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【相談例】
● 車売却のそもそもの流れが分からない
● どういった売り方が最適か相談したい
● 相続で車を売りたいけど売り方が分からない
● 二重査定や減額について知りたい
など
きょうだいや夫婦はもちろんのこと、友人・知人。 人が2人以上集まれば、何らかのトラブルやゴタゴタは避けられない。 しかもホンの些細な、あとから考えると本当にどうでもいいようなことでトラブっていたりする。 それは身近な人間関係だけでなく、趣味の世界、クルマ界隈においても同様だ。 取材や雑談を通じて聞き知ったエピソードを集約した「こういう人とは絡みたくない」というポイントを5つにまとめてみた。 まとめているうちに他人事とは思えなくなってきたのも事実。というわけで、改めて自戒を込めて・・・。 ■1.自分の身の上&自慢話ばかり(人の話を聞かない) おおっぴらにしないまでも「自分の愛車がベスト!サイコー」と思っている人も多いだろう。オフ会やイベント会場で注目されたいという気持ちも痛いほど分かる。さまざまな人たちと絡むとき、いっぽうてきに自分語りをしていたら確実に嫌われる。 それでも珍しいクルマ、貴重なクルマを所有していたら注目はしてもらえるだろう。あくまでも「はじめのうちは」という条件付きではあるが。 これに加えてSNSのコメント欄を見ていると、書き込まれたコメントにマウンティングしている人を見掛けることがある。投稿された内容に対して「俺は○○○を持ってる」とか「俺は○○○さんと友だち」といった、自己主張強めな内容が多い。マウンティングしなければ気が済まない人も確かに存在する。 ■2.当事者がいないところでリアル&SNSでの悪口 当事者がいないところでリアルまたはSNSで放った悪口が巡り巡って本人の耳に入る・・・というのは、どの世界でも同じ。思っている以上に世の中は狭い。「これくらいは気づかれないだろう」と油断していても、たいていは本人の知るところとなる。その内容といえば嫉妬や妬みの類いだったりする。 そして、本人の知る頃には話に尾ひれがついて、かなり誇張されていることも少なくない。こうして逆鱗に触れ、お互いに絶縁状態となってしまう。傾向としては、InstagramやFacebookなどのストーリー(24時間で投稿が消える仕組み)がよく使われるようで「ターゲットにされた当事者はもちろんのこと、その周囲にいる人も誰に対していっているのか分かる」のが特徴だ。こういった陰湿な行為に嫌気が差して、長年所有していたクルマを手放した人も実在するので要注意だ。 ■3.リアル&SNSで他人の愛車を批評 傾向として割とベテランオーナーさんに多いよう。頼んでもいないのに「ここはオリジナルじゃない」とか「ここは●●の方が似合うから替えた方がいい」といった批評をはじめる。そんなこと頼んでいないし、オーナー自身がよく分かっている。つまり、余計なお世話なのだ。 悪質なものになると、批評に加えて点数で評価したりするからタチが悪い。その評価基準もあいまいで、しかも極めて主観的だったりする。どれほどすごいクルマを所有していたり、強力なネットワークを持っている人でも、この行為が常態化していると、かなりの確率で敬遠される。 ■4.自分が困ったときだけ連絡してくる 意外に多かったのがこちら。自分が困ったときだけ連絡してくるケースだ。 出先で故障したから助けに来てほしい、調べものをしているけれど分からない、当日になっていきなり暇だからツーリングでも行きませんか?と連絡が来る・・・等々。自分の都合が優先で相手のことはお構いなし。 時間と手間を惜しんで助けてあげても、何のフォローもなし。逆にこちらからお願いごとをしてみても素っ気ない・・・。こんなことを繰り返していたら人は離れていくに決まっている。 ■5.派閥作りが好き やはりというか、予想通りというか「派閥作りが好き」な人も敬遠される傾向が強い。 自分と気の合う、またはいうことを聞いてくれるイエスマンばかりを贔屓して、それ以外の人は除外またはスルー・・・。やがてグループやクラブ内で内紛を引き起こし、その結末は空中分解・・・。グループに属した経験がある方なら、いちどは巻き込まれたことがあるかもしれない。 これはいつの時代も、どのクルマのジャンル(もちろんクルマ以外の世界でも)日常茶飯事のようだ。10年経っても同じようなことでトラブっているはずだ。やれやれ。 ■結論:クルマ趣味を通じて「友人に囲まれる人」と「孤立する人」の違いとは? この問いに対する答えがあるとしたら、それは「ギブ・アンド・テイクができるか否か」のように感じる。 結果的に相手から「テイク」することばかりしている人は、やがて周囲から人が離れていき、仕方なく別のグループに顔を出して、やはりそこでも・・・というパターンを繰り返す傾向にある。そしていつしかトラブルメーカーのレッテルを貼られてしまうのだ。 不思議なもので「孤立する人」の多くが「悪いのは相手で、正義は我にあり」の思考から抜け出せないことが多い我が強いのか、自分が負けたと思うのか・・・。 そこに気づいて行動を変えるだけで、(多少の時間が掛かっても)いつかは「友人に囲まれる人」になれるはずだ。 [画像/Lamborghini,Adobe Stock・ライター/松村透]
2024年6月、国土交通省は道路運送車両法施行規則を改正し、車検(自動車検査)を受けられる期間を延長することを発表しました。 今回の改正により、2025年4月1日からは車検を受けられる期間が満了日前の1ヶ月間(離島は2ヶ月)から2ヶ月間に延長されます。 この記事では、車検を受けられる期間が延長される背景やメリット、デメリットなどについて詳しく解説します。 車検は有効期間満了日の2ヶ月前から受けられるようになった これまでは、車検証の有効期限が満了する日の1ヶ月前(離島は2ヶ月前)から車検を受ける人がほとんどでした。この期間に車検を受けると、新しい車検証の有効期間が「旧車検証の期限が満了する日から2年」となるためです。 満了日の1ヶ月よりも前に車検を受けることもできましたが、新しい有効期間が「車検を受けた日から2年間」となるため、残りの有効期限分だけ損をする仕組みでした。 2025年4月1日以降は、有効期限満了日の2ヶ月前から車検を受けても残りの有効期間が失われないようになります。また、今回の改正にともない自賠責保険の更新手続きができる期間についても、満期日の1ヶ月前から2ヶ月前に延長されました。 以下では制度変更の背景や改正前後の違いを詳しく解説します。 制度変更の背景 車検を受けられる期間が延長される背景にあるのは、年度末に集中する車検需要です。 国土交通省の発表によると、2019年〜2023年の5年間における月別の車検台数は以下のとおりです。 画像引用:国土交通省「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます~年度末を避けて余裕をもって受検をお願いします~」 3月に車検を受ける車輌の台数は約389万台と他の月に比べて突出しており、月平均の約281万台も大きく上回っています。 3月に車検を受ける人が殺到すると、整備工場やディーラー、車検専門の予約が取りにくくなります。また、自動車整備士の残業や休日出勤が増加するという問題も生じていました。 そこで、年度末に車検の需要が過度に集中しないようにするために、道路運送車両法施行規則が改正され、車検の有効期間満了日2ヶ月前から受検できるようになりました。 改正前と改正後の違い 改正後は、有効期限満了日の2ヶ月前から満了日までの間に車検を受けた場合でも、新しい車検証の有効期間が「旧車検証の有効期限の2年後」となります。 たとえば、車検証の有効期限が7月30日、車検を受ける日が6月8日であるとしましょう。 改正前の場合、有効期限満了日の1ヶ月前よりも早いタイミングで受検することになるため、新しい有効期限は受検日である6月8日の2年後です。旧車検証の6月9日〜7月30日までの有効期間は失われてしまいます。 一方、改正後は5月30日以降に車検を受けると新しい車検証の有効期限は7月30日の2年後になるため、6月8日に受検しても残りの有効期間は失われません。 車検を2ヶ月前に受けるメリット 車検証の有効期限満了日の2ヶ月前から車検を受けられるようになったことには、以下のようなメリットがあると考えられます。 車検の予約が取りやすくなる 改正により、有効期限満了日の2ヶ月前から車検を受けられるようになったことで需要が集中する時期を避けやすくなります。 たとえば、車検証の有効期限が3月下旬の場合、車検を受ける人が比較的少ない1月の下旬に受検することも可能です。 混雑する時期を避けられると、仕事や旅行などの予定に合わせて柔軟に車検の日程を調整しやすくなります。 クルマにトラブルが発覚した際も対処しやすい 車検の際、クルマに不具合が発覚すると修理や部品の取り寄せなどに時間がかかることがあります。有効期限までにクルマが車検に通過できる基準を満たす状態にならないと「車検切れ」とみなされ公道を走行できなくなります。 有効期限満了日の2ヶ月前に車検を受ける場合、時間的な余裕があるため、万が一クルマに不具合が見つかっても対処しやすいでしょう。 代車を手配しやすくなる 車検を受けている間、通勤やお買い物、子どもの送り迎えなどでクルマが必要な場合は代車を借りることが可能です。ただし、車検を受ける人の数だけ代車が用意されているとは限らず、混雑する時期は借りられない場合もあります。 繁忙期を避けて車検を受けることで、代車を確保しやすくなるでしょう。 車検費用を分散できる 車検を受けられる期間の延長にあわせて、自賠責保険の更新手続きも満期日の2ヶ月前からできるようになったことで、費用負担を分散させやすくなりました。 車検を受けるときに自賠責保険の更新手続きをするケースがほとんどなため、車検費用や部品の交換費用などとあわせて保険料を支払います。 2回目以降の車検の有効期間は原則として2年間のため、自賠責保険の契約期間もそれに合わせて24ヶ月や25ヶ月とするのが一般的です。その場合の保険料は約1万8,000万円です。 改正後は、自賠責保険の満期日の2ヶ月前に更新をし、その1ヶ月ほど後に車検を受けて保険料とその他の車検費用を別々に支払えば、1回あたりの負担を軽減できます。 車検を2ヶ月前に受けるデメリット・注意点 車検を2ヶ月前に受けるデメリットと注意点は、以下のとおりです。 車検費用の支払い時期が早まる 車検を2ヶ月前に受けると費用を支払うタイミングが前回よりも前倒しになります。 車検を受ける際は、基本料や自賠責保険料の他にも、自動車重量税や部品交換・整備費用などで数万〜20万円程度の費用がかかります。 満了日の2ヶ月前に車検を受ける場合は入念に資金計画を立てておきましょう。 必ず予約が取れるとは限らない 車検の有効期限が4月の場合、改正後はその2ヶ月前の2月から受検できるようになります。 しかし、国土交通省の発表によると2019年〜2023年の5年間で2月に車検を受けたクルマの平均台数は300万台弱であり、6月や7月と並び3月の次に多い水準です。 有効期限満了日の2ヶ月前であっても希望する日に車検を受けられるとは限らないため、スケジュールに余裕をもって予約することをおすすめします。 参考:国土交通省「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます~年度末を避けて余裕をもって受検をお願いします~」 かえって繁忙期と重なることがある 満了日の2ヶ月前が混雑する時期と重なる場合は、予約が取りにくい可能性があります。 たとえば、車検証の有効期限が5月の場合、その2ヶ月前は3月となり繁忙期と重なるため、満了日の1ヶ月前である4月のほうが車検の予約は取りやすいでしょう。 2025年3月31日以前に車検を受けると有効期限が短縮される 車検証の有効期限満了日が2025年4月1日以降でも、車検を受けるタイミングが3月31日以前になると車検証の残りの有効期間が失われてしまいます。 たとえば、有効期限満了日が5月20日の場合、3月23日に車検を受けると3月24日〜5月20日までの有効期間が消滅します。一方、4月3日に車検を受ける場合、残りの車検期間は短縮されません。 まとめ 2025年4月1日以降は、満了日を迎える前の2ヶ月間に車検を受けても残りの有効期間が失われなくなるため、希望日に車検の予約を取りやすくなるでしょう。 また、自賠責保険の更新手続きも満期日の2ヶ月前からできるようになるため、車検の際にかかる費用の支払いを分散しやすくなります。 ただし、前倒しで車検を受けると費用を支払うタイミングが早まるため、入念に資金計画を立てる必要があります。有効期限満了日の2ヶ月前に車検の予約が必ず取れるとも限らないため、スケジュールに余裕をもって準備を始めましょう。
2025年から始まるマイナ免許証の取得や利用に不安を感じている方は多いのではないでしょうか。マイナ免許証は利便性が向上する一方、おさえておきたいデメリットもあります。 今回は、マイナ免許証の制度概要から気になるメリット・デメリットについて詳しく解説します。 マイナ免許証とは 道路交通法が改正され、マイナンバーカードと運転免許証が一体になったものがマイナ免許証です。2025年(令和7年)3月24日から全国で運用が始まり、下記3つの免許証の持ち方が選べるようになります。 ・マイナ免許証のみ所持する・マイナ免許証と運転免許証を所持する・従来に運転免許証のみ所持する いずれのパターンも、クルマを運転する際に携帯が必須です。 なお、マイナ免許証は新しくカードが配布されるわけではなく、マイナンバーカードのICチップに運転免許証の情報を記録するものです。運転免許証の番号や有効期間、ゴールドなどの種類は表面上わからなくなります。 マイナ免許証のデメリット マイナ免許証の運用開始に伴い、利便性が向上する一方で不安視する声もあります。ここでは、マイナ免許証のデメリットについてみていきましょう。 情報漏えい、悪用のリスク マイナ免許証はマイナンバーカードに免許証の情報が紐づけられるため、情報漏洩や個人情報の悪用を心配する方もいるでしょう。 このようなリスクが気になる場合は、従来の免許証との併用か免許証のみ所持する形が適しています。なお、マイナ免許証から個人情報が含まれるマイナンバーにはアクセスできません。 併用する場合、更新の手間が増える可能性がある マイナ免許証と従来の運転免許証の両方を所持する場合、それぞれの更新手続きが必要です。 手続きの際は、インターネットでの予約が必要です(東京都の場合)。自宅で手続きできますが、従来の方法とは異なるため手間が増えたと感じる方もいるでしょう。 参考:警視庁行政手続きオンライン 有効期限を確認しづらい マイナ免許証には、マイナンバーカードの有効期限は記載されますが、運転免許証の有効期限は記載されません。2025年3月12日に免許証の情報を読み取るアプリがリリースされましたが、アプリで確認する一手間が必要です。 免許更新の時期には従来通り通知ハガキが届きますが、引越しなどで住所変更を忘れてしまうと、免許失効につながる可能性もあります。 不安な方は、手帳やスマートフォンのカレンダーなどに更新時期をメモしておくとよいでしょう。 再発行に時間がかかる マイナ免許証(マイナンバーカード)の再発行には、1ヶ月半ほどかかる場合があります。 万が一、マイナ免許証を紛失した場合、長期間運転できなくなる可能性があります。 紛失のリスクを考慮して、従来の運転免許証を再発行したり、併用したりするのも一案です。 マイナンバーカードを発行する必要がある マイナ免許証を所持するためには、マイナンバーカードが必要です。 どれだけ早く手続きを済ませても、自治体での手続きが必要な関係上、手元に届くまでに1ヶ月程度かかります。 マイナンバーカードの発行自体に抵抗感がある方は、従来の免許証を継続して所持する形のほうが負担は少ないでしょう。 マイナ免許証のメリット マイナ免許証には、従来の運転免許証にはないメリットがあります。ここでは、マイナ免許証に切り替えることで得られる主なメリットを紹介します。 運転免許証等更新時の講習をオンラインで受けられる マイナ免許証を取得すると、優良運転者(ゴールド免許取得者)と一般運転者は、更新講習をオンラインで受講できます。 都合のよい時間や場所で講習を受講できるため、平日更新手続きが難しい方や、運転免許センターが自宅から遠方にある方は負担が軽減されるでしょう。 なお、講習はオンラインですが、受講後に運転免許センター・警察署で視力検査や写真撮影などの更新手続きは従来通り必要です。 オンライン更新時講習の詳細については、警察庁Webサイトをご覧ください。 参考:令和4年改正道路交通法(マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習)) 個人情報変更時に警察への届出が不要 マイナ免許証を持っていれば、自治体窓口で個人情報の変更手続きが完結します(ワンストップサービス)。従来のように、警察署や運転免許センターに出向く必要はありません。 なお、ワンストップサービスを希望する場合、あらかじめマイナンバーカードの署名用電子証明書暗証番号の準備が必要です。また、マイナンバーカード署名用電子証明書には有効期限があります。期限切れの場合、マイナ免許証への変更手続きができないため、あらかじめ確認しておきましょう。 一体化によって携帯する証明書が減る マイナ免許証があれば、従来の運転免許証の携帯は不要です。普段からマイナンバーカードを持ち歩いている方や、できるだけ持ち物を減らしたい方にとってはメリットです。 マイナ免許証に関する3つの選択肢 マイナ免許証の運用開始に伴い、ドライバーには3つの選択肢が用意されています。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身に合った方法を選択しましょう。 マイナ免許証のみを所有する マイナンバーカードと運転免許証を一本化したい場合の選択肢です。2025年(令和7年)3月24日から選択できます。 マイナ免許証だけにした場合のメリット・デメリットは、下表のとおりです。 メリット 詳細内容 携帯する証明書が減る ・マイナンバーカード1枚で運転免許証の機能も兼ねるため、携帯する証明書が減る・紛失リスクも半減する 住所変更手続きが簡素化される ・従来、自治体窓口と警察署の両方で手続きが必要だったところ、自治体窓口のみで手続きが完結する・引越しが多い方や、平日に警察署に行く時間を確保するのが難しい共働き世帯にとって、大きな負担軽減になる 更新手数料が安くなる 運転免許証の作成事務作業が減るため、更新手数料が安くなる オンライン講習が受講できる ・優良運転者と一般運転者はオンラインで更新時講習を受講できる・運転免許センターでの待ち時間がなくなる・自宅や職場など好きな場所で都合のよい時間に講習を受けられる・運転免許センターが遠方にある地方在住の方や、平日の時間確保が難しい方にとって大きな時間節約になる デメリット 詳細内容 紛失時の影響が大きい ・マイナンバーカードを紛失すると、再発行に時間がかかり、その間運転できなくなる可能性がある・再発行には1ヶ月半程度かかることもある・紛失後に従来の運転免許証への切り替えも可能ながら、その手続きにも時間がかかる 情報漏えいのリスクがある ICチップには暗号化などのセキュリティ対策が施されているものの、万が一の場合の影響が大きくなる可能性がある 見た目からは免許証の情報がわからない ・マイナンバーカードの券面には免許情報が記載されないため、見た目からは番号や有効期限がわからない・対面での本人確認が必要な場面では、券面から情報を確認できないため追加の証明を求められるケースがある 有効期限の確認手段が煩雑になる ・マイナンバーカードと運転免許証の有効期限が異なるため、それぞれの期限を確認する必要がある・マイナ免許証の確認にはアプリをインストールする必要がある・期限管理が苦手な方は注意が必要 マイナ免許証と運転免許証を所有する マイナンバーカードと運転免許証を一体化したうえで、従来の運転免許証も引き続き所持したい場合の選択肢です。 2つの免許証を所有する場合のメリット・デメリットは、下表のとおりです。 メリット 詳細内容 紛失時のリスクが分散できる ・マイナ免許証を紛失しても、従来の運転免許証で運転ができる ・仕事で運転が必須の営業職や、公共交通機関が発達していない地方在住の方にとってリスクヘッジになる マイナ免許証が利用できない場面に対応できる ・レンタカーやホテルでの身分確認、携帯電話の契約など、券面での免許情報確認が必要な場面でもスムーズに対応できる ・マイナ免許証の読み取り機器が普及するまで時間がかかる可能性があるため、移行期間中は特に併用のメリットが大きい デメリット 詳細内容 更新の手間が増える ・マイナ免許証と運転免許証の両方を更新する必要がある・それぞれの更新タイミングが異なる場合、手続きの回数が増える 管理が煩雑になる ・2枚の免許証を管理する必要があるため、どちらかを紛失するリスクが高まる・整理整頓が得意でない方は特に注意が必要 手数料が高い 従来の運転免許証のみ(2,850円)、マイナ免許証のみ(2,100円)より手数料が高い(2,950円) 運転免許証のみを所有する マイナンバーカードと運転免許証を一体化せず、従来の運転免許証のみ所持する場合の選択肢です。 運転免許証のみの場合のメリット・デメリットは、下表のとおりです。 メリット 詳細内容 情報漏えいのリスクをおさえられる マイナンバーカードとの紐付けがないため、情報漏えいのリスクを最小限におさえられる 手続きの負担がおさえられる 従来の更新手続きと変わらないため、新しい手続き方法を調べる必要がない 手元ですぐに情報が確認できる 表面に運転免許情報が記載されているため、アプリや専用の読み取り機器の準備が不要 デメリット 詳細内容 講習に出向く必要がある オンラインでの更新時講習はマイナ免許証所有者のみが対象のため、指定の時間帯に出向く必要がある 住所変更手続きが煩雑になる ・住所変更の際に、自治体と警察署の両方で手続きが必要・ 引越し時の手続きが増え、時間的コストがかかる マイナ免許証のみより手数料が高い マイナ免許証のみ(2,100円)より手数料が高い(2,850円) マイナ免許証のよくある質問 マイナ免許証に関して多くの方が疑問に思われる点について、Q&A形式で解説します。 Q.マイナ免許証は取得しないといけない? マイナ免許証の取得は任意です。マイナ免許証制度開始後、下記3つの免許証の持ち方が選択できます。 ・運転免許証の情報が記録されたマイナンバーカード(マイナ免許証)のみを所持する・マイナ免許証と運転免許証の両方を所持する・従来の運転免許証のみを所持する Q.マイナ免許証で漏えいする可能性がある個人情報は? マイナ免許証のICチップに記録される情報が漏えいする可能性があります。記録される情報は下記のとおりです。 ・免許証番号・免許証の有効期限・免許の種類・AT車限定や眼鏡などの条件・顔写真の情報 ただし、マイナンバーとは切り分けて保存されるため、個人情報が漏えいするリスクは低いといえます。不安な方は、従来の運転免許証のみか併用を検討するとよいでしょう。 Q.マイナ免許証への切り替え方法は? すでに運転免許証を持っている人は、運転免許センターやシステムが整備された警察署でマイナ免許証に切り替えられます。必要なものは、運転免許証とマイナンバーカードです。 まとめ マイナンバーカードと運転免許証の一体化制度「マイナ免許証」は、2025年3月24日より運用が始まります。 マイナ免許証には、住所変更手続きの簡素化やオンライン講習の受講など、従来にはないメリットがあります。一方で、情報漏えいのリスクや再発行に時間がかかるなどのデメリットも忘れてはいけません。 なお、マイナ免許証は任意であり、従来の運転免許証のみを所持することも引き続き可能です。自分のライフスタイルや優先事項に合わせて最適な方法を選択しましょう。
ホンダ 4代目プレリュードは、ワイド&ショートボディというスポーツカーらしい外観が特徴的なモデルです。性能より外観や装備が重視されたデートカーから、走行性能を重視したスポーツクーペとして登場しました。 日産 R32 GT-Rにも匹敵する高い性能を誇った4代目プレリュードの魅力を、誕生の歴史やレース戦績を中心に詳しく紹介します。 デートカーのイメージを払拭した4代目 プレリュードといえば、バブル期に巻き起こったデートカーブームの火付け役です。スポーティな外観ではあるものの、居住性や快適性を重視したスペシャルティカーとして人気を博しました。 しかし、4代目プレリュードは、走行性能を重視する方向に大きく舵を切ります。スポーツクーペとして生まれ変わった4代目プレリュードの特徴を、改めて確認してみましょう。 スポーツクーペとして登場 1991年のフルモデルチェンジで登場した4代目プレリュードは、従来のスペシャルティカーというコンセプトを刷新。より走行性能を重視した、スポーツクーペに生まれ変わりました。 スポーツクーペというコンセプトがわかりやすいポイントは、大幅な変更が施されたボディデザインです。全幅を70mm広げて(1,780mm)3ナンバーサイズにワイド化した一方、全長を80mm(4,440mm)、全高を5mm(1,290mm)縮小して運動性能の向上が図られています。また、2代目、3代目と受け継がれてきたリトラクタブルヘッドライトの廃止も、大きな変更点です。 インテグラ・タイプRよりも4年も早くFF革命を起こした 1995年に登場したインテグラ・タイプRは、FFに革命を起こしたといわれています。しかし、実は4代目プレリュードは、4年も早く革新的なFFスポーツクーペとして登場しました。 「Si VTEC 4WS(BB1型)」、「Si VTEC(BB4型)」の両グレードに搭載されるエンジンは、ホンダ自慢のVTEC機構を備えたH22A型です。最高出力はインテグラ・タイプRと同様の200psを誇り、2.2Lという大排気量による最大トルクは22.3kgf・mにも達します。 また、プレリュードの代名詞ともいえる4WSは、VTEC非搭載の下位グレードにも用意されていました。世界初の機械式4WS機構は、操舵角、車速、ステアリング操作速度で制御する電子式にアップデートされています。VTEC非搭載のグレードは、「Si(BA8型)」と「Si 4WS(BA9型)」の2モデルです。 無敵を誇ったR32 GT-Rを追い詰めた 4代目プレリュードは、走行性能の向上を過酷なレースシーンで証明しました。プレリュード発売の翌年1992年から、改造範囲が狭く市販車の性能と信頼性がレース結果に直接結びつくN1耐久シリーズに参戦します。 連勝街道をひた走るR32 GT-Rを脅かすほどの存在感をみせた、プレリュードのレース戦績について振り返ってみましょう。 BB4型をベースに開発 プレリュードが投入されたのは、N1耐久(現スーパー耐久シリーズ)という量産市販車ベースで争うレースです。プレリュードのレース車輌は、VTECモデルで4WS非搭載のSi VTEC(BB4型)をベースに開発されました。 当時のN1規定の改造範囲は限られており、基本的には市販モデルと同様の仕様です。エンジンについてもピストンやコンロッドのバランス取り、ECU(エンジンコントロールユニット)のチューニング程度しか許されていません。つまり、N1耐久では、市販車のポテンシャルが勝敗に大きく影響するということです。 GT-R無敗時代にトップ争い プレリュードがN1耐久に投入された1992年は、R32 GT-Rが全日本ツーリングカー選手権で連勝記録を作っていた真っ只中でした。レース上位陣のほとんどがGT-Rという状況のなか、デビュー戦でいきなりの総合4位を獲得します。 さらに、第4戦TIサーキット英田、ナイター12時間レースの第5戦筑波サーキットではナカジマレーシングのPIAAプレリュードがGT-Rに肉薄する速さをみせ、いずれも総合2位でフィニッシュ。連勝記録こそ止められなかったものの、同じくプレリュードで参戦するギャザズFALKENとともに「GT-Rキラー」の異名で呼ばれました。 現在では希少性の高い4代目プレリュード バブル景気を追い風にしたデートカーブームに乗って販売台数を伸ばした2代目、3代目に対して、まさにバブル崩壊の年に登場した4代目プレリュードは商業的には失敗したともいわれます。しかし、8万5,262台というモデル全体の販売台数は、ZN6型の86を6,500台あまり上回る数字です。 ハイパワーエンジンと、電子制御4WSという魅力的なプレリュードは、現在でも一定の支持を得ています。しかし、絶対的な販売台数が少なかったことから、現存する個体はあまり多くありません。ポテンシャルの高さに起因する車としての価値と希少性から、今後ますます貴重な存在になっていくかもしれません。
旧車&ネオクラシックカーオーナーを取材するときに必ず尋ねていることがある。それは「旧車(ネオクラシックカー)に乗るには果たして『覚悟』がいるのか」という問いだ。 この問い対して、これまで取材してきたほとんどのオーナーが「覚悟がいる」と答えてくれた。実体験を伴うだけに説得力がある。 では実際に「旧車に乗るには果たして『覚悟』がいる」のだろうか。7つの理由を元にひもといていきたい。 ■理由1:部品調達のリスク 旧車、そしてネオクラシックカーと呼ばれるクルマも含めて、もう数十年も前に生産を終了している「絶版車」だ。いうまでもなく、純正部品もはるか以前に生産終了(欠品)か製造廃止になっていて当然と思った方がいい。一部の輸入車、そして日本車メーカーも絶版車の純正部品の再生産を行っているが、特定のモデルにスポットライトが当たっているような状況で、ほとんどのモデルの部品はネットオークションなどを駆使して入手するしかない。 国内専用モデルとして販売された国産旧車およびネオクラシックカーよりも、世界各国に輸出されたメーカーのモデルの方が部品を入手できる確率が高い。また、一部のモデルはリプロパーツが出回っており、純正品にこだわらなければ入手にはそれほど困らないモデルもある。分かりやすい例を挙げると、クラシックミニやフォルクスワーゲン ビートル(タイプI)がその代表例といえる。 ■理由2:故障のリスク どこかのメーカーの格言ではないが「最新は最良」であることはひとつの真実だと思う。先代モデルよりも進化し、クルマとしての性能が相対的に向上しているからだ。その反面、旧車およびネオクラシックカーは古くなるいっぽうだ。いつ何時故障するか分からない。前触れがある場合もあれば、突然やってくることも少なくない。そのリスクは最新モデルより間違いなく高いといえる。 要はこの「故障のリスク」と向き合える覚悟があるかどうか、自分の胸に手を当てて問うてみればいいわけだ。最新モデルではまずありえないような、出先で故障して帰りはバスか新幹線で・・・なんてことも現実的に起こりうるかもしれない。実際に故障するかもしれないし。しないかもしれない。ただ、その確率は現代のクルマより確実に高い。旧車に乗る以上、そのリスクを常に意識しておく必要がある。 ■理由3:信頼できる主治医の存在 旧車ライフにおける生命線のひとつといえるのが「信頼できる主治医や専門店の存在」だと断言できる。「オーナー兼主治医」という人であれば、時間と手間と予算を気にせず思う存分メンテナンスに費やせるが、ここまでできる人はさすがに少数派だろう。そうなれば、大なり小なり、そのクルマに精通した主治医や専門店の腕とノウハウに頼ることとなる。 オーナーよりも愛車に精通し、適切なアドバイス、そしてメンテナンスを施してくれる。適切なエンジンの始動方法から、暖機運転の方法、アクセルおよびクラッチワークのコツ・・・などなど。もはや主治医であり、師匠とも呼べる存在ですらある。 ■理由4:「ヨコのつながり」の大切さと重要さ クルマ趣味のなかには頑なに仲間を作らず、黙々と楽しむ人がいる。あくまでも趣味なので個々の自由ではあることを前提として、やはり「ヨコのつながり」は大切にした方がいいと思う。おすすめの主治医やショップ、クルマや部品の売買情報、トレード、ツーリングや忘新年会の連絡など・・・。ここで得られる情報は恩恵は計り知れない。 それゆえ、敢えて最初はお互いに深入りせず、時間を掛けて連帯感と信頼関係が揺るぎないものへと変わっていく。接点はクルマのみ。幼なじみとは違う、趣味を通じて知り合った大人の関係だ。たまにはイヤなヤツもいるが、不思議と自然淘汰されていくから心配はいらない。むしろ、自分が淘汰される側にまわらないように注意する必要がある。 ■理由5:自身でどこまでメンテナンスできるか エンジンを掛けようと思ったら始動しない、出先で故障して動けなくなった。その都度、ショップや主治医にSOS発信をすれば、例え休日であっても救援に来てくれる可能性が高い。しかし、それには当然ながら費用が発生する。これらをタダでお願いしようと思うこと自体がナンセンスだ。 それであれば、ある程度は自分自身でメンテナンスや修理できた方がいい。愛車のコンディションをもっとも把握しているのは主治医であったとしても、オーナーにとってはブラックボックスである領域が多いことも事実。主治医によっては、オーナーが勝手にいじくることを嫌う人もいるので、相談しつつ、落としどころを探るといいかもしれない。 ■理由6:快適装備とは無縁 これは「言わずもがな」だと思われるが、現代のクルマで当たり前に装備されているエアコンやカーナビ、パワステ、パワーウィンドウ、シートヒーターなどの快適装備は期待しない方がいい。特にエアコンは、年代よっては装備されていないモデルも少なくない。きちんと動作するかはさておき、よくてクーラーだろう。 暑いだの寒いだの疲れるだの、乗るたびにストレスになるようなら旧車およびネオクラシックカーは向いていないと思った方がいいかもしれない。 ■理由7:1台ですべてをこなすのはほぼ不可能 記事やYouTubeなどの動画でサラリと「このクルマ(旧車)1台でなんでもこなしてます」といった具合にオーナーが紹介されていることがある。しかし、いったん冷静になってみて考えて欲しい。「他の人とはあきらかに違う何か」があるから取材対象となるのであり、インパクトがあるのだ。同じ土俵で考えない方がいい。 買い物や家族の送迎などの短距離走行、大雨のなかで走ることもあるだろう。ゲリラ豪雨のなか、エンジントラブルで立ち往生したらなす術もない。雨漏りしてくる可能性も大いにある。錆だって進行する。コンディション維持を考えたらなにひとついいことはない。万能に使える足車が必須となってくる。1台ですべてをこなすのはほぼ不可能だと思っておいた方がいい。 ■まとめ:やせ我慢の美学?結論として「覚悟はいる」 筆者自身、1970年製の旧車を所有しているが、イベントのときなどは真夏でもクルマを走らせることがある。エアコンはもちろんクーラーすら装備されていないから暑いことこのうえない。充電式の小型扇風機を室内に持ち込んでまわしてみるのだが、熱風をかきまわすだけでちっとも涼しくならない。 それでも、現代のクルマでは決して味わえない、ダイレクト感、直結感は何ものにも代えがたいものがある。運転中はBGMはおろか(そもそもオーディオレスだ)、水を飲むことさえ忘れるくらい運転に没頭できる。 不便さを差し引いてもあまりある魅力にあふれているからこそ、エアコンレスだろうが何だろうが苦にならないのだ(大変だけど)。旧車およびネオクラシックカーでしか味わえない世界を知ってしまったら最後。「やせ我慢の美学」といえばそれまでだが、多少苦労してでも古いクルマならではの魅力を選ぶか、現代のクルマならではの快適性が享受できるなかでクルマ趣味を謳歌するのかは人それぞれだ。 [撮影&ライター・松村透(株式会社キズナノート)]
無駄を削ぎ落としたコンパクトボディに、ハイパワーターボエンジンを備えたS15シルビア。シリーズ最終型として投入され、低い全高と吊り目の精悍なマスクで多くの人気を集めました。また、高い運動性能から、現在もドリフト競技を中心に第一線で活躍しています。 40年近くにわたるシルビアの歴史を締めくったS15の、開発背景や魅力を改めて振り返ってみましょう。 常識外のアプローチで進化を遂げたS15 長くモデルチェンジを繰り返す車種は、一般的に大型化していきます。スポーツモデルも例外ではなく、ホンダ シビックやマツダ ロードスターといった軽量コンパクトが特徴のモデルでさえ、現行型は3ナンバーです。 シルビアも6代目のS14で3ナンバー化しましたが、S15では再び5ナンバーに戻すという驚くべき手法で進化を遂げます。シルビアの歴史やグレードとともに、開発背景を振り返ってみましょう。 FRという駆動方式と進化が方向性を決定づけた 初代シルビアはダットサン フェアレディのシャシーをベースに開発され、1965年に登場しました。しかし、商業的には成功せず、わずか3年、544台の生産で一旦絶版になります。その後7年のブランクを経て2代目が登場、以降最終型のS15まで合計7世代が生産されました。 そして、シルビアの地位を確立したのが、1980年代後半にバブル景気を背景に生まれたデートカーブームです。先行するホンダ プレリュードの対抗馬として開発された5代目シルビアのS13型は、高い走行性能と豪華な内装によって人気を集めました。 また、駆動方式がFRだったことも、シルビアの個性をより際立たせたポイントです。デートカーの代表格といわれたプレリュードはFF、トヨタ セリカ GT-FOURは4WD(ベースはFF)だったのに対し、コントロールする楽しさを味わえるシルビアは、スポーティな走りを求めるユーザーから支持を集めました。 以降、6代目のS14、最終型のS15と走りに磨きがかかっていきます。 シェイプアップして戦闘力をアップしたS15 S13で高い評価を得たシルビアは、6代目のS14を経て1999年に7代目S15に進化しました。最大の変更ポイントは、ボディサイズです。S14で3ナンバーサイズに大型化したものの、販売当時はシルビアらしい軽快さが失われたとして不評でした。 そこで、S15では無駄を徹底的に削ぎ落とし、再び5ナンバーサイズとして登場します。「見て、乗って、走って、エモーションを感じる軽快コンパクトなスポーティクーペ」をコンセプトに開発され、精悍な印象のエクステリア、3連メーターなどを配したレーシーなインテリアがシルビアらしい鋭い走りを予感させました。 ユーザーニーズを満たす幅広いグレード展開 S15に搭載されるSR型エンジンは、S13の後期で初めて採用されたエンジンです。2世代に渡って改良を重ねて熟成の域に達していたS15では、ターボ付きのSR20DETで最高出力250ps(Spec-R)にまで達します。さらに、6速MTを組み合わせることで、エンジンパワーを活かした走りを楽しめました。 また、セダン並の幅広いグレード展開も、S15シルビアの特徴です。ターボモデルのSpec-Rと自然吸気モデルのSpec-Sを基軸に、上質なインテリアのLパッケージやカスタマイズベースというコンセプトのType-Bといったさまざまなグレードが発売後も追加されます。 さらに、日産のカスタマイズブランドのオーテックが専用チューニングを施した、オーテックバージョンやStyle-Aといったモデルもラインナップに加えられました。特に、オーテックバージョンでは自然吸気のSR20DEエンジンに専用チューニングを施し、200psという高出力を実現しています。 守備範囲の広いFRスポーツクーペ スペシャリティカーという位置付けだったシルビアですが、最終型のS15はさまざまなファンを魅了するモデルです。ドリフトというイメージの強いシルビアですが、ドレスアップ分野からレースまで幅広い人気を集めています。 S15シルビアの魅力を、ドリフト以外の側面も含めて探ってみましょう。 幅広いカスタマイズ性が魅力 S15がもっとも活躍したのは、ドリフトシーンです。パワーアップを図る吸排気パーツ、コントロール性能を向上させるアーム類やサスペンションといった多くのチューニングパーツが販売されています。 また、「魅せる」要素も強いドリフトから派生して、エアロ類を中心にドレスアップパーツも豊富です。レーシングドライバーの谷口信輝氏が所有するS15シルビアのように、究極のドレスアップ仕様も存在します。 実はレースでも高い実力を発揮 ドリフトのイメージの強いS15ですが、実はレースでも好成績を残しています。S14から大幅に軽量コンパクト化されたS15は、全日本GT選手権(JGTC)投入初年度から実力を発揮しました。GT300クラスに参戦し、シリーズ全7戦でポールポジションを獲得。シリーズチャンピオンこそ逃しましたが、圧倒的な速さをみせつけました。 さらに、デビュー2年後の2001年には、ダイシンシルビアが念願のシリーズチャンピオンを獲得します。市販車として販売されていた期間がわずか4年だったにも関わらず、レースシーンで輝かしい実績を残しました。 今も現役で活躍し続けているS15シルビア 販売終了からすでに20年以上が経過するS15シルビアですが、現在もドリフトを中心としたモータースポーツやカスタマイズカーファンから多くの人気を集めています。GR86やGRスープラの登場で一時期よりは減ったものの、D1グランプリの参加マシンをみてもS15はまだ中心的な存在です。 また、精悍なスタイリングからドレスアップを楽しむユーザーからの支持も厚く、今のところ人気に陰りは見られません。一旦3ナンバー化したモデルを再度小型化するという日産の大英断で生まれたS15は、他に類をみない5ナンバーサイズのターボモデルとして今後も注目され続けることでしょう。
1954年製メルセデス・ベンツW196 R ストロムリニアン ヴァーゲンのオークションが、このほどドイツで行われグランプリレーシングカー史上最高額(約80億円)で落札されました。メルセデス・ベンツの旧車は人気がありますが、その理由を一緒に探ってみましょう。 ■F1で優勝した伝説のマシン ドイツ・シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館は2月1日、W196 R ストロムリニアン ヴァーゲンのオークションを開催。すると、みるみるうちに入札金額が釣り上がっていき、最終的に5115万5000ユーロ(約80億円)という、グランプリレーシングカーとして史上最高額で落札されました。 このマシンは2.5リッター直列8気筒エンジンを搭載し、最高時速300km/hを誇り、1950年代半ばにF1シーンを席巻。2シーズンかけて257馬力から290馬力まで性能が向上しました。 当時のF1ルールはホイールカバーを禁止しておらず、伝統的なオープンホイールと、重量を上回る空力性能に賭けたクローズドホイールのボディ・デザインがありました。 幅広で重心が低く滑らかな流線型のボディには、アルミニウムよりもさらに軽いマグネシウム合金が使われ、重量はわずか40kgでした。 W196 R ストロムリニアン ヴァーゲンは1954年フランスグランプリでデビューすると、メルセデスのファン・マヌエル・ファンジオとカール・クリングが1位・2位でフィニッシュ。 1955年アルゼンチングランプリでは、ファン・マヌエル・ファンジオが母国で優勝を飾りました。 ■流線型ボディは世界にわずか4台 このモデルのマシンは14台しか製造されておらず、1955年のF1シーズンを生き抜いたのは10台。そのうちエレガントな流線型ボディのものは、わずか4台しかありません。 今回、オークションに出されたマシンは、1965年にメルセデスが米国インディアナポリス・モーター・スピードウェイ博物館に寄贈したものです。このモデルが個人所有になるのは、今回が史上初となります。 当時メルセデスのマシンは、銀色のボディから「シルバーアロー」(銀の矢)という愛称がつきました。 1世紀以上の伝統を持つメルセデスのブランドイメージと美しいデザインと希少性。そしてF1を戦った歴史が刻まれたことで、このマシンに高値がついたといえるでしょう。 ■カーオークション史上最高額もメルセデス・ベンツ ちなみに、クルマのオークション全体における史上最高の落札額は、2022年に記録された1億3500万ユーロ(約211億円)で、1955年製メルセデス・ベンツ 300SLR ウーレンハウト クーペです。 今回の80億円は、クルマのオークション全体では史上2位となります。こちらでもメルセデスが1・2フィニッシュとなりました。 今回の約80億円という落札価格は驚きですが、主催者側の事前の予想とほぼ一致していたということです。 2013年に英国グッドウッドでオークションにかけられた1954年製メルセデス・ベンツW196は、1960万ポンド(約36億円)で落札されました。こちらは、この段階でカーオークション史上9位の高値となっています。 ■廃車場で半世紀も放置されていた300SLが14億円に その他にもメルセデス・ベンツのクラシックカーが高値で落札されている事例があります。 メルセデス・ベンツ300SLは、カモメの翼のように上に開くガルウィングドアが特徴のスポーツカーで、コレクターの間で人気が高いモデルです。アメリカでは、2024年に930万ドル(約14億円)で売却されました。1956年製メルセデス・ベンツ300SLの29台製造されたうち、26台目にして唯一エクステリアが黒でインテリアが赤のものです。廃車場で半世紀も眠っていた掘り出し物で、よくぞスクラップにしなかったと拍手が送られたことでしょう。 超高級車として知られるメルセデス・ベンツ600(W100)ですが、長いルーフと6ドアのランドーレットのものは9台しかなく、そのうち、ヨシップ・ブロズ・チトー元ユーゴスラビア大統領が乗っていた1台は、2017年にイギリスで250万ポンド(約4億7000万円)で売却されました。 メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューション IIは500台限定で生産されたモデルで、国内外で高値で取引され5000万円以上の値がつくこともあります。 ■質実剛健でステータスの象徴 私たちが日常よく目にするメルセデス・ベンツも、やはりラグジュアリーカーというイメージが定着しています。 メジャーな高級車で富裕層の間で人気があり、オーナーのステータスを象徴する存在になっています。 メルセデス・ベンツは、いかにもドイツらしい質実剛健な設計哲学に基づき造られています。非常に耐久性がありブランド力もあいまって、中古車市場で高値で取引されています。 企業の重役がベンツの中古車を購入して乗っているのをよく見聞きします。 一般的に新車は、購入したその日から価値が落ちていきます。メルセデス・ベンツの中古車は比較的、高値で売り買いされています。首尾よくお得な価格で購入しておけば価値が下がりにくく、いざというときにほぼ同じ金額で売却できる可能性があります。 普段は便利な移動手段で、ステータス・シンボルとしてしっかりと役割を果たし、現金が必要になったら高値で売ることができるのです。メルセデス・ベンツに乗っている社長は、意外と堅実な経営者ということでしょう。 ■まとめ メルセデス・ベンツの希少価値があるクラシックカーは、世界的に随一の高値がつくことが分かりました。 高性能で耐久性に優れ、信頼性は高いものがあります。また、伝統と実績に裏打ちされたブランドイメージもあり、ステータスを確立しています。 そして、一般的なメルセデス・ベンツの中古車も資産価値が高くなっています。高級車のなかで比較的、売り手も買い手も多い大きな市場を形成。つまり、売るのにも買うのにも選択肢が多いクルマだということです。 誰でも気軽に手が出せるわけではありませんが、予算に余裕があれば検討するに値するクルマということができるでしょう。 [画像/Mercedes-Benz・ライター/Takuya Nagata]
「自分のクルマを売ったら、いくらになる?」と考えたことはありませんか。金額は、おそらく購入したときより低くなることを想定したでしょう。しかし、クラシックカーは、買ったときよりも高く売れることがあります。 クラシックカー投資には、愛好家やコレクターだけではなく投資ファンドも参入しています。つまり、それだけ儲かる可能性があるということなのです。 日本の状況も交えながら、海外で盛んに行われているクラシックカー投資について紹介します。 ■クラシックカー投資とは? クルマの価値は、一般的には経年劣化とともに下がっていきます。しかし、コレクターに人気がある一部の車種については市場価値が上昇することがあります。 クルマは、所有することに喜びがあり、便利な移動手段なだけではなく、資産でもあるのです。 クラシックカー投資は、ヴィンテージカーや希少な車両を購入し、長期的に価値が上昇したら売却する投資手法です。これらのクルマは、デザインや製造数、逸話などが要因となり、市場価値が高まることがあります。 たとえば、フェラーリ250GTOやポルシェ911の初期モデルなどは、コレクターの間で高値で取引されています。2018年には、1962年製フェラーリ250GTOが、オークションで4800万ドル(約52億円)で落札され、大きなニュースとなりました。 ■海外のクラシックカー市場について 歌手やハリウッドのセレブにも、クルマコレクターが多くいます。たとえば、レディー・ガガ、ニコラス・ケイジ、アーノルド・シュワルツェネッガー、リチャード・ギア、ローワン・アトキンソンといった面々です。有名人が所有すると、オークションの際により一層、価値が高まります。 海外ではクラシックカーの取引がとても盛んです。特にヨーロッパやアメリカでは、大規模なオークションや展示会が定期的に開催され、多くの投資家やコレクターが集まります。 主要なクラシックカーイベント ●ペブルビーチ・コンクール・デレガンス(アメリカ): カリフォルニア州の有名なゴルフ場で開催されるクラシックカーイベントで、よりすぐりのクルマが展示され、オークションも行われます。 ●グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(英国): リッチモンド公爵家が主催する由緒正しき催しです。希少なクラシックカーが公道やサーキットで走る姿を見ることができます。 このようなクラシックカーのイベントでは、プロの鑑定士が車両の価値を査定し信頼性が高い取引が行われます。そしてクラシックカーの希少性や保存状態の評価によって、価格が大きく変動することがあります。 ■クラシックカー投資の魅力とは? ●希少価値: 生産台数が少ないモデルは、人気に応じて市場価値が上昇する傾向があります。 ●デザインと芸術性: クラシックカーの多くは、現代のクルマにはない独特のデザインや味わいがあります。 ●資産の分散: 株式などとは異なり、クラシックカーは実物資産として投資ポートフォリオに多様性をもたらします。仮に株価が暴落してもクルマの価値への影響は限定的です。また、金融市場のボラティリティ(変動)に比べたらクラシックカーの価値の推移は、なだらかです。 昨今は、日本でもインフレに転じていますが、そうすると現金の価値は目減りしていきます。クラシックカーは、インフレにも強いのが利点です。これは金や不動産、腕時計の投資にも同じことが言えます。 ●クルマ愛好家にとって最高の体験: クルマ好きの人にとって、クルマを購入し所有して、手入れをするだけで大きな喜びです。そんなコレクションに将来、高値がつくかもしれないと思うとワクワクします。 ■クラシックカー投資において注意すべき点とは 投資にはリスクがつきもので、クラシックカー投資も例外ではありません。 ●維持費: まずクルマを管理する駐車場や車庫が必要です。運転しないとしても、大事な資産ですので保険をかけるのが無難です。クルマは機械ですので経年劣化していきます。クラシックカーのメンテナンスは高額な傾向があります。パーツの入手が難しく、修理は専門の技術者への依頼が必要な場合があり、維持費がかさみます。 ●市場の流動性: 株式や債権と比べると、クラシックカーの市場は流動性が低いです。適切な買い手を見つけるまでに時間がかかることがあります。急きょ、現金が必要なときには不向きです。 ●価値の変動: 市場のトレンドや需要により、クラシックカーの価値は変動します。必ず価値が上がるわけではないことを理解しましょう。クルマとしての性能は何もしなければ次第に劣化していきます。新車より中古車が低価格なのはそのためです。それ以上に価値が上がる何かを持っているクルマ、あるいは価値が上がる可能性があるクルマを選ぶことが重要です。 ●偽物の流通: 高価なクラシックカーに似せて偽造された車両が出回ることがあります。不安がある場合は、専門家によるチェックを推奨します。 ■日本のクラシックカー事情について 日本でも、旧車への関心は高まっています。例えば、トヨタ2000GTや日産スカイラインGT-R(ハコスカ)など、日本のクラシックカーは国内外で人気があります。 日本でもクラシックカーのイベントが各地で開催され、愛好家の交流の場となっています。 海外に比べると日本のクラシックカー市場は、まだ成長途上です。今後、さらに発展していくことを期待しましょう。 ■敷居が高いと感じる人のための奥の手とは 「価値が上がるまで気長に待ちたくない。短期間で成果を出したい」という人は、壊れているものの潜在的な価値が高いクルマを入手して修理したりカスタムパーツをつけたりするのはいかがでしょうか。手間暇はかかりますが、短期間でクルマの価値を高めることが可能です。 クラシックカー投資には、ある程度まとまった資金が必要になります。「予算があまりないけどクルマ投資をしてみたい」という人は、中古車市場であまり買い手がつかない手頃なクルマを購入して、レストア(復元)や修理をして、再び中古車市場で販売するという手もあります。低価格帯のクルマは長期的な価格の上昇幅が小さくなりがちですので短期決戦で売り手を見つけるのが懸命でしょう。 ■まとめ ラシックカー投資は、腕時計投資やアート投資、ワイン投資に近いものがあります。 脱炭素の流れで煙たがられがちなエンジン車ですが、EV化が進んでいることから将来的に骨董品として価値が上がることが期待できます。現在の機関車の価値を想像してみてください。 ハイリターンを狙うなら、価値が上がりそうなクルマを入手して長期的な価値の上昇をゆっくりじっくり狙うのが良いでしょう。 「真剣に売却益を追い求めるのか」もしくは「趣味の延長として行うのか」。自分はどちらが向いているかを考えてみましょう。 [画像/Porsche, Lamborghini, Mercedes-Benz, Toyota, Rolls-Royce・ライター/Takuya Nagata]
直列4気筒水冷DOHCエンジンを武器に、レースでも商業的にも成功をおさめたホンダ S800。一方で、ライバル車だったトヨタ スポーツ800の登場が華々しかったこともあり、一部では「ヨタハチのほうが速い」と誤解されています。 それでは、レースでの実際の戦績はどうだったのでしょうか。本記事ではS800の特徴やヨタハチとの違いを詳しく解説します。 S800の成功とライバルヨタハチとの違い S800は、同クラスのトヨタ スポーツ800と常に比較される存在でした。同じ時代に販売された同排気量、同コンセプトの2台ですが、実はまったく異なる構造で開発されています。 S800とヨタハチの違い、レースでの実力を詳しくみていきましょう。 S600の成功を受けて登場したS800 S600が好調な販売を続けていた1965年秋。東京モーターショーで、排気量を791ccに拡大したS800が発表されました。直列4気筒DOHCエンジンは、最高出力70ps、最大トルク6.7kgmを発揮し、パワー不足感が否めなかったS600の弱点を克服しました。 一方で、車重はS600と同じ720kgに抑えられ、最高速度160km/h、0-400m加速16.9秒という本格スポーツカーという名にふさわしい性能を実現しています。 ヨタハチと大きく異なる車体構造 S800と比較されるのが、同車格だったトヨタ スポーツ800です。「ヨタハチ」という通称に対して、S800は「エスハチ」と呼ばれました。ほぼ同時代に開発されたスポーツモデルという点で両車は共通していますが、まったく異なる車体構造で開発されています。 非力なエンジンながら軽量なモノコックボディで軽快な走りを求めたヨタハチに対して、S800は専用シャシーにボディを架装するというオーソドックスな構造でした。一方で、ヨタハチの45psに対して70psという圧倒的なエンジン性能を誇り、ホンダがスポーツカーとして絶対的な性能を追い求めていたことがわかります。 レースで見せつけたヨタハチとの実力差 S800がレースデビューをすると、またたく間にライバルのヨタハチとの大きな実力差を見せつけました。ヨタハチとS800のライバル関係は有名ですが、軽量なヨタハチのほうが速いイメージをもっている人のほうが多いでしょう。しかし、実はこのイメージは、第1回自動車クラブ選手権で浮谷東次郎のヨタハチに生沢徹のホンダ S600が惨敗したことから作り上げられました。 後継のS800はデビュー当初こそ先行するヨタハチにリードを許したものの、高いポテンシャルを背景に登場からわずか1年でGT-Ⅰクラスの主導権を握る存在になります。デビュー翌年の1967年の5月に行なわれた第4回日本グランプリ自動車レース大会では、リザルトボードをS800が独占しました。 商業的にも成功したS800 レースで結果を残す一方で、S800は商業的にも成功をおさめました。最大の理由は、発売後も販売マーケットを考えて進化を続けたことです。 最終型S800Mへの進化とともに、ヨタハチに大きな差をつけた販売台数について振り返ってみましょう。 マーケットに合わせて進化し続けた 1966年1月に登場したS800は、4月に早くもマイナーチェンジを果たします。主な変更ポイントはリアの足回りで、一般的な5リンク・コイルのリジッドアクスルに改められました。独自のチェーンドライブ機構がS600から続く特徴だったものの、欧米諸国で歓迎されなかったためです。結果的に、発進時のトルクでリアが持ち上がる挙動も解消されました。 さらに、アメリカの安全基準への対応で、1968年5月に最後のマイナーチェンジを行います。S800Mと名称を改めた最終型では、四隅に大型のリフレクターを装着、フロントにディスクブレーキを採用といった安全装備のアップデートが実施されました。また、145SR13インチのラジアルタイヤを標準装備し、性能面の向上も図られています。 総販売台数もヨタハチに大きく差をつけた S800の総生産台数は、1970年の生産終了までの5年間で1万1,406台にものぼりました。わずか3,512台のトヨタ スポーツ800に、レースだけでなく販売台数でも圧勝したということです。 1960年代後半という、国内では自動車が普及し始めたばかりの時代背景を考えると、なお驚異的な数字といえるでしょう。1,000cc未満のライトウェイトスポーツという特殊なジャンルながら、1万台以上の販売台数を記録したことはS800が絶大の支持を集めていた証です。 現代的な装備が成功につながったS800 水冷DOHCという極めて現代的なエンジンの発揮する、絶対的な性能がS800の大きな武器です。軽量なモノコック構造でレース界を席巻していたヨタハチに対して、エンジンパワーで真っ向勝負を挑んだS800は勝利を掴みました。 また、大型のリフレクターやラジアルタイヤ、ディスクブレーキの採用といった現代的な安全装備によって商業的な成功も手にした点もS800を振り返るうえで欠かせないポイントです。S600によって世界に存在感を示したホンダは、S800の成功で自動車メーカーとしての地位を確かなものにしたといえます。次はどんなクルマで世界を驚かせてくれるのか、今後もホンダの挑戦に期待したいものです。
「老婆心」という言葉があります。曰く「余計なお世話だと分かってはいるけれど、敢えていわせて・・・」という意味合いです。端から見れば、老婆心というよりも老害丸出し。 ただ、そこには「気づいてからでは遅いのよ」というメッセージが込められていることも事実です。もしよかったら聞いてやってください・・・。 ■10年後・20年後に手が届かない存在かもしれない 多くの人がもしやと思い、同時にまさかここまでとは!と感じているのではないでしょうか。いわゆる旧車およびネオクラシックカーの価格高騰です。コンディションが良くなった分が価格に反映されて高くなった・・・のではほぼありません。そのままの状態で相対的に値上がりしている個体も含まれます。 欲しいクルマはあるけれど、あれこれと条件をつけて妥協せず、とうとう買い時を逃した人を何人も知っています。ちなみに、自分のその1人です。「欲しいと思ったときが買いどき」は事実です。迷っているとあっという間に5年、10年と時が過ぎていき、結果としてタイミングを逸し(あるいは気持ちが冷めてしまい)、買い時を逃してしまうのです。 ■結婚したら乗れないかもしれない 取材していると「結婚して子どもが生まれても2ドア(3ドアハッチバックタイプ)のクルマに乗りつづけた」というオーナーさんと、そのご家族にお会いすることがあります。身重の奧さんを助手席に乗せて産婦人科へ連れて行き、無事にお子さんが生まれたあとはリアシートにチャイルドシートを載せ、そこに赤ちゃんを乗せてそれぞれの実家に帰省・・・なんて聞くと「奥さまは心が広いなあ・・・」と思ってしまいます。 日本の路上にミニバンが溢れている理由、それは子育て世代の理に適っているからです。狭い駐車場でも電動でドアがスライド式に開閉できて、箱形ゆえに室内が広くて、リアシート用にモニターを追加すれば、大人しくトトロを観て、飽きたらそのうち子どもたちが寝てくれる(こともある)からです。パパの希望や本音とは無関係に、家庭の平和のために、ミニバンに乗り換えざるを得ない現実がそこにあることも事実です。 ■乗りたくても時間がとれないかもしれない 年齢を重ねるにつれて会社でも立場が偉くなり、その分、責任も重くなり・・・。仕事量が激増して帰宅後に仕事をしたり、休日出勤することも増えてきます。さらに家族がいれば、自分の時間なんてほぼ無きに等しいのです。奧さんと子どもを置いてパパが遊びほうけていたら・・・。ある日突然、帰宅したら家のなかがガランとしていて奥さんと子どもが家を出てしまった。そのまま音信不通で、結果として離婚・・・なんてことになりかねません。 奧さんに「たまには遊びに行かせやってもいいか(仕方ないか)」と思わせるくらい、普段から家事育児をしっかりこなし(手伝うや協力はNGワード)、バッチリポイントを稼いでおく必要があります。子どもが大きくなれば、自然とお父さんの自由(放置ともいう)時間も増えていきますから、そのときまでの辛抱です。・・・というより、お子さんとの時間を大切にしてください。振りかえるとあっという間に過ぎていますから。 ■気力・体力的に厳しいかもしれない どれほど体を鍛えていても、節制をしていても、老いには勝てません。こればかりは何人たりとも避けてとおれない宿命のようなものです。ふと、時間があいたときに、若いころなら「よし!走りに行くか!!」と出掛けていたものが、いつしか「今日は疲れたから寝よう・・・」という思考に切り替わります。つまり、おっくうになるのです。もちろん、そうでない人もいますが、少数派です。 さらには長時間、フルバケットシートに座っていると腰が痛くなってくる。車中泊をすると体が痛い、夜間に走行すると目がチカチカする・・・。いずれも若いときには想像もつかないような「老い」を実感するときが必ず訪れます。気力があっても、体がいうことを聞かなくなってきているのです。 ■法改正があるかもしれない いまでも、新規登録から13年経過したガソリン車およびLPガス車は自動車税が約15%増加します(電気自動車やハイブリッド車などのエコカーは対象外)。また、ディーゼル車は11年で税率が重くなります。さらに重量税は新規登録から13年経過で約15%(ガソリン車)、そして18年経過するとさらに加算されます。しかも、1年おきまたは車検のたびに加算された分を含めた金額を納税しなくてはなりません。ただでさえ、古いクルマは維持費が掛かることが多いのに、さらに出費がかさむのです。 ここ数年、あるいは最新モデルを手に入れたいのであれば問題ありません。しかし、今後、この税率がさらにあがったり、別の税率が加算されるなど、さまざまな形で旧車およびネオクラシックカーオーナーを苦しめる可能性があります。 ■まとめ:「欲しいと思ったときが買いどき」。それを逃すと手に入らなくなる 繰り返しになりますが、クルマに限らず「ほしいと思ったときが買いどき」であることは確かです。この先、もっとよい条件のクルマが見つかるかもしれないとか、もう少し待てば安くなるかもしれないなど・・・「かもしれない」に期待しすぎると、結果として買いどきを逃してしまうのです。 大きな買い物をする以上、大なり小なりリスクは避けられません。金銭面では厳しいこともあるでしょう。食費を抑えなければならないこともあるかもしれません。しかし、どこかのタイミングで意を決する必要があるのです。それにはなるべく自由度が高く、気力と体力が充実している若いときに決断をした方が思う存分楽しめるということを、老婆心ながらお伝えできればと。・・・などと書き連ねつつも、そんなこと、余計なお世話ですよね。 [ライター・撮影/松村透]