旧車の魅力

現代版40系ランクル!年々価格が高騰してきているトヨタ FJクルーザーの魅力と中古車市場について解説
旧車の魅力 2022.04.12

現代版40系ランクル!年々価格が高騰してきているトヨタ FJクルーザーの魅力と中古車市場について解説

大柄なSUVありながら、愛くるしく個性的なデザインで異彩を放つトヨタ FJクルーザー。しかし、ポップな外観とは裏腹に、ランドクルーザーをベースとした設計でオフロード性能は非常に高く、中古市場の相場も上がり続けています。 今回は全世界のオフローダーに人気のFJクルーザーの魅力と、中古車市場についてご紹介していきましょう。 ランクルのデザインとフレームを合わせ持つFJクルーザー 2006年3月にアメリカで発売されたFJクルーザーは、レトロな外観と力強い走行性能が当時のユーザーに大ヒット。その流れに乗り、メキシコ、中国を経て日本でも2010年12月から販売が開始されました。 全長4,635mm×全幅1,905mm×全高1,840mmの大柄な角形ボディと、120系ランドクルーザープラドのフレームをベースにし、ホイールベースを100mm短縮したものを使用しています。 デザインは1960年発売の40系ランドクルーザーをモチーフにしており、その武骨なフォルムとキャッチーな丸目ライトは世界中のユーザーから人気を獲得しました。 見た目はポップでも中身は本気仕様 最高出力276ps、最大トルク38.8kgf・mの4リッターV6エンジンを搭載し、場所を選ばないトルクフルな運転を楽しめます。 日本仕様は駆動方式がパートタイム4WD、トランスミッションは5速ATのみですが、オフロード性能は非常に優秀。 悪路走行を前提とした最低地上高は230mmと非常に高くとられ、凹凸の激しい岩場や、多少の川ならば問題なく走行できてしまいます。 また、オフロード走行をより突き詰めたいというユーザーには「オフロードパッケージ」を用意。悪路走行向けのビルシュタイン製ダンパーや、リアデフロック機能が用意され、スタック状態から脱出するための「クロールコントロール」といった支援システムなど充実した装備内容になっています。オフロード走行中の急なトラブルでも、難なく突破できる頼もしい仕様です。 汚れも気にならないオフロード用インテリア そして、FJクルーザーは内装もオフロード使用を想定しており、シート表皮は撥水加工され、表皮の裏にも防水フィルムを設置。ラゲッジスペースやフロアマットは汚れてもすぐ掃除ができるラバー素材が使われています。 また、リアドアを観音開きとしたことで、2ドア車のような洗練されたデザインを演出。ピラーごとドアが開くので乗り込みやすく、後部座席は大人でもゆったりと座ることが可能です。 FJクルーザーは年々高騰が続いている 2018年1月に生産が終了しているFJクルーザーですが、昨今は当時の新車時価格の314万円を越える勢いで価格が高騰中です。 高騰の原因はというと、FJクルーザーのデザイン元、40系ランドクルーザーの海外人気の高さが関係しています。40系ランドクルーザーはもともと人気が高く、中古車市場では66,800ドル(約749万円)にまで価格が高騰。手がつけられなくなったユーザーたちは、40系の代わりになる車を求めました。 結果、クラシックなデザインかつ、高性能なFJクルーザーが注目を浴びることとなり、2020年のオークションでは27,500ドル(約306万円)の個体が現れています。 2021年には30,450ドル(約339万円)、同年4月のオークションではFJクルーザー史上最高額の72,916ドル(約811万円)で落札されたという報告もあるほどです。 FJクルーザーの中古車市場と買取価格 そんなFJクルーザーの国内における相場(2021年10月執筆時点)を、大手中古車サイトで調べてみました。 国内在庫は337台と豊富に用意されており、最安値の個体だと2011年式、走行距離238,000kmで159万円。最高値のものだと2016年式、走行距離48,000kmのリフトアップカスタムが施されたオフロードパッケージで527万円となっていました。 そのほかにも最終型かつ、低走行の個体ならば400万円を超えるものが数多く存在しており、国内も価格も高騰していることが伺えます。 旧車王での買取価格はベースグレード、カラーパッケージで70~350万円。最終型の特別仕様車「ファイナルエディション」では100〜430万円となっており、車の状態によっては新車価格を上回るプライスが付く可能性もあります。 まとめ キャッチーかつノスタルジックな外見でありながら、本格的なオフロード性能を持つという独自のキャラクターで多くのファンを生み出したトヨタ FJクルーザー。 40系ランドクルーザーのデザインを現代の基準にリファインさせたその姿は、昨今の自動車のなかでは唯一無二の個性といえます。国内での中古車在庫はまだ多く残っていますが、新車価格以上の高騰が始まってきているので、購入を検討している方は早めの行動が重要です。 そして、FJクルーザーの売却を考えている方は、車体のメンテナンスを怠らず、これからの価格動向をしっかり把握していくことが必要となるでしょう。 旧車を買い続けて20年以上!目利き鑑定士の納得買取なら旧車王https://www.qsha-oh.com/ [ライター/増田真吾]

新型が出る今が買い?150系ランドクルーザープラドの中古車事情
旧車の魅力 2022.04.08

新型が出る今が買い?150系ランドクルーザープラドの中古車事情

日本を代表する自動車メーカーである「トヨタ」の中で、もっとも長い歴を持ち、全世界から常に人気のランドクルーザー。そんなランドクルーザーの血統を受け継ぎ、より街中での使い勝手を優先させ、ライトデューティ用途として開発されたのがランドクルーザープラドです。 現行型である150系は、2009年の発売から10年以上が経ち、そろそそフルモデルチェンジがあるのでは?という憶測が飛び交う中、熟成しきった150系プラドの購入を考えている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、150系プラドの中古車事情と選び方について詳しくお話していきたいと思います。 兄貴分「ランドクルーザー」にも負けない悪路も行けちゃう高級SUV 2009年から販売されている現行型は、通称「150プラド」や「150系」と呼ばれ、“プラド”という名前になってから4代目に当たります。発売当初は、4.0LのV6と2.7L 直列4気筒のガソリンのみでしたが、2015年のマイナーチェンジにおいて、4.0L V6は廃止となり、その代わりとして新開発の2.8Lディーゼルエンジン(1GD-FTV)が登場。ランドクルーザーシリーズでは、約8年ぶりにディーゼルが復活することでも話題となりました。 兄貴分であるランドクルーザーに比べ小型で、ライトデューティ仕様であるとは言え、そこは天下のランクル一族。モノコックボディでは到底かなわないフレーム構造からくる堅牢性と、オンからオフまで対応する電子制御サスペンション(KDSS)、トラクションやABSの効きを最適化するマルチテレインセレクト(MTS)など、世界でも十分戦える悪路走破性能です。 加えて、木目パネルや本革シートを採用したグレードも存在し、国産SUV界の雄「ランドクルーザー」にも負けない高級感を備え、アメリカでも常に高い人気を誇っています。   性能が重要視される150プラドの中古相場は広め 2009年の発売から10年以上経過しているとは言え、その色あせることのない魅力に見せられ、これから中古車として150プラドの購入を検討している方も少なくないでしょう。そんな150プラドの中古車相場ですが、大手中古車情報サイトを見てみると、車両価格は約70万円から、ほとんど走行していない未使用車の600万円台までと幅広くなっています。 出品台数は全国で1,000台以上と比較的潤沢なため、時間に余裕をもってじっくり探すことで、予算に見合った納得の1台を見つけることができるでしょう。 デザイン重視なら前期型ガソリン、性能重視なら後期型ディーゼルがおすすめ 特徴としては、フェイスリフトされた2015年以降の後期型と前期型で価格が分かれており、デザインが気に入るのであれば前期型の2.7Lガソリンモデルがねらい目。さらに年式が2012年以前なら、車両価格200万円程度で、走行距離5万㎞程度の個体を見つけることができます。 また、もう少し予算があるなら、後期型の2.8Lディーゼルもおすすめ。ガソリンよりも燃料価格が安く燃費が良い(2.7Lガソリン:9.0km/L、2.8Lディーゼル:11.8km/L)ことに加え、最大トルク45.9kgmという大トルクは、車重が2トンを超える150プラドにとって大きな魅力です。 低年式でもご心配無用!でも下回りは要チェック 中古車を選ぶ際、やはり年式や走行距離は大切ですが、堅牢性と基本性能が売りの150プラドの場合、上記で触れた前期後期の違い以外で、あまり年式や距離を気にする必要はありません。それよりも、悪路に強いという性格上、降雪地域で好まれる傾向があり、融雪剤による下回りや足回りの錆には要注意。 また、他車種に比べて少ないものの、悪路走行を楽しむユーザーの少なからずいるため、リフトアップやオフロードタイヤを装着した個体の場合、下回りの損傷には十分注意しましょう。 また、キャンプをはじめとしたアウトドアユースはもちろん、仕事道具を積む実用車としても人気があり、内装の傷みやにおいには十分注意したいところです。 リセールバリューは国産車トップクラス ランドクルーザープラドは、どの世代であってもリセールバリューの高い車種として有名です。そのため、中古車で購入する側で考えた場合、状態のいい個体はどうしても割高に感じてしまうかもしれません。 一方、売却する側で考えれば、長年乗ってもしっかり値段が付く車種であるため、仮に中古車で購入したとしても、次の買い替え(売却)であまり心配する必要がないとも言えます。 リエール価格だけでみると、ガソリンエンジン搭載モデルのがやや有利。とは言え、もともとリセールの高いことで知られるランドクルーザープラドですから、ディーゼルエンジン搭載モデルであっても、それほど過度な心配をする必要はありません。 ランドクルーザーを買い続けて20年以上納得の高価買取ならランド王https://www.qsha-oh.com/landcruiser/ [ライター/増田真吾]

80万円で買えるMT車は実力派ぞろい!?初心者から上級者まで楽しめるMT車5選
旧車の魅力 2022.04.06

80万円で買えるMT車は実力派ぞろい!?初心者から上級者まで楽しめるMT車5選

車を操る楽しみを味わえるのは、やはりMT(マニュアルトランスミッション)車です。速度域やエンジンの回転数にあわせてシフトチェンジをすれば、思い通りに車を走らせることができます。 今回は、初心者にもおすすめで、手頃な価格で入手可能なMT車をご紹介します。運転する楽しみと実用性を兼ね備えた車種ばかりなので、MT車選びの参考にしてください。 MT車はコンパクトカーが狙い目 MT車を中古車で探すのならコンパクトカーがおすすめ。コンパクトカーのMT車の多くはスポーティモデルとなっており、走行性能が高く十分に走りを楽しめます。さらに、手頃な価格帯で販売されている上、実用的で日常の使い勝手も申し分ありません。 近年MTの設定がある車は減少している 近年MTの設定のある車はスポーツカーが中心となっていて、全体として選択肢は少なくなっています。ワンボックスや軽トラなどの実用車を除くと、そもそもMTの設定がない車種も珍しくありません。 また、新車時の価格設定も高くなる傾向にあります。かつては同モデルであればMT車の方が安く設定されていましたが、走行性能をより重視したモデルに設定されることが多いためです。 コンパクトカーが狙い目の理由 MT車はスポーツカーが中心ですが、現在スポーツカーは年式の古いものでも価格が高止まりしています。理由は、海外で日本製スポーツカーの人気が高まっているためです。 そこで、おすすめなのがコンパクトカー。コンパクトカーでもMTの設定があるグレードはスポーツモデルが多くなっています。WRCなどラリーカーのベース車両になっている車種もあるので、コンパクトカーでも十分な走行性能が備えられています。 80万円で買えるMT車5選 予算80万円でも十分に走りを楽しめるMT車を購入できます。日常使いに便利なコンパクトカーですが、MTが設定されているモデルはどの車種もスポーツモデルが中心で、高い走行性能を備えています。 コンプリートカー並みの性能を持った車種や、人気のプレミアムカーも含まれているので、初心者だけでなくこだわりのある上級者にもおすすめです。 GRヤリスにつながる最終型トヨタ ヴィッツRS 2010年に登場した3代目トヨタ ヴィッツは、スタイリッシュなデザインが特徴のコンパクトカー。コンパクトカーながら見た目以上に車内は広く、上質なインテリアに仕上げられています。 5MTが設定されているグレード「RS」は、ヴィッツのスポーティグレードです。109ps を発生する1.5L直列4気筒エンジンは、控えめなパワーながら気持ちよく回ります。さらに、通常のモデルより、足回りが硬めの設定になっているのもRSの特徴。軽量な車重とあわせて軽快な走りを楽しめます。また、バンパーやルーフスポイラーなどが専用デザインとなっている点も特別感があるのでおすすめのモデルです。 3代目ヴィッツRSの中古車価格は39.8〜139.8万円。たとえば「ヴィッツRS 2015年式、5MT、1.6万km」の中古車は79.8万円で販売されていました。(2022年4月現在) モデル末期には現在のGRヤリスにつながるGRスポーツモデルも販売されているので気になるかたはチェックしてみてください。 スイスポの名前を定着させた2代目スズキ スイフトスポーツ 2005年に登場した2代目スズキ スイフト。新たに世界戦略車という位置付けになり、高い走行性能とデザインが好評を博したスズキを代表するコンパクトカーです。とくにスポーツモデルとなるスイフト スポーツは、「スイスポ」という略語もうまれるほど通常モデル以上に評価されています。 1.6L直列4気筒エンジンは6,800回転で125psを発生。車重わずか1,070kgの車体を軽快に走らせます。足回りにはモンロー製ショックアブソーバーや前後ディスクブレーキなどスポーツグレードにふさわしい装備となっているのも通常モデルとは異なる特徴です。 中古車価格は19.8〜119万円。たとえば「スイフトスポーツ 2008年式、5MT、走行距離5.7万km」で79.8万円という個体もあります。(2022年4月現在) 日常使いも便利な2代目ホンダ フィットRS 2代目フィットは2007年に登場しました。フィットの特徴は、インテリアの高い質感と使い勝手のよさです。広い荷室が確保されていることはもちろん、シート周りにも収納スペースが豊富に設けられています。ホンダならではの走行性能の高さもあり、通常モデルでも日常使いだけではなく運転をする楽しさも味わえるモデルに仕上がっているのが特徴です。 5MTが設定されているRSは、フィットの使い勝手のよさはそのままに、より走行性能が高められています。120psを発生する1.5L直列4気筒エンジンは、i-VTEC仕様で低回転から高回転までスムーズに吹け上がります。また、最大トルクは145Nmと十分で、低速走行の多い街乗りでもストレスを感じません。また、さらに走りを楽しめる6MTモデルもあります。 中古車価格は19〜118万円で、中心価格帯は80万円以下です。たとえば「フィットRS 2013年式、6MT、6.7万km」の中古車は79.9万円でした。(2022年4月現在) コンプリートカー並みの完成度だった三菱 コルト ラリーアート バージョンR ベース車両の三菱コルトは、2002年の登場から2013年までの11年間、大きなモデルチェンジをおこなうことなく販売された三菱を代表するコンパクトカーです。販売期間が長かったため、多くのグレードや派生モデルが登場しました。 コルト ラリーアート バージョンRは、コルトをベース車両として開発されたスポーツモデル。もともとあったコルトラリーアートに専用のエアロバンパーやオーバーフェンダーを装着し、ランサーエボリューションを思わせる外観になっています。 性能面では、163psを発生する1.5L直列4気筒ターボMIVECエンジンが最大の特徴です。わずか1,100kgほどの車重を考えるとかなりハイスペックで、スポーツ走行も十分楽しめます。足回りやホイールが強化されていることに加えて、MT車には横滑り防止装置まで装備されていてこのままラリーに出場できそうな仕様です。 中古車価格は28〜238万円で、中心価格帯は80万円以下です。「コルト ラリーアート バージョンR 2009年式、5MT、10.7万km」が79.9万円で販売されていました。(2022年4月現在)ただし、走行性能重視のスポーツモデルだけあって走行距離が多めの中古車が多く、実際に購入する場合は、きちんと車を見極める力が必要です。 毎日特別な気分で運転できる2代目BMW ミニ クーパー BMW社が商標を獲得し、2007年に登場した2代目となるBMWミニ。プレミアムコンパクトカーとして人気の高いミニも、先代であれば80万円の射程圏内です。 ミニ独特の内外装のデザインは、所有しているだけで特別感を味わえます。また、走行性能の高さもミニの特徴。1.6L直列4気筒エンジンは最高出力120ps、最大トルク160Nmを発生します。バルブトロニックという技術によって、バルブのリフト量とタイミングを無段階で精密にコントロール。低域から高域までストレスのないエンジンフィールを実現しています。 中古車価格は35〜163.5万円。「ミニ クーパー 2010年式、6MT、5.3万km」のモデルが79.8万円で販売されていました。(2022年4月現在)また、175psを発生するターボモデル「クーパーS」もほぼ同価格帯で販売されています。 まとめ MT車であれば、高性能スポーツカーでなくても運転を楽しめます。 そして、MT車を低価格で購入したいのであれば、コンパクトカーがおすすめ。多くが走行性能を重視したスポーツグレードなので、小柄なボディをきびきびと走らせる爽快感が味わえます。 また、最近のコンパクトカーであればインテリアも上質で見た目以上に車内も広いので日常使いの車としても最適です。年式や走行距離には注意が必要ですが、こだわりの特別仕様車なども予算80万円で見つかるかも知れません。 [ライター/増田真吾]

いすゞ117クーペは「カーデザイン」の革命児
旧車の魅力 2022.03.31

いすゞ117クーペは「カーデザイン」の革命児

流麗なファストバックスタイルの117クーペは、1968年7月から1981年4月までいすゞが販売していた2ドア4シータークーペです。発売から50年以上経った今もなお「世界で最も美しいスポーツカー」と評され、スポーツカーとしての性能よりも、そのスタイルだけで多くの車ファンを魅了してきました。日伊合作による自動車開発の成功例として、日本の自動車殿堂の歴史遺産車にも認定される117クーペは、まさにカーデザインの革命児なのです。 走る芸術品とも称された117クーペの魅力 1960年代、いすゞでは国産乗用車のイメージアップを図るべく、社運をかけたフラッグシップカーの開発が行われていました。 この開発でデザインを手掛けたのはイタリア・デザイン界が誇る美の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。そして1966年、彼がデザインしたプロトタイプがジュネーブショーで「コンクール・ド・エレガンス賞」を受賞。さらにイタリアで開催された「国際自動車デザイン・ビエンナーレ」でも、名誉大賞を受賞しました。 その後、このプロトタイプは正式に117クーペと命名。その美しさから「走る芸術品」とも称され、多くの人にとっての憧れの車となったのです。 ジウジアーロといすゞのタッグが生まれた背景 1960年代中頃の日本車市場は、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)と提携してカーデザインを起こすのがブーム。ダイハツの「コンパーノ・バン」、日産の「410型ブルーバード」、マツダの「ファミリア」など、ヨーロッパテイストを取り入れた車で賑わっていました。 そしていすゞも同様にフラッグシップモデルとなるべく117クーペのデザインをイタリアに求め、カロッツェリア・ギア社と委託契約を結びます。そのギア社に在籍していたのがジウジアーロだったのです。 天才ジウジアーロが手掛けた流麗なデザイン(初期型) ジウジアーロが考えた117クーペのエクステリアコンセプトは、滑らかな流線型のファストバックスタイル。当時のイタリアンデザインに見られたホイールアーチに沿ったフェンダーライン、大きなガラスエリアに細いピラーなど斬新なデザインが随所に見られます。 フロントフェイスは、一体型のバンパーに丸目4灯のヘッドライト。センターには獅子のエンブレムを備えます。ジウジアーロの最大の拘りは、ボディの溶接面やガラスの接合面を見せない配慮。スッキリと1枚の面で構成されたフォルムになっています。 そしてインテリアにも、ジウジアーロならではのセンスが散りばめられています。インパネやステアリング、シフトノブに本物の木材を使うなど随所で高級感を演出。そして7連メーターでスポーティさもしっかりアピールしています。 ちなみに117クーペが発売された1968年当初、いすゞにはこの美しい造形を量産化する機械技術がなかったため、ボディの板金製作や装備は全てハンドメイドで行っていました。そのため月間の生産台数は30台前後、価格は172万円で、現在の価値に換算すると大体620万円(消費者物価指数で換算)と高価。それでも当時は作れば作るだけ赤字を計上していたと言われています。 高級なハンドメイドから量産化により爆発的にヒット 117クーペは1968年から1981年まで間に、2度のマイナーチェンジが行われています。初期型と呼ばれるモデルはハンドメイドで製造されましたが、1973年の中期型では製造方法がライン生産に変わり、生産台数が飛躍的に向上しました。 また高すぎるコストの削減にも成功し、初期型と比べ車両価格を抑えた117クーペは爆発的にヒット。販売開始以降、初の黒字化を達成。一方で中期型では内装の素材が木材から金属やウレタンに変わり、初期型独特のエレガンスな雰囲気が損なわれてしまいました。 さらに、1977年に登場した後期型では、特徴的だった丸目のヘッドライトが角目に変更。また、内外装に樹脂パーツが多く使われるなど、さらになるコストカットが図られました。そして117クーペはフルモデルチェンジをせずに1981年に生産終了。総生産台数は86,192台でした。 いすゞ117クーペの中古車市場 初期型の117クーペの新車価格は172万円。当時の大卒初任給は平均で3万950円だったと考えると、かなりの高級車であったことは間違いありません。しかし、マイナーチェンジによるコストダウンにより、新車価格も廉価版では100万円前後まで抑えられます。 そんな117クーペの中古車市場(3月15日現在)を覗いてみると、取引台数は16台。最高値はハンドメイド製法の初期型で685万円、最安値は後期型で148万円と共に新車価格を上回っています。 続いて買取り相場ですが、歴史的価値の高い117クーペは一般査定なら95万円、旧車王ならおよそ120万円と高額査定も期待できます。もちろん希少価値の高いハンドメイドなら高額買取も望めます。 まとめ まさに「魅せる」という1点張りで名車の仲間入りを果たした117クーペ。ジウジアーロ自身も「最高傑作」と称するほどのスタイリングに、現在もコレクターを中心に高い人気を誇っています。 いすゞが赤字採算を覚悟してまで世に出したフラッグシップカーは、それまでの日本のカーデザインの概念を変えたと言っても過言ではありません。 日本とイタリアの技術が融合して生み出された117クーペと言う名の超傑作、もし機会があれば、一度は手にしてみたいですね。 [ライター/増田真吾]

自動車税(種別割)はクレジットカードで納付できる?方法や注意点も紹介
旧車の魅力 2022.03.30

自動車税(種別割)はクレジットカードで納付できる?方法や注意点も紹介

車を所有している人にとって毎年負担になる自動車税(種別割)。車によって納税額が高額になるケースもあるため、クレジットカードで納付してポイント還元を受けたい人もいるでしょう。この記事では、自動車税(種別割)をクレジットカードで納付できるかについて詳しく解説します。納付方法や注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 自動車税(種別割)とは 自動車税(種別割)は、自動車の排気量に応じて毎年課せられる税金です。4月1日時点の車の所有者に対して、自動車税(種別割)の納付書が5月頃に送付されます。車検証記載の住所に届くため、住所変更を忘れないようにしましょう。 また、車が登録された年によっては増税されます。自動車の所有年数が13年、18年を超えたタイミングで増税される点に注意が必要です。 自動車税(種別割)はクレジットカードで納付できる クレジットカードで自動車税(種別割)を納めるには、支払い専用サイトまたは、Yahoo!公金払いにアクセスする必要があります。続いて、クレジットカードによる納付について詳しく解説します。 クレジットカード支払いができるようになった年月日 自動車税(種別割)のクレジットカード支払いができるようになったのは、2017年からです。2016年の税制改正により、クレジットカード支払いが可能になりました。以前からクレジットカード支払いが可能な地域はありましたが、2016年の税制改正を機に、対応できる自治体が増えました。 対応している自治体 下記の自治体は、Yahoo!公金払いによる自動車税(種別割)の納付が可能です。 北海道地方北海道 東北地方青森県・山形県 関東甲信地方茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・神奈川県・長野県 北陸地方新潟県・富山県・福井県 近畿地方奈良県・和歌山県 東海地方静岡県・岐阜県 中国・四国地方鳥取県・岡山県・島根県・広島県・山口県・香川県・愛媛県 九州地方福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県 Yahoo!公金払いが対応していない地域は、自治体の支払い専用サイトからクレジットカードで納付ができます。自治体によってはクレジットカード納付に対応していないため、事前に自治体のWEBサイトや窓口で確認しましょう。 納付方法 クレジットカードによる自動車税(種別割)の納付方法は下記のとおりです。 ・納付書とクレジットカードを準備・支払い専用サイトまたは、Yahoo!公金払いにアクセス・納付書に記載されている納付番号や確認番号などの情報を入力・クレジットカード情報を入力・入力内容を確認して、誤りがなければ完了 支払い専用サイトは「○県 自動車税 クレジットカード」と検索すれば表示されます。 自動車税(種別割)をクレジットカードで納めるメリット 続いて、自動車税(種別割)をクレジットカードで納めるメリットを解説します。 現金を下ろす必要がない クレジットカードで自動車税(種別割)を納めれば、銀行から現金を下ろす必要がありません。そのため、銀行やATMに出向く手間が省けます。また、現金を持ち歩くことによる紛失や盗難のリスクも抑えられるでしょう。クレジットカードも盗難されるリスクがありますが、暗証番号が必要であったり、すぐに利用を停止できたりと、現金と比べて被害を抑えられます。 時間と場所を問わず納付できる クレジットカード払いであれば、時間と場所を問わずに自動車税(車種別))を納付できます。そのため、自分の好きなタイミングで自動車税(種別割)の納付が可能です。また、納付書が自宅に届く時期がゴールデンウィークと重なる可能性があり、忙しくて支払う時間がない人もいるでしょう。外出先でも納付が可能なため、自動車税(種別割)の納付が遅れることもなくなります。 クレジットカードのポイントが貯まる クレジットカードで自動車税(種別割)を納めた場合、支払い金額に応じてポイントが貯まります。自動車税(種別割)は数万円以上かかるため、多くのポイントを貯めることが可能です。 クレジットカードの利用実績がつく クレジットカードで自動車税(種別割)を納めれば、カードに利用実績がつき、返済能力や信用性の評価が高まります。返済能力や信用性は、他の金融機関でローンを組むときや利用限度額の増額などの審査に影響を及ぼします。返済能力や信用性の評価を高めたい場合は、自動車税(種別割)を毎年クレジットカードで納めるとよいでしょう。 分割払い・リボ払いができる クレジットカードであれば、分割払い・リボ払いで自動車税(種別割)を納付できます。現金で自動車税(種別割)を納める場合、原則として一括で税金を支払う必要があります。クレジットカードであれば、支払い回数やリボ払いが可能なため、金銭的な負担を分散できるでしょう。 自動車税(種別割)をクレジットカードで納めるときの注意点 続いて、自動車税(種別割)をクレジットカードで納めるときの注意点を解説します。 決済手数料がかかる クレジットカードで自動車税(種別割)を納めると、決済手数料が発生します。金額は自治体によって異なりますが、300円前後で設定されています。還元されるポイントより、決済手数料の方が高いケースもあるでしょう。しかし、お金を下ろしたりコンビニに出向く手間を考えると、多少の手数料は必要なコストです。 納付期限が設けられている 納付書に記載されている期限を過ぎてしまうと、クレジットカードで納付できません。納付期限を過ぎてしまうと、延滞料金が発生し、税務署に納付書を再発行してもらう手間もかかります。また、金融機関の窓口や郵便局で現金一括で納付する必要があります。クレジットカードで自動車税(種別割)を納める場合は、納付期限を考慮し、早めに納税した方がよいでしょう。 納付後の取り消しができない クレジットカードで自動車税(種別割)を納付した場合、納付の取り消しができません。違うクレジットカードで決済し直したい場合でも、取り消しが不可能です。そのため、どのクレジットカードを利用するか、事前にきちんと決めておく必要があります。 納税証明書の発行に時間がかかる クレジットカードで自動車税(種別割)を納めた場合、納税証明書の発行に時間がかかります。現金で支払う場合は、その場で検修印が押されるため、すぐに納税証明書が発行されるでしょう。しかし、クレジットカードの場合は発行までに2〜3週間程かかります。また自治体によって、車検時に納税証明書が必要な場合があります(※軽自動車は必須) そのため、2〜3週間以内に車検に出す予定がある場合は、コンビニや金融機関の窓口で自動車税(種別割)を納めましょう。 領収書が発行されない クレジットカードで自動車税(種別割)を納めた場合、手続きはインターネット上で完結するため、領収書が発行されません。しかし、クレジットカードの利用明細書で領収書の代用が可能です。領収書が必要な場合は、クレジットカードの利用明細書を保管しておきましょう。 残高不足になっていないか事前に確認する クレジットカードで自動車税(種別割)を納める場合は、事前に銀行口座の残高を確認しておきましょう。残高不足の場合、自動車税(種別割)が引き落とされず、自分の信用情報に傷がつく可能性があります。信用情報に傷がつかないよう、銀行口座にお金が入っていることを確認してからカードを利用するようにしてください。

グループAで活躍した車は今でも人気!代表的な人気モデルや中古車事情を解説
旧車の魅力 2022.03.29

グループAで活躍した車は今でも人気!代表的な人気モデルや中古車事情を解説

かつて車好きが熱狂した市販車ベースのレース「グループA」。このレースで活躍した車は今でも人気です。今回は、グループAとはどんなレースだったのか、グループAのマシンのベース車にはどのようなモデルがあったのか紹介するとともに、グループAで活躍していたベース車の中古車事情についても解説します。 グループAとは グループAとは、市販車をベースにしたツーリングカー選手権です。日本では、全日本ツーリングカー選手権として1985年~1993年まで開催されました。レースに出場するためには、座席数が4座以上で、連続する12ヶ月間に5,000台以上(1993年以降は2,500台以上)生産された車両が対象となります。また、年間500台生産すればエボリューションモデル(進化型)として出場できるというルールもありました。 レースに参戦するためのホモロゲーション(公認)は、エンジン排気量によって区分けされ、最低重量やタイヤサイズなどが規定されています。なお、ターボ車については、排気量に1.4倍(1988年からは1.7倍)が換算されたクラスになります。 外観は、空力パーツも含めて市販車の形状を保つことがルールとなっていました。エンジンは、排気量の拡大、過給機の変更、補器類の形状や数の変更は認められていませんでしたが、ピストン交換ができ、原型が留まっていれば加工や研磨ができました。なお、エンジンの過給圧の制限はありません。足まわりやブレーキの変更範囲は幅広く、大幅な性能アップができるレースでした。 グループAの人気車種一覧 グループAで活躍した車には、三菱 スタリオン、日産 R32GT-R、BMW 635CSi、ボルボ 240ターボ、トヨタ AE86などがあります。ここからは、各モデルのグループAでの活躍、ベース車両の特徴などを解説します。 三菱 スタリオン 三菱 スタリオンは、1985年の国際ツーリングカー耐久レース(インターTEC)で予選から速さを見せ、決勝で日本車勢最高位の4位に入賞しました。1986年からは全日本ツーリングカー選手権(JTC)に参戦。1986年のインターTECでは、強豪のジャガーXJ-Sに次ぐ予選2位など好成績を残しました。 ベースとなった車両は三菱 スタリオンターボGSRで、エンジンは2.0L直列4気筒G63BT型エンジンを搭載。グロス値ではあるものの最高出力200PS/6,000rpm、最大トルク28.5kgm/3,500rpmを発生させます。駆動方式はFRで、サスペンションは4輪ストラットの独立懸架でした。サイズは、全長4,400mm、全幅1,695mm、全高1,320mmの5ナンバーコンパクトサイズです。 R32スカイラインGT-R 日産 R32スカイラインGT-Rは、1990年の全日本ツーリングカー選手権開幕戦でレースデビュー。その後、グループAの全日本ツーリングカー選手権が終了する1993年までの4シーズン全29戦をすべて優勝するという記録を残しました。搭載されるエンジンは名機のRB26DETTで、最高出力550PS/7,600rpm、最大トルク50.0kgm/6,000rpmを発生。サスペンションは、前後マルチリンクとなっています。 ベースとなった車両は、1989年に登場した日産 8代目スカイラインGT-R。エンジンは、2.6L直列6気筒ツインターボエンジン(RB26DETT型)で、市販車の最高出力が280PS/6,800rpm、最大トルクが36.0kgm/4,400rpmでした。ボディサイズは、全長4,545mm、全幅1,755mm、全高1,340mm。現在でも高い人気を誇る1台です。 BMW635CSi BMW 635CSiは、1985年の全日本ツーリングカー選手権で第2戦、第3戦で優勝。第4戦で4位という結果を残しました。グループAでは、3.4L直列6気筒の高回転型自然吸気エンジンで参戦。最高出力は296PS/6,800rpm、最大トルク35.0kgm/6,000rpmを発生するエンジンを搭載していました。 ベースとなったBMW 6シリーズは、2ドア4人乗りの伸びやかなスタイリングが特徴のクーペで、ボディサイズが全長4,815mm、全幅1,740mm、全高1,365mm。エンジンは3.4L直列6気筒で、最高出力211PS/5,700rpm、最大トルク31.1kgm/4,000rpmを発生します。駆動方式はFR、トランスミッションは4速ATです。 MA70スープラ トヨタ MA70スープラは、1987年から全日本ツーリングカー選手権に参戦。第4戦では予選2位、決勝で優勝するという結果を残しました。1988年には、生産台数500台のエボリューションモデル「スープラターボA」をインターTECに投入し、上位入賞をしています。 ベースとなったスープラは、1986年~1993年まで販売されていたスポーツカー。ボディサイズは、全長4,620mm、全幅1,745mm、全高1,300mmです。搭載されるエンジンは、3.0L直列6気筒ターボエンジンで、最高出力240PS/5,600rpm、最大トルク35.0kgm/3,200rpmを発生させます。1988年に販売された「ターボA」では、「ターボAダクト」と呼ばれるフロントバンパーを装備し、エンジンの最高出力が270PSに高められました。ターボAは、500台限定で販売されたため、現在では希少価値が高いモデルとなっています。 シエラRSコスワース フォード シエラRSコスワースは、1987年の開幕戦で予選3位からスタート。決勝では、エンジントラブルによりリタイアとなりましたが、実力の高さを見せていました。 ベースとなった車両は、フォード シエラRSコスワース。全長4,390mm、全幅1,720mm、全高1,360mmの3ドアハッチバックです。エンジンは、フォード製2.0Lエンジンブロックにコスワース特製の4バルブDOHCヘッドが架装され、ギャレット製のターボチャージャーとインタークーラーを装着しています。エンジンスペックは、最高出力204PS/6,000rpm、最大トルク28.1kgm/4,500rpm。駆動方式がFRで、トランスミッションが5速MTとなっています。 コモドールSS ホールデン コモドールSSは、5.0LのV型8気筒OHVエンジンを搭載する4ドアセダンのレーシングカー。見た目はセダンであるものの搭載されるパワフルなエンジンにより、トルクフルな走りが特徴です。インターTECでは、トラブルに見舞われながらも、上位をキープし続け3輪でゴールするなど、印象に残る走りをしていました。1987年の全日本ツーリングカー選手権に参戦。目立つ活躍はなかったものの、大排気量エンジンによるパワフルな走りなどが印象に残る1台でした。 ベースとなる車両は、ホールデンのコモドアの4ドアセダンで、6ライトウィンドウが採用されたデザインが特徴です。エンジンは、5.0LのV型8気筒を搭載しています。 AE86 トヨタ AE86は、プライベーターが出場しやすい1.6Lクラスの代表格のモデルです。1985年のインターTECでは、38台中9台がAE86という最大エントリー数になりました。中でも、鈴木恵一と土屋圭市の「ケイイチコンビ」が乗るAE86は、全日本ツーリングカー選手権で予選15位からのスタート。上位クラスを凌ぐ速さで周回を重ね、総合6位に入賞しました。 トヨタ AE86は、カローラレビン/スプリンタートレノの型式で、3ドアハッチバックと2ドアノッチバッククーペを用意するコンパクトFRです。ボディサイズは、全長4,200mm、全幅1,625mm、全高1,335mm。エンジンは、1.6L直列4気筒の4A-GEUです。エンジンスペックはグロス値で、最高出力130ps/6,600rpm、最大トルク15.2kgm/5,200rpmを発生。AE86は、現在でも高値で取引されている名車です。 ボルボ 240ターボ ボルボ 240ターボは、1985年に富士スピードウェイで開催された「1985インターTEC(国際ツーリングカー耐久レース)」で1-2フィニッシュしたマシンです。ボルボ 240ターボのスタイリングは、四角く角張ったスタイルが特徴で「空飛ぶレンガ」とも呼ばれていました。 ベースとなったのは、4ドアセダンのボルボ 240ターボ。エンジンは、2.1L直列4気筒SOHCのB21ET型を搭載し、155PSを発生させます。0-100km/h加速9秒、最高速度195km/hです。ワゴンの240ターボエステートは、当時世界最速のステーションワゴンとして知られています。ボルボを代表するモデルでもある240シリーズは現在でも人気がある車種です。 グループAで活躍した車は値上がりしてる? グループAで活躍した車は、現在でも人気があるため高値で取引されるケースが多いです。内装や外装、エンジンやトランスミッションなど車両の状態により買取額は異なるものの、現存する台数が減少する一方であるため、人気と値上がりが続くといえます。 そのため、グループAで活躍した車の購入を検討している場合には、早めに購入した方が良いでしょう。また、購入するときは、旧車のことを理解している販売店や購入後にアフターサービスを受けられる店舗を選ぶことをおすすめします。 中古車価格変動の実例 現在でも人気が高いAE86の2022年3月時点の中古車平均価格は200万円~230万円、車両の状態が良いものであれば300万円以上のプライスとなっています。また、中古車平均価格が前月比+38万円となっていることからも、値上がりが続いているといえるでしょう。 買取は専門店がおすすめ 買取では、中古車市場における需要や希少価値を評価して、価格を算出するため、高値で売却できる可能性が高いです。ただし、車を売却するときは、グループAで活躍した車であることや希少価値が高いことを熟知している専門買取店がおすすめ。専門買取店なら、車そのものの価値だけでなく、モータースポーツでの活躍や優れた性能を秘めていることも含めて評価することができます。 昔活躍した車は高値になる可能性が高い モータースポーツで活躍したことがある車は、中古車市場で高く評価されることがほとんどです。特にグループAのように市販車ベースのレースで活躍していたモデルの場合、市販されている車のポテンシャルがレースの結果を左右します。そのため、市販車であっても耐久性や走行性能が優れているといえるでしょう。 モータースポーツで活躍できる内に秘めた性能まで買取評価に反映できるのは、旧車への理解がある専門店でなければできません。モータースポーツで活躍した車を売却するときは、レースでの活躍や旧車のことを理解している業者に依頼しましょう。

西部警察の車は今でも人気!ドラマに登場した車を振り返ってみよう
旧車の魅力 2022.03.25

西部警察の車は今でも人気!ドラマに登場した車を振り返ってみよう

西部警察は、派手なアクションやカースタントなどが特徴の刑事ドラマです。作中に登場した車の中には、今でも高い人気を誇り、高額で取引されているモデルもあります。今回は、西部警察にどのような車が登場したのか振り返りながら、各車種の概要を紹介します。 西部警察とは 西部警察とは、1979年(昭和54年)から1984年(昭和59年)まで放映された刑事ドラマで、大門圭介団長(渡哲也)が率いる「大門軍団」を木暮謙三捜査課長(石原裕次郎)が見守りながら、凶悪犯罪に立ち向かうという物語です。「PART-I」「PART-II」「PART-III」の3部作になっており、全236話が放送されました。全国平均20%以上の視聴率を記録しています。 西部警察は、派手なアクションシーンやカースタント、巨額の費用を投じた爆破シーンなどにより人気を博しました。石原プロモーションによって製作された西部警察は、渡哲也、舘ひろし、石原裕次郎などの名優が出演しています。 西部警察に採用された車種一覧 西部警察に採用された主な車種はスポンサーでもあった日産車で、フェアレディZやスカイライン、セドリックなど、現在でも名車として語り継がれるモデルがほとんどです。ここからは、西部警察に登場した日産車を紹介します。 フェアレディZ S130型 フェアレディZ S130型は、1978年~1983年まで販売されていた2代目です。初代モデルからロングノーズ、ショートデッキといったスポーツカーらしいスタイリングを受け継いでいます。ボディタイプは、クーペ、オープンエアを楽しめるTバールーフをラインナップしました。西部警察では、フェアレディZ 280 Tバールーフ 2by2の後期モデルをベースにしたガルウィング仕様が「スーパーZ」として登場しています。フェアレディZ S130型は中古車市場での流通台数が少なく、状態が良い車両については高値で取引されています。 スカイライン C210型 スカイライン C210型は、1977年~1981年まで販売されていた5代目で、「ジャパン」の通称で親しまれました。ボディタイプは、4ドアセダンや2ドアハードトップなどをラインナップしています。西部警察では、特別機動車両の第1号「マシンX」として登場しました。スカイライン C210型は中古車市場での流通台数が少なく希少価値が高いです。状態が良くターボエンジン搭載の2ドアハードトップの中には、500万円以上の価格がついた車両もあります。 ガゼール S110型 ガゼール S110型は、1979年~1983年まで販売されていた初代モデルです。型式のS110型からもわかるように、3代目シルビアの兄弟車となります。デビュー当初は、2ドアハードトップのみのラインナップでしたが、デビューから約5ヶ月後にハッチバックのクーペが追加されました。西部警察では、オープン仕様のガゼールが木暮課長(石原裕次郎)の専用車として登場しています。 当時ディーラーオプションとして設定されていたボンネットとトランクのグラフィックやセンターコンソールの自動車電話が特徴です。ガゼール S110型は中古車市場での流通台数が非常に少なく、希少なモデルとなっています。 サファリ 160系 サファリ 160系は、1980年~1987年まで販売されていた初代モデルです。西部警察では、サファリエクストラバンをベースにした特殊車両が登場し、ルーフにある高圧放水銃が特徴的な装備となっています。サファリ 160系は中古車市場での流通台数が少なく、西部警察で使われていた年式のサファリはほぼ流通していません。 セドリック 330型 セドリック 330型は、1975年~1979年まで販売された4代目です。ボディタイプは、2ドアハードトップ、4ドアハードトップ、4ドアセダンを用意していました。西部警察では黒パト(覆面パトカー)として登場し、大門が乗る後期型は「団長セドリック」の愛称で親しまれ、PART-II以降はカースタントで破壊される脇役になりました。 セドリック 330型は中古車市場での流通台数が少なく、車両本体価格300万円前後で売買されています。 セドリック 430型 セドリック 430型は、1979年~1983年まで販売されていた5代目です。先代の330型の躍動感あるスタイリングから直線的な造形に変更されました。ボディタイプは、4ドアセダン、4ドアハードトップ、5ドアワゴンの3タイプです。 西部警察では、覆面パトカーとして活躍していました。セドリック 430型は中古車市場での流通台数が多くないため、状態が良いハイパフォーマンスなターボエンジン搭載車は300万円前後の高値で取引されることもあります。 セドリック Y30型 セドリック Y30型は、1983年~1987年まで販売されていた6代目です。国産の量産乗用車として初めてV型6気筒エンジンを搭載したことで話題を呼びました。西部警察では、ブラックのボディカラーにエンケイホイールを装備したパトカーとして登場しています。またY30型セドリックのパトカーは、「西部警察」だけでなく「あぶない刑事」にも登場しました。セドリック Y30型は中古車市場での流通台数が少なく、車両本体価格150万円前後で取引されています。 ローレル C130型 ローレル C130型は、1972年~1977年まで販売されていた2代目です。「ゆっくり走ろう」のキャッチコピーでデビューしたローレル C130型は、ボディ外板に灯火類がないスタイルから「ブタケツ」の愛称で親しまれました。ボディタイプは、4ドアセダンと2ドアハードトップの2種類です。西部警察では、日本縦断ロケで登場しました。ローレル C130型は中古車市場で流通台数が少ないだけでなく、希少価値がついていることから車両本体価格300万円~500万円前後で取引されています。 ローレル C230型 ローレル C230型は、1977年~1980年まで販売されていた3代目です。直線的なスタイルと四角いフロントグリルなどにより落ち着きのあるスタイリングとなっています。ボディタイプは、4ドアセダン、4ドアハードトップ、2ドアハードトップをラインナップしました。西部警察では、黒パト(覆面パトカー)として登場し、「団長ローレル」の愛称で親しまれました。ローレル C230型は中古車市場での流通台数は非常に少なく、希少価値が高くなっています。 フェアレディZ S30型 フェアレディZ S30型は、1969年~1978年まで販売されていた初代です。ロングノーズ、ショートデッキ、ファストバックのスタイリングが特徴となっています。西部警察では、2代目フェアレディZの「スーパーZ」が有名ですが、初代フェアレディZも白パトとして登場していました。フェアレディZ S30型は中古車市場での流通台数が少なく、さらにはプレミアがついているため、非常に高い価格で取引されています。 ブルーバード 910型ハードトップ ブルーバード 910型は、1979年~1983年まで販売されていた6代目です。直線的でシンプルなスタイリングが特徴となっています。ボディタイプは4ドアセダンと2ドアハードトップをラインナップしていました。西部警察ではPART-II以降、白パトとして登場しています。ブルーバード 910型は中古車市場での流通台数が少なく、状態が良い車両は高値になることもあります。 スカイライン R30型セダン スカイライン R30型は、1981年~1985年まで販売されていた6代目です。前期は「ニューマン・スカイライン」と呼ばれ、後期は「鉄仮面」の愛称で親しまれました。ボディタイプは4ドアセダンや2ドアハードトップなどが用意され、ターボエンジン搭載モデルやRSモデルなどもラインナップされました。 西部警察では、「マシンRS」として登場しています。スカイライン R30型は中古車市場で車両本体価格200万円~400万円前後で取引される人気モデルです。 スカイライン C10型 スカイライン C10型は、1968年~1972年まで販売されていた3代目です。通称「ハコスカ」とも呼ばれ、現在でも高い人気を誇っています。ボディタイプは4ドアセダンや2ドアハードトップなどをラインナップし、スカイライン初となる「GT-R」が登場しました。 西部警察では、1話限りの登場でしたが、印象に残るモデルとして知られています。スカイライン C10型は中古車市場でプレミア価値がつき高値で取引されています。GT-Rについては1,000万円を超えるのも珍しくありません。 スタンザ セダン A10型 スタンザ A10型は、1977年~1981年まで販売されていた初代で、高級感ある内装や外装が特徴のコンパクトモデルです。デビュー当初は4ドアセダンのみでしたが、1979年に5ドアハッチバックが追加されました。西部警察では、東部署の黒パトとして登場しています。スタンザ A10型は中古車市場での流通台数が少なく、希少なモデルといえるでしょう。 スタンザFX 5ドアハッチバック スタンザFXは、1981年~1986年まで販売されていた2代目です。FF(前輪駆動)を採用していたことから「FX」のサブネームが与えられました。ボディタイプは、4ドアセダンと5ドアハッチバックとなっています。1983年には5ドアハッチバックが廃止され、3ドアハッチバックが販売されていました。西部警察では、西部署の鑑識課員ロクさんが乗っていました。スタンザFXは販売台数に伸び悩み、中古車市場に流通することが少ないモデルです。 シルビア S110型 シルビア S110型は、1979年~1983年まで販売されていた3代目です。フロントからリアまで直線に伸びるショルダーラインが強調されたスタイリングが特徴となっています。ボディタイプは、2ドアハードトップと3ドアハッチバックを展開していました。西部警察では、団長の妹である明子と結婚した五代純刑事が乗っていました。シルビア S110型は中古車市場に出回っている台数が非常に少なく、希少なモデルといえるでしょう。 西部警察に登場した車は値上がりしてる? 西武警察に登場した車は、中古車販売価格からもわかるように、希少価値や旧車として評価が高いです。また、西部警察ファンから人気であるため、高値で取引されることが多いです。さらに、外装や内装など車の状態が良ければ、一般的な相場よりも高額買取になることもあります。今後は、現存する車両の台数が減少していく一方であるため、値上がりしていく可能性が高いでしょう。 昔活躍した車は高値になる可能性が高い 西部警察をはじめ、ドラマや映画などで活躍していた車は、ファンから人気があったり、旧車としての価値が高かったりします。そのため、売却するときには高値になることが多いです。しかし、旧車としての価値を正確に見抜ける買取業者でなければ、高値で売却することが難しいでしょう。かつてドラマや映画で活躍した車を売却するときは、旧車買取が専門の業者に査定依頼をすることをおすすめします。  

唯我独尊のステンレスボディ!バックトゥザフューチャーで脚光を浴びたデロリアン DMC-12を振り返る
旧車の魅力 2022.03.16

唯我独尊のステンレスボディ!バックトゥザフューチャーで脚光を浴びたデロリアン DMC-12を振り返る

「デロリアン」。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(85’)で一躍、有名なった “あの車”です。直線基調のステンレスボディにガルウィングを備えた独特なフォルムで時空を駆け巡る「デロリアン」は、当時まさに唯一無二の存在でした。そして映画の公開から40年近く経った今もカルト的な人気を博しています。でも「デロリアン」の魅力はそれだけではありません。それはまさに1人の男の人生をも変えた車だったのです。 わずか1車種しか販売できなかった自動車メーカーデロリアンとDMC-12 デロリアンの正式名称は「DMC-12」。1981年1月から翌年の12月まで、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が製造・販売していたスポーツカーです。 DMC は1975年当時、ゼネラルモーターズの副社長だったジョン・ザッカリー・デロリアン氏が自分の理想とする本格的なGTカーを作るために独立し、デトロイトに設立しました。 それからなんと6年もの開発期間を経て完成したのがDMC-12です。「あのデロリアンが作った車」ということもあり、発売開始直後から予約が殺到。しかし、初期型のクオリティがあまりにも低かったことでキャンセルが相次ぎ、同社は経営難に。さらにデロリアン氏の不正経理やコカイン所持容疑での逮捕など、度重なるトラブルに見舞われ、1982年10月に「DMC」社は倒産してしまいます。 念願叶ったDMC-12も、僅か2年でおよそ9,000台が生産されただけにとどまり、後継車開発も断念。DMC-12は、僅か1世代で幕を閉じた不遇な車となってしまいました。ところが、1985年に公開され世界的大ヒットを記録した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場すると一躍脚光を浴び、現在もコレクション的な車として高い人気を誇ります。 他に類を見ないデロリアン DMC-12独自のメカニズム DMC-12を生み出したDMC社の実態は、理想は高い一方で技術力が圧倒的に足りない自動車メーカーでした。開発部門もなく製造スタッフも経験不足という状況で、最初から理想の車作りを断念したジョン・デロリアン氏。そこで彼はなんと、ヨーロッパの名車のエッセンスを寄せ集めてDMC-12を生み出しました。 そうこれはイギリス、フランス、ドイツ、そしてイタリアの風味漂う、一粒で4度おいしい多国籍車なのです。 ステンレスボディにガルウイングはまさにイタリアン! DMC-12最大の特徴は、メンテナンスフリーでサビないステンレスボディとガルウイングでしょう。 無塗装のステンレスボディは、加工時に付くサンドペーパーの傷がそのまま残ったヘアライン仕上げ。そして、スーパーカーを彷彿とさせるガルウイングとなれば、注目を集めないはずがありません。 このデザインを担当したのがイタリア・カーデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。日本でも117クーペやスバル・アルシオーネSVXのデザイナーとしてお馴染みのジウジアーロは、象徴的なステンレスボディに樹脂製のバンパーを組み合わせ、エッジの効いた近未来的なデザインに仕上げました。ちなみに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の発明家「ドク」によると「ステンレスボディはタイムマシンには好都合」だったそうです。 その後「DMC-12」は純金パネル仕様の追加やターボ車、4人乗り&4枚ガルウイングドア仕様も計画されていましたが、残念ながらDMCの倒産で実現には至りませんでした。 エンジンや足回りも多国籍!? 「DMC-12」に搭載されているエンジンは、プジョー(仏)ルノー(英)ボルボ(独)の多国籍軍が作った合弁会社「PRV」製の2.8L・V型6気筒SOHCエンジン。元々アルピーヌ・A310に搭載されていたエンジンを改良し搭載されました。 最大出力は135ps、最大トルク22.9kgm、最高速度は209km/h。変速機はルノー製(英)の5MTと3ATがラインアップされました。 シャーシを手掛けたのはコーリン・チャップマンが率いるロータス社(英)です。足回りはロータス・エスプリ、サスペンションの一部はロータス・エラン、リアブレーキ・キャリパーはフォード・コルチナからの流用。 このようにヨーロッパ各国で生まれた名車の部品を寄せ集め、イタリア・カロッツェリアのデザインを取り入れ、イギリスの工場で組立てられたのが、アメリカの自動車メーカー「DMC」から発売されたDMC-12です。 デロリアン DMC-12の中古車市場 1981年当時、DMC-12の新車価格はおよそ700万円と高額でした。それから40年経った現在は一体、幾らで取引されているのでしょうか? 2022年3月現在、大手中古車情報サイトで中古市場を見てみるとDMC-12の取引は2件。どちらも1,480万円ほどの高価格で掲載されています。走行距離は3,000キロ、もう一方も13,000キロと低走行車です。 続いては買い取り相場ですが、こちらは非常に希少な車のため残念ながら確認できません。ただその希少性故、コンディション次第では高額査定も望めます。しかし、こういったコレクション性の高い車種の場合、過走行になると査定額が大幅に下がってしまう可能性もあります。 まとめ 自動車メーカーの革命児として名を馳せたデロリアン氏が人生を賭けて作り上げた「DMC-12」。わずか2年という短命でその幕を閉じましたが、40年が経った今もコレクターを中心に高い人気を誇っています。 2022年8月に後継車として「デロリアンEV」がお披露目されると噂されていますが、果たして初代の魅力を継承できているのか。ヨーロッパの風味が漂い、時空をも駆け巡る近未来カー。 多くの人を虜にする一方で、1人の男の人生までを狂わせた「DMC-12」の魅力は、まさに唯一無二の存在といっても過言ではありません。 [ライター/増田真吾]

ヤリスWRCに繋がるトヨタのスポーツ4WDグレード「GT-FOUR」を振り返る
旧車の魅力 2022.03.08

ヤリスWRCに繋がるトヨタのスポーツ4WDグレード「GT-FOUR」を振り返る

トヨタのスポーツ4WDの歴史は、「GT-FOUR」の登場と共に幕を開けました。高い走行性能とスタイリッシュな外観で若者の心を掴みつつ、WRCという世界最高峰のステージで着実に結果を重ねていきます。現在WRCで活躍しているGRヤリスにもつながる、GT-FOURの歴史と魅力を振り返っていきましょう。 トヨタWRCの歴史とともに歩んだGT-FOUR 「GT-FOUR」はトヨタのスポーツ4WD最高グレードとして受け継がれてきた称号です。2車種4世代に渡って使用されたグレードで、その時代の最新技術が投入されていました。 トヨタのスポーツ4WDの礎を築いたGT-FOURは、最終型の3代目カルディナの販売終了まで実に20年以上も使用された伝統のグレード名称です。 トヨタ初のスポーツ4WDとして登場 初代のGT-FOURは4代目セリカ(160系)の追加グレードとして1986年に登場しました。トヨタ初のスポーツ4WDとなり、以降「GT-FOUR」という名称はトヨタのスポーツ4WDを象徴する称号として受け継がれることになります。 GT-FOURはセリカとして3代、別車種カルディナで1代の合計4世代に渡ってトヨタのスポーツ4WD最高峰グレードとして君臨。WRCのベース車両ともなった高い走行性能が魅力でした。 WRCでトヨタ黄金時代を築く 初代160系セリカGT-FOURは、1986年の登場の2年後となる1988年からWRCに参戦します。5,000台販売というWRC参戦規定のクリアを待ったためです。参戦初年度こそランチアに苦戦を強いられますが、翌年には初優勝。さらに1990年には、ドライバーズタイトル獲得と目覚ましい活躍をします。 続く2代目ST185系セリカでは、トヨタのラリー黄金期を築き上げます。1992年から1994年にわたってドライバーズタイトルを3年連続で獲得。さらに1993年と1994年についてはマニュファクチャラーズタイトルも獲得し2冠に輝きました。トヨタのマニュファクチャラーズタイトル獲得は、日本車初という快挙です。 後継となるST205では車両規定違反があったこともあり、GT-FOURによるWRCの歴史は1995年で終了します。 歴代GT-FOUR トヨタのスポーツ4WDとして一時代を築き、トヨタのみならず日本の自動車史に残るGT-FOUR。ここからは、4代目セリカから3代目カルディナまで、歴代GT-FOURについて振り返ってみたいと思います。 映画でも話題になったST165 初代GT-FOURは、185psを発生する2Lターボ3S-GTEエンジンにトヨタ初となるフルタイム4WD車として1986年に登場。すでに販売されていたST160系セリカの追加モデルとして発表されました。 高いスペックとリトラクタブルライトという先進の外観から、若者を中心に注目を集めます。当時はスタイリッシュに乗れる高性能車が人気で、ホンダ プレリュード、日産 シルビアと並んで3大デートカーとも呼ばれました。 また、映画「私をスキーに連れてって」にも登場。劇中で雪道のカーアクションシーンがあり、当時ブームとなりつつあったスキー用の車としても人気が高まりました。 WRC黄金時を築いたST185 ST165の後継車種として投入されたST185型GT-FOUR。エンジンの型式こそ先代と同様の3S-GTEながら、セラミックタービンと空冷インタークーラーによって、40psアップとなる225psを実現しました。走行性能も随所に先進技術が投入され、日本初のトルセン式リミテッドスリップデフ、油圧制御式アクティブサスペンション(限定車)などが装備されています。 WRCには1992年から参戦。6連覇中のランチアを抑えて日本車初のマニュファクチャラーズタイトルを獲得するなどトヨタWRCの歴史のなかでも輝かしい黄金期を築き上げました。 車としての完成度は高かったST205 1993年のセリカモデルチェンジから1年遅れで登場したのが、ST205型GT-FOURです。セリカ最終型のT230系セリカにはGT-FOURの設定はなかったので、セリカとして最後のGT-FOURとなります。 インジェクター容量の増加やメタルガスケットの採用など、改良された3S-GTEエンジンの出力は255psに到達。対向4ポッド(後輪は2ポット)アルミ製キャリパーを採用したブレーキをはじめ、当時のWRカーとしては完成の域に達していました。リトラクタブルヘッドライトを廃止し丸目4灯式ヘッドライトになった点が外観上の大きな変更点です。さらに大型のリアスポイラーを装備し、WRCでの活躍も期待されました。 しかし、ST205型GT-FOURは参戦翌年の1995年シーズン途中で車両規定違反が見つかり、トヨタはWRCから遠ざかることになってしまします。1998年にWRCに復帰する際は車両をカローラに変更していたため、GT-FOURでのWRC参戦はST205型セリカで幕を閉じることになりました。 GT-FOURの称号を復活させた3代目カルディナ ST205型GT-FOURの販売終了から3年後となる2002年、GT-FOURの称号が別車種で復活します。3代目カルディナ(T240系)のターボモデルのグレードにGT-FOURの名が冠されました。 260psまで高められた3S-GTE型エンジンと高い走行性能が魅力で、ニュルブルクリンクでは80型スープラよりも速いタイムを記録したという逸話まで残っています。この逸話には多くの説があり真偽は不明ですが、3Lツインターボのスープラと比較されるほどの高性能であったことは間違いありません。 ただし、用意された設定は4速ATのみということでWRC等のレース参戦車両となることもなくカルディナの販売終了と共に2007年にGT-FOURの名称は終了しました。 まとめ 現在GT-FOURの名称は使われていませんが、GT-FOURの名称を受け継いだ「GR-FOUR」という名称が使用されています。WRCで第2の黄金期を築きつつあるGRヤリスの4WDシステムの名称です。 トヨタ初となるスポーツ4WDに冠されたGT-FOURは、トヨタのWRC参戦の歴史に輝く最初の黄金期を築きました。GT-FOUR以来のスポーツ4WDとなるGRヤリスに搭載されたGR-FOURは、新開発された画期的な4WDシステムです。 GR-FOURもGT-FOUR同様、トヨタ最高の技術が投入された証でもあります。WRCでのGRヤリスの活躍とともに、GR-FOURの今後からも目が離せません。 [ライター/増田真吾]

創設者“エンツォ・フェラーリ”が生んだ最後のスーパーカー!フェラーリ F40の魅力を解説
旧車の魅力 2022.02.22

創設者“エンツォ・フェラーリ”が生んだ最後のスーパーカー!フェラーリ F40の魅力を解説

メーカーが製作するスペシャルカーは数多く存在します。そのなかでもフェラーリ F40(エフフォーティー)は、創業者のエンツォ・フェラーリ存命中最後のスーパーカーということもあり、ファンの間でも特別な存在です。 今回は「そのままレースに出られる市販車」をコンセプトに、外観、素材、走行性能、そのすべてに一切の妥協なく生み出された「F40」を、中古車市場も踏まえてご紹介します。 当時の国内最高値は2億5000万円!?F40は価格も性能も異次元 フェラーリ創業40周年を記念して製作されたF40は、1987年7月21日、エンツォ・フェラーリ自らのスピーチによって大々的に発表されました。 F40は同社の「288 GTO」をベースとした後輪駆動の2シーターで、エンジンはリアミッドシップに搭載。「そのままレースに出られる市販車」をコンセプトに掲げるだけあり、走行性能は非常に高く、発売当時の市販車世界最速となる324km/hと発表されています。 発表当時の生産台数は400台を予定していましたが、顧客からの人気は非常に高く注文が殺到したため急遽増産となり、1992年の生産終了までに1,311台が生産されました。また、日本での新車価格は4650万円でしたが、当時がバブル景気真っ只中ということも手伝って投機目的での購入が増え、高額の個体では2億5000万円というプレミア価格がつくほどでした。 一般人には踏み切れない暴力的なエンジンパワー 最高速が324km/hに達するとされるF40には、2.9LのV型8気筒ツインターボエンジンが搭載されており、最高出力は478PS、最大トルクは58.8kgmという大パワーを放出。そのスペックの高さもさることながら、F40最大の魅力はツインターボのスリリングな急加速にあります。 俗にいう「ドッカンターボ」というもので、アクセルを踏んでから一定のエンジン回転数に達すると急激な加速を始めるという、その当時のスポーツカーにはよく見られた特性です。F40の高出力エンジンが生み出すドッカンターボは強烈かつスリル満点であり、その痛快な加速は多くのファンを唸らせました。 反面、その急加速ゆえに扱いは難しく、フェラーリのF1ドライバーであるゲルハルト・ベルガーには「雨の日には絶対に乗りたくない」と言わせるほど。価格はもちろんのこと、その性能を発揮させるためには、常人離れした運転技術と度胸が必要な、まさしく“スーパーカー”です。 世界の自動車業界に影響を与えた大型ウイング F40はエクステリアも高く評価されており、ボディはイタリアのピニンファリーナが担当しています。 ロングノーズ、スモールキャビンというスーパーカーらしい造形とともに、リアカウルと一体型になっている大型のリアウイングは斬新かつダイナミック。もちろん見た目だけではなく、走行時は効果的なダウンフォースを発生させ「そのままレースに出られる」というコンセプトに恥じない走りを見せてくれます。 このリアウイングは大きな反響を呼び、アフターパーツメーカーでは同型のウイングが次々製作され、F40のエクステリアで語るに外せない要素です。 快適装備は一切なし!徹底したレーシング仕様 「そのままレースに出られる市販車」がコンセプトなだけあり、装備面で無駄が一切排除されています。レーシングカーの操作感に近付けるため、ABSやパワステ、ブレーキのマスターバックといった補助装置や快適装備は一切ありません。通常どんな車にもあるドアトリムはおろか、ドアハンドルすら存在せず、ワイヤーを引っ張ってドアを開閉するという徹底ぶりです。 また、シャシーや外装パネルには、当時流行していたカーボンがふんだんに使われ、室内にもむき出しの状態で取付。それほどまで軽量化に力を入れた結果、F40の車重は1100kgとまさにレーシングカーにも匹敵する軽さを実現しています。 そのパワーウエイトレシオは2.3 kg/PSで、同時期に発売されたR32スカイラインGT-Rが、5.1 kg/PSであることを考えれば、どれほど軽快でパワフルであったかがお分かりいただけると思います。 フェラーリ F40の中古車市場 市販車としてはこれ以上ないほどの完成度を誇り、フェラーリ車のなかでも特別な存在といえるF40ですが、意外にも国内には在庫が残っていました。2022年1月時点での大手中古車サイトで調べたところ、F40は5台の在庫がありましたが、そのどれもが車体価格の欄は「応談」となっています。 F40は発売当時の新車価格が4650万円、現在でもオークションでは2億円を超えることもあるため、各ショップとも値付けできないというのが正直なところでしょう。 各個体0.9万kmから2.5万kmという低走行車で、フェラーリ正規ディーラーの認定を受けた「クラシケ」を持った車両もあります。そして、もともとコレクション目的で購入された個体が多いため、車両状態は悪くありません。 まとめ 40周年記念モデルかつ、エンツォ・フェラーリ時代最後のスーパーカーであるF40は、多くの人に強烈な印象を与えました。 市販車でありながらレーシングカーのようなスタイリング、カーボンを惜しみなく使用した軽量ボディ、そして一般人では扱い切れない強烈な加速力。「そのままレースに出られる市販車」というコンセプトは伊達ではなく、他のスーパーカーとは違った別格の魅力があります。 中古市場では簡単に値段が出ないほどの存在となっていますが、国内に在庫は残っているので、一度見てみるだけでもF40の貫録は十分に感じ取ることができるでしょう。 [ライター/増田真吾]

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