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旧車の魅力と知識

クルマの安全装置には何がある?種類や機能、後付け可能かを解説
旧車の魅力と知識 2024.11.25

クルマの安全装置には何がある?種類や機能、後付け可能かを解説

クルマには、事故を未然に防ぎ発生時の被害を抑えるためのさまざまな安全装置が搭載されています。事故のリスクを減らすために安全装置が付いたクルマを購入したい場合は、種類や機能を理解することが大切です。 この記事では、代表的な安全装置や安全性の高いクルマの選び方、おすすめの車種について詳しく解説します。 クルマの安全装置の種類 クルマに搭載される代表的な安全装置は、以下のとおりです。 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ) 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は、追突事故の被害を軽減または回避するための装置です。カメラやセンサーが障害物を検知し、衝突の危険性が高まると音や警告灯でドライバーに回避行動やブレーキ操作を促します。 それでも回避行動やブレーキ操作がなく、このままでは追突する危険性が高いとシステムが判断したときは、自動的にブレーキが作動する仕組みです。 2021年11月から新型の国産車に対して衝突被害軽減ブレーキの装着が義務付けられました。輸入車や国産車(2021年11月以前に販売開始し、新車販売が継続されるクルマ)についても装着が順次義務化される予定です。 クルマに衝突被害軽減ブレーキが搭載されていない場合は後付けが可能です。 ペダル踏み間違い急発進抑制装置 ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、アクセルとブレーキを間違えて踏んだ際の急発進による事故を防止する装置です。 クルマに取り付けられたセンサーが障害物を認識している状態でアクセルペダルが強く踏み込まれると作動し、エンジンの出力が抑えられて急加速が防止されます。また、警告音でドライバーにブレーキ操作を促します。 この装置は後付けが可能です。後付けをする場合は、国土交通省によって一定の性能を有していることが認定されている商品を選ぶとよいでしょう。対象商品は、国土交通省のホームページで確認できます。 車間距離制御装置(ACC) 車間距離制御装置(ACC・アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、安全な車間距離を自動的に保つシステムです。高速道路や自動車専用道路で使用することを前提に開発されました。 前を走るクルマとの車間距離をセンサーが検知し、アクセルとブレーキを自動で操作して速度を調整して運転を支援します。 車間距離制御装置は後付けが難しい装置です。必要であれば、車間距離制御装置が搭載された車種またはオプションで選べる車種を選ぶとよいでしょう。 車線逸脱防止システム 車線逸脱防止システムは、クルマが走行車線からはみ出しそうになったときに作動する装置です。 クルマに取り付けられたカメラが走行車線のレーンマーカーを検知し、そこからはみ出しそうになると音や警告灯でドライバーに知らせます。ブレーキやハンドルの自動操作により、車輌が車線内の走行できるよう制御されるものもあります。 このシステムは後付けが可能です。ただし選択肢が限られるうえ、販売されている商品は警報機能しか搭載していないため、車線逸脱防止システムが必要な場合は標準搭載の車種かオプションで設定が可能な車種を選ぶのがおすすめです。 ドライバーモニタリングシステム ドライバーモニタリングシステムは、車内に取り付けられたカメラでドライバーの状態を監視し、居眠りや脇見運転などによる事故を防止するシステムです。 ドライバーが一定時間目を閉じたときや、顔の向きを前方から大きく外したときなどに警告を発して運転に意識を向けるよう促します。 このシステムは後付けも可能ですが、商品数が少ないため、基本的には標準搭載されている車種かオプションで設定できる車種を選ぶのがおすすめです。 横滑り防止装置 横滑り防止装置は、滑りやすい路面を走行しているときや急なハンドル操作をしたときにクルマの安定性を維持する装置です。 センサーがクルマの横滑りを感知すると、システムが各車輪のブレーキやエンジンを制御して車体を安定させます。 横滑り防止装置は基本的に後付けができないため、必要な場合は標準搭載されている車種かオプションで装着できる車種を選ぶとよいでしょう。 オートマチックハイビーム オートマチックハイビームは、ハイビームとロービームを自動で切り替える機能です。 夜間の走行時にハイビームを点灯すると歩行者や障害物を発見しやすくなりますが、対向車や先行車に当たると相手の視界を妨げる恐れがあります。そのため、状況に応じてハイビームとロービームを適切に切り替えることが道路交通法で義務づけられています。 本機能は、車輌前方のカメラが対向車や先行車を検知したときは自動でハイビームからロービームに切り替え、対向車・先行車がいなくなったらハイビームに自動で切り替える仕組みです。夜間の走行時に良好な視界を確保しながら、切り替え操作の手間を省くことができます。 オートマチックハイビームは後付けが困難なため、必要な場合は標準搭載またはオプション設定のある車種を選びましょう。 リアビークルモニタリングシステム リアビークルモニタリングシステムは、クルマの左右後部に設置されるレーダーが接近する車輌を検知して点灯でドライバーに警告をする装置です。 警告が表示される状態で方向指示器を出すと音と警告灯が発せられるため、ドライバーが死角のクルマに気が付かずに車線変更をした際の事故を防ぎやすくなります。 この装置は後付けが可能です。 ABS ABS(アンチロックブレーキシステム)は、急ブレーキをかけたときのタイヤのロックを防ぐ装置です。 急ブレーキ時にロックしそうな車輪のブレーキが緩められることでハンドル操作ができるようになり、減速をしながら障害物を回避できるようになります。 ABSは基本的に後付けができません。装着を希望する場合は、標準搭載またはオプション設定のある車種を選びましょう。 パッシブセーフティ パッシブセーフティは、事故が起きたときに搭乗者や事故相手、歩行者などへの被害を最小限に抑える装置です。代表的なパッシブセーフティは、下記のとおりです。 種類 目的 SRSエアバッグ 衝突を感知すると瞬時に膨らみ、乗員の衝撃を和らげる装置 シートベルト 乗員の体を固定し事故発生時に同乗者との接触や飛び出しなどを防ぐ装置 衝撃吸収構造 衝突のエネルギーを効率よく吸収・分散し乗員や歩行者を守る車体構造 チャイルドシート 乗車する乳幼児を事故の衝撃から守るための保護装置。6歳未満の子どもを乗せるときは装着が義務付けられている 安全性が高いクルマの選び方 安全性が高いクルマを選びたい場合は、独立行政法人自動車事故対策機構がクルマの安全性能を毎年評価する「自動車安全性能」の評価基準を確認するとよいでしょう。 ・衝突安全性能評価 ・予防安全性能評価 ・事故自動緊急通報装置評価 それぞれの評価内容は下記のとおりです。 衝突安全性能評価 衝突安全性能評価は、事故が起こったときにクルマの乗員や歩行者を保護する性能を評価したものです。実車とダミーの人間を用いてさまざまな衝突実験を行い、事故が起こったときの安全性を点数で評価します。 評価項目の合計点数に応じてクルマの衝突安全性能がA〜Eの5段階で評価されます。 万が一交通事故が起こったときに、自身や家族の被害をできるだけ軽減したい場合は、衝突安全性能が最高評価のAランクであるクルマを選ぶのがおすすめです。 予防安全性能評価 予防安全性能評価は、事故を未然に防ぐ安全装置の性能を評価するものです。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの性能を点数化し、それらの合計点数に応じてA〜Eの5段階でランク付けされます。 事故に遭う確率を下げるために予防安全性能が高いクルマを購入したいときは、最高評価のAランクを獲得しているか確認するとよいでしょう。 事故自動緊急通報装置評価 事故自動緊急通報装置は、重大な事故が発生した際に自動でコールセンターに通報する装置の性能を評価したものです。下記の2種類があります。 基本型 事故の発生を自動的に緊急通報するもの 先進型 事故発生の緊急通報に加えて乗員の傷害予測のための情報を送信するもの 先進型の装置を搭載したクルマで事故を起こして怪我を負った場合、医師による治療開始までの時間が大幅に短縮されます。怪我の状況にもよりますが、救命率の向上につながる可能性があります。 万が一事故が起こったときに、自身や同乗者の命が助かる確率を少しでも上げたい場合は、先進型の装置を搭載したクルマを選ぶとよいでしょう。 安全性が高いクルマ3選 続いて安全性が高いクルマを3車種紹介します。いずれのクルマも、衝突安全性能評価と予防安全性能評価は最高のAランクであり、事故自動緊急通報装置は先進型が搭載されているため、高い安全性が期待できます。 スバル クロストレック スバル クロストレックは、デザイン性と実用性を兼ね備えるコンパクトクロスオーバーSUVです。都会とアウトドアのどちらにも活用できるデザインに加え、長時間の運転でも疲れにくい快適な乗り心地と路面の状況を問わず安定した走りも特徴的なクルマです。 スバルクロストレックには運転支援システムの「新世代アイサイト」が搭載され、予防安全性能が大幅に向上しました。3つのカメラとレーダーが周囲の状況を監視し、障害物を検知したときはブレーキ制御を行って衝突事故の回避をサポートしてくれます。 また、衝突事故でも潰れにくい強固なボディと歩行者の頭部を守る歩行者保護エアバッグなども搭載されており、高い衝突安全性能を有しています。 独立行政法人自動車事故対策機構による「自動車安全性能2023」では、総合評価98%と最高の評価を獲得し、自動車安全性能ファイブスター大賞を受賞しました。 トヨタ クラウンクロスオーバー トヨタ クラウンクロスオーバーは、高級感のある美しいデザインと快適な室内空間、パワフルな走行性能が特徴的なクルマです。日本を代表する高級セダン「クラウン」の16代目の1種として発売されました。 「Toyota Safety Sense」という予防安全機能が搭載されています。単眼カメラとミリ波レーダーを用いた衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止システムなど、事故防止や被害の軽減が期待できる機能が充実しています。 先進機能で駐車や高速走行を支援しドライバーの負担を軽減する「トヨタチームメイトドライバー」が搭載されているのも特徴の1つです。 「自動車安全性能2023」では自動車安全性能ファイブスター賞を受賞しており、総合評価は95%とスバルクロストレックに続く高評価となっています。特に、予防安全性能についてはスバルクロストレックを上回る評価となりました。 マツダ CX-60 マツダ CX-60は、豪華で上質な内装と躍動的なデザイン、FRレイアウトによる人馬一体の走りが特徴的な高級クロスオーバーSUVです。 安全装備も充実しています。衝突被害軽減ブレーキに加え、ドライバーの疲労や眠気を検知するドライバー・モニタリングや車線の逸脱を回避する危険回避ステアリングアシストなど事故の被害を回避・軽減するさまざまな機能が搭載されています。 「自動車安全性能2023」では、総合評価94%というクラウンクロスオーバーに次ぐ高評価となり、自動車安全性能ファイブスター賞を受賞しました。 まとめ クルマに搭載される安全装置には、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止システム、ドライバーモニタリングシステム、オートマチックハイビームなどがあります。 クルマを選ぶ際は、搭載される安全装置をよく確認することが大切です。また「衝突安全性能評価」「予防安全性能評価」「事故自動緊急通報装置評価」を確認することで、安全性の高いクルマを選びやすくなります。 デザインや走行性能などに加えて安全性能も比較することで、より充実したカーライフを送りやすくなるでしょう。

国産車初の市販ミッドシップ「MR2」は後期型で完成した!? 前期からの変更点や魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.11.22

国産車初の市販ミッドシップ「MR2」は後期型で完成した!? 前期からの変更点や魅力に迫る

ミッドシップらしい優れたハンドリング性能と、スーパーチャージャーによる力強い加速感。国産車初の本格ミッドシップスポーツ、トヨタ AW11型 MR2は、後期モデルへの進化によって実力と人気を一気に開花させました。 今回は、後期型でのアップデートポイントを中心に、AW11型 MR2の魅力を振り返ります。 国産ミッドシップスポーツの道を切り拓いたAW11型MR2 品質は高いものの、大衆向けで無難なクルマを作るイメージがあるトヨタですが、1984年に市販国産車初のミッドシップスポーツを生み出していました。また、登場後もさらに開発を進め、大幅なアップデートを実施しています。 AW11型 MR2の誕生と、後期型への変遷を紹介します。 日本車初の市販ミッドシップ車として誕生 AW11型 MR2は、日本の量産車で初めてミッドシップレイアウトを採用した、国産ミッドシップスポーツの草分け的存在です。。 車名の由来は、「Midship Runabout 2seater」の頭文字です。ランナバウトには「その辺を軽快に走り回る」という意味があり、現在のトヨタのグレード名「RS(Runabout Sports)」としても使われています。 発売後わずか2年で実施したビッグマイナーチェンジ 開発当時、AW11型のエンジンや足回りには、大衆車であるE80系カローラから流用した部品が使われていました。ミッドシップレイアウトであるがゆえにハンドリング性能には優れていたものの、スポーツモデルとしての物足りなさがあったことは否めません。 そこで、1986年のビッグマイナーチェンジでミッドシップの特性をより活かすべく多くの変更が行われました。象徴的なのは、圧倒的な加速力を生み出すスーパーチャージャーモデルの追加です。また、足回りの設計やチューニングによって、さらなる操縦安定性の向上を図っています。 ビッグマイナーチェンジによる飛躍的なに進化〜レースでの功績 AW11型は、後期型へのビッグマイナーチェンジで大幅な性能アップを果たしました。「ミッドシップ」が単なるスタイリングではなく、スポーツカーとしての性能を追求した結果だということを示した形です。 後期型で変更された点を、モータースポーツシーンでの活躍とともにさらに詳しくみていきましょう。 過給器付エンジンとハンドリング性能の強化 ビックマイナーチェンジした後の後期型では、名機4A-GELUエンジンに過給器を搭載した4A-GZEモデルがラインナップに加えられました。4A-GZEといえば後発のAE92、AE101型レビン/トレノのエンジンとして有名ですが、実はAW11型に搭載するために開発されたエンジンです。 また、足回りの大幅な改良が加えられました。フロントエンジン車よりも後輪に大きな力がかかるため、サスペンションアームの取り付け位置を変更するとともにショックアブソーバーを大径化。さらに、ハンドリング性能向上のため、フロント部にはパフォーマンスロッドを追加して高剛性化を図っています。(一部はスーパーチャージャーモデルのみ) デザインも大幅に刷新 性能だけでなく、デザインも大きく変化しました。最大の変更点は、Tバールーフの採用です。後に多くの人が「AW11型 MR2といえばTバールーフ」という印象をもつほどに、そのイメージを決定づける要素の1つとなりました。 また、フロントスポイラーの大型化とフロントバンパーとサイドエアインテークの形状変更、アルミホイールのデザイン刷新によって見た目の印象も変わっています。さらに、ボディカラーに追加されたスーパーチャージャー専用色のブルーマイカを選択すると、専用の内装色も選択できるようになっていました。 ジムカーナでの活躍により高い運動性能を証明 AW11型のハンドリング性能の高さの証明として、軽快な挙動が求められるジムカーナでの活躍が挙げられます。 全日本ジムカーナにて、AW11型をベースにした「ADVAN MR2」が数々の功績を残しました。1987年、「ミスターアドバン」の異名を持つジムカーナ界の帝王「山本真宏」選手の乗るADVAN MR2は、鈴鹿サーキットの全日本ジムカーナ選手権でデビューウィンを飾り、翌年も勝利を納めて見事に連覇を達成しました。 さらに1990年には、遠藤毅志選手(1989年、1990年全日本ジムカーナ・Dクラスチャンピオン)の駆るミッドシップ・スーパーD車輌、「トムス オクヤマ S1D」と激闘を繰り広げます。6月に開催されたジムカーナフェスティバル第2戦(備北ハイランド)では、準レーシングカーともいえるチューニングを施した「トムス オクヤマ S1D」を抑えて優勝するという、歴史的快挙を成し遂げました。 初のミッドシップ車を成熟させた後期型 AW11型の後期型は、国内初のミッドシップ車を真の完成の域にまで到達させたモデルです。国内自動車メーカーとして初めてミッドシップレイアウトに取り組んだ前期型を、わずか2年で成熟させたところに、社長の肝いりで開発したともいわれるトヨタの強い意志を感じます。 乗り手を選ぶクルマともいわれるミッドシップは、現在の国内ラインナップからは消えてしまいました。もともと支持層が限られるスポーツカーのなかでも、さらにマニアックな存在だけに仕方のないことなのかもしれません。しかし、AW11型を開発、成熟させたことで、後継のMR-Sや他メーカーのNSXやS2000といった名車が生まれました。歴史を作った名車として、現存する個体は今後も大切にしていきたいものです。

ダットサン フェアレディ(2代目 S310系)は量産国産車初の本格スポーツカー
旧車の魅力と知識 2024.11.20

ダットサン フェアレディ(2代目 S310系)は量産国産車初の本格スポーツカー

「フェアレディ」の名前を初めて冠したスポーツカー、フェアレディ1500。後継の「フェアレディZ」の成功が印象的ですが、フェアレディ1500がなければ誕生はなかったかもしれません。 3席オープンという変則的な仕様ながら、量産国産車初のスポーツカーとして現在も高く評価されています。デビューモデルも含めて、合計3モデルが作られたフェアレディの開発背景と仕様を詳しくみていきましょう。 日産のみならず国産スポーツカーの道を切り開いた フェアレディ1500は、スポーツ1000と北米向けのフェアレデー1200の後を受ける形で開発されました。ベース車が存在するという点では前モデルと同様の開発手法でしたが、性能へのこだわりは全く異なります。 国産スポーツカーの道を切り開いたともいえる、フェアレディ1500の開発背景を振り返ってみましょう。 ベースのブルーバードから多くの仕様変更 SP310/SPL310型フェアレディ1500は、1962年に登場しました。スポーツ1000(フェアレデー1200)の、2代目モデルという位置づけです。日産を代表するミドルクラスセダン、P310型ブルーバードをベースに開発されました。また、単なるスポーツモデルとして造られたわけではなく、高性能を誇るヨーロッパのライトスポーツを念頭において開発されたともいわれています。 国産車初の本格スポーツカーと評されるだけあって、ベースモデルから大幅に仕様が変更されていました。最大の変更点は、オープンスポーツというスタイリングにしたことです。オープンボディ化に伴って、ラダーフレームがクロスメンバーで補強されています。また、前後サスペンションも、ダンパー、スプリングともに強化し、スポーツカーらしいハンドリング性能を実現しました。 ワンランクうえの新型エンジンを搭載 フェアレディ1500には、日産が初めて自社開発したG型エンジンが搭載されました。ブルーバードよりも格上にあたるセドリックでデビューしたばかりで、最高出力71psを5,000rpmで発生させるスポーツカーらしいエンジンです。 また、フェアレディ1500に搭載するにあたっては、専用チューニングも施されています。キャブレターの換装、カムプロファイル変更、バルブスプリングのダブル化、コンロッドメタルの材質変更など、変更点は多岐に渡りました。 モデルごとに正統進化を遂げていった フェアレディ1500の発売5年後には、現在でいうところのビッグマイナーチェンジを迎えます。さらに、高性能モデルも追加モデルという形でラインナップに登場しました。 進化したフェアレディ1600と、レースでも活躍したフェアレディ2000について詳しくみていきましょう。 フェアレディ1600(SP311/SPL311型) 1965年に発売されたフェアレディ1600は、フェアレディ1500と入れ替わる形で登場しました。フェアレディ1500をベースに開発され、同年に登場したシルビアも共通のシャシーを使用しています。初代シルビアのCSP310は型式が示すとおり、フェアレディ1600のクーペ版という位置づけで開発されました。 シャシーと同様にシルビアと共通だった1.6LのR型エンジンは、最高出力90psを発揮します。高性能化に伴って、ホイールサイズを14インチ化、ドラム式だったフロントブレーキはディスク式に改められました。 また、発売同年の一部改良によって、厳しい米国の安全基準にも対応しています。 フェアレディ2000(SR311/SRL311型) フェアレディ1600の発売から2年後の1967年、追加モデルという形でフェアレディ2000がラインナップに加えられました。最大の変更点は、排気量が2L化されたことです。ソレックスツインキャブレターを装備した新設計のU20型2L直列4気筒SOHCエンジンは、最高出力145psを発揮します。 ポルシェタイプシンクロを備えた5速ミッションと組み合わせ、日本車初の200km/hオーバーとなる205km/hの最高速度を記録。また、車重はわずか910kgで、0-400m加速も国産最速の15.4秒を叩き出しました。 発売直後の第4回日本グランプリでは、1位~3位の表彰台を独占。クルマとしての高いポテンシャルを、レースで証明しました。その後も、後継のフェアレディZが登場するまで、数々のレースで輝かしい成績を残します。一方で、シャシーの基本設計は古かったため、ドライバーのスキルを要求するクルマだったともいわれています。 国産スポーツカーの歴史を作ったフェアレディ ダットサン フェアレディは、登場時に量産国産車初の本格スポーツカーとして、追加モデルで当時の国産最速のクルマとして、日本のスポーツカーの歴史を作ったモデルです。後継のフェアレディZはもちろんのこと、プリンスが開発したスカイラインを合併で受け入れて育てられたのも、フェアレディの成功があったからかもしれません。 また、フェアレディは当初から欧州車を意識しており、世界基準を目指して開発されたクルマです。日本車初のコラプシブルステアリングシャフトの採用、当時としてはまだ珍しかった3点シートベルトなど安全装備の開発にも力を入れ、1967年には当時のアメリカの安全基準をクリアしました。北米で日産車が高く評価されたのは後継の240Zですが、フェアレディで培った技術があったからこそ成功したといえるでしょう。

ベテラン勢は決断の時!? 一念発起して膨大なコレクションを処分するべし!
旧車の魅力と知識 2024.10.31

ベテラン勢は決断の時!? 一念発起して膨大なコレクションを処分するべし!

年に数回「コレクションの一部を引き取ってほしいんだけど・・・」と相談を受けるのは筆者だけだろうか。 気持ちが分かるだけに引き取りたいのはヤマヤマだが・・・実はこちらも断捨離のまっ最中。ここでふたたびコレクションが増えたら・・・家族に何をいわれるか分かったものではない。 そうこうしているうちに、なんだかんだで今年も残り2ヶ月となってしまった。そろそろ忘年会シーズンに突入だ。そして、年末の大掃除のことも考えなくてはならない時期でもある。 そこで今回は「ベテランコレクターは決断の時!? 一念発起して膨大なコレクションを処分するべし!」と題してまとめてみた。 言わずもがなだと思うが、自他ともに認めるコレクターであれば、遅かれ早かれ決断しなければならないときが「必ず」訪れる。迷っているベテランコレクターの背中を押すきっかけになれば幸いだ。 ■寒い&暑い時期が来る前に覚悟を決める  コレクションの多くは屋根裏部屋や押し入れ、倉庫など、空調設備が整っていないところに保管されていることが多い。それはつまり「暑いか、寒いか、暗いか。はたまた埃っぽいか」。そのいずれか(いずれにも)該当すると思われる。 筆者自身も経験があるのだが、暑くもなく、寒くもない気候のいい時期にコレクションを整理しないと、汗だく(または凍えながら)片付けをした記憶がフラッシュバックして、次に行うときにさらに腰が重くなる。2月に入るとスギ花粉に悩まされる人も多いだろうから、今の時期がベストかもしれない。 ■ヤフオクやメルカリに出品する  コレクションの放出先として王道中の王道といえるのがネットオークション、主にヤフオクやメルカリに出品することだろう。多くのクルマ好きのセーフティーネット、そして駆け込み寺となっているのは知ってのとおりだ。 落札者とのやり取りや梱包および発送といった手間は掛かるが、思いがけず高値で落札されることもあり、苦労に見合う価値はあると思う。時間的な余裕があり、手間を惜しまないマメさがあるのであれば膨大なコレクションを資産に変えるもっとも有効な手段であることは確かだ。  ■友人や知人に代行して出品もらう  膨大なコレクションをどうにか処分したいけれど、ちょっと小遣い稼ぎもしたい。でもフリマは面倒。しかしヤフオクやメルカリに出品する方法が分からない・・・という人もいるだろう。それならば、パソコンやスマートフォンの操作に強い友人に代理出品してもらうという手もある。もちろん多少の謝礼を渡すことをお忘れなく。 そして、せめて落札後の梱包や発送くらいは自分でやろう(もしも、すべてを丸投げするなら、その分の謝礼も加算して渡したいところだ)。 ■フリマに出店してみる  1度にコレクションを処分するのは難しいかもしれないが、フリマに出店してみるのもありだ。梱包や発送の手間が省けて、ちょっとした小遣い稼ぎにもなる。「こんなの売れるのかな・・・」と思って出品したものが実は掘り出しもので買い手にめちゃくちゃ喜ばれたり、逆に秘蔵コレクションだと思っていた自慢の逸品が最後まで売れ残ったりするから不思議だ。 「これで一儲けしよう」と気負わなければゆるく楽しめるのでおすすめだ。ひとつ気をつけたいのは、他の出品者のモノを買わないこと。せっかくコレクションを減らしに来ているのにこれでは本末転倒だし(笑)。 ■コレクター気質の友人や知人に譲る ヤフオクやメルカリなどのネットオークションに出品してもいいのだが、同じ趣味を持つ友人や知人に譲るという方法も有効ではないだろうか。無償で譲るか多少のイロをつけるかは状況によるだろうが、相手も喜んでくれるに違いない(喜んでくれると思われるコレクションを譲る必要がありそうだ)。 ここぞとばかりにゴミ同然の不要品を紛れ込ませて押しつける人がいるが、それは御法度。このとき、誰が見ても不要なものを渡さないように心掛けたい。 ■手元に残すコレクションは5点以内  すべてのコレクションを放出するのはあまりにも忍びない。そこで、文字どおり「墓場まで持っていきたいコレクション」だけを残して、あとは処分するという作戦だ。ただし、5点以内など、厳格なルールを決めた方がいい。10点まで増やしてやってしまうとキリがないからだ。あれもこれもとなって結局絞りきれなくなってしまいかねない。 さらに、うっすらお気づきだと思うが、中途半端に残すとふたたびコレクションが増えていくことは間違いない。これは断言できる。自ら蒐集欲を完膚なきまでになくすことがそもそもの目的なのだから。 「ギリギリのギリ」までコレクションを減らし、厳選に厳選を重ねて3〜5点くらいにする。そして、これ以上増やさない。あれほど心血を注いだコレクションの大半を手放したショックでしばらくはかなり辛いと思うが、少しずつ慣れてくる(はずだ)。時間が解決してくれるのは失恋と同じ(はず)だ。 ■まとめ:一気に処分しようとするから辛いのよ 膨大なコレクションを一気にまとめて処分しようとしても1日で終わることはほぼないだろう。もしあるとしたら、全コレクションを友人知人にまとめて引き取ってもらうか、住まいがある市区町村のゴミ集積場に持ち込み、「ゴミとして」一気に処分してもらう方法くらいしかない。 処分すると決めた以上、早くすっきりさせたいと思う気持ちは分からなくもないが、段階的にコレクションを減らしていくことで、せっかくの貴重なアイテムを投げ売りせずに済むかもしれない。 いずれにしても、押し入れや倉庫の奥で眠っていたコレクションを、いまこの瞬間も血眼になって探している人が日本、あるいは世界のどこかに必ずいることを気に留めてみてほしい。捨てれば単なるゴミだが、しかるべきコレクターのところに嫁げば、立派な資産であり、資料やコレクションとなりうるのだから。 [ライター・撮影/松村透]

終わりのはじまり!? オーナーズクラブが空中分解する5つの前兆とは
旧車の魅力と知識 2024.10.30

終わりのはじまり!? オーナーズクラブが空中分解する5つの前兆とは

これまで、幾多のオーナーズクラブが生まれては消えることを繰り返してきた。そしてこの瞬間も「現在進行形」であり、10年後も、下手をしたら50年経ってもそれほど変わらないのかもしれない。 よくよく考えてみれば、人間が2人以上集まれば揉めごとが起こらないわけがない。共通のキーワードは、多くの場合「クルマのみ」という、非常に希薄な関係ともいえる。気がつけば疎遠になっていたり、自然消滅ということも少なくない。何しろ「苗字は分かるけど名前は知らない」といった程度の関係だからだ。 よくいえば絶妙な、裏を返せば実に危うい人間関係で形成されているオーナーズクラブ。今回は「不穏な空気は終わりのはじまり!? オーナーズクラブが空中分解する5つの前兆とは?」と題して、その前兆を考察してみた。 ■1.メンバー全員が参加しているLINEグループの投稿が減る NTTドコモ モバイル社会研究所が2023年4月17日に発表した統計によると、スマホ・ケータイ所有者のうち、LINEの利用率が83.7%に達するという。しかも、10~60代で8~9割以上が利用しているとのことで、もはやライフラインに近い。LINEアプリをインストールしていない人を探すのが難しいくらいだ。 そうなると、仲間同士の連絡網もLINEを介して行うのがもっともスムーズだ。さらにメンバーのみが閲覧・投稿できる非公開グループを作成すれば、普段の他愛ないやり取りからイベント等の業務連絡まで済ませることができてしまう。オーナーズクラブ管理者としては必須ツールだろう。 こうして作られたメンバー限定のLINEグループ。付き合いだしたばかりのカップルのように、クラブ創設直後はメンバー同士のやり取りが止まらず、日常生活が差し支えるほど(笑)。しかし、急速に熱せられたものは冷めるのも早いのが世の常。ある時期を境に倦怠期となり、気づけば1週間に数件。便りがないのは元気な証拠だとはいうけれど・・・。 ■2.内部分裂して別のグループが出来上がったうわさがたつ 本家LINEグループが妙に「過疎ってきている」場合、別のLINEグループが秘密裏に立ち上がり、そちらの方が盛り上がっている可能性もありうる。これこそが内部分裂、すなわち「空中分解」の初期段階ともいえるかもしれない。もちろん、メンバー同士で気の合う仲間同士が個別にLINEグループを作成し、よりフランクなやり取りをしている場合も大いにありうるだろう。 それくらいで収まれば何の問題もないのだが、メンバーの誰かが「本家のLINEグループがつまらないから」とか「いつも仕切る奴がいてうざい」などと愚痴りはじめたときは要注意だ。同じように思うメンバーが他にもいて、ヒミツのLINEグループになだれ込んでくる。そしていつしか、その噂は本家LINEグループでも話題になり・・・この時点で空中分解がかなり進行していると思っていいだろう。 ■3.リーダーの暴走 リーダーである本人にしてみれば「クラブの存続と発展のため」に身を粉にして頑張っているつもりかもしれない。しかし端から見れば単なるスタンドプレイ、つまり暴走しているとしか映らないこともある。人の話に耳をかたむけない、アドバイスを無視する、独断で決めてしまう。反対派をすみに追いやる。こうなると「裸の王様」そして「空中分解」の道へまっしぐらだ。 クラブ内の内部分裂が深刻化し、事実上「リーダー派」と「反リーダー派」に分裂してしまう。この時点で双方の関係修復はかなり困難な段階となり、定例MTGや忘新年会など「可能な限りメンバーは参加が好ましい」集まりが成立しなくなる。 ■4.自分の商売を持ち込む 参加しているクラブにその道のプロ(整備士やコーティングショップ経営者など)が参加していると、お友達価格で請け負ってくれたりと、かゆいところに手が届き、何かと頼りになることがある。相手も商売だし、このくらいの距離感で収まれば何の問題もない"Win-Win"な関係となりうる。 問題は「メンバーのクルマの整備は●●、コーティングは■■」といった具合に、なかば強制的に預けざるを得ない決まりができたときだ。メンバーそれぞれに付き合いやネットワークがあるだろう。その選択肢が奪われることは得策ではないといいきれる。しかし、これが分からないというべきか、自分の都合(商売)を優先してしまう人がいるのだから、困ったものである。 ■5.メンバー同士の男女関係のもつれ いわゆる修復不可能な遺恨を残す典型的な例が「メンバー同士の男女関係」だ。女性オーナーが増えきているとはいえ、クルマの趣味の世界はまだまだ男性の比率が高い。男性メンバー(さらには独身)ばかりの集まりのなかに、若い女性メンバーが加入してきたら・・・。「自分にもワンチャンあるかも」と期待しない方が無理というものだ。 こうしてメンバーの多くが、新入りの若い女性メンバーに対してアプローチを試みていたある日のこと、メンバーのひとりと女性メンバーが密会しているという噂が流れる。噂が噂を呼び、もはや犯人探し状態と化したすえ、女性メンバーに手を出したのが既婚者であるメンバーだと判明する。怒りが頂点に達したほかの男性メンバーたちは、そのまま勢いでクラブを脱退。こうして空中分解の悲劇が繰り返される。 ■まとめ:あえてどのクラブに入らないという選択肢も 同じクルマに憧れ、オーナーとなった者同士、思うところが一緒である以上、話があうのは当然のことかもしれない。しかし、冒頭にも記したとおり共通のキーワードは多くの場合「クルマのみ」という、非常に希薄な関係だからだ。関係がより親密になり、深入りするからこそ、あつれきが生まれることだってある。ならば無理に深入りせず、「苗字は知っているけどフルネームは分からない」くらいの距離感がいいのかもしれない。 繰り返しになるが、人が集まる以上、衝突は避けられない。揉めごとを避けたいのであれば、あえてクラブに入らないという選択肢もあるように思う。団体に属さず、気の合う人と個別に付き合うことで得られることもあるはずだ。 [画像・Mercedes-Benz,Adobestock ライター・松村透]

乗らないクルマは税金がかかる?税金を止める方法や注意点も紹介
旧車の魅力と知識 2024.10.29

乗らないクルマは税金がかかる?税金を止める方法や注意点も紹介

乗らなくなって放置しているクルマにも税金がかかるのか気になっている方もいるでしょう。たとえクルマを使っていなくても、自動車税(種別割)は毎年発生します。乗らないクルマの税金を止めたい場合は、抹消登録したり売却したりする必要があります。余計な税金がかからないようにするためにも、早めに対処しましょう。 この記事では、乗らないクルマの税金がかからないようにする方法や、注意点などについて紹介します。 クルマに乗らなくても自動車税(種別割)がかかる 自動車税(種別割)は、4月1日時点のクルマの所有者に対して毎年課税されるため、乗らなくても税金が発生します。 納税通知書が送付される時期は毎年5月頃で、納税の期限は5月末です。納税通知書の発送が6月上旬の地域の納付期限は6月末です。 ただし、2024年10月以降に新車を購入した場合、自動車税(種別割)が毎年減税される制度が適用されます。減税の割合は、排気量に応じて10〜15%程度です。 排気量が低くなるほどに減税額が大きくなり、2,000cc以下のコンパクトカーだと最大で年間4,500円も減税されます。 参考:経済産業省「新車の自動車税が毎年減税!」 乗らないクルマの税金がかからないようにする方法 抹消登録したり売却したりすれば、乗らないクルマの税金はかかりません。ここでは、乗らないクルマの税金がかからないようにする方法を詳しく紹介します。 一時抹消登録をする 一時抹消登録をすれば、乗らないクルマの税金はかかりません。一時抹消登録とは、クルマの登録を一時的に止める手続きのことです。再び乗るときは再登録が可能なため、今後クルマに乗る予定がある場合に行います。 ただし、ナンバープレートを運輸支局に返却するため、公道を走行できません。また、クルマ自体は存在しているため、駐車場代やメンテナンス費用などの維持コストがかかります。 下記の記事では、一時抹消登録の必要書類や手続きの流れを解説しています。乗らないクルマの税金を止めたい場合は、参考にしてみてください。クルマの抹消手続きとは?必要書類や手続きの流れについても解説 永久抹消登録をする 永久抹消登録をすれば、乗らないクルマの税金がかかりません。永久抹消登録とは、運輸支局での登録を完全に抹消する手続きのことで、未経過分の自動車重量税や自賠責保険の還付を受けられます。 ただし、クルマを解体した際に行う手続きのため、再登録できないことに留意してください。永久抹消登録は、修復不可能なクルマを処分したい場合に手続きしましょう。 下記の記事では、永久抹消登録に必要な書類や手続きの流れを解説しています。乗らないクルマの税金を止めつつ、クルマを廃車にしたい場合は参考にしてみてください。クルマの抹消手続きとは?必要書類や手続きの流れについても解説 売却する 乗らないクルマの税金を止めたい場合は、売却することも1つの手段です。クルマの売却は、所有権がほかの名義に移るため、税金を支払う必要がなくなります。 クルマの売却方法は下記3つに大きく分けられ、買取業者に手放すケースが多い傾向にあります。 ・買取業者に売却・家族や知人に売却・フリマサイトで売却 査定額は買取業者によって差があるため、売りたいクルマの買取に特化している業者であれば、より高く売却できるでしょう。たとえば、10年以上経過しているクルマは、旧車に特化した買取業者に査定を依頼するのがおすすめです。 旧車は、ほかのクルマと比較して評価方法が煩雑なため、専門性が高い業者でなければ適正価格を算出できません。少しでも高く売りたい場合は、買取業者を慎重に選定しましょう。 また、業者に売却すれば未経過分の自動車税(種別割)が戻ってくる場合があります。たとえば、3万6,000円を5月に支払い、8月にクルマを売却した場合、2万1,000円が戻ってきます(9月から3月までの7ヶ月分)。ただし、未経過分に対する返戻は買取業者によって対応が異なるため、売却前に確認しておきましょう。一般的には、買取金額に含めて返戻されるケースが多いです。 一方、自動車税(種別割)を滞納していると、売却を断られるケースがあります。滞納している場合は、事前に支払っておきましょう。 乗らないクルマの税金に関する注意点 乗らないクルマにかかる税金に関して、いくつかの注意点があります。不要な税金の支払いやトラブルを防ぐためにも、注意点について確認しておきましょう。 納税通知書が届かなくても免除されたわけではない 納税通知書が届かないからとはいえ、支払いが不要になったわけではないことに注意しましょう。車検を更新しておらず、クルマを使っていないと自治体が判断した場合は、納税通知書を送付しないケースがあります。 この場合、税金の支払いが保留になっているだけのため、支払わなくてよいわけではありません。たとえば、長野県では下記の場合に納税通知書を送付しません。 解体や盗難、所在不明などの理由で、クルマの現在の状態が県税事務所に届出されている 新車登録からある程度の期間が経過し、車検が更新されていないため、県がクルマの状況を確認できない 参考:自動車税種別割納税通知書を送付しない自動車があります/長野県 5月下旬になっても納税通知書が届かない場合は、管轄の税事務所に問い合わせましょう。 自動車税(種別割)を滞納すると延滞金が加算される クルマに乗っていないからといって、自動車税(種別割)を滞納すると、延滞金が加算されることに注意しましょう。納付期限の翌日から2ヶ月以内に支払った場合は「7.3%」、2ヶ月以上になると最低でも「14.6%」の延滞金が加算されます。 参考:国税庁「延滞税の割合」 たとえば、税額3万6,000円を、2ヶ月以上滞納すると最低でも5,256円の延滞金が発生します。延滞金は日割りで算出されるため、滞納した場合は1日でも早く支払いしましょう。 また、滞納していると、車検が受けられないうえに売却もできません。いざ「車検を取得して運転しよう」または「必要ないから売却しよう」と思っても、スムーズに手続きできないため、税金の納付を忘れないようにしましょう。 抹消登録をすると自動車税(種別割)が還付される場合がある 抹消登録をすると、自動車税(種別割)が還付される場合があります。自動車税(種別割)は、4月1日から翌年3月31日までの1年分をまとめて支払うため、抹消登録する時期に応じて還付される制度が設けられています。 還付金の計算方法は、下記のとおりです。 税額÷12ヶ月×抹消登録した翌月から3月までの月数 たとえば、6月にクルマを抹消した場合、9ヶ月分(7月から翌年3月まで)の還付金を受け取れます。ただし、3月にクルマを抹消した場合は還付金を受け取れません。抹消登録する予定がある場合は、少しでも早く手続きするとよいでしょう。 また、還付金を受け取るには、住民税や固定資産税などの地方税を漏れなく支払っている必要があります。滞納している場合、還付金は未納分の地方税に充てられることに留意してください。 まとめ 自動車税(種別割)は、4月1日時点の所有者に課されるため、乗っていないクルマでも税金がかかります。乗らないクルマの税金がかからないようにするには、抹消登録をしなければなりません。 納税通知書が自宅に届かなくても支払わなくてよいわけではなく、保留されているだけのため、抹消登録しない限り自動車税(種別割)がかかることに留意してください。 完全にクルマに乗る予定がない場合は、売却することも税金がかからないようにするための1つの手段です。買取金額は差が出るため、売却する際は愛車に特化している業者に査定を依頼するとよいでしょう。 なお、旧車王は20年以上旧車の買取を行っており、乗っていないクルマも適正に鑑定いたします。全国で無料出張査定も実施しているため、旧車の査定額を知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

ホンダ インテグラ タイプRはFFは曲がらないという常識を覆した! Specによる違いも紹介
旧車の魅力と知識 2024.10.29

ホンダ インテグラ タイプRはFFは曲がらないという常識を覆した! Specによる違いも紹介

軽量なのに剛性の高いボディと追従性の高い足回りによって、FFながらハンドリングマシンと称されることもあるホンダ DC2型 インテグラ タイプR。NSXに続く、タイプRシリーズ第2弾として誕生しました。 NSXとは価格帯が全く異なる車種にも関わらず、FFピュアスポーツとして高い完成度を誇るモデルです。インテグラ タイプRのアイデンティティともいえる、高いハンドリング性能の秘密とモデルによる違いを詳しく紹介します。 タイプRという称号にふさわしい完成度 DC2型 インテグラ タイプRは、わずか1.8Lのエンジンで駆動方式はFFという点ではベース車輌と同様です。タイプR第1弾として登場したNSXを考えると、ピュアスポーツと呼ぶにはやや迫力不足に感じます。 しかし、タイプRという称号にふさわしく、ピュアスポーツとしての性能を徹底的に追求したモデルです。インテグラ タイプRの開発陣がこだわったポイントを詳しくみていきましょう。 FFとは思えないハンドリング性能 1995年に登場したDC2型 インテグラ タイプRは、動力性能以上にFFとは思えないハンドリング性能に注目されました。駆動輪が前輪のFFは、元来アンダーステアリングといわれています。しかし、インテグラ タイプRのコーナリング性能は、後輪駆動車よりも曲がると評されるほどでした。 足回りはダンパー、スプリング、スタビライザーをそれぞれ強化。特に、リアのスプリングレートは、1.25倍~2.2倍にまで引き上げられています。車高をノーマル車輌から15mm下げたことと合わせて、余計なロールを発生させないダイレクトなハンドリング性能を実現しました。 また、パフォーマンスロッドの追加や板厚の増加などによって、各部のボディ剛性が徹底的に高められているのもタイプRの特徴です。ドライバーのステアリング操作に対するクルマ全体のレスポンスが、細部にわたって徹底的に追求されています。 60点以上もの新設計パーツを使った「B18C 96 spec R」エンジン 200馬力の大台を実現したタイプRの「B18C 96 spec R」エンジンには、60点以上もの新開発された専用パーツが使われています。リッター当たり100馬力を超え、自然吸気エンジンとして最高ともいえるB18Cエンジンの性能を極限まで引き出しました。 B18C 96 spec Rのチューニング内容は、単に吸排気の見直しといった表面的な部分にとどまりません。ピストンの形状変更による圧縮比アップ、バルブの軽量化といった内部も徹底的に見直されました。さらに、高回転型エンジンの特性を最大限発揮できるよう、トランスミッションもクロスレシオのものに更新されています。 初の「庶民が買えるタイプR」 インテグラ タイプRが人気を集めた理由は、実はもう1つあります。わずか222万8,000円(3ドア)という、一般的なクルマと変わらない価格設定です。タイプRとして最初に登場したNSXの価格は、1,000万円を超えていました。性能面を考えると十分バーゲン価格なのですが、庶民の手の届く価格ではありません。 しかし、インテグラ タイプRはNSXと同様にこだわり抜いた設計思想でありながら、多くの人が手にできる価格で発売されました。また、3ドアタイプだけでなくDB8型の4ドアハードトップが用意されていたことも、インテグラ タイプRが一般層に支持された理由です。単純に性能面だけを考えるとドアの枚数が少ないほうが有利ですが、日常的な使い勝手を考えると4ドアに軍配があがります。実は、同車種のタイプRで複数のボディタイプが用意されていたのは、現在のところDC2型/DB8型だけです。多くの人に高性能車を届けたい、というホンダの思いがあったのかもしれません。 好みのわかれる3つのスペック DC2型(DB8型)インテグラ タイプRは、登場時の初期型も含めて合計3モデルが作られました。基本的には後発モデルのほうが性能や装備は向上しているのですが、初期型のピーキーな乗り心地を好むドライバーも一定数います。 96Spec、98Spec、00Spec(99Spec)それぞれの違いをみていきましょう。 世間を驚かせた初期型の96Spec エンジンはベース車輌と同型のB18C型ながら、最高出力は180psから200psにまで高められています。ターボのように劇的なパワーアップさせるのが難しい自然吸気エンジンで、10%以上もの出力向上は驚くべきことです。 FFとは思えないハンドリング性能、2L未満の自然吸気エンジンとは思えない高出力、そして価格とあらゆる面で世間を驚かせました。 安定性を高めた98Spec 98Specは、1998年にマイナーチェンジで登場しました。エンジン出力こそ変わらないものの、エキゾーストマニホールドやHIDヘッドライトなど、細部にわたって見直しが図られています。特に大きな変更点は、走行安定性に関わる部分です。 タイヤ幅を195mmから215mmワイド化しつつ、ホイールサイズも15インチから16インチに大径化されました。また、ブレーキローターも同じく大径化され、ホイールハブは4穴から5穴に変更されています。モノコックのさらなる剛性向上やファイナルギアレシオ、ECUも変更され、走行安定性が向上しました。 数字には現れない部分での性能向上が図られましたが、安定性よりも軽くキビキビとしたハンドリング性能を好むユーザーからは不評だったともいわれています。 内外装が拡充された00Spec(99Spec) 最終型として1999年末に登場したのが、00Spec(99Spec)です。性能面ではほぼ98Specと変わらないものの、内外装の充実が図られています。 まず、インテグラ タイプRだけの個性ともいえる、サンライトイエローが外装色に追加されました。また、内装も、外装色に合わせて黄色シート仕様が追加されています。 さらに、「タイプR・X」という、タイプRの上位グレードともいえるモデルが追加されました。スポーツペダルや専用カーボンパネルといった内装が追加されただけでなく、快適性を向上させる装備が数多く追加されているのもタイプR・Xの特徴です。キーレスエントリー、デジタルクロック、オートアンテナ、AM/FM電子チューナー&CDステレオ+6スピーカー、プライバシーガラス、電動格納式ドアミラーといった当時としては高級セダンなみともいえる快適装備が標準装備されていました。なお、サンライトイエローはタイプR・X専用カラーと誤解されがちですが、00SpecのタイプR全モデルで選択可能です。 実はあのシビック タイプRよりも売れた インテグラ タイプR登場の2年後に発売されたEK9型 シビックタイプRは、「タイプR」のモデルではもっともなじみ深いモデルです。しかし、実際の販売台数はEK9型 シビック タイプRの約1万5,900台に対して、DC2型/DB8型 インテグラ タイプRは2倍以上の約3万4,500台に達しました。RV車の台頭でスポーツカーの販売台数が落ち込みつつあったことも考えると、驚異的な販売台数です。 200万円あまりという破格の価格設定と、FFピュアスポーツとしての性能の高さが多くのユーザーの心を掴んだのでしょう。また、現在でも、DC2型/DB8型 インテグラ タイプRの人気は衰えていません。特に00Specで追加されたサンライトイエローは人気で、他色よりも100万円高く買い取られることもあるようです。

ローン中に廃車できる?手続き方法やすぐにローン完済できないときの対処法も紹介
旧車の魅力と知識 2024.10.25

ローン中に廃車できる?手続き方法やすぐにローン完済できないときの対処法も紹介

クルマのローンが残っている状態で、事故や故障などによって廃車にしなければならなくなった方もいるでしょう。ローンで購入したクルマを廃車にするには、基本的にローン残債を完済しなければなりません。 この記事では、ローン残債があるクルマを廃車にする流れや、完済が難しいときの対処法などを紹介します。 ローン残債があるクルマを廃車にする流れ ローンで購入したクルマの所有権は、基本的にローン会社にあります。そのため、ローン中のクルマを廃車にするには残債を完済するだけでなく、所有権の変更手続きもしなければなりません。 ここでは、ローン残債があるクルマを廃車にする流れを紹介します。 1.ローンを完済する ローン中のクルマを廃車にするには、まず残債を完済しなければなりません。借入したローン会社に問い合わせて、一括返済の手続きをしましょう。 銀行系ローンでクルマを購入した場合は、所有者が購入者本人になっているケースがあります。所有者が自分であれば、基本的にローンを完済しなくても廃車にできます。ただし、契約内容によっては残債を完済しないと廃車にできません。借入した銀行系ローン会社に問い合わせて、残債がある状態でも廃車にできるか確認しましょう。 また、事故によりローン中のクルマが廃車になった場合、加入している車両保険や相手側の任意保険を利用すれば、保険金が支払われます。たとえば、10対0の事故でローン中のクルマが廃車になった場合、契約時に設定した車両保険金額または時価額を限度に補償されます(※全損の場合)。 事故の状況次第では、ローンの支払いや乗り換え費用を補填できるため、保険金がいくら支払われるのか保険会社に相談するとよいでしょう。 なお、盗難に遭った場合も加入している車両保険を利用すれば、契約時に設定した車輌保険金額を限度に保険金を受け取れます。 残債を完済したら「完済証明書」が発行されます。完済証明書は、所有権を変更する際に必要な書類のため、紛失しないよう注意しましょう。 2.所有権解除手続きをする 残債を完済したら、ローン会社から購入者名義に変更する「所有権解除」の手続きをします。ローン会社にクルマを廃車にしたい旨を伝えて、所有権解除に必要な書類を送付してもらいましょう。 ただし、車検証の内容に変更があった場合は、自分で揃えなければならない書類もあります。たとえば、ローン中に引っ越しをした場合、住所の移り変わりがわかる住民票を添付しなければなりません。車検証の内容に変更がないか確認し、ある場合はローン会社に必要書類を案内してもらいましょう。 3.廃車手続きをする 所有権解除が完了したら、廃車手続きが可能になります。廃車手続きの流れは下記のとおりです。 1.解体業者にクルマをスクラップしてもらう2.必要書類を揃える3.管轄の運輸支局で「永久抹消登録」をする4.税金の還付申請をする5.還付金を受け取る 廃車手続きは、廃車専門の業者に依頼できます。クルマの引取から運輸支局での手続きを無料で行ってくれる業者に依頼すれば、廃車にかかる手間や費用を抑えられます。 なお、車種や状態によっては中古車買取業者に買い取ってもらえます。廃車にすると1円も受け取れませんが、買取であれば売却代金を受け取ることが可能です。「買取してもらえない」「どうせ金額はつかない」と自分で判断せず、まずは中古車買取業者に相談するとよいでしょう。 ローンの完済が難しいときの対処法 ローン中のクルマを廃車にするには、残債を完済しなければならないものの、まとまった金額を用意できない場合もあるでしょう。残債の完済が難しい場合は、ローンを借り換えたり、ローン会社やディーラーに相談してみることが選択肢として挙げられます。 続いて、ローンの完済が難しいときの対処法を紹介します。 ローンを借り換える 残債の完済が難しいときは、ローンを借り換えるとよいでしょう。ローンの借り換えとは、借入しているローンを別の金融機関で新たに組み直し、借りたお金で残債を返済することです。たとえば、クルマのローンが100万円残っている状態で、ほかの金融機関で新たに100万円借入し、残債を完済します。 金利が低いローンを利用できた場合、毎月の返済額や利息を減らすことができます。 ただし、ローンを借り換えるには、審査に通過しなければなりません。銀行系のマイカーローンで借り換える場合、廃車を前提としていると、借入を断られるケースもあります。必ずしもローンの借り換えができるわけではないことに留意してください。 ローン会社やディーラーに相談する 残債の完済が難しいときは、ローン会社やディーラーに相談するとよいでしょう。理由次第では、条件つきでローン中のクルマを廃車にできる可能性があります。 ただし、相談したからといって、必ずローン中の廃車が認められるわけではありません。 ローンを完済しても廃車にするのが難しいケース 自動車税(種別割)を長年滞納していたり、車検切れで公道を走行できなくなっていたりすると、ローンを完済できても廃車にすることは難しいでしょう。 続いて、ローンを完済しても廃車にするのが難しいケースについて解説します。 自動車税(種別割)の滞納により「嘱託保存」されている 自動車税(種別割)の滞納により、クルマが嘱託保存(しょくたくほぞん)されていると、ローンを完済しても廃車にするのが難しいでしょう。 嘱託保存とは、税務署からクルマを差し押さえられている状態のことです。滞納分の自動車税(種別割)を納税しない限り、嘱託保存は解除されません。 基本的に、自動車税(種別割)を2年以上滞納していると、クルマは嘱託保存されます。ただし、2年以上はあくまでも目安であり、いつ嘱託保存されるかわからないため、廃車を予定している場合は自動車税(種別割)を滞納しないようにしましょう。 なお、自動車税(種別割)を滞納しているとはいえ、絶対に廃車にできないわけではありません。下記の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。自動車税(種別割)を滞納していても廃車はできるのか?税金と廃車について解説 車検切れで公道を走行できない 車検切れで公道を走行できないと、解体業者までクルマを持ち込めないため、ローンを完済しても廃車にすることは難しいでしょう。 車検切れのクルマを解体業者に持ち込むには、仮ナンバーを取得する必要があります。レッカーで牽引しても、公道を走行することになるため、車検切れの場合は仮ナンバーの取得が必須です。 仮ナンバーは、役所で申請した当日に取得できます。ただし、自賠責保険に加入していることが条件のため、保険期間を確認しておきましょう。 なお、積載車の場合は車体全体を載せるため、レッカー移動のように仮ナンバーを取得する必要がありません。積載車を運転できる場合は、活用してみてください。 まとめ ローン中のクルマは、所有権がローン会社にあるため、残債を完済した後に所有権解除を行い廃車手続きをします。 事故や盗難で廃車にする場合は、相手方の任意保険や自分で加入している車輌保険で補償されるため、受け取った保険金で残債の一部を補填するとよいでしょう。 それでも完済が難しい場合は、ローンを借り換えたりローン会社に相談するといった方法があります。また、ローンを完済しても自動車税(種別割)を2年以上滞納していたり、車検が切れていたりする場合は、廃車手続きの手間が増えます。 状況次第で手続きの内容が異なるため、ローンが残っているクルマの廃車手続きを検討されている方は、今回解説した内容を参考にしてみてください。

トヨタ AE86は単なるドリフト車ではない?! クルマとしての高い実力を再評価
旧車の魅力と知識 2024.10.23

トヨタ AE86は単なるドリフト車ではない?! クルマとしての高い実力を再評価

FRレイアウトと高効率エンジンという組み合わせで、軽量コンパクトながら本格的なFRスポーツとして人気を集めたAE86。絶対的なパワーをもたないにも関わらず、格上車種を相手にレースで結果を残すほど高い実力を秘めたモデルでした。 ドリフトというイメージが先行するAE86ですが、本記事ではクルマとしてのポテンシャルの高さと人気の秘密を紹介します。 ドリフト車というイメージの強いAE86 AE86は、長年ドリフトシーンで活躍しているモデルの1つです。軽量で思い通りにコントロールしやすく、構造的にリアをスライドさせやすいことがドリフトに活用されている理由だといわれています。 一方で、1.6LのDOHCエンジンとFRというパッケージングは、レーシングカーとしても高い完成度に達していました。 ここからは、AE86の知名度があがったきっかけと、レースでの活躍を詳しく紹介します。 AE86人気を押し上げた「頭文字D」と土屋圭市氏の存在 AE86の知名度が一般層にまで広まったきっかけは、しげの秀一氏原作の「頭文字D」(イニシャルD)という漫画のヒットです。非力なAE86 トレノで、主人公がハイパワーマシンに勝利していく姿が人気を呼びました。 しかし、「頭文字D」の連載開始は、AE86販売終了後の1995年です。1983年から1987年の販売当時、AE86の高い実力を示したのはレーシングドライバーの土屋圭市氏でした。峠で腕を磨いてプロドライバーに転向した土屋氏は、ドリフトを多用するドライビングスタイルから「ドリフトキング(ドリキン)」と呼ばれて人気を集めます。 ドリフトだけでなくレースシーンでも大活躍したAE86 土屋圭市氏とAE86の名を一躍広めたのは、1984年のフレッシュマンレースです。AE86 トレノのステアリングを握った土屋氏は、開幕6連勝という圧倒的な速さを見せつけました。 翌年の1985年から始まった全日本ツーリングカー選手権には、レビンに乗り換えてフル参戦。そのうちの1戦として開催されたインターTEC(国際ツーリングカー耐久レース)では、大排気量が占める上位陣の一角に食い込む総合6位という成績を収めました。 また、星野薫氏がドライブするトランピオレビンも、1985年と1986年のスポーツランドSUGOで総合優勝を果たしました。格上の日産 スカイラインや三菱 スタリオンが相手だったことを考えると、驚くべき結果です。 レビンとトレノの甲乙はつけがたい AE86には、カローラ レビンとスプリンター トレノという2種の兄弟車があります。基本構造は変わらないものの、それぞれにファンが存在しています。 販売台数や特別仕様車の存在など、レビンとトレノの違いをみていきましょう。 基本性能はどちらも同様 レビンとトレノの基本性能は、どちらも同じです。ボディタイプは、2ドアクーペと3ドアハッチバックが双方に用意されていました。心臓部も共通で、130psを発揮する4A-GEU型エンジンは後に名機として評価されます。 足回りは、フロントにストラット方式、リアにリジット方式を採用。エンジンの耐久性の高さと、改造が容易だったことも多くのユーザーから愛された理由です。 一方で、レビンとトレノの大きく異なる点は、ヘッドライトの形状です。一般的な角目形状のレビンに対し、トレノはリトラクタブルヘッドライトを採用しています。 販売台数が多かったのはレビン 人気漫画「頭文字D」の主人公が乗っていたこと、土屋圭市氏が個人所有していることからトレノのほうが露出が多く人気が高いと思われがちです。しかし、実際の販売台数は、レビンが約6万6000台、トレノが3万5000台と2倍近くレビンのほうが多く売れています。 1985年に始まった全日本ツーリングカー選手権での活躍がレビンの販売台数増加につながったのかも知れません。また、大衆車としてすでに地位を築いていた、カローラブランドだったという点も影響したのでしょう。 トレノにのみ設定されたブラックリミテッド 販売台数では大きくレビンに水を開けられたトレノですが、実はトレノのみに設定された特別仕様車がありました。1986年に最上級グレードのGT APEXをベースに開発された、ブラックエディションです。 ゴールド塗装を施した専用の14インチホイールをはじめ、ボディサイドの「BLACK LIMITED」ステッカーやフロントグリルのエンブレムなど、ブラックのモノトーンにまとめられたボディにゴールドの装飾が特別感を演出しています。 また、内装では、オレンジ色の専用メーターパネルやステアリングの「TWINCAM16」の文字、シートバックレストの「APEX」の刺繍など随所に専用の装飾が施されていました。 40年近くが経過した現在も進化し続けるAE86 AE86は販売終了して40年近く経過する現在もなお、多くのファンから愛されています。AE86はチューニングベースとして優秀なクルマで、アフターパーツメーカーから毎年のように新パーツがリリースされており、ユーザーは自分なりのチューニングを楽しんでいます。 現行車種でさえチューニングパーツは減少傾向にあることを考えると、AE86のアフターパーツの進化は驚異的です。クルマとしての古さは否めませんが、シンプルな構造がカスタマイズ性の高さにつながっているのでしょう。今後も、さらなる進化と人気の高まりが予想されます。

日産 Z33型フェアレディZは初代の設計思想を踏襲?! 低予算で楽しめる最高のスポーツカー
旧車の魅力と知識 2024.10.17

日産 Z33型フェアレディZは初代の設計思想を踏襲?! 低予算で楽しめる最高のスポーツカー

フロントから後端まで流れるようなデザインに回帰した、日産 Z33型 フェアレディZ。初代を思い起こさせるデザインですが、実はほかにも意外な共通点がありました。 Z33型は。製造コストの削減に迫られるなかで生まれたモデルであり、他の世代と比べるとあまり評価されていません。しかし、実際にはスポーツカーとして高いポテンシャルをもつ、魅力的なクルマです。 Z33型 フェアレディZの魅力と実力を、開発背景も含めて振り返ってみましょう。 世界進出の活路を開いたフェアレディZ フェアレディZは、日産が世界に進出するきっかけになったモデルです。名門スポーツカーに迫る性能と価格の安さから、北米を中心に大ヒットを記録しました。 初代から30年余り経ってから、5代目フェアレディZとして登場したZ33型の開発背景と性能を振り返ってみましょう。 奇しくも初代と同じ組み合わせで開発されたZ33 Z32型の販売終了から2年後の2002年、日産リバイバルプランの一環としてZ33型 フェアレディZが登場しました。GT-Rの開発責任者でもある水野和敏氏が開発した「FMプラットフォーム」と呼ばれるプラットフォームを採用し、V6エンジンをフロントミッドシップに搭載することで、抜群の運動性能を発揮します。 一方、でコストダウンの影響で、エンジンはエルグランドと共通のVQ35DE型が採用されました。自然吸気エンジンとして実用的で優れたエンジンではあるものの、スポーツカーと考えると物足りなさを感じます。 しかし、実は優れたプラットフォームと実用的なエンジンという組み合わせは、初代フェアレディZに通じるものがあります。1969年に登場したS30型初代フェアレディZは、ポルシェやジャガーに迫る軽量モノコックボディに実用的なL型エンジンというパッケージングで北米で高い評価を得ました。 フェアレディZは毎年進化している Z33型 フェアレディZは、2002年の登場以降も毎年のように改良が重ねられました。特に大きく進化をしたのはエンジンです。 エルグランドと共通のエンジンはトルクフルで扱いやすい一方、6,600rpmに抑えられた最高回転数ではスポーツカーらしい伸びやかさを発揮できません。しかし、2005年の改良で、最高回転数は7,000rpmにまで引き上げられます。トルクはやや犠牲になったものの、最高出力は294psを発揮するエンジンに生まれ変わりました。 さらに2007年には、後発のV36型スカイラインセダンのエンジンであるVQ35HR型に変更されます。最高出力は313ps、最大回転数は7,500rpmという、まさにスポーツカーらしいエンジンです。もともと素性のよかったFMプラットフォームと合わせて、スポーツカーとして魅力的なモデルに進化しました。 コストダウンの影響を最小限に抑えたスポーツカーとしての高い実力 Z33型 フェアレディZは、バブル崩壊の煽りを受けたモデルと評されています。バブル景気が終焉した1990年初頭以降、徐々に経済活動が縮小されていきました。自動車開発も例外ではなく、影響は2000年初頭あたりまで続いたといわれています。Z33の開発も必要最低限にとどめられ、性能に直接影響する専用エンジンでさえ開発されませんでした。 しかし、高性能なプラットフォームやボディデザインによって、スポーツカーらしい高い走行性能を備えたモデルです。Z33の高い実力について詳しく紹介します。 トップクラスの空力性能 先代のZ32型から大きく印象を変えたボディデザインは、見た目だけでなく性能を追求した機能美が光るスタイリングです。空力性能を示すCd値は0.3で、当時としてはトップクラスの数値を記録しました。 現代でも0.3が目指すべき数値として捉えられていることを考えると、20年以上前に達成していたという事実に驚かざるを得ません。前後スポイラー装着車では、0.29にまで達していたといわれています。 市販車ベースの車輌でレースタイトル獲得 Z33型 フェアレディZは、JGTC(全日本GT選手権)最終年に、ドライバーとチームタイトルをW獲得しています。また、翌年にスタートしたスーパーGT初年度もチームタイトルを獲得しています。続く2006、2007年はタイトルこそ逃したものの、安定した走りをみせて、チーム2位という結果を残しました。 当時は市販車のモノコックボディがベースのため、クルマとしての基本性能がレース結果に大きく影響を与える時代です。空力性能の高いボディ、GT-R譲りのFMプラットフォームの作りのよさによって、Z33型 フェアレディZは圧倒的な速さをみせつけました。 100万前後から購入可能な本格FRスポーツ Z33型 フェアレディZは、前後のZ32型、Z34型に比べると決して評価の高いモデルではありません。現在の中古車価格をみると、状態にもよりますが100万円前後から購入できます。1990年代から2000年前後のスポーツカーの価格が高騰している近年においては、驚くべきバーゲンプライスです。 価格が安いからといって、性能面で他モデルに大きく劣っているわけではありません。初期モデルこそミニバンのエルグランドと共通のエンジンですが、年式によっては300psオーバーのモデルもあります。憧れのFRスポーツを手にしたい方にとって、Z33型 フェアレディZは狙い目の車種かもしれません。

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