旧車の魅力

ニュージーランド 2023年上半期 新車/中古車「人気ランキング」
旧車の魅力 2023.09.05

ニュージーランド 2023年上半期 新車/中古車「人気ランキング」

オークランド在住のtomatoです。 さて、今回の記事では、単純ではありますが、きっと誰もが興味のあるトピックを取り扱おうと思います。 「ニュージーランドでは、今どんなブランド、どんなクルマが売れているのか」です。 さっそく、2023年上半期の車輌登録データから、最新の人気動向を見てみましょう。 ■総市場 / Total Vehicle Industry 日本の自動車市場は、自販連および全軽自協の「初登録/検査データ」を見ると、近年は10台に4台は軽自動車で、残りの多くはコンパクトカー/ミニバン/SUVが占め、なかなか独特だが、ニュージーランド市場も、以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/)でその特徴をお伝えしたとおり、これまた非常に独特です。 ●懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポートhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/ 下表にあるように、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでの販売を目的として、その安全基準や環境規制に適合し開発・製造したクルマ達の「正規輸入/新車市場」がある一方で、他市場では存在感のない「並行輸入/中古車」が4割も占めるのが特徴です。 加えて、その多くが5~7年落ちのの中古車で、9割以上が日本の規制に適合させた日本仕様の中古車なのです。 少し専門的な話をすれば、各自動車メーカーは、開発効率の観点から、国・市場を数種類のグループに分けて新車を開発するのが通例になっています。 ニュージーランドへは、欧州右ハンドル(イギリス)仕様のクルマ、もしくはオセアニア(オーストラリア)仕様のクルマを送り込むのが一般的です。 前者であれば、ウインカーレバーはステアリングホイールの左側であるし、後者であれば、日本で売られている日本車と同じく右側です。 結果的に、この国では同じブランド内でも、ウインカーレバーの位置が異なる場合もあるほどです。 ■正規輸入/新車市場 ●トップ20(ブランド別) この数年で、世界の潮流と同様、大きく様変わりしています。 見てのとおり、韓国や中国ブランド、テスラの存在感が高まっているのです。 「ルノー・日産・三菱」の3社アライアンスで、アセアンやオセアニア地域を戦略的に担当する三菱の強さにも驚かれるかもしれません。 ●トップ20(モデル別) ニュージーランドの新車市場の特徴としては、SUVが増加の一途をたどっている一方で、減少傾向ではあるが、タイやオーストラリアなどと同様に、農耕を支えるUte(「ユートゥ」と発音)と呼ばれるピックアップトラック(商用車カテゴリーに属する)の人気が高い傾向にあります。 ご覧のように、ベストセラーの地位をレンジャーとハイラックスが争っているのです。 ▲フォード レンジャー(新車輸入車「人気ナンバー1」、圧倒的なブランド力を誇る) ▲MG ZS (低価格のBEV/PHEVを中心に躍進する中国ブランド) ちなみに、自販連の「車輌登録データ」によれば、日本の上半期の(軽自動車を除く)乗用車市場はモデル別だと、ヤリス、カローラ、シエンタ、ノート、ノア、プリウス、ヴォクシー、アクア、ルーミー、ハリアーがトップ10となっていて、当然のことながらブランド別ではトヨタが50%以上の占有率で他社を圧倒しています。 ■並行輸入/中古車市場 ●トップ20(ブランド別) 前述のとおり、日本の規制に適合させた日本仕様の中古車が9割以上を占めています。 これは日本市場は、地理的に近く、安価かつ丁寧に使用・メンテナンスされた高品質の右ハンドル中古車が大量にあるためです。 日本市場と比べて、マツダやスバルが強いのがオセアニア地域の特徴です。 ●トップ20(モデル別) 公共交通機関が貧弱なニュージーランドでの、輸入中古車の役割は「国民の足」です。 したがって、基本的には低燃費のコンパクトカーに人気が集中しています。 Uber (ウーバー)ドライバーのほとんどが、走行距離10万キロを優に超えたアクアやプリウスを愛用している印象があります。 なお、軽自動車には税制上のメリットがまったくないので、日本車であれど存在感はほぼありません。 また、クルマは一人一台という国なので、多人数乗車ができるミニバンへの需要も低いことが特徴です。 ▲トヨタ アクア(中古輸入車「人気ナンバー1」、「国民の足」) ■追い風と向かい風 ニュージーランドは、2021年7月から「クリーン カー ディスカウント(Clean Car Discount)」という名のフィーベイト(*)制度を導入しています。 これは購入価格8万NZドル(約700万円)以下に限り、低CO2 車の購入を補助し、その財源を逆に高CO2車の購入者から得るという仕組みになっているのです。 なお、これは初車輌登録時のみで、以降の売買には適応されません。(*)Feebate: Fee=罰金、Rebate=補助金の両方を意味する造語 8月執筆現在のルール(https://rightcar.govt.nz/)では、例えば、テスラの「モデルY(RWD)」であれば、7,015NZドルの補助金を得られます。 反対にトヨタの「ハイラックス(SR5 Cruiser Diesel Double Cab)」であれば、5,002.50NZドルの罰金を支払うことになるのです。 この制度の影響をお伝えすべく、輸入新車市場(SUV/乗用車)のパワートレイン動向をグラフにしてみました。 我々人間とは単純な生き物で、当該制度が非常に効果的なのが顕著に見て取れる。 (出典: MIA) ▲テスラ モデルY(テスラのベストセラーSUV) ▲赤い車輌はBYD アット3。テスラを猛追する中国BEVブランド。日本では見ない、後方のミニバン「ヒョンデ スターリア」にも注目) なお、輸入新車市場とは異なり、輸入中古車市場では補助金や罰金額が半減されるだけでなく、中古車輌の主たる供給元となっている日本市場では中国車や韓国車が少なく、日産 リーフ以外に安価な中古EVがまだ存在しないため、まだまだ電動化の波は新車市場ほど顕在化していません。 実は、このフィーベイト制度とは別に、トヨタなどの各輸入業者に対しても、輸入車輌の平均CO2が規定値を超えると罰金を課せられる制度(Clean Car Standard )があります。 しかし、消費者の購入価格に直接的には影響しないので、ここでは割愛します。 ■最後に 同じ時代、同じ時間を切り取っても、使用用途などの国民性やライフスタイルであったり、税制/仕組みなどが変わるだけで「ここまで違うのか」と驚かれたのではないかと思います。 ちなみに、製造後20年を超えるようないわゆる「旧車」に関しては、ニュージーランド最大のオークション/広告サイト「Trade Me」(https://www.trademe.co.nz/)の自動車セクション“Motors”を覗いてみてください。 少し検索するだけでも、きっと面白いですよ。 いずれ、ニュージーランドでクルマを買い、日本に送るということも記事化しようと思っています。 ご期待ください。 [撮影・ライター / tomato]

ドイツでもっとも人気のSUVトップ3「日本車編」
旧車の魅力 2023.09.04

ドイツでもっとも人気のSUVトップ3「日本車編」

著者がドイツで生活を始めて一年以上が経過した。 この国で生活をしていると、いかにSUVが人気かを思い知らされる。 今やクロスカントリー、SUVは世界的に人気が高く、各メーカーも続々とSUVモデルを発表している。 最近では、コンパクトモデルから大型モデルまでラインナップは豊富で、消費者が多くの選択ができるようになった。 日本車も世界的に有名なトヨタ ランドクルーザーをはじめ、人気のSUVモデルは数多く存在する。 かの有名な超高級メーカーのランボルギーニが、初のSUVモデル、ランボルギーニ ウルスを発表したのも記憶に新しい。 そんな世界的大ブームのなかで、日本のSUVはどのように評価されているのか。 また自動車大国で人気の日本メーカーSUVは何なのか? 今回はドイツ本国から現地調査をおこなった。 ■2022年のドイツにおけるSUVの日本車モデル別乗用車新規登録台数 ●第3位 マツダ CX-5(7,610台) マツダの代表的なSUVであり、2011年に登場して以来、世界的な大ヒットを記録したモデルだ。 マツダの2022年度販売台数2位を記録したマツダ3から2倍の差を付けて、好調な売れ行きとなっている。 2011年から2017年までが第一世代、2017年から現在のモデルが第二世代となっている。 ドイツでは特に2.2リッターのディーゼルエンジンを搭載したスカイアクティブDが人気だという。 ●第2位 日産 キャシュカイ(11,042台) 日本ではあまり聞き馴染みのないこのモデル。 それもそのはず。 日本ではかつてデュアリスとして販売されていたコンパクトSUVだが、現在は販売終了となったモデルだからだ。 実はこのモデル、ドイツでの人気は非常に高く、安全性や快適性などを含め非常に高い評価を得ている。 ドイツでは2007年から販売されており、全長4377mm、幅1806mm、高さ1590mmのコンパクトボディながら、ゆとりある室内空間と充実した装備が人気の理由となっている。 また2021年にモデルチェンジを迎え、第3世代へと切り替わった際にこれまでのディーゼルエンジンを廃止。 1.3リッターのマイルドハイブリッドモデルと1.5リッターのハイブリッドモデルの2車種のみとなった。 ●第1位 三菱 エクリプスクロス(18,852台) 全SUVモデルの中で、日本車SUVトップは13位という結果になった。 このモデルは2018年に販売開始となった比較的新しいモデルであり、アウトランダーよりも一回り小さいのが特徴的だ。 豊富なグレードラインナップが揃っており、1.5リッターのガソリン、2.2リッターのディーゼル、そしてプラグインハイブリッドと幅広い選択が可能となっている。 細長いヘッドライトに迫力のあるグリルが近未来的なクルマをイメージさせるデザインとなっており、インテリアも高級感あふれるデザインとなっている。 最新のインフォテイメントシステムや安全機能が装備されていながら、安価な価格設定が人気の秘訣となっているそうだ。 ■まとめ これらのランキングを見ていただいたら分かるとおり、人気SUVモデルの上位にランクインしているのはどれもコンパクトモデルばかりだ。 まさに世はコンパクトSUV時代。 2022年度のランキングでは、メルセデス・ベンツ GLBやアウディ Q2、BMW X2など、並いる強豪を抑えて日本車メーカーがランクインしていた。 特にドイツでは日本車に対するイメージが好意的で、壊れにくい、維持費が安いなどの理由から家族層や若者層に多く選ばれているようだ。 今後もこの熾烈なSUV争いはどうなっていくのか。 また日本車メーカーがトップ10入りを果たす日がくるのか。 今後のドイツにおけるSUV市場に目が離せない。 [画像・日産、マツダ、三菱/ライター・高岡 ケン]

ランボルギーニ ディアブロはミレニアル世代?! フラッグシップモデルの系譜を受け継いだ歴史を振り返る
旧車の魅力 2023.08.31

ランボルギーニ ディアブロはミレニアル世代?! フラッグシップモデルの系譜を受け継いだ歴史を振り返る

名車カウンタックの後継車として開発されたランボルギーニ ディアブロ。独特のスタイリングとV12サウンドはスーパーカーの象徴としても讃えられ、現在も多くのファンに愛されています。 20世紀末に登場し、次世代の基礎を築き上げたディアブロの歴史を振り返ってみましょう。 世紀末の10年を駆け抜けたディアブロ ランボルギーニ ディアブロは、1990年〜2001年まで販売されました。奇しくもちょうど20世紀末の10年が販売期間にあたり、21世紀に登場する後継フラッグシップモデルを形作った車種でもあります。 まずは、ディアブロの開発背景や基本性能を詳しく紹介します。 名車カウンタックの後継車種 ランボルギーニ ディアブロは、16年もの長期間販売されていた名車カウンタックの後継車種として1990年に登場しました。ディアブロの開発にあたって、ランボルギーニは「最高速は最低でも320km/h(時速200マイル)を超え、力強く異端でなければならない」と厳しい開発ハードルを自ら課します。スーパーカーの代名詞にまでなった名車カウンタックの後継車だけに、普通のクルマでは意味がないと考えていたのでしょう。 カウンタックと同様ミッドシップに縦置きで搭載した5.7LのV型12気筒エンジンは最大492psを発生。ボディデザインは、現代的な曲線を取り入れて新たに生まれ変わったものの、残された直線部分からカウンタックの面影も感じます。また、カウンタックで世界で初めて採用されたランボルギーニの象徴であるシザーズドアも健在です。 結果的にカウンタックの16年には及ばなかったものの、ディアブロは2001年までの11年間に渡り生産され、全モデル合計2,903台が販売されました。 スペイン語で「悪魔」を意味する「DIABLO(ディアブロ)」という言葉を車名にしたという背景からも、カウンタック以上に独自性をもったクルマにしたかったメーカーの想いがうかがい知れます。 縦置きミッドシップはフラッグシップの系譜 ディアブロはカウンタックと同様に、大型のV12エンジンを縦置きミッドシップに搭載しています。実は縦置きミッドシップは、カウンタック開発時にランボルギーニが苦心したポイントでした。 横置きミッドシップで発生する後輪の軸荷重問題を解決するため、カウンタックでは縦置きレイアウトの採用を決めます。一方、巨大なV型12気筒エンジンを縦に置くと、ホイールベースが長くなり旋回性能が低下してしまう点が課題でした。 そこで、前後を入れ替えて、エンジンの前側にトランスミッションを置く配置を考案。理想的な重量バランスと、旋回性能の両立を成功させます。ディアブロにも同様のレイアウトが採用され、ランボルギーニのフラッグシップモデル伝統のパッケージに仕上げられました。 柔軟な姿勢で開発されていた フラッグシップという位置づけのディアブロは、いわばランボルギーニの顔です。V12エンジンやミッドシップレイアウトといったスーパーカーとしてのこだわりをみせる一方、実は社外の意見やパーツを取り入れる柔軟な側面もありました。 ディアブロのボディデザインは、マルチェロ・ガンディー二がデザインしたプロトタイプ「P132」がベースです。「P132」は直線基調のカウンタックのデザインを踏襲したものでした。しかし、当時の親会社クライスラー社の意向もあって、大幅に手を入れることが決定。最終的には、前モデルのカウンタックと比べると、角を落とした滑らかなボディラインでリリースされました。 また、ディアブロの後期型では、実は日本の自動車メーカー日産のパーツが流用されています。一部地域の法令への対応でリトラクタブルヘッドライトを廃止する際に、日産 Z32型フェアレディZのヘッドライトを流用しました。正式に部品供給を受ける契約を日産と結べなかったとの話も残っており、その証拠にヘッドライトには「NISSAN」のロゴが入っています。 世界で337台しか生産されなかったディアブロ VT 6.0 ディアブロは2001年に生産終了するまで、意欲的に新モデルやバリエーションを投入し続けました。なかでも、世界でわずか337台しか生産されなかったディアブロ VT 6.0は、高い走行性能と希少性から人気を博しているモデルです。 ディアブロ最後のモデルにもなった、ディアブロ VT 6.0について紹介します。(正確にはディアブロ VT 6.0SEが最終モデル) アウディ傘下で登場したディアブロ VT 6.0 ディアブロ VT 6.0は、ディアブロの発売からちょうど10年が経過した2000年に登場しました。1999年からランボルギーニはアウディの傘下になっていましたが、ディアブロの開発は続行されます。 初の社内デザイナー、ルク・ドンカーヴォルケによるスタイリングの変更が行われるなか、ディアブロ VT 6.0は誕生しました。エンジンは当初の5.7Lから6.0Lに拡大され、最高出力550ps、最大トルク63.2kgmを発生。強力なパワーは4WDによって余すことなく路面に伝えられ、豪快な加速を味わえます。初期モデル登場から10年を経て、ディアブロは最終モデルで最大の進化を遂げました。 実は4WDを前提に開発されていたディアブロ ディアブロの初期モデルは、後輪駆動のいわゆるMRです。しかし、ディアブロは当初から4WD化を想定していました。ディアブロ登場から3年後の1993年に、ランボルギーニ初の4WDグランツーリズモ「ディアブロ VT」をリリースします。 「VT」とは「ビスカス・トラクション」の略で、ランボルギーニの4WDシステムです。ディアブロ VTのリリース後、1995年のディアブロVTロードスターを経て、ディアブロ VT 6.0に繋がります。 後継フラッグシップにつながったディアブロ ディアブロは、2000年以降のランボルギーニフラッグシップモデルに大きな影響を与えました。カウンタックから引き継いだレイアウト、圧倒的にパワーアップしたV型12気筒6.0Lエンジン、初の4WDと後継のムルシエラゴやアヴェンタドールにもみられる特徴は、すべてディアブロで実装されています。 ディアブロはある程度買い手が限定される車種のため、購入時も売却時も注意が必要です。希少車の取扱いに慣れた専門業者でないと、車輌状態の確認や価格の妥当性に不安が残ります。 ランボルギーニ ディアブロを売買する際は、流通の少ないモデルでも問題なく取り扱える専門業者への相談をおすすめします。

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.14
旧車の魅力 2023.08.31

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.14

旧車王をご覧の皆様! いつもこの「邪道」なコラムをお読みいただき、ありがとうございます。 今回は幻(?)の旧車について、アルミ弁当箱を通してお話をさせていただきます。 よろしくお願いいたします。 ■第14回 ~今回の斜めから見た旧車~ 今回の話は前回ほどいい加減な話ではありません(気になる方は前回の私のコラムを)。 ■日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.13https://www.qsha-oh.com/historia/article/matsudo-vol13/ 「ここに描かれているクルマは何なのか?第二弾!」なんです。 ただこちらはなんとなく正体がわかっているような気もするのですが・・・。 アルミ弁当箱の世界ではよくある話で、「わざとぼやけて描くことは少なくないこと」とお話させていただきました。 もちろん大人の事情でございます。 しかし、アルミ弁当箱に描く方も、あちらこちらに「ヒント」を残しています。 そのヒントを見つけ、自分たちで「解釈」していくのがアルミ弁当箱の楽しみの1つであります。 ■これは実存したくるまなのか? アルミ弁当箱の写真をよく見ていただきたい。 一見するとこの図柄のクルマはいい加減に描かれ、ベース車輌がないようにも思えます。 実際私も勝手にそう思っていました。 しかし、この図柄には大きなヒントとなるものが描かれているのです。 そのひとつが、ドライバーが子供であるということです。 そしてもう一つのヒントは、何気に描かれている「標識」です。 この2つが今回の「クルマ」の正体に迫る大きなヒントになるのです。 ■昭和の子供達なら実は運転したことのあるクルマ? まず運転しているのが小さな子供ということが気になりました。 私は当初、マツダの「R360」を可愛くオープンカーにしてイラストにしたのかと勝手に思っていたのですが、どうも「子供」に意味があると考えると、「コニー」の「グッピー」をベースとして昭和40年頃に神奈川県の「こどもの国」で活躍していた、「ダットサン・ベイビー」を思い出しました。 当然、子供たちが運転する「ゴーカート」のようなクルマでしたが、あえてその姿を描いた貴重なアルミ弁当箱なのでは?(実際のゴムのバンパーは描かれてないが・・・)、と考えたのです。 そこでもうひとつの気になること「標識」です。 この頃は「交通戦争」時代。 子供達に交通ルールを覚えてもらうためのひとつとしても、「こどもの国」で啓蒙活動をすべくこのクルマが活躍していてもおかしくありません。 ですからあえて「止まれ」の標識を一緒に描いたのではないでしょうか? ということで、この赤いお弁当箱の可愛い謎のくるまは「ダットサン・ベイビー」ではないか、という見解となりました! まだまだアルミ弁当箱に描かれているクルマは謎が多いのですよ! それではまた次回をお楽しみに! ■お知らせ そしてここでお知らせを・・・・・。 私のコレクター本「アルミ弁当箱図鑑 マニアック編」がアマゾンにて絶賛発売中です。オールカラーの100ページに様々なジャンルのアルミ弁当箱を詰め込んでおります。是非、読んで頂ければありがたいです!よろしくお願いいたします。 ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション(ヴァンタス)https://www.amazon.co.jp/dp/4907061471 そしてなんと!この私に映画出演のオファーがありました!「路恋人」監督の「ぜんぶ朝のせいだ!」にちょこっと出演させていただきます。9/24には「アメイジング 映画部2」にも出店予定でトークショーも?!詳細が決まりましたらまたご報告させてください! ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』オフィシャルTwitterhttps://twitter.com/morningall2023 ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』特報https://www.youtube.com/watch?v=vg0LHPEM6Ss 10月1日には久々の関西遠征!大阪ロフトプラスワンウエストにて「ファンタスティックヴィレッジ」でトークショーをさせていただきます。12時から16時で開催いたします!お近くの方は是非!前売り券、絶賛発売中です! ●『第4回ファンタスティック・ヴィレッジ』 – LOFT PROJECT SCHEDULEhttps://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/260209 [画像 / Dreamstime  撮影/ライター マツド・デラックス(山本圭亮)]

ドイツ人はサンキューハザードを使わない?日本人が感じた現地のセオリーとは
旧車の魅力 2023.08.25

ドイツ人はサンキューハザードを使わない?日本人が感じた現地のセオリーとは

筆者はドイツにて、毎週約800キロをクルマで移動する生活を送っています。 今ではなんとかドイツでの走り方に順応できていますが、ドイツと日本、二つの国で長くクルマを運転していると、運転事情や運転マナーなどについて、日本との違いを感じることも多々あります。 この記事ではその違いについて、いくつかご紹介いたします。 ■アウトバーンは走りやすい?走りにくい? アウトバーンは速度無制限ということで日本でも有名かと思いますが、そんなアウトバーンでの運転は、どのようなものなのか。 あくまで個人的な感想としてですが、スピードを気にしなくて良い走りやすさのみならず、走りにくさもあります。 例えば追い越し車線。 速度無制限区間では、200km/hやそれ以上のスピードで走っているクルマも珍しくありません。 追い越し車線に出るときは、かなり神経を使います。 筆者の場合、追い越し車線に出ようとミラーを確認したときに、追い越しに来るクルマが相当遠くにいる、もしくはいないときに追い越し車線を走るようにしています。 というのも、愛車のルノー・カングーはパワーがなく、アクセルを床まで踏んでもさほど加速しません。 追い越し車線に出ても速いクルマにすぐに追いつかれ急かされるなど、気持ち良いペースで走れないことも多いのです。 また、フルパワーで無理をして追い越し車線に出るくらいなら、空いているときに余裕をもって走り、燃費を良くする方がストレスもなく経済的であり、メリットが大きいという個人的なこだわりもあります。 もちろん公道なのですべてのドライバーに追い越し車線を走る権利はありますが、自分のクルマのスペックをある程度把握しておくということ、周囲への注意力や判断の素早さは日本の高速道路を走るときよりも求められる気がします。 日本の高速道路のように、常に速度制限がある方が周囲のクルマとの速度差も把握しやすく、安全性も上がりますし、ペースも維持しやすく結果的に走りやすいと感じるのです。 筆者が3年ぶりに日本に帰国して高速道路を走行したときは、「アウトバーンよりも伸び伸びと走りやすくて快適」と素直に思いました。 ▲制限速度80km/h区間が終了、速度無制限区間の開始を示すアウトバーンの標識 アウトバーンでは、遅いクルマが追い越し車線を走っていると普通に煽られます。 もちろん煽り運転は許されることではなく、罰則の対象となります。 それでも追い越し車線を延々と遅いクルマが走っていると、ぴったりくっつかれることもあればパッシングされることもありますし、さらには追い越し車線で左ウインカーを点滅させ、遅い車のドライバーに対して道を譲るよう、合図を出しているクルマも頻繁に見かけます。 あまり多くはありませんが、猛スピードで追い越し車線を駆け抜けていくクルマのなかには、「今は追い越し車線に入ってくるな」と言わんばかりに予めパッシングしながら走行しているクルマを見かけることもあります。 ▲愛車のカングー ここまでは、あまりスピードが出ないカングーに乗っているときのドライバー心理からお伝えしましたが、逆に自分が早い速度で運転する際も、周囲のクルマの動きにはより慎重にならなければなりません。 筆者は、知人が所有するディーゼルエンジン仕様(194ps)のメルセデス・ベンツEクラスを運転する機会がしばしばあります。 速度無制限区間での巡行は140~160km/h、追い越し車線では170km/h~190km/hで走ることが多いのですが、走行車線に複数台確認できるときは急に自分より遅いクルマが入ってくることを想定してアクセルを緩めるなど、いつでも安全に車間距離を確保できるよう、常に心がけながら走っています。 ▲しばしば運転する機会があるメルセデス・ベンツEクラス ■ドイツ人はサンキューハザードを使わない? 続いて、ドイツにおける運転マナーについても少しふれておきましょう。 ドイツでは、日本で「割り込み」と認識されるような距離感で堂々と前に入られることが日常茶飯事で、入れる側も当たり前に入れてあげます。 強引に前に入られたときも、また走行中、ウインカーを出しているクルマに進路を譲ったときも、お礼をされることは基本的にありません。 何もアクションなしが93%、手を挙げてお礼が5%、サンキューハザードが2%といったところでしょうか(※あくまで筆者の感覚です)。 日本人に馴染みのあるサンキューハザードは、ドイツではかなりマイナーです。 皆無ではありませんが、1週間800キロ走行する間、1台見かけるか見かけないかです。 乗用車に比べると、トラックドライバーはお礼をしてくれる方が多い印象です。 しかし、こちらもサンキューハザードはマイナーで、ウインカーを左右交互に点滅させてお礼を伝えてくれます。 ■ドイツではフォグランプをいつでも点けて良いわけではない もう一つ、ドイツと日本との大きな違いといえば、フォグランプでしょうか。 日本では、夜間走行中にフォグランプを点灯させているクルマが非常に多い印象があります。 アクセサリーとして点けている方もいれば、明るさを補う目的で点けている方もいらっしゃるでしょう。 しかしドイツでは、フォグランプ・リアフォグランプは基本的に点灯させてはいけません。 点灯させて良いのは、視程が50メートル程まで低下した場合です。 霧や大雨により視程が悪化すると、多くのクルマがフォグランプ・リアフォグランプを点灯させます。 ちなみに50メートルをどのように判断するのかというと、アウトバーン側方には必ず50メートル間隔で目印が設置されているので、それを目安とします。 ▲アウトバーン側方に50m間隔で設置されている目印 ▲豪雨により視程が悪化しリアフォグランプを点灯させるクルマ ■おわりに いかがでしょうか。 ドイツと日本を比較すると、交通ルールはいうまでもなく、マナーや環境にもいくつか違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。 筆者自身にも、まだまだ知らないことや気付けていないことがあるかと思いますので、今後も引き続き、興味深い違いがあればご紹介します。 [ライター・画像 / Shima]

アメリカ・ロサンゼルス在住者から見た環境xクルマトレンドとの関係性
旧車の魅力 2023.09.01

アメリカ・ロサンゼルス在住者から見た環境xクルマトレンドとの関係性

アメリカの自動車登録に関する規定は、50州ごとで異なります。 排気ガスに関する規定はそのうちのひとつで、もっとも厳しいのはカリフォルニアではないでしょうか。 ■20数年前のLA近郊はスモッグで街全体が煙に包まれたかのよう 私がアメリカに来たころ(二十数年前)のLA近郊は、スモッグにより街全体が煙に包まれたような日がありましたが、排気ガスの規制が年々厳しくなったり、古いクルマが徐々に少なくなっていったことで改善されていった気がします。 ▲キレイな夕焼けも見せてくれます その頃はまだまだ70年代、80年代のクルマがバリバリ走っていましたし、スモッグチェック(排気ガスの検査)が通らないクルマでも見逃してくれる業者がいたほどです(当時、私は75年式のモンテカルロに乗っていました)。 今はシステムがテスト業者とDMV(日本の陸運局にあたるところ)で直結になったので、そんな裏技をする(してくれる)業者はかなり少なくなったと思います。 しかし、今でもたまに程度良く維持されている初代シビックや、初代プレリュード(ホンダが多い)が元気に走っている姿を見かけます。 新車登録の際、カリフォルニアにおける排気ガス規定(Emission Standard)はとても重要で、州内のメーカーディーラーから購入する場合であれば、当然販売ディーラーは州内における登録を前提としているので問題はありません。 ただし州外のディーラーから購入する際は、カリフォルニア適応、もしくは50州適応のクルマかどうかしっかりと確認する必要があります。 今まで州内・州外ディーラーどちらとも取引をしましたが、メーカーディーラーで働いている販売営業の人間は知識が乏しいため、念には念を入れないとあとで大変面倒なことになります。 カリフォルニアの排気ガス規定に適合するかは、エンジンルーム内にあるEPAステッカーで確認できます。 ▲こちらがEPA ステッカー。今はほとんどのメーカーが、初めからCalifornia Emission Standardになっているようです ■厳しい排ガス規制が、LAの人々の環境に対する意識を高めた この排気ガス規制の厳しい環境だからこそ、LAの人々の環境に対する意識は他州よりは高く、『環境に配慮していることを他者へアピール』⇒『スマートなイメージ』の図式があるように感じます。 このような土壌のなかで、EV、特にテスラは着実にLAでのシェアを獲得しています。 数年前は、日本同様とにかくプリウス(先々代)の数が多く、信号待ちで「四方八方プリウスに囲まれている!」ってことがよくありました。 それが最近はテスラになっています。 前は、Model 3、左右がModel Y、後ろはModel Xといった風に。 アメリカ企業であり、強烈なカリスマ性のあるイーロン・マスクに惹かれる【愛国心の強さ】+【トレンドに敏感】な人々が、それまで乗っていたクルマ(日本、ヨーロッパメーカーが多い)から乗り換えるパターンが多いように思います。 実際、最近私のご近所さんも、1件はレクサス ES300からModel 3へ、もう1件はそれまでトヨタばかり4台所有していたのに、5台目としてModel 3を増車しました。 州のEV購入支援(最大$7,500の税金控除)や、Car Pool(相乗りレーン)の一人乗車での使用可能(テスラは2023年度モデルまで)も、人々の購入を後押ししていると思います。 また私が感じるに、アメリカの人、特にLAの人々はとてもフェアで、合理的な考えを持っています。 なのでとてもフレキシブル。 自分たちの生活に合っていて、それがトレンドや時流に合っていれば、それを選択するのです(なかには、「うちは絶対フォード (シェビー)しか買わない!」という人もいますが…)。 テスラを追随するように、Lucid、Rivian、Polester、FiskerなどEVに特化したメーカーの参入、また大手メーカーも次々とEVのラインナップを投入してしのぎを削っている状況ですが、最近そのなかでも韓国メーカーの台頭が目立ちます。 ▲Rivian R1T ▲Rivian R1S。かわいい外見ですが、実用性も高いです ▲RivianはAmazonデリバリーバンも製造しています ■韓国の自動車メーカーはとにかくマーケットへの対応が早い! 以前から感じていましたが、韓国メーカーはとにかくマーケットへの対応が早いのです! マイナーチェンジも頻繁に行い、消費者に対して常に目新しさを提供してきますし、EVに関しても次々と新しいモデルを投入し、キャッチーなデザイン、標準装備の多さ、どのメーカーよりも長いWarrantyでLAの人々に受け入れられている感があります。 ですが従来からのアメリカンメーカーも負けていません。 以前はシェルビーのVoltとBoltくらいしか見かけませんでしたが、フォード F-150 Lighting、Mach-Eも、よく見かけるようになりました。 【ブランド】+【デザイン】でポジションを確立しているヨーロッパメーカーには、やはり安定の強さがあります。 特にメルセデス・ベンツのEQシリーズ、ポルシェ タイカンも増加中。(このあたりはテスラのModel S/Xと価格帯がかぶるのでしょうか) 私は日本人として、やはり日本メーカーに頑張ってもらいたいと心より思っているのですが、100% EVの選択肢がまだ少ないのが現状です。 ・トヨタ bz4x (252miles)・日産 Ariya (304miles)・日産 Leaf (149miles)・マツダ MX-30 (100miles!?)・スバル Solterra (228miles)※カッコ内は市街/ハイウェイを合わせた平均走行可能距離(ちなみにTesraはほぼ300マイル/約483キロ超え) Youtube ShortのレビューでもAriya以外は結構酷評…。 コロナの影響をもろに受けた人も多いなか、印象としては好景気が続き、人々のインカムは上昇。 利上げの影響すら、一部の人にはあまり大きな影響を与えていないようで、10万ドルを超えるEVの需要も確実に伸びています。 ■ファミリー層でEV1台のみという家庭はかなり少数派 シングルの方は除いて、EV1台のみを所有するファミリーはかなり少なく、ほとんどが複数台所有(公共交通機関があまり便利でない+その他の理由によりetc...)という環境下、今所有しているガソリン車・ハイブリッド車からEVへの買い替えは、今後も増加いしていくと思われます。 各メーカーが在来モデルをEV化させマーケットに送り込んでくるなか、現状ハイブリッドを中心に展開しているトヨタが2026年、新しいバッテリー方式(Solid-State:全個体電池)を搭載したモデルを投入するとのこと。 今のメインストリームとなっているリチウムバッテリー搭載車勢に勝負を挑むときが非常に楽しみです。 [ライター・撮影 / Kenny.M]                              

世界最大級!マツダ車のみを展示する博物館がドイツにあった!
旧車の魅力 2023.08.24

世界最大級!マツダ車のみを展示する博物館がドイツにあった!

去る2023年2月、ドイツのシュツットガルトで行われたクラシックカーの祭典にて、非常に興味深い会社を発見した。 それは、マツダのクラシックカーのみを専門に取り扱う会社だ。 マツダといえば、1949年に設立された、広島県に本社を置く日本の自動車メーカーだ。 日本から遠く離れたこの国で、マツダを心から愛するドイツ人によって設立されたとのこと。 その名も「Mazda Classic - Automobil Museum Frey」 今回は、マツダ車を愛するドイツのとある会社を調査してみた。 ■世界最大のマツダ博物館 同社は2017年にドイツのアウグスブルクにて設立された会社で、日本ブランドのマツダのみを展示している。 マツダ車をこよなく愛するドイツ人オーナーにより設立され、現在では世界最大のマツダ車のコレクションを備えている。 元々は1897年に建てれた路面電車の停留所に使われていた跡地を買い取り、現在はマツダコレクションの博物館となっている。 約1500平方メートルの敷地に、常時50台ほどの車が展示されている。 敷地内には、展示場のほか、結婚式などのプライベートイベントにも利用可能な700平方メートルのイベントエリア、レストラン、マツダグッズのショップなども併設さている。 驚きなのは、これまでに創業者であるウォルター・フレイ氏とその2人の息子によって、40年以上かけて合計120台程のマツダクラシックカーモデルを収集したことだ。 ■目玉商品はコスモスポーツ 1978年にAuto Freyというドイツ初のマツダ正規販売店が設立して以来、現在に至るまでマツダに人生を捧げてきたという。 すべての始まりは、1980年にアメリカのニュージャージー州で見つけたマツダ コスモスポーツだったそうだ。 この車は、現在展示されているすべてのマツダクラシックカーの中で最も思い入れのあるクルマだという。 現在でもマツダのコレクションを収集しているとのことで、何度も来日しているそうだ。 主な展示車は、目玉商品である1969年式のコスモスポーツを初め、1973年式のB1600ピックアップトラックや1992年式のMX-5、さらに1989年式のRX-7 FCなどなど。 日本でもめったに市場に出回らない、希少価値の高いクラシックモデルばかりだ。 また、車輌の状態も驚くほどキレイで、手入れの行き届いた真っ白な塗装には心底魅了された。 ■3. ドイツではちょっとした観光地に これほどまで程度の良い、かつ希少なマツダのクラシックモデルを一気に見られるのは、日本のマツダミュージアムを除いて他にないだろう。 ゆえに現在では、マツダクラシックを一目見ようと、ヨーロッパ中からマツダ愛好家達が観光に来るそうだ。 さらに数ヶ月に一度、マツダミーティングを行われているそうで、なんと多い時は300台ほどのマツダ車がここマツダミュージアムに集結するとのこと。 博物館は祝日以外、土日も営業しており、大人1人5ユーロ(現在のレートで約800円)と、非常に安価で楽しめるのも魅力的だ。 著者も近くを訪れた際にはぜひ一度足を運んでみたいと思う。 日本から遠く離れたこの国で、日本車の愛に溢れた会社を発見できたことは日本人としても誇り高い。   [ライター・カメラ / 高岡 ケン]

S15のカーエアコン用コンプレッサーの交換と、カーエアコンにまつわる思い出
旧車の魅力 2023.08.17

S15のカーエアコン用コンプレッサーの交換と、カーエアコンにまつわる思い出

クルマに乗るのに、カーエアコンが必須な時期になりました。 1990年、東京都の猛暑日は2日間でしたが、昨年(2022年)は16日と、実に8倍! 一昔前はカーエアコンレス車に乗って「カーエアコンなんて軟弱なやつが使うもの」と、うそぶく方もいらっしゃいましたが、今や自殺行為以外の何物でもない時代となってしまいました。 と、こんなことを書いていた矢先の出来事。 この酷暑の中、すべての窓を全開にした8代目グロリア(Y31)とすれ違いましてね。 おそらくカーエアコンが効かないか、まったく動かないのでしょう。 運転席と助手席には、大学生とおぼしきお兄さんたち。 いや、若さってなんでもアリだなぁ。 いわゆるVIP系のドレスアップをされていない、ノーマル状態で綺麗なグロリア。 中古車の価格には疎いのですが、カーエアコンが不動であっても、決して安くはないと思います。 もっと快適で乗りやすい中古車もあった中での選択。 その素敵な笑顔からも、お兄さんが旧車ライフに踏み出し、グロリアを楽しんでらっしゃることがうかがえます。 納車、おめでとうございます。 くれぐれも熱中症にはご注意ください。 ■夏本番、コンプレッサーまわりの総取っ換え待ったなし! ここ数年、冷房の効きが悪くなった、愛車のS15。 外気が35度を超えると、吹き出し口から“ちょっとだけ涼しい”程度の冷風しか出ず、車内温度が下がらないという症状が出ていまして。 高速道路で渋滞にはまった際、助手席に座る妻を熱中症に陥らせたりもしました。 「さすがに、これはまずい」と、行きつけの自動車整備工場に持ち込んだところ、フロンガスは入っており、カーエアコン自体に異常はなし。 「コンプレッサーが弱くなっているほか、周辺の装備も劣化している。またエンジンルーム内が想定以上の暑さになり、効きが悪くなっているのではないか」との結論に。 そして「修理するなら、コンプレッサーまわりの総取っ換えがお勧め。多分、コンプレッサーだけ交換しても、すぐ周辺に異常が出る」とのこと。 まぁ、そうですよね。 コンプレッサーだけ交換して、勢いが復活!  けれど弱いからこそ、バランスが取れていた周辺の装備(コンデンサーやエパボレーターなど)もあって、大きな負荷がかかれば一気に問題が吹き出るでしょう。 コンプレッサーまわりをまとめて交換となると、10万円を超える出費。 けれど猛暑日に達しなければ、まだそこそこ冷房が効いているのが悩ましいところ……。 いやいや、今年の暑さはこれからが本番。 熱中症や事故を防ぐためにも、交換しないわけにはいかないでしょう。 来年になったら、車検でお金がかかるわけですし。 昨今の暑さを想定したパーツに替わるのですから、きっと格段に冷房の効きが良くなる……のでは、ないでしょうか。 一般的にカーエアコンの寿命は10年ほどといわれており、頻繁に使用することで長く調子が維持できるそうです。 S15のカーエアコンは無交換で24年目ですから、かなりの“当たり”を引いたことになります。 こちらをご覧のみなさんは、これから年式が10年以上の古いクルマを購入されるのだと思います。 現車確認の際、カーエアコンまわりが交換してあるかを確認し、無交換だったら乗り出し前に交換してしまうのも手ではないでしょうか。 乗り出した後の不安や苦労の種は、ひとつでも潰しておきたいですからね。 ■夏は旧車の程度や素性を知る良い季節 日本車で最初にカークーラーを装備したのは、初代トヨペットクラウンで1957年。 カーエアコンを装備したのは、2代目トヨペットクラウン(マイナーチェンジ後)で1965年。 オートエアコンを装備したのは、トヨタセンチュリーで1971年だそう。 私が免許証を取得した頃(1990年頃)は、ほとんどの新車にカーエアコンが標準装備されるようになった時代。 子供の頃にはありふれていた三角窓、手動式の車内への空気導入口、後部座席の窓がわずかに外に開く機構は、すっかりと姿を消していました。 けれど当時のカーエアコンは効率が悪く、まだまだエンジンのパワーを食う代物でした。 今やカーエアコンやエンジンの進化、制御の高度化により、カーエアコンがエンジンパワーに与える影響はほとんどありませんが、当時やそれ以前は影響がとても大きいものでした。 特にAT車は排気量が1500~1600ccあっても、フル乗車すると勾配のきつい上り坂で、徐々に速度が落ちてしまいました。 あわててカーエアコンを切ってアクセルベタ踏みし、エンジンを唸らせて登ったのも、懐かしい思い出です。 当時はまだMT車の需要が大きかったのですが(MT27.5%:AT72.5%)、選ぶ理由に「カーエアコンの影響を受けにくい(低いギアで走ることにより、速度低下といった影響を最低限に抑えられる)」というのも、あったかもしれません。 程度の良い個体が多いことや球数の多さもあり、旧車を購入するにあたってAT車を検討されている方も多いと思います。 カーエアコンの影響は思いのほか大きく、特に夏場は大排気量車ではないかぎり、オーバードライブボタンやセカンドレンジを駆使してパワーの低下をフォローする必要が出てきます。 現代のクルマのようにDレンジオンリーで走行というわけにはいかず、必然的にトルクコンバーターやトランスミッションの程度も、重要になってきます。 日本の夏は、クルマにとって過酷な環境。 旧車は試乗が難しいと思いますが、可能ならばカーエアコンを入れて急勾配な上り坂に挑むことで、そのクルマの程度や素性、クセがある程度わかりますよ。 [画像・糸井 賢一,AdobeStock / ライター・糸井 賢一]

過去3回「サンブレフェスタ」で進化をふりかえる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.6
旧車の魅力 2023.08.16

過去3回「サンブレフェスタ」で進化をふりかえる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.6

誰もが入手できるスチール製角材とアルミ板を素材に、手作業で創り出された「手作りの6輪F1タイレルP34」。 このマシンを間近で観られる貴重な機会のひとつが、去る6月末に道の駅おおた(群馬県太田市)で開催された「サンブレフェスタ2023」だ。 当メディアでも、サンブレフェスタに初めてこのマシンが展示された2021年から毎年このイベントを取材している。 今回、今年を含む過去3回の模様を振り返ってみた。その進化の過程で見えたものとは……? ■サンブレフェスタ2021 1977年仕様のマシンとしてサンブレフェスタに展示したのが、2021年6月のサンブレフェスタ2021。当時、ハヤブサのエンジンはシャーシにマウントされているものの、吸排気系、燃料系、駆動系とはつながっておらず、自走はまだできない状態。さらにリアウイングのステーやメーター周り、コクピットなども未塗装のまま。しかし、ファンにとってはこの日が初見という方が多く、その存在感に圧倒されていたのが印象的だった。 ■サンブレフェスタ2022 それから1年後、2022年6月のサンブレフェスタ2022で展示されたときの模様がこちら。この時点で自走可能な状態になっており、キャリアカーから展示スペース(私有地内)まで綿引氏自らタイレルP34をドライブして移動。朝早くから会場に足を運んだファンにとっても嬉しいサプライズとなった。また、新造の1976年仕様のカウルが製作段階(未塗装)の状態で被せられ、前年とはまったく異なる装いに。未塗装だからこそ味わえる、ハンドメイドボディの質感が間近で観られるまたとない機会となった。 ■サンブレフェスタ2023 そして今年。サンブレフェスタ2023に展示されたときの模様がこちら。1976年日本GP「シェクター仕様」を再現して展示。見た目の進化だけでなく、この1年間でサーキットを攻められるほどの領域に到達。コクピットやフロントカウルなど、相応のスピード域で走り、乗り降りの際についたであろう傷も確認できた。もはやこのタイレルは「見せる」ために生を受けたマシンではなく、このまま姿でサーキットを攻めることで「魅せる」術を身につけていることを実感した。 ■各部のディテールの変化 それでは、各部の進化の過程をふりかえってみよう。可能な限り同じアングルの画像を集めてみた。なお、上から2021年/2022年/2023年の順となる。 ●フロント ●リア ●サイド ●リアウイング(リアまわり) ●エンジンまわり ●コクピットまわり ●ホイール ■まとめ:作り手の魂が宿る「手作りの6輪F1タイレルP34」を、ぜひご自身の目で確かめみてほしい この連載でも何度もお伝えしているが、このタイレルP34はコンプリートマシンではない。 模型や当時の資料などを元に綿引氏が図面を引き、スチールの角材とアルミの板を切り貼りして溶接を繰り返し、たたき出して完成させた「手作りのF1マシン」だ。 ゼロベースで実車さながらのタイレルP34を造り上げただけでも離れ業といえるのに、ここからさらに市販のバイクやクルマなどの部品、さらにはワンオフで自作したものを組み合わせて実走、しかもサーキットを連続して周回できるマシンへと仕立て上げてしまったのだ! マシンを造る人、そしてマシンに合う部品を集めて組み上げる人、さらにはある程度のハイスピードの領域で攻められるセッティングと耐久性を生み出してしまう人。 本来であれば、それぞれ別々の人が力を合わせてはじめてようやく完成できる領域だろう。 それを綿引氏はほぼ1人でやってのけてしまった。 取材を通じて何度もこのマシンを観てきたが、その事実を目の当たりにするたびに身震いがする。 しかし、当の綿引氏は「0から1のものを造り上げる」苦労よりも、楽しんでここまで仕上げたような印象が強い。 やはり、好きに勝るものはないのかもしれない。 今回、改めて思ったことがある。 このタイレルはまだまだ進化の過程なのだということを。 もし、まだこの手作りの6輪F1タイレルP34の実車を観たことがない人であれば、ぜひ何かの機会にその目で確かめてほしい。 もはや、このクルマがゼロベースで造られたとはにわかに信じられないほどの完成度だ。 実は手作り……と説明をしないと、コンプリートマシンだと信じてしまう人も多いだろう。 そして「作り手の魂が宿るマシン」の表現が大げさではないことを実感できるはずだ。 そして、これまで実車を観たことある人であれば、ちょっとした変化に気づくかもしれない。 繰り返しになるが、ぜひ1度、ご自身の目で、細部にいたるまでこのクルマの造り込みを観て欲しいと思う。 驚きと感動に満ちた体験となるに違いない。 展示されるイベントの情報が分かり次第、旧車王ヒストリアでもアナウンスする予定だ。 なお、直近の予定では、8月20日にキナラガーデン豊洲で開催される「PURPOOL PARADISE KIRANAH GARDEN TOYOSU」にてタイレルが展示される。イベントは夕方からだが、タイレルは朝10時から展示されるとのことだ。 ●PURPOOL PARADISE KIRANAH GARDEN TOYOSU ・開催日時:8月20日(日)16:00〜22:00・場所:キナラガーデン豊洲・URL:https://www.kiranahresort-toyosu.com・住所:東京都江東区豊洲6-5-27・アクセス:https://www.kiranahresort-toyosu.com/access/・tel:03-6910-1818 ■手作りの6輪F1タイレルP34とは? 茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作している、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。 その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。 また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずある。 そのため、忠実なレプリカというわけではない。 つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。 製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。 しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。 ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html ●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki" ※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています https://www.youtube.com/@cbrwatahiki ※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。 ●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s ●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA ■「道の駅おおた」について ・所在地:〒370-0421 群馬県太田市粕川町701-1https://goo.gl/maps/E3vus5Vmbpjn8mz68・電話:0276-56-9350・FAX:0276-56-9351・駐車場;普通車:126台、大型車:40台、身体障害専用:4台・URL:http://michinoeki-ota.com ●道の駅 おおた <公式> Facebookページ https://www.facebook.com/michinoeki.ota/ ●道の駅おおた広報「おっくん」 Facebookページ https://www.facebook.com/ekicho.ota/ ●道の駅 おおた <公式> Twitter https://twitter.com/michinoekiota [ライター・カメラ/松村 透]  

ドイツでレクサスLFAが3台も販売中!?その驚きの価格とは!
旧車の魅力 2023.08.11

ドイツでレクサスLFAが3台も販売中!?その驚きの価格とは!

世界中のコレクターが喉から手が出るほど欲しいレクサスをご存知だろうか? その名も「レクサス LFA」 日本が世界に誇る、超一級のスーパースポーツカーである。 2010年12月から2012年12月までのわずか2年間のみ生産され、限定台数500台の希少なモデルだ。 現在ではほとんど市場に出回ることがなく、街中で見かけるのは奇跡に近いほど希少価値が高いモデルだが。 自動車大国ドイツでは現在、2023年7月時点で3台ものLFAが中古車サイトに掲載している。 ちなみに日本の大手中古車サイトでは、現在掲載中のLFAは2台のみとなっている。 ではレクサス LFAはなぜここまで人気を博したのか。 またドイツではどのような評価を受けているのか。 今回はドイツ現地から徹底解説していく。 ■1. 天使の咆哮と呼ばれたサウンド 前述でも述べたとおり、LFAは限定500台のみ生産・販売された2人乗りのスーパーカーだ。 そのうち約50台は、サーキット走行を重視した高性能仕様の「ニュルブルクリンクパッケージ」が生産された。 LFAの名前の由来は、「Lexus Future Advance」の頭文字も取ったものである。 当時、まだ本格的なスポーツカーを持っていなかったレクサスにおける、スポーツカーのコンセプトカーとして誕生した。 コンセプトの内容は「世界超一級レベルの運動性能と、超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」である。 開発に至っては、莫大の開発費がかかっており、新車販売価格は3750万円にも関わらず、赤字だったそうだ。 特にエンジン開発には力を入れており、搭載されるエンジンはトヨタ自動車とヤマハ発動機の共同開発によって誕生した。 専用開発のヤマハ発動機製4.8L V型10気筒エンジンは、最高出力560馬力を発揮する。 音声学に基づいて開発されたエンジンは、そのあまりにも美しく、迫力のあるサウンドから「天使の咆哮」と呼ばれている。 ■2. 日本車最速のクルマ LFAの車両スペックは全てが規格外だ。 ブロンドミッドシップに搭載されたV型10気筒4.8Lエンジンは、最高出力412kW(560PS)、最大トルク480Nmを発揮する。 軽量化と高剛性を図るため、至るところにカーボンが多用されている。 カーボンモノコックシャシーやカーボンセラミックブレーキが採用され、車輌重量はわずか1480kgとなっている。 超軽量化によって繰り出される最高速度は、日本車最速となる驚異の325km/h超え、0-100km/h加速は3.7秒という異次元のパフォーマンスだ。 日本の自動車メーカーとしては、ホンダNSX、日産GT-Rに次いで3番目の本格的なスーパースポーツカーとなった。 ■3. 現在の市場価格は1億越え!? 2009年、東京モーターショーにて市販仕様車が世界初公開された。 世界56ヵ国で500台の限定販売となり、日本国内の割り当ては200台となった。 新車販売価格は3750万円、日本車の量産モデルとしては過去最高額のクルマだ。 発売当初は、半年間に渡って予約を募る予定だったが、予想を遥かに上回る予約が集まったため、予定よりも2ヶ月早い段階で締め切りとなった。 発表からわずか3ヶ月で、購入希望台数は世界累計で500台を超えたそうだ。 現在、日本の大手中古車サイトには2台のLFAが掲載されている。 しかし、価格が公開されていないため、その市場価格は未知数となっている。 ドイツでは、現在3台のLFAが掲載されており、販売価格は最安値の車両でも驚きの829,000ユーロ(2023年7月現在のレートで約1億3,000万円)となっている。 新車価格から3倍以上にも価値が上がっている状況だ。 ■まとめ これまでにも数々の名車を生み出してきた日本の自動車メーカーだが。 恐らく名実ともに日本一のスーパーカーといえば、レクサスLFAではないだろうか。 現在、LFAの後継車となる2台目LFA Ⅱの開発が行われているそうだ。 詳しく情報は発表されていないが、伝説の名車が復活する日をそう遠くはない。 新型LFAもまた新たな伝説の始まりとなるのか。 今後の発表に注目していきたい。 [画像・ライター / 高岡 ケン]

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