ライフスタイル

所有しているからこそ分かる!旧車に乗る「5つの醍醐味」とは?
ライフスタイル 2023.06.22

所有しているからこそ分かる!旧車に乗る「5つの醍醐味」とは?

私は、Z32専門店を営む店主ですが、オーナーの一人でもあります。 私自身が、このクルマに乗ることで、お客さまにもその楽しさをお伝えしています。 長年乗っていますが、不思議と他車に乗りたいと思ったことがありません。 どんなにクルマが進化しても興味が湧かず、Z32に乗っていきたいのです。 では、その醍醐味とは何でしょうか? 改めて、考えてみました。 ■醍醐味1:とにかくカッコイイ!他車に目移りしない! これは手前味噌ですが(笑)、とにかくZ32がカッコいいのです! もちろん仕事抜きで! 何らかの魅力がなければ、ましてやカッコ悪ければとっくに乗り換えていますよね? その魅力がいつまで経っても変わることがなく、他車に目移りしないのは私自身も不思議です。 と同時に、いつまでも飽きることがなく、そして魅力が色褪せない存在(私にとってのZ32)に巡り逢えた幸運に感謝しています。 ■醍醐味2:自分だけの愛車!所有欲や優越感が半端ない! 自分だけのクルマという実感があります。 豊田章男氏が「クルマは“愛”がつく工業製品である」と語っていましたが、まさに「愛車」です。 毎日のように接する冷蔵庫や洗濯機などの「白物家電」に愛着があっても、それとは別の感情のように思えます。 しいていえば、愛用のカメラや自転車、オーディオなどの趣味の世界と同じカテゴリーではないでしょうか。 しかし、買い替えたり、数が増えていったり‥と、ひとつのものだけを長く使うケースは意外に稀のように感じます。 こんな所有物はなかなかありませんよね? その感覚がいつまでも色あせず、所有欲や優越感が継続するのは不思議です。 ■醍醐味3:クルマであってクルマじゃない!いつまでも連れ添いたい! クルマであってクルマでない感覚があります。 ポルシェを語る際に「最新は最良」という表現がよく使われますが、これは他のクルマにも当てはまると思っています。 機械として進化したものがベストであり、最新モデルに乗りつづける、乗りつづけたいという欲求は(ステータス云々はさておき)至極真っ当です。 しかし、最新モデルに魅力を感じない、敢えて不便で、最新モデルと比較していつ故障するかも分からない旧車にこそ魅力を感じる方がいます。 機械である以上、それは気のせいでしかないのですが、ときにまるで意思を持っているかのような錯覚に陥ることがあります。 デジタルではなく、機械というより、どこか人間味がある。 ハイレゾオーディオより、レコード(または蓄音機)が奏でる音に魅力を感じる方と似ているかもしれません。 その雰囲気がいつまでも失せないからこそ、連れ添っていきたいと思うのです。 ■醍醐味4:大事に乗らなきゃ!オーナーとしての志が高まる! オーナー次第でクルマのコンディションが大きく変わるのが旧車の世界。 それだけに「大事に乗らなきゃ」という愛車精神のようなものが自然と生まれます。 これぞ旧車の醍醐味と感じるか、煩わしいと感じるかによって、古いクルマに対する向き不向きが見えてきます。 私の場合、その気持ちがいつまでも失せず、オーナーとしての志が高まっていくのを実感する日々です。 ■醍醐味5:同じクルマを乗る仲間との出会いも!連帯感が生まれる! クルマはコミュニケーションツールとおっしゃるお客様がいらっしゃいます。 Z32を所有していなければ、Z32を生業とするような仕事を選んでいなかった確率が高いでしょう。 仕事であっても、同じクルマを乗る仲間と出会いが嬉しいです。 年齢を重ねるに連れて、友だちが作りづらくなりがちです。 しかしクルマという共通言語があるおかげで、年齢や世代を問わず、それぞれに人生を歩んできた方たちと知り合うことができます。 そして、クルマを介して知りあった仲間たちとは、一生の友だちになれるほどの連帯感が生まれるのが不思議です。 ■まとめ 一期一会で出会ったクルマを愛し、大事に乗ってゆく。 その価値感こそが、最大の醍醐味ではないでしょうか。 旧車は、今のクルマにないスタイル、雰囲気、味わいが堪能でき、一生飽きることのない素晴らしい存在です! ・ホームページhttp://www.Z32-Zone.com/ ・Facebookhttps://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zone/286263454768481 ・Instagramhttps://www.instagram.com/Z32_Zone.omura/ ・YouTubehttps://www.youtube.com/user/ZoneZ32 [ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]

回想・ラジオスターの悲劇(Video Killed RadioStar)
ライフスタイル 2023.06.19

回想・ラジオスターの悲劇(Video Killed RadioStar)

1981年8月1日。12時10分に放送を開始したミュージックビデオ専門局「MTV(music television)」で、開局一番で最初にオンエアされたのが、バグルズの「ラジオ・スターの悲劇(Video Killed the Radio Star)」。 という情報なら、多くの皆さんは(おおむねWikipediaなどで)ご存知のことと思います。 1981年当時のミュージックシーンでは、MTVの開局で、多くの人がこの曲で唄われているように、音楽はビデオでの再生がメインになり、ラジオは廃れてゆくのだろう、と考えていたような気がします。 ▲ダイヤル回してチューニング。ボタンはよく聴く局をプリセットできましたよね 当時ハタチそこそこのワタクシたちは、このムーブメントの真っ最中にありました。 ニューウエイヴとかテクノと呼ばれていた、新しいサウンドに夢中になっていた(ような気がしてた)ワケで。 多分リアルタイムではないけれど、夜中のテレビで「ラジオ・スターの悲劇」のミュージックビデオを観て、直立不動で機械的なアクションをするヴォーカルの不思議な魅力に夢中だったのであります。 そして時は巡り2020年代。 すなわちアレから40年経った今、果たしてラジオスターは居なくなったんだろうか? ▲シンプルで「手探り」でも操作できるインターフェイスは、今考えても秀逸 確かにメディアとしては、ラジオはメインストリームではないにせよ、未だ多くの人はラジオを聴いていますよね。 というか、リスナーの数はデジタル化やポッドキャストなどでの配信、あるいは地域を超えての聴取が可能になるなどの広がりもあり、増えているとはいえないものの、radikoなどのネット系ラジオやコミュニティFM局などのリスナーはまだまだたくさんという感じ。 すなわち、ラジオ・スターは「まだ」死んでない、のではないかと思うのです。 というわけでクルマの話でしたね。 相変わらず前置きが長くて申し訳ない。 このままだと前置きだけで終わっちゃうんじゃないかと思ったりするひともいるかもしれませんが(笑)。 さて、クルマ。車内でのメディアといえば、オールドタイマーの我々からすれば、ソレは当然「ラジオ」であり、クルマを走らせながら「ラジオ」から流れてくる音楽やおしゃべりに「耳を傾けていた」時代が、ありましたよね? あったでしょう? 特に夜中なんかに高速道路流してると、ちょっとスカした洋楽ファンの人なんかは「FEN」なんかにダイヤル合わせたりして。 ▲ダッシュボード一体型の「インダッシュ(笑)」タイプのカーコンポの一例 その頃のカーラジオって、すんげー無骨なボタンが6個ぐらいついてて。 ボタン押すと「ガシャッ」という、いかにも「機械押しましたよ」的な感触とともに、しょぼいスピーカーから流れてくる音楽が心地よかったんじゃないかと思います。 そう、あの頃のカーラジオは、無骨でシンプルでわかりやすかったですよ。 付いてるのは、大きなボタン数個とチューニング用のぐるぐる回すダイヤル。 うすボンヤリした透明なガラスかプラスティックには周波数が書かれてあって、オレンジ色の針が目的のラジオ局を指す。 クルマのラジオってのは免許取り立ての初心者からジイさんバアさんまでが安心して使えたシンプルなインターフェイスで、それは単なるノスタルジイではなく、今でもそうあって欲しいと思ったりする使いやすさがあったハズです。 ▲お金持ってない人は「コンポ」じゃなくて「カーステレオ」止まりだったか そういや、初めて所有した中古のトヨタ カリーナは、ラジオのダイヤルをグって押すと電源がONになり、ボンネットのロッドアンテナが「グワチャッッ」ってでかい音を立てて飛び出したりして。 何と半分くらいが飛び出すだけで、その後は手動で「っつつーっ」と、アンテナ伸ばしてあげないと、綺麗に受信できなかったりしたシロモノだったのです。 そうしてしばらく経つと、こんどは「カセットテープ」という媒体がクルマに侵入してきて、80年代とか90年代は「カーステレオ」とか「カーコンポ」にお金をかける奴が続出しましたね。 クルマの中は最上の音楽空間だとか言ったりしてたメーカーもあり、カーステレオが超豪華な、しかもグラフィックイコライザがチャラチャラ光ったりして、何やら賑やかな「コックピット」でクルマ走らせる、そんな時代だったわけで・・・・。 ▲カセットテープは「縦」に入れるタイプと「横」に入れるタイプがありましたね 正直、デジタル化が進んだ今は、そんな豪華なカーコンポなんて誰も積んでませんわね。 トランクにCDチェンジャーがあって、12枚も連続再生!なんて時代もあったけれど、元々「ラジオ」だった車内スペースは、時代とともに変化していき、今では小さなディスプレイであらゆる情報を(もちろんラジオも)伝えてくれます。 いや、いい時代になったもんです。 と、思いつつも、ワタクシの2馬力の助手席の下にある(そうだ!吊り下げ式だぜ!)、ガチャンと押せるボタンがついたラジオから、その、たったひとつしかない安物のスピーカーから、ときどきチューニングがズレるようなラジオの音が聞こえてくる。 すると、DJやパーソナリティの声もなんとなくノスタルジックな感じがして、そこから80年代の旧い曲なんかかかってきたら、おっさんハンドル握りながら泣いちゃいますよ(笑)。 ▲というわけで、ワタクシの2馬力は「吊り下げ型」。すなわち後付けタイプ あ、アンテナ伸ばさないとよく聞こえないんだよね。 いや、FMだって入りますよFM。当時はFM東京とNHKFMしかなかったし、ときどきNHKFMヨコハマが紛れ込んだり。 AMでいえばニッポン放送のすぐ脇に、ちょっとチューニングずらすとモスクワ放送が入ってきてたなあ、 みたいな昔話も、なかなかできなくなっちゃいましたが。 ▲ラジオのアンテナは手で伸ばす必要アリ。伸ばさないとラジオがちゃんと聞こえないっス とりあえず、ラジオ・スターは「未だ」ビデオに殺されなくて済んだようです。 [画像/Pixabay・ライター/まつばらあつし]

はじめてマツダMX-81を見たとき、脳裏に浮かんだコンセプトカーとは
ライフスタイル 2023.06.14

はじめてマツダMX-81を見たとき、脳裏に浮かんだコンセプトカーとは

■幕張メッセで目を奪われた、どこか見覚えがあるクルマ 4月に開催されたオートモビルカウンシル2023の会場で、多くのマニアが釘付けとなっていたマツダ・MX-81。 直線的でありつつも有機的なデザインを纏った古のコンセプトカーは、どこか見覚えがある佇まいをしていました。 ホイールには「design BERTONE」の文字。イタリアの名門カロッツェリア「ベルト一ネ」によってデザインされたことを主張する、楔形をした金色のボディは、私が好きな「ボルボ・ツンドラ(Tundra)」というコンセプトカーによく似たものでした。 しかし、マツダブースにボルボ車が展示されているはずがありません。 ボディ後部に回り込むと、ナンバープレートには「MX-81」と書かれていました。 私はそこではじめて、マツダ・MX-81というコンセプトカーの存在を知ったのです。 スポットライトに照らされた、ソリッドな面質が美しいボディラインに目を奪われて、何度もマツダブースを訪れました。 今日はそんなスタイリッシュなコンセプトカー、MX-81とベルト一ネ・デザインについて、少し考察してみようと思います。 ■大胆なデザインを纏った「10年後のファミリア」 まず、マツダ・MX-81について簡単にご紹介しましょう。 「10年後のファミリアはどうなっているか」をコンセプトとして制作されたのが、「マツダ・MX-81」です。当時のベルト一ネのチーフデザイナーであったマルク・デュシャンによるデザインは非常に先鋭的で、非常に低いベルトラインと広大なグラスエリア、ポップアップ式のヘッドライト、さらにはリアガラスに大きく沿うテールランプを備えた楔形のボディは、多くの人の記憶に残るものでした。 しかし、この大胆なデザインは、市販化に至ることはありませんでした。 内装はさらにエキセントリックで、運転席の目の前にそびえるのは大きなブラウン管のモニター。 幼い頃に実家のリビングルームにあった、大きな箱型のテレビを彷彿とさせるモニターをぐるっと囲むように配置されているのが、キャタピラ状のステアリング。画面を確認する視線を遮らない斬新な形状のステアリングは、MX-81の最大の特徴です。 ひし形の模様が入った布地のシートは回転式で、さらには助手席の前には大きな箱型の収納が備わり、機能的かつ大胆なインテリアが特徴的だったといえるでしょう。 ■ボルボ・ツンドラ、シトロエン・BX・・・。MX-81には「兄弟」がいる 私がマツダ・MX-81をはじめて見たときに脳裏に浮かんだコンセプトカーが、ボルボ・ツンドラ。1979年にベルト一ネによって製作されたコンセプトカーです。 ゴールドの塗色が目を引く楔型のボディラインは、当時のベルト一ネのチーフデザイナーだったマルチェロ・ガンディーニによってデザインされたもので、リアサイドの上端が引き下げられたウィンドウが特徴的でした。 インテリアには、当時としては非常に珍しいデジタルパネルを横長に配置したダッシュボードが採用されました。 ガンディーニが提案した未来的なコンセプトカーは、積み木やレンガのように真四角なデザインが特徴的だった当時のボルボにとって、あまりに先鋭的であったといえるでしょう。 結果として、ボルボがタンドラの市販化にゴーサインを出すことはありませんでした。 しかし、この楔形をした金色のコンセプトカーは、後にさまざまな「兄弟」へと派生していくのです。 そのひとつが、今回の話題の中心でもあるマツダ・MX-81。 このコンセプトカーのデザイナーは、先ほどご紹介した通り、マルク・デュシャンという人物です。 デュシャンはマルチェロ・ガンディーニのアシスタントとして、ツンドラの制作過程を目の当たりにしていました。 1979年にガンディーニがベルト一ネから離れてフリーランスへと転ずる際に、その後任としてチーフへと昇格したデュシャン。 まもなくして開発が始まったのが、MX-81でした。 ゴールドの塗色が印象的な楔型のボディだけではなく、ボディを上下に二分する彫りの深いプレスライン、華奢なAピラー、ポップアップ式のヘッドライト、モニターを積極的に採用した未来的なダッシュボードなど、多くの共通項を持つツンドラとMX-81。 シャープで先鋭的なコンセプトカーを制作するうえで、デュシャンが先輩(ガンディーニ)から多くのインスピレーションを得ていたことは疑いようがありません。 そしてツンドラとMX-81は、ともに先鋭的過ぎるが故に、市販化が叶わなかった2台でもありました。 近い時期に同じカロッツェリアで制作されたこともあり、共通したDNAを数多く有している、MX-81とツンドラ。 その一方で、2台を見比べてみると、デザイン意図が大きく異なっている箇所を見つけることもできます。 もっとも大きな差異は、サイドウィンドウの形状。 ベルトラインが低く、非常に広大なグラスエリアを有するMX-81に対して、ツンドラはリア部分のウィンドウの上端が低く、天地が狭められているのです。 この特徴的なツンドラのCピラーは、また別の「異母兄弟」に引き継がれました。 それが、ガンディーニがベルトーネ在籍時代に最後に手掛けた、シトロエン・BX(1982年発売)です。 ボルボがツンドラの量産化に対して「ノー」を突き付けたのち、ガンディーニは“ベルト一ネ的インスピレーション”に満ちたツンドラのデザインを、シトロエン・BXのデザインに積極的に盛り込んだといわれています。 2台を見比べてみると、特徴的なリアサイドのウィンドウデザインだけではなく、丸みを排除した直線的なボディラインや平面的なフロントフード、華奢なAピラーにスクエアなフェンダーアーチ、大きく寝たリアウィンドウに「く」の字に折れ曲がったリアゲートなど、たくさんの共通したデザイン要素が見て取れます。 日の目を見なかったボルボ・タンドラの先鋭的なデザインは、シトロエンのもとで5ドアに引き延ばされ、多少の変更が加えられたのちに、遂に量産にありついたのです。 シトロエンは、革新的でエキセントリックで、常に独自の哲学を貫いてきた自動車メーカーです。 だからこそ、“ベルト一ネ的インスピレーション”に満ちた大胆なデザインを量産車に落とし込み、12年間で230万台以上を販売することができたのでしょう。 さて、ボルボで量産化されることがなかったツンドラですが、後にボルボは「ちょっとだけツンドラっぽい」クルマを販売していました。 それが、1985年に発売されたボルボ・480です。 ボルボで唯一リトラクタブル・ヘッドライトを備えているモデルとして知られています。 480の最終的なスタイリングを担当したのは、ダッチ(オランダ)・ボルボのデザインスタジオに所属していたデザイナー。 そのため、480は「ボルボ内製デザイン」のクルマであり、ベルト一ネ・デザインを纏っているわけではありません。 しかし、480の楔形のボディを特徴づける低いノーズや、フロントバンパー下部に配置されたグリル・エンブレム、そしてリアウィンドウの下に横長に伸びるテールランプなどの随所から、480のデザインが、ツンドラからインスピレーションを受けたものであることが伺えます。 480のデザインの成り立ちについて、正確には、「ベルト一ネがボルボ・スウェーデン本社と練ったデザインをベースに、オランダのデザイナーがスタイリングを完成させた」といわれています。 広義で捉えれば、480は(BXと並んで)“量産化したツンドラの姿”のひとつであり、マツダ・MX-81の遠い親戚のひとりであるともいえるでしょう。 ■マツダ・MX-81をさらにモダンにしたコンセプト⁉ シトロエン・ザブリュ(Zabrus) ここまで、マツダ・MX-81を起点にして、デザインの源流をボルボ・ツンドラまで遡り、MX-81の「兄弟」と“ベルト一ネ的インスピレーション”について綴ってきました。 最後にご紹介するのは、ベルト一ネが1986年に設計した、シトロエン・ザブリュというコンセプトカー。 デザイナーは、MX-81と同じくマルク・デュシャンです。 このクルマ、どことなくMX-81の雰囲気を受け継いでいるように思えます。 全体のボディラインはMX-81よりもはるかに曲線的で未来感に溢れているものですが、細部に着目してみると、MX-81のDNAを随所に感じることができるのです。 楔形のボディを上下に分かつ深いプレスラインや、回転式のフロントシート、大きなモニターディスプレイを採用したダッシュボードなどMX-81に見られる特徴を“踏襲”しているザブリュ。 Cピラーをぐるっと囲むように配置された細長いウィンドウの形状は、MX-81のテールランプの形状とよく似ています。 その佇まいは、まるで「未来版・MX-81」のようだといいたくなります。 シトロエン・ザブリュをデザインする際に、デュシャンがMX-81のことをどれだけ意識したか、それは知る由もないことです。 しかし、未来的で大胆な “ベルト一ネ的インスピレーション”に溢れるクルマたちは、コンセプトカーや量産車を問わず、乗員への思いやりに溢れていることに気が付かされます。 乗降性に配慮した回転型のシートや、大きなモニターを採用した計器類、モニターを見る際に妨げとならないように設計されたステアリング、さらには大きなウィンドウガラスなど、“機能をデザインする”ことに対する挑戦の姿勢が窺えるのです。 だからこそ、マツダがオートモビルカウンシル2023にMX-81を出展したことには、大いなる意義があるのではないかと考えています。 美しく機能的なクルマを作ることへの挑戦の姿勢と、それに対する覚悟が垣間見える気がするのです。 [画像/VOLVO、Citroen、RENAULT・撮影/ライター 林 哲也]

知れば知るほど奥深い?ネジについて掘り下げてみた
ライフスタイル 2023.05.22

知れば知るほど奥深い?ネジについて掘り下げてみた

旧車のレストアに限らず、DIYで何かをするとしたらまず基本となるのがネジ類だと思います。 とはいっても、日常生活でもドライバーとビスと呼ばれる小ネジを締めたり、緩めたり、という行為は特にDIYを趣味としてない人でも当たり前のように行っていると思います。 今回は、ネジについて掘り下げてみようと思います。 ■ネジにはさまざまな規格と種類がある ある程度、機械関係に関わっている人ほどご存じのことだとは思いますが、ネジの種類と規格をすべて網羅している人はなかなかいないのではないかと思います。 原稿を書いておいておかしな話ですが、機械のスペシャリストになるほど、ネジの専門商社にこういうときにはどんなネジを使えばいいのかとか、現物についていたネジを持ち込んで同じものを探して欲しいと任せるかもしれません。 それくらい、使用用途に合わせた専用のネジが存在します。なので今回は主に自動車でDIY程度で弄ることが可能な範囲内に使われているネジを中心にお話しします。 慣例的には頭の部分に、+や-の切れ込みがあり、ドライバーで回すタイプのネジを「ビス」「小ネジ」と呼び、頭の形状によって「鍋小ネジ」「トラス小ネジ」「皿小ネジ」と呼ばれます。もっとも安価でよく使われるのが鍋ビスです。  ▲左から鍋ネジ、トラスネジ、皿ネジ、タッピングネジ 頭の形が六角形でスパナで回すタイプで主に鉄の棒にネジ山が切ってあるネジ(雄ネジ)を「ボルト」と呼び、六角形の主に鉄の輪の内側にネジ山が切っているネジ(雌ネジ)を「ナット」と呼ぶことが一般的です。 ナットはビスと組み合わせて使うこともあります。 ネジのピッチ部分が大きく先がとがっているものは、木ネジ、タッピングネジと呼ばれているもので、雌ネジを切っていない木製部品や樹脂部品、鉄板に直接ネジ山を切りながら締めていくという使い方をします。 ネジ山の形状はISO規格に基づいた世界共通の規格が採用されており、「メートルネジ」と呼ばれています。 一般にホームセンターや金物屋で販売されているネジはもちろん、現在世界中の自動車をはじめとする工業製品に使われているネジがこちらのネジです。 サイズはネジを切った部分の山の先端部分を計った径をmmで表し、主にクルマで使うのはM4、M5、M6、M8、M10、M12となります。  ただ、なかにはネジの径ではなくスパナのサイズで呼ぶ人もいます。 たとえば「10mmのボルト」が欲しいといわれたときにスパナサイズが10mmのボルトなのかネジ径が10mm(M10)のボルトなのか戸惑ったことがあります。 ネジの山と山の距離を「ピッチ」と呼び、同じボルト径でもピッチの数値が大きい並目と数値が小さい細目があります。 ■曲者のインチネジ 旧車王の読者の方の中にはご存じの方も多いと思いますが、イギリスやアメリカのようにメートル法ではなくインチを使っていた国のクルマの中には「インチネジ」というメートルネジとは違った規格のネジを採用している車両も存在します。 インチサイズでは1/4、3/4、1/2等の分数がネジ径やスパナサイズの数値単位に使われます。 国産車の中にも、1970年代初頭までのモデルの中には、アメリカ車やイギリス車のノックダウン生産やライセンス生産で技術習得していた時代の名残で一部インチネジが使われていることがあります。 また、シートベルトの固定用ボルトは世界共通規格としてユニファイ7/16-20(ユニファイについては後述)というインチ規格のネジが使われています。  ▲シートベルト固定用ボルト、実はユニファイという特殊な規格のネジです また厄介なことにこのインチネジにも二種類あり、イギリスの古い規格のウィットワースとアメリカのユニファイがあります。 第二次大戦時に連合国同士だったアメリカとイギリスで軍用車を融通する際に、両国のネジの規格の違いが問題となり、1940年代以降米英の車両はユニファイネジを使用しています。 ユニファイネジはボルトの六角形の頭部分にメルセデス・ベンツのエンブレムのような3本線の打刻が入っているので識別は容易です。 他にもアメリカ製のバイクや楽器、パソコンにもユニファイネジが使われています。  ▲古い輸入車等で3本線の打刻のボルトが使われていたら要注意です しかし、それでも古いイギリス車の中にはユニファイのネジの中に、稀にイギリス古来のウィットワースが使われているケースもあります。 ちなみにウィットワースは、現在でも日本では建築関係や配管関係で一般的に使われています。 水道管のジョイント部分に1/4や3/4等の分数が刻印されているのを目にした経験が一度はあるのではないでしょうか? そのため、ウィットワース規格のネジは比較的入手も容易です。 ところが、「ユニファイ規格のネジ」となると入手の難易度が急に上がります。 アメリカとイギリスで採用された規格のため、「部品の供給が安定している」という理由でアメリカ車とイギリス車のクラシックカーに手を出したところ、ネジがユニファイで苦労するというケースも……。 近年は大型のホームセンターでも輸入バイク用ネジとしてユニファイ規格のネジを店頭で見かけることもあるのですが、ユニファイ1/4-28が2本セットで400~500円です。 ミリネジで似たようなサイズでM6サイズのネジが1本10円前後と考えると、10倍~20倍です。 古いジャガーのレストアで目についたネジを一新しようとすると、ネジだけで何千円、場合によっては1万円を越えてギョッとすることもあります。 アメリカ車やイギリス車を直すときはネジはなるべくなくさないようにしてください。 ■ユニファイネジを格安で入手する方法 そんな高価なユニファイネジですが、筆者が見つけた格安で入手する方法があります。 あくまでも筆者が暮らす中京圏での話になりますが、某有名中古カー用品・バイク用品店チェーン店の名古屋の某店舗では、バイクコーナーのジャンク部品の棚にバケツに中古のネジを入れて1本10円で販売しています。 そのバケツの中のネジを辛抱強く探してみると「輸入バイク」から外したと思われる、3本線の打刻入りのボルトが何本か混じっていることがあり、1本数百円のネジを10円で手に入れることができます。 ユニファイネジのクルマのオーナーの方は、輸入バイクを扱っている店舗で中古ネジの量り売りをしているのを見かけたら、定期的に漁ってみることをお勧めします。 ■しかしメートルネジにも思わぬ落とし穴があった 我々のご先祖様は厄介なことをしてくれたもので、メートルネジにも「旧JISネジ」と呼ばれるJIS規格による日本独自の規格のネジが存在します。 ネジの径はISOネジと同様なのですが、ネジ山の「ピッチ」がISOの並目より僅かに大きくなっています。 無理にISO規格のネジに旧JISのネジを嵌めてしまうとネジ山を潰してしまうことになります。 日本では1960年代初頭からISOネジが導入されているものの、国産車でも1960年代前半までのクルマには旧JISネジが使われています。 おおむね1960年代末ごろにISOに完全移行するのですが、1960年代半ばまでのモデルにはJISネジとISOネジが混在していることがあります。 そればかりか、前述のようにインチネジが混在しているモデルもあり、インチと旧JISとISOが混在したキメラ状態のクルマもあるようなので国産車といえども注意してください。 ■同一サイズのネジにも実は種類がある ネジの径、ピッチが同じでも材質や強度、表面処理、頭部部分の形状に用途に合った種類やグレードがあります。 自動車の場合、高速で動いたり、大きな力がかかる部分が多く、特殊な形状の部品を固定する必要があります。 JISやISOだけでなく自動車の工業規格に基づいたネジが使われています。 ボルトの頭部分に4、6、7、8等の数字が刻印されていた場合は要注意です。 これは強度区分記号であり、強度区分の刻印のあるボルトが使われていた箇所は、同じ区分刻印、あるいはそれに相当するボルトを使ってください。 詳細は割愛しますが、自動車の工業規格では、旧JIS規格の強度規格に基づいた表記が使われています。 一般にホームセンターで流通しているボルトの強度は4.8、自動車では4の刻印がこれに相当します。 それ以上の数字の場合は、一般のホームセンターで売られているボルトでは強度不足を起こす危険性があります。 DIYでクルマを弄る人の中にはホームセンターで売られているボルトは使わず、メーカー純正のボルト、あるいはネジの専門商社に適合するボルトを調べてもらって取り寄せるという注意深い人もいるそうです。 重要な保安部品や強度を要する部品の脱着時は注意してください。 ▲ボルトに数字が強度区分の打刻されていたら、必ず同等の強度のボルトを使用 ■ステンレス製のネジは極力使わない 1990年代、サビ対策でステンレスのネジを使うというのが流行った記憶があります。 ステンレス製は見た目もよく、バイクカスタムではキャップボルトと呼ばれる、六角レンチを使うタイプのステンレス製のネジに交換することも見受けられます。 ところが、近年はサビ対策でステンレスのネジを使うのは逆効果という認識が広まっています。 鉄とステンレスでは異種金属接触腐食が発生し、ステンレスと接触している鉄は酸化が進みやすくなり、ボルトの周りの鉄部分の錆がかえって促進されることになります。 鉄の部品は鉄のネジで固定するのが好ましいでしょう。 しかし、熱で酸化が進みやすくボルトがすぐに折れてしまうエキゾーストパイプ周りや、下回りの常に泥水がかかってボルトが腐食してしまうような場所はステンレスのほうが良いというケースも稀にあります。  ▲ステンレス(SUS)のボルトは見た目は良いが、錆の発生の原因にも…… ■ボルト締結時は必ずワッシャー(座金を)使うべし! ビス・ボルトで部品を固定するときは必ず、緩み止めとしてワッシャーを使ってください。 ワッシャーを使うことでボルトの摩擦面の面積が増え、緩みにくくなります。 さらにスプリングワッシャー(バネ座金)を使うとより緩み止め効果が高まります。 ネジ穴が長穴や大きくなっている場合は、木工用の大きなワッシャーを使うのも一つの手です。 頻繁に外すことが多い、手の入りにくい場所は、いっそワッシャーの必要がないフランジボルトやフランジナットを使うのもいいかもしれません。 小ネジの場合、頭部分の大きいトラスビスを使ってワッシャーを省くという方法もあります。 ■締め付けは適切なトルク(回転力)で もちろんトルクレンチを作って厳格にトルク管理をするのが望ましいのですが、エンジン機関部やサスペンション本体ではなく、今回の記事で対象にしている外装品やアクセサリー類程度の取り付けであれば……。 例えばコンビレンチやラチェットレンチの場合、ちょうど一般的な大人が手で締めて動かなくなるくらいが適正トルクになるよう工具のサイズが作られているといわれています。 パイプで延長したり、ソケットレンチでグリップ部分が伸縮するタイプで標準より伸ばした状態で締めるようなことをしなければオーバートルクにはならないといわれています。 DIYはまずここから始めて、その後、トルクレンチやエアーラチェット、インパクトレンチなどの動力工具にステップアップしていくのが良いと思います。 [画像/AdobeStock、ライター・撮影/鈴木修一郎]

旧車専門店オーナーが伝えたい「旧車購入の5つのチェックポイント」とは?
ライフスタイル 2023.05.13

旧車専門店オーナーが伝えたい「旧車購入の5つのチェックポイント」とは?

私は、25年前からZ32専門店を営んでいますが、いまだ乗りたい方がいらっしゃいます。 「憧れのクルマをやっと買えるときがこた!」「昔乗っていてが、もう一度乗りたくなった!」と、当店にも購入のご相談が絶えません。 Z32型フェアレディZが、老若男女の方々に人気があることを実感しています。 ただ、当店はご希望のクルマを全国のオークションで探して、販売することはしていません。 Z32も古くなり、そのまま横流しで乗れる個体が少なくなってしまったからです。 今は、ベース車を見極めて、「長く、楽しく乗っていけるクルマ」を製作して販売しています。 その「ベース車の見極め」を失敗しないために、基本は「見た目よりも中身」で選ぶことです。 下記に、ご自身でチェックできるポイントをいくつかお教えします。 これらがチェックできれば、素人でも大事に乗ってこられたか見極めることができます。 これから旧車を購入される方は、必ず知っておく必要があります。 ■ポイント1:エンジンオイルの汚れ具合をチェックする フィラーキャップを開けて、エンジンオイルの状態を確認します。 オイルが真っ黒だったり、こびり付いていれば、きちんと交換されてこなかったことが分かります。 あまりひどい場合は、フラッシングしても内部の汚れは取りきれません。 ▲エンジンオイルのこびりつきや真っ黒な状態は危険! ■ポイント2:冷却水が錆びていないかチェックする エンジンが冷えているとき、ラジエターキャップを開けて、冷却水の状態を確認します。 茶色になっている場合は錆びていますので、きちんと交換されてこなかったことが分かります。 あまりひどい場合は、何度交換しても内部の錆は取りきれません。 ▲冷却水が錆びて茶色になっていたら危険! ■ポイント3:エンジンルームから異音が出ていないかチェックする エンジンをかけて、暖まるまでの間、エンジンルームから異音を出ていないか確認します。 気になる音が出ている場合は、きちんと整備されてこなかったことが分かります。 あまりにひどい場合は、最悪エンジン各部がダメかもしれません。 ■ポイント4:ボディや下廻りが錆びていないかチェックする ボディ全体や下廻り(リフトアップが必要です)が、錆びていないか確認します。 ボディが大丈夫でも、下廻りが錆びていれば、きちんと整備されてこなかったことが分かります。 あまりにひどい場合は、大掛かりなレストアが必要になります。 ▲ボディや下廻りが錆びていたら危険! ■ポイント5:各部オイル漏れがないかチェックする 下から見て(リフトアップが必要です)、各部のオイル漏れがないか確認します。 オイル漏れ箇所がある場合は、きちんと整備されてこなかったことが分かります。 あまりにひどい場合は、車検が通りません。 大がかりな修理が必要です。 ▲各部のオイル漏れがひどい場合は危険! ■まとめ:リフトアップは必須 「見た目よりも中身が大事」ということは、頭では分かっていても、素人では見極めが難しい点があることも事実です。 まして、ずっと欲しいと思っていたクルマが目の前にあるような状況だとしたら、衝動買いしたくなる可能性も大いにあります。 いますぐにでも契約したくでウズウズしている方に「まずは冷静になってください」と伝えても無理な話でしょう。 できれば自動車整備に精通した友人・知人に同行してもらい、リフトアップして下回りを一緒に診てもらうことをおすすめします。 リフトアップすることで初めてそのクルマの状態が分かるケースも多々あります。 厚化粧ではごまかせない、すっぴんの状態を知るのは怖い(?)かもしれませんが、安い買いものではありません。 真の姿を知る勇気と覚悟が必要な年代のクルマであることを念頭に置き、素晴らしいコンディションを保つクルマと巡り会ってください。 ・ホームページhttp://www.Z32-Zone.com/ ・Facebookhttps://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zone/286263454768481 ・Instagramhttps://www.instagram.com/Z32_Zone.omura/ ・YouTubehttps://www.youtube.com/user/ZoneZ32 [ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]

カムリのモデル廃止で国産セダンに思うこと
ライフスタイル 2023.05.12

カムリのモデル廃止で国産セダンに思うこと

去る3月22日、トヨタカムリの国内販売が終了というニュースが報じられました。 輸出モデルは製造が継続されるということですが、トヨタ車の4ドアセダンではマークX、プレミオ、アリオンがモデル廃止に。 実質カムリへ統合という形だったため、カムリのモデル廃止には驚きを禁じえません。 かつては主力モデルだったセダンも、改めて国産モデルのラインナップを見ると、トヨタではクラウンとカローラを残すのみ。 日産はスカイライン、マツダはMAZDA3(現在受注停止中)、ホンダは今年1月にアコードが生産中止(次期モデルの導入は未定)、スバルはWRXとインプレッサ、ダイハツはアルティスがカムリのOEM供給のため消滅、スズキはすでに4ドアセダン自体が消滅、惨憺たる状況です。 あるいは今まで一社、一車種は残そうと尽力はしていたとも取れるかもしれません。 ■クルマとしての魅力は悪くない スポーツカーを好む「走り屋」系の人の中にも、4ドアセダンの隠れファンという人は少なくないと聞きます。 セダンといえば実用性、快適性は当然ですが、動力性能も侮れません。 世の中には「羊の皮を被った狼」といういい回しがあるように、スポーツカーを凌ぐ動力性能を持ったスポーツセダンも存在します。 セダンは乗用車の基本形といわれていますが、快適性、実用性、動力性能をすべての項目をバランスよく満たす必要があります。 時には要人の送迎や警察車両として使われることもあり、追跡や緊急走行等、スポーツカーとは違った目的で高い動力性能を要求されることもあるともいわれています。 スタイリングの流麗さや、ハンドリングの軽快さではクーペやロードスターボディのスポーツカーに一歩譲りますが、セダンでもフラッグシップモデルともなれば、動力性能ではスポーツカーにも遜色ない性能を誇るようになります。 むしろ、少々ハンドリングが鈍重でも快適で運転しやすくドライバーへの肉体的負担が少ないため、ラクチン快適なのにスポーツカーを追い回すことができるという厄介な存在にさえなりえます。 R32~R34型スカイラインGT-Rの海外の評価には「世界最強のスポーツサルーン」「ファミリーセダンのような外見なのにフェラーリやポルシェを凌駕する性能」という声もあります。 よく、スカイラインはスポーツか否かという議論をみかけますが、個人的には筆者は「あえていうならスカイラインはスポーツカーではなくセダンのフリをしてしてスポーツカーを食い散らかす存在(スポーツカーイーター)」と考えています。 ■必要にして十分の美学 現在主流となったSUV、ミニバン、トールワゴン、キャビンスペースやラゲッジスペースの容量にはセダンでは敵うべくもありません。 しかし、よほどの大家族か、サークル活動で大人数で移動する機会が多いユーザーでない限り、3列シートでフル乗車ということはあまりないと思います。 実際の日常使用において4ドアセダンで不足を感じるユーザーというのは案外多くないのではないでしょうか? ヘッドスペースが十分に確保された4ドアセダンというのはむしろ快適なもので、適度にタイトな分、搭乗者の体がしっかりシートに固定されます。 そのため、長時間姿勢を保ってシートに座っていても案外疲れないものです。 むしろ、ミニバンのほうが余計な空間がある分、姿勢を保つのに力を使い疲れてしまうこともあります。  また、ミニバンは視界にルーフやドアサッシが入るため、箱に押し込められたような窮屈感を感じることがあります。 一方で、4ドアセダンは窓ガラスが顔に近いため、視界にルーフやドアサッシがあまり入らず、視覚的な開放感が大きく体感的にあまり窮屈さを感じないというメリットがあります。 着座位置も低く、腰高感を感じないためミニバン、SUV等のハイトボディでは得られない安定感と安心感があります。 ラゲッジスペースも本格的なキャンプギア満載で野営キャンプに挑むという人ではない限り、ワゴンタイプボディの車両のラゲッジスペースをフルに使う機会というのは一般ユーザーの日常使用ではあまりないのではないでしょうか。 日常の買い物はもちろん、定員フル乗車で手荷物程度なら4ドアセダンで十分です。 日本でのセダンのラゲッジの評価のお馴染み「ゴルフバッグ」も一般的な4ドアセダンならコンパクトモデルでも最低4人分は載るように設計されているといわれています。 そして、セダンならではのラゲッジスペースのメリットは、キャビンと完全に独立しているため騒音や匂いが入って来ないという点でしょうか。 筆者も友人との食事会でピザを買いに行ったときのことでした。たまたま何の気なしに自分のセリカではなく、親のセダンで取りに行ったことがあるのですが、あまりの匂いのキツさにトランクルームに入れて持って帰ったことがあります。 あのときほど4ドアセダンの独立したトランクルームの存在をありがたいと思ったことはありません。 もし、ラゲッジスペースとキャビンに遮る物がないセリカでピザを取りに行っていれば、数日はあの胸焼けしそうな匂いに悩まされたことでしょう。 このご時世です。 同じ排気量、セグメント、価格帯のクルマを買うなら、特に必要に迫られているわけでなくても、より大人数乗ることができ、より多く荷物が載るクルマのほうがお得と考えてしまいがちです。 しかし、乗車人数、積載量に必要以上の数値を求めなければ、スリムでローワイドの流麗なデザインに、スポーツカーにも肉薄する動力性能、安定し静寂性の高い快適な乗車空間が得られます。 某シングルモルトウィスキーの有名なキャッチコピーに「何も足さない、何も引かない」というものがあります。 素材に添加物を加えず、成分を引くこともせず、素材の良さを引き出すというものですが、基本設計とレイアウトが快適性と走行性能に現れるセダンにもいえると思います。 ■なぜ日本ではセダンが凋落した? 日本経済が斜陽化し、アウトドアブームでクロカンSUVやミニバンが台頭してきた1990年代から次第に日本の4ドアセダンの市場が縮小していきます。 しかし、1990年代後半になると、それまでのローボディデザインの反動かハイトボディの真四角のセダンに回帰します。そのなかで、トヨタも「セダンイノベーション」というマーケティングを展開します。 しかし、すでにミニバンやSUV等のハイトボディの「物理的なパッケージングの大きさ」を知ってしまったユーザーが、セダンの市場に戻ってくることはなかったようです。 近年世界的にセダンのデザインのトレンドとなっている4ドアクーペ、セミファストバックセダンの走りとなったのでは?と再評価の声も高いネオクラシック世代の国産セダン。 実は現在の日本のセダン市場の凋落の引き金となっていたとしたら、何とも皮肉な話です。 ■今後セダン復権はありうるのか? 日本では冷え込んでしまったセダン市場ですが、東南アジアをはじめとする新興国では4ドアセダンが人気のようです。 現地生産モデルでは日本ではあまり見かけなくなったコンパクトサイズの4ドアセダンがラインナップされ、日本ではハッチバックのみで展開しているマツダ2やトヨタヤリスにも4ドアセダンが存在します。  所得水準が回復傾向にある欧州でも、セダンの人気が堅調です。 冒頭のカムリのモデル廃止もあくまで日本国内仕様の話で輸出や現地生産モデルは継続なので、セダンはある程度中産階級の消費が活発でないと売れない商品なのかもしれません。 一方日本のように長らく消費が冷え込んでいる市場では、どうしても、安くて量が多いものを求めてしまいがちです。 消費者の心理に余裕がなければ「必要にして十分」というセダンの美学は響かないのでしょう。 もし日本の路上に再びセダンの姿を見るようになることがあるとすれば、日本経済が活気を取り戻したときかもしれません。 [画像/TOYOTA、MAZDA、ライター・撮影/鈴木修一郎]

DIYそれとも専門店?旧車オーナーが感じた愛車のメンテナンスについて
ライフスタイル 2023.05.07

DIYそれとも専門店?旧車オーナーが感じた愛車のメンテナンスについて

クルマと付き合う際、避けては通れないメンテナンス。 旧車となると、一筋縄でいかないことも多い。 どのように愛車の健康管理を行っていくか、筆者の経験から感じたことを今回は紹介したいと思う。 ■メンテナンス、どうすればよいの? クルマのメンテナンスは、機関系とボディ系のジャンルがあると考える。 今回は、機関系のメンテナンスをテーマにしたいと思う。 愛車家の皆様においては、手厚いメンテナンスを行っている方も多いことだろう。 不調が出る前に予防整備を行い、ベストな状態を維持する。 不調を感じ取り、対処整備を行い、調子を戻す。 どちらも走り続けるためには、必要なメンテナンスである。 旧車オーナーの多くは、中古車として愛車を手にしていることだろう。 メンテナンスを行うにあたって、自身で行うか?プロにお願いするか? これらには、それぞれのメリットや判断ポイントがあるので、紹介していこう。 ■DIY派は正しい知識と資料の確保が大切 メリット:・構造が理解できる・急な不具合にも対処するスキルがつく 冒頭に、伝えておかなくてはならないことがある。 DIYでのメンテナンスは、やり方を間違えると、重大な事故につながる恐れがある。 そのため、不安のある場合や分解整備を伴わない範囲で行っていただきたい。 現在、各種SNSを通じ、メンテナンスに関する情報が溢れている。 動画を使った説明は、分かりやすく参考になることもある。 それらの情報に触れ、同じようにメンテナンスが行えると思うことは、多いはずだ。 ただ、残念ながらすべてが、正しい内容とは限らない。 悪意を持って、間違えた方法を発信しているパターンもある。 そんなことは、もちろん言語道断である。 しかし、発信者が正しい方法や便利なやり方と思い紹介した内容が、実は危険な方法のケースもある。 そのような情報に対して、正しい方法なのかを見極めるために、受け取り側も正しい知識を備えることが必要だと考える。 筆者の場合、愛車のメンテナンスをDIYで行う機会が多い。 幸いなことに、家族が整備士の資格を持っており、メンテナンスが比較的やりやすい住環境と、恵まれていることも後押ししている。 メンテナンスをする中で、心強いアイテムとなるのは「整備要領書(サービスマニュアル)」である。 自動車メーカーが車種ごとに発行しており、整備手順や故障診断方法が記載されている。 整備士向けの内容となっているため、専門知識を備えていないと難解な内容だったりする。 ただ、構造の図解もあるため、知識を蓄えるには参考となるはずだ。 自身でメンテナンスを行わなくても「読みもの」として楽しむことができるだろう。 いざ、DIYでメンテナンスを行うに際して、注意しなくてはならないことが他にもある。 作業がうまくいかず、動けなくなった場合の対処法だ。 最悪なケースとして、レッカーで運ぶことも考え、作業場所を選ぶと良いと思う。 ■経験豊富なプロにお任せ メリット:・経験に基づく確実な整備・自身の時間を他に使える 最初は、メンテナンスをお願いしたくても、どこへお願いすれば良いかわからないものだ。 さらに旧車となった場合、なおさらである。大まかに3つの選択肢がある。 ・自動車メーカーのディーラー・整備工場・同一車種の専門店 各々の特徴を紹介していこう。 旧車のなかでも、比較的年式の新しい車種は、自動車メーカーのディーラーでも診てもらえるだろう。 もちろん年式が古い場合でも、その車種のことを理解して、整備が行える環境にある店舗の場合、引き受けてくれるだろう。 しかし、条件が合致せず、引き受けられない旨の説明をされることもある。 旧車の場合、分からずに整備を進め、他の個所を壊してしまう危険性もある。 そのリスクを考えた場合、整備ができない旨を正直に打ち明け、断ってもらうことも双方にとって、良いことと考える。 ディーラーでは、保障の観点から、純正部品を用いた整備が基本となる。 そのため、純正部品が手に入らない車種の場合、比較的新しくても整備を断らざるを得ないケースも実際にはある。 整備工場では、純正部品に限らず、適合する社外部品や流用術のノウハウを用いて整備を行うことも多い。 また、旧車を得意とする整備工場も意外と多い。 街中で整備工場を目にする際、入庫している車種や年式が(良い意味で)偏っているお店は、意外と駆け込み寺となっていることもある。 愛車で気になることがある際は、そんな整備工場で相談をしてみるのも良いと思う。 旧車となると、特定の車種に関する情報を多く持つ、専門店の存在も大きい。 専門店では、同一車種を扱っている台数が多いことから、ノウハウを活かして診断してくれるだろう。 発生している不具合が、その車種や同メーカー同年代固有のウィークポイントということもある。 そんなウィークポイントの部品や長期で乗るにあたって必要な部品を、部品メーカーと共同で新たに製造しているパターンもある。 これは同一車種を多く診ている専門店ならではの動きである。 SNSやイベントを通じて、同じ車種・年代・メーカーのクルマに乗っている仲間からおすすめのお店を教えてもらうことも、大事な手段だと思う。 ■プロならではの経験値でチェック 先日、お世話になっているディーラーで、愛車パルサーを診ていただく機会があった。 担当の方は、R32型スカイラインやN15型パルサーに乗っており、旧車への理解がある。 預ける際、気になる点を伝え、関連した不具合がないか診ていただいた。 筆者が感じていた気になる点は「高速道路を走行時、振動が発生する」という内容だ。 以前、高速道路を走行時に100km/h付近で振動を感じていた。 筆者の予想としては、タイヤのバランスが取れていないことで発生している振動と思っていた。 その後、新品のタイヤを履かせ、バランスを取り、不具合が解消されることを期待していた。 しかし、同様の速度域で再び振動が発生した。 原因はタイヤでは無いことがハッキリした。 次に、振動が出そうな部品を考えた。 4WDなので、前後の駆動を伝えるプロペラシャフト関連の部品を疑った。 診ていただく際、今までの経緯と素人なりの予想を伝えた。 預けてすぐに、原因は分かった。 フロントハブのベアリングの劣化によるものであった。 リフトに乗せられた、愛車のホイールを揺すると、ガタツキが目視できた。 経験豊富なプロの診断は、症状から的確にアタリを見つけられた。 仮に、筆者の予想を自身の判断だけで突き進んだ場合、プロペラシャフトのマウントやジョイントを疑い、おおごとになっていたことだろう。 今回、幸いなことにまだ純正部品の供給があり、交換をお願いすることにした。 DIYが多い筆者にしては「お店に頼むとは珍しい」と友人たちにいわれた。 今回、診断にて原因を特定していただき、作業内容を考え自身で行うのは困難と判断した。 ハブベアリング交換は、プレス機による圧入などが必要である。 プレス機等の必要になる設備を持っていないこと、近日中に乗って出かける予定があり、時間的余裕が無いため、作業をお願いした。 作業に1日以上かかるのではないかと思っていたが、プロの手にかかれば半日以内で無事完了した。 やはり固着等の問題はあったようだが、充実した設備、豊富な経験から乗り越えられるのはプロのなせる業であると感じた。 ■まとめ:自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる メンテナンスを楽しむのも旧車の醍醐味である。 自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる。 バランスよくメンテナンスを行うことで、快調な愛車での旧車ライフを楽しむことができるはずだ。 [ライター・撮影/お杉]

同い年の愛車のすゝめ
ライフスタイル 2023.04.28

同い年の愛車のすゝめ

私が所有するアウディ・初代TTは、2002(平成14)年製。オーナーであるライター・林も2002年生まれ。 すなわち、私と初代TTの関係性は“同い年”であるといえます。 今回のテーマは、「同い年の愛車のすゝめ」。ちょっとだけ愛車語りをしながら、私と初代TTの関係性についてご紹介したいと思います。 セルフ・オーナーインタビューみたいな感じで少し照れ臭さもありますが、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。 ■私と初代TTの年式的な結びつき 私が所有する初代TTは、FF(前輪駆動方式)に5MTを組み合わせた「1.8T」というグレードです。 発売当初の初代TTは、四輪駆動の「1.8Tクワトロ(6MT・225馬力)」のみのグレード展開。 「1.8T(5MT・180馬力)」は2001年1月に追加された、所謂廉価版のモデルでした。 MTを組み合わせた「1.8T」の日本における発売期間は比較的短く、2002年11月には、6速トルコンATモデルの登場に伴いカタログから姿を消しました。 私の初代TT 1.8Tも、先述の2年弱の発売期間の間に生産されました。 記録によれば、初年度登録は2002年7月。シートベルトの生産は2002年4月だったので、4月か5月あたりに生産されたと推測されます。 初夏にかけて、日本に上陸したのでしょう。 シートベルトの付け根にはベルトの生産年月が書いてあります。 クルマが生産された年月を簡単に推測できる手段のひとつです。 初代TTのシートベルトには「MADE IN HUNGARY」との記載も。 そうそう、アウディTTってドイツではなくハンガリーで作られているんですよね。 ハンガリー北西部にあるジュール(Győr)という工場で生産されています。 初代TTを手に入れてからしばらくは、てっきりドイツのインゴルシュタットで生産されたと思い込んでいました。 ハンガリー製と知って衝撃を受けた記憶があります。  …話を戻しましょう。 私の初代TTは2002年の春に生産されたわけですが、オーナーである私は2002年3月に生まれました。 所謂「2001年生まれの代の早生まれ」なので、初代TTとの関係性は、正確には「学年違いの同い年」ということになるでしょう。 私が愛車を手に入れた際の決め手は、年式とボディカラー(ステッペングラス・パールエフェクトというきれいな緑色)の2点でした。 私にとって「愛車が同い年であること」は、愛車との関係性を築くうえで最も大切な要素のひとつであるといっても過言ではありません。 ■ネオ・ネオクラシックとの豊かな暮らし 私の愛車、2002年式初代TTは、昨年度に晴れて(?)20年落ちになりました。 現在は「旧車」のオーナーとして旧車王ヒストリアの記事を執筆しているわけですが、当のオーナーはあまり初代TTのことを「古いクルマ」と認識していない気がします。 旧車王では「新車から10年以上経過したクルマ」を旧車と定義しているようなので、私(と私の周囲の友人たち)の感覚が異常なだけなのかもしれませんが…。 傍から見たら十分古いのでしょう。 初代TTは21世紀のクルマ。 まだまだ元気に走るし、消耗品の交換などの事前整備さえ怠らなければ、道端で三角表示板を広げてレッカーを待つ機会はそう多くないはずです。 ちなみに私の場合、自身が金欠大学生であるが故に、冷却系の消耗品が限界を迎えてしまい、ロードサービスのお世話になったことがあります(2年弱の所有期間の中でたった2回です)。 少し話が脱線してしまいました。 私は、初代TTは“ネオ・ネオクラシック”なクルマであると認識しています。 1990年代後半から2000年代前半にかけて、曲線を効果的に用いた、従来とはまったく異なるデザインを纏ったクルマが急増しました。 国産車ではトヨタ・WiLL Viやホンダ・初代インサイト、輸入車では初代TTやルノー・アヴァンタイムなどをはじめとした、エキセントリックなデザインのクルマたち。 大きくラウンドした面構成は、従来の角ばった(所謂“ネオクラシック”なクルマの)自動車デザインとは大きく異なるものだったといえるでしょう。 21世紀の到来を目前にして数多く誕生した未来感に溢れたクルマは、20年余りが経った現在においても、未だにアヴァンギャルドだと感じます。 この1980年代~1990年代のクルマ(現在のネオクラシックカー)の「定石」からの脱出を図った2000年前後のクルマ、これらを“ネオ・ネオクラシックカー”と私は捉えています。  前置きが長くなりましたが、私と“ネオ・ネオクラシック”との暮らしはとても豊かで、刺激に満ちたものです。 私にとって初代TTの“ネオ・ネオクラシック”なデザインやテクノロジーは決して「懐かしい」と感じるようなものではなく、すべてが新しい発見の連続なのです。 それもそのはず、私にとって初代TTとは、まさに産声を上げた瞬間に発売されていたクルマです。 当然、私の幼少期の記憶の中に、当時のアウディ・ディーラーに並ぶ初代TTの姿はありません。 物心がついた幼少期には、今でいう“ネオ・ネオクラシック”なクルマは数年落ちで、新規性に乏しいクルマだと捉えられていたことでしょう。 20歳になって、自身が生まれた時のことをさまざまな資料を通じて辿ってみると、幼少期に当然のように接していた自動車デザイン・自動車テクノロジーが、実は非常に新規性と先進性に富んだ、挑戦的なものであったことに気が付きました。 インターネットで当時のブログ記事を漁ってみたり、古書店で当時のカーグラフィックやTipoを探してしてみたり、オークションアプリで当時の新車カタログを落札して情報収集をしてみたりするうちに、自身の「クルマ好きの原点ともいえる幼少期の記憶」の解像度がどんどん上がってくるのです。 このような知的好奇心が満たされるような「オタ活(=オタク的活動)」に出会ったことは、私の今後のモビリティライフに大きな影響を与えたといえるでしょう。 自身と歳が近いクルマに惹かれ、いざ初代TTを所有してみて2年弱が経過した今でさえも、さまざまな「気付き」の連続です。 1/1のプラモデルを前にして、自身の最古の記憶と、自身が知り得ない古の情報を辿りながら、愛車の隅々に投影された設計思想を紐解くオーナー体験、なんとも贅沢で刺激的なものだなァと思っています。 さまざまな地にドライブに赴き、幾度も洗車を重ね、基礎的な日常整備を繰り返す日々の営みのなかで、愛車のことをより深く知り、愛車と自身が生まれた時代背景をも理解するモビリティライフ。 成人してから再会した幼馴染と接するような、懐かしくてストーリー性のある暮らしは、同い年のクルマと接する醍醐味でしょう。私の“ネオ・ネオクラシック”、最高の相棒です。 ■自身の成長と愛車のエイジングを共に楽しむ生活の在り方 私は21歳の大学生。世間的に見たら(特に自動車メディアの世界においては)、まだまだ「若い」と捉えられて当たり前ともいえる年齢です。 けれども私と同様に、製造されてから21年“しか”経過していない私の初代TTは、すでに「旧車」として扱われ、「古いクルマ乗ってるね!」といわれることも少なくありません。 なんだか不思議ですが、20歳の猫が「長寿」といわれるのと同じような感覚だと思っています。 ちなみに、20歳の猫は人間年齢で96歳らしいです。 クルマが使われる期間の平均年数はたったの13年(!)とのことなので、私の初代TTはご長寿さんということなのでしょう。 いつも酷使してゴメンネ、高齢なのに。 私のはじめての愛車であり、最高の相棒でもある、同い年の初代TT。 これからずっと、私が墓に入るまで所有していたいと願ってやまないのですが、クルマと人間では平均寿命があまりにも違います。 イレギュラーが発生しない限り、私よりも先に初代TTがお釈迦になるということは、誰から見ても明らかでしょう。 けれども、クルマはあくまでも人間が造り出した工業製品です。 すなわち、生殺与奪の権は人間にあるのです。 クルマの寿命は人間がコントロールすることができる、ということですね。 現に、幾度にも及ぶ移植手術を受け、今もなお公道を走り続けるヒストリックカーはこの世に何台も存在しています。 しかしながら、オーナーの財布の中身が尽きた場合や、移植するドナーが見つからない場合、愛車を健康な状態で保つのは非常に困難になるでしょう。 放置車両となって「寝たきり」になってしまうことは、私としては何としても避けたい。 そのためには、現在付いている部品を温存するのが最大の近道だと考えています。 オイル管理をしっかりとして、早め早めに整備工場に足を運び、愛車の弱点を知り、今後の治療(整備)計画をしっかりと立てることが、今の私にできる最大の延命術だと考えています。 そして、財布の中身を温存しておくこともとっても大事。 些細なリフレッシュに気を取られて、突然の大規模故障に対応できなくなってしまったら元も子もありません。 そのためには、意外にも「細かいことは気にしないスキル」が重要だと私は信じています。 私の初代TTも、細かいところを見たら随所に“オンボロ”が垣間見えます。 ドット欠けが著しいデンターディスプレイに、動きが怪しい燃料メーター。 外気温計もおかしな温度を指しています。もちろん、これらはすべて正常に作動するに越したことはありません。 けれども、今の私にとっては、初代TTに末永く乗るために、程々に貯蓄をしながら必要な箇所をリフレッシュしていくことが求められているのです。 私も、20歳を超えてから脂っこい食べ物が苦手になってきました。 今までよりも肺活量も落ちていて、息を切らして電車に駆け込むことが増えました。 人間もクルマも、歳をとったら少しずつ劣化していくものなのですね。 愛車にも完璧を求めることなく、程々に適当に、都合の悪いところは見て見ぬふりをしながら、一緒に老いていきたいなァなんて思っています。 同い年の愛車とともに過ごす毎日、なかなか良いモノですよ。オススメです。 [画像/Adobe Stock、TOYOTA、HONDA、RENAULT・撮影/ライター 林 哲也]

改めて思う「2ストロークエンジン」っていいよね
ライフスタイル 2023.04.26

改めて思う「2ストロークエンジン」っていいよね

前回「2ドアセダンっていいよね」とか言ってたワタクシ、今回も「2」という数字にかかわるおはなし……。 ■現代の旧車たちが「まだ新車」だった頃 旧車王をお読みの皆さんなら、モチロン2ストロークエンジンについてご存知ですよね。 旧車たちが「まだ新車」だった頃のおはなし。 それは昭和時代……。 原付やスクーター、それに500ccくらいまでのバイクの多くは2ストロークエンジンを積んでいたし、多くの軽自動車も2ストロークエンジンの車が結構走ってましたよね。 詳しい仕組みは省くとして、シンプルな機構と軽快に回ってレスポンスの良いエンジンとして、多くのクルマやバイクに積まれていた2ストロークエンジン。 平成令和と年を重ねてゆくうちに、いつの間にかほとんど見なくなってしまいました。 ■2ストマシンのノスタルジー オールドファンの方々であれば、アクセル回して(踏んで)瞬時に答える「パランパラン・・」という独特の音と、マフラーから吐き出される薄青っぽいケム・・・いや、排気煙。 3000回転以下でクラッチーミートすると「ボボボボボ・・」とか言ってストールしそうになるけど、回転数を取り戻すとアッという間にフケ上がるエンジン特性。 こまめにエンジンオイル足してあげないとエンジン壊しちゃうし、燃費も正直あまり良くない。 けれど、2ストロークマシンが通り過ぎた後の、なんというか独特の匂いに、ノスタルジーを感じちゃう人も結構多いでしょ? 40〜50代以上の人なんかは、ねえ。 まあ、今の世の中「ただクルクル良く回る」ってだけで(だけじゃないけど)、正直環境にも良くないしガソリン喰うしで、ほとんど絶滅しかかっている2ストロークエンジンのクルマやバイク。 それでもときどき街の中で、ケム吐きながら独特の音を立てて通り過ぎる2ストバイクの音に振り向いたり、旅行に出かけた先の山奥や小さな漁港で、地元のジイさんの乗る2ストの軽トラが通り過ぎた後の匂いに泣きそうになる。 そんな経験あるかもしれませんよね。 ■2ストローク初体験 2ストロークのクルマやバイクが廃ってきた理由とか、そんなのは正直どうでもいいんですよ。 でも、今では「珍しい」というか、ほぼ「絶滅種」のライチョウとかトキとかシーラカンスみたいな存在になってしまった2ストロークエンジン車のことについて、少しは思い出してみようかな、とは思っているのです。 2ストロークマシンの初体験は、多くの昭和30年代〜40年代生まれの方々同様、ほとんど原付バイクですよね。 ヤマハのミニトレだったり、スズキのミニクロだったり。 ところがワタクシはホンダ派だったので、初めて乗ったバイクがスーパーカブで、自分で初めて買ったバイクがCB50JX-1という、4ストロークのバイクだったのです。 まあ、これに乗って友達といろんなところ(なんとヤビツ峠も登った!)に出かけたものです。 ということで、ワタクシの2スト初体験は、その後に中古で買った、ヤマハDT125というオフロード車。 なんでこれ買ったのかといえば、世界で初めて市販車で「モノクロスサスペンション」を積んだバイクだったから。 今では珍しくもないリアサスペンションが「1本」というスタイルが、このバイクから始まったようなモノ。 正直それ以外には、背は高いし音うるさいし結構振動するしケム吐くしで、多摩川の河原やよみうりランドの近くにあった多摩サーキット以外では、あまり面白くなかったような思い出があります。 ■超トンがってたフロンテクーペ ところが! ところがですよ。 ワタクシが20代の頃に、とんでもないクルマを安く手に入れたことがあるのです。 それは、あの!スズキの初期型(71年)フロンテクーペ。なんと2ストローク360ccの3キャブ!(ほとんどバイクじゃん)。 駆動形式はRRで2シーター。 2人しか乗れない小ちゃなスーパーカーみたいなやつで、しかもタイヤが10インチの「合わせホイール」という特殊な形式で、ラジアルタイヤ履けない(笑)という、なんかイロイロおもしろいクルマでした。 なにしろRRなもんだからフロントが軽い軽い。 雨の日なんて走らせると直進するのが難しいくらいだし、例によって3000回転以下は使い物にならないので、常にバンバン吹かせて、ドカンとクラッチミート! サスペンションはカート並みで、首都高走ると継ぎ目の度にボディ全体がギシギシ言い出す始末。 しかもガソリン喰うわオイル喰うわで経済観念ゼロ(笑)。 加速中にルームミラーを見ると、ほとんど真っ白(笑)でケム吐きまくり。 内装も真っ黒の中にメーターが6個も横にずらりと並んで、まるで松本零士の描く宇宙戦艦ヤマトの艦内みたい。 というように、正直「むちゃくちゃオモシロかった」クルマなのです。 難儀したのが車検で、スズキのディーラーに持っていったら、露骨にヤな顔されて(笑)、今整備できる人が少なくて……と、1ヶ月くらい待たされた覚えがあります。 なんでも3連キャブの調整ができないので、近くのバイク屋さんに外注したという話を聞いたりしました。 ■超トンがってたRZ250 また、当時ワタクシは、RZ250の初期型も所有しており、バリバリの2スト野郎という感じで、毎日ケム吐いて過ごしていたようなモノでありましたよ。 こちらも興味本位で買っちゃったわけですが、山道走行時のバンク中に、ヘタにアクセル開けると怖い目に遭ったり、音がうるさいので早朝は大通りまで押して歩いて、そこでエンジンをかける、みたいな気遣いが必要だったのですが……。 まあ、この2ストの2台、合わせて5気筒600ccほどの排気量の乗り物も、結婚を機に売り飛ばしちゃったんですけどね。 ■2ストロークのマシンって、いいよね そんなわけで、ワタクシは今でも2ストロークエンジンの、パランパランという乾いたサウンドや吐き出されるケムリ。 ほのかに漂う燃えたオイルの匂い。 そしてエンジンを止めた時に訪れる「シーン」という静けさ。 そしてやはり、止めた後でもなんとなく匂ってくるオイルの香りを思い出す度に、ああ、2ストロークのマシンって、なんかよかったよなあ、という気がするのです。 あの刹那的にビヨーンって吹け上がるエンジンの音と振動、そして目まぐるしく動くタコメーターの針が、結構好きだったのかな、と思ったりするのです。 2ストロークのマシンって、いいよね。 [ライター/まつばらあつし]

ベテラン旧車オーナーがひそかに心がける、愛車維持の秘訣とは?
ライフスタイル 2023.04.17

ベテラン旧車オーナーがひそかに心がける、愛車維持の秘訣とは?

昨今の旧車ブームによって、旧いクルマに対してにわかに興味を持たれた方は多いことだろう。 これまでもお伝えしてきた通り、旧車には現代のクルマにはない魅力があるのは紛れもない事実である。 しかし、相手は最低でも20~30年落ちのクルマだ。 快適装備をこれでもか!と装備した現代のクルマと同じように扱えるとは到底思えない。 同じように感じる方は少なくないだろう。 旧車に憧れはあっても、実際に手に入れようとすると、どうしても購入をためらってしまうことは決して不思議なことではない。 クルマは自身の生活の一部分になるものだ。 初めて旧車を購入しようとする方にとって、旧いクルマを一筋縄に扱えるか、不安なことこの上ないものだろう。 筆者自身、プロ・アマチュアにかかわらず、数多くの旧車愛好家とお付き合いをさせていただいている。 これらの観点および自身の経験も含め、これから旧車を購入予定の方に少しでも参考になるように、愛車を末永く維持して旧車ライフを満喫できるヒケツを紹介したい。 ■旧車の不便な部分とは? ▲エアコンが備わる前の旧いクルマ独特の装備、三角窓 この記事をご覧のあなたは旧車、すなわち旧いクルマは現代のクルマに比べて、何かと不便な部分が多いイメージをお持ちではないだろうか?  当時を知る由もない、とくに20代の若いオーナーにとっては、憧れの旧車とはいえ、自身が生まれる前のクルマの購入を考えたときに悩みがちな部分であろう。 ある程度、歳を重ねたベテランオーナーには当たり前のことかもしれないが、ここで具体的にどのような部分が不便なのか、ここで一例を挙げてみよう。  ●「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」が装備されていない 昭和や平成初期の中古車には、「フル装備」と表示がされていたが、これは「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」の3点を指す。  ある一定の年代より旧いクルマは、これらが備わらない車種が多いため、快適性能からして劣るイメージを持たれる方が多いよう感じるが、まずこの部分から考えてみよう。  なお、エアコンについては後述する。  パワステ(パワーステアリング)については備わらなくとも、カスタムなどで極端に太いタイヤを履かせていたり、小径ステアリングを装着していない限りは、それほど困ることはないだろう。  ステアリング操作の軽い現代車に慣れてしまっていると、やや旧車への抵抗感を感じるかもしれない。 しかし、クルマが停車した状態で無理に据え切りをせずに、少しでもクルマが動いている状態でステアリングを切るなど、当時、誰もが行っていた運転方法に慣れれば、それほど苦にならないはずだ。  思えば、筆者の母も当時細い腕で、ノンパワステのVWゴルフを転がしていたものだ。 次に、パワーウィンドウが備わらないクルマについて述べよう。  よく、パワー(いるんです)ウィンドウなどと揶揄されるが、そんなことはない。 レギュレーター周りのメンテナンスがしっかり行き届いていれば、窓の開閉が重いということはまずないはずだ。  むしろ筆者はクルマを修理する観点から、旧車にパワーウィンドウが装備されていると、逆に身構えてしまう。 まずパワーウィンドウの開閉スイッチは、そもそも旧車でなくとも壊れる可能性が高い部品であるし、経年劣化によりモーターやレギュレーターが傷んでいるクルマが多い割には、部品の供給を心配しないといけない部分でもある。 偏った考えではあるが、パワーウィンドウが備わらないことで、イグニッションスイッチがオフの状態、さらにバッテリーが上がっている状態でも窓の開閉ができるといえば、これは意味メリットではなかろうか?  パワステにしても、パワーウィンドウにしても、無くてもなんとかなるものではないだろうか?  最後にエアコンについて述べる。  エアコン(エアーコンディショナー)とは、その名の通り、空気を調整する機能だ。  クーラーとヒーター両方の風を混合(ミックス)し、室内空間をドライバーにとって快適な温度と湿度に調整する機能がエアコンである。 少なくとも70年代前半までのクルマには、エアコンという概念がないクルマが数多く存在する。 ヒーターと三角窓(画像参照)のみ備わるのだ。 旧車であれば、現代のクルマには絶対にない三角窓やクロッチクーラー(外気取り入れ口)といった装備がある。 これらはドライバーの体感温度をそれなりに下げてくれるが、気温40℃を超えることもある昨今の猛暑では完全に役不足だ。  旧車にはクーラーのみ後付けできることが多い。 これは当時からの贅沢な手段ともいえる。  旧車にクーラー装着はエンジンに悪影響があり、NGという意見もあることは確かだ。 しかし、昨今のクーラーキットは旧来のものに比べ、コンパクトかつ性能が良く、とても冷えるものが多い。 高額な装備ではあるが、検討してみても良いと思う。 ●現代のクルマでは当たり前のものが装備されていない その他、旧車にはナビやドライブレコーダーはおろか、ETCも後付けが当たり前、ドリンクホルダーなども当然のごとく備わらない。 リモコンドアロックなど、もっての外だ。 シートについてもフルフラットはおろか、ある年代より旧くなるとリクライニングすらできない車種もある。 ビジュアル面からのイメージが先行して、こういった部分を知らずに旧車を購入してしまい後悔したという話もないわけではない。 ■多少不便な部分があっても、まずは自分をクルマに合わせる ▲エアコンが備わらないクルマの、後付けクーラーの一例 ここまで、ほんの一部分ではあるが、旧車の不便な点を解説した。 今日は空前の旧車ブーム真っただなかであり、業界はとても賑やかだ。 旧車であっても、自分好みのカスタムを楽しんでいるオーナーは多く存在する。 なかには旧車カスタムの域を超え、旧車の不便な部分をフォローすべく、現代の最新デバイスを装着する例も決して珍しくはない。 極めればそれをレストカスタムとも、魔改造とも呼ぶ。 いかんせん旧車の構造は現代車に比べれば、とてもシンプルである。 例えば、クラシックな鉄板製のダッシュボードを切削加工して、最新の2DINナビを装着することも可能であろう。 リクライニングができないシートの代わりに、現代車のパワーシートをシートレールごと溶接して装着する方法だってある。  筆者も20代の頃は個人的に、このようなカスタムが好みであったが、皆さまはいかがお考えだろうか?  不便だからといってあまり深く考えず、これ見よがしに最新装備を旧車に移植するようでは、何のために旧車に乗っているのか分からない。  一度加工したものを元に戻すことはとても面倒である。 そもそも絶版となった部品はハード・トゥ・ファインドである場合が多く、失ったら最後、2度と手に入らないモノも多い。  決して、現代の装備を旧車に装着することを否定するわけではないが、その最新のデバイスが自身にとって本当に必要なものかを考えることも重要である。 多少不便な部分があっても、その当時の時代背景を考えることも、旧車趣味のひとつではなかろうか? 旧車に乗れば、現代車への進化の過程を身をもって体感できる。 なぜ、現代においてマニアがビートルズを真空管アンプとLPで聴く趣味があるのかを、よく考えてみたい。  旧車趣味も同じベクトルであるのは間違いないのだ。  なお、ベテランかつ通なオーナーは、あたかもそのクルマが新車のころのオプションを装着したかのように巧みにカスタマイズする。 筆者はこういった先輩オーナーの隠れたこだわりをみて、自分もまだまだであると感じるものである。  当時モノのモモやナルディーのステアリング、レカロシートなどが高額で売買される理由はここにある。 旧車と長く付き合いたいのであれば、自身にとって本当に足らないと感じたモノを後付けすれば良いのではなかろうか。 機能がなくなることで、その大切さやありがたみが分かってからでも決して遅くはないはずだ。 クルマを自分に合わせるのではなく、まず自分をクルマに合わせることが、ベテラン旧車オーナーへの道ではなかろうか。  ■洗車をしたら、車庫にしまわずにドライブへ  旧車は磨きがいのあるクルマが多い。  旧いクルマはその佇まいこそが特別なものであり、一切カスタムせずとも存在感のあるクルマが多いものだ。 ボディーにしっかりワックスが乗りかかり、モールに磨きがかかっていれば、多少のキズヘコミがあろうとも、凛として見えるモノだ。  旧車を手に入れれば、クルマを磨くことも趣味の一つになることであろう。  ただ、一つここで注意を促したい。 雨を浴びたり、洗車後のクルマは、ボディ内側の至る部分に水分が溜まっている。 フェンダーやトランクの裏側、足回り、そしてフロアやドアの内側などだ。当然この部分は、手の届かない部分である。 タオルで水分を拭き上げることはまず不可能だ。 では、いったいどうすれば良いのか? それは、クルマが水を浴びたらまずは走行してほしい。  クルマの内部は走行することで、至る部分で負圧が生まれる。 この負圧が、クルマに溜まった水分を吸い上げてくれるのだ。 旧いクルマは錆びるからといって、バケツに水を汲み、軽く絞ったタオルで吹き上げる。 いわゆるバケツ洗車を行うと、塗装に傷が入りやすい。 しっかりと水を使ってホコリを流したうえで、シャンプーで汚れを浮かし、入念に泡を流し、これを吹き上げる。 これこそ洗車の基本だ。  そのうえで、先述の通り、クルマを走らせることでしっかりと水を切りたい。 洗車後のドライブも、洗車の一工程といえるのだ。  ドライブから帰ってきたら、各部をグリスアップすれば完璧だ。 これも旧車維持のための必須事項だ(旧車のグリスアップについては以前の記事をぜひお目通しいただきたい)。 ■目先のカスタムよりも、メカにお金をかける ▲旧車は一筋縄とはいえない。常にメンテナンスは念頭に入れておくべきだ 憧れのクルマを購入した次には、自分好みにカスタムをしたくなったり、アクセサリーを購入したくなる。 これは至極当然のことだ。  ただ少し待ってほしい。  購入したクルマのコンディションはいかがだろうか? 購入したクルマの見た目はキレイであっても、クルマの下回り、すなわちメカの状態が悪かったということは決して珍しい話ではない。 クルマを購入するときに、下回りを見て購入することはほとんどないことであろう。 また旧車の場合、車検切れなどで、試乗をせずに購入することも多いことだろう。  購入元がメンテナンスや修理に力を入れているショップであれば心配はないであろう。 しかし、これが販売専門のショップであったり、個人売買などでクルマを手に入れた場合、まずメンテナンスを引き受けてくれる工場を探すべきである。  購入したばかりの愛車が、次回の車検に問題なく合格できるとは限らない。  大きな費用がかかる場合もあれば、入手困難な部品が必要になる場合もある。  旧車は一筋縄では行かないとよくいわれるが、こういった場合に痛感することが多い。 カスタムは、購入したクルマが本当の意味で絶好調になってからでも遅くはない。 クルマを購入してから、少なくとも最初の車検を通すまでは、しっかりメンテナンスの予算を用意しておくべきだ。 ■とにかくクルマに乗ろう!使用による傷はなんのその ▲さほど使用せずとも、家庭用充電器では完全放電したバッテリーの充電は難しい どうしても愛車を大切にしている気持ちから、なかにはセカンドカーを購入し、クルマをガレージにしまいがちになるオーナーもいることだろう。 そして、それは筆者も同様だ。 色々な要因があると思う。  雨風に愛車をさらしたくないといった、至極単純なことから、燃料の高騰が叫ばれるなか、燃費が悪いため、ガソリン代がかさんだり、絶版部品が多く、できる限り事故に遭いたくなかったり・・・。  しかし、旧車を放置するとロクなことがない。  まず、キャブレター内のガソリンが劣化しエンジンが掛かりづらくなる。 さらに、ガソリンタンク内は結露が発生するため、ガソリンに水分が混じりやすい。 そしてこれがタンク内部の錆の原因となり、これが燃料ポンプの故障の原因ともなる。  タイヤは常に地面に接している部分に力がかかるので、丸いタイヤが四角く潰れる。 これがいわゆるフラットスポットだ。 このまま走ると、バタバタとした振動が不快なこと極まりない。 バッテリーも短命になる。 充電器を繋げれば良いと思われるかもしれないが、一般的な家庭用充電器は劣化して抵抗と化したバッテリーの過充電を避けるため、50%以上容量が消耗したと思われるバッテリーの充電を行わない。  バッテリーを交換するか、ブースターケーブルを繋げない限り、エンジンを始動できなくなってしまうのだ。 とにかく旧車は1週間に一度はエンジンに火を入れて、それなりの距離を走るべきだ。  旧車の日常使いはもったいないという意見を耳にするが、こればかりは肯定も否定もできない。 しかし、愛車のコンディションを隅から隅まで理解しているオーナーは、やはり日常使いをしている方が多い。 筆者もその傾向にあるのだが、どうしてもバッテリーを放電しがちなほどクルマに乗らないと、自身のクルマであっても、完調なのか不調なのか分かりづらくなってくる。 旧いクルマの扱いに長けたベテランの旧車オーナーは「やはりクルマは乗ってなんぼ」であることをよく理解している。 日常的に火が入るエンジンは、隅々までオイルが行き渡り、クランクの回りも軽くとても調子の良いものだ。 とにかく乗ることが、愛車の維持管理の近道であることは間違いない。 多少の傷など、何のその。 とにかくクルマは乗って楽しもうではないか! ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]  

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