ホンダ 1300 クーペは本当に失敗作だったのか? わずか2年しか生産されなかった理由と旧車としての魅力に迫る

目次
1.ホンダ初の小型乗用車は歴史的な1台になった 2.販売不振でも魅力たっぷりのホンダ 1300 クーペ 3.ホンダ 1300は価値が見直されつつある旧車

ホンダ初の小型乗用車の追加モデルとして登場したホンダ 1300 クーペは、1970年からわずか2年しか生産されませんでした。しかし、世界初の方式を採用した空冷エンジンや創業者の引退といった逸話も生まれるなどホンダの歴史において重要な1台です。

近年その価値が再評価されつつある、ホンダ 1300 クーペの歴史を紐解いていきましょう。

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

ホンダ初の小型乗用車は歴史的な1台になった

ホンダ 1300は、二輪車と軽自動車の製造を続けてきたホンダが初めて販売した小型乗用車です。1968年の東京モーターショーで発表され、翌年の1969年にまずはセダンタイプを発売。さらに、翌1970年には2ドアクーペが追加されます。

2ドアクーペは内外装ともに専用設計されたパーツが盛り込まれたスポーティーカーで、ホンダ 1300の高い性能を象徴するモデルでした。

画期的な空冷システムを搭載

ホンダ 1300最大の特徴は、DDAC(Duo Dyna Air Cooling system)と名付けられた画期的な空冷エンジンを採用したことです。冷却効率を高めるためにシリンダーブロックの外壁を二重構造にするという、空冷エンジンへのホンダの挑戦でした。

通常の空冷システムは、エンジン外側に風を当てて冷やします。しかし、DDACエンジンは、さらに二重構造の内側に設けた空気の通り道に、冷却ファンで強制的に空気を送り込んで内外から冷やすという独創的な発想の空冷エンジンでした。

しかし、冷却性能を優先して複雑な構造としたことで、水冷エンジンの強みである軽量さが完全にスポイルされてしまうという大きな欠点がありました。結果的に、水冷化するきっかけになり、ホンダ最後の4輪用空冷エンジンという皮肉な側面も持ち合わせています。

ニーズに合わせた細かいグレード設定

グレード展開の豊富さからも、1300がホンダにとって重要な車種だったことがうかがい知れます。まず、シングルキャブレターの「ホンダ 1300 クーペ7」と4キャブレターの「ホンダ 1300 クーペ9」という2車種をラインナップ。さらに、クーペ7は「スタンダード」「デラックス」「カスタム」「S」、クーペ9は「デラックス」「カスタム」「S」のグレードに分かれ、クーペだけで合計7モデルも存在していました。

ユーザーの嗜好性に合わせたラインナップの広さは、車が単なる移動手段ではなくなってきていた時代背景を色濃く反映しています。

販売台数は思うように伸びなかった

ホンダ 1300の販売台数は月間3,000台程度と当初伸び悩んだものの、クーペの追加によって5,000台まで引き上げられます。当時は月間5,000台を超える販売台数を記録する車種は限られていて、決して悪いというほどの数字ではありませんでした。

一方で、小型車開発で先行するトヨタ カローラや日産 サニーは月間1万台以上を販売しており、マツダ ファミリアでも8,000台だったためか、ホンダ内では販売不振という評価だったようです。

結果的に本田宗一郎を引退に追い込んだ

ホンダ創業者の本田宗一郎氏らしい独創的な空冷エンジンDDACでしたが、皮肉にも同氏を経営の一線から退けるきっかけにもなりました。販売台数の伸び悩みに呼応するように、1970年頃にホンダ技術者は水冷エンジンへの転換を主張し、空冷へのこだわりをみせる本田氏と真っ向から対立。後にホンダの3代目社長に就任する久米是志氏が辞表を出すほどにまで、社内での議論は加熱したようです。

そこで、設立以来共に経営を担ってきた副社長の藤沢武夫氏が「あなたは社長なのか技術者なのか、どちらなんだ?」と本田氏に問いただします。結局、盟友藤沢氏の説得に本田氏は折れ、ついに水冷エンジンへの転換が図られました。1973年に藤沢氏と同時に引退をした本田氏ですが、空冷水冷問題が決定打だったといわれています。

1300の買取専門ページはこちら

旧車王バナー旧車王バナー

販売不振でも魅力たっぷりのホンダ 1300 クーペ

販売不振で早期に生産終了を迎えたホンダ 1300 クーペですが、今振り返ると実はかなり魅力的なクルマです。社内でのエンジン論争が引退のきっかけにはなったものの、本田宗一郎氏のこだわりが詰まっていることが伝わってきます。

ホンダ 1300 クーペの魅力はたくさんありますが、特徴的な2点に絞って紹介します。

流麗なボディライン

ホンダ 1300 クーペ最大の魅力は、複雑な曲線の組み合わせによる流麗なボディラインです。また、小型車ながらマッスルカーを思わせる精悍なフロントマスクも、他車との違いを主張しています。

しかも、ただデザイン性が高いだけでなく性能面の向上を図った結果だったからこそ、余計に美しさを感じるのかもしれません。空気力学に基づいて設計された複雑な曲線は、超大型のプレス鋼板でモノコック構造を実現。空力とボディ剛性両面で、スポーツモデルにふさわしい性能に仕上げられています。

機能性と豪華さを兼ね備えたコックピット

「フライトコックピット」と呼ばれるドライバーズシートも、ホンダ 1300 クーペの特徴です。立体成形されたインパネによって大型メーターやスイッチ類がすべてドライバーに向けて配置され、スポーツカーらしい操作性と豪華さを演出しています。

また、スペシャルティとしての性格を明確するため、内装全体もセダンから一新されました。

1300の買取専門ページはこちら

ホンダ 1300は価値が見直されつつある旧車

旧車の魅力は、絶対的な性能の高さだけではありません。現代の車にはないボディラインや独創的な装備、さらに背景にあるストーリーなどさまざまな要素が旧車の価値を決定づけます。大衆車とは一線を画すスポーティーな外観にDDACという個性あふれる空冷エンジン、さらに本田宗一郎氏の引退のきっかけにもなったというストーリー性と、まさにホンダ 1300 クーペは旧車ならではの魅力のつまった1台です。

また、そもそも販売期間がわずか2年ほどと短かったうえ、販売台数も伸び悩んでいたことから中古車市場に出回る台数は限られています。しかも、生産終了からでもすでに50年以上が経過し、希少性が高まっていることも評価が見直されつつある要因の1つです。

ホンダ 1300を売買されたい方は、新車販売当時の評価ではなく旧車としての正しい価値のわかる専門業者に相談することをおすすめします。

旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!

長い時間を共にした愛車だからこそ、売却先にもこだわりたいという方は多いのではないでしょうか。
旧車王は、旧車に特化して20年以上買取を続けております。旧車に関する実績と知識なら、どこに負けない自信があります。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に査定いたします。
全国どこでも無料で出張査定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。

画像1 画像2 画像3
画像ギャラリー(全3枚)を見る

この記事をシェアする

旧車王ヒストリアは
旧車買取20年以上の旧車王
が運営しています

旧車王は、「自動車文化遺産を次世代へ」という信念のもと、旧車・クラシックカーに特化して24年、年間11,000台以上の査定申込をいただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

23年の歴史に幕を閉じる「チューニングフェスタ2022〜 咆哮を聞け 〜」 イベントレポート

23年の歴史に幕を閉じる「チューニングフェスタ2022〜 咆哮を聞け 〜」 イベントレポート

イベントレポート 2023-02-05
名車「テスタロッサ」を継承するV型12気筒エンジン! フェラーリ 512TRの魅力を紹介!

名車「テスタロッサ」を継承するV型12気筒エンジン! フェラーリ 512TRの魅力を紹介!

旧車の魅力 2024-11-06
【専門家監修】高齢者におすすめのクルマ10選!選び方や注目の安全装置も紹介

【専門家監修】高齢者におすすめのクルマ10選!選び方や注目の安全装置も紹介

旧車売買の豆知識 2024-10-31
ウインカーの球切れ交換はどこに依頼する?費用の目安についても解説

ウインカーの球切れ交換はどこに依頼する?費用の目安についても解説

旧車メンテナンス 2024-10-31
ベテラン勢は決断の時!? 一念発起して膨大なコレクションを処分するべし!

ベテラン勢は決断の時!? 一念発起して膨大なコレクションを処分するべし!

ライフスタイル 2024-10-31
終わりのはじまり!? オーナーズクラブが空中分解する5つの前兆とは

終わりのはじまり!? オーナーズクラブが空中分解する5つの前兆とは

ライフスタイル 2024-10-31
クルマの「キュルキュル音」の原因はなに?修理費用や予防法を解説

クルマの「キュルキュル音」の原因はなに?修理費用や予防法を解説

旧車メンテナンス 2024-10-29
ホンダ インテグラ タイプRはFFは曲がらないという常識を覆した! Specによる違いも紹介

ホンダ インテグラ タイプRはFFは曲がらないという常識を覆した! Specによる違いも紹介

旧車の魅力 2024-10-29

記事ランキング

1
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

ライフスタイル 2023-09-14
2
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
3
車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

旧車売買の豆知識 2024-02-02
4
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車メンテナンス 2023-10-18
5
ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
6
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車売買の豆知識 2024-08-06
7
MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

旧車売買の豆知識 2024-04-19
8
アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

旧車市場動向 2024-10-21

カテゴリ一覧

# 旧車コラム # 旧車の魅力 # 旧車売買の豆知識 # 旧車市場動向 # 旧車メンテナンス # エディターズノート # ライタープロフィール # イベントレポート # ライフスタイル # 加藤久美子&博人の見識 # ドイツ現地レポ # ライター愛車レポート # タイレルP34を追え! # オーナーインタビュー # 名車&迷車烈伝 # マツド・デラックスの世界 # 海外現地レポ