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旧車の魅力と知識

富とセンスを兼ね揃えた海外セレブからも愛されるクラシックカー
旧車の魅力と知識 2023.09.21

富とセンスを兼ね揃えた海外セレブからも愛されるクラシックカー

海外ドラマや映画の中には、よくクラシックカーが登場します。 特に歴史的な物語を描いている作品に多いといえますが、その時代に主流だったクルマのデザインを映像で知ることができ、映画もドラマも大好きな筆者にとっては楽しみな要素のひとつとなっています。 映画やドラマに出演している俳優や著名人の中にも、クラシックカー愛好家がいるのを知っているでしょうか? ときどき、ファッション誌の特集などで紹介されているのを目にしますが、富も名誉も手にしているスターが最先端の技術と機能を兼ね揃えたハイテクなクルマではなく、あえて古いクルマに乗っているということにとても興味を持ちました。 実際にはどんな人がどんなクルマに乗っているのでしょう? ハリウッドスターからスーパーモデルまで、海外セレブが愛してやまないクラシックカーを紹介していきたいと思います。 ランボルギーニ ミウラ SVJ 1971年製(Lamborghini Miura SVJ)  1966年にデビューした「ランボルギーニ・ミウラ」のサスペンションを作り直し、エアロエンハンスメントを追加し、V12を400馬力以上に改善した最高傑作といわれているのが、「ランボルギーニ ミウラ SVJ」です。 この希少価値の高いクルマに乗っているのは、なんと俳優のニコラス・ケイジ。 名作「リービング・ラスベガス」でアカデミー賞主演男優賞やゴールデン・グローブ賞など数々のアワードを受賞し、「ザ・ロック」「フェイス/オフ」など大作映画に出演しています。 日本人のリコ・シバタさんと結婚したことでも話題となりました。 世界中に不動産を所有しているニコラス・ケイジですが、イランのシャーから1971年製「ランボルギーニ ミウラ SVJ」を購入したとのことです。 しかし経済的理由から、2002年にはすでに売却してしまったというエピソードもあります。 フォルムだけでなく、車内も同色で統一され、マットな質感がより一層高級感を引き立てています。 ポルシェ 356B 1963年製(Porsche 356B) ポルシェ社が1948年に初めて世に送り出したモデル、356シリーズ。 356Bは1959年に発表され、ボディはスチール製でエンジンは1.6Lになり、1961年には2.0Lエンジンが追加されました。 小型ながら丸みを帯びたフォルムがエレガントで女性に好まれそうですが、大道芸人から俳優へと転身したパトリック・デンプシーが溺愛しているとのことです。 「ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル」や、大ヒットとなった医療ドラマ「グレイズ・アナトミー」で知られています。 クルマも多数コレクションしているとのことですが、最初に所持した1963年製の「ポルシェ 356B」が最もお気に入りのようです。 幼少期にポスターで見た「ポルシェ 911」を所持したかったようですが、当時は高価すぎたため「ポルシェ 356B」を購入したというエピソードもあります。 ロールスロイス シルヴァークラウドⅡ 1959年製(Rolls-Royce Silver Cloud II)  1959年に「シルヴァークラウド」からモデルチェンジしたのが「シルヴァークラウドII」です。 最大の違いは、エンジンが直列6気筒からV型8気筒に載せ替えられたことにより、排気量は6227ccとなりました。 デスティニーズ・チャイルドのメンバーとしてデビューし、ソロとしても3rdシングル「イレプレイスブル」が全米チャート10週連続1位、グラミー賞における多数の受賞歴など、輝かしいキャリアを誇る世界の歌姫ビヨンセ。 そのビヨンセが愛車として乗っているのが、1959年製の「ロールスロイス シルバー・クラウドⅡ」。 ラッパーで夫のジェイ・Zが、ビヨンセの誕生日にプレゼントしたとのことです。 美しいブルーのソフトトップとホワイトウォールタイヤを備えたコンバーチブルバージョンで、インテリアには豪華なソフトレザーが使用されています。 エクスキャリバー SSロードスター(Excalibur SS ROADSTER)  「エクスキャリバー SSロードスター」は、1930年代の名車メルセデス・ベンツ SSKを現代に蘇らせたモデルです。 主にスチュードベーカーのシャシーにSSK風のボディを被せ、シボレー製のV8エンジンを積んでいます。 SSKの美しいボディと、アメリカンなV8エンジンの組み合わせを楽しめるのは、まさにレプリカモデルならではと言えるでしょう。 そもそもモデルとなったメルセデスのSSKとは、ポルシェの生みの親であるフェルディナント・ポルシェが設計したスポーツカーです。 優れたデザインや性能で当時から人気でしたが、オリジナルはわずか37台のみという希少さ。 レプリカといえど、俳優、実業家、そして政治家と、あらゆるジャンルで成功を収めたアーノルド・シュワルツェネッガーの愛車とあって納得です。 MG MGB 1960年製  「MGB」は、1955年に販売開始された「MGA」の後継車として、1962年10月にMG(BMC)から発売されました。 マツダ・ユーノス ロードスターが登場するまで、世界で最も多く販売されたオープンカーとして知られています。 1962年から生産され、1980年10月までアビントンで生産されましたが、工場の閉鎖にあたり、周辺では反対運動が起こるほど支持されていました。 世界中から愛されたこのクルマを愛用しているのは、誰もが知ってる説明不要のスーパーモデルであり、UK版『ヴォーグ』のコントリビューティングエディターも兼任しているケイト・モスです。 クラシックカーでありながら、シャープで前衛的なデザインのオープンカーがとても似合いますね。 フォード ピックアップ 1940年製(FORD PICKUP) 主に農業の貨物輸送用に使用されていたピックアップトラックですが、1924年にフォード・オーストラリアが生産を開始したのがはじまりといわれています。 1950年代によりスタイリッシュなモデルを各社が生産し始めましたが、1940年に製造された「フォード ピックアップ」はコロンとしたフォルムが愛らしく、街中を走ってもトラックらしくないスタイリッシュなデザインです。 これと同じではないですが、似たデザインのクルマに乗っているのが、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ等に出演している人気俳優のオーランド・ブルーム。 これまでポルシェ、マクラーレンなどのスポーツカー愛好家として知られてきましたが、クラシックカーやEV車も愛用しているとのことです。 セレブリティーは多数のクルマを所持しているイメージですが、古くて希少価値の高いクラシックカーを長年に渡り、大事に乗っているエピソードは好感が持てますね。 [ライター・Kana / 画像・Lamborghini,Rolls Roycemotorcars,MG]

自動車大国ドイツでもランドクルーザーはさすがの人気だった!
旧車の魅力と知識 2023.09.21

自動車大国ドイツでもランドクルーザーはさすがの人気だった!

トヨタ ランドクルーザーは、半世紀以上にもわたって世界中で愛され続けており、トヨタシリーズにとって欠かせない存在となっている。 オフロードの先駆者でありながら、いかに伝説的かはいわずと知れたところだろう。 ドイツにとってのメルセデス・ベンツGクラス、アメリカにとってのジープ、イジリスにとってのランドローバー、そして日本にとってはランドクルーザーこそ、そのポジションに相当する。 そんな日本を代表するSUV・オフロード車であるランドクルーザーは、ドイツでどのように評価されているのか。 果たして人気はあるのか。 ドイツから現地調査を行った。 ■ランドクルーザー専門店を発見  現在、ドイツの大手中古車サイトには約800台のランドクルーザーが掲載されており、日本と比べると4分の1程度の台数となっている。 “クロスオーバーを購入するなら、メルセデス・ベンツGクラスか?トヨタ ランドクルーザーか” …という記事を度々見かけるが、正直な感想としてドイツにおけるGクラス人気は圧倒的であり、販売台数や市場規模から比べてもGクラスの圧勝だろう。 日本やアメリカと比べるとまだまだ台数が少ない印象だが、そんなドイツにもランドクルーザー専門店は存在する。 先日シュツットガルトで行われたクラシックカーの祭典には、70系ランドクルーザーを中心としたレストア車が複数台展示されていた。 1951年に登場して以来、長い間愛されて続けてきた歴史あるモデルだけに、一定数の愛好家はいるようだ。 ■1番人気は70系ランドクルーザー トヨタ ランドクルーザーは、誕生から72年間、170か国以上で1,100万台以上も販売されている。  何十万キロにも上る道路を悠々と走行し、自動車の歴史のなかでその独自の地位を証明した。 そのエキサイティングで多様な歴史により、この車輌は世界で最も有名なモデルの1つとなった。 一言でいえば、トヨタ ランドクルーザーはカルトである。 その長い歴史のなかでも特に人気が高いのは、1980年から1989年にかけて生産された、70系ランドクルーザーだ。 クラシックな丸型のヘッドライトに角張ったボディが特徴的で、まるでGクラスと兄弟車であるかのような力強いデザインとなっている。 また、相場も30,000ユーロ〜50,000ユーロ(日本円で約500万円〜800万円)と、クラシックモデルとしても非常に高価な部類である。 ■ドイツでの評価ポイントは? 実際にランドクルーザーを購入した人のほとんどが、故障が少ない信頼性を重視したパターンが多いようだ。 正直、見た目やステータス、内装の豪華さなどは欧州車に劣る部分がある。 カッコ良さやステータスを重視した場合、Gクラスやランドローバーを選ぶ人が多いようだ。 しかし、価格は新旧モデルどちらも高めの相場設定となっており、現行の新型ランドクルーザー(J30)にいたっては、平均価格が175,000ユーロ(日本円で約2700万円)と、非常に高額である。 60系や70系ランドクルーザーの人気モデルでも、低走行で状態の良いモデルになると50,000ユーロ(日本円で約800万円)にもなるため、間違いなく高級車のカテゴリーとなるだろう。 中東やアフリカでは多くのランドクルーザーが市場に出回っているが、ヨーロッパ国内では比較的少ないイメージで、その希少性から値段の相場が上がっていることが予想される。 また、一部のコレクターにとって、状態の良い旧型ランドクルーザーは垂涎モノであり、ドイツにもそのコレクターが数多く存在する。 やはり世界的にも評価されているランドクルーザーは、ドイツでもさすがの人気といったところだろう。 また、ドイツでは2024年3月に、旧型のデザインと最新のテクノロジーを融合した新型ランドクルーザー『250』の導入が予定されており、ネット上でも愛好家たちが今か今かと待ち侘びているそうだ。 トヨタ ランドクルーザーほど長い歴史を誇る自動車は多くない。 15世代を超え、無数のバリエーションがあり、70年以上にわたり車輌の歴史を刻んできた。 すべてのランドクルーザーには、妥協のない信頼性という共通点があり、それこそがドイツ国内でも評価されている所以なのだ。 [ライター・画像 / 高岡 ケン]

昨今の業界の問題について|本物のクルマ屋とは
旧車の魅力と知識 2023.09.20

昨今の業界の問題について|本物のクルマ屋とは

中古車業界は、昔からあまりにも不正が多い業界です。 販売においては、メーター巻き戻し問題に始まって、事故歴や修復歴を隠したまま、もしくは見抜けないまま店頭に並べる、おとり広告で架空の車を掲載して集客して別の車を広告とは違う価格で販売する、法外な諸費用をとる、売却では買取契約後に大幅に減額する(いわゆる二重査定)、お客様がキャンセルしたいというと法外な違約金を請求する、そして今回の保険金水増し請求という問題。 なぜ中古車業界で不正が横行しているのでしょうか。 実は、中古車売買事業は参入障壁が非常に低く、古物商許可を取得すれば簡単に開業できます。さらに資金さえあれば、現在はオートオークションが発達しているので仕入れも容易です。 車に関する知識・ノウハウ・技術がなくても、誰でも足を踏み入れられる業界。極端な話、車を一度も触ったことがない人でも始められる事業です。   しかし、「車」は本当にそんなに簡単に取扱いできる存在でしょうか。   車は、約3万点以上もの機械と電子部品が複雑に組み合わさって構成されています。部品の役割も知らない、触ったこともない人が取扱いできる代物ではありません。 中古車になれば、さらにハードルが上がります。 雨風、猛暑や雪や台風のなかを、車体が振動を受け、人や荷物を載せて、何万キロも走行し、時には擦ったりぶつけてしまったりもする、そんな過酷な状況を走ってきたのが中古車です。 ただでさえ複雑だというのに、中古車は長年のダメージを負っています。どの部品をどのように直したらいいのか、もともとどのくらいの価値があったのか、見極めなければならないポイントは多岐に渡ります。正しく取扱うには、豊富な知識、訓練、磨いた技術が必要不可欠です。 瑕疵をプロの眼で見極め、プロの技術で修理し、プロとして流通させるのが、本来の中古車事業です。 技術力を無視して成立させようとするから、不正をしなければ事業運営ができないのです。 そして悲しいことに、中古車業界はそうした会社で溢れかえっています。   しかし、私たちは不正をはたらく会社とは、決して違うと断言します。   私たちは複雑な中古車を取扱うことに誇りをもっています。 不正のはびこる業界体制をどうにかして変えたいと本気で考えています。 旧車王を運営するカレント自動車は、20年以上に渡って数十年前の古いクルマから、世界にわずかしか残っていない希少車、カスタムされたスポーツカー、事故現状車、不動車、故障車などありとあらゆる車輌を取扱いしてきました。本気で車を愛し、そして本気でお客様に寄り添って鑑定します。   中古車を取扱うことに誇りをもつ、私たちこそが本物の「クルマ屋」だと確信しています。 中古車業界の悪しき習慣を変えるべく、これからも真のプロとして邁進して参ります。   2023年9月カレント自動車株式会社

1990年代名車&迷車烈伝Vol.08 スズキ「2代目エスクード」まっとうゆえの葛藤とともに
旧車の魅力と知識 2023.09.19

1990年代名車&迷車烈伝Vol.08 スズキ「2代目エスクード」まっとうゆえの葛藤とともに

三菱「パジェロ」や日産「テラノ」、いすゞ「ビッグホーン」を始めとした、クロスカントリー4WDがRV(レクリエーショナル・ビークル)として一時代を築いたのは、1980年代後半のこと。 1990年代に入ると、さらなる高性能化や高級化が求められ、それらの車種は次世代型へとモデルチェンジしていきました。 今回のテーマ車となるスズキ「エスクード」も、まさに1980年代後半に生まれ、1990年代にフルモデルチェンジを実施した“あの時代”のクルマです。 ▲2代目エスクード前期 初代モデルは1988年、パジェロやテラノよりも小さなボディに1.6リッターエンジンを搭載して登場。 扱いやすいサイズと手頃な価格から、(特に5ドアの「ノマド」が加わって以降)大ヒットモデルとなりました。 「ならば、2代目もさぞかしヒットしたのでは?」と思うでしょう。 しかし、そううまくいかないのが、激動の1990年代というものです。 フルモデルチェンジのタイミングが1997年と少々遅く、“クロカンブーム”が衰退期に入っていたうえに、キープコンセプトで新しいチャレンジに乏しかった2代目は、エスクードを名車から迷車へとその存在を変えてしまったといえます。 ■ヒットした初代のイメージを踏襲するが・・・ 1.6リッターの3ドアから始まり、5ドアを追加。 モデルライフ後半にはボディをワイド化した2.0リッターのディーゼルとガソリン(V6だった!)をラインナップに加え、さらに排気量を2.5リッターに拡大するなど(スズキ初の3ナンバー車に!)、パジェロ顔負けのバリエーションを誇った初代エスクード。 ▲初代エスクードノマド 2代目もこの流れを汲み、ホイールベースの異なる3/5ドアボディに4気筒1.6リッター/2.0リッター、V6 2.5リッター、2.0リッターディーゼルと多彩なラインナップで登場しました(脱着式トップを持つレジントップは廃止)。 デザインは、グリルと一体感を持たせたヘッドランプやブリスター形状のフェンダーなど、初代からのモチーフを踏襲。 1980年代らしい角ばったスタイルが、1990年代らしく丸っこくアレンジされました。 そう、2代目エスクードは、“ヒットした初代の後継”として、ごくまっとうな姿と中身で登場したのです。 では、なぜ迷車となっていったのでしょうか? ▲2代目エスクード前期 それは、スタイリングを見ればわかるでしょう。 初代モデルは潔いほどに直線的で、「上質さ」や「高級感」とは無縁ながら、クロスカントリー4WDらしさの中にアーバンなイメージを溶け込ませた、絶妙な世界観を持っていました。 それに対し2代目は、先の「上質さ」や「高級感」を求めたばかりに、キャラクターがボヤけてしまったのです。 外観と同様に曲線を取り入れたインテリアも、かえって安っぽさを感じさせる結果となってしまったといえます。 木目調パネルなどで飾ったところで、本質は変わりません。 しかも、このころにはトヨタ「RAV4」を筆頭とした、乗用車のような感覚で乗れるライトクロカンが登場しており、アーバンなイメージのコンパクト4WDへのニーズはそちらへシフト。 本格的なオフロード走破性を持つエスクードは、クルマそのもののキャラクターは変わらずとも、市場の中ではマニアックなクルマへと存在感を変えていたのです。 クルマそのものは(少々質感は低くても)決して悪くなく、時代の流れを見誤ったというのが、迷車への入口となったといえます。 ■3列シート7人乗り「グランドエスクード」も登場 それでも、グローバルで見れば小さなオフロード4WDへの需要は少なからずあり、エスクードは進化を続けます。 2000年には、ホイールベースを延長し、2.7リッターのV6エンジンを積んだ、7人乗りの「グランドエスクード」を発売。 北米でも「XL-7」の名で販売されました。 ▲グランドエスクード前期 スズキとしては意欲的なモデルだったものの、全長4640mm×全幅1780mmというボディサイズは、パジェロや「ランドクルーザープラド」に近く、7人乗りの4WD車を求める層にとって、あえて選ぶ理由に乏しかったのも事実。 マイナーチェンジで内外装の大幅なデザイン変更を行うものの、手を加えれば加えるほど“エスクードらしさ”から遠ざかってしまうという、ジレンマを抱えることになっていきました。 ▲グランドエスクード後期 そしてエスクードは、2005年に3代目へとフルモデルチェンジ。 それまでのラダーフレーム構造から、ビルトインラダーフレームというラダーフレームとモノコックの中間的な構造へと成り立ちを変え、スタイリングも初代に立ち返ったようなシンプルなデザインへと、時代のニーズにあった姿形へと生まれ変わります。 2023年現在、販売されているエスクードは2015年に登場した4代目で、こちらはFF(前輪駆動)ベースのモノコック構造に。 ハイブリッド仕様も用意し、グローバルで展開されています。 ■試行錯誤の中で生まれた必然 1997年に登場した2代目エスクード。 そのスタイリングやメカニズムを深く見ていけば、「よく考えられたクルマ」であることは明らかです。 それでも、どこか中途半端な存在で終わってしまった要因の多くは、発売のタイミングが遅きに失したからでしょう。 たしかに、スタイリングに初代ほどのインパクトはないし、内装は凡庸で、RAV4をはじめとしたライバルを圧倒するものでなかったことは否めません。 でも、2代目エスクードとして考えると、この形は必然だったと思わざるを得ないのです。 ▲3代目エスクード ジムニーが先代JB23を挟んで現行のJB64で突き抜けたように、ヒット作の次のモデルは難しく、迷車化しがちなタイミングというはあるもの。 仮に自分がスズキのエンジニアで、「エスクードの2代目を作れ」と命じられたら、初代をまっとうにアップデートした同じようなクルマを企画したことでしょう。 初代ほどのインパクトは残せなかったとしても、やはりこの2代目エスクードなくして、3代目以降へと名を残すバトンはつなげなかったはず。 試行錯誤の中で生まれ、モデルライフのなかでも試行錯誤を繰り返し、21世紀へとバトンとつなぐ。 1990年代ならではの迷車性が、ここにあります。 [ライター・木谷 宗義 / 画像・スズキ]

ボルボ P1800は半世紀以上前のクルマなのに現役! イメージとは異なるもう1つのボルボ
旧車の魅力と知識 2023.09.19

ボルボ P1800は半世紀以上前のクルマなのに現役! イメージとは異なるもう1つのボルボ

ヘッドライト上部の盛り上がったラインが、ボディ後端部のフィンまでつながるクラシックカーらしいデザイン。ボルボ P1800は、1960年代に登場したボルボ初の本格スポーツクーペです。 現在のボルボとはイメージの異なるスタイリングの一方、伝統的な高い耐久性を持ち合わせるP1800の魅力をモデル変遷も含めて詳しく紹介します。 空飛ぶレンガとはまったく違う流麗なボルボ ボルボの代名詞といえば、1980年代に発売された「空飛ぶレンガ」の異名で知られる240ターボです。直線基調で大柄、いかにも頑丈そうなスタイリングが人気を集めました。 しかし、240ターボ発売から遡ること20年余り。1960年代にボルボは、流麗なボディラインをもつ、いかにもクラシックカーらしいスポーツクーペを登場させます。 12年間にも渡って生産された、ボルボ初の本格スポーツクーペ、P1800の開発背景を振り返ってみましょう。 ボルボ初の本格スポーツクーペ 1961年に登場したP1800は、ボルボ初の本格スポーツクーペとして4年の歳月をかけて開発されました。実は、ボルボはP1800以前にもオープンスポーツの開発を手掛けていましたが、さまざまな問題から生産はわずか67台(68台の説もあり)に留まり、1年限りで生産終了してしまいます。 シャシーをはじめ、多くの部品を当時ボルボが販売していた中型車アマゾンから流用する一方、ボディとエンジンはP1800用に新開発しました。特にボディデザインにはこだわり、デザイナーにマセラティミストラルやクアトロポルテを手掛けたピエトロ・フルアを起用。当時のボルボのイメージを一新する、流麗なボディラインが特徴的です。 また、エンジンには、最高出力100馬力の新開発のB18型を搭載しました。デザイン性だけではなく、本格スポーツクーペとして高い走行性能を誇るモデルです。 高い耐久性はボルボの伝統 耐久性の高さも、ボルボP1800の大きな魅力です。1950年代から製造されているベースの中型乗用車アマゾンは、すでに耐久性に定評がありました。 また、P1800が残した記録からも、その耐久性の高さがうかがえます。個人が1台の乗用車で走行した距離の世界記録として、2013年9月に300万マイル(約480万km)の走行距離がギネス認定されました。1966年製のP1800を50年近く走らせ続けたという、驚くべき記録です。 ボルボの代名詞にもつながった4種のP1800 P1800は1861年の発売以来1973年の販売終了までに、スポーツクーペとして3モデルをリリース。さらに、ボルボの伝統へつながる派生車種も、生産終了間際まで意欲的に開発が続けられました。 P1800シリーズとして登場した4モデルについて、変遷と特徴を紹介します。 P1800(1961〜1963年) 1961年、最初に登場したモデルがP1800です。ヘッドライトからリアフィンへとつながる流れるようなボディラインが特徴的で、最終型まで基本的なスタイリングは変わりません。 なお、ボルボはスウェーデンの会社ですが、初期モデルはイギリスのプレスト・スチール社とジェンセン モーターズ社で生産されていました。 P1800S(1963〜1969年) P1800Sにモデルチェンジしたのは、発売から2年後の1963年でした。イギリスでの生産で問題が生じたことが、モデルチェンジの理由の1つです。品質や物流といった問題が常に発生していたうえ、2社は改善する意欲がなかったといわれています。 そこで、ボルボのお膝元スウェーデンでの生産に切り替えました。P1800Sの「S」は、スポーツの頭文字がイメージされますが、実は「スウェーデン」を表しています。 外観上はほとんど変わりませんでしたが、エンジンは108馬力に出力を向上。さらに、1968年にはエンジンを2Lに拡大し、118馬力にまで出力が高められました。なお、エンジンが拡大された後も、車名は「P1800S」から変更されませんでした。 P1800E(1970〜1972年) P1800Eへのモデルチェンジでは、エンジンが圧倒的な進化を遂げます。従来のツインキャブを近代的なEFI(電子制御燃料噴射)に変更。最終モデルでは、130馬力まで一気に出力を向上させました。 P1800ES(1972〜1973年) P1800シリーズ、モデル最終年に登場したのがエステートモデルのP1800ESです。「エステート」とは「ステーションワゴン」の欧州名で、2ドアクーペではなく3ドアハッチバックにボディスタイルを変更しました。 フロントからキャビンに至るボディラインはクーペタイプを踏襲しつつ、自然な形でボディ後端のデザインをステーションワゴンスタイルに改めています。ボルボといえばステーションワゴンという伝統の、先駆けとなったモデルです。 半世紀以上前のモデルなのに現存台数も多い 「質実剛健」というボルボの代名詞の礎となったP1800シリーズは、累計4万7,492台が生産されました。1966年モデルを乗り続けていた人が2013年にギネス記録を樹立したように、クラシックカーでありながら現役ともいえるモデルです。 一方で、やはり50年前の車種ということで、メンテナンスは欠かせません。また、売却する際は、単に旧車としてではなく「現役車輌」としての価値と、「クラシックカー」としての希少性を正しく評価してもらうことが重要です。P1800を購入、売却をする際は、必ず専門業者に相談しましょう。

日産 R35 GT-Rの燃費はどのくらい?燃費を伸ばす方法や歴代モデルとの違いまで解説!
旧車の魅力と知識 2023.09.15

日産 R35 GT-Rの燃費はどのくらい?燃費を伸ばす方法や歴代モデルとの違いまで解説!

日本を代表するスポーツカーの日産 R35 GT-Rに乗りたいと考えているものの、燃費が気になっている方は多いのではないでしょうか。今回は、R35 GT-Rの燃費や歴代モデルとの比較、燃費を伸ばす方法について紹介します。R35 GT-Rの燃費が気になっている方や燃費を伸ばしたい方は参考にしてみてください。 R35 GT-Rの燃費 日産 R35 GT-Rは、年々厳しくなっていく燃費基準や騒音基準などをクリアしながら2023年時点でも販売されているスーパーカーです。そのため、燃費性能が非常に悪いということはないでしょう。 カタログ燃費は、2024年モデルのGT-RがWLTCモード燃費7.8km/Lです。3.8LのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、高い出力を発生させる4WDのスーパーカーであることを踏まえると、燃費性能は十分といえます。 当然ながら、ハイブリッドカーやコンパクトカーなどの低燃費車を比べると燃費は悪いといえますが、高性能スポーツカーの中ではGT-Rの燃費性能は良い方といえるでしょう。 なお、ライバル車として比較されることが多いポルシェ 911の燃費は7〜8km/L、ランボルギーニ ウラカンの燃費は5〜6km/Lです。 R35 GT-Rと歴代モデルの燃費比較 R35 GT-Rと歴代GT-R(スカイラインGT-R)の燃費を比べてみましょう。 ・R32 GT-R(10・15モード燃費)8.2km/L・R33 GT-R(10・15モード燃費)8.1km/L・R34 GT-R(10・15モード燃費)8.1km/L・R35 GT-R(10・15モード燃費)8.2~8.6km/L このように比べてみると、各世代ごとに大差がないようにみえますが、R32〜R34のGT-Rは2.6L直列6気筒ツインターボエンジン(RB26DETT)を搭載しているのに対し、R35 GT-Rは3.8LのV型6気筒ツインターボエンジン(VR38DETT)を搭載しています。 R35 GT-RはこれまでのGT-Rよりエンジン排気量を大きくし、高出力化がされているのにも関わらず、燃費性能は従来モデルと大きく変わらないということになります。つまり、エンジン排気量や出力の観点からみると、効率が良くなり、燃費性能が向上していると考えることができるでしょう。 R35 GT-Rの燃費を抑える方法 R35 GT-Rの燃費性能を伸ばすためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここからは、R35 GT-Rの燃費を伸ばす方法について解説します。 急加速・急発進を控える 燃費を伸ばすためには、急加速や急発進などの急操作を控えましょう。 急加速や急減速など急操作は車に負荷がかかる運転です。このような運転をすると、燃料を多く消費したり、消耗部品が早く劣化してしまったりします。 滑らかに加速をして、ゆとりを持って減速をするだけでも燃費はよくなるため、燃費性能をよくしたいのであれば、急操作を避けるようにしましょう。 こまめにメンテナンスする こまめにメンテナンスすることも燃費性能の維持に貢献します。 エンジンオイルやオイルフィルター、ブッシュ類など、エンジンの潤滑を適正な状態に維持したり、フリクションを少なくしたりするメンテナンスをしておくと、駆動系がスムーズに動くようになります。 不調だった駆動系のパーツがスムーズに動くようになれば、燃費性能が改善するため、定期的なメンテナンスや部品交換は欠かさずにしておきましょう。 エンジンブレーキを活用する エンジンブレーキを活用すると燃費が伸びることがあります。 先の交通状況に応じて早めにアクセルをオフにしたり、状況に合わせたギア選択をしたりするなど、エンジンブレーキを有効に活用すると無駄な燃料消費を抑えることができ、燃費性能が向上します。 まとめ R35 GT-Rは、高性能なスポーツカーでありながら、年々厳しくなる燃費基準をクリアし続けているモデルです。そのため、スーパーカーまたは高性能スポーツカーとして考えれば十分な燃費性能となっています。高性能モデルは燃費を犠牲にしなければならないといわれることもありますが、R35 GT-Rは性能と燃費をうまく両立しているモデルといえるでしょう。そのため、高性能な車でありながら燃費性能も両立しているモデルを探しているのであれば、R35 GT-Rも候補の1つとなるでしょう。

未成年でも車を相続できる?未成年が相続する際の手続き方法を紹介
旧車の魅力と知識 2023.09.15

未成年でも車を相続できる?未成年が相続する際の手続き方法を紹介

遺言書がない場合、法定相続人全員に遺産の相続権があります。とはいえ、未成年でも被相続人の車を相続できるのか気になる方もいるでしょう。この記事では、未成年でも車を相続できるかについてや、手続き方法などを紹介します。 未成年でも車を相続できる 免許を取得していない未成年でも、車を相続できます。免許はあくまでも車を運転するために必要なものであり、所有できるかどうかは関係ありません。ただし、未成年が相続するには親権者の同意が必要です。相続手続き時に、親権者の同意書を運輸支局に提出しましょう。 また、車にローンが残っている場合は、残債もそのまま相続されます。残っているローンは、基本的に一括で返済する必要があります。一括返済が難しい場合、ローン会社によっては残債をそのまま引き継げるケースもあるため、問い合わせて確認しましょう。なお、親権者と共同相続もできるため、無理に未成年者だけで単独相続する必要はありません。 遺産分割協議では特別代理人を立てる必要がある 被相続人の遺言書がなく、遺産分割協議を行わなければならない場合、未成年者は特別代理人を立てる必要があります。特別代理人には、基本的に未成年者の親権者が該当します。 未成年者は物事を決定するための判断力が不十分とされており、契約の締結と同様に1人では遺産分割協議に参加できないため、代わりに特別代理人が出席しなければなりません。ただし、未成年者の親権者にも車を相続する権利がある場合は「利益相反行為」になるため、法定相続人以外の特別代理人を家庭裁判所に申立てる必要があります。 利益相反行為とは、一方の利益になると同時に他方への不利益となる行為のことです。例えば父が亡くなった場合、配偶者である妻と子どもが法定相続人のケースです。同じ法定相続人である妻が特別代理人になると、自分の都合のよいように相続されてしまう可能性があります。親と子どもが利益相反した状態で遺産分割協議を行っても無効になるため、家庭裁判所に「特別代理人選任」の申立をしましょう。 選任後は、未成年の代わりに特別代理人が遺産分割協議に参加し、必要書類に署名や押印を行います。なお、特別代理人の申立から結果が出るまでは、1ヶ月程度かかります。混在状況によっては、1ヶ月以上かかる可能性があるため、余裕を持って申請しましょう。 未成年が車を相続するときの手続き 未成年が車を相続する際、相続人全員を確定させた後に遺産分割協議を行い、相続することが決定したら必要書類を揃えます。必要書類を所定の場所に持参し、名義変更を行うと相続手続きは完了です。続いて、未成年が車を相続するときの手続きを紹介します。 相続人を確定させる 被相続人の遺言書がある場合、相続人は内容どおりの方です。しかし、遺言書がない場合は、遺産分割協議により決定した方が車を相続できます。遺産分割協議は、法定相続人全員が参加する必要があり、被相続人の以下が該当します。 第1順位:直系卑属(配偶者や子ども)第2順位:直系尊属(父母)第3順位:兄弟姉妹 そのため、未成年者が遺産分割協議に参加するケースは少なくありません。 また、上記の場合は被相続人の配偶者も遺産分割協議に参加する必要があり、利益相反行為になるため、法定相続人以外の特別代理人を選任して家庭裁判所へ申立をしましょう。 必要書類を揃える 被相続人の遺言書の内容や遺産分割協議の結果により、未成年が車を相続する場合は、通常の相続手続きに加えて、親の同意書や印鑑証明書などを揃える必要があります。 具体的な必要書類は以下のとおりです。 ・被相続人の戸籍謄本 ※死亡した事実や相続人全員を確認できるもの・遺産分割協議書 ※未成年者以外の相続人全員と特別代理人の実印を押印・親権者の同意書・親権者の印鑑証明書・新所有者(未成年者)の戸籍謄本 ※親権者を確認できるもの・新所有者(未成年者)の印鑑証明書もしくは住民票・新所有者(未成年者)の実印 ※ない場合は親権者の実印・車検証・車庫証明書 ※保管場所に変更がない場合は不要・OCRシート ※第1号様式・手数料納付書・自動車税申告書 また、利益相反行為により特別代理人を立てた場合は以下の書類も必要です。 ・特別代理人の印鑑証明書・特別代理人選任の審判書の謄本・特別代理人の実印 ※手続きに出向けない場合は実印を押印した委任状・譲渡証明書 特別代理人選任の審判書の謄本は、申立の審判が完了したら家庭裁判所から発行される書類です。相続手続き時に必要になるため、紛失しないよう管理しておきましょう。 所定の場所で相続手続きする 必要書類が揃ったら、新所有者が住んでいる地域を管轄する「運輸支局」で相続手続きをします。例えば、新所有者が板橋区に住んでいる場合、管轄の運輸支局は「練馬自動車検査登録事務所」です。管轄の運輸支局が不明な場合は、こちらから確認してみてください。 また、運輸支局の営業時間は「平日8:45〜16:00」です。手続きに出向けない場合、実印を押印した委任状を用意すれば、親族や知り合いなどの第三者に代行を依頼できます。車の手続きに精通しているディーラーや自動車販売店にも代行依頼が可能です。 まとめ 親権者の同意があれば、免許を取得していない未成年でも車の相続が可能です。また、被相続人の遺言書がなく、遺産分割協議を行う必要がある場合は特別代理人を立てる必要があります。特別代理人は、基本的に親権者が該当します。 ただし、親権者も相続人である場合は利益相反行為になるため、法定相続人以外の方を特別代理人に選任しなければなりません。法定相続人以外の方を特別代理人にする場合は、家庭裁判所で「特別代理人選任」の申立をしましょう。 なお、未成年が車を相続する場合は、通常の相続手続きの書類に加えて、親権者の同意書や印鑑証明書も必要です。利益相反行為になる場合は、特別代理人の印鑑証明書や実印も必要になるため、事前に漏れがないよう確認しましょう。

相続人が海外在住でも車を相続できる?手続きの流れや必要書類などを紹介
旧車の魅力と知識 2023.09.15

相続人が海外在住でも車を相続できる?手続きの流れや必要書類などを紹介

国際結婚や海外赴任、語学留学などで海外在住することは、現代において少なくありません。したがって、相続人が海外在住の場合でも、車を相続できるのか気になる方もいるでしょう。この記事では、相続人が海外在住の場合の相続手続きの流れや必要書類、注意点などを紹介します。 相続人が海外在住の場合の相続手続きの流れ 相続人が海外在住でも、車の相続手続きの流れに大きな違いはありません。被相続人が遺言書を残している場合、記載されている方が相続人です。ただし、遺言書がない場合は、相続人全員で車の新所有者が誰なのかを話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。 相続人である以上、海外在住でも遺産分割協議に必ず参加しなければなりません。海外在住の相続人が不参加で作成された遺産分割協議書は無効になるため、必ず参加しましょう。 遺産分割協議により新所有者が決定したら、必要書類を揃えて運輸支局で相続手続き(名義変更)を行います。なお、必要書類を揃えれば海外在住でも一度も帰国せずに、車を相続できるケースもあります。 相続人が海外在住の場合の相続手続きの必要書類 相続する手続きには「印鑑証明書」や「住民票」を用意する必要があります。ただし、海外には印鑑証明書と住民票の制度がないため、代わりになるものを用意しなければなりません。続いて、印鑑証明書と住民票の代わりになる「署名証明書」や「在留証明書」について、詳しく紹介します。 署名証明書 日本で住所登録していない場合は、印鑑証明書を取得できないため、現地の日本大使館で発行してもらえる「署名証明書」を代わりに運輸支局へ提出します。海外では実印ではなく、サインで意思を表すことが一般的であり、印鑑証明書の制度自体がありません。そのため、本来実印が必要な書類にサインし、署名が本物であることを証明する署名証明書を運輸支局に提出します。相続手続き時に実印が必要な書類は、申請書や委任状、遺産分割協議書です。 また、署名証明書は「形式1(綴り合わせタイプ)」と「形式2(単独タイプ)」があり、どちらも車の相続手続きに利用可能です。形式1は、本来実印が必要な書類を日本大使館に持参し、領事の前で申請者がサインします。日本大使館の領事は、サインが本人の行為であったことを確認した後に、署名証明書と本来実印が必要な書類を綴り合わせて割印します。 一方、形式2は印鑑証明書と同様に紙1枚の形式です。申請者のサインや、本人の行為であることを領事が確認した旨が記載されています。形式1のように、本来実印が必要な書類へのサインが不要なため、事前に申請書や遺産分割協議書を準備しておく必要がありません。 なお、署名証明書を発行してもらうには、パスポートを日本大使館に持参する必要があり、1,700円相当の手数料が発生します。 在留証明書 在留証明書は、住民票の代わりになる書類です。海外では住民票の制度がない国がほとんどのため、相続人の住所を証明する書類が必要な場合は、在留証明書を提出します。例えば、軽自動車や不動産を相続する際は住民票が必要なため、在留証明書で代用します。 ただし、在留証明書を取得するには、以下の条件をクリアしなければなりません。 ・日本国籍を有する方※二重国籍者を含む・現地にすでに3ヶ月以上滞在し、現在居住していること・日本に住所登録がないこと・本人が日本大使館に出向いて取得すること 出典:外務省公式Webサイト「在外公館における証明」 なお、在留証明書を取得するには、パスポートのほかに住所や滞在期間を確認できる書類を持参する必要があり、1,200円相当の手数料が発生します。 海外在住者の相続人がいる場合の注意点 相続人が海外在住している場合は、書類の準備にかかる時間や、遺産分割協議を行いにくい点に注意が必要です。また、海外在住でも相続税が発生するため、相続手続き後は税申告を行う必要もあります。続いて、海外在住者の相続人がいる場合の注意点について紹介します。 書類の準備に時間がかかる 海外在住者が車を相続する場合、書類の準備に時間がかかる点に注意しましょう。なぜなら、申請し慣れていない署名証明書や在留証明書を発行してもらう際に、必要書類の漏れや条件により、すぐに取得できないケースがあるためです。 署名証明書は、日本国籍を有する方であれば、スムーズに発行してもらえます。一方、在留証明書は現地に3ヶ月以上滞在する必要があり、住所を証明できる書類も提出しなければならないため、すぐに取得できない可能性があります。 また、日本の相続人とは国際郵便で書類のやり取りをする必要があり、通常の郵送より日数を要するため、書類の準備に時間がかかります。例えば、関東からアメリカのニューヨーク州に書類を郵送する際は、1週間程度かかります。書類の準備に時間がかかることを踏まえて、相続手続きを進めましょう。 なお、EMS(国際スピード郵便)を利用すると、通常の国際郵便より早く書類を郵送できます。ただし、通常の国際郵便より送料が高く、国によっては利用できないデメリットがあります。相続手続きに必要な申請書や遺産分割協議書は、Webサイトからフォーマットをダウンロードして利用することで、国際郵便の利用回数を減らせます。 話し合いの機会を設けることが難しい 相続人が海外在住していると、直接会って話し合いの機会を設けることが難しいでしょう。遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、車の新所有者が誰なのかを話し合わなければなりません。海外在住している相続人は、すぐに帰国できないケースもあるため、遺産分割協議が行われず相続手続きを進められないこともあります。 ただし、遺産分割協議は全員が一箇所に集まって協議しなければならないルールはありません。テレビ電話やオンラインで話し合いの機会を設けることも可能です。Web会議で利用されている「Zoom」であれば、画面共有システムで資料を見せながら説明できるため、相続人間でのトラブルも防げるでしょう。 海外在住でも相続税申告が必要 海外在住でも日本に住んでいるときと同様に、税申告が必要です。相続手続き時に名義変更後の車検証が発行されたら、陸運局に隣接されている「自動車税事務局」で必ず税申告しましょう。ただし、相続人と被相続人が10年以上海外に在住していた場合は「非住居制限納税義務者」に該当するため、海外の遺産については税申告が不要です。 必要に応じて専門家のサポートを受けよう 自分たちだけで相続手続きをする自信がない場合は、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けましょう。司法書士や弁護士などは、相続手続きに精通しており、スムーズに相続できるようサポートしてもらえます。第三者のサポートにより円満な遺産分割を行えるため、相続人間でのトラブルも防げるでしょう。 ただし、専門家に相続手続きをサポートしてもらうには、相談費用や代行費用が発生します。費用が発生することを踏まえたうえで、サポートを依頼しましょう。 なお、自動車販売店も車の相続手続きに関して精通しているため、必要書類や手続きの流れについて相談できる店舗もあります。必要書類や手続きの流れで不明な点がある場合は、相談してみてください。 まとめ 被相続人の遺言書がない場合、相続人が海外在住していても、遺産分割協議に参加しなければなりません。すぐに帰国できない場合は、遺産分割協議が行われず相続手続きが進まないため、テレビ電話やオンラインで遺産分割協議を行うことをおすすめします。 また、相続手続きに必要な印鑑証明書は「署名証明書」、住民票は「在留証明書」で代用できます。これらは、現地の日本大使館で取得が可能です。必要書類や取得条件があるため、事前に問い合わせて確認しておくとスムーズに発行してもらえるでしょう。 ただし、日本にいる相続人と書類のやり取りをするには、国際郵便を利用する必要があるため書類の準備に時間がかかる点に注意してください。EMS(国際スピード郵便)の利用や、Web上のフォーマットを活用するなど、工夫することで準備の時間を短縮できます。なお、相続人が海外在住していても、相続税が発生するため税申告が必要なことを忘れないようにしましょう。

憧れはやっぱり3BOX?アジアのネオクラシックセダンを振り返る。~台湾編~
旧車の魅力と知識 2023.09.14

憧れはやっぱり3BOX?アジアのネオクラシックセダンを振り返る。~台湾編~

台湾で独自進化したセダン達 クルマは一家に一台! そんな感覚も日本ではもはや過去のものになりつつあるが、海外を見ればまだやっとクルマを初めて手に入れることができる家庭も少なくない。 かつての日本も、高度経済成長期のころはクルマの存在は高嶺の花であり、憧れの対象だった。 それを象徴するかのように、各車のグレード名も”スーパーデラックス”や”ロイヤルサルーン”などなど…。 とにかく凄く良いクルマを所有することができたことを実感できる、そんなネーミングが多かったように思える。 ほんの20年位前まで、あるいはまだ進行形なのかもしれないが、アジアの国々で良いクルマの象徴といえば、セダンという見方がまだ強かったと思う。 上を見ればショーファードリブンなクルマたちもいるが、オーナーカーとして手に入れられるクルマで、高級さやスポーティーさの雰囲気を味わうことができるのは嬉しいことだ。 特にそれらが凝縮された3BOXの車種には、色濃く現れていると感じる。 アジア各国の90年代から00年代にリリースされた車種を振り返ってみても、そのラインナップの豊富さは市場を席巻していたことをありありと示しているし、何よりその国々のクルマにまつわるトレンドが見えてくるかのようで興味深い。 今回は、日本からアジアの国々に輸出されていたセダンにフォーカスして紹介してみたいと思う。 といってもその車種群は幅広く、あまりにも数が多いので、少しづつピックアップしていこうと思う。 今回は台湾を走っていたトヨタのセダンを、ごく一部だが取り上げてみよう。 小さくてもラグジュアリーに...異なる仕立ての雰囲気! まじめな作りの、壊れない日本車の代名詞といえばやはりトヨタのブランド力は強い。 それは台湾という国の市場でも同じだ。 日本では90年代当時、100万円以下で購入できたエントリーセダンのひとつに、トヨタ ターセルがある。 北米でもバジェットカーとして、まるでゲタ感覚で乗りつぶされることも多かったが、20年以上が経過した今でも時折その姿を見ることができる。 その生命力はシンプルな装備類と頑丈なエンジンの組み合わせの賜物であるが、便利で飽きの来ない実直さもオーナーに愛される理由の一つだろう。 台湾仕様のターセルといえば、日本や北米の仕様よりは少しグレードの高いものだ。 現地法人の国瑞汽車で生産されていた台湾仕様のターセルは、フェイスリフト時にメッキのフロントグリルが装着されたり、専用のバンパーやレザーシート、LEDメーターパネル、木目調パネルの採用などグレード感漂うものだ。 日本国内では1999年に生産を終了しているが、台湾仕様は2003年まで生産を続け、需要に合わせた独自進化をしていったといえるのではないだろうか。 似たように、独自進化っぷりで興味深いのはコロナ・プレミオだ。 日本でいうところのT210型、6代目コロナは名前こそ同一であるが、外観の差異は小さくない。 先述のターセルと同じように、マイナーチェンジが進むほど豪華さを増していったプレミオは、フロントグリルやバンパー、リアランプのメッキモールの縁取りをこさえ、もはやクラスを越えて日本のクラウンのような印象すら感じる。 近年ではだいぶ街中ですれ違う機会も少なくなりつつあるが、それでも当時の販売台数が少なくなかったことを感じさせるものだ。 これはUSDM?アジアですれ違う意外な仕様 では、ターセルとコロナ・プレミオの中間を担うカローラも、物凄くリッチな仕様なのでは...?と想像していると、意外な姿を見かけることになる。 例えば日本の90系、100系、110系に相当する台湾仕様のカローラは、北米仕様をほぼそのまま販売していたのである。 そのため、サイドマーカーに5マイルバンパー、90系や100系ではマイルメーターまで装備されている時代もあり、台湾にありながらもアメリカのベーシックカーらしい雰囲気がさらに強まっている。 もちろん台湾独自のグレードも存在しているのだが、車種自体がよりアジアらしい雰囲気が強まるのは、2000年代に入って120系のカローラ・アルティスがリリースされてからといえよう。 この現象は、上位車種のカムリにも同様のことがおきている。 特に筆者がカッコいいと思うのは、日本名トヨタ セプターセダンが、そのままカムリとして台湾市場では販売されていたことだ。(当時、北米では台湾と同じようにカムリとして販売されていた) どちらの車種も、2018年ころの渡航時にはまだ街中で見ることができ、ゴージャスないでたちのトヨタ車と北米ベーシックな雰囲気のセダンが、同じブランドのショールームから販売されていたことを考えるとかなり面白い。 この現象は実はトヨタに限ったことではなく、現地法人が力を入れて生産する車種と、海外からそのまま輸入してくる車種が入り乱れた結果が現れている。 近年でも、独自進化系の車種をラインナップを有するブランドは継続して台湾に存在しているので、もし渡航する際は調べてみると面白いだろう。 [ライター・撮影/TUNA]

免許がなくても車を相続できる?手続きに違いはあるのかも解説
旧車の魅力と知識 2023.09.13

免許がなくても車を相続できる?手続きに違いはあるのかも解説

車の相続が発生した場合、相続人が運転免許を持っていないケースも考えられるでしょう。この記事では、免許がない人も相続ができるか、免許がある場合と比べて手続きに違いがあるかを紹介します。また相続人が未成年の場合についても解説します。 免許がなくても相続手続きは可能 制度上、運転免許証は車を運転するための免許であるため、車を所有できるかの問題と関係がありません。よって免許がなくても車を相続することは可能です。また相続者が未成年者である場合も相続はできます。 未成年の相続では追加の書類が必要 未成年が相続人である場合は代理人を立てる必要があり、手続きが複雑になります。これは未成年者には遺産分割協議をする権利がないためです。 未成年が車を相続する場合は、通常必要となる添付書類に加えて以下の書類を用意しましょう。・特別代理人選任の審判書の謄本・特別代理人の印鑑証明書 代理人の決定法は以下の二択で、法定代理人(親権者または後見人)とするか、実印を押印する第三者の特別代理人を家庭裁判所が選任するかのどちらかです。 なお、未成年であっても婚姻をしている場合は成年とみなされ、追加書類提出の必要はありません。 免許がない場合の相続手続きの方法 車の相続人に運転免許がない場合も、相続人が未成年でない限りは通常の相続と同じ手続きを踏みます。以下では一般的な車の相続手続きの書類と流れを紹介します。   必要書類 相続手続き、特に名義変更の際に必要な書類は以下の通りです。 【相続人が1人だけで、その人が相続する場合】・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)・相続人の実印     ・車検証 (原本)・車庫証明書 【複数人の相続人のうち1人が相続する場合】・遺産分割協議書 (もしくは遺産分割協議成立申込書)・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)・車検証 (原本)・車庫証明書 (40日以内のもの) 他の書類が必要になる場合もあるため、書類の詳細は管轄の運輸局に問い合わせて確認しましょう。 手続きの流れ 相続手続きの流れは以下の通りです。 1. 対象車の正式な所有者を確認する 「自動車検査証」(車検証)で、故人の名義になっていることを確認しましょう。故人が車をローンで購入した場合や、リース契約で使用していた場合には、本人の名義になっていないことがあります。この場合は更なる手続きが発生するので、弁護士や税理士など専門家に、事前に必要事項の確認をした方が良いでしょう。 2. 新しい所有者を決めて「遺産分割協議書」を作成 遺言書で相続者が指示されている場合は、それに従います。遺言書がない場合や車の相続についての記載がない場合は、遺産分割協議で誰が相続するか確定させます。そこで、のちの名義変更に必要な「遺産分割協議書」を準備します。「遺産分割協議書」には法定相続人全員の署名と捺印があることが必須です。 3. 警察署で車庫証明の申請をし、必要書類を準備する これから登録する車庫証明の場所を管轄する警察署で手続きをします。当日必要なものを所轄の警察署に確認してから行くと良いでしょう。当日は所定の申請用紙に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出しますが、この申請用紙はインターネット上で事前にダウンロードできます。詳しくは運輸局や自治体のウェブサイトから確認してください。 4. 運輸支局で名義変更の手続きをする ここまでの手続きが終わったら名義変更です。必要書類を運輸支局に持参して手続きを行います。相続人が1人の場合と、複数人いる中の1人が相続する場合では必要なものに微妙な違いがあるので、事前に確認しましょう。また、名義変更にかかる費用は、自身で全て行う場合は約6,000円、行政書士やディーラーなどに代行を依頼する場合は1万円以上です。 免許がない人が車を相続した後のパターン この章では、免許がない人が車を相続した後に考えられるパターンを3つ紹介します。いずれも相続に伴う名義変更手続きが完了した後のパターンです。 免許を取得して車に乗る 車の相続人に運転の意志がある場合は、運転免許を取得して相続した車に乗りましょう。通うことが可能な運転教習所を選び、学科と実技についてそれぞれ教習、試験を受けます。通常免許の取得には数ヶ月〜半年以上かかり、教習所や地域によって費用も異なります。お住まいの地域の運転教習所に問い合わせて、詳細を確認すると良いでしょう。 車を売却する 車の相続人に運転の意志がない場合は、第三者に車を売却するのが一般的です。まずはディーラーや中古買取業者に連絡しましょう。また、その後売却時に必要になる以下のものも準備しておくことをおすすめします。 ・実印・印鑑証明書・自動車検査証・自動車税納税証明書・自賠責保険証・リサイクル券・被相続人の戸籍謄本・遺産分割協議書 相続人本人に運転の意志がない場合以外にも、新しい車なら運転したいという場合、車が古くて燃費が悪い、メンテナンスがかかる場合も、売却と再購入を検討する価値があります。売却によって次の車の資金を調達するのも賢明な判断です。ただし、売却にも多少の費用が発生するため、その点は考慮しなくてはなりません。 車の売却するときの注意点ですが、共同相続の場合は全員の許可が必要です。また、名義変更をしてからでないと売却してはいけないことになっています。道路運送車両法第13条でも定められており、場合によっては罰則も発生するので気をつけましょう。 廃車にする 相続した車が十分な価格で売却できない場合は廃車の選択肢も考えられます。故人の車を廃車にするには、まず業者に解体を依頼し、その後名義変更と廃車手続きをする、という流れで手続きを進めます。その後の手続きで解体記録日とリサイクル番号が必要になるため、業者に確認を取り、控えておきましょう。 解体の手配が終わったら、その後は運輸局での名義変更、廃車手続きに移ります。廃車手続きは複雑なので専門家に依頼するのがおすすめです。特に重量税などの還付金が発生した場合はさらに複雑になりますから、車の解体業者か、行政書士に依頼するとよいでしょう。 なお、廃車手続きに必要な書類等は以下のとおりです。 ・実印、印鑑証明書・戸籍謄本・除籍謄本・銀行口座 (国税局から重量税の還付がある場合)・マイナンバーカード  (国税局から重量税の還付がある場合)・法定相続情報 まとめ この記事では、運転免許がない人は車を相続できるのかについて解説しました。 ・免許がなくても相続手続きは可能・未成年の相続では追加の書類が必要・相続人に免許がなくても、未成年でない限り手続きは通常の相続と同じ・車の相続後は「免許を取る」「売却する」「廃車する」などの選択肢がある 上記のポイントを押さえて車の相続を適切に行いましょう。

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