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世界中のコレクターが喉から手が出るほど欲しいレクサスをご存知だろうか? その名も「レクサス LFA」 日本が世界に誇る、超一級のスーパースポーツカーである。 2010年12月から2012年12月までのわずか2年間のみ生産され、限定台数500台の希少なモデルだ。 現在ではほとんど市場に出回ることがなく、街中で見かけるのは奇跡に近いほど希少価値が高いモデルだが。 自動車大国ドイツでは現在、2023年7月時点で3台ものLFAが中古車サイトに掲載している。 ちなみに日本の大手中古車サイトでは、現在掲載中のLFAは2台のみとなっている。 ではレクサス LFAはなぜここまで人気を博したのか。 またドイツではどのような評価を受けているのか。 今回はドイツ現地から徹底解説していく。 ■1. 天使の咆哮と呼ばれたサウンド 前述でも述べたとおり、LFAは限定500台のみ生産・販売された2人乗りのスーパーカーだ。 そのうち約50台は、サーキット走行を重視した高性能仕様の「ニュルブルクリンクパッケージ」が生産された。 LFAの名前の由来は、「Lexus Future Advance」の頭文字も取ったものである。 当時、まだ本格的なスポーツカーを持っていなかったレクサスにおける、スポーツカーのコンセプトカーとして誕生した。 コンセプトの内容は「世界超一級レベルの運動性能と、超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」である。 開発に至っては、莫大の開発費がかかっており、新車販売価格は3750万円にも関わらず、赤字だったそうだ。 特にエンジン開発には力を入れており、搭載されるエンジンはトヨタ自動車とヤマハ発動機の共同開発によって誕生した。 専用開発のヤマハ発動機製4.8L V型10気筒エンジンは、最高出力560馬力を発揮する。 音声学に基づいて開発されたエンジンは、そのあまりにも美しく、迫力のあるサウンドから「天使の咆哮」と呼ばれている。 ■2. 日本車最速のクルマ LFAの車両スペックは全てが規格外だ。 ブロンドミッドシップに搭載されたV型10気筒4.8Lエンジンは、最高出力412kW(560PS)、最大トルク480Nmを発揮する。 軽量化と高剛性を図るため、至るところにカーボンが多用されている。 カーボンモノコックシャシーやカーボンセラミックブレーキが採用され、車輌重量はわずか1480kgとなっている。 超軽量化によって繰り出される最高速度は、日本車最速となる驚異の325km/h超え、0-100km/h加速は3.7秒という異次元のパフォーマンスだ。 日本の自動車メーカーとしては、ホンダNSX、日産GT-Rに次いで3番目の本格的なスーパースポーツカーとなった。 ■3. 現在の市場価格は1億越え!? 2009年、東京モーターショーにて市販仕様車が世界初公開された。 世界56ヵ国で500台の限定販売となり、日本国内の割り当ては200台となった。 新車販売価格は3750万円、日本車の量産モデルとしては過去最高額のクルマだ。 発売当初は、半年間に渡って予約を募る予定だったが、予想を遥かに上回る予約が集まったため、予定よりも2ヶ月早い段階で締め切りとなった。 発表からわずか3ヶ月で、購入希望台数は世界累計で500台を超えたそうだ。 現在、日本の大手中古車サイトには2台のLFAが掲載されている。 しかし、価格が公開されていないため、その市場価格は未知数となっている。 ドイツでは、現在3台のLFAが掲載されており、販売価格は最安値の車両でも驚きの829,000ユーロ(2023年7月現在のレートで約1億3,000万円)となっている。 新車価格から3倍以上にも価値が上がっている状況だ。 ■まとめ これまでにも数々の名車を生み出してきた日本の自動車メーカーだが。 恐らく名実ともに日本一のスーパーカーといえば、レクサスLFAではないだろうか。 現在、LFAの後継車となる2台目LFA Ⅱの開発が行われているそうだ。 詳しく情報は発表されていないが、伝説の名車が復活する日をそう遠くはない。 新型LFAもまた新たな伝説の始まりとなるのか。 今後の発表に注目していきたい。 [画像・ライター / 高岡 ケン]
こんにちは!西尾菜々実です。 ドイツへ移住して現地のクルマを見ると、自動車とはどうやって発明されたのか気になってきました。 みなさんは、どの国でガソリンで自走するクルマが発明されたかご存知ですか? 私は産業革命で有名なイギリスだと考えていたのですが、エンジンで走行する自動車は、1879年の年末に初めて単シリンダーのエンジンが駆動したことによって、ドイツのカールベンツが発明しました。 現在は自動車道路が普及しているため、遠く離れた土地へでも移動できます。 また、普段の買い物や旅行など、多様な機会に移動する目的でクルマを使うことができます。 そして、自動車が存在する現在人の移動や、物の移動が広範囲で可能となりました。 今回は、エンジンで走行する自動車が発明された、ドイツのクルマについて触れてみたいと思います。 ■ドイツにおける自動車のはじまり 1886年1月29日、カールベンツは、ガスエンジンの働きによる交通乗り物を特許に登録。 同年の7月には、新聞で初めて公開となった、3人乗りのベンツエンジン自動車の特許を報じました。 その後、たくさんの自動車が開発されていくことになるのです。 現在ではメルセデス・ベンツと肩を並べるブラントとなったBMWでは、1932年にBMW AM1が、バイエルンのモーターベルケAG初の独自の設計をした自動車として誕生します。 外観がクラシックで映画に出てきそうな自動車です。 エンジンが発明されて以降、世界各国で開発が進んでいくことになります。 ベルリンで1926年に開催されたインターナショナル自動車展示会「IAA」では、8シリンダーシリーズの例としてPkw(Personenkraftwagen=乗用車の意) Horch 8 Typ が展示されました。 エンジンが始動している間は、 ・吸気・圧縮爆発と膨張・排気 のサイクルがおこなわれています。 内燃機関、いわゆるエンジンの発明がされたことによって多種多様な自動車が生み出され、現在では種類も豊富になりました。 ■現在のドイツではEV化が進んでいる しかし、現在ドイツでの自動車は、電動化が進んでいます。 皆さんもハイブリッド自動車やEV車をご存知かと思います。 現在のエンジン車は、電気はあくまでも補助的なもの。 対してEV車は、バッテリーに電気を充電することでモーターを動かします。 モーターによって電気を駆動力に変換しているのです。 モーターに電気を供給するのが駆動用バッテリーで、現在よく使われているのがリチウムイオン電池です。 コントローラーによって、バッテリーからモーターへ送られる電気の形を調節します。 モーターに流す電流を制御することで駆動力を制御するため、スイッチを使用するだけで電流が流れます。 そのため駆動力を制御しやすく、加速がスムーズにおこなえます。 EV車には外部からの充電と、回生による充電が可能です。 外部からの充電とは、コンセントを使用する普通充電と、短時間で充電する急速充電があります。 回生とは、減速するときに、走っている運動エネルギーを電気エネルギーに変えて利用することをいいます。 EV車のメリットとして ・走行時の排気ガスが排出されない・パーツが少なくデザインでの制限が少ない・駆動力が制御しやすいため加速がしやすい・電気で自動車の走行をコントロールするためふさわしい などがあげられます。 (EVの定義として、記事中では『電気自動車』としています) 現在、日本ではミニバンのEV車が発売されていませんが、ドイツのフォルクスワーゲンからは2022年12月にミニバンが発表されました。 また、セダンなどに比べて車高を高く設計できるSUVは、無理なく車体にバッテリーを搭載できます。 SUVと同様に、ミニバンもEV車にふさわしい車種のひとつではないでしょうか。 ■おわりに 私は免許を日本で取得するときに、ハイブリッド車を用いて講習をおこないました。 ハイブリッド車は走行が静かで、これが新しい自動車なんだと驚愕した記憶があります。 乗り心地も軽やかな印象でした。 現在はドイツに住んでいるので、近い将来電気自動車も運転する機会があるかもしれないと、ちょっとワクワクしています。 電気自動車と聞くと、近未来感があってクールな印象を感じます。 次から次へと新しいテクノロジーが生み出されるので、未来の自動車はどのように進化していくのか想像ができません。 日本車でも電気自動車がラインナップされていますので、みなさんにもこの記事が参考になればと思います。 [ライター・画像 / 西尾 菜々実]
日本車黄金時代の名をほしいままにしている1980~1990年代の国産車。 筆者が物心ついたころには、ニューモデルよりクラシック、今やネオクラシックと呼ばれるような存在に。 しかし現行モデルは興味が持てず。 そんな経緯もあり、高年式のクルマを買うことはないと思っていたのですが……。 1973年型セリカLBも「経年劣化との戦い」に敗北を認め、普段使い用の高年式の軽自動車を考え、いろいろ縁あってRC1型スバルR2がやってきたのが4月某日でした。 最近は疎遠になってしまった知人に、初期型S13型シルビアに長年乗っていた人がいます。 風の便りでその知人もまたシルビアは保存に回し、今は某コンパクトハイブリッド車を普段使いにしていると聞きます。 もしかしたら、今後は1980~1990年代のクルマのほうが「経年劣化との戦い」が激化するかもしれません。 ■勝負は3日間 急遽、筆者の所にやってきたR2。 「お金はかけず手間をかける」で、臨番運行、名義変更、登録車検、保管届はすべて自分ですることにしました。 最大の難関は車検です。 半年前まで動いていたし、改造車でもキャブ仕様のクルマでもないので、灯火器類とワイパーさえ見ておけばいいだろうと、一か八かこのまま車検を通してみることに……。 1日目 まず購入したスバル360専門店で自賠責保険に加入。 その足で区役所へ臨番運行の申請に行き、いわゆる「仮ナンバー」を申請し、筆者の住民票を発行してもらいます。 この時点で翌々日の1ラウンド目に車検の予約を取ります。 2日目 前日申請した臨時運行許可証と臨番を持ってクルマ屋さんへ。 クルマを取りに行くのでクルマに乗っていくわけにいかず、久しぶりに公共交通機関を利用することに。 名古屋市交通局の市バスとガイドウェイバスのゆとりーとラインを乗り継いで、守山の某スバル360専門店に向かいます。 ナンバープレートはすでに返納されていたので、そのまま仮ナンバーを取り付けます。 念のため灯火器類とワイパーと警笛の動作確認、ただ「HIDが光量不足という事態もありうるので気を付けて」と一抹の不安も……。 一旦、運行届の経由地にも書いたいつものガレージに移動します。 ウォッシャー液とクーラントとブレーキフルードの残量を確認し、油脂類の漏れがないことを確認。 ここで、ワイパーゴムが硬化して切れかかっていることが判明したのです。 すぐに近くのホームセンターで新品のワイパーゴムを調達するも、ブレードが純正と違っていたようで、現物で形状と長さを確認する必要がありました。 実は一番てこずったのは、ワイパーゴムの選定だったかもしれません。 あとは下回りをしっかり洗車し、ガソリンを満タンにして翌日の車検に備えます。 3日目 継続車検なら、最寄りの小牧の軽自動車検査協会で済みます。 しかし今回は名義変更と中古新規登録があるため、名古屋市港区の軽自動車検査協会に行く必要がありました。 1ラウンドで予約を入れているのと、エンジンやエキゾースト周りのカーボンが少しでも飛ばせればと、名古屋高速を使って名古屋市港区まで走行します。 軽自動車なので住民票だけで名義変更は可能です。 重量税を納付し、ラインに並びます。 この日のうちに通検できなければ諦めて、どこかの業者に整備と車検に出すという「安物買いの銭失い」コースも覚悟していました。 幸い、特に問題なく車検に合格。 晴れて新しいナンバープレートが交付されます。 そのまま、その足で最寄りの警察署に寄り、保管届を申請します。 登録車の場合、名義変更では実印と印鑑証明が必要で、車庫証明の認可が出てから登録となるため、乗れるようになるまで一週間ほどかかります。 しかし軽自動車は取得して「登録した後ただちに」保管届の申請なので、あらかじめ置き場所が決まっていればその日のうちに乗れるようになります。 この手軽さも近年の軽自動車人気のひとつかもしれません。 ■掘り出し物?それとも安物買いの銭失い? 正直、安く買えて軽トラック以外のMT車の軽であれば、グレードも装備も問わないつもりでした。 しかし、筆者が購入したR2は、純正エアロにアルミホイール、キーレスにBluetooth対応の地デジ付きナビ装備です。 エンジンはNAのEN07型ですが、可変バルブのDOHCエンジン、ヘッドライトもまさかのHID仕様。 自分の名義になってから「実は身の丈に合わない物を買ったんじゃないか?」と面喰う始末です。 探していたときは、普段乗りなのだし、エアロ組んだりダウンサスを入れたり「いらんことをしないように気を付けないと」と冗談半分で考えていました。 しかし、いざ蓋を開けてみれると「いらんことをする気が失せるほどの豪華装備仕様(?)」だったのです。 まずは、町工場の多い地区で放置されガサガサになったボディに、最低限の手を入れます。 鉄粉取りの粘土クリーナーで鉄粉を除去し、ポリッシャーをかけてシュアラスターのワックスで仕上げて、鮮やかなプリズムブルーが復活。 実は青いクルマというのは磨くと映えるものなのです。 友人たちと、これで5万円くらいは査定がアップしたんじゃない?と冗談を飛ばせるくらいには仕上がったと思います。 オイルはサービスで交換してもらえたのですが、ファンベルトとエアクリーナーエレメントは後日、某中古カー用品店のジャンクコーナーで適合品の新品(合計で税込み660円!)を見つけて交換しました。 とはいっても自分のクルマになったのに何もしないのも寂しいので、長年使わずに持ってた水中花シフトノブを装着。 さらに、国産車特有の味気ない平板シングルホーンからエアホーンに変更しました。 ■結局あちこち手をいれたくなってしまうのは宿命か? しかし、好事魔多し、そうそう都合よくコトが進むわけでもないのが世の常です。 この際だからスパークプラグも新品にしようと品番を調べると、BKR5E-11が出てきたのですが、よく見ると「SOHC」のみの文字が・・・ 筆者のR2は機械式スーパーチャージャーモデルではないものの、可変バルブのDOHCヘッド、まさかと思い、さらに詳細な適合を調べると……。 NAのDOHCと機械式スーパーチャージャー付きで、それぞれ違うプラグが設定されていることが判明。 NAはLKR7AI、スーパーチャージャーはKR8BIというイリジウムプラグ専用の品番。 スーパーチャージャーならまだしも、シングルカム、ツインカムですらプラグを使い分けているあたりが、旧富士重工らしいといいますか……。 4気筒なので4本分のイリジウムプラグが必要となり、軽自動車としては地味にコストがかかります。 サスペンションアッパーマウントひとつにしても、かなりがっしりした物を使っているため、これでは高コスト体質になってしまいます。 他メーカーと価格面と利益率で不利になってしまい、軽自動車の自社製造からの撤退もやむなしだったのだろうな……と改めて感じました。 最近の気温上昇にともないエアコンの効きが悪いと感じるようになり、某カー用品店でエアコンガスを調べて貰ったところ「漏れもなくガスも正常ではあるが、圧縮が落ちている」という診断結果が。 ガスクリーニングやコンプレッサーオイルの交換で改善できるものではなく、コンプレッサー本体を修理するしかないという結論になりました。 都合のいい話というのはそうそうないもので、あとは海外製の低価格品でもいいのでタイヤを新品。 できればアブソーバーも新品(あわよくばガレージでDIY交換も考えていたり)にしたら、あとは最低限の油脂類と消耗品交換だけと思っていたのですが……。 覚悟はしていましたが、グレードの高い人気モデルを格安で買った以上、やはり相応のリスクは避けられないのが世の常とでもいうべきでしょう。 幸い、エアコンは効きが弱いと感じるものの、まったく冷えないわけでもないので、今年はこのまま乗り切って、来年の課題に回そうと思います。 普段乗りの普通のクルマを買ったつもりでいたのですが、人とは違うクルマを好きになる者の宿命からは逃れることができないようです。 [ライター・撮影 / 鈴木修一郎]
去る2023年6月、フランス北西部にあるサンマロへ行った際、何台ものキャンピングカーを見つけました。 高速道路では、うしろに自転車や牽引トレーラーを積んだクルマも。 7月にもなると田舎だけではなく、パリ市内でも無意識にこういった車輌が目に入ってきます。 長くて暗い冬が開けたあとのヨーロッパの夏のバカンスは、フランス人にとって本当に大切な時期で、太陽と自然を求めて旅に出るのです。 ■ドイツのREIMOでカスタムされたフォルクスワーゲン 海辺で見つけた1990年代のフォルクスワーゲンT4ですが、レトロな緑色が駐車場のなかでもひときわ目をひいていました。 なぜでしょうか、フランスの風景には少し古臭いくらいのクルマがしっくりきます。 ぐるっと回って見ていると「REIMO」の文字を見つけました。 持ち主が近くにいる気配がなかったのでお話は聞けなかったのですが、調べてみるとドイツのキャンピングカーメーカーとのこと。 ライモ社は1980年創業の会社だそうで、サイトを見てみると、キャンピングカーシステムやキャンプ用品を幅広く取り扱っていました。 細かなアイテムも多いので、ニーズや家族構成によって車内をカスタムできるのが老舗メーカーの強みなのでしょう。 ■フランス人はキャンプが好き!? 2022年におこなわれているネットでのアンケートによると、約70%以上のフランス人が、過去5年間にキャンプ場に滞在したことがあるという結果が出ています。 特にこの間はコロナの流行もあり、フランス国内で自然に触れて過ごすバカンスが一層人気だったのかと思います。 今年の2月にパリでおこなれたクラシックカーの展示会では、クルマとともに過ごすバカンスや、キャンプの提案をしているコーナーもありました。 普通のクラシックカーの展示と違って、小道具をふんだんに使ってデコレーションされていたので、さまざまな年齢層のファンが思い思いに覗き込んでいました。 まだ雪の降る時期でしたが、私たちの気分も一気に明るくなり、次のバカンスの話に花が咲いたことを覚えています。 ▲「Si trop haine, faites l’amour(嫌っていても愛そう)」と車体に書いてありますが、コンマまでを「シ トロッ エン、」と発音するので、Citroënをもじった言葉遊びとわかります ■キャンプはバカンスの多すぎるフランスでの節約術!? 高速道路を運転していると、何台ものキャンピングカーとすれ違います。 ほとんどが年季の入った車体で、運転をしているのも60代前後のムッシュが横に奥さまを連れて…といった場面が本当に多いのです。 勝手なイメージですが、子どもの誕生とともに購入したキャンピングカーを、独立したのち、今度は夫婦水いらずでキャンプを楽しんでいる、といったイメージでしょうか。 バカンスが多いフランスでは、子どもを持つ親にとっておよそ約2ヶ月ごとにやってくる2週間ほどのバカンスを、いかに楽しく、お金をかけずに過ごすかが悩みの種です。 そうなるとキャンピングカーで過ごすバカンスは、節約をしながらも山や海など毎回違った場所へ訪れることができるので、子どもたちも飽きずに過ごせるのが利点です。 フランス国内には約3000箇所以上のオートキャンプ場があり、日本と比べると断然に多く、無料のキャンプ場もあるので敷居が高くありません。 大抵、バカンスで人気な観光地の近くには、駐車場とは別にキャンピングエリアが用意されていて、日本ほど整っていないサービスエリアの横にすら、シンプルなキャンプ場が準備されています。 「aire de camping(キャンプ場)」とネットで探せば専門のサイトも見つかり、連泊できるか、水道があるか、コンセントは使えるかなど、条件に沿って検索することができます。 日本のキャンプ場ほど綺麗に整っている施設ではありませんが、自然を堪能することを提供しているフランス国内のキャンプ場には、キャンピングカーを利用して、フランス国内だけではなくベルギーやオランダからもバカンスを楽しむ家族がたくさんやってくるのです。 ▲横を通るたびに、私もキャンピングカー生活をイメージしてしまいます [ライター・写真 / スミ]
■手に入れて7年、故障知らずのソアラ クルマは目的地までいかに快適に、楽しく走れるか。 その時間や経験にも価値があると思う。 まず、駐車場で眺め、ドアノブに手をかけ、室内の香りを愉しむ。 エンジンを掛ける前の所作だけでも大変味わい深い。 それは未就学児だったころから今まで変わらず、自分のクルマ、他人のクルマ問わず、タクシーやバスだって大なり小なり気持ちが入り込んでしまうのが筆者だ。 そんななかでも幼い時分から妄想に妄想を膨らませて、枕の下にカタログを敷いてまで乗りたいと願ったクルマがある。 全長は5メーターに迫りながらも4座しかない。 長いノーズに収まるのはストレート・シックス。 嗚呼、なんて「必要な無駄」なんだろう。 そんなことを思いながら乗るのが愛車の3代目、トヨタ・ソアラ 3.0GT Gパッケージ(JZZ31)だ。 2015年の年末に購入してから所有して現在7年目となる。 購入時は7万6000キロで現在は13万キロを越えた。 購入してから数年は週末限定のクルマだったが、それでも毎年2万キロに満たないくらいはコンスタントに走り続けていた。 車体は1999年モデル、購入時で既に16年落ち。 せっかくの旧車王の記事なので、故障などにおける苦労話やハウツーを書き記したいものだが、大小問わずトラブルはゼロ。 運がいい個体だったとしか言いようがないが、クーペとはいえさすがのトヨタといえるのかもしれない。 本当にひとついうなれば、リアのトランクダンパーが抜けかけていて、冬に一度ギロチンされかけたことがある。 これらは海外からまだ部品が出るので、買えるうちに入手すべきであろう。 西は九州、北は東北まで自走で行き、仕事の関係で片道150kmを毎週走っていたこともあった。 バルクヘッドが存在する普通のクーペながら、布団を敷き、後部座席で車中泊をしてロングツーリングに出たこともある。 もちろん海老ぞりになって眠ることになるのでお勧めはできない。 ■大きくても意外と乗りやすいクーペ 満タン法で計測するならば、高速道路燃費はリッター11キロ代。 モデルライフのなかでも中期から追加された3.0Lモデルは、1.8トンを超える車体でありながら案外経済的なものだと感じた(同じようなコストで8人乗れるミニバンがあることには目を瞑りながら...)。 ソアラの車体を見てよく「車幅の感覚を掴むのが難しくないですか?」といわれることも少なくないが、慣れの部分を除いてもかなりわかりやすいクルマだったと感じている。 例えばトヨタの古いクラウンやセンチュリーもそうだが、窓やピラーの立ち方、運転座席の位置やノーズの見え方が、非常に良くリンクして考えられていると感じる。 数年前、レクサスのGS350を所有していた際、ソアラと同じ感覚で車庫入れをおこなったら、まったく自分の見当違いのサイズ感で車体を擦りそうになってしまったことがある。 似たような全長、FR、ブランドでも、設計の思想が異なるとここまで違うのかと自分の過信っぷりを反省した。 3代目ソアラといえば、ターボのモデルが大変な人気ではあるし、4.0Lモデルの豊かなトルクも大変な魅力だ。 ただ、筆者は日本の道を走るクーペであることを考えれば、3.0Lは分相応なパワーを備えていると感じる。 また、3リッターのモデルには壊れやすい装備があまり奢られていないことも、現代に乗るには良い要因だろう。 内装はファブリックのシートと本木目、アイボリーとブラウンの空間。 ラウンディッシュに乗員を取り巻く空間の思考そのものが、いかにもバブル前後の開発だ。 80年代後半に作られたであろうベースのコンセプトは、現代でも通用するものである気がする。 嫌味なくシンメトリーにつくられたセンターコンソール、ささやかなカップホルダー、横方向にベクトルを流した木目の加飾と同居するエアコンレジスター。 91年の登場時からマイナーチェンジの際にも、基本的に大きな変更はほとんどない車内。 インテリアにはメッキの部品も塗装された箇所もないが、リッチな車内を演出していると思う。 国産車のマニアが乗り込むと「あぁ~トヨタ車の香り!」と漏らす車内の独特な匂いを含め、メーカーが思い描いた”演出”ではない部分まで、筆者の記憶に刻まれている。 ■ソアラを取り巻く環境を振り返る 何度かオーナーズクラブのミーティングに参加させていただいたこともあったが、10代のオーナーさんをはじめ、新車から乗り続けている60代の方まで幅広いユーザー像であると見受けられた。 平成に生産された他のFR車であれば、ドリ車にしたりカスタムしている個体の参加数もかなり多いかと思うが、ノーマルで参加されている方もそれなりに多く、ソアラという個体のキャラクターが好まれているのだなあ、と感じられることも少なくなかった。 ここ数年の筆者は、サブ車や別の趣味のクルマを持ち、ソアラにはあまり乗らない状態が続いている。 おまけにイベントが激減した数年前から集まりに行くことも少なくなり、自分自身のカーライフへの接し方も随分変わったなあ、と感じる今日この頃だ。 記事の執筆のためにオーナー様への愛車取材をしていると、「生涯乗ります!」と教えてくれる方も多い。 そんな力強い言葉をうかがうたび、自分はどうだろうかと自問自答している。 「ソアラとの関係も、そろそろ見つめ直す時期がやってきているかもしれない」 そんなことを思いながら運転席のドアを開けると、やっぱり愛おしさがこみあげてきてしまうものだ。 “眺めてるだけで良い”、と“まだ沢山誰かに乗ってほしい”の気持ちの間で、もう少しの間揺れ動くことになるだろう。 こういった悩ましさも含め、古いクルマと付き合っていくことなのかもしれない。 [ライター・画像 / TUNA]
1位:トヨタ「ヤリス」16万8557台2位:トヨタ「カローラ」13万1548台3位:日産「ノート」11万113台4位:トヨタ「ルーミー」10万9236台――。 これは、2022年の乗用車新車販売台数ランキングの上位4位(自販連調べ)。 このランキングで注目したいのは「ルーミー」です。 なぜ「ワゴンRワイド」の記事でルーミーを……と思うかもしれませんが、もう少しお付き合いください。 ▲ワゴンRワイド(1997年) 実は、このランキングのヤリスとカローラの販売台数には、SUVの「ヤリスクロス」と「カローラクロス」が含まれています。 つまり、「単一ボディで」の販売台数を考えれば、実質的な2022年のトヨタナンバーワンはルーミーなのです。 ルーミーは、「軽自動車ではないハイトワゴン」としてヒットしているわけですが、ここからやっとスズキ車の話へとつながっていきます(お待たせしました)。 何を隠そう、この「軽自動車ではないハイトワゴン」というジャンルを開拓したのは、ルーミーではなく、それよりも早く発売していたスズキ「ソリオ」。 さらに、その源流を辿ると1997年に誕生した「ワゴンRワイド」に行き着くのです! ▲トヨタ ルーミー(2020年) ■ワゴンRを180mmワイドにしたボディ 外観からもネーミングからも「ワゴンR」の登録車版だということがよくわかる、ワゴンRワイド。 このクルマが登場した1990年代中盤は多種多様なワゴンが登場した時代で、ホンダのクリエイティブムーバー「ステップワゴン」「S-MX」、トヨタ「ラウム」「カローラスパシオ」、日産「キューブ」、マツダ「デミオ」……と、個性豊かなモデルが続々と生まれていました。 そんな中で、小さなクルマを得意とするスズキが黙っているわけにいかず(と思ったかどうかは定かではありませんが)、大ヒット作となったワゴンRのイメージとメカニズムを用いて、新ジャンルのコンパクトワゴンとして発売したのが、ワゴンRワイドです。 ▲初代ワゴンR RR(特別仕様車 1998年) スタイリングは、その名の通り「ワイドなワゴンR」そのもの。 実際にヘッドライトやフェンダー、ドアといったサイドパネルはワゴンRのものを流用して、ワゴンRのイメージ踏襲と低コストでの開発を上手に両立したといえます。 105mm長くなった全長はバンパー形状によるものですが、車幅はなんと180mmも拡幅され(それでも1575 mm)、軽自動車とはまったく異なるアピアランスに。 さらに、フェンダーモールや幅広のサイドモールを標準装着することで、「アストロ」コンバージョンのようなカスタム感と楽しさを感じさせるスタイリングとしていました。(バンパーやフェンダーモールが黒の素材色となる低グレード、75.8万円も存在) ▲ワゴンRワイドのインテリア インパネなどのインテリアデザインも、軽自動車のワゴンRが道具っぽさを全面に押し出した直線的なデザインなのに対し、ワゴンRワイドでは曲線的な乗用車ライクな形状として差別化。 また、登録車のため、4人乗りのワゴンRと異なり、5人乗りとなっているのも特徴です。 プラットフォームは、ワゴンRのものをベースに新規開発したもの。 パワートレインも新開発で、オールアルミの1.0リッターガソリンエンジン(K10A型)を搭載。自然吸気とターボ(リッター100馬力!)、5速MTと4速AT、2WDと4WDが用意されるワイドラインナップでした。 ■「ワゴンRワイド」の名は2年で改称へ コストとのバランスを図りながら、「コンパクトな5人乗りワゴン」という新ジャンルに挑戦したワゴンRワイド。 実のところ、大ヒットといえるほどの存在にはなりませんでしたが、従来からのスズキユーザーを中心に、一定の販売数を得ることに成功します。 しかし、わずか2年後の1999年フルモデルチェンジ、さらに「ワゴンR+(プラス)」へと名称変更することとなりました。 その理由は、国内視点で見れば、1998年の軽自動車規格の改定により、ワゴンRがフルモデルチェンジを実施したため。 ▲ワゴンR+(1999年) ワゴンRの車幅拡幅(1400mm→1480mmに規格改定)に加え、デザインチェンジと歩調を合わせる必要があったからです。 本家ワゴンRが新しくなったのに、その上級車種が古いままで魅力は半減してしまいます。 もうひとつの理由は、グローバルカーとしての役割を担うようになったこと。 独・オペルと英・ボクスホールで「アギーラ」として、欧州で販売されるようになったのです。(インド版は軽自動車ベースでスタート) ワゴンRワイドは、業界再編や業務提携が加速した1990年代の混沌に巻き込まれたクルマ……というとネガティブに聞こえてしまいますが、「ワイドなワゴンR」というサイズ感は欧州で重宝され、別の道を歩んで行くことになったというのが真相でしょう。 ▲2代目オペル アギーラ(2008年) その後、欧州では「スプラッシュ」が誕生し、2代目アギーラはこのスプラッシュがベースとなります。 ■わずか1年半でまたまたネーミングチェンジ その後、日本国内ではどうなったのか? なんとワゴンR+はわずか1年半ほどで、またもや名称変更を行います。 2000年12月のマイナーチェンジで、「ワゴンRソリオ」になったのです。 現在まで続く「ソリオ」の名が誕生したのが、このときというわけ。 ▲ワゴンRソリオ(2000年) 標準車こそ欧州テイストのデザインが踏襲されましたが、先に軽自動車版ワゴンRに登場していた「RR(ダブルアール)」に似たカスタムテイストのグレードも登場。(シボレー「クルーズ」という兄弟車も誕生しました) このカスタム路線のほうが、日本に市場にはあっていたのでしょう。 “ソリオ路線”が中心となり、2005年のマイナーチェンジでワゴンRの冠が取れ、スズキ「ソリオ」が正式名称に。 そして、2010年に現在の細い2本のAピラーと持つソリオが誕生します。 ▲ソリオ(2010年) ■20年後を予見した名車性 「ワゴンRワイド」→「ワゴンR+」→「ワゴンRソリオ」→「ソリオ」 ……と、短いスパンの中でこんなにも名称変更を繰り返した一連の「大きなワゴンR」シリーズは、間違いなく迷車ですが、なかでもわずか2年しか生産されなかった、初代ワゴンRベースのワゴンRワイドは迷車の中の迷車。 でも、こう考えてみるとどうでしょう。 ▲ワゴンRワイド マイナーチェンジモデル(1998年) 名前やキャラクターを変え、迷走しながら自らの存在感を追求し続けたという点では、名車とは言えないかもしれません。 ですが、今のルーミーの人気ぶりに見る「小さなハイトワゴン」というコンセプトをいち早くカタチにしたという点で、ワゴンRワゴンに名車性を見出せるのではないでしょうか? [画像:スズキ / ライター:木谷 宗義]
さて、ワタクシまつばらは「イラストレーター」としての肩書きも持っております。 webの挿絵とか本の表紙とか説明図とか、線画が多いのですがこんなの描いているんですよ、実は。 さて、そんなイラストレーターとしての立場でお話しすると、昨今様々なメディアでウワサの「AI」。 すなわち「Artificial Intelligence」の略ですが、昭和時代なら鉄腕アトムに搭載されている「人工頭脳」とか、まあ、そんなイメージがありますよね。 その「AI」くん、ご存知の方もいるかとは思いますが、最近イラスト業界では話題持ちきりなのは、写真ライクな美少女画像とか、かっこいいヒーローのポーズとか、AIが描くそのハイクオリティな出来栄えに、多くの人が「近い将来イラストレーターの仕事なくなっちゃうんじゃないか」とか「この出来ならモデル撮影のカメラマンも不要になるかも」とか、色々ウワサが絶えません。 まあ、その辺の考察は別の機会にイロイロ考えるということで、今回は旧車王らしく、そしてプロのイラストレーターとして、AIが生成する「オレたちの旧車」を考えてみようというのが今回のネタ。 いやあ、AIくん、なかなか面白いですぜ、ということではじまりはじまりー。 まずは手始めに、AIくんに何か描いてもらいましょう。 今回登場するのは、Microsoftのブラウザ「Bing」に搭載されているAI「DALL-E」という画像生成AIくんと、SeaArt というAIコミュニティで使えるイラスト生成「img2img」というAIくんです。 現在のAIにはそれぞれ特徴があって、画像を生成するためのキーワード「プロンプト」=ワレワレは「呪文」とか呼んでますが(笑)、同じ「呪文」を唱えても、生成される結果は大幅に違うというように、すでに「AIの個性」というものが芽生え始めている感じがします。 まあ、そんな前振りはともかく、早速AIくんに「描いて」もらいましょう、オレたちの旧車! まずは「DALL-E」くんの描く旧車! 呪文は「縄文時代のスポーツカー、日本、古代、縄文人」って、旧すぎ?(笑) おおっ! なんかそれらしいイメージというか、チキチキマシンに出てくる「001 岩石オープン」みたいなイメージだけど、まあ、縄文人ならこんなスポーツカー、アリだよね!という感じでいいっすね。 さて、全く同じ呪文を「img2img」くんにお願いして、縄文人のスポーツカーを・・・・・ って、おい!サイドカー?・・・・昭和時代じゃないかコレ?って感じで、同じプロンプト=呪文唱えてももこんなに違う。 確かに運転手は縄文人っぽいけれど。 さて、さらに時代は進み、時は飛鳥時代。 聖徳太子のスポーツカーをAIくんたちに描いてもらいましょう。 デザインは遣隋使でお馴染みの小野妹子くんです! 「DALL-E」くんはなんとなくそれっぽい感じに仕上がってますね・・・。 キャラデザインがそれとなく中華風。 これ見るとエンジンは付いてなさそうなので、足漕ぎかも。 足漕ぎだったらカッコいいすね、コレ。 で、次は「img2img」くん・・・うを!オモシロすぎ!なんだよコレ(笑)。 まるで祇園祭か岸和田のだんじりじゃないっすか。 やはりエンジンどこに付いてるんだか・・・、あ、飛鳥時代だからエンジンなんてないのか。 まあ、いくら旧車王でも縄文や飛鳥時代は旧すぎなので、もっと近いところで、大正時代はいかがでしょう? あ、コレはかなりいい線行ってますね、AIくんも。 近い過去ならあまり忘れてないようで。 こんなありそうでなさそうなグラフィックが、AIくんが最も得意とするところなんでしょう。 呪文は「大正時代 実用車 日本製 自動車 東京 モダン」です。 さて、それではもう少し現実的に。 AIくんもがんばって画像を生成してくれていますぞ。 作画は「DALL-E」くん。 呪文は「スズキ フロンテクーペ 70年代 スーパーカーみたい かっこいい」です。 過日鬼籍に入られたデザイナーで、世の中に直線なんてものはないと豪語されていたシド・ミードさんが、もしシトロエン2CVをデザインしていたならば・・・、という想定で、こんな呪文を唱えてみました。 こちらも作画は「DALL-E」くん。 「シド・ミード デザイン 2CV シトロエン」です。 うむー、どちらも納得できるかどうか?と言えば「そうかもね・・・」という感じになっちゃうのですが、それでもなんとなく「ソレっぽい」仕上がりになっているのは、さすがAI(笑)。 フロンテクーペはかっこいいなあ。 今度はシンプルに、呪文を「シトロエン 2CV」として、「img2img」くんに描いてもらいましょう・・・・って、なんとなくビートル混ざってる感が(笑)。 ドアの枚数とか構造の描写に、かなり悩んでいる様子が見えますね。 まあ、それとなく特徴を捉えていたりして、誰が見ても「2CV」というところはキッチリ押さえているようです。 というように、現状でのAIくんは、かなり無茶な要求にも真摯に、クソ真面目に応えてくれます。 そもそも、普段ワレワレが使っているコンピュータも「人間が指示したり要求したこと」以外はできませんよね。 言われたことを忠実に実行する。それが彼らの行動です。 なので、AIくんが「描いて」くれたイラスト的なものや写真的なモノも、プロンプト=呪文をできるだけ忠実に再現してくれたものだと思うのです。 それはネット上に溢れる情報=「ビッグデータ」から、必要なものを取り出して組み合わせたモノなので、ワレワレ人間が思いもよらないような、すなわち「意志」や「感情」を省いたデータの組み合わせが可能、というのがAIくんの強みでもあり、弱みなのかな、という気がします。 ともあれ、絵描きとしては、AIくんはなかなか面白い遊び相手だなと思っておりますので、これからもイロイロ一緒に遊んでみようと計略中であります。 いや、こいつ面白いっすよ(笑)。 最後に「現在日本で最強 旧車王 えらい イラスト」という呪文を唱えてみましょう。 応えてくれるのは「DALL-E」くんです。 どうですか?最強? ありそうでなさそうな、ちょっと素敵なデザインではありますね。 [画像 / OpenAI「DALL-E」, Stable Diffusion「img2img」・ライター/まつばらあつし]
■1.サファリラリー優勝の日本人唯一のドライバーが伝説のセリカをレストア! 1970年デビューの初代(A20系)から世界の名だたるラリーに参戦し、好成績を収めてきたトヨタ・セリカ。 4代目セリカとして1985年にデビューしたT160系は、流麗なボディデザインでも話題となった。 その翌年には初代セリカGT-FOURが登場。 87年公開の映画「私をスキーに連れて行って」に起用されたことでも、当時の若者たちが憧れる非常に有名なクルマとなった。 ラリーの世界でも、WRC世界ラリー選手権においては2つのマニュファクチャラーズ・タイトル、そして4つのドライバーズ・タイトルを獲得するなど、輝かしい戦績を残しトヨタのラリー黄金時代を築いたのである。 その後、セリカとしては5代目、GT-FOURとして2代目となるST185は市販モデルが89年9月に登場。 92年にWRCデビューを果たし、4年連続のサファリラリー優勝や日本車初のモンテカルロ優勝など、「ラリー黄金時代」にさらなる輝かしい戦績を重ねていった。 その黄金時代に、日本人として初めて1995年サファリラリー(WRC併催の「FIA 2リッター世界ラリーカップ(2L-WC)」シリーズ第4戦として開催)のドライバーとして優勝を飾ったのが、トヨタのワークスチームに在籍していた藤本吉郎選手(現:株式会社テイン専務 テイン中国董事長)である。 藤本氏のマシンはセリカ GT-FOUR(ST185)、3S-GTE型2.0ℓ直列4気筒エンジンを搭載する真のラリーカーだ。 サファリラリーとは、80年代はケニア、ウガンダ、タンザニアの3カ国5000キロ、90年代はケニアだけで3000kmを走破する過酷な自動車競技で、藤本選手は日本人初であると同時に、現在まで日本人唯一のサファリラリー優勝ドライバーである。 さて、その藤本氏が優勝を飾ったセリカGT-fourだが、1995年4月サファリラリーにゴールしたそのままの状態で日本に空輸されて帰国した。 トヨタ自動車所有のもと、トヨタ博物館やMEGA WEB、TRDなどで20年以上にわたって展示されてきたわけだが、とくに本格的なメンテナンスをされることもなかったので、車輌の腐食が進み、もはやレストアさえも不可能になる一歩手前という状態になっていた。 藤本氏は、風化しつつある伝説のセリカをレストアしたい意向を2018年末にトヨタに申し出て、2019年に個人として譲り受ける形が実現した。 ■2.スタート前の状態にレストアし後世に伝えていく価値のあるクルマ 「年数も経ってかなり朽ちてきたため、トヨタの手からも離れる可能性も出ており、トヨタ自動車に動態保存をお願いしてみましたが、予算が理由でレストアはできないとのことでした。他人に渡るくらいなら個人で買い取ってレストアをしようと。私にとってもサファリラリー優勝という大変思い出深いクルマであり、またしっかりとレストアをして走れる状態にし、後世に伝えていく価値がある車輌だと考えました。」(藤本氏) ▲「後世に伝えていく価値があるクルマ」とドライバーの藤本氏 「まず考えたのは、レストアの方向性をどうするかということでした。一般的に競技車両をレストアする場合、ラリーのスタート前の状態にするか、それともゴール後のリアリティ溢れる状態に戻すか、いずれかになるのですが、このセリカの場合はゴールから23年もの時を経てかなりひどい状態であったので、ゴール後の再現は不可能という判断となり、競技スタート前のきれいな状態に戻すことを決めました。」(同) 藤本氏がレストアの委託先に選んだのは、独ハノーバーに構えるCAR-ING社である。 サファリラリー優勝を支えたG.ツィジック氏が率いる同社は80‐90年代にTTE(TOYOTA TEAM EUROPE、現TOYOTA GAZOO Racing Europeの前身)で、メカニックやエンジニアとして在籍していたトッププロの方々が退職して作ったスーパー職人チームである。 2019年6月にコンテナで独CAR-ING社に向け船便で日本から出荷され、同8月にCAR-ING社到着後、車輌はバラバラに分解されて完全なレストアがスタートした。 「傷だらけの外装パーツをすべて取り外すことから始まりました。サファリラリー参戦時にボディの補強を担当していたフランスのマター社に持ち込まれてレストアが行われました。ウェットブラストで塗装を完全に剥がして点検を行い、錆を落とし腐食部を補修し再生。腐食で再使用不可能になっていたフェンダーなど一部のボディパネルは、部品取りとして、当時セリカRC(カーロスサインツエディション)として欧州で販売されていた量産車の中古車を現地で探して移植しています。幸いなことに根幹となるエンジン自体に大きな損傷はなかったので、CAR-ING社による軽度の修復と洗浄で当時の状態へ蘇らせることができました」(同) ■3.エビスサーキットにて28年ぶりの全開走行! 順調に進んでいたレストア作業だったが、2020年には新型コロナウィルス感染症の影響で作業が中断。 2021年にようやく組み付けを再開させ、同年6月にすべての作業が完了し日本に戻ってきた。 レストアには約2年の年月がかかっており、費用は輸送費、部品代、作業代など含めて数千万円に達した。 ちなみにサファリラリー出場時(1995年)のセリカは1億円オーバー。 チームの体制は50台のサービスカー200名の人員、ヘリコプター、セスナの体制で軽く2桁億円に達する壮大なものであった。 ▲数千万円の費用をかけて、サファリラリースタート前の状態にまで完全レストアが実現した 日本に戻ってきたセリカはさまざまなイベントに展示されることになり、2023年1月には東京オートサロンのテインブースに出展された。 伝説のセリカを一目見ようと多数の来場者がブースを訪れた。 肝心な「走り」の方は、保管場所であるテイン本社(横浜市)の駐車場でときどき、ゆっくり走る程度だったそうだが、それもやっとコロナ禍が明けた今年6月下旬、報道関係者への公開が実現した。 エビスサーキット(福島県二本松市)で開催された同乗試乗会にて、ついに28年ぶりの「全開走行」が実現したのである。 ハンドルを握るのはもちろん、藤本吉郎氏だ。 ▲福島県のエビスサーキットにて28年ぶりに全開走行が実現 「完璧な状態でレストアが行われましたが、エンジン保護のため当時と同じチューニングではなく、出力が抑えられた状態でECUセッティングがされています。ラリーでいえば競技区間を走る「SSモード」ではなく、リエゾンを走るための移動用「ロードセクションモード」のセッティングです」(同) ▲藤本吉郎選手が運転するセリカで夢の同乗試乗を体験! 同乗試乗会ではヘルメットを着用し、高性能なインカムもセットしてセリカの助手席に収まった。 凄まじいパワーと強大なトルク、そしてサファリラリー優勝ドライバー藤本氏の圧巻の走りを体感することができて、ただただ感動。 パワーもさることながら、本物のラリーマシンのけた外れの剛性感も初体験だった。 爆音の中、インカム越しの会話も新鮮そのものだった。 なお、今後この伝説のセリカは今年夏に、富士スピードウェーモータースポーツミュージアム(FMM)に展示予定である。 [ライター・撮影 / 加藤 久美子]
■ロンドンに導入された超低排気量ゾーンとは? ここイギリスでも、環境問題はいつも取り出されていますが、正直ドライバーにとっては痛いこともあります。 2019年からロンドンでは、ULEZ(Ultra Low Emission Zone)といって、超低排気量ゾーンというものが始まりました。 それは、このエリアを運転するときULEZ対応のクルマでなければ、税金を支払わなければいけないというものです。 このエリアは年々広がっており、今ではロンドン全域のみならず、ロンドン郊外まで拡大しています。 これがきっかけで、クルマを買い替えるオーナーが増えています。 実は私もその一人でありまして、ULEZゾーンをきちんとチェックせずに、たった数メートルその道路を走ったときにしっかりカメラで撮影され、後日罰金請求が届きました。 日本円で約8千円ほどですが、車両税に加え、毎回ロンドンに行くたびに税金がかかるのではやっていられません。 そこで、電気自動車や低排気量車に買い替えざるをえないのです。 最近はクルマを運転していると、本当に電気自動車が増えたと感じます。 目にするクルマの半分は電気自動車です。 ちなみに私のクルマはULEZ対応ではないので、ロンドンに行くときだけもう一台のULEZ対応車を使います(ULEZのためだけに買い替えました)。 ■ULEZとユーロカテゴリー では、クラッシックカーでULEZゾーンを走ると、どうなるのでしょうか? バリバリに黒いガスと騒音を出しながら走っている、とても環境にやさしいと思えないクルマですが、実は税金が「ゼロ」なんです。 1992年に「ユーロカテゴリー」というものが始まりました。 「ユーロカテゴリー」とは、排気量別にクルマをカテゴリー分けすることで納税額が決まる制度です。 クラッシックカーとよばれるクルマは、このユーロカテゴリーに当てはまらないため、税金免除となります。 要はクルマが古いので、40年以上前のものには枠がないのです。 クラッシックカーによっては、エンジンが7リットルを超えるものもありますし、私の好きな車のひとつ、ジャガーE Typeは4. 2リットルです。 こんなに大きくても税金は一切かからないんですね。 ULEZは環境問題への影響を緩和するために始まったものですが、ちょっと矛盾している気もします。 クラッシックカーファンとしては、これでもいいのかなと思ってしまいますが…。 ■クラシックカーとMOTの関係 クラッシックカーは、ULEZのみならず車両税も無料です。 例えば、クルマの製造年月が40年前のもの(1975年以前)であれば、これまた免除です。 今となればたくさんの電気自動車をみますから、高い車両税を払っている人はそれほど多くはないかもしれません。 しかし、クルマによっては今でも高額の税金を払っている人もいます。 例えば、普通車エンジン4リットルの車両税は、年間 約£520(日本円で約95,500円)です。 また、イギリスでは年に一度MOT(Ministry of Transport=陸運省)と呼ばれる、クルマのチェック(日本でいうところの車検)が義務づけられています。 これは道路を走るためにクルマが適しているかどうかというチェックをおこなうことですが、タイヤ、ブレーキの状態、ライト、ミラー、シートベルトなどのベーシックなものです。 実は、クラシックカーならば、これもまたまた免除なんです。 車両製造年月が40年前のクルマであれば、免除の対象になります。 ただ、これに関してだけは不明瞭な点がたくさんあり、誤解をしているオーナーが多いとか。 年間千人以上の人が罰金として、最大£2,500(日本円約456,000円)を科せられています。 免除になるためには、製造時よりエンジン、サスペンション、排気ガスシステムなどの、メジャーな入れ替えをしていないことが条件となっていますが、それを知らずMOTを受けずに走行し続けると、痛い目にあうようです。 こうして税金のことについて考えてみると、クラッシックカーを持つことでの利益はたくさんあるようですし、税金免除ってかなり大きいですよね。 ■免除=必ずしもお得とは限らない? 傍から見たら「オーナーはラッキーだ」なんて思われがちですが、実はその逆で、なんでもそうですが、古いものをいい状態で保つのは簡単ではありません。 特にクラッシックカーに関しては、メンテナンスによってコンディションに雲泥の差がでます。 コンディションを保つために費やす費用は相当なものです。 MOTは金額的にそれほど高いチェックではありませんし、メンテナンス費用の方がはるかに金額を上回ります。 それに加え、手間と時間のかけようもかなりのものです。 まあ、趣味なのでそれに関してはクラシックカーを保有する醍醐味でもあるとは思いますが。 今後、ULEZはロンドンに限らず、いろいろな場所で始まっていくことでしょう。 ちなみにスコットランドのエディンバラでもULEZが開始しています。 さらに、罰金は増大していく可能性も大きいです。 そこで自分自身でこんな質問をしてみました。 「もし自分がどちらかを選べるとしたら?」 クラッシックカーで税金免除でいくか、それとも完全な電気自動車に買い替えて、税金ゼロでいくか?? 果たしてどちらが得なのか? 税金に関してだけ考えると答えが出ません。 でも、ほとんどのクラッシックカーオーナーはこう答えます。 「税金がかかろうがかからまいがどちらでもいい」と。 税金はたまたまフリーになっただけ。 好きなクラッシックカーを毎日眺め、磨き、そして週末だけオープンカーにして田舎町でのドライブを楽しむことが一番なんだと。 本当に納得です…。 そして、それをみて楽しむのが私なのです。 [ 画像・AdobeStock、Jaguer、ライター・SANAE]
先日、私が所有しているアウディ・初代TTを整備工場に入庫させました。 1週間ほど代車としてお借りしたクルマが、2代目のトヨタ・ヴィッツ。 ひとりのクルマ好きとして、結構興味深く観察することができたので、記事にしてみようと思います。 日頃から趣味性が高いクルマに乗り慣れている方々にとっては、興味の範疇の外にあることも多いであろう国産コンパクト。 老若男女を問わず、多くの人の移動を支える「フツーに街中で見かけるクルマ」に改めて着目してみると、面白い発見があるかもしれません。 「チョイ古」な国産コンパクトといっても、選択肢として頭に浮かんでくる車種の数は膨大。 今回は、私が今までお借りした代車から厳選して、先述のトヨタ・ヴィッツと、トヨタ・ポルテ(初代)を比較します。 ポルテをお借りした期間は、ヴィッツと同じく約1週間。 参考までにお伝えすると、ヴィッツは約1000km、ポルテは500kmほど走行しました。 ■ヴィッツとポルテ、まずはスペックを比較してみよう まず、2台のスペックを確認しましょう。 私がお借りしたヴィッツは、2代目(90系)の前期型、2005年式の「Ⅰ’ll(アイル)」というグレード。 本革とスエード調ファブリックのハーフレザーシートや、本革巻きステアリングが奢られた、ちょっぴり高級なグレードです。 排気量1.3Lの直列4気筒エンジン(2SZ-FE)を搭載し、車重1020kgに対し、最高出力は87psです。 駆動方式はFF、トランスミッションはCVTで、サイドブレーキは手引き式。 対してポルテは、初代(10系)の後期型、2010年式の「130i」というグレード。 排気量は(ヴィッツと同じく)1.3Lで、直列4気筒。 こちらは2NZ-FEという形式のエンジンのようです。 車重1090㎏に対し、最高出力は(こちらもヴィッツと同じく)87psで、駆動方式はFF。 トランスミッションは4ATで、足踏み式のパーキングブレーキを装備しています。 トヨタ・ポルテは、ヴィッツの派生車種として誕生したクルマ…といっても、ベースとなったのは今回比較する2代目ではなく、初代ヴィッツ。 初代ヴィッツと初代ポルテは、プラットフォーム(NBCプラットフォーム)やパワートレーンをともにしている関係です。 初代ヴィッツの背を高くして、助手席側に大きなスライドドアを付けたモデルが、初代ポルテという認識で問題ないでしょう。 対して、私がお借りした2代目のヴィッツは、Bプラットフォームを用いたモデル。 BプラットフォームはNBCプラットフォームの改良版にあたります。 そして先述したエンジンの違いについても、簡単にご紹介しましょう。 ヴィッツに搭載されている2SZはダイハツ製であるのに対して、ポルテの2NZはトヨタ製。 2SZの方が後発、新開発のエンジンです。 燃費性能などが若干向上したらしいのですが、やたらマニアックになってしまうので詳述は避けることにします(製造品質にも若干の違いがあるようです)。 とはいっても最大出力は同じですし、ほぼ同列に語って差し支えないでしょう。 プラットフォームとエンジンのどちらも面からみても、2代目ヴィッツはブラッシュアップが施されています。 初代ポルテと比較するうえで、技術の先鋭性に多少の違いがあることは留意が必要です。 …とはいっても、その違いは微小。 従兄弟のような関係の2台であると捉えても問題はないはずです。 比較してみると、さまざまな気づきが得られるはず。 ■ヴィッツとポルテ、レスポンスの良さを比較してみよう スペックを確認したところで(だいぶマニアックな説明になってしまいましたが)、実際に運転してみてどう感じたか、インプレッションを比較してみましょう。 結論から申し上げると、ヴィッツもポルテも、どちらもすごくいいクルマ。 私の好みに合う方はポルテでした。 ヴィッツとポルテの双方を運転して、共通している印象は「出足が速い」ということ。 アクセルペダルを踏みこんだときに、即座にスロットルが開いて応答してくれる感じが、意外にも気持ち良いのです。 言い方を変えるのであれば、レスポンスが良いということ。 私が所有しているアウディ・初代TTよりも、はるかに加速のツキが良いのです。 その出足の良さは、とても87psとは思えないほど。日常使いにおいて、モアパワーを欲することがないのです。 まるでスポーツカーのよう…と言っても過言ではないかもしれないレスポンスの良さ。 その理由を深堀りしてみると、ヴィッツとポルテではスロットルの仕組みに違いがあることに気が付きます。 2代目ヴィッツは電子制御スロットル・システムを採用しています。 アクセルペダルの操作がコンピュータ制御で電気的に接続されることによって、スロットルバルブに伝わるという仕組みです。 対して初代ポルテは、より原始的なワイヤースロットル。 アクセルペダルとスロットルバルブがワイヤーによって繋がっており、ドライバーのアクセル操作が直接的に機関系に伝達されるという仕組みです。 先にご紹介した通り、メカニズム的には2代目ヴィッツの方が、初代ポルテよりも先鋭的。 スロットルに関しても例外ではなく、電子制御スロットルの方が新しいといえます。 その利点は、構造がシンプルなため部品点数が節約できること、そしてドライバーの無駄なアクセル操作を意図的にキャンセルすることができることなどが挙げられます。 不要なアクセル操作をコントロールすることによって、燃費向上が狙えることは確かでしょう。 その一方で、運転する際のダイレクト感(レスポンスの良さ)が失われてしまうという欠点もあるのです。 しかし私個人の印象としては、ヴィッツの方が、ダイレクト感が強かったのです。 スロットルがワイヤー式なポルテよりも、電子式のヴィッツの方がレスポンス性に長けるのは不思議です。 スロットル以外の別要因が存在すると考えるべきでしょう。 2NZと2SZのエンジン差異に関しても、本来は考慮すべきだとは思うのですが、前者(ヴィッツ)が64kW/116N・mに対して、後者(ポルテ)が64kW/121N・mとほぼ同じなので、今回は無視することにします。 あまりマニアックすぎるのもアレなので…(すでに手遅れだったらごめんなさい)。 正確にいうと、ヴィッツは若干トルクが薄いのですが、ヴィッツの方が出足の良さが顕著なので、トルク以上に“速さ”を体感させる要素があるということですね。 スロットル構造以外の要因として考えられるモノは、車両重量と車体剛性。 ヴィッツの方が、軽くて硬いのです。 先にご紹介した通り、ポルテの車重が1090kgなのに対して、ヴィッツの車重は1020kg。 たかが70kg、されど70kg。 アクセルのツキの良さ(≒出足の“軽さ”)には少なからず影響を与えているはずです。 同等の出力性能を誇るエンジンがそれぞれクルマを動かす場合、軽いクルマの方が速く転がることは想像に容易いでしょう。 ボディ形状からしても、ヴィッツの方が車体剛性に長けているといえます。 ポルテは背が高く、室内空間が広い点が魅力。 助手席側につく大きなスライドドアも魅力的です。 しかしながら、これらが車体剛性(=クルマの硬さ)には不利に作用します。 窓ガラスが大きく空間が広い構造は、高い剛性を確保するうえで限界があるのです。 実際に運転してみても、その違いは明白。 交差点を曲がるたびに、車体が“頑張っている”ことをヒシヒシと感じます。 すなわち、(ヴィッツに対して)剛性が低いポルテは、エンジンの出力が車体の歪みにスポイルされてしまっているのです。 動力がタイヤに伝わる際に、剛性が低い車体性能が追い付かないが故に失われる力が大きいほど、出足はモッサリとしてしまいます。 その結果、より軽くて硬いヴィッツの方が車体の応答性が高く、レスポンスが良いと感じさせたのでしょう。 …というわけで、今までヴィッツとポルテのどちらが速いかを「ああでもないこうでもない」と考察してきたのですが、そもそも論、我々はお買い物に行くクルマ(国産コンパクト)にレスポンスの良さなど求めていないのです。 それにも関わらず、これらのコンパクトカーに“速い”と感じさせるセッティングが施されていた理由として考えられることはただ一つ。 それは、「遅いと感じさせないため」ではないでしょうか。 実際問題、アクセルを深く踏み込んでみても、(エンジンは唸りを増すけれども、)加速度は大して変わらないのです。 すなわち、レスポンス性に優れたセッティングは、高出力ではないローパワーなエンジンを搭載しつつも、実用領域で不足と感じさせないための工夫だったのです。 そう考えてみると、過剰な「速さ」の演出はナンセンス。 出足を鋭くすると、速度を維持するためのアクセルコントロールが難しくなってしまいます。 応答性が高すぎるのも、なかなか考えものですね。 ■自分の偏愛にハマるお買い物クルマを見つけると、すごく楽しい それゆえに、個人的により好印象だったのは、相対的に出足がマイルドな初代ポルテ。 非常に運転がしやすいのです。 日常領域で不足を感じることは一切ないし、速度維持が容易で長距離を走っても疲れづらいし、高いアイポイントも車体感覚が掴みやすくて非常にグッド。 そして何より、非常に広くて便利です。 小さな子どもがいる主婦をターゲットにしたことが、随所からうかがえます。 後席横のドリンクホルダーには2Lペットボトルが入るし、助手席側のスライドドアは開口部が超広大。 前席のヘッドレストを外してうしろに倒せば、後席と連結させることもできてしまいます(お昼寝に最適!)。 さらに助手席を前に倒せば、テーブルに早変わり。 さまざまなギミックから一貫した設計意図を感じ取れるクルマに触れると、日々の移動に彩りが加わる気がします。 スライドドアを操作したいがゆえに、無駄に助手席側から出入りしちゃったりして。 クルマの楽しみ方は一つではないことを実感しました。 想定ターゲットを固定したことによって、一貫した設計意図を明確に感じることができたポルテに対して、ヴィッツはオールマイティな優等生のようでした。 ターゲットを固定することなく、さまざまな利用形態に対応できるように、極めて綿密に作り込まれたことがうかがえます。 近所のマダムのお買い物の足になるだけではなく、営業マンの相棒になることや、レンタカーを借りた若者の旅行のお供をすることすら想定されているように感じます。 誰がどう使っても不満がないような、非常に気が利くクルマだったことに驚きを覚えました。 結構な散文になってしまいました…。 メカニズム面や設計思想の面など、さまざまな側面から2台の国産コンパクトについて考察してきましたが、私がこの記事を書くうえでもっとも強調したいことは、「フツーに街中で見かけるクルマ」も、すごく楽しいということ。 マニアックな目線でさまざまなポイントに着目してみると、国産コンパクトは見どころだらけ。 今、非常に安価で手に入れることができる「チョイ古」な国産コンパクト。 いざ生活をともにしてみたら、面白い気付きをたくさん得ることができること、間違いなしではないでしょうか。 [ライター・カメラ / 林哲也]