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旧車王をご覧の皆様! いつもこの「邪道」なコラムをお読み頂きありがとうございます。 今回は輸入車の旧車についてアルミ弁当箱を通してお話をさせて頂きます。 よろしくお願いいたします。 ■第13回 ~今回の斜めから見た旧車~ 今回の話はとてもいい加減な話です。 「ここに描かれているくるまは何なのか?」なんです。 ひどいですよね?車種もわからないのにコラム化するなんて!? しかし、アルミ弁当箱の世界ではよくある話で、わざとぼやけて描くことは少ないことではありません。 これが「パチモン」などを生むことになるベースだと思われます。 と言うわけで、個人のSNSでも反響があった「このくるまな~に?」的な、遊び心満載のテーマを刑事ドラマ風にお送りしたいと思います。 ■第1容疑車「MG-B」 個人的にこのアルミ弁当箱を初めてみた時の印象は「MG-B」でした。 好きなクルマのひとつでもあり、私みたいな体型でも安心して乗れるイギリス車のオープンカーのひとつだったので、若いころは何回か買おうと思っていた時期もあったほどです。 アルミ弁当箱の全盛期の70年代前半なら「MG-B」は年代的「アリバイ」はどんぴしゃではないでしょうか? ■第2容疑車「MG-A」 正直、「MG-A」に関しては全く容疑車としてはノーマークでした。 しかし、実際にクルマを見てみるとなるほどと思うところもあり、ユーザーのみなさまの知見や感覚の凄さを改めて感じました。 自分では勝手に、もっと丸みのあるクルマと思い込んでいました。 同じ「MG」から容疑車が2台とは、この年代の「オープンカー=MGまたは英国車」という暗黙のルールが、アルミ弁当箱業界にはあったのかもしれません。 ■第3容疑車「ジャガーEタイプ ロードスター」 クーペ好きの私にとって「ジャガーEタイプ」はクーペ推しだったので、このロードスターもノーマークでした。 確かにライトの角度などはアリかと思うのですが、全体の「鋭さ」がこの図柄からは感じられなかったので、本ボシではないような気がします。 しかし、図柄があまりにも雑なので、Eタイプも容疑車の1台として残しておきたいと思います。 ■第4容疑車「トライアンフ スピットファイヤーMK3」 そして、最後の大穴! それが「スピットファイヤー MK3」です。 なぜMK3にこだわったかというと、図柄が雑でどの時代のスピットかわからないこともあるのですが、注目したいのが「左ハンドル」ということです。 今までご紹介してきた「容疑車」たちは全て英国車。 ということは「右ハンドル」。 にも関わらずこの図柄は左、ということは「輸出車」と勝手に「想像と妄想」をしてしまう・・・と、輸出が盛んであった「MK3」にたどり着くという推理なのです。 どうでしょうか? 「?」マークだらけの根拠が全くない話の流れなのですが、「サンビーム」「フィアレディSRL」などの「タレコミ」を沢山いただきました。 ぜひみなさまもアルミ弁当箱の図柄から、当時の旧車の「想像と妄想」で楽しんでみてはいかがでしょうか? ■お知らせ そしてここでお知らせを・・・・・。 私のコレクター本「アルミ弁当箱図鑑 マニアック編」がアマゾンにて絶賛発売中です。オールカラーの100ページに様々なジャンルのアルミ弁当箱を詰め込んでおります。是非、読んで頂ければありがたいです!よろしくお願いいたします。 ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) https://www.amazon.co.jp/dp/4907061471 そしてなんと!この私に映画出演のオファーがありました! 「路恋人」監督の「ぜんぶ朝のせいだ!」にちょこっと出演させていただきます。 詳細が決まりましたらまたご報告させてください! ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』オフィシャルTwitterhttps://twitter.com/morningall2023 ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』特報https://www.youtube.com/watch?v=vg0LHPEM6Ss [画像 / FavCars.com 撮影/ライター マツド・デラックス(山本圭亮)]
日本では、一般的に新車登録から13年が経過したクルマは自動車税と重量税が高くなり、必然的に旧車を維持するためには税金を含めた維持費が上がります。 このような要因も含め、日本では旧車を見かける機会がなかなか少ないのではないかと想像していました。 一方、ドイツでクルマを運転していると、その道中、駐車場を問わず旧車を見かけることがとても多いのです。 毎週クルマで数百キロを移動しますが、行く先々でほぼ毎回見かけるほどです。 この記事では、ドイツにおける旧車の状況について見ていこうかと思います。 ▲フォルクスワーゲン ケーファー(Käfer=ドイツ語でカブトムシ、つまりビートルの意) ■そもそも旧車とは?(ドイツ編) そもそも旧車とは、どのようなクルマを指すのでしょうか。 ドイツでは「オールドタイマー」という定義で法的に統一されており、最初の登録から少なくとも30年が経過しているクルマのことをいいます。 さらに車輌の大部分がオリジナルの状態であるか、もしくはオリジナルの部品で修復されていること、車輌の状態が良好であること、クルマの文化遺産を維持する役割を担っていることなどとされています。 1997年にはHナンバー (H-Kennzeichen) としても知られる、ヒストリックナンバープレートが導入されました。 クルマのナンバープレートには、「ヒストリック」であることを意味するHの文字が追加で記されます。 クルマが上記の条件を満たしていれば申請することが可能で、専門家による肯定的な所見に基づき付与され、自動車文化財として認められるようです。 ちなみに年式こそ古いものの、登録から20年から29年経過しているクルマは「ヤングタイマー」と呼ばれます。 条件としてはオールドタイマー同様、可能な限りオリジナルの状態に近く、保存状態が良好であることなどとされています。 ただし、どうやらこのヤングタイマーにはオールドタイマーのような法的な定義は存在しておらず、保険会社や愛好家、イベント主催者などによりその定義が異なることもあるようです。 ▲外出先に駐車していたメルセデス・ベンツ Sクラス、フォルクスワーゲン ゴルフ(筆者撮影) ■旧車への税金優遇 たいていの場合、Hナンバー登録されているクルマの税金は、通常の自動車税よりも安くなります。 さらに700cc以下、または浄化装置を搭載しているオールドタイマーについては、自動車税はより安くなる場合があるようです。 そんなドイツでも、オールドタイマーに対するこの優遇に対して、異議を唱える声が多くあがっているのが実情です。 例えば、会計検査を管轄する政府機関は、この減税措置に異議を唱え続けており、Hナンバーのオールドタイマーの増加により政府の税収が減少しており、かつ政府が掲げる気候政策目標と矛盾すると主張しているのです。 今後このような優遇措置が見直される可能性もあるかと思いますが、このような声があがっているにもかかわらず、現状オールドタイマーに対する減税措置が維持されていること、そして後述するようにオールドタイマーの登録が右肩上がりに増えていることを踏まえると、ドイツは旧車にとっての楽園ととらえることができるのかもしれません。 ■ドイツにおける旧車の登録数 ドイツではどのくらいオールドタイマーがいるのか、その台数とモデルを見てみましょう。 ドイツで登録されている自動車の数は全体で6,770万台(乗用車以外も含む)ですが、731,795台がオールドタイマーとしてのステータスを持っているとされています。 このうち88.6%にあたる648,403台は乗用車、4.8%にあたる31,536台はトラック、3.1%にあたる22,450台はトラクターとなっています。 ドイツでは、見るからに旧車のトラックなどもしばしば見かけます。 なお統計では、オールドタイマー(Hナンバーの有無は問わず年式のみを考慮)の2022年の登録数は、前年比10.8%増となっています。 2022年現在登録されているオールドタイマーの年代別では、30年~34年のクルマが160,741台、35~39年のクルマが139,848台、40~44年が106,509台、45~49年が97,532台、50~59年が154,598台、60年以上経過しているクルマは72,439台となっています。 さらにKBA(ドイツ連邦自動車庁)の統計を見ると、2011年から2022年にかけての登録数は、30年~40年経過したオールドタイマーは多少上下しているもののほぼ一定であるのにに対し、50年が経過しているオールドタイマーの登録数が右肩上がりに伸びているのは興味深いところです。 次に、州別のオールドタイマーの登録数です。 一番多いのはノルトラインヴェストファーレン州で158,794台、次いでバイエルン州で138,931台、バーデンヴュルテンベルク州で118,605台であり、この3州において登録数がとりわけ多くなっています。 ところが、過去10年の統計では、この3州以外での登録が倍増しており、オールドタイマーの人気が急上昇しているというのです。 今回その理由まで確実に調べることはできませんでしたが、今後追っていきたいと考えています。 ▲外出先に駐車していたメルセデス・ベンツ Sクラス(筆者撮影) ■Hナンバー登録車のメーカー・モデル別ランキング オールドタイマー(Hナンバー登録されているクルマに限る)のメーカー、モデルごとのランキングは下記の通りです。 1:メルセデス・ベンツ2:フォルクスワーゲン3:ポルシェ4:BMW5:オペル6:フィアット7:GMC8:フォードUSA9:アウディ10:フォードEU モデル別では、 1:メルセデス・ベンツ W123, E Class2:フォルクスワーゲン ケーファー(ビートル)3:フォルクスワーゲン バス(全車種)4:メルセデス・ベンツ SL(全車種)5:ポルシェ 911 / 993 / 996 6.:メルセデス・ベンツ Sクラス 7:フォルクスワーゲン ゴルフ 8:BMW 3シリーズ 9:メルセデス・ベンツ W201(190)10:メルセデス・ベンツ Strich 8 となっています。 ▲フォルクスワーゲン バス(T2) ■おわりに いかがでしょうか。 これまでは「ドイツではまだ古いクルマが比較的たくさん走っているんだな」程度にしか思っていませんでしたが、その背景には旧車の立場がしっかりと確立され、さらには税金の優遇措置があったりと、旧車が走り続けやすい、または維持しやすい体制が整っていることがわかりました。 今後はオーナーの実際の声を聞く機会を探り、旧車に関する事情などをオーナー目線も交えながら深堀していきたいと思います。 [画像・Shima,フォルクスワーゲン / ライター・ Shima]
はじめまして。 今回から旧車王ヒストリアにて記事を執筆させていただきます、西尾菜々実です。 私は去年の夏からドイツに移住したのですが、散歩をするだけで日本とは違うクルマ事情と出会います。 日本の京都で生まれ育ったため、街で輸入車見る機会は多くなかったのですが、移住してからはあたりまえのように走っています(現地では"国産車"だったりします)。 その結果、今までの環境とは違い、さまざまな国のメーカーが製造するクルマを見ることができるようになりました。 今回は、ドイツに移住してどのようなクルマと出会い、私がどのような感想を持っているかご紹介いたします。 ■ドイツでどのようなクルマに出会う? ドイツでは路上に駐車場が多く、街を散策するだけでさまざまな種類のクルマと出会うことができます。 日本ではBMWやメルセデス・ベンツというと、やはり高級車というイメージが強いのではないでしょうか。 もちろんBMWといえば小型車も有名なのですが、私が日本で暮らしていた感覚だとやはり高級車を想像します。 私が日本で働いていたときも、高級車向けの部品を担当していました。 ドイツに移住し、街を散策していると、やはり小型車やクラシックカーを見かける機会が多い印象です。 私としては実際にクルマの購入をディーラーの方に相談しなくても、多種多様なクルマを駐車場で観察したり時間をかけて眺めることができるので嬉しいです。 デザインが特徴的なクルマや、日本車では滅多に見ないカラーバリエーションなどと出会うことが多いのです。 その結果、クルマの良さや比較する項目を見つけることができ、散策の時間が楽しく過ごせます。 比較的決まった車種をいつも見るのではなく、いつも新しい車種に出会えます。 ドイツでは、小型車でも二人乗りの小さいミニカーを見かけることがあります。 もちろん日本でも走行しているのですが、ドイツに移住してからのほうが見る機会が多いです。 個人車としての利用も見かけますが、ピザなどの配達の使用としても見ることができます。 軽自動車の定員よりも定員数が少ないので、車体の大きさもより小さくなっており、小回りが効く印象です。 街中で二人乗りのミニカーに出会うと、特徴的な走行に目が引かれます。 電動式のミニカーも存在し、気軽に外出できる印象があります。 ▲筆者撮影 ■輸入車について ドイツではヨーロッパ車だけでなく、さまざまな国のクルマを見ることが可能なことも、移住して気づいた点です。 先ほども記載したのですが、ドイツでは駐車場が車道に多いため、展覧会のように車を眺めることができます。 多種多様なクルマが偶然その日に駐車された順番で並べられているため、配色違いの同車種が停車されている偶然に出会うことがあります。 将来このクルマの新バージョンが購入したいなどと考えながら街を散策しています。 ドイツでは住宅の配色が日本よりも多様であるうえ、建築様式も違うため、クルマが走行していたり停められている姿がより一層映えて目に映ります。 輸入車以外に、もちろん日本車に出会うこともあります。 日本出身の私からすると、見るだけで日本車だと認識できるので、クルマのメーカーを日本車かどうか判断するというのが最近の楽しみ方です。 個人的には、日本車にドイツで遭遇する率は高いという体感を持っています。 アメリカでの日本車の使用率までは届きませんが、やはり目にする機会は多いです。 ドイツではやはり、BMWやメルセデスベンツと言った国産車の使用率が高いですが、有名な輸入車や日本車を均等に見かけることができます。 国ごとの使用されているクルマメーカー率を現地で見ると、他国ごとのクルマに対する要望の違いが現れているので興味深くて楽しいです。 本当に驚いたことは、ベンツの高所作業車を間近で見ることができたことです。 生活を支える働くクルマとしてメルセデス・ベンツを見ると、少しカルチャーショックを受けました。 ドイツ在住の方は日常の光景として暮らしているのだと考えると、本当に身近なクルマメーカーとして親しまれているのだなという印象を持ちました。 ■個人的なドイツの交通事情への感想 ドイツでは、都市の大きさによってのクルマメーカーの使用率が違うという感想を持っています。 やはり大都市では高級車を目にする機会が多く、駐車場の位置によっても停められるクルマのメーカーの違いを見つけることができます。 私の場合、バスで旅行をしたことがあるのですが、窓から見える景色が違う気がしています。 クルマの外観が購入するきっかけとなる人には、大きな違いとして影響するのではないかと思います。 街を散策していて思うことは、クルマのメーカーのこだわりだけではなく、個人がどのような用途でどのような機能を必要としているか? さまざまな国のクルマが並んでいるドイツだからこそ、個人の思いがより深く現れているように受け取れるということです。 などなど、私はドイツでのクルマ事情をこのように感じながら暮らしています。 今後も素敵な街並みが存在するドイツから、現地の情報をお届けする予定です。 これからもよろしくお願いします。 [ライター・西尾菜々実 / 画像・西尾菜々実、AdobeStock]
■5ドアジムニーの祖先、ジプシー 筆者が今一番欲しいクルマ、それはスズキのジムニー5ドアだ。 もう、欲しくてたまらない。 そもそも、本格オフローダーの名を欲しいがままに、セレブリティな車両と肩を並べるその日本車が気にならないはずはないのだが...。 そんなモデルが新車で、性能を考えればそれなりにリーズナブルに登場したとなれば、興味を持ってしまうのは仕方のないことであろう。 残念ながら、国内ではまだ数万台の既存ジムニーのバックオーダーを抱えており、日本での発売は先とのことだが、今から待ち遠しい。 2023年7月現在の販売地域は、南アフリカとオセアニアなどと、生産国であるインドである。 以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/india-car-situation/ )でも少し触れたが、スズキのインドにおけるシェアは国内トップの約40%ある。 これでも少なくなった方で、1981年にインド政府とスズキの合弁会社、マルチ・ウドヨグを設立後、1990年代にはシェアが80%を越えていた。 2006年には、インド政府が全保有株式を売却し完全民営化され、翌年現在の社名マルチ・スズキ・インディアとなった。 先述の5ドアジムニーの生産もマルチ・スズキがおこなっており、今後販売や輸入等どうなるかが楽しみだ。 マルチがジムニー系列のモデルを生産するのは今回が初めてではなく、1985年から2019年頃まで生産を続けていた2代目ジムニーのロング版「ジプシー」が存在する。 「ジプシー」のボディサイズは、全長は4010mm、全幅1540mm、全高1845mm、ホイールベースは2375mm。 日本国内でも数年前まで並行輸入されているケースもあった。 現地ではパーソナルユーズのほか、警察や軍用車両として導入されているのを見ることができる。 その信頼感は抜群のようで、かつてインド政府が掲げた”国民車構想”は深く浸透し、数十年経ってなお生き続けているように思える。 ■世界人口トップの国。その国民車 中国を抜き、いまや世界人口がトップになったインド。 まだ幹線道路は、リアカーやオートバイがひしめき合う光景も見ることができるが、片や徐々に富裕層も増え始め、街のいたるところで再開発をおこなっている光景が見られる。 カラフルなバスや装飾されたトラックも数多く見受けられるが、人々の所得が増えるほどに、各世帯へとクルマが普及していくことだろう。 なかでもマルチ・スズキの発展を支えてきたのは、同社が得意とする小型車の存在だといえる。 マルチ・ウドヨグ時代から、日本のアルトをベースとするマルチ800が、インドにおけるベーシックラインとして販売され続けてきた。 初代モデルは1983年、2代目モデルは1986年から2014年まで生産が続けられ、累計で291万台もの生産がされた。 いまだに街のなかで見かける回数が多い。 マルチスズキでは後継車にアルト800、アルトK10が存在する。 これらはインドの街中で数多く見かけることができ、まさに国民車といえる様相だ。 当然、他のメーカーも黙ってそれを見過ごすわけもなく、ヒョンデからはi10、ルノーからはKWIDなど、近年ではエントリークラスでも商品性の高い車種が増えた。 やはりベーシックカーの人気は依然高く、インドの街中をキビキビと走る小さなモデルを観測してみるのはユーザーによって改造が施されたり、ダメージを受けていたりなど...個性が際立っていてとても面白い。 トップシェアのマルチ・スズキ。 そこにラインナップされるのはベーシックカーだけではない。 街のなかではワゴンR、初代ランディをベースとしたEECO、マルチパーパスカーのエルティガ、スイフトベースのセダン、ディザイアなど、バラエティに富んだ顔ぶれだ。 また、よく街中でみかけるのは7代目キャリーをベースとしたオムニ。 2019年まで生産されてきた廉価なバンは、商用車から乗り合いタクシー、救急車にまで採用され、いまだに数多くが走っている。 ほとんどの車種がインド国内向けに特化した改良が施されており、例えば同じスイフトでも、インド向けでは装着される部品のあしらいかたに差異が感じられるのも特徴だ。 ■現地化されたトレンドのキャッチアップ もちろん、世界的なトレンドはインド市場でもキャッチアップされ、顧客の要望は高まっている。 インドのマネサール工場で生産され、日本へも2020年まで輸入されていた、初代・スズキバレーノ。 インド人の知人に、現地で感じるバレーノの様子を伺うと 「インドでは一般の人にとってクオリティの高い上級車種として捉えられていると思う。特にデザインはカッコいいと思っているけど、自分のような若手のビジネスマンにとってまだ新車では難しいね。」 と教えてくれた。 現在も2代目のバレーノ、そしてOEM車種として、トヨタからはグランツァ(なんと南アフリカ向けの輸出名はスターレットとして販売)が発売されている。 2015年より、マルチ・スズキはインド向けの高級販売チャンネル「NEXA」を立ち上げ、バッレーノを筆頭に上級セダンのシアズ、SUVのフロンクスやグランドビターラなどもラインナップさせている。 現状、インドにおけるスズキブランドの最高級車ジムニーもNEXAでの取り扱いだ。 ディーラーのなかはさながら輸入車ディーラーのようであり、ストリートの雑然とした雰囲気とは一線を画す。 これからもどんどん増えていくと予想される、世界を向いたインドの若い層に響くクルマづくりは欠かせないことであろう。 ベーシックカーから顧客のニーズに応える上位車種まで、インド国内の世相を読み取りながら発展するスズキの動向に、今後も目が離せない。 [ライター・撮影 / TUNA]
多くの読者においては、梅雨でなかなか愛車を引っ張りして、出かけられない日々が続いたことだろう。 梅雨明けした地域では、待ちに待ったツーリングシーズンの到来である! しかし、酷暑と渋滞は、旧車にはツラいところ。 今回、旧車オーナーたちと梅雨の晴れ間に、ツーリングをおこなった。 旧車に優しく、オーナーには楽しいツーリングルートの一例をご紹介したいと思う。 ■スタートは高速道路のサービスエリアに集合 この日、普段お世話になっている方にお誘いいただき、一緒にツーリングをすることとなった。 「ツーリング」というと、バイクのイメージをお持ちになられるかと思う。 クルマなら「ドライブ」の方が一般的とは思う。 「ドライブ」というと、1台のクルマに乗り合わせて出かけたり、1人で走る時に使う方がしっくりくると思う。 今回、1人1台で連なって走るため「ツーリング」という単語の方が、適していると筆者は考えた。 当日の朝、曇り空ではあるが、雨は降らない予報だ。 厳しい暑さにはならないことは、クルマにもドライバーにも都合がよい。 今回のツーリングは、暑さと混雑を避けるために設定された日程でもあった。 まだ、街が動き始めた頃、自宅を出発して最初の目的地を目指す。 待ち合わせ場所は、高速道路のパーキングエリア。 パーキングエリアに到着すると、すでに2台が到着していた。 今回、息子さんもご一緒されることになり、3台でのツーリングだ。 参加車輌は、お世話になっている方の日産 N15 パルサー VZ-R。 息子さんの日産 R32 スカイラインGT-R。 筆者の日産 N14 パルサー GTI-Rである。 息子さんとは初めてお会いするが、クルマを前に話しはじめると、初対面同士でも話題に困ることはない。(笑) まだまだ話を伺いたいところだが、道路が混む前に出発した。 高速道路上を走っているクルマの台数は多いが、流れは悪くなく、3台で連なって走る。 ストップ&ゴーの多い市街地とは違い、一定のペースで走れてクルマへの負担も少ない。 ■オーシャンビューな海沿いのルート 高速を走り、たどり着いたのは西湘バイパス。 ここは、海沿いを走る有料道路であり、眼下に広がる海と開けた景色が楽しめる。 もちろん、ドライバーのよそ見は厳禁だ。 しかし、西湘バイパスには海沿いのパーキングエリアもあるのでご安心を。 一時、台風の影響で損壊してしまい利用不可になっていたが、最近リニューアルオープンした。 海を臨む展望スペースもあるため、落ち着いてじっくり景色を楽しみたい方は、ぜひ寄っていただきたい。 西湘バイパスを降りたあとも海沿いの道を走り、漁港を目指す。 向かっている道中も、眺めの良いポイントがいくつもあった。 筆者としては、海と山と道路が同時に見えるポイントの景色が、お気に入りであった。 ■昼食は海の幸に舌鼓 漁港に到着後、休憩をしつつ、駐車場で海をバックに、各々写真撮影を楽しんだ。 そこは、パルサー VZ-Rオーナーさんお気に入りのフォトスポットとのことだ。 昼食の時間が近づいてきたので、地元の方に教えていただいたという、人気の定食屋へ向かった。 人気店とのことだが、タイミング良く、並ばずに入店することができた。 やはり海が近いので、海鮮丼を選ぶこととしたが、店内に掲げられた「オススメ」の握り寿司5貫の誘惑にも負け、勢いで2品もオーダーしてしまった。 美味しい海の幸を、お腹一杯お得に味わうことができた。 行った先で、美味しい食事に舌鼓を打つことも、ツーリングならではの楽しみである。 ■海から山へ!日本が誇るワインディング お腹が満たされたあとは、日本が誇るワインディング、箱根を目指す。 意外なことに、海沿いを走っていた西湘バイパスからすぐ、箱根の入口にたどり着く。 今回はターンパイクで箱根を登ることとした。 ここで、それぞれの愛車を乗り換えて山頂を目指す提案をいただいた。 最初に、N15パルサー VZ-Rに乗らせていただいた。 高回転型エンジンが自慢のグレードである。 実は、筆者が初めての愛車選びの際に憧れていたクルマの1台が、このVZ-Rというグレードであった。 オーナーから、せっかくなのでエンジンを高回転まで、回して乗ってみることを勧めていただいた。 ターンパイクは、料金所を抜けると長い上り坂である。 お言葉に甘え、低いギアで高回転まで回させていただいた。 MTのダイレクトな繋がりもあり、エンジンがとても気持ちよく吹け上がることを体感できた。 マフラーの発する音はもちろんだが、エンジン自体が発する音も心地よい快音である。 途中のパーキングで、再度乗り換えをおこなった。 続いて、R32スカイラインGT-Rを運転することとなった。 実は、GT-Rを運転するのは初めての経験である。 ドッシリとした乗り味に、上り坂の勾配を忘れさせる力強さ。 筆者の愛車と並べると大きく感じるが、現代の目で見るとR32 スカイラインGT-Rはコンパクトである。 車内はベース車と同じ、5ナンバーサイズであることも手伝い、運転をする際には大きさを感じさせない。 この点も、今もなお第一線を突き進んでいる、理由の一つなのかもしれない。 ターンパイクの頂上に到着し、ラウンジで休憩をすることとした。 お互いのクルマを運転した感想、さまざまなクルマの話題で会話は尽きないのであった。 ■帰路のルートは選び放題! 時間はあっという間に過ぎ、帰路につくこととなった。 箱根の頂上から、首都圏へのルートは複数選択肢がある。 ・ワインディングを楽しみながら、湯河原方面へ下り海沿いルート・御殿場方面へ下り、アウトレットなどでお買い物を楽しみ、東名高速ルート・箱根駅伝で知られる、国道1号線を下り、小田原経由ルート 他にも意外とルートはあり、お気に入りのルートを見つけることができるかもしれない。 ■猛暑前に楽しもう! これからのシーズン、気温が上がり、クルマにもオーナーにも厳しいものとなる。 旧車となると、猛暑は思わぬトラブルに見舞われるリスクも考えられる。 今回、首都圏に住む読者の方にはピンとくるであろうルートを紹介させていただいた。 読者の方々も、地元付近のツーリング・ドライブルートを開拓して、気温が高くなる前に、愛車との語らいをぜひ楽しんでいただきたいと思う。 [ライター・撮影 / お杉]
スバル360を購入して24年、セリカLBを購入して20年。 ハードボイルド作品の主人公のように、旧型車をカジュアルに乗り回すキャラに憧れ、この20年はいろいろなトラブル、不具合、経年変化と戦いながら戦いながら、筆者の日常の相棒として頑張ってくれていたのですが・・・。この何年かは、1年で整備工場に入庫している時間が長いため(酷いと数か月~半年もザラ)、ほとんど代車ですごしていたり、時には保険の代車特約で現行モデルのコンパクトカーを期限いっぱいまで借りたり…。 スマートキーにBluetooth対応ナビが装備された今のクルマは、本当に便利だなと感心するありさまです。 整備工場の代車がないときは、格安のマンスリーレンタカーを借りたりしていました。 いよいよセリカLBも普段乗りから退役させ、現状で車体価格一桁万円に収まるかどうかくらいの軽自動車を普段乗りに・・・と考えはじめたのが昨年の夏ごろでした。 ■経年劣化との戦いに敗北 ちょうど 「後世に残せるかは現オーナー次第!ネオクラシックカーを持つ覚悟とは?」(https://www.qsha-oh.com/historia/article/be-prepared/) 「手に入れて20年!スバル360とセリカLBが直面するレストア問題」(https://www.qsha-oh.com/historia/article/celica-subaru-restore/) を執筆していた時期です。 その稿に思わず「経年劣化に慈悲はない」と書きましたが、実はこのころから「経年劣化との戦いからの撤退戦」を考えるようになっていきました。 昨年末、エンジンオーバーホールからセリカLBが戻るものの、その翌月には早くもオルタネーターが寿命を迎え、さらにオルタネーター交換時、ヒーターホースのジョイント部分のパイプの腐食部分から、クーラント漏れが発生していることが発覚しました。 前述の稿に書いたように「もはや、次はいつどこの部品が壊れるのか、主治医の整備工場の社長ですらまったく予想がつかない」という状態に陥ったのが今年の2月。 最悪なことに、冷却系の不具合が出てるところに水温計まで動作不良を起こし、常にクーラントの残量を気にする必要があるものの、頼りの水温計はまったくアテにならず。 予備のクーラントを携行し、エンジン停止時にクーラントの残量を確認しなければならないという事態にまでいたったのです。 整備工場の社長に聞くと、「ジョイントのパイプ部分がリプロ品で手に入れば、片手で収まる工賃で3~4日あれば直せるが、部品が手に入らなければラジエター屋で現物から採寸して作ってもらう必要があり、金額も納期も全く読めなくなる」とのこと。 あいにく18R-G車用のヒーターパイプのリプロ品は存在せず(注:1600ccの2T-Gエンジン車用のヒーターパイプはTHサービスで入手可)、さすがにまた何か月も代車を借りっぱなしで直るまで預けるという気にはなれません。 これから気温があがっていくことを考えると、クーラントをつぎ足しながら「だましだまし」乗るのにも抵抗を感じます。 なにより、ここでジョイントの修理を出したところで、相手は50年も前のクルマです。 その後、問題なく乗り続けられるとは限りません。 ジョイントの修理費用と、普段使いの格安中古車を天秤にかけたうえ、ついに自分の友人にいつものファミレスで「もう、自分もいよいよ旧車の普段使いからドロップアウトする」と宣言したのが3月の某日でした。 ■普段使い用マシーン探し 普段乗りに関しては、そこに趣味性を求める気もなく、以下の条件をあげました。 ・維持費、燃費が安く、登録手続きの簡単な軽自動車・趣味性は求めないとは言いつつも、やっぱり好みでMT車は外せない・ボディ形式は軽トラック以外。ワンボックス、トールワゴン、ボンネットバン、セダ ンetc...エアコンさえあればメーカー車種、年式色装備、問わず・金額は現状・車体費用が出来れば1桁万円に収まるかどうかくらい。名義変更、車検、車庫証明は自分で手続きして極力安く済ます・安物買いの銭失いはある程度覚悟の上 また 【この出物に当たると嬉しい枠】・エブリイ、ハイゼット、サンバー等の軽ワンボックス・パジェロミニ、デリオスキッド等の軽SUV 【これは絶対無理だろう枠】・アルトワークス、ジムニー、ミラジーノ等の趣味性の高いモデル・スバル(旧富士重工)内製軽乗用車、ヴィヴィオに至っては90年代のスバル360みたいなヴィンテージ価格 といった車種の候補も。 いざ中古車サイトで探してみると、近年の中古車の高騰ぶりは聞きしに勝るもので、バブル状態のヴィンテージモデルはもちろん、新車の供給不足で高年式のモデルは新車と変わらないプライスタグを下げています。 その影響は低価格帯の車両にも影響しているようで、新車の納車が間に合わない、経済不況でとにかく安いクルマが欲しいという需要が多いのか、激安中古車が皆無、5万円以下の激安中古車は全滅というありさまです。 あくまで筆者の私見ですが、最近は中古スポーツカー高騰の影響か、ボディタイプ問わず安価なMT車にスポーツ走行目的の需要があるようです。 軽自動車などの低価格帯のMT車ですら高くなるという傾向が感じられました。 人気のモデルで、高年式で走行距離が少ない車両ならば総支払額で50万円を越えるのはザラ、車齢10年走行距離10km越えでようやく総支払額20万円以下という感じです。 筆者の住む愛知県では、総支払額10万円以下の売り物はほぼ全滅、まれに遠方でMT車でギリ両手で収まるかという出物があっても、陸送費のほうが高くつくというありさまでした。 東海三県でMTの軽となると、どうしても総支払額で20万円近くになります。 登録や車検は自分でするので、現状で車両価格だけで売ってほしいといおうにも、総支払額に粗利が乗っているためそれも難しいという話です。 ためしに予算オーバーの30万円以上で見てみると、高年式の軽ハイトワゴンの売り物が出てくる一方で、ダブルタイヤのマツダ ボンゴバンのMT、「スポーツ」ではない一般グレードのスズキ スイフトのMT、果てはBE/BH系スバル レガシィのMTまで出てくる始末。 いかに、維持費が経済的な軽自動車が、低価格帯中古車のボリュームゾーンになっているかが垣間見えます。 ■縁あって思わぬ出物は思わぬ所から 昨年から再開したスバル360のレストアで、そろそろ部品調達の相談をしようと、昔お世話になったスバル360専門店に行ったときのことです。 なにげなく「普段乗りにMTの軽自動車を探してる」なんて話をしたところ、「MTの軽?前俺が乗ってたR2のMTなら、去年一時抹消してそこに置いてあるぞ」と・・・。 まさかの、一番期待してなかった(無理だと思っていた)旧富士重工(現SUBARU)内製末期の軽乗用車の出物が思わぬ身近なところから。 まさに灯台下暗し・・・。 R2のMTモデルとしては最上級グレードのR(機械式スーパーチャージャー付のSはCVTのみ)、STiの純正エアロや、Sグレードのバンパーとアルミホイールという組み合わせ。 あとになって、Bluetooth対応の地デジナビにHIDまでついてることを知ったときは、むしろ面喰いました。 もとは関東のオーナーがワンオーナーで使用していた個体を、スバル360専門店の社長が普段使い用にゆずり受け、5~6年ほど使用したそう。 ところが最近腰が調子悪くなり、MT車の普段使いをやめて一時抹消。 ネットオークションに出すか業販に出すかを考えあぐねていたところへ、筆者がMTの軽自動車を普段乗りに欲しいとやってきたわけです。 走行距離は17万kmを越えていましたが、2オーナーで、前オーナーはスバル360専門店の社長なので、出どころは悪くありません。 売る側としても、スバル360をDIYレストアしている愛好家へ託すというのは、悪い話ではないとのこと。 現状販売で引き取り、登録、車検の手続きは自分でするので、車両価格でとお願いしたところ、両手で収まる金額とはいきませんでしたが、予算の上限+αで話がつきました。 富士重工内製時代の軽MTで、STiエアロをはじめとするオプションがついていることを考慮すれば、むしろ破格と言ってもいいかもしれません。 ■クルマというのはつくづく縁 因果なもので初めての愛車となり、現在DIYレストア中のスバル360を購入(正確には委託販売)した店で、20年以上も経ってからスバルの軽自動車を買うことになるとは思いもしませんでした。 色も青で(購入時は純正のシャンパンゴールドから青に塗り替えられた状態)、スバル360をリバイバルしたデザインのR2というのも、なにかの縁かもしれません。 [ライター・撮影 / 鈴木修一郎]
日本にいたころは、まったくといっていいほどクルマに関心がありませんでした。 公共交通機関が充実している、都会での暮らしに必要性を感じなかったからです。 しかし、ベルリンへ移住してから、道沿いにさり気なく駐めてあるクラシックカーのデザインに一目惚れしました。 もともと、ファッションやインテリアのアンティークやヴィンテージが大好きだった筆者にとっては新たな発見であり、クラシックカーどころかクルマのことなどほとんど知らない素人ですが、ベルリンの街でクラシックカーを見かけるたびに、スマホで写真を撮るようになったのです。 そんなある日、友人から「ヒストリックカー」の存在を教えてもらいました。 ■"H"マーク付きのヒストリックカーとは? ドイツのクラシックカーが好きな人であれば誰でも知っているかと思いますが、ヒストリックカーとは、ナンバープレートに”H”マークが入っているクラシックカーのことを指し、正式に認定されている年代もののクルマを意味します。 生産されてから30年以上経過している、オリジナルの状態が保たれている、走行に支障をきたす欠陥がないと判定された状態であるなど、条件を満たしたクルマのみが認定資格を持てるのです。 この”H”マーク付きのヒストリックカーを見つけると、自然に憧れと尊敬の眼差しを向けるようになりました。 ちなみに、連邦自動車交通局(KBA)調べによると、2022年におけるドイツ国内でのHナンバー登録数は648,365台とのことで、前年より10%も増えているそうです。 ベルリンの街を歩いているだけでも頻繁に見かける理由がよくわかりますね。 では、実際にはどんなクラシックカーがベルリンでは人気なのでしょうか? 街中で見かけたクルマを写真とともに紹介していきたいと思います。 ■メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300D やはり一番人気は、ドイツ車三大メーカーのトップ、メルセデス・ベンツです。 筆者の住むプレンツラウアーベルク地区だけでも、続けてすぐに発見できました! 1985年~1989年に生産されていた、メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300Dは、四角くて、コロンとしたフォルムが特徴的でレトロな印象を受けます。 無駄のないシンプルなデザインが男性に人気がありそうです。 清潔感のあるホワイトカラーもいいですね。 ■メルセデス・ベンツ W123 230E こちらは、大人気のメルセデス・ベンツW123シリーズの、最終モデルとして生産されました。 1976年から1985年に生産されていたW123シリーズは、街中でもよく見かけますが、メルセデス・ベンツならではの圧巻の存在感と、よりクラシックなフォルムと高級感漂うデザインが、個人的にもかなり好みです。 ■フォルクスワーゲン ゴルフガブリオレ 同じくドイツメーカーのフォルクスワーゲンも大人気で、ゴルフガブリオレと、作業用としてよく活用されているバンを見かける機会が多いです。 ビートルの後継者としてゴルフカブリオレが誕生したのは1979年で、コンパクトなサイズと見た目のかわいさで、女性にとても人気があります。 定番のブラックも人気ですが、筆者としてはレッドやブルーといった、発色の良いカラーが目を引きます。 ベルリンでは、住宅の前にクルマがズラリと並んでいる光景が日常的ですが、並んでいるクルマを見るとクラシックカーに限ったことではなく、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンが圧倒的に人気なのが一目瞭然です。 ドイツの国産車だから当然ではありますが、その中にクラシックカーがさり気なく紛れ込んでおり、街の景観を美しく演出しています。 ちなみに、ベルリンでは駐車禁止地域以外であれば、基本的に路上駐車が可能となっています。 ただ、埋まっていることがほとんどのため、空きスペースを探すのは至難の技です。 ■ジャガー XJS ハイブランドショップが立ち並んでいることでも有名な、ベルリン随一のショッピング通り、通称“クーダム”で発見したジャガーのクラシックカー。 ドイツの国産車がトップの人気を誇るなか、イギリス産のジャガーと出会えたのは嬉しかったです。 ごくたまに見かけますが、レトロフューチャーなフォルムと渋いカラーがたまりません。 ■マセラティ 222 同じくクーダムの近辺で発見したのが、イタリア産のマセラティです。 1914年操業と、100年以上もの長い歴史を誇り、高級スポーツカーとして人気を博しています。 記憶が正しければ、筆者はこの日初めてマセラティを見ましたが、フロントの渋さと、バックスタイルでさり気なくブランドを語るかのようにロゴを入れたデザインが、ステキだと思いました。 ■おわりに クルマの国ドイツであっても、意識して見なければクラシックカーに気付かないかもしれません。 しかし、街中を隈なく探すと、持ち主のこだわりや個性の見えるデザイン性の高いクルマと出会うことができます。 特に筆者は、メーカーよりもフォルム、デザイン、カラーに魅了されることが多く、いつの年代に生産されたのか、その時代のトレンドはどんなデザインだったのか、時代背景はどんなだったのか、そんなことに想像を膨らませています。 これからも、ベルリンの街でステキなクラシックカーにたくさん出会えることを楽しみにしています。 [ライター・撮影 / Kana]
皆様はドイツにおけるHナンバー制度をご存知だろうか。 日本でクラシックカーのイメージといえば、税金が高く、維持するのも一苦労。 …といったところだろうか。 初年度登録から13年以上経過したクルマは自動車税が大幅に上がってしまうのが現実だ。 そんなクラシックカーのイメージを覆す制度がここドイツには存在する。 それがこのHナンバー制度だ。 今回は、クラシックカー大国といわれるドイツにて導入されている「Hナンバー制度」について解説していく。 ■1.Hナンバー制度とは 1997年1月1日より、自動車の文化遺産を保護するために導入された。 HナンバーのHとはドイツ語で「Historisch」(歴史的)という意味を表し、ナンパプレートの右側にHが記されるのだ。 ドイツでは一般的に、初年度登録から30年が経過すると、クラシックカーと呼ばれるようになる。 そしてこの国では、クラシックカーの文化を維持するために、Hナンバープレートを取得すると、税負担の軽減などの恩恵が受けられるようになる。 つまり、新しいクルマよりも維持費が安くなるのだ。 なんて素晴らしい制度なんだ。 もちろん、30年経過したクルマが全てこのHナンバーを取得できるかと言われると、そうではない。 このナンバーの取得に際しては、ほぼオリジナルの状態であること、または専門的に修復された車両のみに与えられる。 Hナンバーを取得したクルマだけが、真のクラシックカーとなるのだ。 ■2.自動車税は一律3万円! 前述でも述べたとおり、Hナンバーを取得するのは簡単ではない。 まずは大前提として自動車保険に加入しており、車検が有効である状態でなれければならない。 その後、専門家によるクラシックカーの査定、主な検査を行ってもらい、クラシックカーレポートを取得する。 このレポートや車検証などの必要書類を準備し、登録事務所へと提出する。 ここでHナンバーの基準をクリアすることができれば、晴れて登録が完了するというわけだ。 実際に査定や登録などの費用は車両の状態などにより異なるが、おおよそ300〜400€(現在のレートで約6万円)ほどの費用がかかってくる。 それ以降、年間の税金は排気量に関係なく、一律191.73€(現在のレートで28,759円)となっている。 日本では13年以上経過したクルマで、例えば排気量が3000ccの場合、66,700円にもなってしまう。 Hナンバーの税金が実に安いことをお分かりいただけるだろう。 ちなみに、オートバイにもHナンバー制度は導入されており、この場合の税金は一律46.02€(現在のレートで6,903円)となっている。 ■3.ドイツで30年以上経過したクルマは100万台以上!? 連邦自動車交通局(KBA)の調べによると、2022年1月1日、ドイツでは30年以上経過したクルマが100万台を超えた。 そのうち、Hナンバーのクルマが648,365台も登録されている。 Hナンバープレートの普及率は驚異の57.3%だ。 これは、古い車の所有者の半数以上が、クラシックカーとして登録していることを示している。 クラシックカーの在庫はここ25年間で常に増加傾向にあり、ドイツにおけるクラシックカー人気は今もなお上昇し続けているのだ。 最も人気のあるクラシックカーは、メルセデス・ベンツW124、SLクラス、 フォルクスワーゲンビートル、バスとなっている。 ■まとめ 結果的にHナンバー制度は大成功のモデルとなった。 クラシックカー愛好家は、環境保護区域内でも自由に運転することができ、税金を安く抑えることができるため、Hナンバーを取得しない理由はない。 クラシックカーは自動車の歴史そのものであり、古くなったら終わりではなく、古いからこそ価値があるのではないだろうか。 また、ドイツにおける自動車文化遺産を保存し、維持する姿勢にも素晴らしいものを感じる。 著者は日本にも導入してほしいと切実に願っている。 [ライター・撮影 / 高岡 ケン]
■半年でクルマを4台買う人間 まさか自分だって、半年でこんなにクルマを買うとは思っていなかった。 昨年の12月から約半年で、筆者はクルマを4台立て続けに購入したのだ。 それも家族のためなどではなく、完全に自分の趣味。 それもエンスージアストな趣味からはほど遠い、ごく普通のコンパクトカーばかりだ。 今はなんだか無性に、そんな気分なのである。 もちろん、購入の理由はどのクルマも一長一短があってのことなのだが、可能であればすべて手元に残したいくらい大好きである。 昨年購入した三菱・アイ、スズキ・セルボ、ダイハツ・タントと、3台軽自動車が続いたが、今回久しぶりに(?)普通自動車を購入することとなった。 これらの共通点は、すべて“00年代のクルマ”であるということだ。 中古車の値段が底値に差し掛かろうとしていることも、気軽な買いやすさの理由ではあるのだが、00年代に青春時代を過ごした筆者には、いずれにしても気になるクルマたちであることには変わりない。 さて、筆者と3代目キューブの出会いは2008年までさかのぼる。 当時高校生だった筆者は、北海道の地方にある小さな街に住んでいた。 インターネット通販はすでにあったが、現代のようにアマゾンプライムで翌日に配送されたり、送料が無料ということは滅多になかった。 そのため、デザイン用の画材一つ買うために、180km離れた札幌市まで足を運ぶことも少なくなかった。 なけなしのバイト代で、鈍行列車を乗り継いでいった札幌。 地元の小さな街に比べれば、文明を肌で感じられるほどの大きな都市なのだ。 関東に長く住み、地元の良さに気が付いた今ですら、地元の小さな街と札幌のことを比べて思い出すと、その落差には卑屈な気持ちになる。 そんな札幌には、日産自動車のギャラリーが存在していた。 1997年、当時最新の商業施設として開業していた、札幌ファクトリー(現・ペットランドプラス)で開業。 2004年には大通り地区に移転してオープンした。 大通り地区にあった日産ギャラリーは、ビルの1、2階部分に展示場が入っていた。 最新の日産車が鎮座する姿と存在感は、はるか遠くにある東京の銀座ギャラリー(現・NISSAN CROSSING)を想起させるような、都市型の展示施設であった。 特にデザインを“SHIFT”させて以降の日産車のデザインと、ギャラリーの雰囲気が非常にマッチしており、落ち着いた空間で光り輝く最新モデルの姿にゴクリと生唾を飲んだのを、今でも覚えている。 ■憧れの空間で見た最新モデルの記憶 その中でもひと際記憶に残っているのが、2008年に登場した3代目キューブだ。 キューブというクルマは初代、2代目ともに若い世代のユーザーへと訴求する商品力を感じさせていたモデルだが、3代目のキューブも負けず劣らずの商品性を有していたように思う。 当時風にいうと“癒し系”のデザインは、高校生の筆者から見ても「タイムレスなデザインになるであろうな...」と予感させるほど、普遍的な良さが車体の内外に表現されていた。 が、心に残っていたのは車体だけでなく、展示場でのプロモーションの面白さにもある。 新色であった“クラフトダンボール”という明るいブラウンの車体の隣には、ダンボールで制作されたキューブを模した大きなモックアップが並べられ、「このクルマのコンセプトはこうなんだ!」と語っているかのようでだった。 デザインを学ぼうと躍起になっていた当時の筆者の心に非常に響いたものである。 左右非対称のバックドアや、サングラスをかけたブルドックをモチーフの1つとしたデザイン、陶器のようにまるっこい車体は非常に親しみやすく、日本の自動車における既成概念をゆるやかに破壊してくれそうな期待感すらもてた。 内装にも驚きは多く、シャギー調の足の長いフロアマットや数多くのカップホルダー、ジャグジーのように乗員を取り囲むようなインテリアなどなど...そのコンセプトからアイテムに至るまで、所有欲だけでない部分までを刺激してくれそうだ。 特に気に入ったのは、上級グレードに設定されるサンルーフの「スタイリッシュガラスルーフ+SHOJIシェード&ロールブラインド」だ。 ルーフガラス部分自体はハメ殺しだが、巻き取り式のサンシェードの他に透過素材で出来た障子調の層が存在する。 直射日光を弱めつつ、頭上の光を柔らかに室内へ取り込むことができる和風な感覚は、00年代に日産がコンセプトで提示したいくつかのコンセプトカー、例えばインフィニティ・クラーザや日産・JIKOOなど、日本的な意匠からのインスピレーションも取り込まれているのかもしれない。(なお、残念ながら筆者のキューブにはサンルーフがついていないが...) 3代目キューブの前年に発売されたGT-Rも日産...いや、日本車の極みにあるモデルだと思うが、キューブもまた長く愛される、日本らしいプロダクトといえるのではないだろうか。 2008年に発売され、2020年まで生産され続けた3代目キューブは、2018年度にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞のアワードを受賞している。 マイナーチェンジや特別仕様車における細やかな差異は多いものの、長いモデルライフにおいて外観における大きな変更点がほとんどないことも、3代目キューブの良き特徴であることだろう。 ■偶然にも「ガチャ」で出会った白いキューブ 筆者が購入したキューブは2009年モデルだ。 きっかけは、ゲームセンターで回したガチャポンで出てきたカプセルトイのミニカーが、白い2代目キューブが出たからという、軽い理由からなのだが...。 それまで所有していたクルマは2代目タントなのだが、所有して実際に数か月走ってみると、オイルの消費量がかなり激しいことに気付いてしまった(中古車のKF-VE型エンジンにありがちな症状)。 小さなクルマで長距離移動をするのが大好きな筆者なので、これは致命的であり...手離そうと考えていた際に、ふと思いついたのがガチャでひいたキューブだったのだ。 実際に中古車の3代目キューブを探してみると、総額で30万円前後からの個体が多かったのだが、今回はラッキーにも車検付きで5万キロ未満、乗り出しは15万円に満たない値段で購入することができた。 今回のクルマはエンジンも好調で、大変にご機嫌だ。 色もガチャでひいたカプセルトイに似せて、当時のオプション色ホワイトパール(3コートパール)を選択した。 1.5LのHR15DEエンジンを搭載し、109psを出力する。 のんびりしたデザインの印象とはうらはらに、意外と元気な出足だ。 足回りもふんわりした感じではなく、むしろ段差のショックはそれなりに入力するものである。 ただそれがとても不快に感じるものでないのは、大きく作られたシートとの相性が良いからであろう。 座面にハイバック、ヘッドレストまで厚みがあり、柔らかである。 角度の立ったフロントウインドウと、まるく縁どられたサイドウインドウは、街中で見かけていた印象よりも、実際に車内に入ってみるとまるっこさがさらに際立つ。 さらに、室内にはいたるところに波紋状のデザインが入れられて、柔らかな印象が取り込まれている。 グレードは下から数えて一つ上のXでマニュアルエアコンだが、スイッチ部がぼんやりと透過して光る工夫があるなど、安いからといってこだわりがなくなるわけではないのも好印象だ。 かつて、札幌の日産ギャラリーで見たときから不可思議だったのが、メーターのグラフィック。 白と青が交わるような意匠上の箇所は、車体を見回しても外観のエクストロニックCVTのバッジ以外にはないのだが、やはりエコカー的なデザインを意識した色使いなのだろうか。 他が牧歌的な印象すら感じるデザインなので、ここだけは意外な配色だ。 先述のとおり、バックドアは左右非対称のデザイン。 ヒンジドアを開くとその重厚な印象に驚かされる(とはいえさほど操作しにくいわけでもないのだが...)。 荷室は深くとられ、右側のピラー部にはしっかりと物入も設けられる。 こんな風にデザインが実用性を兼ねているのを見つけたとき、さらにキューブの魅力にハマっていくのだろうな、と感じさせられる。 まだまだ街の中で見かける3代目キューブだが、もう間もなく登場から15年が経過しようとしているものの、その魅力はまだまだ色褪せそうもない。 2023年のオートサロンにおける、日産ブースで展示されていた「日産・キューブ リフレッシュ&レトロコンセプト」は、中古車の魅力を向上させる事をコンセプトとしたモデルだ。 各部の部品をリフレッシュさせながら、カスタムカーとしての魅力も付与していた同モデルだが、キューブという個性的かつタイムレスなデザインの車種を同社が有していたからこそ、新たな魅力を加え世の中に問う一台となったのであろう。 日産には他にも魅力的なクルマは数多い。 そのクルマが持つ魅力をリスペクトしながら、リフレッシュ&カスタムされることがビジネス化されるのを今から期待してしまう。 半年に4台のクルマを買う自分のことだから、この先またいつ何を購入したくなるかは自分でももうわからないのだが...この3代目キューブでいけるところまでいってみたいと思う。 小さな目標は、左ハンドル仕様のキューブはバックドアの開き方も逆...ということなので、いつかこのキューブで右側通行の国へ行き、並べて写真を撮ることができれば最高だ...なんて妄想は欲張りすぎだろうか。 お気に入りの空間をそのまま連れて、旅に出かけられる日を夢に見ながら、日々を暮らしてみようと思う。 [ライター・撮影 / TUNA]
イタリアで、いや欧州で、いやもしかしたらファンの間では世界的に有名かもしれない「Alfa Blue Team」のコレクションを見学に行くことができたので、今回はその様子をお届けしたいと思います。 ■Alfa Blue Teamとは? 「Alfa Blue Team」はアルファ ロメオ公認のクラブで、会員はイタリア国内だけにはとどまらず、世界中にいるそうです。 彼らはビンテージアルファ ロメオのコレクションを行っている団体で、廃車となったクルマを改修したり、あるいはオーナーから買い取るなどしてそれらを集めています。 まずは彼らのコレクションを紹介します。 ■Alfa Blue Team珠玉のコレクション 建物へ入ると、すぐに大量のアルファ ロメオたちが整然と並んでおり、私たちの到着を歓迎してくれているように感じました。 こちらの「BALDUZZI」のエンジンを搭載したGiulia TZは世界に数十台しか存在しないそうです。 大人気のジュリエッタ系も、所狭しと鎮座しています。 2階には主にGTシリーズが約20台展示されており、この景色は圧巻です。 この建物だけではなく、別の建物にもコレクションがあります。 そちらには、アルファ ロメオのトラックやバス、出店用の車輛等も展示されていました。 アルファ ロメオの大型バス、超レアだと思うのですが、皆さんは見たことがありますか? なかも見せてもらいましたが、非常にシンプルでスタイリッシュな感じです。 バスもトラックも、スポーティーなアルファロメオの印象とは少し離れ、親近感が湧くような可愛らしい容貌です。 もちろん、この施設内には整備場も隣接しており、テクニシャンたちがここでクルマを一台一台丁寧に生き返らせています。 テクニシャンにも話を聞いてみると、「下手に修理されているクルマがよくある。そういったクルマの修理が実に大変なんだ」と少し不満を漏らしていましたが、彼らは皆生き生きとした目をしていました。 この仕事が好きで、アルファ愛が止まらない方たちなのだな、と感じました。 ここで生き返ったクルマたちは販売されたり、コレクションに追加されたりするようです。 ■代表・アレッサンドロさんに直撃インタビュー さて、現在のAlfa Blue Teamの代表のアレッサンドロさんがお忙しいなか、インタビューに応じてくれました。 アレッサンドロさんは創設者の息子さんです。 ●クルマに同じ情熱を持つ日本人に対してどのようなイメージを持っていますか? まずいえることは、イタリア国外のアルフィスティ*はより「アルフィスティ」なんです。例えばドイツやオランダ、ベルギーのアルフィスティたちはより本格的で、アルファ ロメオに対して非常に強い情熱があるように思います。一方で、アメリカや日本等のヨーロッパから離れた大陸では「遠い国のエキゾチックさ」をアルファロメオに感じ、それに向かって脚を伸ばしているという印象があります。*Alfisti(アルフィスティ)=アルファロメオファンのことを指します。 ●あなたにとってアルファ ロメオの魅了とは何ですか? アルファ ロメオは歴史に名を刻むブランドです。機械的、パフォーマンス的、スポーティなボディ、美的に完璧なブランドなのです。それは、アルファロメオが1920年ごろに航空技術を世界的に牽引していたこと、過去にレース界で多くの勝利を収めてきた事実から明言できますよね。また、ビンテージアルファロメオは、何千ユーロとする高額なものもあれば、少額で手にすることができるものもあるんです。つまり、アルフィスティには手の届く範囲でビンテージのアルファロメオが存在しているということ。あなたがお金持ちだろうとそうでなかろうと、あまり関係ないのです。 ●ブルーチームではなぜビンテージアルファ ロメオのコレクションを始めたのですか? 1957年に私の叔父が、ジュリエッタを購入したのが始まりです。それは私の父が5才のときの話で、彼はそのジュリエッタに恋に落ちるかのように愛したのです。ときが経ち、父は高校の同級生で、アルファ ロメオに情熱を持った仲間どうしで集まるようになり、中古のアルファ ロメオを集めるようになりました。父は18才のとき、彼にとって初の愛車となるジュリアSSを購入し、その後、廃車場で見つけたジュリエッタ スプリント ザガートを2台目のクルマとして迎え入れました。その翌年、父がアルファ ロメオのコレクションをするために、このブルーチームを立ち上げたのです。当初は、友人間でコレクションを愉しむほどでしたが、その活動の領域は広がっていき、父は友人と街に出て、アルファ ロメオを見つけては、「もしこのクルマを売りたかったら、私たちが買い取ります」と書いた札をクルマの窓に貼り付けるなど、地道な努力をしていたそうです。コレクションの置き場所を確保するのに、1981年に元工場を買い取り、ブルーチームのコレクションを収納することにしました(それが現在のブルーチームの所在地)。また、仲間たちで週に1回必ず集まり、会議をすることを鉄則とし、友が友を呼び、どんどん大きいコミュニティになっていきました。 ●もっとも好きなアルファ ロメオはなんですか? 一番はないですね、それぞれにユニークなバックグラウンドがありますから。ただ、強いて言うなら、父が一番初めに購入したジュリアSSは特別な思い入れはありますよ。もともとは赤のボディだったのですが、このようにボディを青にしたのは、父は青が好きで、自分好みにクルマを改造したのです。このクルマがブルーチームの始まりですし、名前の由来でもありますからね。 ▲アレッサンドロさんとジュリアSS ●アレッサンドロさんは日本車についてどう思いますか? アルファ ロメオは運転を愉しむために生まれたクルマで、一方、日本車はそれと真逆のコンセプトでヨーロッパに入ってきたと思います。愉しむというよりかは、移動の道具として。例えば効率が良い、ファミリーフレンドリーなデザインとかですよね。日本車の欧州での販売は、アルファ ロメオの衰退にも影響しました。日本車に搭載された新しい技術は人々にとって魅力的で、アルファ ロメオはスポーティなボディ、美しさを追求したデザインへと方向転換せざるを得なかったと思います。そういえば、日本車が持つ効率の良さとファミリーフレンドリーさを取り入れるために、日産とコラボレーションをして開発された“アルファ ロメオ アルナ”というクルマがありますが、人々に受け入れてもらえず、売れなかったクルマの一つなんて話もあります。 ●日本のアルフィスティたちに何かメッセージはありますか? 情熱を持ち続け、突き進んでほしい。応援しています! ■取材後記 私はこの訪問を通して、「アンティークカー」それは過去のものだけれど、それに携わる方々は未来を見ている、そう感じました。 未来にアルファ ロメオの素晴らしさを継承していきたい、そのハートが先を向いているのでしょう。 そして今回、アルフィスティである父も日本から来伊し、コレクション場に同行したのですが、一切イタリア語を話せない父と、一切日本語を話せいないイタリア人たちが不思議と通じ合っていたのです。 同じ情熱を持つ者どうし、言葉が通じなくても、つながっている何かがあるんだな、そう強く感じました。 ※「Alfa Blue Team」の訪問は普段20人以上の団体客しか受け入ていません。 余談:Alfa Blue Teamの駐車場でこんな標識を見つけました。 この駐車場にドイツ車を駐車したら、牽引するぞ、そんな標識です。 イタリア車とドイツ車の関係が、ユーモアによって表現されている面白い1枚でした。 [ライター・画像 / PINO]