自動車を相続した場合の名義変更の方法は?流れや必要書類も紹介

目次
1.クルマを相続する際に名義変更が必要な理由 2.クルマの相続時の名義変更の流れ 3.クルマ相続時の名義変更の必要書類 4.相続時のクルマの名義変更にかかる費用 5.クルマの相続・名義変更後の対応 6.相続時のクルマの名義変更の注意点 7.名義変更手続きは代行を依頼できる

自動車を相続することになり名義変更しようと思っているが、手続きが複雑だからと先延ばしにしている人もいるのではないでしょうか。

相続した車の名義変更は、通常の名義変更と必要書類が異なりますが、押さえておくポイント掴めば、それほど難しくないのです。本記事では、相続した車の名義変更の手続きの流れや、必要書類を詳しく解説します。

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クルマを相続する際に名義変更が必要な理由

クルマを相続する際に名義変更が必要な理由

相続した車を名義変更しなくても、法律で義務化されていないので、罰則はありません。しかし、相続した車の名義変更を行わないとさまざまな問題が起こる可能性があります。

自動車の相続での名義変更とは、被相続人(亡くなった人)の車を譲り受けるための手続きです。相続した自動車の名義変更をしないでいると、下記の問題が発生する可能性があります。

・売却・廃車できない
・事故をした場合、補償面で不利になる可能性がある
・クルマを担保にできない

上記のような問題が発生するのは、相続した自動車が相続人の財産になっていないからです。また、手続きを先延ばしにしてしまうと、必要書類を揃えるのに時間がかかるため、スムーズに名義変更ができない可能性があります。名義変更を先延ばしにするメリットはないので、できるだけ早めに手続きをしておきましょう。

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クルマの相続時の名義変更の流れ

ここからは、自動車の名義変更の流れを詳しく解説します。流れを把握し、スムーズに名義変更の手続きができるようにしておきましょう。

1.自動車の名義を確認

まず、自動車の所有者を確認する必要があります。自動車の所有者は、基本的に被相続人の名義になっています。しかし、ローンを完済していなかったりリース契約だったりすると、クルマの所有者はローン会社や自動車販売店の名義になっているのです。

ローン会社や自動車販売店が所有者の場合、自動車の名義変更を行うには相続人がローンの残債を精算して、所有者を変更(所有権解除)する必要があります。

2.所有者の確定

次に、自動車を相続する所有者を確定させます。遺言書に相続人が記載されている場合、遺言書を添付すれば名義変更の手続きが可能です。一方で、遺言書がない場合は、遺産協議で相続人を決める必要があります。

また、相続人が1人で単独相続するのか、相続人全員で共同相続するかによって必要書類が変わるので注意が必要です。所有者が確定していれば必要書類を揃えるだけなので、名義変更の手続きはスムーズに済むでしょう。

3.遺産分割協議書の作成

所有者を確定したら、相続人全員の同意を証明する「遺産分割協議書」を作成します。相続人の間で「誰がクルマを相続するのか」を明確にすることで、後々のトラブルを防げます。遺産分割協議書には相続人全員の実印が必須のため、遺産分割協議の成立後でなければ遺産分割協議書は作成できません。

なお、クルマの価値が100万円以下の場合は「遺産分割協議成立申立書」を使用することで、相続人となる1人の実印だけで手続きが可能です。その際、クルマの価値を証明する査定証を添付します。

相続人全員の実印は不要ですが、将来のトラブルを防ぐためにも、他の相続人へ事前に了承を得ておくことが大切です。

4.必要書類を用意

名義変更を完了させるには、車庫証明の取得が必須です。道路運送車両法により、自動車の登録には保管場所の確保が義務付けられています。相続による名義変更の場合も、新しい所有者の車庫証明が必要です。

車庫証明の取得手順は下記のとおりです。

1.相続する車の保管場所を管轄する警察署を確認する
2.警察署で必要書類を取得する(車庫が所有地か借用地かで書類が異なる)
3.必要書類と手数料(2,000円程度)をもって警察署で手続きする
4.約1週間後に警察署で受け取る

なお、軽自動車の場合は車庫証明の代わりに保管場所届出書の提出が必要です。

5.運輸支局で名義変更する

運輸支局での手続き方法には、「相続人本人が直接」「ディーラーに依頼」「行政書士に依頼」の3つがあります。

運輸支局での名義変更は、必要書類さえ揃っていれば特に難しい手続きではありません。窓口では丁寧に案内してもらえるため、初めての方でも安心して進められます。ただし、時間に余裕がない場合や手続きが煩雑と感じる場合には、専門家に依頼することも選択肢の1つです。

代行を依頼する際には、費用(約1~3万円)と委任状が必要です。

クルマ相続時の名義変更の必要書類

クルマ相続時の名義変更の必要書類

ここでは、3つの相続パターンごとの必要書類について解説します。

相続人が1人の場合

相続人が1人の場合は、遺産分割協議が不要です。ただし、相続人であることの証明と、被相続人(亡くなった方)の死亡事実の確認が必要です。

必要書類は、下記のとおりです。

種類

書類名

本人確認書類

相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

相続関係を証明する書類

・相続人の戸籍謄本
・被相続人の全部事項証明書(除籍謄本)

車輌関係の書類

車検証(自動車検査証)の原本

複数の相続人のうち1人が相続する場合

複数の相続人の中から1人へ名義変更するには、相続人全員の合意を示す書類と、新所有者となる人の各種証明書が必要です。

必要書類は、下記のとおりです。

種類

書類名

相続関係を証明する書類

・遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印が必要)
・戸籍謄本(相続人全員分)
・相続人全員の印鑑証明書

車輌関係の書類

・自動車検査証(車検証)の原本
・自動車保管場所証明書(車庫証明)
・移転登録申請書

手続きに関する書類

・手数料納付書
・新所有者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)

共有財産として相続する場合

クルマを複数の相続人で共有財産として相続する場合、通常の相続に必要な書類に加えて、共有者全員の証明書類と、使用者を1名に特定する書類が必要です。その理由はクルマの管理責任を明確にし、車庫証明や自動車税などの手続きを円滑に進めるためです。

必要書類は、下記の3種類です。

種類

書類名

車輌関係の基本書類

・自動車検査証(車検証)原本
・自動車保管場所証明書(主たる使用者の名義)

相続人全員の証明書類

・各相続人の戸籍謄本
・各相続人の印鑑証明書(3ヶ月以内)

共有に関する書類

・遺産分割協議書(共有割合を明記)
・主たる使用者を定めた念書
・手数料納付書

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相続時のクルマの名義変更にかかる費用

相続で自動車の名義変更を行う場合の費用は下記のとおりです。

項目

費用

備考

被相続人(死亡者)の戸籍謄本

約500円

必要部数はケースにより異なる

相続人の印鑑証明

約300円

相続人ごとに1通必要

車庫証明代

約3,000円

地域により異なる場合がある

ナンバープレート代

約1,500円

管轄が変わる場合に必要

移転登録手数料(印紙代)

約500円

約500円

 

ご自身で手続きを全て行う場合は、約6,000円で名義変更ができます。しかし、行政書士や自動車ディーラーで手続きの代行を依頼すると、代行費用として1万円以上費用が発生する可能性があります。

管轄の警察署や運輸支局によっては上記で紹介した費用が異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

クルマの相続・名義変更後の対応

クルマの相続・名義変更後の対応

相続・名義変更後の対応は、大きく3つに分けられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

保険の引き継ぎ・変更

相続したクルマに乗り続ける場合、自動車保険の引き継ぎや変更が必要です。自動車保険には、強制加入の自賠責保険と任意で加入する任意保険があります。名義変更後、保険会社に連絡し名義変更手続きを済ませれば、保険の等級が引き継がれ、保険料が適正に設定されます。

売却

相続したクルマを売却する場合、まず名義変更が必要です。名義変更をしないと、売却手続きができません。売却時には、下記の書類を準備します。

・実印
・印鑑証明書
・自動車検査証
・自動車税納税証明書
・自賠責保険証
・リサイクル券
・被相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議

廃車

クルマを廃車にする場合も、名義変更が必要です。実際の手続きは、運輸支局で行います。廃車にする際には、下記の書類を準備します。

・実印
・印鑑証明書
・自動車検査証
・ナンバープレート
・申請書
・手数料納付書
・自動車税(環境性能割・種別割)申告書
・遺産分割協議書
・戸籍謄本
・除籍謄本(戸籍謄本で所有者の死亡が確認できない場合)

名義変更を行わずに廃車手続きは進められないため、順番には注意が必要です。

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相続時のクルマの名義変更の注意点

相続した自動車の名義変更後に、注意点がいくつかあります。これから紹介する注意点も把握しておけば、スムーズに自動車を手放せるでしょう。

単独相続の方がトラブルになりにくい

単独相続の場合、相続人が1人のため、名義変更の手続きがスムーズに進む傾向があります。複数の相続人がいる場合、意見の相違によって合意を取れず、トラブルにつながる可能性があります。

特に、クルマの相続に関しては、使用方法や売却の方針について意見が分かれることが多いため、単独相続が望ましいとされています。

所有しているだけで税金がかかる

クルマを相続した場合、名義が故人のままだと自動車税の納付義務が発生します。自動車税は、毎年4月1日時点での所有者に課税されるため、名義を変更しないと故人の名義のまま税金が発生し続けることになります。

つまり、相続人が不必要な税金を支払うことになりかねません。早めの名義変更により、不要な税金負担がかかる事態を防止できます。

未成年者の場合は特別代理人を立てる必要がある

未成年者が相続人となる場合、法律上の制約があるため特別代理人を立てる必要があります。特別代理人は、未成年者の権利を守るために家庭裁判所に申し立てて選任される者です。

未成年者は自らの権利を行使できないため、適切な手続きを進めるためには特別代理人が必須です。

特別代理人の選任は、子の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることで行います。申し立てには収入印紙800円(子1人につき)が必要で、家庭裁判所により指定された郵便切手も準備します。

また、申立書や必要書類として未成年者や親権者の戸籍謄本、特別代理人候補者の住民票、利益相反に関する資料などを提出します。遺産分割協議書案や契約書案なども必要となる場合があるため、事前に用意しておくことが大切です。

▼詳しくは、裁判所のホームページをご覧ください。
裁判所「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」

名義変更手続きは代行を依頼できる

名義変更手続きは代行を依頼できる

当事者以外の人に名義変更を代行してもらえます。しかし、必要書類に加えて相続人の実印を押印した委任状が必要です。委任状は運輸支局やインターネットでダウンロードができます。そのため家族や知人に、代行してもらうことが可能です。とはいえ、平日に時間が作れない人が多く、行政書士や買取店に依頼する人も多いです。

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