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3ローターにターボ過給!唯一無二の心臓を持つ大人のグランツーリスモ、マツダ・ユーノスコスモ

目次
1.自動車用としては絶滅してしまったロータリーエンジン 2.ロータリースポーツの系譜、「コスモ」 3.「ユーノス」ブランドのフラッグシップモデル 4.唯一無二の3ローター・ターボ 5.ロータリー時代の残滓

みなさん、こんにちは!今回は1990年代初めから半ばに生産されていた大型2ドアクーペ、マツダ・ユーノスコスモを紹介します。時はバブル景気真っ最中、その時代でしか販売することができなかったと言われるクルマのひとつですが、エンジニアの情熱をそのまま形にしたようなメカニズムやパッケージングは、今でも異彩を放っています。

ただ単純に「バブルの産物」「燃費最悪のデートカー」と片付けるだけではあまりにももったいない、マツダ・ユーノスコスモの色褪せない魅力に今、改めて迫っていきたいと思います。

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自動車用としては絶滅してしまったロータリーエンジン

ユーノスコスモ

マツダは、レシプロエンジンとは全く異なった原理の内燃機関「ロータリーエンジン」を自動車用として長く販売・量産し続けた唯一のメーカーです。小型・軽量で、かつ同じ排気量で比較すると高出力、さらに搭載位置や搭載方向の制約が少なく、かつ回転が滑らかで振動が少ないなど、多くのメリットを備えたロータリーエンジンは、「夢の内燃機関」としてかつて多くの注目を集めました。

しかし一方で、自動車用ロータリーエンジンをマツダしか生産していない、というのは理由があります。かなり熱を持つので冷却系にコストがかかる、組み立て精度の高さが求められるのでほぼ手組みになり大量生産に向かない、低速トルクが薄く街乗りに向かない、燃費が悪い、などの数々のデメリットにより、他メーカーの多くは量産を断念。

特に、環境性能についての要求が高まっている現在は、燃費の悪いロータリーエンジンは生き残れず、2012年のマツダRX-8の生産中止以降、ロータリーエンジン搭載車を新車で買うことはできなくなってしましました。ちなみに、模型用エンジンや航空機用エンジンとしては、今でも他メーカーで細々と生産が続けられています。

マツダは、ハイブリッド車用のエンジンとしてロータリーエンジンの開発を現在も進めているようですが、他のエンジンの開発・改良にリソースを割かれてしまっていて、ロータリーエンジンが再び市場に登場するのはまだまだ先になりそうです。再登場したとしても、メインの動力源はモーターになる可能性の方が高いですが…

マツダ製ロータリーエンジンの歴史は、1967年に登場した名車、マツダ・コスモスポーツまでさかのぼります。

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ロータリースポーツの系譜、「コスモ」

斜め後ろから見たユーノスコスモ

マツダ・コスモスポーツは、小型・軽量のロータリーエンジンを搭載することを念頭に開発されたコンパクトな2ドアクーペで、乗車定員も2名と割り切った設計となっていました。最高出力は初期型は110ps、後期型は128psとそれほど高出力ではありませんでしたが、メカニズム的には世界初の量産型2ローター・ロータリーエンジンとなっており、前期型で940kgと軽量なボディを軽々と引っ張りました。

特に「異次元」と評されたのは、独特の回転フィーリングです。当時の国産車の多くが4000回転ほどで頭打ちになってしまうところを、コスモスポーツでは7000回転のレッドゾーンまで軽々と、しかも静かに吹け上がり、多くのスポーツカーファンの度肝を抜きました。

コスモスポーツの「小型・軽量なスポーツカー」としてのコンセプトはサバンナRX-7に受け継がれていきますが、一方でロータリーエンジンを心臓に据えたスペシャルティカーが新たな系譜として誕生します。1975年に登場した2ドアファストバッククーぺ・「コスモAP」と、1977年に登場した2ドアノッチバッククーぺ・「コスモL」です。

乗車定員は5人となっていて、また内装や装備品も格段に豪華になるなど、コスモスポーツとは明確に異なるコンセプトで設計。グランツーリスモ的性格を持たせた理由としては、主にアメリカ市場の要望が大きかったことによります。

当時の自動車排出ガス規制で、多くの国産車が軒並みエンジン出力を落とす中、コスモAPの高出力なエンジンは市場で異彩を放っていました。その結果、発売後半年で2万台を販売する大成功作となるのです。

「ユーノス」ブランドのフラッグシップモデル

ユーノスコスモの内装

1981年から1990年までは、リトラクタブルヘッドライトが特徴の「コスモ」が生産されました。薄いラジエターグリルと低いボンネットによるシャープなデザインで、空気抵抗係数(Cd値)は0.32と当時世界トップクラスの数値を記録。

1982年には、世界初のターボ付きロータリーエンジン搭載車を発売。その高性能は、後続の国産車に大きな影響を与え、国産車のスペック競争を加速させる一因となりました。

そして1990年4月。「マツダ・ユーノスコスモ」がデビューします。当時、マツダはいくつかのブランドを展開しており(マツダ、ユーノス、アンフィニ、オートザム、オートラマ)、その中でも高級ライン「ユーノス」におけるフラッグシップモデルとして、「ユーノスコスモ」を開発。数多くの新機軸を取り入れたこの新しい2ドアFRクーペは、市場に大きな衝撃を与えました。

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唯一無二の3ローター・ターボ

上から見たユーノスコスモの内装

まず、最初に注目すべきなのは、唯一無二の「ターボ過給付き3ローター・ロータリーエンジン(20B-REW型)」を搭載しているということ。エンジンの出力は設計値で333psに達していましたが、その前年に定められていた国内自主規制枠280psに引っかかるため、わざわざ50psほどデチューンをして搭載されていました。最大トルク値も41.0kgf・mと非常に強力で、決して軽くはないボディを豪快に加速させるのには十分でした。

ちなみに、マツダでスタンダードとなっていた2ローターエンジン(13B-REW型)もラインナップされており、こちらは230psを発生。同じ2ローターのRX-7ものちに280psに到達するのはご存知の通りです。

20B搭載型のマフラーは迫力の4本出しで、回転数によって排気経路が変化する可変排気機能が搭載されており、マフラーの開口部もエンジン回転数によって変化する、非常に凝ったシステムが採用されていました。

ユーノスコスモは、全車4速ATのみの設定で、これは「当時のマツダに3ローターのパワーに耐えられるMTがなかった」という理由のほか、「クルマの性格上不必要と判断された」とも言われています。

ユーノスコスモは全長約4.8m、全幅1.8mの大型クーペで、後席はあるものの狭く、実質2人乗りでした。現在の曲線を多用したマツダ車とは異なり、直線基調の美しく、シンプルで伸びやかなスタイリングは、現代の目から見てもとても魅力的です。特に、ロータリーエンジン専用車ならではの薄いボンネットは、ユーノスコスモの最大の美点ではないでしょうか。

内装に関しても非常に豪華で、GPSカーナビを世界で初めて標準装備し、さらにフルオートエアコンの装備をナビのタッチパネルで行うという、当時としては画期的な操作方法を実現。のちの多くの高級車に影響を与えました。

シートは仔牛10数頭分の本革が使用され、しかもその本革はオーストリアのシュミットフェルトバッハ社から取り寄せられたものでした。また、ウッドパネルもイタリアのシンプレス工房製で、当時の最高級クーペとしてコスト度外視の贅を尽くした作りとなっています。

ロータリー時代の残滓

赤いマツダユーノスコスモ

最上級グレードの価格は530万円。決して安いクルマではなく、また燃費が6.1km/L(20B搭載車)と悪かったこともあり、1996年に販売を終えるまでに生産された台数は約9,000台にとどまっています。

このように、ユーノスコスモは販売面で成功したとは言い難いのですが、3ローター・ターボのロータリーエンジンを味わえる唯一の存在として、今でも一部に熱狂的なファンが存在しているのも事実。中古車市場でも、安いものは100万円を切りますが、程度の良い20B搭載車となれば200万を超えていることも珍しくありません。

1991年、ロータリーエンジンを搭載したマツダ・787Bが、ル・マン24時間レースを日本車として初めて勝利。その同年代を生きたクーペとして、ユーノスコスモは今も異彩を放ち続けています。

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