旧車と名車が甦るメディア

旧車の魅力と知識

合成燃料とは?合成燃料のメリットやデメリット、今後の課題や見通しについても解説
旧車の魅力と知識 2023.04.27

合成燃料とは?合成燃料のメリットやデメリット、今後の課題や見通しについても解説

合成燃料と聞いてイメージできない人も多いでしょう。合成燃料は、カーボンニュートラルに向けた既存エンジンにも使えるクリーンエネルギーとして注目されています。今回は、合成燃料とは何か、合成燃料のメリットやデメリット、今後の課題や見通しについて解説します。既存のエンジンで環境に優しい燃料を使いたい人は参考にしてください。 合成燃料とは? 合成燃料とは、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成した「e-fuel」のことで、「人工的な原油」といわれています。 原料の二酸化炭素は工場などから排出されたものを利用するのが現状で、将来的には大気中の二酸化炭素を直接回収して再利用することが想定されています。 一方、水素は再生可能エネルギーで作られた電力により水電解を行うことで調達されます。 この2つを合成した燃料が「合成燃料」です。合成燃料を化石燃料由来であるガソリンやディーゼルエンジンの燃料に置き換えることで、CO2排出量を大幅に抑えられます。 自動車の電動化を進めて2035年までに100%の新車販売を目指す「グリーン成長戦略」には様々な課題が残っています。国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、2040年時点でも84%のエンジン搭載車が新車販売においての割合を占めると予想されており、エンジン搭載車両に使用する脱炭素燃料の供給が急務です。合成燃料はこの脱炭素燃料に最適な燃料とされ、世界中で実用化に向けた動きが活発化しています。 続いて、合成燃料のメリットとデメリットについて詳しく解説します。 合成燃料のメリット 合成燃料の主なメリットを2点解説します。 環境負荷が小さい 合成燃料のメリットとして、環境負荷が小さいことが挙げられます。合成燃料は発電所や工場などから排出された二酸化炭素を利用して作られる燃料です。そのため、カーボンニュートラルに貢献する燃料だといえます。 設備を変更する必要がない 合成燃料は、既存の化石燃料と同じように扱うことができるため、設備を変更する必要がありません。設備を増設したり新設したりする燃料の場合、導入に時間がかかります。速やかに導入が可能なことも、合成燃料が化石燃料に代わる燃料として注目されている理由の1つです。 合成燃料のデメリット 合成燃料のデメリットは、普及するまでのコストが高いことです。 合成燃料は、原料である二酸化炭素や水素を環境負荷がかからないように製造するためのコストが非常に高く、現在想定されている製造法ではガソリンの6倍以上ともいわれています。さらに、製造効率も非常に悪くて大量生産が難しいという課題を解決するための技術の開発が必要です。 合成燃料の課題 合成燃料の重要な課題は、コストが非常に高いことです。合成燃料はガソリンなどと同じ液体燃料のため、既存の内燃機関やガソリンスタンド設備が利用できるという面で大きなメリットがあります。しかし、製造コストと製造効率の向上がなければ、一般的に普及する販売単価には至らず需要の拡大は見込めないといえるでしょう。 合成燃料の各社の取り組み状況 合成燃料は、日本のみならず、世界各国で導入の動きが進んでいます。また、燃料を安定的に供給するために、自国での生産を進めている国もあります。 たとえばAtmosfair社は、ドイツのエムスラントでバイオガスプラントやDAC(Direct Air Capture)から得たCO2とグリーン水素を利用して、FT(Fischer-Tropsch)合成を用いて航空燃料を生産しています。再生可能エネルギー(風力・太陽光)を利用したPEM型水電解で水素を供給し、年間350tのeケロシンを生産することを目標としています。 2022年の第一四半期には定期運用が開始され、ドイツの航空会社2社に供給される予定です。このプロジェクトは、Atmosfair社の独自資金で運営され、公的資金や企業からの融資を受けていません。 参考:合成燃料に関する海外の技術動向について・期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅸ) | 脱炭素技術センター 合成燃料の今後の見通し 合成燃料は実用化に向けて着々と準備が進められています。政府は2040年までに商用化し、2050年までにガソリン価格以下のコストを実現する目標を掲げています。 ガソリンと競争するためには、さらなる技術革新と効率改善が必要です。政府による補助金や政策的な支援などの充実化により、技術開発の加速も期待できます。世界中で取り組みが進んでいることから、海外から流入した技術によって合成燃料の課題が急速に解決に向かう可能性もあります。課題は山積みではありますが、合成燃料の普及については期待できるといえるでしょう。

60フェイスへのカスタムも人気のランクル80! クロカン車の地位を築いたモデルの魅力に迫る
旧車の魅力と知識 2023.04.26

60フェイスへのカスタムも人気のランクル80! クロカン車の地位を築いたモデルの魅力に迫る

クロスカントリー車として70年以上の歴史を誇る、トヨタ  ランドクルーザー。なかでも、伝統のスタイリングを色濃く残した60系(以下「ランクル60」)と、現在の旗艦モデルにつながる80系(以下「ランクル80」は今でも高い人気を集めています。 そして、両車の人気の高さから「ランクル86」と呼ばれるカスタムが生まれました。ランクル80にランクル60のフロントマスクを移植するというものです。そこで今回は、ランクル60と80、それぞれの魅力をたっぷりと紹介します。 ファンの間で人気の「ランクル86」 「ランクル86」は、ランクル60のスタイリングはもちろん、ベースのランクル80の人気も高かったことから生まれました。レトロ感あふれるスタイリングを持ちつつ、高い性能をもつカスタムカーです。 ファンを魅了するランクル60と80の概要を紹介します。 ランクルの歴史を変えた60系 ランドクルーザーシリーズは、現在3系統が展開されています。もともとのコンセプト通りのクロスカントリー車、業務用などのヘビーデューティーに対応するヘビー系とその簡易版ライト系、そして旗艦モデルのステーションワゴンです。 ランクル60は、旗艦ステーションワゴンの事実上の最初のモデルでした。これまでの実用車から乗用車に舵を切り、普段使いしやすいスタイリングとラグジュアリー志向のインテリアに生まれ変わります。実用車以外のニーズを掘り起こし、新たなファンを獲得したモデルがランクル60です。 正統進化で高級SUVの方向性を確立したランクル80 実用車から乗用車へ舵を切ったランクルは、1989年末に正統進化した後継モデルを発表します。発表わずか2ヶ月前、1989年の東京モーターショーで初披露されたランクル80です。主戦場である北米、中東、オーストラリアに向けて、先代のランクル60よりもボディを一回り大きく設計。さらに、内外装の質感を向上させ、装備も現代的になったランクル80は、高級SUVという方向性を確立しました。 4WDシステムをフルタイムに変更し、サスペンションに乗用車同様のコイルスプリングを採用するなど街乗りでも高いパフォーマンスを発揮できるように開発されています。 ランクル60の根強い人気から広まったランクル86 初代ランクルから受け継がれた、丸目ヘッドライトのフロントマスクは現在でも多くのファンの支持を集めています。しかし、ステーションワゴン系統では、ランクル60を最後に姿を消し、角型の大型ヘッドライトにスタイリングを変更しました。 一方で、高級志向で装備も現代的なランクル80に対し、まだ実用車の性格を色濃く残すランクル60は不便な面もあります。また、年式の古さから故障のリスクや補修の際の部品の確保という面でも決して維持しやすいクルマとはいえません。 そこで、ランクル80に60の丸目ヘッドライトを移植するカスタムが、ユーザーの間で人気になりました。両車の型式から「ランクル86」とも呼ばれるほど、定番のカスタムメニューです。 60から大幅な進化を遂げたランクル80の魅力 ランクル86が人気のカスタマイズメニューなのは、ランクル80の乗用車としての性能や内外装の質が高かったためです。ランクル60よりもクルマとして劣っていれば、わざわざフロントマスクを移植する必要はありません。 クロスカントリー車として生み出されたランクル本来の性能を高めつつ、高級SUVとしての性格も強めたランクル80の魅力を紹介します。 高級SUV路線へシフトチェンジ ランクル80へのモデルチェンジで、完全に高級SUVへ路線変更しました。前モデルのランクル60で実用車から脱却しましたが、まだ実用車としての側面が色濃く残っていました。ランクル80では、実用車の側面を完全に払拭。旗艦モデルに相応しい車格に仕上がりました。 曲線を多用したスタイリングは、乗用車として違和感のないものになり、ランクル60よりも一回り大型化したボディサイズと合わせて高級車の風格をまといます。フルトリム化した内装は、上質なファブリックや本皮シートを採用。ドアパネルに設置されたアームレストが布張りとなるなど、ヘビーデューティー車からの完全な脱却を匂わせます。また、エアコンやオーディオなどの快適装備も充実させ、「四駆のクラウン」とも呼ばれるほど高級感あふれる仕上がりでした。 本質の悪路走破性もしっかりと向上 乗用車としての乗り心地の追求から、サスペンションをコイルスプリングに変更。しかし、単なる乗り心地だけではなく、ランドクルーザー本来の性能面も追求して開発されています。構造がシンプルで耐久性の高い、これまでのリーフスプリング式をも超える耐久性と走破性を兼ね備えていました。 そして、高い悪路走破性を支える心臓部、エンジンが大幅にパワーアップしたのもランクル80の魅力の一つです。当時のランドクルーザー史上最強の直列6気筒4.5Lエンジンを投入。最大出力215PS(4,600rpm)、最大トルク38.0kg・m(3,200rpm)を発生し、大型になったボディをどんな環境にも運んでくれました。 リセールバリューの高いランクル80 ランドクルーザー自体が人気の高い車種であるためで、モデルを問わず高いリセールバリューが維持される傾向にあります。特にランクル80は、大きな転換点だった車種だけに価格も大きく崩れていません。 また、60フェイスにカスタムしてもデザイン的な違和感がほとんどないのもランクル80が人気の理由です。スタイリングとしては今もなお根強いファンのいる60フェイスにカスタムしたランクル80であれば、状態によっては査定額があがる可能性もあります。 旧車王では、ランクル80や60、60顔の「ランクル86」の買取実績も豊富です。ランクルがお手元にある方は、ぜひ一度旧車王にご相談ください。※価格や経過年数は2023年4月記事執筆時のもの

改めて思う「2ストロークエンジン」っていいよね
旧車の魅力と知識 2023.04.26

改めて思う「2ストロークエンジン」っていいよね

前回「2ドアセダンっていいよね」とか言ってたワタクシ、今回も「2」という数字にかかわるおはなし……。 ■現代の旧車たちが「まだ新車」だった頃 旧車王をお読みの皆さんなら、モチロン2ストロークエンジンについてご存知ですよね。 旧車たちが「まだ新車」だった頃のおはなし。 それは昭和時代……。 原付やスクーター、それに500ccくらいまでのバイクの多くは2ストロークエンジンを積んでいたし、多くの軽自動車も2ストロークエンジンの車が結構走ってましたよね。 詳しい仕組みは省くとして、シンプルな機構と軽快に回ってレスポンスの良いエンジンとして、多くのクルマやバイクに積まれていた2ストロークエンジン。 平成令和と年を重ねてゆくうちに、いつの間にかほとんど見なくなってしまいました。 ■2ストマシンのノスタルジー オールドファンの方々であれば、アクセル回して(踏んで)瞬時に答える「パランパラン・・」という独特の音と、マフラーから吐き出される薄青っぽいケム・・・いや、排気煙。 3000回転以下でクラッチーミートすると「ボボボボボ・・」とか言ってストールしそうになるけど、回転数を取り戻すとアッという間にフケ上がるエンジン特性。 こまめにエンジンオイル足してあげないとエンジン壊しちゃうし、燃費も正直あまり良くない。 けれど、2ストロークマシンが通り過ぎた後の、なんというか独特の匂いに、ノスタルジーを感じちゃう人も結構多いでしょ? 40〜50代以上の人なんかは、ねえ。 まあ、今の世の中「ただクルクル良く回る」ってだけで(だけじゃないけど)、正直環境にも良くないしガソリン喰うしで、ほとんど絶滅しかかっている2ストロークエンジンのクルマやバイク。 それでもときどき街の中で、ケム吐きながら独特の音を立てて通り過ぎる2ストバイクの音に振り向いたり、旅行に出かけた先の山奥や小さな漁港で、地元のジイさんの乗る2ストの軽トラが通り過ぎた後の匂いに泣きそうになる。 そんな経験あるかもしれませんよね。 ■2ストローク初体験 2ストロークのクルマやバイクが廃ってきた理由とか、そんなのは正直どうでもいいんですよ。 でも、今では「珍しい」というか、ほぼ「絶滅種」のライチョウとかトキとかシーラカンスみたいな存在になってしまった2ストロークエンジン車のことについて、少しは思い出してみようかな、とは思っているのです。 2ストロークマシンの初体験は、多くの昭和30年代〜40年代生まれの方々同様、ほとんど原付バイクですよね。 ヤマハのミニトレだったり、スズキのミニクロだったり。 ところがワタクシはホンダ派だったので、初めて乗ったバイクがスーパーカブで、自分で初めて買ったバイクがCB50JX-1という、4ストロークのバイクだったのです。 まあ、これに乗って友達といろんなところ(なんとヤビツ峠も登った!)に出かけたものです。 ということで、ワタクシの2スト初体験は、その後に中古で買った、ヤマハDT125というオフロード車。 なんでこれ買ったのかといえば、世界で初めて市販車で「モノクロスサスペンション」を積んだバイクだったから。 今では珍しくもないリアサスペンションが「1本」というスタイルが、このバイクから始まったようなモノ。 正直それ以外には、背は高いし音うるさいし結構振動するしケム吐くしで、多摩川の河原やよみうりランドの近くにあった多摩サーキット以外では、あまり面白くなかったような思い出があります。 ■超トンがってたフロンテクーペ ところが! ところがですよ。 ワタクシが20代の頃に、とんでもないクルマを安く手に入れたことがあるのです。 それは、あの!スズキの初期型(71年)フロンテクーペ。なんと2ストローク360ccの3キャブ!(ほとんどバイクじゃん)。 駆動形式はRRで2シーター。 2人しか乗れない小ちゃなスーパーカーみたいなやつで、しかもタイヤが10インチの「合わせホイール」という特殊な形式で、ラジアルタイヤ履けない(笑)という、なんかイロイロおもしろいクルマでした。 なにしろRRなもんだからフロントが軽い軽い。 雨の日なんて走らせると直進するのが難しいくらいだし、例によって3000回転以下は使い物にならないので、常にバンバン吹かせて、ドカンとクラッチミート! サスペンションはカート並みで、首都高走ると継ぎ目の度にボディ全体がギシギシ言い出す始末。 しかもガソリン喰うわオイル喰うわで経済観念ゼロ(笑)。 加速中にルームミラーを見ると、ほとんど真っ白(笑)でケム吐きまくり。 内装も真っ黒の中にメーターが6個も横にずらりと並んで、まるで松本零士の描く宇宙戦艦ヤマトの艦内みたい。 というように、正直「むちゃくちゃオモシロかった」クルマなのです。 難儀したのが車検で、スズキのディーラーに持っていったら、露骨にヤな顔されて(笑)、今整備できる人が少なくて……と、1ヶ月くらい待たされた覚えがあります。 なんでも3連キャブの調整ができないので、近くのバイク屋さんに外注したという話を聞いたりしました。 ■超トンがってたRZ250 また、当時ワタクシは、RZ250の初期型も所有しており、バリバリの2スト野郎という感じで、毎日ケム吐いて過ごしていたようなモノでありましたよ。 こちらも興味本位で買っちゃったわけですが、山道走行時のバンク中に、ヘタにアクセル開けると怖い目に遭ったり、音がうるさいので早朝は大通りまで押して歩いて、そこでエンジンをかける、みたいな気遣いが必要だったのですが……。 まあ、この2ストの2台、合わせて5気筒600ccほどの排気量の乗り物も、結婚を機に売り飛ばしちゃったんですけどね。 ■2ストロークのマシンって、いいよね そんなわけで、ワタクシは今でも2ストロークエンジンの、パランパランという乾いたサウンドや吐き出されるケムリ。 ほのかに漂う燃えたオイルの匂い。 そしてエンジンを止めた時に訪れる「シーン」という静けさ。 そしてやはり、止めた後でもなんとなく匂ってくるオイルの香りを思い出す度に、ああ、2ストロークのマシンって、なんかよかったよなあ、という気がするのです。 あの刹那的にビヨーンって吹け上がるエンジンの音と振動、そして目まぐるしく動くタコメーターの針が、結構好きだったのかな、と思ったりするのです。 2ストロークのマシンって、いいよね。 [ライター/まつばらあつし]

ランエボ並の走行性能を有する限定2,500台の希少車種! 三菱ランサーエボリューションワゴンGTを紹介
旧車の魅力と知識 2023.04.26

ランエボ並の走行性能を有する限定2,500台の希少車種! 三菱ランサーエボリューションワゴンGTを紹介

シンプルなデザインで、一見普通のステーションワゴンにさえ見える三菱 ランサーエボリューションワゴン。しかし「ランエボ」の名に恥じない高い走行性能を秘めたマシンです。特に6MT仕様は、本気でサーキットを攻められるステーションワゴンとは思えない実力を備えていました。 走る楽しみと使い勝手の良さを兼ね備えた、三菱ランサーエボリューションワゴンGTの魅力に迫ります。 ランエボの派生車種として誕生したランサーエボリューションワゴン 当初、世界ラリーのホモロゲーション取得のために限定生産された、4ドアセダンのランサーエボリューション、通称「ランエボ」。そして、9代目ランエボの派生車種として、ランサーエボリューションワゴン(以下「エボワゴン」)は誕生しました。 エボワゴンは、発売された翌年の2006年、デビュー戦である十勝24時間レースで堂々の5位入賞を果たします。 ランエボ(セダン)の走りと引けを取らない、エボワゴンの特徴を紹介します。 ランサーエボリューション初のステーションワゴン 2005年9月にランサーエボリューション初のステーションワゴンとして登場した「ランサーエボリューションワゴン」。通称「エボワゴン」は、2005年3月に発売されたランサーエボリューションIXをベースに開発されました。 スバル インプレッサスポーツワゴンのようにスポーティな見た目ではなく、箱型ボディにブリスターフェンダーという、一見商用車ともとれます。しかし、その見た目とは裏腹にすぐれた走行性能を発揮し、乗車する全ての人を驚かせました。 エボワゴンの設定はGTとGT-Aの2グレード ランサーエボリューションワゴンのグレードは、GT(6速MT)とGT-A(5速AT)の2グレードです。両グレードとも可変バルブタイミング機構をもつMIVECエンジン、4G63型直列4気筒DOHC16バルブターボエンジンを搭載していました。ただし、5速ATを採用するGT-Aは出力をやや絞ってあります。 6速MTのGTは、最大出力280ps(6,500 rpm)、最大トルク40.0kg・m(3,000 rpm)を発揮。GSRグレードのランエボセダンと比べるとややトルクは劣るものの、パワーはまったく同じでほぼ同様の高い性能を誇ります。 一方5速ATのGT-Aは、最大出力272ps(6,500 rpm)、最大トルク35.0kg・m(3,000rpm)とモータースポーツ用としてチューニングされているGTと比べ、やや数値的にはやや劣るものの、ステーションワゴンとしては十分すぎる性能を誇っています。 弱点のボディ剛性を徹底強化 ワゴンタイプの弱点はボディ剛性です。特にハッチバックのリアは開口部が大きい上、セダンにはある隔壁がないため、ただワゴン化しただけではボディ剛性が大幅に低下してしまいます。 エボワゴンは、リア部を中心に徹底したボディ剛性の強化を図りました。テールゲートでは50箇所以上にも及ぶ各部のスポット溶接増し、A・B・C・Dピラーとルーフの接合部の補強。さらに、リアダンパーの取り付け部に補強材、大型リヤフロアクロスメンバーを追加といった形で、リア部を中心にボディ剛性の強化を徹底して行いました。 ほぼ手作りともいえるほど製造工程が増したこともあって、わずか2,500台の限定生産でした。 走行性と快適性の2つの顔を持つエボワゴン 車とは、スポーツ性能を追求すると利便性が損なわれ、逆に室内空間の確保といった快適性を重視すると走行性能がスポイルされてしまうのが一般的です。 しかし、ランサーエボリューションワゴンは、この既成概念の払拭に成功します。ラリー並の走行性はそのままに、ドライバーと同乗者の快適性にもこだわって作り上げられました。 ステーションワゴンの概念を覆す走り エボワゴンをドライブすると、ステーションワゴンに対するイメージが180度変わります。スムーズな加速感にキビキビとしたハンドリング、車重を感じる場面も若干あるものの、限りなくセダンに近い乗り味です。 特に6速MTのGTでは、セダン同様のクロスレシオ気味のトランスミッションを備え、トルクフルな4G63エンジンによる気持ちのよい加速が味わえます。さらに、高いボディ剛性を活かしたハンドリングは秀逸です。ヘリカル式LSDの効果もあって、切り込んだ方向に思うがままに向きを変えられます。 走りだけに特化しない充実した装備はセダン以上 エボワゴンの魅力は、走行性能だけではありません。利便性や快適性を重視する、ステーションワゴン本来の性能にもこだわっています。 レカロシートも利便性を重視して専用設計され、セダンとは異なるものを使用。サイドポートを小さくし、乗降の利便性を向上させています。また、セダン以上の静粛性もステーションワゴンならではの設計思想です。ダッシュパネル付近の遮音性を向上させたほか、開口部となる荷室周辺も吸音材や遮音材に加えて制振材まで使用する徹底ぶりをみせています。 ほかにも、HIDヘッドランプや6スピーカー、プライバシーガラスといったユーティリティカーに欠かせない快適装備もしっかりと押さえています。 希少車だけに買取価格も高騰 三菱 ランサーエボリューションワゴンは、2グレード合わせてわずか2,500台の限定生産だった希少車種です。特にランエボのスポーツ走行を受け継いだ人気の高いGTだと、さらに希少価値が高まります。 大手中古車サイトで検索したところ、10万キロを大きく超える車体を含めてわずか25台しかありませんでした。旧車王での買取も、昨年の5月に2006年式で86,600km走行のランサーエボリューションワゴンGTを他社と比べて40万円以上もの高値の240万円で買い取っています。ランサーエボリューションワゴンの売却を検討している方は、ぜひ旧車王へご相談ください。 ※価格や経過年数は2023年4月記事執筆時のもの

軽自動車の買取価格の相場は?軽自動車の高額買取を実現するポイントや売却の流れについても解説
旧車の魅力と知識 2023.04.24

軽自動車の買取価格の相場は?軽自動車の高額買取を実現するポイントや売却の流れについても解説

新車の価格設定が安い軽自動車は高額買取してもらえないと考えている人も多いでしょう。軽自動車は維持費も安いうえに地域によっては車庫証明も不要なため、実は高いリセールバリューが期待できます。今回は、軽自動車の買取価格の相場や高額買取を実現するポイント、軽自動車の売却の流れについて解説します。軽自動車の購入や買取を検討中の人は参考にしてください。 軽自動車の買取価格の相場 まず、人気の軽自動車の買取価格相場について詳しく解説します。 スズキワゴンR スズキ ワゴンRは1993年から販売されている軽トールワゴンです。現行型は6代目となり、初代からの累計販売台数は481万台(2021年現在)であることから人気の車種といえるでしょう。新車購入後の残価率は3年以内で60%台後半、5年以内で40%台後半というデータもあり、現行型の買取相場は50〜100万円程度です。 ダイハツムーヴ ダイハツ ムーヴは1995年から販売されており、軽トールワゴンとしてスズキ ワゴンRと人気を二分してきました。新車購入後の残価率は3年以内で60%弱、5年以内で40%台半ばとなっており、現行型の買取相場は40〜90万円程度です。現行型の6代目は2014年に登場しており、スズキ ワゴンRと比較すると買取相場は若干低めに推移しています。 ホンダライフ ホンダ ライフは1970年代に人気を博した軽自動車を1997年に再登場させた軽トールワゴンです。スズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴとともに軽自動車販売を牽引したモデルで、後継車のN-WGNが登場したことにより2014年に販売を終了しました。絶版車で最終モデルも年数を経ているため、現在の買取相場は0〜30万円程度です。 日産モコ 日産モコは、2002年から販売された日産初の軽量産車です。2016年に販売が終了するまでスズキ MRワゴンのOEM車として、日産独自のアレンジを加えて幅広い層に販売されました。絶版車で最終モデルも年数を経ているため、現在の買取相場は0〜50万円程度です。 ホンダN-BOX ホンダ N-BOXは、2011年から販売されている軽スーパーハイトワゴンです。新車販売ランキングでも常にトップクラスに位置しているため、リセールバリューはかなり高いといえるでしょう。新車購入後の残価率は3年以内で70%超、5年以内で60%台後半となっており、現行型の買取相場は70〜110万円程度です。 軽自動車の高額買取を実現するポイント 続いて、軽自動車の高額買取を実現するポイントについて詳しく解説します。 適切に評価できる業者に相談する 軽自動車の高額買取を実現するためには、適切に評価できる業者に相談することが重要です。カーオークションへの出品が主体となる業者は、台数を確保するために一台ごとの詳細査定には力を入れない傾向にあります。対して中古車販売がメインの業者は、顧客を抱えていたり注力している車種に関しては高額査定を行う可能性が高いでしょう。 軽自動車も車種によっては専門店を構える業者が増えているため、本格オフローダーやワンボックス・トールワゴンなど、買取に出す車のジャンルを得意としている業者の情報収集をしっかりと行うことが重要です。 決算期前の1~3月または9月に相談する 軽自動車の高額買取を実現するためには、決算期前の1~3月または9月に相談するとよいでしょう。決算時期は中古車の販売数が伸びるため、事前に買取価格の相場が高くなります。その時期を過ぎると下取りなどで市場在庫が飽和する傾向にあるため、一部の人気車種以外は買取相場も下落すると考えましょう。 メンテナンスノートを準備する 軽自動車の高額買取を実現するためには、メンテナンスノートを準備することも重要です。メンテナンスノートはメーカーの保証書と点検整備記録簿がセットになっており、新車登録から5年以内の車は保証継続のときにも必要となります。メンテナンスノートの有無で査定額が数万円変わることもあるため、査定前にしっかりと確認しましょう。 内装・外装をなるべくきれいにしておく 高額査定を目指すためには内装・外装をなるべくきれいにしておくことが重要です。汚れた状態では塗装面の傷やへこみ、室内の臭いや汚れの確認にも時間がかかり、査定する側の心証も悪いものとなります。車の状態がきれいだと査定も迅速で高額買取につながりやすいため、内装・外装は普段からこまめに清掃しておきましょう。 軽自動車の売却の流れ 軽自動車の売却の流れについて解説します。 ①買取業者を選定する②査定を依頼③売却先決定、買取契約を行う④必要書類を準備し、車両とともに引き渡す⑤入金を確認する 売却時の必要書類 ・自動車検査証・自動車リサイクル券・自賠責保険証明書・軽自動車納税証明書・認印・振込口座がわかるもの(通帳かキャッシュカード)※事前に準備しておくことで査定した日に引き渡しまで完了します。

市場シェアは驚異の44%!ドイツでMT車が人気の理由とは
旧車の魅力と知識 2023.04.21

市場シェアは驚異の44%!ドイツでMT車が人気の理由とは

著者がドイツに移住して約10ヶ月が経過した。 この国ではトラック、タクシー、レンタカー、一般の乗用車でさえも日本とは比較にならないほどのマニュアル車が走っている。 著者はドイツで自動車業界に携わっており、日々新しい在庫車の仕入れを行っているが、働き始めた当初はそのマニュアル車の多さに驚きを隠せなかった。 ドイツ最大手の中古車取引サイトを見てみると、現在約130万台の中古車が掲載されており、そのなかでもマニュアル車の掲載台数は約57万台である。 ドイツ国内におけるマニュアル車の市場シェアは驚異の44%、おおよそ2台に1台がマニュアル車と言っても過言ではない。 ではなぜドイツではこれほどまでにマニュアル車が選ばれているのか? 今回は現地調査を行ってみた。 ■マニュアル車の歴史 ガソリン自動車がこの世に誕生したのは1886年。 ドイツ人のカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーによってガソリン自動車の歴史が始まった。 その後、1908年にはアメリカのフォード社によって流れ生産方式が構築され、初めて自動車の量産が行われた。 当時は一般的に2速のマニュアルトランスミッションが搭載されていた。 1930年にはドイツの高級車メーカー、マイバッハによって変速機技術は飛躍的な進歩を遂げ、伝説の名車「マイバッハDS8 ツェッペリン」には8速のマニュアルトランスミッションが搭載されるまでになった。 1970年代には3速および4速のマニュアル車が支流となり、現在では5速および6速のマニュアル車が一般的となっている。 ■オートマ車は女性の乗り物? 1940年代から1950年代にかけてゼネラルモーターズ(GM)を始め、アメリカの主要メーカーは急速にオートマチックトランスミッションの開発を促進した。 日本でも1960年代からオートマ車の普及が始まり、1963年にはトヨタ・クラウンに初の2速オートマチックトランスミッションが搭載された。 しかし、1990年代に入るまでオートマチックトランスミッションは動きが鈍く、高価であり、マニュアル車と比べると燃費が悪いと考えられていた。 そのため、当時のドイツでの新車登録台数の80%はマニュアル車が占めていた。 さらにドイツ人男性はスポーティに運転するのを好み、オートマ車は女性の乗り物だという偏見が根強く残っているそうだ。 ■マニュアル車はいずれなくなる? これまでにドイツでのマニュアル車における人気度を解説してきたが、今後もマニュアル車は選ばれ続けるのか。 現在、ドイツでは新車の3分の2(66.4%)がオートマ車となっている。 マニュアル車の新車販売台数は年々減少傾向にあり、その背景にはヨーロッパにおける電気自動車の急速な普及が関係している。 電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)にはマニュアル車の設定がなく、電気自動車の普及が進めば進むほどマニュアル車の数は減少していくだろう。 加えて、ドイツの大手自動車メーカーはマニュアル車の設定を徐々に減らしているため、マニュアル車に乗りたくても乗れない現状となっている。 これについて、多くのドイツ人が不満を抱えていることはいうまでもないだろう。 [画像・PORSCHE/Adobestock、撮影・ライター/高岡ケン]

和製スーパーセブンとも呼ばれたゼロワン! 光岡自動車にとって記念すべきモデルの魅力を大解剖
旧車の魅力と知識 2023.04.19

和製スーパーセブンとも呼ばれたゼロワン! 光岡自動車にとって記念すべきモデルの魅力を大解剖

和製スーパーセブンとも呼ばれる、ミツオカ ゼロワン。光岡自動車が国内で自動車メーカーとして認可を受けた記念すべきモデルです。一方、誤解している方も少なくありませんが、実はロータス スーパーセブンのレプリカではありません。光岡自動車がゼロから開発したオリジナル設計の車です。 今回は、個性的なスタイリングが特徴的なゼロワンの魅力をたっぷりと紹介します。 光岡自動車とゼロワンの誕生を振り返る 個性的な車を生み出し続けている光岡自動車は、創業時から車を製造していたわけではありません。国内10番目の自動車メーカーとなった経緯と、ゼロワン開発について振り返ってみましょう。 単なる自動車工場から始まった光岡自動車 光岡自動車は、国内10番目に認可を受けた自動車メーカーです。しかし、1968年の創業当初は、独自の開発はおこなっておらず、板金塗装や自動車整備を事業の柱にしていました。 自動車開発の一歩を踏み出したのは1982年。マイクロカーの修理依頼をきっかけに、「自分たちでも車を作れるのでは」と独自開発したゼロハンカー「BUBUシャトル50」を発売しました。車としての作りの良さと、50ccという手軽さから全国的なヒットを記録します。BUBUシャトル50の成功を受けて、後継車種も順調にリリースされました。 法改正によってBUBUシャトルシリーズの販売が低迷すると、今度は既存車両の改造に着手します。フォルクスワーゲン ビートルをベースに大幅な改造を施した、メルセデス・ベンツ SSKのレプリカ「BUBU クラシックSSK」を発売。日産 シルビアをクラシカルなスタイリングに改造した「ラ・セード」など、独自の視点と高い技術力で多くの改造車両を生み出しました。 既存車両の改造で培ったノウハウが、オリジナル車両の開発、認可につながっていきます。 ゼロワンによって国内10番目の自動車メーカーになった ミツオカ ゼロワンは、光岡自動車が初めて型式認証を取得した車です。型式認証を取得していないカスタムカーを登録するには、車両を1台ずつ陸運局に持ち込んで検査しなければなりません。しかし、型式認証があれば、新車を販売する都度検査することなくナンバーを取得できます。 1994年のゼロワン発売から2年後の1996年、厳しい適合検査を突破してついに型式認証を取得します。ゼロワンの車検証の車名欄には「ミツオカ」と記載され、光岡自動車は名実ともに国内の自動車メーカーとして認められました。新たな自動車メーカーの認可は、1960年代のホンダ以来の快挙でした。 ロータス スーパーセブンはあくまでも見本だった 「和製スーパーセブン」と評されるゼロワンは、これまで多くのレプリカ車両を手掛けてきた光岡自動車の歴史から、レプリカと誤解されることもあります。実際、ロータス・スーパーセブンのスタイリングをもとにデザインされたことは事実です。 しかし、あくまでも外観上の見本としただけで、車両自体はフレームから光岡自動車によって独自開発されました。さらに、スーパーセブンと似たデザインであることは、実は光岡自動車の高い技術力の証でもあります。1950〜70年代に開発されたオープン2シーターというデザインのまま、1990年代後半の厳しい保安基準をクリアするのは容易なことではありません。 ゼロワンは初の型式認証モデルとは思えない完成度 ゼロワンは、単なる型式認証取得のために作られたのではなく、車としてきちんと作り込まれたモデルです。同クラスの他車種と比較しても、遜色のない走行性能を兼ね備えていました。 本家スーパーセブンと比べると決して高性能とはいえませんが、車作りの情熱が十分に注ぎ込まれて開発されています。ここでは、そんなゼロワンの魅力を詳しく紹介します。 大柄ながら軽量に仕上げられたボディ ゼロワンの重量はわずか720kg。しかし、ボディサイズは、全長3,645mm×全幅1,690mm×全高1,190mmと、スーパーセブンのレプリカであるバーキンセブンよりも大柄に作られていました。FRPとアルミ材の効率的な使用で、徹底した軽量化が図られた結果です。 エンジンは、ユーノス ロードスターに搭載されていた1.6L直列4気筒DOHCエンジンを採用。最高出力は120psながら、ロードスターの1番軽いモデル(940kg)よりも200kg以上軽く作られていたゼロワンをドライブするには十分な出力でした。 自動車メーカーとして妥協なく作り込んだ ゼロワンは、本家スーパーセブン同様に走行性能にもこだわって開発されています。また、多くの自動車メーカーと同様に、発売後のマイナーチェンジや派生車種も生み出されました。 サスペンションは、4輪独立懸架の前後ダブルウィッシュボーンを装備。見た目だけではなく、走行性能にもこだわって開発されました。ブレーキも前後ディスクブレーキを採用し、フロントには冷却効率のいいベンチレーテッド型のディスクが装備されています。 型式認証取得後には、マイナーチェンジも実施されました。エンジンを同じくロードスターの1.8Lモデルに変更。最高出力とトルクが向上したことで、さらに走行性能が高められました。また、ボディサイズを全長95mm、全幅5mm拡大し、フロントのデザインを変更した「クラシックタイプF」もラインナップに追加されます。4速ATを新たに設定した点も、クラシックタイプFの特徴です。 販売台数が限られていただけに高値水準を維持 ゼロワンの販売最終年は2000年と比較的最近まで作られていましたが、販売台数そのものが少なかったことから中古車相場は高値で推移しています。 大手中古車サイトで検索したところ、そもそも5台しかなく、250~350万円ほどの価格がつけられていました。 旧車王での買取価格も高水準で、2023年1月に1996年式のベースグレードを250万円、2023年3月に1997年式のクラシックタイプFを195万円で買い取った実績があります。お手元にミツオカ ゼロワンのある方はぜひ一度ご相談ください。 ※中古車価格は2023年4月執筆時

ル・マン24時間耐久レースの勇姿が蘇るフォード GT40のレプリカGTD40
旧車の魅力と知識 2023.04.17

ル・マン24時間耐久レースの勇姿が蘇るフォード GT40のレプリカGTD40

1966年から1969年のル・マン24時間レースを4連覇したことで有名一躍有名になったフォードGT40。アメ車らしい迫力のある走りに多くのファンが魅了され、さまざまなレプリカモデルが製作されました。 今回は、数あるレプリカのなかでも完成度が高く、今も人気が高いGTD40を紹介します。フォード GT40の歴史とともに振り返りましょう。(フォード GT40は通称名で、正式名称はフォード GT) 輝かしい功績を残したフォード GT40 GTD40のベースであるGT40は、1960年代にレースシーンで活躍したレーシングカーです。伝説とも言われるGT40の活躍は「フォードVSフェラーリ」という映画でも描かれました。まずは、フォード GT40の歴史を振り返りながら、その魅力に迫ります。 ライバル・フェラーリに勝つために誕生 1963年、フォードは経営難にあったフェラーリの買収を試みます。しかし、契約書のレース予算の決定権を巡って交渉は決裂、買収には至りませんでした。 そこで、フォードの2代目社長ヘンリー・フォードは、レースでフェラーリに勝てるレーシングカーの開発を命じます。こうして誕生したのがフォード GT40です。 ル・マン24時間耐久レース優勝 GT40は、開発当初こそトラブルに悩まされますが、参戦わずか2年目の1966年には、ル・マン24時間耐久レースを制します。しかも、当時無敵の強さを誇ったフェラーリを制し、GT40は1位〜3位を独占。ヘンリー・フォードの要求に答えるマシンを、フォード開発陣は見事に作り上げました。 さらに、初優勝から4連覇という偉業を成し遂げ、多くのファンを魅了しました。フォードの高い技術力を証明したマシンとして、今もなお高い人気を誇ります。 レプリカとして製作されたGTD40 ル・マンでの輝かしい成績によって、GT40の人気は一気に高まります。しかし、GT40は量産車ではないので、簡単に購入できるわけではなりません。オークションに出品されても軽く一億円を超える値段がつけられ、現実的に入手は困難でした。 そこで、多くのカスタムカーブランドがレプリカ製作に乗り出します。なかでも、日本に正規輸入代理店のあったGTD社製のGTD40ル・マンが国内でもっとも有名になりました。 GTD40とは GTD社が製作したGTD40は、オリジナルのもつ雰囲気をうまく再現したレプリカです。 レーシングカーと同仕様の車両を作ることは現実的には不可能ななか、こだわるべきところにこだわってGT40の魅力をしっかりと詰め込んで製作された、GTD40の仕様を詳しく紹介します。 アメ車らしいV8エンジン GTD40に搭載されたエンジンは、5.0L~5.4LのV型8気筒エンジン。レーシングカー仕様だった実物のGT40でも4.7L〜7.0Lだったことを考えると迫力十分のエンジンです。数字的な情報は不明なものの、大排気量のV8エンジンの生み出すパワーとトルク、音はアメ車ならではの力強さを感じさせてくれます。 また、レーシングカーさながらのクロス配管であるエキゾーストパイプを採用している点も、GTD40がレプリカとして評価の高い理由の一つです。安価なレプリカでは排気管まで作り込まれていないモデルも少なくありません。見えない部分ではありますが、排気効率という車の性能そのものにかかわる部分だけに手を抜かずに作り込まれています。 特徴的な右ハンドル右シフト仕様 GTD40は、オリジナルのGT40と同様の右ハンドル右シフトという特徴的な仕様を採用しています。当時のサーキットは右ピットが多かったため、右ハンドルのほうがドライバー交代で有利だったためです。さらに、大排気量のMRレイアウトのため、ボディサイドに変速用ロッドを通すことでエンジンとの干渉を防ぐために右側にシフトをレイアウトしました。 当時のレーシングドライバーと同じ視点と操作感覚を味わえる点が、GTD40の大きな魅力と言えるでしょう。(アメリカで販売されたモデルは法律の関係上、左ハンドルのモデルもあります) レーシングカーを感じさせるボディ設計 GTD40は、ボディ設計もできるだけオリジナルを踏襲して開発されました。セミモノコックボディのドアを開けると、レーシングカーらしい極太のサイドシルが印象的です。 サイドシルは燃料タンクも兼ねており、大排気量エンジンを長時間走らせるのに十分な燃料を搭載できます。また、ボディ上部まで開閉するサイドドアは、ドライバー交代をしやすくするために開発されました。GTD40も同様の構造で、全高が低いながらも比較的乗り降りがしやすくなっています。 GTD40といった希少車でも高価買取 GTD40は、フォード GT40のもつ魅力を余すことなく再現したレプリカ車両です。ただし、レプリカながら生産台数は少なく、現在では本家GT40に負けず劣らず入手しにくい希少車となってしまいました。 旧車王では、希少なGTD40を800万円で買い取った実績があります。世の中にあまり出回っていない希少車であっても、旧車王ならきちんと査定いたしますので、愛車の売却を検討中の方はぜひ一度ご相談ください。 ※価格は2023年4月執筆時

Tバールーフとは?特徴や気になる点を紹介
旧車の魅力と知識 2023.04.12

Tバールーフとは?特徴や気になる点を紹介

かつてオープンカーの形のひとつとして採用されていたTバールーフには、どのような特徴があるのでしょうか。メリットを理解しておくことで、納得感をもってTバールーフの車を選ぶことができます。そこで今回は、Tバールーフの定義やTバールーフ採用車種、メリットやデメリットなどを紹介します。 Tバールーフとは Tバールーフとは、ルーフ中央部を残し、左右別々に脱着できるルーフ機構のことです。開口時の形状が「T」字になることから「Tバールーフ」と呼ばれています。完全に屋根が開くフルオープンより剛性が高いことが特徴です。 Tバールーフが搭載されている車種 ここからは、Tバールーフが採用された代表車種を紹介します。 日産 フェアレディZ 日産 フェアレディZには、かつてTバールーフが用意されていました。1980年に設定されたフェアレディZ Tバールーフは、フルオープンカーと同等の解放感や乗降性をそのままに、クーペモデル並みの剛性を確保していることが特徴です。 トヨタ MR2 トヨタ MR2にも、Tバールーフモデルがありました。Tバールーフが登場したのは、初代MR2のマイナーチェンジが実施された1986年。TバールーフのMR2はオプションとして設定されました。 Tバールーフのメリット Tバールーフは、フルオープンカーと同等の解放感でありながら、クーペ並みのボディ剛性を確保していることが大きな特徴です。また、横転したときに乗員が抜け出せるスペースが確保できるため、フルオープンモデルより安全性が高いこともTバールーフのメリットといえるでしょう。 Tバールーフの開け方 Tバールーフを開ける時は、室内のルーフ部にあるロックを解除し、ルーフを上へ持ち上げるようにして取り外します。左右別々に取り外しができるため、片側だけオープンにすることも可能です。 Tバールーフは雨漏りするって本当? ボディ剛性を確保しつつ、オープンエアを楽しめるTバールーフは、雨漏りすることが大きなデメリットです。ルーフ部分のゴム部品が劣化すると雨漏りがひどくなるため、ゴム部品は定期的に交換しましょう。

クルコン(クルーズコントロール)とは?どんな機能なのか紹介
旧車の魅力と知識 2023.04.12

クルコン(クルーズコントロール)とは?どんな機能なのか紹介

運転の疲労を軽減する支援システムのひとつであるクルーズコントロール(クルコン)とは、どのような機能なのでしょうか。今回は、クルーズコントロールの機能を解説するとともに、近年主流の全車速追従機能付クルーズコントロールについても紹介します。 クルーズコントロール(クルコン)とは クルーズコントロール(クルコン)は、車を一定の速度で走行させる機能です。各メーカーで名称が異なるうえに、機能にも違いがあります。そのため、クルーズコントロールを使うときは、どのような機能なのか正しく理解しておく必要があります。 各自動車メーカーのクルコンの名称 クルーズコントロールの名称は、車線逸脱防止機能や前車との車間距離を一定に維持する機能などの追加によって、各メーカーごと名称が異なります。 例えば、日産の場合は「インテリジェントクルーズコントロール」、トヨタの場合は「レーダークルーズコントロール」というように、独自の名称を使っていることもあれば、「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」と広く使われている名称となっていることもあります。 追従型クルーズコントロールとの違い 従来のクルーズコントロールは、速度を一定に維持し続けるだけの機能であり、前車と一定の車間距離をキープしたり減速や停止したりすることはできませんでした。 近年主流になっている追従式クルーズコントロールや全車速追従機能付クルーズコントロールは、前車との車間距離を検知して加減速したり前車が停止すると自車も停止したりするなど、さまざまな運転支援システムを組み合わせた機能に進化しています。 クルーズコントロール(クルコン)の主な利用シーン クルーズコントロールは、一定速度で走行する場面で使うことを想定した機能です。主な利用シーンは次の2場面となります。 高速道路 高い速度かつ一定速度で走行する時間が長い高速道路では、クルーズコントロールが役立ちます。 クルーズコントロールは、高速道路の交通状況が良いときに運転疲労を軽減する機能として有効です。ただし、種類によって機能が異なるため、搭載しているクルーズコントロールが対応できる速度(例:30km/h〜100km/hなど)や、前車を検知する機能の有無、渋滞時のサポートの可否などを確認したうえで利用しましょう。 道幅が広い国道 道幅が広く歩行者や自転車の飛び出しの危険が低い幹線道路でもクルーズコントロールが役立つときがあります。ただし、クルーズコントロールの多くは高速道路での利用をメインとしているため、一般道路で使用する際はご自身の判断で使うようにしてください。 クルーズコントロール(クルコン)のメリット クルーズコントロールにはどのようなメリットがあるのか紹介します。 運転中の疲労を軽減できる クルーズコントロールは、長距離・長時間運転の疲労を軽減できます。 高速道路では、アクセルを一定量踏みっぱなしになることが多いため足腰が疲れやすいです。クルーズコントロールがあれば、このような運転による疲労を軽減することができるため、高速道路を使って移動することが多い場合には、クルーズコントロール付きの車を選ぶとよいでしょう。 スピードの出し過ぎを抑制できる クルーズコントロールは、設定した速度を維持するのが主な機能です。そのため、アップダウンがある場所での速度の出しすぎを防止することができます。 ただし、全車速追従機能付クルーズコントロールでは、急な下り坂を障害物と検知する可能性もあるため、走行する場面に応じてクルーズコントロールのオン・オフを切り替えるようにしましょう。 クルーズコントロール(クルコン)の使い方 クルーズコントロールは、ウインカーレバーやワイパーレバーなどの下に付いているレバーやステアリングスイッチによってオンにしたりオフにしたりします。 メーカーや車種によって操作方法や機能が異なるため、クルーズコントロールを使うときは取扱説明書で使い方や条件などをよく調べてから使いましょう。 クルーズコントロール(クルコン)の搭載車種 クルーズコントロールが搭載されている主な車種は、次のとおりです。 トヨタ クラウン、アルファード、プリウス など 日産 セレナ、スカイライン、エクストレイル など ホンダ N-BOX、シビック、ヴェゼル など その他にも、国産車・輸入車ともにクルーズコントロール搭載車が多くあります。また、車種や年式などによってバージョンが異なることもあるため、クルーズコントロールを頻繁に使うのであれば、機能の限界やバージョンの確認もしておきましょう。

旧車王マガジンは
旧車王
が運営しています

旧車王は、「買取は10年以上の旧車だけ」というコンセプトのもと、旧車・クラシックカーに特化して25年、 累積15,000台以上を買取させていただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

カテゴリ一覧

# 旧車の魅力と知識 # 旧車の売買と鑑定市場 # 旧車の再生と維持 # 旧車のイベント # 旧車の愛好家たち