加藤久美子&博人の見識

AE86に400万円!?旧車に市場価格と同等の車両保険をつけられる?
加藤久美子&博人の見識 2022.08.09

AE86に400万円!?旧車に市場価格と同等の車両保険をつけられる?

1.旧車を盗難から守る方法とは? 自動車盗難情報局には相変わらず旧車スポーツカーの盗難が毎日のように報告されている。 ▲旧車は盗難されるとあっという間にバラバラにされてしまう 7月だけを見ても、RX-7(FD3S)、スカイライン(R33GT-R、同R32GT-R)、シビック(EK9)、スープラ(A80)…などの貴重な国産旧車スポーツカーが盗難の被害にあっている。 これらの盗難情報には「盗難対策の有無」という欄があるのだが、そこには「なし」「ハンドルロック」「ハンドルを外していた」「周りをクルマで囲んでいた」などと書き込まれている。 逆に言えば、完璧なセキュリティ対策が施された旧車は盗まれていないことになる。 これまで筆者が取材をしてきた盗難車のオーナーさんたちに、どのような対策をしていたかを聞くと、「ドアロック」「ハンドルロックとタイヤロック」「とくに対策なし」「バッテリーとハンドルを外していた」などの回答が目立つ。 正直言って…盗む方がもちろん悪いわけだが、盗まれた方も「施錠」以外に、もう少し本気で盗難対策をするべきではないかと思う。 「まさか、自分のクルマが盗まれる対象になるとは思わず、何の盗難対策もしていなかった」 「普段は夜帰ってきたら、ハンドルを外して、バッテリーも外していたのに、その日に限って外していなかった」と、嘆く被害者の皆さん、後悔してもしきれないのではないだろうか? ではどうすればいいのか? ハンドルロックやタイヤロック、ハンドルを外すなどの対策はポピュラーではあるが、実際は数分間の時間稼ぎにしかならないのが現実だ。 旧車窃盗団は数週間前から下見をしており、ターゲットとなる旧車にどのようなセキュリティ対策が行われているのか?を入念に確認している。 時にはセキュリティが作動するのか(どのような音が出るのか)なども確認している。 ▲セキュリティアラームを付けるなら多少高くても確実な取り付けができるお店で ハンドルロックやタイヤロックをしているクルマにはそれらを簡単に切断できる道具を準備し、ステアリングがない場合はサイズの合うステアリングを、バッテリーを外している場合はバッテリーを持参して盗みにくるのだ。 理想の盗難対策はゴルゴ、パンテーラに代表される国産セキュリティを専門店にお願いして確実に取り付けることである。 これがもっとも「盗まれにくい」方法といえる。 価格にして30~40万円とかなり高額にはなるが効果は絶大である。 ▲誤報ゼロの国産セキュリティなら安心!こちらはユピテルのパンテーラ そして大事なことは高級カーセキュリティでも誤報が多いのはダメ。 例えば、地震や豪雨や台風による影響で誤報を多く出してしまうセキュリティでは、オーナー自身が「近所迷惑」だと思ってアラームを切ってしまう。 東日本大震災のあと、高級セキュリティを装着したR32スカイラインGT-Rが東北~関東各地で盗難被害にあったのもこれが理由である。 2.市場価格と同等の車両保険はつけられる? 盗まれてしまった後の対策としては、GPSで追跡する方法が有効だ。 GPSなんてすぐ外されて役に立たないと思うかもしれないが、ココセコムの「セコムくるま盗難監視」のように自動車盗難に特化したシステムであれば安心度も高い。 GPSで追跡して盗まれたクルマの居場所を特定し、オーナーに返還された例も実際にある。 また、最後の手段としては旧車に車両保険を付けることだ。 一般的な車両保険ではどれだけ価値がある旧車であっても、たとえば400万円で購入したAE86でもせいぜい保険金額は50万円以下。 さらに通販型の自動車保険では初度登録から15年~20年など一定の年数を経たクルマの車両保険は新規の場合は一律に引き受け拒否される。 新車時から継続して保険契約を行い、そのうえで15年を超えた場合などには継続して車両保険を付けられることもあるがその場合も保険金額は低額となる。 しかし、旧車に市場価格と同レベルの車両保険を付けることは不可能ではない。 同じ代理店型損保でも、「車両保険の金額は年々下がってR32GT-Rで60万円」というケースもあれば、「19歳オーナーが所有するAE86に新規で購入額とほぼ同じ360万円の車両保険がつけられた」というケースもある。 ▲ShowさんのRX-3 奥に見えるのはFDをベースにした『RX-7 Fortune』 この違いは何なのか? 筆者の友人であるRX-3オーナーShowさんは現在の市場価格と同レベルの800万円の車両保険を付けているが、どうやってつけたのか? Showさんの保険担当者である損害保険代理店の保険代理店、株式会社ソナエル(千葉県東金市)代表の泉明弘さんに聞いてみた。 「『特認』と呼ばれる制度で諸条件をクリアすれば、購入額と同程度の車両保険がつけられます。車種はもちろん年式や走行距離など同条件のクルマが中古車市場でどれくらいの価格で取引されているか?などを丹念に調べます。金額が決まると、保管状況をチェックします。かなり厳しい条件をクリアすることが必要となります。 私が旧車スポーツカーの保険を扱うときには、自宅までうかがって、・車庫にシャッターがついているか・そのシャッターは施錠できるか・クルマはきれいな状態で保管されているか?・周囲を壁に囲まれたしっかりした車庫に入っているか?・どのようなセキュリティ対策が行われているか? などを確認します。 他にも諸々の確認事項があります。 自宅から離れた露天の駐車場など、セキュリティしっかりしていない場所で保管されている場合には盗難のリスクが高いので、購入額と同レベルの車両保険を付けることはまずできないでしょう。 あとは、盗難リスクの高い千葉県や茨城県などの特定エリアも難しい場合があります」 かなり厳しい条件にはなるが旧車であってもマンションの駐車場であっても市場価格と同レベルの車両保険を付けることは不可能ではなさそう。 保険屋さんとの信頼関係を重ねていくことも重要な条件となる。 「もし盗難されて800万保険金がもらえても、同じクルマは2度と手に入りません。長い時間をともに過ごした家族同様の存在です。盗まれないように最大限の対策をしてください」 とShowさんは付け加えてくれた。 ▲解体ヤードに運び込まれると盗難車が返還される可能性は限りなくゼロになる また、保険契約の条件などがやや緩く、年間の保険料がリーズナブルなチャブ保険の「クラシックカー保険」なるものをご存じだろうか? 条件としては、・製造年から25年以上経過した国産車および輸入車(二輪自動車を含む)・年間走行距離が5,000km以内・通常走行が可能な状態にある登録車両(ナンバープレートの付いた車両)・レプリカや改造車はダメ 次回はこの「クラシックカー保険」を扱う保険会社に取材をして詳細をお伝えしてみたい。 [撮影・加藤ヒロト、Showさん/ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]

旧車にも関わり深い米国「25年ルール」。その歴史や本来の目的は?
加藤久美子&博人の見識 2022.07.07

旧車にも関わり深い米国「25年ルール」。その歴史や本来の目的は?

近年、旧車の世界においては何かと話題にあがる「25年ルール」。 多くの人がこのワードを聞いて連想するのは「国産スポーツカー」や「海外輸出」、「価格高騰」、「JDM」などだろうか。 自動車メディアが「25年ルール」について触れる機会も増えているようだが、制定された経緯や歴史、本来の目的など詳しいところまでは触れていない。 そこで今回は「25年ルール」について正確な情報をお伝えしたいと思う。 ■「25年ルール」は、規制ではなく、例外 日本では「25年ルール」と呼ばれている法律の正式名称は “Imported Vehicle Safety Compliance Act of 1988, Pub. L. 100-562, 102 Stat. 2812” となる。 前半部分は直訳すると「1988年輸入車安全適合法」となり、アメリカの法律ではよくある「一般名称」だ。 後半の “Pub. L.” とはこの法律が「公法律」、“100-562” とは「第100議会において562番目に成立した公法律」であることを指す。 最後の “102 Stat. 2812” とは、「制定順法律集(Statutes at Large)」の「第102巻2812ページ以降に掲載されている」と説明している。 だが、いちいち長ったらしい名前で引用するのは大変なので、“Imported Vehicle Safety Compliance Act (IVSCA)” と呼ばれることが一般的だ。 ▲LAで毎年秋に開催されている「日本旧車集会」は2021年10月で16回目を迎えた 実際に法律の内容を見ていこう。 内容を要約すると、「連邦自動車安全基準に適合しないクルマは輸入できない」とするもの。 アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)のうちの、税関や国境警備を担当する部門「アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)」によれば、適合しない輸入車は適合作業、再輸出、もしくは破壊のいずれかを施さなければならないと案内している。 だが、ここで肝心なのがこの法律に規定されている「例外」だ。 ここでは「連邦自動車安全基準に適合しない外国製自動車でも、製造から25年経過していればこの法律による規制の対象外とする」と書かれており、これが俗にいわれる「25年ルール」となる。 つまり、「25年ルール」は「規制」ではなく、「例外」なのだ。 ■1988年に「25年ルール」が制定されるまでの経緯とは? 次に知っておくべきなのが、「運輸省道路交通安全局(NHTSA)」の「連邦自動車安全基準(FMVSS)」という存在で、日本でいう「道路運送車両法」で定められている「道路運送車両の保安基準」と同様、アメリカ合衆国内で登録されるクルマの技術仕様のルールだ。 ▲日本のナンバーを展示用につけたクルマも急増 これは日本で米軍関係者がプライベートで乗っていたクルマのナンバー 日本車ともっとも大きく関わるのは「アメリカ合衆国で登録するクルマは左ハンドルでなければならない」の部分。 先述の「例外」は、このFMVSSに適合しなくても良いとしているので、つまりは「右ハンドルでも輸入・登録が可能」となる。 25年ルールは1988年に制定された。それ以前のアメリカ合衆国はFMVSSに適合しないヨーロッパ製の自動車を並行輸入で登録するのがポピュラーで、1985年には約6万9000台が並行輸入車としてアメリカに入ってきていた。 並行輸入はアメリカに正規で輸入されていないモデルが手に入るだけでなく、アメリカのディーラーが販売している価格よりもはるかに安く買うことができるため人気が高かった。 たとえば、1985年モデルのメルセデス・ベンツ 500 SELを米国内の正規ディーラーで購入すると5万3000ドルであったが、並行輸入だとそこから1万1000ドルほど安く手に入るという現象がしばしばあったのだ。 だが、この事態を重く見たのがメルセデス・ベンツの米国法人だ。1988年の法律が制定される以前よりもFMVSSへの適合は必須であったが、当時は書類の提出だけで済んでおり、そのクルマが本当に必要な適合作業を行なったかはほとんど確認されなかった。 メルセデス・ベンツの米国法人が数台の並行輸入車を実際に購入して調査したところ、マフラーの触媒がまったく異なる場所に装着されていたり、側面衝突時に乗員を保護するための補強が錆びた鉄パイプであったりと、ずさんな適合作業の痕跡を目の当たりにしたのだ。 そして彼らは恐れた。 これらずさんな作業を施したクルマが事故を起こし、その責任がまったく関係のない自分たち米国法人に向けられるかもしれないということを。 もちろん適切な適合作業を行なって販売する輸入業者も存在したが、適切か適切でないかを確認するのは困難である。 そこで「並行輸入車をすべて輸入禁止にしてしまえばいい」という大胆な施策の実行を思いつく。 メルセデス・ベンツが行った「反・並行輸入車」キャンペーンは他の自動車メーカーをも巻き込んで、法律制定へのロビー活動へと発展。彼らの思惑通り、無事にこの法律が誕生したのである。 つまりは、この「25年経つまでは憧れの日本車が手に入れられない」という足枷をアメリカ人にはめたのも、「憧れの90年代スポーツカーが製造後25年経過目前で急激に高騰して手に入れられない」という状況を日本の中古市場に作り出したのも、すべてメルセデス・ベンツの米国法人であったといってもあながち間違いではない。 ■日本で「25年ルール」が話題となったのは2014年以降 並行輸入を排除するキャンペーンは「安全」という大義名分で語ることもできるが、別の見方をすれば「現地法人の収益が減るから」という理由も見えるはず。 そしてこの「25年ルール」が日本の旧車界隈で大きな話題となったのは、2014年以降である。 1989年に発売された日産 スカイライン GT-R(BNR32)が製造から25年経過した年だ。 つまり、25年ルール発動によって32GT-Rがアメリカで合法的に輸入できるようになった。 ▲アメリカへの船積みを待つ25年ルールで解禁になったクルマたち そこから、数々のゲームや映画、漫画で見た「憧れの日本製90年代スポーツカー」がグッと近くなったとアメリカの人々は実感した。 製造年月から25年経過した個体はどんどんアメリカへ輸出され、毎年、新たな日本製90年代スポーツカーが「解禁」されていくという現象になっている。 今年は2022年なので、三菱 パジェロエボリューションや2代目トヨタ センチュリー、5代目ホンダ プレリュード、初代ホンダ シビックタイプRなどの、1997年から製造が始まった日本車が解禁されている状況だ。 ちなみに、1999年から製造が始まった日産 スカイラインGT-R(BNR34)は2024年に解禁予定だが、そのあまりにも高い人気で中古市場ではすでに爆発的な値段高騰に見舞われている。 ■実は製造後25年未満でもアメリカに輸入する方法が他にもある? なお、製造後25年を待たないでアメリカに輸入する方法も実はいくつかある。なかでも最も合法的手段なのがFMVSSで定められている特例、 “Show or Display” だ。 この手法はNHTSAが認めた「歴史的もしくは技術的価値のあるクルマ」を特別に輸入し、展示や整備に必要な走行に限って年間2500マイル(4000km)まで公道を走行可能とするもの。 これなら製造後25年経過していなくても、歴史的もしくは技術的に貴重と認められたクルマなら走ることが可能となる。 NHTSAに特別に認可された自動車のリストはNHTSAのウェブサイトで公開されている。 これを見ると、アストン マーティン DB7ザガートクーペや、アストン マーティン One-77、フェラーリ J50、マクラーレン スピードテイルなどのスーパーカー以外に、日産 スカイライン GT-R M-spec Nür、日産 スカイライン GT-R V-spec ミッドナイトパープルII、スバル インプレッサ 22B-STiバージョンなどの「超レア」な限定車も含まれる。 ■アメリカには「21年ルール」も存在する ちなみに、アメリカには「25年ルール」ともう一つ、「21年ルール」というものが存在する。 この背景には1963年に制定された “Clean Air Act(大気浄化法)” なる法律が存在している。 アメリカ合衆国環境保護庁の定める基準に適合しないエンジン、そしてそれを搭載する自動車の輸入を禁じているというもの。 そして例外規定として、工場出荷時の状態と同じ仕様のエンジンを搭載しており、なおかつ「製造後21年経過」している場合は、輸入して良いというものだ。 「25年ルール」ほど知られていないのは、そもそも「自動車の登録」の時点で製造後25年経過している必要があり、25年経過しているということはEPAの21年ルールも自然と経過しているからだ。 先述の “Show or Display” の場合、たとえ製造後25年経過していなくても、EPAの21年ルールは適用されるので要注意。 ■まとめ:「25年ルール」に関わる旧車バブルによる弊害とは? 「25年ルール」に関わる旧車バブルによって、映画やゲーム、漫画でかつて憧れた90年代スポーツカーは今後も高騰が続くだろう。 比例して旧車の盗難もますます増えていくと思われる。 しかし、だからといって健全な方法で「憧れの日本車」を手に入れたアメリカのクルマ好きをバッシングして良い理由にはならない。 ここ最近の価格高騰、そして多発する盗難事件の責任をそれらアメリカ人になすりつけるような批判がよく見られるのは、とても悲しいことだと筆者は思う。 [ライター・カメラ/加藤ヒロト]

なぜ、旧車は盗まれやすい?盗まれたらどうなるのか?
加藤久美子&博人の見識 2022.07.06

なぜ、旧車は盗まれやすい?盗まれたらどうなるのか?

窃盗団が旧車を盗む前に行う「準備」を知って対策を施そう! ■ネットオークションへの出品が急増! コロナ禍で少し、盗難台数は減少傾向にあったものの、昨年夏頃から再び、80~90年代の国産スポーツカーを中心として旧車の盗難が増えています。   ▲実際に盗まれた80スープラのパーツ。盗難された2日後には早くもヤフオクに出品 旧車は盗まれるとその多くは、即座に解体ヤードに持ち込まれ、1-2日以内に解体されてしまいます。その後は、ヤフーオークションなどのネットオークションに出品されるか? もしくは海外に「自動車部品」として違法に輸出されてしまいます。 ▲盗まれた旧車は解体ヤードに持ち込まれ即座に解体される(写真はヤードのイメージです) 以前はほぼすべてが自動車部品として違法輸出されていましたが、最近ではネットオークションを利用して国内で完結させるパターンが増えています。 その理由は簡単に言うと、「国内ネットオークションの方が素早く、ラクに換金できるから」ということなのです。 海外における日本の旧車パーツは日本より高額な値段で取引されていますが、輸出は手間と時間が掛かり、コンテナに積んで船が出るまでに発覚するリスクもゼロとは言えません。 また、たびたび日本からの不正輸出が発覚しているアメリカでは近年、日本車の輸入に対して完成車も部品もチェックが強化されている現状があります。 しかし、ネットオークションやフリマサイトでは匿名で気軽に出品ができ、またヤフオクもメルカリも、なぜか出品者を保護する傾向にあります。 住所や名前が虚偽のものでも出品や取引が可能で、さらに盗難品だと証明されるまで時間も掛かります。 運よく、警察が介入できたとしても出品者と直接連絡が取れたり、盗んだ犯人が特定されたりすることは困難で、稀に特定できたとしてもオーナーのもとにパーツが全部戻ってくる可能性は非常に低いのです。 なお、もともと日本車の中古部品を大量に輸出している会社であれば、その中に盗んだ旧車のパーツを紛れ込ませてもまずバレることはほとんどありません。 部品輸出ルートが整っている状況であれば、海外に持ち出されることも相変わらずでしょう。 盗難された旧車が行きつくところは海外なのか?日本国内の別のオーナーなのか? 確実に言えることはアシが付きにくいネットオークションで捌かれるケースが増えているということです。  ▲日本で盗まれた旧車が解体されてアメリカの専門店で販売されていたことが発覚(2020年6月) ■旧車はなぜ盗まれやすい? ではなぜ、旧車は盗まれやすいのでしょうか? ・日本の旧車は海外でも国内でも人気が高いので、高額で売ることができる・多くは盗難に対応できる車両保険に入っておらず、またセキュリティ対策も甘い・保管場所が屋外の駐車場であることが多いので盗む側にとっては好都合・解体ヤードに持ち込みさえすれば、最近の電子部品が多いクルマに比べるとごく短時間で解体できる このように、国産旧車は盗みやすく解体しやすく高く売れる…窃盗団にとって都合がよいことだらけなのです。 しかし、旧車はもう2度と生産されることがない文化遺産ともいえる存在。 何とかして盗まれることがないよう守ってあげなくてはなりません。 筆者は過去2年間で約100台以上の旧車盗について取材をしてきました。 盗難被害に遭った人々の話から、大切な旧車を盗まれないためにオーナーが知っておきたいことを以下にまとめます。 ●1.旧車は狙いを定めて盗まれる。必ず下見をしている 旧車を専門に盗んでいる窃盗団は海外で高く売れる、または国内でも高価格で流通できる80-90年代の日本製スポーツカーに狙いを定めて盗みに来ます。 では、そこに旧車がある、ということをどうやって知るのでしょうか? さまざまな手段がありますが、その一つに旧車イベントに参加して狙いを定めた旧車オーナーと親しくなって自宅の場所を聞き出して盗みに行く…という方法があります。 親しげに話しかけてくる外国人(特にパキスタン、スリランカ国籍には注意)には気を付けてください。 また、狙いを定めたクルマの近辺に似たような旧車がないか? 一緒に盗めるなら効率が良い…と周辺の様子をGoogleストリートビューを見ながら駐車場に停まっていないか?探し出してマークします。 旧車は一度購入したら長い間乗るオーナーが多いため、ストリートビューの写真が2〜3年前のものであっても、比較的今もそのまま乗り続けているというパターンが多いのです。 せめてカバーをかけるなどして車種の特定を防ぎましょう。 ●2.狙った旧車のある場所が特定できたなら、今度は下見。下見でやることは以下 ・周辺の防犯カメラの状況・逃走ルートの確保(Nシステムなどがない道を選ぶ)・対象となる旧車のセキュリティ状況をチェック(ハンドルやバッテリーを外していないか?どのようなアラームがついているか?ハンドルロックやタイヤロックの有無など)・オーナーが住む場所を探す(オーナーのアパートの部屋まで特定します)・オーナーはどれくらいの頻度で旧車に乗っているか?をチェック・オーナーの生活時間(朝何時におきて何時に出勤し、帰宅時間や就寝時間などもチェック)・周辺に他に盗めそうな旧車はないか? ・・・などなど。 まだまだありますが、盗みを決行する2-3週間前に入念に下見をして、想像をはるかに上回る細かな事前確認を行っています。 ●3.「高価買取」のチラシや名刺には要注意 「高価買取の名刺やチラシ」がワイパーに挟まれたら盗難に注意! ▲筆者宅の旧車にもこのようなチラシが挟まれていた。稀にまともな業者もいるようだが… 昔からよく、「高価買取の名刺やチラシ」がワイパーに挟まれたら盗難に注意すべし!と言われてきました。 これは現在でも同様です。 ワイパーに名刺やチラシを挟んでいき、オーナーがどれくらいの頻度でクルマに乗っているのか?などもチェックします。 また、ユピテルのパンテーラやゴルゴなどの高級カーセキュリティはクルマに乗らない期間が2週間以上続くと、電源が切れる仕組みになっていることが多く、買取チラシや名刺を挟んで2〜3週間動いていないことを確認し、さらにセキュリティが切れていることを確認してから盗むという手口もあります。 この記事では旧車盗難の現状をお伝えしました。 次回は旧車を窃盗犯から確実に守るための、より具体的な方法をご紹介します。 [撮影・加藤ヒロト/ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]  

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