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新しくクルマを購入したときや引っ越しで住所が変わったときなどは「車庫証明」を取得する手続きが必要です。 車庫証明を取得するときは、必要書類を作成して管轄の警察署に提出します。一軒家にお住まいの場合、自宅の敷地内にある駐車場と自宅外の月極駐車場で申請書類の書き方や提出書類が異なる点に注意が必要です。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、一軒家にお住まいの方が車庫証明を取得する方法や書類の書き方などについて詳しく解説します。 車庫証明とは 車庫証明とは、クルマの保管場所が確保されていることを証明する公的な書類のことです。 正式名称を「自動車保管場所証明書」といい、自動車の使用の本拠の位置を管轄する警察署で「保管場所証明申請手続」をした際に交付されます。 クルマの車検証に記載された使用者は、以下のような場合に管轄の警察署で車庫証明を取得し、運輸支局で手続きをする際に提出しなければならないとされています。 ・新車や中古車を新たに購入したとき(新規登録) ・クルマの所有者が変わったとき(移転登録) ・クルマの所有者が住所を変更したとき(変更登録) ただし、地域によっては車庫証明の申請が不要な場合があるため、事前に管轄の警察署のWebサイトで確認しておくとよいでしょう。 自動車保管場所証明申請書の記載項目と添付書類 車庫証明を取得するときは「自動車保管場所証明申請書」を記入し、添付書類とあわせて提出します。以下では、申請書の記載項目と添付書類について解説します。 記載項目 自動車保管場所証明申請書は、クルマの車名や型式、自宅と保管場所の位置などを記載します。具体的な記載項目は以下のとおりです。 自動車の情報(車名、型式、車台番号、自動車の大きさ) 使用の本拠の位置 保管場所の位置 申請する日 提出する警察署名 申請する年月日 申請者の住所、氏名、電話番号 など 添付書類 申請の際は、自動車保管場所証明申請書とあわせて以下の書類を提出します。 ・保管場所の所在図(駐車場の場所と自宅からの位置関係を示す地図)と保管場所の配置図(駐車スペースの幅や奥行き、保管場所と接する道路などを記載した図)がセットになったもの ・保管場所を使用する権原を疎明する書面(いずれか1通) ・保管場所使用承諾証明書(貸し駐車場の場合) ・保管場所使用権原疎明書面(自分の所有地の場合) 所在図については、以下のどちらかに該当する場合、添付を省略できます。 ・使用の本拠の位置と保管場所の位置が同一の場合 ・次のいずれにも該当する場合 1.自動車買い替え時等の自動車の入れ替えである。 2.使用の本拠の位置と車庫の位置のいずれも旧自動車と変更がない 一方で配置図の添付を省略することはできません。 【一軒家】自動車保管場所証明申請書の書き方例 ここでは、一軒家の敷地内を駐車場として申請する場合の書き方を紹介します。秋田県警察で公開している自動車保管場所証明申請書の記載例は以下のとおりです。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 上記申請書の記入方法は、以下のとおりです。 記入内容 車名 メーカー名を記載(例:トヨタ・ホンダ・ニッサン) 型式・車台番号 自動車検査証(車検証)のとおりに記載。新車の場合は販売業者に聞いて記載 自動車の大きさ センチメートル単位で右詰め記入(ミリ以下切り捨て) 使用の本拠の位置 実際に居住する場所の所在地を記載(通常は住民票と同じ) 保管場所の位置 自宅の敷地内駐車場:使用の本拠の位置と同じ住所 月極駐車場など:駐車場の住所と車庫の番号 申請者欄 住民票や印鑑証明書どおりに使用者の住所・氏名を記入 使用権原 「自己・他人・共有」のいずれかに〇印 ・自己:車庫が申請者所有の場合 ・他人:車庫が他人所有の場合 ・共有:車庫が共有の場合 自動車登録番号 ナンバープレートに記載される番号 申請内容 該当する箇所に〇印 ・新規:今回申請する保管場所において申請者が新たに保管場所証明を取得する場合 ・代替:現在の保管場所で保管場所証明をすでに受けている車輌があり、その車輌と入れ替える場合 ・増車:複数台分のスペースがある保管場所に車輌を追加する場合(代替の場合は旧車輌の車台番号を記入) 連絡先欄 申請内容の問い合わせが可能な氏名・電話番号を記載 自動車保管場所証明申請書の様式は都道府県によって異なるため、車庫証明の申請をする際は管轄の警察署の公式Webサイトをご確認ください。 【一軒家】自動車保管場所証明申請書の書き方のポイント 自動車保管場所証明申請書を作成する際は、黒色のボールペンまたは黒色のスタンプで明瞭に書きましょう。黒のボールペンであっても、消せるタイプのものは使用できません。 車庫証明が交付された後は訂正できないため、申請書の記載内容に誤りがないか十分に確認したうえで提出することが大切です。 以下では、自動車保管場所証明申請書の項目ごとに書き方のポイントを解説します。 自動車の情報に関する欄を記載する際のポイント 車名の欄にはメーカー名のみを記載します。例えば、トヨタのヤリスに乗っている場合、この欄に記載するのは「トヨタ」のみです。 型式や車台番号の欄には、車検証の内容を正確に書き写しましょう。 また、0(ゼロ)とO(オー)、1とI(アイ)など、数字とローマ字を混同しやすい文字は、はっきりと区別できるよう注意して記載することが大切です。 都道府県によっては、アルファベットの下段にチェックを入れる欄が設けられている場合があります。 使用の本拠の位置と保管場所の位置を記載する際のポイント カーポートやガレージなど、一軒家の敷地内に駐車場がある場合、「使用の本拠の位置」と「保管場所の位置」には、同じ住所を記載します。 保管場所の位置の欄に「同上」や「〃」とは記載せず、使用の本拠の位置と同様に住民票のとおりに正しい住所を記載しましょう。 申請者欄を記載するときのポイント 申請者欄に記載するのは、警察署の窓口に書類を提出する人ではなく、クルマの使用者となっている人の氏名や住所です。使用者が個人の場合は、住民票や印鑑証明書と同一の氏名と住所を記載します。 なお、申請者の押印は不要です。 一軒家の車庫証明を取得するための条件 クルマの保管場所と認められるのは、駐車場、車庫、空き地などの道路以外の場所です。また、一定の要件を満たしている必要があります。以下で各要件について詳しく解説します。 保管場所を利用する権限を持っている(権原の要件) 車庫証明を取得するためには、クルマの使用者が保管場所として利用する権限(権原)を持っている必要があります。 申請の際には、申請書に保管場所の位置を記載するだけでなく、保管場所として利用する権限を持っていることを証明する以下の書類を提出します。 保管場所が自分の所有地:保管場所使用権原疎明書面(自認書) 保管場所が貸し駐車場:保管場所使用承諾証明書 例えば、自宅の敷地内にあるカーポートやガレージを駐車場としている場合は、保管場所使用権原疎明書面(自認書)を作成して提出します。 自宅外に月極駐車場などを借りている場合は、その所有者や管理を委託されている会社などに保管場所使用承諾証明書を作成してもらいます。 保管場所使用承諾証明書が用意できない場合、都道府県によっては駐車場の賃貸借契約書や領収書のコピーを提出することも可能です。 自宅から直線で2km以内に駐車場がある(距離の要件) 保管場所の位置と自宅(使用の本拠の位置)の距離が、地図上の直線距離で2km以内である必要があります。 一軒家で自宅の敷地内に駐車場がある場合、使用の本拠と保管場所が同じ住所になるため、この距離に関する要件を気にする必要はありません。 一方、自宅外にクルマを駐める場合は、自宅から半径2km以内の距離にある駐車場を借りる必要があります。また、車庫証明の申請の際には所在図の作成と提出が必要です。記載例は以下のとおりです。 画像引用:警視庁「保管場所証明申請手続(窓口での申請)」 所在図には、自宅と駐車場の場所と直線距離だけでなく、位置関係がわかるように付近の道路や目標となる建物なども詳しく記載します。手書きで作成する他にも、所在図欄に「別紙」と記載し、Googleマップなどを印刷した地図を添付することも可能です。 十分に収容スペースがある(スペースの要件) クルマが通行できる道路から支障なく出入させ、かつクルマの全体を収容できるほどのスペースがあることも、保管場所と認められるための要件の1つです。 車体の一部が道路にはみ出すような場所や、クルマの出し入れが難しい場所などは、保管場所として認められません。 そのため、車庫証明を申請するときは、クルマの「長さ」「幅」「高さ」を申請書に記載します。また、保管場所に十分な駐車スペースがあることを示すために「配置図」を作成して提出します。 自宅の敷地内に駐車場がある場合の配置図の記載例は以下のとおりです。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 配置図には、駐車スペースの具体的な寸法や駐車場に面した道路の幅などを正確に書き込みます。また、自宅の家屋と保管場所が記載欄に収まるように記入しましょう。 自宅外の月極駐車場を借りる場合は、以下のように記載します。 画像引用:秋田県警察「自動車保管場所証明等の手続きについて」 所在図と同様に、Googleマップなどを印刷した地図を活用することも可能です。 車庫証明を取得する流れ 管轄の警察署で車庫証明を取得する際の流れは、以下のとおりです。 ・必要書類を準備する ・管轄の警察署の窓口に書類を提出して手数料を支払う ・警察による審査が完了すると車庫証明書が交付される 申請先は、自宅の最寄りではなく「駐車場の所在地」を管轄する警察署です。手数料の金額は地域によって異なりますが、2,200〜2,400円ほどが目安です。 提出した書類に不備がなければ「納入通知書兼領収書」が交付されます。この書類は、後日警察署で車庫証明書を受け取る際に必要なため、大切に保管しておきましょう。 警察署による審査期間は通常3日〜1週間ほどです。申請当日に車庫証明書を受け取れるわけではないため、スケジュールに余裕を持って手続きしましょう。 まとめ 車庫証明を取得する際は、自動車保管場所証明申請書に必要事項を記入して管轄の警察署に提出します。申請の際には、保管場所の所在図・配置図、保管場所の使用権原を疎明する書類も必要です。 一軒家に住んでおり、敷地内を駐車場として使用する場合、使用の本拠の位置と保管場所の位置には自宅の住所を正確に記載します。所在図の作成は不要ですが、配置図は必須です。保管場所の使用権原を疎明する書類は「自認書」を準備します。 月極駐車場を借りる場合は、所在図を作成して保管場所使用承諾証明書も用意しましょう。 申請書類の書き方にはさまざまな注意点があり、車庫証明が交付されるまでに申請してから3日〜1週間ほどかかるため、スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。
クルマの購入や引っ越しで車庫証明が必要になったとき「どこの警察署でも申請できるのか」「引っ越し前後でどこに出せばいいのか」と迷われる方は少なくありません。 この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、車庫証明を提出できる警察署の確認方法について、地域別のルールと注意点を交えながら解説します。 車庫証明とは 車庫証明は、違法駐車の防止と交通環境の整備の観点から、クルマを購入する際に適切な保管場所(駐車場)が確保されていることを法的に証明する書類です。正式名称は「自動車保管場所証明書」です。 車庫法によって、新車の登録や中古車の名義変更時には証明書の提出が義務付けられています。 なお、証明書はクルマの保管場所を管轄する警察署長が発行します。書類を揃えて警察署に申請し、取得した車庫証明を購入先に提出するまでが一連の流れです。 車庫証明の取得条件 車庫証明を取得するためには、法律で定められた3つの条件をクリアする必要があります。車庫証明の取得条件について詳しく見ていきましょう。 収容スペースの条件 収容スペースの条件は、以下の3点です。 ・クルマが完全に収まり一部もはみ出さないこと ・クルマが公道から直接出入りできること ・駐車場から出た道路に十分な幅があること なお、収容できるのは所有地または契約済みの土地と、車庫法で定められています。公道や無許可の私有地は使用できません。 申請時には、条件を満たしていることを示す配置図の提出も求められるため、記載例を参考に漏れなく記載しましょう。 権限に関する条件 車庫証明に関する権限は、駐車場の使用権限に関する条件のことです。戸建てのように自己所有地の場合は保管場所使用権原疎明書面(自認書)、賃貸のように他人の土地を借用する場合では保管場所使用承諾証明書の提出が必要です。 なお、住民票と現住所が異なる場合でも車庫証明は取得可能ですが、使用の本拠地であることを証明する書類(公共料金の領収書や免許証など)が追加で必要です。 虚偽申請に対しては厳しい罰則が設けられており、車庫飛ばしなどの違法行為には20万円以下の罰金が科される可能性があります。また、引っ越し後15日以内に手続きを行わない場合も10万円以下の罰金刑の対象となるため、早めの確認と対応が大切です。 保管場所から自宅までの距離の条件 車庫証明では、保管場所が「使用の本拠地」から直線距離で半径2キロメートル以内にあることが法的要件として定められています。距離は実際の道路距離ではなく、地図上で直線を引いた場合の距離です。 「使用の本拠地」とは、個人の場合は実際に居住している住所、法人の場合はクルマを使用する本店や支店など実際の活動拠点を指します。 ただし、全長5メートル超かつ全幅1.9メートル超のモーターホームやキャンピングトレーラーなどの特殊車両については、特例措置として半径2キロメートルを超えた場所での保管が認められる場合があります。 車庫証明は管轄の警察署に提出する 車庫証明を申請できるのは、クルマの保管場所を管轄する警察署のみです。全国どこの警察署でも申請できるわけではありません。申請先を間違えると車庫証明に要する時間が長引くため、事前にどの警察署かは確認しておきましょう。 管轄の警察署は保管場所の住所ごとに分担されています。詳細な確認方法については、全国の警察署一覧から検索可能です。 警察庁Webサイト「都道府県警察本部リンク」 なお、地域をまたぐ特殊なケースや自宅以外での取得については、以下で詳しく解説します。 保管場所が地域をまたぐ場合の提出先 「保管場所基準」の原則は、地域をまたぐ場合でも変わりません。ただし、申請先を間違えやすいため、確認方法を詳しく解説します。 【具体的なケース】 ・自宅がA県にあり駐車場がB県にある場合:B県の駐車場を管轄する警察署へ申請 ・自宅がC市で駐車場がD市にある場合、D市の駐車場を管轄する警察署へ申請 本ルールは、単身赴任などで住民票の住所と実際の居住地が異なる場合でも変わりません。 とくに注意が必要なのは、県境や市境付近に住んでいる方です。最寄りの警察署であっても車庫証明申請の管轄外となる可能性があります。申請先を間違えると時間の無駄となるため、管轄が不明確な場合は事前に警察署へ電話確認することをおすすめします。 自宅以外のどこでも車庫証明は取得できる? 車庫証明は自宅以外の場所でも取得可能です。ただし、どの場所を選んだとしても法的条件に合致しているかの確認と適切な手続きが必要です。 以下では、取得のための準備(必要書類)と手続き(申請先)の2つの観点から、自宅以外での取得方法を解説します。 必要書類を揃えれば取得できる 車庫証明は、以下の必要書類一式を揃えれば取得可能です。基本書類と駐車場の所有者によって変わる書類があるため、事前に確認しましょう。 【基本書類】 ・自動車保管場所証明申請書 ・使用の本拠の位置が確認できるもの ・保管場所の所在図・配置図 【駐車場の所有者によって変わる書類】 ・自己所有地の場合:保管場所使用権原疎明書面(自認書) ・他人の土地を借用する場合:保管場所使用承諾証明書 なお、実家の駐車場を使用する場合でも、土地所有者が親族であれば借用扱いとなるため保管場所使用承諾証明書が必要です。 住民票と現住所が異なる場合は、使用の本拠地を証明する追加書類を用意します。公共料金の領収書(直近3か月以内、住所と氏名が漢字記載)や消印付きの郵便物(2~3通)のほか、免許証でも問題ありません。 取得場所を管轄する警察署に提出する 自宅以外での車庫証明取得でも、申請先のルールは変わりません。重要なのは「自宅の住所ではなく、保管場所の住所」を基準にすることです。 自宅以外でクルマを保管する場合の注意点として、距離制限(2キロメートル以内)を満たしているかの事前確認が必要です。また、賃貸駐車場などを利用する場合は、契約期間と車庫証明の有効期間が合っているかも確認しておきましょう。 確認した結果条件を満たしていれば、駐車場の住所を管轄している警察署に書類を提出できます。 車庫証明を取得する流れ 車庫証明の取得は、保管場所の決定から証明書受け取りまで4つのステップで進めます。手続きには通常1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しのスケジュールに合わせた早めの準備が大切です。 クルマの保管場所を決める 車庫証明申請の第一歩として、法的条件を満たす保管場所の確保が必要です。以下の内容を満たす場所かどうかを確認しましょう。 【確認すべき法的条件】 ・使用の本拠地から直線距離2キロメートル以内 ・クルマが完全に収まり公道から直接出入り可能 保管場所の選択肢として、持ち家や賃貸住宅に付属した駐車場がない場合は、月極駐車場などの確保が必要です。周辺環境とあわせて以下の条件で問題ないかチェックしましょう。 【確認すべき収容スペースの条件】 ・クルマのはみ出しがないこと ・走行可能道路からの出入りが可能であること ・駐車場前の道路に十分な幅があること なお、新車購入時は駐車場の利用開始日と納車日の調整が重要です。車庫証明なしでは車両登録ができません。納車前に車庫証明を取得できるよう駐車場契約のタイミングを調整し、スムーズに進められるスケジュールを組む必要があります。 申請書類を準備する 保管場所が確定したら、管轄の警察署で申請書類を入手し必要事項を記入します。書類は警察署交通課での受け取り、またはウェブサイトからのダウンロードが可能です。ウェブサイトでは記入例も閲覧できるため、まとめて作業すれば時短につながります。 申請書類は以下です。改めて用意し忘れがないか確認しておきましょう。 ・自動車保管場所証明申請書 ・保管場所標章交付申請書 ・保管場所の所在図・配置図 ・自己所有地では保管場所使用権原疎明書面(自己所有地の場合) ・保管場所使用承諾証明書(借用地の場合) 書類を記入する際は、以下の情報を正確に記載します。 ・車検証から車輌情報と保管場所住所の転記 ・所在図・配置図用に自宅と保管場所の位置関係の確認 ・車庫の具体的サイズ ・道路幅員 警察署に提出する 完成した書類は、保管場所を管轄する警察署へ提出します。提出先は自宅ではなく駐車場の住所で決まります。地域をまたぐ場合でも保管場所側の警察署が提出先です。 窓口提出時は運転免許証などの本人確認書類と、申請手数料(詳細は警察署へ要確認)を添えます。なお、令和7年3月から、警察署での支払いは原則キャッシュレスまたは現金となっています。ただし、一部のエリアでは窓口で現金が利用できない場合があるため、注意が必要です。 書類提出後は交付予定日が記載された受理票を受け取ります。受理票は証明書受け取り時に必要となるため、財布など身近で忘れない場所に保管しておくと安心です。 車庫証明書を受け取る 受理票記載の交付予定日になったら、申請した警察署で車庫証明を受け取ります。交付される書類は自動車保管場所証明書(車庫証明書)のみです。保管場所標章や保管場所標章番号通知書は、令和7年4月1日から廃止されています。 地域によっては郵送対応が可能な場合があります。申請時に地区交通安全協会で手数料を支払うことで自宅へ郵送してもらえます。なお、申請自体は郵送に対応していません。 手続きの時間が確保できない方は、クルマの販売店に代行してもらうことも可能です。代行費用は発生しますが、書類作成の不安や時間の問題を解消できます。 まとめ 車庫証明の申請は保管場所を管轄する警察署でのみ受け付けており、どこの警察署でも申請できるわけではありません。自宅と保管場所が地域をまたぐ場合でも、保管場所の住所を基準に管轄警察署が決まります。 申請には法定の条件を満たす保管場所の確保と、土地の所有形態に応じた必要書類の準備が必要です。手続きに1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しに合わせて早めに準備しましょう。
クルマの廃車手続きをする際は、車体から取り外したナンバープレートを返却する必要があります。 しかし、盗難や事故、災害などの事情があればナンバープレートがなくても廃車手続きをすることが可能です。 この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、ナンバープレートのない場合の廃車手続きの流れや必要書類などについて詳しく解説します。 ナンバープレートがなくても廃車できる 廃車とは、クルマの登録情報を抹消して公道を走行できない状態にする手続きのことです。 廃車手続きの際には所定の申請書類を提出するとともに、車輌の前後に付いている2枚のナンバープレートを返却する必要があります。 これは、盗難車にナンバープレートが取り付けられるなどの不正利用を防ぐためです。 ただし、紛失や盗難、災害など正当な理由でナンバープレートが手元にない場合は、その事情を説明・証明する書類を添付することで廃車手続きができます。 ナンバープレート紛失時に必要な書類 ナンバープレートがないクルマを廃車にするためには「理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」や罹災証明書が必要です。以下で詳しく解説します。 盗難された場合 ナンバープレートが盗難された場合は、廃車手続きの前に最寄りの警察署か交番へ「盗難届」を提出しましょう。 廃車手続きの際に必要な理由書を作成するには「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」という3つの情報が必要です。これらの情報は、盗難届を提出したあとに警察から交付される「受理票」に記載されています。 災害で紛失した場合 台風による洪水や地震といった自然災害によってクルマが流されたり、ナンバープレートが破損・紛失したりした場合は「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」を取得します。 罹災証明書は、お住まいの市区町村役場や消防署で発行してもらえる公的な書類です。 通常の申請書類とあわせて罹災証明書を提出することで、災害によりナンバープレートがなくなったクルマの廃車手続きができます。 その他の紛失の場合 「走行中にどこかで落としてしまった」「事故の衝撃で外れて見つからなくなった」などの理由でナンバープレートを返却できない場合は、警察へ「遺失届」を提出します。 遺失届を提出した場合も受理票が交付され、理由書の記載に必要な「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」の3つの情報を取得できます。 ナンバープレート無し車を廃車にする手順 ナンバープレートがないクルマを先に解体してから廃車にする場合、普通自動車は「永久抹消登録」、軽自動車は「解体返納」という手続きをします。 以下では、ナンバープレートがないクルマを廃車にする手順について詳しく解説します。 必要書類をそろえる まずは廃車手続きに必要な書類をすべてそろえましょう。普通自動車と軽自動車を廃車にする際の主な必要書類は以下のとおりです。 普通自動車 (永久抹消登録) 軽自動車 (解体返納) 自動車検査証(車検証) 〇 〇 所有者の印鑑登録証明書 (発行日から3ヶ月以内のもの) 〇 × 所有者の実印 〇 × 所有者の認印 × 〇 受理票または罹災証明書 〇 〇 使用済自動車引取証明書 〇 〇 普通自動車の場合は、所有者の「実印」「発行後3ヶ月以内の印鑑証明書」が必要です。 一方、軽自動車の場合は「認印」で手続きができ、印鑑証明書の取得もいりません。 また、クルマの所有者本人ではない人が手続きをする場合、普通自動車は「委任状」、軽自動車は「申請依頼書」という書類が必要です。 運輸支局または軽自動車検査協会へ行く 必要書類がすべてそろったら、以下の窓口で手続きをします。 普通自動車:運輸支局または自動車検査登録事務所 軽自動車:軽自動車検査協会の事務所・支所・分室 手続き先は、車検証に記載されている「使用の本拠の位置」の住所を管轄する運輸支局や軽自動車検査協会などです。 手続きの前に、インターネットで管轄の窓口を検索するとよいでしょう。 理由書・申請書・納付書を記入する 運輸支局や軽自動車検査協会の窓口に到着したら、備え付けられている以下の書類を記入します。 普通自動車 軽自動車 ・理由書 ・永久抹消登録申請書(第3号様式の3) ・手数料納付書 ・車両番号標未処分理由書 ・解体届出書(軽第4号様式の3) 理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)は、受理票に記載される内容をもとに作成します。 永久抹消登録申請書と解体届出書には、クルマの解体作業が完了した際に業者から報告される「解体報告がなされた年月日」と「移動報告番号」の記載が必要です。これは、解体業者から発行される使用済自動車引取証明書に記載されています。 普通自動車の永久抹消登録では「手数料納付書」を記入しますが、手数料は原則無料であるため、印紙を貼る必要はありません。 窓口に提出して手続き完了 書類の記入が終わったら、準備してきた書類と合わせて窓口に提出します。書類に不備がなければ申請が受理され、廃車を証明する以下の公的な書類が交付されます。 普通自動車:登録事項等証明書 軽自動車:検査記録事項等証明書 交付された証明書類は自賠責保険料の解約や任意保険の中断などで必要になるため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。 自動車税(種別割)・自動車重量税の還付 運輸支局や軽自動車検査協会で廃車手続きをすると、自動車税(種別割)や自動車重量税の還付を受けられる場合があります。 自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点でクルマを所有している人に課される地方税です。 普通自動車の永久抹消登録をすると、残りの期間分に応じた以下の税額が還付されます。 ただし、軽自動車の場合、自動車税(種別割)の還付はありません。 自動車重量税は、クルマの重量、種別、用途などに応じて課せられる税金です。永久抹消登録や解体返納を行い、かつ残りの車検期間が1ヶ月以上ある場合、残存期間に応じた自動車重量税が還付されます。 自動車重量税の還付を受けるためには、永久抹消登録申請書または解体届出書に必要事項を記入します。また、個人番号(マイナンバー)の記入と、本人確認書類(マイナンバーカード・個人番号通知カード+運転免許証など)の提示または写しの添付が必要です。 ナンバープレート無し車の廃車で注意すべきこと ナンバープレートがないクルマの廃車手続きを進める際には、以下の点に注意しましょう。 ナンバー無しでの走行は道路運送車両法違反 ナンバープレートを装着していないクルマで公道を走ることは、道路運送車両法に違反します。もし違反した場合、違反点数2点が加算されるだけでなく、50万円以下の罰金が科される可能性があります。 解体工場まで少しの距離であっても、ナンバープレートがないクルマを運転するのは避けましょう。 やむをえずクルマを移動させる場合は、レッカーサービスの利用や仮ナンバーの取得をおすすめします。 月末・年度末は運輸支局が混雑するので避ける 廃車手続きをスムーズに進めるためには、運輸支局や軽自動車検査協会が混雑する月末や年度末(3月)、9月末を避けるとよいでしょう。 自動車販売店の決算期や、就職・転勤などにより、車検や登録手続きなどをする人が増えるため、手続きが終わるまでに数時間待たされる可能性もあります。 書類不備は当日完了できない恐れがある 提出書類が不足していたり、記入内容に誤りがあったりすると、申請当日に廃車手続きが完了しない恐れがあります。不備の例は以下のとおりです。 ・自動車検査証(車検証)の有効期限が切れている ・印鑑証明書の有効期限(発行後3ヶ月以内)が切れている ・委任状への実印の押印漏れ ・盗難届や遺失届の受理番号がわからない また、車検証の「所有者」欄がディーラーやローン会社などになっている場合、先にローンを完済して所有権留保の解除手続きをした後でないと廃車にはできません。 クルマを廃車にする際は、運輸支局や軽自動車検査協会のWebサイトで必要書類や記入時の注意点についてよく確認することが大切です。不明点や疑問点がある場合は、電話で確認しておくのもよいでしょう。 面倒な手続きは買取業者に任せられる ナンバープレートがないクルマの廃車手続きは通常よりも複雑です。そこで、買取業者にクルマを売却して廃車手続きを代行してもらうのも1つの方法です。以下で詳しく解説します。 業者に任せれば書類代行やレッカーも無料 買取業者の多くは、廃車手続きの書類の作成や提出の代行手数料を無料としています。買取業者によっては、ナンバープレートが付いておらず、そのままでは動かせないクルマを移動させるためのレッカー費用もかかりません。 買取業者に任せることで、平日に休みを取って運輸支局や軽自動車検査協会に行く手間や時間を省けるだけでなく、レッカー移動にかかるコストも削減できます。 事故車・災害車でも引き取り可能 「事故で大破してしまった」「洪水による水没でエンジンがかからない」など、一見すると価値がなさそうなクルマでも買取業者は引き取ってくれる可能性があります。 買取業者の多くは、まったく動かないクルマや損傷箇所があるクルマなどでも、以下のようなさまざまな方法で収益化できるためです。 自社工場や提携工場で修理して国内で再販売する・海外へ輸出する エンジン、ドア、シートなどまだ使用できる部品を取り出して販売する 鉄やアルミニウムなどの金属資源をリサイクル市場で販売する 買取業者にクルマを売却すると、解体費用を自己負担せずに済むだけでなく、売却代金を受け取れる可能性もあるため、スクラップにする前に査定を依頼してみるとよいでしょう。 還付金の手続きも代行してくれる業者が多い 買取業者に廃車の手続きを依頼した場合でも、要件を満たしていれば自動車税(種別割)や自動車重量税の還付は受けられるケースがほとんどです。 買取業者によっては、買取金額に還付金額を含めて支払ってくれることもあります。 ただし、買取業者によって還付金の取り扱いは異なります。契約を結ぶ際は、還付金の有無や返還方法などをよく確認することが大切です。 まとめ 盗難や紛失が理由でナンバープレートがないクルマを廃車にする場合は、盗難届や遺失届を警察に提出しましょう。警察から受理票を受け取り、理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」を作成することでクルマを廃車にできます。 地震や津波などが理由でナンバープレートや車輌本体がない場合は、市区町村役場や消防署で罹災証明書を取得すると廃車手続きができます。 ただし、ナンバープレートがないクルマの廃車手続きには複雑な部分があり、普通自動車と軽自動車では必要書類や申請窓口などが異なるため、買取業者に任せることも検討するとよいでしょう。
ライトウェイト2シーターオープンスポーツカーを代表しギネス記録までも保持している日本のオープンスポーツカーロードスター。2代目NB型ロードスターのモデル後半に設定されたクローズドタイプがロードスタークーペです。2代目NB型でハードトップルーフタイプの追加により後の3代目NC型ロードスターRHTや4代目ND型ロードスターRFに繋がったといっても過言ではないでしょう。今回はロードスターの新しい世界を開拓したクローズドボディであるロードスタークーペについて詳しく解説していきます。 2代目ロードスター新境地開拓 ロードスタークーペが設定されたのは2代目NB型ロードスターです。2019年時点では後にも先にも完全クローズドボディタイプのロードスターが設定されたのは今回詳しく解説していく2代目ロードスタークーペのみ。ロードスターの実力やクローズドボディが実現した経緯を順に辿りロードスタークーペの魅力に迫りましょう。 〈2代目NB型ロードスター〉 2代目NB型ロードスターは1998年に初代NA型ロードスターから初めてモデルチェンジされ登場しました。初代で切り開いたライトウェイトオープンスポーツカーの軽快なドライブフィールと運転の楽しさを受け継いだ2代目NB型ロードスターは初代モデルNA型と基本コンポーネントを共用していますが若干のボディサイズの変更がされました。デザインは緩やかな曲線で描かれるグラマラスなボディライン、伸びやかで角のとれたボディパネルによりエレガントなイメージが向上。1.6Lと1.8Lの排気量違いの直列4気筒エンジンを縦置きに搭載し後輪を駆動させるFR方式はロードスターの伝統。初代に比べボディの補強が多くされたことにより重量が増加してしまいましたがグラム単位での減量により1000kgを下回ることはできなかったものの大幅な重量増加を避けることに成功。その後、安全性の向上に関するマイナーチェンジや排ガス規制に関するマイナーチェンジを行いながら2代目NB型ロードスターは歴史を繋いでいき、2003年ついにロードスターのクローズドボディタイプのロードスタークーペがリリースされました。 〈ロードスタークローズドボディ実現の裏話〉 2003年2代目NB型ロードスター時代のモデル末期に初めてクローズドボディタイプのロードスターが追加されました。しかし、ロードスターのクローズドボディ化いわゆるクーペ化の計画は初代NA型ロードスターからあったと言われています。その理由はマツダのグループ会社であるM2が初代NA型ロードスターをベースに市販化を視野に入れたクーペ「M2 1008」を試作していました。このプロトタイプM2 1008が市販されることはなかったものの、なだらかに傾斜するルーフライン、Cピラー、サイドウィンドウ形状などが後に市販された2代目NB型ロードスタークーペにそっくりなのです。この事からも初代NA型ロードスター時代からクーペの開発は進められ初代NA型ロードスターをベースとしたプロトタイプM2 1008が2代目NB型で市販されたロードスタークーペに影響を与えたのは確かでしょう。 初代NA型ロードスターで叶えることができなかったロードスタークーペの市販化を実現したのはマツダの100%子会社であるマツダE&T(エンジニアリングアンドテクノロジー)です。マツダE&Tの少量生産モデル開発技術を活用することによりクーペモデルの製造販売の目処が立ちました。こうしてついに念願であったロードスタークローズドボディタイプのロードスタークーペの販売が2003年から開始。ロードスタークーペは完全受注生産方式としグレードの一部は台数限定生産として市販されました。 〈ロードスタークーペの魅力〉 市販化が実現したロードスタークーペは全長3,955mm全幅1,680mm全高1,240mmと全高が5mmアップしただけでその他のサイズはソフトトップのロードスターと変わりません。大きな違いはベルトラインよりも上の上半身部分。ハードトップのクローズドボディになったことでルーフラインが滑らかになりサイドウィンドウが流れるような流麗な形状になりました。プロトタイプM2 1008ではCピラーにあたるクォーターピラーが太めでしたが市販化されたNB型ロードスタークーペのクォーターピラーは細く繊細なルーフラインを描いています。フロントまわりはグレードによりデザインが若干異なりますがリアまわりはオープンタイプのロードスターとほぼ同じ。クローズドボディタイプになっても重量の増加は10kgで留まっているためロードスターの持ち味である軽快なスポーツドライビングは損なわれていません。ロードスタークーペはハンドメイドでモデリングされ製造していたためこれほどにまで美しく流麗なスタイルを生み出すことができました。 当時、国産車で唯一の5ナンバーサイズの2ドア2シータークーペということもあり運転のしやすさや取り回しの良さもロードスタークーペの特徴でもあります。クローズドボディ化にあたり車体構造の見直しが行われボディ剛性強化も施されました。ロードスタークーペのグレードはベースの1.6L直列4気筒エンジンに5速MTを組み合わせた「ロードスタークーペ」、1.8L直列4気筒エンジンに6速MTを組み合わせた「type S」、伝統的なレースカーを思わせるオーセンティックなフロントデザインと1.8L直列4気筒エンジンに6速MTを組み合わせた200台限定の「type A」、落ち着きのあるエレガントなフロントデザインが特徴で1.8L直列4気筒エンジンに4速ATを組み合わせた150台限定の「type E」の4タイプのバリエーションを展開。専用装備が与えられ台数限定の「type A」と「type E」はカーボン製パーツやFRPを使ったオリジナルデザインパーツが装着され、ボディカラーが「ライトニングイエロー」「ベロシティレッド」の2色。 一方、「ロードスタークーペ」と「type S」のフロントデザインはベースモデルであるNB型ロードスターと共通、ボディカラーは「ピュアホワイト」「サンライトシルバーメタリック」「クラシックレッド」の3色。インテリアはベースモデルのNB型ロードスターと基本的に同じですが「type E」に関してはツートーンカラーのインテリアが暖かみのある落ち着いた空間を演出しています。どのモデルでも美しくうっとりするようなクーペフォルムを手に入れることができるためどのグレードでもロードスタークーペの魅力を感じることができます。 ロードスタークーペに乗ることはできるのか?! ロードスタークーペの販売が開始されたのは2003年、2代目NB型ロードスターの生産終了は2005年つまりロードスタークーペはわずか2年間しか生産されなかったということになります。また2004年に発生したマツダの工場火災でロードスターの生産が減少したことが影響しそもそも生産台数が多くありません。よって中古車市場にもなかなか出回ることがないモデルでもあります。現在(2019年3月時点)の中古車情報を見てみるとわずか数台ではありますがロードスタークーペの中古車が流通しています。 一般的な中古車両本体価格は140万円~300万円程度、台数限定モデルが高価格で取引されている傾向が見受けられます。エレガントなフォルムのロードスタークーペのオススメは「ロードスタークーペ type S 6速MT」モデルです。ロードスターの軽快なハンドリングを楽しむことができ、クローズドボディ化による重量増加の影響を考えると1.8L直列4気筒エンジン搭載の方が良いでしょう。6速MTを搭載しているため操る楽しさもか兼ね備えています。同じ1.8L直列4気筒エンジンを搭載し6速MTを組み合わせているグレードは「type A」もありますが台数限定ということで「type S」よりも割高になる可能性もあります。手軽にロードスタークーペの魅力を味わうのであれば「type S」がオススメです。 〈オススメまとめ〉 ・グレード「type S」 ・修復歴無し ロードスタークーペで切り開いたハードトップルーフロードスター史 さまざまな災難に巻き込まれながら2代目NB型ロードスターは生産され、ロードスタークーペも生産されました。ロードスタークーペで切り開いたハードトップタイプのロードスターはロードスタークーペだけで終わることなく3代目NC型ロードスターへ受け継がれました。3代目NC型ロードスターでは電動格納式ハードトップルーフを持ちフルオープンになる「ロードスターRHT」として登場。4代目ND型ロードスターではハードトップルーフを持ちタルガトップになる「ロードスターRF」を誕生させました。ソフトトップのロードスターにはない魅力を持つハードトップのロードスター。ハードトップの殻に包まれているような安心感、雨の音、風の感じ方などはハードトップならではの特徴があります。エレガントなクーペからスタートしたロードスターのハードトップラインナップは3代目NC型ロードスターRHTや4代目ND型ロードスターRFに継承され、ライトウェイトコンパクト2シータースポーツカーの新しい価値観を生み出しました。2代目NB型ロードスタークーペで作られたハードトップの美しい世界観は現在でもハードトップタイプのロードスターに受け継がれています。
日産シルビアはクルマ好きなら聞いたことがある車種名だと思います。現代では走り好きの人たちが乗るクルマのイメージが強いシルビアですが、実はシルビアは高級パーソナルスペシャリティカーとしてデビューを飾り、デートカーとして知られるようになり、走り好きを虜にさせるなどさまざまな表情を持つ手頃なスポーツクーペです。1965年のデビューから人気の世代もあれば低迷していた世代もあるシルビア。酸いも甘いも噛み分けてきたスポーツカーがシルビアなのです。今回はどの世代のシルビアがどんな側面を持っていたのかを振り返りつつ、今でもシルビアが人気の理由、シルビアの今後についてまとめました。 美しきコンパクトクーペ初代シルビア 初代(CSP311型)シルビアが誕生したのは1965年、前年1964年に開催された第11回東京モーターショーに「ダットサンクーペ1500」として出品されたことがきっかけでデビューしました。全長3,985mm全幅1,510mm全高1,275mm、ダットサンフェアレディをベースにクーペスタイルのボディを被せ、SUツインキャブ、デュアルエギゾースト、圧縮比9.0 R型1600cc OHVエンジンを搭載、日産自動車初採用のフロントディスクブレーキ、4速シンクロトランスミッション、無給油式プロペラシャフト、傾斜スライドシート、シートベルトなど数多くの画期的な新技術が採用されました。これらの新技術は後のフェアレディや日産車に採用されるほど最先端のテクノロジーでした。新しいメカニズムだけではなく先進的なボディデザインも初代(CSP311型)シルビア特徴のひとつ。ボディパネルの継ぎ目を極力少なくし折り目が綺麗な美しいスタイルはクリスプルックと呼ばれボディパネルの丁寧な作り込みによって実現することができました。最新テクノロジーとエレガントなデザインを身にまとっていましたが高級クーペらしくないタフな乗り心地と割高感があったことにより554台を製造し1968年に生産終了となりました。 低迷したセレクタリーカー2代目シルビア 2代目シルビア(S10型)は1975年にリリースされました。初代(CSP311型)の生産終了から7年ほどのブランクを経ての登場となった2代目(S10型)シルビア。2代目からは今でもお馴染みの呼び名「S○○型」の型式になり初代とは全く別のモデルだということが型式からも読み取ることができます。2代目(S10型)シルビアのベースは日産サニー。新しくなった2代目(S10型)シルビアは全長4,135mm全幅1,600mm全高1,300mmと先代からすると若干のボディサイズアップ。コンセプトはスマートに働く女性が乗るセレクタリーカー(セレクタリーの意味は秘書)をモチーフとしていました。ファストバッククーペの流麗なスタイルは今でこそクールで美しいと感じることができますが、販売当時は日本市場でスタイルの受けが良くなく日本国内での販売が低迷。エンジンも2代目(S10型)リリース当初は1.8Lシングルキャブを搭載していましたが排気ガス規制の影響により途中から1.8Lインジェクションへと変更されました。ブランクをあけて登場した2代目「NEW Silvia」は新しくなり期待されて登場したのにも関わらず日本市場では受け入れられず2代目生産開始から4年後1979年に生産が終了となりました。 デートカーと呼ばれた3代目シルビア 1979年に3代目(S110型)へリニューアルされセンターピラーのないハードトップノッチバッククーペスタイルと直線的なデザインが特徴の3代目(S110型)シルビア。日本車として初のドライブコンピュータを搭載し日本車初のフロントシングルアームワイパー全車標準装備。専用設計のカーオーディオ、フェードアウト機能などがついたトータルイルミネーションシステムを装備しムーディーな雰囲気を演出していました。全長4,400mm全幅1,680mm全高1,310mmのコンパクトサイズではありましたが充実した装備と運転のしやすさ、1.8Lエンジン・1.8Lターボエンジン・2.0Lエンジンなど幅広いバリエーションを展開、日産が誇る名車スカイラインと共通したエンジンの搭載によりヒットしました。デートにうってつけの凝った演出をするインテリアとパワフルなエンジン、さらにレースの世界でも活躍したシルビアが3代目(S110型)なのです。この世代から姉妹車のガゼールも誕生しました。デートカーとしてヒットした3代目(S110型)シルビアは1983年までの4年にわたり製造販売されました。 再び低迷した4代目シルビア 1983年フルモデルチェンジが行われ4代目(S12型)シルビアへバトンを渡します。この時代の流行を取り入れたリトラクタブルヘッドライトの採用やウェッジシェイプを取り入れたデザインとなりました。全長4,430mm全幅1,660mm全高1,330mmのサイズは先代の3代目(S110型)とほぼ変わらなかったもののスタイリングの変化がマーケットに受け入れられず販売は低迷。搭載されるエンジンは1.8Lエンジン、2.0Lエンジン、2.0Lターボエンジンをラインナップ。特別仕様車などを展開していきましたが先代の3代目(S110型)ほど人気とはならず1986年に姉妹車として展開していたガゼールが販売終了。この2年後1988年に4代目(S12型)シルビアの生産も終了しました。再び低迷期に陥った4代目(S12型)シルビアは5年間にわたり製造販売され5代目へフルモデルチェンジされることとなりました。 大ヒット作となった5代目シルビア 1988年に登場した5代目(S13型)シルビアは低いボンネットと後輪駆動を採用したコンパクトクーペのパッケージング。角のとれた親しみやすさを感じられる流麗なボディラインはエレガンスストリームラインとも呼ばれキャッチコピーは「ART FORCE SILVIA」。全長4,470mm全幅1,690mm全高1,290mmのサイズに1.8Lエンジン、1.8Lターボエンジン、2.0Lエンジン、2.0Lターボエンジンと多彩なバリエーションを展開。男女問わず若者の間で人気のモデルとなり、この頃スペシャリティカー市場を独占していたホンダプレリュードを追い抜き生産終了までに30万台以上を生産するシルビア史上大ヒットとなった世代です。メカニズム面ではマルチリンク式サスペンションや四輪操舵システム「HICAS」を搭載。グッドデザイン賞や日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなどデザイン性・走行性能ともに優れていたモデルであることが受賞歴からも見てとることができます。この5代目(S13型)シルビアはコンパクトエレガントFRスポーツの地位を不動のものにしました。1993年まで製造された5代目(S13型)シルビアはボディサイズを拡大して6代目へフルモデルチェンジします。 サイズを拡大して失敗した6代目シルビア 6代目(S14型)シルビアは5代目(S13型)よりもサイズアップ。全長4,520mm全幅1,730mm全高1,295mmシルビア史上初の3ナンバーサイズとなった6代目(S14型)。バブル期に訪れたクルマのボディサイズ大型化の流行を取り入れたものの扱いやすさと軽快感がウリだったシルビアのイメージから遠ざかる結果となり、柔らかい印象を与える丸みを主張したデザインもシルビアファンからの評判が良いものではありませんでした。マイナーチェンジやフェイスリフトなどを行いましたが人気は回復せず先代の5代目(S13型)シルビアの中古車が高騰するといった現象まで起きてしまいました。再び低迷期を迎えたシルビアは1998年まで5年にわたり生産されフルモデルチェンジされました。 サイズをダウンさせ人気を取り戻した7代目シルビア 1999年、7代目(S15型)シルビアが世に送り出されました。フルモデルチェンジでは異例のボディサイズダウンを行った7代目(S15型)シルビアのスリーサイズは全長4,445mm全幅1,695mm全高1,285mmと再び5ナンバーサイズへと戻りました。ツリ目でシャープなライトまわりや低いボンネットなどコンパクトエレガントFRスポーツカーとしてシルビアらしさが復活し人気も再び上昇しました。搭載されるエンジンは2.0Lエンジンと2.0Lターボエンジンの2種類でパワフルなパワートレインと扱いやすいサイズによって軽快な乗り味を実現。オーテックバージョンや特別限定車などを展開し2002年まで製造された7代目(S15)シルビアは日産自動車自体の低迷やスポーツカーの販売不振、排ガス規制、日産自動車リバイバルプランの影響などによりわずか3年で生産を終了してしまいました。 どのシルビアがオススメなのか? コンパクトエレガントFRスポーツカーの地位を築いてきたシルビアですが、オススメはシルビアの集大成ともいえる7代目(S15)シルビアです。シルビア全体では現在(2019年3月時点)400台以上の個体が流通しています。オススメの7代目(S15型)シルビアに絞ると250台程度まで絞り込むことができます。せっかくコンパクトエレガントFRスポーツカーであるシルビアに乗るのであればトランスミッションはやはりMTが良いでしょう。さらにドライビングを楽しむのであればボディは重要な要素。よって、修復歴がない個体をオススメします。ここまで条件を絞ってみると個体数は100台程度、中古車両本体価格が約50万円~約330万円。軽快なドライビングを実現するハイパワーな2.0Lターボエンジンを搭載した「スペックR」にすると50台強にまで絞り込むことができます。ここまで絞ると中古車両本体価格が約90万円~約330万円。出回っている個体の中には前オーナーがカスタマイズした車両やノーマルに近い状態の個体までさまざまです。カスタマイズされた車両が良いのかノーマルに近い状態が良いのかは予算と好みに応じて選択すると良いでしょう。 シルビアの今後 成功と失敗を繰り返し、酸いも甘いも噛みしめてきた波乱万丈のモデルがシルビアと言えるでしょう。そんなシルビアが2010年代後半から復活するのではないかとの情報が流れています。現在のところメーカーからの公式発表がされていないためシルビアが復活するとは断言できませんがシルビアを思わせるコンセプトカーをたびたび出品しています。徐々に盛り上がりを見せている日本のスポーツカー。かつて一時代を築いたシルビアらしい軽快で扱いやすいスポーツカーの復活を期待したいですね。
みなさん、こんにちは!マツダがロータリーエンジンを生産終了してからずいぶん時間が経ちましたが、ロータリーエンジンに対する評価は下がるどころか、むしろ高まっていると言えるかもしれません。 少し前のデータで恐縮なのですが、2013年、ル・マン24時間レースが90回目を数えた年に、各年代を代表するマシンをネット投票や有識者の意見から選出する催しが行われました。そこで「1990年代を代表するマシン」に選ばれたのが、プジョー・905とマツダ・787Bでした。マツダ・787Bは1991年、メルセデス・ベンツ・C11やジャガー・XJR-12と熾烈な争いを繰り広げたのち、ロータリーエンジン搭載車として唯一の総合優勝を果たしたクルマとして、今も多くのファンの記憶に深く刻まれています。 国内の中古車市場でも、国産の1980年代、1990年代の名車の値上がりがとどまることを知らず、今回ご紹介するサバンナRX-7も例外ではありません。ロータリーエンジン独特のフィーリングは、今も多くの人々を虜にし続けているのです。今回の記事では、サバンナRX-7が持つ唯一無二の魅力に、今改めて迫っていきます! 時はオイルショック ロータリーエンジンは、通常のレシプロエンジンに比べ、同じ出力であればより小型・軽量に仕上がり、騒音・振動が少ない、搭載方法や搭載位置の自由度が高いという利点があります。しかし一方で、低回転時のトルクが薄く低速時のドライバビリティが低い(つまり、街乗り運転に向かない)、燃費が悪い、製造が難しく大量生産に向かない、といった欠点もありました。シトロエンやNSUといったメーカーが生産モデルを発売しているものの、1970年代以降も自動車用ロータリーエンジンの生産を続けたのは、大手自動車メーカーではマツダだけだったのです。 マツダはロータリーエンジンを量産・継続して販売することを決意し、小型・軽量という特徴を生かして国産車初のロータリーエンジン搭載車「コスモ・スポーツ」を1967年に発表。レシプロエンジンでは到底実現不可能な、ボンネットの低さを生かしたスタイリングや、7,000rpmまで軽やかに、そして静かに吹け上がるロータリーエンジンは、当時の国産車の中ではまさに異次元の存在でした。 ところが、日本のみならず、世界のスポーツカー業界を揺るがす出来事が1970年代に起こります。1973年の第一次オイルショックと1978年の第二次オイルショック、そしてアメリカのマスキー法を受けて実施された排ガス規制です。 ガソリンを自由に使うことができず、また排ガス規制によって多くのクルマのエンジン出力は軒並みダウン。スポーツカー、スペシャリティーカー不遇の時代が始まったかのように思われました。そんな時代背景の中、1978年彗星のようにデビューしたのが、初代サバンナRX-7でした。 初代モデルの登場の衝撃 初代サバンナRX-7は、「サバンナ(輸出名RX-3)」の後継モデルとして登場しましたが、コンセプトは「コスモ・スポーツ」を引き継いだ、小型・軽量の3ドア・ファストバッククーペでした。低いボンネットにリトラクタブルヘッドライトを装備し、当初は自然吸気の水冷2ローターから130psを発生。1トンをわずかに超える車重のおかげで、パワーウェイトレシオは7.6~7.8kg/psに収まり、0〜400m加速も15.8秒と、排ガス規制の前の水準に引き戻すほどの性能を備えていました。 エンジンの搭載位置は、前輪の車軸とコクピットの間に置いた、いわゆるフロント・ミッドシップ・レイアウトでした。そのおかげで、前後の重量配分は2名乗車時で50.7対49.3と、スポーツカーとしては理想的なバランスを獲得。軽快で、鋭いハンドリングの実現に一役買っていました。 現在のマツダの特徴でもある「年ごとの細かな改良」は、初代サバンナRX-7の時代から行われていました。1979年にはエンジンを改良し、燃費性能を向上。1980年には車体の軽量化と、バンパーの形状変更により空気抵抗係数(Cd値)を0.36から0.34に低減、結果としてさらに燃費が向上しています。 1982年には、のちにマツダ・ロータリーエンジンのスタンダードとなるターボモデルが登場。165psの出力は、ライバル車と比べて取り立てて大出力というわけではなかったものの、わずか1,020kgの車重により、パワーウェイトレシオは6.18kg/psと非常に優秀な数値を記録。ターボモデルは日本国内のみの販売でしたが、アメリカでも手頃な価格で手に入るスポーツカーとして人気を博しました。 アメリカを代表するレースの一つ、1979年のデイトナ24時間レースでは初参戦でクラス優勝を飾るなど、初代サバンナRX-7はモータースポーツの世界でも目覚ましい活躍を見せました。日産・フェアレディ240Zやポルシェ・911らライバルといくつもの名勝負を演じ、サーキットのみならずラリーでも活躍します。 「スポーツカーとは何か?」を追い求めた2代目モデル アメリカでも成功を収めた初代モデルに続き、より完成度の高い、バランスの取れたスポーツカーを作ろうと考えたマツダの開発チームは、改めて「スポーツカーとは何か?」ということをゼロから徹底的に考え直しました。そこで至った結論が「心地よい緊張感が感じられるクルマ」。低速で運転していても楽しく、それでいて限界が高く設定されていて、ドライバーの感性で操れる領域が多く残されていること。結果的に、サスペンションの全面刷新を図ったプラットフォームを新規開発するなど、多くの新機軸が取り入れられることになりました。 そして1985年10月、サバンナRX-7の2代目モデルが登場します。空気抵抗低減のため、車体の突起はさらに少なくなり、一方で幅広タイヤを収めるためにブリスターフェンダーを備えるなど、どちらかといえば華奢な印象だった初代モデルに比べ、力強さを感じるエクステリアに変貌。全長はさらに短縮され、オーバーハングはハンドリング性能向上のため切り詰められています。 エンジンは空冷インタークーラー付ツインスクロールターボチャージャーを備え、185psを発生。前後の重量配分は50.5対49.5と、初代に続きベストなバランスを堅持。オーバーステア気味の切れ味の鋭いハンドリングは、多くのスポーツカーファンの心を鷲掴みにし、圧倒的な支持を得ました。 1989年のマイナーチェンジでは、最高出力がついに205psに到達。パワー・ウェイト・レシオは5.72kg/psとなり、1991年に登場する3代目RX-7にバトンを渡すまで、2代目RX-7は「ハイパワーカー・キラー」として、より一層名を馳せていくのです。 スパルタンな2座仕様「アンフィニ」と爽快な「カブリオレ」 より本格的なスポーツモデルとなった2代目モデルには、さらに走りにこだわったモデルが追加さされました。1986年に販売された、特別仕様車の「アンフィニ」です。RX-7は小さいながらもリアシートを備え、実用性の高さも人気の一因ではありましたが、アンフィニでは軽量化のためにリアシートを撤去した2シーターとなっていました。 他にも、BBS製鍛造アルミホイール、専用ダンパー、アルミボンネットフードなどを装備。より走りに振った装備で、こだわりの強いスポーツカーファンに熱狂的に受け入れられました。当初300台の限定販売でしたが、好評につき小改良を重ねながら、1991年まで6回の限定販売が行われています。 また、忘れてはならないクルマとして、1987年に販売された「カブリオレ」があります。ロータリーエンジン車販売20周年記念モデルとして登場した「カブリオレ」は、クローズド、タルガトップ、フルオープンを選べる複雑な構造を備えていました。現在では、希少なロータリーエンジン搭載のオープンモデルとして、コレクターズアイテム化しています。このモデルで培われた経験は、のちのマツダ・ロードスターに生かされました。 ロータリーエンジンに明日はないのか? ロータリーエンジンは、航空機用エンジンや模型用エンジンとしては、現在も細々と生き残っているものの、自動車用エンジンとして姿を消してからすでに7年の月日が流れています(2012年のRX-8生産終了時点から)。ハイブリッド車用エンジンとしての開発がマツダで進められているようですが、開発は遅れており、電気自動車などの開発にリソースの多くが割かれているのが現状です。 ハイブリッド車に搭載されるにしろ、メインの動力源はモーターとなるのは確実でしょう。ロータリーエンジン独特の鼓動を楽しめるスポーツカーといえば、RX-7シリーズをおいて他にはありません。とりわけ、プリミティブな魅力を持つサバンナRX-7の人気は、これからも下がることは考えにくいです。事実、国内の中古車市場では値上がり傾向にあります。部品の調達等難しい面はありますが、興味のある方はぜひ「サバンナRX-7」の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか?それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
みなさん、こんにちは!今回は1990年代初めから半ばに生産されていた大型2ドアクーペ、マツダ・ユーノスコスモを紹介します。時はバブル景気真っ最中、その時代でしか販売することができなかったと言われるクルマのひとつですが、エンジニアの情熱をそのまま形にしたようなメカニズムやパッケージングは、今でも異彩を放っています。 ただ単純に「バブルの産物」「燃費最悪のデートカー」と片付けるだけではあまりにももったいない、マツダ・ユーノスコスモの色褪せない魅力に今、改めて迫っていきたいと思います。 自動車用としては絶滅してしまったロータリーエンジン マツダは、レシプロエンジンとは全く異なった原理の内燃機関「ロータリーエンジン」を自動車用として長く販売・量産し続けた唯一のメーカーです。小型・軽量で、かつ同じ排気量で比較すると高出力、さらに搭載位置や搭載方向の制約が少なく、かつ回転が滑らかで振動が少ないなど、多くのメリットを備えたロータリーエンジンは、「夢の内燃機関」としてかつて多くの注目を集めました。 しかし一方で、自動車用ロータリーエンジンをマツダしか生産していない、というのは理由があります。かなり熱を持つので冷却系にコストがかかる、組み立て精度の高さが求められるのでほぼ手組みになり大量生産に向かない、低速トルクが薄く街乗りに向かない、燃費が悪い、などの数々のデメリットにより、他メーカーの多くは量産を断念。 特に、環境性能についての要求が高まっている現在は、燃費の悪いロータリーエンジンは生き残れず、2012年のマツダRX-8の生産中止以降、ロータリーエンジン搭載車を新車で買うことはできなくなってしましました。ちなみに、模型用エンジンや航空機用エンジンとしては、今でも他メーカーで細々と生産が続けられています。 マツダは、ハイブリッド車用のエンジンとしてロータリーエンジンの開発を現在も進めているようですが、他のエンジンの開発・改良にリソースを割かれてしまっていて、ロータリーエンジンが再び市場に登場するのはまだまだ先になりそうです。再登場したとしても、メインの動力源はモーターになる可能性の方が高いですが… マツダ製ロータリーエンジンの歴史は、1967年に登場した名車、マツダ・コスモスポーツまでさかのぼります。 ロータリースポーツの系譜、「コスモ」 マツダ・コスモスポーツは、小型・軽量のロータリーエンジンを搭載することを念頭に開発されたコンパクトな2ドアクーペで、乗車定員も2名と割り切った設計となっていました。最高出力は初期型は110ps、後期型は128psとそれほど高出力ではありませんでしたが、メカニズム的には世界初の量産型2ローター・ロータリーエンジンとなっており、前期型で940kgと軽量なボディを軽々と引っ張りました。 特に「異次元」と評されたのは、独特の回転フィーリングです。当時の国産車の多くが4000回転ほどで頭打ちになってしまうところを、コスモスポーツでは7000回転のレッドゾーンまで軽々と、しかも静かに吹け上がり、多くのスポーツカーファンの度肝を抜きました。 コスモスポーツの「小型・軽量なスポーツカー」としてのコンセプトはサバンナRX-7に受け継がれていきますが、一方でロータリーエンジンを心臓に据えたスペシャルティカーが新たな系譜として誕生します。1975年に登場した2ドアファストバッククーぺ・「コスモAP」と、1977年に登場した2ドアノッチバッククーぺ・「コスモL」です。 乗車定員は5人となっていて、また内装や装備品も格段に豪華になるなど、コスモスポーツとは明確に異なるコンセプトで設計。グランツーリスモ的性格を持たせた理由としては、主にアメリカ市場の要望が大きかったことによります。 当時の自動車排出ガス規制で、多くの国産車が軒並みエンジン出力を落とす中、コスモAPの高出力なエンジンは市場で異彩を放っていました。その結果、発売後半年で2万台を販売する大成功作となるのです。 「ユーノス」ブランドのフラッグシップモデル 1981年から1990年までは、リトラクタブルヘッドライトが特徴の「コスモ」が生産されました。薄いラジエターグリルと低いボンネットによるシャープなデザインで、空気抵抗係数(Cd値)は0.32と当時世界トップクラスの数値を記録。 1982年には、世界初のターボ付きロータリーエンジン搭載車を発売。その高性能は、後続の国産車に大きな影響を与え、国産車のスペック競争を加速させる一因となりました。 そして1990年4月。「マツダ・ユーノスコスモ」がデビューします。当時、マツダはいくつかのブランドを展開しており(マツダ、ユーノス、アンフィニ、オートザム、オートラマ)、その中でも高級ライン「ユーノス」におけるフラッグシップモデルとして、「ユーノスコスモ」を開発。数多くの新機軸を取り入れたこの新しい2ドアFRクーペは、市場に大きな衝撃を与えました。 唯一無二の3ローター・ターボ まず、最初に注目すべきなのは、唯一無二の「ターボ過給付き3ローター・ロータリーエンジン(20B-REW型)」を搭載しているということ。エンジンの出力は設計値で333psに達していましたが、その前年に定められていた国内自主規制枠280psに引っかかるため、わざわざ50psほどデチューンをして搭載されていました。最大トルク値も41.0kgf・mと非常に強力で、決して軽くはないボディを豪快に加速させるのには十分でした。 ちなみに、マツダでスタンダードとなっていた2ローターエンジン(13B-REW型)もラインナップされており、こちらは230psを発生。同じ2ローターのRX-7ものちに280psに到達するのはご存知の通りです。 20B搭載型のマフラーは迫力の4本出しで、回転数によって排気経路が変化する可変排気機能が搭載されており、マフラーの開口部もエンジン回転数によって変化する、非常に凝ったシステムが採用されていました。 ユーノスコスモは、全車4速ATのみの設定で、これは「当時のマツダに3ローターのパワーに耐えられるMTがなかった」という理由のほか、「クルマの性格上不必要と判断された」とも言われています。 ユーノスコスモは全長約4.8m、全幅1.8mの大型クーペで、後席はあるものの狭く、実質2人乗りでした。現在の曲線を多用したマツダ車とは異なり、直線基調の美しく、シンプルで伸びやかなスタイリングは、現代の目から見てもとても魅力的です。特に、ロータリーエンジン専用車ならではの薄いボンネットは、ユーノスコスモの最大の美点ではないでしょうか。 内装に関しても非常に豪華で、GPSカーナビを世界で初めて標準装備し、さらにフルオートエアコンの装備をナビのタッチパネルで行うという、当時としては画期的な操作方法を実現。のちの多くの高級車に影響を与えました。 シートは仔牛10数頭分の本革が使用され、しかもその本革はオーストリアのシュミットフェルトバッハ社から取り寄せられたものでした。また、ウッドパネルもイタリアのシンプレス工房製で、当時の最高級クーペとしてコスト度外視の贅を尽くした作りとなっています。 ロータリー時代の残滓 最上級グレードの価格は530万円。決して安いクルマではなく、また燃費が6.1km/L(20B搭載車)と悪かったこともあり、1996年に販売を終えるまでに生産された台数は約9,000台にとどまっています。 このように、ユーノスコスモは販売面で成功したとは言い難いのですが、3ローター・ターボのロータリーエンジンを味わえる唯一の存在として、今でも一部に熱狂的なファンが存在しているのも事実。中古車市場でも、安いものは100万円を切りますが、程度の良い20B搭載車となれば200万を超えていることも珍しくありません。 1991年、ロータリーエンジンを搭載したマツダ・787Bが、ル・マン24時間レースを日本車として初めて勝利。その同年代を生きたクーペとして、ユーノスコスモは今も異彩を放ち続けています。
みなさん、こんにちは!今回は、2019年12月現在、新車で購入可能な国産スポーツカー・14モデルを紹介します。一言で国産スポーツカーと言っても、100万円台から狙える軽スポーツカーから、2000万以上の超高級モデルまで、意外なほど多くの選択肢が残されています。スポーツカー不遇の時代と言われてはいますが、この記事が「こんな時代だからこそスポーツカーに乗りたい!」という方への参考となれば幸いです。 スズキ・アルトワークス 最も安く購入できる国産スポーツカー、スズキ・アルトワークス。軽スポーツカーのライバルであるダイハツ・コペンやホンダ・S660に比べると、アルトワークスは乗用車然としたスタイリングですが、屋根の開閉機構が存在しない分パワーウェイトレシオは3車中最も低く、軽スポーツカー最速と言っても良いでしょう。専用チューニングの施されたエンジン、KYB製ショックアブソーバー、レカロ製シートなど、小さいボディに本格装備を詰め込んだアルトワークスは、若者や初心者だけでなく、ある程度年齢を重ねたドライバーにこそ乗って欲しい1台です。 スズキ・スイフトスポーツ 個人的に、「最もお買い得感のある国産スポーツカー」と思うのが、このスズキ・スイフトスポーツ。現行型では初めて3ナンバーボディとなるものの、先代モデルよりもさらに70kg減量し、操る楽しさにさらに磨きをかけています。さらに特筆すべきなのは車両の価格。6速マニュアル車の価格は187万円から(!)で、これは軽スポーツカーであるダイハツ・コペンやホンダ・S660よりもさらに安い価格設定となっています。ホットハッチ好きにはたまらない1台と言えるでしょう。 ダイハツ・コペン 風を感じるプリミティブなオープンカー。意外と荷物も載せられる。FFだけど、適度に締められた足回りで運転が楽しい。そんな軽スポーツカーがダイハツ・コペンです。イギリスで初めてコンパクト・オープンスポーツカーが生まれた時の形態、例えばオースチン・ヒーレー・スプライトのような雰囲気を未だに感じさせてくれる、稀有なスポーツカーと言えるでしょう。現行型は「Robe」「XPLAY」「Cero」「GR SPORT」の4つのデザインから選択できます。 ホンダ・S660 ダイハツ・コペンとうって変わって、荷物は全く載せられないものの、ミッドシップ・リアドライブというレイアウトを生かしたコーナリングマシンに仕上がっているのが、ホンダ・S660。専用開発部品がとにかく多いこのクルマを200万円を少し超える価格に抑えたのは、開発陣の努力の賜物。かつて存在した軽スポーツカーの名車、ホンダ・ビートを現代に甦らせたかのようなS660は、スポーツカーの楽しさは馬力じゃない!ということをダイレクトに伝えてくれます。 マツダ・ロードスター マツダが世界に誇る名車が、マツダ・ロードスター。すでに20年以上生産が続けられていて、世界で最も生産されたオープンスポーツカーとしても知られています。現在は、ソフトトップの標準車と、ハードトップの「RF」が設定されていますが、やはりおすすめなのはソフトトップの標準車。特に、最もベーシックな「S」グレードは車重990kgと非常に軽量で、しなやかな足回りと軽快なハンドリングを心ゆくまで堪能できます。エンジン出力は132psと、決して飛び抜けた性能を持っているわけではありませんが、このクルマも「スペックでは語れないドライビングプレジャー」を追求した稀有なスポーツカーと言えるでしょう。 トヨタ・86 かつて存在した名車「AE86」の名前を蘇らせた、トヨタ・86。トヨタとスバルの共同開発とされ、開発費も両社で折半という、日本の自動車史の中でも極めて珍しい開発体制が取られました。2012年に発売されてから2019年現在までフルモデルチェンジが行われていない、トヨタとしてはかなりのロングセラーとなっています。200psの2リッターの水平対向4気筒エンジンをフロントに置きリアタイヤを駆動する、シンプルで軽量なFRスポーツとなっており、サーキットでのラップタイム短縮よりも、操る楽しさを重視して開発されています。 スバル・BRZ トヨタ・86との兄弟車となるのが、スバル・BRZ。両車に搭載されている水平対向エンジンはもちろんスバルの技術によるもので、トヨタ・86とのエンジン共用に対しては、トヨタ・スバルの両社から反発の声が上がったそうですが、両社の技術に対するリスペクトと、何より「スポーツカーをつくりたい」という情熱が、この稀有なスポーツカーを完成に導きました。小型軽量なボディ、ハイグリップタイヤに頼らないサスペンションセッティング、低い重心高が生み出すリニアなハンドリングは、昔ながらのFRスポーツカーが欲しい方にとって最高の選択肢となるでしょう。 スバル・WRX STI かつて、スバルが世界ラリー選手権(WRC)で大活躍をしていた頃から使われ続けていた名エンジン、「EJ20」型。そのエンジンを搭載した日本屈指のスポーツセダンが「WRX STI」です。しかし、このエンジンもついに生産終了がアナウンスされ、2019年12月23日をもって現行モデルの受注生産を注文受付終了することが決定。以降は「FA20」型を搭載した「WRX S4」のみとなります。サーキットで、そしてラリーのフィールドで活躍してきた名エンジンがまた一つ消えることにさびしさを感じますが、これからも末永く、多くのファンに愛されていくに違いありません。 日産・フェアレディZ 50年も生産が続けられている、日本で最も長い歴史を持つスポーツカーの一つ、日産・フェアレディZ。2020年3月末までの期間限定で、50周年記念モデルが設定されています。最もベーシックなグレードは400万円を切る価格に設定。逆に、最も「走りの性能」に磨きをかけた「NISMO」グレードは約650万円の価格が付けられています。現行モデルのZ34型は、2008年からフルモデルチェンジを受けていないロングセラーとなっていますが、いつ買えなくなってもおかしくないこのご時世。欲しい方はお早めに! ホンダ・シビック TYPE R ホンダのレーシングスピリットを市販車で体現する存在、TYPE R。その称号を現行モデルで唯一冠されているのが、このホンダ・シビック TYPE Rです。ニュルブルクリンク最速FFの称号こそ、再びルノー・メガーヌRSに奪われてしまいましたが、今でも世界屈指のFFスポーカーであることに違いはありません。公式サイトによると、2019年モデルはすでに販売終了しているとのことですが、以降のモデルチェンジや2020年の販売についてのアナウンスは特になく、続報が待たれます。今や貴重な「TYPE R」、これからも存続してほしいですね! トヨタ・スープラ 2019年の台風の目となったのが、このトヨタ・スープラ。かつての名車の復活に、多くの期待がかけられました。BMWとの共同開発が行われたスープラは、「BMW Z4」とは兄弟車の関係にあります。とはいえ、内外装の多くの部分はトヨタのオリジナルデザイン。両車は似て非なる存在と言えるでしょう。トヨタ・86の2.5倍、そしてCFRP製キャビンを持つレクサス・LFA以上というボディ剛性が生み出す走りは、まさに異次元のフィーリング。乗り心地に優れたしなやかな足回りと、50:50の前後重量配分が生み出すナチュナルなハンドリングは、「リアルスポーツカー」の名に恥じない走りを実現しています。 レクサス・RC F レクサス・RCシリーズは、スポーティでラグジュアリーなクーペではあるものの、「スポーツカーなのか?」と問われればやはり疑問符が浮かびます。しかし、そんなRCをベースにつくられた「RC F」は、まぎれもなく「リアルスポーツカー」と言えるでしょう。搭載されているエンジンは、477psという大出力を発生する5リッターのV8で、今や世界的にも希少な大排気量の自然吸気エンジン。スポーツカーの本懐はエンジンにあり、という言葉が脳裏をよぎるほど、自然でリニアな反応を示すV8エンジンと、それが生み出す豪快な加速は、このクルマならではの魅力です。 日産・GT-R 現在生産されている国産スポーツカーの中で、世界のスポーツカー市場に最も大きな衝撃を与えたクルマが、この日産・GT-Rです。モデル末期と言われながら毎年着実に進化を遂げ、現在も第一線の性能と乗り味を維持しているのは驚異的と言えるでしょう。イタルデザインとの共同開発されたわずか50台の世界限定モデル「GT-R50・バイ・イタルデザイン」、2020年3月までの限定特別仕様車「GT-R 50th Anniversary」、さらなる進化を遂げた究極のモデル「GT-R NISMO」など、未だ話題に事欠かないのはさすがの一言。次期型の噂も囁かれる昨今、稀代の名車を新車で手に入れられる時間は、あまり残されていないのかもしれません。 ホンダ・NSX ホンダの歴史の中でも別格の存在と言えるのが、このNSX。現行モデルの価格は2,420万円。2020年モデルでは、初代モデルに採用されていた「インディイエロー・パール」にインスピレーションを受けた、新色「インディイエロー・パールII」が追加されました。非常に複雑で精緻な3モーターハイブリッドシステムと四輪駆動、9速DCTなどのメカニズムや、ほぼハンドメイドでの生産工程など、ホンダを代表するスーパースポーツカーとして君臨しています。
最初にはっきりと言ってしまうと、スポーツカーを作るにはコストがかかります。高性能のエンジン、追随性の高いサスペンション、専用設計のシャシー、それらをじっくりとテスト走行する時間など、どこを取っても「お金と時間がかかる」のは避けられません。 それでも多くのメーカーは、スポーツドライビングの楽しさを人々に知ってもらうために、安価なスポーツカーを努力して開発し、販売しています。この記事では、現在300万円以下で買えるスポーツカーを9モデル厳選して紹介。ここに紹介したモデルは、絶対的な馬力が低くとも、運転の楽しさが味わえるモデルばかり。さらに、すべての車種にマニュアルトランスミッション車が設定されています。国産・輸入車にこだわらず、安いスポーツカーをお探しの方は必見です! スズキ・スイフトスポーツ トップバッターを飾るのは、国産ホットハッチの雄、スイフトスポーツです。現行モデルに搭載されている1.4リッターの直噴ターボエンジンは、最高出力140ps/5500rpm、最大トルク23.4kgm/2500〜3500rpmを発生。スポーティなハンドリングを実現しながら、JC08モードの燃費は16.4km/Lという環境性能をも両立。この燃費性能の達成には、6MT車で970kgという軽量な車体が大きな要因となっています。ボディ・エンジン・サスペンション・シート・内装部品にいたるまで徹底的な軽量化を行いつつ、必要な部分には補強を行うことで高いボディ剛性を確保。それでいて187万円〜という低価格を実現しているのは、スズキの企業努力の賜物と言えるでしょう。 ちなみにスズキは、さらに安価なスポーツモデルとして、最速の軽自動車としても名高い「アルトワークス(5MT車で153万7800円)」もラインナップ。とにかく安く、楽しいクルマが欲しい!という方は、こちらも注目です。 日産・マーチ NISMO S スズキ・スイフトスポーツのライバルと言える存在が、この日産・マーチ NISMO Sです。価格も5速MT車が187万6600円と、値段もほぼ拮抗。どちらも小型のFFホットハッチという点では共通していますが、クルマの成り立ちそのものはかなり異なります。3気筒エンジンが標準のマーチに、専用チューンが施された1.5リッター自然吸気4気筒DOHCを載せ、スタビライザー付サスペンション、本革&アルカンターラ巻きステアリング、シフトノブ、アルミペダル&フットレスト、スポーツシート、エキゾーストシステム、ブレーキ、ECMにいたるまで専用品をこれでもかと投入。さらにフロントサスペンションメンバーステー、トンネルステー2ヵ所、リヤサスペンションステー、テールクロスバーなどの車体剛性強化も行われています。 その結果、モータースポーツ直系のハンドリングを味わえる、クラス随一のコーナリングマシンに変貌。絶対的なスペックこそスイフトスポーツに劣りますが、機敏でダイレクト、そして痛快なハンドリングはこのモデルでしか味わえません。日産は、ひとつ上のクラスのスポーツモデルとして「ノート NISMO S(5MT車で237万1600円)」もラインナップしていますが、高いボディ剛性やエキサイティングな走りを考慮すると、マーチ NISMO Sの方が「スポーツカーらしさ」をダイレクトに感じられるでしょう。 ダイハツ・コペン 往年のイギリスのコンパクトスポーツカーを彷彿とさせる、小さくて可愛いクルマ、ダイハツ・コペン。評価に高い初代モデルに続き、現在は2代目モデルが生産されています。最大の特徴は、全く異なる外装パネルを使用した4つのスタイル、「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」「GR SPORT」の4種類から選択できるという点。意外と大きく実用性の高い荷物スペースに旅行カバンを積み込み、さらっと気楽な旅に出る、というスタイルがよく似合うコンパクトオープンスポーツです。価格は190万8500円〜。 ホンダ・S660 今回取り上げた9車種の中で唯一のミッドシップエンジン車が、このホンダ・S660です。かつてホンダが生産していた傑作軽オープンスポーツ「ビート」を彷彿とさせるスタイルに、思わず笑みを浮かべてしまう方も少なくないでしょう。 ライバルであるダイハツ・コペンとは裏腹に、荷物スペースはほとんど存在せず、実用性はかなり低いです。二人乗車の場合は、ほとんど荷物を載せられません。とはいえ、このモデルの最も優れた美点は、ミッドシップならではのハンドリングです。エンジン出力は64psに過ぎませんが、しっとりとした乗り心地と高速コーナーでの安定性、そして低速コーナーでの切り込んでいくような正確なハンドリングに虜になる人も多いでしょう。 ゼロから設計したシャシーに、ステアリング周りにサスペンション、そしてトランスミッションのシンクロなど、専用設計部品を多く組み込みながら、6MT車で201万7400円に収めた点に、ホンダの執念すら感じます。ただただ、純粋にハンドリングを楽しみたい、という方におすすめの軽オープンスポーツカーです。 フォルクスワーゲン・up! GTI 2018年に600台限定で販売したところ瞬く間に完売し、日本で「ホットハッチ」を求める層は今も多くいるのを証明したクルマが、このフォルクスワーゲン・up! GTIです。2019年から無事に再販され、229万9000円という価格で販売されています。 up!は、言わずと知れたフォルクスワーゲン最小のハッチバック。そんなup!に最高出力116ps/5000〜5500rpm、最大トルク20.4kgm/2000〜3500rpmを発生する直列3気筒DOHC 1.0リッターターボエンジンを搭載し、6速MTを組み合わせています。GTIシリーズ伝統のチェック柄のシートなどはこのモデルでも健在。初代ゴルフGTIを思い出させるコンパクトなボディで、キビキビとしたドライビングを堪能できます。 ルノー・トゥインゴ GT リアエンジンのコンパクトハッチとして、同クラスの中でも特異なパッケージングを持つルノー・トゥインゴ。このクルマをベースに、モータースポーツ部門の「ルノー・スポール」が磨きをかけたスポーツバージョンが「トゥインゴ GT」です。0.9リッターターボのエンジンは、ノーマルの90psから109psへと出力を向上。サスペンションなどのセッティグが「ルノー・スポール」によって見直され、熟成されています。 このモデルの最大の特徴は、リアエンジンによる鼻先の軽さが生む軽快なハンドリングと、それと相反するようなロングツーリング性能です。小回りが圧倒的に効き、山道は大の得意。それでいて、高速道路でも疲れ知らずの直進性と優れた乗り心地は、フランス車の良き伝統そのもの。ここで取り上げたクルマの中でも最も「スポーツカー度」が低いモデルかもしれませんが、一方で「運転が楽しくて仕方がない!」という、純粋な楽しさをドライバーに与えてくれるクルマでもあります。価格は5MT車が233万2000円〜。 トヨタ・86 FRのコンパクトスポーツカー、トヨタ・86。かつての名車の名を冠したこのクルマは、安価にスポーツカーを提供したい、というトヨタの願いが形になったモデルと言えるでしょう。価格はベースグレードの6MT車が267万1900円。共同開発されたスバル・BRZには、アルミホイールなどすら省いたカスタマイズ前提のグレード「R Customize Package」も設定されていて、こちらは247万5000円となっています。 スバルと共同開発した自然吸気の水平対抗2リッターDOHCエンジンは207psを発生。重心の低さと相まって、FRレイアウトのハンドリングの素晴らしさを存分に堪能できるパッケージングとなっています。カスタマイズパーツも多数販売されており、いじって楽しみたい方にはうってつけのクルマと言えるでしょう。 マツダ・ロードスター 世界で最も多く販売されているオープンスポーツカーが、このマツダ・ロードスターです。原点回帰を命題に掲げ、初代並みのサイズ・車重を実現した現行モデルも、現代の傑作オープンスポーツカーとして、世界中で高い評価を受けました。車両価格はじわじわと値上がりを続け、現在は最もシンプルなグレード「S」が260万1500円からとなっています。 とはいえ、執念とも言える軽量化、内外装のあらゆる部分に感じられるこだわりと作り込み、そして快適かつ爽快なドライブフィーリングを考慮すると、この価格はむしろ安いと感じる方も少なくないのではないでしょうか。日本の宝とも言うべきオープンスポーツ、マツダ・ロードスターを体験したことのない方は、ぜひ一度ステアリングを握ってみてください。目の覚めるような体験ができるはずです。 アバルト・595 最後に登場するのが、サソリの毒を注入されたとびきり熱いホットハッチ、アバルト・595です。1.4リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボエンジンは145psを発生。ベースとなったフィアット・500とは比べ物にならないホットな心臓を手に入れて、0〜100km/hは7.8秒という俊足を誇ります。 インテリア、エクステリア、そして乗り味全てに、イタリア屈指のスポーツブランド「アバルト」の実力を感じられるホットハッチとなっています。価格は5MTモデルが300万円ジャスト。今回の記事中最高額のクルマですが、所有する喜びも最も大きなモデル、と言ってよいかもしれません。とびきり熱いクルマに乗りたい!という方に、まず一番におすすめしたいクルマです。