旧車と名車が甦るメディア

心を駆動させる「クルマ仲間」の存在。SNS時代に仲間が不可欠である理由とは?

目次
1.■ホンダS2000を20年所有してみて気づくこと 2.■“時を戻そう!”「いいね」もなかった頃の情報共有術 3.■情報共有が絆になる時代へ 4.■仲間づくりは“結果論”でもいい

「旧車」と聞いて、どんなクルマを思い浮かべるだろうか。筆者にとっての旧車は、スバル360や三菱500、コスモスポーツやハコスカGT-Rなど、昭和の素敵なクルマたちだった。

だが、今や旧車の定義は広い。昭和の名車たちはもちろん、90年代のスポーツカーまで「もう旧車なんですね」といわれるようになった。いわゆる「ネオクラ」や「ネオクラシックカー」などと呼ばれている時代のクルマたちだ。マツダ RX-7やホンダ シビック タイプRなどの現役時代を知っている世代からすれば、それほど古いクルマというわけではないのだが・・・。

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■ホンダS2000を20年所有してみて気づくこと

ちなみに筆者も、S2000を約20年所有している。今では「古いクルマ」の仲間入りをしているが、乗っているうちにそうなってしまった。

そんな世代の筆者が「旧車趣味」と聞いてまず思い浮かべるのは、ガレージで一人黙々と整備をする姿だ。部品確保から維持まで、基本は自己責任。まさに“孤高の趣味”といえよう。

実際、他人とかぶらない車種を選び、希少性にこだわるオーナーは今も多い。旧車イベントに足を運ぶ理由も、まず「見てほしい」「知ってほしい」という思いが先に立つ。それは至極まっとうな動機だ。時間をかけて仕上げた愛車を見てもらいたい。理解されたいといった気持ちが原動力になっている。

しかし今、誰もがSNSや動画で発信できるようになり「見てほしい」「知ってほしい」という思いは、そのまま「つながり」へと変わっていく時代になったと思う。

「仲間の存在も、クルマを動かす機構の一部といえるかもしれない」

そんな気づきから、このコラムを書きはじめた。あなたの愛車はどうだろうか?誰かの言葉に助けられたことはなかっただろうか?

これから旧車に乗ろうと思っているあなたは、すでに一人ではない。

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■“時を戻そう!”「いいね」もなかった頃の情報共有術

そもそもカーライフに「つながり」が生まれるようになったのは、いつからだったのか。記憶を巻き戻してみたい。

1990年代前半。旧車の情報は、SNSや動画で探せる時代ではなかった。雑誌やクチコミが頼り。部品の流用やトラブル事例など、マニアックな情報はそもそも出回っていなかった。

今のように「いいね」ボタンもなく、即座に反応が返ってくることもない時代。当時のオーナーたちは、HTMLを手打ちして個人ホームページをつくり、備忘録として整備記録やパーツ情報を書き残していた。それは、誰かの道しるべになればという祈りにも似た行為だった。

個人ホームページにも読者やファンはいたが、リアルタイムでのやりとりはまだ難しく、メールやBBS(掲示板)に書き込んで返事を待つしかなかった。

もちろん、当時もオーナーズクラブなどは存在していたが、普段はML(メーリングリスト)などで連絡を取り合い、オフラインミーティング、いわゆる「オフ会」の場においてリアルで集まれる限られたつながりが中心だった。輪の中に入れなかったオーナーたちにとって、個人のホームページは貴重な発信手段だった。そうしたなかで、ゆっくりとした出会いが生まれていたのだ。

当時、筆者はS2000に特化した「I love S2000」という個人サイトをチェックしていた。いわゆるS2000の老舗サイトで、整備記録やパーツレビュー、オーナーたちの個人ページへのリンク集など、交流の記録が丁寧に蓄積されていた。S2000が新車として販売されていた時期だが、そこにはすでに「旧車になっても乗り続けたい」という熱量があった。

「I love S2000」では、コミュニティによる濃密なつながりも生まれていた。当時のホンダ専門誌でも、コミュニティでつながったS2000オーナーたちによる座談会記事が組まれていたほどだ。当時の筆者はS2000さえ所有していなかったが「同じクルマの仲間は、こんなに濃くつながるのか」と強く感じたことを覚えている。

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■情報共有が絆になる時代へ

2000年代に入ると「つながり」は一気に加速した。

2004年にサービスを開始したSNS「mixi」は、コミュニティという概念を広め、同じ趣味の仲間と気軽に交流できる環境を生み出した。ブログ機能や相互フォロー関係「マイミク」とのやりとりから、オーナー同士のリアルなつながりが生まれた。

また、2000年代後半になると、カーライフSNS「みんカラ(みんなのカーライフ)」が台頭。車種別の整備記録やパーツレビューの機能が備わり、検索すれば誰かの経験談にたどりつける環境が整った。

SNSや動画が主流となった現代では、パーツレビューや整備情報などの知見が、驚くほどのスピードで共有されるようになった。誰もが「発信者」となれる時代だ。さらに、誰かの失敗談までも拡散・共感され、励ましの言葉が寄せられる。情報だけでなく気持ちも共有され、自然と対話が生まれていく。

たとえば筆者が所有するS2000では、経年劣化によって起こる「ブレーキペダルやクラッチペダルのストッパーパッド脱落」の情報が、SNSを通じて広く共有されている。

他車種でも起こるトラブルだが、S2000は登録から20年以上が経過した個体が多いため、近年とくに報告が増えている。ある日、フロアに割れたストッパーパッドが落ちていることに気がつく。劣化して黄ばんだ見た目から“ピーナッツ現象”と呼ばれるこの不具合も、誰かが発信してくれたことで対策方法や純正品番が広まり、今では多くのオーナーの共通認識になった。

あらためて考えてみると、まるで見えない仲間に守られているようだ。これは「仲間意識」とは少し違う。一体感や連帯感とともに実用的なつながりをもちつつ、「クルマと今を生きる意志」を分かち合っているのではないだろうか。これは、どんなクルマでもあると思う。

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■仲間づくりは“結果論”でもいい

旧車と生きるには、仲間がいたほうがいい。

・絶版部品や最新情報を共有できる
・整備や修理のノウハウを分かち合える
・同じ価値観を持つ仲間の存在が、精神的な支えになる

知識や技術はいうまでもないが、なにより一歩を踏み出せる“きっかけ”をもたらしてくれる。クルマ仲間とは、情報共有を超えて「背中を押す存在」でもあると思わずにはいられない。

誰かの投稿に背中を押され、放置していた修理に再挑戦できた。パーツの入手法を知ってあきらめずに済んだ。あるいは、何気ない投稿が「まだ手放さなくていい」と思わせてくれたオーナーもいるかもしれない。

もし、誰かの発信がきっかけで問題を解決できたなら…ひとことでもいい。感謝の言葉を伝えてみてほしい。気持ちのつながりが、未来にもつながっていくのだから。

[ライター・カメラ / 野鶴美和]

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