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旧車の売買と鑑定市場

廃車費用の相場と内訳を完全ガイド!無料で処分して損しないための知識
旧車の売買と鑑定市場 2025.10.15

廃車費用の相場と内訳を完全ガイド!無料で処分して損しないための知識

長年連れ添った愛車を手放すとき、手続きや必要な費用が心配になる方は多いのではないでしょうか。 廃車にかかる費用は依頼先によって大きく異なり、工夫次第では費用をかけずに処分することも可能です。場合によっては、思わぬ金額が手元に戻ってくるケースもあります。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、廃車にかかる費用の内訳や詳しい相場、損をしないための依頼先の選び方について解説します。 廃車手続きの種類 廃車の手続きには「永久抹消登録」と「一時抹消登録」があります。どちらの手続きを選ぶかによって、その後のクルマの扱いや必要となる費用が変わります。それぞれ詳しく見ていきましょう。 永久抹消登録 永久抹消登録は、クルマを解体(スクラップ)することを前提とした手続きです。対象のクルマの登録情報を永久に抹消します。この手続きが完了すると、そのクルマは二度と公道を走ることができなくなります。 災害等でクルマが使えなくなった場合や、老朽化等により乗る予定が全くないクルマを処分する際に選ぶことが一般的です。手続きを行うと、後述する自動車税や重量税の還付金を受け取ることができます。クルマを完全に手放し、維持費の負担から解放されたい場合に適した方法です。 一時抹消登録 一時抹消登録とは、クルマの登録を一時的に中断する手続きを指します。海外出張や長期入院などで長期間クルマに乗らないものの、将来的にまた乗る可能性がある場合に利用されます。手続きを行うと、ナンバープレートを返却するため公道を走行できなくなりますが、クルマ自体は手元に残しておくことが可能です。 登録を抹消している期間は、自動車税の支払いが不要です。再びクルマに乗る際には「中古車新規登録」の手続きを行えば、再び公道を走れるようになります。ただし、クルマを保管しておく駐車場は必要であるため、維持費が完全に発生しなくなるわけではありません。 廃車にかかる費用の相場 廃車の手続きには、具体的にどのような費用が発生するのでしょうか。ここでは、廃車手続きで発生する可能性のある代表的な費用の内訳と、それぞれの相場を紹介します。 解体費用 解体費用は、永久抹消登録の際に発生するクルマをスクラップにするための作業費用です。解体業者がクルマのエンジンや各種パーツを取り外し、プレス機で圧縮して鉄の塊にするまでの一連の工程が含まれます。 費用は業者によって幅がありますが、一般的には2万円程度と考えておくとよいでしょう。業者によっては、解体して得られる鉄資源を売却することで利益を得るため、解体費用を無料にしているところもあります。依頼する前に、解体費用がいくらかかるのかを必ず確認しましょう。 レッカー料金 レッカー料金は、事故や故障などで自走できなくなったクルマを、解体工場まで運搬する費用です。移動距離に比例して高額になるのが一般的であり、数キロ程度の近距離であれば5,000円程度、長距離になると3万円以上かかることがあります。 クルマが問題なく走行できる状態であれば、オーナーが自身で解体工場まで持ち込むことで、レッカー料金を節約できます。廃車費用を少しでも抑えたい場合、クルマが自走可能かどうかは大きなポイントになります。 リサイクル料金 リサイクル料金は、クルマを解体した後に残るシュレッダーダスト(細かく破砕されたゴミ)やエアバッグ類などを、環境に配慮して適正に処理するために必要な費用です。 2005年に施行された自動車リサイクル法に基づき、原則としてクルマの購入時に前払いする義務があるため、多くの場合は廃車時に改めて支払う必要はありません。 購入時に支払い済みであることは「リサイクル券」が証明します。リサイクル券を紛失したとしても、支払いの記録はシステムで管理されているため再度支払う必要はありません。ただし、法律が施行される2005年より前に購入し、一度も車検を受けていないようなケースでは、リサイクル料金が未払いの可能性があります。 その際にはリサイクル料金を支払う必要があり、車種によって1万円から2万円程度が請求されます。 手続きにかかる申請手数料 廃車手続きを運輸支局で行う際には、申請手数料が発生します。永久抹消登録や一時抹消登録の手続き自体は無料ですが、登録事項等証明書の交付を受ける場合などに、数百円程度の手数料が必要になることがあります。また、業者に手続きを代行してもらう場合は、これらの手数料に加えて「代行手数料」が上乗せされるのが一般的です。 【依頼先別】廃車費用の相場 廃車にかかる費用は依頼先によって金額が変わります。ここでは、代表的な3つの依頼先である「ディーラー」「自分で手続き」「廃車買取業者」それぞれのメリット・デメリットを、費用の観点から比較します。 ディーラーに廃車依頼する ディーラーに廃車を依頼する場合、新しいクルマの購入と同時に手続きを進めるのが一般的です。新車購入時の下取りと合わせて廃車手続きを任せられるため、手間がかからず安心感を得られるのがメリットといえます。 ただし、費用面では割高になる傾向があります。ディーラーによる廃車手続きは外部の解体業者へ委託するケースが多いため、解体費用やレッカー代に代行手数料が上乗せされることがほとんどです。そのため、廃車にかかる費用の総額は、1万円から8万円程度が相場です。手間をかけたくない方や、新車購入を前提としている場合には良い選択肢となりますが、費用を抑えたい方にはあまり向いていない方法です。 自分で廃車手続きをする 自分で運輸支局に出向いて手続きを行えば、ディーラーや業者に支払う代行手数料を節約できます。必要な書類を自分で揃え、平日に運輸支局へ行く時間を確保できるのであれば、最も安く済ませられる可能性のある方法です。 ただし、かなりの手間と時間、さらには専門知識を要します。クルマを解体してくれる業者を自分で探し、レッカーの手配も行わなければなりません。その後は書類作成や運輸支局での手続きなど、すべてを自分1人で行う必要があります。手間を惜しまず、少しでも費用を節約したい方に向いている方法です。 廃車買取業者に依頼する 廃車費用を抑えたい場合は、廃車買取業者に依頼することも方法の1つです。廃車専門のプロフェッショナルであり、手続きにかかる費用を無料にしているところが少なくありません。 無料で引き取れる理由は、買い取ったクルマをただスクラップにするのではなく、価値のある部品やパーツを再利用したり、鉄資源として売却する独自のノウハウを持っていたりするためです。 特に海外では日本車の人気が高いため、日本では価値がないとされる古いクルマや過走行車でも、修理したうえで輸出すれば利益を得られます。そのため、手続きの代行費用やレッカー代、解体費用まで、すべて無料で対応できます。 クルマの状態や車種によっては値段がつき、買い取ってもらえる可能性もあります。 廃車にすると還付金を受け取れる 廃車にすると、条件を満たした場合に国や保険会社から「還付金」を受け取れます。これは、クルマの所有者が前払いしている税金や保険料の一部が返還される仕組みです。還付金の詳細について見ていきましょう。 自動車税の還付 自動車税は、廃車手続きを行うことで還付されます。自動車税は、毎年4月1日時点の所有者が、その年度分(4月から翌年3月まで)をまとめて前払いしています。そのため、年度の途中で永久抹消登録または一時抹消登録を行うと、残りの月数に応じた税金が月割りで還付されます。 たとえば、9月に廃車手続きが完了した場合の還付金は、10月から翌年3月までの6ヶ月分です。ただし、還付制度は普通自動車・小型自動車が対象であり、軽自動車税は還付されません。 重量税の還付 自動車重量税の還付は、永久抹消登録を行った場合にのみ受けられます。自動車重量税は、車検時に次の車検までの期間分(通常は2年)を支払う税金です。車検の有効期間が1ヶ月以上残っている状態でクルマを適正に解体し、永久抹消登録と還付申請を同時に行うことで、残存期間に応じた金額が還付されます。 自動車重量税の還付を受けるためには、解体報告の記録と永久抹消登録が完了していることが条件となるため、手続きを忘れないようにしましょう。なお、クルマの存在が残る一時抹消登録は還付の対象にはなりません。 自賠責保険料の返戻金 自賠責保険料の返戻金は、税金の還付とは異なり、ご自身が加入している保険会社に直接解約手続きを行なうことで受け取れます。保険の契約期間が1ヶ月以上残っている場合に、残りの期間に応じた保険料が月割りで返還される仕組みです。 永久抹消登録または一時抹消登録手続きの完了後、証明となる書類を保険会社に提出して解約を申請します。手続きを行うことで、数千円から1万円程度の返戻金を受け取れる可能性があるため、忘れずに申請しましょう。 廃車費用を抑えるためのポイント 廃車費用は依頼先やクルマの状態によって大きく変動します。ここでは、誰でも実践できる費用節約のための具体的なポイントを3つ紹介します。 自走できればレッカー代を節約できる 廃車費用の中で大きな割合を占めるのがレッカー代です。もしクルマが安全に走行できる状態であるなら、オーナーが自身で運転して業者に持ち込むことで、レッカー代の支払が不要になります。 車検が切れていても、仮ナンバー(自動車臨時運行許可)を市区町村の役所で取得すれば、合法的に公道を走行させることが可能です。 近場の解体業者を選ぶ クルマが自走できずにレッカー移動が必要な場合は、なるべく自宅から近い場所にある業者を選ぶことをおすすめします。レッカー料金は移動距離によって決まるため、業者までの距離が短ければ短いほど、費用を安く抑えることが可能です。 複数の業者に見積もりを依頼する際には、レッカー代の金額に加えて、料金が無料になる条件を事前に確認しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。地域に密着した業者を探してみるのも1つの方法です。 価値がわかる業者に買取を依頼する 廃車費用を抑えるだけでなく、利益を得られる可能性がある方法が、クルマの価値を評価してくれる業者に依頼することです。特に廃車買取を専門に扱っている業者は、古いクルマや走行距離が多いクルマでも、価値を見出すノウハウを持っています。 動かなくなったクルマでも、希少な純正パーツには高い価値があるかもしれません。また、一部の車種は海外で絶大な人気があるため、廃車同然のクルマが高値で取引されることもあります。 一般的な中古車販売店では0円と査定されるようなクルマでも、専門業者に依頼すれば思わぬ価格で買い取ってもらえるかもしれません。 まとめ 廃車にかかる費用は、クルマの状態や手続きの種類、そして依頼先によって大きく変わります。廃車買取専門業者に依頼すれば、面倒な手続きを無料で代行してくれるだけでなく、動かなくなったクルマや古いクルマでも価値を見出し、買い取ってくれる可能性があります。 「廃車だから費用がかかるのは仕方ない」と諦めてしまう前に、まずは専門の業者に相談してみましょう。

エンジンがかからない車でも買取できる?故障車の売却方法とは
旧車の売買と鑑定市場 2025.10.07

エンジンがかからない車でも買取できる?故障車の売却方法とは

エンジンがかからなくなったクルマの処分を検討する際、売却を検討する方は多いのではないでしょうか。エンジンがかからない状態のクルマの多くは買取の対象となります。廃車手続きの費用やレッカー代を支払う必要なく、思わぬ金額で売却できるケースも珍しくありません。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、エンジンがかからないクルマが買取の対象となる理由や具体的な売却方法、少しでも高く売却するためのポイントについて解説します。 エンジンがかからない車は「不動車」 エンジンがかからない、あるいはかかっても自走できない状態のクルマは、一般的に「不動車」と呼ばれます。クルマが動かなくなる原因はさまざまで、一概に「故障」と断定できるものばかりではありません。 たとえば、長期間クルマを動かさなかったことによるバッテリー上がりは、不動車の代表的な原因の1つです。また、燃料タンクが空になっている、あるいはガソリンが劣化しているといった「ガス欠」や燃料系のトラブルや、エンジン本体やトランスミッション、タイミングベルト、スターター(セルモーター)といった機関系の故障が原因になるケースもあります。 「エンジンがかからない」と一言でいっても原因は多岐にわたるうえに、原因の重大性や修理にかかる費用によって、クルマの価値や買取の可否も大きく変わります。 エンジンがかからない車の維持費 エンジンがかからないクルマを所有し続けるうえで、見過ごせないのが維持費の問題です。公道を走らずにガレージや駐車場に置いているだけだとしても、税金や保険料といったコストは発生し続けます。 大きな負担となるのが、毎年4月1日時点の所有者に課せられる「自動車税(種別割)」です。排気量に応じて課税されるこの税金は、クルマを使っていなくても納付義務が生じます。 さらに、これらに加えて、月々の駐車場代もかかります。 クルマの利用状況を問わずに発生するこれらの維持費は、クルマを放置する期間が長引けば長引くほど、負担が増えていきます。エンジンがかからないクルマを放置しておくことは、経済的な観点から見ても決して得策とはいえません。いずれ売却や処分を考えているのであれば、無駄な維持費がかさむ前に、早めに行動を起こすことが賢明な判断といえるでしょう。 エンジン故障車を買い取ってくれる業者 エンジンがかからない不動車を売却しようと考えたとき、どこに相談すればよいのでしょうか。クルマの買取を行っている業者にはいくつかの種類があり、それぞれに得意分野や特徴があります。エンジン故障車を買い取ってくれる業者の種類とそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。 中古車販売店  中古車販売店は、買い取ったクルマを再販することを主な目的としています。そのため、エンジンがかからないクルマの買取には積極的ではない傾向があります。 修理が比較的簡単かつ人気車種であれば、買取に応じてもらえる可能性はありますが、買取価格は市場での販売価格から修理費用等を考慮した金額となるため、高値は期待できません。 ディーラー 新車の購入時に、現在乗っているクルマを引き取ってもらう下取りという形で、ディーラーに売却する方法もあります。 ディーラーの主な目的は新車の販売であり、下取りはそのためのサービスの1つです。再販が難しい不動車に対してはほとんど価値がつかないことが多く、査定額が0円となることも珍しくありません。クルマの状態によっては、レッカー代や廃車手続きのための費用を請求されてしまう可能性すらあります。 廃車買取業者 廃車買取業者は、エンジンがかからないクルマや事故車、水没車といった、一般的な市場では価値がつかないとされるクルマの買取を専門としています。これらの業者はクルマを「中古車」として捉えず、「資源」や「部品」として扱います。 そのためクルマがどのような状態であっても、最低限の金属資源としての価値を保証してくれることが多く、買取価格が0円になることはほぼありません。廃車手続きの代行費用やレッカー代を無料にする業者が多いのも大きな魅力です。確実に値段をつけて引き取ってほしい場合には、もっとも頼りになる選択肢の1つです。 買取専門店 買取専門店は、中古車販売店やディーラーとは異なり、買取を専門に行っています。最大の特徴は、独自の多様な販売ルートを持っている点です。国内での再販はもちろん、海外への輸出、部品としての販売、オークションへの出品など、買い取ったクルマを最も高く売れるルートを確保しています。 これらの販路の中には、エンジンがかからないクルマに価値を見出すものが含まれていることがあります。日本では人気がなくても海外では絶大な需要がある車種や、特定の部品に価値がある希少なクルマは、不動車であっても驚くような高額査定が提示される可能性があるでしょう。 エンジンがかからない車でも買取される理由 クルマは数万点もの部品から構成される精密機械であり、動かなくなったとしても、その価値が完全に失われるわけではありません。専門業者が不動車を買い取るのには、明確な理由があります。エンジンがかからない車でも買取される理由について詳しく見ていきましょう。 部品や資源としての価値がある クルマには、再利用可能な価値ある部品が数多く搭載されています。エンジンの故障で不動車になったとしても、トランスミッションや足回りのパーツ、バンパーやドアといった外装部品、シートやカーナビなどの内装品は十分に使える状態かもしれません。これらの部品はリサイクルパーツとして取り外され、修理用の部品として販売されます。 特に、すでに生産が終了している旧車の純正部品は希少価値が高く、高値で取引されることもあります。全ての部品を取り外した後の車体も、鉄やアルミニウムなどの金属資源として価値を見出されることが少なくありません。 海外需要がある 日本車は、その品質の高さと耐久性から、世界中で非常に高い評価を受けています。日本では「古い」「走行距離が多い」といった理由で価値が低いと見なされるクルマでも、海外の国々、特に新興国では「まだまだ現役で走れる信頼性の高いクルマ」として、大きな需要があります。 エンジンがかからない状態であっても、現地の整備工場で安価に修理して再販できるため、買取業者は積極的に買い付けを行います。買取業者は独自の輸出ルートを持っており、どの国でどの車種が人気なのかを熟知しています。そのため、国内では価値がないと思われているような不動車でも、海外の需要を見越して想像以上の価格で買取してくれることがあります。 エンジン故障車の買取相場 エンジンがかからないクルマの買取価格は、車種や年式、走行距離、そしてクルマの状態によって大きく変動するため、相場を断定することは困難です。しかし、査定額を左右する要件と目安を知っておくことで、事前にある程度の対策ができるようになります。エンジン故障車の買取相場について詳しく見ていきましょう。 状態が良い場合の相場 不動車であっても、内装の状態が良く年式が新しいクルマは、ある程度高額の査定が期待できます。また、バッテリー交換や簡単な部品交換で直る程度の不動車であれば、修理費用が数万円程度に収まるため、こちらも比較的高い買取価格がつきやすいでしょう。 一方で、エンジン本体の載せ替えが必要になるような重度の故障は多額の修理費用がかかるため、買取価格は低くなる傾向にあります。 走行距離が長い場合の相場 走行距離が10万kmを超えているような過走行車のエンジンがかからない場合、国内での再販は難しいため、買取価格は低くなるのが一般的です。多くの買取店では、部品取り用あるいは海外への輸出を前提とした価格設定になるでしょう。 ただし、これも車種によります。例えば、耐久性に定評のあるランドクルーザーやハイエースといった車種は海外での需要が非常に高いため、エンジンがかからない過走行車であっても値段がつくでしょう。所有しているクルマが海外で人気のあるモデルかどうかで、買取相場は大きく変わります。 全く動かない車の相場 損傷や劣化が大きく、修理して再び走らせることが現実的ではないクルマの査定額は、主に部品や金属資源に基づいた金額となります。 この場合、廃車買取業者が主な買取先となり、数万円程度の買取になることが多いです。 ただし、希少なクラシックカーや限定モデルであれば話は変わります。コレクターや専門業者にとっては、レストア(復元)のベース車両や純正部品の供給源となるため、高い査定額がつくことがあります。 エンジンがかからない車を高く売るためのポイント 売却を諦めていたクルマに値段がつく可能性があると分かったら、次は「どうすれば少しでも高く売れるのか」を考えたいところです。エンジンがかからないクルマでも、次のポイントを押さえることで、査定額がアップする可能性があります。 車をきれいにして査定に出す 査定額を上げるためには、査定士にクルマを大切に扱ってきたという印象を与えることが重要です。ホコリまみれのクルマよりも、きれいに手入れされたクルマの方が、査定士の心証は格段に良くなります。 丁寧に扱われているクルマは、エンジン以外のパーツの状態も良好な可能性が高いため、プラス評価につながります。 複数業者に査定を依頼する 高価買取を実現するために効果的な方法の1つが、複数の買取業者に査定を依頼する相見積もりです。1社だけの査定では、適正な査定額を判断するのは困難です。 複数の業者に査定を依頼することで、業者間に競争が生まれます。他社の査定額を交渉材料に使い、より高い金額を引き出せる可能性があります。 特に、不動車の査定額は業者によって評価基準が大きく異なるため、廃車買取業者や買取専門店など、タイプが異なる複数の業者に見積もりを依頼した方がよいでしょう。 相場を把握して交渉に備える インターネットの一括査定サイトなどを利用し、自分のクルマがどのくらいの価格で取引されているのか、おおよその相場を把握してから査定に臨むことも大切です。もちろん、エンジンがかからない場合は、相場よりも大きく下がります。 しかし、ある程度の目安にはなるため、不動車であることを考慮しても相場よりも著しく安い査定額ではないかどうかを判断しやすくなります。 オプションをしっかり伝える クルマに取り付けられているオプションパーツも、査定額に大きく影響します。メーカー純正のナビゲーションシステムやサンルーフ、本革シートといった人気の高いオプションは、大きなプラス査定の対象になる傾向があります。 有名ブランドのアルミホイールやマフラー、エアロパーツといった社外品のパーツも、クルマ好きには評価されるポイントです。査定の際には、オプションやカスタムパーツの存在を忘れずに査定士にアピールしましょう。取り外して保管している純正パーツがあれば、それも一緒に提示するとさらに評価が上がることがあります。 まとめ エンジンがかからないというだけで、クルマの価値をゼロだと決めつけてしまうのは早計です。たとえ自走できなくても、部品や資源としての価値、あるいは海外での需要といった価値が眠っている可能性があります。 不動車は売却先によって、買取価格が大きく異なります。動かなくなったクルマの処分を検討する際には専門性の異なる複数の買取業者から見積もりを取得し、クルマの価値を高く適切に評価してくれる業者を選びましょう。

車の出張買取とは?利用する流れや注意点も解説
旧車の売買と鑑定市場 2025.10.03

車の出張買取とは?利用する流れや注意点も解説

クルマの売却を考えているものの、買取店まで出向くことが難しい場合は「出張買取」を利用する方法があります。 出張買取は、指定した時間と場所に鑑定士(査定士)が訪問してクルマを査定するサービスです。仕事や育児などで忙しい方や車検切れで走行できないクルマを売却したい人は、出張買取を活用するとよいでしょう。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、出張買取の仕組みや持ち込み査定との違い、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。 車の出張買取とは 出張買取とは、自宅や勤務先などの指定した場所に買取業者の鑑定士(査定士)が訪問し、クルマを査定してもらえるサービスのことです。 買取業者の店舗にクルマを持ち込まずに査定を受けられるだけでなく、提示された査定額に納得した場合はその場で契約を結ぶことも可能です。 見込み顧客を獲得する営業活動の一環として行われるサービスのため、多くの買取業者は出張料や査定料などを無料としています。査定額が希望と合わなければ、気兼ねなく断ることができます。 持ち込み査定との違い 出張買取と持ち込み査定の主な違いは「査定をする場所」です。査定額にはほとんど差がありません。 持ち込み査定の場合、業者の店舗で査定が行われるため、クルマを運ぶ必要があります。また、査定が終わるまで店舗で待たなければならず、予約なしで訪問したときは待ち時間が長くなることもあります。 一方の出張買取は、自身が指定した場所で査定が行われるため、店舗までクルマを運転する必要がありません。持ち込み査定よりも手間や時間はかかりませんが、査定してもらうための場所は自身で確保するのが一般的です。 出張買取が向いている人 クルマの出張買取は、自身が指定する場所で査定を受けて買い取ってもらえるため、以下のような方に向いています。 ・仕事や育児などで店舗へ行く時間を確保することが難しい人 ・車検切れや故障などでクルマを動かせない人 ・自宅の近くに買取業者の店舗がない人 ・運転免許を返納した高齢者や運転に自信がない人 車の出張買取のメリット クルマの出張買取には、以下の3つのメリットがあります。 店舗に行く手間が省ける 出張買取は、買取業者が自宅や勤務先などの指定した場所まで来てくれるため、クルマを店舗へ運ぶ手間や時間が一切かかりません。 買取店の営業時間を気にしたり店舗まで運転したりする必要がなく、都合のよい場所でクルマの査定や契約、引き渡しが完結できます。 「朝早くから夜遅くまで仕事が忙しい」「小さな子どもがいて外出が難しい」など時間的な制約がある方は、出張買取の利用がおすすめです。 複数業者の査定比較がしやすい クルマを少しでも高く売るためには、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をして結果を比較することが大切です。 複数の店舗にクルマを持ち込んで査定をしてもらう場合は手間と時間がかかりますが、出張買取であれば手軽に相見積もりができます。 同じ日時に複数の業者を呼んでクルマの査定を依頼すると、業者間の競争意識が働きやすくなり、より高い査定額を提示してもらいやすくなります。 車検切れや不動車にも対応できる 車検切れのクルマや事故・故障で動かなくなった不動車がよりスムーズに売却できる点も出張買取の強みです。 通常、車検切れのクルマはそのままでは公道を走行できないため、店舗へ持ち込むには仮ナンバーの取得が必要です。自走ができない不動車の場合はレッカー移動が必要になり、高額な費用が発生することもあります。 出張買取であれば買取業者にクルマを引き取ってもらえるため、仮ナンバーの取得やレッカー移動が不要であり、それらの費用もかけることなく売却ができます。 車の出張買取のデメリット 出張買取は便利なサービスですが、以下のようなデメリットもあります。 事前予約が必要 出張買取は、事前に買取業者とスケジュールを調整し、予約を取る必要があります。持ち込み査定のように、思い立ったその日にクルマを査定してもらうことは困難です。 また、複数の業者に相見積もりをしてもらう場合は、各社と訪問日や時間を調整する必要があり、手間がかかります。 出張買取を利用する場合は、スケジュールに余裕を持って申し込みましょう。 成約を断りづらい場合がある 出張買取は、申し込んだ人が指定する場所まで鑑定士(査定士)が時間やガソリン代、電車代などの交通費をかけて訪問してくれます。 そのため、査定額が希望に満たなかったとしても「わざわざ来てもらったのに断るのは申し訳ない」と感じて断りづらくなる場合があります。 しかし、出張査定は買取業者の営業活動の一環であるため、断っても問題ありません。他社の査定額と比較して検討したいときやクルマを売却すべきか悩んでいるときは、その旨をはっきりと伝えましょう。 トラブルや減額リスクに注意 出張買取では、契約後に査定額を下げられる「二重査定」により、買取業者とトラブルが起こることがあります。 二重査定とは、クルマを売却する契約を結んだ後に「査定時には見つからなかった不具合があった」などと理由をつけて一方的に買取価格を引き下げる手口のことです。 二重査定によるトラブルを防ぐためには、クルマのキズや不具合、修復歴などを正直に申告することが大切です。また、契約書に「車輌の引き渡し後に減額請求は行わない」といった趣旨の記載があることをよく確認し、二重査定を行わない業者を選びましょう。 出張買取の流れと利用方法 クルマの出張買取を利用する流れは以下のとおりです。 1.査定を申し込む 2.訪問日程を調整する 3.必要書類を準備する 4.クルマを査定してもらう 5.契約を結ぶ 6.車輌・書類を引き渡す 7.買取金額の入金を確認する   各手順について1つずつ解説します。 1.査定を申し込む 買取業者の公式サイトや一括査定サイト、電話などで出張査定を申し込みます。 インターネットで申し込む場合、車種や年式、走行距離といった車輌の情報、氏名や住所、連絡先などの個人情報を入力することになるため、自動車検査証(車検証)を手元に用意しておくとスムーズです。 2.訪問日程を調整する 査定の申し込みが完了すると、買取業者の担当者から電話やメールで連絡が入ります。その際に、鑑定士(査定士)に訪問してもらう日時や場所を調整します。 買取業者によっては、このタイミングでおおよその買取価格を教えてもらうことも可能です。 3.必要書類を準備する 出張買取の日程が決まったら、クルマの売却時に必要となる書類を準備しておきましょう。 自動車検査証のみでも査定を受けることはできますが、必要書類を準備していれば、査定当日に契約とクルマの引き渡しまで済ませることも可能です。 必要書類は、普通自動車と軽自動車で異なります。 書類名 普通自動車 軽自動車 自動車検査証(車検証) 〇 〇 自動車税納税証明書 〇 〇 自賠責保険証 〇 〇 リサイクル券 〇 〇 印鑑登録証明書 〇 △※1 実印 〇 △※1 認め印 × 〇 譲渡証明書※3 〇 × 委任状※3 〇 × 住民票 △※2 △※2 ※1:原則として不要だが、買取業者によっては本人確認のために提出を求められる場合がある ※2:車検証に記載されている住所や姓、所有者などが売り手の実情とは異なる場合に必要 ※3:譲渡証明書及び委任状は買取業者が用意してくれるケースがほとんど   必要書類は買取業者によって異なる場合があるため、日程調整の際に準備すべきものをよく確認しておきましょう。 4.クルマを査定してもらう 査定当日になると、事前に決めた日時と場所に買取業者の鑑定士(査定士)が訪問してクルマの状態を確認し、買取金額を算出します。 30分〜1時間程度が目安ですが、査定額の説明や契約に関する相談なども合わせると1時間程度はみておきましょう。 また、査定中は原則として所有者の立ち会いが必要です。鑑定士(査定士)からクルマの状態について質問されたときは、正直に答えましょう。 5.売買契約を結ぶ クルマの査定が終わり、提示された金額と売却条件に納得できたら売買契約を結びます。 契約を結ぶ際は、契約書の隅々にまで目を通し、記載内容をよく理解することが大切です。 特によく確認したい内容は以下のとおりです。   ・売買契約書にある合計金額は査定額と一致しているか ・自動車税、自賠責保険料、リサイクル料金などの未経過分の返金方法や返金の有無 ・買取金額の支払時期と支払方法 ・車種や年式、グレードなどの車輌情報は正しく記載されているか ・クルマの引き渡し後に買取金額が減額されることがあるか   不明点や疑問点があれば必ずその場で質問し、解消したうえで契約を結びましょう。 6.車輌・書類を引き渡す 売買契約を締結したら、車輌本体と必要書類を業者に引き渡します。引き渡し日は、契約時に業者と相談して決めます。 クルマを引き渡すときは、座席の下やグローブボックス、トランクなどに私物が残されたままになっていないかよく確認しましょう。 また、個人情報の漏洩を防ぐために、カーナビのデータはすべて削除するか初期化し、SDカードやUSBメモリーなどの記憶媒体は取り外すことをおすすめします。 7.買取金額の入金を確認する 車輌本体と書類の引き渡しが完了した後、通常は3営業日から1週間程度で指定した銀行口座に買取金額が振り込まれます。 契約書に記載された期日までに買取金額が適切に振り込まれていることが確認できたら、取引完了です。 出張買取を利用するときの注意点 出張買取の際、鑑定士(査定士)はクルマの外装や内装、エンジンルームなどを隅々まで確認するため、一定のスペースを確保する必要があります。 狭いガレージや機械式立体駐車場などにクルマを駐車している場合は、事前に買取業者と相談し、近隣のコインパーキングなどを借りる必要があるか確認しましょう。 また、買取業者によっては出張料や搬出料などがかかることもあるため、出張買取を申し込む際に料金体系をよく確認することもおすすめします。 出張買取で高額査定を狙うコツ 出張買取で高額査定を狙うためのポイントは以下のとおりです。   ・点検整備記録簿を準備する ・純正パーツを揃えておく ・売却予定のクルマと同じ車種の買取が得意な業者を選ぶ   査定の際に、点検や整備の履歴がわかる「点検整備記録簿」を提示すると、クルマが定期的にメンテナンスされてきたことを証明でき、より査定額が高くなる可能性があります。 車種や年式、グレードなどが同じであっても、買取業者によって査定結果が異なることがあります。出張買取を依頼するときは、売却を予定しているクルマと同じモデルを専門的に買い取る業者を選ぶとよいでしょう。 まとめ 出張買取を利用すると、店舗に行く手間を省くことができ、複数の業者の査定結果も比較しやすいため、より手軽に高値でクルマを売却することが可能です。 一方で、事前に予約が必要であり、当日に訪問してもらうことは難しい場合があります。また、契約後に買取価格を不当に引き下げる「二重査定」によるトラブルが発生するケースもあるため、安心して任せられる業者を選ぶことが重要です。  

車検切れの車も買取ってもらえる?可能な理由や売る方法を解説
旧車の売買と鑑定市場 2025.09.25

車検切れの車も買取ってもらえる?可能な理由や売る方法を解説

車検が切れてしまったクルマは、そのままでは公道を走行できませんが、中古車買取店に買い取ってもらうことは可能です。 査定額が大幅に下がるケースも基本的にはなく、むしろ費用をかけて車検を通したうえで売却するほうが損をする場合もあります。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、車検切れのクルマでも買い取ってもらえる理由や売却方法、必要書類などについて詳しく解説します。 車検切れでも買取可能な理由 車検が切れていても、クルマを買い取ってもらうことは可能です。買取業者は、以下のように買い取ったクルマで利益を出すためのさまざまな方法を持っているためです。   ・自社工場や提携工場で車検を通して国内で再販売する ・業者向けのオートオークションで転売する ・日本車の人気が高い海外へ輸出する   クルマを買い取った時点で車検が残っていたとしても、販売している間に切れてしまうことも珍しくありません。たとえ切れたとしても、買取業者によっては自社工場や提携工場で費用を抑えて車検を通すことができます。 また、車検は日本の制度であるため、買い取ったクルマを海外に輸出するのであれば、車検切れは問題になりません。 以上の点から、車検切れのみを理由にクルマの買取そのものが拒否されることはほぼないのです。 車検切れが査定額に与える影響 中古車の査定額は、車種、年式、走行距離、内外装の状態などクルマが持つ本来の価値によって決まります。 車検が切れていても、クルマそのものの価値が大幅に減るわけではないため、買取価格が著しく安くなる心配はないといえます。 車検切れの車を売る方法 車検が切れたクルマを売却する方法は「出張査定を利用する」「仮ナンバーを取得して持ち込む」「個人売買で売却する」の主に3つです。それぞれの特徴は以下のとおりです。 出張査定を利用する 出張査定は、自宅や勤務先などの指定する場所に査定士が訪れて、クルマを査定するサービスです。査定料金は基本的に無料であり、査定額に合意した場合はその場で売買契約を結ぶこともできます。 車検が切れているクルマは、そのままでは公道を運転できないため、買取業者の店舗に持ち込んで査定を受けられません。売却の際は、店舗に運び込む必要がなく費用もかからない出張査定を利用するとよいでしょう。 仮ナンバーを取得して持ち込む 仮ナンバー(自動車臨時運行許可番号標)を取得すると、車検切れのクルマでも公道を走行できるようになるため、買取店に持ち込んで査定してもらえます。 仮ナンバーを取得するためには、市区町村役場の窓口で申請手続きが必要です。申請時に必要なものは以下のとおりです。   ・自動車臨時運行許可申請書 ・自動車損害賠償責任保険証明書の原本 ・自動車を確認できる書類の原本(自動車検査証や登録識別情報等通知書などから1点) ・本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など) ・手数料(一般的に750円)   「自賠責保険」の有効期限が切れている場合は、事前に保険会社で再加入の手続きが必要であり、その際に保険料を支払います。 また、仮ナンバーで走行できるのは、申請時に許可されたルートのみであり、有効期間も5日が上限です。申請手続きに手間がかかるうえに制限もあるため、仮ナンバーを取得して買取店に査定してもらうのはあまり現実的な方法ではないといえます。 個人売買で売却する 個人売買は、友人や知人、親族などの個人にクルマを直接売る方法です。買取業者の利益や手数料などの中間マージンが発生しない分、より高値で売却できる可能性があります。 ただし、普通自動車は、車検が切れた状態では名義変更(移転登録)の手続きができません。そのため、売却前に元の所有者の名義で車検を受ける必要があります。 売買契約書の作成や名義変更手続きなどもすべて当事者が行うため、「代金が支払われない」「クルマの名義が一向に変更されない」など、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。 車検切れの車を売る際の注意点 車検切れのクルマを売却する際は、法的な処罰の対象となったり、経済的に損失を負ったりする事態を避けるためにも、以下3つの注意点を押さえましょう。 無車検運転・無保険運行に注意 車検が切れた状態で公道を運転すると「無車検運行」として処罰の対象となります。 また、車検が切れている場合、自賠責保険の保険期間も終了しているケースがほとんどです。自賠責保険が無効な状態で公道を走行することは「無保険運行」という法律違反です。 無車検運行と無保険運行の罰則は以下のとおりです。   違反点数・罰則 無車検運行 違反点数6点 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 無保険運行 違反点数6点 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 両方に違反 違反点数6点 1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金 過去3年間の違反点数が累積で6〜8点の場合、30日間の免許停止となり、その期間が終わるまでクルマを運転することはできません。 懲役刑または罰金の対象となる可能性もあるため、少しの距離であっても車検切れのクルマを運転することは避けましょう。 車検を通してから売却するのは損になることがある 車検を受ける場合、車検基本料や法定費用、整備費用などをあわせると10万円前後の費用がかかります。車検を通したとしても、かけた費用を上回る分だけ査定額が増えることはほとんどありません。 査定額の増加分が車検費用を下回って損をする場合も多いため、基本的には車検を通さずに売却したほうがよいといえます。 できるだけ早く売却したほうがよい クルマの資産価値は、時間の経過とともに下落するのが一般的です。特に、年式が古い車種や新しいモデルが登場して型落ちとなった車種は、需要の低下により買取価格が大きく下がる可能性があります。 また、車検切れのクルマを長期間動かさずに放置すると、エンジンやバッテリー、タイヤ、ブレーキなどの劣化が進み、さらに価値が低下する要因となります。 車検切れのクルマを今後も使用する予定がない場合は、価値が大きく下がる前にできるだけ早く売却するとよいでしょう。 車検切れ車の売却に必要な書類 クルマをスムーズに売却するためには、必要書類を事前に準備することが大切です。また、普通自動車と軽自動車では、売却時の必要書類が異なります。以下で詳しく解説します。 普通自動車の必要書類 普通自動車を売却する際の必要書類や準備すべきものは以下のとおりです。   ・自動車検査証(車検証) ・自動車税納税証明書 ・自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証) ・リサイクル券 ・印鑑登録証明書 ・実印 ・譲渡証明書(クルマが新しい所有者に譲渡されたことを証明する書類) ・委任状(クルマの売却に関する手続きを委託するための書類) ・住民票(車検証に記載されている住所や姓、所有者などが売り手の実情とは異なる場合に必要な書類)   普通自動車を売却して所有者が変わったときは、運輸局で名義変更の手続きをします。名義変更の際は、譲渡証明書や委任状などの書類が必要となります。 また、譲渡証明書や委任状に実印を押すため、通常は発行から3ヶ月以内の印鑑証明書が2枚必要です。 軽自動車の必要書類 軽自動車を売却する際の必要書類は以下のとおりです。   ・自動車検査証(車検証) ・軽自動車税納税証明書 ・自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証) ・リサイクル券 ・認め印(シャチハタは不可) ・自動車検査証記入申請書 ・住民票(車検証に記載されている住所や姓、所有者などが売り手の実情とは異なる場合に必要)   軽自動車の場合、所有者が変わったときは軽自動車検査協会へ届け出をします。普通自動車に比べて手続きは簡素化されており、認め印で名義変更の手続きができるため、売却時に実印や印鑑証明書は原則として不要です。 ただし、本人確認のために実印と印鑑証明書を求める買取業者もあるため、事前に準備すべきか確認することをおすすめします。 車検切れ車を高く売るためのポイント 車検切れのクルマは、以下のポイントを押さえることでより高く売却することは可能です。 複数業者で査定を比較する 車検切れのクルマを売却するときは、複数の買取業者の査定額を比較するとよいでしょう。 業者ごとに得意な車種や買い取ったクルマの販売網などが異なるため、同じ車種であっても査定額が大きく変わることは珍しくありません。 複数の買取業者にクルマの査定を依頼し、結果を比較することで、より高値で売却できる可能性があります。 状態が悪化する前に売却する 車検が切れていると、長時間動かさないことにより、劣化が進行してクルマの状態が悪化し、査定額が下がる可能性があります。 特に、エンジンや駆動系、ブレーキシステムなどクルマにとって重要な部品にトラブルが生じていると、査定額が大きく下がってしまいかねません。 再び車検を通してクルマを使用する可能性がない場合は、状態が悪化して査定額が下がる前に売却することをおすすめします。 その車種の買取が得意な業者に売却する クルマを売却するときは、その車種の買取が得意な業者を選ぶことが大切です。専門知識や経験などをもとに売却予定のクルマが持つ本来の価値を見抜き、より高い買取額を提示してもらえる可能性があります。 特に、旧車やスポーツモデルなどは、一般的な買取店と専門店で査定額に大きな差が出ることがあります。 車検が切れているクルマが販売開始から10年以上経過している場合は、旧車の買取を専門とする「旧車王」にご相談ください。旧車の知識が豊富なスタッフが愛車を適切に鑑定し、納得の査定額を提案いたします。 まとめ 車検が切れたクルマの買取が拒否されることはなく、買取価格が大きく下がることも基本的にはありません。 ただし、車検切れの状態で公道を走行することは法律違反であり、時間の経過とともにクルマの価値は下がります。将来的に利用する予定がないクルマがある場合は、早急に売却するとよいでしょう。

2026年7月にヴェロッサが25年ルール解禁!今後値上がりする?
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.17

2026年7月にヴェロッサが25年ルール解禁!今後値上がりする?

2026年7月に、トヨタ ヴェロッサが25年ルール解禁となります。2001年から2004年にかけて販売されたスポーツセダンであるヴェロッサは、25年ルールの解禁に伴い中古車価格が注目される可能性があります。 今回は、ヴェロッサの25年ルール解禁の背景と、モデルの魅力について解説します。今後の動向の参考としてぜひ役立ててください。 2026年7月にヴェロッサが25年ルール解禁! 2026年7月に、トヨタ ヴェロッサの25年ルールが解禁されます。ヴェロッサは2001年7月から2004年4月にかけて販売された、トヨタのスポーツセダンです。 ヴェロッサは、マークⅡ三兄弟(マークⅡ、チェイサー、クレスタ)の後継車種として位置づけられており、特に若い世代に向けたスポーティなデザインと高い走行性能が特徴でした。生産期間が約3年と短く、現在では希少なモデルとなっているため、25年ルールの解禁によってアメリカの日本車ファンからの注目が集まることが予想されます。 そもそも25年ルールとは? 25年ルールとは、製造から25年以上経過した右ハンドルのクルマをアメリカ国内にそのまま輸入できる法律の例外にあたる特別ルールのことです。 アメリカでは、原則として右ハンドル車を輸入できません。つまり、日本車やイギリス車などをそのまま輸入できないのです。しかし、製造から25年が経過したクルマであれば、クラシックカーとしての登録が可能となるため、右ハンドル車をそのまま輸入できるようになります。 アメリカ市場では日本車の人気が高く、日本車仕様にカスタマイズして乗る方やオリジナルの状態で乗りたいと考えている方が多く存在します。そのため、アメリカの日本車愛好家にとって、25年ルール解禁はまさに待ち望んでいた機会なのです。 ▼詳しくはこちらアメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ 25年ルール解禁でヴェロッサは値上がりする? 25年ルールの解禁により、ヴェロッサの中古車価格に変化が生じる可能性があります。ただし、他の人気車種と比較すると、極端な値上がりは期待できないでしょう。 ヴェロッサは、わずか3年で製造・販売が終了した希少なクルマです。現在市場に流通している個体数が限られているため、コンディションのよい個体においては一定の需要が見込まれるでしょう。また、トヨタのスポーツセダンとして洗練されたデザインと優れた走行性能を兼ね備えているため、アメリカの日本車愛好家の注目を集める可能性があります。 一方で、スカイラインGT-Rやランサーエボリューションといった有名スポーツカーと比較すると、海外での認知度や人気はやや控えめです。そのため、値上がりの幅は他の人気車種ほど大きくない可能性もあります。 25年ルールが解禁されるヴェロッサの魅力 ヴェロッサの魅力は、高級セダンとしての上質感とスポーティな走行性能を両立している点です。エクステリアは、流麗で洗練されたデザインが特徴で、当時としてはモダンで先進的なスタイリングを採用していました。 エンジンラインナップには、2.5L 直列6気筒(1JZ-GTE型、1JZ-FSE型)2.0L 直列6気筒(1G-FE型)が設定されていました。特に1JZ-GTEエンジンを搭載したモデルは、最大出力280psを発生し、セダンでありながらスポーツカーに匹敵する加速性能を誇りました。また、トヨタの先進技術であるVVT-i(可変バルブタイミング機構)を採用し、高い走行性能と安定性を実現しました。 インテリアについても、高品質な内装材を使用し、プレミアムセダンにふさわしい上質な空間を演出しています。また、当時の最新装備であるDVDナビゲーションシステムやプレミアムサウンドシステムなども採用されており、快適性と利便性を高いレベルで両立していました。 ヴェロッサ以外で2026年に25年ルールが解禁される車種一覧 2026年は、ヴェロッサ以外にも注目すべき車種が25年ルール解禁を迎えます。それぞれの解禁時期は以下のとおりです。 ・アレックス(1月)・2代目イプサム(5月)・アルテッツァジータ(7月)・3代目ウィンダム(8月)・アリオン(12月) まとめ 2001年から2004年にかけて販売・製造されたトヨタのスポーツセダン、ヴェロッサが2026年7月に25年ルール解禁を迎えます。希少性の高さと、高級セダンとしての上質感、そしてスポーティな走行性能を兼ね備えたヴェロッサは、一定の需要が見込まれるモデルといえるでしょう。 加えて、魅力的な日本車が続々と25年ルール解禁を迎える2026年は、日本の旧車市場にとって大きな転換点となる可能性があります。ヴェロッサをはじめとする対象車種の売却をご検討の方は、市場動向を注視しながらタイミングを見極めることをおすすめします。 納得のいく価格で旧車を売却をしたい方は、ぜひ旧車王にご相談ください。20年以上の実績と累計買取件数1万5,000件を突破した経験豊富な専属鑑定士が、おクルマの真の価値を見極め高額買取を実現いたします。

2026年8月に3代目ウィンダムが25年ルール解禁!今後値上がりする?
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.16

2026年8月に3代目ウィンダムが25年ルール解禁!今後値上がりする?

2026年8月に、トヨタの高級セダン・ウィンダムの3代目モデルが25年ルール解禁を迎えます。北米では「レクサスES」として販売され、高い評価を得た3代目ウィンダムは、日本国内では知る人ぞ知る上質なプレミアムセダンとして位置づけられていました。25年ルール解禁により、この隠れた名車がアメリカ市場で再評価される可能性があります。 今回は、3代目ウィンダムの魅力と、今後の市場動向について詳しく解説します。 2026年8月に3代目ウィンダムが25年ルール解禁! 2026年8月に、3代目ウィンダムの25年ルールが解禁されます。3代目ウィンダムは2001年から2006年にかけて製造されたトヨタのセダンの1つで、当時の最新技術を結集したプレミアムモデルでした。 特筆すべきは、この3代目ウィンダムが北米市場では「レクサスES300」として販売されていた点です。レクサスブランドでの販売により、アメリカでは既に高い認知度と評価を得ており、日本仕様の右ハンドルモデルに対する潜在的な需要が存在すると考えられます。 そもそも25年ルールとは? 25年ルールは、製造から25年以上経過した右ハンドルのクルマをアメリカ国内にそのまま輸入できる法律の例外にあたる特別ルールです。アメリカでは原則として右ハンドル車を輸入できませんが、製造から25年が経過したクルマであれば、クラシックカーとしての登録が可能となります。 つまり、日本で販売されていたオリジナルの仕様のまま、アメリカに日本車を輸入できるようになるのです。 ▼詳しくはこちらアメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ 25年ルール解禁で3代目ウィンダムは値上がりする? 3代目ウィンダムの25年ルール解禁による価格変動については、慎重にチェックしていく必要があります。 確かにアメリカでレクサスESとして親しまれていたモデルであることから、一定の需要は期待できるでしょう。特に、日本独自の装備や仕様を持つグレードについては、コレクターからの注目を集める可能性があります。 しかし、3代目ウィンダムはスポーツカーではなく高級セダンという性格上、R34スカイラインGT-Rやランサーエボリューションのように劇的に価格が高騰することはないかもしれません。また、中古車価格は需要と供給のバランス、個体の状態、装備内容などによって決まります。そのため、すべての3代目ウィンダムが必ず値上がりするとは言い難い状況です。 25年ルールが解禁される3代目ウィンダムの魅力 3代目ウィンダムの最大の魅力は、トヨタが誇る上質な乗り心地と洗練されたデザインを両立している点です。搭載される3.0L V6エンジン(1MZ-FE)は最大出力210ps、最大トルク30.5kg・mを発生し、高級セダンにふさわしいスムーズで力強い走りを実現しました。 内装においては、革シート(オプション)やウッドパネルを採用し、トヨタの技術力を結集した快適装備が満載でした。 さらに、北米市場でレクサスブランドとして販売されていたという事実は、その品質の高さを物語っています。静粛性、乗り心地、信頼性といった高級セダンに求められる要素をバランスよく備えており、日本の自動車技術の粋を集めたモデルとして評価されています。 3代目ウィンダム以外で2026年に25年ルールが解禁される車種一覧 2026年は、3代目ウィンダム以外にも注目すべきモデルが25年ルール解禁を迎えます。それぞれの解禁は以下のとおりです。 ・アレックス(1月)・2代目イプサム(5月)・アルテッツァジータ(7月)・ヴェロッサ(7月)・アリオン(12月) まとめ 2001年から2006年にかけて製造された3代目ウィンダムが、2026年8月に25年ルール解禁を迎えます。北米でレクサスESとして親しまれていた背景から、アメリカ市場での一定の需要が期待される一方、全体的な価格高騰の可能性は低く、状態のよい個体や希少グレードに定した価値上昇が予想されます。 3代目ウィンダムの売却をご検討の方は、旧車専門の買取業者である旧車王にぜひご相談ください。専属鑑定士による適正“鑑定”により、お客様のウィンダムの真の価値を見極めます。

2021年5月にステップワゴンが25年ルール解禁!今後値上がりする?
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.13

2021年5月にステップワゴンが25年ルール解禁!今後値上がりする?

2021年5月に、ホンダ ステップワゴンが25年ルール解禁となりました。ファミリーカーとして絶大な人気を誇るステップワゴンは、25年ルールの解禁により中古車価格に変動が生じる可能性があります。 今回は、ステップワゴンの25年ルール解禁の背景と、クルマとしての魅力について詳しく解説します。 2021年5月にステップワゴンが25年ルール解禁! 2021年5月に、初代ステップワゴン(RF1・RF2型)の25年ルールが解禁されました。 初代ステップワゴンは1996年5月から2001年まで製造されたホンダのコンパクトミニバンです。優れた居住性と使い勝手のよさで、日本のファミリー層に長年愛され続けてきました。25年ルールの解禁により、アメリカの日本車ファンがついに本格的な日本仕様のコンパクトミニバンを手に入れることができるようになったのです。 そもそも25年ルールとは? 25年ルールとは、製造から25年以上経過した右ハンドルのクルマをアメリカ国内にそのまま輸入できる法律の例外にあたる特別ルールのことです。 アメリカでは、原則として右ハンドル車の輸入が禁止されているため、日本車やイギリス車などをそのまま輸入できません。しかし、製造から25年が経過したクルマであれば、クラシックカーとしての登録が可能となります。この例外のルールにより、右ハンドル車である日本車をそのままの仕様で輸入できるようになるのです。 ▼詳しくはこちらアメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ 25年ルール解禁でステップワゴンは値上がりする? 25年ルール解禁により、ステップワゴンの中古車価格は変動する可能性がありますが、スポーツカーのような劇的な高騰にはならないでしょう。 ステップワゴンはファミリーカーとして実用性重視で開発されており、コレクター性やスポーツ性を求める層よりも、実用性を重視するユーザーから支持されやすいクルマです。アメリカでは大型SUVやミニバンが主流のため、コンパクトミニバンの需要は限定的かもしれません。 ただし、日本車の高い品質と燃費性能、そして独特のパッケージングに興味を持つアメリカのユーザーから注目を集める可能性はあります。特に状態のよい個体や、アメリカでは珍しい装備を持つグレードについては、一定の価格上昇が期待できるでしょう。 25年ルールが解禁されるステップワゴンの魅力 ステップワゴン最大の魅力は、コンパクトなボディサイズでありながら広い室内空間を実現した革新的なパッケージングです。全長約4,600mm、全幅約1,700mmというサイズに対して、3列シートの8人乗りを可能にした設計は、当時の日本の道路事情と駐車場事情を考慮した傑作といえます。 初代ステップワゴンには2.0L直列4気筒のB20B型エンジンが搭載されており、最大出力125ps、最大トルク18.5kg・mを発揮。ミニバンとしては十分なパワーを持ちながら、優れた燃費性能を実現していました。さらに、低床設計により乗り降りがしやすく、お年寄りや小さなお子様でも安心して利用できる設計となっています。 シートアレンジの豊富さも大きな魅力で、2列目・3列目シートを格納すれば広大なカーゴスペースを確保でき、アウトドアや引っ越しなどさまざまなシーンでの活用が可能です。 ステップワゴン以外で2021年に25年ルールが解禁された車種一覧 2021年は、ステップワゴン以外にも注目すべき日本車が25年ルール解禁を迎えました。それぞれの解禁月は以下のとおりです。 ・ウイングロード(5月)・3代目シーマ(6月)・ランサーエボリューションⅣ(8月)・8代目ギャラン(8月)・チェイサー100系(9月)・レグナム(9月)・ステージア(10月)・ロゴ(10月)・5代目プレリュード(11月)・S-MX(11月) まとめ 1996年5月から製造されたステップワゴンが、2021年5月に25年ルール解禁となりました。ファミリーカーとして多くの家庭に愛されたステップワゴンは、コンパクトなボディに広い室内空間を実現した革新的なパッケージングが最大の魅力です。 25年ルール解禁により、ステップワゴンのアメリカでの輸入が可能となりました。スポーツカーのような劇的な価格高騰は考えにくいものの、日本車の高い品質と実用性に注目が集まることで、一定の価格上昇は期待できるでしょう。 年式の古いステップワゴンをはじめとする旧車の売却をご検討中の方は、旧車王にご相談ください。10年以上経過した古いクルマを専門とした買取サービスで、プロの鑑定士が丁寧にお客様の愛車を“鑑定”いたします。

いま、ネオクラシックカーを初めて手に入れたいと考える人が知るべき『5つの覚悟』とは?
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.13

いま、ネオクラシックカーを初めて手に入れたいと考える人が知るべき『5つの覚悟』とは?

現在、さまざまなジャンルでレトロブームが起きている。昭和の雰囲気で作られたテーマパークや今も当時の面影が残る街並み、雑貨や家電といったアイテムが対象だ。その時代を過ごした世代には懐かしく、知らない世代には新鮮に映る点が魅力となっている。 もちろんクルマもその対象に入る。例えば、現在は衝突安全性の点から採用がされない、窓部分に柱のない「ピラーレスハードトップ」などのデザインが新しく見えるそうだ。 しかし、本格的なクラシックカーは、利便性の点で手を出しづらい。そのため、人気となっているのは、80~90年代に販売された「ネオクラシックカー」と呼ばれているモデルたちだ。 これらのモデルは、クラシックカーよりも扱いやすく、見た目も近代的、日常的にも使用可能な点が魅力となっている。当時欲しくても若さゆえに手に入れられなかった世代、幼少期に自宅で乗っていた思い出を持つ世代、親のアルバムやアニメ、映画から憧れを持つ世代と多彩だ。 今回「ネオクラシックカー」と呼ばれる世代のモデルに乗るうえで、事前に理解してもらいたい「覚悟」について、この年代のクルマを所有するオーナーの目線から紹介したいと思う。 ■1:車輌価格の高騰  現在の「ネオクラシックカー」の中古車価格は総じて高値となっている。 特にスポーツカーは、映画やマンガ、アニメの影響もあって人気モデルばかりだ。特に日本のみで販売されていたモデルはどれもプレミア価格だ。その理由のひとつには、アメリカへの輸出がある。以前は、右ハンドルの日本車をアメリカに持ち込んで乗ることは、多くの試験をパスした場合でのみしか許可が得られなかった。 しかし「25年ルール」と呼ばれる、日本での新車登録後25年経過した車輌は、以前のような試験を行わずアメリカで乗ることが可能となり、25年経過した日本車の多くがアメリカへ輸出されはじめた。 また、映画に登場したことで、アメリカのカーマニアに「スカイラインGT-R」の存在が知られることになった。彼らも日本のカーマニア同様、他の人とは違うクルマに乗りたいと思う気持ちは、よくわかる。そのため、国内から台数が減ったこと、世界的需要が発生して価格は上がったことを理解してもらいたい。 また、2009年に新車への乗り換え促進を目的に行われたエコカー補助金も高騰の要因のひとつだ。新車への買い替えのため、当時市場価値がないとされたクルマの多くが、補助金と引き換えに廃車となったことで、現存数が減ったことにより価格の上昇が起きている。 ■2:部品の供給 自動車メーカー各社で考え方は異なるが、共通しているのは「古くなった現存数が少ないモデルの部品は製造終了」という点だ。 メーカーは常に新しいクルマを開発、生産している。そのため、古いクルマの部品との入れ替えで新しいクルマの補修部品を保管することは致し方ないところ。 そのため、古いクルマの場合人気モデルだとしても、めったに注文が来ない物、場所を取る大型部品は廃止されてきた。 ただ、汎用の利く部品は部品メーカーからも発売されており、特定の車種を多く扱う専門店では、独自に対応品を製作していることもある。 自動車メーカーでも「ヘリテージパーツ」として、現在所有しているオーナー向けに復刻版の純正部品をリリースする流れも起こっている。 また、先に触れたように人気モデルが海外へ輸出されていることにより、海外メーカーが現地で、新たなオーナー向けに部品を製造しているケースも起こっている。この点については、日本で同車種を乗っている場合、助かるだろう(その代わり、輸送や関税コストは掛かるが)。 ■3:主治医探し 自身ですべてのメンテナンスを行える人は少なく、やはりかかりつけの主治医がいるかは、旧車ライフを過ごすうえで重要なこととなる。 先に述べたように、特定の車種について深い知識と経験を持つ専門店はある。そこでは、その車種のウィークポイントを押さえており、対策方法も熟知しているケースが多い。 もし、欲しい車種の専門店がある場合は、そのお店で販売されているクルマを購入することも手ではある。お店としても履歴を把握しているため、今後のメンテナンスの相談がしやすい点がメリットとなる。 その他には、インターネットでの情報収集を行い、同車種に乗っている先輩オーナーの主治医を紹介してもらうことや、車種を問わず、ネオクラシックカーを得意とする整備工場を探すのも重要といえる。 ■4:維持費 自動車を持つことは、維持費がかかり続けることになる。それは大なり小なり、新車はもちろん旧車でも発生する。しかし、ナンバーを付けずにガレージに飾り楽しむ場合は、税金や保険代、車検代はかからない。 とはいえ、やはり愛車を走行可能な状態にしたくなるのが、多くのクルマ好きの性ではないだろうか。新しいクルマと比べた場合、ネオクラシックカーは自動車税と重量税が増税されている。具体的には、自動車税は初年度登録から13年超えた場合、概ね15%の重課税。車検のタイミングでかかる重量税は、0.5tごとに4,100円のところ13年経過5,700円(+39%)、18年経過6,300円(+54%)とパーセンテージで表されると驚くほどの重課率となることを覚悟しなくてはならない。 ただ任意保険は、ネオクラシックカーとなったモデルでは以前よりも安くなっていることもある。それは、以前よりも大切に乗られるようになったことで、事故の発生率が低くなり、安くなっているケースもあるからだ。車輌保険に関しては加入できるケースとできないケースがあり、まちまちだ。可能であれば、同じクルマを所有する仲間に聞いてみるといいだろう。思わぬ解決方が見つかることもある。 ■5:予期せぬトラブル ある程度車齢が経つと、予想外のトラブルも発生するもの。予防整備をしていれば防げることもあるが、新車のように完璧にはならないものだ。 筆者の友人が走行距離が少ないネオクラシックカーを購入した。しばらく車検が切れていた車輌だったため、車検の合格に必要な整備を行った状態で納車されたが、やはりトラブルが発生した。原因は燃料ポンプとオルタネーターの不良だ。どちらもクルマを動かすための、重要な電装パーツである。電装パーツは目視での劣化が分からず、故障発生のタイミングが掴みづらい。事前に交換しておくことがベストではあるが、都合よくいかないものだ。そのため、突然のトラブルにも対応できる、レッカーサービスが付帯している保険など、備えておくことが重要だ。 ■まとめ:覚悟していれば楽しめる!? 今回「覚悟」という少々脅迫めいた不安にさせるような単語を用いた。 憧れのネオクラシックカーに触れるにあたり「後悔」や「嫌な」思い出になることを避けてもらいたい願いがある。事前の心構えがあれば、少しの逆風ぐらいならば動じずに済むことができると思う。 「覚悟」を決め是非ネオクラシックカーライフをはじめてみよう。そこには、抱いていた不安を忘れる以上に充実した楽しいカーライフが待っているに違いない。 [画像・日産, Adobe Stock、ライター・カメラ / お杉] 

廃車証明書とは?いつ・どこで・何に使うか解説
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.12

廃車証明書とは?いつ・どこで・何に使うか解説

クルマを廃車にする際「廃車証明書って具体的に何?」「どんな書類が必要になる?」と疑問を感じる方は多いでしょう。証明書の種類や役割を理解せずに手続きを進めると、自動車税の還付や保険の解約手続きで必要な書類を受け取れず、金銭的な損失を招く可能性があります。 本記事では、廃車証明書の中身から発行方法、紛失時の対応方法まで詳しく解説します。 廃車証明書とは 廃車証明書は、普通自動車か軽自動車かを問わず、クルマの廃車手続きが正式に完了したことを公的に証明する書類の総称です。下記のように分類されます。 (普通自動車用書類)・登録事項等証明書・登録識別情報等通知書 (軽自動車用書類)・検査記録事項等証明書・自動車検査証返納証明書 いずれも、クルマを一時的に使用中止する場合や完全に解体する場合に必要です。また、自動車税の還付や自賠責保険の解約、再登録手続きなど、廃車に関連する手続きの書類でもあります。 廃車証明書の種類・発行方法 廃車証明書は、クルマの種類(普通自動車・軽自動車)と手続きの種類(永久抹消・一時抹消)によって、書類が異なります。車輌別に書類と発行方法を詳しく解説します。 普通自動車 普通自動車の廃車証明書には「登録事項等証明書」と「登録識別情報等通知書」があります。内容と手数料が異なるため、違いを把握しておきましょう。 登録事項等説明書 登録事項等証明書は、永久抹消登録が完了したことを公的に証明する書類です。さらに「現在登録事項等証明書」と「詳細登録事項等証明書」に分かれています。 内容と手数料は下記のとおりです。 書類 内容 手数料 現在登録事項等証明書 クルマの現在の登録状態を示す書類 300円 詳細登録事項等証明書 新車登録から現在までの全履歴を記録した書類 1,000円(2枚目以降300円) また、運輸支局等の窓口で請求する場合、本人確認書類として下記いずれかの提示が求められます。 ・運転免許証・マイナンバーカード・住民基本台帳カード・在留カード 登録識別情報等証明書 登録識別情報等通知書は、普通自動車を一時的に使用中止とする「一時抹消登録」の完了を証明する書類です。 手続きが終わると、自動車税や自賠責保険料の支払いが一時的に停止するため、長期間クルマを使用しない場合の経済的負担を軽減できます。管轄の運輸支局で発行され、一時抹消登録の手数料として350円が必要です。 将来クルマを使用する際の「中古新規登録」手続きで必要な書類です。原則として再発行はできないため、紛失しないようファイリングしましょう。 軽自動車 軽自動車の廃車証明書には、永久抹消登録用の「検査記録事項等証明書」と一時抹消登録用の「自動車検査証返納証明書」があります。普通自動車同様、内容と手数料が異なるため、違いを把握しておきましょう。 検査記録事項等証明書 検査記録事項等証明書は、軽自動車が永久抹消登録(解体返納)されたことを証明する書類です。車検証に記載されている登録内容に加えて、車輌が解体処分された日付も明記されているため、解体処分の正式な証明として利用できます。軽自動車検査協会で申請して取得でき、手数料は300円です。 自動車検査証返納証明書 自動車検査証返納証明書は、軽自動車を一時的に使用中止にする手続き「自動車検査証返納届(一時使用中止)」の完了時に交付される書類です。 将来的に再度使用する際の「中古新規登録」に本証明書の提出が求められます。軽自動車検査協会へ申請し、車検証とナンバープレート、手数料の350円が必要です。 廃車証明書が必要になる場面 廃車証明書は、廃車にした後の手続きで必要です。金銭的なメリットを得られる場合もあるため、どのような場面で必要になるのかみていきましょう。 自賠責保険を解約するとき 自賠責保険は法律で加入が義務付けられていますが、廃車にすると対人賠償の補償が不要になるため、保険を解約すれば残存期間分の保険料の還付を受けられます。 自賠責保険の解約手続きには、下記の書類が必要です。 ・自賠責保険証明書・廃車証明書・本人確認書類・認印・保険標章(ステッカー)・還付金の振込口座を確認できる書類 なお、任意保険の解約に廃車証明書は通常不要ですが、保険の等級を新しいクルマに引き継ぐ際に必要なケースがあるため、加入している保険会社へ確認しておくと安心です。 一時抹消登録後に再び乗るとき 一時抹消登録を行ったクルマでもう一度公道を走るための「中古新規登録」手続きで、廃車証明書(登録識別情報等通知書または自動車検査証返納証明書)が必要です。 また、手続きでは、以下の書類も必要です。 ・廃車証明書・新規登録申請書・手数料納付書・自動車重量税納付書・譲渡証明書(所有者の変更がある場合のみ)・使用の本拠の位置を証明する書面(使用の本拠の位置が使用者の住所と異なる場合、自動車保管場所証明書適用地域外の場合のみ)・発行からおおむね1ヶ月以内の車庫証明・3ヶ月以内の所有者の印鑑証明書・自賠責保険証明書・保安基準適合書・代理人申請の場合は委任状 廃車証明書を紛失した場合の対応方法 廃車証明書には、再発行が可能なものと原則として不可能なものがあります。普通自動車の「登録識別情報等通知書」と軽自動車の「自動車検査証返納証明書」は、盗難車の不正な再登録を防止する観点から再発行ができません。 紛失した場合の対応は、下記のとおりです。 書類名 車種 再発行可否 紛失時の対応・必要書類 登録事項等証明書 普通自動車 可能 ・運輸支局で再発行申請可能・自動車登録番号、車台番号下7桁、本人確認書類、請求理由書を提出 登録識別情報等通知書 普通自動車 不可 ・「登録識別情報等通知書の遺失等に係る新規検査・登録申立書」と登録事項等証明書を用いて新規検査登録の申請で対応・警察での遺失物届の受理番号が必要な場合あり 検査記録事項等証明書 軽自動車 可能 ・軽自動車検査協会で再発行申請可能・交付請求書(軽第3号様式)、車両番号または車台番号を提出・代理人の場合は申請依頼書も必要 自動車検査証返納証明書 軽自動車 不可 ・軽自動車検査協会に特定の願出書を提出し、中古新規登録の手続きで対応・車台番号の拓本、印鑑証明書、実印などが必要・事前審査に約1週間かかる場合がある 詳しくは、手続き先窓口に確認しましょう。 まとめ 廃車証明書は、自動車の廃車手続きが完了したことを証明する重要な書類です。特に、一時抹消登録の証明書は再発行ができないため、紛失しないようファイリングの工夫を検討しておくとよいでしょう。 廃車手続きを行う際は、どの証明書をいつ受け取るべきか、業者に依頼する場合は確実に証明書を受領するかを事前に確認しておきましょう。

2021年5月にウイングロードが25年ルール解禁!今後値上がりする?
旧車の売買と鑑定市場 2025.06.12

2021年5月にウイングロードが25年ルール解禁!今後値上がりする?

1996年5月に発売されたウイングロードが、2021年5月に25年ルール解禁となりました。日産の実用性重視のステーションワゴンとして人気を博したウイングロードは、25年ルールの解禁により海外でも注目される存在となっています。 今回は、ウイングロードの25年ルール解禁の背景と今後の動向について詳しく解説します。実用的な旧車として再評価される可能性があるウイングロードの魅力を、ぜひご確認ください。 2021年5月にウイングロードが25年ルール解禁! 2021年5月に、日産 ウイングロードの25年ルールが解禁されました。ウイングロードは1996年から2018年まで22年間にわたって製造されたステーションワゴンです。 初代ウイングロードは、サニーをベースとしたコンパクトなステーションワゴンとして登場しました。実用性と経済性を両立したファミリーカーとして幅広い層に愛用されています。 アメリカでは日本の実用車に対する関心が高まっており、特にステーションワゴンやワンボックスタイプのクルマは、その機能性から一定の需要が見込まれています。25年ルールの解禁により、アメリカの日本車愛好家がウイングロードの実用性に注目する可能性があるでしょう。 そもそも25年ルールとは? 25年ルールは、製造から25年以上経過した右ハンドルのクルマをアメリカ国内にそのまま輸入できる法律の例外にあたる特別ルールです。 アメリカでは、原則として右ハンドル車を輸入できません。つまり、日本車やイギリス車などをそのまま輸入することができないのです。しかし、製造から25年が経過したクルマであれば、クラシックカーとして登録することが可能となるため、右ハンドル車である日本車やイギリス車をそのまま輸入できるようになります。 アメリカでは日本車の人気が高く、ゲーム「GRAN TURISMOⓇ THE REAL DRIVING SIMULATOR」や映画「ワイルド・スピード」などの影響で、日本車に対する憧れを持つ方が多数存在します。こうした背景から、25年ルール解禁を待ち望んでいる方々が多く、解禁と同時に輸入需要が高まる傾向があります。 ▼詳しくはこちらアメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ 25年ルール解禁でウイングロードは値上がりする? 25年ルール解禁により、ウイングロードにはあまり大きな価格変動が見られないと考えられます。ウイングロードは実用性を重視したファミリーカーであり、スポーツカーのような劇的な価格高騰は期待できないでしょう。 しかし、日本車の高い信頼性と燃費性能に魅力を感じるユーザーからの関心が見込まれるため、状態のよい個体については従来よりも高値で取引される可能性があります。 25年ルールが解禁されるウイングロードの魅力 ウイングロードの最大の魅力は、コンパクトなボディサイズながら優れた積載性能を実現している点です。全長約4,000mm、全幅約1,600mmというサイズは、日本の道路環境に適しており、取り回しのよさと実用性を両立しています。 初代ウイングロードには、1.5L直列4気筒エンジンのGA15DEと1.8L直列4気筒エンジンのSR18DEが設定されました。特にGA15DEエンジンは、最高出力105ps、最大トルク13.8kg・mを発生し、日常使いに十分なパフォーマンスを発揮します。 荷室の使い勝手にも優れ、リアシートを倒すことで長尺物の積載も可能です。フラットな荷室形状により、効率的な荷物の積み込みができ、アウトドアレジャーやビジネス用途にも対応できます。 ウイングロード以外で2021年に25年ルールが解禁された車種一覧 2021年は、ウイングロード以外にも複数の日本車が25年ルール解禁を迎えました。それぞれの解禁時期は以下のとおりです。 ・ステップワゴン(5月)・3代目シーマ(6月)・ランサーエボリューションⅣ(8月)・8代目ギャラン(8月)・チェイサー100系(9月)・レグナム(9月)・ステージア(10月)・ロゴ(10月)・5代目プレリュード(11月)・S-MX(11月) まとめ 1996年5月に発売されたウイングロードが、2021年5月に25年ルール解禁となり、アメリカへの輸入が可能になりました。スポーツカーのような劇的な価格高騰は期待できませんが、日本独自のコンパクトステーションワゴンとして、一定の需要が見込まれます。 ウイングロードをはじめとする旧車の売却をご検討中の方は、「旧車王」にお任せください。10年以上経過した古いクルマ専門の買取事業者として、20年以上の実績と累計買取件数1万5,000件を突破した経験を活かし、専属鑑定士による“鑑定”を行います。最短当日、無料で日本全国どこでも出張鑑定いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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