兄弟が亡くなった場合、誰が被相続人の車を相続するのかについて、遺言書をもとに決定していく必要があります。しかし、必ずしも遺言書があるとは限らないうえに、肝心の相続について記載がない場合も少なくありません。
今回は兄弟の車を相続するケース、相続することになった場合の具体的な手続きと流れ、必要書類などを紹介します。
兄弟の車を相続するケース
兄弟の車を相続するケースは、以下のいずれかです。
ケース1: 遺言書で車を相続させることを指定している場合
亡くなった兄弟が遺言書で自分の車を特定の兄弟姉妹に相続させる旨を指定している場合、その指示に従って車を相続することになります。
ケース2: 法定相続人である場合
兄弟姉妹は、亡くなった兄弟の法定相続人※として車を相続することがあります。ただし、兄弟姉妹の他にも配偶者や子供などの法定相続人がいる場合、遺言書で指定がない限りはそれらの法定相続人が優先的に財産を相続します。
※法定相続人とは、民法で定められている相続人のことです。
相続の優先順位は以下のとおりです。
・配偶者は必ず相続・第一順位:子
・第二順位:父母または祖父母などの直系尊属
・第三順位:兄弟姉妹
つまり、亡くなった兄弟に子や直系尊属がいない場合に、初めて相続できる可能性が生じます。ただし、前述したように遺言書で兄弟への相続が指定されていた場合は例外です。
また故人に配偶者がいる場合といない場合で相続割合が異なります。
【故人に配偶者がいる場合で、法定相続人が配偶者と兄弟の場合】
配偶者がいる場合、まずは配偶者が遺産の3/4を相続し、兄弟は1/4を相続します。ただし、遺言書で、兄弟には財産を渡さない旨が明記されている場合は、それに従うことになり、兄弟の相続はなくなります。
【配偶者と子供がいない場合】
故人に配偶者と子供がいない、直系尊属もいない場合は、遺産の全額を兄弟の数で等分して分配します。
なお、遺言書で、兄弟以外の人物を指定されている場合にはそれに従うことになり、兄弟は遺産を相続できません。
兄弟の車を相続するときの流れ
まず前提として、自動車を相続する人全員が名義変更をする必要があります。
どのように名義変更をすれば良いのか、以下で流れを確認しましょう。
具体的な流れ
1. 対象車の正式な所有者を確認する
故人が使っていた自動車だからといっても、名義が故人本人になっているとは限りません。
例えばローンで該当車を購入した場合などは、名義が信販会社や自動車販売店、ディーラーになっているケースが考えられます。また、リース契約で車を使用していた場合は所有者がリース会社であるケースもあるでしょう。
車の正式な所有者は「自動車検査証」(車検証)上で確認できるので、相続が発生した時点でまず故人の名義になっていることを確認しましょう。
2. 新しい所有者を決めて「遺産分割協議書」を作成
新しい所有者を決める際は、最初に遺言書で次の所有者が指定されているかどうかを確認しなければなりません。
故人が遺言書で車の相続者を指定している場合は、その遺言書に従います。
遺言書がなかったり、車の相続に関する記載がなかった場合は、誰が自動車を受け継ぐのかを遺産分割協議で決める必要があります。名義変更には協議の内容に基づいて作成する「遺産分割協議書」が必要です。この協議書には法定相続人全員の署名と捺印があることが必須です。
また、自動車の価格が100万円以下である場合には「遺産分割協議成立申込書」という簡易な書類でも手続きが可能です。
3. 警察署で車庫証明の申請をし、必要書類を準備する
運輸支局で名義変更をするために必要な書類を集めます。
なかでも車庫証明は受け取りまでに時間がかかるため、早めに申請しましょう。ただし、車の置き場が故人の使用していた場所と変わらない場合は車庫証明は必要ありません。
車庫証明の申請場所は、これから登録する車庫証明の場所を管轄する警察署です。当日持参する必要のあるものを所轄の警察署に事前確認してから、申請に行くようにしましょう。
当日は所定の申請用紙に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出します。この申請用紙は運輸局や自治体のウェブサイトからダウンロードが可能です。
申請から交付まで約1週間ほどかかるため、申請後に発行された頃になったら再度管轄の警察署に出向き、交付を受けましょう。
4. 運輸支局で名義変更の手続きをする
1から3までの手順が無事に終わったら、名義変更を行います。必要書類を運輸支局へ持参のうえで手続きします。受付時間は平日の限られた時間帯のため、直接行くのが難しい場合は委任状を用意して代理人を立てることも検討しましょう。
5. 名義変更完了後の手続き(車の新しい所有者になったらすること)
名義変更によって自身が新しい所有者になった後の対応については、今後車をどうしたいかによって異なります。「相続した車に乗り続けるのか?」「相続した車を売却するのか?」また値段がつかない等の理由で売却できない場合は、「廃車するのかどうか?」などの選択肢が考えられるでしょう。以下、パターン別に手続きのポイントを解説します。
パターン1. 相続した車に乗り続ける場合
この場合は、自動車保険の引き継ぎや変更をする必要があります。故人の利用していた保険の保険会社に連絡しましょう。
パターン2. 相続した車を第三者に売却したい場合
この場合は、ディーラーや中古買取業者に連絡しましょう。通常の売却時に必要な資料に加え、以下の書類が必要です。
・被相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書
なお、通常の売却に必要な資料は以下のとおりです。
・実印
・印鑑証明書
・自動車検査証
・自動車税納税証明書
・自賠責保険証
・リサイクル券
パターン3. 相続した車を廃車したい場合
必要書類を揃えて運輸支局で手続きをし、廃車手続きを行います。詳細は管轄の運輸支局のホームページで確認しましょう。
兄弟の車を相続するときの必要書類
ここでは、兄弟の車の相続における名義変更の際に必要な書類一式を紹介します。
【相続人が1人だけで、その1人が相続するパターン】
・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)
・相続人の実印
・車検証 (原本)
・車庫証明書
【複数人の相続人のうち1人が相続するパターン】
・遺産分割協議書 (もしくは遺産分割協議成立申込書)
・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)
・車検証 (原本)
・車庫証明書 (40日以内のもの)
なお、名義変更の際は費用も発生します。自身で全ての手続きを行う場合は約6,000円、行政書士やディーラーなどに代行を依頼する場合は1万円以上はかかります。
兄弟の車を相続するときの注意点
兄弟の車を相続することになったときに何に注意したら良いか見ていきましょう。ここでは重要かつ見落としがちなポイントを2点ご紹介します。
自動車保険も名義変更する
相続した自動車に乗り続ける場合は、自動車保険の名義を変更する必要があります。自賠責保険と任意保険はいずれも名義変更しましょう。名義をそのままにしておいて万が一事故を起こした場合は、補償が受けられない場合があります。
相続税が課税されないか確認する
基本的な考え方として、車も預貯金や不動産と同じように相続税の対象になります。ただし、遺産総額が相続税の基礎控除額以下であれば課税になりません。基礎控除額は、相続人が一人の場合3,600万円、2人の場合4,200万円、3人の場合4,800万円です。相続する車の価値と他に相続する財産の合計が基礎控除額を上回っていないか確認しましょう。
車の価値は故人の死亡日時点のものであるため、遺産相続の手続きを先延ばしにすると価値が変わってしまう恐れがあります。車の価値を調べる方法は、「中古販売業者に査定を依頼する」、「同じ車種がどの程度の価格で販売されているかを自分で調べる」の2つです。
なお、相続税の計上漏れが税務署から指摘された場合はペナルティが発生する恐れがあるため、十分に注意しましょう。
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