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旧車の魅力と知識

ベーパーロック現象とは?原因・対策・対処法について解説
旧車の魅力と知識 2024.02.22

ベーパーロック現象とは?原因・対策・対処法について解説

運転中にもしブレーキが効かなくなったら、自分や同乗者だけでなく、周りの車にも迷惑がかかる可能性があります。 今回はフットブレーキが効かなくなるべーパーロック現象について、原因や対策、対処法などについて解説します。起きた際に慌てずに済むように、ベーパーロック現象について確認しておきましょう。 べーパーロック現象とは べーパーロック現象は、フットブレーキを連続で使用したことで生じた摩擦熱によってブレーキ液(ブレーキフルード)が沸騰し、液の中に気泡が発生することでブレーキが効かなくなる現象です。本来はブレーキのペダルを踏んだときに発生する圧力でスピードを落としますが、気泡ができたことで圧力がブレーキ液に伝わらなくなり、ブレーキが効かなくなります。 ベーパーロック現象が起きる原因 べーパーロック現象が起きる原因は以下の3つです。 ・過度なブレーキ操作 ・ブレーキ液の水分の吸収 ・ブレーキ管内に空気が混入する それぞれ詳しくみていきましょう。 過度なブレーキ操作 ベーパーロック現象のきっかけとなるブレーキ液の沸騰は200℃前後(※)で起こります。通常のブレーキ操作では、ブレーキ液がこれだけ高温になることはありません。 しかし、高速走行時に急ブレーキをかけたり、ブレーキを長時間使い続けたり、短時間で繰り返しブレーキを使ったりすると、200℃前後にまで達する可能性があります。 ※ブレーキ液の種類によって沸点は異なります。 ブレーキ液の水分の吸収 ブレーキ液は、水分を吸収すると沸騰しやすくなります。 ブレーキ液には、水分を吸収しやすいという特徴があります。そのため、走行時と停車時の温度差によって生じた水滴がブレーキ管の中に入ってしまったり、ブレーキ液を交換するときに誤って水気が入ってしまったりすると、その湿気を吸収してしまい沸点が下がってしまうのです。結果としてブレーキ液が沸騰し、ベーパーロック現象が起こります。 ブレーキ管内に空気が混入する ブレーキ管の内部に空気が混入して、ブレーキ液に気泡が生じる場合もあります。 空気が混入する原因は、ブレーキを分解して整備・点検を行ったときやブレーキ液の交換作業中などでの混入、エア抜き作業の失敗、ブリーダーというブレーキ管内のエアを抜くための部品がゆるんでいることなどです。 ブレーキ周りの交換や修理、点検の作業をしたあとは、ブレーキが正常に作動するか確認しましょう。 べーパーロック現象とフェード現象との違い 「フェード現象」もブレーキが効かなくなる現象ですが、べーパーロック現象とは仕組みが異なります。 ブレーキを連続使用すると、ブレーキパッドに熱が発生し、ゴムや樹脂が分解されてガスになります。そのガスがタイヤとパッドの間に入り込んで摩擦力が減少し、ブレーキが作用しなくなる現象がフェード現象です。 起こる仕組みは異なりますが、どちらもフットブレーキを連続で使用すると起こる可能性があります。 ベーパーロック現象を防ぐ方法 べーパーロック現象を起こさないためには、次の2点を押さえる必要があります。 ・坂道ではエンジンブレーキを使う ・ブレーキ液を定期的に交換する それぞれ詳しくみていきましょう。 坂道ではエンジンブレーキを使う 坂道が近づいてきたらギアを下げ、先にスピードを落としておきます。そして、坂道を走るときはエンジンブレーキでスピードを調整しましょう。 ブレーキ液を定期的に交換する ブレーキ液を交換せずに使い続けると、空気中の水分を多く吸収してしまいます。その結果、沸点が下がり、多少の熱が加わっただけで沸騰するようになります。そのため、ブレーキ液は定期的に交換し、沸点を下げないようにすることが重要です。 ベーパーロック現象が起きたときの対処法 ブレーキペダルを踏んでも速度が落ちない場合は、ギアを段階的に下げてエンジンブレーキで走行スピードを下げます。ギアを一気に下げると駆動輪がロックされたりトラブルや故障の原因となったりするため、1段ずつ下げましょう。 車のスピードが落ちたら、パーキングブレーキをゆっくりかけて車を停止させます。車が停止してすぐにエンジンを切ってしまうとハンドル操作ができなくなるため、エンジンはすぐに切らないようにしましょう。 まとめ べーパーロック現象の原因や対処法について解説しました。 車を安全に走行させるために、運転中はフットブレーキだけではなくエンジンブレーキも活用しましょう。 万一、運転中にペダルを踏んでもスピードが落ちないときは、エンジンブレーキを使って速度を落とし、その後パーキングブレーキをかけてゆっくり車を停止させてください。

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.02.21

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る

高性能スポーツセダンとしてヒットした三菱 6代目ギャランのなかで、フラッグシップモデルとして開発されたVR-4。日産 R32型GT-Rやスバル レガシィRSよりも2年先行して駆動方式に4WDを採用した、国産ハイパワー4WDターボ車の草分け的存在でもありました。 セダンなのに速かったギャラン VR-4のスペックやレースでの戦績、クルマとしての魅力をたっぷりと紹介します。 ラリー参戦も見据えたトップグレードの開発 ギャラン VR-4は、4ドアセダンでありながら最高出力200psオーバーという当時のスポーツカーをも凌ぐスペックを誇っていました。WRC(世界ラリー選手権)への再挑戦に向け、規定改定を見据えて開発されたモデルでもあったためです。 三菱の看板車種ギャランのトップグレード、VR-4がどんなモデルだったのかを詳しく振り返ってみましょう。 VR-4は6代目ギャランで誕生 ギャラン VR-4は、ギャランの6代目へのフルモデルチェンジと共に1987年に生まれました。ギャランは1969年に初代が登場した三菱の主力セダンで、最終的には2015年に販売終了するまでに実に9世代も作られたモデルです。 VR-4はトップグレードに位置づけられ、数々のハイテク装備や名機4G63型エンジンを搭載。先代よりも大柄になった外観も速さを予感させました。 名機4G63エンジンによる抜群の加速力 ギャラン VR-4に採用された2Lの4G63型エンジンにはターボが搭載され、最高出力205ps、最大トルク30.0kg・mを発揮します。さらに、マイナーチェンジごとに改良が繰り返され、1989年登場の中期モデルでは220ps、1990年には240psまで最高出力が引き上げられました。 最高速度223km/h、0-400mを13.92秒という抜群の加速力で、車重1,360kgのセダンながらスポーツカー顔負けの動力性能を誇りました。 ギャラン VR-4主要諸元 エンジン 4G63型直4DOHCターボ 排気量 1,997cc 最高出力 205ps/6,000rpm トランスミッション 5速mT ボディサイズ 全長4,560×全幅1,695×全高1,440mm 車輌重量 1,360kg   三菱ワークス体制でWRCに再挑戦 ギャラン VR-4は、WRCが市販車ベースのグループA規定に変更されることに合わせて開発されました。グループA規定のWRCで活躍した三菱車といえばランサーエボリューション(ランエボ)というイメージですが、実はギャラン VR-4が最初です。 ギャラン VR-4は、1988年から1993年の6年間で6度の優勝を飾ります。本格的なワークス体制となった1989年には、いきなり4戦中2勝を上げます。さらに、1991年のコートジボワールラリーでは、篠塚建次郎選手が日本人初のWRC優勝を手にしました。 シリーズタイトルほどの輝かしい成績とはいかなかったものの、VR-4の活躍こそが同じ4G63型エンジンを積むランエボの開発と三菱のWRCの成功につながったといえます。 国産4ドアスポーツセダンの頂点 ギャラン VR-4はギャランのトップグレードというだけでなく、当時の国産4ドアスポーツセダンでは最高峰ともいえるほど装備が充実していました。また、エレガントなイメージのセダンとは異なる、精悍なボディデザインも6代目ギャランの特徴です。 VR-4に注ぎ込まれた技術と、先代から大幅に変更されたデザインをみていきましょう。 惜しみになく注ぎ込まれたハイテク装備 ギャラン VR-4には、当時の技術が最大限投入されています。目玉は「ACTIVE FOUR」と呼ばれる、性能に大きく影響する先進装備です。4バルブターボエンジン(4VALVE)、先に紹介した4WDに加えて4輪操舵の4WSも装備、さらに4輪独立懸架(4IS)と4輪ABS(4ABS)を備えていました。 また、派生車が数多くリリースされたのも、VR-4の特徴の1つです。VR-4RやVR-4RSといったラリー専用車、WRC RACラリー優勝記念モデルの2.0ターボスーパーVR-4、電動リアスポイラーを採用したVR-4アームド・バイ・ラリーアートといった限定車、特別仕様車が販売されました。 速さを感じさせるボディデザイン 6代目ギャランは、性能面だけでなく外観も先代から大きく変わっています。セダンとしてややコンサバティブな印象の5代目に比べて、速さを予感させるマッシブで力強いスタイリングに進化しました。 複合局面で構成しつつもボディラインは全体に直線基調にまとめられていて、室内空間の快適性を高めた6ライトウィンドウを採用するなど迫力のあるデザインです。内装はシンプルながら機能的にまとめられていて、余分な華飾のないところに三菱のこだわりを感じます。 希少性の高まりを感じさせるVR-4 ギャラン VR-4を大手中古車サイトで検索したところ、販売中の車輌はわずか5台でした。三菱車初のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞し販売台数を伸ばした6代目ギャランですが、販売終了からすでに30年以上が経過しており、現在では希少なモデルです。さらに、VR-4の特別仕様車を探すとなると、至難の業かもしれません。 なお、これだけの希少車だと、購入時以上に売却時の業者選びに気をつける必要があります。市場での流通量が少ないため、仕様によって査定額が変わります。実際、大手中古車サイトでは、169万円から399万円まで販売価格に大きな差がありました。ギャラン VR-4のような希少車を売却する際は、旧車の取り扱いに慣れた経験豊富な専門業者に相談しましょう。

車検証の住所変更をせずに15日過ぎたらどうなる?対応方法を紹介
旧車の魅力と知識 2024.02.20

車検証の住所変更をせずに15日過ぎたらどうなる?対応方法を紹介

住所が変わった場合、15日以内に車検証の住所変更をする必要があります。15日を過ぎると罰金が科せられる可能性もあるため、なるべく早く手続きしましょう。この記事では、15日以内に手続きしなければならない理由や科せられる罰金、期日を過ぎた場合の対応方法などを紹介します。 車検証の住所変更を15日以内に行う必要がある理由 クルマの所有者は以下に変更があった場合、15日以内に変更登録の申請をする必要があると法律で定められています。 ・型式・車体番号・原動機の型式・所有者の氏名・所有者の住所(使用の本拠の位置) 参考:道路運送車両法 第12条 また、車庫飛ばしを防ぐために、車検証の住所変更を行わなければなりません。車庫飛ばしとは、車庫証明書に記載されていない場所で車を保管することです。 本来、自宅から2km以内の駐車場を保管場所として申請しなければなりませんが、駐車場代を節約するために虚偽の申告がされる場合もあります。 たとえば、実際に住んでいる地域ではなく、駐車場代が安い場所に保管するというケースが挙げられます。駐車場代は地域によって異なり、神奈川県の平均価格が1ヶ月あたり約1万6,000円なのに対し、東京都は約3万1,000円です。 また、国が定めた基準を満たしていないディーゼル車は、一定の地域を走行してはいけません。ディーゼル規制を逃れるために、規制がかかっていない地域で車庫証明を取得する行為も禁止されています。 実際に愛知県名古屋市に住んでいるにもかかわらず、規制されていない静岡県浜松市でディーゼル車の車庫証明書を取得し、逮捕された事例もあるため注意しましょう。 参考:「車庫飛ばし」疑いで男逮捕 浜松居住装う 法律に定められている「15日以内」を過ぎたら罰則はある? 法律に定められている「15日以内」を過ぎたら法律違反とみなされ、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 15日を過ぎたらすぐに罰せられるほど厳しくはないものの、車庫飛ばしと判断される可能性もあるため、なるべく早く住所変更をしましょう。 参考:道路運送車両法「第109条 1」 車検証の住所変更をしないとどうなる? 自動車税(種別割)の納付書やリコールの案内は、車検証に記載されている住所へ発送されます。車検証の住所変更をしないと、自動車税の納付書やリコールの案内が旧住所に届いてしまうかもしれません。車検証の住所変更をしない場合に起こり得るトラブルについて詳しく見ていきましょう。 自動車税(種別割)の納付に遅れるおそれがある 自動車税(種別割)の納付書が旧住所に届いた場合、支払い期日を過ぎる可能性が高く、納付が遅れると延滞金を支払わなければなりません。また、自動車税(種別割)を納税していないと車検を受けられなくなるため、公道を走行できなくなります。 リコールに気づかず事故につながる可能性がある リコール通知が届かず、改修が未実施のままだと、事故を起こすケースもあるため大変危険です。このように、車検証の住所変更をしないと、さまざまなトラブルを抱えてしまうため、手続きを怠らないようにしましょう。 15日が経過した場合は速やかに住所変更しよう 車検証の住所変更を忘れて15日以上経過している場合は、なるべく早く住所変更しましょう。すぐ対応することにより、トラブルや罰金を避けられる可能性があります。 自動車販売店では、車検証の住所変更の代行を受け付けている場合が多いです。車の手続きに関するプロである自動車販売店であれば、スムーズに対応してくれるでしょう。引っ越しの手続きや仕事などで時間を確保できない場合は、自動車販売店に代行を依頼してみてください。 車検証の住所変更の方法 速やかに車検証の住所変更を行うために、手続きの詳細を確認しておくことが大切です。車検証の住所変更の必要書類や手続きの場所、流れなどについて詳しく見ていきましょう。 車検証の住所変更に必要な書類 車検証の住所変更に必要な書類は、普通車と軽自動車で異なります。それぞれの必要書類は以下のとおりです。 【普通車】1.新住所を確認できる書類 ※発行から3ヶ月以内2.車庫証明書 ※発行から1ヶ月以内3.車検証4.ナンバープレート前後 ※管轄に変更がある場合5.申請書(第1号様式)6.手数料納付書7.自動車税申告書8.委任状 ※代行を依頼する場合のみ 新住所を確認できる書類として個人は「住民票」、法人の場合は「登記簿謄本(抄本)」が該当します。5〜7は手続き先の窓口で配布しているため、当日に入手しましょう。 また、車庫証明書は警察署で申請してから発行されるまで3〜4日、土日祝日を挟む場合は1週間程度かかることもあります。15日以内に車検証の住所変更するためにも、車庫証明は余裕をもって申請しましょう。 【軽自動車】1.新住所を確認できる書類 ※発行から3ヶ月以内2.車検証3.ナンバープレート前後 ※管轄に変更がある場合4.申請書(軽第1号様式)5.軽自動車税申告書6.申請依頼書 ※代行を依頼する場合 普通車と同様に新住所を確認できる書類として、個人は「住民票」、法人の場合は「登記簿謄本(抄本)」を提出します。 また、軽自動車は原則として車庫証明書が不要です。ただし、保管場所の届出が必要な地域もあるため、各自治体の公式Webサイトを確認してみてください。 保管場所の届出が必要な場合は、住所変更後に管轄の警察署で車庫証明書を取得しましょう。 車検証の住所変更の申請場所 車検証の住所変更は、新住所を管轄する以下の場所で手続きします。 ・普通車:運輸支局・軽自動車:軽自動車検査協会 たとえば、墨田区から千代田区に引っ越した場合、足立ナンバーから品川ナンバーになるため管轄の運輸支局が変わります。新住所を管轄する運輸支局や軽自動車検査協会がわからない場合は、以下から確認しましょう。 ・普通車・軽自動車 運輸支局や軽自動車検査協会の受付時間は、土日祝日を除いた8:45〜16:00までとなっています。また、11:45〜13:00は、昼休み時間帯となるため受付の時間外です。住所変更する際は、平日の受付時間に間に合うよう時間を確保しましょう。 車検証の住所変更にかかる費用 車検証の住所変更にかかる費用は以下のとおりです。 ・変更手数料 350円 ※軽自動車は不要・車庫証明書 2,500円程度 ※軽自動車は500円程度・ナンバープレート代 1,500円程度 変更手数料は運輸支局でかかる費用です。運輸支局内にある窓口で収入印紙を購入して手数料を支払います。 車庫証明書の取得費用は、大きな差はないものの地域によって数百円程度異なります。警察署の窓口で収入印紙を購入し、車庫証明書の取得費用を支払いましょう。 また、管轄の運輸支局や軽自動車検査協会に変更がない場合は、ナンバープレート代が発生しません。ただし、管轄に変更がなくても希望ナンバーや図柄ナンバーにする場合は、別途費用が発生します。 なお、収入印紙による支払いを廃止している運輸支局や警察署もあります。クレジットカードまたはキャッシュレス決済アプリでしか支払えない場合もあるため、事前に調べて準備しておきましょう。 まとめ 車検証の住所変更は、住所が変わってから15日以内に手続きしなければなりません。手続きを怠ると、自動車税の納付書やリコールの案内が旧住所に届くほか、50万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。期限の15日を過ぎないよう、すみやかに手続きしましょう。 また、運輸支局や軽自動車検査協会の受付時間は、土日祝日を除いた8:45〜16:00です。都合がつかない場合は、自動車販売店に手続きの代行を依頼してみてください。

車の名義変更とは?必要書類や手続きの流れ・期限などを紹介
旧車の魅力と知識 2024.02.16

車の名義変更とは?必要書類や手続きの流れ・期限などを紹介

親子間で譲渡した場合や個人売買をした場合は、自分たちで車の名義を変更する必要があります。必要書類を揃えてしかるべきタイミングで手続きしなければならないため、方法や期限などを把握しておきましょう。この記事では、必要書類や手続きの流れ、名義変更の期限などを紹介します。 車の名義変更とは 車の名義変更とは、所有者や氏名が変わったときに行われる手続きのことです。名義変更には2パターンあり、所有者が変わった際は「移転登録」、氏名を変更する場合は「変更登録」の手続きをします。 移転登録と変更登録では、必要書類や手続きの流れに違いがあることに留意してください。 車の名義変更が必要なケース 具体的にどのようなケースで車の名義変更が必要なのか、疑問に思う方もいるでしょう。続いて、名義変更が必要なケースを紹介します。 家族・親子間での譲渡 家族や親子間での譲渡をした際は、車の名義変更が必要です。たとえば、免許を返納した祖父や父から車を譲渡してもらった場合です。 中古車を販売店で購入した場合は店舗のスタッフが名義変更を代行しますが、個人間の譲渡では基本的に新所有者が手続きする必要があります。なお、家族や親子間での譲渡は移転登録に該当します。 個人売買 個人売買で車を入手したときも、名義変更が必要です。たとえば、知人から車を買ったときや、フリマアプリで中古車を購入した場合などです。 また、知人やフリマアプリで車を売却した場合も相手名義に変更しなければなりません。名義変更をしないとさまざまなトラブルが起きる可能性があります。 トラブルを避けるためにも、引き渡し後に買い手側がきちんと名義変更したかどうか、しっかり確認するとよいでしょう。なお、個人売買での名義変更も移転登録に該当します。 氏名変更 婚姻や養子縁組などにより、氏名が変わったときも車の名義変更が必要です。法人名義の場合は、会社名が変わったときに手続きを行います。 氏名変更は所有者の名前を変更するだけのため、移転登録ではなく変更登録に該当します。 相続 車を相続した場合も名義変更が必要です。たとえば、祖父が使っていた車を相続したケースがあげられます。 ただし、祖父が使っていたとしても車のローンが残っている場合は、クレジット会社が所有者のケースもあります。所有者がクレジット会社の場合は名義変更前に「所有権解除」の手続きをしなければなりません。 所有権解除とは、残っているローンを完済し、所有者をクレジット会社から購入者に変更する手続きのことです。所有権解除を行わないうちは所有権がクレジット会社にあるため、自由に車の名義を変更できません。 クレジット会社に相続する旨を伝えて、所有権解除の案内をしてもらいましょう。なお、相続した車を名義変更するときは移転登録をします。 車の名義変更の必要書類 名義変更の必要書類は、移転登録と変更登録で異なります。普通車と軽自動車でも異なるため、該当する書類を用意しましょう。 新所有者が移転登録するときに必要な書類は、以下のとおりです。 ■普通車1.新所有者の印鑑証明書2.新所有者の実印3.車庫証明(警察署に申請・証明した日から40日以内のもの)4.前所有者の印鑑証明書5.前所有者の委任状6.譲渡証明書7.車検証8.OCRシート 第1号様式9.手数料納付書10.自動車税申告書 事情により前所有者が手続きするときは、新所有者の実印が押印された委任状を用意する必要があります。 ■軽自動車1.新所有者の住民票2.車検証3.OCRシート 軽第1号様式4.軽自動車税申告書5.申請依頼書 申請依頼書は、普通車の委任状と同等の書類です。前所有者が手続きするときは、新所有者が署名した申請依頼書が必要なため、忘れずに用意しましょう。 なお、OCRシートや手数料納付書、税申告書は手続きする場所で入手できるため当日に記入しましょう。 車の名義変更の手続きの流れ 名義変更は新所有者の住所を管轄する「運輸支局」で手続きします。軽自動車の場合は「軽自動車検査協会」で手続きする必要があるため、混同しないようにしましょう。 続いて、普通車と軽自動車それぞれの手続きの流れを紹介します。 普通車 普通車の手続きの流れは、以下のとおりです。 1.必要書類を準備する2.必要書類と車を運輸支局に持ち込む3.申請書や手数料納付書などを入手して記入する4.整備振興会の窓口で手数料分の収入印紙を購入する5.手数料納付書に収入印紙を貼り付ける6.検査登録事務所の窓口で必要書類を提出する7.名義変更後の車検証を受け取る8.自動車税事務所の窓口で税申告をする9.ナンバーセンターで旧ナンバープレートを返却する10.封印取付所で新ナンバープレートを取り付ける 前所有者と新所有者で管轄の運輸支局が異なる場合は、ナンバープレートを変える必要があります。たとえば、以下の場合にナンバープレートが変わります。 前所有者:東京都八王子市在住  (八王子自動車検査登録事務所)新所有者:東京都立川市在住 (多摩自動車検査登録事務所 ) 管轄の運輸支局が異なるかどうかは、こちらから確認できるため、手続きする前にチェックしておきましょう。なお、氏名変更による変更登録を行う場合、9と10は省略されます。 軽自動車 軽自動車の手続きの流れは以下のとおりです。 1.必要書類を準備する2.必要書類を軽自動車検査協会に持ち込む3.申請書や軽自動車税申告書を入手して記入する4.窓口に必要書類を提出する5.名義変更後の車検証を受け取る6.地方税の窓口で税申告をする7.旧ナンバープレートを返却する8.新ナンバープレートを受け取って取り付ける 普通車と軽自動車の大きな違いは、車を持ち込む必要があるかどうかです。軽自動車はナンバープレートの封印が不要なため、車を持ち込む必要がありません。 流れについて不安がある場合は、「総合窓口」で手続きの案内をしてもらいましょう。管轄の軽自動車検査協会がわからない場合は、こちらから確認できるため手続きの前にチェックしてください。なお、氏名変更を行う場合は7と8が省略されます。 車の名義変更の費用 名義変更したときに発生する費用は以下のとおりです。 ・車庫証明 2,500〜2,900円程度 ※地域によって異なる・申請手数料 500円 ※変更登録は350円・ナンバープレート代 1,500円程度 軽自動車の場合は車庫証明の費用と手数料が不要です。ただし、名義変更後に車の保管場所の届出が必要な地域もあります。 必要な場合は、新所有者の住所を管轄する警察署で車庫証明の申請や、保管場所の届出を行う必要があります。軽自動車の車庫証明の費用は500〜600円です。保管場所の届出が必要かどうかは、各自治体の公式Webサイトで確認しましょう。 また、運輸支局によっては収入印紙による支払いを廃止しているケースもあります。クレジットカードやキャッシュレス決済アプリで、名義変更にかかる手数料を支払いましょう。 氏名変更による変更登録は、ナンバープレート代と車庫証明が不要なため、かかる費用は350円です。 車の名義変更の期限 名義変更の期限は、変更があってから15日以内と道路運送車両法で定められています。氏名に変更があった場合も、15日以内に名義変更しなければなりません。 所有者や氏名に変更がある場合は、なるべく早く名義変更しましょう。 なお、名義変更は自動車販売店や行政書士に代行を依頼できます。各業者は車の手続きに精通しているため、スムーズに名義変更してもらうことが可能です。期限内に名義変更できない場合は、各業者に代行を依頼しましょう。 参考:道路運送車両法「第12条」「第13条」 車の名義変更をしないとどうなる? 名義変更を期限内に手続きしないと、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 自動車税は4月1日時点の所有者に課せられる税金のため、名義変更しないと前所有者が納税義務者となります。自動車税の納付書も前所有者の住所に届くため、誰が支払うかでトラブルに発展するかもしれません。 なお、名義変更しないと新所有者が違反をした場合、前所有者に違反金が科せられる可能性があります。たとえば、新所有者が速度違反や駐車違反などの違反行為をした場合です。 現行犯でなければ、車の登録情報をもとに特定するため、前所有者が違反者として扱われる可能性があります。罰則やトラブルを避けるためにも、必ず期限内に名義変更しましょう。 参考:道路運送車両法「第109条」 まとめ 車の名義変更は、所有者や氏名に変更があったときに行なう手続きです。必要書類を揃えて、新所有者の住所を管轄する以下の場所で手続きします。 ・普通車……運輸支局・軽自動車……軽自動車検査協会 所有者や氏名に変更があってから15日以内に手続きしないと、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。前所有者と新所有者の間にトラブルが発生する可能性もあるため、すみやかに名義変更をしましょう。

エンジンブレーキの正しい使い方とは?メリットや適したシーンを詳しく解説
旧車の魅力と知識 2024.02.16

エンジンブレーキの正しい使い方とは?メリットや適したシーンを詳しく解説

エンジンブレーキを正しく使えば、スムーズな運転が実現します。しかし、正しい使い方の具体的な方法、間違った使い方について、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、エンジンブレーキの正しい使い方や、適切な使用によって得られるメリットについて詳しく解説します。さらに、エンジンブレーキを使うべきシーンや、間違った使い方がもたらす問題点にも触れるため、運転の安全性と快適性の向上に役立ちます。ぜひ最後までご覧ください。 エンジンブレーキとは エンジンブレーキは、車の速度を落とす技術の1つです。アクセルペダルから足を離すことでエンジンの回転数が落ち、その際に生じる抵抗力で減速する現象をエンジンブレーキといいます。足で踏むフットブレーキとは異なり、ブレーキパッドやディスクへの負担が少ないという特徴もあります。 アクセルから足を離すとガソリンを使わないため、速度が落ちるだけではなく燃費向上の面でも有効な方法です。さらに、フットブレーキよりも緩やかな速度調整によって、同乗者も快適に過ごせるでしょう。 また、アクセルペダルから足を離したあとにシフトダウンすると、エンジン回転数が上がるため、より強い制動力が発生します。 なお、シフトダウンをMT車やAT車ではなく、CVT搭載車で行なう場合は「Sレンジ」にすると、「Dレンジ」よりもエンジンブレーキが強くかかります。山道や高速道路など、長い下り坂での速度制御や、フットブレーキの多用を避ける場合に適した方法です。 「ブレーキ」と一言でいっても以下3つの種類があります。 ・足で踏むブレーキは「フットブレーキ」・エンジンの力を使うのは「エンジンブレーキ」・車を完全に止めるのは「ハンドブレーキ」 エンジンブレーキの正しい使い方 AT車ではDやSにギアを入れたまま、MT車ではN以外にギアを入れたまま、アクセルペダルから足を離します。エンジンブレーキはフットブレーキよりも緩やかです。 また、速度が速い状態で必要以上にシフトダウンしてしまうと、エンジンに大きな負担がかかるため、車に悪い影響を及ぼす可能性もあります。 なお、エンジンブレーキはブレーキランプが点灯しない点で後続車への配慮が必要です。必要に応じて、フットブレーキで速度を落とす意志を示しながらエンジンブレーキを使うと、追突事故のリスクを軽減できます。 エンジンブレーキの正しい使い方をステップでおさらいしておきましょう。 ・アクセルペダルから足を離す・ギアを下げる場合:AT車はセカンドやロー、MT車はギアを1速ずつ落とす、CVT車はSレンジ・必要に応じてフットブレーキも使う エンジンブレーキの間違った使い方 エンジンブレーキは緩やかな速度調整に便利ですが、常に使うのは間違いです。なぜなら、エンジンブレーキを使うとエンジンやミッションへの負担や故障が高まるためです。エンジンの回転数が上がっている状態が続くとそれだけエンジンに負担がかかってしまい、最悪の場合は故障してしまいます。 また、エンジンブレーキは、フットブレーキのようにブレーキランプが点灯しないため、後続車が速度を落としていないことに気付きにくい点にも注意が必要です。十分な車間距離が取られていない場合、追突されるリスクがあります。 エンジンブレーキをメインとするのではなく、あくまで補助的な役割にとどめて、足で踏むフットブレーキとの併用が必要なものと認識して使うようにしましょう。 エンジンブレーキを正しく使うメリット ここからは、エンジンブレーキを正しく使うことで得られる3つのメリットを解説します。 フェード現象のリスクを抑えられる エンジンブレーキによって、ブレーキの効きが弱くなる「フェード現象」の発生防止につながります。足で踏んでかけるフットブレーキは、長時間使うとタイヤとボディの間にあるブレーキパッドが過熱してしまい、ブレーキを踏んでいるのに止まらない状態になってしまいます。この状態が「フェード現象」です。 特に山道は下り坂が長く、角度も急なためフェード現象が起こりやすい環境といえます。なお、ブレーキの熱が下がれば、フェード現象が発生したとしても通常の状態に復活します。エンジンブレーキを適切に使ってブレーキへの負担が減る運転を心がけましょう。 べーパーロック現象のリスクを抑えられる エンジンブレーキを適切に利用することで、ブレーキが効きにくくなる「ベーパーロック現象」のリスクを低減できます。ベーパーロック現象の原因は、ブレーキによる摩擦熱が原因でブレーキオイルが沸騰することです。 ブレーキオイルが沸騰すると、ブレーキペダルからの圧力がタイヤに伝わりにくくなり、ブレーキをかけているのに車が止まらない状態になってしまいます。 フットブレーキの多用によってブレーキオイルを過熱させないためにも、エンジンブレーキの適切な活用が重要です。 燃費が上がる エンジンブレーキを使う間はアクセルから足が離れており、ガソリンを使わず走行できるため自然と燃費が向上します。 エンジンブレーキを使う間はガソリンを使わない燃料カット機構がついている車種が多く、燃費向上に貢献します。特にハイブリッド車や電気自動車であればバッテリーの充電にも役立つため、さらなる燃費向上につながるでしょう。 エンジンブレーキを使うのに適したシーン エンジンブレーキを使ったほうがいい3つのシーンを紹介します。これからの運転で気にかけるとメリットが感じられるでしょう。 高速道路 緩やかな速度調整が必要な高速道路は、エンジンブレーキが有効です。渋滞に直面したときの速度調整や、サービスエリアでの利用がよくあるシーンとして想定されるでしょう。 高速道路でフットブレーキを使うと、急な減速やブレーキランプの視覚的な部分で、周りの車のストレスになる可能性が考えられます。エンジンブレーキはそのようなリスクがないため、高速道路での利用に適している点がメリットです。 信号付近 街中の信号付近の停止場面でも、エンジンブレーキは役立ちます。高速道路ほど速度が出ていないためエンジンへの負荷が少なく、スムーズな停止が可能です。 意外に青信号から赤信号へ切り替わる際の速度調整は、気を遣う場面といえます。特に初めて通る道ではタイミングが難しく、停止線から出てしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。 停止線からはみ出さずに停止するためには、エンジンブレーキを併用した緩やかなブレーキが有効です。また、アクセルから足を離すタイミングも早くなるため、燃費向上にも役立ちます。 ブレーキパッドの摩耗も少なくなるため、ブレーキ自体の寿命も伸びます。車検や定期点検などで、出費が抑えられるという効果にも期待できるでしょう。 下り坂 急な下り坂や長い下り坂は、エンジンブレーキが有効な場面です。フットブレーキだけを使ってしまうと、ブレーキが効かなくなるフェード現象やベーパーロック現象のリスクがあります。 エンジンブレーキを使うと緩やかに速度が落ちて、ハンドルのコントロールもしやすくなります。ブレーキへの負担を過度に恐れて、スピードを落としきれずに事故になってしまっては本末転倒です。ブレーキは走行する際の風で冷やせるため、心配する必要はありません。 フットブレーキの適切な使用によって運転の安全性が高まるため、下り坂はエンジンブレーキを積極的に併用するようにしましょう。 まとめ エンジンブレーキは、適切に使えばブレーキの負担を減らしながら、安全運転にも役立つ機能です。また、ブレーキが効かなくなるフェード現象やベーパーロック現象の防止にも効果的です。 使えるシーンは、高速道路から街中の運転までさまざまです。エンジンブレーキの正しい活用によって、安全運転につながるだけではなく、燃費を向上させたり車の部品を長持ちさせたりといった経済面にも貢献します。ぜひ、エンジンブレーキを運転に取り入れてみてください。

マツダ R360クーペは超低価格を実現した大衆の味方! 先進技術も注ぎ込まれたクルマとしての魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.02.15

マツダ R360クーペは超低価格を実現した大衆の味方! 先進技術も注ぎ込まれたクルマとしての魅力に迫る

小型で低価格ながら、クルマとしての完成度が高かったマツダ R360クーペ。王者スバル360が先行するなか、発売年にはシェアを奪うほどの大ヒット車となりました。 マツダ初の乗用車にも関わらず、軽自動車初の技術も盛り込まれた革新的なR360クーペの歴史と魅力をみていきましょう。 マツダ初の乗用車は超低価格モデル R360クーペは、マツダが初めて開発した乗用車です。トラックの開発経験しかなかったマツダは、自動車メーカーとして乗用車の開発に乗り出します。軽自動車規格の大衆車という価格とサイズに制約のあるなかでの開発でしたが、R360クーペはマツダらしいというべき革新的なモデルでした。 まずは、R360クーペの開発背景を詳しく振り返ってみましょう。 国民車構想に呼応する形で開発 通産省(現在の経済産業省)の抱いていた国民車構想が、1955年にリークされる形で新聞報道されます。マツダは「ピラミッドビジョン」という所得に応じた新車開発構想を掲げ、まずは最下層の大衆車の開発に乗り出すことを決断しました。 国民車構想のなかでマツダが軽自動車専門メーカーと位置づけられていたこともあり、 軽自動車規格の大衆乗用車の開発に着手します。そして1960年に登場したのが、2+2シーターのR360クーペでした。 驚くべき低価格を実現して大ヒットを記録 R360クーペは、当時としても破格の30万円で販売されました。同規格の大衆車として王者に君臨していた、スバル360の販売価格42万5千円から30%近くもの低価格化を実現。結果的に、1960年の軽自動車生産シェアの6割以上を占める大ヒットを記録しました。 「国民車構想」「大衆車」というコンセプトのもとで開発されただけに、低価格の実現はマツダにとって譲れない部分だったのでしょう。4シーターの居住性にこだわったスバル360に対して、2+2シーターという割り切った開発思想に加え、徹底したコストカットを図りました。また、コンピュータで生産管理を行うという当時最先端の工場で効率よく生産されたことも、低価格を実現した一因かもしれません。 先進技術を盛り込んで妥協なく作り込まれたR360クーペ R360クーペの開発リーダーは、のちにロータリーエンジンの実用化に成功し「ミスター・ロータリー」とも呼ばれる山本健一氏でした。徹底的なコストカットを図る一方で、エンジンやサスペンションといった性能の根幹に影響する部分は妥協なく作り込まれています。また、小型でも十分な走行性能を発揮するよう、徹底した軽量化がされていた点もR360クーペの特徴です。 R360クーペのクルマとしての魅力をみていきましょう。 先進技術を盛り込んで作り込まれていた R360クーペのエンジンは、356ccのV型2気筒エンジンです。ベースのエンジンははすでに軽3輪車で使用されていましたが、シリンダーブロックやクランクケースといった主要パーツをアルミ合金化。さらに動弁系や補機類にマグネシウム合金を使用するなど、徹底した軽量化が図られました。また、軽自動車に4サイクルエンジンを搭載していた点も、当時としては画期的でした。 さらに、「クーペ」という車輌コンセプトにふさわしく、サスペンションは4輪独立懸架方式を採用。単に安価で軽量なだけではなく、走行性能にも可能な限り力を尽くした、山本健一氏をはじめとするマツダ開発陣のこだわりが詰まったモデルといえるでしょう。 軽自動車初のATを採用 R360クーペには、軽自動車として初めて2速AT(オートマチックトランスミッション)が搭載されました。価格面も4速MTに比べてわずか2万円の上昇に抑え、「誰もが運転できる」という大衆車のコンセプトをトランスミッションでも体現していました。 日本で初めてAT車が登場したのが1958年ということを考えると、わずか2年で低価格の大衆車にATを搭載したことは大変画期的だといえます。 マツダ創立100周年記念モデルのモチーフになった マツダは2020年に創立100周年を迎えた際、当時販売していた全車種に記念モデルを設定しました。その際にデザイン的なモチーフとしたのが、R360クーペです。どのモデルも、Lパッケージに対して11万円プラスという価格設定でした。 100周年記念車では、R360クーペのカラーリングをうまく現代のモデルに取り入れました。一方で、当時の色をそのまま採用するのではなく、時代背景に対する解釈を加えて100周年記念車にふさわしい上質さを表現しています。 R360クーペのボディカラーは、やや黄味がかったアルペンホワイトでしたが、当時の量産技術では白の再現に限界があったのではないかと解説。100周年記念車では、スノーフレイクホワイトパールマイカをボディカラーとしました。また、ルーフと内装に使用されていたマロンルージュカラーは、マツダ3に使用されていた同系色のバーガンディをシートやフロアマットといった内装に使用しています。 随所にR360クーペを感じる100周年記念車を販売全車種に用意したのは、マツダにとってもいかに重要な車種だったのかがうかがい知れます。 希少車に買取価格をつけるのは実は難しい 歴史的価値の高いR360クーペの生産時期は、1960年から1969年までです。大ヒットを記録し、9年間も生産されていたものの、すでに生産終了から50年以上が経過しています。特に、安価な大衆車だったということもあり、状態のよい個体はほとんど残っていません。 一般的には、希少であれば高く売れるイメージがあります。しかし、実は希少車に買取価格をつけるのは、簡単なことではありません。クルマの状態の見極めはもちろん、市場での価値を正確に把握しておく必要があるためです。R360クーペのようにクルマ自体の性能が高いわけではない大衆車は、さらに査定を難しくします。妥当な買取価格で売却するためには、旧車王のように旧車の買取実績の豊富な専門業者に相談しましょう。  

メルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデスAMG」とは?特徴や歴史などを解説
旧車の魅力と知識 2024.02.13

メルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデスAMG」とは?特徴や歴史などを解説

高級車ブランドとして有名なメルセデス・ベンツには、高性能モデルをラインナップするサブブランド「メルセデスAMG」があります。今回は、メルセデスAMGがどのようなブランドなのか、特徴や歴史などについて解説します。また、注目の旧車も合わせて紹介するので、メルセデスAMGを検討中の方は参考にしてみてください。 メルセデス・ベンツのサブブランド「メルセデスAMG」とは メルセデスAMGは、メルセデス・ベンツの中でも高性能モデルを展開するサブブランドです。メルセデスAMGには、どのような特徴があるのでしょうか。メルセデスAMGをより深く知るために確認しておきたいブランドの特徴や歴史などを紹介します。 特徴 メルセデスAMGは、「究極のハイパフォーマンス」を追求するメルセデス・ベンツのサブブランドです。 モータースポーツの現場で培った独自技術を惜しみなく投入した高性能モデルを展開しており、スポーツカーでありながら日常の快適性と高い安全性を両立していることがメルセデスAMGの特徴です。 歴史 1967年に、「メルセデスAMG」の起源の「AMG社」が誕生しました。ブランド名の「AMG」は、創立者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Aufrecht)、パートナーのエバハルト・メルヒャー(Melcher)、アウフレヒトの出生地グローザスパッハ(Grossaspach)の頭文字からとられています。 創業当初はメルセデス・ベンツの市販車をベースに、独自改良を施したレーシングマシンを製造していました。 AMGの名が全世界に知られるようになったのは、1971年のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースです。スパ・フランコルシャン24時間耐久レースでは、メルセデス・ベンツ300SEL 6.8 AMGが快走し、クラス優勝を飾り、総合順位2位を獲得。このことをきっかけに、AMG知名度がアップしました。 1988年からはメルセデス・ベンツとパートナーシップを組み、モータースポーツ活動で培ったレーシングカーテクノロジーとメルセデス・ベンツの最先端技術を結集し、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルの開発とエンジンの生産を行っています。 2014年にメルセデス・ベンツのサブブランドとなり、社名を「AMG」から「メルセデスAMG」に変更しました。メルセデス・ベンツのサブブランドになってからもAMGの哲学は受け継がれ、AMGの象徴のひとつでもあるひとりのマイスターが最初から最後まで1基のエンジンを手作業で組み上げる「One man - one engine」もこれまでどおり引き継がれています。 エンブレム メルセデスAMGのエンブレムは、月桂冠とリンゴの木とエンジンのバルブ&カムで構成されています。それぞれの意味は次のとおりです。 月桂冠:トロフィーの代わりに優勝者に贈られるもの。レースに勝つことを意味しているリンゴの木:本社のアファルターバッハのことを指しているエンジンバルブ・バルブスプリング・カムシャフト:エンジンの開発・技術に特化していることを意味している リアの左側にはAMGロゴが、右側にはモデルを示すアルファベットと出力相当の数字が付けられています。 メルセデスAMGと通常モデルの違い メルセデスAMGの大きな特徴は、通常のメルセデス・ベンツとは一線を画した性能を持つ点です。 高出力エンジンをはじめ、エンジンの性能に耐えられるブレーキ・サスペンション・タイヤ、空力性能に優れるパーツが取り付けられています。内装は、スポーティなシートやパーツを使いながらも、メルセデス・ベンツの上質さを兼ね備えているインテリアに仕上がっています。 メルセデスAMGで注目の旧車 メルセデスAMG(旧AMG)で注目すべき旧車を紹介します。 メルセデスAMG A45 4MATIC メルセデスAMG A45 4MATICは、Aクラス初のハイパフォーマンスモデルとして、2013年に日本で発売されました。 A45 AMG 4MATICのエンジンは、360psを発生するAMG 2.0L 直列4気筒直噴ターボエンジンで、可変トルク配分型のAMG 4MATIC(四輪駆動)を組み合わせることで、ダイナミックなドライビングを可能としています。 メルセデスAMGのブランドスローガン「ドライビングパフォーマンス」を体現したコンパクトなモデルとして注目の1台です。 SLS AMG ロードスター SLS AMG ロードスターは、メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルを手がけるメルセデスAMG初の専用モデルとして、開発されたスーパースポーツカーです。 メルセデス・ベンツの伝説的スポーツカー「300 SL ロードスター」のアイコンでもあるロングノーズ&ショートデッキを現代流にアレンジした圧倒的な存在感を放つスタイリングも魅力となっています。Zシェープに折りたたまれるファブリックソフトトップは11秒で開閉し、50km/hまでであれば走行中の操作も可能です。 特筆すべきは、571psのパワーを発生させるメルセデスAMG独自開発のハイパフォーマンスエンジン「M156」6.3L V型8気筒エンジンを搭載していることです。優れた性能を発揮するエンジンや軽量高剛性なアルミニウムスペースフレームボディ構造などにより、0-100km/h加速3.8秒、最高時速317km/h(電子リミッター作動)を実現しています。 メルセデスAMG C63 メルセデスAMG C63は、メルセデス・ベンツ CクラスをベースにメルセデスAMGがチューニングを施した高性能モデルです。扱いやすいボディサイズのCクラスにV型8気筒エンジンを搭載したC63は、スポーツカー並みのパフォーマンスを発揮しながらも、日常使いしやすいボディサイズとなっていることが特徴です。 V型8気筒エンジンを搭載するCクラスベースのAMGは、4代目(W205)までです。メルセデスAMGの優れたパフォーマンスを凝縮したV型8気筒エンジンを搭載するC63は、歴史に残る名車の1つといえるでしょう。 メルセデスAMGが向いている人 メルセデスAMGは、高性能でありながらメルセデス・ベンツらしい高級感を併せ持つ車です。 高級車に乗りたいという希望と高性能なスポーツモデルに乗りたいという要望を同時に叶えてくれるブランドであるため、高級スポーツカーを欲しい方におすすめのモデルといえるでしょう。 また、車のリセールを気にする方もメルセデスAMGがおすすめです。メルセデスAMGは、高性能で高級感がある車となっているため、リセールバリューがよい傾向がみられます。手放すときのリセールバリューがよい高性能高級車に乗りたい方もメルセデスAMGを検討するとよいでしょう。 まとめ メルセデスAMGは、高性能車に特化したメルセデス・ベンツのサブブランドです。ハイパフォーマンスでありながらラグジュアリーな世界観を持つメルセデスAMGは、高級車にも高性能モデルにも乗りたいという要望を同時に叶えてくれるブランドとなっています。メルセデスAMGは、1台でさまざまな側面を見せてくれる特異な車といえるでしょう。

マツダ ファミリア ロータリークーペは最強の大衆車?! ロータリーエンジン搭載車種として選ばれた理由と魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.02.08

マツダ ファミリア ロータリークーペは最強の大衆車?! ロータリーエンジン搭載車種として選ばれた理由と魅力に迫る

小型大衆車でありながら、スポーツカー並みの動力性能を誇るマツダ ファミリア ロータリークーペ。コスモスポーツに続いて、量産型ロータリーエンジン搭載モデルに選ばれたのは、大衆車として地位を確立していたファミリアでした。 当時最高の技術で作られたスポーツエンジンと大衆車という意外な組み合わせですが、ファミリア ロータリークーペは欧州レースで活躍して高い実力を証明します。ファミリアにロータリーエンジンを搭載したマツダの思惑も含めて、当時を振り返ってみましょう。 世界2台目のロータリーエンジン搭載車は小型大衆車 ロータリーエンジンが搭載された世界初の量産車はコスモスポーツですが、次の搭載モデルとして選ばれたのが小型大衆車のファミリアでした。夢のエンジンとまでいわれた最新エンジンをいきなり大衆車に搭載するのは、一見不釣り合いで大胆な決断に思えます。しかし、ロータリーエンジンの普及を目指すマツダとしては、当然の選択だったのかもしれません。 まずは、ファミリア ロータリークーペが誕生した経緯を振り返ってみましょう。 ロータリゼーションへの第一歩はファミリアへの搭載 当時「ロータリゼーション」という言葉まで生み出して、マツダは実用化したロータリーエンジンの普及を目指していました。そして、コスモスポーツに続くロータリーエンジン搭載車として、1968年にファミリア ロータリークーペを発売。大衆車への搭載は、ロータリーエンジンをより身近に感じてもらう狙いがあったのではないしょうか。 ファミリア ロータリークーペは、1967年のフルモデルチェンジで登場した2代目ファミリアのラインナップに追加される形でその姿を現しました。しかし、実は開発当初、ロータリーエンジンの搭載予定はなかったといわれています。しかし、ロータリゼーションへの第一歩として、クーペタイプとしてレシプロエンジンを搭載する予定だったファミリア1200クーペのシャシーを流用し、大幅に強化してロータリーエンジンを搭載しました。なお、ファミリア ロータリークーペの発売から3ヶ月遅れて、レシプロエンジンを搭載したファミリア1200クーペも登場します。 小型車だからこそ恩恵が大きかった ロータリーエンジン最大の特徴は、小型軽量ながらハイパワーを生み出せることです。小型車のファミリアに搭載したことで、ロータリーエンジンのよさが最大限引き出されました。最高速度は180km/hに達し、0-400m加速はわずか16.4秒という俊足振りを発揮します。 ファミリア ロータリークーペのロータリーエンジンは、1ローターあたり491ccの2ローター式です。1Lにも満たないわずか982ccの排気量で、最高出力100ps、最大トルク13.5kgf・mを発生させます。さらに、軽量なファミリアのプラットフォームに搭載したことで、国内トップクラスの動力性能を実現しました。 レースでロータリーエンジンの信頼性をアピール ロータリーエンジンの耐久性能を世界にアピールしたいマツダは、欧州の長距離レースへの参戦を決めます。発売翌年の1969年に開催されたシンガポールGPでは、200psのレーシング仕様のファミリア ロータリークーペで見事優勝。どのメーカーも量産化にこぎつけられなかった、ロータリーエンジンの実力の高さを証明しました。 さらに、1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースには4台を出場させ、21時間目までトップを快走して速さを見せつけます。残念ながら残り3時間でエンジントラブルやアクシデントに見舞われたものの、残った1台は5位入賞。甲高いロータリーサウンドが、欧州のファンの心に印象強く残りました。 ロータリーエンジン以外にもこだわって開発されたファミリア ロータリークーペ ファミリア ロータリークーペの魅力は、ロータリーエンジン搭載モデルという点だけに留まりません。エンジンスペックを最大限発揮すべく、細部までこだわって開発されました。 また、スポーツモデルにふさわしく、内装もかなり作り込まれています。ここからは、ファミリア ロータリークーペのクルマとしての魅力を紹介します。 作り込まれたボディがハイパフォーマンスを後押し ファミリア ロータリークーペのボディは、風洞実験を重ねてデザインされています。わずか805kgという車重と空力特性に優れたスタイリングによって、2Lクラスに匹敵する加速性能を実現しました。また、高出力化に合わせてシャシー各部はもちろん、サスペンションやブレーキも強化されています。 ファミリア ロータリークーペに搭載されたロータリーエンジンは、コスモスポーツの同型の10A型だったものの、あくまでも大衆車という位置づけから使いやすさを重視した設計に変更されていました。最高出力は、コスモスポーツの128psから30%近くも低い100psにまでデチューンされています。しかし、最高速度180km/hを発揮する性能を維持しているのは、エンジン以外の部分も作り込まれていたからこそでしょう。 スポーティなT字型パネルが特別感を演出 ファミリア ロータリークーペは、スポーティーカーとしてベースモデルとは異なるインテリアに仕上げられていました。特徴的なのはT字型のインパネで、シフトノブまで一体となった大型のセンターコンソールがスポーティさを高めています。 センターコンソールには燃料計、油圧計、時計の3連メーター、さらにメーターパネルは大型の速度計と回転計が存在感をアピール。エアアウトレットにも円形のデザインを採用するなど、まさにスポーティ車にふさわしいインテリアデザインに仕上がっています。 高級車や特別仕様車に限らない旧車の魅力 ファミリア ロータリークーペは、最高級の内装や他車を寄せ付けないほどの動力性能を誇ったモデルではありませんが、世界で初めてマツダが量産化に成功した、ロータリーエンジンを搭載した大衆車というユニークなモデルです。 また、同等性能の日産 スカイライン2000GTよりも20%近く(当時の価格で16万円程度)安かったことを考えると、ファミリア ロータリークーペがいかに優秀なモデルだったかがわかります。 大衆でも世界唯一のエンジンを手にできたファミリア ロータリークーペは、スペックや内装の豪華さだけでは測れない価値のあるモデルです。発売から半世紀以上経過しているために中古車市場ではほとんど見かけませんが、興味をもった方はぜひ根気強く探してみてください。 一方、ファミリア ロータリークーペを売却する際は、必ず専門業者に相談することをおすすめします。歴史的価値の高い車種であることは間違いありませんが車格的には大衆モデルで、しかも流通量が少ないためノウハウの少ない中古車業者では正しく査定することが困難です。希少車の価値を正しく見極めてもらうには、旧車の買取実績の豊富な専門業者に依頼しましょう。

世界限定499台の希少車! フェラーリ スクーデリア スパイダー 16Mを徹底紹介
旧車の魅力と知識 2024.01.30

世界限定499台の希少車! フェラーリ スクーデリア スパイダー 16Mを徹底紹介

世界にわずか499台しか存在しない特別車、フェラーリ スクーデリア スパイダー 16M。フェラーリの運営するレーシングチーム「スクーデリア」の名を冠したモデルだけに、単なる特別車の域を超えて走行性能にもこだわって開発されました。 今回は、スクーデリア スパイダー 16Mが制作された理由も含めて、その魅力を徹底的に紹介します。 特別な2台を組み合わせたスクーデリア スパイダー 16M スクーデリア スパイダー 16Mはゼロから開発された新モデルではなく、販売台数限定の特別仕様車です。しかし、ただ記念エンブレムを貼り付けたとか、内装のカラーリングを変えたといったレベルではなく、究極の1台ともいえるほど作り込まれています。 F430スパイダーとスクーデリア 430を高次元で融合させて誕生した、スクーデリア スパイダー 16Mの開発背景を振り返っていきましょう。 フェラーリのコンストラクターズタイトル獲得記念モデル スクーデリア スパイダー 16Mは、2008年のF1シリーズでフェラーリがコンストラクターズタイトルを獲得したことを記念して制作されました。翌2009年に499台の限定モデルとして販売され、日本国内に正規輸入されたのはわずか50台のみといわれています。 ベース車輌はF430のオープンモデル、F430 スパイダー。徹底した風洞実験を行うなど、オープンボディながらオリジナルモデルと遜色ないほどに性能の高さを追求したモデルです。徹底的に作り込まれたクルマをベースにしていることからも、スクーデリア スパイダー M16にかける情熱の強さがうかがえます。 さらに、同じくF430をベースに製造されたスクーデリア 430のテクノロジーを組み込み、性能を飛躍的に向上させている点も大きな特徴です。まさに、記念モデルにふさわしい、フェラーリ究極のモデルといえます。 あのシューマッハが鍛え上げたスクーデリア 430 スクーデリア スパイダー 16Mの性能を大幅に向上させた要因は、スクーデリア 430の革新的な技術を数多く取り入れたことです。実際、スクーデリア スパイダー 16Mは、スクーデリア 430と同じく最高出力510psを発揮します。 スクーデリア 430は、直線で速いだけのただのハイパワーマシンではありません。技術革新の手を緩めることなく、どんなシチュエーションでも速く走れるように仕上げられています。例えば、F430に初めて搭載されたE-DIFF(電子制御デフ)に、F1-TRACと呼ばれるトラクションコントロールシステムを統合。E-DIFF2に進化させ、コーナー脱出速度を従来比で40%も向上させました。 そして、スクーデリア 430が特別なクルマである最大の理由は、F1で揺るぎない実績を残すミハエル・シューマッハが深く関わって開発されたことです。車のポテンシャルを最大限引き出すべく、テスト走行を重ねてスクーデリア 430を鍛え上げました。 これだけこだわって開発されたスクーデリア 430の技術が、スクーデリア スパイダー 16Mに惜しみなく投入されています。 フェラーリ史上最速で特別なオープンスポーツ とことん性能にこだわって開発されたスクーデリア スパイダー 16Mは、フェラーリ史上最速のオープンスポーツです。事実、フェラーリのテストコース「フィオラノ」で、「フェラーリのオープンスポーツ史上最速のラップタイムを刻んだ」と発表されています。 圧倒的な性能の影に隠れがちになってしまう記念モデルとしての魅力も含めて、スクーデリア スパイダー 16Mを紹介します。 オープンモデルなのに妥協のない高い走行性能 走る喜びや爽快感を目指すオープンモデルは、オリジナルモデルに比べて走行性能が犠牲になりがちです。しかし、スクーデリア スパイダー 16Mは、むしろ走行性能が最大の特徴といえるほど妥協せずに開発されています。 搭載エンジンは430 スパイダーと同型のV型8気筒DOHC4.3L自然吸気エンジンながら、各部の徹底的なチューンナップによって最高出力は510psを発揮。パワーアップの難しい自然吸気エンジンで、20psもの引き上げに成功したのは驚異的です。 また、オープンモデルはボディ剛性の問題から車重が重くなる傾向にありますが、オリジナルの430 スパイダーに対して80kgもの軽量化に成功。パワーウェイトレシオは2.0kgを達成し、停止状態から100km/hまでわずか3.7秒で到達します。 エンブレムが歴史的な偉業と希少性を主張 類まれな走行性能とF430譲りの外側からエンジンが見える独創的なデザインを兼ね備えたスクーデリア スパイダー 16Mは、記念モデルという側面を抜きにしても十分魅力的なクルマです。しかし、特別なモデルであることを象徴するエンブレムによってさらにその価値が高まります。 「F1 CONSTRUCTORS 16 2008 WORLD CHAMPIONSHIPS」と刻まれたリアのエンブレムが歴史的偉業を称え、センターコンソール上部の「16M SCUDERIA SPIDER LIMITED 499」が世界でわずか499台のみという希少性を主張。そして、ボディサイドには「16M SCUDERIA」のエンブレムが輝きます。 エンブレムが外観に大きな影響を与えるわけではありませんが、しっかりと作り込まれているモデルだからこそエンブレムがより魅力を高めてくれているのではないでしょうか。 希少性の高さから買取金額はF430の2倍以上 スクーデリア スパイダー 16Mははわずか50台しか正規輸入されていないため、中古車市場にはほとんど出回っていません。ベース車輌であるF430が2,500万円程度のところ、スクーデリア スパイダー 16Mは条件にもよりますが5,000万円を優に超えます。 希少性が高ければ価格も高いことは想像に難くないところですが、実はあまり流通していない車の価値を見極めて値段をつけるのは簡単ではありません。参考にできる流通実績がないため、販売まで考えた場合に買取価格をいくらにすれば妥当なのか判断ができないためです。 スクーデリア スパイダー 16Mのように、歴史的意味合いも含めて希少性のある車の価値を見極められる業者は決して多くありません。もし、歴史的価値の高い旧車の売却をお考えでしたら、専門業者としてのノウハウのある旧車王にご相談ください。

ローバー ミニって結局どのモデルを指している? モデル最後の10年間を振り返る
旧車の魅力と知識 2024.01.30

ローバー ミニって結局どのモデルを指している? モデル最後の10年間を振り返る

イギリス生まれの小型大衆車「ミニ」には、さまざまな名称があります。「ローバー ミニ」は、比較的多くの方が認識している呼び名の1つです。しかし、ミニ自体は40年に渡って作り続けられたため、ローバー ミニがどのモデルを指すのか理解があいまいになっている人も少なくありません。 そこで、ローバー ミニとはどのモデルなのか、ミニの歴史を振り返りながら解説します。 オリジナルモデルの最後を飾ったローバー ミニ ローバー ミニは、長年製造されたミニの最後の10年間に販売されていたモデルです。ローバー社が開発したクルマではないものの、オリジナルの個性をしっかりと受け継いでいたために「ローバー ミニ」として広く定着したのでしょう。 まずは、登場からローバー社への引き継ぎまでのミニの歴史を紹介します。 ミニはBMC社が生み出した空前のロングセラーモデル そもそもミニは、イギリスの老舗自動車メーカーBMC(ブリティッシュモーターカンパニー)より1959年に発売された小型大衆車です。その後、ローバー ミニの最終モデルが発売される1999年まで、実に40年間も基本的には同一モデルとして生産され続けました。 販売当初の名前は、「オースチン セブン」と「モーリス ミニマイナー」です。販売網の違いから2つの名称がありましたが、「ミニ」の名称に統一が図られてそれぞれ「オースチン ミニ」「モーリス ミニ」になりました。 ローバー社がミニを引き継ぐ 正確な経緯については確かな情報がありませんが、当時のBLMC社(旧BMC社)からローバー社が分離する際にミニを引き継いだといわれています。そして、1989年にローバー ミニとして販売を開始。 そして、1999年に最終モデルである40周年記念モデルを投入するまで、ローバー ミニとして販売され続けます。つまり、モデル最後の10年間を支え、ミニ40年の歴史を締めくくったのがローバー社(正確には1994年からBMW社傘下)だったのです。 精力的なモデル展開をしたローバー社 1959年に販売開始された当初から、ミニの基本的なデザインは変わっていません。しかし、新技術の開発や時代背景に合わせて、細かなモデルチェンジは行われています。 他社から引き継いだブランドではあったものの、ローバー社は1970年代から低迷していたミニの人気を復活させるべく、積極的な開発を行いました。日本人の声も影響した、ローバー ミニのモデルを紹介します。 日本人の声で名車ミニクーパーが復活 ローバーがミニを引き継いだ際、ラインナップのなかにクーパーはありませんでした。しかし、日本市場からの復活を求める熱烈な声がローバー社に届き、1991年にミニ クーパー1.3として再びラインナップに加わりました。 ミニの長い歴史のなかで、性能の高さを世界にアピールしたモデルが「クーパー」です。クーパーカンパニーというレーシングモデルを手掛ける企業が、オリジナルのミニを改良し、レースカーのベース車輌として、「クーパー」を販売していました。 なお、ローバー社がラインナップに復活させたミニ クーパー1.3のうち、発売年の1991年モデルのみがミニ クーパー唯一のキャブレーター仕様です。1992年以降は、全車インジェクション化されました。 ローバー ミニには多様なモデルが存在 ローバー社が最初に販売したモデルは、1989年に登場したミニ1000と呼ばれるE-99Xです。スペックの面では1.3Lのクーパーに劣るものの、軽快な走りで根強い人気を集めています。 さらに、1991年にはターボを搭載したERAターボというモデルも投入。1.3LエンジンにSUキャブレター+とギャレット製ターボを搭載し、最高出力はクーパー1.3よりも34psも高い95psにまで引き上げられました。 数多く流通しているのは1997年以降の最終モデル 日本国内で巻き起こったミニブーム、1997年の消費税引き上げによる駆け込み需要、さらに自社の残価設定型クレジットの導入によって、ローバー ミニは売上台数を伸ばしました。 その影響は根強く、最終モデルが販売終了して20年以上経過した現在でも、中古車市場に多くのローバー ミニが流通しています。特に流通台数が多いのは、1997年発売の最終モデルです。エアバックの追加やシート形状の変更、メッキメーターベゼルの採用など現代的な装備で人気を博しています。 しかし、比較的入手しやすいとはいえ、ローバー ミニやミニ1000は今から30年以上前に販売されていたモデルです。 売買する際には、古いクルマの価値を正しく理解している業者を介して取引することをおすすめします。特に売却時には、その真価を見極めるスキル・経験をもつ旧車専門の業者に査定を依頼しましょう。

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