イベントレポート

日本ならではの自動車文化の一端を垣間見た「オートモビルカウンシル2024」
イベントレポート 2024.04.30

日本ならではの自動車文化の一端を垣間見た「オートモビルカウンシル2024」

去る2024年4月12日〜14日にかけて、幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2024」の模様を取材した。 今回が9回目の開催となるオートモビルカウンシル。前回に引き続き、今回も「Classic Meets Modern and Future」のテーマだった。 出展者数は過去最多の113を数え、自動車関連商品等の販売店(マルシェ)が34社、オーナーズクラブが4団体、フード・ドリンクのコーナーが9店舗と、年々規模が大きくなっている感がある。ちなみに、来場者数も過去最高の39,807人。気の早い話だが、第10回となる2025年は5万人を突破する可能性もありそうだ。 ■自動車メーカー&インポーター トヨタは「トヨタ クルマ文化研究所」と銘打ってブースを出展。日産は「LOVE GOES ON - Nissan Lovers Every Customer-」、マツダは「ロータリースポーツカーコンセプトの歴史と未来」のテーマをそれぞれ掲げていた。 ホンダはシビックをメインに、そして三菱も、パジェロやギャランVR-4、ランサーエボリューションのラリーカーを展示していた。 ついに、というか、いよいよというべきか。日本車メーカーによる、古いクルマに対する対応が手厚くなりつつある印象を受けた。いまどき、ここまでいい切ってしまってから「やっぱりやめます」というわけにはいかない。これまで積み上げてきた期待値が一瞬でゼロになってしまうからだ。 メーカーサイドとしても後戻りが許されない「不退転の決意」だと思う。「はじめの一歩」のハードルは高いと思うが、来年はぜひスバルをはじめとする他の日本車メーカーの出展も期待したい。 そしてインポーターは、ポルシェジャパン、マセラティジャパン、BYD Auto Japanの3社が出展。ポルシェジャパンは、ポルシェライフスタイルの新たなカテゴリーである「ターボNo.1コレクション」のプレゼンテーションを行った。 また、マセラティジャパンは独自のカスタマイズプログラム「マセラティ・フォーリセリエ」を施した「グレカーレ トロフェオ」と「クアトロポルテ V6 2.8 エヴォルツィオーネ(4代目)」を展示。さらにBYD Auto Japanは、発売間近の「シール」と「ATTO 3」を展示。3社とは少し寂しい。予算の関係か本社マターの決済が必要なのかは分からないが、他のインポーターのエントリーも期待したいところだ。 ■ヘリテージカー販売店出展車両 ヘリテージカー販売店は35社が出展。気に入った個体を購入することもできる。全体的にドイツ車を中心にヨーロッパ車が多めな印象。海外のクラシックカーイベントと同様に、空冷911が人気。オリジナルにこだわる個体があるいっぽうで、独自の解釈がなされたレストモッドされたクルマも見掛けた。 また、ヤナセクラシックカーセンターからは1969年式メルセデス・ベンツ280SEをはじめ、1988年式メルセデス・ベンツ560SL、1992年式メルセデス・ベンツ500E、1993年式メルセデス・ベンツ500SL、1995年式メルセデス・ベンツ280TEの5台が展示されていた。 実は20年ほど前に、あるイベントでR129型の500SLが100万円そこそこで売りに出されているのを見てショックを受けたことがある。ちなみに、展示されていた500SLの販売価格は670万円とのこと。ずいぶんと高くなったと思いつつ、本当に欲しい人が手に入れるのだろうから、これはこれでいいのかもしれない。 その他、カニ目や貴重なブリストル、すっかり見掛ける機会が減ったフェラーリ テスタロッサ、プジョー406クーペの姿も。いずれもそれ相応の資力がなければ手に入れることは困難だが、こうして眺めているだけでも眼福といえる気がする。 ■見みどころ満載だった企画展 3月13日にこの世を去ったカーデザイナー、マルチェロ・ガンディーニ氏の追悼企画が急遽追加され、「ミウラP400」と「カウンタックLP400」のほか、ガンディーニ氏の傑作のなかから厳選した「ランチア・ストラトスHFストラダーレ」「ディーノ308gt4」「アルファ・ロメオ・モントリオール」が展示されていた。 そして、この記事の公開日の翌日の5月1日は、もはや伝説のF1ドライバーとなったアイルトン・セナがこの世を去ってから30年。そのため「アイルトン・セナ没後30年特別企画」が実現。 「JPS ロータス 97T ルノー(1985年)」「マールボロ・マクラーレン MP4/5B ホンダ(1990年)」「マールボロ マクラーレン MP4/6 ホンダ(1991年)」、そして「ホンダ NSX タイプR プロトタイプ」の4台、さらにセナが愛用したレーシングスーツおよびヘルメットが展示され、各々のギャラリーがセナへの思いを馳せていたようだ。 また、歴代フォルクスワーゲン ゴルフのなかからGolf1、Golf2、Golf4、Golf7、Golf8が展示されており、進化の過程を観察することができた。さらに、「アメリカンヘリテージ」の名車達と題して、1963年式シボレー コルベット、1967年式シボレー カマロRS、1970年式ダッジ チャレンジャーR/T 440+6 コンバーチブル、1976年式AMCジープJ-10、1983年式AMCイーグル ワゴンの5台が展示され、イベントに花を添えた。 ■まとめ:来年は10回目となるオートモビルカウンシル 春に開催されるクルマのイベントとして定着した感のあるオートモビルカウンシル。来年は記念すべき第10回開催となる。おそらくはさまざまな試行錯誤を繰り返しながら「オートモビルカウンシルとしてのスタイル」が少しずつ確立していくのだと思う。 初期の頃とはイベントの中身が変わってきたという声も耳にした。そのいっぽうで、現在のスタイルが好ましいという人もいるだろう。それぞれに想い入れやこだわりがあるだけに、すべてのファンの希望を叶えることは難しいだろう。 しかし、この種のイベントは続けることが何よりも大変であり、同時に重要だと思う。いちど休止してしまうと復活するハードルが一気に高まるからだ。 東京オートサロンやノスタルジック2デイズなどと同様に、多くのクルマ好きにとって欠かせないイベントとなってくれることを願うばかりだ。 [ライター・撮影/松村透]

今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
イベントレポート 2024.04.29

今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート

2024年4月7日、埼玉県朝霞市にある「朝霞の森」にて『スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024』が開催された。 週間天気予報では、この日の予報は雨。しかし、主催者の増井淑博氏は自他ともに認める晴れ男であり、この予報を覆した。結果、イベント当日は見事なまでの晴れ! さらに、少し暑いくらいの陽気で、過去10年でもっとも開花が遅れたというソメイヨシノも楽しめる絶好のイベント(お花見)日和となった。 ■普段はめったに観られないアメ車が朝霞の森に多数集結! 午前9時をまわる頃には、どこからともなく「ドコドコ」と野太いV8エンジンサウンドを轟かせながら続々とアメ車が朝霞の森に集まってきた。最新のモデルはもちろん、1950年代のアメ車も少なくない。 70年前のクルマが、生まれ故郷であるアメリカから遠く離れた日本の地で素晴らしいコンディションを保っているのだ。現地の人が見たら驚くに違いない。 ■アメ車以外のクルマも個性豊か! フォルクスワーゲン ビートル(Type1)や、お父さん世代には懐かしいGX71系のトヨタ マークII、トヨタ ハイエースのカスタムカー、日産スカイライン(R34型)の展示もあり、こちらも注目を集めていた。以前、左ハンドル仕様のマツダMPVが展示されていてびっくりしたけれど、今回はエントリーしていなかった模様。 ■朝霞市の公認イベントならではのゲスト!朝霞市長はアメ車好き!? 埼玉県朝霞市が後援するイベントということもあり、開会の挨拶には現朝霞市長が登壇。若き日の市長がトランザム乗りであったのだとか。 また、外務大臣政務官を務める衆議院議員のほさかやすし氏も登壇し、このイベントが地元に根ざしていることが実感できた。 ■スーパーアメリカンガレージ朝霞の森には欠かせないライブも スーパーアメリカンガレージ朝霞の森の主催者である増井淑博氏は音楽プロデューサーとしての肩書きも持っている。そのキャリアを活かし、メインステージではミュージシャンによるライブが行われた。ギャラリーもノリノリ。イベントを大いに盛り上げていた。 ■スワップミートも見所満載 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森に欠かせないプログラムに「スワップミート」がある。ファッション、ガレージに飾るグッズ、ミニカーなど、目移りするアイテムばかり。 思わぬ掘り出しモノが見つかる確率が高いので、衝動買い気味の人は要注意だ(笑)。キッチンカーも多数出店しているので、好みやその日の気候に合わせていろいろ選べるのも嬉しい。 ■まとめ:1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたいと願う増井氏の想いを形に イベントの主催者である増井氏には「より1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたい」という強い想いがある。 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森のエントリーフィーは記念シャツとステッカー付きで5000円という、参加者にとって良心的な価格設定もかなり魅力的だ(エントリーは当日の受付のみ)。 そして、2024年10月20日(日)には、お台場ウルトラパークにて、31回目となる「スーパーアメリカンフェスティバル2024」が開催される。7月からエントリーを開始するとのことだ。詳細は公式サイト(http://amefes-since1992.net/)まで。 また、増井氏のFacebookページ(https://www.facebook.com/masuiyoshihiro/)でも告知される予定なので、そちらも合わせてチェックされたし! [ライター・撮影/松村透]

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて
イベントレポート 2024.04.18

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいずれも華やかで、偶然、その場を訪れた人を楽しませるエンタメの要素も持ちあわせている。 そして今回、新たなアプローチでクルマのイベントが開催された。 「若者たちのカーライフ」。 (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示!35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 あえてこの切り口を前面に出し、開催にこぎつけた主催者の方たちの想いとは? イベント当日、ご多忙のなか、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏が取材に応じていただいた。 ── 抜群のチームワークに映りますが、皆さん知り合って長いんですか? ▲左から甲野大輔さん(ホンダS2000)、後藤和樹さん(いすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(シトロエンBX) 本田さん(以下、本田):私と甲野は私が高1、甲野が中3の頃からの長い付き合いです。  甲野さん(以下、甲野):学年こそひとつ違いますが、幼馴染みたいな感じですね。  後藤さん(以下、後藤):私はここ3〜4年くらいです。某パーキングエリアに寄ったとき、BXがいるなーって思いました。  本田:俺もピアッツァがいるなーって。 本田:BXに興味津々の後藤から声を掛けられて、「もしかしてピアッツァのオーナ ーさんですか?」って尋ね返したのが運の尽きです(笑)。 ── それぞれおいくつですか? 後藤:26才です。 甲野:27才です。 本田:29才です ── 企画から運営までどれくらいの期間がかかりましたか? 後藤:約1年です。ちょうど1年くらい前に本格的にやろうということになり、クルマ関連のミーティングを主催した経験がある本田と甲野にも声を掛けたんです。  ── 横浜赤レンガ倉庫の場所を押さえたということは行政に掛け合ったんですか? 後藤:そうです。企画書を作って横浜市に提案しました。 ── 企画書を作成するのは大変だったのではないですか? 後藤:毎年秋に「横浜ヒストリックカーデイ」 というイベントを主催している方を横須賀にあるリバイバルカフェさんに紹介していただきました。その方からイベントを提案するうえで必要な書類などのノウハウを伝授していただき、横浜市に企画書を提出したところ承認が得られたんです。 ── イベント開催日を3月20日を選んだ理由を聞かせてください 後藤:単純にこの日(3月20日)しか空いてなかったんです(笑)。 ── どうやってこれだけの台数を集めたんですか? 後藤:基本的に我々3人の友人を中心に声掛けしました。これまで各々が培ってきたつながりもありますし、本田と甲野は別のミーティングを主催していたのでイベント運営のノウハウもあります。私はイベントを企画することはできるけれど、クルマを集めて誘導する運営の方はこの2人のほうが優れてる。 僕らは全員横浜育ちなので、地元横浜赤レンガでってなるとこの2人と組んでやろうと。 ── このイベントを開催するうえでもっとも大変なことはなんでしたか? 甲野:「YOKOHAMA Car Session」というイベントを横浜赤レンガ倉庫で行います、という声掛けはもちろんのこと、参加費の集計と管理ですね…。入金状況を確認して、未入金の方に個別でリマインドしたり、直前でキャンセルが出て、別の方に声を掛けたり。 後藤:参加台数を100台は確保したかったんです。なのでイベント覗きに行くね、といってくれた方に「枠空いたから並べてみませんか?」とお声がけしたパターンもあります。 ── 初開催ですし、準備も大変だったんじゃないですか? 後藤:大変ではありましたが、徹夜するほどではなかったです。前週の週末に深夜2時くらいまで準備したのがもっとも遅かったくらいですね。 甲野:3人ともサラリーマンゆえ、平日はそれぞれに本業があります。その合間を縫いつつも3人の役割分担を明確にして、密に連携できたのが良かったです。 ── このイベントにはサポートメンバーの方も? 後藤:います。10人ほどの友人に協力していただき、会場内への誘導などはサポートメンバーにお願いしました。自分たち3人はこうしてメディア対応もできるようにしたかったですし。彼らの協力なくしては成り立たないイベントです。 ── とはいえ、1日仕事です 後藤:おそらく「イベントをやるぞ」っていう熱意と同じくらい大事なのが人脈なのかもしれません。やりたいって思い立ったとき、人のつながりを広げて大切にしていれば、「君たちがやるのなら手伝うよ」っていってくれる人が出てきてくれるのかなと…。 甲野:この3人ならではのネットワークが強みになったところはありましたね。この3人って、クルマへの情熱や向いている方向は一緒なんですけど、クルマの趣味嗜好は割りと違うんですよ。だからこそ、バラエティに富んだ「面白味」が出せるのかもしれません。それぞれが趣味に本気で向き合ってきている分、その路線ごとに友だちがいますし。 ── 敢えて伺います。大変なこともあったと思いますが、開催してよかったですか? 後藤:メチャクチャよかったです!開催までは不安なんですよ。昨日の夜なんかは3人で仕事終わりに集まって、いよいよ明日だよって…。でも、横浜赤レンガ倉庫で開催できたことで、「若者にもこれだけ熱いクルマ好きがいますよ!」ということがアピールできたと思うんです。 本田:例えばご高齢の方が大事に乗ってきた愛車を泣く泣く手放すことになったとき「今の若い人のなかにもクルマ好きがいっぱいいます。だから若い世代に安心してお任せください!」ということを伝えたいという想いもありました。 クローズドなイベントと違って、ここ(横浜赤レンガ倉庫)なら、偶然訪れた多くの人の目にも触れることができますから。 甲野:あとは赤レンガの公式サイト、みなとみらい21の公式サイトなどでイベントの告知をしてもらいましたし。それも功を奏してこれだけの人が集まってるのかなって思ってます。ちなみにそこに停まっているゼロクラウンは走行距離43万kmなんですよ。10万kmの中古で買って、1人で30万km以上乗っています。 甲野:彼に限った話ではなく、今回のイベントに参加してくれた人は「このクルマじゃなきゃダメなんだ」という意識で乗っているオーナーが多いですね。もちろん我々3人も含めて。 ── 若者のクルマ離れって言われて久しいと思うんですけど、実際にどう思いますか? 後藤:昔に比べたら数は減っているかもしれませんが、私はそうは思えません。10年前に1回いわれたクルマ離れからもうそれだけが1人歩きしてしまっている現状はあると思うんです。 「若者のクルマ離れ」が叫ばれた世代って私たちよりも上の世代なんです。30代半ば〜40歳くらいの方のイメージです。私たちの世代は親がクルマ好きだったり、頭文字Dやグランツーリスモにハマった世代なので、少し異なるかもしれません。 ── 同感です!少し気が早いですが、来年の開催はありますか? 3人:現時点では未定です。でも、今回の反響次第では来年も開催したいという想いはあります!! ── まとめ:多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」に意義がある 「若者のクルマ離れ」という、ある意味では本当で、ある意味では幻想にすぎないキーワードに危機感を抱いているのはおじさん・おばさん世代ばかりではない。むしろ、当事者である若い世代の方が「たしかにそうかもしれないけれど、そんなことはない」と自らイベントやオフ会を各地で企画し、クルマの魅力を伝えている。 今回の横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】がそれらのイベントと一線を画すのは、多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」にある。 しかも、単なる愛車自慢大会ではなく「クルマ好きが存分にアピールできた」ことも大きい。ストレートに表現するなら嫌味がまったくないのだ。あくまでも等身大のカーライフを伝える。失礼ながら「クルマエンゲル係数高め」な参加者もいたはずだ。 そしてノンジャンルとしたことも功を奏していたことだろう。国内外の珍しいクルマから懐かしいクルマ、マニアから一般の方まで、クルマに詳しくない人ならではの視点で楽しめる点に配慮されているように感じた。 次回の開催は未定とのことだが、横浜赤レンガ倉庫に自分の愛車が展示される快感を知ってしまったオーナーもいることだろう(笑)。さまざまなハードルはあると思うが、何とか赤レンガ倉庫で開催されるクルマ系のイベントのひとつとして定番化することを願うばかりだ。 ── 『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』関連記事 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ ●若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-japanese/ ●参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-import/ [ライター・撮影/松村透]

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』
イベントレポート 2024.03.31

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で初開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】の模様を取材した。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいくつもあるが「若者たち」というくくりはおそらく初めてではないかと思う。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけたという。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(愛車はホンダS2000)、後藤和樹さん(愛車はいすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(愛車はシトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。2回目となる今回は「輸入車編」だ。 ■ドイツ ドイツ車は16台がエントリー。メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、アウディ、オペル、スマートなど…。幅広いモデルが展示されていた。 ポルシェ914は代官山蔦屋に展示されていたこともある個体なので、実車を観たことがあるかもしれない。 バブル世代には懐かしいアウディ90は、以前姉妹サイトである「外車王SOKEN」で取材させていただいた三上諒人氏の愛車であり、初代アウディTTは旧車王ヒストリアの執筆陣のひとりである林 哲也氏の愛車だ。ちなみにおふたりとも20代。 ■21才のオーナーがかつて父親が所有したクルマを愛車に選んだ理由とは?1991年式アウディ90クワトロ 20V(B3型)https://www.gaisha-oh.com/soken/audi-90-mikami/ ■林 哲也氏https://www.qsha-oh.com/historia/article/hayashi-tetsuya/ ■イギリス イギリス車も14台がエントリー。スーパー7をはじめ、ロータスエランやロータスエスプリ、ジャガーXJSなど懐かしいモデルが並ぶ。その他、クラシックミニやヴァンデンプラスプリンセスなど、エンスー度もかなり高め。たまたま現地で会ったクルマ仲間(おじさん世代)も「ほんとに若者の愛車なのか!クルマの方が年上ばかりじゃん!!やるなぁ〜」と目を丸くしていたほど(同感です)。 ■フランス 国別対抗(?)では最大勢力となったフランス車は21台がエントリー!70年代〜2000年代まで幅広く、スポーツ系からヘ○タイ系までバラエティに富んでいて度肝を抜かれた。プジョー405やルノーアヴァンタイムの実車を見たのは筆者も本当に久しぶりだったし、BXが3台もエントリーという時点でかなりヘ○タイ度の高めのイベントといえるだろう(笑)。困ったもんだ(もちろん良い意味で)。 ■イタリア フランスとくればイタリアでしょう!ということで10台がエントリー。フェラーリやマセラティがいなくとも十二分に華があった(360モデナのオーナーさんがエントリー予定だったものの、修理中で断念したとか)。こうして他国のクルマと並べてみると、ボディカラーがどれも艶っぽく映るのは気のせいだろうか。ヌヴォラブルーのアルファ ロメオ166、DTMで活躍した155、フィアットバルケッタ、クーペフィアット、500にパンダ…、アウトビアンキ、極めつけのランチアフルビアクーペ…。それまでは無縁だったイタリア車に乗ろうと決意できたのもこのイベントのおかげかもしれない。 ■スウェーデン スウェーデン車は6台がエントリー。角張った時代のボルボ、バブル時代は伊達男が乗っていたサーブ。いずれも令和の世の日本では見掛ける機会が減ってしまったけれど、こうして若い世代の方が大切に乗ってくださっていることに目頭が熱くなった。ちなみにグリーンのボディカラーが美しいサーブ9-3は、以前外車王SOKENで取材させていただいたしょーへいさんの愛車だ。 ■幼少期の8年間を一緒に過ごして別れたあと、運命の再会。20才のオーナーと1998年式サーブ9-3 クラシック 2.3ihttps://www.gaisha-oh.com/soken/saab-93-classic-shyouhei/ ■アメリカ アメリカ車も2台がエントリー。カマロの方はボディカラーが色褪せていたけれど、かえってこれが味になっていて雰囲気満点だった(3代目カマロも生産終了から30年以上。いつの間にかクラシックの領域に足を踏み入れていたことを実感した)。 ■出展ブース 今回のイベントには、名だたるショップや遠藤イヅル氏といった、クルマ好きであれば誰もが知るであろう豪華な顔ぶれがそろった。これも、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の熱意と人徳によるものだろう。 ●LE GARAGE ・URL:https://www.legarage.jp・住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 1F・Tel:03-3587-2785・営業時間:11:00〜19:00(夏期休業・年末年始休業などは除く)・定休日:毎週水曜日 ●Auto Glanz ・URL:https://a-glanz.com・住所:埼玉県入間市小谷田2-1032-1・Tel:04-2968-7773・営業時間:10:00〜19:00・定休日:毎週月曜、第1、第3火曜日 ●遠藤イヅル ・Facebook:https://www.facebook.com/izuru.endo.9 ●リバイバルカフェ ・URL:https://revivalmiura.com・住所:神奈川県三浦市初声町和田2650-3・Tel:046-845-6224(予約番号もこちら)・営業時間:月火水 11:00~18:30、土日祝 10:00~18:30(L.O:フード 17:30、ドリンク&スイーツ 18:00)・Facebook:https://www.facebook.com/revivalmotorstationcafe/・X:https://twitter.com/revivalmiura・YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC-IBrf9Q3OAmMg7mtZoOttw・Instagram:https://www.instagram.com/revivalmiura *貸切利用プランをスタートとのことで要チェック!!・11台/13名以上・時間:3時間・料金:平日/1名:4000円〜、土日祝/1名:4500円〜・ランチ/ドリンク/デザート/コーヒーor紅茶のフリードリンク付き ●Unilopal ・URL:https://unilopal.jp・Facebook:https://www.facebook.com/unilopal・X:https://twitter.com/unilopaljapan ●AUTOREVE ・URL:https://autoreve.jp・住所:146-0093東京都大田区矢口3-3-15・Tel:03-6427-5820・営業時間:10:00〜19:00・定休日:火曜日および第1、第3、第5水曜日・メール:contact@autoreve.jp・Facebook:https://www.facebook.com/autoreve.japan ●CCG ・URL:https://www.carcityguide.info・YouTube:https://www.youtube.com/@carcityguide・Instagram:https://www.instagram.com/car_city_guide/ ■まとめ:若きエンスージアストの皆さんにエールを! 国内外を問わず“ノンジャンル”というくくりで開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】。 参加者の誰もがこの日の主役であり、スポットライトを浴びるに相応しいクルマだった。 オリジナル志向のオーナーがいるいっぽうで、時代考証をしっかりと行いつつ「当時はこんなモディファイをしていたんじゃないか」を追求していた個体もあった。 「自分のクルマなんだからどう煮て焼いて食おうとオーナーの自由」という考え方がある。これはこれで一理あるだろう。その一方で「いじくり倒して飽きたら売る」という行為に対しては個人的に疑問に思うところもある。 その点においては『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』にエントリーしていた方たちは「自身の愛車の価値や出自、そしてセオリー」を理解したうえで自分色に染めているように感じられた。 今回、参加した皆さんも、今後さまざまな理由で現在の愛車を手放すことがあるかもしれない。しかし「コンディション良好な個体」として、大切にしてくれるであろう次のオーナーが見初めてくれるはずだ。 なんだか上から目線で申し訳ないが、若い世代の方たちのカーライフを楽しみ、そしてクルマと誠実に向き合う姿勢は、ベテラン勢も大いに学ぶべきところがあるように感じた。 欲しいクルマが見つからない。昔が懐かしい。最近のクルマはツマラナイ。「現在」という時間の流れを否定して愚痴をこぼしているだけでは何の解決にもならない。 今回のイベントを企画したお三方、そして参加した皆さんのように、クルマという趣味と気の合う仲間たちとともに楽しむことでで初めて見える景色、そしてさらなる次のステップが現れるはずだ。 [ライター・撮影/松村透]

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』
イベントレポート 2024.03.30

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけた。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(ホンダS2000)、後藤和樹さん(いすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(シトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。今回は「日本車編」(輸入車編は次の記事で)。 ■トヨタ&レクサス 今回の展示車輌のなかでは12台と、国産勢で最大勢力を誇ったトヨタ&レクサス。1980年代〜90年代のクルマが多かったのが印象的。ということは、オーナーよりも年上のクルマを所有していることになる。 ハチロクことAE86はもちろんのこと、稀少なMRスパイダーをはじめ、俳優の永瀬正敏がCMに登場していたカレン、JTCCでも活躍したカローラエクシブなど、お父さん世代には懐かしいモデルが並んだ。 ■日産 日産車は5台。ステージア260RSや、180SX、スカイラインGTS-t タイプMなど、根強い人気を誇るモデルが並ぶほか、7代目サニーや3代目ラルゴといった、当時のファミリーカーが展示されていたのも新鮮だった。ノンジャンルらしい、このイベントならではの風景かもしれない。 前車3台は淘汰が進み、すでに保存の域に入っているだろうが、後車2台は実用車ゆえの悲劇で、数が売れても廃車にされてしまい、後世に残りにくい。貴重な生き残りともいえるので、(大変なこともあると思いますが…)末永く乗っていただければと思う。 ■ホンダ ホンダ車は9台。懐かしのCVCCシビックオーナーはなんと新潟県から自走してのエントリーだというから驚きだ。 その他、ホンダS2000やS660といったスポーツ系から、「カッコインテグラ」でおなじみの2代目インテグラをはじめ、リトラクタブルヘッドライトが特徴的な3代目アコードなど、最近ではめったに見掛けなくなった懐かしいモデルもエントリーしていた。失礼ながら「ホンダ地獄」などといわれるほど純正部品の確保が難しいモデルも多い。にも関わらず、素晴らしいコンディションを維持している若きオーナーの皆さんたちの熱量が伝わってきた。 ■マツダ マツダ車は2台ともユーノスロードスターがエントリー。2台ともオリジナル度が高い個体だった。いずれもナンバーを移設しているということは1.6Lモデルだろうか。 元NAオーナーとしてはオーナーさんに声を掛けたかったのだが、タイミングが合わず。今度取材させてください!それにしてもNAロードスターと赤レンガ倉庫の組み合わせは画になる。 ■スバル スバル車では唯一のエントリーとなった4代目レガシィツーリングワゴン。レガシィツーリングワゴンの完成形ともいえるスタイリングは、実はもうデビューしてから20年以上(2003年)経っているとは思えないほど古さを感じさせない。 私事で恐縮だが、恩師が歴代レガシィツーリングワゴンを所有していたり、当時の勤め先の社用車がこのレガシィツーリングワゴンだったこともあり、懐かしさのあまりしばらく眺めてしまった。 ■いすゞ いすゞ車は2台がエントリー。いすゞが国内で乗用車の販売を終了したのが2002年。それから22年。今回、エントリーしたオーナーさんたちは当時小学生くらいだろうか。 おじさん世代が当時を懐かしんで、あるいは新車ワンオーナー車として所有しているならいざ知らず、若い世代の方がこうして大切に所有していることに思わずぐっときてしまった。世代を超えてピアッツァが愛されていることをジウジアーロが知ったら喜ぶに違いない。 ■ダイハツ ダイハツからは唯一のエントリーとなった4代目ミラ。そして懐かしのTR-XXアバンツァート!このモデルも残りにくいモデルのひとつだろう。純正部品はほぼ欠品&製造廃止状態だと思われ、各種トラブルに加えて部品の確保にも苦労されているのではないかと推察する。いちど、オーナーの方にこのクルマへの想いを伺ってみたい。 ■まとめ:クルマに興味がない人も楽しめるホスピタリティあふれるイベント こうして振り買ってみると、昭和の終わりから平成初期に掛けて街中でひんぱんに見掛けた日本車の展示車輌が多かったように思う。 当時を知る世代にとっては懐かしいクルマばかりで、たまたま現地を訪れたであろう人たちのテンションがあがり「おじさんホイホイ状態」になっていた(笑)。また、道行く若いカップルも展示車輌をじっくりと眺めているのも確認できた。 この種のイベントはどうしてもスポーツカーにスポットライトがあたりがちだ。たしかにその方が華やかになるし、同じクルマが何十台も並ぶ光景(しかも横浜赤レンガ倉庫で)は壮観だ。 しかし、他のイベントではなかなか見掛けないモデルやさまざまなメーカーを一同に介するノンジャンルとしたことで、1台1台をじっくりと眺めることができた。その方が結果的にたまたま横浜赤レンガ倉庫を訪れた来場者の人たちも楽しめたに違いない。 自分たちだけでなく、来場者にも(クルマに興味がない人にも)楽しんでもらう。そんなホスピタリティあふれるイベントだったことはたしかだ。 今回のような絶妙な塩梅を創り出すのは、簡単なようで、実はものすごく難しい。 この雰囲気を残しつつ『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を継続していくには、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の存在が欠かせないものとなっていくだろう。 主催者が変わると、イベント自体の雰囲気もガラリと変化する。さまざまなご苦労があると思うが、ぜひ来年以降も続けてほしいと思う。 [ライター・撮影/松村透]

初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと
イベントレポート 2024.03.21

初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 取材当日は快晴。ただ、天気予報では午後から通り雨があるとのことだった(事実、2度通り雨があった)。赤レンガ倉庫の敷地は多数の来場者が訪れるため、空いているうちに展示車輌を撮影しておきたいので早めに現地に向かった。 ■このイベントの参加条件は30代前半までの若い世代の方限定! この【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】は、「若い世代の方による若い世代の方のためのもの」であり、中高年の人たち、つまり昭和世代には参加資格がない。主役はあくまでも平成世代のクルマ好きだ。 若い世代の方が中心となって開催されているクルマのイベントは他にもあるし、オフ会的な集まりであれば日本のどこかで毎日のように行われている。しかし、この種の集まりやイベントの多くは参加者が楽しむためのものであり、一般の来場者が来ることを想定していないことも多い。 クルマ関連のイベントの存在意義のひとつとして、SNSやLINEなどでやり取りしているクルマ仲間と直接会える機会の場としての側面も持っている。お互いの近況報告や情報交換の役割も担っているから、むしろクローズドなイベントの方が都合がいいケースも考えられる。 しかし、今回の会場は横浜赤レンガ倉庫。多くの一般の来場者の方も訪れるオープンなイベントだ。別の目的で横浜赤レンガ倉庫を訪れ、偶然、このイベントに遭遇した人もいるはずだ。観光スポットのド真ん中に展示されることになるので、ある意味では晴れ舞台ともいえるかもしれない。オーナーの皆さんも、手塩に掛けた愛車を、オープンな場所、しかも横浜赤レンガ倉庫に並べられることに魅力を感じていたはずだ。 ■国産車・輸入車を問わず、100台ものクルマが横浜赤レンガ倉庫に集結 SNSを通じて参加表明をしている人がいるとはいえ、現地に行ってみるまでは全容が分からない。分かっているのは、少なくとも国産車・輸入車を問わずノンジャンルである、ということだ。 正直、ノンジャンルだと薄味なイベントになってしまわないのかな…なんて思ったりもした。しかし、現地に着いて赤レンガ倉庫を見回してみると、そんなことはまったくの杞憂だった。参加しているクルマが「旧車やネオクラシックカー率高め」であり「絶妙な濃さ(しかも、ヘンタイ度高めなクルマ多し!)」なのだ。 イタフラ系はもちろんのこと、国産スポーツモデルも軽自動車もいる。ノンジャンルらしいバラエティに富んだクルマが並べられていて、見ていてとても楽しい。 今回、ウン千万単位の最新の高級車やスーパーカーは1台も展示されていなかった。誰がどう見ても「この日の主役はこれ」といった異様に目立つクルマがいないおかげで、どこかほのぼのしている印象を受けた。 ■開催にこぎつけた主催者の方たちの熱意と行動力に対して敬意を このイベントの主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏にお話を伺ったところ、発案から開催までおよそ1年掛かったそうだ。「横浜赤レンガ倉庫でイベントをやりたい」と思ったとしても、管理元である行政(横浜市)の許可を得なければならない。 毎年11月に赤レンガ倉庫で「エキサイティングポルシェ」を開催している石田氏にインタビューしたとき、「企画書を作成し、運営会社に送付、審査のうえ承認されると仮予約となります。毎回、必ず審査があり、そのたびに承認してもらえるという保証はありません」と伺ったことがある。特に初回はこれまでの実績がないため、承認を得るのに苦労したという。 ●初開催は2007年!主催者が語る「エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)」を続ける理由とは?https://www.gaisha-oh.com/soken/exciting-porsche-forever/ 参加者はイベントが終われば「今日はすごく楽しかったねー。また来年もやってね!」で済んでしまうが、主催者はそうはいかない。すぐさま会場を元どおり(原状復帰)させ、その後は管理元である行政(横浜市)に対してこの日のイベントに関する報告をしなければならない。 その他にも、イベントの告知や参加者からのエントリーフィーの確認や集計(入金催促)、急なキャンセルへの対応、イベント当日の誘導や取材対応、トラブル対応…などなど。やることは山のようにある。 筆者も、多少なりともその大変さを知っていたので、見事にイベントの開催にこぎつけたお三方には頭が下がる思いだ。今回、イベント会場で忙しい合間のぬってこのあたりの苦労話?を伺うことができたので、記事にまとめてお伝えする予定だ。 ■まとめ:YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~を取材して思うこと 「若者のクルマ離れ」が叫ばれるようになって久しい。あくまでも筆者の感覚値ではあるが、少なくともここ10年以上はいわれ続けていることは確かだ。 …ということは、当時の若者も気づけば中年の仲間入りとなり、かつて少年少女だった人たちが運転免許を取得して、自分の愛車を所有する時期に差し掛かっていることを意味する。つまり、世代交代しているのだ。 いまの20代の方を取材していると、幼少期に頭文字Dやグランツーリスモ、映画「ワイルド・スピード」シリーズなどを見たことがきっかけでクルマに興味を持ったり、親御さんがクルマ好きで英才教育を受けたという話をよく耳にする。これらが原体験となってクルマに興味を持つようになり、それがみるみるうちにエスカレート(笑)して、気づけば沼にハマっている、らしい。 昭和世代であれば、幼少期のスーパーカーブームを思い出してもらえれば、この感覚が容易に想像できるだろう。 当時、スーパーカーブームや、バブル期にカーライフを謳歌した世代が親となり、自分の子どもたちに英才教育を施し(笑)、見事に開花した次の世代が大人になり・・・。ついに自分のクルマが持てる時代になったのだ(いまの30代半ばから40代前半くらいの人たちには、そういった原体験や洗礼を受ける機会に恵まれなかったのかもしれない…と思うのは考えすぎだろうか)。 前置きが長くなったが、初開催となった「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」を取材してみて思うのは、外野の声なんてスルーして、(上目線で何だか申し訳ないけれど)いまのうちに思い切りクルマがある暮らし、つまりはカーライフを思う存分楽しんでもらいたいということだった。まさに今回のイベントもその思い出作りのひとつだろう。 自分では「俺(私)のクルマサイコー」と思っていても、それを誰かに認めてもらえる機会は意外と少ない。それは趣味の世界の宿命ともいえる。つまり「自己満足の世界」だ。 この種のイベントを自己の承認欲求を満たすためだという人がいる。たしかに、それは否定しない。と同時に、オーナーにとっては、これまでのカーライフが肯定されたことを実感、そして確認できる絶好の機会なのかもしれない。 ふと横浜赤レンガ倉庫を訪れた人から「このクルマ、カッコイイねー」とか「いいセンスしてますねー」といわれるだけでも、このイベントに参加する意義があるように思う。 横浜赤レンガ倉庫という、クルマのイベントとしてはある意味特別な場所に自分の愛車を展示できた。ただの展示ではなく「お披露目の場」なのかもしれない。この体験は生涯忘れられない思い出となるはずだ。 昭和世代がこれ以上、あれこれ口を出すのは野暮というものだろう。サングラスにノースリーブの赤い軍服がトレードマークの某氏の名言?ではないが「新しい時代を作るのは老人ではない」のだ。 年齢制限がある以上、主催者のお三方も、このままこのイベントが恒例行事となったとしても、いつか卒業しなければならないときが訪れる。しかし、それはいまではない。まだ時間はある。 その時代、その時代ごとに姿を変えつつも「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」がこれからも続いていくことを切に願うばかりだ。 *イベントの参加車輌は別記事にて公開いたします。 [ライター・撮影/松村透]

第15回ノスタルジック2デイズ2024を取材してみて思うこと
イベントレポート 2024.02.26

第15回ノスタルジック2デイズ2024を取材してみて思うこと

去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催された。 この時期らしい気温だったものの、天候にも恵まれた。新型コロナウイルスの影響で中止になったのが2021年。あのときは関係者も涙を飲んだことだろう。しかし、5類に移行して日常生活が戻ってきたこともあり、そして旧車の人気の勢いがプラスされ、コロナ禍以前よりも勢いを増している感がある。 ■メディアも一般来場者もイコールコンディション(に近い) ノスタルジック2デイズのようなイベントを取材する場合、たいていは運営元に「取材申請」を行い、受理されると晴れてメディアパスが発行される仕組み。 かつての東京モーターショー、現在のジャパンモビリティショーのような巨大イベントでは、報道関係者向けの「プレスデー」があり、取材に集中できる。また、東京オートサロンでも、開催期間の初日はビジネスデイ(業界&報道関係者向け)となっていて、14時以降は特別料金を払えば入場可能。つまり、14時までにあらかたの取材を終わらせていないと、撮れ高を押さえるのがさらに困難となる。 いずれのイベントも、報道関係者用の出入口やプレスルームが用意されており、ここで原稿を書いて速報記事を公開している。ノスタルジック2デイズはというと、チケットを購入した一般の方と同じように列に並び、プレス用の受付でパスをもらって入場という流れ。午前10時を過ぎないとプレスルームにも入れない。 午前10時開場前に現地に到着し、パシフィコ横浜の外まで列が続く大渋滞に加わることに…。入場までどれくらい待たされるのか…と思いきや、スムーズな誘導であれよあれよといううちに会場内へ。このあたりの段取りも、主催者ごとに異なるので興味深いポイントのひとつだ。 ■会場で販売される旧車の多くが「応談/ASK」に ノスタルジック2デイズを取材するたびに感じる、旧車の販売価格の上昇。はじめて取材で訪れた2016年には。価格を明示する個体が多く「これなら思い切って買えるかも」と期待を抱かせるクルマも少なくなかった。 今年のノスタルジック2デイズに出展・販売されている旧車の多くが「応談またはASK」。価格が明示されている個体に関していうと目玉が飛び出そうなクルマも少なくなかった。 まるで精肉店のコロッケの価格表示に使われていそうなPOPに書かれていた「GT-R 3300万」のプライスタグ。POPのほのぼの感と、場所によっては新築の戸建てだって買えそうな金額で売られているハコスカGT-Rとのギャップに思わず撮影せずにはいられなかった。果たして売れたのだろうか…。 ■いよいよメーカー系が本気を出してきた? 自動車メーカーや関連会社、販社などが本格的に旧車の部品再販に動きはじめてまだ10年は経っていないと思われるが、年々、その気合いの入れ具合が増してきている気がする。 KINTOブースに展示してあったAE86 BEV Conceptや、NISMOブースではL型6気筒エンジンベースのDOHC化されたエンジンが展示されており、会場でも注目を集めていた。 まさかL型のDOHCエンジンがメーカー系のブースで観られる日が来るとは思わなかった(これまで独自に部品を開発してきたチューニングショップもいろいろな意味で驚いただろう)。 部品が復刻したり再販されるモデルは限られるが、これで少しでも延命できる個体も増えるのではないかと思う。 ■毎回取材するたびに実感する「ノスタルジック2デイズの客層の良さ」 ノスタルジック2デイズを取材していて毎回感じることがある。それは「客層の良さ」だ。こちらがカメラを構えていると、わざわざ歩みを止めて撮影が終わるのを待ってくれたりと、画角に入らないよう何かと気を遣ってくれる方が本当に多い。あえてイベント名は伏せるが、撮影するのが一苦労というケースも実際にある。 例えばこちらのカット。人が映らない「クリアラップ」になるまでひたすら待つことになるのだが、腰を下ろして撮影待ちの状態で待機していると、ギャラリーの皆さんがそれに気づいてくれて一瞬待ってくれるのだ。これは本当に助かりました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。 ■まとめ:日本人ならではの「モノを大切にする」という美意識が光る いつだったか「日本には自動車文化は根付かない」と主張する人がいた。 さまざまな考え方や意見があると思うので一概にはいえないが、個人的には日本独自の自動車文化が確実に根付きつつあるように思う。 その根底にあるのは「モノを大切にする」という、多くの日本人に刻まれているであろうDNAがうまく作用していると感じる機会が増えているからだ。 もちろん、商売になると踏んで参入してくる企業もあるだろう。しかし、ハッキリいってしまうと、邪な考えで首を突っ込んでくる連中は遅かれ早かれ淘汰される。ユーザー側も1度はだまされてしまうかもしれないが、2度、3度と同じ轍は踏まない(はずだ)。それに、いまならSNSや口コミなどで悪評はまたたく間に拡散されてしまう。 旧車本体や部品の価格が上昇しているという弊害があるのが辛いところだが、メーカー、ショップ、ユーザー、そしてイベント主催者が一体となって後世に残していこうという足並みは揃った感がある。あとは、古いクルマをきちんとメンテナンスできる主治医の後継者をどう育てていくかが今後の課題かもしれない。 [ライター・撮影/松村透]

2日間で4万人以上が来場!第15回ノスタルジック2デイズ2024イベントレポート
イベントレポート 2024.02.26

2日間で4万人以上が来場!第15回ノスタルジック2デイズ2024イベントレポート

去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催され、旧車王ヒストリアでもその模様を取材した。 当日はクルマではなく、公共交通機関でパシフィコ横浜に向かった。駐車場探しに手間取る可能性があるので、ノスタルジック2デイズの取材のときはいつもそうしている。最寄りのみなとみらい駅を降りた時点で、それっぽい人たちが足早に会場へと向かっていく。それだけこの日が来るのを待ちわびた人が多かったのだろう。 ■過去最高の来場者者数を記録。初の4万人を突破! 2日間とも雨に降られることもなく、開催期間中の来場者者数も過去最高の40,514人を記録。同イベントとしては初の4万人超えとなった。 ・2月17日(土):19,739人(晴れ)・2月18日(日):20,775人(晴れ)●合計:40,514人 初回(2009年)開催時には1万人前後、第9回(2017年)あたりまでは2万人前後だったが、2018年以降は順調に来場者者数が増えてきている(新型コロナウイルスの影響で2021年は中止に)。なお、入場者数に再入場、プレスは含まないということなので、筆者もカウントされていない。 出展社数164社、4輪車の出展台数が238台(2輪車なども加えると合計290台)とのことで、じっくり観ていたら1日では足りない規模といえる。 ■会場には手作りの6輪F1タイレルP34も展示されていた! 第15回ノスタルジック2デイズ2024には、旧車王ヒストリアでも取材を続けている、カスタムビルド&レストア WATAHIKIによって手作りで造られた「6輪F1タイレルP34」も展示されていた。 国内外の名車が集結するノスタルジック2デイズの会場内でも高い注目度であった。なお、この模様は別記事にてご紹介する予定だ。 ■国産車編 ノスタルジック2デイズというと、1970年代〜80年代あたりの国産車編が主役という勝手な先入観を抱いていた。しかし、確実に1990年代の「ネオクラシックカー」などと呼ばれる時代のクルマの数が増えてきていることを実感する。 ユーノスコスモやアルシオーネSVX、初代インプレッサ、「VR-4」が懐かしいギャラン、私をスキーに連れてってでおなじみのセリカ(ST165)、あぶない刑事シリーズで活躍したレパードなど、アラフィフ世代以上のお父さんたちにとっては懐かしいクルマが会場内に所狭しと並んでいるのだ。 この年代のクルマをリアルタイムで観てきた世代にとっては隔世の感すらあるのだが、こうしてどこかの誰か(あるいはショップ)が救いの手を差し伸べていかないとあっという間に絶滅してしまう時期に差し掛かっているのだろう。 なお、AUTO BASE Garage Funブースに展示されていたブルーメタリックの70スープラじゃ、実走行51万キロ(!)を突破したワンオーナーカー。手前味噌で恐縮だが、昨年、筆者が2016年から担当している「トヨタ GAZOO愛車広場」で取材した個体そのものだ。1年振りの再会となったが、フロントバンパーの「走り屋の勲章」は会場内でも目を引いていた。 そして、トヨタ・日産・マツダといったメーカー系のブースでも「ただ単に当時のクルマを並べて展示」ではなく、部品の再販やレストア、現代の技術を活かしたチューニング部品などが展示されていた。 メーカー自身が当時のクルマの価値や保存の必要性を理解し、リスクはあるにせよビジネスベースに乗せようとしていることが伝わってきた。 ■輸入車編 そして、ノスタルジック2デイズというと、国産旧車のイメージが強いイベントというのが個人的な印象だが、最近は輸入車の比率が少しずつ高くなってきていることを実感する。結果的に、輸入車が好きなユーザーがノスタルジック2デイズにも足を運ぶようになり、客層が広がる二次的効果も見込めそうだ。 そのなかでも空冷ポルシェ911の台数が多いのは、それだけ人気が高いことの証であり、目を引きやすいというものあるだろう。 ヴィンテージ湘南のブースで展示されていたのは、いわゆる「ナローポルシェ」の3台。来場者がグレーの1968年式911Sの価格を聞いていたのをたまたま耳にしたのだが、もはやおいそれと手が出せる額ではない。かつてグレードを問わなければ200万円台でナローポルシェが買えた時代にはもう戻ら(戻れ)ないのかもしれない。 そして、ワクイミュージアムのブースでは、1979年式 ロールスロイス カマルグと19889年式ロールスロイス コーニッシュ IIが展示されていた。この2台が展示されているだけで会場が一気に華やぐのだから不思議だ。「ロールスロイスなんて縁遠い」と思っている方こそ、間近で実車が観られるまたとない機会でもある。 縁遠いと決めつけず、とにかく間近で実車を眺めるだけでもいい。各部のその繊細な造り込みに感動を覚えるはずだ。これが原体験となり、ロールスロイスの魅力に取り付かれた人がいてもなんら不思議ではない。 NEXCAのキャッチコピー「オトナのセカンドカー&バイク専門店」という、キャッチーなコピーとともに1990年前後の日本でよく見掛けたメルセデス・ベンツとBMWが展示されていた。 かつてはメインカーとして使われていたこの時代の輸入車も、気づけばどれも30年選手。普段はガレージに置いて、休日の早朝などのドライブの相棒として走らせるくらいが「動体保存」としていい塩梅なのかもしれない。 そして余談だが、会場にはジアッロモデナのボディカラーが眩しいエンツォフェラーリが展示されており、注目を集めていた。 ノスタルジックカーとくくるにはまだ早い気がすると思いきや、このモデルがデビューしたのが2002年。気づけばもう22年も前のクルマなのだと改めて実感した。給油口にはこのクルマのデザインを手掛けた奥山清行氏のサインが記されていた。 ■掘り出しモノが見つかるかも!? しれないグッズ販売 時間帯によってはもっとも人口密度が高かったのでは?というほど混雑していたグッズ販売コーナー。筆者が細々とコレクションしている1/43サイズのミニカーのエリアに突入したときは、思わず仕事(取材中)であることを忘れそうになった。 実店舗をハシゴすると1日ではとてもまわり切れないし、ネットショッピングでは実物が届くまでは当たりかハズレか分からないこともある。しかし、ノスタルジック2デイズ会場の空間にこれだけのグッズや部品販売があるなら「このエリアが目的」という人がいても不思議ではないように感じる。 ■まとめ: イベントの主催は「Nostalgic Hero」、「ハチマルヒーロー」、「Nostalgic SPEED」の各誌を出版する芸文社。東京オートサロンやオートモビルカウンシルなどを取材していても感じるのだが、媒体や出版社ごとのカラーがイベントにも反映されているように思う。 そのなかでも「ノスタルジック2デイズ」は手堅い、正統派なイメージ。コンパニオンのお姉さんが少ない分、派手さは控えめ。これに比例してカメラ小僧がほとんどいない。いわゆるクルマ好きのなかでも「ヘンタイ(褒め言葉)」率が高いように思える。 取材中に周囲から聞こえてくる会話の内容がとにかく濃いのだ。あえて伏せるが「●●のブースにあった★★★はフルオリジナルって書いてあったけど、あのステアリングは後期モデルだな」とか、とにかくツッコミが鋭い。 この種のマニアというか、正統派のヘンタイ(繰り返しますが、褒め言葉)を刺激する大規模はイベントは意外少ないように思う。最近は20代の正統派ヘンタイクルマ好きも増えつつあることを、別の取材を通じて実感している。来年以降のさらなる盛り上がりにも期待したい。 [ライター・撮影/松村透]

3日間で23万人が来場!初開催から42回目となる「東京オートサロン2024」
イベントレポート 2024.01.27

3日間で23万人が来場!初開催から42回目となる「東京オートサロン2024」

去る1月12日〜1月14日まで、幕張メッセにて「東京オートサロン2024」が開催された。初開催から42回目となる今回のイベント、驚くべきことに、幕張メッセ全館を使用するほどの巨大なイベントになった。 そして現地に行かれた方は誰もが「今年のオートサロン、混んでない?」。そう感じたと思う。新型コロナウイルスが少しずつ落ち着きを取り戻し、ある程度の耐性ができつつあるという安心からか、今年は本当に人が多かった。 あふれんばかりの熱気、そして人出。東京オートサロン本来の活気がようやく戻ってきたことは確かなようだ。ベビーカーを押して家族連れで会場を練り歩く家族もあちこちで見かけたし、子育て世代のいち父親としては(お子さんが飽きたり体調を崩さないか)ちょっと心配になってしまったほどだ。 旧車王ヒストリア的に、少し(かなり?)古めのクルマを軸に気になるクルマをピックアップしてみた。 ■日本車 もはやひとくくりすることが困難なほど多彩なジャンルのクルマが出展された日本車。なかでも印象的だったのが「ヴェイルサイド」に展示されていたこちらの1台。 古くは80スープラのコンバットエアロなど、斬新かつ大胆な発想でユーザーを驚かせてきた「ヴェイルサイド」、今回は1974年式日産セドリック(K230型)を持ち込んだ。しかもエンジンはL型2.8Lをベースにした3.2L仕様。さりげなくもセンスよくカスタマイズされたこのクルマはレストモッドのお手本ともいえるアプローチだ。 また、スカイライン&日産GT-R専門店である「CRAFT SPORTS」は第2世代スカイラインGT-Rのスペシャルモデルを中心に構成されたブース。R32 GT-R NISMO、R33 LM リミテッド、R34GT-R Mスペック ニュル、そしてニスモ400Rなど、いまとなってはお宝級のモデルが一同に介する光景は今後なかなか観られないかもしれない。 いつの間にか、第2世代スカイラインGT-Rがおいそれとチューニングベースにできなくなったことを強く実感したことは確かだ。 東京オートサロンといえばRE雨宮ブースの存在は欠かせないだろう。 今回もSAからFDまでの歴代RX-7をはじめ、RX-8、ロードスター、ファミリアバンロータリー、ロータリーシャンテなど、さまざまなモデルを出展。 これだけ多く(もはや無数といってもいいかもしれない)クルマが出展されているなかで存在感を放っていた。外国人の人たちの注目が高かったことも印象的だ。 ■輸入車 日本車よりも出展台数は少なめながら、それでもメルセデス・ベンツ日本やBMWジャパン、ヒョンデモビリティジャパン、BYDオートジャパン、ケータハム、ロータスなど、インポーターとして出展。中国および韓国のメーカーがいよいよ本腰を入れて日本市場に進出してきているのを実感する。 また、ギャルソンD.A.Dブースに出展されていた2台のメルセデス・ベンツSLは、初出展から10数年は経っているはずだが、その存在感はいまも健在。たしか、スワロフスキーだけで4000万円と聞いた記憶がある。このメルセデスを間近で観て「あぁ、今年もオートサロンに来たんだ」と実感する来場者も少なくないだろう。 個人的に目を引いたのは、カムフラージュ柄のラッピングが施され、カンガルーバーが装着され、70mmほどリフトアップされた初代ボクスター。これはオフロードマシンの製作を得意とする「プロスタッフ」の手によるもの。見た目だけでなく、専用のアンダーガードやリフトアップキットが用意されるなど本格的。しかも、この個体は売り物。2001年式で走行距離138,000キロ、198万円であれば、思い切って手に入れてみようと思ってしまう価格だ。 ■オートサロン会場の華であるコンパニオン オートサロンのもうひとつの顔といえばコンパニオンの存在は欠かせない。ジャパンモビリティショーではコンパニオンの数が少ないと感じたが、オートサロンもコロナ前よりも減った印象がある。と同時に、過激な衣装を身に纏ったコンパニオンを立たせるブースが減ったかもしれない。 筆者のかつての仕事仲間にコンパニオン経験のある女性がいて、イベント時の苦労話を聞かせてもらったことがある。常に大勢の来場者からカメラを向けられているので、一瞬たりとも気が抜けないとのことだった。 なかには偶然の変顔を狙うようなマニアもいるらしく、かといって常に笑顔であることが求められるだけに、イベントが終わる頃にはぐったりするそうだ(盗撮目的とか、怪しい動きをする人は直感的に分かるらしい)。 重いカメラをかついで幕張メッセ全館を何周もするこちらも体力勝負だが、精神的な負担はそれほどでもない。常にカメラが向けられ、笑顔で対応が求められるコンパニオンの皆さんはそれ以上に大変なんだと思う。 ■まとめ 今回も大盛況のうちに幕を閉じた「TOKYO AUTO SALON 2024」。参考までに、東京オートサロン事務局がイベント閉会後にリリースした情報の一部を転記するので、ぜひ目を通してみて欲しい。 ■参加人数(※出展者、関係者を含む)・1月12日(金):51,014人(前回43,963人)・1月13日(土):95,081人(前回73,343人)・1月14日(日):83,978人(前回62,128人)●累計230,073人(前回179,434人) ■出展者数・出展者数:378社(前回実績341社)・出展車両台数:893台(前回実績789台)・ブース総数:4,329小間(前回実績3,904小間) 東京モーターショーがジャパンモビリティショーに一新したのが昨年。まだまだ模索の時期が続くだろう。いっぽうで、東京オートサロンの勢いは留まることを知らない。何より日本発・日本独自のカスタムカー文化が世界から注目され、もはや羨望の的となっていることに時代の流れを感じさせる。 自宅の本棚に1990年代前半〜中盤頃の東京オートサロン公式パンフレットがあった。どれもずっしりと重い。当時もいまも賑わいは変わらないが、国際色豊かになったことは確かだ。 イベント初日ということもあるが、海外のメディアの数が非常に多かった。オートサロンに出展されているクルマから何かを得ようと取材している姿が印象的だ。何かの真似やパクリではなく、自分たちがカッコイイと思ったものが世界から注目され、支持されていることは確かだ。 もともとアンダーグラウンドなイベントだったかもしれない東京オートサロン(とその前身の東京エキサイティングカーショー)だが、その規模と勢い、そして影響力は世界でもトップクラスになったことは間違いないなさそうだ。 [ライター・撮影/松村透]

塚本ナナミ現地レポ!SEMAショーで見たアメリカ西海岸とJDM文化
イベントレポート 2023.12.21

塚本ナナミ現地レポ!SEMAショーで見たアメリカ西海岸とJDM文化

旧車王ヒストリアの読者の皆様。 はじめまして。 三刀流プロドライバーの塚本ナナミです。 ご縁があって記事を書かせていただくことになりました。 実は先日、アメリカのラスベガスで毎年11月に開催される、世界最大の超巨大見本市「SEMAショー」に初めて参加してきましたので、塚本ナナミ視点で見た2023年のSEMAショーについて書いていきたいと思います。 ■塚本ナナミ「はじめてのSEMAショー」 SEMAショーというのは「Specialty Equipment Market Association」の略で、自動車用品・部品メーカーとユーザーを繋げるプラットフォームとして、56年の長い歴史をもっています。 私のスポンサー企業であるTONE tool様が出展されるということで、今回参加することができました。 出展社用のパスは150ドルという価格。 当日身分証明書を提示して、窓口で直接パスをもらわなければ会場内に入ることはできません。 屈強なセキュリティーたちが入り口を厳しくチェックしていました。 SEMAショーは業界関係者のみがコンベンションセンター内に入ることができるのですが、2023年の出展社数は世界中から集まった2,200社以上、その中の400社は新規の出展企業だとアナウンスがありました。 来場者数は推定16万人とのことで、間違いなく世界最大級のイベントです。 東京ドーム7個分ほどという会場スペースに、オフロードカスタム、ハイリフトカスタムトラック、ローライダー、ホットロッド&カスタム、クラシックカー、スーパーカー、ハイパーカーなど… あらゆるカテゴリーのクルマ、アフターパーツ、タイヤ、工具、電装部品などがブースを連ねています。 また、驚いたのが会場で利用できるテスラ社協賛の無料シャトルです。 会場内にステーションを設けて地下のトンネルを運行し、行きたいホールへと送迎してくれます。 初めてテスラに乗る方にとっては素晴らしい体験になると感じました。 ■アメリカ西海岸とJDM文化 旧車王ヒストリアをお読みであれば、やはり一番興味があるのはデビューから10年以上経った「日本の旧車」ですよね。 今、アメリカでは西海岸を中心に日本車が非常に人気となっています。 アメリカのクラシックカー登録制度として有名な「25年ルール」の影響もあって、昨今、日本の旧車が急騰しているのはご存知のことだと思います。 私は2023年、アメリカのドリフトシリーズに参戦し、1年の半分近くをアメリカのロサンゼルス周辺で過ごしてきました。 私が所有する180sxも、2JZに載せ替えられたJDM車輌を現地在住の個人から購入していますし、毎週末のCar MeetではJDM車輌のみが参加できるイベントも数多く開催されています。 もちろんSEMAショーの会場内でも、アメリカの若者はカスタムトラックやローライダー、スーパーカーよりも、カスタムされたJDM車輌に目を輝かせていました。 GReddy、HKSをはじめ、日本のチューンナップショップのブースには若者を中心に人だかりが絶えず、西海岸でJDM文化がこれほどまでに浸透しているのかと驚きました。 ワイルド・スピードがロサンゼルスを舞台にしているので、大きな影響があることは情報として知ってはいましたが、実際に現地でドリフトシリーズに参戦しイベントに参加することで、どれだけ根付いているのかを体感することができました。 ■世界的ブランド「Hoonigan(フーニガン)」からの招待 SEMAショーで私は世界的なメディア、アパレルも手がけるHoonigan(フーニガン)からオファーをいただき、SEMAショーの一般客も入ることができる野外エリアでドリフトイベントに参加してきました。 今年1月、私も尊敬するケン・ブロック氏が不慮の事故で亡くなり、ショックを受けた方は多いはずです。 ジムカーナの動画で見せてくれた神業ドライブ、ラスベガスやロンドンの街中を縦横無尽に駆け抜けるエキサイティングなコンテンツなどを届けてくれたドライバーでした。 そんな彼が創設したブランド「Hoonigan(フーニガン)」からご招待いただき、ドリフトのデモランをできたことは大きな意味を持ちます。 会場は開始前から満員の観客で大盛り上がりでした。 イベント開始後は周りが見えなくなるほどの白煙、そして、飛び散るタイヤカス、さらには後輪から火を噴き上げる、とても荒々しいイベントでした。 エンターテイメント、観客を楽しませることにおいてプライドを持っているアメリカの盛り上げ方は、やはり凄まじかったです。 イベントのあと、会場内を歩いていると、 「日本でトヨタ80スープラ、アメリカでは2JZエンジンの日産180SXでドリフト競技をしているなんて、羨ましすぎるよ!」 「君はピンクの80スープラに乗ってるドライバーだよね」 「240じゃなくて180ってところが最高だよ」 と、ドリフトのデモランを見てくれていた方から声をかけていただくこともできました。 ドリフトの世界では今、旧車が全盛期です。 ■まとめ 「一度として、同じSEMAショーはない!毎年常に新しいコンセプト、製品、進歩で満ちている。」とSEMAショーの関係者が口にしていましたが、その言葉には世界最大のトレードショーとしてのプライドが感じられました。 毎年、全ての出展社が各々の120%全力を出して、カスタムカー、パーツでブースを彩り、世界140以上の国と地域から集まった業界関係者と関係性を築き、交流できる場所は他にないと思います。 野外のイベントには一般のお客様も参加できます。 また、別でチケットを購入する必要はありますが、ラスベガス・フェスティバル・グラウンドで開催された、クルマ文化、ミュージックを融合した「SEMA FEST」には、イマジン・ドラゴンズ、インキュバス、ウィズ・カリファ、AJR、サード・アイ・ブラインド、ブッシュ、ウォーク・ザ・ムーン、リュダクリスなど世界のトップアーティストが出演し、非常に魅力的なイベントとして人気を博していました。 来年のSEMAショーはぜひ、ご自身で足を運んでみてはいかがでしょうか? [ライター・画像 / 塚本ナナミ]

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