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「バックヤードビルド」文化が脈々と受け継がれ、レストアが日常にあるニュージーランドの旧車文化とは一体どんなものなのか。 その一端を伝えるべく、去る2023年4月23日、オークランドにて開催された旧車イベントをレポートしたい。 4月下旬は、夏時間(Daylight Saving Time)を終え、日照時間が短くなり、落ち葉が地面を美しく彩り始める季節。 いわば日本の10月頃だと思えばよいだろう。 会場のところどころに出店した、コーヒーや軽食のフードトラックの前には行列ができ、のどかな時間が過ぎる秋のフェスティバルの様相だ。 曇り空ではあったが、雨がぱらついたのも一瞬で、奥さんが持たせてくれた昼食のお弁当を食べたころには晴れ間がのぞくなど、十分に合格点を与えられる天気だった。 なお、今回の記事においては、定義が曖昧な「クラシックカー」、「ネオヒストリックカー」などといった呼称をあえて使わず、全編を通じて「旧車」と表現させていただく。 ■半世紀以上の歴史を誇るイベント 1972年から続く「Ellerslie Car Show(エラズリー カーショー)」は、ニュージーランドの旧車好きにとって、目玉イベントだ。 毎年2月の第2日曜日に開催されることが通例になっているが、第51回目となる今回は、サイクロン「ガブリエル」を受け、4月23日に延期されての開催となった。 洪水の様子は、日本のメディアでも報道されたので、ご記憶の方も多いだろう。 さらに、昨年はコロナ禍で中止となったので、実に2年ぶりの開催であり、ファンや関係者にとっては「感慨もひとしお」だ。 近年はオークランド・エラズリーのサラブレッドのレースが行われる競馬場「Ellerslie Racecourse」を会場として利用している。 今現在は、レーストラックの改修工事を行っているため、競馬はおこなわれていない。 ■旧車コンクール/競技会の概要 ショーの中心となるのは、「The Intermarque Concours d'Elegance(インターマーク コンクール デレガンス)」という旧車の出来栄えの優劣を争うコンクールで、審査/採点は、ボディパネルやエンジンなど多岐におよび、国際基準に準拠し、極めて総合的である。 競技部門は以下の4つ。 ⦁ チームイベント(Team Event)⦁ マスタークラス(Master Class)⦁ サバイバークラス(Survivor Class)⦁ 50-50-50 「50-50-50」を除くコンクール出展車輌は、パレードリング/ステーブル(日本では「パドック」と呼ぶ)に並べられ、審査がおこなわれる。 会場に来る前は、「なんで競馬場?」と疑問に思っていたが、パドックはコース入場前に競走馬が「きゅう務員」にひかれてゆっくりと歩いてまわり、競走馬を落ち着かせるだけでなく、馬体の状態などをじっくりと確認する施設。 クルマはいわば「現代の馬」と思えば、妙に納得がいく。 チームイベントは「チーム戦」、マスタークラスは「個人戦」であり、出展するカークラブが、出来の優れた車輌2台で勝負するのか、他を圧倒できる強力な1台で勝負するのかという違いだけで、採点システムは同じである。 ご想像のとおり、どちらに出展するかという判断には、クラブ同士の駆け引きがある。 なにしろ、同一車輌の2度目の出展は許されないのだ。 それだけに、これに賭けるレストアラー(修復士)の想いは凄まじい。 結果、出展車輌はとてつもなく綺麗だ。 ▲1967年式 ポルシェ「911」(チームイベント1位 ポルシェ・カークラブ) ▲1979年式 マツダ「RX-7」(チームイベント2位 ジャパニーズ・ノスタルジック・カークラブ) ▲2000年式 マツダ「RX-7」(チームイベント2位 ジャパニーズ・ノスタルジック・カークラブ) ▲2004年式 マツダ「ロードスターRSクーペ」(マスタークラス4位)、 1973年式 フォード「ファルコン GT」(マスタークラス1位) サバイバークラスの勝者は、「ベストサバイバー」と呼ばれる。 その名が体を表すとおり、レストアされていないことが参加条件で、古ければ古いほど、原型を維持していれば維持しているほど、加点が多く入る採点システムになっている。 なお、製造から35年以上経過したクルマだけが参加できる。 ▲1982年式 ホンダ「プレリュード」(サバイバークラス5位) 「50-50-50」は、出展者は50歳以下、車輌も50歳以下、さらに総費用も50千NZドル以下という制限が設けられ、将来のレストア後継者を育成することが目的といえるカテゴリー。 採点の特徴として、車輌底面とオリジナリティ(原型への忠実性)は対象外となっている。 イベントの継続やレストアの将来を見据えた非常に有益なカテゴリーだと感じた。 ▲1988年式 ダットサン「サニートラック」(50-50-50部門 1位) ▲1984年式 ホンダ「シティ R」(50-50-50部門 4位) なお、コンクール結果の詳細は、運営サイトに掲載されているので、そちらをご覧いただきたい。(https://www.concours.org.nz/concours-delegance.html) ■「クラブ展示」という名の世界旅行 コンクールを周りから支えるのが、クラブ展示(Club Displays)だ。 80を超える参加クラブが、今回のテーマ「The World of Wheels」にちなんで、国別展示をおこなった。 会場を歩くことで、各国を周遊する世界旅行となる訳だ。 これも競技であることから、民族衣装や食も含めた各国のプレゼンテーションも加わり、栃木県にある東武「ワールドスクウェア」のクルマ版とも考えられ、とても楽しかった。 以下、その全てを網羅はできないが、ぜひ、世界旅行の感覚を味わっていただければ、嬉しい限りだ。 ●イギリス(United Kingdom) イギリス植民地だったという歴史も影響し、もっともエリア面積が大きく、扱いブランド数も他を圧倒していた。 世界一美しいクルマとも評されるジャガー「Eタイプ」、BMW傘下で復活するという噂のトライアンフ、「ボンドカー」の常連アストン・マーティン、シティーハンター(冴羽 獠)やミスター・ビーンの愛車でもあるローバー「ミニ」など、とにかく展示台数が多い。 個人的には、フォード欧州が製造販売し、80年代後半にツーリングカーレースで世界的に活躍した、シエラのスポーツモデル「シエラRSコスワース」がハイライトだった。 ▲1967年式 ジャガー「Eタイプ」 ▲オークランド・トライアンフ・カークラブ ▲アストン・マーティン・オーナーズクラブ ▲ミニ・カークラブ・オブ・オークランド ▲フォードRS・オーナーズクラブ ●フランス(France) エリアに入るや否や、クルマのデザインや色合い、またその佇まいから、気品やオシャレな印象を受けるのだから、文化とは不思議なものだ。 車高の落ちたハイドロ系のクルマも異彩を放っていたが、2CVの可愛さが際立っていた。 ▲シトロエン・カークラブ・オークランド ▲1989年式 シトロエン「2CV6 Special Dolly」 ●イタリア(Italy) エリアに入ると最初に感じたのは、単純だが「赤い」ということだ。 フェラーリやランボルギーニには、屋根付きの特設展示エリアが設けられていた。 当然のことながら、やはり敷居の高さは特別だ。 ▲アルファ・ロメオ・オーナーズクラブ/ ランチア・レジスタNZ ▲ランチア「デルタHF 4WD」 ●スウェーデン(Sweden) ボルボといえば、「戦車のように硬くて安全」を売りとする、その無骨なイメージがあったのだが、1960年代にこんな流麗なクーペを製造していたとは知らなかった。 ▲ボルボ P1800クラブ ▲1989年式 ボルボ「240GL 2.3Litre」 ●ドイツ(Germany) メルセデス、BMW、ポルシェ、VW、アウディなど、日本でも見慣れたブランドばかりで、ここでもイギリスの次にエリア面積が大きい印象だ。 ドイツ車は、筆者自身も所有経験があり、300kmを超えるようなドライブ旅行(グランドツーリング)を前に選択肢があるのであれば、間違いなくドイツのステーションワゴンを選ぶだろう。 個人的には、トランスアクスルを使い、重量配分の最適化を図ったFRポルシェと、スキーのジャンプ台を駆け上がる衝撃的なTVコマーシャルや、WRCに4WDの時代を持ってきたアウディ「クワトロ」が大好きだ。 ▲ポルシェクラブNZ ▲1989年式 アウディ「Ur-クワトロ」 ●アメリカ (United States) 超大国のアメリカといえば、やはり、ハリウッド映画やテレビドラマで活躍する姿を見るたびに欲しくなる、フォード「マスタング」やシボレー「コルベット」などが中心だ。 ▲オークランド・マスタング・オーナーズクラブ ▲ナショナル・コルベット・ レストアラーズ・ ソサエティ ● ニュージーランド(New Zealand) 「ニアセブン」といえば、イギリスのケータハムや南アフリカのバーキンなどは知っていたが、お恥ずかしい話、ニュージーランドのフレイザー(Fraser)は初耳だった。 こういう、シンプルで純粋な後輪駆動のライトウェイトスポーツカーには、尊敬の念を抱くとともに強く惹かれる。 ●日本(Japan) 母国は、やはり特別だ。 なかでも気合いを見せていたのは、MX-5クラブの展示。 変な着物姿だったりと、いくつかのディテールには「?」マークであったが、ここまでの愛情を見せてくれているのだから、単純に「ありがとう」だ。 Zクラブの展示では、前期型から一転、全体を丸めた上で、近未来的な横長テールランプを採用した、筆者の大好きなZ31後期型が2台も拝めたのには心が弾んだ。 ▲マツダMX-5クラブ・オブ・ニュージーランド(クラブ展示 1位) ▲ZクラブNZ ▲ZクラブNZ(Z31後期型) ▲MR2オーナーズクラブ・オブ・NZ ▲モーゼスマシーンズ(Moses Machines) ▲ジャパニーズ・ノスタルジック・カークラブ ▲ジャパニーズ・ノスタルジック・カークラブ(ホンダ「S600」/ マツダ「RX-7」) ■裏話(Inside Story) 実は、この1978年式のスバル「レオーネ」の出展を予定していたオーナーに海外出張が舞い込み、筆者は車輌の搬入出を依頼された「棚から牡丹餅」の参加だったのだ。 当日の早朝、オーナー宅に着くと、奥様がガレージ(本当はガラージと発音する)を開けてくれ、「レオーネ」とご対面となった。 事前のアドバイス通り、チョークを半分程度引き、セルモーターを回したところ、水平対向エンジンが問題なく始動した。 数分経過しても、アイドル時のエンジン回転は、やや不安定だったが、走り出すとトルクも低回転から十分にあり、クラッチ操作にも特段の配慮は要らなかった。 車速が上がるとステアリングも軽くなり、非常に軽やかに走行した。 車輌重量が800kg程度と、現代のクルマからすれば、超軽量ボディなのだから当たり前か。 会場にて展示が始まると、年配であればあるほど、気兼ねなく話しかけてきた。 面白かったのは、何度もフロントフェンダーの「Front Wheel Drive」という誇らしげなバッジに「ツッコミ」を入れられたことだ。 それだけ「スバル=AWD」というブランドイメージを確立しているのだから、大したものだ。 帰りは、気温が落ちたからか、エンジンがご機嫌斜めで、信号待ちする度にストールする危機に。 チョークを引いたり、アクセルを煽ったりと、スリル満点の帰路となった。 キャブレター調整が楽しいという崇高な旧車オーナーも多いのだろうが、少なくとも、筆者はこれが楽しいと感じる「変態」ではないようだ。 電子制御による燃料噴射テクノロジーのありがたさを再認識させてもらった。 ■最後に ニュージーランドへ渡航されるのであれば、この「Ellerslie Car Show」が本来開催される2月上旬を心からオススメしたい。 そもそも10月~3月は日照時間が長く、活動時間が長くとれる夏時間であるだけでなく、たった20NZドルの入場料で、「世界旅行」もついてくるのだから。 [ライター・撮影/tomato]
去る2023年5月28日、雨模様ばかり続いた週末に、ひさしぶりに晴れ間が見えた大磯ロングビーチ大駐車場で、クルマのスキール音が鳴り響いた。 湘南ヒストリックカークラブジムカーナ。駐車場に設置されたパイロンの間をすり抜けて疾走するのは、どの車輌もクラシックカーばかりである。 ■1980年代から続くカークラブ 湘南ヒストリックカークラブ(以下SHCC)のイベントの歴史は旧く、もう40年近くも開催されている。 年2回、この大磯ロングビーチの駐車場を借りておこなわれてきたが、このコロナ禍で何度も規模や開催時期等の縮小ないし変更を余儀なくされ、イベント継続が危ぶまれたこともあった。 それでも今に至ることができたのは、主催者や参加者の熱意が支えてきたといっていい。 この日も国産、外車問わず、またレース競技とは無縁そうな市販車から本物のフォーミュラーカーまで、数多くの車輌が参加していた。 SHCCジムカーナへの参加資格は、1969年までに製造された車輌であること、もしくはそのレプリカモデル。 それ意外に主催者が特別に認めた車輌となっている。 これは年式に関わらず希少であったり特別なモデルである場合など、ゲスト車輌的に参加が認められている。 出走には排気量別に7つのクラスに分けられ、グループごとに順位を競う。 ただし、ミニだけは台数が多いため、別個に2クラスが設けられている。 クラスごとの勝者のほか、総合のタイムでも争われる。 さらに今年は40年という歴史に、新たな栄誉が付け加えられた。 FIVA(国際クラシックカー連盟)の公式イベントに名を連ねることになったという。 これからもますますイベントとして楽しみが増えることだろう。 ■次世代にもつながっているカーイベント ジムカーナ参加車輌以外にも並んでいる車輌がいる。 これは、ACJ(オートモービルクラブジャパン)とのコラボ企画展示の車輌である。 フェラーリやアルピーヌに混ざり、本物の競技車輌である日産の240RSが展示されていた。 1980年代初頭に開催されていたWRCラリー選手権で、グループBの車輌として作られたクルマである。 見学に訪れた人や参加者もクルマに気がつくと、本物のグループBカーに見入っていた。 昼の休憩時間にはテスラの試乗会も催され、大磯周辺の試乗や、0-100㎞までわずか3.5秒という驚異的な加速力の体験試乗(こちらは同乗による)もおこなわれ、みなクラシックカーとは真逆に位置する体験を楽しんでいた。 また、参加車輌ではないが、エキシビジョンで出走準備をしているクルマがある。 ハンドメイドのカートのような姿をしたクルマ。 これは学生フォーミュラと呼ばれる大学の学生チームが、テストをかねて出走させたもの。 この日は東海大学と芝浦工大の学生たちが集まっていた。 SHCCには親子で出走している方もいれば、小学生のころから見学に来ているファンもいる。 この日、会場に真新しいバイクが停まっていたのだが、オーナーいわく免許が取れるようになり、自分のバイクに乗って見学にきたという。 学生フォーミュラだけではなく、幼いころから見続けてきた次世代が、ここでは確実に育っている。 ■イベントの横道を行く どこのイベントであっても、よほどクローズドなイベントでない限り、見学者も入ることができる。 そこにはきっと見たこともない名車や、希少なクルマがひっそりと訪れているに違いない。 そう考えて、毎回イベント会場周辺の駐車場を巡る、いわばイベントの横道を行くことに。 SHCCの会場にももちろん多数生息をしておりました。 アストンマーチン DBXやトライアンフ、いすゞ 117クーペなど、さまざまなクルマがいる中に、ひっそりと小さく停まっていたのは三菱 ミニカF4。 お仲間と来たのか、隣にはスバル R2も佇んでいた。 三菱 ミニカは1962年に登場し、ミニカF4は3代目となる。 1972年にデビュー、360㏄出力32馬力を4速MTで引っ張るそれは、黄金虫シェルと呼ばれる丸みを帯びたスタイルで登場した。 画像左の個体は、グリル形状からするとハイスタンダードかデラックスだろうか? クリーム色の車体が当時を感じさせる車体だった。 ■長く見続けてきてわかること 薄曇りからの晴天と涼しい海風の吹く、大磯ロングビーチ駐車場。 SHCCジムカーナは、今回も素晴らしいコンディションのクルマやレジェンドドライバーと出会わせてくれた。 筆者も飛び飛びではあるものの、SHCCを見続けて10年以上になる。 その都度、新しい出会いや珍しい車輌に楽しさを見出してきたものである。 参加者や見学者も次世代に少しずつ変化している。 かつての自転車少年も、今年はバイクで見学に来ていた。 やがてクルマの免許を取り、また大磯の駐車場に現れることだろう。 そのときはきっと、ジムカーナのスタートグリットにいるに違いない。 [ライター・撮影 / きもだこよし]
2023年5月に「第61回静岡ホビーショー」が開催された。 タミヤ、ハセガワ、アオシマ、フジミ模型など、国内外に知られるメーカーの本拠地として内外に知られる静岡。 その「プラモデルの聖地」といわれるお膝元で開催される「静岡ホビーショー」は、その年に発売予定の新製品が数多く発表されるため、近年は海外からのバイヤーも大勢訪れ、国際的なイベントになりつつある。 今回は、そんな静岡ホビーショーで発表された気になるクルマ系ホビーの新製品を紹介しながら、会場で感じたトレンドについてもまとめてみた。 ■バラエティ豊かなタミヤの新製品 まずはクルマ系ホビーの王道といえる、組み立てキットの新製品をチェックしてみた。 タミヤブースでは、1/24スポーツカーシリーズの最新作としてゴードン・マレーが手がけた「GMA T.50」が8月に発売。 再販アイテムとしては、1/24スケールの「ランチア ストラトス ターボ」、1/20スケールの「ポルシェ 935 マルティーニ」といった'70年代の懐かしいキットが発売される。 電動RCカーの乗用車系モデルでは、「トヨタ ガズー レーシング WRT/GR ヤリス ラリー1 ハイブリッド」、「ポルシェ 911 GT3(992)」、「フィアット アバルト 1000TCR ベルリーナ コルサ」、「2002 メルセデス・ベンツ CLK AMG レーシングバージョン」、「アルファロメオ 155 V6 TI マルティーニ」、「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」など盛りだくさんの内容。 2022年のWRCチャンピオンマシンの製品化から旧製品の仕様違いまで、バラエティに富んだラインアップはタミヤならではといえるだろう。 個人的に気になったのは、1/10電動RCカーシリーズの「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」(価格未定)。 参考出品ながらとても出来がよく、ゴルフIIの魅力をよく表現していた。 注目すべきポイントは、ゴルフII GTI 16Vのラリー仕様という、比較的マイナーな車種の製品化である。 ビジュアル的にはラリー・ゴルフのグループA仕様のほうが迫力はあるし、ゴルフII GTIという車種的な魅力でいえば、ラリー仕様よりもロードバージョンの方がウケは良さそうだ。 しかし、オンロードとオフロードの両方で楽しめる設計のため、これは以前販売されていた「ランチア デルタ インテグラーレ」の路線を踏襲していることが伺える。 カラーリングを見る限りでは、特定のラリーをイメージしたものではないのであっさりとした印象だ。 同車のベストリザルトは、1987年ポルトガル・ラリーとアルゼンチン・ラリーにおける3位入賞なので、そのあたりのロゴが追加されるのだろうか? 今後の正式発売が気になる内容だ。 ■限定品が気になるハセガワ ハセガワのプラモデルはシャープな表現が特徴的で、今回発表された1/24カーモデルの新製品も実車の雰囲気を凝縮したような出来栄えだった。 1/24スケールのプラモデル「カルソニック スカイライン(スカイラインGT-R [BNR32 Gr.A仕様] 1993 JTC チャンピオン)」は、7月下旬に発売予定の限定品(税込価格:3,960円)。 1993年全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンマシンを再現したもので、Gr.A仕様のディテールを的確に再現。 個人的には、フェンダーに食い込むように再現されたネガティブキャンバーの前輪に魅力を感じた。 カルソニック スカイライン自体は昔から様々なメーカーで製品化されているものの、最新の技術で設計されたハセガワ製品のシャープさは注目に値する。 ブース内で目を惹く存在だったのが「ニッサン スカイライン 2000GT-R(KPGC110)レーシングコンセプト」(税込価格:3,850円)。 1972年の東京モーターショーで展示された、ケンメリGT-Rレーシングコンセプトを再現した製品である。 レーシング仕様のパーツを新金型で製作し、新デカールをセットしたこの新製品。 これまでありそうでなかったアイテムであり、美しいボディカラーが印象的だった。 6月下旬発売の限定品なので、気になる方は早めに入手することをお勧めしたい。 もうひとつの注目アイテムは、7月下旬発売予定の「マットビハイクル “迷彩仕様” w/ロケットランチャー」(税込価格:4,400円)。 ハセガワのマットビハイクルをベースにしたこちらの限定品は、『帰ってきたウルトラマン』第32話「落日の決闘」に登場した、ロケットランチャー装備&迷彩仕様をキット化した内容。 ルーフに装備された30連装ロケットランチャーはレジン部品を新規作成したもので、怪獣キングマイマイとの戦いに使用された姿を再現できる。 ただ、キットに迷彩パターンのデカールは付属せず、塗装指示となるとのこと。 そのため上級者向きの製品内容となっている。 アイテムとしては非常に魅力的だが、多くの人にとっては買ったままコレクションになってしまうのではないだろうか。 ■映画の劇中車がアツいアオシマ 青島文化教材社のブースには、なんと映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンが展示されていた。 これは2024年に発売を予定している、1/24スケールプラモデルのプロモーションのため。 アオシマは以前から同映画のタイムマシンであるデロリアンを製品化しているが、今回発売されるプラモデルは完全新金型により製作されるまったくの別物。 展示されていた試作品の出来も上々で期待が持てそうだ。 アオシマといえば、映画やアニメなどの劇中車を積極的にリリースすることで知られ、ブースには『頭文字D』や『ナイトライダー』などの製品も展示されていた。 なかでも大きな存在感を放っていたのが映画『トラック野郎』シリーズ。 1/32スケールの完成品トイラジコンとして12月発売予定の「一番星 望郷一番星 ACアダプター付き』(税込価格:36,080円)、1/32プラモデルとして8月に発売が予定されている「一番星 熱風5000キロ」と、10月発売予定の「一番星 突撃一番星」(税込価格:19,580円)が展示されていた。 トイラジコンのほうは、LEDをふんだんに使った電飾が特徴的で、付属のACアダプターにより乾電池を使用することなく、安定してイルミネーションを楽しむことができる。 プラモデルのほうは、基本的に以前発売された製品の再生産ながら、より組み立てがしやすくなるような改良を施しているという。 約半世紀近く前の昭和の映画作品が、令和の時代に新製品として発売されるのは実に驚異的だ。 ■F1のビッグスケールモデルも登場 さまざまなジャンルのプラモデルを発売しているプラッツのブースでは、BEEMAX製の「1/12 ロータス 99T 1987 モナコGP ウィナー」(税込価格:28,600円)が展示されていた。 その横には開発中の1/12 マクラーレン MP4/4もあり、アイルトン・セナがドライブしたマシンがビッグスケールモデルとして相次いでリリース。作りごたえ満点の製品内容といえそうだ。 今回各社から発表されたカーモデルの新製品は'70年代から'90年代の車種が多く、逆に新型車の少なさが印象的。 1/24カーモデルの主な価格帯は4千円以上で、メインターゲットは50代以上の男性だ。 まさに筆者もその世代だが、老眼により模型製作は正直しんどいものがある。 しかし、このような素晴らしい完成見本を見ると、思わずやる気スイッチが入るのも事実。 ネオクラシックをはじめとする各社のプラモデル製品は、子育てが落ち着いて時間に余裕ができた世代に新たなモチベーションを与える存在になるかもしれない。 ■トレンドの変化が本格化したミニカー市場 次に完成品ミニカーの新製品をチェックしてみた。 世界的なトップメーカーである京商では、1/18スケールの新製品がメインとなっていた。 少し前はボディの素材にレジンを使用したものが多く見られたが、今回発表された京商オリジナルミニカーは、ダイキャスト製のフルディテール製品が印象的だった。 「京商オリジナル 1/18 フェラーリ F40」(税込予価:38,500円)は、ご覧の通りフルディテール製品。 フロントセクションとエンジンルームは忠実に再現され、カーボンケブラーのデカールも貼り込まれている。 京商のフェラーリ製品は、1/12スケールから1/64スケールまで総じてクオリティが高く、国内外から高く評価されているのは周知の通り。 この新製品が1/18 F40製品の新たなベンチマークとなるのは間違いないだろう。 1/18スケールの新製品には、Gr.Aの国産ラリーカーも含まれる。 「京商オリジナル 1/18 トヨタ セリカ GT-FOUR (ST165) 1991 モンテカルロ #2」と「京商オリジナル 1/18 スバル インプレッサ 1994 RAC #4」(税込価格:28,600円)は、どちらもボンネットとドアの開閉が可能。 作り込まれたエンジンルームと室内を眺めることができる。 ミニカーショップ キッドボックスによる独自のミニカーブランド「ENIF」。 懐かしい国産車をシャープに再現する高品質な仕上がりを特徴としている。 7月発売予定の「トヨペット コロナ マークII 1900 ハードトップ GSS 1971年型」(税込価格:13,600円)は、イエロー、シルバー、ホワイト、ブラックの4色のカラバリを設定。 フロントグリルの繊細な彫刻やレザートップの表現がリアルだ。 毎回ユニークな新製品を発表するトミーテック。 近年は車両以外のストラクチャーにも力を入れ、ちょっとしたジオラマを再現できるフィギュア付き製品なども発売している。 そんなトミーテックが展示したのが、なんと高速道路。 1/64スケールで再現される高速道路は、上下線が立体構造になっていて、車線上に自分の好きなミニカーを展示することができる。 さらに渋滞シーンとか事故処理、速度取り締まりといった、さまざまなシーンに対応できるので、かなり遊びゴコロのある企画だ。 実は、2022年秋に東京で開催された全日本模型ホビーショーにも、同じ高速道路が展示されていた。 今回も展示したということは本気で製品化を考えているということだろう。 販売価格の調整は難しそうだが、もし発売されたらクルマホビー市場に残る快挙になることは間違いない。 トミーテックの遊びゴコロはこんなところにも。 今回発表された1/64スケールの新製品は、ショーケース内に留まらず高速道路上にも並べられていた。 高品質なミニカーで知られる香港のミニカーブランド「TSM-Model」。 その同社が展開する1/64スケールのミニカーブランドが「MINI GT」だ。 会場では開発中のポルシェ 911 RS 2.7と、ポルシェ 911 GT3 RSが展示されていた。 近年目覚ましい伸張を遂げている1/64ミニカー市場の中でも、「MINI GT」はハイクオリティな製品内容とリーズナブルな価格を両立しているのが特徴。 ダイキャスト製ミニカーならではの重みと繊細な仕上がりで人気が高い。 ■ 二極化が進むミニカー 1/64スケールのミニカーは、1/43とか1/18スケールのミニカーに比べてニッチな存在だった。 しかし、今回の静岡ホビーショーにおいては、ミニカーの主役に躍り出た印象がある。 その理由には、前述の1/43とか1/18スケールのミニカーの価格が上昇して手軽に買える価格帯でなくなったことが大きい。 1/43ミニカーは1万円前後のものが主流で、カラバリを揃えるなどのコレクションは難しくなっている。 その点、1/64スケールのミニカーには千円台で買えるアイテムもあるなど、コレクションの楽しみがまだ残っているのだ。 もうひとつの理由は、1/43や1/18スケールで製品化すべき車種がほぼ出尽くしたこと。 売れ筋車種のほとんどが製品化されてしまった現状では、これまでとは違うスケールで製品化する必要が出てきたのだ。 今回のショーでは、トミーテックや「MINI GT」以外にも、1/64ミニカーの新製品が多数展示されていた。 また、置き場所に困らないコンパクトサイズであることも大きなメリット。 特に妻子持ちの場合、かさばる1/18ミニカーはこっそり買ってくることが難しい。 しかし、1/64ミニカーならポケットに入れて持ち帰ることも可能なのだ。 このような理由により、1/64ミニカーに対する需要はますます増えていくはずだ。 1/64ミニカーとは逆に、1/12のビッグスケールも増えてきた。 写真は「TSM-Model」の1/12 ティレル P34で、1977年モナコGPに出走したカーナンバー3のロニー・ピーターソン車を再現したもの(価格未定)。 フォードDFVエンジンをはじめとするディテールの再現が凄まじい。 価格もきっと凄まじいものになるはずだ。 こちらも「TSM-Model」の、1/12 マクラーレン F1 GTR #59 1996 Le Mans 24 Hr Winner。 参考出品のため実際に販売されるかどうか不明だが、ウェザリングされたボディが特徴的で、完成度は極めて高い。 こちらは京商が輸入販売する、TOP MARQUES社製の1/12 ランチア 037 1983 No1 モンテカルロ ウィナー W ロール(税込価格:110,000円)。 TOP MARQUESの本国サイトを確認したところ、同製品にはいくつかのバリエーションが存在した。 筆者は個人的にグループBのミニカーコレクションをしているので、是非ともコンプリートしたいのだが、価格が税込110,000円では1台を買うことさえ難しい。 こちらはエスワンフォーが2023年4月に発売した「キャラクタービークルシリーズ 1/12 ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500」(税込価格:44,000円)。 あまりにも有名なルパン三世の劇中車を1/12スケールのダイキャスト製ミニカーとして製品化したものだ。 付属品が豊富に用意されているので、フィギュアと組み合わせることで映画のシーンを再現することが可能。 このようにミニカーの新製品は、手軽な1/64ミニカーと高級志向の1/12ミニカーが元気で、1/43と1/18ミニカーは脇役に徹した感があった。 クルマホビーのトレンドは少しずつ変わってきているが、アラフィフ世代以上のクルマ好きがメインターゲットとなっているのは間違いない。 子育てが落ち着いて、金銭的にも余裕が出てきた世代が狙われているのだ。 財布のヒモを引き締めたいところだが、「限定品」という言葉についついやられてしまうのも事実。 さて今日は何をポチろうか(笑)。 [ライター・撮影 / 北沢 剛司]
行動制限が緩和されたゴールデンウィーク。 観光地は数年ぶりに多くの人で賑わっていた。 イベントも例外ではなく、各地で多くのイベントが開催された。 今回紹介する「パルサー全国ミーティング」も、日本各地はもちろん、海外からもフリークが参加して賑わうこととなった。 パルサーを愛車とする筆者も、参加させていただいたその模様をレポートしたいと思う。 ■パルサーってどんなクルマ? まずパルサーについて解説。 パルサーの歴史は長い。 日産自動車が1978年から2000年まで、5代にわたって発売を行っていた。 当時のメーカーラインナップのなかでは、スタンダードなモデルである。 ボディタイプは世代ごとに違う点はあるが、大まかに3ドアハッチバック・4ドアセダン・5ドアハッチバックが用意されていた。 まだ、海外ではパルサーの名は残っているが、海外専売車となっている。 ■ワンオーナーにレアな個体も!個性ある参加車たち パルサーには派生車も存在していた。 その名は、パルサーEXA(エクサ)というモデルである。 パルサーEXAということだけでも十分にレアなのだが、そのなかでも極めてレアなコンバーチブルが、今回初参加されていた! 1985年に特別仕様車として、100台限りで発売された。 台数から、当時でも大変希少なモデルであることは間違いない。 そんな希少車が、38年の時を経て、ここまでキレイな状態で残っていたことには驚きである。 近年、若い世代の方々が、旧車オーナーになられることが多い。 今回のイベントでも、多くの若いオーナーが参加されていた。 しかし、まだまだ現役! 新車時から乗り続けていらっしゃる、オーナーの方も。 それが、このN14型パルサーGTI-Rだ。 最近、パルサーを長期で修理することになり、必要に迫られ別のクルマを入手されたそうだ。 それまでは、このパルサーとともに過ごしてきたとのこと。 オーナーは「長い年月をともにして、味が出てきているでしょ」と笑いながらおっしゃっていた。 たしかに、映画で観るヨーロッパの街並みに溶け込んだ、コンパクトカーにも見えてきた。 ■筆者の琴線に触れたイチオシパルサーたち 会場で、個人的に筆者が気になったパルサーを紹介したいと思う(筆者のマニアック目線なのはご勘弁を!)。 N14型GTI-Rは、イメージカラーがブラックなのもあり、目にする多くはブラックだと思う。 このイベントでも、半数以上のボディカラーはブラックである。 紹介するのは、GTI-Rのなかでも“超”が付く程のレアカラー「グレイッシュグリーンメタリック」である。 このボディカラーが設定されていたのは、モデルライフ中盤の僅かな期間だけだったのだ。 そのため、長年のGTI-Rオーナーやフリークでも、設定があったことを知らない人が多数であった。 ただ、GTI-R以外のグレードでは長期間設定されており、それなりの人気カラーであった。 どの車種でも、ボディカラー遍歴としてよくあるのは、デビュー時に多くの色を設定。 マイナーチェンジで、不人気色を廃止もしくは差し替えである。 筆者の予想としては、他グレードでそれなりの人気カラーだったことから、試しに設定して様子を見ていたのかもしれない。 結果としてはGTI-Rで選択するオーナーが少なく、廃止になったのではないかと予想する。 次に紹介するのは、N15型VZ-Rのディーラーオプションマシマシ仕様だ。 実は何度か、出先でお見かけしたことがあった。 まるで、ディーラーオプションカタログから飛び出してきたような姿に、驚いたのだった。 今回、参加されていたので、間近で拝見することができた。 大きな珍しいものでは、ストライプ(デカール)とウィンドウスクリーンである、 N15型でサイドストライプを装着しているのは、グレード問わずなかなかお目にかかれない。 まだプライバシーガラスの設定や装着率が低い時代、リアサイド・バックゲートに車名入りのスクリーンが設定されていた。 ■海外から参加のパルサーフリークも! 今回、日本各地からパルサーオーナーたちが集まった。 それだけでもすごいことなのだが、なんとニュージーランドから、このイベントのために来日された方が居られたのだ! 今回の開催地は、人気の観光地にて駐車場の1区画を貸し切りにして行われている。 筆者は最初、開催地へ観光に来た方が、ついでに見学しているのだと思っていた。 しかし、事務局から閉会時に紹介があり、このイベントを目的としてお越しになられていることを知ったのだ。 次の項で紹介するじゃんけん大会の際、非常にレアな海外仕様のテールレンズとフロントグリルがエントリーしていた。 そのアイテムたちは、ニュージーランドからのお土産として持参されたとのことだった! 国籍や文化は違っても、同じクルマが好きなマニアの心は同じなのだ!と、このお土産のセンスから、強く感じてしまった(笑)。 ■過去最長! 2時間にも及んだ白熱のじゃんけん大会 このミーティングの目玉イベントとして、各自景品を持ち寄って行うじゃんけん大会がある。 事前に事務局から、景品持参のお願いがアナウンスされている。 嬉しいことに、年々景品としてのアイテムが増加しているとのこと。 その理由としては、自動車部品に限らず、各地から集まった方々が地元のお土産など、バラエティに富んだアイテムを持参されている。 また、持ち込まれた部品については、出品者にとって不要になったものだとしても、同一車種オーナーからすれば「お宝」が多い。 多くの仲間が集まるこのイベントで、再び使ってもらいたいと持ち寄っているのだ。 また、じゃんけんという平等な方法で、部品の行き先が決まるのも気持ちがよいものだ。 ■総括:今後の記録更新に期待! 今回の参加台数だが、事務局によると過去最高台数の65台とのことだった。 参加されたモデルは、2代目・4代目・5代目が集まった。 最終モデルの生産が終了して23年経っているが、参加台数は増え続けている。 それは、年々台数は減っていても、好きな人が増えているのだと考えられる。 趣味の対象として選ばれる時期になってきたのだろう。 過去のイベントでは、初代・3代目が参加された回もあった。 今後は、歴代モデルのコンプリートをぜひ、実現してもらいたいと願ってやまない。 [ライター・撮影/お杉]
去る4月8日の早朝、相模原市にあるアリオ橋本の駐車場の一角がにわかにざわめきだした。 エアを送り込まれて作り出された出走ゲート、出発の準備に余念のないクラシックカーとそのオーナーたち。 2日間に渡って行われるルート・ディ・相模原の始まりである。 ルート・ディ・相模原はトロフェオ・タツィオ・ヌボラーリの相模原ステージとして今回2回目の開催を迎えるクラシックカーラリーだ。 会場である相模原の名所、相模湖や津久井湖といった桜の咲く観光地や富士山麓周辺のワインディングロードを楽しみながらドライブを行う。 ルートはコマ地図と呼ばれる図の指示に従い各所ッチェックポイントを通過していく。 初日は橋本のショッピングモール「アリオ橋本」を出発して、富士急ハイランド内にあるハイランドリゾート&スパを目指し、2日目はそこからゴールである相模湖公園を目指す。 今回は初日の様子をお届けする。 ■出走唯一の国産車1/2222台の戦い 初日の出走は15台。メルセデスやポルシェフェラーリといったクルマが準備を始めるなか、今回唯一国産車でエントリーしていたクルマがあった。 それがトヨタコロナ1600GTだ。 後期型のボディに足回りやブレーキを強化、他の車体との特徴的な違いはフロントフェンダーにエアアウトレットが付き、Cピラーの根元にはトヨタ2000GTのフロントフェンダーと同様の1600GTのエンブレムが付いている。 コロナ1600GTの生産台数は2222台と、トヨタ2000GTの337台と比べれば決して少なくないように思えるが、3代目コロナの総生産台数は57万8534台ということを考えれば、いかにその数がわずかかわかると思う。 実は2日目にはさらにエントリー数が増えてトータルで30台以上になるということで、国産車もさらに数台参加予定であったが、初日は唯一の参加車両であった。 オーナーはこのほかにももう1台コロナを所有している。 そのことからもわかるようにオーナーのコロナに対する思い入れは強いようだ。 それを証明するかのように、ボンネットを開けると、その裏側にはレーシングドライバー高橋晴邦氏のサインがしっかりと書かれていた。 高橋氏といえば、日本グランプリでコロナを駆り総合3位クラス1位になったレジェンドドライバーである。 参加車両は1.6Lの9Rエンジンに5速MTを搭載、リアにあるエンブレムはそのことをしっかりと主張していた。 車体はリペイントされたものだが純正の塗装を再度吹きなおしたもので当時と同じカラーリングになっている。 ■それは復興から始まる街おこし ルート・ディ・相模原の始まりは災害復興支援ともいえる。 令和元年に起きた台風19号により相模原や道志周辺にも大変な被害をもたらした。 このときの土砂崩れで419号線が全面通行止めになり、しばらく通ることができなかったことを筆者も覚えている。 主催者の野呂氏も自身のキャンプ場が壊滅するなど、苦境に立たされていた。 それを復興するにあたり考えたことが、自身のキャンプ場だけを復旧させても何ら意味がない。 地域全体を盛り上げてこの地に観光客を呼び戻さなくてはならないと考え、一般社団法人を立ち上げたという。 そのときに野呂氏の過去にあったレース経験や伝手をを生かして、北海道で20年以上開催されているクラシックカーイベント「トロフェオ・タツィオ・ヌボラーリ」の相模原ステージとして同イベントを立ち上げた。 クラシックカーが走ることにより、相模原の観光資源を多くの方に知ってもらい、また沿道に多くの人が足を運んでもらえるようにと考えたのだ。 スタート会場には相模原を盛り上げるということからも、相模原観光親善大使の女性2名が華を添え、開催の挨拶を市長が行う盛り上げぶりだ。 ■富士急ハイランドを目指して駆ける スタート地点から各車コマ地図に従い、途中の中継地点を目指す。 1日目、2日目と両方で必ず中継地点になるのが協賛会社のひとつである(株)ASISTの駐車場だ。 ここでは両日にわたって昼食を取る休憩地点となっている。 全車両快音を響かせながら相模原の名所や峠道を走り抜けていく。 順位は問題ではない。 彼らが走ることで注目をしてもらい沿道の人に関心を持ってもらう。 多くの方々に走るクルマたちを見てもらい、その歴史的背景や時代、文化といったことに思いを巡らせてもらう。 そしてそれらを次世代へ引き継いでいく。 クラシックカーラリーの趣旨のひとつはそこにあるのではないかと思う。 ■地域の良さを見つめなおすために 富士急ハイランドをゴールに初日のスケジュールが完了する。 翌日には再びワインディングや市街地を駆け抜け相模湖公園にゴールする。 ゴール地点では衣装メーカーによるクルマたちの周囲を彩る異色のコラボレーションやハンドクラフトはじめ、ケータリング等の出店も行われていた。 地域の企業とうまくタイアップを行い、参加者や観客、地域住民にも観光地として素晴らしさや楽しさをあらためて知ってもらう。 それこそがルート・ディ・相模原というイベントの責務であり醍醐味だといえる。 相模湖公園に整列する車両たちはそのことを静かに語っているように思えた。 ■クラシックカー・ツーリング・ラリーイベント「2nd. Route di SAGAMIHARA」https://routedisagamihara.jp [ライター・撮影/きもだ こよし]
去る4月9日(日) 、広島県の複合レジャー施設神石高原ティアガルテンでクルマとバイクのイベント「2023車輪村」が開催された。 今年で開催16年目を迎えたこちらのイベントは、神石高原町の有志によって発足した「TEAM車輪村」によって運営されている。 毎年4000人以上の来場者があるという超人気イベントだ。 今年は5000人を上回ったという。 地域活性とモータースポーツの普及を目的とし、エンターテイメント、モータースポーツ、グルメなどの多彩なコンテンツを展開する。 今回はイベント当日の様子を紹介しながら、車輪村の魅力をお伝えしていこう。 ▲メイン会場はイベント広場と多目的駐車場 早朝から多くの来場者が集まり、列を作っていた。 並んでいると、会場で行われているドリフトパフォーマンスのリハーサルの音が聞こえてきた。 エンジン音とスキール音に気持ちが高揚する。 8時50分に開場した途端、リハーサルを見ようと多目的駐車場へ直行する人も多く、大勢のギャラリーがリハーサルの様子を見守っていた。 ■ステージ、グルメ、名車集結で大盛況 ▲ヒストリックカーミーティング、展示、飲食販売、ステージイベントが行われる広場 9時には開会宣言が行われ、2023車輪村がスタート。 当日は、特設ステージと多目的駐車場で行われるイベントをすべて楽しめるようにスケジュールが組まれていた。 この日行われた催しを順に紹介していこう。 ▲開会宣言、軽快なオープニングMCで盛り上げる主催代表の中野達也さん(右)とラジオパーソナリティの佐原智代子さん(左) ▲神石高原町入江嘉則町長より広島県神石高原町ふるさと大使の任命式も行われた。任命された芸人・画家の福本ヒデさんは2期にわたってふるさと大使を務める ●地元グルメを満喫! 地元広島のご当地グルメが大集結したフードマーケットが賑わっていた。当日は汗ばむほどの陽気で、冷たいスイーツやドリンクにも長い列ができていた。 ●自衛隊による車両展示 今年は自衛隊の車両展示コーナーも登場。 高機動車や野外炊飯専用トレーラーなどが展示され、じっくりと見学できる貴重な機会。 記念撮影のコーナーは幅広い世代に人気だった。 ●メーカー、ショップ、カーグッズブース クルマ、バイクのディーラーやショップが出店。 カーグッズの販売もあり、お気に入りの1点を探しもとめるクルマ好きの姿が多く見られた。 ●イメージガール水着撮影会 車輪村イメージガール「La La Sweetガール」による水着撮影会。 イメージガールの皆さんが、華やかに会場を盛り上げた。 ●舞乃空(まのあ)ライブ 今年2月にメジャーデビューしたばかりの舞乃空さん。 NHKのど自慢グランドチャンピオン大会に出場するなど歌唱力抜群。 みずみずしい歌声を響かせて来場者を魅了していた。 ●ストリートドラマー・リエイ パフォーマンス Youtubeなどで活躍中のストリートドラマー、リエイさんが車輪村初登場。 「初めてドリフトを見ました。すごい迫力!」 と話すリエイさん。 ドリフトパフォーマンスに刺激を受けたように疲れ知らずのパワフルなドラミングを披露。 アウェイなステージから一体感をつくり出すのもプロの技!特設ステージにはいつのまにか人だかりができ、1曲ごとに歓声が起こっていた。 ●安芸戦士メープルカイザーショー 広島県公認児童虐待防止ヒーロー「安芸戦士メープルカイザー」のヒーローショーが開催されていた。メープルカイザーは、悪の心だけを斬る優しいご当地ヒーローだ。 子どもたちは大喜び。 ショーに熱中して声援を送る様子が印象的だった。 ●エクストリーム&ダートトラックバイクショー エクストリームバイクの人気選手が集結。 海外でも活躍するダートトラックの大森雅俊選手、スタントライディングのトップライダー木下真輔選手、沖縄県出身で新進気鋭の屋比久大選手、国際大会に参戦するなど活躍中の照屋則斗選手。 そして今年はポーランドよりRafal Pasierbek選手を迎え、超ド迫力のエクストリームバイクパフォーマンスで会場を沸かせた。 なかでも、火花が飛ぶほどギリギリに車体を倒してスライドさせる大森雅俊選手による「リンボーダンス」のパフォーマンスには大歓声があがっていた。 ●D1ドライバーパフォーマンス エクストリームバイクとともに、毎年観客を熱狂の渦に巻き込むのがドリフトマシンパフォーマンス。 今回参加したのは、D1グランプリに参戦する川畑真人選手、フォーミュラ・ドリフト ジャパンにも参戦する日比野哲也選手、松川和也選手、石川隼也選手。 そして“のむけん”ことレジェンド野村謙選手と、若手としても注目される息子の野村圭市選手が親子で参加。人気選手のそろい踏みとなった。 華麗なドリフトを披露するマシンたち。 単走、追走、全員でパフォーマンスというプログラムで、フィナーレはエクストリームバイクとの競演。 観客のボルテージも最高潮で、声援に応えようとドライバーやライダーの走りもヒートアップ。 大歓声と拍手のなか、MCを含めた出演者全員が集合し“煙幕のカーテンコール”となった。 ■【VOICE1】来場者の声 来場していた方に声を掛け、車輪村の魅力を尋ねてみた。 NSXを見ていた50代の男性はこう話す。 「4月になるとこのイベントだなと思います。相変わらずのんびりした雰囲気が良いですね。空ぶかしなどする人もいなくて、お客さんのマナーも良いと思います。展示しているクルマも年代的に“ドストライク”です。今の旧車ブームも関係あるんでしょうか、こうして見ていると綺麗な個体が増えましたよね。当時モノにこだわっていて印象的です。車種も多様になり、テンションが上がります。子どもたちが見ると新鮮に見えるようです。家族連れでも楽しめる良いイベントですよね。ぜひともずっと続けていってほしいです」 知人の誘いで初めて来たと話す若い女性に出会った。 旧車に興味を持ち始めてまもないという。 来場したばかりということで、これからじっくりとイベントを楽しむそうだ。 「今回が初参加です。旧車が好きになってまもなく、ミーティングにも行ったことがなかったので、ドキドキワクワクしています!私の父がシャレード デ・トマソに乗っていたこともあり、スクエアなディティールを持つクルマや、丸目ライトのかわいいクルマが好みです。いろんな車種のオーナーさんとも話せそうなので、テンションが上がっています」 ■【VOICE2】ヒストリックカーミーティング参加者の声 ヒストリックカーミーティングで愛車を展示していたオーナーにもインタビュー。 愛車へのこだわりと、車輪村に参加した感想を伺った。 ●スズキ ジムニーJC(SJ30型) オーナー:古谷啓通さん 1984年式のジムニーを所有する古谷さん。このジムニーのほかにもマツダ ポーターバンやスズキ ワゴンR、アルト ラパンも所有しているという。こちらのジムニーとの出会いが印象的だ。 徳島県にあった個体をポーター繋がりの友人が入手。その友人が古谷さんの住む岡山に引っ越して来た際に保管場所の関係で、古谷さん宅の敷地にてジムニーを保管していたが、友人が遠方へ引っ越すタイミングで古谷さんの愛車となったという経緯をもつ。 「クルマの方から這い寄って来たようなものですね(笑)。2スト3気筒のサウンドが気に入ってます。友人との約束で、定番のオフロード性能を上げるようなカスタムはあえてせずに、サイドのデカールも含めて今のノーマル風のスタイルを維持していきたいですね」 続いて、今回の車輪村への思いを伺った。 「毎年さまざまな趣向を凝らしての開催は大変だと思いますが、このような色々なジャンルの詰まったイベントは全国的に見てもなかなかないと思います。企画運営は大変と思いますが来年も楽しみにしております」 ▲もともと4MTだったが5MTに換装。ステッカーも「5SPEED」を追加した ●スズキ アルト(SS40V型) オーナー:三宅翔磨さん 1984年式の三宅さんのアルトは、自らレストアを手掛けた個体だ。ボディカラーのサンジェルマンレッドは少し朱色がかった原色の赤で、大変美しい。 分かる方は気がついたかもしれないが、最終型だが初期型のフロントに仕上げてある。サイドミラーもドアミラーからフェンダーミラーにしたという。 そしてボンネットの裏には、かつてスズキを牽引した鈴木修氏(現 相談役)の直筆サインが入っている。当時のことを思い出してもらった。 「肩にやさしく手を置いて握手してくださったのを覚えています。力強い握手に気持ちがこもっているのがわかり、すごくうれしかったですね」 ▲2021年2月16日に記された鈴木修氏の直筆サイン ●マツダ シャンテ GL2 オーナー:西栄一さん 1972年式の愛車は、西さんの知人から譲り受けたという。手に入れた当時は不動となっていたが、整備士の西さんの手によってよみがえった。 「シャンテのエンジン音はロータリーと同じで吸入ポートと排気ポートにバルブがないので、ロータリーの音によく似ていますね。6500rpmまで回るので心地良いです」 シャンテは、水冷2気筒2サイクルエンジン(AA型)を搭載。ロータリーエンジンの搭載が計画されていたといわれるそのエンジンは、ロータリーバルブ仕様のブリヂストンのオートバイ、 350GTR(北米向け)の空冷2ストロークエンジンを基本設計に水冷化したものだ。 「ホイールベースが長く、シート位置が車体のセンターに近いのでカート感覚。レーシーなフィーリングも気に入っています」 レーシングドライバーとメカニックの経歴を持つ西さんは、シャンテのそうしたスポーティな部分も気に入っているそうだ。車輪村には知人の展示車両サポートを含めて初期から参加しているという西さんに、今年の観想を伺ってみた。 「イベント内容もどんどん良くなっていると思います。今年はドラムの演奏が良かったですし、楽しい思い出がたくさんできました。来年は友人も誘って2台のホンダT360で参加したいと思っています」 ▲フロントスポイラーは自作!一見木製と思えない仕上がりだ ●マツダ シャンテ GL2 オーナー:冨田康弘さん 1972年式のシャンテを所有する冨田さん。他にもマツダ ポーターバンやロータス エリーゼも所有するクルマ好きだ。 シャンテは中学生の頃に冨田さんの父が乗っていたこともあり、思い出の1台。冨田さんの同僚がスバル 360を購入したことに触発されて7年前に購入した。 「クルマを通じて仲間と交流できたり、トラブルのときは助けてもらったりと仲間の存在がうれしいです。良き相棒としてずっと乗っていきたい」 と語った。続いて、車輪村への感想も伺った。 「すごく楽しい。クルマやバイクはもちろん音楽も楽しみながら1日が過ごせるイベントですね。地元のなかでも大きなイベントだと思います。ぜひ継続してほしいですね」 ▲冨田さんのお気に入りはリアビュー ●ホンダ Z GL オーナー:多児直宏さん 1974年式のZはネットオークションで入手したという多児さん。多児さんの父がボディ補修の技術を持っているので一緒に修復したそうだ。 3年掛けて修復し、公道復帰して2年。元気に走るZと今後どう過ごしていきたいかを尋ねてみた。 「現状維持しながら、ところどころにさりげなく個性を出していけたらと思います。今のクルマと違って止まらないし曲がらないですが、そういう不便さがおもしろいクルマだと思います」 今年の車輪村に参加した感想を伺ってみた。 「車好きにはたまらない、楽しいイベントを毎年ありがとうございます。次回も是非参加させてください!」 ▲「レトロで可愛らしい外観がお気に入り」という多児さん ●ホンダ 1300クーペ7 オーナー:石井さんご一家 1970年式の個体を所有する石井さんご一家。 ご主人は珍しい空冷エンジンがお気に入りとのこと。 息子さんからは「バナナ車」と呼ばれて家族全員に愛されている幸せな1台だ。 車輪村は2回目の参加だそうだ。 「さまざまな旧車とふれあえたりバイクパフォーマンスを見られたりとても楽しいです。こういうイベントは大切だと思います。ぜひ長く続けてください」 ▲「自衛隊の車がかっこよかった!」と喜ぶ息子さん ●ホンダ NSX オーナー:福島章さん 1992年式で、NSX-GT仕様という個体。オーナーの福島さんは車輪村に初期から参加しているというベテランオーナーだ。 「雰囲気の良いイベントです。スタッフさんやボランティアの皆さんの地元愛がすごい。いつも楽しみにしています」 愛車のボンネットにはレジェンドドライバーのサインが書かれている。まさに「お宝」マシンだ。 ▲左から篠塚建次郎氏、中嶋悟氏、中嶋一貴氏のサインが並んでいる ●ランボルギーニ カウンタック5000QVクワトロバルボーレ オーナー:古谷野治男さん 古谷野さんは世界各国の名車を多数所有しているが、このカウンタックは34年間乗り続ける「相棒」のような特別な1台だという。 現在の走行距離は7万6000キロとのこと。 「40年前のデザインとは思えないですね。ヨーロッパのデザイナーの凄さを感じます」 ▲愛車に乗り込む古谷野さん ●スバル R2 SuperDELUXE オーナー:長谷川泰さん 1971年式のR2は5年前に購入。かわいらしいスタイル、2サイクル360ccのエンジン音がお気に入りだという。 お子さんと一緒にさまざまな場所にドライブして楽しんでいるそうだ。 車輪村へはここ近年参加するようになったそうで、毎年楽しみにしているという。イベントの魅力を聞いてみた。 「バイクのショーやドリフトパフォーマンスの迫力がすごいですね。毎年楽しみにしています。地元のイベントとして定着していると思います」 ▲気に入っているというリアビュー ■スタッフ全員がお見送り!心温まるフィナーレ ▲会場を後にするクルマのオーナーも笑顔で手を振り返す 16:00にすべてのプログラムが終了。 フィナーレはヒストリックカーミーティングに参加したクルマたちがパレードという形で会場を後にした。 会場の出口では、スタッフの皆さんが帰路に着くクルマを1台ずつ誘導しつつ送り出していた。 1台ずつにスタッフが「ありがとうございました!」と感謝の言葉を掛けて見送るという、最後まで心のこもったおもてなしが胸に響いた。 来場者、スタッフ、パフォーマーが醸す一体感。 読者の皆さんもぜひ「皆で作るイベント、車輪村」の魅力を体感いただきたい。 ■取材後記 今年の車輪村は、4月6日から9日まで開催されたゴルフトーナメント「マスターズ」と開催日が重なっていたことを思い出した。 マスターズが開催されているアメリカのオーガスタ市といえば、街全体でトーナメントを支援。知名度が高まるにつれて人が人を呼び、世界中が注目するゴルフトーナメントの開催地として知られるようになった。 そんなオーガスタの取り組みが「車輪村」と重なる。 地域が一丸となって継続することで人が人を呼び、神石高原町の地域活性化につながっている唯一無二のイベントだと思わずにはいられない。 携わる皆さんの郷土愛が注がれながら継続されてきた車輪村は、クルマとバイクを軸とした総合エンターテイメントとして、このさきも進化を続けていくだろう。 ▲チケットとなっているリストバンドには1個ずつ手書きメッセージにジーン…! 最後に、神石高原町は、自然豊かで魅力的な高原リゾートでもある。 近隣には名勝「帝釈峡」などの絶景スポットやパワースポットも点在。 ブランド和牛「神石牛」や豊かな自然の恵みも魅力だ。 車輪村に訪れる際はぜひ、神石高原町の魅力も堪能したい。 取材させていただきありがとうございました。 [取材協力] TEAM車輪村https://syarinmura.com/ 吉備旧車倶楽部 [ライター・撮影/野鶴美和]
去る4月14日〜16日にかけて、幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2023」を取材した。 早いもので、今回が8回目の開催となるオートモビルカウンシル。 今回より「Classic Meets Modern」から「Classic Meets Modern and Future」にテーマが改められ、新たなステージを目指したという。 日本車メーカー、インポーター、新世代の自動車メーカーが9社、ヘリテージカー販売店は過去最高となる41社が出展。 トータル166台もの名車が一堂に会することとなった。 ■クルマを「観る」というより「鑑賞」する感覚に近い モータショーでもなければチューニング系のイベントでもない。 国内外の名車が一堂に会するクルマのイベントは意外と少ない。 そしてこれが重要なのだが、オートモビルカウンシルの魅力のひとつに「じっくりと観られる」ことが挙げられる。 「鑑賞」という表現が適切かもしれない。 気になるクルマ、普段なかなか目にする機会がないクルマを心ゆくまで「鑑賞」できるのだ。 もし、目に留まったクルマが販売車輌であれば購入することもできる。 ……かといって「早い者勝ちのバーゲンセール」というわけではない(実際には早い者勝ちなんだけれど)。 また、クルマにまつわるアート作品が数多く展示されており、ギャラリーで美術品を鑑賞している感覚に近いかもしれない。 それだけに、会場内の空気感は独得だ。 また、来場者の年齢層が比較的高めなので、会場内の雰囲気もどこか落ち着いている。 会場内の時間がゆっくりと流れているのが取材をしていても分かる。 もちろん、それなりに来場者がいる……ことはいるのだが、東京モーターショーのようにお目当てのクルマに近づけないということは稀だ。 気になるクルマを撮影したければ、少し待てば「オールクリア」のチャンスがめぐってくる。 撮影したい人がいることを他の来場者も気がついて、自然と「間」を作ってくれるからだ。 そしてある種の慎みというか、マナーの良い方が多い印象だ。 この空気感がしっかりと醸成できている時点で、このイベントは大成功だと思う。 先述のように「ギャラリーで鑑賞している」雰囲気に近いので、この空気感を好む人たちにとっては非常に居心地がいいだと断言できる。 ■国内外の名車を間近で観られる幸せ 最新のモデルであれば、メーカーの広報車を集めて並べばいい(それはそれで大変だけれど)。 メーカーとしても秘蔵コレクションを出品するまたとない機会でもある。 マツダブースに展示されていた「マツダMX-81アリア(レストア済み)」が間近で観られるだけでも、このイベントに足を運んで良かったと思えたほどだ。 しかし、メーカーが保有しているケースは日本車が主で、輸入車ともなればは基本的にはオーナーカー。 つまり、オーナーに声を掛け、車輌を貸し出してもらえないか交渉する必要がある。 喜んで貸してくれるオーナーがいる一方で、難色を示す方も少なからずいる。 それが希少車であればあるほど大変だ。 筆者自身もさまざまなオーナーを取材させていただく機会に恵まれたが「人目に触れず、ひっそりとクルマ趣味を楽しみたい」という方も少なからずいらっしゃることは承知しているつもりだ。 正面突破ではまず断られるけれど「○○さんの紹介なら断れない」と、人のつながりで大切な愛車を貸してくれることも多い。 実際に裏でどのようなやりとりがあったのかは分からないが、テーマ展示でズラリと並べられた 〜ポルシェ 911 60 周年記念企画〜 「初期ナローからカレラ GTまで」および〜エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画〜「フェラーリ・スペチャーレ」の展示車をそろえるのはそれなりのご苦労があったのではないかと推察する(まさに眼福でした。関係者の皆さま、ありがとうございました)。 ■日産ブース、攻める 今回、個人的に驚いたのが日産自動車のブースだった。現行モデルはSAKURAのみ。 このクルマを取り囲むようにして、日産シーマ(Y31)、フェアレディZ(Z32)、PAO、そしてハコスカが展示されていたのだ。 日産シーマのオーナーは女優の伊藤かずえさん。 新車ワンオーナーで乗りつづけ、昨年、フルレストアされた個体そのものが展示されていた。 レストア完了後、銀座の日産ギャラリーに展示され、その後は以前と同じように乗りつづけているという。 メーカーに手によってフルレストアされたのだから、そのままガレージにしまいこむこともできたはずだが、これまでと変わらず乗りつづけている姿勢は本当に素敵だと思う。 フェアレディZ(Z32)とPAOのオーナーは日産の若き社員の方の愛車で、伊藤かずえさんとともにトークショーを繰り広げていた。 何を隠そう、純白のZ32は、旧車王ヒストリアの執筆陣のひとりである、Z32専門店「Z-one」代表小村氏のショップ出身の個体だ。 キュートな女性オーナー、丹呉いづみさんを別媒体で取材させていただいたことがあるのだが、この方のZ32愛は半端ではない。 ■国産ネオクラシックカーが近くて遠い存在になったことを実感 かつて、東京モーターショーの会場でお立ち台に載っていたクルマがやがて路上で見掛けるようになり、そしてひっそりと姿を消していく……。 そしてこのように旧車、ヴィンテージカーとしてふたたびスポットライトを浴び、表舞台に姿を見せてくれる。 1980年代、そして1990年代の現代では「ネオクラシックカー」といわれている時代のクルマも、ハコスカやホンダSシリーズのような旧車と呼ばれるカテゴリーに近づきつつあることを実感した。 それはつまり、チューニングやドレスアップのベース車輌ではなく、オリジナルの状態に戻すレストアベースの立ち位置に変わってきていることを意味する。 廃車寸前の個体をタダ同然で引き取ってきて、自宅の駐車場でウマを掛けて空き時間に修理する……なんて存在ではなくなりつつあるのかもしれない。 ■会場内を何周もすることで気づくこともきっとある 昨年「追いトップガン」というキーワードが話題になった。 映画トップガンの続編である「トップガンマーヴェリック」を観るために何度も何度も映画館に足を運ぶ熱心なファンのことを指す表現だ。 ちなみに、筆者も地元の映画館まで3回足を運んだ。 1回目、2回目、3回目……と、何度も繰り返して観るうちに新しい発見があるのだ。 「オートモビルカウンシル」は、東京モーターショーや東京オートサロンなどの大型イベントと比較したら会場はグッとコンパクトだ。 それでいて、入場料は先述のイベントよりも高価……ではある。 フロアマップを見る限りでは「すぐに見終わってしまうのではないか?」と懸念しても仕方がない。 しかし、会場全体が見渡せる分、東京モーターショーや東京オートサロンのように駆け足で観る必要もないし、見逃す可能性も低い。 そして「追いトップガン」のごとく、会場内を何周もすることで全体を把握でき、細部にいたるまでじっくり観られるようになる。 これこそが「オートモビルカウンシル」の醍醐味のひとつであるような気がした。 気の合う友人とクルマ談義しながら会場を練り歩けば充実した1日を過ごせるだろう。 もちろん1人でも楽しめる。 自分のペースで、誰に気兼ねすることもなく、文字通り「鑑賞したい」のならおひとりさまの方がいいかもしれない。 すでに来年の開催が決定しているので(2024年4月12日〜4月14日開催)、迷っているうちに行きそびれてしまった方はぜひ会場に足を運んでみてほしい。 そうそう。ひとつ、気をつけた方がいいことがある。 自動車関連グッズの販売が充実しているので、散財する可能性が高い方はクレジットカードを自宅に置いて、財布の中身は現金のみにした方がいいかもしれない。 [ライター・撮影/松村透]
■パシフィコ横浜で開催されたクラシックカーの祭典 去る2月18日、19日の2日間にわたってみなとみらいのパシフィコ横浜でノスタルジック2デイズが開催された。 主催はノスタルジックヒーローやハチマルヒーローでおなじみ文芸社、後援として横浜市の文化観光局がついている。 カーイベントとしても既に定番のひとつに数えられるほど、規模の大きなイベントだ。 国産だけでなく欧米、欧州車も展示されるイベントではあるが、今回は訪れた初日である土曜日の国産車を中心に話を進めていきたいと思う。 ■レストア全盛の時代を迎えたノスタルジック2デイズ 筆者も足繫く通う同イベントだが、かつては各ショップが腕を競うように一押しの車両を仕上げて出店していることが多かった。 しかし世の中が変わったのか、以前とは少し違って見えた。 少し前にMAZDAが初代ロードスターのレストア事業を立ち上げたり、日産が芸能人の所有するシーマを再生したりと国産車もいよいよレストアに力を入れ始めた。 そのこともあってか各ブースにはショップのデモカーだけでなく、レストア工程を見せる展示やリプロダクトパーツの販売がずいぶんと目につくようになった気がした。 かつてはデッドストックや中古パーツを多く見ていたものが、現在は出店ブースによっては、リプロダクトパーツ等に置き換わっていた。 実際に話をうかがったショップでもすべて専門の業者に委託、作成したものでそれらはすべて動作確認をおこない、不具合のないように入念にチェックもされているという。 また、かつては専門の治具を駆使して実質ワンオフ状態で作成していたボディパーツなども現在は元パーツからの型取りや、3Dスキャナーなどにより金型を起こしての制作をおこなって対応しているという。 そんなことをして採算が取れるのだろうか?そう思って話を聞くと、現在では国内には少数でも海外も含めれば十分に採算が取れるだけの需要が見込めるので、そこをクリアすれば問題はないのだそうだ。 ■夢のクルマを走らせる こうした半ばメーカーのようなパーツを作り上げるリプロダクト企業もあれば、イチから制作して組み上げていくところもある。 この黄色い制作途中の車両、ご存じの方もいると思われるが、日産のレーシングカーのR380であり、そのレプリカだ。 制作したのはノーチラススポーツカーズ。 サーキットの狼ミュージアムのディノレーシングスペシャルを制作したコーチビルダーといえば、ご存じの方もいるかもしれない。 桜井眞一郎氏の会社S&Sがオリジナルから復刻した際に、ゼッケン等はパテ修正をして譲ってもらったとのこと。 プリンスのロゴのレリーフだけはそのままになっていたことから、あえて残すことにしたのだとか。 実はこの車両は筆者がまだひな形しかないときから周知していた車両だけに、今回の初お目見えには注目していた1台だった。 現段階でもフレームまで組まれていたのだが、これでも若干フレームとボディでズレがあるので、フレーム側は制作しなおすという。 このR380はまた機会があれば完成までを別途取材で追いたいと思う。 ■舞台裏から見るノスタルジック2デイズ 開場して最初にステージでおこなわれる催しに、選ばれし10台というプログラムがある。 今回も選りすぐりの車両たちがステージ前に現れたのだが、この選ばれし10台をきっかけに数奇なめぐりあわせをした人物がいた。 昨年「アルミ弁当箱協会会長」として外車王SOKENで紹介されていた「マツドデラックスこと山本圭亮氏」である。 奇しくも第1回の選ばれし10台の最後のひとりとしてオペル・レコルトで登場したのが山本氏であった。 このことが縁で、これ以降このノスタルジック2デイズの音響担当として裏方で活躍することとなる。 この日も氏のチョイスによる絶妙な70~80年代歌謡やポップスが会場内をBGMとして流れて、会場内にいるおじさん世代の甘酸っぱい思い出や、ほろ苦い記憶をよみがえらせていたかもしれない。 ■イベントの横道を行く 巨大地下駐車場に見たクラシックアメリカン イベント会場には参加ができなくとも隠れた名車や、お宝なクルマがきっとある。 そう信じて疑わない筆者が、毎回お届けするイベントの横道。 今回はパシフィコ横浜の巨大地下駐車場を訪ねてみた。 しかし、筆者が降り立ったのは諸事情で地下2階、見渡せば最新のランボルギーニのSUVやロールスロイスといった超高級車が目白押し。 しかし、よくよく見れば、これ等はすべて月極めに止まっている。 残念だがこれは筆者の望む車両ではない。 あくまでのイベントに訪れた車両でなければならないからだ。 そこでさらに見渡すとキレイな「R」ではないハコスカや、SW20こと2代目MR2などなんとなくそれらしい車両がちらちらと見受けられる。 それでも、もうひとつパンチがほしい。 さすがに今日は難しのか?あきらめて出口へ向かおうとしたときに見つけたこちら。スチュードベーカー・チャンピオンそのカブリオレモデルだ。 1950年代のスチュードベーカーの代表的モデルとして、インダストリアルデザイナーのレイモンド・ロウイの手によりデザインされた。 ジェット機を思わせるフロントグリルは時代を象徴するようなデザインでもあった。 ■煌びやかな見た目か、歴史を感じさせる重みか? 会場では制作途中も含めて、レストア技術を見せる展示が本当に多かった。 こうして一通り見て回って感じたのは、どれも非常にキレイにまた丁寧に仕上げられているということだ。 同時にそれ故にまるで新車のように仕上げられているという見方もできてしまう。 人によってはそれを年式相応に見えないと考える人もいる。 しかし、この場合どちらも正解だと筆者は考えている。 もちろんキレイに仕上がったクルマはいい。 しかし、歴史を重んじて当時の雰囲気を残すことも、また「良い味」として魅力的なのだ。 これはオリジナルにこだわって仕上げるのと、普段から使えるように現代パーツに置き換えて、日々の足にも使えるようにすることにも似ている。 果たしてどちらがいいのか? その悩みはこの会場を訪れた方だけが見出せるのではないかと思う。 [ライター・撮影/きもだ こよし]
去る12月11日、西東京は国道20号線沿いにある谷保天満宮にて、クラシックカーが集結し、谷保天満宮旧車祭が開催された。 境内のそこかしこに往年の名車や希少車、スーパーカーが立ち並ぶ。 実に3年ぶりに開催された同イベントに参加した車両は115台に及んだ。 主催はオートモービルクラブジャパン(以下ACJ)。 谷保天満宮は日本のカーイベント発祥地であり、その始まりは明治41年に発足されたオートモービル・クラブ・ジャパンによる国内最初の遠乗会にある。 現在のACJは2011年8月1日このクラブの103周年の記念の日に再結成され、以来20年以上にわたり様々なカーイベントを催してきた。 その意味では、谷保天満宮旧車祭はクラブの中でも本命イベントといえるものだ。 神社を中心に所狭しと並んだ旧車たちに大人は懐かしさや羨望のまなざしを、子供は見たことのないスタイルのクルマ達に目を輝かせていた。 ■象徴たるタクリー号 日本初のツーリングである遠乗会、このイベントに有栖川殿下が自らハンドルを握って参加したのがタクリー号であった。 初の国内産ガソリン自動車、明治40年に国産吉田式自動車としてタクリー号は生まれた。 人力車や馬車、荷車が走る未舗装路をガタクリ、ガタクリと走る様からタクリー号と愛称が付いている。 しかし、残念ながら本物のタクリー号は現存しておらず、画像の車両は2012年4月に発足した実働レプリカ制作プロジェクトにより復刻された車体だ。 こちらは谷保天満宮旧車祭世話人会が中心になり、1930年製のオースチン・セブンをベースに制作された車両になる。 同年8月1日に谷保天満宮本殿にて完成披露が行われ、第1回の熱海ヒストリカGPのひと月まえには天満宮から熱海の梅園まで実際に走っている。ACJの象徴ともいえる車両だ。 ■谷保天満宮とACJ 谷保天満宮は東日本最古の天満宮であり、亀戸天神、湯島天満宮と並び関東産大天神と呼ばれている。 学業の神様である菅原道真を祀っていることからも学業成就や合格祈願、厄除けはじめ、もちろん上記の経緯からもわかるように交通安全祈願の祈祷もおこなっている。 当日も参加車両が神主に祈祷を受けることができるようになっていた。 この後、午後からはパレードランとして国立まで沿道の人々に見送られながら走ることもあり、 多くの参加者が愛車とともに祈祷を受けていた。 ■横道を行く 毎回本会場以外で止まっているイベントに来た車両を見て回るイベントの横道。 今回はイベント会場であるが、第2会場となったことで本殿に直接行ってしまった方が見過ごしたかもしれない車両群としてスポットを当ててみたい。 第2会場はイタリアンカーを中心に90年代の軽スポーツが並んでいた。 その中で、入って正面の中心にいたのがスバル360ヤングSSだ。 スバル360は1958年、まだまだ庶民にはクルマは高嶺の花として考えられていた時代にサラリーマンでも手に入れられるクルマとしてデビューした。 小さくても大人4人が快適に乗ることができる性能を実現するためのパッケージングや軽量化に挑戦。 当時スバルの持っていた元航空機メーカーとしての技術を余すことなくつぎ込んだモデルだ(スバルオンラインミュージアムより)。 デビューより10年の年月を経て競合他社に対抗するべく送り出したスポーツモデルがヤングSSだ。 その性能はデビュー当時の358㏄16馬力から排気量は変わらずに、36馬力と実に2倍以上のパワー、マニュアル3速から4速モデルへの変更を持って登場した。 外装には専用のボディカラーやボンネットのヤングSSを示すストライプ、タコメーターや革巻きステアリングを装備するなど、スバルのスポーツモデルの原点ともいうべきモデルだ。 会場では同じくRRのフィアット500に挟まれながら、その小さなテントウ虫はしっかりと存在を主張していた。 ■Back to 20世紀 実は今回ほど横道が目移りしたイベントもなかったのではないか?と思えるほどに街のそこかしこに旧車が止まっているイベントであった。 会場である谷保天満宮が基本、参加車両で手いっぱいであったこともあり、当然のことながら見物に来た車両はそうした周辺駐車場にまわる。 そうして会場を中心に見渡すと、コンビニや路地を走るクルマの多くが旧車という事態になっていた。 谷保の町並みは最近改装が目覚しい南部線沿線としては、駅舎も含め昔の雰囲気を比較的に残している。 それも相まってまるで町全体が過去に戻ったかのような気分になれた。 それが良いか悪いかは筆者には答えられない。 しかし、わずか数時間のタイムスリップはとても心地のよい時間をもたらしてくれたと思う。 ■オートモービルクラブジャパンHPhttps://acj1908.com/ ■谷保天満宮HPhttp://www.yabotenmangu.or.jp/ [ライター・撮影/きもだ こよし]
去る2022年11月13日。チューニングカーの祭典「チューニングフェスタ」が、23年の歴史に幕を下ろした。 イベントが岡山国際サーキットでスタートしたのは2000年。多様なショップのチューニングカーが“ガチンコバトル”を展開するという、これまでにないスタイルのカーイベントとして始まり、西日本最大級のイベントに成長した。 しかし、時の移ろいでチューニングカーを取り巻く環境も変化。 チューニングベースとなるクルマの高騰や電子化など、クルマを手に入れにくい時代になりつつあるという背景があり、イベントも変革の時ということで一度ピリオドを打つということになったという。 ■決して終焉ではない 今後は「チューニングカーを次代へ残す」をテーマとし、車両価値を伝え、動態保存につながるイベントにリニューアルするとのこと。新イベントの開催が期待される。 今回は、23年間もの継続に感謝を込めながらクルマ好きに愛されてきたイベントのフィナーレを振り返る。 ■2000年から続いたチューニングカーの祭典 このイベントは、開催当時から続く伝統のレース「マイスターカップ」をはじめ、数々のレースや走行会、体験走行で構成される。 そして今回、西日本初開催となった「OKAYAMA HISTORIC CAR RACE」にも注目したい。この競技はJAF公認の公式なレースであり、日本クラシックカー協会の認定を受けている格式あるレース。1960年代後半からのヒストリックカーが出場する。 まさに集大成といえるラインナップでの開催となった。 ■出走していた憧れ、懐かしのマシンたち 当日は、イベントがスタートしてまもなく雨に。コースコンディションはウェットで始まった。赤旗が相次いだが、上級者ならではの迫力あるバトルは圧巻だ。 ▲チューニングフェスタにおいてR32 GT-Rは“シンボル的存在”といえるだろう ▲午前中のコースは激しい降雨でヘビーウェットに。水飛沫をあげながら走る80スープラ ▲シビック(EG6)の勇姿 ▲アルトワークス、コペン、トゥディなど長年人気を誇る軽自動車のチューニングマシンたちの姿も ▲会場内に立ち並ぶ、パーツメーカーやショップの展示、飲食ブースも見逃せない ■【リザルト】マイスターカップ 「マイスターカップ」への出場は、岡山国際サーキットのラップタイム1分45秒未満を保持していることが出場条件。出場マシンは国産モデルに限られ「4WD」「2WDターボ」「2WD-NA」の3クラスに分かれる。 *以下、ドライバー/ 車両名(エントリー名)/型式 ●マイスター4WDクラス 1位:トトロ / トトロ33GT-R / BCNR33 2位:eijiのおホモ達つよぽん?? / 天龍ガス欠BNR32 / BNR32 3位:koto / AS koto 34R / BNR34 ●マイスター2WDターボクラス 1位:道堂晃 / ☆WORKS 道堂☆ /AE86 2位:コマッチャン / D2☆180SX / RPS13 3位:ゆうちゃん/ フルステージまっくろくろすけFD /FD3S ●マイスター2WD NAクラス 1位:林幸男 / D2☆EK9/ EK9 2位:山根正和 / ガレージヤマネ☆レビン/ AE86 3位:田中均樹 / ドミネーションペトロナスEK9/ EK9 ▲ マイスター2WD NAクラスで優勝を飾ったD2☆EK9号 ■【リザルト】チャレンジクラス マイスターカップへのステップアップ部門「チャレンジクラス」。「4WD」「FR」「FF」と駆動方式でクラス分けされている。1分46秒001以上のタイムを保持していることが出場条件だ。 ●チャレンジ4WDクラス 1位:藺牟田竜 / D2☆エボ8 /CT9A 2位:レスポール高埜 / Team FullStage / VAB 3位:重田幸男 / - / GDB ●チャレンジFRクラス 1位:嘉納健二 / RH坂井・V-coatレビン / AE86 2位:堀井琢己 / D2・S15 / S15 3位:カズ / 黒いS2000 / AP2 ●チャレンジFFクラス 1位:大久保凌 / 田辺レーシング / EF8 2位:亥野好史 / - / DC5 3位:ひでやん / ひでやんDC5@RSファクター / DC5 ■【リザルト】インポートクラス 輸入車向けの「インポートマイスタークラス」と「インポートチャレンジクラス」。1分55秒のタイムを基準に、速いドライバーは「マイスター」へ。入門向けとして「チャレンジ」の2クラスが設けられている。 ●インポートチャレンジクラス 1位:JC PEPINO / チーム名/ 車両名(型式)/ 220 2位:ピカチュウどS / PFCJどノーマル鶏饅987どS/ 98721 ●インポートマイスタークラス 1位:ヨシミューラ/ Beck JAPAN ヨシムラ / - 2位:gucci_racer/ サ狼 AUDI TTS310 / 8J 3位:ヨッシー/ アックスレーシングプロジェクト / 993 ▲インポートマイスタークラスで優勝を飾ったBeck JAPAN ヨシムラ号(Beck GTS) ●86・BRZマイスタークラス トヨタ86とスバルBRZによるワンメイクレース。エアロバンパーやGTウイングなどのダウンフォースをはじめ、エンジンチューン、過給機装着まで改造範囲を拡大して開催。 1位:戦闘民族 /ALTEX 戦闘民族号 / ZD8 2位:前川志郎 / キモオタブルー/ ZC6 3位:長尾奏斗 / ラウダダカンパニー86 / ZN6 ▲トヨタ86とスバルBRZによるワンメイクのマイスタークラス。優勝を飾ったALTEX 戦闘民族号 ■【リザルト】K-Carクラス 軽自動車部門「K-Car」クラスはターボとNAの2クラスに分かれて初開催。根強い人気のトゥデイ、アルトワークス、コペンの新旧モデルの競演、S660、ビートなどが熱い走りでギャラリーを魅了した。 *以下、ドライバー/ エントリー名 / 型式 ●K-Car NAクラス 1位:mistbahn /mistbahn PP1 ビート / PP1 2位:檜山貴志/ ヤハタレーシング 2号車/ PP1 3位:江角浩二/ KibiGasket 内山工業 /PP1 ▲K-Car NAクラスの優勝を飾ったmistbahn PP1 ビート号 ●K-Car ターボクラス 1位:川端昌幸 / GarageTake-Up青アルト / HA22S 2位:飯野山佑介 /プライム☆チームマッハトゥディ/JW3 3位:MORIMAX / 通勤快速GR COPEN / LA400A ▲K-Car ターボクラスの優勝を飾ったGarageTake-Up青アルト号 ▲各部門の表彰式が行われた ■【競技レポート】西日本初開催! OKAYAMA HISTORIC CAR RACE こちらのレースは、これまで筑波サーキットを中心に関東で開催されていた。 しかし以前から西日本での開催を強く望む声が多く、日本クラシックカー協会の認定を受けてチューニングフェスタで待望の初開催となった。 1960年代後半から1970年代までのクルマを中心に展開されるレースで、クラスは大きく3クラスに分かれる。 エンジンとサスペンションのみチューニングが許される「Sクラス」、1970年までに製造されたフルチューニングマシンの「Fクラス」、トヨタ KP61スターレットと日産 B310サニーのフルチューニングマシンによる「TSクラス」。 見どころのひとつは、当時のクルマ好きが憧れた名車が数多く登場する点だ。 日産 B310サニー、トヨタ KP61スターレット、日産 510ブルーバード、アルファ ロメオ ジュリアシリーズなどが出走した。 ▲シリーズ3代目として1967年にデビューした510ブルーバード ▲1978年にデビューしたKP61スターレット。シリーズとしては最後のFR車でもある。さまざまなモータースポーツで活躍した名車だ ▲各部門の表彰式が行われた ■【リザルト】OKAYAMA HISTORIC CAR RACE ●S-1クラス 1位:林誠 / ガルトサービスホンダ1300クーペ / H1300C ▲S-1クラス優勝を飾ったガルトサービスホンダ1300クーペ号 ●S-2クラス 1位:伊藤俊哉 / イトウレディース&チェック510 / N510 2位:藤原進 / チェック☆ニッサン☆ブルーバード / P510 3位:仲田好喜 / ナルトカイ.ナッツ510 /H510 ▲S-2クラス優勝を飾ったイトウレディース&チェック510号 ●F-2クラス 1位:蒲生真哉/ Nats中村自動車ブルーバード / KH510 2位:河上正治/ オカザキスピードTC16サニー / PB110 3位:坂口夏月/ DAISHINブルーバード / KP510 ▲F-2クラス優勝を飾ったNats中村自動車ブルーバード号 ●TS-1クラス 1位:大八木龍一郎/ DAISHIN Progrexxサニー / B310 2位:大八木信行 / DAISHINサニー / B310 ▲TS-1クラス優勝を飾ったDAISHIN Progrexxサニー号 ●TS-2クラス 1位:TOMISAN/ ダイワN通商恵比寿スターレット / KP61 ▲TS-2クラス優勝を飾ったダイワN通商恵比寿スターレット号 ●TS-Eクラス 1位:青木孝行/ DAISHIN Rock254サニー / B310 ▲TS-Eクラス優勝を飾ったDAISHIN Rock254サニー号 詳しいリザルトはこちらからhttp://jcca.cc/event/2022/okayama/ ■【ドラマ】地元・岡山の企業が製作したマシンが、デビュー戦を完走 OKAYAMA HISTORIC CAR RACEで、地元企業のマシンが初出場を果たした。 岡山県に本社を置く、クルマ好きにはおなじみの有名パーツメーカー「OS技研」。 2023年に創業50周年を迎えるにあたり、記念事業としてオリジナル4気筒エンジン「TC16-C1」を搭載したマシンの製作を2020年から行っている。 今回のプロジェクトは、ヒストリックカーレース参戦を目標としつつ、若手への技術継承や、エンジン量産化に向けた課題解決などの目的をもって取り組まれているという。 今回、目標としてきたレースの舞台が偶然にも地元・岡山で実現するというドラマがあった。 「TC16-C1」を搭載したPB110サニー エクセレントをベースとしたマシン「オカザキスピードTC16サニー」号は、赤旗が相次ぐウェットコンディションのなか、河上正治選手の鮮やかな走りでレース完走を果たした。 ▲OKAYAMA HISTORIC CAR RACEクラス2位という好成績でデビュー戦を飾った ▲開発中の4気筒DOHCエンジン「TC16-C1」。テスト中に9000rpmを達成しているという レースを含めた振り返りを、プロジェクトにアドバイザーとして参加しているOS技研チーフエンジニアの富松拓也さんに伺った。 富松さん:「テスト走行は何度も繰り返していたんですが、今回が本当のデビュー戦でした。 レースは富士スピードウェイだろうと思っていたんです。ところが、岡山で行われる話を聞いて驚きました。どこで開催するにしてもこのプロジェクトは続行されますが、岡山国際サーキットに合わせてセットアップしてきました。 L型4気筒のエンジンでFクラス(フルチューニング)参戦というと、車種はおのずと510ブルーバードかPB110サニー エクセレントになるんですが、あえて不利な点の多いPB110サニー エクセレントで挑戦することにしました。 これまでさまざまな問題に直面し、まともに走らせるのが本当に大変でした。現段階では『まだまだ』ですね。マシンの大きな課題は、強大なエンジンパワーをいかに路面に伝えるかです。そのほかにも煮詰めなければならない部分は多々ありますし、課題を一つひとつ解決しながら仕上げていきたいです」 今回のプロジェクトでドライバーを務めている河上正治選手は、1980年代から岡山県内で行われていたレースや全日本ジムカーナ選手権に参戦するなどのベテランドライバー。OS技研との縁などを伺いつつ今回を振り返っていただいた。 河上選手:「今回の走りは反省点が多いですが、マシンの仕上がりを感じました。期待を膨らませています。 OS技研とは学生時代から交流があります。自分がL型に乗っていたこともあり、OS技研のクラッチなどのパーツをずっと使ってきました。創業者の岡﨑さんとは名前が漢字まで一緒なので、縁があるのかなと思っています」 「TC16-C1」はすでに市販化も始まり、1基がユーザーのもとに届けられている。バックオーダーも数基ある状態だという。 プロジェクトの今後の展開にぜひ注目したい。 オーエス技研https://osgiken.co.jp/ 公式YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/@osgiken1/videos ■パレードランでフィナーレ ▲パレードランしている車種のプロフィールが次々にアナウンスされていた イベントのフィナーレでは、来場しているすべてのクルマが参加。走行中の車種がMCで紹介され、卒業式のような雰囲気に。 このイベントに一度ピリオドが打たれることをあらためて感じるパレードランだった。 ■取材後記 筆者がチューニングフェスタへ初めて行ったのは2005年のこと。クルマ好きなら誰でも知るようなイベントが地元・岡山で開催されていることが、地元住民として誇らしかった。 さまざまなチューニングカー、そして大好きなS2000が目の前を駆け抜けていく姿がただただうれしく、公道では目にできない走りやエンジンサウンドに興奮したことを思い出す。本気で走るマシンを目にしたことで、クルマが一層好きになった。 憧れのクルマが全開で走っている姿を目にすると「いつかあのクルマに絶対に乗るんだ」というモチベーションもアップするのではないだろうか。実際に、筆者は憧れだったS2000を手に入れた。 23年間、多くのクルマ好きに愛されたイベントが途切れてしまうことはファンとして残念だが、チューニングカーの魅力を次代に伝える新イベントのスタートを待ちたい。 ▲筆者が2005年に行ったチューニングフェスタにて [取材協力] ●岡山国際サーキットhttp://www.okayama-international-circuit.jp/ ●オーエス技研https://osgiken.co.jp/index.php ●日本クラシックカー協会http://jcca.cc/ [ライター・撮影/野鶴美和]