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新車登場時から大人気だったR32型と、先代の成功から期待が大きかっただけに不評を買ってしまったR33型。この2台のスカイラインGT-Rは、第2世代GT-Rと呼ばれ海外で大きな人気を呼んでいます。中古車にもかかわらず、スーパーカー並の1,000万円以上で販売されることも少なくありません。 今も色あせない第2世代スカイラインGT-Rの両雄R32とR33の魅力と、その秘密に迫ります。 海外での日本車人気を作り上げた日産 スカイラインGT-R 今海外で人気を集めている車のジャンル、JDM。「Japan Domestic Market」の略で、直訳すると日本国内市場という意味ですが、カーマニアの間では、日本仕様の日本車、特に「スポーツカー」を指すジャンルです。 このJDM人気に火を付けたのが、映画などで人気が高まっていたR34型スカイラインGT-R。さらにその人気はR32、R33にも及びます。 スカイラインGT-Rの中古車が海外で人気を集めている理由 スカイラインGT-Rが海外で人気の理由は、映画「ワイルド・スピード」や、ゲームなどに登場して知名度が高くなったことです。また、スタイリングのかっこよさ、レースに勝つために設計されたという背景と高い走行性能に、多くのカーマニアが魅力を感じています。 しかし、R32、R33の頃のスカイラインGT-Rは、新車時に正規ルートで海外輸出されておらず、欲しいと思っても入手することが困難でした。また、新車販売がされていなかったため、海外では中古車もほとんど市場に出回りません。 需要に対して、車が供給されなかったという問題をクリアしたのが25年ルールと呼ばれる、アメリカの輸入車に適用されるルールです。 価格高騰に火をつけた25年ルールとは アメリカに車を輸入するには、厳しい安全基準をクリアすることが必要で、正規ルートでない限り海外の車を入手するのは困難です。 しかし、発売から25年を経過すると、この厳しい安全基準をクリアする必要がなくなるという、いわゆる「25年ルール」と呼ばれる規則があります。 このルールの追い風を受け、発売から25年が経過した2015年頃からR32型スカイラインGT-Rがアメリカに中古車として正規輸入されるようになり、一気に価格の高騰が始まりました。もともと需要があったところに、輸入規制がなくなったことで購入希望者が殺到。高騰した価格から、カーマニアだけではなく、投機的需要も生まれたことで、さらに価格高騰が加速します。 新車時から人気だった走りのスカイラインGT-Rの地位を築いたR32 先代スカイラインGT-R(KPGC110型)から16年ぶりに、第2世代スカイラインGT-Rの先陣を切ったR32型スカイラインGT-R。ハイパワーエンジンに、4WDという駆動方式、個性的なスタイリングを高額なパッケージに押し込んで発売し、当時大きなインパクトを与えました。 専用に開発されたハイパワーエンジンを搭載 R32型スカイラインGT-Rの目玉は、レース用なら600馬力を発生させられるGT-R専用に開発されたRB26DETTエンジンです。市販モデルでも、当時の自主規制いっぱいの280馬力を発生するハイパワーエンジンは、多くのスポーツカーファンを魅了しました。 また、先進的な4WDシステム、スパルタンな印象のボディデザインなど、他車を圧倒する性能と装備で市場の注目を集めます。 その後、R33型、R34型と後継車が登場しますが、デザインやエンジンなどの基本設計はそのまま受け継がれるほど、R32型の完成度は高かったのです。 高額にも関わらず国内でも人気だった R32型スカイラインGT-Rは、ベース車の2倍近い新車価格という高額モデルだったにも関わらず人気を集めました。レースで勝てる車というコンセプトで開発された規格外のスペックと、先鋭的なスタイリングがユーザーから高い評価を受けたのです。 FRが主流だった当時のレースシーンで、4WDにも関わらず圧倒的な速さを見せつけ、日産の持つ技術の高さを証明し高評価につながりました。 人気の高さは、販売台数に表れています。発売がバブル景気末期の1989年だったにも関わらず、4万台以上の販売台数を記録。後継の、R33型、R34型GT-Rの販売台数が、それぞれ1万台代だったことを考えると驚異的な数字です。 大きなボディサイズが不評だったR33型スカイラインGT-R 人気を博したR32型の後継車種として登場したのがR33型スカイラインGT-Rです。R32の成功から期待が大きかったにも関わらず、発表後から評価はあまり高くありませんでした。大きな理由は、3ナンバーサイズに大型化されたボディサイズと内装。軽くシャープなスタイリングで、走行性能の高さを表現していたR32型のイメージからあまりにかけ離れ、セダンのようなイメージさえ抱かせる大型のボディは当時不評を買いました。 性能は上がったのに不人気 R33型スカイラインGT-Rは、R32型の数少ない弱点の1つだった居住性を補うべく大型化されますが、この大型化が裏目に出ます。シャープな印象のR32型と比べ、大きく重くなったことで愚鈍なイメージになり不評につながったのです。 しかし、そんな世間の評判とは裏腹に、R32型から性能は大幅に向上。エンジンはR32型と同様のRB26DETTながら、ECU変更など細かな見直しによって性能をアップしています。さらに、サイズの大型化によってホイールベースが伸び、コーナリングの安定性も向上。その結果、ニュルブルクリンクでR32型が記録したタイムを21秒も短縮したのです。 世間での低評価に加え、バブル景気の終焉を迎えたことでR33型の販売台数は1.6万台ほどに留まります。ところが、販売台数の少なかったことで、後の中古価格高騰につながることになるのです。 不人気の理由だった大型化が海外で人気の理由 R33型スカイラインGT-Rは、R32型と同様に海外で人気が高まっています。R33型スカイラインGT-Rが海外で人気なのは、もちろん走行性能の高さですが、サイズが大きいことも理由として挙げられます。 日本人に比べ比較的体格の大きい海外の人にとって、R32型よりもゆったりとした設計のR33型の方がちょうどいいサイズなのです。また、セダンのようにゆったりと車を使いたいファミリー層からの支持も集めています。 新車時に日本で不人気だったポイントが、人気を集める理由になるとは不思議なものです。さらに、不人気から新車販売台数がR32型の3分の1ほどに留まったことが、さらに希少価値を高め価格の高騰を招いています。 GT-Rの両雄R32とR33の中古車価格&買取事情 第2世代GT-RであるR32型とR33型の海外人気は変わらず、今後も高値が続くことが予想されます。R33型スカイラインGT-Rが約2,500万円で取引されている事例もあるほどです。 日本の中古車市場でも高値が続いていて、大手中古車サイトを見てみると、R32で1,800万円以上、R33で1,500万円以上の車両もありました。(2021年10月原稿執筆時) また、旧車王での買取価格は、ベースグレードで200万円前後、R32型VスペックIIやR33型LMリミテッドともなると500~600万円という実績が出ています。買取価格は走行距離や車両の状態によって大きな違いが出るものですが、新車価格より高く売れる可能性があるのは流石です。 R32型、R33型それぞれのスカイラインGT-Rの購入を検討している方、逆に手放すことを考えている方共に、今後の価格動向から目が離せません。旧車王では、人気のGT-Rも高価買取しています。R32、R33GT-Rがお手元にある方はぜひ一度相談してみてください。 [ライター/増田真吾]
ボルボと言えば、四角いステーションワゴン。このイメージを定着させたモデルが、ボルボ 240シリーズです。角目のヘッドライト、直線で構成された角張ったデザインに、余計な装飾のない内装と、まさに質実剛健を体現したボルボ240。国産車にはない雰囲気と、後席を倒して完全なフルフラットになる実用性の高さから、1980年代後半から90年代にかけて仕事に使う実用車として人気を集めました。 カメラマン、デザイナー、サーファーといった、いわゆる「ナウい」と憧れられた人たちがこぞって乗った、ボルボ 240の魅力をご紹介します。 ボルボ史上最長の販売期間だったボルボ 240 ボルボは、1車種を比較的長い期間販売するメーカーですが、それでも、ほとんどの車種の販売期間は10年弱。そんなボルボの歴史上、ボルボ 240は1974年から1993年の19年間に渡って販売され、異例な長さの販売期間となりました。 先進的な安全設計によって、ボルボ車は安全性が高いというイメージを定着させたのも240シリーズの功績です。 累計販売台数は280万台に上るステーションワゴンの定番車種 ボルボ 240シリーズは、19年間に渡って累計2,862,053台を売り上げた人気車種です。販売開始当初は、2ドアセダンと4ドアセダン、ワゴンの3車種で構成されていました。 高い実用性と、1980年代終わりから1990年代にかけてのワゴンブームの後押しもあって、ステーションワゴンに人気が集まり、ボルボ 240もエステートと呼ばれる、ステーションワゴンモデルに人気が集中。「近所にあるちょっと大きくて四角いワゴン」という子供の頃の記憶をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 基本設計は1960年代までさかのぼる ボルボ 240の基本設計は、前モデルである1966年の140のものを踏襲していました。つまり、1960年代の設計が1990年代まで新車として通用していたことになります。 なぜ、これだけ長く通用する基本設計だったのかという理由の1つが安全性です。ボルボ=安全性が高い。この方程式はすでに140で完成していて、240シリーズがヒットしたことによって世間に定着しました。 もっとも画期的だったと言えるのが、安全性を高めるために前後にクラッシャブルゾーンを設けたことです。1980年代初頭までの車の安全設計は、乗員保護のために壊れない、つまり衝突時の衝撃を跳ね返すという考え方で設計されていました。ボルボが1960年代の140シリーズで採用した、衝撃を吸収するという発想で乗員を守る設計は画期的だったのです。 衝撃を吸収するという設計は、その後多くの車で取り入れられ、現代の車では当たり前に採用されていますから、当時の設計がどれだけ画期的で先進性があったのかが分かります。 1985年までほぼ毎年進化し続けた ボルボ 240は、基本設計を30年近くに渡って変えなかった一方で、1974年の登場後も精力的に進化し続けました。この点も、ボルボ240シリーズが長く愛された理由の1つです。1985年に発表されたモデルまで、ほぼ毎年マイナーチェンジを繰り返し、その後も細かな変更点を積み重ねて、性能を高めていきました。 ボルボ 240モデル変遷 20年近くのロングセラーとなったボルボ 240ですが、その歴史は進化の歴史とも言えます。デザイン面では大きく印象を変えるほどの変更はなかったものの、ターボの搭載、足回りの強化といった走行性能の向上に加え、エアバッグやABSなどの安全装備の強化は販売終了間際まで続けられました。ボルボ 240の進化の歴史を一部抜粋してご紹介します。 1976年モデル 先代の140から受け継がれていたOHV式B20F型エンジンをSOHC式B21F型へと置き換えました。また、マニュアルトランスミッションも、耐久性を高めたオーバードライブ付きのものに換装されました。 1978年モデル この年に追加されたモデルで注目を集めたのは242GTです。固められたサスペンションとスポーティな内外装を持つモデルでした。 ステーションワゴンのイメージが強い240シリーズですが、実はレースの世界でも、その実力を発揮します。特に1980年代には、四角い車が速く走る様子から「空飛ぶレンガ(Flying brick)」と異名を付けられるほど速かったのです。 1979年モデル ボンネットの形状が、フラットなデザインから、「棺桶フード」と呼ばれ中央部に起伏があるデザインになりました。ボルボ 240のイメージとしては、こちらのデザインをイメージする方も多いでしょう。 1981年モデル エンジン出力を約30%向上させたターボエンジンが追加されます。また、ターボモデルは、ベロア調シート、パワーウィンドウ、エアコン、パワーミラーなど豪華な内装でした。 1985年以降 後継車である740が登場したことで、ターボモデルは全て740に移行。しかし、240は根強い人気から生産を続けます。ワゴンモデルの売上が特に伸びたのはこの頃からです。 一方で、1990年にエアバッグ、1991年にABSが装備されるなど、安全性に対する開発は販売終了間際まで続きました。 ボルボ 240を買う時に気をつけるべきこと ボルボ 240には、当然最新車種のような衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制装置といった先進の安全装備は付いていません。とは言え、そこは安全な車の代名詞であるボルボ。令和になった現代でも、重厚な安心感を得ながら運転することができます。 一方で、最終型の販売終了から既に30年近くが経過していて、初期型に至っては50年近く経過しているので、車の状態には細心の注意が必要です。 エンジンの状態や性能面での劣化はもちろん、特に問題となるのが錆びの発生状況は購入前に必ず確認しましょう。特に、亜鉛メッキがされる1987年頃以前のモデルは注意が必要です。 今後価格上昇の可能性大!ボルボ 240の中古車価格 ボルボ 240は、販売台数が多かったことから、現在でも中古車市場で入手可能です。原稿執筆時点(2021年10月)での掲載台数は50台前後、価格面も、60~100万円前後と、現実的な価格で販売されています。 また、四角くクラシカルな見た目で“ネオクラシカル”として最近注目を集め始めているボルボ 240。現役当時を知る40代以上だけでなく、若いユーザーからの人気も出始め、今後販売価格が値上がりする可能性の高い車種です。 [ライター/増田真吾]
大柄なSUVありながら、愛くるしく個性的なデザインで異彩を放つトヨタ FJクルーザー。しかし、ポップな外観とは裏腹に、ランドクルーザーをベースとした設計でオフロード性能は非常に高く、中古市場の相場も上がり続けています。 今回は全世界のオフローダーに人気のFJクルーザーの魅力と、中古車市場についてご紹介していきましょう。 ランクルのデザインとフレームを合わせ持つFJクルーザー 2006年3月にアメリカで発売されたFJクルーザーは、レトロな外観と力強い走行性能が当時のユーザーに大ヒット。その流れに乗り、メキシコ、中国を経て日本でも2010年12月から販売が開始されました。 全長4,635mm×全幅1,905mm×全高1,840mmの大柄な角形ボディと、120系ランドクルーザープラドのフレームをベースにし、ホイールベースを100mm短縮したものを使用しています。 デザインは1960年発売の40系ランドクルーザーをモチーフにしており、その武骨なフォルムとキャッチーな丸目ライトは世界中のユーザーから人気を獲得しました。 見た目はポップでも中身は本気仕様 最高出力276ps、最大トルク38.8kgf・mの4リッターV6エンジンを搭載し、場所を選ばないトルクフルな運転を楽しめます。 日本仕様は駆動方式がパートタイム4WD、トランスミッションは5速ATのみですが、オフロード性能は非常に優秀。 悪路走行を前提とした最低地上高は230mmと非常に高くとられ、凹凸の激しい岩場や、多少の川ならば問題なく走行できてしまいます。 また、オフロード走行をより突き詰めたいというユーザーには「オフロードパッケージ」を用意。悪路走行向けのビルシュタイン製ダンパーや、リアデフロック機能が用意され、スタック状態から脱出するための「クロールコントロール」といった支援システムなど充実した装備内容になっています。オフロード走行中の急なトラブルでも、難なく突破できる頼もしい仕様です。 汚れも気にならないオフロード用インテリア そして、FJクルーザーは内装もオフロード使用を想定しており、シート表皮は撥水加工され、表皮の裏にも防水フィルムを設置。ラゲッジスペースやフロアマットは汚れてもすぐ掃除ができるラバー素材が使われています。 また、リアドアを観音開きとしたことで、2ドア車のような洗練されたデザインを演出。ピラーごとドアが開くので乗り込みやすく、後部座席は大人でもゆったりと座ることが可能です。 FJクルーザーは年々高騰が続いている 2018年1月に生産が終了しているFJクルーザーですが、昨今は当時の新車時価格の314万円を越える勢いで価格が高騰中です。 高騰の原因はというと、FJクルーザーのデザイン元、40系ランドクルーザーの海外人気の高さが関係しています。40系ランドクルーザーはもともと人気が高く、中古車市場では66,800ドル(約749万円)にまで価格が高騰。手がつけられなくなったユーザーたちは、40系の代わりになる車を求めました。 結果、クラシックなデザインかつ、高性能なFJクルーザーが注目を浴びることとなり、2020年のオークションでは27,500ドル(約306万円)の個体が現れています。 2021年には30,450ドル(約339万円)、同年4月のオークションではFJクルーザー史上最高額の72,916ドル(約811万円)で落札されたという報告もあるほどです。 FJクルーザーの中古車市場と買取価格 そんなFJクルーザーの国内における相場(2021年10月執筆時点)を、大手中古車サイトで調べてみました。 国内在庫は337台と豊富に用意されており、最安値の個体だと2011年式、走行距離238,000kmで159万円。最高値のものだと2016年式、走行距離48,000kmのリフトアップカスタムが施されたオフロードパッケージで527万円となっていました。 そのほかにも最終型かつ、低走行の個体ならば400万円を超えるものが数多く存在しており、国内も価格も高騰していることが伺えます。 旧車王での買取価格はベースグレード、カラーパッケージで70~350万円。最終型の特別仕様車「ファイナルエディション」では100〜430万円となっており、車の状態によっては新車価格を上回るプライスが付く可能性もあります。 まとめ キャッチーかつノスタルジックな外見でありながら、本格的なオフロード性能を持つという独自のキャラクターで多くのファンを生み出したトヨタ FJクルーザー。 40系ランドクルーザーのデザインを現代の基準にリファインさせたその姿は、昨今の自動車のなかでは唯一無二の個性といえます。国内での中古車在庫はまだ多く残っていますが、新車価格以上の高騰が始まってきているので、購入を検討している方は早めの行動が重要です。 そして、FJクルーザーの売却を考えている方は、車体のメンテナンスを怠らず、これからの価格動向をしっかり把握していくことが必要となるでしょう。 旧車を買い続けて20年以上!目利き鑑定士の納得買取なら旧車王https://www.qsha-oh.com/ [ライター/増田真吾]
フランスの国民車と呼ばれるほどの人気を誇るシトロエン 2CVは、42年間と非常に長いモデルサイクルで販売されました。現在はレトロかつ、おしゃれなクラシックカーとして人気が高い2CVですが、もともとは農村の人々にむけて開発された車でもあったのです。 今回はクラシックでかっこいい2CVの意外な開発経緯と、現在の中古車市場についても解説していきます。 42年で380万台を生産したフランスの国民車 シトロエン 2CVは1948年の製造開始から生産終了の1990年までの42年間、一切モデルチェンジをせずに販売され続けました。モデル期間中の生産台数は387万2,583台にもなり、その凄まじい数字から2CVが当時いかに支持されていたかがうかがえます。 2CVのサイズは全長3,830mm×全幅1,480mm×全高1,600mmと、現在の軽自動車に近いもので、車体重量は495kgの超軽量級です。搭載されるエンジンは最高出力9psの375cc(初期型)空冷水平対向2気筒OHVを採用。足回りは「前後関連懸架」という、他車では見られない独特の方式で、悪路でもしなやかな乗り心地を発揮するシトロエンらしい優れた足を持っていました。 駆動方式は当時珍しいFFを採用することで車体後部にプロペラシャフトを通す必要がなく、そのぶん室内空間を広く確保。小さい車体でありながら、多くの荷物や人を乗せることができました。 広さと安さと走行性を追求したコスパの塊 そもそも2CVはなぜ開発されたのか、それは1935年当時のフランスで農村の人々の交通手段が十分ではなく、不便な暮らしを強いられていたことがきっかけでした。 その事態を重く見たシトロエンは、小型車の開発に着手。「室内に卵を乗せて運転しても、卵が割れない乗り心地」をテーマに掲げ、実用的でありながら整備や修理が難しくならないよう、構造は極力シンプルにまとめられています。 そして1948年、農民のための実用車として2CVが完成。価格は当時で593ポンド(日本円で約91,300円)と抑えつつ、室内は大人が4人座れるほど広く、まさに実用車といえる完成度でした。実用性を優先した外観デザインは当時賛否両論となったものの、低価格かつ広い室内空間、そして悪路をものともしない走行性能を持つ2CVは、当時の民衆に大ヒット。またたく間に販売台数は増えていき、見事フランスの国民車の称号を手にしたのです。 エンジン追加で無理やり4WDに? バンタイプや2ドアクーペなど、シャーシを流用した派生モデルが多いことでも有名な2CV。そのなかでも特にユニークなのが、4WD車の2CVサハラです。 当時、北アフリカ地区はフランスの農道以上に地形が荒く、FFの2CVでは適応できませんでした。そこでシトロエンは、2CVを北アフリカ地区に適応させるため、4WDモデルの開発に着手。1960年、苦悩の末に完成したのが、車体後部にもう1基エンジンを搭載したツインエンジンの2CVサハラです。 シトロエン 2CVサハラは3つの駆動に切り替え可能! シトロエン 2CVサハラは、リアエンジンの駆動をリアタイヤに割り当てることで4WD走行を可能にするという斬新な仕組みでした。 室内のレバーでFF、FR、4WDと駆動方式を切り替えることができるため一見革新的ですが、エンジンが2基となったことで燃料タンクと給油口も2つに増設。1度の給油で2回燃料を入れなければならないといった、不便な点も数多くありました。 使用用途が限定的な2CVサハラは、生産台数は694台と本家の2CVのように大ヒットとはならなかったものの、マニアの間では世にも珍しいツインエンジン車ということで、一目置かれた存在になっています。 シトロエン 2CVの中古車相場と買取価格 製造からすでに70年以上経過している2CVですが、中古車市場はいったいどうなっているのでしょうか。 2021年10月執筆時点で大手中古車サイトを調べてみたところ、日本国内の在庫は、排気量600ccの2CV6のみで在庫は11台残っていました。最安値は走行距離不明の1990年式の個体で99万9000円、最高額だと1987年式の走行距離20,000kmの個体で228万円のプライスがついています。 一方、旧車王では1989年式43,600kmの個体を30万円で買取した実績があり、30年以上経過したモデルと考えれば、かなり高額で売買されていることが分かります。 とは言え、2CVはそこまでプレミアがついているわけではなく、在庫も残っているので手に入れることの難易度はさほど高くありません。 もちろん、2CVは販売末期のモデルでも製造から30年以上経過しており、いつどこが急に故障するかも分からない状態です。購入を検討する際は車体価格にプラスして、その後の修理費のことも頭に入れておくことをおすすめします。 まとめ 当初は農村の人々の移動手段として誕生したシトロエン 2CVは、その実用性の高さは村だけに留まらず、フランス全土の人々に愛される国民車になりました。 実用性を重視したため当時は酷評もされた外観も、その個性的な曲面と平面のデザインはクラシックカー好きの間でも評価が高く、今でも多くのファンが存在します。空冷水平対向2気筒OHVエンジンや前後関連懸架という特殊な機構が多く、故障時の不安がついてまわる2CVですが、これだけの歴史を重ねた車に乗れる機会はそうそうありません。 コスト面での負担は覚悟したうえで、今あえて2CVを選択するカーライフというのも決して悪くはないでしょう。 [ライター/増田真吾]
フォルクスワーゲンを代表するホットハッチとして、また、ハッチバックコンパクトカーのベンチマークとして現在も販売が続くゴルフGTI。そんななか、クラシックな外観かつスポーティな走りを楽しめる2代目ゴルフGTIは、クラシカルな見た目と比較的購入しやすいこともあり、いま注目の車種となっています。 今回は、今も人気の絶えないゴルフ2 GTIの魅力と、中古車市場についても解説していきます。 2代目GTIになるもパワーは変わらず? 元祖ホットハッチとして名高い先代のゴルフ1 GTIは、その性能の高さで多くのファンを獲得するも、日本仕様は製造されず、国内に輸入されることもありませんでした。 その後の1985年4月、モデルチェンジを果たした2代目のゴルフのGTIグレードが満を持して日本で発売されます。特徴としては、バンパーやボディ部に赤のアクセントを入れ通常モデルと差別化。室内にも専用のステアリングやシフトノブ、高さ調整機構付きのシートなどさまざまな特別装備が採用されています。 しかし、ゴルフ2 GTIのエンジンは先代の1.8L SOHC8バルブから変更はなく、最大出力は先代GTIに搭載されていた1.6L 8バルブエンジンの110psから112psとわずかに上昇。くわえて車両重量が820kgから1020kgと、200kgも重くなったことで先代GTIの軽快さは失われ、結果的にそれがファンの不満を生む事態となってしまいました。 パワーアップしたDOHC16Vエンジンで起死回生! そんなファンの声を受け、1987年2月にはDOHC16バルブエンジンに改良された「GTI 16V」が登場。排気量は1.8Lから変わりませんが、最高出力は112psから139psまでアップし、最高時速は208kmを誇ります。 ちなみに139psという数値は、マフラーの触媒が取り除かれた本国仕様のものであり、触媒付きの日本モデルは125psなっていました。エンジン以外では、車高が10mm下げられ、ブレーキ冷却用のリップが追加されるなど、軽微ではありますが、着実に走行面での性能向上が図られています。 マイナーチェンジでスポーティなGTIが帰ってきたことにより、当時のくすぶっていたユーザーの熱も再燃。DOHC16バルブの採用で、ゴルフのGTIブランドはことなきを得たのでした。 1989年には安全基準のためのビッグバンパーが装着 1989年10月からは車体下部まで大きくカバーされた、通称「ビッグバンパー」が装着され、外観も先進的な印象に変わりました。 これは、当時アメリカで定めれた衝突安全基準に適合させるため、衝撃吸収性を考慮したバンパーの装着が義務付けられたゆえのイメージチェンジだったのです。 この変更はゴルフ2全グレード共通ですが、GTIの場合は下部のリップスポイラーが大型化され、バンパー内部にフォグランプが装備されたりなど、スポーツモデルならではの豪華装備となっています。 比較的リーズナブルだが高騰の可能性も? そんなゴルフ2 GTIですが、海外での自動車市場では比較的お買い得となっています。オークションでのゴルフ2 GTIは、日本円で170万円から190万円ほどで推移しており、同年代のクラシックカーと比べると、リーズナブルに購入可能です。 しかし、昨今は先代GTIの中古価格が上昇していることもあって、世のドライバーたちは比較的安価なゴルフ2 GTIに注目しだしているとのこと。 その結果、現在の価格が落ち着いていても、時間が経つにつれプレミアがつく可能性が高く、数年後には何倍ものプライスになるかもしれません。 ゴルフ2GTIの中古車相場について それでは日本国内でのゴルフ2 GTIの市場価格はどうなっているのでしょうか。原稿執筆時の2021年10月時点で、市場価格を大手中古車サイトで調べてみたところ、国内在庫は4台と僅少ながらも残っていました。 最安値で1990年式176,000km走行の個体が174.8万円。最高額では1991年式91,000km走行で230万円となっています。 一方、旧車王での買取価格は、GTI 16Vで40〜200万円となっており、ゴルフ2 GTIの相場は国内と海外ではさほど変わりません。 購入の際はサビの確認を 1980年代の車ということもあり、経年劣化に起因する故障は避けられません。 代表的なものとして、ゴルフ2 GTIは各部のシール劣化が多く、長期在庫になっている個体は、ボディ内に雨漏れが発生していることも考えられます。外部から車体内部に進入してきた水は各部にサビを発生させ、ボディを一気に劣化させてしまう原因となります。 サビの発生箇所は多岐に渡り、フロントガラス周辺、フロントシャシー周り、そのほかにも湿気で電気系統の部品も故障することもあります。 比較的無理のない価格で手に入れられるゴルフ2 GTIですが、購入の際は綿密な実車確認と、メンテナンスをお任せできる専門ショップを見つけておくことが必須となるでしょう。 まとめ コンパクトなボディでありながらゆとりのある室内空間をお持ち、痛快なドライビングも楽しめるゴルフ2 GTI。街中でも扱いやすいボディサイズと、そのキュートな外観から、現在でも根強い人気を誇ります。 現在は在庫台数こそ少ないものの、価格はそれほど高騰していないので、現車確認でサビや水漏れなどをしっかりチェックすれば、状態の良い個体に出会えるかもしれません。 逆をいえば、ゴルフ2 GTIはこれから高騰する可能性が高いので、予算さえ問題なければ購入するタイミングはまさに今なのかもしれません。 [ライター/増田真吾]
いま日本の国産車が、北米を中心に大人気であることをご存知ですか?筆者をはじめ、いわゆる旧車と呼ばれる車種が好きという方も多いと思いますが、その人気は日本国内に限った話ではありません。中には、新車販売価格の数倍以上の価格で取引される日本車が存在します。そこで今回は、日本国内ではもちろんのこと、特に北米で価格が上昇している国産車10選をご紹介します。 トヨタ FJ60系ランドクルーザー(1981-90年) トヨタ ランドクルーザーで最初に価格が高騰したのは、1960年代に発売され、特に北米におけるランドクルーザーの地位を不動のものにしたFJ40系。2010年から2015年頃まで一気に価格が上昇しました。 FJ40系の価格が落ち着く頃から人気が高まったのがFJ60系ランドクルーザーです。FJ60系は、当時成長していたSUV市場に対応するため設計を刷新。走破性だけではなく快適性を高め、それまでのクロスカントリーに加えて、SUVとしての快適性も持たせて成功しました。また、FJ60系の基本構造が、その後のランドクルーザーでも大きく改変されることなく踏襲されています。 4.2L直列6気筒2F型エンジンのFJ60と、4.0L直列6気筒3F型エンジンのFJ62も現在の北米市場において非常に高い価格で推移しており、平均的な価格で約400万円以上。ちなみに、1981年に最初に販売されたFJ60型に比べて、1988年発売となる後発のFJ62型の方がやや高い価格となっています。 最後に今後の価格動向についてですが、過去3年間で、FJ60型、FJ62型ランドクルーザーに対する保険要求額は24%増加していて、今後も価格の高騰はまだ続く予想です。 日産 フィガロ(1991年) レトロなデザインで販売当初も抽選販売となるなど、大きな話題を呼んだ日産 フィガロ。今、北米を中心に、改めて多くの人の注目を集めています。 海外で価格が高騰している日産車といえば、ハイパフォーマンスカーであるスカイラインシリーズとフェアレディZですが、車としては決してハイパフォーマンスとは言えない、3速ATでFFという仕様にも関わらず価格が高騰しているのです。 日産 フィガロは、1989年の東京モーターショーで試作車が公開され、白い革張りシート、クロムメッキされたメーター類、細いスポークのハンドルなどレトロなデザインが個性的でした。 アメリカでは、販売から25年を経過すると輸入車の安全基準が緩和されるため、販売から25年となった2016年に輸入が解禁されたものの、新車時は日本国内の販売のみ。しかも2万台の限定生産だったことから、需要に供給が追いつかない状態となり、北米における最新の販売価格は約220万円から約270万円へと跳ね上がっています。 三菱 スタリオン(1983-89年) 三菱 スタリオンは、クライスラーにもOEM供給されていたスポーツカーです。 ポルシェ944の見栄えを良くしたようなスタイリッシュなボディに、ターボエンジンを搭載した本格スポーツカーでありながら、競合他社より安価な価格設定でした。往年の名作映画「キャノンボール2」でジャッキーチェンが乗っていたことで記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。 特に北米市場を意識したエンジンは低中速域のトルクを重視したセッティングで、最大出力は175psながら、最大トルクは32.0 kg-mを発生。さらに、サイクロンDash3x2と呼ばれる可変バルブ付きターボエンジンでは、200psを発生するモデルも存在するなど、デザイン性のみならず動力性能も魅力的なスポーツカーでした。 元々が安価な価格設定だったこともあり、長年特段大きな値動きはありませんでしたが、ここに来て北米市場で大幅な値上がりを見せています。既に三菱モデルのスタリオンで約150万円、クライスラーモデルのコンクエストでは約180万円もの値段をつけていて、今後の値上がりも期待されます。 日産 300ZX/Z32型フェアレディZ(1990-96年) Z32型と呼ばれる4代目のフェアレディZ、北米では300ZXという名で販売されていました。Z32型フェアレディZは、廉価版スポーツカーという位置づけだった先代までのフェアレディZの立ち位置を脱却。北米においてスーパースポーツカーとしての地位確立を意識して開発されました。 日産車として初めてCADで設計されたデザインは、これまでと大きく異なるワイド&ローデザインとし、性能面も日本の自動車メーカーで初めて最大出力280PSに達するツインターボVG30DETT型エンジンを搭載。さらに、ターボモデルには、4輪操舵のスーパーHICAS(ハイキャス)を装備するなど、文字通りスーパースポーツカーを体現したモデルです。 ここ最近、北米において過去最大の値上がり幅を記録した日産 300ZXは、ベースモデルでも約170万円、ターボモデルは約330万円以。90年代スポーツカーとして評価の高まっているFD型RX-7や、80型スープラと比較するとやや出遅れ気味だったこともあり、今後値上がり余地があると見られています。 ダットサン 260Z(1974年) ダットサンは日産の北米展開ブランドで、260Zは初代フェアレディZS30系(240Z)の2.6Lエンジン搭載版として、海外でのみ1年間だけ販売されたモデルです。 240Zの生産終了に伴って、元々240Zに搭載されていたL24型直列6気筒SOHCエンジンのストロークを伸ばし、よりトルクの稼げる2.6Lエンジン仕様のモデルを作成しました。日本国内では、オイルショックの影響で残念ながら販売が見送られ、東京モーターショーでの展示のみとなっています。 トルクがわずかに向上したものの、マスキー法に代表される排ガス規制で強化された排ガス浄化装置により240Zと比べてパワーは10psほど下回る260Zは、これまであまり注目を集めていませんでした。しかし、近年、特に北米で240Zに注目が集まり、価格が高騰するにつれ、性能は低いものの、ほぼ同等のデザインの260Zにも注目が集まるようになりました。 現在、人気の高い2シータークーペは日本円で約400万円まで高騰し、人気の低い4シーターモデルでさえ、約260万円まで価格が上昇しています。 ホンダ シビックSi/EK型シビックSi(1999-00年) ホンダ EK型シビックのクーペモデルも、近年北米で価格が高騰しています。 価格が手頃な4気筒自然吸気1.6Lエンジンながら、VTECという強力な可変バルブを搭載したB16Aエンジンはポテンシャルと耐久性が高く、チューニングのベース車として人気を集めました。 北米の90年代日本車スポーツカー人気によって、EK型シビックにも注目が集まっています。しかし、新車販売から20年経った現在は、チューニングカーとしての人気が仇となり、改造されていない低走行車はほとんど残っておらず、中古車価格の高騰に拍車をかけています。 直近ではわずか5ヶ月の間に、日本円で約200万円から約280万円まで価格が上昇しました。 日産 300ZX/Z31型フェアレディZ(1984-88年) 3代目フェアレディZとなるZ31型フェアレディZも、北米で人気が高まっています。 フェアレディZシリーズ唯一のリトラクタブルヘッドライトが特徴で、エンジンもハイパワーのターボエンジンVG30ETを搭載。Z32型で確立するハイパフォーマンススポーツカーという新しいZの方向性を決めたモデルになりました。 近年の日本車スポーツカー人気を牽引するフェアレディZシリーズ。Z31型も例外ではなく、10年前にはわずか70万円ほどだった中古車価格は、直近では日本円で約200万円以上にまで上昇しています。 トヨタ スープラ/A60型セリカXX(1981-1986年) 海外ではスープラという車名でしたが、A60型まで国内ではセリカXXという車名で販売されていました。初代セリカXXとなるA40/50型が、ラグジュアリー志向のスペシャルティカーだったのに対し、スポーティ路線で開発されたのが特徴です。 空力性能を意識してヘッドライトにリトラクタブルライトを採用し、ソアラと同型の2.8Lエンジンを搭載。国産車としては久々となる最高速200km/h超え(208.09km/h)を記録します。LSDに大径ホイール、リアスポイラーまで装備し、スポーツカーとして地位を確立した70型スープラに繋がる原点とも言える車種となりました。 多くのA60型セリカは、改造されたり、レースに使用されたりしたため、状態の良い個体は現在あまり残っていません。そのため、価格は高騰を続けていて、最新の価格データでは、日本円で約155万円から225万円へと上昇しました。 ダットサン 280ZX(1978-83年) 2代目フェアレディZとなる、S130型系Zの海外展開モデルが、ダットサン 280ZXです。 国産車初のTバールーフ車も投入された2代目Zは、初代のフォルムを正統に引き継ぎながらもややワイド化しました。ボディサイズ、エンジン共に大型化したことで、初代のスポーツカーとしてのキレは失われたものの、ツーリングカーとして人気を博します。 また、人気ドラマ西部警察で大門刑事(渡哲也)が乗るスーパーZとして活躍したのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 2015年以降に価格の上昇が始まり、直近では日本円で約160万円から約240万円以上まで一気に高騰しています。 日産 R33型スカイラインGT-R(1995-98) 1995年発売のR33型GT-Rは、販売から25年経過となる2020年に、アメリカの輸入規制が緩和され、一気に価格が高騰しました。 R33型スカイラインの大型化したボディは、新車販売当時不評。性能を追求してシャープに研ぎ澄まされたR32からは程遠いイメージで、居住性は改善されたもののただ広くなった車内はまるでセダンのような印象を与え、走りを追求するGT-Rとしては人々の期待を大きく裏切るデザインだったのです。 一方で、走行性能は大きく進化。エンジンの仕様変更によるトルクの向上、ロングホイールベース化によって弱点だったコーナリング性能の向上が図られ、ニュルブルクリンクでR32の記録したタイムを21秒も縮めました。 当時は不評だった大型化ですが、比較的大柄な海外の愛好家には逆に好意的に捉えられていて、現在の人気を支える要因の1つ。また、新車当時不人気だったことで出荷台数が少なかったことも希少性という付加価値を生み、価格が高騰するひとつの要因となっています。 R33型スカイラインGT-Rの現在の価格は、標準仕様でも約680万円にもなっていて、特別な99台のみ販売されたNISMO 400Rともなると、約4,400万円以上。今後はさらなる高騰も予測されています。 まとめ 日本車がこれほどまでに北米で人気となっているのは、日本人として素直にうれしいことです。ただ、それと同時に、今後これらの車種を購入しようとした場合、なかなか手の出し辛い価格帯になってしまっているのは悩ましくもあります。 どの車種も、日本の経済が絶好調なときに開発された、自動車史に残る名車ばかり。これから購入しようと思っているなら、明日にでも探し始めた方が良いかもしれません。 [ライター/増田真吾]
2021年8月2日に新型300系を発売したトヨタ ランドクルーザー。現在も世界中で愛され続けているその歴史を語る上で、高い悪路走破性はそのままに、見た目も中身もファミリーユースに特化させたFJ55系の存在は外せません。今回はそんなステーションワゴン系の初代モデル、ランドクルーザー FJ55系の魅力や中古市場について紹介していきましょう。 半世紀以上前に誕生したFJ55系とは? 1967年8月に発売されたFJ55系は、レジャー利用を目的とした北米市場向けに開発されたランドクルーザー初のステーションワゴンです。 シリーズ初の社内デザイナーによる曲線を使った近代的なエクステリアに、室内にはウレタン製の保護パッドや発砲レザーのシートを採用。乗用車向けの多くの工夫を凝らし、アメリカのファミリー層から高い人気を獲得しました。 全長4,675mm×全幅1,735mm×全高1,865mm、パワートレインはそれまでの40系を引き継いでおり、最高出力は125馬力の3.9リッター直列6気筒OHVの「F型」エンジンを搭載。トランスミッションはコラムシフトの3速MTを基本とし、パートタイムの4輪駆動が装備されていました。 FJ55のマイナーチェンジにあたるFJ56 1975年、新たに定められた排ガス規制に適合させるため、FJ55系のエンジンは4.2リッター直列6気筒OHVの「2F型」となり、日本モデルのみ型式名もFJ56へと変更。エンジンの最高出力は140psまでアップし、トランスミッションも3速のコラムシフトから4速のフロアシフトへと改良されています。 最新の300系まで続く歴代ステーションワゴン系ランドクルーザー ヒットモデルを生み出し続けているランドクルーザーシリーズ。ここではFJ55系を始めとしたステーションワゴンタイプの各モデルを紹介していきます。 55系(初代:1967年~1980年) 上の項でも紹介したとおり、55系はランドクルーザーシリーズ初のステーションワゴンモデルです。それまでの武骨なデザインから脱したキャッチーな見た目と、居住性が向上したインテリアは北米市場で高い評価を得ました。 60系(2代目:1980年~1989年) 従来までの4.2リッターガソリンエンジンにくわえ、新たに3.4リッター直列4気筒ディーゼルエンジンも選択できるようになった60系。ハイルーフタイプやリアゲートの開閉方法、オーバーフェンダーの有無に角目ヘッドライトなど、モデルやグレード毎に多くのバリエーションが存在するのが特徴です。 80系(3代目:1989年~1998年) 80系はオンロードも快適に走ることができるというコンセプトのもと開発され、サスペンションも60系の板バネ式からコイルスプリング式に変更するなど、大幅な改良が加えられました。 エクステリア、インテリア共に高級感を感じさせ、ワゴンとしての使いやすさだけではなく上質さもプラス。以降最新の300系まで続く、ラグジュアリー性を持った革新的なモデルです。 100系(4代目:1998年~2007年) 新開発の4.7リッターV型8気筒ガソリンエンジンと、80系でも採用されていた4.2リッター・直6ディーゼルターボエンジンを搭載した100系。車体幅を拡大したことにより、車両安定性の向上と、広大な車内空間が得られ、高級4WDとしてのプレステージ性も高めたモデルです。 200系(5代目:2007年~2021年) 200系となりボディサイズは全長60mm、全幅30mとさらに拡大。2007年発売当時の国内仕様には、新たに吸気VVT-iを採用した2UZ-FE型を搭載し、100系の頃に比べ最高出力は53psアップされています。 車体は大きくなったものの、最小回転半径は100系と変わらないなど、運転のしやすさにも力を入れられています。 300系(6代目/現行型:2021年~) 2021年8月から待望の新型として登場した300系は、伝統のラダーフレームを継承しつつトヨタの新TNGAプラットフォーム「GA-F」を採用。軽量化や低重心、高剛性化などさまざまな改良が施されました。 エンジンは3.5リッターV6ガソリン、3.3リッターV6ディーゼルが選べ、どちらもツインターボを搭載。正式発表前となる2021年7月中旬の段階で受注停止になるほどの人気で、同年8月2日の発売日以降に購入した場合、納車は1年以上とアナウンスされています。 FJ55の中古市場と購入の際にチェックしておきたいポイント 2021年7月の執筆時点で、大手中古車サイトのFJ55の在庫はわずか2台のみ。本体価格は消費税込みでそれぞれ398万円と458万円でした。 FJ55系は車自体の耐久性はあるものの、年数の経過もあり、ルーフやフェンダーにサビが発生しやすいので、購入を検討するならば現車確認が必須です。また、修理や交換部品が必要になった場合に備え、メンテナンスを任せられるショップを探しておくことも重要になってくるでしょう。 まとめ FJ55系は現在の300系まで続く、ステーションワゴン系ランドクルーザーの源流ともいえるモデルです。それまでは悪路を走行する作業車というイメージの強かったランドクルーザーでしたが、デザイナーによる先進的な外観、過ごしやすさを追求した室内空間は、アメリカ市場で広く受け入れられました。 ファミリーユースとしての可能性を大きく広げたFJ55系は、ランドクルーザーシリーズの立役者として、これからも歴史に残り続けるでしょう。
令和のいま、特にアメリカで80年代~90年代に発売された日本のスポーツカーが人気ということをご存じの方も多いのではないでしょうか。実は、スポーツカー以外でも今海外で注目されている日本車があります。 それは、軽トラの愛称で親しまれている軽自動車規格のトラックをはじめとした実用車です。日本では特に人気という訳でもなく、希少性もスポーツカーほどは高くない軽トラが「kei truck」と呼ばれ、なぜ今海外で人気なのか、その理由を探ります。 日本の実用車はコンパクトで使い勝手が良い 日本では一定の台数は走っているものの、年々製造するメーカーや車種が減少している軽トラですが、海外では人気が高まっています。海外ではあまり販売されていない軽自動車という規格のコンパクトなサイズ感、取り回しがしやすく、実用的な上に低燃費。特に広大な農地での作業従事者が多い農村部のユーザーを中心に支持を集めています。 農作業従事者からの支持される実用車としての実力 軽トラと言えば日本でも農村部で多く見かけますが、やはり海外でも農作業に従事する人々からの支持を集めています。<>海外の農地は広大なため、車での移動が欠かせません。また、逆に畑の中では小回りが利くに越したことはないため、燃費が良くコンパクトな日本の軽トラは最適なのです。 海外でも1~2人の移動という点では、ATV、いわゆるバギーがありますが、軽トラと違い屋根もエアコンもありません。さらに、軽トラとバギーの決定的な違いは、荷物の積載量です。軽トラはコンパクトであるにも関わらず、荷台はしっかりと確保されているため、かなりの荷物を積むことができます。 燃費の悪い大型のピックアップトラックを動かさなくても必要な荷物が積めて、ATVなどと違い快適性が確保されている軽トラは、女性でも気軽に取り回せるので人気が高いのです。 さらに近年では、低燃費で実用性が高いことから、アメリカの消防署や警察機関でも軽トラが使われ始めているとの話もあるほど。ちなみに、日本国内の米軍基地でも軽トラが使用されています。 シンプルで頑丈な構造と軽自動車という海外にはない規格が魅力 軽トラは小型ではあるものの、日本で自動車として販売されているので当然堅牢性は十分。その上シンプルな構造なので、メンテナンスもしやすく壊れにくい。農村などでのヘビーユースに加えて、カスタムカーベースとしても人気があります。 小型なので、ドレスアップでも比較的手軽にカスタムでき、シンプルで軽量なため用途に合わせてリフトアップや大型のフロントガードを装着するなど、目的に合わせたカスタムも盛んです。 デリカなどのオフロード車も人気 日本の実用車人気は、軽トラックだけはありません。普通車サイズの旧車オフロード車も人気です。 例えば、1986年発売の三菱 デリカスターワゴン。頑丈なオフロード車構造の4WD車でありながら小回りが利き、内装は豪華に仕上げてある点に魅力を感じるアメリカ人もいるようです。 アメリカのピックアップトラックなどは、基本的に内装に気を使って開発されていないため、フロアマット1つでさえ、高い評価を得ています。また、この手のオフロード車に乗る層は自分でメンテナンスをするユーザーが多いのも特徴で、コンピュータ制御となって素人が手を出せなくなった現代の車に比べて、自分でメンテナンスが出来る点も支持を集める理由の1つです。 新車としてはほとんど販売されていない アメリカにおいて、新車で正規輸入販売されていない日本の軽トラは、25年ルール適用による規制緩和によって現在輸入熱が高まっています。 スポーツカー人気と同じく、旧車としてのコレクター的需要ももちろん、軽トラの場合は、実用車としての需要が高いことがスポーツカー人気との大きな違いです。さらに、25年ルール以外で輸入されている場合もあります。 25年ルール適用で輸入が自由に 80~90年代の日本車人気が海外で高まった大きな理由は、アメリカの通称「25年ルール」と呼ばれる輸入規制緩和のルールです。 通常、新車時に正規輸入されていない車をアメリカへ輸入するためには、厳しい安全基準をクリアしなければなりません。しかし、発売から25年経過した車は、この規制が大幅に緩和され、事実上自由に輸入と販売が可能になります。 特に、軽自動車規格の軽トラや実用車は、ほとんどアメリカで正規販売されていないため、この25年ルールの解禁をきっかけに、一気に需要が高まっているのです。 オフロード車登録という裏技もある ほとんど新車販売されていない軽自動車ですが、25年ルール以外にもう一つ輸入する方法があります。それが、オフロード車登録です。 オフロード車として登録をすると、アメリカの安全基準の規制対象から外れ、25年を待たずに輸入が可能になります。オフロードといっても、山や砂利のような道なき道での走行限定という意味ではありません。「舗装された高速道路以外での走行」という広い意味合いなので、高速道路が走れない最高速度など、州によっていくつかの制限項目はありますが、日常的には問題なく使用することができます。 また、オフロード車登録以外にも、LSV(LOW SPEED Vehicle)という登録手段もあって、具体的には制限速度35マイル(約56km)以下の道路のみ走行ができるという登録方法です。 これらの登録方法も25年ルールに縛られず、比較的新しく状態の良い軽トラを輸入できることから、最近注目を集めています。 まとめ 海外での日本車人気は、今やスポーツカーだけに留まらず、軽トラ、実用車にまで広がっています。 1990年代後半から2000年代へと25年ルールの適用範囲になる車種が増加すると、軽トラの需要は、今後さらに高まるかも知れません。さらに、オフロード車登録という手段もあるので、発売から25年経たない比較的新しい車種にも需要が集まる可能性があるのも注目ポイントです。 コレクターや投機目的だけではなく、実用車として実体を伴った人気であるだけに、今後の価格動向から目が離せません。 決して希少車ではない日本の軽トラが、トラック大国アメリカで評価されているというのは、どこか誇らしい気持ちにもなります。 [ライター/増田真吾]
ワイド&ローな出で立ちに曲線と直線が調和したスタイリング。そして、ミッドシップレイアウトを採用したフェラーリ ディーノ246GTは、現在では歴史的な名車と呼ばれる1台です。しかし、フェラーリらしい特徴を備えていたにも関わらず、販売当初はフェラーリのブランド名は与えられず、ユーザーからの人気も薄いという不遇の時代もありました。 今回は、現在のフェラーリへの橋渡し役になったとも言える、ディーノ246GTの歴史を振り返ります。 現在まで続くフェラーリの基礎となった F40、F50、F430、488GTB、F8トリブート。名だたるフェラーリの人気車種に共通しているのが、ミッドシップレイアウト(MR)という点です。フェラーリと言えばMRというイメージすらあります。(実際はFR車も数多く生産) このフェラーリの象徴とも言えるミッドシップレイアウトを市販車モデルで初めて採用したのが、ディーノ246GTです。 フェラーリ市販車初のミッドシップレイアウト ディーノ246GTは、先代となった206GTも含めて、現在のフェラーリの基礎を築いたとも言える歴史的なモデルです。現代までフェラーリの名車に数多く採用され続けているミッドシップレイアウト(リア駆動:MR)を初めて市販モデルで採用したのが206GTでした。 しかし、F2参戦のエンジン生産数条件をクリアすることを目的に開発された206GTは、実用性に乏しく生産台数も約150台とわずかで、純粋な市販モデルとは言えません。その点から、フェラーリ初の市販MRモデルは246GTと言えるのです。 そして、ディーノにはもう1つ、名前の由来ともなった大きな特徴があります。ミッドシップレイアウトでは縦置き配置がほとんどだったエンジンを、横置きにレイアウトした点です。この横置きレイアウトは、フェラーリ創業車エンツォ・フェラーリの息子、アルフレードが考案したため、その愛称から「ディーノ」という名が与えられました。 課題だったパワーを克服した246GT 最初に発売されたディーノ206GTのエンジンは、8,000回転で最高出力185馬力を発生。さらに、高回転型すぎたため扱いにくく、当時としても非力なパワーが課題でした。 しかし、F2参戦条件のエンジン生産数をクリアしたことで、2,000ccという排気量にこだわる必要がなくなり、排気量2,400ccにアップした246GTが登場します。 排気量を20%増加させたことで、最高出力が195馬力に向上。さらに最高出力発生回転数も低回転化し、誰でもスムーズな加速が味わえる車に進化しました。登場当初こそ、206GTのイメージから評価は低かったものの、特徴的なスタイリングと性能の高さから、その後年々評価を上げることになります。 人気の上昇とともに3モデルが発売された ディーノ発売当時は、V12エンジンこそがフェラーリというイメージが主流でした。そのため、小型で非力なV6エンジン搭載のディーノは、当初フェラーリのブランド名が与えられなかっただけではなく、ユーザーからもフェラーリとみなされませんでした。 しかし、課題だったパワーを克服した246GTの登場で徐々に世間の見方が変わり、現在では名車と呼ばれるほどの高い評価を得ることになります。 スタイリングは、曲線基調だった1950~60年代のフェラーリから、Origami(折り紙)スタイルとも言われるより直線的な1970年代後半以降のデザインのちょうど中間とも言えるデザインで、結果的に現代のフェラーリへの橋渡し的存在になりました。 1代限り、1969年から1974年のわずか5年しか生産されなかったディーノ246GTですが、人気の上昇に後押しされるように、発売後も細かな変更を重ねていて、3モデルが存在します。 ティーポL 1969年~1970年の約2年弱生産。246GT初期モデルで、元となった206GTと多くの共通点を持ちつつ、2,400ccとなったエンジン以外の大きな変更点は、コストダウンと市販車としての扱いやすさ向上のため、モノコックがアルミ製から鉄製に変更された点です。ただ、ボディ、ドアなどはアルミ製(一部のモデル)で、ホイールも206GTと同じセンターロック式(ノックオフ式センタースピンナー)のホイールを採用していました。 ティーポM 1971年初頭のわずかな期間のみ生産。大きな変更点は、206GTから続いていたセンターロックのホイールナットが、5穴仕様に変更された点です。また、リアのトレッド幅が30mm拡幅されました。 ティーポE 1971年のティーポM生産終了以降1974年まで生産。246GTの中で最も生産期間が長く、生産台数も多いのがティーポEです。エンジン、トランスミッションにさらなる改良が加えられ、246GTの完成形とも言えるモデルとなりました。また、タルガトップ(屋根が開けられる)モデルとなる246GTSもこのティーポEで加えられます。 まとめ 単純なクラシックカーとしてだけではなく、現在にも通じるスポーツカーとして魅力的なディーノ246GTですが、欲しいと思っても入手するのは困難です。 最初のティーポL発売から既に50年以上が経過していることと、総生産台数もわずか4,000台弱のため、状態の良い個体を市場で見つけることはほぼ不可能。それでも欲しい方は、国内の中古車業者だけではなく、海外のオークション等にも幅広くアンテナを貼って、粘り強く探すことが重要です。 ちなみに、状態のいい車体は3,800万円弱で取引されており、平均価格も2,800万円程度という情報(2021年9月現在)もあるので、予算は余裕を持って用意しておいた方が良いかもしれません。 [ライター/増田真吾]
トヨタのプレミアムブランドとして、クオリティの高い自動車を展開するレクサス。そんな中、2010年に限定生産されたスポーツモデル「LFA」は日本国内の自動車で最高額となる、3,750万円という驚きの価格で発売されました。 今回は、国内最高額というだけのスペックを有するLFAの魅力と、中古市場について紹介します。 トヨタグループが本気でつくったスーパースポーツカー レクサス LFAはスポーツモデル「F」の最上級モデルとして、2010年12月からの2年間、500台限定(日本販売分は165台)の抽選というかたちで販売されました。 「世界超一級レベルの運動性能と超一流の感性と官能を持ち合わせるスーパースポーツカー」というキャッチコピーのもと、LFAはトヨタグループが総力を上げて開発に取り組み、一切妥協のない車に仕上がっています。 新規開発のV10エンジンや、カーボンをふんだんに使ったシャシーなどの性能面のほかにも、外観や内装、果てには走行音にまで開発の手が入っているというこだわりぶりです。 巨額のコストで売るたびに赤字? LFAの開発は2000年から10年もの期間を経て行われましたが、莫大なコストをかけたことで販売価格は3,750万円という前代未聞の価格に膨れ上がります。 しかし、それほど破格な販売価格にも関わらず、LFAの反響は予想以上に大きく、購入希望者が殺到。もともと半年を予定していた抽選予約期間は、4か月に短縮して締め切られる事態が発生しました。また、その人気は海外にまで及び、アメリカのセレブ、パリス・ヒルトンはLFAを2台乗り継ぐほど気に入っていたとのことです。 そんなLFAですが、1台売るたびにトヨタが赤字を切っていたという噂もあり、3,750万円という販売価格以上のパフォーマンスが詰め込められた車だといわれています。 パワーもサウンドもすごいV10エンジン LFAはコンセプトカーの段階からニュルブルクリンクのレースに参戦しており、走行面には多大な技術が注ぎ込まれています。 F1参戦の想定で新規設計されたヤマハ製4.8LV10エンジン(1LR-GEU型)は、最高出力560PS /8,700rpm、最大トルク48.9kgf·m /6,800rpmを発生し、0-100km/h加速は3.7秒。そして、最高速度325km/hというスピードは国産車のなかでは最高の数値を誇り、これは未だに破られていません。 さらに、V10エンジンの排気音は音声学に基づいて研究されており、マフラーには専用のバルブを装着。ドライバーを高揚させる官能的なサウンドは「天使の咆哮」とも呼ばれ、スーパースポーツカーを目指したLFAならではのこだわりポイントといえます。 さらに洗練されたニュルブルクリンクパッケージ スポーツカーとして十分すぎるほどの性能を持つLFAですが、生産された500台のうちの約50台はサーキット走行向けの「ニュルブルクリンクパッケージ」という、さらに過激なモデルも存在します。 エンジンの最高出力は560psから11psアップの571psまで引き上げられ、タイヤ、サスペンション、大型スポイラーなどの専用部品を装着。ニュルブルクリンク北コースを中心に手の込んだセットアップ施した非常に人気が高いモデルで、ひとたびオーディションに出品されれば1億円以上の金額が動きます。 LFAの中古車相場とオークションでの評価 原稿執筆時の2021年9月、LFAの市場価格を大手中古車サイトで調べたところ、低走行車の在庫が2台のみ存在しましたが、どちらの個体も価格は「応談」となっていました。 新車価格で3,750万円もするLFAは、購入が決まれば大きな金額が動くことになるので、店側としては慎重になる必要があります。冷やかし客の来店や、他店に価格を参考されてしまうことを防ぐためにも、あえて価格を伏せている可能性が高いです。 一方、海外のオークションでは、ベースグレードが81万9000ドル(約8950万円)、ニュルブルクリンクパッケージは160万ドル(約1億7650万円)といった驚きの値段で落札されています。近年は在庫台数も少ないこともあり、LFAの価値はさらに上昇傾向にあるので、個人での購入は非現実的かもしれません。 まとめ 長い開発期間と膨大な費用をかけ誕生した、レクサスのフラッグシップモデルLFA。 LFAはただ「速い」だけではなく、エンジンの排気音などを筆頭に、それまで誰も気にしないような箇所まで徹底的にコストがかけて開発されています。すべての面で妥協せず造られたスーパーカーは、十分すぎるほどの満足感と高揚感をユーザーに与え、全世界にLFAの名を轟かせました。 3,750万円という価格で販売しても赤字になってしまうLFAですが、1億円越えの個体が現れている現状は、ある意味正当な評価額がつけられていると考えてもよいのかもしれません。 [ライター/増田真吾]