ライフスタイル

00年代軽自動車の魅力を語らせてほしいvol.2:Life you UP編
ライフスタイル 2023.02.08

00年代軽自動車の魅力を語らせてほしいvol.2:Life you UP編

軽自動車の多くは似たようなディメンションで、興味のないひとにはどれも同じようなクルマに映りがちだ。 特に、アシ車として乗るのであれば、デザインや走りよりも安全装備やカーナビにフルセグのチューナーが入っているかどうか...の方が魅力的に映る人も少なくないと思う。 しかしながら、それぞれのクルマには開発時に込められた個性がある。 筆者も最初は興味が薄かった軽自動車。 しかし、同年代の軽自動車を何台か乗ってみると「どれも似ているようで全然違う...ではあの車種は?この車種は?」と、沼に落ちかねない。 24年落ちのメイン車と併用するつもりで購入した00年代の軽自動車。 しかし、いざ乗ってみると、ラクに乗れて、維持費が安く、便利で、快適。 そんな軽自動車に筆者は絶賛ハマり中だ。ひょっとしたらこの記事が出るころには、また何か別の軽自動車をフラフラと手に入れている可能性すらあるのだから...。 前回の記事では、自身が所有した、Fun to Driveな00年代軽自動車を紹介した。 そこで今回の記事では、これまで長期で乗った車両のなかから...「これは欲しい...!」と思ったものを紹介していこうと思う。 前回は走りの楽しさに特化したので、今回はあなたの生活を豊かな気持ちにしてくれるクルマ。 いうなれば“Life you Up編”だ。 ■スペース効率の新世紀 ダイハツ・タント(2003) 初代タント、ベースグレードのL。写真は2005年モデル 筆者が初めて初代タントに乗ったのは2005年のダイハツディーラーだった。 知人が三菱・ディンゴからの買い替えを検討していた際だった。 ディンゴもコンパクトカーとしては広々した空間のクルマだったが、タントに乗った瞬間の視界の広さや頭上空間の高さには「軽自動車なのにデカい!」という鮮烈な記憶を筆者の心に深く刻みつけた。 初代タントに再び乗り込んだのは2020年の中古車店。 コロナ禍もあり、家のみでの生活にウンザリしはじめたころ、自宅の庭で車中泊をしようと考え軽自動車を探していた。 あの頃、新車ディーラーでその空間に驚かされた初代タントはもうすでに市場では底値となっていたが、各社からリリースされたスーパーハイト軽が席巻する現代においても魅力は衰えずあった。 ▲水平基調でボクシーなタント。写真の個体はクラシカルな仕様にフロント部をカスタムされている 174cmの筆者がシートアレンジ次第で横になれることもそうだが、インテリアデザインの魅力度がかなり高い。 ドアトリムの配されたアームレストや前後シートはソファ的な意匠で統一されていたり、座面は極力フラットに作られており、生活車としての機能を高めながらも座り心地は筆者的に大変好みだ。 余談ではあるが、筆者は初代タントで400km以上の道を連日、車中泊をしながら移動した経験がある。 アームレストに左腕を預けながら走る幹線道路は非常に楽。 もちろん過度にだらしない体勢は取るべきではないことを意識しているが、近年の軽自動車と比べても大変好みなシートなのである。 ▲フルフラット状態の内装。マットなどを敷けば快適な仮眠も可能だ インパネもハイトワゴンにしては低い位置にレイアウトされている。 水平かつシンメトリーなデザインでまとめられ、それに併せてウインドウも大きくとられている。 積載性も非常に高く、ダイブダウンしてシートを格納した荷室は、なぜバンモデルを設定しなかったのか気になるレベルだ。 NAのKE-VEエンジン搭載車は車体10万円代から充分に選択肢があるし、ワインディングなどをよく走るのであれば、予算をあげてターボ搭載のグレードを選べば解決できる問題であろう。 ■スタンダードの素敵な回答、ダイハツ・ムーヴ(2006) ▲ワンモーションらしさを高めたフロントのフォルム。運転席からの見切りも良好だ さて、タントはスペース効率が素敵なクルマであったが、よりコンパクトに、ベーシックカーらしさを追い求めるのであれば、2006年に登場した歴代4代目となるダイハツ・ムーヴもおすすめしたい。 ライバルだったスズキ・ワゴンRも歴代ごとに進化していくのだが、4代目ムーヴもその後の軽自動車のパッケージングに大きな影響をもたらしたクルマの一台と言っても過言ではないはずだ。 それまでもムーヴは”ビッグキャビン・コンパクトノーズ”をエクステリアのテーマに掲げていたのだが、3代目までのワゴンスタイルから流麗なワンモーションフォルムへと進化を遂げる。 三菱・アイのホイールベースには60mm届かないものの、ムーヴのホイールベースは2490mmと歴代最長のものだ。 フロント席もリア席も足元スペースは広々としており、新開発のKF-VEエンジンはNA車でありながら4名乗車でもなかなかに快適なドライブが可能だ。 目の肥えた現代人的にはいささか物足りなさを感じるところもあるかもしれないが、内装においても質実剛健なあしらいは飽きがこない。 特にセンターメーターへかかるアーチインストルメントパネルは構成がダイナミックで、シトロエンなどのラテン車的なエッセンスすら感じる(PSAと共同開発したAプラットフォームを使うダイハツだからこそ...と思うのは調子が良すぎるだろうか)。 ▲センターメーター上部へ掛かるアーチがダイナミックな存在感を車両の内外に感じることができる 標準車でも残照式のメーターパネルは、ささやかながら乗降時のもてなしを感じる。 こういったささやかな配慮は、クルマを長く使ううえで意外と記憶に残ったりするものだ。 カスタムシリーズともなれば、上級グレードならステアリングにエアコンの設定ボタンがついたり、オプションでレーダークルーズが装備されたりとクラウン...いや、レクサスにすら迫る部分だ。 ■ハイクオリティ軽の大穴 スズキ・セルボ(2006) ▲写真は2008年モデルのG リミテッド。純正エアロパーツなどが引き締まった印象を与える と、ここまで前回の記事と併せて何台かの軽自動車を紹介してきたが、00年代軽自動車の多くのモデルが小型乗用車に負けず劣らずのモデルが増えていく。 セルボもそんな一台だが、内外装の装いが独特で興味を惹かれた一台だ。 エクステリアは4代目ムーヴのようにワンモーションのフォルムだが、ボンネットフードからルーフまで繋がるようなフロントのプロポーション、そしてルーフからリアウインドウへと連なる構成は後年発売される3代目ランチア・イプシロンのような流麗さがある。 ▲リアウインドウ上端からハッチのガラスへと伸びるラインがユニークなリズムを生む 筆者はイプシロンにもしばらくの間乗っていた期間があるのだが、パーソナルなコンパクトカーとしての振る舞いや少し重めのステアリングなど...記憶を辿ると共通項を感じたりもしなくもない。 インパネの造詣はドア側へと連続するもので乗員の包まれ感は高い。 樹脂類のシボはルイ・ヴィトンのエピ柄を思わせるセブラ調パターンとなっており、暗めの内装色と相まってパーソナルカーとしての雰囲気はさらに高まる。 ▲軽自動車のなかでもクールな印象の内装色を採用。メッキモールなども相まって夕方や夜のドライブでは雰囲気の良さを感じることができた スイフトと共通の部品やサポート部分があるシートなど、ちょっと高級感がある内装が所有する日々の生活のなかで気持ちをアップしてくれる。 アルトやミラなどのボンネットバンタイプも素晴らしいが、ちょっとだけ色香を感じてニヤニヤできる生活を送ってみるのはどうだろう。 もちろん恰好だけではなく、スマートキーやスズキに採用例の多いシートヒーター装着車も冬の時期には嬉しい機能だ。 ゲート式の4ATを左手で味わいながらドライブに出かけてみるのはいかがだろうか。 今回も3台の軽自動車を紹介してきたが、いずれも車両10万円を切る個体を見つけることができる。 ただ古いだけの小さなクルマ...ではなく、魅力的な箇所を引き出せば味わい深い円熟のAセグカーだ。 人によっては、ひょっとしたらご実家のクルマが00年代の軽自動車だったりするかもしれない。 見慣れたクルマたちも当時のカタログや文献を眺め、コンセプトを味わいながら運転してみると新たな一面を発見できるかも?しれない。 [ライター・撮影/TUNA]

00年代軽自動車の魅力を語らせてほしい vol.1:Fun to Drive編
ライフスタイル 2023.02.03

00年代軽自動車の魅力を語らせてほしい vol.1:Fun to Drive編

■筆者、サブ車が欲しくなる 令和5年がはじまって約1ヶ月。 筆者は平成2年生まれの32歳。 目上の人からは「まだまだ若いネェ〜」と言われて少し安堵し、初代プリキュアやJ31型の日産ティアナが誕生20周年といわれ、信じられずに腰が痛くなってくる。 愛車のカローラは1998年式車。 今のところ故障知らずではあるものの、走りはじめると見た目以上に“ネオクラシックカー”に片足を踏み入れはじめたような実感はある。 古いクルマを維持していくには毎日エンジンをかけるのも大切なことのひとつだと感じつつも、行く場所や用途によって低年式車ですべてをまかなう必要もないような気がしていた。 なにより、イギリス製のカローラは販売地域の特性上からエアコンレスなこともあり、年々暑くなる日本の夏を走りぬくためにどうしても、サブ車が欲しくなってしまうのだ。 若者のクルマ離れが叫ばれる昨今、公共交通機関に困らない地域でクルマを一人で複数台所有することは本当に贅沢なことだと思うが…。 良いじゃないか、そのために働いているのだから。 そんな気持ちは以前からあり、筆者はメインカローラの他にサブ車でクルマを所有している。 だが、安くて経済的なことだけを理由にクルマを選べないのはマニアのサガかもしれない。 筆者は国産車なら割となんでも大好きだ。 昔クルマに関係ない媒体のインタビューで「なんでもクルマが好きってことは、僕ら一般の男性目線でいうなれば街中に好みの女性がウヨウヨしているような感じですか?」と質問を投げかけられたことがある。 そのときは受け流したが、今だから答えて差し上げよう、その通りだ。 だがもし仮に、よだれが出るようなレア車が運よく手に入り毎日乗るとなれば…。 保守部品の確保を含めて少し神経質な気持ちになることはすでに自己診断済みだ。 そういった沼に嵌らず、かつ買いやすく、維持しやすく、昔から好きなクルマ…。 いやいや、あるじゃないか。 筆者はすかさず中古車サイトを「安い順」に並べて検索をする。 ■中古車サイトを安い順で並べると語りかけてくる“00年代軽自動車”の魅力 現在筆者がメインとして使っているカローラには、キーレスも電動格納ミラーもパワーウインドウも装備されていない。 中古車市場にある“フル装備”の車両は輝いて見える(そもそも今どきフル装備を高らかに謳う中古車物件なんてあまり見なくなったが…)。 それどころか、掲載車を安い順で少し探せばHID・スマートキー・カーナビ位は余裕でついてくる。 古いクルマをメインで所有していると忘れがちだが、走行距離は10万キロ以下、車検付きで車体10万円未満で快適装備。 それが00年代の中古軽自動車だ。 ▲オートエアコンにHDDナビ、これで10万円未満なら十分すぎないだろうか 小学生のころから運転免許を取る18歳まで自転車で頻繁に通ったカーディーラー。 ショールームに並んでいたクルマたちも生産から十数年が経過し、今や底値を越えて鉄や希少金属・リサイクル部品として生まれ変わって久しいことだろう。 当然のこととしてわかってはいたが、その年月と事実に小さくため息が出る。 デビュー当初の魅力と現在味わう“00年代の軽自動車”として見つめ直し、その魅力を残していきたいと思ったのが記事を書いたきっかけだ。 第一弾は“Fun to Drive 編”としよう。 この、Fun to Driveというワードは決してワインディングを軽快に走ることだけを指していないと筆者は思う。 さまざまなシーンを気持ちよく走る性能があれば、まずそれはFun to Driveたらんとしていると感じる。 もし、生活を支えてくれるバランスの良い車が叶えてくれるならばなんて嬉しいことだろう。 今回は筆者が所有したなかで、これは走るのが面白かったな…というクルマを紹介していきたい。 もし、もっとこんな軽自動車も面白いよ!というのがあればこっそり教えて欲しいものだ。 ■酷道から車中泊までオールラウンダー スズキ・Kei(2008年式) ▲スズキのKeiという名前を誰かに説明する際「スズキの軽ってなんですか…?車種名で教えてくださいよ!」と一回くらいいわれるのはKeiユーザーのあるあるネタだ 1台目はスズキのKeiだ。 なんとなく憎めない相棒として日常に溶け込んでくれるクルマだが、そのポテンシャルは低くない。 正確にいうなれば、Keiは00年代ではなく1998年の登場から2009年まで11年間もの長きにわたって生産されたモデルだ。 それだけにエンジンや内外装の仕様は時代によって大きく異なる。 派生モデルのKeiスポーツやワークスなど、スポーティに性格を振った仕様から扱いやすい通常車までグレード構成も多様で、一概にKeiといってもさまざまな顔を持つ。 筆者が所有していたのはほぼモデル末期の2008年モデルでNA車。 軽自動車のNAだと若干非力な印象もあるが、マニュアルのトランスミッションと600キロ台後半の車重によってピュアな乗り心地を味わうことができるクルマだ。 最低地上高を高くしたクロスオーバータイプのボディのため、ちょっとした不整地でも気兼ねなく踏み込むことが可能だ。 もちろんジムニーのようなアクロバットな領域は難しいのだが、良好な燃費と積載性を考えるとバランスが良い。 このコンセプトを受け継いで後継のハスラーができ上がったことも頷けるものだ。 筆者はKeiを所有するまで比較的車高が低い車両に乗り続けていただけに、Keiが持つポテンシャルは自らの行動範囲をグンと拡げてくれることになった。 1日で300㎞以上走ることも少なくなかったし、軽自動車特有の揺れや車内騒音から受ける影響は決して小さくなかったのだ。 しかし、布団一式を常に携行し“疲れたらすぐ寝る、元気になったら走り出す”を実践することになったきっかけの1台だ。 筆者のなかでKeiを所有した経験が、中央ヨーロッパを自家用車で一周する挑戦に繋がっているのは間違いない。 新生活に向けたドライバーさんなど運転が好きで、日々のなかに小さな冒険を望んでいるならKeiは推していきたい。 20万円くらいまでの予算でもMT車で選べる個体はあるはずだ。 ■コンパクトカーじゃなくてもこれで十分…ホンダ・ゼストスポーツ(2007年式) 次に紹介したいのが2006年登場のゼスト。 Keiからは軽自動車としてのピュアな歓びを教わった。 しかし、keiの登場から約8年の年月は、軽自動車の開発において小さくないと教わったのがゼストスポーツの存在だった。 筆者が高校生のころ、実家に初代FITの中期型があった。 まだ運転免許を持っていないながらもその完成度には目を見張るものがあり「ホンダが本気で作ったコンパクトカーってすごい…」と感じさせられていた。 そんなさなか、フィットの代車でやってきたのが新車で登場したばかりのホンダ・ゼストだ。 いつも後席から眺めていたFITのインテリアと比べると「ちょっと狭いかも…」なんて当時は思っていたが、実際に所有することになってその印象は大きく変わった。 筆者が購入したのは2007年式のゼストスポーツ。過給機が付いた最上級グレードのWだ。 そもそも、装備がとても良い。 90年代のベーシックカーであるカローラやKeiと比較するものではないのかもしれないが、スマートキー(なんと同車のフラッグシップ、レジェンドと同一のキー!)、HIDヘッドライト、おまけに純正のHDDナビまでついてきた。 ▲視認性のいいシンプルなメーター。普段90年代のクルマに乗っている筆者としては計器類がLEDで光ることすら嬉しい フロントシートは大きなアームレストつきのベンチシートで、長距離は心も身体もラクチン。 後部座席は両側がダイブダウン格納されるタイプのシート。 リアハッチの開口部が広く、低床ボディと相まって使い勝手は良好。 乗用車でなくともむしろ軽ワゴンだからこそといったレイアウトはかなり気に入るものだった。 エアロとターボが装備されたゼストスポーツは若干足回りが固い印象をうけるものだったが、剛性感は当時の軽にしてみれば悪くなく、2006年度のJNCAP試験で運転席と助手席の総合評価で軽自動車唯一の6スターを獲得しているのも頷ける。 もちろんクルマも自分の運転も過信してはいけないが、嬉しい装備と過給機がついたエンジンの存在により、日々の運転はとてもFunな経験となった。 ■軽自動車界の風雲児!親しみやすいのにマニアック 三菱・アイ(2006年式) 3つ目におすすめしたいのは三菱のアイ。 2006年に登場して2014年まで生産されていたクルマだ。 そのコンセプトは強烈で、ダイムラー社のスマートやルノーのトゥインゴなど、世界に通用するシティカーの素質と日本の軽自動車に対する問いかけを、その完成度から伺うことができる。 走りの面で特筆すべき点はその小回り。 ホイールベースは2,550mmとフェアレディZやヤリスクロスなどと同一でありながら(駆動方式もホイールサイズも異なることは認めたうえでだが)RRレイアウトのボディに前後異径の14インチのホイールを履くアイは、グルグルとその場で旋回できるのは強烈な体験だった。 ▲エンジンはトランクの下に配置。分厚い吸音材のハッチを開くと見えてくる。内装から見えるエンジンのギャップにときめく 昨今のN-BOXをはじめとした軽自動車の進化ぶりは大きく、比較してしまうと可愛そうなほどでもあるのだが、RRの独自のレイアウトは4人での乗車空間はしっかりと確保されている。 筆者が購入したグレードはMターボ。加速や巡航速度に関しては現代の軽ワゴンにも引けをとらない。 それどころかRR+後輪駆動+アイポイントの高い車両の加速感はあまり味わったことのないもので、これを体感するだけでも価値ある1台だ。 内装の造形感覚にも吟味とこだわりが感じられる。 シートやドアトリムなども加飾して魅了するのではなく、素材の良さを楽しむことができるデザイン。 スペース効率を上げようと、なるべくワイドにインパネを見せようとする軽自動車が多いなか、アイのインテリアやインパネのレイアウトはあえて求心的に作られているようにも感じ、フロント席に座るとどことなく“包まれ感”すら感じる。 ワンモーションの軽自動車は今や数多いが、「このクルマならでは」があちらこちらに備わっているのもアイの良いところだ。 と、今回紹介した車は2023年現在、10~20万円台で狙えるクルマばかりだ。 (実際に筆者はこの3台の車体をそれぞれヒトケタ万円で購入している) もちろん年数は経っているのでメンテナンスは必須なのだが、それを差し引いてもリーズナブルだといえるのではないだろうか。 底値の軽自動車たちは今が狙いどき。 次回は生活をちょっとだけ“アップ”してくれる…。そんな00年代の軽自動車を紹介していきたい。 [ライター・撮影/TUNA]      

旧車やヒストリックカーを購入後、大きな出費を防ぐためにまずリフレッシュを
ライフスタイル 2023.01.30

旧車やヒストリックカーを購入後、大きな出費を防ぐためにまずリフレッシュを

こちら旧車ヒストリアで何枚もの画像を掲げているので、ご存じかも知れませんが、愛車のS15は、いわゆるライトチューン仕様。 独身の頃は月イチくらいでサーキットに足を運び、「キャッキャ!」と楽しんでいました。 根っからの恐がり、かつ臆病者なので、タイムは絶望的に遅かったんですけどね。 そんな経緯から、「愛車を手に入れたらチューニングしたい!」、「自分好みにモデファイしたいっ!」って気持ち、よーく分かります。 余談ですけどNAのSR20なら、マフラー交換よりもEXマニホールドの交換をお勧めします。 正直、マフラー交換による違いは、ほとんど体感できませんが、EXマニホールドを交換すると、アクセルレスポンスの向上がよく分かります。 もう楽しくてしかたがありません。 自分で言うのもなんですが、私のような「愛車をネコ可愛がる」派ですら、多少の改造を施しています。 旧車であっても大半のスポーツモデルは、多かれ少なかれ手が加えられているのではないでしょうか。 完全リフレッシュをウリにしているショップでない限り、旧車(中古車)は基本、現状渡し。 購入を果たしたら、チューニングやモデファイを後回しにし、まずはリフレッシュを施す必要があります。 ■「リフレッシュ終了」時点から旧車ライフのスタート地点に リフレッシュとは、劣化したパーツを交換し、可能な限り新車にコンディションを近づける作業です。 オイル交換やベルト交換から始まり、ブレーキパッドやブレーキローターなどの消耗品の交換。 ブッシュやマウントなどのゴム製品の交換。 排気音が大きいようならマフラーの交換。 ショックアブソーバーからオイル漏れがあったり車高が落ちてタイヤに偏摩耗が出ているようならサスキットの交換。 大規模なものになるとエンジンやトランスミッションのオーバーホール等々、施す項目は山ほどあります。 どの程度の作業が必要になるかは購入した旧車のコンディションと、かけられる予算次第。 理想的なのは、旧車やヒストリックカーに強い自動車整備工場と相談して進めること。 リフレッシュが終わり、アライメント調整といった最適化が終了したら、そこが旧車ライフのスタート地点になります。 なんて偉そうなこといってますが、私のS15も、そろそろエンジンのオーバーホールを考えなければならない頃合い。 頑張ってお金を貯めないとねー。 ■念願のヒストリックカーを購入。楽しいカーライフを送るハズだったのに 私の親しい友人が、ちょうど今回のテーマにピッタリの体験をしていました。 友人が購入したのは、旧車よりもヒストリックカーに近い年式のクルマ。 有名な専門店で購入し、ボディはピカピカ、エンジンもブロックにパフがけが施され、新車のように綺麗なクルマでした。 レストアも終了しているとのことで、友人はさっそくモデファイに着手。 ボディにオールペンを施し、シートもボディカラーにあわせて張り替えるなど、自身が思い描いたクルマを作り上げます。 ただ、オーバーホール済みというエンジンはとても不調で、度々、出先で不動になってはレッカーを呼び、専門店に担ぎ込まれて入院。 所有していた期間のほとんどは修理で入庫中、しかも修理費用はしっかり請求されて自腹という有様でした。 当初、全面的に専門店を信用していた友人でしたが、次第に不信感が募り、その車種を専門に扱う自動車整備工場に持ち込みます。 ザッと診てもらったところ、エンジンはオーバーホールこそ行われているものの組み立てに異常があり、それは「何度、入庫しても原因が分からない」といったものではないこと。 他にも専用のブッシュが使用されるべき箇所に汎用のプラスチックパーツが使用されるなど、高かった価格に見合わないレストアが施されていたのが分かりました。 自動車整備工場から修理と、最低限の正常化にかかる費用の見積もりをだされますが、精神的に疲れていた友人はクルマを売却。 クルマ趣味から降りてしまいました……。 もちろん一番、疑問に思うのは専門店の態度ですが、もし最初のモデファイにかけた費用をリフレッシュやコンディションの確認にまわしていたら、別のカーライフが送れたと思います。 ■古いクルマを手に入れたら、信頼できる自動車整備工場で診てもらうべき この顛末を横から見ていて学んだのは「旧車やヒストリックカーを購入したら、ショップが専門店であっても、念のために信頼できる自動車整備工場に診てもらった方がいい」ということ。 ショールームには何台もの綺麗なクルマが並んでおり、同行した私も「経験豊富な専門店なら問題ない」と思ってしまったことを反省しなくてはなりません。 繰り返しになりますが、念願だった旧車の購入を果たしたら、思い描いた理想に向かってチューニングやモデファイを進めたくなるものだと思います。 けど、そこはまだスタート地点の前。 まずは本来の性能に戻すことを最優先に、リフレッシュを進めましょう。 それが結局、将来の大きな出費を防ぐ保険になりますから。 [画像・AdobeStock、ライター・撮影/糸井賢一]  

「旧車バブル崩壊」を予想するプレスリリースに目を通して思うこと
ライフスタイル 2023.01.30

「旧車バブル崩壊」を予想するプレスリリースに目を通して思うこと

旧車王ヒストリアの運営母体であるカレント自動車株式会社では、旧車に関するさまざまなニュースリリースを配信している。 そのなかで1月25日に配信された「旧車バブル崩壊、世界最大級の中古車市場アメリカの中古車下落から予測できる日本の旧車市場」というプレスリリースが目に留まった。 いくつかのメディアでこのプレスリリースを元にした記事が配信されているようだ。 ●旧車バブル崩壊、世界最大級の中古車市場アメリカの中古車下落から予測できる日本の旧車市場https://www.currentmotor.co.jp/notice/news/5958/ 旧車王のオウンドメディアである「旧車王ヒストリア」の編集長という立ち位置ではあるが、その前に、いちクルマ好きとして「ようやくか……(またはそうであって欲しい)」というのが本音だ。 もしかしたら、多くのクルマ好きやオーナーも同じような心境かもしれない。 ……というのも、そもそも、大切に所有している古いクルマを売る気がない立場からすると、ここ数年〜10年のできごとは、まるで別世界で起こっていることにしか映らなかったからだ。 ■多くの旧車オーナーにとって旧車バブルは「対岸の火事」? すべての旧車およびネオクラシックカーオーナーに当てはまるわけではないと思うが、少なくとも1970年製の旧車を所有する自分にとって、今回のバブルは「対岸の火事」といってもいいかもしれない。 先述の記事にも 「コロナ禍で富裕層のお金の使い道に変化がありました。コロナ禍でさらに裕福になった富裕層も一定数いて、旅行などに行けなくなったことでお金の使い道が変わり、骨董品や美術品、時計、車の購入に充てる方が増えました。それらの需要が高まったことで価格が高騰したことに釣られ、車の中でも希少性のある旧車の価値も上がりました。(原文ママ)」 といった記述があった。 2020年の4月〜5月に掛けて1回目の緊急事態宣言が発令され、外出すら憚れるような時期があったことを記憶している人も多いと思う。 そのとき「これまでなら夜の街に落ちていたはずのお金が行き場を失い、その分、高級車や高級腕時計などの需要が集まり、フェラーリの中古車が店頭から消えた」という話しを、仕事としてフェラーリに携わっている方から伺った。 庶民からすれば何ともうらやましい話だが、高額のなものを経費で落としても許される層がいるということなのだろう。 その流れが旧車やネオクラシックカーにも波及したのだろうか……。 投機目的の対象にされると、本来の目的とは違う意図で購入する人たちが現れ、“かっさらって”いく。 その結果、相場がつり上げられ、オーナー予備軍の多くの人たちにとって手が届かない存在となってしまう。 そういえば、以前、あるイベント会場に貴重な国内外の名車がずらりと並べられ、オークション形式で売買される出品車両を見に行ったときのことだ。 (これは偏見かもしれないが)出品車を品定めする人たちの放つ雰囲気が、あきらかにクルマ好きのそれとは違うのだ。 漫画のように、目玉に「¥」マークが見えたような気がした。 目の前にあるのは、クルマ好きならいちどは乗ってみたい「憧れの名車」ではなく「いつでも換金可能な投機対象」なんだなと悟ってしまった。 仮にこの種の人が落札したら、本来のクルマの役目を果たすことなくどこかの倉庫に塩漬けにされ、ヘタをすると海外へと流されてしまうのだろうか……。 ■旧車オーナーと予備軍にとってバブルはいい迷惑? 「バブル」。 ……ということは「一過性のものであるという前提」で語られている。 つまり「いつかは弾ける(に違いない)」ということを踏まえておく必要があるのかもしれない。 長年、1台の旧車およびネオクラシックカーオーナーを所有してきたり、「近い将来、買おうと思って準備してきた」オーナー予備軍にとって、「バブル」はいい迷惑だ。 さらに、オーナー予備軍にとっては、頭を抱えたくなる状況が続いている。 もはや、買い時が分からないのだ(林先生でないけれど「今でしょ!」なのかもしれない)。 コンディションにこだわっていたら手が届かなくなる一方だし、焦って手を出すと、事故車まがいのものを掴まされてしまう可能性だってある。 もともと150万円台だったものが急に300万円台にハネあがったとしても、それは店頭価格や相場が変わっただけで、コンディションはいままでと変わらない。 むしろ、経年劣化で何らかのダメージを受けている可能性だってある。 冒頭のプレスリリースによると「高年式車の価格の下落が旧車にも波及してくるかもしれない」と書かれている。 これでは、ますます買い時がいつなのか分からなくなりそうだ。 ■旧車オーナーにとって旧車バブルのメリットとデメリットは? そんな旧車バブルだが、オーナーにとってのメリットとデメリットを3つずつ挙げてみた。 ●メリット・高く売れる(これまでの整備代の元が取れる千載一遇のチャンス?)・資産になる(コンディションを意地できれば、という前提で)・世の中から趣味を肯定された(ような)気がする ●デメリット・盗難・お金持ちに見られる・部品代や関連グッズまで高騰する こうしてメリットとデメリットを挙げてみると、「そもそも売る気がない旧車オーナーにとっては」どちらかというとデメリットの人が多いように思う。 その最たる例が盗難だろう。 どう考えても、旧車オーナーと予備軍にとってバブルはいい迷惑なだけ、かもしれない。 ■「大切な愛車を手放してしまったら2度と戻ってこない」という事実 筆者の周囲に限った話で恐縮だが、旧車およびネオクラシックカーオーナーのなかで「そろそろ下りようかどうしようか……」の決断で揺れ動いていた人たちの多くが、旧車バブルのタイミングで実際に「下りて」しまった。 なかには一時の衝動で「魔が差して」下りてしまった人もいる。 いずれにしても、やっぱり寂しくなってカムバックする人がいるかと思いきや、「下りた人」は誰1人として戻ってきていない。 これまで張り詰めていた糸がぷつりと切れてしまい、さらに、これまでよりも一歩引いた視点で旧車およびネオクラシックカー相場の暴騰ぶりを見るにつけ、「そこまでして乗りたいとは思わなくなってしまった」のだという。 これは人によるので、一概にはいえないが「旧車およびネオクラシックカーを所有しているから成り立つ人間関係」があるのは事実だと思う。 下りた(あるいは他メーカーや他のモデルに乗り換えた)時点で疎遠になってしまうことだって少なからずある。 手放すことで一時的な大金が懐に転がり込むかもしれないが、同時に「お金で買えない何か」を失う可能性があることも事実だ。 もし、いま下りるか否か迷っている人がいるとしたら・・・「得られるものと失うもの」を天秤に掛けてから最終判断を下してもいいかもしれない。 大切な愛車を手放してしまったら2度と戻ってこない。 経験上、これは事実だと断言できる。 もしも戻ってきたら……それは奇跡だ。 [ライター・撮影/松村透]  

旧車を遺すため「オーナーが心掛けたい6つのこと」とは?
ライフスタイル 2023.01.27

旧車を遺すため「オーナーが心掛けたい6つのこと」とは?

私は、25年前からZ32専門店を営んでいますが、Z32型フェアレディZが現行車から旧車になっていく様を見てきました。 いつしか、名車であるZ32を一台でも多く遺したいと思うようになり、今はそれを使命として尽力しています。 なぜなら、年々減ってきている光景を目の当たりにし、今となっては「絶滅危惧車種」になってしまったからです。 この先、一台でも多く遺すために何をすべきか?考えている時間はなく、今から行動する必要があります。 遺すのはオーナー様であって私達ではありません。私達は、あくまでもサポート役です。 日頃から、オーナー様にお願いしていることをまとめてみました。 ■1.いつまでもファンがいること そのクルマを愛するファンがいなければ、絶対遺りません。 時代が変わっても不変の愛が必要です。 そのクルマの魅力を次の時代にも受け継ぎ、ファンを絶やさないようにしなければなりません。 ■2.オーナーが「旧車に乗っている自覚を持つ」こと オーナーがいなければ、絶対遺りません。 乗り続ける強い意志が必要です。 オーナーが旧車に乗っているという自覚を持ち、大事に守っていかなければなりません。 ■3.点検やメンテナンスを怠らないこと 日々の点検やメンテナンスをしなければ、絶対遺りません。 前向きな予防整備が必要です。 ドレスアップや見た目を良くするよりも、中身を重視した整備を行わなければなりません。 ■4.純正部品を使った整備をすること 純正部品がなければ、絶対遺りません。 部品があるうちにストックすることも必要です。 純正部品をオーダーし続け、メーカー製廃を阻止しなければなりません。 ■5.中途半端な状態で手放さないこと 中途半端な状態のクルマは、絶対遺りません。 オーナーである以上は、コンディションを保つことが必要です。 万が一、売却しなければならなくなったとき、次オーナーに自信を持って受け渡さなければなりません。 ■6.専門店を頼ること 旧車は専門店を頼らなければ、絶対遺りません。 メンテナンスは専門店を頼ることが必要です。 専門店が存続するために利用し続け、一緒に遺す努力をしなければなりません。 ・ホームページhttp://www.Z32-Zone.com/ ・Facebookhttps://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zone/286263454768481 ・Instagramhttps://www.instagram.com/Z32_Zone.omura/ ・YouTubehttps://www.youtube.com/user/ZoneZ32 [ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]  

DIY旧車オーナー必読!「複雑なエンジンオイルの選択肢」とは
ライフスタイル 2023.01.25

DIY旧車オーナー必読!「複雑なエンジンオイルの選択肢」とは

▲エンジンオイルはクルマの血液ともいえる、重要な消耗品である。 ■初めての旧車メンテDIYにふさわしいエンジンオイル交換 少しでも愛車のメンテナンスを自身の手で行いたいと思う旧車オーナーに、初めてのDIYとして挑戦していただきたいメンテナンスがあるとすれば、それはエンジンオイル交換だ。 エンジンオイル交換といえば、旧車のみならずもっとも身近なカーメンテナンスといってよいことであろう。 エンジンオイルは人間でいうところの血液によく例えられる。 クルマの心臓部分であるエンジンの寿命は、この血液たるエンジンオイルの状態によって大きく左右されるのは周知の事実だ。 現代のクルマほど加工精度がよくない旧車のエンジンではなおさらのことである。 熟練のメカニックやベテランの旧車オーナーがクルマ選びをする際に、ボンネットを開くことがあれば、まずはエンジンオイルのフィラーキャップ(注入口の蓋)を外すことであろう。 フィラーキャップ裏に付着したブローバイ汚れの状態や、フィラーからのぞけるエンジン内部のスラッジの具合、エンジンオイルからガソリン臭が漂っていないか? また、オイルレベルゲージを抜けば、オイルレベルのみならず、レベルゲージについたエンジンオイル焼けを見るなどして、前オーナーのオイル管理の状態を推察する。 エンジンオイルという傷みやすい消耗品を見れば、たったこれだけの情報からでも、前オーナーのクルマというメカとの向き合い方がわかるのだ。 メンテナンス費用を節約するためにDIYを志すオーナーも多いかと思われるが、ここではクルマというメカと向き合うためにDIYを行う次第である。 初めてメカと向き合うDIY、それにふさわしいのがエンジンオイル交換ではなかろうか。 今回から数回にわたって、このエンジンオイル交換に関する内容をお伝えしようと思う。 まず第一回目の今回はエンジンオイル選びについて、旧車ならではの注意点についてお話しをしていきたい。 なお、本題に入る前にあらかじめお断りしておくと、今回の記事は旧車のエンジンオイルについて若干詳しく掘り下げる内容ではあるが、すでに豊富な知識を持つベテランオーナーや評論家のための記事ではない。 初心者の方へ幅広い内容を、できるだけ分かりやすくお伝えするための記事であることをご承知おきいただければ幸いだ。 ■一筋縄ではいかない、旧車オイルの多種多様な選択肢 現代のクルマであれば、エンジンオイルは近所のホームセンターやカー用品店で簡単に入手することができる。 しかし、問題は旧車用のエンジンオイルだ。ホームセンターでは旧車用エンジンオイルの取り扱いなど、まず皆無である。 ただ、旧車といっても、ヒストリックカーと呼ばれる戦後~1970年代前半くらいまでのバルブカバーやオイルパンなどのガスケットにコルクや紙(本当にただの紙)が使用されているクルマ、1970年代末くらいまでのキャブレター式かつ触媒レスのクルマ、1980年以降のネオクラシックと呼ばれ、現代車に近い構造かつ大馬力・大トルクを誇るクルマ・・・。 さらには国産・欧州車・アメリカ車など、多種多様にカテゴライズできる。 これらに使うエンジンオイルを、単にひとくくりに「旧車用エンジンオイル」と呼んでしまっては少し乱暴ではなかろうか。 クルマの新旧に関係なく、オイル選びは車両の取扱説明書やサービスマニュアルの「指定の粘度」から検討することが基本である。 この「指定の粘度」を今日流通しているエンジンオイルのラインナップから選択するしかないのだが、注意点は、ただ「旧車用」と記されているからといって、それが正しい選択とはいい切れないかもしれない点になる。 ▲旧車用エンジンオイルといっても、初心者にはどれを選んでよいか分からないものである。 気に入っているオイルがラインアップ落ちすると、とても悲しいものだ。 ■旧車用エンジンオイルを「指定の粘度」と実際の硬さ「動粘度」で選ぶ 特に筆者が難しく感じるのは、旧車用として販売されている複数の「同じ粘度」のエンジンオイルを実際に比較検討すると、各オイルで異なる「動粘度」である場合が多いのだ。  例を述べれば~1970年代前半までのキャブレター式かつ触媒レスのクルマに多い、指定粘度「20W-50」やシングルグレードと呼ばれる「#30」や「#40」だ。 選択するエンジンオイルのブランドによって性格が異なるため、これらが指定されているクルマのエンジンオイル選びは少しシビアだ。 以下の表をご覧になっていただきたい。 上記は「20W-50」の同じ粘度で今日入手できるエンジンオイルのデータシートから代表性状をまとめたものだ。 他にも筆者が個人的に気になる「旧車用」エンジンオイルが複数あったが、残念ながらデータシートが公開されていなかった。 そこで今回は、比較的入手しやすく、かつデータシートが公開されているもので比較した。 いかがだろうか。 同じ粘度でも実際の「動粘度」がまったく異なることがわかる。 走り出し直後を想定したであろう油温40℃での動粘度の違いをみると、実際のフィーリングもだいぶ異なることが予想できる。 さらに述べると、これはあくまでも新油での話。 交換後のメカニカルノイズの大きさや、数千キロ走行後のフィーリングなどは実際に意識して使い込んでみないと何ともいえないものだ。 これがエンジンオイル選びの醍醐味であり悩みどころだ。 旧車ではこの辺りの違いをはっきりと体感できることが多い。 ではあえて、今日近所のホームセンターで入手できる一般的なエンジンオイルを旧車に入れるとどうなるであろうか。 実際にやってみるとわかるが、結果は何も起きない。 いや、今すぐは何も起きないというべきであろう(極端な場合はオイルが燃焼し、マフラーから白煙が出る場合もある)。 実物に触れてみるとわかるが、現代の一般的なエンジンオイルは旧車用のそれと比べるとシャバシャバとしており、反対に旧車用はドロドロとしているはずだ。 旧車はエンジン内部のピストンとシリンダーのクリアランス(すき間)が大きく、旧車用のエンジンオイルの粘度が高めなのも、このクリアランスを埋めるための密封性能が必要だからである。 また粘度の高いオイルは、ピストンとシリンダーのみならず、各部のすき間やクリアランスに充填することで部品の摩耗を防いでいるともいえる。 旧車に低粘度のエンジンオイルを使用すると、わかりやすい故障の原因にはならない。 しかし、継続して使用するとオイル消費が著しかったり、エンジンの寿命が短くなるというのが正しい答えではなかろうか。 なお、旧車にはこの密封性能が必要だが、反対にハイブリッドやアイドリングストップ車などの現代車では、むしろこれがあだとなる。 いわゆる昨今のエコカーのなかには、省燃費性能の向上のために各部の摩擦抵抗を減らすことを目的に「0W-16」など極端な低粘度のエンジンオイルを指定したクルマもある。 こういったクルマに旧車用のエンジンオイルなど入れようものなら、確実に抵抗となるので、その負担からギクシャクとした動きになることが予想される(さすがにやってみたことはないのであくまでも予想)。 なお、1980年代後半以降のいわゆるネオクラシックカーと呼ばれるクルマはそこまでシビアにならなくても良いと思われる。 さすがに現行エコカー用の「0W-16」や「0W-20」は不適だろうが、現行車よりかは少し硬めの「10W-30」や「10W-40」を選択すれば問題はないであろう。 これも先述の動粘度の話があるので、よく検討したいところではあるが、迷うようであれば取扱説明書およびサービスマニュアルの指定のオイル粘度のうち、高温側を一段階(10単位)例:5W-30 ⇒ 5W-40などで調整すればよい。 これならシリンダー内の気密保持と保護性能を両立できるはずだ。 いずれにせよ、目的に合わないエンジンオイルを安易に使用することがNGなのである。 ▲ペンシルバニア産のエンジンオイルが最良であった時代は、筆者が生まれたころの話ではなかろうか。余談だが表1の「粘度指数」とは粘度の温度変化が極めて小さいペンシルバニア系潤滑油を100とし、極めて大きいガルフ・コースト系のものを0として定められた規格で、値が大きい油ほど粘度変化が小さいとのこと(画像はイメージです) ■永遠の課題:旧車には「鉱物油」か「化学合成油」か ここで、都市伝説の如くよくいわれる、旧車に化学合成油はNGという説に持論を述べたい。 一般論として旧車には「化学合成油」は不向きだ。あながちこれは間違いではない。 先述の通り、ヒストリックカーと呼ばれる~1970年代くらいまでのクルマは、エンジンのバルブカバーやオイルパンにコルクや紙のガスケットが使用されていたり、シールやパッキンの耐久性が悪く、加工精度もまだまだ(というよりも削ったまま)のものが多い。 このようなエンジンに粒子の細かい化学合成油を入れると、各部からオイルにじみが発生する。 また、化学合成油には種類があり、そのうちの一種PAO(ポリアルファオレフィン)はシールやパッキンを収縮させる性質を持ち、やはりこれもオイル漏れの原因となる。(余談だが、やはり化学合成油の一種であるエステルは逆にシールやパッキンを膨張させるため、一部オイル漏れ防止の添加剤にも使用される) このような経緯から、化学合成油が旧車に不向きだといわれる。 しかし、これはオイル漏れの観点のみで考えた場合の話だ。 鉱物油にはデメリットとして、エンジン内でスラッジとなりオイルラインの詰まりの原因になりやすい点や、酸化安定性が悪く、使用開始後に早い段階で性能が劣化してしまう点がある。 オイルの性能面を全体で見れば、化学合成油を使用するメリットは大いにある。 以下の表をご覧になっていただきたい。 化学合成油というとPAOやエステルに代表される、人工的に作り出されたハイエンドなオイル、すなわち「グループⅣ」や「グループV」が想像される。 今日「全合成油」という名で市場に広く一般的に出回っているのは「グループIII」オイルだ。 かんたんにいえば、鉱物油に含まれる不純物を水素と反応させて除去「水素化分解(ハイドロクラッキング)」して精製されたオイルだ。 ベースオイルは鉱物油であるが、化学合成油に近い性能を持つ。 問題は、このグループIIIオイルが旧車に使えるか否かだ。 個人的には動粘度などの仕様に注意を払えば、十分に使用できると考えている。 筆者はコストパフォーマンスから、エステルブレンドのグループIIIオイルを長年愛用しているが、まったく問題はない。 前述のデータシートをよく見て判断したい。 なお、1990年代以降のいわゆるネオクラシックカーであれば、オイル漏れ関係がしっかりと整備されていることを前提にPAO(グループⅣ)オイルは何ら問題なく使用できる。 鉱物油にこだわりたい場合は、グループII(高度精製鉱物油)をチェックするとよい。 「20W-50」やシングルグレードの「#30」「#40」のエンジンオイルにおいて、パッケージには鉱物油の表示のみであっても、ケンドルやRIZOILなどメーカーのホームページやデータシートを注意深く確認するとグループIIの記載があることが確認できる。 先述の【表1】をご覧になっていただくとわかるが、グループIIオイルは鉱物油ながら非常に高い粘度指数を持つオイルが多く、格上のグレードに迫る性能のエンジンオイルもあることが分かる。 なお、筆者はキャブレター車にはケンドルのエンジンオイルを愛用している。 余談であるが2023年1月現在、グループⅣやグループⅤなどの「100%化学合成油」は3,000円/Lを割ることはないだろうが、グループIIIの「全合成油」であれば1,000円/ℓ前後で手に入る。 近所のホームセンターやガソリンスタンドで購入できる少しグレードの高いオイルは、ほぼこのグループIIIのエンジンオイルであるといっても過言ではないことであろう。 問題はその表示方法だ。市販のオイル缶には、APIのグループ分類で表示されているものがほとんど見当たらない。 クルマ好きのオーナーであっても「全合成油 = 100%化学合成油」という認識をしてしまいそうな表示である。 繰り返すが「全合成油」として販売されるグループIIIのベースオイルは、あくまでも水素化分解処理済みの「鉱物油」である。 紛らわしいことこのうえない。 なお、この問題は北米で訴訟となっている。水素化分解処理された鉱物油(グループIII)をカストロール社が化学合成油として販売したため、モービル社より不当表示として訴えられたのだ。 結果はモービル社が敗訴しカストロール社の主張が認められた。 これ以後、モービル社も自社製品にグループIIIオイルを使用するようになったという経緯がある。 ▲化学合成油によるオイル漏れを心配するよりも、根本的にエンジンをオーバーホールした方が良い場合は多々存在する。オイル漏れを化学合成油だけのせいにしてはいけない ■触媒装着車への旧車用エンジンオイルや、亜鉛とリンを含んだ添加剤の使用について 触媒が装着されているクルマに旧車用エンジンオイルを使用する場合は注意をしたい。 もともとエンジンオイルには、亜鉛とリンをベースとした添加剤が摩耗防止剤として必ず含まれているが、旧車用エンジンオイルのなかには、この添加剤が配合されていることをセールスポイントにしているものが存在する。 注意すべき点は、この亜鉛とリンを含んだエンジンオイルが、オイル上がりやオイル下がりなど何らかの原因で燃焼して排気ガスとなって触媒に流れてしまうと、触媒の機能低下を促進してしまうことが報告されている。 これは、亜鉛とリンを使用した旧車用のエンジンオイル添加剤も同様だ。 触媒は車検に必ず必要かつ入手困難な場合が多いため、丁重に扱いたい。 現代車のエンジンオイルでもこの亜鉛とリンをベースとした添加剤は使用されているが、規格として極限まで少ない配合となっている。 昨今では、液体チタンや有機モリブデンなどを代替としているメーカーもあれば、変わらずふんだんに亜鉛とリンをベースとした添加剤入りをアピールしているメーカーもある。 触媒装着車に旧車用エンジンオイルを使用する場合は、事前に販売元に確認が必要であろう。 気になる方は「ZDDP(またはZnDTP)」というワードで検索してほしい。 ▲かつてケンドル社のエンジンオイルは亜鉛添加剤入りがセールスポイントだったが、触媒への影響から亜鉛から液体チタン配合に切り替わり、APIの新規格SP取得と同時に液体チタン配合も終了・・・。SN規格のままのバルボリン社は変わらず亜鉛&リン添加剤(ZDDP)入りとのことだが・・・ ■旧車のオイル選びは奥が深い できる限りかんたんに旧車のエンジンオイル選びの注意点についてまとめたつもりではあるが、それでもさまざまな検討ポイントがあることがおわかりいただけたであろうか。 DIYを志す方であれば、エンジンオイル選びにもこだわりを持たれることであろう。 ときにはメカニックや専門家にアドバイスをもらうことも必要であるが、自身の感性をMAXにして愛車と向き合うこともとても重要だ。 旧車に使用するエンジンオイルは、最新のものが最良ともいえず、現時点で最良のものを見つけ出したとしても、それがいつまでも販売されているとは限らない。 場合によっては常に最良のエンジンオイルを探し、何種類もの銘柄のオイルをソムリエの如く交換するオーナーもいることであろう。 いずれにせよ、正しい知識をもって愛車のエンジンオイル選びをしたい。 次回も旧車のエンジンオイル交換について続編を執筆させていただくので、興味があれば、次回を期待して待っていてほしい。 ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [画像・AdobeStock、ライター・撮影/クマダトシロー]

旧車オーナー向きな人 or 向かない人なんて、あるのかな?
ライフスタイル 2023.01.18

旧車オーナー向きな人 or 向かない人なんて、あるのかな?

■ひとくちに「旧車」といっても・・・ 毎回のように述べていることだが、そもそも「旧車」という単語が表すものが、何年以前に生産されたクルマの総称とするか? によっても判断基準は大きく変わってくる。 例えば税制上の冷遇措置が始まる年代以前とするなら、初年度登録から13年を経過すると旧車となり、20世紀までに生産されたクルマと規定すれば、2000年までに生産されたクルマが旧車ということになる。 でもね、そうなると、初期のハイブリッド車や電気自動車も旧車というカテゴリーに入ってしまう。 ▲税制上、初期のプリウスはすでに旧車だし、20世紀に生まれたクルマではあるけれど… もちろん、もっと時代が先に進めばそれもアリだろうけど、今ここでいう「旧車」とは違う存在と感じてしまうのだ。 そこでここでは、生産後30年以上経過したクルマを「旧車」と考えることにする。 つまり、バブル時代真っ盛りで多くのニューモデルが誕生した1992年までに生産されたクルマだ。 ■80年代半ば以降の国産車は、旧車といっても装備は充分 でもね、国産車の場合、80年代の半ばを過ぎると、ほぼ全車がフル装備。 エアコン、パワステ、パワーウインドウといった快適装備付だから、ABSやエアバッグなどの俗にいう安全装備を除けば、今のクルマとの機能差はないに等しい。 旧車でも、80年代半ば〜92年モデルを選ぶ主な基準は、スタイルが気に入っているとか、安全装備は重量増に直結するから避けたい、昔乗っていたモデルにもう一度乗りたい、といったところではないだろうか。 ボクのデカレディ(S130型フェアレディZ 2by2)の選択基準は「昔乗っていたモデルにもう一度」という基準に該当する。 さらに、昔はカッコ悪いと思っていた2by2のスタイルも、今では利便性とのバランスに優れると感じて気に入っているし、エアバッグやABSにさほど重要性を感じていないのも事実だ。 このように、理由をこじつけることができるなら、間違いなくこの新しめの旧車オーナーの資質を備えているといえる。 要するに、自分の選択の正当性を主張することができれば大丈夫というわけだ。 ▲ボクは95年頃、真っ黒のGHS130(280Z 2by2)型フェアレディを仕事のアシに使っていただけに懐かしい!! すでに40年級の旧車だけど、エアコン、パワステ、パワーウインドウという快適装備もバッチリなので実用性も高い ■公害対策に翻弄されていた時代の国産車はチィと不安・・・ 1973年にはじまる排気ガス規制。 日本の規制は厳しいといわれていたカリフォルニアよりもハードで、各メーカーが対策に四苦八苦することになったわけ。 それでもなんとか規制値はクリアしたものの、クルマの大きな魅力である「運動性能」は、規制前のレベル以下となり、多くのファンが涙した時代がはじまったのだ。 この1973年に始まる暗黒時代は78年施行の53年規制まで続いた。 でも各メーカーの懸命な努力により、三元触媒コンバーターの実用化に成功。 走行性能を取り戻しながら、規制値達成の実現が可能となり解決し、再びハイパワー競争の時代に入っていくわけだ。 この時代のクルマは、暗黒の時代であった歴史なんか気にせず、純粋に「かっこよさ」を感じて選択する、比較的若い世代の人に人気が高いようだ。 ボクがつい最近まで愛用していたHB310型サニーやアニメ「頭文字D」以来人気となっているFC3S型RX-7、AE86型レビン&トレノなどが世代を代表するモデルといえる。 また、TA40系カリーナや、TT&RT100系コロナ、910型ブルーバードなど、フツーの四角いセダンモデルも注目度上昇中だ。 ▲排気ガス対策黎明期のクルマだからパワーはなかったけど、社外品パーツが豊富なので、チューニングも自在。自分仕様のスペシャルに仕上げる楽しみを満喫できる。 完全オリジナルにこだわる人にとって73~77年までのモデルは、一部の車種を除き、走行性能の点では我慢が必要だ。 また、排気ガス対策過渡期のモデルだけに使用パーツの変化も多く、オリジナルを維持することが難しい。 逆に、気に入ったスタイルを活かし、純正パーツにこだわることなく楽しむならこの年代の旧車は狙い目。 あえて不人気車を探し出し、大胆なセットアップで「オレ流」のスペシャルを作り出す・・・といった夢を抱ける人ならジャストフィット間違いなしだ。 ▲当時排気ガス規制が緩かった商用車用エンジンも狙い目だ。ボクは910型ブルーバードバンのZ16型エンジンに、ウエーバー40Φツインキャブを装着。独特の吸気音は絶品でしたよ。 ■旧車の王道、1973年以前のクルマと暮らすなら・・・ この年代の旧車には、基本的に現代車両の常識となっている快適装備が付いていないことがポイント。 ノンパワーのステアリングは重いし、窓の上げ下げも手回しなのだ。 こうした不便さを容認できない人は、充分に楽しめない可能性が高いので、相性が悪いといえるだろう。 逆に、その不便さが楽しいと感じる人や、オモシロイと笑える人にはジャストフィット間違いなしなのだ。 サスペンションの多数派はリアリジッドだし、ブレーキだって、フロントがディスクブレーキになっていれば良い方という時代。 もちろんパワーアシストなんてないから、ブレーキの感覚だって今のクルマに慣れた人には異様に重く、また、実際以上に効きが悪く思え閉口するに違いない。 でもね、この年代の旧車と波長が合う人にとって、そんなことは問題にならないわけ。 たしかに、最近のクルマと比べればブレーキは効かないけど、それなら少し早めからジワーッと踏んだら良い。 究極(?)のリジッド式サスともいえるリーフリジッド式サスの跳ね具合や暴れ具合も、「スパルタン」という、魔法のような表現で美点に変えてしまえば良いのだ。 ▲リーフリジッド式リアサスペンションだから、ノーマル仕様でも結構跳ねるし、暴れてくれるがそこがまた魅力。ボクはあえて細いタイヤを選び、このジャジャ馬娘との生活を楽しんでいる ボクも「不便さを楽しんでいる」のだが、いくら楽しくても、梅雨時のジメジメや真夏の暑さにエアコンなしは正直なところチィと辛い。 その解決策としてオススメなのが、最近注目を浴びている「電動式エアコン」だ。 一種の反則ワザともいえるが、エンジンパワーと無関係の単純な電動式なので、エンジンへの負担がないことは大きな魅力。 走行性能への影響は、基本的にエアコンキットの重量増部分だけというスグレモノだ。 もうひとつ、最近装着車両が増加中の電動パワステも注目。 どちらも、自分のモノとしては未体験なので正確な評価はできないけど、もし、うたい文句に近い性能や感触であるなら、この年代の旧車との相性がイマイチだったファンにも朗報だ。 ふたつの強力な快適装備が備われば、相性論も大きく変わってくるに違いない。 まぁ、イロイロとこじつけてはみたものの、要は、合うも合わないもその人の考え方次第ということ。 旧車を一種の文化遺産と考えるなら、可能な限りオリジナルを維持したいけど、旧いけど大好きなクルマで現代を楽しむと割り切れば、最新テクノロジーとの融合だってアリ。 大いに旧車ライフを楽しんでいただきたいのだ。 [画像/トヨタ 撮影&ライター/島田和也]

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.7
ライフスタイル 2023.01.13

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.7

■第7回 ~アルミ弁当箱と旧車の意外な関係~ どうも!「日本アルミ弁当箱協会」会長のマツド・デラックスでございます。 「旧車王」連載7回目となりました今回も「アルミ弁当箱と旧車の意外な関係」を語っていきたいと思います! ■アルミ弁当箱に描かれない車両たち その3 アルミ弁当箱には特撮やアニメ、漫画などたくさんのヒーローが描かれます。 そして、そのヒーローを助ける人間達の武器や戦闘用のメカ等も描かれるわけです。 そのなかでも比較的多いのは、空を飛ぶ戦闘機。 その点、活躍が地味(?)な車両は描かれていることが少ないようです。 今回もあえてそんな車両たちに注目して行きたいと思います。 今回は記念すべき「7回目」なので「マツダRX-7」をお送りいたします。 ■「特撮車両」最多?といわれたスポーツカー ウルトラシリーズのアルミ弁当箱で前回ご紹介した「マツダコスモスポーツ」は「生まれながらの特撮車両」と称したのですが、私にとって「マツダRX-7」は「特撮車両最多の車両!」と思っています。 先ず思い出したのが「ウルトラマン80」に登場した「スカウターS7」。 UGMのマークが印象的なクルマでしたね。 しかし、アルミ弁当箱に登場はありませんでした。 そして、このクルマはスタイリングの良さからほぼ「ノーマル」状態の特撮車両も登場します。 「宇宙刑事シャイダー」では「アニー」がイエローの「RX-7」で活躍します(残念ながらアルミ弁当箱はありません)。 また「バトルフィーバーJ」では「フィアットX1-9」の他にグリーンの「RX-7」が登場しますが、こちらもアルミ弁当箱には描かれませんでした。 やはり、アルミ弁当箱に描くのなら「フィアットX1-9」という、いかにも「特撮車両」の方をチョイスしたのかもしれません。 それとは真逆の「RX-7」のド派手な改造特撮車両も登場しました。 「超電子バイオマン」の「バイオターボ」や「仮面ライダーBLACK RX」に登場した「ライドロン」、「大戦隊ゴーグルファイブ」の「ゴーグルクーガー」等も「RX-7」がベースになっています。 しかし、こちらも見栄えがよくかっこよかったのですが、アルミ弁当箱には描かれることがありませんでした。 ■なぜ「日本車」の特撮車両はアルミ弁当箱に描かれないのか? 「フィアットX1-9」「オペルマンタ」等、輸入車の特撮車両はあっさりアルミ弁当箱に描かれています。 しかし、日本車になるとめっきり減ってしまいます。 はじめは番組の「プレスリリース」等の関係で特撮車両(実車のため)が間に合わないのか?とも思っていました。 しかし、輸入車がOKならば話は違ってきます。 筆者なりの見解では「W版権」が生じるのではないかと勘ぐってしまいます。 番組(作品)に対するものと、自動車会社(国産メーカー)に関するものがあるのではないでしょうか? そうなると「コスト」の面でさすがにアルミ弁当箱に大金はつぎ込めないとなるのでは?と思われます。 以前紹介した「バロム1」の「フィアレディ311」のように原型がわからないものはアルミ弁当箱に描かれているのですが、ベース車両がわかってしまう車両については描かれていないような気がします。 これも今となっては「謎」の一つで、あくまでも「アルミ弁当箱協会」お得意の「想像と妄想の世界」であるのです。 次回もアルミ弁当箱を通し、斜めから見た旧車をお送りいたします。 まったく脈絡のないコラムではありますが、「旧車王」ともども「マツドデラックスコレクション アルミ弁当箱図鑑」もよろしくお願いいたします。 また、アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方もぜひお声をかけてください。 次回はイベントで1月21日(土)~1月29日(日)11:00~18:00に「あさくさ小町展」&「マツドデラックスコレクション 少女漫画アルミ弁当箱展覧会」を台東区浅草の「アトリエコメット」にて展示予定です。 よろしくお願いいたします! ■イベントのお知らせ! ●「あさくさ小町展」&「マツドデラックスコレクション 少女漫画アルミ弁当箱展覧会」  開催日:2023年1月21日(土)~1月29日(日) 会場:台東区浅草4-28-14(つくばTX線「浅草駅」下車出入口1より徒歩3分) 時間:11:00~18:00https://www.ateliercomet.com ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) https://www.amazon.co.jp/dp/4907061471 ●日本アルミ弁当箱協会会長「アルミ弁当箱図鑑 厳選50 」出版への道https://www.qsha-oh.com/historia/article/matsudo-bangai-1/ ※アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●日本アルミ弁当箱協会ホームページhttps://kyokai.fans.ne.jp/arumibenntou/ ●Twitterhttps://twitter.com/keisuke38922 [撮影/ライター・マツド・デラックス(山本圭亮)]

チャイルドシートにも種類がある!?旧車に装着する場合の注意点とは?
ライフスタイル 2023.01.06

チャイルドシートにも種類がある!?旧車に装着する場合の注意点とは?

筆者には愛してやまない3歳の甥っ子と生後7ヶ月の姪っ子がいる。 最近、少し落ち着いたが、誰に似たのか、甥っ子はクルマが大好きだ。 現行車の名前はもちろん、旧車王ヒストリアで扱う年代(彼にとっては、本当の旧車なのだと気づき、感慨深くなってしまった)でも知名度の高い車種はわかるようになってきた。 現行車であるが、ジムニーシエラ、フェアレディZのカタログをプレゼントした。 そしたら、各ページの謳い文句を暗記。 グレードも判別ができるようにまでなっていた! おっと、甥っ子の話は今回の本題ではないので、ここまでにしよう(笑)。 そんな甥っ子、姪っ子とクルマで出かける際の必須アイテムのひとつがチャイルドシートである。 今回は、筆者所有の旧車にチャイルドシートを装着した経験から、読者の方々に少しでも情報共有ができればと思う。 ■同じに見えるチャイルドシート、実は取付方法にも種類が! 筆者が所有する「愛車たち」の生産された年代は、1992年〜2002年式と、10年くらいの幅がある。 それぞれの愛車を見比べると、この10年という期間において、クルマの進歩は目覚ましいものがある。 そのなかのひとつが、安全性能であり、チャイルドシートに関連する機能の進化だ。 チャイルドシートの固定方法については、大きく分けて3種類ある。 まず、現代の主流であるISO-FIXタイプ。 現在販売されているクルマは、ISO-FIXという規格にて簡単に取り付けが可能となっている。 シートの座面と背面の間に固定用のバーがある。 対応したチャイルドシートは、ワンタッチでバーに固定することができる。 確認方法としては、取り付け位置付近にマークが設置されている。 2つ目はALR(自動ロック)付きELR式シートベルトタイプ。 シートベルトを最大限に引き出した後、戻していくと引き出し方向へはロックされる構造となっている。 チャイルドシートを固定する際、緩みを少なく装着することができる。 確認方法としては、上記のようにシートベルトを操作して確認することである。 車両によっては説明が書かれている場合もある。 3つ目はELR式シートベルトタイプ。 従来からある、急ブレーキ時にロックするタイプである。 運転席のシートベルトと同様の構造とイメージしていただければ分かりやすいと思う。 このタイプの場合、チャイルドシートメーカーから、固定用の金具がオプションで用意されている。 固定用金具については、使用するチャイルドシートに合うものの確認を行っていただきたい。 これらクルマ側の仕様に合わせ、取り付け可能なチャイルドシートを選ぶ形となる。 ■同じクルマでも年式で取り付け方法が違う⁉ ここまでは、チャイルドシートの取り付け方について紹介した。 同じ車種でも、取り付け方が異なるパターンもある。 ここからは筆者の体験を交えて、説明したいと思う。 まずは、筆者の愛車であるU14型ブルーバードを例に挙げてみよう。 U14型ブルーバードは96年1月にデビューをしている。 筆者の愛車は98年4月登録の車両である。 前述のALR付きELR式シートベルトが装着されている。 しかし、96年式では、ELR式シートベルトとなる。 同一モデルでも、マイナーチェンジで安全性能がアップデートされているのである。 このような違いは、よほどのマニアでも知らないと思う(笑)。 実は、筆者の親族が96年式のモデルを所有している。 その車両にチャイルドシートを装着しようとした際、ALRの自動ロック機構がないことに気がついた。 もう一例として、T30型エクストレイルを例に挙げる。 筆者が所有しているのは、2002年式モデルである。 購入後に甥っ子が生まれ、改めて車両を確認した。 てっきりISO-FIXが装着されていると思っていたが、確認した際に装着されていないことを知った。 ALR付きELR式シートベルトは装着されているため、ブルーバード同様にチャイルドシートは装着できる。 2002年当時はまだ、ISO-FIXはメーカーオプション(工場装着オプション)の扱いとなっていたのであった。 ちょうど過渡期の時期に登場したモデルでは、このようなケースもある。 過去、クルマに詳しくない友人から、相談を受けたことがある。 「ISO-FIXのチャイルドシートを買ったけど、自分のクルマに付くのかな?」 その結末はそのことについてまとめた。 ■現代主流のISO-FIX、旧車にもあるのか!?確認方法とは? 友人は、2000年代初頭のミニバンに乗っていた。 チャイルドシートを購入する際、車名と年式で調べ、ISO-FIXという単語と装着事例を見たようだ。 購入後、いざ車両に装着する段階で、ISO-FIXが車両に無いことに気が付いたのだった。 これも、ISO-FIXがまだオプション設定のクルマだったため、起きたハプニングであった。 結果としては、チャイルドシートは装着可能なモデルに交換してもらえたそうだ。 過渡期のモデルでは、今回のようなパターンが実際にある。 では、車両に装着されているかの確認方法を説明したいと思う。 多くは後席の座面と背面近辺に「ISO-FIX」を明示する、マークやタグが装着されている。 過渡期世代の明示については異なることもあるため、各車の取扱説明書にてご確認いただきたい。 ■いざ取付け!しかし思わぬ落とし穴も ここまで、旧車にチャイルドシートを取り付けるための説明をまとめてきた。 では、実際に取り付ける段階になるのだが、ここで思わぬ落とし穴が! チャイルドシートを車両に乗せると、意外と大きいことに驚く。 着座姿勢で装着する場合では、大人と同じ一席分で収まる。 しかし、0歳児用のチャイルドシートは、背もたれを寝かせてベッドスタイルにする。 このベッドスタイルが予想外にスペースを取ることを、装着して初めて知ったのだ。 姪っ子用に購入したチャイルドシートは、ベッドスタイルにした際、左右方向に寝かせるスタイルだ。 リアシートに装着したところ、中央席分のスペースも使用するほどのスペースを要したのだ。 5名乗車出来るクルマだが、4名しか乗れなくなってしまったのだ。 前後、左右方向に余裕のある車両なら問題はないだろうが、旧車世代は車内スペースがタイトな場合が多い。 そのことも考慮し、購入を検討する際はぜひ販売店で試着させてもらうことを強くお勧めする。 ■まとめ:必要になる前にクルマの機能とチャイルドシートの種類を理解しておこう クルマの機能とチャイルドシートの種類をよく理解すれば、多くの旧車世代車両にも装着は行える。 但し、くれぐれも誤った装着とならないよう、万全の確認をしていただきたい。 筆者含め、旧車に乗りつつ次世代のクルマ好きを皆さんと一緒に育てていきたいと思うばかりだ。 [ライター・撮影/お杉]

衝撃!中東で70系ランドクルーザーが新車で販売されている!?
ライフスタイル 2023.01.04

衝撃!中東で70系ランドクルーザーが新車で販売されている!?

ランドクルーザーといえば、日本が世界に誇るトヨタのクロスカントリーモデルだ。 1951年の初期モデルの販売から現在に至るまで、約70年もの間、愛され続けているキング・オブ・SUVである。 なかでも1984年に発売開始された40系の後継モデルである70系ランドクルーザーは、2004年に日本国内での発売が終了となった。 しかし、復活を望むファンの強い要望に応え、2014年から1年ほど「30周年記念モデル」として発売された。 今回は世界でもいまだに根強い人気を誇っている70系ランドクルーザーについて解説していく。 ■ランドクルーザーの歴史 ランドクルーザーの初期モデルの誕生は1951年、米軍と警察予備隊(現在の自衛隊)からの要請により軍用車両として開発され、当時は「トヨタ・ジープBJ」という名で誕生した。 「BJ」の由来は、水冷直列6気筒B型エンジンとJ型シャーシを採用したことからこの名が付けられた。 結果的に軍用車としては三菱ジープが採用されたものの、トヨタジープは富士山の6合目まで登頂に成功し、警察のパトロールカーとして採用されることになった。 しかしジープという名はアメリカのウィリス・オーバーランド社に商標登録されたため1954年に「ランドクルーザー」へと改名し、現在のランクルという愛称で親しまれるようになった。 ■ランドクルーザーのもっとも売れたモデルは? ランドクルーザーシリーズ全モデルの世界累計販売台数(トヨタ調べ)は、2019年8月に1,000万台を超え、現在では世界170ヵ国で年間約40万台が販売されている。 1955年の20系ランドクルーザーの発売以降、本格的に海外輸出を開始した。 当初年間100台にも見たなかった輸出台数は10年後の1965年には年間1万台を超え、1960年に発売された3代目ランクル、通称40系は北米で記録的な大ヒットとなった。 当時アメリカでもっとも売れたクルマがこの40系ランクルである。 1960年〜1984年と、24年間も生産され続けた。 その結果、世界販売台数は100万台を突破するほどの超ロングセラーかつ大ヒットモデルである。 しかし、日本国内で断トツで売れたモデルはデビュー11年目を迎えたランドクルーザープラドだ。 日本で販売されているランドクルーザーのうち、9割近くがランドクルーザープラドという驚異的な人気を誇っている。 ■ランドクルーザーが世界中で愛される理由とは? ランドクルーザーは開発思想である「信頼性、耐久性、悪路走破性」を最重要視し、お客様のニーズに応えるクルマづくりを一貫して守り続けた。 これはトヨタQDR:Quality(品質)、Durability(耐久性)、Reliability(信頼性)の象徴であると同時に、「世のため、人のため」というトヨタのクルマづくりの原点でもある。 仕事、生活を営むための心強い相棒として「人の命や物を運び、移動の夢を叶えるクルマ」であり「行きたいときに行きたいところに行って、必ず帰って来られるクルマ」、それがランドクルーザーである。 アフリカのブルンジではマラリアに罹った子供を病院に移送したり、ウガンダの難民キャンプでは診療所に患者を運んだり・・・。 さらには人道支援の面でも活躍し、オーストラリアでは亜鉛、銅鉱山の地1,600メートルの坑内の移動車として、また兵庫県とほぼ同じ広さを持つ広大な牛放牧牧場で牛の追い込みに使われるクルマも存在する。 中米コスタリカでは、標高3,500メートルの人が立つのもやっとという急斜面でニンジンの収穫の足として活躍し「畑まで入っていけるのはランドクルーザーだから」と信頼を寄せていただいている地域もある。 ランドクルーザーがないと生活が成り立たない場所が地球上にはまだまだたくさん存在している。 その信頼性と耐久性の高さから現在に至るまで世界中で愛され続ける唯一無二の存在となった。 ■まとめ:中東でランドクルーザーに求められる役割とは? ランドクルーザーは特に中東、オーストラリア、アフリカで絶大な人気を誇っており、現在も70系ランクルやFJクルーザーが新車で販売されている。 これは生活で必要なためであり、日本での自家用車とは違い、主に商用車として活躍しているそうだ。 1951年の初期モデル誕生から70周年を迎えた2021年、フラッグシップモデルのランドクルーザー(ランクル300)はフルモデルチェンジし大きな話題を呼んだ。 現在、新型ランクルの納期は4年待ちとまでいわれており、注文を一時停止するほどに世界各国から注文が殺到しているようだ。 常に進化を続けるトヨタのランドクルーザーはこれからも世界中で活躍し続け、人々の助けとなり、生活必需品として、また相棒として愛され続けるであろう。 まさに「キング・オブ・SUV」の名に相応しいクルマである。 [ライター/高岡ケン]

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