しておくことをおすすめします。生産終了から一定の年数が経過するとパーツの生産が打ち切られるケースもあるほか、仮に生産されていても供給自体が絞られる可能性が高いためです。 例えば、1996年式のトヨタ AE111型カローラレビンのリアハブベアリングは、メーカーによる供給は続いているものの受注生産のため納品まで数ヶ月かかります。万が一故障した場合は、数ヶ月間クルマを動かせません。 旧車には「持病」と呼ばれる、特有の故障しやすい箇所が判明している車種もあります。修理する可能性の高い部品は、入手可能なタイミングで予備を用意しておきましょう。 三重苦があってもやはり旧車は魅力的 現代では考えられないスタイリングや設計思想など、旧車には多くの魅力があります。避けられない三重苦があってもなお旧車は人気を集める存在です。また、しっかりとメンテナンスされた旧車であれば、車種によっては資産としての価値も生まれます。 一方で、旧車の売買をする際は、一般的な中古車業者での取引はおすすめしません。購入時は当然、専門業者によるメンテナンスや車輌状態の説明が必要不可欠です。一方、売却時には、やむを得ない経年劣化も含めて、正しく査定してもらうことが重要になります。一般的な中古車店では、古いというだけで減額されるかもしれません。三重苦に耐えて維持してきた旧車なだけに、売却の際は正確な査定をしてもらえる専門業者に相談してください。
イギリスに本拠を置く、ランドローバー社のディフェンダー90。特に初代モデルはヘビーデューティーのクロスカントリー車として、現在も多くのファンを魅了し続けています。 現代のSUVのような高い利便性やスペックを持ち合わせていないにも関わらず、なぜディフェンダー90が人を惹きつけるのでしょうか。ルーツをたどりながら、ディフェンダー90本来の魅力を徹底的に解説します。 伝統の外観を踏襲した初代ディフェンダー90 1990年に登場したディフェンダー90ですが、実は1983年に行われたランドローバーⅢのマイナーチェンジが事実上の初登場です。さらに、外観も含め硬派なオフロード車輌という面では、ローバー社最初のモデルがルーツともいえます。 まずは、ディフェンダー90の開発背景と、日本国内での人気ぶりを紹介します。 由緒正しいランドローバーシリーズがルーツ ディフェンダー90のルーツは、1948年に製造が始まったランドローバーシリーズです。1983年のマイナーチェンジによりランドローバー90/110と改称されたモデルが、直接的にディフェンダー90につながっています。最初のモデルを開発した当時のローバー社が、オフロードに特化したクルマとして「ランドローバー」と名付けました。 「ディフェンダー90」(110/130)の名称に変わったのは1990年。「ランドローバー ディスカバリー」という新モデルの登場に合わせて、混乱を避けるために命名されました。なお、数字の「90」はホイールベースのインチ表記を表しており、ランドローバー90が最も短いモデルです。 ちなみに、ディフェンダー90をはじめ、ランドローバーのアイデンティティとも呼べるアルミ製のボディは、意図して狙ったわけではなく時代背景によって生まれたという逸話が残っています。第二次世界大戦直後の1948年当時、戦争の影響で鉄が不足していた影響からアルミボディが採用されたそうです。 国内ファンが待ちわびた正規輸入の開始 ディフェンダー90の日本国内での正規販売は、登場から7年後の1997年です。限定輸入された500台は、わずか1年足らずで完売。いかに日本のファンが、ディフェンダー90の輸入を待ちわびていたかがわかります。なお、最初の輸入モデルは、左ハンドル車でトランスミッションはATのみでした。 翌年の1998年には、ランドローバー50周年記念の限定モデル450台が追加輸入されました。数百台単位と聞くと、それほど多く感じないかもしれません。しかし、日本国内では実用面での需要がほとんどない、オフロードに特化したクルマという点を考慮すると驚異的な数字です。 便利で高性能ではないのになぜか魅力のある初代ディフェンダー90 初代ディフェンダー90の販売は1990年〜2016年ですが、外観のルーツは1948年まで遡るなど、当時としても最新装備を身にまとったクルマとはいえません。しかし、ディフェンダー90のもつ魅力は、仕様やスペックだけでは語れない部分に詰まっています。 ここからは、ディフェンダー90の魅力を詳しく紐解いていきましょう。 英国の気品漂う外観 緑豊かなイギリスの大地に映える、初代ディフェンダー。オフロードカーらしいシンプルな直線基調のボディにリベット留めと無骨なデザインですが、どこかイギリスの気品が漂っています。 初代ディフェンダー90の外観は、最初のランドローバーが登場した1948年から受け継がれ続けたものです。ヘッドライト位置の変更などモデルによって異なる部分もありますが、大枠は踏襲しています。ディフェンダー90も2007年と2012年に二度のマイナーチェンジを実施しましたが、外観に関しては2016年の販売終了までほぼ手を加えられることはありませんでした。 ローバー社が「ランドローバー」を世に送り出したコンセプトを、初代ディフェンダー90は忠実に踏襲しています。1948年当時の空気感を感じられる点も、ディフェンダー90が人気の理由なのかもしれません。 特徴的なリアシートは一部から不評を買った ディフェンダー90のリアシートは、左右対面式のベンチシートです。対面になっているシートを折りたたむと広大なラゲッジスペースが生まれるため、ヘビーユースに適した形状として採用されたのでしょう。また、兵員輸送車のような硬派な雰囲気を醸し出すという点で、ディフェンダー90を特別なクルマに昇華させている一因です。 一方で、ファミリー層からは、乗り心地の悪さや乗降のしにくさから不評を買いました。リアシートの形状に我慢できず、ディフェンダー90を手放したという話も珍しくなかったようです。 高性能車ではないがロマンという言葉がしっくりくる ディフェンダー90は、今の基準でみると決して性能の高いクルマではありません。正規輸入されたモデルには、4LのV8ガソリンエンジンを搭載。スペックも最高出力182ps、最大トルク32.2kgmを絞り出すという、数字上は迫力のあるエンジンです。しかし、アルミ製の軽量ボディながら2tを超える車体を、俊敏なSUV車のように加速させるには力不足が否めません。 また、オフロード車としての堅牢性を実現するラダーフレームと、構造がシンプルな前後リジッドサスペンションは、お世辞にも乗り心地がよいとはいえず古臭さを感じます。 それでもなおディフェンダー90に魅了されるのは、終戦直後から脈々と受け継がれてきたランドローバーへのリスペクトとロマンなのかもしれません。 新型車が出てもなお人気の初代ディフェンダー90 ディフェンダー90は、2020年のモデルチェンジで2代目に移行しました。長年継承されてきた外観は一新され、課題だったパワーや装備面も克服し、現代に相応しい仕様で販売されています。しかし、新車かつ現行型が買えるにもかかわらず、初代ディフェンダー90の根強い人気は衰えません。 人気の高さは価格にも表れており、状態によっては当時の新車価格よりも高値で取引されるケースもあります。ただし、初代ディフェンダー90を中古車で売買する際は、必ず旧車専門業者に相談しましょう。1990年代のクルマとはいえ各部の設計が古いため、適切なメンテナンスがされていないと、購入しても故障に悩まされかねません。また、正規輸入車輌は台数限定だったため、現在では希少車です。希少車の買取に慣れた業者でないと、実際の価値を正しく査定してもらえない可能性があります。 ロマンのあるクルマが少なくなった現代だからこそ、ディフェンダー90は貴重な一台です。売却の際には、慎重に業者を選びましょう。
イギリスでは、日照時間が長い夏時間(サマーマイム)というものがあります。 そしてこの時期にはいろいろな場所でクラッシクカーショーが毎週のように行われています。 そのなかのある田舎町の小さなクラッシックカーショーに行ってみました。 その日は晴天で、カーショーにはもってこいの日でした。 イギリス南西にあるウィギントンという小さな村ですが、カーショーの他に日本でいう遊園地の乗り物があったり、出店がでていたりと、ちょっとしたお祭りのような雰囲気でした。 様々な魅力的なクラッシクカーが芝生の上に並んでいましたが、そこで真っ先に目の飛び込んできたのが赤いMGでした。 何とも言えないボディーシェイプで可愛らしさがあり、一瞬で魅了させられました。 それは、1953年製のMG YB。 MG Y-タイプのYAが初めて世に出たのは1947年で、YBは初期のYAをさらに強化したもので、1951年から1953年の2年間で1300台ほど製造されました。 ■元は黒で錆がかかっていたMG YB オーナーであるジョンさんに話を聞いたところ、彼はこのMGを約20年前に格安で購入し、年月をかけてここまで素敵なクルマに変えていきました。 ジョンさんに古い写真を見せていただきましたが、画像を見てもお分かりのように庭におきっぱなしにされていて、元の黒いボディはさびて廃車に近い状態でした。 この廃車状態から赤いMGに生まれ変わるまでの時間と費用は相当だったそうです。 まず彼はクルマを解体しすべて、ひとつひとつのパーツにしたそうです。 そして、自ら持ち得たクルマの知識を活かし、少しづつ元通りに組み立てていきました。 そのなかで使えるパーツはそのまま使用したそうですが、中には入手困難なパーツもあり、その時はMG協会から譲ってもらったりしたそうです。 どうしても手に入らないときは、特別にオーダーしてオリジナルのもの作ってもらったとのこと。 黒に塗られていたボディは、一度すべて塗料を削ってはがしてから、新たに赤に塗っていきました。 これらの一つ一つに、当然相当な時間とお金を要しましたのはいうまでもありません。 実際の値段は聞きませんでしたが、「普通に家が買えるぐらい」と苦笑いしながら話していました。 ハンドルや内装はオリジナルのものをできるだけ使用しており、英国感を醸し出しています。 私もクルマに乗車させていただきましたが、一瞬ちょっと田舎のおばあちゃんちの家の匂いを思い出しました。 車内はわりと狭く、サルーンなのでバックシートもありますが、本当に4人も乗れるの?という感じでした。 でも、木製の大きなハンドルはとっても素敵で握りやすかったです。 ■1953年製の希少なMG YB 冒頭でも少し触れましたが、ここで改めてMG YBがどのようなクルマかを簡単に説明しましょう。 MG社のサルーンとして発売されたYタイプには、YA、YT(コンバーチブル)、YBと3つのモデルがありますが、1947年から1953年までの総生産は約8000台。 YBのみの場合、1951年から1953年までに製造されたのはトータルで1300台ほどでした。 エンジンスペックは1250cc(4シリンダー)、トップスピードは70mph(約112kmph)、加速スピードは60mphまで30秒。 約1300台作られたうち、現在もオーナーがいるYBは世界で141台のみ。 聞くところによれば、イギリス92台、アメリカ22台、オーストラリア3台、ヨーロッパ18台、カナダ3台、ニュージーランド1台、そして日本を含めたアジアにはたったの1台のみだそうです。 約1300台もあったクルマが、70年間の間に廃車となって消えていき、世界で141台のみが今だに生き残っていると思うと、なんて希少なんだと思わされますね。 当時のMG YBの車体値段は£635、税金が£354で計£989でした。 イギリスは税金が高い国ですが、当時の税金は60%で車体の値段の半分以上。 これには驚きです。 70年前の£989がどのくらいの価値があったかというと、今でいう£34,000(日本円で約620万円)。 この時代の平均収入は年間£100だったので、かなりの高価であることがわかります。 クルマを持つこと自体が贅沢だった時代ですから、税率が高いのも仕方なかったのかもしれません。 ■クラッシクカーを持つ本当の意味とは このクラシックカーショーでMGとジョンさんに出会い、素敵なお話も聞かせてもらいました。 なぜ家が買えるほどのお金と20年という年月をかけてまで、このMGを保持し大切にしているのでしょうか? ジョンさんがいうには、子供の頃に見ていた古いクルマの印象とその光景が彼にとっては当たり前で、時代が変わってもその光景が変わることなく、ずっと頭のなかにあったのだそう。 近代のクルマも素敵ではあるけれど、彼の子供心が続く限り、このクルマをかわいがるつもりだと話してくれました。 そんな彼を見て、いつまでも子供心を大事にしてほしいと思いました。 ちなみに彼はこのMGを週末だけ、しかも天気が晴れているときのみ運転するそうです。 田舎町でピクニックをしたり、もちろんロンドンにも行かれるそうです。 以前の記事でも述べましたが、このYBには車輌税やULEZなど一切の税金がかからないので、どこへでも行けますね。 ●クラッシックカーと超低排気量ゾーン(ULEZ)の税金 ~ロンドン事情~https://www.qsha-oh.com/historia/article/ulez-london-classic-cars/ それ以外はガレージに保管していて、時々磨いているそうです。 今回偶然出逢ったMG YBですが、どのクラッシクカーにも歴史とそのオーナーの思入れがあるようなので、それを探求するため今後も素敵なクラッシクカーを紹介していきたいと思います。 Thank you, John. *文中の車輌解説は、ジョン氏からお借りしたMG社のものと思われる資料より引用しました。 [ライター・画像 / SANAE]
高級SUV路線のモデルも発売されるなかで、硬派な出で立ちのヘビーデューティー仕様を貫くトヨタ 70系ランドクルーザー。通称「ランクル70」とも呼ばれるこのモデルは、販売終了後に再販されるなど、現在でも高い人気を誇っています。 数あるランクル70のモデルのなかでも、マニアを中心に注目を集めているのがオーストラリアや中東を中心に販売されている「トゥループキャリア」です。「トゥルーピー」という通称で呼ばれるほどファンが多く、日本国内では販売されていないものの、並行輸入で入手する人もいるほどの人気を誇ります。今回は、隠れた人気モデルであるランドクルーザー トゥループキャリアの魅力に迫ります。 国内販売終了後も世界で作り続けられたランクル70 ランドクルーザー70は、日本国内での販売が終了した後も、中東やオーストラリアといった需要の高い一部の地域で生産され続けています。しかも、ただ同モデルを生産するだけでなく、精力的な年次改良やバリエーションの追加までされるほどの人気車種です。 まずは現在のランドクルーザー70の事情について紹介します。 今もなお人気の70系ランドクルーザー 70系ランドクルーザーは、ロングライフだった40系の後を受ける形で1984年にリリースされました。ヘビーデューティー系と呼ばれる、ランドクルーザー本来のオフロードユースを想定したモデルで、高い走破性と耐久性から人気を集めます。2004年に日本国内での販売が終了するまで、わずかなマイナーチェンジのみで20年間も販売されました。 一方で、国内販売が終了した後も、オーストラリア向けを中心に70系ランドクルーザーは生産され続けます。日本国内でも2014年に限定で再販されましたが、2023年に再度の再販が決定したことも報じられました。 オーストラリアで販売されているトゥループキャリア ランドクルーザーは、用途に応じてさまざまなボディタイプが用意されています。「トゥループキャリア」は、「一団、軍隊」などを意味する英語の「troop」に由来し、人員を輸送することに特化したモデルです。 ロングタイプボディのリアシートは、前後ではなくボディ左右に対面式のシートが設置され、より多くの人員を輸送できるようになっています。 並行輸入という形で国内入手も可能 ランドクルーザー70は、日本国内では販売されていません。(新型車の国内再販は2023年に発表済)しかし、現在も販売の続くオーストラリアのモデルを、並行輸入品として取り扱う専門店もあります。 また、並行輸入モデルは、国内販売されていないエンジンが搭載されている点も大きな魅力です。現行型のトゥループキャリアは、最高出力205ps、最大トルク430Nmを発揮する4.5L V型8気筒のディーゼルターボエンジンを搭載。大柄なボディに見合ったビッグサイズエンジンは、国内販売車にはない迫力を感じさせてくれます。 ただし、公道で乗るためには、排気システムや架装を国内登録可能な仕様に変更する必要があるため注意しましょう。多くの場合は、取扱い業者で対応してくれます。 国内版では見られない個性的なランクル オーストラリアで販売されているトゥループキャリアは、国内のランドクルーザー70にはない個性的なモデルです。法令的な問題はあるものの、広大な自然のあるオーストラリアだからこそ生まれたモデルといえるでしょう。 今すぐにでもアウトドアに出かけたくなるランドクルーザー70 トゥループキャリアの魅力に迫ります。 横向き対面式に配置されたリアシート トゥループキャリア最大の魅力は、後席の対面式シートです。通常は前後に配置される座席が、通勤電車のようにボディサイドに沿って左右に配置され、多くの人々が乗車できます。約5.2mというロングボディということもあり、リア部分は広々としていて使い勝手も抜群です。 日本国内では新規の登録ができない影響から、新しく購入した場合は前席の3名乗車ですが、広大な荷室はアウトドアや車中泊といった場面で大活躍します。 質実剛健を地で行く力強いデザイン もともとヘビーデューティ仕様として開発されたランドクルーザー70は、車高、全高ともに高く、全体に直線基調の機能性を重視したデザインが採用されています。さらにトゥループキャリアは、車輌側面に後席のドアがありません。開口部が最小限のデザインは、ランドクルーザーの力強さをより強調しています。 後席の乗員は後部に設置された観音開きのドアから乗降するという、まさに兵員輸送車のようなデザイン。デザイン性はもちろん、実使用時の堅牢性という面でもランドクルーザー70のコンセプトを体現しています。 国内正規販売されていない希少車 トヨタ 70型ランドクルーザー トゥループキャリアは、国内で正規販売されていないだけに流通量の少ない希少車です。また、根強いファンからの人気が高く、状態次第では通常のランクル70の2倍近い価格がつくこともあります。 一方で、流通量の少ない車種は、どの中古車業者でも買取ってもらえるわけではありません。特にトゥループキャリアのように特殊な車輌の場合、取り扱いに慣れている業者でなければ正確に査定することさえ難しいでしょう。旧車や希少車の売却を検討する際は、取扱い経験が豊富な専門業者への相談がおすすめです。 例えば、多くの旧車や希少車を取り扱う旧車王では、今回紹介したトゥループキャリアを最近買取しました。高い専門性を持っているからこそ、大切に乗ってきた愛車に正しい査定額の提示が可能です。
海外赴任が決定したことにより、所有している車や保険をどのようにすればよいのか、不安に思う方もいるでしょう。自動車保険には中断制度があるため、帰国した際も今までの等級を引き継ぐことが可能です。ただし、利用するには中断証明書を発行してもらう必要があり、発行条件をクリアしなければなりません。 この記事では、海外赴任の際に保険を中断する方法や条件、帰国後の再開手続きなどについて紹介します。 海外赴任の際は中断制度で車の保険を中断する 海外赴任の際は、中断制度で車の保険を中断しておくと、再会時も今までの等級を引き継いで契約できます。自動車保険には「等級制度」があり、等級によって割引率や割増率が異なります。無事故の場合は等級が上がり、高いほど保険料を抑えられる仕組みです。渡航前に中断しておけば、帰国した際も今までの等級が適用されるため、同様の割引率で保険を契約できます。 中断制度は海外赴任や、やむを得ない事情と保険会社に判断された場合に利用でき、日本を出発した翌日から「10年間」は等級が維持されます。契約している保険会社に問い合わせると、中断制度の利用方法を案内してもらえるでしょう。 保険の中断制度を利用しない問題点 保険の中断制度を利用せずに海外赴任すると、今までの等級が無効になるため、帰国後に車を利用する予定がなくても念のため発行しておいた方がよいでしょう。たとえば、20等級(事故なし)だった場合、保険料の割引率は63%です。一方、帰国した際に新規で加入し直すと、割引率が13%の「6等級」から再スタートしなければなりません。 つまり、中断制度を利用せずに海外赴任すると今までの等級ではなく、6等級の割引率が適用されるため、本来の保険料より多く支払うことになります。帰国後も今までの保険を引き継ぎたい場合は、保険会社に「中断証明書」を発行してもらいましょう。 自動車保険の中断証明書の発行条件 自動車保険の中断証明書を発行してもらうには、定められた条件をクリアする必要があります。発行条件は、各保険会社によって異なるケースがあるため、加入している会社へ問い合わせましょう。保険会社の発行条件の一例を紹介します。 ■中断時の等級が7等級以上■以下のうち1つに該当・車を売却や譲渡もしくは廃車にした・車検が切れている・ナンバープレートを返納した・車を盗難された・災害によって車が滅失した・海外赴任する場合■満期日から5年以内に中断証明書の発行手続きをしている 自動車保険は新規で加入し直すと6等級からスタートするため、7等級以上ないと中断制度を利用する意味がありません。たとえば、3等級の場合は「38%割増」されるため、13%割引される6等級で加入し直した方が保険料を抑えられます。ただし、前契約の満期日から13ヶ月経過しないと、6等級で加入し直せない点に注意しましょう。 また、中断証明書は海外赴任以外の事由でも発行してもらえます。事由によっては「車検証」や、抹消後に発行される「登録識別情報等通知書」の提出を求められるケースがあるため、保険会社に確認しておきましょう。 自動車保険を再開するときの手続き 帰国した翌日から1年以内に「中断証明書」を保険会社に提出し、自動車保険を再開させます。必ずしも中断前の保険会社で契約する必要がないため、他社へ乗り換えることも可能です。ただし、中断証明書の期限である「10年以内」に手続きしないと、今までの等級は引き継げません。新たに契約する保険と中断前で、以下の事項が異なる場合も同様です。 ・記名被保険者・車の所有者・車の用途・車種 たとえば、中断前は自分名義、帰国後は別居している息子名義の車での契約ができない点に注意してください。また、中断前と新たに契約する保険では、自分名義であれば同じ車である必要がありません。月極駐車場を契約していると海外赴任中も駐車料金が発生するため、帰国後に車を利用する予定がない場合は、一旦売却しておく手段もあります。 なお、中断証明書を紛失した場合、保険会社で中断した履歴を確認できれば再発行しなくても自動車保険を再開できます。他社に乗り換える場合は中断証明書の提出を求められるケースがあるため、中断前の保険会社で再発行の手続きをしましょう。 まとめ 海外赴任する場合、自動車保険の中断制度を利用すると今ある等級を一定期間保存できます。スタートである6等級で加入し直す必要がなく、今までの割引率を引き継げるため、保険料を抑えることが可能です。海外赴任が決まった場合は、加入している保険会社に問い合わせて、中断証明書を発行してもらいましょう。 また、自動車保険を再開する際は、中断前と同じ車である必要がありません。月極駐車場を利用している場合は、海外赴任中も駐車料金が発生するため、帰国後すぐに車を利用する予定がなければ渡航前に車を売却しておくとよいでしょう。
世界初の2ローターが搭載された市販車マツダ コスモスポーツ。流麗なボディデザインも含め、現在でも高い人気を誇るモデルです。しかし、量産車へのロータリーエンジンの搭載は、決して簡単ではありませんでした。 ロータリースポーツのルーツ、さらには日本の自動車開発力を世界に示したコスモスポーツの開発秘話と魅力をたっぷりと紹介します。 世界初の量産ロータリーエンジン搭載車コスモスポーツ コスモスポーツは、ロータリーエンジン搭載車として世界で初めて量産されたモデルです。「マツダの技術力のみならず、日本の自動車開発力を世界に示した功績は計り知れません。 ロータリーエンジンの開発を中心に、コスモスポーツの誕生背景を振り返ってみましょう。 会社の生き残りをかけたコスモスポーツの開発 1990年代後半まで製造・販売が続いたコスモシリーズですが、初代のコスモスポーツはマツダの社運をかけて開発されました。シリーズ初代のコスモスポーツが登場したのは1967年。1960年代に入り、国内自動車メーカーが競争の激化にさらされていたなかで、社長の松田恒次氏は「会社が生き残るためには独自の技術が必要だ」と考えます。そこで、「夢のエンジン」といわれながらも実用化できていなかったロータリーエンジンに白羽の矢を立てました。 実用化の目途がたった1964年、発売に先立ち東京モーターショーで、コスモスポーツはお披露目されます。技術的な問題から各社が実用化できずにいたロータリーエンジンの量産車の発表は、国内のみならず世界中に衝撃を与えました。 世界初の量産車への搭載に成功したマツダの高い技術力 ロータリーエンジンを初めて市販車に搭載したのは、実はマツダではありません。ドイツの自動車メーカーNSU社が、マツダのロータリーエンジンの元にもなった「バンケル・ロータリーエンジン」を既に市販車へ搭載していました。 しかし、ロータリーエンジンを量産車に搭載するには機構上避けられない大きな課題があったため、NSU社の市販車はわずかな生産台数に留まります。量産の大きな壁となっていたのは、アペックスシールと呼ばれるエンジン内の気密性を確保するための部品です。ローターの頂点に取り付けられたアペックスシールは、ハウジング内部を削ってしまうという決定的な欠点がありました。「悪魔の爪痕」とも呼ばれる傷によって、気密性が損なわれると同時にエンジンそのものの耐久性も落としてしまいます。 ロータリーエンジンの実用化に向けてマツダ開発陣は、アペックスシールの改善に心血を注ぎました。開発は困難を極めたようで、素材に馬や牛の骨を試したといった逸話まで残っています。ようやく解決策にたどりついたのは、社内からも「予算の無駄遣い」との声が聞かれ始めた1963年。1つのアイディアをきっかけに形状と素材に工夫を凝らし、実用化の目途を立てます。 2ローターは市販車としても世界初 コスモスポーツに搭載されたロータリーエンジンは、2つのローターを持つ世界初の多気筒ロータリーエンジンです。ドイツNSU社が世界で初めて市販車に搭載したロータリーエンジンは、シングルローター。2ローターエンジンの市販車への搭載は、「量産車」という条件をつけなくても正真正銘の世界初でした。 ゼロからロータリーエンジンの開発を始めたにも関わらず、初の市販車搭載モデルが2ローターというのは驚きです。マツダの技術力の高さと粘り強さが実現したといえるでしょう。 モデル初代なのに完成度の高かったコスモスポーツ コスモスポーツは、4世代にわたって製造されたコスモシリーズの初代モデルです。シリーズ化によって長年製造される車種は、後発モデルのほうが性能が高いため初代が注目されないケースも珍しくありません。 しかし、3ローターを搭載する4代目ユーノスコスモといった後発の高性能モデルと比較しても、コスモスポーツの存在感は別格です。初代から高い完成度を誇っていた、コスモスポーツの魅力を紹介します。 フロントミッドシップの高い運動性能 コスモスポーツのエンジンは、FR車輌としては理想的なフロントミッドシップに配置されています。初めて開発したエンジンにも関わらず、軽量コンパクトなロータリーエンジンの特徴を最大限活かす方法を、マツダ開発陣はしっかりと理解していたということでしょう。 また、コスモスポーツの最高速度は、なんと185km/h。高出力エンジンとはいえ、当時の最高出力がわずか110psだったことを考えると驚異的な数字です。最高速度はギア比さえ調整すれば、ある程度は高められます。しかし、市販車という点を考えると、車のポテンシャル以上に最高速度を上げるのは危険です。1tを切る軽量な車重と、フロントミッドシップによる安定性の高さにより実現した結果といえるでしょう。 独自の世界観をもつシャープなフォルム 世界初の2ローターエンジンという点を抜いても、コスモスポーツはクルマとして魅力的なモデルです。日本車離れした個性的なボディデザインは、多くのファンを魅了しました。当時の自動車で多く採用されていた直線基調のデザインとは一線を画し、コスモスポーツは随所に曲線を取り入れた流線型の美しいフォルムです。 全体に低く抑えられたスタイリングは、運動性能の高いスポーツカーらしさを最大限に演出。コンパクトなロータリーエンジン車だからこそ実現できたデザインといえるでしょう。現在でも「鼓動デザイン」という独自の世界観を展開するマツダですが、1960年代からすでに他メーカーとは異なるデザインを展開していたことがうかがえます。 スポーツモデルは初代コスモスポーツのみ コスモスポーツは、シリーズとして1996年まで生産されましたが、流線型デザインの純粋なスポーツモデルといえるのは、初代コスモスポーツのみです。しかも、1967年に登場し1972年までの約5年間しか生産されなかったため、現在ではあまり台数も残っていません。 加えて、クルマとしての魅力と希少性の高さから、コスモスポーツはかなり人気の高い車種です。中古車の購入を検討する際は、常に広くアンテナを張っておくとよいでしょう。 一方で、希少車の取扱いは、どの中古車業者でも簡単にできるわけではありません。専門の業者に依頼しないと、購入時も売却時も損をしてしまう可能性があります。良好な車輌や妥当な査定額で安心して取引するために、コスモスポーツの購入や売却をする際は旧車専門の業者に相談することをおすすめします。
これまで、S30系・フェアレディZを題材に【初級編】、【中級編】とお送りしてきました。 締めとなる今回の【マニアック編】では、そのタイトルの通りにS30系・フェアレディZのもっと深いところを掘り下げていきましょう。 そのメカニズムやシャーシの特徴などを踏まえて、S30系・フェアレディZが走行性能の面でどれだけ優れたポテンシャルを秘めているのかを、ヒモ解いていこうと思います。 Z好きの人も、旧車全体が好きな人も、知っておいて損は無い内容だと思います。 ■シンプルなのに実力派、ストラット方式の足まわり 発売当時、240ZベースでWRC(世界ラリー選手権)に出場し、サファリラリーで圧勝したのは有名な話です。 この勝利の裏には販売戦略的な狙いも含まれると思いますが、実はZの足まわりの素性の良さが貢献していたようなのです。 S30系・フェアレディZの足まわり(サスペンション)は、4輪とも“ストラット式”の懸架方式です。 ストラット式とは、車軸のハブの下側をロアアームで支えて、上側はダンパーユニット一体式のストラット(直訳:支柱)が受け持つ方式のサスペンションのこと。 その特徴は何といってもシンプルなところ。 オーソドックスな“ダブルウイッシュボーン”方式の場合は、上下のアームを置く場所と、取り付けるフレームの受け、そしてダンパーのマウント部が必要になりますが、ストラット式の場合はロアアームのフレーム側の受けと、上部のストラットアッパーマウントがあれば事足りるので、構造的にシンプルで、スペース効率も自由度が高い方式となります。 デメリットは、負荷が高い車輌には向かないことです。 車重や速度による負荷が上部のストラットを曲げる方向に働いてしまう構造のため、あまり重量があるクルマや、超ハイグリップタイヤの使用には向きません。 その点、軽量でグリップがそれほど高くないタイヤを履いたZにはデメリットが少なく、適した方式と言えるでしょう。 レースでの勝利にはこのサスペンション方式が効いたと言っていいと思います。 そして、そのストラット式サスペンションの秘めた実力が引き出されていったのが、1980年代のゼロヨンブームのときでした。 当時は、思い思いに気に入った車種に自力でチューニングしたエンジンを搭載して、ゼロヨンを競い合っていました。 しかしレベルが上がるにつれ、同じくらいの馬力のエンジンなのに、例えば同じ日産車のスカイラインよりもZの方が速いということが浮き彫りになっていったのです。 Zの方が軽量に出来るという大きなアドバンテージはあったものの、実は足まわりの素性の良さが効いているのではないかと注目され始めました。 これはレベルが極まった近年のドラッグレースでも同じで、ドラッグ専用の大径タイヤと、靴が脱げるほどグリップする路面による超グリップの負荷にも、ほぼ純正のままで耐える足として使われ続けていることでも証明されています。 また、ステージを移して周回レースに目を向けても強さが際立っているのが分かります。 昨今一部で人気の「JCCA」などの旧車レースでも、同じL型エンジンを積む車種の中で頭ひとつふたつ抜け出た速さを魅せています。 タイヤは今どきのSタイヤを含むハイグリップタイヤを使い、300馬力以上にチューニングされたL型エンジンを搭載したモンスターなマシンでも、足まわりの基本的な部分はノーマルのまま通用しているのです。 さすがにダンパーは車高調に換え、アームの支持部はピロボールに等々、かなりモディファイは加えられていますが、基本的なストラット式を変更する車輌は見たことがありません。 これもストラット式の良さを証明する事実といえるでしょう。 ちなみにサーキットでは、レース向けに改造されたS30系・フェアレディZが、ノーマル+αの34GT-Rを追い回しているシーンをちょくちょく見掛けます。 もちろんドライバーの腕によりますが、充分以上な戦闘力を秘めていると言っても過言ではありません。 ■車体の軽さが運動性能の良さに大貢献 50年も前の旧い設計のクルマで、今のように樹脂や軽合金などはまだ多用されていない時代に生産されたZ。 けっこう重いんじゃないかと思っている人も少なくないのではないでしょうか。 自分もそんな一人でしたが、実際は思ったよりもかなり軽量な車輌なんです。 カタログ値では、最も軽い初期モデルで975kg。 最後期の重い2by2モデルでも1100kg台という数値です。 現行車と比べれば、ダイハツ タントとホンダ フィットの中間くらいですね。 2リットルクラスの車格を考えるとかなり軽いと思います。 ネガティブな話をしてしまうと、この軽量さはコストダウンの産物によるところという側面があります。 北米向けの低価格帯スポーツカーを開発するにあたって、構造をシンプルにして部材を少なく済ませるというテーマを盛り込んで設計された結果、ローコストで軽量なシャーシができあがりました。 しかし、さすがに旧い設計でローコストを狙ったため、一部にしわ寄せが出る部分もあったようです。 ルーフと後部のCピラーを繋ぐ箇所に、走行や屋根への衝撃の負荷でわずかなシワが寄る個体がチラホラあるよという話は、その筋では比較的有名です。 とはいえ、軽さは運動性能の追求には最優位なポイントであることには違いありません。 実際に乗ってみてもそれは感じられますし、旧車同士でおこなわれるレースでは、大きなアドバンテージだと捉えている人がほとんどでしょう。 実際の勝率やタイムにも、事実として現れています。 ちなみに、ボディ剛性が周回レース車輌ほど必要とされないゼロヨン車輌での例ですが、最も軽量な初期モデルをベースにすると、800kg台まで軽くすることが可能だそうです。 驚きですね。 ■ステアリング方式にも注目 これはかなりマニアックなポイントですが、S30系・フェアレディZのステアリング方式も、スポーツ性能に良く働いているという話を聞きます。 S30系・フェアレディZのステアリング方式は、今ではほとんどのクルマに採用されている「ラック&ピニオン式」。 ステアリングシャフトの先に付いたギヤで、歯が付いたシャフトを左右に動かす方式です。 こんな普通な方式のどこがアドバンテージなの?と思うでしょう。 それは、この時期の日産車の主流が「ボール&ナット方式」だったからなんです。 これには、当時の日産車、特にプリンス系の流れを汲むスカイラインやグロリアなどがお手本にした、ヨーロッパのGTカーがこの方式を採用していたという背景がありました。 当時は「“あの”ボール&ナット式」を採用、とアピールできた時代でしたが、路面の凸凹を拾ってハンドルにショックが来たり、調整しないとガタが大きくなって直進安定性に問題が出たりと、デメリットも多い方式でした。 その点、ラック&ピニオン式ならダイレクト感が高いわりに路面のキックバックも少なく、操作が軽くてシンプル、という良いことずくめ。 当時は認知度が低くアピール弱めだったのですが、次第に浸透して今は主流になっていることからも、優れている方式なのが分かると思います。 余談ですが、サーキット走行が好きな人の中には、スカイラインをラック&ピニオンに改造してしまう人もいるほどです。 ■S30系・フェアレディZの素性の良さを堪能してみよう ハイパフォーマンスなモディファイにも対応できる素性の高さを秘めたS30系・フェアレディZのシャーシですが、フルノーマルでもその良さは充分堪能できる味わいを備えています。 まずは車体の軽さ。 クラッチをつないで走り出すと、2リッターのやや頼りないトルクでも、スルスルと前に進んでくれます。 ここからアクセルを踏み込むと、グッとタメを見せた後にグゥーーっと勢いがノッていくのが楽しめます。 エンジンの特性的に決して鋭い加速とはいえませんが、アクセルに対する車体の追従感は鈍くありません。 交差点を曲がる際も、適度な外向きロールを出しつつ、軽やかな印象を感じさせながら曲がっていくのも楽しめるでしょう。 ストラット式サスペンションのダンパーは結構ストロークが多めなので、ゆったり走るのに向いていると思います。 路面の段差を乗り越えるときは、今どきのクルマのように足だけで衝撃を逃がす感じとはまったく異なるフィーリング。 まずタイヤが持ち上がった感じが伝わってきて、ダンパーが縮みます。 そのとき車体がわずかに持ち上がる感じがあって、少し耐えた後にバネの力で足が伸びようとするのを感じながら、弱めの減衰力で車体のハネが抑えられているのも同時に感じ、車体が元の位置に落ち着く…という印象です。 当時はスポーティな味付けだったと思いますが、今の感覚で見ると、波を乗り越える船のような感覚を連想する足まわり。 まさにゆったりと走るのが気持ち良く感じられるでしょう。 気が付くと、セカセカと急ぐ気分が身を潜めていくのが不思議です。 山道で少しペースを上げて走ってみると、街中のゆったり感の印象が払拭され、意外とキビキビと走れるのに驚きます。 さすがにロールは大きめですが、カーブのアールに合わせて荷重を意識しながら曲がっていくと、思ったよりも足が踏ん張ってくれるのを感じられます。 キツめの登りはエンジンパワー的に厳しいですが、Zに適したペースで走る山道は、今のクルマでは味わえない醍醐味を感じさせてくれるでしょう。 もしこれに味を占めて山道を頻繁に走るなら、ブレーキだけは強化しておくことをオススメします。 スポーツ系のパッドに交換するだけでも違いますし、ボルトオンで交換できる4ポッドキャリパーに交換するとより安心だと思います。 あと、個人的には純正のプロファイルに近いサイズの185/60R14タイヤくらいが、当時の乗り味をより堪能できるのでオススメです。 見た目に関しても、このサイドウォールが広めなタイヤのバランスが、ノーマルルックのZにマッチすると思っています。 ■S30系・フェアレディZといえば「悪魔のZ」。その実現度を想定してみる このように、50年前に作られたクルマとは思えないくらいに高いポテンシャルを秘めていることが、各方面で証明されているS30系・フェアレディZ。 実際に、あのマンガで有名な「悪魔のZ」のように300キロの世界でバトルが出来るのでしょうか? そこ、かなり気になりますね。 実は私、「湾岸ミッドナイト」を夢中で読んでいた頃は、まだ実際のS30系・フェアレディZの性能についてまったく知りませんでした。 しかし、読み進むにつれて「なんか妙にリアリティがあるなぁ」とぼんやり感じていたのも事実です。 それが、改めてS30系・フェアレディZの、カスタムベース車としてのポテンシャルを知ることになってから、「楠先生はけっこうしっかりリサーチしてるなー」と関心すると同時に、やっぱりこの人はこのテのジャンルが根っから好きなんだと感じました。 まず、エンジンのチューニングから見ていきましょう。 L28改の3.1リットル仕様というのはベストチョイスかと思います。 ボアアップの3リットル仕様では下のトルクが足りず、ボア&ストロークアップの3.2リットル仕様では発熱量の面で厳しいのではないかと思います。 ピストンはマーレ製との表記がありました。 純正流用でないのは、圧縮比とピストントップ形状を追い込みたかったからでしょう。 超ハイブーストを狙っているなら鍛造は必須なので、その線でも純正はナシですね。 コンロッドはチタンだそうで、ちょっと時代を感じますが、形状次第で耐えるでしょう。 クランクはワンオフのフルカウンター。 LD28流用は強度の面で不安がありますので、これも説得力があります。 タービンはTD06とあります。 最大サイズを選べばツインのフルブーストで700馬力は狙える風量ですが、サイズを落として500馬力程度に抑えれば、街乗りもなんとかこなせそうです。 問題はキャブだという点。 燃調の安全マージンや温度変化への追従などを考えると、だいぶ厳しいのでは?と感じます。 追加インジェクターを打っても相当苦労したという話をいくつも聞きました。 その点だけは“スゴ腕チューナー”のミラクルに期待する部分ですね。 車体と足まわりはどうでしょうか? ボディに関しては、フルスポット増しと室内のロールバー程度では、超高速のバトルに追従するのは至難の業だと思います。 「身をよじるような」が例えでは済まないでしょう。 劇中でもクラッシュしたのをきっかけに大改修していますので、その点は改善できたと思って良いのでしょう。 足まわりに関しては記述が見付けられませんでしたが、剛性のある車高調にしてリヤのアームを強化品に替えれば、足がヨレるということにはならないと思います。 駆動系の記述は見当たりませんでしたが、さすがに純正では強度が不安です。 R32スカイラインなど、250馬力以上の設計の車種からの流用が必須でしょう。 シャーシ関連での不安はブレーキです。 純正のローター径ではまずお話になりません。 320mmは欲しいところですが、劇中で履いている「エイトスポーク」は16インチでも収まりきらないでしょう。 ローターが収まるサイズに留めるとフェードするという不安が残りますが、そちらはアキオくんの神テクでカバーできるに違いありません。 そうだと信じましょう…。 とまあ、ちょっといじわるに細かくツッ込んでしまいましたが、ここまでツッ込めるほどに設定がしっかりしているマンガはかなり珍しいといえます。 正直な感想は、これだけ設定がしっかりしてるからこそ、読者目線でも首都高バトルに入り込めたんだと思いました。 今見直しても楽しめるすばらしい作品だと思います。 ■おわりに ローコストをテーマに開発された車輌が、50年以上経った今でもその性能の良さを認められているという事実は、開発車冥利に尽きるのではないかと思います。 これは個人的な見解ですが、同じコンセプトを持つトヨタ「AE86」が後年まで人気を維持して、モータースポーツの世界でも一線級の戦闘力を披露している点に妙な共通点を感じています。 モディファイしてサーキット走行を楽しむも良し、フルノーマルで当時の乗り味を堪能するも良し、それぞれの想いを受け止めて輝き続けるS30系・フェアレディZは、紛れもなく日本の誇る名車と言って良いと思います。 [ライター・往 機人 / 画像・日産]
クルマを運転する人、所有している人にとって、駐車問題は切り離せないものです。 ドイツに移住して本格的にクルマに乗るようになってから、とりわけ強く感じたことが、駐車環境が日本と大きく異なるということ。 それもあり、個人的に、国ごとの駐車事情の違いがどのようなものなのか興味のあるテーマでもありました。 そこで、この記事ではドイツでの駐車事情について、自宅や外出先での駐車事情を取り上げながら紹介します。 ■ドイツと日本の駐車事情の違い まず、一般的にドイツでの駐車の自由度は、比較的に高いといえます。 というのも、自宅での駐車に関しては、日本のようにクルマを登録する際の車庫証明の提出は求められず、基本的に自宅近くの空いている場所に停めることになります。 家によっては月極の駐車場の契約が必要になってくる場合もあります。 しかし、これも必須ではなくオーナー次第であり、駐車場代を節約したいと考える人は、多少自宅から離れていても停められる場所に自由に駐車している人が多いです。 ▲住宅地の道路の路肩にキャンピングカー・トレーラーなど大きな車輌が駐車していることも珍しくない ちなみに筆者の場合、住んでいるアパートに月極の駐車場がありますが、契約はしていません。 基本的にアパート周辺の空いている場所を探して駐車しています。 しかし、クルマが多すぎて停められないケースも少なくなく、運が良ければ自宅の目の前に停められますが、場合によっては徒歩15分ほどかかる場所まで離れることも珍しくありません。 正確な数を把握しているわけではありませんが、明らかにアパート全体に居住する世帯数をクルマの台数が上回っているといった感覚です。 しかし、出先での駐車となると状況が異なります。 都市部では、駐車の自由度が大幅に下がります。 筆者も都市部に隣接する地域に住んでいますが、自宅から近くであっても、クルマで出かけると自由に停められる場所が限られ、不便を感じることがよくあります。 都市部には有料の駐車スペースが多く存在しており、さらに大きな都市では駐車場の需要が極端に高まることから、巨大な立体駐車場も存在します。 ドイツの街中にある駐車スペースとは、日本で普及しているコインパーキングとは異なり、路肩に駐車できる区画が設定されていることが多いのです。 たいていは先に時間分の駐車料金を支払い、チケットをダッシュボードの見えやすい位置に置いておきます。 このように、路上に一定区画整備された駐車場は空いていることが珍しいくらいで、都市部では駐車場を探すのにかなり苦労することがよくあります。 この点は、日本の都市部の駐車場事情とも似ているかもしれません。 ■自由度高すぎ?ドイツの地方の駐車事情 一方、取材で訪れた地方では、駐車事情が大きく異なっていて驚きました。 地方での駐車の自由度には目を見張るものがあります。 先述したように、都市部では基本的に駐車向けにスペースが整備されていることがほとんどです。 対して地方では、そのような整備された駐車区間に加え、駐車禁止であることが示されてさえいなければ、どこでも路上駐車ができてしまうことが多いのです。 自宅付近のみならず、レストランやお店の近くでも自由に駐車できます。 スーパーマーケットやレストランには専用の駐車場が完備されていることも多いのですが、仮に満車になっても、近くの空いている場所に駐車して、時間を気にすることなく買い物などを楽しむことができるのです。 逆にいえば、スーパーの駐車場に長時間駐車をし、ほかの用事でクルマを残して出かけていく人もいます。 余談ですが、都市部ではこのような状況を避け、買い物客が困らないよう駐車の制限時間を設けているスーパーや商業施設が多い傾向にあります。 時間をどのように計るのかというと、クルマを降りる前に駐車した時間を示す表示を車内に置いていきます。 管理人がその表示を確認し、制限時間を超えている場合はペナルティを課せられることがあります。 ▲無料駐車に制限時間が設けられている場合、このように到着時刻 / 駐車開始時刻を示しダッシュボードに置いてクルマを離れる 話を戻しますが、地方では標識さえない場所では遠慮なく駐車して、通行するクルマが駐車車輌を避けることや、対向車が来た場合は待機を強いられるといったことも珍しくありません。 それくらい日常的なことであり、人々に受け入れられているということでもあるのだと思います。 ▲駐車車輌を避けて走るドライバーたち ここまでお伝えしてきたような環境ですので、長期間にわたり路上駐車で停め続けることもできてしまうわけです。 ただし、今まで駐車可能だった場所が、ある日突然駐車禁止になることもあるので注意が必要です。 例えば引っ越しや荷物の搬出入、工事などにより、一定の区間が駐車禁止になる場合です。 基本的には数日前には告知され、いつからいつまで駐車禁止になるのかを把握することができます。 しかし、もしその知らせに気づかないまま駐車し続けてしまうと、罰金を課せられるか、場合によってはレッカー移動されてしまうことになります。 ▲事前に告知された駐車禁止の標識。10月9日の7時~19時までは駐車禁止であることを示している ■おわりに いかがでしょうか。 日本とドイツを比較してみると、駐車事情一つとっても、似ているところもあればだいぶ違っている側面もあり、なかなか面白いと思います。 今後も、クルマそのもののみならず、今回のように交通事情のドイツあるあるを発見したら、紹介していきたいと思います。 [ライター・画像 / Shima]