旧車の魅力と知識

MR-Sは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説
旧車の魅力と知識 2024.09.06

MR-Sは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説

MR-Sは、MR2の後継車種として1999年10月から2007年7月まで販売されました。コンパクトなミッドシップスポーツカーとして人気を博しましたが、どのくらいの金額で中古車市場に流通しているのでしょうか。今回は、MR-Sの魅力を紹介するとともに、現在の相場と直帰の価格推移について解説します。 MR-Sとは トヨタ MR-Sとは、1999年10月に販売を開始したコンパクトサイズのミッドシップオープンスポーツカーです。車種名のMR-Sは「Midship Runabout Sports」を意味しています。 MR2の後継車種としてデビューしたMR-Sは、車輌重量1t以下の軽量スポーツカーとして設計されました。ルーフには、ガラス製のリアウィンドウを採用したソフトトップを装備しています。また、オプションで脱着式のハードトップを設定していました。 エンジンは、座席すぐ後ろに1.8L直列4気筒DOHCを搭載しています。エンジンスペックは最高出力140ps/6,400rpm、最大トルク17.4kgm/4,400rpmと、パワフルではないものの、軽量なボディや重量物が前後輪(ホイールベース)の間に集中していることから軽快な走りが楽しめます。2000年には、日本初となるシーケンシャルトランスミッションを搭載したモデルが追加されました。 2000年6月にはモデリスタから150台の限定車「カセルタ」を販売。さらに、同年8月にはTRDと共同開発したコンプリートカー「VM180 TRD」を発売しました。続く2001年1月にはザガートが手がけた100台の限定車「VM180"ZAGATO"」を販売しています。 2002年にはトランスミッションを6速に変更。その後2007年に販売した特別仕様車「ファイナルバージョン(限定1000台)」を最後に生産を終了しました。MR-Sは、約8年にわたり販売され、1世代で幕を閉じたコンパクトサイズのミッドシップオープンスポーツカーです。 MR-Sの価格は高騰している? MR-Sの価格は、直近2〜3ヶ月は目立って高騰していません。中古車販売サイトを確認すると、むしろ若干価格が落ちているグレードもあります。2020年頃に巻き起こった旧車ブームの影響は落ち着いてきたと捉えてもよいでしょう。 MR-Sの現在の買取相場 MR-Sの価格推移について解説しましたが、実際にどのくらいの値がついているのでしょうか。ここでは、2024年9月時点でのMR-Sの買取相場をグレード別に紹介します。 グレード トランスミッション 買取相場 ベースグレード 6AT/6MT 5万~70万円 Sエディション 6AT/6MT 5万~180万円 Vエディション 6AT/6MT 5万~120万円 Vエディション・ファイナルバージョン 6AT/6MT 5万~170万円 新車価格が200万~250万円程度であったため、残価率は35~60%ほどです。20年以上前に発売されたモデルだと考えると、十分に高く評価されているといえるでしょう。 MR-Sを高く売るにはどうしたらよい? MR-Sの買取相場を解説しましたが、より高く売却するためにはどういった点に注意したらよいのでしょうか。ここでは、MR-Sを売るにあたっておさえておきたいポイントを紹介します。 こまめにメンテナンスされている 隅々までメンテナンスが行き届いていると、査定時に高く評価されやすいです。売却を検討している場合は、エンジンオイルやクラッチなどのパワートレイン、タイヤやサスペンションなどの足まわり、キズ・へこみやフレームのサビなどのボディに不具合がないよう定期的に点検しておきましょう。 走行距離を抑える 走行距離が短いクルマのほうが、さまざまな機関や部品へのダメージが少ないとみなされて高く評価される傾向にあります。売却を検討しているのであれば、クルマの使用を最低限に抑えてなるべく走行距離を伸ばさないようにしましょう。 ただし、ワンオーナー車や、後述する限定モデルの場合には、走行距離が長くても高い価格で買取される場合があります。 コンプリートカーは希少性をアピール 2000年〜2001年にかけて、MR-Sをベースにしたコンプリートカーがモデリスタより3つ発売されています。「カセルタ(CASERTA)」、「VM180 TRD」、「VM180"ZAGATO"(ザガート)」です。いずれも台数が限られていることから、高値がつきやすい傾向にあります。売却時にその希少性をアピールすると、より高く評価されるかもしれません。 150台限定の「カセルタ(CASERTA)」 2000年に販売されたカスタマイズモデルの「カセルタ」は、大人のためのミッドシップオープン2シーターで、ラテンテイストを基調とするスタイリング、走行性能に対するこだわりが盛り込まれた限定車となっています。 ボディサイズは、全長4,040mm、全幅1,840mm、全高1,235mmと、ベースモデルよりも全長が155mm長く、全幅が145mm広くなったワイドなスタイリングが特徴です。また、縦長のヘッドライトや丸型のリアコンビランプなどエクステリアをオリジナルデザインへ変更。さらに、ラグジュアリー仕様を選べば、タンカラーの本革シートやドアトリムなどのインテリアが装備されます。 カセルタは希少な限定車で、流通台数が非常に少ないため、高値になりやすいでしょう。 100台限定の「VM180 TRD」 2000年8月に発売された「VM180 TRD」は、MR-SをベースにチューンナップメーカーのTRDとモデリスタが共同開発したコンプリートカーです。エアロパーツを装着してスポーティな見た目に仕上げたほか、最高出力を15psアップするなど、MR-Sの走行性能により磨きがかかりました。わずか100台しか製造されなかったため、中古車市場では希少価値の高いモデルとして評価されています。 100台限定の「VM180"ZAGATO"」 2001年に販売された限定車「VM180"ZAGATO"」は、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)のZAGATO(ザガート)が手がけた100台限定のカスタマイズモデルです。 ヘッドライトから回り込むフロントバンパー、3眼のヘッドライトユニット、縦型のリアコンビランプなど大胆で流麗なエクステリア、コーディネートされたインテリア、チューニングされたサスペンションなどが特徴です。 生産数100台のVM180"ZAGATO"は希少なモデルであるため、高値で取引される可能性が高いでしょう。 MR-Sを売るなら実績・知識豊富な業者へ 軽量かつコンパクトなミッドシップスポーツカーとして人気を博しているMR-S。価格は目立って高騰していないものの、多くのファンが存在することは事実です。売却する際には、その魅力や価値を熟知している買取業者に査定依頼し、適正な価格を算出してもらいましょう。特に限定モデルは、誕生の経緯や生産台数の少なさによる希少性を理解していないと、正しく査定できません。 MR-Sを売る際には、多くの買取実績をもち、豊富な知識を有する買取業者に依頼することをおすすめします。 なお、旧車王は20年以上経過した古いクルマに特化して買取事業を行っており、これまでにMR-Sをはじめとする多くのクルマを取扱った実績をもっております。ご売却を検討される場合には、ぜひ一度旧車王にお問い合わせください。

シルビアは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が相場推移を解説
旧車の魅力と知識 2024.09.06

シルビアは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が相場推移を解説

シルビアは日産を代表するスポーツクーペとして1965年に誕生しました。2002年に登場した7代目に至るまで37年間にわたり、多くのユーザーを虜にしてきました。 今回はシルビアの特徴や魅力、現在の買取相場、今後の価格の見通しなどについて解説します。シルビアを所有している方や、購入を検討している方は参考にしてください。 シルビアとは シルビアは、日産自動車が1965年にクーペとして発表してから2002年まで生産・販売していたモデルです。現代ではスポーツ車として知られていますが、実はスポーツ車として花開くようになったのは1980年代に入ってからです。 また、当時は斬新なデザインで話題を呼びましたが、販売価格が高かったことや乗り心地に対する不評などの影響で、販売台数は伸びませんでした。 世界情勢などの影響を鑑み、紆余曲折を経て7年ぶりとなる1975年に2代目が登場しました。海外向けに、「セクレタリーカー(秘書の乗る車)」をコンセプトとして生産されました。丸目2灯式ヘッドランプやファストバックスタイルで、主に北米からの支持獲得を狙ったデザインに仕上げられています。また、翌年には電子制御式燃料噴射装置を備えたシリーズが追加されています。 1979年に3代目S110型ハードトップが登場しました。センターピラーレスのデザインや直線的なボディラインが当時のトレンドとマッチしたことにより、人気に火が着きます。翌年にはモータースポーツ車として参戦し始めます。 1983年に4代目S12型が登場します。マッシブなデザインのリトラクタブルヘッドライトを採用したクーペとして開発されました。1,800cc、2,000cc、2,000ccターボなど多彩なエンジン設定をラインナップしていました。 1988年に5代目となるS13型が登場します。2ドアクーペとして他メーカーの対抗馬として設計されました。 流れるようなデザインは女性のみならず、当時のスポーツカー愛好家たちからも人気を得て、歴代最高の30万台を販売します。 初期設定は1,800cc、1,800ccターボでしたが、マイナーチェンジで2,000ccと2,000ccターボに変更されました。 1993年に6代目S14シルビアが登場します。 5代目を踏襲しつつボディコンポーネントを拡大したもののS13型の様な軽快な走りを得ることが難しく、スポーツ車としては人気を獲得できませんでした。また、RVブームに入ったことも販売台数が伸びなかった理由の1つです。 1999年に7代目S15型が登場します。 スポーティクーペの座を取り戻すべく開発された最終バージョンです。グレードはスペックSとスペックRの2グレードが設定されました。 時代に合わせ、安全装備としてABSとブレーキアシスト、デュアルエアバックを標準装備しました。 2002年に最終特別限定車としてVパッケージを発売します。同年、市場の変化や排気ガス規制などに伴い、惜しまれつつも生産・販売を終了しました。 シルビアの価格は高騰している? シルビアの価格は高騰している状況です。特に直近数ヶ月は、年式を問わず右肩上がりの傾向を示しています。停滞や下降した時期もありましたが、改めて市場から評価されているといえるでしょう。 高騰の背景には、S15の25年ルール解禁が考えられます。生産終了後も日本国内で高い人気を誇っていましたが、さらに需要が高まった可能性があります。※2024年9月時点の情報です。 ▼25年ルール解禁による影響については、下記の記事で解説しているため、ぜひご覧ください。2024年1月にシルビアS15が25年ルール解禁!今後値上がりする? シルビアの現在の買取相場 シルビアの現在の買取相場は、10万〜370万円程度です。個体差による金額差はありますが、生産終了から20年経過したモデルでありながら高値で取引されています。 2024年9月現在の型式ごとの相場は、下記のとおりです。 型式 買取相場 S13 10万〜250万程度 S14 5万〜250万円程度 S15 10万〜370万円程度 どの型式も、ターボとMTを組み合わせたグレードの買取相場が高くなっています。2L・直列4気筒ターボのSR20DETのエンジンを搭載している点が買取相場に大きな影響を与えている可能性があります。 シルビアを高く売るにはどうすればよい? 続いて、シルビアを高く売るためのポイントを紹介します。 こまめにメンテナンスする&事故を起こさない 一番価格に影響があるのは修復歴の有無です。シルビアはスポーツ車ということもあり、フレームの修復歴の有無が価格に大きな影響を及ぼします。きちんと修復されていて機能的に問題が無くても、市場での「傷物」という評価は免れません。 またチューニングやカスタムが行われているクルマも価格に影響がでるでしょう。そして、こまめなメンテナンスで良好な状態が保たれているシルビアも、当然ながら価格が高くなりやすいです。 13K’sは排気量やターボであることをアピールする 販売台数30万台を記録した5代目シルビアのターボモデルです。モデルは2ドアクーペだけの販売となりました。マイナーチェンジに際して前期型の1,800ccから2,000ccへ排気量がアップされ、ターボ車は205psになりました。 S15 スペックRの高い性能をアピールする S15 スペックRは、マニュアルトランスミッション車で250ps/6400rpmをマークするレーシンググレードとも言うべきスポーティクーペです。 スポーツ走行を視野に入れたボディは剛性がアップされました。16インチホイール装着車はスポーツチューン・サスペンションが装備されています。 ブレーキも強化され、全ベンチレーテッド・ディスクを採用し、フロントキャリパーは4ポッド対向ピストン方式です。またブレーキブースターもサイズアップされています。

チェイサーは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説
旧車の魅力と知識 2024.09.03

チェイサーは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説

初代が誕生してから半世紀近く経過したトヨタのチェイサー。レースでの活躍により、スポーツセダンとしてのイメージが強く、中古車市場でも人気の高いモデルの1つです。 近年旧車の価格高騰が話題になっていますが、チェイサーの価格はどのように変動しているのでしょうか。本記事では、チェイサーの現在の価格の相場を解説するとともに、売却を検討されている方に向けて、より高く売るためのポイントを紹介します。 チェイサーとは チェイサーは、トヨタマークⅡの兄弟車として誕生しました。1977年から2001年まで生産され、1984年に登場した3代目には発売の翌年に「GTツインターボ系」グレードが追加され、5代目から「ツアラー」の名を冠するグレードが登場しています。 最終型の6代目は、走行性能に加え、オーバーハングが前後とも短縮されたシャープな外観も相まって、高い人気を誇ります。1997年に全日本ツーリングカー選手権に投入され翌年のラストイヤーでチャンピオンに輝きました。2000年にスタートした全日本プロドリフト選手権(現在のD1 GRAND PRIX)でも活躍しています。 チェイサーの価格は高騰している? チェイサーは、100系のツアラーVを中心に2024年4月から現在にかけて価格が右肩上がりの傾向にあります。(※2024年8月時点)2021年に100系チェイサーがアメリカの25年ルールの対象になったため、アメリカに輸出される個体が今後も増えていくでしょう。輸出数が増加すると国内での希少性が高まって価格がさらに上がる可能性があります。 ▼100系チェイサーの25年ルール解禁については下記の記事で詳しく解説しています。2021年9月に100系チェイサーが25年ルール解禁!今後値上がりする? チェイサーの現在の買取相場 直近数ヶ月で値上がりしているチェイサーですが、具体的にどのくらいの価格で売却できるのでしょうか。ここでは、旧車買取専門の旧車王が独自に算出したチェイサーの買取相場を紹介します。 ※2024年8月時点の情報 70系チェイサー グレード トランスミッション 買取相場 GTツインターボ 4AT 10万~130万円 GTツインターボ 5MT 30万~200万円 アバンテ ツインカム24 4AT 10万~120万円 アバンテ ツインカム24 5MT 20万~200万円 アバンテ 4AT 10万~100万円 アバンテ 5MT 20万~200万円 80系チェイサー グレード トランスミッション 買取相場 GTツインターボ 4AT 10万~80万円 GTツインターボ 5MT 50万~150万円 アバンテ ツインカム24 4AT 5万~10万円 アバンテ ツインカム24 5MT 5万~30万円 アバンテ 4AT 5万~10万円 アバンテ 5MT 5万~30万円 90系チェイサー グレード トランスミッション 買取相場 アバンテG 4AT 5万~20万円 アバンテ 4AT 5万~20万円 ツアラーS 4AT 5万~30万円 ツアラーV 4AT 10万~60万円 ツアラーV 5MT 30万~150万円 100系チェイサー グレード トランスミッション 買取相場 アバンテG 4AT 5万~10万円 アバンテ 4AT 5万~10万円 ツアラーS 4AT 5万~50万円 ツアラーV 4AT 50万~150万円 ツアラーV 5MT 80万~300万円 TRDスポーツ ツアラーV 5MT 50万~300万円 紹介したどの世代でも、4ATよりも5MTのほうが高値がつく傾向にあります。なかでも目立つのは100系のツアラーVです。ターボエンジンにより実現する高い走行性能により、中古車市場で人気を博しており、価格が跳ね上がっています。 チェイサーを高く売るにはどうすればよい? モデルによってはかなりの高値で売却できるチェイサーですが、より高く売るにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、チェイサーを高く売却するための3つのポイントを紹介します。 こまめにメンテナンスをする チェイサーは、最終型の100系でも発売からすでに20年以上が経過しています。純正部品の廃番も増えているため、こまめにメンテナンスをしている車輌のほうが価格が高くなりやすいです。過給機が搭載されたツアラーVの場合は、オイルや消耗品の交換と耐久性に不安があるタービンの状態が価格を左右します。 走行距離を抑える 中古車市場では、一般的に走行距離が短いほうが状態がよいとみなされるため、売却を検討しているのであれば使用をなるべく控えるとよいでしょう。特に、チェイサーは走りを楽しむために購入するユーザーが多い傾向にあります。走る距離を抑えて、走行に関わる機関へのダメージを防げばより高値で売却できるかもしれません。 ツアラーVはターボエンジンの性能をアピールする ツアラーVは、特に最終型の100系が人気です。当時の自主規制枠である280psを発揮する2.5Lターボエンジンを搭載し、標準仕様で5速MTの設定とドリフト走行に適したFR駆動の組み合わせは現在では希少な存在というのが主な理由です。エンジンによる走行性能のよさをアピールすると、査定にプラスの影響があるかもしれません。 チェイサーを売るなら実績・知識豊富な業者へ スポーツセダンとして高い人気を誇るチェイサー。走行性能のみならずデザインに魅了されているユーザーが多いモデルです。また、最終型の発売から20年以上経過していることから、旧車としての郷愁をまとったクルマでもあり、その魅力は一言では表せません。 売却を検討する際には、チェイサーの価値をしっかりと理解している業者を選びましょう。どんな歴史をもち、どういった部分が長年愛されているのかを知っている買取業者であれば高額買取に期待できます。チェイサーはもちろん、さまざまな車、特に古いクルマに特化したサービスに査定を依頼するのがおすすめです。

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2024.09.03

ギャラン VR-4は三菱のラリー本格参戦を後押し!? 速さの秘密と魅力に迫る

高性能スポーツセダンとしてヒットした三菱 6代目ギャランのなかで、フラッグシップモデルとして開発されたVR-4。日産 R32型GT-Rやスバル レガシィRSよりも2年先行して駆動方式に4WDを採用した、国産ハイパワー4WDターボ車の草分け的存在でもありました。 セダンなのに速かったギャラン VR-4のスペックやレースでの戦績、クルマとしての魅力をたっぷりと紹介します。 ラリー参戦も見据えたトップグレードの開発 ギャラン VR-4は、4ドアセダンでありながら最高出力200psオーバーという当時のスポーツカーをも凌ぐスペックを誇っていました。WRC(世界ラリー選手権)への再挑戦に向け、規定改定を見据えて開発されたモデルでもあったためです。 三菱の看板車種ギャランのトップグレード、VR-4がどんなモデルだったのかを詳しく振り返ってみましょう。 VR-4は6代目ギャランで誕生 ギャラン VR-4は、ギャランの6代目へのフルモデルチェンジと共に1987年に生まれました。ギャランは1969年に初代が登場した三菱の主力セダンで、最終的には2015年に販売終了するまでに実に9世代も作られたモデルです。 VR-4はトップグレードに位置づけられ、数々のハイテク装備や名機4G63型エンジンを搭載。先代よりも大柄になった外観も速さを予感させました。 名機4G63エンジンによる抜群の加速力 ギャラン VR-4に採用された2Lの4G63型エンジンにはターボが搭載され、最高出力205ps、最大トルク30.0kg・mを発揮します。さらに、マイナーチェンジごとに改良が繰り返され、1989年登場の中期モデルでは220ps、1990年には240psまで最高出力が引き上げられました。 最高速度223km/h、0-400mを13.92秒という抜群の加速力で、車重1,360kgのセダンながらスポーツカー顔負けの動力性能を誇りました。 ギャラン VR-4主要諸元 エンジン 4G63型直4DOHCターボ 排気量 1,997cc 最高出力 205ps/6,000rpm トランスミッション 5速mT ボディサイズ 全長4,560×全幅1,695×全高1,440mm 車輌重量 1,360kg   三菱ワークス体制でWRCに再挑戦 ギャラン VR-4は、WRCが市販車ベースのグループA規定に変更されることに合わせて開発されました。グループA規定のWRCで活躍した三菱車といえばランサーエボリューション(ランエボ)というイメージですが、実はギャラン VR-4が最初です。 ギャラン VR-4は、1988年から1993年の6年間で6度の優勝を飾ります。本格的なワークス体制となった1989年には、いきなり4戦中2勝を上げます。さらに、1991年のコートジボワールラリーでは、篠塚建次郎選手が日本人初のWRC優勝を手にしました。 シリーズタイトルほどの輝かしい成績とはいかなかったものの、VR-4の活躍こそが同じ4G63型エンジンを積むランエボの開発と三菱のWRCの成功につながったといえます。 国産4ドアスポーツセダンの頂点 ギャラン VR-4はギャランのトップグレードというだけでなく、当時の国産4ドアスポーツセダンでは最高峰ともいえるほど装備が充実していました。また、エレガントなイメージのセダンとは異なる、精悍なボディデザインも6代目ギャランの特徴です。 VR-4に注ぎ込まれた技術と、先代から大幅に変更されたデザインをみていきましょう。 惜しみになく注ぎ込まれたハイテク装備 ギャラン VR-4には、当時の技術が最大限投入されています。目玉は「ACTIVE FOUR」と呼ばれる、性能に大きく影響する先進装備です。4バルブターボエンジン(4VALVE)、先に紹介した4WDに加えて4輪操舵の4WSも装備、さらに4輪独立懸架(4IS)と4輪ABS(4ABS)を備えていました。 また、派生車が数多くリリースされたのも、VR-4の特徴の1つです。VR-4RやVR-4RSといったラリー専用車、WRC RACラリー優勝記念モデルの2.0ターボスーパーVR-4、電動リアスポイラーを採用したVR-4アームド・バイ・ラリーアートといった限定車、特別仕様車が販売されました。 速さを感じさせるボディデザイン 6代目ギャランは、性能面だけでなく外観も先代から大きく変わっています。セダンとしてややコンサバティブな印象の5代目に比べて、速さを予感させるマッシブで力強いスタイリングに進化しました。 複合局面で構成しつつもボディラインは全体に直線基調にまとめられていて、室内空間の快適性を高めた6ライトウィンドウを採用するなど迫力のあるデザインです。内装はシンプルながら機能的にまとめられていて、余分な華飾のないところに三菱のこだわりを感じます。 希少性の高まりを感じさせるVR-4 ギャラン VR-4を大手中古車サイトで検索したところ、販売中の車輌はわずか5台でした。三菱車初のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞し販売台数を伸ばした6代目ギャランですが、販売終了からすでに30年以上が経過しており、現在では希少なモデルです。さらに、VR-4の特別仕様車を探すとなると、至難の業かもしれません。 なお、これだけの希少車だと、購入時以上に売却時の業者選びに気をつける必要があります。市場での流通量が少ないため、仕様によって査定額が変わります。実際、大手中古車サイトでは、169万円から399万円まで販売価格に大きな差がありました。ギャラン VR-4のような希少車を売却する際は、旧車の取り扱いに慣れた経験豊富な専門業者に相談しましょう。

一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた
旧車の魅力と知識 2024.08.31

一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

さまざまなオーナーインタビューを経験してきて思うのは「このクルマは一生モノ」といい切るオーナーが本当に多いことだ。仕事柄、たまたま熱量の高いオーナーばかりを取材しているだけで、実際には少数派なんだと思う。 ましてや、いまや残価設定ローン、サブスクリプションでクルマを所有する時代だ。期間が満了すれば新しいクルマに乗り換える。クルマではないが、筆者が普段使っているiPhoneとMacintoshのノートパソコンがこれだ。毎日使うものだし、いざというときに故障されては困る。この原稿を書くために使っているMacintoshだって、つい2日前に新しいモデルに換えたばかりだ。 翻って、一生モノとはいうけれど、悲しいかな愛車を墓場まで持って行くことはできない。骨壺にお骨といっしょに愛車に使っていたキーホルダーも収めてもらうとか、せいぜいそれくらいだ。 いつか必ず別れる日が訪れるという、誰もが逃れられない事実に想いを馳せつつ、長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた。 ■人は1日に最大で3万5000回の決断を下している(らしい) 確率100%、誰にでも確実に訪れるできごとってそうそうあるものではない。 ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人は1日に最大で3万5000回の決断を下しているのだという。 朝、目が覚める。まず最初に何をするか?まだ眠いので2度寝するという選択肢もあるだろう。休日の2度寝はまさに至福だ。そういったさまざまな決断を下していくうちに、なんだかんだで1日あたり数万回というカウントになっていく。 万歩計(いまならApple Watchのようなウェアラブル端末か?)をつけて歩いてみると、いつの間にかに1万歩くらいの歩数を稼いでしまうこともあるわけだし、「1日で最大で3万5000回」という数字もあながち間違っていないように思えてくる。 ■誰もがいつか愛車と別れる日が必ず訪れる そして、確率100%、誰にでも確実に訪れるできごとのひとつに「死」がある。筆者自身はもちろんのこと、この記事に読んでくださっているそこの貴方も、確実にその瞬間に向かって突き進んでいる。 さらに「クルマを所有している人」という条件付きにはなるが「いつか愛車と別れる日が必ず訪れる」ことも事実だ。他に欲しいクルマが見つかった、家庭環境の変化、運転免許を返納してクルマに乗ることを止めるから、故障してしまい、膨大な修理費用が掛かることが判明したから、事故を起こして廃車になってしまったから…。理由はさまざまだろう。 筆者自身も、一生モノと決めて所有している愛車がある。このクルマとも、遅かれ早かれ別れる日が訪れるのは避けられない…なんてと書いてしまうとさすがに悲観的すぎる気がする。ならばいっそ「いつか手放すときまで、楽しめるだけ楽しんでおこう」と思考を切り替えた方が前向きでいいかもしれない。 ■一時の衝動や感情で「卒業」するべきではない 「いつか愛車と別れる日」の「いつ」を設定するかはオーナーの自由だが、さまざまな取材を通じてかなりの確率で失敗する例を挙げておく。 それは「なんとなく」とか「衝動的に」といった、後先考えずに、そのときの気分で愛車を手放す行為だ。 憧れのクルマが納車された当日は「フワフワした気分で、なんだか自分のクルマとは思えない」といった具合に、現実味がないほど有頂天になりがちだ。 憧れのクルマが愛車となり、ガレージや駐車場にあるのが日常となっていく。そのうち目が慣れてくる。そして冷静になるにつれ、少しずつアラが見えてくるようになる。ここで「まぁ、そんなもんさね」と割り切れるか、耐えられなくなるか。ここでふと思った。これって結婚生活に似ているかもしれない…。ただし、こちらは相手がいることなので、お互い様なのだろうけど。 そのうち、そこに「在る」のがあたりまえになってしまう。と同時にありがたみも薄れていく。「手に入れたときの感動なんてすっかり忘れてしまった」。こうなったら要注意だ。ふとしたときに魔が差してしまう。 不思議なもので、こういうときに限って「隣の芝生は青く」見えてしまうようなクルマが目の前に現れる。しかも、厄介なことに、いまの愛車を手放せばなんとか買えそうなところにあったりする。さらに、よせばいいのに商品車を観に行ってしまうのである。「見るだけ見るだけ」と自分にいいきかせながら。 この先の展開はおおよそ見当がつくだろう。一時の衝動や感情で「卒業」してしまい、やがてまた同じように魔が差して乗り換えてしまう。こうして同じことを繰り返す。浮気性は不治の病なのだ。 ■「○○○が起こったら卒業」と決めておくという手もある なかには「手放すタイミングを逸し、惰性で所有している」といったオーナーもいる。そろそろ卒業してもいいかなと思いつつ、手放すほど気持ちは冷めていないし、他に欲しいクルマも見つからない。さらに、長年連れ添った愛車を手放したあと、自分がどういった心境になるのか分からないといった怖さも秘めているようだ(と同時に、どういった心境になるのか知りたいといった矛盾を抱えているケースもあった)。 もしもいま、卒業するタイミングを探しているとしたら…、何らかの目標を決め、それが達せられたら決断するというのはどうだろうか。例えば、愛読してきた雑誌の表紙を飾ったら、主治医が引退したら、子どもが免許を取得して、クルマの運転に慣れてきたら…。 自分自身が納得できるものであればなんでもいい。卒業するポイントを決めて、その日から来たるべきXデーに向けて心の準備をしておくのだ。見事にその目標が達せられたらめでたく卒業だし、それで未練があると感じたらもう少し結論を先延ばしにしたっていい。大切なことは、どう折り合いをつけるか?あとは尾を引かないようにすることではないかと思う。 ■まとめ:自らの手で葬るというケースも・・・ これはオーナーにしか許されないことだが…。他の人の手に渡るくらいなら、いっそこの世から愛車の存在を消してしまうという方法もある。つまり「廃車」にしてしまうのだ。 この世から完全に愛車を消去してしまえば、「今ごろどうしているのか…」などと案ずることもなくなる。割り切るにはもっとも確実な方法かもしれない。ただ、1台の貴重なクルマがこの世から姿を消してしまう(しかもコンディションもそれなりに良いはずだ)としたら、あまりにも悲しい。 クルマをどう処分しようとオーナーの自由だ!といわれたたらそれまでだが、ある意味では究極のエゴ、自己中かもしれない。 あくまでも個人的な意見だが、コンディションが良い個体であれば家族に譲るなり、どこかのエンスージアストに託してもいい。動かすのが困難であれば、ドナー、つまりは部品取り車として他の誰かの愛車が延命できるようにしてみてもいいのではないかと思えるのだ。 [撮影&ライター・松村透]  

「愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも」という話
旧車の魅力と知識 2024.08.29

「愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも」という話

筆者だけの思い込みかもしれないが、ハンドルの位置が右から左になるだけでずいぶんと景色が変わるものだと驚くことがある。 さらにMTともなれば、右ハンドルのときは左手で操作していたものが、左ハンドルになると右手に変わる。たったそれだけのことでも、運転する行為そのものが新鮮に思えてくるから不思議だ。 右ハンドル+MT車の選択肢が減りつつあるなか(それでもシビックRSのようにMTのみのモデルがいまだに発売されたりする)、左ハンドル+MT車ともなればもはや絶滅危惧種だ。 それなら、乗れるうちに乗っておいてもいいかも…。今回はそんな話だ。 ■初めて運転した左ハンドル+MT車の思い出 人生初の左ハンドル+MT車はというと、当時、最新モデルとして販売されていた993型のポルシェ911だ。当時ハタチ。なんでそんなクルマに乗れるんだ!と突っ込まれそうなので先に白状しておくと、当時の正規ディーラーに、友人と連れ立って「運転させてください」と乗り込んだんである。いま考えると、若葉マークがようやく外れたばかりの若者によく試乗させてくれたと思う。 「準備するので中で待っててください」と、ショールームに案内され、色っぽい美人のお姉さんが出してくれたディーラー物(?)のコーヒーを味わっていると、メカニック氏が「準備できました。どうぞ!」と、ポルシェ911をショールームの前に横付けしてくれていた。 自分から乗りたいといってショールームまで来てみたものの、クラッチミートが難しいとさんざん聞かされてきた911、果たして自分に運転できるのか!? ここまで来たら後には引けない。 覚悟を決めて運転席に乗り込み、シートポジションを調整する。左手でキーを捻り、背後で空冷エンジンがウォン!!と目覚める。クラッチペダルを踏み、おそるおそる右手でギアを1速に入れた。なんじゃこのガッシリしたシフトノブは!サイドブレーキを下ろし、いろいろクラッチミート。911はアイドリングのままクラッチミートするんだっけ…。するするっと…正しくはおそるおそる左足を床から離す。すると…動いた!エンストせずに発進できた! 2,30分くらいだったか、夢中で911を走らせた。実はこのとき、実はいろいろあって、結果としてホロ苦い思い出となってしまったのだけど…。 ■30万円のゴルフ2 GTIを買い逃した話 都内でウィンドウフィルムを施工するアルバイトをしていたおよそ30年前、勤め先の専務から「ゴルフ2 GTIのMTの売り物があるんだけど、買わない?3ドアの左ハンドル。30万円でどう?」と話を持ち掛けられた。 いまなら飛びつきたいくらいの話だけど、当時はまだ「ゴルフはダサい(すいません)」というイメージしかなかった。どうもハッチバックのクルマが好きになれなかったし、この時点でゴルフを運転したことがなかったことも関係していたように思う。このときハタチ。まだまだ頭でっかちだった時代だ。 アルバイト先であるフィルムの施工場に入庫してくるのは、メルセデス・ベンツやアウディ、当時流行りのボルボのエステート、たまにポルシェやジャガーといった高級車ばかり(在籍中、なぜかゴルフのフィルム施工は機会がなかった)。そんなわけで、仕事とはいえ高級車に触れる日々。だからこそ、余計にゴルフがチープに思えたのかもしれない。…というわけで、30万円のゴルフ2 GTIを手にすることはなかった。 それからおよそ4年後、就職した会社の社長が発売されたばかりのゴルフ4 GTI(MT)の新車を手に入れ、打ち合わせに同行した際には運転させもらった。このとき、初めて実際にゴルフを運転したことでようやくその魅力に気づいた。その後、ゴルフ4ワゴンを手に入れて以来、現在のゴルフ トゥーランまで都合6台のゴルフに乗ることになろうとは。 ■身近なところに左ハンドル+MT車があった! これまで、仕事を通じてさまざまな左ハンドル+MT車を運転する機会に恵まれた。ちなみに、現在、趣味車として所有しているクルマも左ハンドル+MT車だ。ふと思うのは、若いときのホロ苦い経験を埋め合わせたかったのかもしれない。 いまや、プライベートでもたびたびお邪魔している、東京都青梅市にある「Garage, Café and BAR monocoque/ガレージ・カフェ&バー モノコック」の駐車場に1台のハッチバックモデルが目に留まった。 店舗を訪れた人であれば「あぁ。あのクルマね」となるかもしれない。 2011年式 ルノー トゥインゴ ゴルディーニ ルノー・スポール。まさに「左ハンドル+MT車」そのものだ。 同店のマスターであるRYOさんに伺ったところ、走行距離は約10万キロ、価格はASKとのことだが、100万円前後(車検2年付き)を考えているらしい。 内装はというと、エアバッグ付きの純正ステアリングの代わりにOMP製のディープコーンステアリングが、運転席にはスパルコ製のフルバケットシートが装着される他、リアシートやカーペット類が取り外されており、実にスパルタンだ。また、タコメーターの隣にはPIVOT製のdigital monitorが装着され、水温・エンジンの回転数・電圧を表示することができる。 アラフィフ世代以上のクルマ好きにとっては、どこかで見覚えのある仕立てではないだろうか。かつて、スターレットやマーチ、シビック、CR-Xなど、国産ホットハッチで愛車をこんな感じに仕上げて峠道を攻めたり、朝から晩まで(翌日の明け方まで?)乗り回していた人も少なくないはずだ。 折からの旧車人気の影響を受けて、いずれのクルマは信じられないような価格帯になってしまった。オリジナルが是とされ、おいそれとカリカリにチューニングができない雰囲気ができつつある。そもそも、いじりたくても部品そのものがレアになり、安価に仕上げること自体が夢物語になってしまった感がある。 その代わり…ひと昔の輸入車が手頃な価格で手に入るようになってきた。その代わり、かつて高嶺の花だった「ガイシャ」が手頃な価格帯となり、一時期は「タダ同然で引き取ってきた」国産旧車がとんでもない相場で取り引きされる時代となった。 であれば、比較的手が届きやすい輸入車、しかも左ハンドル+MT車がその枠に含まれるのなら…これは楽しんだ者勝ちだと思う。特に、若い世代の方たちにとっては「左ハンドル+MT車+内燃機関のクルマを安価で楽しめる」またとない機会かもしれない。 ●2011年式 ルノー トゥインゴ ゴルディーニ ルノー・スポール ・価格:ASK(100万円前後を予定)・走行距離:約10万キロ・左ハンドル/5速MT・車検2年付き・BS Speedline ホイール・Pro Racing サブコン・BC Racing 車高調・PIVOT digital monitor・ブレーキ冷却ダクト・ボディ補強・アーシング・DIXCEL 特注スリットローター/Zタイプ ブレーキパッド・実測160馬力 ●問い合わせ先:クルマ&バイク好きのオアシス「Garage, Café and BAR monocoque/ガレージ・カフェ&バー モノコック」 ・Facebook:https://www.facebook.com/monocoquecafebar・Instagram:https://www.instagram.com/monocoque.cafebar/・営業時間:11:00〜23:00・定休日:不定休(facebook、Instagramに情報あり)・住所:東京都青梅市畑中1-126-1・TEL:0428-84-0644 ■まとめ:愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも 新車で買える左ハンドル+MTというと、基本的には輸入車、または逆輸入車だ。正規ディーラーで販売されているクルマで見ていくと、アバルトF595(448万円)あたりが現実的なところだが、それでもコミコミで500万円コースだ。正直いって決して安いクルマとはいえない。 しかし、中古車であれば、それこそピンからキリまである。カーセンサーで調べてみたら、もっとも高価な左ハンドル+MT車は1996年式のフェラーリF512M(RKスペシャル)の1億5千512万円(!)。そういえばこのフェラーリ、某ミュージシャンの元愛車だった個体のはず。反対に、もっとも安いクルマは、2004年式フィアットパンダの33万2千円(いずれも支払総額)だった。 欧州車を中心に、コミコミ100万円以下で買える左ハンドル+MT車もそれなりに選べる。安く買える分、低年式や過走行の個体も含まれている。そこはある程度割り切って「壊れたら、その都度直していく」くらいの心持ちの方がいいかもしれない。 2024年の時点で、新車で購入できる左ハンドル+MT車が限られている以上、10年後にはいまよりも確実に選択肢が限られていることは間違いない。交差点の右折が大変(特に対向車の右折待ちがいる場合)、駐車場などの料金所が左ハンドルに対応していない等、不便に感じることも少なくない。 しかし、左ハンドル+MT車には、それを補って余りある魅力があると個人的には感じている。右ハンドル+MT車も充分に楽しいけれど、ちょっと変化が欲しいと感じたら、左ハンドル+MT車を選択肢に入れてみてほしい。初めてMT車を運転したときのような、新鮮な感覚、そしてワクワクする気持ちが蘇ってくることは間違いない。 そして、行きつけのカフェに立ち寄って居合わせた人たちとクルマ談義を楽しむ…。きっと充実した時間を過ごせるはずだ。 [画像・Porsche、Volkswagen/撮影&ライター・松村透]

アルテッツァは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説
旧車の魅力と知識 2024.08.27

アルテッツァは価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が買取相場を解説

アルテッツァは、トヨタのFRスポーツセダンとして人気のあるクルマです。販売終了から20年近く経過した現在もなお、中古車市場では高い支持を得ています。 今回は、アルテッツァがどのようなクルマなのか解説するとともに、中古車事情がどのように変化しているのか解説します。アルテッツァの売却を検討している方は参考にしてみてください。 アルテッツァとは アルテッツァは、1998年10月~2005年7月まで販売されていたFRスポーツセダンで、「操り、走る」心地よさを堪能できるクルマとして開発されました。 エクステリアには、ワイドな印象を強調する横長のヘッドライトやフロントグリルに加え、踏ん張り感を演出する台形をモチーフとしたフロントバンパーを採用しています。リアは、丸型4灯のテールランプを採用していることが特徴です。 エンジンは、最高出力160psを発生する直列6気筒の「1G-FE型」と、最高出力210psを発生する高性能な直列4気筒の「3S-GE型」の2種類がラインナップされています。グレードは、直列6気筒の1G-FE型を搭載し4速AT/6速MT(2000年5月~)が組み合わされる「AS200」と、高性能な直列4気筒3S-GE型を搭載し5速AT/6速MTを組み合わせた「RS200」の2つです。 また、スポーティな装備を充実させた「Zエディション」やラグジュアリー装備が備わる「Lエディション」なども用意しています。 エンジンは、フロントミッドシップに搭載されています。加えて、バッテリーや燃料タンクなどの重量物が車両の中心に寄せたパッケージを採用していることから、小気味良いハンドリングを実現しているのが特徴です。 デビュー当初のボディサイズは、全長4,400mm、全幅1,720mm、全高1,410mmでした。2001年5月のマイナーチェンジ以降は全幅が1,725mmとなっています。 アルテッツァは、2005年7月まで約7年にわたり販売され、1世代で販売終了となりましたが、アルテッツァで築き上げたFRミドルサイズセダンのアイデンティティは、レクサス ISに引き継がれています。 ▼アルテッツァの魅力はこちらの記事でも解説しています。アルテッツァは打倒欧州車目指して徹底的に鍛え上げられた入魂のFRスポーツセダン アルテッツァの価格は高騰している? 大手中古車販売サイトを確認したところ、アルテッツァは直近2〜3ヶ月で目立って高騰していませんでした。(※2024年8月時点)しかし、昨年アメリカの25年ルールの対象になったばかりで、今後多くのアルテッツァが輸出されると国内での価格が跳ね上がるかもしれません。 ▼アルテッツァの25年ルール解禁についてはこちらで詳しく解説しています。アルテッツァが25年ルール解禁!値上がりしている?最新相場情報を解説! アルテッツァの現在の買取相場 アルテッツァの価格動向について解説しましたが、具体的にはどれくらいの価格で取引されているのでしょうか。下記にアルテッツァの現在の買取相場をまとめました。※2024年8月時点の情報です。 グレード トランスミッション 買取相場 RS200 6MT ~150万円 RS200 Zエディション 6MT ~150万円 RS200 リミテッドⅡ・ナビパッケージ 6MT ~150万円 RS200 ナビパッケージ 6MT ~150万円 TOM'S 280T 6MT ~250万円 3S-GE型エンジンを搭載しているRS200は最大で150万円ほどの価格で売却できます。なかでも人気が高いのは、RS200に専用装備が加えられたZエディションです。17インチタイヤ&ホイールおよび大径ブレーキ、さらに専用シート地やプライバシーガラスが装備されています。 また、RS200を上回る価格で取引されているのが特別仕様車であるTOM'S 280Tです。希少性の高さが買取相場に大きく影響しています。 アルテッツァを高く売るにはどうすればよい? アルテッツァは、メンテナンスが行き届いていることに加え、カスタマイズされていない車輌が高く評価される傾向にあります。ここからは、アルテッツァを高く売るポイントを解説します。 こまめにメンテナンスをする メンテナンスが行き届いていているアルテッツァは、価格が高くなりやすいです。ボディやホイールなどの外装、シートやインテリアパネルなどの内装、エンジンやトランスミッションなどのパワートレインといった各部の手入れがされていると、すぐに再販売できるため、査定額が高くなります。 ノーマルの状態を保つ アルテッツァは、高出力エンジンを搭載するFRのスポーツセダンであることから、改造やカスタムを目的に購入を検討する方が多いクルマです。そのため、改造されていない車輌が高く評価される傾向にあります。アルテッツァを高い価格で売却したいのであれば、ノーマルの状態を保つとよいでしょう。 TOM'S 280Tは希少性をアピールする TOM'S 280Tは、トムスが専用チューニングを施したコンプリートカーです。ターボチャージャー仕様のエンジンを搭載し、最高出力280psという優れた走行性能をもちます。わずか100台しか生産されていないため、その希少価値は非常に高く、マニア垂涎の1台であることに間違いありません。もしTOM'S 280Tを売却するのであれば、いかに珍しいのかを積極的にアピールするとよいでしょう。 アルテッツァを売るなら実績・知識豊富な業者へ ラグジュアリーなスポーツセダンとして、数ある旧車のなかでも強い存在感を放つアルテッツァ。デザインも乗り味も妥協したくないというファンから多くの支持を得ています。 売却を検討する際には、こうしたクルマとしての価値をしっかりと理解している業者を選びましょう。どんな歴史をもち、どういった部分が長年愛されているのかを知っている買取業者であれば高額買取に期待できます。アルテッツァはもちろん、さまざまな車、特に古いクルマに特化したサービスに査定を依頼するのがおすすめです。

フェアレディZ Z33のリセールバリューは?リセールバリューが決まる要因や高く売る方法についても解説
旧車の魅力と知識 2024.08.19

フェアレディZ Z33のリセールバリューは?リセールバリューが決まる要因や高く売る方法についても解説

フェアレディZ Z33のリセールバリューが高ければ、一度は乗ってみたいと思う人も多いでしょう。大排気量の自然吸気エンジンを搭載した車は減少しつつあるため、いまのうちにその魅力を味わいたいものです。今回は、フェアレディZ Z33のリセールバリューや、フェアレディZ Z33を高く売る方法について解説します。フェアレディZ Z33の購入や売却を検討中の方は参考にしてください。 フェアレディZ Z33とは フェアレディZ Z33は、2002〜2008年まで販売されていた日産のスポーツカーです。Z32の生産終了から2年後に復活したZ33は、スカイラインとプラットフォームやエンジンを共用することで価格を抑えることに成功しています。前後重量配分は53:47という理想的なバランスを持ち、空力性能は世界でもトップクラスを誇りました。 モータースポーツでも全日本GT選手権(SUPER GT)やスーパー耐久などに参戦し、シーズン優勝やチームタイトルに輝くなど華々しい実績をあげています。スポーツカーとしてはチューニングのベース車両としての評価が高く、ノーマル車は高性能GTカーと呼ぶべき存在です。 【グレード別の特徴】 グレード名 特徴 ベース ベースグレード Version T 本革シートなどを装備した豪華仕様 Version S ブレンボ製ディスクブレーキやVDCが装備されたスポーツモデル Version ST VersionTとVersionSを合わせた最上級モデル Version ST Type G オーテックジャパンが発売した期間限定車 Type F オーテックジャパンが発売した赤色本革シートモデル S-tune GT NISMOから販売された期間限定車 type E 全日本GT選手権GT500クラス出場のためのホモロゲーションモデル 35th Anniversary 専用チューニングエンジンを搭載するフェアレディ35周年モデル Version NISMO/NISMO 350Z NISMOとオーテックジャパンから販売されたモデル Version NISMO Type 380RS-Competition スーパー耐久ST1クラス出場のためのホモロゲーションモデル Version NISMO Type 380RS Version NISMO Type 380RS-Competitionの公道仕様車 ロードスター Tバールーフがラインナップから外れコンバーチブル仕様として設定 ※ホモロゲーションモデルとは、市販車ベースの競技に参加するために販売される車のこと フェアレディZ Z33のリセールバリューの相場 フェアレディZ Z33のリセールバリューの相場は、仕様や状態により大きく異なります。歴代のフェアレディZは高騰しているモデルが多い中、Z33はアメリカで左ハンドル仕様車が販売されているため一部のグレードのみが高値を維持しています。 これは他の歴代フェアレディZとは異なり、アメリカでの右ハンドル車の扱いが「新車登録時から25年経過しなければ輸入できない」というルールから外れているためです。リセールバリューを考えて購入する場合は、そういった状況も理解して仕様を選ぶ必要があります。モータースポーツ参戦用の公道仕様車Version NISMO Type 380RSは、状態がよければ新車当時よりもプレミア価格となっている車体もあるため要チェックです。 【グレード別の新車価格】 グレード名 新車価格 ベース 6MT 337万500円 5AT 346万5,000円 Version T 378万円 Version S 363万3,000円 Version ST 6MT 394万8,000円 5AT 404万2,500円 Version ST Type G 432万6,000円 Type F 6MT 409万5,000円 5AT 418万9,500円 S-tune GT 682万5,000円 type E 682万円 35th Anniversary 388万5,000円 Version NISMO/NISMO 350Z 6MT 439万9,500円 5AT 449万4,000円 Version NISMO Type 380RS-Competition 2,625万円 Version NISMO Type 380RS 539万7,000円 ロードスター バージョンST 6MT 447万3,000円 5AT 456万7,000円  ※いずれも最終型モデルの価格 フェアレディZ Z33のリセールバリューが決まる要因 続いて、フェアレディZ Z33のリセールバリューが決まる要因について解説します。 6速マニュアルが人気 フェアレディZ Z33のリセールバリューを考えるなら、6速MT車がおすすめです。フェアレディZ Z33は、チューンナップのベース車両として購入するユーザーが多いため、5速AT車のリセールバリューは高くありません。 走行距離が少ないノーマル車 フェアレディZ Z33は、走行距離が少ないノーマル者が人気です。チューニングが施されていないノーマル車はGTカーとしての性能が高く、購入後にカスタマイズしてスポーツカーに仕上げる需要がリセールセールバリューに直結しています。多走行車やチューンナップカーは状態のよい車が少なく、販売価格や査定額が低くなる傾向があります。 熟成の後期型 後期型モデルは足回りやエンジンなどがより洗練されており、高回転化されたVQ35HR型エンジンが搭載されています。また、前期から中期型のZ33はラジエターファンの不具合が多く、リコール対策が施されていない車体はエンジンの焼付きやオーバーヒートの可能性があるためリセールバリューは低めです。 フェアレディZ Z33を高く売る方法 フェアレディZ Z33を高く売る方法について解説します。 スポーツカーの買取が得意な業者を選ぶ フェアレディZ Z33を高く売るためには、スポーツカーの買取が得意な業者を選ぶことが重要です。フェアレディZ Z33は、ラジエターファンの不具合が対策されていることや、発売年度ごとのモデル特性に詳しい業者でなければ正当な評価をしてもらうことは難しいでしょう。フェアレディZ専門店や日産車を得意とする業者を選ぶことで、高額査定となる可能性が高くなります。 運動性能に関わるところを入念にメンテナンスする フェアレディZ Z33を高く売るためには、運動性能に関わるところを入念にメンテナンスする必要があります。経年による劣化のみならず、オイルや消耗品の交換は車の寿命を左右するほど重要です。また、足回りや電装系などもスポーツ走行で消耗するため、1年ごとの法定点検で必要と判断された部品は早めに交換して整備記録簿に記載してもらうとよいでしょう。 リコール箇所の対策を万全にする フェアレディZ Z33は二つの大きなリコールが出ている車です。いずれも重要箇所のため、対策済みかどうかの確認もしておきましょう。 ラジエターファン........ラジエターファンモーターの通電不良により、エンジンのオーバーヒートや焼付きの可能性あり 後期6速MT車の変速不良........クラッチ作動側シリンダーのオイルシール不良により、シリンダー内部に空気が混入して変速不良が起こる可能性あり 未対策の場合は、査定に影響したり対策処置が有償となる可能性があるため、早めにディーラーに相談しましょう。 フェアレディZ Z33の魅力と歴史 フェアレディZ Z33は、5代目となるフェアレディZです。ラグジュアリー志向だった先代から原点回帰されたモデルであり、景気後退による業績不振からの日産復活のフラッグシップともなりました。 V35型スカイラインとプラットフォームやサスペンション、エンジンを共用することで価格を抑え、開発責任者が放った「Zは毎年進化する」の言葉通りにエンジンの改良はモデル末期まで4度に渡り行われました。モータースポーツでの活躍と国内外のカー・オブ・ザ・イヤーやグッドデザイン賞にも名を連ね、そのブランド力をさらに強固にしたモデルといえるでしょう。 【基本スペック】 販売期間 2002~2008年 乗車定員 2名 駆動方式 FR エンジン ・V6 3.5L VQ35DE型・V6 3.5L VQ35HR型・V6 3.8L VQ35HR型改  

「不本意にも手放さざるを得ない愛車との別れ」について考えてみた
旧車の魅力と知識 2024.08.01

「不本意にも手放さざるを得ない愛車との別れ」について考えてみた

生きていると「運命としか思えない」できごとに遭遇することがある。単なる偶然かもしれないし、本当に運命だったのかもしれない。 日本語に訳すと「幸運は用意された心のみに宿る」と説いたのは、フランスの細菌学者であるルイ・パスツールだった。 起こるべくして起こる。これこそ運命だといえる。 しかし「起こるべくして起こる」ことが幸運なエピソードだとは限らない。自分の意思とは無関係に不本意な運命に出くわしてしまうことだって(少なからず)ある。 ■誰にでも「不本意な運命が起こるかもしれない」という事実 年間、100人単位でオーナーインタビューを行っていると、良い方と悪い方、それぞれの「起こるべくして起こった」エピソードに接することになる。 1度は金銭的な事情で手放し、必死に働いて見事にカムバックしたオーナー、コツコツ仕上げてきた愛車がもらい事故で廃車になってしまったオーナー、愛娘の中学受験の費用を捻出するために愛車を手放したオーナー。起業するためあえて退路を断つべく、相棒ともいえる愛車を手放したオーナー。そして高齢のため、クラシックカーの運転が厳しくなり、最新モデルに乗り替えるべく断腸の思いで手放したオーナー…。 このように、ざっと挙げただけでもこれだけある。まさに、人それぞれにエピソードがあることに気づかされる。 そして、改めて振り返ってみると、不本意な理由で愛車を手放した経験があるオーナーが思った以上に多かった。特に多かったのが結婚や出産を機に泣く泣く…というパターンだったように思う。なかにはこの段階でクルマ趣味を諦めたという方もいた。 そう考えてみると、20年、30年、あるいはそれ以上、1台のクルマととことん付き合っているオーナーの存在が奇跡かもしれないとすら思えてくる。 ■親友が所有していたマツダ RX-7の話 もう数十年前のことだが、学生時代の親友がマツダ RX-7(FC3S型)で気になる中古車があるから一緒に観に行って欲しいと頼まれた。最寄り駅から徒歩で20分くらい掛けてバイパス沿いにある小さな中古車販売店に2人で足を運んだ記憶がある。 ずっと欲しいと思っていたクルマ(FC3Sの限定モデル)が手頃な価格で売り出されていたこともあり、親友はその場で即決。確か納車のときも一緒に行ったと思う。平成1ケタ、1990年代前半といえば、スポーツ系モデルのチューニングが盛りあがっていた時期だ。親友もご多分に漏れず、手に入れたRX-7をチューニングしていったことはいうまでもない。 それから1年ほど経ったある日、深夜の湾岸線でエンジンブローを起こしたのを機に、その後はゼロヨンの世界へと傾倒していく。やがて、いまでは完全に絶滅した街道ゼロヨンにも参戦するようになった。その頃には当時としては珍しい13B型の2ローターエンジンにブリッジポート加工が施され、親友のRX-7は独得のアイドリング音を轟かせていた。いまでも「ドッドッドッ」という心臓の鼓動のように一定のリズムで刻むアイドリング音、そして走り去る際の残り香のような濃い生ガスの匂い(※臭いではない)を思い出すことがある。 まさに親友のこだわりと熱量と給料がこれでもかと注がれたRX-7、あるとき再びエンジンブロー。今度ばかりは直そうにも資金が捻出できない。親友としては不本意だったと思うが、結局、最後はそのRX-7も手放した。 それから数年後。たまたま2人でいるとき、偶然このRX-7と再会することになった。親友が青春と当時の給与をほぼすべてつぎ込んだRX-7は別のオーナーが所有し、まったく別の姿になっていた。それでも、そこかしこに当時装着していた部品が残されていたのでお互いすぐに分かった。 何とも複雑な心境ではあったが、せっかくだからということで親友と元愛車であるRX-7とのツーショット写真を撮った。このときのデータはいまでも手元に残されているが、撮影しておいてよかったと思う。結果として、このときがRX-7との最後の対面となってしまったからだ。その後、このRX-7がどうなったのかは分からない。 ■「いっそこの世から葬ってしまった方が引きずらなくて済む」という選択 壊れて修理に高額な費用が掛かることが分かり、「知らない誰かのところに嫁いでいじくり倒されるくらいなら、いっそこの世から葬ってしまった方が引きずらなくて済む」という涙の決断を下した方もいた。 一部の方には反発を食らうかもしれないが、事あるたびに「あのクルマいまどうしているのかな」と思い悩むくらいなら、いっそスクラップ、廃車にしてしまおう。この方が気持ちに区切りがつけられる。終わりを見届けたことで(クルマには申し訳ないけれど)諦めがつくということなのだろう。 なかにはスクラップ場まで同行し、愛車との最後の別れを惜しんだという方もいる。ちなみにこのオーナー、せめてもの思い出として、2度と使うことはない愛車のキーを手元に残し、大切に保管しているそうだ。 ■「あえて愛車に深入りをしない」という接し方もある 取材した方のなかには「失ったときのショックが計り知れないから、あえて愛車に深入りしない」と考えているケースもあった。それはそれでありかもしれないと思った記憶がある。 よくよく話を伺っていくと「若い頃、憧れのクルマを手に入れて楽しんでいたある日、ふと浮気心が芽生えてしまい、別のクルマに乗り換えてしまった」のだという。いわゆる魔が差したというやつだ。 この先の展開はクルマ好きの方であればおおかた予想がつくだろう。 新たに迎え入れたクルマにはすぐに飽きてしまい、買い戻そうにも元愛車は売約済みで別のオーナーが所有しているという。結局、二束三文で売り飛ばすことになり、「つなぎのつもりで」手に入れたアシ車に乗り替えてからずるずると10年以上が経過…。現在の愛車にはそれほど想い入れがない分、飽きることもなければ、わざわざ手を加えようとも思わないそうだ。 ただ…、ときどきふと思い出したようにネットで検索して元愛車がどうなっているか調べてしまうのだという。どこかの誰かが所有しているのか、廃車になってしまったのか、それとも海外へと流れたのか…。しかし、いまだに手掛かりはつかめずにいるそうだ。 この呪縛から逃れるためには元愛車よりも惚れ込めるクルマを見つけるしかないのだが、こればかりは「運命の出会い」次第なのでジタバタしたところでどうなるものでもない。そんな堂々巡りを繰り返しているうちに「あえて愛車には深入りしない」という悟りに近い境地に達してしまったのだという。 ■まとめ:「不本意にも手放さざるを得ない愛車との別れ」は若いうちに経験すべき? 多くの辛い経験がそうであるように、最終的には時間が解決、あるいは忘れさせてくれるような気がする。時が経つにつれて美しい思い出へと補正されることもあるだろうし、リベンジするべく、奮起する時間的な余裕もある。 しかし、ある程度年齢を重ねてからの「不本意にも手放さざるを得ない愛車との別れ」は予想外にダメージが大きい。所有していた愛車との時間が長ければ長いほどダメージの度合いも大きくなる。それならば、いっそこの世から葬ってしまった方が…と思ってしまいたくなる気持ちも理解できる。 老いも若きも、遅かれ早かれいずれ愛車との別れの日が必ず訪れる。来るべき日が訪れてしまったとき、できることなら運命とやらに翻弄されるのではなく、自分の意思とタイミングでその日を迎えたいものだと思う。 [撮影/松村透、画像/Mazda,Mercedes-Benz、ライター/松村透]      

トヨタ AE92 レビン/トレノは高い実力を秘めた名車だった! 商業的にも成功した時代背景も含めて振り返る
旧車の魅力と知識 2024.07.19

トヨタ AE92 レビン/トレノは高い実力を秘めた名車だった! 商業的にも成功した時代背景も含めて振り返る

5ナンバーサイズながら、ワイド&ローなスタイリングに迫力を感じるトヨタ AE92 レビン/トレノ。FFへのレイアウト変更、シリーズ初の過給機エンジン採用など大幅な刷新が図られたモデルです。 多くの若者の心を掴んだAE92の誕生背景と、魅力的な性能をたっぷりと紹介します。 大転換を図ったカローラ レビン/トレノ AE86の成功で地位を確立したレビン/トレノでしたが、AE92へのフルモデルチェンジで歴史的な大転換を図ります。また、「デートカーブーム」を追い風に、スポーツカー好き以外のファン層を切り開きました。 当時の時代背景とともにAE92が誕生した経緯について振り返ってみましょう。 プラットフォームを現代的なFFに刷新 AE92は、5代目レビン/トレノとして1987年に登場しました。最大の変更点は、駆動方式にレビン/トレノ史上で初めてFFが採用された点です。また、3ドアハッチバックが廃止され、ボディタイプは2ドアクーペのみに統一されました。一方で、レビンが固定式角目、トレノがリトラクタブルというヘッドライトの形状は踏襲されています。 スタンダードモデルのエンジンはAE86の4A-GEU型を横置きに搭載し、型式を「4A-GE」と改めました。1.6Lの直列4気筒DOHCエンジンで、最高出力120ps、最大トルク14.5kgを発揮します。また、先代と同様に、1.5Lの廉価版モデルもラインナップされました。型式はAE91で、キャブ仕様の5A-F型とインジェクション仕様の5A-FE型の2種のエンジンが用意されています。 若者のデートカーとして定着 AE92が登場した1980年代後半は、バブル景気を背景に若者の間でデートカーブームが巻き起こっていた時期です。日産 シルビア、ホンダ プレリュードといったスポーティでスタイリッシュなクルマが人気を博します。なかでも、トヨタ 2代目ソアラは、デートカーの代表格として憧れの的になっていました。 クーペタイプに統一されたAE92はソアラを小型化したかのようなスタイリングだったことから、「ミニソアラ」とも呼ばれました。新車時の販売価格が100万円台前半だったAE92は、高額なソアラに手の届かなかった若者の心を掴んだのです。 AE92になって大幅に進化したポイント 駆動方式がFRからFFに変更されたことで、落胆の声を上げるピュアスポーツファンも存在しました。しかし、AE92がテンロクスポーツを牽引するモデルだったことに間違いありません。 続いて、AE92になって進化したエンジン性能、レースでの活躍を紹介します。 最上位グレードのGT-Zはクラス最高峰 最上位グレードのGT-Zには、名機4A-G型エンジンにスーパーチャージャーを搭載した4A-GZE型エンジンが搭載されています。大幅に最高出力が引き上げられ、前期モデルでは145ps、後期型では165psにも達しました。ホンダの誇るVTECを搭載したB16A型エンジンの160ps(当時)を超え、クラス最高峰のパワーを実現しました。 また、足回りの設計も最上位グレードにふさわしく、GT-Z専用設計になっていました。前後のワイドトレッド化やリアアームの延長、ピロボールブッシュの採用など直進安定性を高める工夫が随所に施されています。また、外装面でも、ホイールアーチにモールが追加され、他グレードとの差別化が図られました。 マイナーチェンジで大幅な進化 AE92は、登場から2年後の1989年にマイナーチェンジを行いました。バンパーやグリルといったデザイン面での変更が目立ちますが、最大の違いはエンジン性能です。 実は、AE92登場当時の4A-GE型エンジンは、AE86の130psから120psに出力が絞られていました。しかし、マイナーチェンジによってハイオク仕様になり、最高主力140ps、最大トルク15.0kgmにまで引き上げられています。同型の自然吸気エンジンで、登場時から20ps、AE86最終型から考えても10psも最高出力を引き上げているのは驚異的です。 グループAでのシビックとの死闘と活躍 AE92は、AE86に続いてグループAでのレースに参戦しました。最小排気量クラスはVTECを備えたEF型シビックの独壇場で、事実1987年から1993年までの7年連続でメーカーズタイトルをホンダが獲得しています。 AE92は1988年シーズンの2戦目から投入されましたが、当初はシビックに阻まれて思うような成績は残せませんでした。しかし、富士スピードウェイで開催された最終戦のインターTECで、ついにシビックを打ち破ります。トムスの走らせる「ミノルタカローラレビン」が、クラストップ、総合5位という成績を収めました。 続く1989年も全体としてシビックの優位は変わらなかったものの、つちやエンジニアリングの「ADVANカローラ」が2勝と2度の表彰台を獲得してドライバーズタイトルの座に輝きます。さらに、1990年にもドライバーズタイトルを獲得して2連覇を達成。シビック優勢のなかでのまさに死闘と呼べる戦いでしたが、AE92は確実にその実力を証明しました。 レビトレ史上最も売れたAE92 FRスポーツだったことと、ドリフトドライバーや漫画の影響などからAE86が異常な人気だったため、今振り返るとAE92はやや地味な印象を受けます。しかし、実はAE92は、レビン/トレノ史上で最も売れたモデルです。 バブル景気やデートカーブームといった時代背景の影響もありましたが、クルマとしての高い実力が備わっていたからこその成功でしょう。AE92へのフルモデルチェンジでは、スーパーチャージャーやハイオク仕様による大幅な出力性能の向上、格上のソアラのようなスポーティでスタイリッシュなエクステリアデザインといった点など、しっかりと作り込まれました。マイナー車種と思われがちなAE92ですが、改めてその価値を見直したいところです。

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