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2023年5月に「第61回静岡ホビーショー」が開催された。 タミヤ、ハセガワ、アオシマ、フジミ模型など、国内外に知られるメーカーの本拠地として内外に知られる静岡。 その「プラモデルの聖地」といわれるお膝元で開催される「静岡ホビーショー」は、その年に発売予定の新製品が数多く発表されるため、近年は海外からのバイヤーも大勢訪れ、国際的なイベントになりつつある。 今回は、そんな静岡ホビーショーで発表された気になるクルマ系ホビーの新製品を紹介しながら、会場で感じたトレンドについてもまとめてみた。 ■バラエティ豊かなタミヤの新製品 まずはクルマ系ホビーの王道といえる、組み立てキットの新製品をチェックしてみた。 タミヤブースでは、1/24スポーツカーシリーズの最新作としてゴードン・マレーが手がけた「GMA T.50」が8月に発売。 再販アイテムとしては、1/24スケールの「ランチア ストラトス ターボ」、1/20スケールの「ポルシェ 935 マルティーニ」といった'70年代の懐かしいキットが発売される。 電動RCカーの乗用車系モデルでは、「トヨタ ガズー レーシング WRT/GR ヤリス ラリー1 ハイブリッド」、「ポルシェ 911 GT3(992)」、「フィアット アバルト 1000TCR ベルリーナ コルサ」、「2002 メルセデス・ベンツ CLK AMG レーシングバージョン」、「アルファロメオ 155 V6 TI マルティーニ」、「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」など盛りだくさんの内容。 2022年のWRCチャンピオンマシンの製品化から旧製品の仕様違いまで、バラエティに富んだラインアップはタミヤならではといえるだろう。 個人的に気になったのは、1/10電動RCカーシリーズの「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16Vラリー」(価格未定)。 参考出品ながらとても出来がよく、ゴルフIIの魅力をよく表現していた。 注目すべきポイントは、ゴルフII GTI 16Vのラリー仕様という、比較的マイナーな車種の製品化である。 ビジュアル的にはラリー・ゴルフのグループA仕様のほうが迫力はあるし、ゴルフII GTIという車種的な魅力でいえば、ラリー仕様よりもロードバージョンの方がウケは良さそうだ。 しかし、オンロードとオフロードの両方で楽しめる設計のため、これは以前販売されていた「ランチア デルタ インテグラーレ」の路線を踏襲していることが伺える。 カラーリングを見る限りでは、特定のラリーをイメージしたものではないのであっさりとした印象だ。 同車のベストリザルトは、1987年ポルトガル・ラリーとアルゼンチン・ラリーにおける3位入賞なので、そのあたりのロゴが追加されるのだろうか? 今後の正式発売が気になる内容だ。 ■限定品が気になるハセガワ ハセガワのプラモデルはシャープな表現が特徴的で、今回発表された1/24カーモデルの新製品も実車の雰囲気を凝縮したような出来栄えだった。 1/24スケールのプラモデル「カルソニック スカイライン(スカイラインGT-R [BNR32 Gr.A仕様] 1993 JTC チャンピオン)」は、7月下旬に発売予定の限定品(税込価格:3,960円)。 1993年全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンマシンを再現したもので、Gr.A仕様のディテールを的確に再現。 個人的には、フェンダーに食い込むように再現されたネガティブキャンバーの前輪に魅力を感じた。 カルソニック スカイライン自体は昔から様々なメーカーで製品化されているものの、最新の技術で設計されたハセガワ製品のシャープさは注目に値する。 ブース内で目を惹く存在だったのが「ニッサン スカイライン 2000GT-R(KPGC110)レーシングコンセプト」(税込価格:3,850円)。 1972年の東京モーターショーで展示された、ケンメリGT-Rレーシングコンセプトを再現した製品である。 レーシング仕様のパーツを新金型で製作し、新デカールをセットしたこの新製品。 これまでありそうでなかったアイテムであり、美しいボディカラーが印象的だった。 6月下旬発売の限定品なので、気になる方は早めに入手することをお勧めしたい。 もうひとつの注目アイテムは、7月下旬発売予定の「マットビハイクル “迷彩仕様” w/ロケットランチャー」(税込価格:4,400円)。 ハセガワのマットビハイクルをベースにしたこちらの限定品は、『帰ってきたウルトラマン』第32話「落日の決闘」に登場した、ロケットランチャー装備&迷彩仕様をキット化した内容。 ルーフに装備された30連装ロケットランチャーはレジン部品を新規作成したもので、怪獣キングマイマイとの戦いに使用された姿を再現できる。 ただ、キットに迷彩パターンのデカールは付属せず、塗装指示となるとのこと。 そのため上級者向きの製品内容となっている。 アイテムとしては非常に魅力的だが、多くの人にとっては買ったままコレクションになってしまうのではないだろうか。 ■映画の劇中車がアツいアオシマ 青島文化教材社のブースには、なんと映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンが展示されていた。 これは2024年に発売を予定している、1/24スケールプラモデルのプロモーションのため。 アオシマは以前から同映画のタイムマシンであるデロリアンを製品化しているが、今回発売されるプラモデルは完全新金型により製作されるまったくの別物。 展示されていた試作品の出来も上々で期待が持てそうだ。 アオシマといえば、映画やアニメなどの劇中車を積極的にリリースすることで知られ、ブースには『頭文字D』や『ナイトライダー』などの製品も展示されていた。 なかでも大きな存在感を放っていたのが映画『トラック野郎』シリーズ。 1/32スケールの完成品トイラジコンとして12月発売予定の「一番星 望郷一番星 ACアダプター付き』(税込価格:36,080円)、1/32プラモデルとして8月に発売が予定されている「一番星 熱風5000キロ」と、10月発売予定の「一番星 突撃一番星」(税込価格:19,580円)が展示されていた。 トイラジコンのほうは、LEDをふんだんに使った電飾が特徴的で、付属のACアダプターにより乾電池を使用することなく、安定してイルミネーションを楽しむことができる。 プラモデルのほうは、基本的に以前発売された製品の再生産ながら、より組み立てがしやすくなるような改良を施しているという。 約半世紀近く前の昭和の映画作品が、令和の時代に新製品として発売されるのは実に驚異的だ。 ■F1のビッグスケールモデルも登場 さまざまなジャンルのプラモデルを発売しているプラッツのブースでは、BEEMAX製の「1/12 ロータス 99T 1987 モナコGP ウィナー」(税込価格:28,600円)が展示されていた。 その横には開発中の1/12 マクラーレン MP4/4もあり、アイルトン・セナがドライブしたマシンがビッグスケールモデルとして相次いでリリース。作りごたえ満点の製品内容といえそうだ。 今回各社から発表されたカーモデルの新製品は'70年代から'90年代の車種が多く、逆に新型車の少なさが印象的。 1/24カーモデルの主な価格帯は4千円以上で、メインターゲットは50代以上の男性だ。 まさに筆者もその世代だが、老眼により模型製作は正直しんどいものがある。 しかし、このような素晴らしい完成見本を見ると、思わずやる気スイッチが入るのも事実。 ネオクラシックをはじめとする各社のプラモデル製品は、子育てが落ち着いて時間に余裕ができた世代に新たなモチベーションを与える存在になるかもしれない。 ■トレンドの変化が本格化したミニカー市場 次に完成品ミニカーの新製品をチェックしてみた。 世界的なトップメーカーである京商では、1/18スケールの新製品がメインとなっていた。 少し前はボディの素材にレジンを使用したものが多く見られたが、今回発表された京商オリジナルミニカーは、ダイキャスト製のフルディテール製品が印象的だった。 「京商オリジナル 1/18 フェラーリ F40」(税込予価:38,500円)は、ご覧の通りフルディテール製品。 フロントセクションとエンジンルームは忠実に再現され、カーボンケブラーのデカールも貼り込まれている。 京商のフェラーリ製品は、1/12スケールから1/64スケールまで総じてクオリティが高く、国内外から高く評価されているのは周知の通り。 この新製品が1/18 F40製品の新たなベンチマークとなるのは間違いないだろう。 1/18スケールの新製品には、Gr.Aの国産ラリーカーも含まれる。 「京商オリジナル 1/18 トヨタ セリカ GT-FOUR (ST165) 1991 モンテカルロ #2」と「京商オリジナル 1/18 スバル インプレッサ 1994 RAC #4」(税込価格:28,600円)は、どちらもボンネットとドアの開閉が可能。 作り込まれたエンジンルームと室内を眺めることができる。 ミニカーショップ キッドボックスによる独自のミニカーブランド「ENIF」。 懐かしい国産車をシャープに再現する高品質な仕上がりを特徴としている。 7月発売予定の「トヨペット コロナ マークII 1900 ハードトップ GSS 1971年型」(税込価格:13,600円)は、イエロー、シルバー、ホワイト、ブラックの4色のカラバリを設定。 フロントグリルの繊細な彫刻やレザートップの表現がリアルだ。 毎回ユニークな新製品を発表するトミーテック。 近年は車両以外のストラクチャーにも力を入れ、ちょっとしたジオラマを再現できるフィギュア付き製品なども発売している。 そんなトミーテックが展示したのが、なんと高速道路。 1/64スケールで再現される高速道路は、上下線が立体構造になっていて、車線上に自分の好きなミニカーを展示することができる。 さらに渋滞シーンとか事故処理、速度取り締まりといった、さまざまなシーンに対応できるので、かなり遊びゴコロのある企画だ。 実は、2022年秋に東京で開催された全日本模型ホビーショーにも、同じ高速道路が展示されていた。 今回も展示したということは本気で製品化を考えているということだろう。 販売価格の調整は難しそうだが、もし発売されたらクルマホビー市場に残る快挙になることは間違いない。 トミーテックの遊びゴコロはこんなところにも。 今回発表された1/64スケールの新製品は、ショーケース内に留まらず高速道路上にも並べられていた。 高品質なミニカーで知られる香港のミニカーブランド「TSM-Model」。 その同社が展開する1/64スケールのミニカーブランドが「MINI GT」だ。 会場では開発中のポルシェ 911 RS 2.7と、ポルシェ 911 GT3 RSが展示されていた。 近年目覚ましい伸張を遂げている1/64ミニカー市場の中でも、「MINI GT」はハイクオリティな製品内容とリーズナブルな価格を両立しているのが特徴。 ダイキャスト製ミニカーならではの重みと繊細な仕上がりで人気が高い。 ■ 二極化が進むミニカー 1/64スケールのミニカーは、1/43とか1/18スケールのミニカーに比べてニッチな存在だった。 しかし、今回の静岡ホビーショーにおいては、ミニカーの主役に躍り出た印象がある。 その理由には、前述の1/43とか1/18スケールのミニカーの価格が上昇して手軽に買える価格帯でなくなったことが大きい。 1/43ミニカーは1万円前後のものが主流で、カラバリを揃えるなどのコレクションは難しくなっている。 その点、1/64スケールのミニカーには千円台で買えるアイテムもあるなど、コレクションの楽しみがまだ残っているのだ。 もうひとつの理由は、1/43や1/18スケールで製品化すべき車種がほぼ出尽くしたこと。 売れ筋車種のほとんどが製品化されてしまった現状では、これまでとは違うスケールで製品化する必要が出てきたのだ。 今回のショーでは、トミーテックや「MINI GT」以外にも、1/64ミニカーの新製品が多数展示されていた。 また、置き場所に困らないコンパクトサイズであることも大きなメリット。 特に妻子持ちの場合、かさばる1/18ミニカーはこっそり買ってくることが難しい。 しかし、1/64ミニカーならポケットに入れて持ち帰ることも可能なのだ。 このような理由により、1/64ミニカーに対する需要はますます増えていくはずだ。 1/64ミニカーとは逆に、1/12のビッグスケールも増えてきた。 写真は「TSM-Model」の1/12 ティレル P34で、1977年モナコGPに出走したカーナンバー3のロニー・ピーターソン車を再現したもの(価格未定)。 フォードDFVエンジンをはじめとするディテールの再現が凄まじい。 価格もきっと凄まじいものになるはずだ。 こちらも「TSM-Model」の、1/12 マクラーレン F1 GTR #59 1996 Le Mans 24 Hr Winner。 参考出品のため実際に販売されるかどうか不明だが、ウェザリングされたボディが特徴的で、完成度は極めて高い。 こちらは京商が輸入販売する、TOP MARQUES社製の1/12 ランチア 037 1983 No1 モンテカルロ ウィナー W ロール(税込価格:110,000円)。 TOP MARQUESの本国サイトを確認したところ、同製品にはいくつかのバリエーションが存在した。 筆者は個人的にグループBのミニカーコレクションをしているので、是非ともコンプリートしたいのだが、価格が税込110,000円では1台を買うことさえ難しい。 こちらはエスワンフォーが2023年4月に発売した「キャラクタービークルシリーズ 1/12 ルパン三世 カリオストロの城 FIAT500」(税込価格:44,000円)。 あまりにも有名なルパン三世の劇中車を1/12スケールのダイキャスト製ミニカーとして製品化したものだ。 付属品が豊富に用意されているので、フィギュアと組み合わせることで映画のシーンを再現することが可能。 このようにミニカーの新製品は、手軽な1/64ミニカーと高級志向の1/12ミニカーが元気で、1/43と1/18ミニカーは脇役に徹した感があった。 クルマホビーのトレンドは少しずつ変わってきているが、アラフィフ世代以上のクルマ好きがメインターゲットとなっているのは間違いない。 子育てが落ち着いて、金銭的にも余裕が出てきた世代が狙われているのだ。 財布のヒモを引き締めたいところだが、「限定品」という言葉についついやられてしまうのも事実。 さて今日は何をポチろうか(笑)。
行動制限が緩和されたゴールデンウィーク。 観光地は数年ぶりに多くの人で賑わっていた。 イベントも例外ではなく、各地で多くのイベントが開催された。 今回紹介する「パルサー全国ミーティング」も、日本各地はもちろん、海外からもフリークが参加して賑わうこととなった。 パルサーを愛車とする筆者も、参加させていただいたその模様をレポートしたいと思う。 ■パルサーってどんなクルマ? まずパルサーについて解説。 パルサーの歴史は長い。 日産自動車が1978年から2000年まで、5代にわたって発売を行っていた。 当時のメーカーラインナップのなかでは、スタンダードなモデルである。 ボディタイプは世代ごとに違う点はあるが、大まかに3ドアハッチバック・4ドアセダン・5ドアハッチバックが用意されていた。 まだ、海外ではパルサーの名は残っているが、海外専売車となっている。 ■ワンオーナーにレアな個体も!個性ある参加車たち パルサーには派生車も存在していた。 その名は、パルサーEXA(エクサ)というモデルである。 パルサーEXAということだけでも十分にレアなのだが、そのなかでも極めてレアなコンバーチブルが、今回初参加されていた! 1985年に特別仕様車として、100台限りで発売された。 台数から、当時でも大変希少なモデルであることは間違いない。 そんな希少車が、38年の時を経て、ここまでキレイな状態で残っていたことには驚きである。 近年、若い世代の方々が、旧車オーナーになられることが多い。 今回のイベントでも、多くの若いオーナーが参加されていた。 しかし、まだまだ現役! 新車時から乗り続けていらっしゃる、オーナーの方も。 それが、このN14型パルサーGTI-Rだ。 最近、パルサーを長期で修理することになり、必要に迫られ別のクルマを入手されたそうだ。 それまでは、このパルサーとともに過ごしてきたとのこと。 オーナーは「長い年月をともにして、味が出てきているでしょ」と笑いながらおっしゃっていた。 たしかに、映画で観るヨーロッパの街並みに溶け込んだ、コンパクトカーにも見えてきた。 ■筆者の琴線に触れたイチオシパルサーたち 会場で、個人的に筆者が気になったパルサーを紹介したいと思う(筆者のマニアック目線なのはご勘弁を!)。 N14型GTI-Rは、イメージカラーがブラックなのもあり、目にする多くはブラックだと思う。 このイベントでも、半数以上のボディカラーはブラックである。 紹介するのは、GTI-Rのなかでも“超”が付く程のレアカラー「グレイッシュグリーンメタリック」である。 このボディカラーが設定されていたのは、モデルライフ中盤の僅かな期間だけだったのだ。 そのため、長年のGTI-Rオーナーやフリークでも、設定があったことを知らない人が多数であった。 ただ、GTI-R以外のグレードでは長期間設定されており、それなりの人気カラーであった。 どの車種でも、ボディカラー遍歴としてよくあるのは、デビュー時に多くの色を設定。 マイナーチェンジで、不人気色を廃止もしくは差し替えである。 筆者の予想としては、他グレードでそれなりの人気カラーだったことから、試しに設定して様子を見ていたのかもしれない。 結果としてはGTI-Rで選択するオーナーが少なく、廃止になったのではないかと予想する。 次に紹介するのは、N15型VZ-Rのディーラーオプションマシマシ仕様だ。 実は何度か、出先でお見かけしたことがあった。 まるで、ディーラーオプションカタログから飛び出してきたような姿に、驚いたのだった。 今回、参加されていたので、間近で拝見することができた。 大きな珍しいものでは、ストライプ(デカール)とウィンドウスクリーンである、 N15型でサイドストライプを装着しているのは、グレード問わずなかなかお目にかかれない。 まだプライバシーガラスの設定や装着率が低い時代、リアサイド・バックゲートに車名入りのスクリーンが設定されていた。 ■海外から参加のパルサーフリークも! 今回、日本各地からパルサーオーナーたちが集まった。 それだけでもすごいことなのだが、なんとニュージーランドから、このイベントのために来日された方が居られたのだ! 今回の開催地は、人気の観光地にて駐車場の1区画を貸し切りにして行われている。 筆者は最初、開催地へ観光に来た方が、ついでに見学しているのだと思っていた。 しかし、事務局から閉会時に紹介があり、このイベントを目的としてお越しになられていることを知ったのだ。 次の項で紹介するじゃんけん大会の際、非常にレアな海外仕様のテールレンズとフロントグリルがエントリーしていた。 そのアイテムたちは、ニュージーランドからのお土産として持参されたとのことだった! 国籍や文化は違っても、同じクルマが好きなマニアの心は同じなのだ!と、このお土産のセンスから、強く感じてしまった(笑)。 ■過去最長! 2時間にも及んだ白熱のじゃんけん大会 このミーティングの目玉イベントとして、各自景品を持ち寄って行うじゃんけん大会がある。 事前に事務局から、景品持参のお願いがアナウンスされている。 嬉しいことに、年々景品としてのアイテムが増加しているとのこと。 その理由としては、自動車部品に限らず、各地から集まった方々が地元のお土産など、バラエティに富んだアイテムを持参されている。 また、持ち込まれた部品については、出品者にとって不要になったものだとしても、同一車種オーナーからすれば「お宝」が多い。 多くの仲間が集まるこのイベントで、再び使ってもらいたいと持ち寄っているのだ。 また、じゃんけんという平等な方法で、部品の行き先が決まるのも気持ちがよいものだ。 ■総括:今後の記録更新に期待! 今回の参加台数だが、事務局によると過去最高台数の65台とのことだった。 参加されたモデルは、2代目・4代目・5代目が集まった。 最終モデルの生産が終了して23年経っているが、参加台数は増え続けている。 それは、年々台数は減っていても、好きな人が増えているのだと考えられる。 趣味の対象として選ばれる時期になってきたのだろう。 過去のイベントでは、初代・3代目が参加された回もあった。 今後は、歴代モデルのコンプリートをぜひ、実現してもらいたいと願ってやまない。 [ライター・撮影/お杉]
去る4月8日の早朝、相模原市にあるアリオ橋本の駐車場の一角がにわかにざわめきだした。 エアを送り込まれて作り出された出走ゲート、出発の準備に余念のないクラシックカーとそのオーナーたち。 2日間に渡って行われるルート・ディ・相模原の始まりである。 ルート・ディ・相模原はトロフェオ・タツィオ・ヌボラーリの相模原ステージとして今回2回目の開催を迎えるクラシックカーラリーだ。 会場である相模原の名所、相模湖や津久井湖といった桜の咲く観光地や富士山麓周辺のワインディングロードを楽しみながらドライブを行う。 ルートはコマ地図と呼ばれる図の指示に従い各所ッチェックポイントを通過していく。 初日は橋本のショッピングモール「アリオ橋本」を出発して、富士急ハイランド内にあるハイランドリゾート&スパを目指し、2日目はそこからゴールである相模湖公園を目指す。 今回は初日の様子をお届けする。 ■出走唯一の国産車1/2222台の戦い 初日の出走は15台。メルセデスやポルシェフェラーリといったクルマが準備を始めるなか、今回唯一国産車でエントリーしていたクルマがあった。 それがトヨタコロナ1600GTだ。 後期型のボディに足回りやブレーキを強化、他の車体との特徴的な違いはフロントフェンダーにエアアウトレットが付き、Cピラーの根元にはトヨタ2000GTのフロントフェンダーと同様の1600GTのエンブレムが付いている。 コロナ1600GTの生産台数は2222台と、トヨタ2000GTの337台と比べれば決して少なくないように思えるが、3代目コロナの総生産台数は57万8534台ということを考えれば、いかにその数がわずかかわかると思う。 実は2日目にはさらにエントリー数が増えてトータルで30台以上になるということで、国産車もさらに数台参加予定であったが、初日は唯一の参加車両であった。 オーナーはこのほかにももう1台コロナを所有している。 そのことからもわかるようにオーナーのコロナに対する思い入れは強いようだ。 それを証明するかのように、ボンネットを開けると、その裏側にはレーシングドライバー高橋晴邦氏のサインがしっかりと書かれていた。 高橋氏といえば、日本グランプリでコロナを駆り総合3位クラス1位になったレジェンドドライバーである。 参加車両は1.6Lの9Rエンジンに5速MTを搭載、リアにあるエンブレムはそのことをしっかりと主張していた。 車体はリペイントされたものだが純正の塗装を再度吹きなおしたもので当時と同じカラーリングになっている。 ■それは復興から始まる街おこし ルート・ディ・相模原の始まりは災害復興支援ともいえる。 令和元年に起きた台風19号により相模原や道志周辺にも大変な被害をもたらした。 このときの土砂崩れで419号線が全面通行止めになり、しばらく通ることができなかったことを筆者も覚えている。 主催者の野呂氏も自身のキャンプ場が壊滅するなど、苦境に立たされていた。 それを復興するにあたり考えたことが、自身のキャンプ場だけを復旧させても何ら意味がない。 地域全体を盛り上げてこの地に観光客を呼び戻さなくてはならないと考え、一般社団法人を立ち上げたという。 そのときに野呂氏の過去にあったレース経験や伝手をを生かして、北海道で20年以上開催されているクラシックカーイベント「トロフェオ・タツィオ・ヌボラーリ」の相模原ステージとして同イベントを立ち上げた。 クラシックカーが走ることにより、相模原の観光資源を多くの方に知ってもらい、また沿道に多くの人が足を運んでもらえるようにと考えたのだ。 スタート会場には相模原を盛り上げるということからも、相模原観光親善大使の女性2名が華を添え、開催の挨拶を市長が行う盛り上げぶりだ。 ■富士急ハイランドを目指して駆ける スタート地点から各車コマ地図に従い、途中の中継地点を目指す。 1日目、2日目と両方で必ず中継地点になるのが協賛会社のひとつである(株)ASISTの駐車場だ。 ここでは両日にわたって昼食を取る休憩地点となっている。 全車両快音を響かせながら相模原の名所や峠道を走り抜けていく。 順位は問題ではない。 彼らが走ることで注目をしてもらい沿道の人に関心を持ってもらう。 多くの方々に走るクルマたちを見てもらい、その歴史的背景や時代、文化といったことに思いを巡らせてもらう。 そしてそれらを次世代へ引き継いでいく。 クラシックカーラリーの趣旨のひとつはそこにあるのではないかと思う。 ■地域の良さを見つめなおすために 富士急ハイランドをゴールに初日のスケジュールが完了する。 翌日には再びワインディングや市街地を駆け抜け相模湖公園にゴールする。 ゴール地点では衣装メーカーによるクルマたちの周囲を彩る異色のコラボレーションやハンドクラフトはじめ、ケータリング等の出店も行われていた。 地域の企業とうまくタイアップを行い、参加者や観客、地域住民にも観光地として素晴らしさや楽しさをあらためて知ってもらう。 それこそがルート・ディ・相模原というイベントの責務であり醍醐味だといえる。 相模湖公園に整列する車両たちはそのことを静かに語っているように思えた。 ■クラシックカー・ツーリング・ラリーイベント「2nd. Route di SAGAMIHARA」https://routedisagamihara.jp [ライター・撮影/きもだ こよし]
去る2023年5月6、7日の2日間に渡り、旧西ベルリンのクアフュルステンダム通りを会場に「Classic Days Berlin(クラシック・デイズ・ベルリン)」が開催されました。 同イベントは、毎年2000台以上の希少価値の高いクラシックカーが通り沿いに展示され、70万人を超える来場者が訪れる大人気イベントです。 高級ブランドショップが立ち並ぶショッピングスポットとしても有名なクアフュルステンダム通りの約2キロメートルを歩行者天国として開放し、クルマの展示だけでなく、飲食のできるフードエリアやトークショーが開催されるステージなども設置され、まるでフェスティバルのようです。 初日の土曜日は曇り空でしたが、日曜日は天候にも恵まれ、多数の人で賑わう大盛況イベントとなりました。 その様子を現地レポートとしてお届けします。 「Calssic Days Berlin」は「人々にインスピレーションを与え、都市と自動車の生きた歴史を伝える」という理念を掲げています。 開催地となったクアフュルステンダム通りは「選帝候の道」という意味を持ち、ベルリン最古の通りのひとつとして16世紀にベルリンの中心地にある王宮から郊外の狩りの館へ出向くために造られたといわれています。 そんな歴史的背景を持つ有名な通りを埋め尽くすクラシックカーたちは、より一層高級感を漂わせ、貴族のようなエレガントで堂々とした佇まいを見せていました。 ズラリと並んだ個性豊かなクラシックカーの多くは個人が所有しており、オーナー自ら運転しながら自慢の愛車とともに通りに登場するといった名物パフォーマンスが披露されました。 好みのクルマが通るたびに歓声が上がったり、多くの人がスマホやカメラを向けて我先にと撮影を開始します。 それだけ珍しく、希少価値の高いクルマが多く、筆者もずっと興奮が止まりませんでした。 メルセデス・ベンツ、アルファ ロメオ、アウディ、BMW、ベントレー、シボレー、シトロエン、DS、ジャガー、ジープ、ランドローバー、マセラティ、フェラーリ、フォード、シュコダ、ボルボ、VW、ポルシェといった、まさにクルマメーカーのドリームチームが集結し、メーカーごと数台ずつ並んで展示されていたのも特徴的です。 また、通りの両側には各メーカーや部品メーカーなどのテントブースやショールームが設置され、クラシックカーや最新モデルの展示販売が行われていました。 ベルリンの街中でも頻繁に見かけるクラシックカーですが、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといったドイツメーカーのクルマが多く、白、黒、グレー、赤など定番のカラーが多数です。 しかし、「Classic Days Berlin」では街では見たことのないメーカー、年代、デザイン、カラーが多く、まるでクラシックカーのファッションショーを見ているようで、華やかな気分に浸ることもできました。 そんな魅力的なクラシックカーが2000台以上集結していたなかから、筆者が特に印象に残ったクルマを紹介していきたいと思います。 まず、最寄りの地下鉄の駅から通りにでるとすぐにワーゲンの通学バス「Wagen 1126」が出迎えてくれました。 ベルリンの公共交通機構のBVGが実際に使用していた1957年に生産された2階建てバスに試乗できるサービスを行っており、子どもたちに大人気でした。 ビビッドだけど深みもあるグリーンカラーが美しく、品も漂う「アルファ ロメオ 1300 ti」。1962年から1977年まで生産されていたモデルです。 多数展示されていたメルセデス・ベンツのなかではこちらの「メルセデス・ベンツ 190 SL」は圧倒的な存在感と迫力がありました。 ブラックカラーも渋くて、こんなオープンカーに乗ってみたい憧れのメルセデス・ベンツです。 販売元はテューリンゲン州シュライツに拠点を構える2014年に設立されたクラシックカーとバイクの専門店「エーデルワイス・カスタム」です。 コロンとしたかわいいフォルムながら、車内は高貴溢れるデザインで、これからの季節にもぴったりな淡いブルーが美しい「FMR TG 500」は人集りができるほどの人気を誇っていました。 ドイツの「Fahrzeug- und Maschinenbau Regensburg GmbH(*略称FMR)」が生み出した史上最速のキャビンスクーターとして活躍した「Tiger」は、現在ではオークションにかけられているとのことで、お目にかかれたのはラッキーでした。 展示や販売されていたクルマ以外にも中世ヨーロッパの貴族のファッションに扮した来場者やオーナーを発見して、歴史へのリスペクトを感じさせました。 ほかにも、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンの年代物のトラックを改造したフードトラックも多数出店しており、同イベントの徹底した主旨にも感心しました。 「Classic Days Berlin」が開催されていたことは以前から知っていましたが、今年のようにきちんと参加したのは初めて。 わずか1日でこれほど多くのクラシックカーを見られるイベントは他になく、来年もまた絶対に参加したいと思えるほど充実した内容でした。 [ライター・撮影/Kana Miyazawa]
去る4月14日〜16日にかけて、幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2023」を取材した。 早いもので、今回が8回目の開催となるオートモビルカウンシル。 今回より「Classic Meets Modern」から「Classic Meets Modern and Future」にテーマが改められ、新たなステージを目指したという。 日本車メーカー、インポーター、新世代の自動車メーカーが9社、ヘリテージカー販売店は過去最高となる41社が出展。 トータル166台もの名車が一堂に会することとなった。 ■クルマを「観る」というより「鑑賞」する感覚に近い モータショーでもなければチューニング系のイベントでもない。 国内外の名車が一堂に会するクルマのイベントは意外と少ない。 そしてこれが重要なのだが、オートモビルカウンシルの魅力のひとつに「じっくりと観られる」ことが挙げられる。 「鑑賞」という表現が適切かもしれない。 気になるクルマ、普段なかなか目にする機会がないクルマを心ゆくまで「鑑賞」できるのだ。 もし、目に留まったクルマが販売車輌であれば購入することもできる。 ……かといって「早い者勝ちのバーゲンセール」というわけではない(実際には早い者勝ちなんだけれど)。 また、クルマにまつわるアート作品が数多く展示されており、ギャラリーで美術品を鑑賞している感覚に近いかもしれない。 それだけに、会場内の空気感は独得だ。 また、来場者の年齢層が比較的高めなので、会場内の雰囲気もどこか落ち着いている。 会場内の時間がゆっくりと流れているのが取材をしていても分かる。 もちろん、それなりに来場者がいる……ことはいるのだが、東京モーターショーのようにお目当てのクルマに近づけないということは稀だ。 気になるクルマを撮影したければ、少し待てば「オールクリア」のチャンスがめぐってくる。 撮影したい人がいることを他の来場者も気がついて、自然と「間」を作ってくれるからだ。 そしてある種の慎みというか、マナーの良い方が多い印象だ。 この空気感がしっかりと醸成できている時点で、このイベントは大成功だと思う。 先述のように「ギャラリーで鑑賞している」雰囲気に近いので、この空気感を好む人たちにとっては非常に居心地がいいだと断言できる。 ■国内外の名車を間近で観られる幸せ 最新のモデルであれば、メーカーの広報車を集めて並べばいい(それはそれで大変だけれど)。 メーカーとしても秘蔵コレクションを出品するまたとない機会でもある。 マツダブースに展示されていた「マツダMX-81アリア(レストア済み)」が間近で観られるだけでも、このイベントに足を運んで良かったと思えたほどだ。 しかし、メーカーが保有しているケースは日本車が主で、輸入車ともなればは基本的にはオーナーカー。 つまり、オーナーに声を掛け、車輌を貸し出してもらえないか交渉する必要がある。 喜んで貸してくれるオーナーがいる一方で、難色を示す方も少なからずいる。 それが希少車であればあるほど大変だ。 筆者自身もさまざまなオーナーを取材させていただく機会に恵まれたが「人目に触れず、ひっそりとクルマ趣味を楽しみたい」という方も少なからずいらっしゃることは承知しているつもりだ。 正面突破ではまず断られるけれど「○○さんの紹介なら断れない」と、人のつながりで大切な愛車を貸してくれることも多い。 実際に裏でどのようなやりとりがあったのかは分からないが、テーマ展示でズラリと並べられた 〜ポルシェ 911 60 周年記念企画〜 「初期ナローからカレラ GTまで」および〜エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画〜「フェラーリ・スペチャーレ」の展示車をそろえるのはそれなりのご苦労があったのではないかと推察する(まさに眼福でした。関係者の皆さま、ありがとうございました)。 ■日産ブース、攻める 今回、個人的に驚いたのが日産自動車のブースだった。現行モデルはSAKURAのみ。 このクルマを取り囲むようにして、日産シーマ(Y31)、フェアレディZ(Z32)、PAO、そしてハコスカが展示されていたのだ。 日産シーマのオーナーは女優の伊藤かずえさん。 新車ワンオーナーで乗りつづけ、昨年、フルレストアされた個体そのものが展示されていた。 レストア完了後、銀座の日産ギャラリーに展示され、その後は以前と同じように乗りつづけているという。 メーカーに手によってフルレストアされたのだから、そのままガレージにしまいこむこともできたはずだが、これまでと変わらず乗りつづけている姿勢は本当に素敵だと思う。 フェアレディZ(Z32)とPAOのオーナーは日産の若き社員の方の愛車で、伊藤かずえさんとともにトークショーを繰り広げていた。 何を隠そう、純白のZ32は、旧車王ヒストリアの執筆陣のひとりである、Z32専門店「Z-one」代表小村氏のショップ出身の個体だ。 キュートな女性オーナー、丹呉いづみさんを別媒体で取材させていただいたことがあるのだが、この方のZ32愛は半端ではない。 ■国産ネオクラシックカーが近くて遠い存在になったことを実感 かつて、東京モーターショーの会場でお立ち台に載っていたクルマがやがて路上で見掛けるようになり、そしてひっそりと姿を消していく……。 そしてこのように旧車、ヴィンテージカーとしてふたたびスポットライトを浴び、表舞台に姿を見せてくれる。 1980年代、そして1990年代の現代では「ネオクラシックカー」といわれている時代のクルマも、ハコスカやホンダSシリーズのような旧車と呼ばれるカテゴリーに近づきつつあることを実感した。 それはつまり、チューニングやドレスアップのベース車輌ではなく、オリジナルの状態に戻すレストアベースの立ち位置に変わってきていることを意味する。 廃車寸前の個体をタダ同然で引き取ってきて、自宅の駐車場でウマを掛けて空き時間に修理する……なんて存在ではなくなりつつあるのかもしれない。 ■会場内を何周もすることで気づくこともきっとある 昨年「追いトップガン」というキーワードが話題になった。 映画トップガンの続編である「トップガンマーヴェリック」を観るために何度も何度も映画館に足を運ぶ熱心なファンのことを指す表現だ。 ちなみに、筆者も地元の映画館まで3回足を運んだ。 1回目、2回目、3回目……と、何度も繰り返して観るうちに新しい発見があるのだ。 「オートモビルカウンシル」は、東京モーターショーや東京オートサロンなどの大型イベントと比較したら会場はグッとコンパクトだ。 それでいて、入場料は先述のイベントよりも高価……ではある。 フロアマップを見る限りでは「すぐに見終わってしまうのではないか?」と懸念しても仕方がない。 しかし、会場全体が見渡せる分、東京モーターショーや東京オートサロンのように駆け足で観る必要もないし、見逃す可能性も低い。 そして「追いトップガン」のごとく、会場内を何周もすることで全体を把握でき、細部にいたるまでじっくり観られるようになる。 これこそが「オートモビルカウンシル」の醍醐味のひとつであるような気がした。 気の合う友人とクルマ談義しながら会場を練り歩けば充実した1日を過ごせるだろう。 もちろん1人でも楽しめる。 自分のペースで、誰に気兼ねすることもなく、文字通り「鑑賞したい」のならおひとりさまの方がいいかもしれない。 すでに来年の開催が決定しているので(2024年4月12日〜4月14日開催)、迷っているうちに行きそびれてしまった方はぜひ会場に足を運んでみてほしい。 そうそう。ひとつ、気をつけた方がいいことがある。 自動車関連グッズの販売が充実しているので、散財する可能性が高い方はクレジットカードを自宅に置いて、財布の中身は現金のみにした方がいいかもしれない。 [ライター・撮影/松村透]
去る12月11日、西東京は国道20号線沿いにある谷保天満宮にて、クラシックカーが集結し、谷保天満宮旧車祭が開催された。 境内のそこかしこに往年の名車や希少車、スーパーカーが立ち並ぶ。 実に3年ぶりに開催された同イベントに参加した車両は115台に及んだ。 主催はオートモービルクラブジャパン(以下ACJ)。 谷保天満宮は日本のカーイベント発祥地であり、その始まりは明治41年に発足されたオートモービル・クラブ・ジャパンによる国内最初の遠乗会にある。 現在のACJは2011年8月1日このクラブの103周年の記念の日に再結成され、以来20年以上にわたり様々なカーイベントを催してきた。 その意味では、谷保天満宮旧車祭はクラブの中でも本命イベントといえるものだ。 神社を中心に所狭しと並んだ旧車たちに大人は懐かしさや羨望のまなざしを、子供は見たことのないスタイルのクルマ達に目を輝かせていた。 象徴たるタクリー号 日本初のツーリングである遠乗会、このイベントに有栖川殿下が自らハンドルを握って参加したのがタクリー号であった。 初の国内産ガソリン自動車、明治40年に国産吉田式自動車としてタクリー号は生まれた。 人力車や馬車、荷車が走る未舗装路をガタクリ、ガタクリと走る様からタクリー号と愛称が付いている。 しかし、残念ながら本物のタクリー号は現存しておらず、画像の車両は2012年4月に発足した実働レプリカ制作プロジェクトにより復刻された車体だ。 こちらは谷保天満宮旧車祭世話人会が中心になり、1930年製のオースチン・セブンをベースに制作された車両になる。 同年8月1日に谷保天満宮本殿にて完成披露が行われ、第1回の熱海ヒストリカGPのひと月まえには天満宮から熱海の梅園まで実際に走っている。ACJの象徴ともいえる車両だ。 谷保天満宮とACJ 谷保天満宮は東日本最古の天満宮であり、亀戸天神、湯島天満宮と並び関東産大天神と呼ばれている。 学業の神様である菅原道真を祀っていることからも学業成就や合格祈願、厄除けはじめ、もちろん上記の経緯からもわかるように交通安全祈願の祈祷もおこなっている。 当日も参加車両が神主に祈祷を受けることができるようになっていた。 この後、午後からはパレードランとして国立まで沿道の人々に見送られながら走ることもあり、 多くの参加者が愛車とともに祈祷を受けていた。 横道を行く 毎回本会場以外で止まっているイベントに来た車両を見て回るイベントの横道。 今回はイベント会場であるが、第2会場となったことで本殿に直接行ってしまった方が見過ごしたかもしれない車両群としてスポットを当ててみたい。 第2会場はイタリアンカーを中心に90年代の軽スポーツが並んでいた。 その中で、入って正面の中心にいたのがスバル360ヤングSSだ。 スバル360は1958年、まだまだ庶民にはクルマは高嶺の花として考えられていた時代にサラリーマンでも手に入れられるクルマとしてデビューした。 小さくても大人4人が快適に乗ることができる性能を実現するためのパッケージングや軽量化に挑戦。 当時スバルの持っていた元航空機メーカーとしての技術を余すことなくつぎ込んだモデルだ(スバルオンラインミュージアムより)。 デビューより10年の年月を経て競合他社に対抗するべく送り出したスポーツモデルがヤングSSだ。 その性能はデビュー当時の358㏄16馬力から排気量は変わらずに、36馬力と実に2倍以上のパワー、マニュアル3速から4速モデルへの変更を持って登場した。 外装には専用のボディカラーやボンネットのヤングSSを示すストライプ、タコメーターや革巻きステアリングを装備するなど、スバルのスポーツモデルの原点ともいうべきモデルだ。 会場では同じくRRのフィアット500に挟まれながら、その小さなテントウ虫はしっかりと存在を主張していた。 Back to 20世紀 実は今回ほど横道が目移りしたイベントもなかったのではないか?と思えるほどに街のそこかしこに旧車が止まっているイベントであった。 会場である谷保天満宮が基本、参加車両で手いっぱいであったこともあり、当然のことながら見物に来た車両はそうした周辺駐車場にまわる。 そうして会場を中心に見渡すと、コンビニや路地を走るクルマの多くが旧車という事態になっていた。 谷保の町並みは最近改装が目覚しい南部線沿線としては、駅舎も含め昔の雰囲気を比較的に残している。 それも相まってまるで町全体が過去に戻ったかのような気分になれた。 それが良いか悪いかは筆者には答えられない。 しかし、わずか数時間のタイムスリップはとても心地のよい時間をもたらしてくれたと思う。 ■オートモービルクラブジャパンHPhttps://acj1908.com/ ■谷保天満宮HPhttp://www.yabotenmangu.or.jp/ [ライター・撮影/きもだ こよし]
去る2022年11月13日。チューニングカーの祭典「チューニングフェスタ」が、23年の歴史に幕を下ろした。 イベントが岡山国際サーキットでスタートしたのは2000年。多様なショップのチューニングカーが“ガチンコバトル”を展開するという、これまでにないスタイルのカーイベントとして始まり、西日本最大級のイベントに成長した。 しかし、時の移ろいでチューニングカーを取り巻く環境も変化。 チューニングベースとなるクルマの高騰や電子化など、クルマを手に入れにくい時代になりつつあるという背景があり、イベントも変革の時ということで一度ピリオドを打つということになったという。 ■決して終焉ではない 今後は「チューニングカーを次代へ残す」をテーマとし、車両価値を伝え、動態保存につながるイベントにリニューアルするとのこと。新イベントの開催が期待される。 今回は、23年間もの継続に感謝を込めながらクルマ好きに愛されてきたイベントのフィナーレを振り返る。 ■2000年から続いたチューニングカーの祭典 このイベントは、開催当時から続く伝統のレース「マイスターカップ」をはじめ、数々のレースや走行会、体験走行で構成される。 そして今回、西日本初開催となった「OKAYAMA HISTORIC CAR RACE」にも注目したい。この競技はJAF公認の公式なレースであり、日本クラシックカー協会の認定を受けている格式あるレース。1960年代後半からのヒストリックカーが出場する。 まさに集大成といえるラインナップでの開催となった。 ■出走していた憧れ、懐かしのマシンたち 当日は、イベントがスタートしてまもなく雨に。コースコンディションはウェットで始まった。赤旗が相次いだが、上級者ならではの迫力あるバトルは圧巻だ。 ▲チューニングフェスタにおいてR32 GT-Rは“シンボル的存在”といえるだろう ▲午前中のコースは激しい降雨でヘビーウェットに。水飛沫をあげながら走る80スープラ ▲シビック(EG6)の勇姿 ▲アルトワークス、コペン、トゥディなど長年人気を誇る軽自動車のチューニングマシンたちの姿も ▲会場内に立ち並ぶ、パーツメーカーやショップの展示、飲食ブースも見逃せない ■【リザルト】マイスターカップ 「マイスターカップ」への出場は、岡山国際サーキットのラップタイム1分45秒未満を保持していることが出場条件。出場マシンは国産モデルに限られ「4WD」「2WDターボ」「2WD-NA」の3クラスに分かれる。 *以下、ドライバー/ 車両名(エントリー名)/型式 ●マイスター4WDクラス 1位:トトロ / トトロ33GT-R / BCNR33 2位:eijiのおホモ達つよぽん?? / 天龍ガス欠BNR32 / BNR32 3位:koto / AS koto 34R / BNR34 ●マイスター2WDターボクラス 1位:道堂晃 / ☆WORKS 道堂☆ /AE86 2位:コマッチャン / D2☆180SX / RPS13 3位:ゆうちゃん/ フルステージまっくろくろすけFD /FD3S ●マイスター2WD NAクラス 1位:林幸男 / D2☆EK9/ EK9 2位:山根正和 / ガレージヤマネ☆レビン/ AE86 3位:田中均樹 / ドミネーションペトロナスEK9/ EK9 ▲ マイスター2WD NAクラスで優勝を飾ったD2☆EK9号 ■【リザルト】チャレンジクラス マイスターカップへのステップアップ部門「チャレンジクラス」。「4WD」「FR」「FF」と駆動方式でクラス分けされている。1分46秒001以上のタイムを保持していることが出場条件だ。 ●チャレンジ4WDクラス 1位:藺牟田竜 / D2☆エボ8 /CT9A 2位:レスポール高埜 / Team FullStage / VAB 3位:重田幸男 / - / GDB ●チャレンジFRクラス 1位:嘉納健二 / RH坂井・V-coatレビン / AE86 2位:堀井琢己 / D2・S15 / S15 3位:カズ / 黒いS2000 / AP2 ●チャレンジFFクラス 1位:大久保凌 / 田辺レーシング / EF8 2位:亥野好史 / - / DC5 3位:ひでやん / ひでやんDC5@RSファクター / DC5 ■【リザルト】インポートクラス 輸入車向けの「インポートマイスタークラス」と「インポートチャレンジクラス」。1分55秒のタイムを基準に、速いドライバーは「マイスター」へ。入門向けとして「チャレンジ」の2クラスが設けられている。 ●インポートチャレンジクラス 1位:JC PEPINO / チーム名/ 車両名(型式)/ 220 2位:ピカチュウどS / PFCJどノーマル鶏饅987どS/ 98721 ●インポートマイスタークラス 1位:ヨシミューラ/ Beck JAPAN ヨシムラ / - 2位:gucci_racer/ サ狼 AUDI TTS310 / 8J 3位:ヨッシー/ アックスレーシングプロジェクト / 993 ▲インポートマイスタークラスで優勝を飾ったBeck JAPAN ヨシムラ号(Beck GTS) ●86・BRZマイスタークラス トヨタ86とスバルBRZによるワンメイクレース。エアロバンパーやGTウイングなどのダウンフォースをはじめ、エンジンチューン、過給機装着まで改造範囲を拡大して開催。 1位:戦闘民族 /ALTEX 戦闘民族号 / ZD8 2位:前川志郎 / キモオタブルー/ ZC6 3位:長尾奏斗 / ラウダダカンパニー86 / ZN6 ▲トヨタ86とスバルBRZによるワンメイクのマイスタークラス。優勝を飾ったALTEX 戦闘民族号 ■【リザルト】K-Carクラス 軽自動車部門「K-Car」クラスはターボとNAの2クラスに分かれて初開催。根強い人気のトゥデイ、アルトワークス、コペンの新旧モデルの競演、S660、ビートなどが熱い走りでギャラリーを魅了した。 *以下、ドライバー/ エントリー名 / 型式 ●K-Car NAクラス 1位:mistbahn /mistbahn PP1 ビート / PP1 2位:檜山貴志/ ヤハタレーシング 2号車/ PP1 3位:江角浩二/ KibiGasket 内山工業 /PP1 ▲K-Car NAクラスの優勝を飾ったmistbahn PP1 ビート号 ●K-Car ターボクラス 1位:川端昌幸 / GarageTake-Up青アルト / HA22S 2位:飯野山佑介 /プライム☆チームマッハトゥディ/JW3 3位:MORIMAX / 通勤快速GR COPEN / LA400A ▲K-Car ターボクラスの優勝を飾ったGarageTake-Up青アルト号 ▲各部門の表彰式が行われた ■【競技レポート】西日本初開催! OKAYAMA HISTORIC CAR RACE こちらのレースは、これまで筑波サーキットを中心に関東で開催されていた。 しかし以前から西日本での開催を強く望む声が多く、日本クラシックカー協会の認定を受けてチューニングフェスタで待望の初開催となった。 1960年代後半から1970年代までのクルマを中心に展開されるレースで、クラスは大きく3クラスに分かれる。 エンジンとサスペンションのみチューニングが許される「Sクラス」、1970年までに製造されたフルチューニングマシンの「Fクラス」、トヨタ KP61スターレットと日産 B310サニーのフルチューニングマシンによる「TSクラス」。 見どころのひとつは、当時のクルマ好きが憧れた名車が数多く登場する点だ。 日産 B310サニー、トヨタ KP61スターレット、日産 510ブルーバード、アルファ ロメオ ジュリアシリーズなどが出走した。 ▲シリーズ3代目として1967年にデビューした510ブルーバード ▲1978年にデビューしたKP61スターレット。シリーズとしては最後のFR車でもある。さまざまなモータースポーツで活躍した名車だ ▲各部門の表彰式が行われた ■【リザルト】OKAYAMA HISTORIC CAR RACE ●S-1クラス 1位:林誠 / ガルトサービスホンダ1300クーペ / H1300C ▲S-1クラス優勝を飾ったガルトサービスホンダ1300クーペ号 ●S-2クラス 1位:伊藤俊哉 / イトウレディース&チェック510 / N510 2位:藤原進 / チェック☆ニッサン☆ブルーバード / P510 3位:仲田好喜 / ナルトカイ.ナッツ510 /H510 ▲S-2クラス優勝を飾ったイトウレディース&チェック510号 ●F-2クラス 1位:蒲生真哉/ Nats中村自動車ブルーバード / KH510 2位:河上正治/ オカザキスピードTC16サニー / PB110 3位:坂口夏月/ DAISHINブルーバード / KP510 ▲F-2クラス優勝を飾ったNats中村自動車ブルーバード号 ●TS-1クラス 1位:大八木龍一郎/ DAISHIN Progrexxサニー / B310 2位:大八木信行 / DAISHINサニー / B310 ▲TS-1クラス優勝を飾ったDAISHIN Progrexxサニー号 ●TS-2クラス 1位:TOMISAN/ ダイワN通商恵比寿スターレット / KP61 ▲TS-2クラス優勝を飾ったダイワN通商恵比寿スターレット号 ●TS-Eクラス 1位:青木孝行/ DAISHIN Rock254サニー / B310 ▲TS-Eクラス優勝を飾ったDAISHIN Rock254サニー号 詳しいリザルトはこちらからhttp://jcca.cc/event/2022/okayama/ ■【ドラマ】地元・岡山の企業が製作したマシンが、デビュー戦を完走 OKAYAMA HISTORIC CAR RACEで、地元企業のマシンが初出場を果たした。 岡山県に本社を置く、クルマ好きにはおなじみの有名パーツメーカー「OS技研」。 2023年に創業50周年を迎えるにあたり、記念事業としてオリジナル4気筒エンジン「TC16-C1」を搭載したマシンの製作を2020年から行っている。 今回のプロジェクトは、ヒストリックカーレース参戦を目標としつつ、若手への技術継承や、エンジン量産化に向けた課題解決などの目的をもって取り組まれているという。 今回、目標としてきたレースの舞台が偶然にも地元・岡山で実現するというドラマがあった。 「TC16-C1」を搭載したPB110サニー エクセレントをベースとしたマシン「オカザキスピードTC16サニー」号は、赤旗が相次ぐウェットコンディションのなか、河上正治選手の鮮やかな走りでレース完走を果たした。 ▲OKAYAMA HISTORIC CAR RACEクラス2位という好成績でデビュー戦を飾った ▲開発中の4気筒DOHCエンジン「TC16-C1」。テスト中に9000rpmを達成しているという レースを含めた振り返りを、プロジェクトにアドバイザーとして参加しているOS技研チーフエンジニアの富松拓也さんに伺った。 富松さん:「テスト走行は何度も繰り返していたんですが、今回が本当のデビュー戦でした。 レースは富士スピードウェイだろうと思っていたんです。ところが、岡山で行われる話を聞いて驚きました。どこで開催するにしてもこのプロジェクトは続行されますが、岡山国際サーキットに合わせてセットアップしてきました。 L型4気筒のエンジンでFクラス(フルチューニング)参戦というと、車種はおのずと510ブルーバードかPB110サニー エクセレントになるんですが、あえて不利な点の多いPB110サニー エクセレントで挑戦することにしました。 これまでさまざまな問題に直面し、まともに走らせるのが本当に大変でした。現段階では『まだまだ』ですね。マシンの大きな課題は、強大なエンジンパワーをいかに路面に伝えるかです。そのほかにも煮詰めなければならない部分は多々ありますし、課題を一つひとつ解決しながら仕上げていきたいです」 今回のプロジェクトでドライバーを務めている河上正治選手は、1980年代から岡山県内で行われていたレースや全日本ジムカーナ選手権に参戦するなどのベテランドライバー。OS技研との縁などを伺いつつ今回を振り返っていただいた。 河上選手:「今回の走りは反省点が多いですが、マシンの仕上がりを感じました。期待を膨らませています。 OS技研とは学生時代から交流があります。自分がL型に乗っていたこともあり、OS技研のクラッチなどのパーツをずっと使ってきました。創業者の岡﨑さんとは名前が漢字まで一緒なので、縁があるのかなと思っています」 「TC16-C1」はすでに市販化も始まり、1基がユーザーのもとに届けられている。バックオーダーも数基ある状態だという。 プロジェクトの今後の展開にぜひ注目したい。 オーエス技研https://osgiken.co.jp/ 公式YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/@osgiken1/videos ■パレードランでフィナーレ ▲パレードランしている車種のプロフィールが次々にアナウンスされていた イベントのフィナーレでは、来場しているすべてのクルマが参加。走行中の車種がMCで紹介され、卒業式のような雰囲気に。 このイベントに一度ピリオドが打たれることをあらためて感じるパレードランだった。 ■取材後記 筆者がチューニングフェスタへ初めて行ったのは2005年のこと。クルマ好きなら誰でも知るようなイベントが地元・岡山で開催されていることが、地元住民として誇らしかった。 さまざまなチューニングカー、そして大好きなS2000が目の前を駆け抜けていく姿がただただうれしく、公道では目にできない走りやエンジンサウンドに興奮したことを思い出す。本気で走るマシンを目にしたことで、クルマが一層好きになった。 憧れのクルマが全開で走っている姿を目にすると「いつかあのクルマに絶対に乗るんだ」というモチベーションもアップするのではないだろうか。実際に、筆者は憧れだったS2000を手に入れた。 23年間、多くのクルマ好きに愛されたイベントが途切れてしまうことはファンとして残念だが、チューニングカーの魅力を次代に伝える新イベントのスタートを待ちたい。 ▲筆者が2005年に行ったチューニングフェスタにて [取材協力] ●岡山国際サーキットhttp://www.okayama-international-circuit.jp/ ●オーエス技研https://osgiken.co.jp/index.php ●日本クラシックカー協会http://jcca.cc/ [ライター・撮影/野鶴美和]
去る2022年11月6日(日)、愛媛県四国中央市の川之江駅栄町商店街で「昭和レトロフェスタ」が開催された。 今回はイベント内で催された「第11回 U-550旧軽自動車ミーティング」を紹介したい。 「戦後からバブル期にかけて排気量や外寸などの規制を受けながら各メーカーが試行錯誤を繰り返してつくりあげたクルマたちから、モノを大事にする本来のエコ精神を感じてほしい」 そんな思いのもとに開催されている。 ■懐かしの名車74台が集結! 当日は好天で、汗ばむほどの陽気。 参加車輌は、朝9時半にパレードランで川之江駅栄町駐車場へ入場。74台が集まった。 10時からミーティングが開始となり、会場はすぐに盛況となった。 会場に隣接した商店街には、20店以上にもおよぶマルシェやワークショップなどのブースが立ち並んだ。 また、ステージでは地元のミュージシャンやダンス団体、地元高校の書道部がパフォーマンスし、盛り上がりを見せていた。 ▲550cc未満の軽自動車が集結した。手前のトラックはスズキ スズライト キャリイ(L20)。イベントで目にすること自体が珍しい、レアな1台 ▲レーシーな個体も(スズキ フロンテクーペ) ▲「昭和レトロ」にこだわった演出!(三菱 360バン) ▲クルマのプロフィールが書かれた暖簾は、スタッフの村上慎也さんが一つひとつ手作りしたもの ▲展示スペース内であればスワップミートもOK ▲ナンバー隠しに遊び心。「ゆっくり直そう」というステッカーにも注目 ▲コンテストも行われ、会場投票で「かっこいいで賞」「かわいいで賞」「ロングディスタンス賞」などが決まった ■【VOICE】皆さんの愛車を拝見! どの個体も貴重なのはもちろん、カスタムにもオーナーの個性が現れて見ごたえたっぷり。 今回参加していたこだわりの愛車たちをご覧あれ!※年式は個体の年式 ●ホンダ ライフ ステップバン(1974年式)オーナー高木雅彦さん ホンダが大好きというオーナーの高木さん。このクルマを含めて5台を所有しているという。ビート、N360(最終型)、トゥデイ(1995年式)、N-ONE。そしてモンキーも7台所有しているとか。 「愛車のすべてがこだわり」と話す高木さん。 この個体は1989年に購入し、大規模なレストアを行い、大切に乗っているそうだ。 「ホンダが大好きなんです。自分が乗れなくなったら、このクルマは息子に受け継いでもらう予定です」とのこと。 ▲スポーティーなステアリングが似合う ●スバル サンバー バン(1972年式)オーナー 佐々木英一郎さん 佐々木さんのサンバー バンは6回目の車検を受けたばかり。 美しいエンジンルームは多くの人が見入っていた。 もともとチューニングカーが好きな佐々木さん。 以前はかなり手を入れたチェイサーに乗っていたそうだ。 商用車に惹かれてこのクルマを手に入れてからは約17年になるという。 「サンバー バンはやりきった感があるので違うクルマを考え中です」と佐々木さん。 次期愛車への構想もふくらませているようだ。 ▲愛車に搭載される現在のエンジンは、R2のEK33型エンジンをモディファイしたもの。カワサキの純正キャブレターCVK32を流用 ▲チャンバーやサイレンサーは佐々木さんがワンオフで製作している ●マツダ ポーターキャブPC3A(1973年式)オーナー村上慎也さん 今回の主催&スタッフでもある村上さんのポーターキャブは、オレンジ色がとてもキュートだ。 「やんちゃ毒ガエル」をイメージしたという愛車。 「気負うことなく自然に、のんびりと付き合っていけたらいいですね」と村上さんは微笑んだ。 ▲レトロテイストを取り入れた室内も素敵 ▲「橙蛙屋工房」の屋号アート活動もしている村上さん。粋なデザインのイラストやグラフィックがちりばめられていた ●「橙蛙屋工房」の作品についてはInstagramのアカウント「 tohkayakoubou」をチェック! https://www.instagram.com/tohkayakoubou/ ●三菱 ミニカスキッパーⅣ(1973年式)オーナー五十嵐純一さん シリーズ2代目にあたるミニカ70をベースにしたモデル。「こしゃくにもクーペです」のキャッチフレーズで知られる。 五十嵐さんの愛車は、2G21型エンジン(バルカンエンジン)が換装された後期型になる。 ちなみに、前期型には2ストで金色のエアクリーナーが装備された「ゴールドエンジン」が搭載されていた。当時38馬力を誇っていたが、排ガス規制によってパワーダウンを余儀なくされ、後期型はマイルドな仕上がりとなった経緯がある。 新潟県から自走で参加したという五十嵐さん。 愛車は手に入れて約6年になるそう。 ほぼ自走で全国の軽自動車ミーティングへ遠征しているというフットワークの軽さに脱帽だ。 「誰とも被らないクルマという点が魅力で購入しました。スペース的にもちょうど良く気に入っています」 そう話す五十嵐さん。オリジナルを大切にしていきたいという。 ▲三菱の2G21型エンジン、通称「バルカンエンジン」。「バルカンS」からはサイレントシャフトが採用されている ●スズキ セルボ(1979年式)・ バモスホンダ(1973年式)オーナー中村真一さん 岡山県総社市のカーショップ「エヌ・ファクトリー」のオーナーである中村さん。 今回は2台同時に持ち込んでの参加だった。 【スズキ セルボ】 こちらの初代セルボは、中村さんの知人からの依頼で引き継いだ個体だ。この個体にまつわるエピソードを伺った。 過去に一度、同じセルボを所有していたという中村さん。 ある日、夢の中に突然そのセルボが現れたという。 それから数日後、居酒屋で飲んでいるときに知人から電話があり、「初代セルボがあるので引き継いでもらえないか」との相談があった。中村さんは酔いの勢いも手伝って購入を決めた。あの日の夢は前兆だったのだろうか?どこかシンクロニシティを感じてしまう。 ▲先代モデル・フロンテクーペのデザインとRRレイアウトを受け継ぐが、リヤガラスがハッチになるなど実用性も向上 【バモスホンダ】 バモスホンダはもともと中村さんの父親の愛車で、形見ともいえる大切な1台。「幼い頃に家族でドライブした記憶があります」と中村さん。 ▲幼少時代を思い出しつつリアシートに座っていただいた ●お問い合わせ:エヌ・ファクトリー・URL:http://www.n-factory-feel.com/・住所:岡山県総社市清音柿木461-3 ・Tel:0866-94-0670 ●ホンダ N360(1968年式)オーナー丸山浩市さん 車体は購入後すぐに塗り替えを行い「クラブマンレーサー」をイメージしたグリーンに全塗装。 「RSCレーシング仕様」の白いレーシングラインを実物の線幅にまで再現したこだわりの1台だ。 「オリジナルにこだわりすぎず、経年変化を楽しんでいきたい。70歳までは元気に乗りたいと思っています」 丸山さんは、軽自動車のみのイベントは初体験だそう。 「ホンダ好きのオーナーとも知り合えた」と笑顔を見せる丸山さん。 この日は奥さま、娘さんと一緒にイベントを楽しんでいた。 ▲N360がデビューした「1967年3月」と同じナンバーはこれからも守っていくそう ●スズキ セルボ(1989年式)オーナーPONNEWさん シリーズ3代目のセルボに乗るPONNEWさん。 こちらのモデルはシリーズ唯一のバンタイプ。現在の実動車は、10台ほどではないかと思われる。 通称「横丁小町」と呼ばれて親しまれ、世界初の電動パワステを装備したモデルでもある。 「部品調達は大変ですが、アガリの1台として大切に乗っていきたい」とのこと。 ▲空力性能を意識したルーフのラインは、低燃費を売りにしている現代の車種にも通じるものを感じる ▲グラスルーフで開放感抜群! ▲DIATONEのオーディオシステム ●スズキ キャリイL40(1969年式)オーナー竹本一城さん シリーズ4代目のキャリイ(L40/前期型)に乗る竹本さん。 このモデルはジウジアーロデザインでも知られる。 2年前にレストアが完了したそうで快調のようだ。 「不具合はないので消耗するパーツをストックしながら現状維持に努めたい」と話す。 ▲リアのホイールはなんと自作! ▲リアシートがあり、4人乗り登録なのだ。シートも自作で新調 ●東洋工業(マツダ) K360(1962年式)オーナー仲子俊輝さん 知人から譲り受けたというK360は、手に入れた当時の塗装色をそのままにしている。 経年変化を楽しんでおり、ヤレ感に飽きたら再塗装したいとのこと。 なかでも気に入っている点はエンジン音だという。 ▲友人の竹本さんと ▲工具箱や整備書、パンフなど貴重な品々をディスプレイ ▲小物入れも当時モノ ●ホンダ ライフ(1974年式)オーナー小田さん スズキ キャリイのオーナー・竹本さんと友人の小田さん。 この個体は竹本さんからの紹介で北陸から迎え入れた個体だ。 走り好きの小田さんはドリフトやオフロード走行も楽しんでいるそう。 「旧車とはいえ、ライフは速いですね」と走りにも満足している。 自然体がコンセプトで大きく手を加えるところはないという。 ▲「もし欲しい方がいたらお売りしますよ」と小田さん ●スズキ アルト ウォークスルーバン(1988年式)オーナー梅崎雄一郎さん 立ったまま作業ができる商用車として開発されたウォークスルーバンは、軽規格ではダイハツ ミラをベースにしたモデルが先行して登場し、スズキ アルト、三菱 ミニカにもウォークスルーバンがラインナップされた。 梅崎さんの愛車は、2代目アルトがベースとなっている。 前の愛車を箱替えしようと思い、中古車サイトを調べていて見つけた個体だという。 「荷物がたくさん積めてかわいいですね」と梅崎さん。 ▲車内で立ててしまうこの広さ! ▲特装車ならではの各メーカーカタログ ▲買い物からイベントまで大活躍! ●ミツビシ ミニキャブ5バン(1976年式)オーナー田辺真司さん 1976年に軽自動車規格の改定(排気量は550ccまで、車体サイズは全長×全幅×全高:3200×1400×2000mmまでアップ)が行われたが、各メーカーはすぐにフル新規格モデルを出す余裕がなく、既存モデルを一部改良して新規格に合わせた暫定的なモデルが、わずかな期間ではあるが存在している。 このミニキャブ5もエンジン排気量を471ccに拡大し、バンパーを延長してボディ全長を伸ばしたものの、全幅は360cc規格のまま。わずか11カ月しか生産されなかった。 その後はフル規格化を果たし、550ccのミニキャブワイド55となった。 田辺さんの愛車は、一度廃車になっていた時期があるという。数年の修理期間を経て公道復帰。当時のナンバーを維持している。 「良いコンディションを維持しつつ、残していきたいクルマですね」と田辺さんは話す。 ▲軽自動車規格の変遷を感じられる貴重なモデルだ ▲当時モノのステッカーを再現 ■取材後記 早朝5時半に「吉備旧車倶楽部」の皆さんと合流し、児島ICから瀬戸大橋を渡って坂出ICを下車し、国道11号を走って会場へ向かった。 「紙のまち」四国中央市は古くから紙を生産する町として栄えた。 今も市内には製紙工場が点在し、工場の煙突が印象的だ。 そして煙突の背後にそびえ、白雲をたなびかす四国山脈。そんな景色を眺めながらのパレードランから始まった。 その土地ならではの景色や雰囲気も味わえるのが、やはり県外のイベントへ出かける魅力でもある。 「昭和レトロフェスタ」のような地域活性とクルマ文化をうまくからませたイベントが、このさきも増えていけばと思う。 ▲会場となる「栄町商店街」までは、吉備旧車倶楽部の三宅さんのアルトに乗せていただいた。アルトの美しい車内。こちらのアルトの詳細を近いうちにご紹介できる…かも!? [取材協力] U-550旧軽車ミーティング事務局 吉備旧車倶楽部 [ライター・撮影/野鶴美和]
去る11月12日、横浜赤レンガ倉庫にて横浜クラシックカーデイ2022が開催された。 良く晴れた秋空の下かつての横浜保税倉庫、通称赤レンガ倉庫に多数のクラシックカーが集結した姿はまさに圧巻であった。 今回はその模様をお届けしたい。 横浜クラシックカーデイとは? 今年で11回目を数える同イベント、赤レンガ倉庫という歴史ある場所で同じく文化遺産ともいえるクラシックカーの展示を行っている。 多くの方に間近で観ていただき、後世につなげていくことを目的として開催されている。 参加資格は1974年までに製造された車両だ。 それ以外は車種、生産国を問わない。 この日もこの1日限りの青空展示会に多くのクルマ達が遠方からも参加、オーナー同士の交流や訪れた一般の方への解説で華やいでいた。 また毎年恒例になりつつある旧いクルマの絵を描こうという企画では、展示されたクラシックカーを子供たちがこぞって描くイベントだ。 現在は大人も負けじと筆を取る姿もみられ、個性豊かなカーイラストが次々に描かれる様はほほえましいものがあった。 魅惑の参加車両たち 参加車両の一部に少し迫ってみることにしよう。 それがこちらの初代ミニキャブ。2ストのエンジンを搭載している。 現在のオーナーが手に入れてからは1年ほどとのことだが、現在は2週間に1度くらいの割合で近所をドライブしているとのこと。 2ストはどうしてもエンジンに寿命があるのため、大事に乗っていたいと話す。 そのために、エンジンオイルは高くても社外品のいいものを入れないと焼き付く恐れがあるという。 ちなみにこちらのオーナーはジムニーの初期モデル(こちらもエンジンは2スト)所有しており、筋金入りの2ストマニアといってもいいのかもしれない。 新しい試み 赤レンガ倉庫は以前ならショッピングモールとしてその中に店舗が入り、立ち並ぶ飲食店にて参加者も昼食を取っていた。 しかし今年は残念なことに建物の改装工事中ということもあり、仮設トイレが設けられたのみで倉庫の扉は固く閉ざされたまま。 そこで取られた策が会場の両端に配置されたケータリングカー群。 8台/8店舗のケータリングはカフェやランチのサービスはじめ、サンドイッチのように片手で食べられる手軽なものまで。 訪れた方や参加者のおなかを満たすことができたようだ。 横道を行く 恒例のイベントの横道を行く。 これだけのクラシックカーが居並ぶ会場、さぞやいろいろなクルマで来場する方がいるに違いないと思いつつ、やはり相応な車両が多数ひっそりと来場していた。 その中の1台が「ヨタハチ」ことトヨタスポーツ800。 大衆車トヨタパブリカのシャーシとエンジンを使い生産されたスポーツカーであり、レースの世界でもライバルであるホンダS600との激闘を繰り広げたクルマだ。 中でも圧巻だったのは船橋サーキットでの浮谷東次郎による逆転優勝だろう。 また、同車両はガスタービンとモーターによるトヨタ初のハイブリットカーのベース車でもある。 キレイに仕上げられた赤いヨタハチは、きらびやかな表舞台の参加車両を見物に来たであろうオーナーにより、ひっそりと裏手のコインパーキングに止められていた。 多くの訪問者を楽しませるイベント 横浜クラシックカーデイは開催ごとに参加者だけではなく、そこに訪れる観光客や一般の方々にも広く展示している。 それゆえにどこか普通のカーイベントと違い、同好の士の集まりというよりも動く博物館としての要素の方が強いように感じられる。 それはより一般の方との距離感が近い状態で・・・だ。 ここで初めてクラシックカーを見る子供たちも少なくないだろう。 だが、それでいい。 それがいつか見たあのクルマという思いにつながり、この日ここで観たクルマに対する思いにつながっていくことこそが、この赤レンガで開催されるクラシックカーイベントの意義ではないかと思うからだ。 [ライター・撮影/きもだ こよし]
トヨタカローラ。 日本だけでなく世界のベーシックカーとして名を轟かせ続けている。 その名前は例えクルマに興味がない人でも耳にしたことはあるのではないだろうか? 1966年の登場以来、セダンを皮切りにさまざまなボディラインナップが登場。 時代にフィットしたさまざまな顔ぶれのなか、兄弟車としてスプリンターも追加される。 クーペ、ミニバン、ハッチバックに近年では派生車種としてSUVタイプのカローラ・クロスも加えられ、世界中のライフスタイルに合わせたクルマとして魅力を放ち続けている。 クーペ、SUVにライトバンまで!時代を越えたカローラのラインナップが集結! そんなカローラに愛好家は少なくなく、世界中にファンも多い。 インスタグラムを眺めれば、これまでにまったく見たことがないグレードや度肝を抜くようなカスタムが施された車両も数多く存在し、その歴史の深さと愛され方を伺うことができる。 去る2022年11月5日、日本屈指の自動車博物館としても名高い愛知県、トヨタ博物館にて第三回「COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING」が開催された。 秋晴れの会場の中には美しく磨き上げられたノーマル個体から、思い思いにカスタムされた数多くのカローラとスプリンターの姿が快音を響かせ流れ込んでくる。 参加台数は総勢で68台。 遠くは九州からも参加者がおり、その熱意に感じ入るものがある。 来場者のラインナップは古くは70系のライトバンから、最新型のカローラクロスのハイブリッドまでざまざまな顔ぶれであり、会場はとても同一車種名のミーティング会場とは思えないほどだ。 会場内にはイギリスから輸入されたカローラツーリングスポーツなど、ワールドワイドに販売されている車種であることを改めて意識させられる車種もあり非常に興味深い。 モデルを越えた出会いの場になれば。カローラ・スプリンターの名のもとに集いしオーナーたち 主催であるKA-10さんは今回スプリンターGT(AE111)で参加。 この車両の他にも、サーキット走行用にスプリンタートレノも所有している。 新車当時にカローラレビンのBZ-Gを購入してから、兄弟車であるカローラ、スプリンター系の車種だけで5台も乗り継ぐというから驚きだ。 ▲主催のKA-10さんが所有するのはスプリンターGT(AE111)。引き締まった車高にコーナーポール、レースのシートカバーと、カスタムと往年のセダンらしさが融合する そんなKA-10さんにカローラ・スプリンターのイベントを開催するきっかけについて伺ってみることにした。 「“COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING”は、2019年に初開催されたイベントです。カローラとスプリンターは長い歴史の中でざまざまなボディタイプが派生しており、それぞれの車種のオフ会は多数行われています。ただ、それらの車種や世代を越えた交流ができれば良いな、と思い、開催する運びとなりました」 新車で販売されている1998年からAE111のスプリンタートレノを所有していたKA-10さん。 インターネット黎明期だった当時、オンラインの掲示板で同車種の集まりが開催されていることを知り、イベントに参加するようになったそうだ。 しかし、時間を重ねるごとに当時のメンバーも次第に別車種に乗り換えるなど、集まる機会自体が自然消滅していってしまったのだとか。 そんな中、近年では車種を取り巻くユーザー層にも変化があり、イベントの在り方にも変化が訪れていったという。 「ここ数年で以前よりもレビンやトレノに乗る若い方々が再び増えてきたのです。しかもオーナー間で活発に交流をしていることを知りました。カローラ系の車種では共有している部品や共通の知識がカスタムやメンテナンスで活きることも多く、イベントの方向性もモデルごとに縛りをつけるのではなく、カローラ・スプリンターという広い括りのイベントとすることで幅広いオーナーさんやクルマと出会うことができる、そんなイベントとしています」 そう伺ってから会場を眺めると、ベテランオーナーさんの姿もあれば、初心者マークをつけたオーナーさんの姿も見える。 若者のクルマ離れなんて言葉が聞こえてきて久しいが、世代を超えて心を惹きつけて止まない力をこの会場からは感じることができる。 ▲まだまだ新しいと思っていた12#系も、国内での販売を終了してから既に16年が経過 そこにあるはずのないエンジン!?名機4A-G搭載の4WDワゴン! 会場を見回すと一台のカローラツーリングワゴン(AE104)へと妙に興味が惹かれた。 初代カローラツーリングワゴンは1991年に発売されたレジャー感溢れるステーションワゴンだ。 1997年に大幅なマイナーチェンジが施され、後期型のCMで篠原ともえとユースケサンタマリアが”カロゴン”と謳うモデルだ。 その違和感は年式不相応に綺麗なボディからではなく、そのボンネットフードの中にあった。 ▲外観はGツーリングだが、エンジンはカローラレビン。これまでサーキット走行なども楽しんできたという AE104型の前期カローラツーリングワゴンには4A-Gの設定はないはずだ。 中期型以降から搭載される4A-Gも黒ヘッドの前輪駆動。 こちらのモデルは銀ヘッドの4A-Gで車体側面にはFULLTIME4WDの文字が輝く。 この世界に存在しないはずの組み合わせだ。 すかさず近くにいたオーナーの”るるデブ”さんに話を伺った。 「こちらの車両は1996年に自分が新車で購入した車両です。ワンオーナーで26年間持っているのですが、2004年頃にエンジンのオーバーホールを行う際、AE101系レビンの解体車を丸ごと買い、エンジンやハーネス類、パワステの制御など他車流用の部品を含めて様々なものを移植して完成させました」 外観の変更はカンガルーバーとフォグランプやトムスのホイールに留められているだけに、そのエンジンスワップという行為に潔い輝きを放つ。 4A-Gと4WDとの組み合わせはトラクションも抜群で、雨の日の発進などはお手のものだという。 「排気量が同じ1600ccの4A-FEから4A-Gへと変更したのですが、最初の印象は”とにかく速い!”でした。音も違うし、アクセルの踏み方と速度感が異なることにも驚きがありました。通勤から遊びまでこれ一台でこなす万能マシンです。車体の走行距離は30万キロを越えましたが、カローラのミーティングにはさらに沢山走行している大先輩がいるのでまだまだ頑張りたいですね!」 そういえば、これまで他のカローラミーティングで50万キロ越えの個体を見せていただいたこともある。 頑丈さが都市伝説的に語られるカローラだが、日々の丁寧なメンテナンスや保守なしではここまで生き残ることはきっとできないはずだ。 クルマがオーナーを選んだかのような出会い!希少なスプリンターシエロと歩む 会場では普段の街並みではすれ違わないようなモデルと出会うこともある。こちらのスプリンター・シエロも歴代唯一となったモデルだ。 ▲1987年式のスプリンターシエロ、グレードはxi。これまで歴代の愛車は現行モデルなど新しめのクルマが多かったが、先輩の勧めで突如ネオクラ車に目覚めたという E80系をベースとしながら5ドアリフトバックのボディを採用した同車種。 オセアニア地域や欧州、北米ではジオ・プリズムハッチバックとして販売されていた。 いまだヨーロッパの片田舎でごく少数見かける機会があるが、本国の日本ではほぼ見かけることがないといっても過言ではないだろう。 オーナーの”見てのとおり”さんはシエロをインターネットを通じて2018年に入手。 元々クルマ好きではあったものの、旧車に属するクルマを趣味で買うつもりはなかったという。 「元々地方の旧車イベントに会社の先輩と一緒に足を運んでおり、話の流れで”古いクルマを買ってみたらどうか”となり、たまたまオークションで出品されていたシエロを購入する運びとなりました」 オークションでは当時でも驚くほどの安価な値段ながらも、長い間落札されることなく出品が繰り返されていた個体だったという。 そんな個体ながらも、出品者の方から「おおかたの整備は済んでいます。いい買い物でしたね!」といわれたそう。 実際、購入してからの4年間で交換したのはショックアブソーバーのみで現在までトラブルは皆無。 モールや樹脂類に至るまで艶やかさを失っておらず、これまで愛情が掛けられてきたことを感じる。 シエロは“見てのとおり”さんのもとに来てからというもの、各イベントに出没。 購入時からほぼそのままの状態で展示され、いくつかのアワードをも受賞している。 美しい状態で令和の時代まで生き残り、大切にしてくれるオーナーさんと出会うそのときまで待っていたのでは...。 なんて表現すると、少しファンタジックすぎるだろうか。 新旧、カローラとスプリンターに囲まれた一日。 クルマの数だけユーザーとの濃密な物語があるはずだ。 経験や知識の共有、新たな出会いも生まれるミーティングの場に感謝を感じ、これからもクルマと歴史の傍らにこんなイベントがあってくれたら嬉しいと感じてやまない。 [ライター・撮影:TUNA]