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東京モーターショー改め、Japan Mobility Show 2023(以下、JMS2023)。 10月末から11月頭にかけて東京ビッグサイトで開催され、111万人の来場者を集めました。 テーマは「盛りたい未来を、探しに行こう!」。 強い意気込みを感じるイベントだったと思います。 コロナ禍を経て、4年ぶりに帰ってきた日本最大の自動車ショー。 きっとこの記事を読まれている旧車ファンの方々からも、多くの関心を向けられたことでしょう。 取材して感じたことを、1人の若者・1人の旧車ファンなりに綴ってみようと思います。 ■序章:モーターショーって、なんだか縁遠いものだと思っていた 私(ライター・林)は21歳の大学生。 世間的には“若者”として括られる年齢ではありますが、旧車が大好きです。 たくさんの先進機能が付いたイマドキのクルマよりも、よりプリミティブ(根源的・素朴)な旧車を運転した方が楽しいと、常日頃から考えてしまいます。 モーターショーの主役は、当然ながら大抵が最新のコンセプトカーたち。 奇抜で先鋭的なデザインに、何がどうなっているのか見当がつかないような最新メカニズム。 これらに圧倒されるのです。 旧車王ヒストリアの読者のなかには、きっと同じように考える方も多いはず。 そういう訳で、懐古主義の私にとって、モーターショーはいささか難解な場所。 「Japan Mobility Show」って、名前からしてすごく未来チックで付いていけ?かしら…とか思っていました。 しかしそれは杞憂、JMS2023では、多くの収穫を得られたように感じます。 ■JMS2023で気になったクルマたち ●BMW VISION NEUE KLASSE 「ヴィジョン・ノイエ・クラッセ」というこのクルマ、古典的な佇まいと未来感が融合していて、洗練された雰囲気が魅力的でした。 ベロア生地の黄色いシートも非常にキュート。 シンプルなデザインながら、張りのある面構成で存在感はバッチリです。 ヘッドライトとグリルが繋がるフロントフェイスからは、1961年に発売されたBMWのセダン、ノイエ・クラッセへのオマージュがうかがえます。 典型的な3ボックスのフォルムや横長のテールランプは、往年の3シリーズ(E21型・初代)を彷彿とさせるもの。 BMWのデザイン史からの引用が自然で、どこか懐かしさを感じる気がするのです。 ●HONDA SUSTAINA-C Concept なんといっても、古のホンダ シティを思い出す外装デザインが魅力的。 タイヤを四隅に置き、踏ん張り感をヒシヒシと感じるところがシティにそっくりです。 ソリッドな面構成に鮮やかな赤いボディカラー、そして愛嬌のある丸目ヘッドライト…見れば見るほど懐かしい、そんなイマドキのコンセプトカーに親しみやすさを感じた方は少なくないはず。 隣に並んで展示されていたのは「Pocket Concept」という二輪モビリティ。 こちらはモトコンポやスカッシュといった、昭和のホンダ製原付バイクを意識していることがはっきりとうかがえます。 どこかフューチャーレトロな雰囲気に、無条件に惹かれてしまいます。 ●MAZDA ICONIC SP JMS2023の会場内で、最も人だかりができていたクルマといっても過言ではないでしょう。 深紅の塗色が眩しいクーペ・スタイルのボディデザインはあまりにも妖艶で、会場を訪れた多くの人を虜にしていたように感じます。 もちろん私もそのひとり。 このクルマがアンヴェールされたとき、ひと目で「FD(RX-7)の再来だ」と感じました。 大きくラウンドしたリアウィンドゥに、ルーフから継ぎ目なく繋がるBピラー、そして最大の特徴ともいえるリトラクタブル・ヘッドライトなど、デザイン要素の節々からRX-7の面影を感じます。 真新しくありつつも、クラシカルな佇まいを固持した1台です。 ■私たちと未来のクルマを繋げる、旧車のエッセンス ご紹介した3台に共通している特徴は、なんといっても、デザインの随所に旧車から得たインスピレーションの痕跡が見られる点でしょう。 先鋭的なコンセプトカーには眩暈がしてしまう私にとっても非常に親しみやすい、真新しくもどこか懐かしいコンセプトカー。 モーターショーって、思ったよりも難解なものではなかったのかもしれません。 私が生まれる以前から連綿と進化を続けてきたクルマは、まさに今、大きな転換点を迎えています。 今までのクルマづくりにおいて大前提とされてきた内燃機関を“諦め”、多くの制約のなかで、環境保全のための新たなる動力源を模索しているのでしょう。 そんななかで、コンセプトカーは“きわめて先鋭的”であるべきものではなくなってきていると感じます。 コンセプトカーって、もっとヘッドライトが細くて吊り上がっていて、見たこともないようなドアの開き方をするべきものだと思っていました。 もちろん、超未来的なコンセプトカーもJMS2023の会場内では見られたのですが、より“現実的な親しみやすさ”を感じさせるコンセプトカーが増えてきたことは、旧車好きにとっては非常に喜ばしいことです。 その一方で、個人的に親しみ(≒旧車とのつながり)を感じた3台は、決して保守的なコンセプトカーというわけではありません。 VISION NEUE KLASSEとSUSTAINA-C Conceptは、ともに資源の循環利用を通じた、サステナブルな自動車の在り方を提案しています。 ICONIC SPは、カーボンニュートラル燃料で発電する2ローター・ロータリーEVシステムを搭載しているとのこと。 3台とも電気自動車であることは言わずもがな。 まさにイマドキの先鋭さを有したコンセプトカーに他なりません。 恥ずかしながら私は、二次原材料を採用することがどれだけスゴイことなのか、そしてロータリーEVシステムという機構がいかにして成り立っているのか、最新技術の殆どを理解することができていません。 イマドキのテクノロジーはあまりにも難解。 文系大学生にはとても咀嚼できるものではありません。 それでも、これらのコンセプトカーに懐かしさや親近感を覚え、少しでも知ろうと、理解しようと試みることができた理由は、彼らのデザインに“既知のクルマとの繋がり”を感じられたからだといえましょう。 JMS2023の会場で、私と未来のクルマを繋げてくれたものは、旧車のエッセンスを感じる自動車デザインだったのです。 難しくて忌避されがちな新しいテクノロジーと歩み寄るきっかけづくりとして、古の自動車デザインが再解釈されていることは、1人の旧車ファンとして、非常に喜ばしいことだと感じます。 ■終わりに:見え隠れした未来の“モビリティ像” ここまでご紹介したのは、JMS2023の“モーターショー的な”部分。 このような自動車の展示は、従来のモーターショーでも行なわれていたもの。 これだけであれば、わざわざ“モビリティショー”と改題した意義を見出すことはできないでしょう。 JMS2023で、最大の目玉であったと個人的に感じるものが、主催者プログラムとして用意された「TOKYO FUTURE TOUR」の寸劇展示。 (クルマの形をしていない)モビリティが、今よりもはるかに人間の生活と融合した形で活躍している未来の東京の姿を見て、結構な衝撃を受けました。 モビリティってこんなに人間に寄り添えるんだ、という新鮮な驚きを覚えたのです。 モビリティの可能性を目の当たりにした気がします。 人間が多角的にモビリティを活用してより良い生活を築く未来は、もっと遥か先のことがと思っていました。 しかし展示を見ていると、意外とすぐに実現してしまいそうなリアリティを感じたのです。 このような“モビリティの在り方”の提案を通じて人々へ認知が広がれば、いずれきっと諸々の法制度の適切な検討・見直しにも繋がるはず。 そうすれば、私たちの生活はより便利で豊かなものになるのでしょう。 Japan Mobility Show第1回目は、非常に多くの学びを得ることができました。 新しいテクノロジーに触れることは、やはり大きな刺激になります。 その一方で、JMSというイベントが発達途上にあると感じたのも事実です。 次世代モビリティのまったく新しい在り方を提案したい主催者と、クルマというひとつの“様式”を前提として、より良い未来のクルマを提案する自動車メーカー。 この二者間にギャップを感じざるを得ませんでした。 今を生きる私たちとクルマの関係性は、まさに過渡期にあるのでしょう。 将来的に、クルマと次世代モビリティがより高度に融合した社会で、私たちはいったいどのようにクルマと付き合っていくのでしょうか。 楽しみでもあり、少し恐れも感じつつ…。 JMS2023、確かに「モビリティショー」と銘打つに相応しい展示だったと思えます。 [ライター・画像 / 林哲也]
2023年10月22日に、東京・お台場で「スーパーアメリカンフェスティバル」が開催されました。 近年のコロナ禍の影響で開催できなかった年を挟みつつも、今回で30回目という、長い歴史を持つイベントです。 会場となるダイバーシティ東京プラザの広大な駐車スペースに、様々なジャンルの350台を越えるアメリカンなクルマたちがぎっしり展示され、かなりの見応えがありますね。 アメ車好きにはたまらない空間です。 その非日常な景色を見るだけでも訪れて良かったという気になりますが、それぞれの車輌をじっくり観ていくと、いつの間にか時間を忘れてじっくり見入ってしまい、気付くと1時間くらいはすぐに経ってしまいます。 展示方式はどのクルマも平等に整列されて並んでいますが、丹念に手をかけられたカスタム車輌はあたりまえで、なかにはかなり希少な個体もさり気なく並んでいます。 さらにはそれをベースにカスタムが施された個体もあり、唯一無二の存在感を放っていて、アメ車好きの人だかりが出来ていました。 前回は前編として「マッスルカー編」を紹介しましたが、今回は70年代以前を中心に、会場で素通りできないオーラを放っていた車輌を紹介していきたいと思います。 ⚫︎スーパーアメリカンフェスティバル2023レポート【前編:マッスルカー】https://www.qsha-oh.com/historia/article/super-american-festival-2023/ ■まずはホットロッドの元祖“デュース”から 1920年代のアメリカでは、まだスポーツカーというジャンル自体が登場していませんでした。 モータースポーツとしてレースは戦前から行なわれていましたが、公道を速く走れる象徴としてのスポーツカーはMGやトライアンフなどのヨーロッパ車を輸入するしかなく、高価で若者には手が出せる存在ではありませんでした。 そこで当時の若者達が目を付けたのが、大衆車として発売された「タイプT」や「タイプA」などの、いわゆる「アーリーフォード」という車種です。 大量生産で安く売られたハシリの車種なので、型落ちなら若者でも手に入れることができました。 この安いフォードをベースにして、フェンダーを取っ払ったり、車高を下げたり、エンジンを改造したりして速さを求める遊びの文化が広がっていきました。 それが「ホットロッド」の起源と言われています。 その中心的存在で黎明期のホットロッドの象徴とも言えるのが「デュース」の愛称で呼ばれる「フォード V8」です。 この車種は1932年に登場し、たった1年しか販売されませんでしたが、その後のアメ車カスタムの代名詞になるくらいに「ホットロッド」を根付かせる原動力として、当時の若者から圧倒的な支持を受けていました。 販売期間が短く、オリジナルはかなり希少ですが、社外製のパーツを駆使すれば1台丸々構成することも出来るため、比較的安価(とはいえ数百万は掛かります)に「ストリート・ロッド」の世界を堪能できます。 こちらの個体は4ドアセダンのロングボディをベースにしてルーフをチョップ(短縮)し、長く低いスタイルにカスタムされた1台です。 エンジンはOHVが搭載されていますが、直キャブ&直管マフラーと当時を思わせるトラッドスタイルでまとめられています。 こちらは珍しいピックアップがベースです。 オリジナルのクーペやロードスターはかなりの額なので、本国でも比較的安価に入手できるピックアップをベースにカスタムするケースも少なくないようです。 この個体はホワイトリボンタイヤでクラシカルな雰囲気を出しつつ、アルミビレットパーツを各所に使った80年代テイストでまとめられています。 こちらは少しジャンルが違って、極太のリヤタイヤと頼りないほど細いフロントタイヤが印象的な、ドラッグレースを意識したカスタムですね。 ウイリーバーとシュートまで装着しているところを見ると、10秒以下で走ってしまいそうな、かなり本格的なマシンかもしれません。 ■続いてはフォードのベストセラー・ピックアップ“パンプキン” エンジンが収まる中央が盛り上がって、グリルにかけて末広がりに降りていくラインが、まるでダースベイダーのヘルメットを思わせる独特なデザインの「フォード F110」、通称“パンプキン”。 のちの6代目で全米で最も売れたトラックとなり、現在に至るまでフォードを代表するフルサイズのピックアップトラックシリーズです。 このパンプキンは2代目のモデルで、愛称が付いていることからも分かりますが、“ボムデザイン”と呼ばれるその愛嬌のある顔つきとボディデザインが、当時から今まで根強いファンによって支持されています。 特にストリートロッド、ローダウンカスタムのジャンルでは、外せない一角として存在感を示し続けている車種です。 この個体は珍しいパネルバンがベースのカスタム車輌です。 外装は見た感じ、ほぼフルオリジナルですが、バンパーレス化、エンブレム外し、ナンバー移設、そして大径ホイールのナローフィットと上品なツートンペイントによってエレガントな雰囲気に仕上がっています。 控えめな雰囲気ながら、目が離せない存在感が印象的です。 ■シボレーの名ピックアップ“シェビー3100” フォードのFシリーズに並び、カスタムの世界で人気を得ているピックアップトラックが「シボレー 3100シリーズ」です。 1950年代のシボレーの人気セダン「ベルエア」のデザインイメージを受け継ぎ、少しマッチョに仕立てられたスタイリングが支持され、今でもホットなファンがいるモデルです。 元々V8を搭載することが前提の設計だったこともあり、よりハイパワーなエンジンに換装するなどして、ストリートロッドのスタイルでカスタムされているケースをよく見かけます。 鮮烈なパール・オレンジのカラーがひときわ目を惹くこの個体は、特徴的なボディデザインに手を入れずに要所のみにスムージング処理を行なっていて、元の個性的なデザインに対するリスペクトが感じられる1台です。 バンパーやグリル、ホイールなど、外観のアクセントになる光りモノにも抜かりなく気を使っている印象で、派手目なボディカラーなのに上品さも感じられる雰囲気にまとまっています。 今回の「GOOD TASTE」受賞車輌です。 ■戦前の旧き良き豊かな雰囲気の“シボレー フリートマスター” 戦前の1941年にモデルチェンジを受け、このおでこが張り出した個性的な外観になった「シボレー・デラックス」シリーズ。 その外観のイメージを受け継いで、戦後に販売再開されたのがこの写真の個体のモデルです。 グレードとボディタイプはセダンからコンパーチブルまで多岐に分かれていて、ザックリと下位ラインナップの「DJ」シリーズと上位の「DK」シリーズに分かれていました。 写真の個体はその中でも上位版となる「フリートマスター」グレードのようですね。 スペアタイヤが装着され、それに合わせた形状のバンパーが用意されていることに贅沢な印象を受けます。 シンプルなシルバーのボディ各所には、さり気ない色合いでピンストライプがあしらわれていて、ほど良いアピールが効いています。 また、大型のバイザーやフォグランプ、ワイヤーホイールは車両に合ったレトロ感で似合っていますね。 ■50'sのアメリカン・ポップカルチャーのアイコン的存在“ピンク・キャデラック” 1900年代の初頭に登場して以来一貫して高級路線を貫き、大統領やトップスターなどが愛用するなど「成功の象徴」としてアメリカ車のトップに君臨してきた「キャデラック」。 「キャデラック」と聞いて「ピンク」と連想する人はけっこういるのではないでしょうか。 特に65歳よりも上の人には多いと思います。 そもそものきっかけは、50年代にアメリカの国民を熱狂させた「キングオブ・ロックンロール」こと「エルビス・プレスリー」が乗っていたことです。 その件で一躍注目を浴びた車種というのが、1955年式の「キャデラック フリートウッド」でした。 当時はボディカラーのラインナップにピンクの設定は無かったため、専門業者に依頼して、特注色の「エルビス・ローズ」で塗り上げたんだそうです。 その1955年式「キャデラック フリートウッド」を発見。 まさにエルビスが乗っていたという雰囲気をそのまま再現している個体で、オーナーさんのキャデラックとエルビス、そしてロックンロールに対する思い入れがヒシヒシ伝わってきます。 ほど良く下げられた車高がまた、良い雰囲気を醸し出していますね。 こちらはおそらく1958年式の「キャデラック デビル」ですね。 キャデラックには1956年と1957年にのみピンクのカラーがラインナップされていたようです。 これは想像ですが、エルビスのピンク・ショックで一気に人気と要望が高まったため、その期間だけピンクが追加されたのではないかと思います。 この写真の個体はボディカラーの選択もさることながら、各部を細かく見てもかなりコンディションが良くて、この日の晴れ渡った空によく映えていました。 ■ここからは筆者が気になったクルマたちを紹介していきます! こちらは「リンカーン コンチネンタル」。 おそらく年式は1962年か1963年でしょう。 航空宇宙のイメージが流行して大きなテールフィンを競い合っていた時代から一転、その名残をとどめながらも、側面を前後に貫くウイング状のプレーンな造形がクリーンな印象を与えるシンプルさが新鮮です。 この個体は全体の雰囲気を崩さないように配慮しながら、リヤガーニッシュの磨き上げや小ぶりなドアミラーの装着などさり気ない処理を行なっている一方で、超大径(22インチ?)のホイールを履かせている大胆さも見どころです。 タイヤハウスを大きく加工しないとこのサイズは収まりませんので、けっこう手が入っていると思います。 会場を見て回っているときに素通りを許してくれなかった1台。 その特徴的すぎるノーズ部分の造形を見て、ほとんど無意識にカメラを向けていました。 あとで車種を調べたところ「スチュードベイカー チャンピオン」という車種だと判明しました。 デザインを手掛けたのは「レイモンド・ローウィ」だそうです。 日本ではタバコのピースのデザインが有名ですね。 見た印象のまま、ジェット戦闘機の吸入口を大胆にノーズに採り入れ流線型にまとめたデザインは、当時のアメリカでもかなり話題になり、「スチュードベイカー」の名を広める役割りとなったそうです。 いま日本でこれを維持するのはかなり大変だと思いますが、良いものを見せてもらって感謝です。 こちらも日本ではほとんど見掛けない車種ではないでしょうか。 シボレー初のコンパクトカー「コルベア」です。 写真でお分かりかと思いますが、フロントに空気取り込み口のグリルが無く、リヤのフードを開けるとそこにエンジンが収まっているんです。 写真ではかなりコンパクトなエンジンに見えますが、実はこれ、2.7リットル水平対向6気筒の空冷OHVエンジンなんです。 そう、あのポルシェ911のエンジンとほぼ同じ構成のエンジンを、1960年代のアメ車が搭載していたんです。 驚きですね! しかもこの車種は、いち早くモノコックボディ化を図ったり、途中でターボやクーラーを導入するなど、GMとしてもかなり意欲的なモデルだったようです。 販売も好調で、けっこうな台数が出荷されたようですが、評論家による風評被害や、同社内同カテゴリーであるカマロの発売などが重なり、わずか9年で廃盤モデルとなってしまいました。 希少な車種ですが、適度にヤレている状態を見ると、しっかり乗られている感があっていいですね。 こちらの個体は、VWビートルのシャーシを使ってバギータイプのボディに換装した「メイヤーズ マンクス」です。 ビートルはフロア部分がフレームを兼ねる構造でボディと分離できるので、こういうボディキットと足まわりのキットを組み込むことで、ダートや砂地を走らせられるバギーに変身できます。 この「メイヤーズ マンクス」は、手軽に作り上げられるイージーさと、アメリカやメキシコの砂漠地帯でおこなわれるオフロードレースで活躍したことでヒットしました。 VWの水平対向4気筒エンジンはいろんなレースにも使われていてチューニングパーツも豊富なので、好みの仕様のエンジンと組み合わせを楽しむことも自在です。 こちらの個体はコンパクトにまとめられたヘッダーパイプが外観のアクセントになっており、明るいイエローのボディラインに入れられたピンストライプの雰囲気と相まって、本場のCALルックに仕上がっています。 最後に紹介するのは「シボレー インパラ」です。 シボレーの最上級モデルである「ベルエア」の追加グレードとして派生した「インパラ」は、当初2ドアがメインのスペシャリティカーとして好評を得ました。 この写真の個体は4代目にあたる1965年に発売のモデルです。 しかもワゴンボディというところに惹かれて写真を撮らせていただきました。 特徴的な6連のテールランプや上品なツートンに塗られたボディカラー、細いホワイトリボンのタイヤとビレットホイール、そして細いパイプの2本出しマフラーなど、けっして押しこそ強くないものの、好感度が高い一台です。 ■あとがき さて、2回にわたって「スーパーアメリカンフェスティバル」の参加車輌を紹介してみましたがいかがだったでしょうか。 これでもまだまだ紹介しきれない個体がいっぱいあって心残りではありますが、その他のクルマはまた、来年の開催の時に再会できることを期待して取っておくことにしましょう。 私自身は数年ぶりに訪れることになった「スーパーアメリカンフェスティバル」。 カーショーの受賞車輌はもちろんのことですが、展示されている参加車輌一台一台のクオリティが高く、全体としてかなり見応えがあるなと感じました。 今回でキリの良い30回を迎えたこのイベントですが、日本のアメ車好きとアメリカの文化が好きな人のお祭りの場として、40回、50回とこれからも続けて欲しいものですね。 筆者も次回開催を心待ちにしています。 [ライター・カメラ / 往 機人]
近年は操縦性やトラクションの優位性から、スポーツカーや高級車を中心に後輪駆動方式が再注目されている印象があります。 しかし、1960年代から小型車向きの駆動方式として注目され、1980年代から1990年代にかけてトラックや保守的なモデルを除くほとんどの車種に普及したのが、FFと呼ばれる前輪駆動方式です。 大きく重いプロペラシャフトが不要なことで、スペース効率が高く軽量化に適した構造。 そして、高速回転をするシャフトがなくなることでl振動の原因を取り除くことができるというメリットから、現在ではスペース効率を要求しない大型車にまで採用されています。 国産車では1960年代末頃から軽自動車を中心に採用を始めるモデルが出始めますが、その国産前輪駆動車黎明期のモデルのひとつが、2023年10月28日に開催されたチェリーX-1・R誕生50周年名古屋ミーティングの「日産チェリー」です。 ■チェリーってどんなクルマ? チェリーというクルマを覚えている人は、40代以上ではないでしょうか。 1200~1400ccクラスとなったサニーより、さらに小型の1000ccクラスモデルとして販売されたチェリー。 企画自体は吸収合併前から旧プリンス自工が開発を進め、合併後もプリンス陣営のエンジニアにより開発が続行され、1970年10月に発売となりました。 エンジンはサニーと同じA型OHV4気筒エンジンを横置きに搭載、トランスミッションはBMCミニと同様、クランクシャフト下に配置する「イシゴニス方式」を採用。 上級グレードに1200cc仕様の「X-1」が設定され、ボディタイプはセミファストバックの2ドア・4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、後に3ドアバンが追加されました。 今からちょうど50年前となる1973年3月には、オーバーフェンダー付きの「X-1・R」が登場。 1974年9月には、1200ccと1400ccの上級モデルに移行する形で「チェリーF-II」にフルモデルチェンジしますが、初代もしばらく併売が続きました。 1978年に「パルサー」と入れ替わる形でチェリーは消滅し、8年のモデルライフを終えますが、いかにも1970年代の濃厚な個性が、いつまでも記憶に残るようなモデルだったようにも感じます。 ■カスタマイズ手法の名前にもなった「チェリー」 1970年代後半~1980年代初頭の改造車で、「チェリーテール」と呼ばれる技法がありました。 1970年代中頃の国産車というと、アクの強い立体的造形のエクステリアデザインが花開いた時代です。 特に、チェリークーペの丸テールに長方形のウィンカーレンズを組み込んだテールライトユニットの他車流用は、当時のシャコタン車の定番カスタムでした。 「チェリーテール」は、現在もトラックのカスタムパーツ等で根強い人気があり、このデザインをモチーフにしたアフターパーツのテールライトユニットは、トラック用品として現在も流通しています。 ■いざ、チェリーを間近で見ると・・・ ▲純正ホイールキャップも含めフルオリジナルを保った初期型チェリーX-1の4ドアセダン 筆者が未就学児の頃は街中でいつも見かけたクルマでしたが、1980年代も半ばになるといつの間にか見かけなくなり、1990年代に入ると早くも「旧車」「絶版車」と呼ばれていました。 幼児の目線で見ていたから余計にそう感じたのかもしれませんが、当時は「随分腰高でずんぐりしたクルマ」という印象でした。 しかし、ハイトボディのコンパクトカーを見慣れた今となっては「こんなにルーフが低かったんだ」と感じたのには、ちょっと新鮮な驚きでした。 左フロントフェンダーから覗くラジエターファン、これは初期の1年のみ製造されたベルト駆動ファン仕様の特徴で、以降は電動ファンになります。 まだまだ横置きエンジンがメーカーも手探りだった時代を偲ばせます。 年季の入った樹脂パーツに山梨55ナンバーのX-1クーペは、なんとワンオーナー車だそうです。 オーナーとの歴史が刻まれたフェンダーミラー、フルレストアも良いですが、こういう風合いをあえて残すというのも旧車の醍醐味かもしれません。 ■オーバーフェンダーが人気のX-1・R 当時の日産のハイスペックモデルの象徴ともいうべき純正オーバーフェンダー、「R」を名乗るに恥じない装備です。 当時の日本ではクルマの改造が厳しく制限されていたため、純正状態でレーシーな後付けオーバーフェンダーを持つクルマは、中古車でもプレミア価格で取引されたといわれています。 搭載されるA12型エンジンはツーリングカーレースで長年活躍し、レース仕様はOHVながらレブリミットが10000rpmを越えた名機であり、FFのじゃじゃ馬を抑え込んで走るというのも当時の腕自慢の走り屋にはステイタスだったのではないでしょうか。 ちなみにX-1・Rの純正塗装色は白のみだったそうです。 ▲オーナーが思い思いのモディファイを施した後期型X-1・R。 1974年になると、フロントグリルはより立体的な造形になり、前後バンパーも大型化されます。 後期型になると、テールライトのリムに凸凹のモールドが入ります。 また、クーペの嵌め殺しだったリアクォーターウィンドウは、ポップアップ式の開閉型になります。 現在流通している新品のウェーバーキャブレターはスペイン製ですが、このウェーバーはイタリア本国製の当時物、綺麗な状態を保ったスロットルボディには驚きました。 オーナーが熱心なメンテナンスに抜かりのないことが伺えます。 ■取材後記〜今改めて実感するチェリーの強烈な個性〜 実はこの日のトヨタ博物館でのミーティングは、全国から集まるチェリーオーナーの集合場所のような形で午前10時にスタートし、14時ごろに遠方からのオーナーが集まったところで、次の目的地の犬山市までのツーリングといったプラン。 犬山ではお楽しみの宴会が催されたのだとか。 人気者揃いの日産の旧車のなかでは、陰に隠れた存在であることは否めない日産チェリー。 しかし、日産の前輪駆動車の先駆けであり、かつては「日産チェリー店」という販売チャネルもあり(現在も一部の日産レッドステージ店の中には登記簿上「チェリー店」のまま存続している法人もあるそうです)、なかなか存在感のあるモデルでした。 かくいう筆者も、身近にこのクルマのオーナーがいたわけでもなく、特に思い入れがあるわけでもないのに、いざ現車を見ると幼少期の記憶が蘇る、不思議な存在です。 これからも、あの一度見たら忘れられない強烈な個性を、見る人の記憶に残しながら走り続けることでしょう。 [ライター・画像 / 鈴木 修一郎]
今年も開催された“歴代ブルーバードミーディング” 。 昨年に引き続き、参加させていただいた模様をレポートしたいと思う。 今年は、とんでもないサプライズが起きたので、乞うご期待! ■今年も開催!全国から集まるブルーバードたち 昨年に引き続き、今年も富士山の麓にて歴代ブルーバードミーティングが開催された。 今年は主催者からリクエストがあり、筆者の愛車U14型ブルーバードと、親族が所有する同型のブルーバードでのダブルエントリーとさせていただいた。 高校時代からの付き合いとなるクルマ好きの友人に、2台目の運転をお願いした。 クルマのイベントに参加となると、クルマ繋がりの友人も愛車で参加するため、なかなか代わりに運転してもらうことは叶わないものである。 会場に着くとすでに多くの参加車輌が並んでおり、初参加の車輌もいた。 なかには、去年はU12型(以下U12)ブルーバードに同乗参加後、触発されて新たなU12オーナーとなっていた方も。 ミーティングに間に合うよう車検取得の手配に動かれたそうだが、不具合が発生したそうだ。 交換部品の納期がかかり、危うく間に合わないかと肝を冷やしたとのことだった。 1989年式とのことだが、まだ純正部品が新品で手に入るということには驚いた。 こんな情報が得られるのも、ミーティングの楽しみの1つである(笑)。 遠くは九州から参加されているオーナーも! 友人と運転を交代しながら参加されたとのことだった。 渡り鳥のごとく、さまざまな地域から集まったブルーバードたち。 “歴代”というだけでなく、“全国”ミーティングも兼ねたイベントへと発展されていると感じた。 ■参加車の世代もスケールアップ! 前回は直前の台風の影響もあり、各地で通行止めが発生していた。 そのため、参加することが叶わなかった方も多くいたと聞く。 今回は天候に恵まれたため、前回よりも多くの台数と世代の参加となった。 今回が初参加となった世代は、910型(以下910)とU11型(以下U11)の2世代。 前回より二世代歴史をさかのぼったことになる。 両車の紹介を簡単にさせていただきたいと思う。 910は、ジュリーこと沢田研二が広告に起用されていた。 「ブルーバードお前の時代だ」のキャッチコピーが有名なあのCMだ。 実際に910はヒットモデルとなり、一時代を築いたのだった。 今回の参加車輌は、イメージカラーの赤に、セダンのボディがスクエアなデザインをより強調していた。 U11型は910の次世代として、ブルーバード初のFF車(前輪駆動)でデビューした。 参加車輌は、U11のなかでも高級路線のモデルとなる“マキシマ”である。 エンジンはV型6気筒を搭載しており、FFとの組み合わせは日本初であった。 標準のU11よりも全長が長いため、ハードトップの伸びやかなデザインをさらに際立たせていた。 新しい世代の参加車輌も負けておらず、今回一気に台数が増加した。 ブルーバードは、ブルーバードシルフィへと名称変更された。 よって、もちろんシルフィも対象車輌である。 その多くはカスタムをされており、若いオーナーの方が多かったことが印象的だった。 海外でも販売されているモデルでもあり、年式も新しいため、海外仕向の部品を流用するなどカスタムを楽しまれていた。 ■急遽開催されたじゃんけん大会! ミーティングの中盤、一部の参加者たちから運営メンバーにある質問が投げかけられていた。 「じゃんけん大会の景品はどちらに持っていけば良いですか?」 前回のミーティングでは、じゃんけん大会が行なわれたのだ。 その際に、参加者からも景品が提供されていた。 今回、じゃんけん大会について事前アナウンスはされていなかったはず。 運営としても行なわない予定だったが、なんと前回参加した方々から景品の提供があったのだ! そのため急遽、じゃんけん大会が行われる運びとなった(笑)。 意外なことに多くの参加者が何かしらの景品を持参しており、急遽行なわれたとは思えないほどの、マニアなら喜ぶような豪華景品が出揃った。 各自が景品を受付に持っていくなか、大きな景品がやってきたのだった…。 ■まさかの景品は…参加車輌のブルーバード!? 受付横に一台のブルーバードが止められた。 筆者の愛車と同色のU14型ブルーバードだ。 なんと、参加者の方が乗ってきた参加車輌が景品としてエントリーされたのだ! 冗談ではなく、オーナーは最初から景品として提供する予定とのことだった。 お話を伺うと、新車時からともに歩んできたが、次回の車検のタイミングで手放すことに決めたとのこと。 そこで、ブルーバードが好きな人たちが集まるこのミーティングで、是非欲しい方の手に渡ってもらいたいという思いもあり、提供したとのことだった。 ブルーバード争奪のじゃんけん大会に、数名の参加者が手を挙げた。 実は、筆者も周りの声に押され参加したのだった。 結果は、残念ながら(?)2位となってしまった。 1位になっていた場合、駐車場の準備等、大変なことになっていただろう。 負けてしまったことで、冷静に考えられるようになり、少し安堵した(笑)。 じゃんけん大会中は 「もし手にできたら現愛車のレプリカを作ろう」 「入れ替わっていても、家族はいつまで気づかないだろうか」 なんて妄想をしていたことを素直に白状しよう(笑)。 ■まとめ 今回のミーティングは、過去最高の参加台数のことだった。 回数が増すにつれ、参加台数も増えてきた。 開催地、時期も固定化されてきたところ。 是非今後も、ブルーバードが集まれる恒例イベントとして定着していただきたい! …と、ブルーバードオーナーの1人として、強く願うのであった。 主催メンバーの方々には感謝せずにはいられない。 ありがとうございました! [ライター・画像 / お杉]
去る2023年10月22日、東京・お台場で「スーパーアメリカンフェスティバル」が開催されました。 近年のコロナ禍の影響で開催できなかった年を挟みつつも、今回で30回目という長い歴史を持つイベントです。 会場は、ダイバーシティ東京プラザにそびえ立つ「等身大ユニコーン・ガンダム」が見下ろす位置にある「お台場ウルトラパーク」。 その広大な駐車場には、日本各地から結集してきた華やかなカスタムが施されたアメ車やハーレーなどのビッグバイクが並べられていて、入り口から眺めただけでもワクワクが止まりません。 さらに会場の一角に設営された大型トラックを使ったステージでは、「COOLS」のメンバーをはじめとするロックンロール界の名アーティストたちが歌と演奏を披露。 会場の雰囲気をオールドスクールなアメリカの空気で満たしていて、まるでアメリカンワールドに迷い込んだ気分にさせてくれます。 そして会場を回っていると、どこからともなく香ってくる美味しそうな匂いに惹かれて足を向けると、ずらっと並んだ出店の数々が現れます。 ハンバーガーやホットドッグ、カクテルやビールなど、提供されるメニューやその店舗もアメリカンな雰囲気です。 これでもかというくらいにアメリカンな雰囲気に浸ったら、まるで屋台村のようにたくさん並んだ、アパレルやグッズなどの出店まわりも楽しみのひとつですね。 旧き良きアメリカの雰囲気が詰まったアパレルグッズをはじめ、ビンテージなオモチャやクルマやバイクのグッズ、そしてカスタムパーツなどもあって、ここを回るだけで気付けば半日くらい経っていそうな充実度です。 さてここからは展示車輌の紹介をしていこうと思います。 1回では紹介しきれないので【前編】として“マッスルカー”をテーマに見ていきましょう! ■まずは“シボレー コルベット”から 初代「C1」です。 オープンボディだけのラインナップだった初代C1コルベットは、量産車初のFRP製ボディをまとって華麗にデビュー。 この写真の車輌はかなり希少な初期モデルをベースとしていますが、外装はボンネットとフェンダーが一体となるクラムシェルタイプのフロントカウル、オリジナルのハードトップ、さらにはおそらくオリジナル設計の前後足まわり、極めつけはカウルやドアなどが電動開閉する機構が盛り込まれていて、一見ノーマル風に抑えられた外観に対して、中身は原型を探すのが難しいくらいにカスタムされまくった個体でした。 今回のカーショウ受賞車輌です。 2代目の「C2」コルベットは、リトラクタブルライトを採用した前衛的で独特のスタイルから、「スティングレイ(赤エイ)」のペットネームが与えられた最初のモデル。 また、排気量6リットル420馬力オーバーののビッグブロックエンジンが搭載され、“マッスルカー”と呼ばれるに相応しいパワーを備えたハシリのモデルでもあります。 この車輌は真っ赤なボディにホワイトリボンのタイヤがマッチしていて、上品さも感じられます。 日本で「スティングレイ」というと、こちらの3代目「C3」コルベットを思い起こす人も多いでしょう。 先代より大胆な造形になり、ボディサイズも拡大されて、まさに“マッスル”という雰囲気になりました。 写真の個体はメッキのバンパーが付いた前期モデルで、通称「アイアンバンパー」と呼ばれています。 サイドマフラーが純正のように似合いますね。 こちらはバンパーがボディと一体化された「C3」中後期のモデルです。 ノーズ先端が張り出し、さらに迫力が増しました。 固定ライト化で顔つきの雰囲気が変わっているのに加え、チンスポイラーでアゴがせり出し、ワイドボディ化されていて、マッスル度MAXのC3。 4代目の「C4」ですね。 設計が大幅に見直され、スポーツ性能が高められたモデルです。 この車輌は初めて6速M/Tミッションが搭載され、375馬力までチューニングされたエンジンを搭載した最強グレードのZR-1。 当時憧れていたのを思い出します。 高性能なRAYS製ホイールもマッチしてます。 「C4」からデザインの意匠を引き継いで、なめらかなエアロフォルムになった「C5」です。 写真では同じように見えますが、C4と並べると車幅の広さを強く感じますね。 6代目の「C6」です。 この代からリトラクタブルヘッドライトをやめて固定ライトになりました。 写真の車輌はオプションパッケージのグランドスポーツのようです。 ちなみにこのC6の代の「ZR-1」は、625馬力を発生するスーパーチャージャー付きの6.2リットルエンジンを搭載したモンスターマシンです。 まだまだ現役の雰囲気を感じる「C7」ですが、もう発売されて10年が経つんですね。 この車輌はデザインワークスでカーラッピングされた車両のようです。 モデルの女性も雰囲気に合っていますね。 ■続いては“シボレー カマロ” 初代カマロ、カッコイイです。 カマロはコルベットよりも10年遅れて発売されましたので、同世代のコルベットは3代目の「C3」になります。 ライバルメーカーであるフォードから発売され、空前のヒットを記録していた「マスタング」の対抗馬として、GMがクーペボディのハイパフォーマンスカーを作り上げたのがこのカマロです。 初代は3年しか発売されておらず数が少ないなかで、この写真のZ28グレードはレース向けの5リットルエンジンを搭載したスペシャルモデル。 ゆえにかなり希少だと思います。 メタリックブルーに白のレーシングストライプが象徴的です。 2代目は10年間発売されていたのでモデルライフが長く、途中で2回マイナーチェンジをおこなっています。 この写真の個体は前期モデルで、伸びやかなロングノーズのクーペらしいスタイルに、大きく口を開けた丸目2灯の顔つきが迫力を加えています。 この顔つきから「サメカマ」のニックネームで呼ばれているモデルです。 今どきの大径ホイールもよく似合ってますね。 こちらは中期モデル。 メッキ仕上げで前に大きく張り出した“5マイルバンパー”を装着する必要から、顔つきがだいぶ変わりました。 上の初代の個体と同じカラーリングで、しっかりカマロの遺伝子を感じます。 こちらはバンパーがボディ一体風の樹脂製になった後期モデル。 しかも上級グレードの“ベルリネッタ”のようです。 キレイに保って乗っているようで、愛情を感じますね。 3代目はボディサイズがひとまわり小さくなって、デザインが直線基調のカチッとしたものになりました。 かなり引き締まった印象になりつつも、テイストはしっかりカマロっぽさを表現していてカッコイイです。 こちらはアゴがせり出す前の前期モデルですね。 今見るとスッキリしていてシャープな印象です。 こちらはマイナーチェンジ後の後期モデル。 フロントとサイドの下部にエアダム形状のエアロが追加され、レーシーな雰囲気になりました。 これは5.7リットルエンジン搭載の最強グレードのZ28のようです。 デザインが先代から一変してなめらかな曲面構成になり、いかにも空力が良さそうなカタチになった4代目です。 こちらも5.7リットルエンジン搭載のZ28グレードのようですね。 ちなみにこの4代目の販売終了の後、7年ほどカマロがラインナップから消えた時期があるのです。 空白期間から復活して、初代を思わせるグリルをまとった5代目カマロ。 この車輌はドア部にインディ500のオフィシャルビークルのステッカーが貼られていますが、実際にサーキットで使われていた車輌でしょうか。 カマロ編の最後は現行の6代目。 SSグレードをベースにアンダースポイラーが装着され、ボディラッピングが施されています。 派手目なドレスアップがきっちり映えるデザインですね。 ■そして“ポンティアック ファイヤーバード” 初代ファイヤーバードは、カマロと共通のコンポーネントを使って「ポンティアック」ブランドで販売された兄弟車にあたるモデル。 カマロとの2枚看板で、強敵の「マスタング」を打倒すべく投入されました。 特徴は、グリルの外枠がバンパーを兼ねるような独特な顔つきです。 この車輌はかなりキレイな状態に仕上げられていますが、エアスクープ付きのボンネットやチンスポイラーの追加などで、さりげなくレーシーな雰囲気が高められていますね。 2代目は、カマロと兄弟車ということを色濃く感じさせるデザインに。 この車輌は初期モデルのようです。 この代からファイヤーバードの象徴ともいえる、“不死鳥グラフィック”がボンネットに飾られるようになりました。 そしてファイヤーバードといえば「トランザム」ですね。 これは「Trans America」の略で、 SCCAというレース団体の市販車改造レースのシリーズ名から取ったグレード名。 カマロの「Z28」と同じく、最強エンジンを搭載したトップグレードです。 ツヤ消し黒で塗りつぶされた、どこか異様な雰囲気をかもし出しているファイヤーバードを発見。 よく見るとリヤのガーニッシュにバットマンのマークがあります。 これ、どうやらバットマンに扮して活動している、その筋では有名な「バッタモン」さんのクルマのようです。 巨大なボンネットバルジや拡張されたリヤフェンダーなど、当時の流儀を踏まえたカスタムは、単なる見せかけだけではなさそうです。 「ポンティアック ファイヤーバード」というと、このカタチを思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか。 2代目ファイヤーバードは10年の間に3回のマイナーチェンジをおこなっています。 この車輌は2代目の中期にあたるモデル。 鷹の目つきのようなライト周りと、トランザム専用のボンネット中央のカバーを囲むように羽を広げた不死鳥のグラフィックは、それを見た者に忘れられないイメージを植え付けますね。 3回目のマイナーチェンジで、さらに顔つきが変わります。 角形4灯の独立したヘッドライトが印象的。 ボンネットの不死鳥が面いっぱいまで大きくなっています。 リトラクタブルヘッドライトになって尖ったフロント周りは、兄弟車のカマロよりもコルベット(C4)に近い印象になった3代目。 この代はなんと言ってもあの「映画・ナイトライダー」の「ナイト2000(KITT)」のイメージが大きいでしょう。 実際に見比べると結構違うカタチにモディファイされているのですが、元のファイヤーバード(黒)を見掛けると「あ、ナイト2000だ」と思ってしまうくらい強く印象づけられてしまっています。 この写真の車輌は、トランザムの特別仕様である「トランザムGTA」。 外観はほぼ純正状態を保ってますね。 ちなみに、写真はありませんがファイヤーバードは(ブランドのポンティアックと共に)この後の4代目で時代の幕を閉じてしまうのです。 ■忘れてはいけない“フォード マスタング” それまでありそうでなかった、“スポーティな雰囲気を持ったちょっと贅沢なクルマ”というジャンルを開拓し、空前の大ヒットとなった「フォード マスタング」。 その精悍なスタイリングと、高性能でパワフルなエンジンを搭載しながらも低価格で購入できるということで、例えるなら身近に会えるスターのような存在として映画や広告に出まくっていたこともあり、日本でも“アメリカのカッコイイクルマ”として人気が高かったのを覚えています。 マッスルカーのイメージもありますが、実際に見ると意外とコンパクトで、日本で走っていてもあんまり違和感はないかもしれません。 写真の車輌は新車以上といってもいいくらいにキレイな状態に仕上げられていて、その上品さを感じる佇まいが、周りと空気が違う印象でした。 こちら、世代で分類するのにちょっとややこしいモデル。 ボディサイズが拡大され、デザインが変更されたのに伴いボディパネルもごっそり変更されていて、もうフルモデルチェンジといっていい内容に思えますが、2代目ではなく初代の後期とする説が有力の模様。 後付けのチンスポイラーは結構大きいサイズですが、車体が大きいせいかそれほど大げさに見えません。 2代目は見付けられませんでしたが、ある意味それより希少かもしれない3代目のマスタングを発見しました。 この代はサイズとデザインからコンパクトスポーツという印象もありましたが、写真の車輌は大径ホイールを履かせてマッチョな雰囲気に仕上がってますね。 こちらは4代目を飛ばして5代目モデル。 まったくテイストが違うクルマなのに、丸目2灯の顔つきや片側3連タイプのテールランプなど、初代モデルを意識したデザインが目を引きます。 ■その他会場で印象的だったマッスルカー プリムス(クライスラー)の3代目バラクーダ、そのハイパフォーマンスモデル「HEMI・クーダ」。 ドアに掛かるグラフィックに「383」と見えるように、6.3リットルのHEMI383エンジンを搭載した、正真正銘のマッスルカーです。 ホイールもボディ同色とした、独特の色使いがカッコイイですね。 こちらは、上のバラクーダの兄弟車「ダッジ チャージャー」。 「映画・ワイルドスピード」ではマッスルカー代表としてその力強さをアピールしていますが、この「チャージャー」が発売された当時、その強大なパワーから「これぞマッスルカー!」と称賛されました。 写真の「R/T」グレードはそのなかでも最大排気量の、7.2リットル440マグナムエンジンを搭載するモデルです。 こちらは「コブラ」を世に出したメーカー「シェルビー・アメリカン」がGTカーレースで打倒フェラーリを実現すべく開発した“ホモロゲーションモデル”である「シェルビー デイトナ」。 レース出場権を取るためだけの生産台数しか作られていないので、世界的に見て超希少な個体だと思います。 実物を見られただけでもラッキーかもしれません。 ■あとがき 今回は「スーパーアメリカンフェスティバル」の展示車輌のなかから、代表的なマッスルカーにフォーカスを当てて紹介してみました。 こうして憧れのマッスルカーたちの歴代モデルが一堂に会しているのも、このイベントならではの魅力だと思います。 それぞれの個体1台1台に、ここで書き切れないくらいの魅力が詰まっていますので、会場に訪れたら「1日では回りきれないな…」と思う人も少なくないのではないでしょうか。 次回は他の展示車輌にフォーカスを当てて紹介してみたいと思います。 お楽しみに! [ライター・画像 / 往 機人]
10月に入ってもパリは晴天続きで、ブロカントと呼ばれる蚤の市も各エリアで催されていました。 そんななかで見つけた一枚の張り紙。 『愛車を展示しながらピクニック』の文字が。 なんとも心惹かれるフレーズ! 早速行ってきました。 ついた頃は思っていたよりクルマが少なく少しガッカリしてしまいましたが、どうやらお昼ご飯に出掛けている方々が多かったようです。 この日は本当に日差しが強く、公園内でピクニックどころではなさそうでした。 それでもパラソルを持参してサンドイッチやワインで愉しんでいたり、自動車にカゴバックを付けてピクニック仕様で来場するなど、それぞれでテーマを解釈して楽しんでいるようでした。 ■ベスパのクルマ!? クルマが少ないとはいえ、来ているクルマは珍しいものばかり。 オーナーさん達が木陰でお昼ご飯を取っている最中、私はゆっくりと公園内のクルマを吟味することができました。 そんななかで目に付いた一台。 『ベスパ400』なんて可愛らしいのでしょう。 ベスパといえば、もちろんイタリアのピアッジオ社のスクーター。 見たことがない人はいないのではないでしょうか。 しかし、私は公園内でも一際小さなこのベスパの“クルマ”を初めて見ました。 タイミング的にオーナーさんはいらっしゃらず、お話は聞くことができなかったのですが、窓際に当時の広告を用意してくれていたのでジロジロと覗き込む姿勢で読んでみました。 ▲抄訳:「パリや近郊の街は渋滞もどんどん多く、駐車場も満車。そんな状況を回避するのはベスパ400だけ!フランス国産車よりも安い321フラン!」 すると、そんな私をみて80歳代のご夫婦が話しかけて来てくれました。 「あなた見たことないでしょ、こんな小さなクルマ〜」と。 こちらのご夫婦は3年前まで同じクルマを所有していたそうで、大変懐かしい様子で思い出話をしてくれました。 60年代当初は奥様が通勤の為に毎日使っていて、定年後はご主人が主に運転をしていたのだそう。 「トラックの間で運転をしていると、小さすぎて気づかれないから何度も驚かれたよ〜」とお二人で大笑い! 偶然ここで見掛けられたことを大変喜んでいて、私も暖かい気持ちになれました。 ■ブリテッシュグリーンに輝くジャガー XK140 さて、続いてはこちらのクルマ、1956年製の『ジャガー XK140』。 広場の真ん中にカッコ良く陣取っていました。 深緑色に輝く車体の横には、足元まで昔の操縦士スタイルできめている70歳代のムッシュが。 14台ものクラシックカーを所有しているジャックさんです。 「見てごらん、このフォルムを。波打った車体は140までのもので、150になると真っ直ぐなモデル変更するんだ。(近くにある『ジャガー XK120』を指さして)そこにある120も同じように流れるようなフォルムだろ。内装も140までが木装でそれ以降は木は使われないんだよ」 と、このクルマに惹かれたポイントをなんとも雰囲気のある酒焼け声で説明をしてくれました。 外装は元々黒色で、当初オランダの政治家が所有し、その後フランスに渡り前所有者であるフランス人が30年以上保管していたようです。 その際に車体の色がブリテッシュグリーンと呼ばれるこの深緑色に変わったと。 その後、ジャックさんは6年前からこのクルマの3代目オーナーとなりました。 ジャックさんは私に試乗を薦めてくれ、ドキドキしながら乗り込むとコンパクトなシートですがすっぽりと収まることができ、操縦席から見える内装も本当にかっこいいです。 「初めてジャガーのクラシックカーに乗りました」と伝えると、ジャックさんが大笑い! クルマの知識も多く、お話も大好きなジャックさんの周りにはたくさんのオーナーさんが集まっていて、日曜の午後のクルマ談義に花が咲いておりました。 ■到着早々注目の的!フォードのマスタング312 そろそろ帰ろうと準備をしていると、一台のクルマがやって来ました。 白のボディに2本のライン。園内にいた全員が釘付けになり、一気に人が集まって来ました。 1974年『フォード マスタング312』です。 友人と来ていたオーナーのスティーブンさんにも、少しお話を聞くことができました。 6年前から所有しているこのマスタングは、前回のオーナーさんによりエンジンはV8のものに変えられていて、オリジナルと同じ外装ですが塗り直しがされています。 後ろに貼られている「Mach 1」もこの車体のモデルではないけれど、フェイクで貼られていたままわざと残しているようです。 エンジンはオリジナルのままですが、前オーナーさんが色々カスタムしていた点もお気に入りのようです。 「俺も日本人のコレクター友達がいるけど、日本じゃ珍しくないだろう?」とおっしゃるスティーブンさん。 「東京ですと、確かに高級車は多く見かけますが、やはり年々クラシックカーは貴重になってきています。その分憧れるファンはたくさんいるでしょうね」と答えると、近くにあった『シトロエン トラクシオン・アバン』の黒色を指さし、「あれの白色を持ってるよ、かなりレアだからこういったところには持ってこないけどね。しかもコンバーティブルの」と、携帯に入っているコレクションの写真を何枚も見せてくれました。 「あと、この2台も同じモデルに同じ色なんだ。おもしろいだろう」と『プジョー 504』の赤いクーペの写真も。 実物が見れないのは残念でしたが、ご友人と良くこういったイベントに参加しているとおっしゃていたので、またの機会にお目にかかれるのが楽しみです。 ■クラシックカーに落書き!? 今回のイベントは公園で行われたこともあり、昼過ぎにはたまたま遊びに来ていて居合わせた家族連れや子供達もチラホラ。 そんな方たちも楽しめるようにでしょうか。 会場の隅に、フランス人にとってはド・ゴール元大統領の専用車としても有名な『シトロエン DS パラス』の外装が、黒板仕様になって来園しておりました。 子供たちもボンネットの上に準備されたチョークを取って思い思いに落書きを楽しんでいて、横にいたムッシュから「君も何か日本語で書いてみたら?」といわれたので… フランス国産車に『旧車王』の文字を書き残して参りました! 始まったばかりの秋も一瞬で終わりそうなフランスですが、クルマ好きな人も、偶然公園に遊びにきた人も、同じ場所で楽しめている風景が本当に素敵でした。 [ライター・画像 / スミ]
去る2023年9月30日〜10月1日に「第61回全日本模型ホビーショー」が開催された。 以前ご紹介した毎年5月に開催される静岡ホビーショーは、その年に発売される主な新製品が発表される傾向が強い。 一方、毎年秋に東京で開催される全日本模型ホビーショーでは、年末から翌年にかけて発売される新製品が多いという特徴がある。 そこで今回は、これから発売される各社のクルマ系新製品をはじめ、会場に展示されていた面白いアイテムをピックアップしてみた。 ■アラフィフ世代を狙い撃ち?タミヤの新製品 まずはホビー業界の世界的なリーディングメーカーであるタミヤから。 今回はカーモデルに関する新製品がなく、再販アイテムとしては1/24スポーツカーシリーズの「トヨタ ソアラ 3.0GT リミテッド」「トヨタ セルシオ(UCF11)」、1/20スケールの「ポルシェ 935 ヴァイラント」の3点のみというやや寂しい内容だった。 一方、1/10スケールの電動RCカーでは、今年5月の静岡ホビーショーで参考出品された「フォルクスワーゲン ゴルフII GTI 16V ラリー 」が正式発売となり(税込価格:18,480円)、新たに「フィアット131 アバルト ラリー OLIO FIAT」(税込価格:19,580円)が発表された。 どちらもポリカーボネート製ボディは塗装済み。 しかもフィアット131 アバルト ラリーは、ダークブルー/キャメルイエロー/スモークの3色で塗装済みという内容。 裏側から塗装する必要のあるポリカーボネート製ボディは、塗装が面倒なイメージがあった。 しかし、最初から3色で細かく塗装されているこのボディであれば塗装のマスキングは不要。 手軽に完成させることができるのが最大の売りだ。 特に、フィアット131 アバルト ラリーは、当時1/20プラモデル製品として販売されていたこともあったため、昔のタミヤ製品を知るファンにとっても馴染み深い車種。 アラフィフ以上のファンにとっては嬉しい製品化といえるだろう。 ■新金型でZ32フェアレディZが登場!ハセガワの新製品 ハセガワの新作カーモデルとして大々的に展示されていたのが「ニッサン フェアレディZ(Z32) 300ZX ツインターボ 2by2(1989)」(税込価格:3,630円)。 1/24プラモデルのZ32フェアレディZといえば、1989年当時にタミヤから発売された「1/24 ニッサン・フェアレディZ 300ZX ターボ」が有名で、長らく名キットとして親しまれてきた。 そんな状況のなか、ハセガワから新たにリリースされたこの製品。 タミヤの2シーターとは異なり、リアシート付きの「2by2」をモデル化しているのが最大の違い。 徹底した実車取材をもとに完全新金型で再現している。 ヘッドライトとサイドミラーの鏡面はツヤ有りメッキで、ホイールがツヤ消しメッキパーツ。 窓の塗り分けシールも付属する。 写真からも分かるように雰囲気は実車そのもの。 名実ともに決定版となりそうなこの製品は、2023年11月18日ごろの発売だ。 ■RCカーから高級ミニカーまで盛りだくさんの京商 数多くの新製品を展示していたのが、今年創立60周年となる京商。 今回の目玉は、会場発表となる京商オリジナル1/18ダイキャストモデルのフィアット ヌォーヴァ 500(税込価格:26,400円)。 今回製品化されたのはコンバーチブルボディと後ヒンジドアが特徴的な最初期モデル。 ボディカラーは「グリーンクリア」「コーラルレッド」「セレステブルー」の3種類を用意している。 2023年12月の発売予定だ。 京商オリジナル1/18ダイキャストモデルの新製品には、このほかにもモーリス ミニ マイナーとポルシェ 911も展示されていた。 完全新規金型によるダイキャストモデルの1/18 モーリス ミニ マイナー(税込価格:26,400円)は、左右ドアとボンネット、トランクが開閉。 パイピングまで再現されたエンジンルーム、スペアタイヤが収まるトランク内、さらに後席に乗り込むための前席チルト機構なども再現。 ボディカラーは「オールドイングリッシュホワイト」「チェリーレッド」「 クリッパーブルー」の3色を用意。 モーリス ミニ Mk.1のディテールを徹底的に再現した京商らしいハイクオリティモデルだ。 もうひとつ、モーリス ミニ マイナーとともに展示されていたのが、ポルシェ 911(価格未定)。 こちらも最初期のいわゆる901を製品化したもので、エンジンルーム内の造形も見事だった。 ナローの1/18ダイキャストミニカーといえば、CMC製のミニカーが傑作モデルとして知られている。 しかしそのクオリティの高さから現在非常に高価で取引されており、気軽に入手できないという現状がある。 この京商製ミニカーが発売されれば、CMC製ミニカーに匹敵するクオリティのミニカーがおそらく2万円台で購入できるようになると思うので、ファンにとっては朗報だ。 RCカーでは2023年11月発売予定の「1/10 EP 4WD フェーザーMk2 FZ02L レディセット 1971 メルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3 ベージュ グレイ」(税込価格:48,400円)が個人的にとても気になった。 この製品は1/10スケールの完成品RCカーで、“走るディスプレイモデル”とも呼べる細部まで徹底的に作り込んだボディが特徴。 クロームメッキのバンパーやグリル、ワイパーなどが再現され、RCカーの常識を超える再現度を見せている。 しかもメルセデス・ベンツ 300 SEL 6.3というシブい車種がRCカーとして楽しめるというギャップも面白い。 今後のラインアップも楽しみだ。 京商ブースにはこのほかにも、現在開発が進んでいる1/12ダイキャストミニカーのフェラーリ F40コンペティツィオーネ(税込価格:143,000円)。 従来品からディテールをさらに追求した内容にグレードアップ。 2023年11月下旬発売予定だ。 輸入品では、TOP MARQUES製の1/12ミニカーが気になった。 手前のランチア ストラトス ゼロ コンセプト(税込価格:110,000円)と奥に見えるフェラーリ 250 GTO 1962 ル・マン GTクラスウィナー(税込価格:107,800円)は、どちらもレジン製の完成品モデル。 思わずため息が出るようなクオリティが印象的だった。 ■1/24スケールのスナップキットを発表したアオシマ 青島文化教材社では、塗装不要・接着剤不要・お手頃価格をコンセプトにした簡単プラモデルとして、1/32スケールの「ザ☆スナップキット」を販売し、多くのラインアップを用意している。 今回のホビーショーでは、このコンセプトを1/24スケールに展開した新シリーズとして「ザ☆スナップカー」を発表。 2024年発売予定のシリーズ第1作として、1/24 KPGC10 スカイライン 2000GT-R '70(価格未定)を発表した。 パーツ数はわずか60点ながら、あらかじめ色分けしたパーツを使用することで無塗装でも見栄えのするモデルに仕上がる予定。 プラモデルを作る楽しさが手軽に味わえて、なおかつクオリティの高さが期待できる製品内容だった。 アオシマではこのほかにも1/24 ニッサン RPS13 180SX TYPE X '96(価格未定)を発表。 こちらのプラモデルは完全新金型によるもので、リトラクタブルヘッドライトは開/閉の2種類から選択可能。 車高もノーマル/ローダウンの2種類が選択できる内容だった。 ■各社が展示した注目の新製品 トミーテックでは1/64ミニカーの「トミカリミテッド ヴィンテージ」の新作が目立った。 2004に発売した「トミカリミテッド ヴィンテージ」は、発売20周年となる2024年に新ロゴマークとなることを発表。 昔のトミカを彷彿とさせるロゴマークとすることで、よりユニークなブランドを目指していく。 そんなトミーテックの注目の新作は、ストラクチャーシリーズの「トミカラマ ヴィンテージ」の大作となる高速道路。 同社が以前から参考出品として展示してきた高速道路がついに製品化された。 これは全長約400mmの大型製品で、直線道路と曲線道路の2種類を展開。 複数購入することで道路の延長と立体的な積層も可能。 リアルな小物も付属しているので、これまでにないミニカーのディスプレイが楽しめる。 高品質なミニカーをリリースするメイクアップの新作のなかで個人的に気になったのは、1/18レジン完成品モデルのNISMO GT-R LM ロードカー 1995とマクラーレン F1 ロードカー 1994。 どちらもサンプルモデルの展示で発売日・価格未定だが、1/18ミニカーとしてはかつてないクオリティの内容になるだろう。 EBBROの新製品で驚いたのがボンネットバスの1/43ダイキャストミニカー。 1/43 ISUZU BX 352 東京都バス(税込価格:26,400円)は、懐かしい都バスのカラーリングを忠実に再現している。 レースカー中心のラインアップが知られるEBBROの新境地となるのか? 今後の展開に注目したい。 このようにクルマ系ホビーの新製品は今後も続々発売される予定。 クオリティの高さに比例して価格もどんどん上昇しているので、価値の高いものを厳選して買いたいものだ。 [ライター・画像 / 北澤 剛司]
去る10月6日〜9日の4日にわたり、ラ・フェスタ ミッレミリア2023が開催され、当メディアでもスタートの模様の取材が実現した。 筆者自身、この大会にエントリーした友人や知人の応援でスタート会場である明治神宮に足を運んだことはあるが、取材として会場に向かうのはこれが初めて。 いつもより早起きなので、念のためスマートフォンのアラームを設定しておいたが、きっちり5分前に目が覚めた。普段めったにお目にかかれないクラシックカーを間近で観られることに、自然とテンションが上がっていたのかもしれない。 ■午前8時に会場である明治神宮に到着 混雑を避けるため、会場である明治神宮にはおそくとも午前8時前には到着しておきたい。自宅から会場である明治神宮にクルマで向かうと時間が読めないので、通勤電車に揺られて現地へ。会社員だったころ、ほぼ同じ時間帯の山手線内回りに乗って通勤していたが、今回は身動きが取れないほどの混雑ではなかった。多少なりともリモートワークが浸透しているのだろうか。 原宿駅で降車して明治神宮へ。見事な秋晴れ。朝は少しひんやりするくらいの気候で、明治神宮内に用意された車検会場までの徒歩移動が心地良かった。 プレスの受付を済ませて車検会場へ。午前8時前後になると、参加車輌がぞくぞくと入場してくる。すっかり場馴れした参加者もいれば、緊張した面持ちでクルマから降りてきた人もいる。それぞれが挨拶を交わし、華やかなでありながら、どこか和やかな雰囲気すら感じさせる。 まったくの偶然だが、筆者自身、参加者の方のおひとりが古い付き合いのクルマ仲間で、この日が久しぶりの再会となった。今回、ポルシェ356で初エントリーしたという。以前からラ・フェスタ ミッレミリアに参加してみたいという想いがあり、今回ついにその夢が実現したという(公式ホームページを確認したところ、無事完走したようだ)。 ■ラ・フェスタ ミッレミリアのコースはその年によって異なる ラ・フェスタ ミッレミリアのコースはその年によって異なる。今年は明治神宮をスタートして初日は福島県北塩原村にある裏磐梯レイクリゾートがゴール(全324.9km)。2日目は福島県〜宮城県〜山形県〜福島県を経て、栃木県日光市・日光金谷ホテル&中禅寺金谷ホテル(全417.2km)。3日目は栃木県〜茨城県を経て、千葉県成田市・ANAクラウンプラザホテル成田がゴール(全417.2km)。最終日の4日目は千葉県〜東京都港区・ホテルオークラ東京のゴールを目指す(全255.6km)ルートだ。 4日にわたる全行程は約1300km。しかも、ラ・フェスタ ミッレミリアはただ走ればいいというわけではない。「PC競技」という形式の、れっきとしたレースだ。ルート上にはPC(Prove Cronometrateの略)と呼ばれるチェックポイントが設けられ、それぞれ区間内の基準タイムが定められている。いかにしてこの基準に限りなく近いタイムで走破するか、その総合結果で勝敗が決まる。いずれの区間も正確さが求められるため、上位入賞を目指せば目指すほど気が抜けない。早すぎても遅すぎてもだめなのだ。 これを4日連続、長いときには都内から鈴鹿サーキットまでの片道分くらいの距離をクラシックカーで走破しなければならない。エアコンはもちろんのこと、屋根すらもないクルマだってある。しかも、この時期は天気が周期的に変わる。そうなると、雨のなか雨具を着てもずぶ濡れで目的地を目指さなければならないことも充分にありうる(事実、今年がそうであったように)。 もちろん、シビアに基準タイムを目指すことなく「ラ・フェスタ ミッレミリアへ参加することに意義がある」というスタイルでもいいだろう。事実、毎年このイベントに出られること自体、簡単なことではないからだ。移動時間などを含めると1週間近い時間をこのイベントに費やすことになる。審査や費用面はもちろんのこと、時間の余裕も不可欠。選ばれた人だけがこのイベントに参加できるのだ。 ■午前11時5分のスタートが近づくにつれて高まる緊張感 現地に到着してからおよそ3時間、会場内で取材を続けているうちに、あっという間にスタート時間が近づいてきた。参加者の方たちは自身の愛車に乗り込み、専用のラリーコンピューターに基準タイムを入力するなど、車検会場から正面ゲートまでの移動準備に取り掛かっている。 やがて会場のあちこちで参加車輌のエンジンに火が入りはじめ、少しずつ場の緊張感が高まっていく。 そして午前11時5分、ゼッケン1番の1926年製 ブガッティ T35(竹元 京人/竹元 淳子ペア)を先頭に、独特のエンジン音とオイルの匂いを周囲に発しながら各車が正面ゲートまで移動していく。 そして正面ゲートで各車の紹介が行われ、各車が表参道の路上へと放たれていく。たまたま居合わせたギャラリー、そして外国人の方たちが突如現れたクラシックカーの群れに驚いている。外国人の男性は車道にはみ出さんばかりに身を乗り出し、参加車輌に手を振っていた。こうして多くのギャラリーに見送られながら、全4日間、全行程約1300kmのラ・フェスタ ミッレミリア2023の幕があけたのだ。 ■まとめ:クラシックカーが東京の街を走る光景は実に美しい 参加車輌のなかでもっとも古いブガッティTYPE13の生産年は1913年!なんと110年前のクルマだ。 参加資格を有するクルマにはいくつかの条件が課せられているが、そのなかには生産年も含まれる。公式ホームページにはもっとも新しいクルマであっても「〜1967年12月31日に製造された車輌」と明記されているので、名実ともにクラシックカーであることが絶対条件といえる。 しかも、ただ年式が古いクルマであればよい、というわけではない。レプリカモデルはNGであり、FIVA(Fédération Internationale des Véhicules Anciens)またはFIA Historic Regularity Car Pass(HRCP)の承認を得た個体でなければ、ラ・フェスタ ミッレミリアの参加資格が得られない。参加車輌の素性も重視されるのだ。 オーナーおよび参加車輌のエントリーが受理されると、信頼できる主治医に愛車を託し、万全の体制を整えてその年のラ・フェスタ ミッレミリアに挑むことになる。クラシックカーを投機目的などではなく、大人たちが「超真剣に遊ぶためのツール」として文字どおり「酷使」することになるからだ。錆が心配だから雨の日は乗りたくないなどと悠長なことはいっていられない。人かクルマがリタイヤしない限り、4日、今年であれば約1300km先のゴールを目指して走るしかない。 こうして日常生活では接する機会のない人たちと4日間、ともに戦い、ともにゴールを目指して決められたコースを走る。決してライバルであっても敵ではない。そして、無事にゴールできたときにはお互いの健闘を称え合う。そんな濃密かつ非日常な時間が過ごせるだけでもこの大会にエントリーする価値があるように思う。 余談だが、美しいクラシックカーが東京の道を走るだけで、街が一気に華やぐから不思議なものだ。クルマの心臓部が内燃機関からバッテリーへと移行しつつある現在、いつまでのこの美しきクラシックカーが生き生きと走る姿が観られるのだろうか・・・。表参道を走り去るクラシックカーをファインダー越しに追い掛けているうちに、ふと、そんなことが頭をよぎったのだった。 [ライター・カメラ/松村 透]
今年は例年になく、猛暑を越して“酷暑”という言葉がぴったりだった。 あまりの暑さに、屋外活動のやる気が起きない話もよく耳にした。 それは、クルマを趣味とする、読者の皆様も同じことと思う。 ようやく涼しくなってきた今、スポーツの秋ならぬ“モータースポーツ”の秋は、いかがだろうか。 今回は、クルマ好きなら一度は思う「愛車の性能をフルに試してみたい!」が体験できる、走行会について紹介したいと思う。 ■そもそも「走行会」とは? 走行会とは、サーキットなどを使用して、普段体験することができない、限界付近の旋回性能や加減速を、安全に愛車で楽しむことができるイベントである。 プロのレーサーがおこなうレースを、オリンピックといった陸上の大会と例えるならば、走行会はオリンピックの会場でおこなう、運動会と思っていただければよい。 プロが走行するコースを愛車を駆って走行できる、貴重なチャンスである。 ■走行会にもジャンルがある! まず“走行会”には、いくつかのジャンルがある。 ・サーキット走行・ジムカーナ・ゼロヨン 今回は、この3つを紹介していきたい。 ●サーキット走行 走行会の多くは、サーキットで開催となる。 メジャーなレースで使用される国際コースから、隠れ家的なミニサーキットでも実施されている。 驚くことに、探せば意外な身近な場所にも、サーキットは存在している。 多くのサーキットでは、そのサーキットのライセンスを取得しないと、フリー枠でも走行ができない。 定期的にスポーツ走行をおこない、腕を磨く目的がないと、なかなかに敷居が高い。 しかし、走行会は運営が提示するレギュレーションを満たしていれば、走行することができるのだ。 今回、取材させていただいた「初音レーシング」さんの走行会は、クルマ好きなら誰もが知る、あの富士スピードウェイ 本コースを使用した走行会であった。 しかも、約1時間連続で走れるのは、貴重な機会だ。 ●ジムカーナ サーキットとは異なり、広い敷地内にパイロンが設置され、パイロンを目標に指定された道順で走る競技である。 ジムカーナは、広大な駐車場でもおこなわれることがあり、多くの場所で実施されている。 また、速度域もサーキットほど高くはなく、1台ずつ走行するため、他車を気にせず滑り出しの感覚などを楽しめる。 ●ゼロヨン 全長400メートルのコースを止まった状態から加速して、速さを競う。 ストリートでのゼロヨンレースが舞台であった、ワイルドスピードの第1作目を思い出していただければ、想像に容易いと思う。 全国的にコースは多くはないが、愛車の加速性能をフルに体験するには、もってこいのステージである。 …と、どのジャンルも、参加するにあたっては最低限の準備は必要だが、普段乗っている愛車で走行可能だ。 ■走行会に向けての準備 では、走行会に参加するにあたっての準備について説明しよう。 申し込みについてだが、開催告知と募集の多くはSNSで行われているだろう。 走行会を主催する多くは、チューニングショップやカー用品店である。 スポーツパーツに熱心な、大手のカー用品店では、お店が独自で開催していることもある。 初めてで不安な場合は、お店での募集に申し込むのが良いだろう。 今回、走行会を主催されている「初音レーシング」さんは、VOCALOIDとモータースポーツが好きなメンバーで結成された総合モータースポーツクラブである。 その活動の一環として、“サーキット走行体験して楽しんでもらいたい!”との思いから企画されているとのこと。 このように、モータースポーツが好きな有志によって、開催されるパターンもある。 走行会参加にあたって、1番大事なことは“愛車で無事に帰宅できること”だろう。 レーシングカーのように、積載車で搬入出をするのではなく、自走での参加が基本となる。 そのため、無理を通して、愛車を壊してしまっては元も子もない。 また、走行会といえども、走る場所はサーキットである。 街中やワインディングを走っているのとは、異なるレベルで高負荷がかかるステージなのだ。 走行前は、適切なメンテナンスを行わないと、愛車が壊れてしまうどころか、多くの方を巻き込む事故につながる恐れもある。 今回の走行会は8月の半ば、真夏のなかでの開催となった。 そのため、参加者の方にお話を伺うと、口々に「車よりも人の方がバテてしまいますよ(笑)」とおっしゃっていた。 この暑さのなか、約1時間全開に近い状態で走行されていたが、コース上で止まってしまう車輌はいなかったことが印象的だった。 それは、参加されている方の多くが、きちんと事前にメンテナンスをおこなっていたからこそ。 任意保険の多くは、サーキット走行による事故では適用されない。 その点も留意いただきたい。 自車の破損はもちろん、サーキットを破損した場合も自腹となってしまうのだ。 ただ、サーキット走行用の保険もあるので、走行会前に加入するのも手だ。 走行会の多くは、ヘルメットや長袖、長ズボン、グローブの着用が必要である。 普段着ている服装でも、問題ない。 ヘルメットと滑りにくいグローブを用意すれば、参加準備はOK! その点も敷居を低く、参加しやすくしてくれている。 他に必要なものは、主催者から事前にアナウンスがあると思う。 過去、筆者が参加した経験から、ガムテープやビニールテープ、養生テープは忘れずに持参した方が良いだろう。 配布されるゼッケンの貼り付けはもちろん、レギュレーションによっては、事故時の破片飛散防止に、灯火類へのテーピングが必要となる。 また、ブレーキフルードのキャップやバッテリーの端子なども、脱落防止のためテーピングが必要になることもある。 テープは持参必須のアイテムなのだ。 ■走行会当日の流れ ここからは、今回取材にご協力いただいた「初音レーシング」さんの流れをもとに説明していこう。 走行会当日、受付でゼッケンを手渡される。 サーキットによっては、トランスポンダと呼ばれる計測器も一緒に渡されることもある。 車輌に取り付けることで、周回タイムを測定される。 走行終了後、各ラップのタイムを渡される。 同じコースを走るレーシングカーとのタイム差を知ることができるのも面白い。 周回ごとに、何がタイムに影響を及ぼすのかの発見にも繋がるだろう。 車輌の準備としては、ゼッケンを貼り付け、不要な荷物を下ろす。 必要ならばテーピングもここで済ませておく。 準備がある程度終わったタイミングで、ドライバーズミーティングがおこなわれる。 その際、主催者からサーキット走行上の注意点、黄色や赤のフラッグの意味などが説明される。 初めての方でも、不明点は遠慮なく質問をすれば良い。 走行開始時間になったら、誘導に従いコースインする。 最初は、先導車について完熟走行から。 車内から見たコースの広さに驚くことだろう。 先導車がピットに入ったタイミングから、待ちに待った愛車の性能を試すチャンス! ただ、油断をしてはならない。 公道とは違い、景色の流れがゆっくりと感じるため、想像以上にスピードが出ている。 これは過去、筆者が走行した際に感じたことだ。 コーナー進入時、きちんと減速をおこなわないと、クルマは遠心力で外側に引っ張られていく。 さっきまで広いと感じたコースだが、気を付けないとコースアウトしてしまうほどなのだ。 安心して欲しいのは、サーキットは仮にコースアウトしてしまっても、エスケープゾーンが広く設定されていることが多い。 愛車の性能、自身のテクニックを踏まえ、無理のない範囲でコーナーを攻める経験をしてもらいたい。 ただ、あくまでも“愛車で帰宅する”点をお忘れなく。 運動会は、余力を持って楽しむことが重要なのである。 走行が終了したら、各車ピットに戻り片付けをしつつ、走行タイムの一覧表を受け取ろう。 閉会式後には、参加者へさまざまな景品が当たる抽選会がおこなわれた。 勝敗を決めるレースではないため、アットホームな雰囲気である。 先述したように、「初音レーシング」さんは、VOCALOIDとモータースポーツが好きなメンバーで結成された総合モータースポーツクラブである。 そのため、当日もラッピングされた痛車の展示も同会場で行われていた。 今回の走行会で、筆者の琴線に触れる車輌も走行していた。 T31型エクストレイルのMTだ。 意外と知られていないが、ガソリンエンジンにもMTの設定があったのだ。 そこに、ワンオフでスーパーチャージャーを取り付けられていた。 走行している姿は、エクストレイルとは思えない走りだった。 何度かこの走行会に参加されているそうだが、今回はあまりの暑さにエアコンを入れて走行していたとのことだった(笑)。 ■ちょっと走ってみたい人向けに体験走行枠も ここまで読んでいただき、サーキットを走ってみたいが、走行会でも不安な方は居られるだろう。 そんな方向けに「初音レーシング」さんでは、体験走行枠も用意されている。 これは、ヘルメットの着用はいらず、乗車定員まで同乗可能となっている。 先導車に続き、追い抜きは禁止。 トップスピードも100キロほどと、高速道路を走行する感覚で、サーキットを走行できるのだ。 また、車輌規定も「自動車専用道路走行可能なクルマ」なので、軽トラ含め、さまざまな車種が参加されていた。 体験走行なら、家族みんなで楽しむことができるので、お子様が同乗すれば「サーキットを走った」という、特別な思い出になるだろう。 ■愛車でサーキットを駆けたくなった! 久しぶりに、愛車でサーキットを走りたい衝動にかられた。 涼しくなり、人にも車にも過ごしやすい季節となった。 もっぱら“食欲の秋”を満喫中だが、走行会に参加して“モータースポーツの秋”にするのも楽しそうだ。 興味を持った方は、冬が来る前にぜひ、行動してもらいたいと思う。 今回取材にご協力いただいた初音レーシングの皆様、ありがとうございました。 ●初音レーシングHPhttp://hatsune-racing.club/ [ライター・画像 / お杉]
去る2023年9月3日、箱根ターンパイクにて、OZホイールのファンが集うファン感謝祭『OZファンミーティング』が開催された。 今回で5回目になる同イベントは、OZホイールを取り扱うオーゼットジャパン(株)が主催する。 参加資格はもちろん、同社の取り扱うホーイルであるOZ、MSW、Sparcoホイールを車両に装着しているオーナーとなる。 それ以外はもちろん国産、外車、新車、旧車は問わない。 午前9時を回り始めたころから徐々に、1台また1台と足元をOZホーイルで固めた車輌が会場入りする。 スイフトスポーツからMINI、R35GT-R、フェラーリ テスタロッサに至るまで。 こうして見てみると、改めてOZは多くの車輌に本当によく似合っている。 もちろんそれらは各オーナーのチョイスやセンスもあるのだろうが、そこを除いたとしても各車体にマッチしていると思う。 ■レースで培った技術メーカー そんなOZというメーカーは、1971年にイタリアで産声を上げた。 シルヴァーノ・オゼッラドーレとピエトロ・ゼンの2人によって立ち上げられ、2人の頭文字をとりOZと名付けられ、ベネチア近郊の街で創業。 まだWRCなどという言葉がない時代に、ミニクーパーに合金リムのホイールを装着してレースに出場。 当時のラリーレースにて優勝を飾る。 同時にバイク用のホイールも開発。 それからはさまざまなレースにおいて、多くのメーカーの車種に装着して積極的にレース活動を展開。 今では必ずと言っていいほど、多くの競技にこのロゴが踊っている。 ■こだわりのオーナー車輌 新車旧車問わず、車輌本体もさることながら、やはり履かせるホイールにもこだわりが感じられる。 こちらのZ32もその1台だ。 時代感覚もあるのだろうが、この年代のクルマだとどうしても他社のホイールを入れているイメージがある。 ヤリスやインプレッサのようなラリー等のベース車輌などにも履かせるオーナーが多いが、なかにはホイールが気に入っていて、そのままキャリーオーバーで履いている方もいる。 あるオーナーは、「クルマをワゴンモデルに入れ替えましたが、その際前のクルマに使っていたOZホイールが気に入っていたので、今のワゴンにも履かせています」と話してくれた。 当然なのかもしれないが、OZ以外のホイールが驚くほどにいなかった。 今回筆者が見逃していたのでなければ、唯一Sparcoを履いて参加していたシトロエン C4。 もちろん参加OKであるが、ラリーベース車輌等がこれだけ参加しているのだから、もう少しいても不思議はなかったのだが、他に姿は見られなかった ■スカイラウンジ1分間の攻防 舞台挨拶では1分間アピールタイムとして、協力企業のコメントタイムがあたえられていた。 2人の女性ドライバーがOZの製品をアピール。 国産でもこだわりを持って履いているクルマは少なくないOZホイール。 特に競技用となれば尚更だ。 ガスり気味のターンパイクで一際目を引いたのは、キャラクターラッピングを施されたクスコジュニアレーシングの車輌。 若手ドライバーである、赤城ありささんの駆る個体だ。 ご本人はホイールについて、「デビュー間も無くまだまだ性能もその良さも活かしきれていないので、これから頑張ってその良さをアピールしていきます」と語ってくれた。 こちらを読まれた方々も、ぜひ暖かく見守って応援してもらいたい。 スズキ スイフトで参加されたのは、特徴のある衣装で登場された、ラリードライバーの兼松由奈さん。 全日本ラリーのエントリーにOZホイールを履いて参戦している。 舞台挨拶でも10月の最終戦にも同車輌でエントリーするということで、「応援お願いします」とコメントされていた。 協力会社の持ち込んだ車輌もまたこだわりが強い。 3台のセリカが居並ぶが、こちらはカラーリングショップ=プロトタイプが持ち込んだもの。 WRCでのセリカの活躍を見た世代にはたまらない並びだが、これらすべてのセリカの足元は、やはりOZで固められていた。 コメントでは、165系のセリカに15インチのホイールをはいて来たが、できれば再販をお願いしたいと。 ただし、需要は見込めると思えませんが…と会場の笑いを誘っていた。 朝霧の立ちこめる箱根ターンパイクで始まったOZファンミーティング。 多くのOZホイールを愛するオーナーや、それを支えるショップなどに囲まれ終了した。 気がつけば、あれだけ視界を奪っていた濃霧もすっかり晴れて、芦ノ湖周辺を見渡せるほどの好天になっていた。 また次回も多くのファンとの集いになることを予見するようだ。 OZは誰もが知るホイールメーカーだ。 だが意外なことにスポンンサードしているレースはあまりないという。 多くが供給はしているが、販売なのだ。 それゆえにオフィシャルサプライヤーとして名乗ることがあまりないともいえる。 縁の下の力持ち、サスペンション下の仕事人。 OZとは、そうした姿勢を貫いている企業といえるだろう。 [ライター・画像 / きもだこよし]