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ドリンクホルダーは、今や車に標準装備されている便利なツールです。そんなドリンクホルダーは社外パーツとして1980年頃から世に出始め、標準装備されたのは1990年代になってからでした。そんなドリンクホルダーは旧車でも設置できるのでしょうか。今回は旧車にドリンクホルダーを設置する方法と注意点について解説していきます。 旧車にドリンクホルダーを設置する方法 ドリンクホルダーの種類は様々です。エアコンダクトやシフトレバーなどに取り付けるタイプがありますが、旧車には年代によって取付けが困難な車も存在します。具体的な取り付け方法について解説します。 DIYで設置する DIYとは、日曜大工のように自分自身で作ったり修繕することを意味します。ドリンクホルダーは市販のものを流用して、所有している旧車の任意の箇所に取付けすることです。ネオクラシックカーと呼ばれる年代の車であれば、エアコンダクトやダッシュボード上に市販の社外品を設置するのは比較的容易といえるでしょう。 それ以前の年代に生産された旧車は設置箇所に乏しくDIYでの設置が必須となります。観光バス用のドリンクホルダーを内装にビス止めするか、ドアガラスの隙間にステーを差し入れて固定することが多いです。 カスタムショップに依頼する 大切にしている愛車に穴を空けたくないという方は、カスタムショップに依頼すると良いでしょう。世界的に旧車フリークの中では「レストモッド」と呼ばれる手法がトレンド化しています。レストモッドとは「レストア」と「モディファイ」を掛け合わせた造語で、性能や使い勝手が良くなるように現代的な仕様に変えることです。 内装の一部もしくは全部をカスタムして、ドリンクホルダーを追加設置することで内装の刷新と利便性の向上やオリジナリティの付与ができます。レストモッドを手がけるファクトリーも数多く誕生していますので検討してみてはいかがでしょうか。 旧車にドリンクホルダーを設置する際の注意点 続いて、旧車にドリンクホルダーを設置する際の注意点について解説します。 手足の動きの邪魔にならない箇所に設置する 旧車にドリンクホルダーを設置できる箇所はそれほど多くありません。ドアの内側やセンターコンソールボックス横などに設置するのが主流です。ただし、運転中のクラッチやステアリング操作の妨げにならない場所を選ばなければなりません。また、運転中に邪魔にならないよう、仮止めなどを行い手足の動きに支障が出ないようにしましょう。 必要な容量を確保する ドリンクホルダーは、対応する容量によってサイズが異なります。どのサイズのドリンクを入れるかを想定して必要な容量を選びましょう。また、ペットボトルを入れる時は高さも必要なため、内装や手足に干渉したり隙間が足りずに入らないということのないように位置を決めてください。 自家用車に取り付け可能なドリンクホルダーか確認する 自家用車のどの位置に取り付けるかを考えたうえで、対応できるドリンクホルダーであるのか確認しましょう。ダッシュボード上やコンソールボックスに両面テープで貼り付けるのか、穴を空けてビス止めをするかによっても対応するドリンクホルダーは異なります。 ネオクラシックカーなどのエアコンダクトに取付けが可能な車種でも、ルーバーの形状によって対応の可否はあるので注意が必要です。また、車種専用のドリンクホルダーは、対応車種の内装形状に合わせたものとなるのでそれ以外の車には使用できません。
代車を使用しているときに事故を起こしたら、保険が適用されるのか気になる人もいるでしょう。代車には保険がついていないこともあるので注意が必要です。この記事では、代車に保険がついているのかについて解説するとともに、代車費用特約のメリットやデメリット、代車で事故を起こした場合の対応方法なども紹介します。 代車に保険はついている? 代車に保険がついているかどうかは、借りる場所によって異なります。代車を借りる場所ごとに保険がついているのかどうか詳しく解説します。 レンタカー会社の場合は加入している レンタカー会社の代車は、全て自動車保険に加入しています。レンタカー会社は、取り扱う全ての車を保険に加入することが法律で義務付けられており、万が一事故を起こしても損害を補償してくれるため安心して利用できます。 補償内容はレンタカー会社によって異なり、最低限の内容でしか契約されていないケースもあるので、配車時に必ず確認しましょう。オプション料金を支払えば、補償内容を手厚くできたり、免責額(自己負担額)を免除できたりするので、自分に合った内容を契約してください。 車検専門店やガソリンスタンドなどが用意した代車は要確認 車検専門店やガソリンスタンドなどの代車は、自動車保険に加入することが法律で義務付けられていないため、店舗によっては保険に加入していません。また、保険がついていても、最低限の補償内容の場合もあります。そのため車検専門店やガソリンスタンドなどの代車を利用する場合は「加入の有無」と「補償内容」を必ず担当スタッフに確認しましょう。 知っておきたい自動車保険の代車費用特約(レンタカー費用特約)とは 代車費用特約は、事故や故障で車が走行不能になったときに、代車費用が補償される特約です。保険会社によっては、自走できても補償してもらえるケースがあるため、内容を確認しましょう。 続いて、代車費用特約のメリットとデメリットを紹介します。 メリット 代車費用特約のメリットは下記のとおりです。 ・空き状況を気にせず車を借りられる・車種を指定できる 車の預け先に無料で貸せる車がない場合、代車費用特約を付帯していれば、代車費用が補償されます。そのため事故を起こし急に車が走行不能になっても、代車の空き状況を気にせず使用できます。 また無料で貸し出されている車は、車種が指定されているケースが多く、軽自動車または5人乗りがほとんどです。日額を「7,000〜10,000円」程度に設定すれば、ファミリーカーなどの大きな車も借りられるため、大家族や小さなお子さまがいても安心できます。 デメリット 代車費用特約のデメリットは下記のとおりです。 ・保険料が上がる・事故や故障以外では使えない 代車費用特約を付帯すると、年間の保険料が5,000〜15,000円程度上がるため、車がなくとも生活に支障が出ない人にはおすすめできません。万一、事故を起こして特約を使用したとしても、1等級~3等級ダウンするため、次年度の保険料が上がり支払う金額が増えます。 また代車費用特約は、事故や故障によって車が走行不能になったときに補償される保険です。車検などで車を預けて代車を借りた際に、代車費用特約は利用できない点に注意が必要です。 保険がついていない代車で事故を起こすとどうなる? 保険がついていない代車で事故を起こした場合、自賠責保険で賄えない分の損害は全額自己負担となります。ただし、自分が契約している自動車保険に「他車運転特約」が付帯されている場合は、事故による損害を補償してもらえます。 例えば下記のような費用です。 ・相手の車の修理費・借りている代車の修理費・事故によって怪我を負った人の治療費や通院費・ぶつけた建物などの修理費 しかし事故の状況や契約内容によっては特約を使えないケースもあるので、保険会社に確認しましょう。またコンビニなどで手軽に入れる1day保険は「わナンバー」や「法人名義」は対象外になる可能性があるので、注意してください。 保険つきの代車で事故を起こしたときの対応方法 保険がついている代車で事故を起こした場合は、安全確保や人命救助などに努めましょう。事故の対応が終了次第、代車を所有している会社に連絡してください。また補償内容の相違などで、代車を所有している会社とトラブルに発展する可能性があるため、担当者と事前に打ち合わせしておくとよいでしょう。
旧車の盗難は相変わらず多いのだが、特に今年6月以降、目立って増えているのが神奈川県だ。 ■2022年6月以降、神奈川県内で盗難被害が急増 自動車盗難情報局(jidoushatounan.com)に登録されたものや、TwitterなどのSNSで盗難が拡散されているものをピックアップしてみた。 ※盗難に関する内容は登録時点での情報です 神奈川県においては2021年の1年間で4台(うち1台は発見)の旧車が盗まれているが、2022年は6月半ばまではゼロ。 しかしその後、急増しており6月16日から9月11日まで報告されているだけで15台(未遂1台含む)!異常な数字である。 スカイラインGT-R(10台)と80スープラ(3台)の盗難が目立っている。 ■2022年6月〜9月にかけて神奈川県内で盗難された国産車 車種やボディカラー、盗まれた日、時間帯、場所、クルマのナンバーや特徴、そしてどのような盗難対策をしていたのか?などをお伝えしておく。 ●6月16日(0時~6時15分) ・車種:平成2年式 スカイラインGT-R NISMO(ガンメタ)・場所:神奈川県 横浜市 綱島駅付近の駐車場(自宅人近い月ぎめ駐車場)・ナンバー:横浜 330 や 2632・盗難対策:ハンドルロックとタイヤロック装着。月極駐車場のフェンスと繋いでいたチェーンロック。車カバー。*車部品の散乱は無し。タイヤロック破壊。車カバーを剥がされていた。右リアから出ている牽引フックに取り付けていたチェーンロックを外されていた。隣接している工場から延長コードを使用して電源を取り、エンジンを始動させたと思われる。 ●6月24日(5時~18時頃) ・車種:BCNR33 スカイラインGT-R(白)・場所:・場所:横須賀市スカイマンション下の駐車場・ナンバー:横浜 302 ひ 8681・盗難対策:ハンドルロックバー使用*マフラーの近くに溶けたあとがあり。HKSのスーパーターボマフラー。ホイールはボルクの17インチのアルミ金色。塗装はクリアが剥げていてまだらになっています ●6月26日(時間は不明) ・車種:日産スカイライン BNR32GT-R(スパークシルバー)・場所:神奈川県 横浜市泉区下飯田付近の駐車場・ナンバー:横浜 33 ら 4219・盗難対策:なし*純正16インチ ボンネット塗装ハゲあり フロントバンパー右ライト下擦り傷あり*ADVAN FREVA装着 GT-Rエンブレムは盗まれて接着部分のみ残っている ●7月17日11時半~18日3時 ・車種:平成9年式 マツダRX-7(ホワイト系)・場所:神奈川県 横浜市戸塚区 契約していた月ぎめ駐車場・ナンバー:横浜 303 る 7005*現場にはガラスの破片などはなし。フロントとサイドにC-WESTのエアロがついており、リアはノーマルでGTウィングがついているRX-7となります。フロントのエアロ右寄りの場所が割れ始めてきております。給油口には「全財産 inside」のステッカーが貼ってあります。 ●8月10日7時10分~17時8分 ・車種:日産スカイライン BNR32 GT-R(ブラック)・場所:神奈川県 藤沢市遠藤 勤務先駐車場 勤務先社屋から2~300M離れた社員専用駐車場内です。お昼頃、不審な車が駐車場から出て行く所が目撃されています。・ナンバー:相模 33 の 6426・盗難対策:対策なし。施錠のみ*エンジンはN1用に換装。外観はニスモ仕様。リアにカーボン製の旧ロゴのニスモマークのエンブレム。HKS関西のロールバー装着。リアウィンドウにカロッェリアのテレビアンテナあり。NISMO(ベルディな)マフラー。オーリンズの車高調サスです。右側のリアホイールアーチ後方下側に錆による穴あり。ドアノブにニスモマークのついた保護パットが付けられています。後輪のみN1用穴無しディスクを装着 ●8月13日20時頃~8月14日9時50分頃 ・車種:日産スカイラインGT-R(ブラック)・場所:神奈川県 海老名市中新田 自宅駐車場・ナンバー:相模 301 た 9420・盗難対策:ハンドルロック使用*R33GT-R純正のホイール、ニスモバンパー、柿本Rのマフラー、ARCのインタークーラー付き。車の部品の散乱はなし。 ●8月16日19時~17日5時頃 ・車種:80スープラ(グレー)・場所:横浜市緑区マンション駐車場機械式上段・ナンバー:横浜 35 に 1360・盗難対策:なし*色はグレー系ですがカタログ記載はグレイッシュグリーンマイカメタリックとなっていますフロントバンパー右わきにかすれ傷あり。運転席側ドアミラーそばに『猫バンバン』のマグネットステッカー貼っています。(ただし経年劣化で真っ白に)新車購入から20年以上乗っています。人生の半分以上はこの車と一緒に過ごしてきました再塗装していないのでボンネットは一部剥げている部分ありますフロントガラス(助手席側)に傷あり。特にカスタムしていないので特徴はノーマル仕様です ●8月16日朝 ・車種:80スープラ(白)・場所:横浜市緑区・ナンバー:横浜331す8320・盗難対策:バイパーセキュリティとラフィックスを付けていたがバイパーは1年前から不調で、ラフィックスもハンドルを外していなかった。 ●9月1日 ・車種:トヨタ スープラ(赤)・場所:川崎市宮前区野川自宅前の月ぎめ駐車場・ナンバー:川崎301 す 7717・盗難対策:タイヤロック前後輪に使用 ●9月3日19時~9月6日16時 ・車種:平成14年式 レガシィB4(青)・場所:神奈川県 厚木市三田・ナンバー:春日井 500 そ 86・盗難対策:なし*アパート前露天駐車場に駐車、数日間運転しなかった間に盗まれました ●9月8日未明から朝 ・車種:日産 スカイラインGT-R(ブラック系)・場所:横浜市金沢区 集合住宅敷地内の駐車場・ナンバー:横浜 33 ぬ 9482・盗難対策:タイヤにチェーンロックを掛けていた ■旧車およびネオクラシックオーナーは早急に「本気で盗まれないための対策」を! わずか3か月弱で未遂1台含む15台が盗難されているが、気になるのは『盗難対策:なし』が目立っていることだ。 またタイヤロックやハンドルロックなどを装備していても、実際はほんの数分で切断される(時間稼ぎにはなると思われるが)。 盗む方が悪いのは当然だが、盗まれやすい旧車のオーナーは、一刻も早く「本気で盗まれないための対策」をする状況にあることは間違いない。 特にスカイラインやスープラ、RX-7など人気の旧車スポーツカーにはお金がかかっても(20-30万円前後)、誤報ゼロのカーセキュリティを装着することをお勧めしたい。 たしかに痛い出費だと思うが、必要経費と割り切り、決断するときだと思う。 取り急ぎ何かやっておきたい、という場合はアップル社のエアタグなどを応急的に取り付けておくのもよいだろう。 神奈川県が急増している理由は・盗難多発の千葉、茨城、埼玉、愛知、三重の5県で導入されている『ヤード条例』が施行されておらず、解体ヤードに関する規制がとても緩い。・これまで旧車盗難がほとんどなく、盗難対策をせず簡単に盗める旧車が豊富 等が考えられる。スカイライン、80スープラのオーナーは特に注意してほしい。 ■9月12日夜に「国産スポーツカー窃盗未遂で男二人逮捕 神奈川県」の報道 [9月12日追記]なお、この原稿を書き終わった後、9月12日夜に「国産スポーツカー窃盗未遂で男二人逮捕 神奈川県」のニュースが流れた。 報道によると暴力団関係者と無職の男2名は6月以降、スープラやスカイラインなど合計20台(被害総額は1億円超)を盗んだとのことである。 自動車窃盗における検挙率は盗難の多い関東地方の場合、平均して3割前後。 旧車はさらに低いが、よく逮捕されたものだ。 [車両写真:自動車盗難情報局(jidoushatounan.com)から引用、画像/Adobe Stock、ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]
クルマを譲り受けたときは、車の名義変更をしなければなりません。この名義変更には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、名義変更にかかる費用や自分で名義変更する方法について解説します。名義変更をするときの参考にしてみてください。 クルマの名義変更にかかる費用 車の名義変更の費用は、車庫証明の取得費用やナンバープレート代などです。ここからは、名義変更に必要な手続きの費用について解説します。 【車庫証明書】2,500円前後 車庫証明は、車の保管場所を証明する書類です。手続きは、管轄の警察署で行います。車庫証明の取得費用は、各都道府県で若干の違いがあるものの、おおよそ2,500円です。内訳は、申請時の手数料が2,000円程度、車庫証明を受け取るときの保管場所標章手数料が500円程度です。また、軽自動車の場合は500円ほどの手数料がかかります。 【ナンバープレート代】1,500円前後 ナンバープレート代は約1,500円です。ただし、この金額はペイント式のものとなります。自光式の場合は3,000円程度、希望ナンバーの場合は5,000円程度の費用がかかります。詳しくは管轄する運輸支局に問い合わせてください。 代行手数料 クルマの名義変更手続きを行政書士やディーラーなどに依頼すると、代行手数料が発生します。金額は依頼先によって異なり、料金設定が低い業者に依頼すれば、クルマの名義変更にかかる費用を抑えられます。 また、依頼先によって対応範囲も異なるため、それぞれの費用や特徴を把握しておきましょう。ここでは、依頼先ごとの代行手数料の費用について解説します。 行政書士 行政書士に名義変更を依頼した場合、代行手数料は1万〜2万円程度です。別料金で、下記のような名義変更以外の手続きも依頼できます。 サービス内容 料金相場 車庫証明書の申請・受取代行 5,000~1万5,000円程度 車庫証明申請書類作成代行 2,000~4,000円程度 希望ナンバー申込代行 3,000円程度 出張封印 8,000円程度 出張封印とは、クルマを運輸支局に持ち込まずに名義変更を行うことです。本来、普通車の名義変更は運輸支局内で新ナンバープレートを封印してもらわなければならないため、クルマを持ち込む必要があります。 国土交通大臣から委託を受けている行政書士であれば、封印の取り付けを依頼できるため、運輸支局にクルマを持ち込む必要がありません。 自宅の車庫や勤務先の駐車場などでナンバープレートを封印してもらえるため、手続き当日でもクルマを使うことが可能です。通勤によりクルマを預けられない場合は、出張封印も行っている行政書士に名義変更を依頼するとよいでしょう。 ただし、すべての行政書士が出張封印に対応しているわけではありません。出張封印を希望する場合は、対応している行政書士に依頼しましょう。 ディーラー ディーラーに名義変更を依頼した場合の費用は、3万〜6万円程度です。ディーラーでは、車庫証明書の取得や申請書類の作成も行っています。 クルマの購入と同時に依頼すれば、スムーズに手続きできるため、乗り換える予定がある場合はディーラーに依頼するとよいでしょう。 ただし、輸入車ディーラーの場合は6万円以上かかる可能性があります。メーカーや会社によって料金設定が異なるため、事前に問い合わせましょう。 自動車販売店や整備工場 自動車販売店や整備工場の名義変更の費用相場は、2万~3万円程度です。ディーラーと同様に、車庫証明書の取得や申請書類の作成も代行してもらえます。 ディーラーより費用を抑えられるため、中古車の購入や売却、車検などのタイミングで代行を依頼するとよいでしょう。 自動車環境性能割 環境性能割は、クルマを譲り受けたり購入したりしたときに納める税金です。税率は、そのクルマの環境性能によって異なり、取得価額の1%〜3%(乗用車の場合)となります。ただし、取得価額が50万円以下の場合には課税されません。 なお、自動車税環境性能割の税額は「自動車税環境性能割 税額検索サービス」にて検索できます。型式指定番号や類別区分番号が必要なため、手元に車検証を用意して調べましょう。 クルマの名義変更の代行依頼の判断ポイント クルマの名義変更の代行依頼には費用がかかるため、下記の観点から依頼するかどうかを慎重に判断しましょぅ。 ・スムーズにクルマの名義変更を行いたいかどうか・手間を減らしたいかどうか・平日の日中に手続きに行けるかどうか クルマの名義変更は、所有者が変わってから15日以内に手続きしなければなりません。また、運輸支局や軽自動車検査協会の受付時間は、平日の9時〜16時頃までです。 15日を過ぎると50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、期間までに手続きできない場合は、代行を依頼しましょう。 参考:道路運送車両法「第13条」「第109条2項」 一方、下記の場合は自分でクルマの名義変更を行うことをおすすめします。 ・クルマの名義変更にかかる費用を抑えたい・平日の日中に手続きする時間がある 自分でクルマの名義変更を行えば、4,000円程度で手続きが可能です。ただし、手続き方法が難しいと感じたり必要書類をスムーズに揃えられなかったりするケースもあります。 自分の状況に合わせて、クルマの名義変更の代行を依頼するか判断しましょう。 クルマの名義変更を自分で行う方法 名義変更する際、必要書類を揃えて普通車は「運輸支局」、軽自動車の場合は「軽自動車検査協会」で手続きします。 スムーズに名義変更するためにも、手順や必要書類を把握しておきましょう。 続いて、クルマの名義変更を自分で行う際の手順や必要書類を解説します。 手順 クルマの名義変更を自分で行う際の手順は、下記のとおりです。 1.保管場所を管轄する警察署で車庫証明書を取得する2.ほかの必要書類を揃える3.クルマを運輸支局に持ち込む4.「自動車検査協会」の窓口で手数料分の印紙を購入する5.「登録事務所」の窓口に必要書類を提出する6.名義変更後の車検証を受け取る7.「自動車税事務所」の窓口で税申告をする8.「ナンバーセンター」の窓口でナンバープレートを返却する9.新ナンバープレートと封印を受け取る10.敷地内の「封印取付場」でナンバープレートを封印してもらう クルマを持ち込むのは、新所有者の住所(使用の本拠の位置)を管轄する運輸支局です。たとえば、旧ナンバープレートが練馬ナンバーでも、新所有者が足立区に住んでいる場合は足立ナンバーを取得する必要があるため「足立自動車検査登録事務所」に出向かなければなりません。 また、ナンバープレートの4桁の数字を指定したい場合は、事前に希望ナンバーを申請する必要があります。希望ナンバーは、取得できるまで1週間程度かかるため、余裕を持って予定を立てましょう。 中でも「・・・1」や「・777」、「8888」などの人気ナンバーは、毎週月曜日に行われる抽選で当選しなければ取得できません。 抽選ナンバーに該当するかどうかは、こちらのページで確認できます。希望番号・図柄ナンバープレート申込サービス「抽選対象希望番号照会」 必要書類 クルマの名義変更を自分で行う際の必要書類は、下記のとおりです。 ■事前に揃える書類・車検証・車庫証明書・新所有者の印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内・旧所有者の印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内・譲渡証明書・委任状 ■運輸支局で当日に入手する書類・申請書(第1号様式)・手数料納付書・自動車税申告書 参考:国土交通省 東北運輸局「自動車の名義変更や住所変更はどのようにすればよいですか?」 譲渡証明書と委任状には、旧所有者の実印の押印が必要です。代理人に手続きを依頼する場合は、旧所有者に加えて新所有者の実印の押印が必要なことにも留意してください。 申請書や手数料納付書は、運輸支局にある記載例を参考に作成しましょう。 また、書類に不備がある場合は手続きを受け付けてもらえません。2度手間になるため「必要書類が揃っているか」「実印がはっきり押印されているか」など、チェックしてから運輸支局に出向きましょう。
■第3回 ~アルミ弁当箱協会のこれから~ どうも!「日本アルミ弁当箱協会」会長のマツド・デラックスでございます。 「旧車王」に連載3回目となりました今回は、「アルミ弁当箱協会のこれから」を熱く語らせていただきます! ■コレクターはアーティストにはなれないと気づく 今年の「ノスタルジック2DAYS」や「アメイジング商店街」そして有楽町マルイでの「のなかみのると仲間たち」に参加させていただき、改めて認識したことがありました。 それは「コレクター」は「アーティスト」にはなれないということです。 人によっては当たり前のことかもしれませんね。 「何を今さら?」と思われても不思議ではないかもしれません。 私はとこかで勘違いをしていたところがあったと思っています。 「他人のやっていないことをやるのだから・・・・的な考え」がそう思わせたのかもしれません。 しかし、本物の「アーティスト」の方たちに囲まれたときに、ちっぽけなプライドがすっ飛びました。 ■コレクターを極めようと決めた日 コレクターを極めるために、ただひたすら「アルミ弁当箱」を集める・・・。 それでは「日本アルミ弁当箱協会」などという団体を作っても意味がないのです。 そこには、旧車の不人気車を愛するような愛情と、「その子たち」をどうやって後世に伝えるかということも使命のひとつだと思っています。 アルミ弁当箱から伝わる世相や歴史観について「アルミ弁当箱コレクターだから発信できること」がたくさんあると思っています。 「日本アルミ弁当箱協会」を通して、斜めからの角度で独特の方法で伝えることが「コレクターの極み」ではないかと再認識しました。 ■昭和の伝道師に俺はなる! 「旧車王」が自動車文化を通して「昭和」を伝えていくよう、これからの「日本アルミ弁当箱協会」はアルミ弁当箱を通し「昭和」の文化や世相を伝えていきたいという想いがあります。 いつの日か「アルミ弁当箱ミュージアム」を作り、これまではスポットライトが当たることなく消えて行くものから新たな力を生み出し、皆さまに少しでもお役に立つような「昭和の伝道師になりうるコレクター」になりたいと思います! ■今回の斜めから見た旧車「パルサーエクサ(1982年)」 さてまたまたやってきましたこのコーナーは、本当に無理矢理アルミ弁当箱からの「斜め」から見た旧車コーナーです。 今回は「パルサーエクサ」です。 ではなぜ今回「パルサーエクサ」なのか? それにはあるアルミ弁当箱が関係しています。そのアルミ弁当箱とは?1977年に放映された「ジャッカー電撃隊」です! こちらに描かれている「スペードマシーン」。 もう旧車王の読者の皆様にはベース車両が何かおわかりでしょう。 そうです!秀逸のデザインで未だに根強い人気を持っている「フィアットX1-9」です。 また個人的な話になってしまいますが、私も「1300」と「1500」の2台所有したことがあります(無類のタルガ好きです)。 特撮車両になっても、ほとんど手を加えることがなかった斬新なデザインがたまりませんでした。 それから5年後「パルサーエクサ」が発売となります。 そのときに私は「ジャパニーズX1-9」といった佇まいにときめき、日産のディーラーにカタログをもらいに行ったことを覚えております。 ジャッカー電撃隊のスペードマシーンから「パルサーエクサ」を紹介するという暴挙と妄想をお許しください。 それほどこの「エクサ」は当時の日本車としてはぶっ飛んだ1台だったので、アルミ弁当箱とコラボさせて頂きました! こんな感じで「ゆる~く」また旧車を紹介していきますのでよろしくお願いいたします。 そしてここでお知らせを・・・・・。 私のコレクター本「アルミ弁当箱図鑑 マニアック編」が9月1日からアマゾンにて予約開始となりました。発売は9月17日です。 オールカラーの100ページに様々なジャンルのアルミ弁当箱を詰め込んでおります。是非、読んで頂ければありがたいです!よろしくお願いいたします。 ◎アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) 単行本 – 2022/9/17https://www.amazon.co.jp/dp/4907061471/ [撮影/ライター・マツド・デラックス(山本圭亮)]
2007年に登場したフェアレディZ バージョンNISMOは、2002年から2008年まで発売されていたZ33フェアレディZの限定モデルです。NISMOとオーテックが手を組んで開発し、当時の日産モータースポーツシーンを象徴するモデルでした。今回は、そんなフェアレディZバージョンNISMOの特徴と中古車相場、リセールバリューについて解説します。 日産車カスタマイズを司る“両雄”がタッグを組んだスペシャルモデル 2007年のマイナーチェンジと同時に発売されたのが、フェアレディZバージョン NISMOです。「バージョンNISMO」「バージョンNISMO タイプ380RS」「バージョンNISMO タイプ380RS コンペティション」という3種類のモデルが発売されました。いずれもニスモとオーテックジャパンが共同開発しており、モータースポーツのノウハウが詰め込まれたモデルです。 日産のモータースポーツ参戦と車両開発を担ってきたNISMO(ニスモ)と、日産車向けのカスタマイズパーツを開発・販売してきたオーテックジャパン。フェアレディZ バージョンNISMOは、そんな日産車カスタマイズを司る“両雄”がタッグを組んだスペシャルモデルなのです。 バージョンNISMO 3種類の限定モデルの中でも新車価格が低く、タマ数も多いことから一番入手しやすいモデルが「バージョンNISMO」です。新車販売当時の価格は、449.4万円でした。ノーマルモデルからの変更点はレイズ製鍛造アルミホイール、専用剛性アップボディ、専用サスペンション、YAMAHA製のパフォーマンスダンパーです。 内装に関しても、本革 / アルカンターラのコンビシートのほか専用装備を数多く搭載しています。本革巻ステアリングホイール、シフトノブ、パーキングブレーキレバー、ドアトリム、コンビネーションメーターなど、分かりやすい派手さはないものの、質感と走行性能を向上させるパーツが採用されています。 エンジンはノーマルモデルと同様ですが、同時に行われたマイナーチェンジによりVQ35DEからVQ35HRへ変更されました。出力は初めて300psを超え、313ps / 6,800rpm、36.5kgm / 4,800rpmの数字を誇ります。 VQ35HRはVQ35DEを高回転型に再設計しており、そのフィーリングは別物です。VQ35HR搭載のフェアレディZは販売期間が短く、市場に出ている数が少ないため、ハイパワーNAが好きな方にはおすすめのエンジンです。また、VQ35HRに変更されたことでボンネットに膨らみがあるため、VQ35HR搭載モデルであることを一目で見分けることができます。 空力についてはノーマルとは大きく異なっており、専用エアロパーツを装備することで、cd値0.30という当時としては世界最高水準の空力性能を実現しました。これにより、市販車では珍しいマイナスリフトを達成しています。 また、ノーマルでは「乗り味が大型の高級車のよう」といわれていましたが、専用サスペンションとボディ剛性の強化によりスポーツモデルらしい機敏さが加わりました。 レース仕様エンジン搭載モデルも市販化 2022年は新型RZ34フェアレディZの発売とGT500クラスへの参戦が話題ですが、Z33も全日本GT選手権 GT500に参戦した実績をもちます。 R34型スカイラインGT-Rに代わり、2004年から2007年まで参戦しました。中でも有名なザナヴィNISMO Zは、デビューイヤーである2004年の第1戦TIサーキット英田と、第6戦オートポリスでも優勝するなど安定した強さを発揮。2004年だけではなく、続く2005年にはモチュール ピットワーク Zと共にもNISMOとして2年連続のチームチャンピオンに輝きました。 そんなZ33フェアレディZのレーシングスピリットは「バージョンニNISMO タイプ380RS」と「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」の二つの限定車で体感できます。 バージョンニNISMO タイプ380RS 「バージョンニNISMO タイプ380RS」はレース専用車両である「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」をデチューンした公道使用モデルです。新車当時の価格は539.7万円で、冒頭に紹介した「バージョンニNISMO」よりも高額なものの、レーシングカーの性能を公道でも味わえる魅力的な一台です。 モデル名にある380は排気量を表し、エンジンは3.5Lから3.8Lにボアアップされています。鍛造ピストン、強化コンロッド、プロフィールやバルブリフト量が見直されたカムシャフトなどに変更され、最高出力350ps / 7200rpm、最大トルク40.5kgm / 4800rpmを発生。レスポンス良くどの回転域からでも胸のすくような加速が得られる感覚は、大排気量NAエンジンの醍醐味です。 バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション 「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」は、スーパー耐久などのレース専用車両で、プライベーターのレースドライバー向けに販売されました。受注生産のみで、価格は2,625万円と驚愕の金額です。しかし、NISMOのレーシングカーをそのまま購入できる「夢のクルマ」といえます。 「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」に搭載されるエンジンは3.8Lのレーシングエンジンです。MOTEC社製の専用ECMを採用し、最高出力400ps以上、最大トルク43.0kgm以上を発生します。 その他にも、6速クロスミッション、強化クラッチ、メカニカルLSD、ブレンボ社製6ピストンキャリパーと380mm大径ローターを装備。また軽量化のためにドアやボンネットなどにカーボンファイバー、ドアおよびバックドアのウインドウにポリカーボネートが採用されています。 さらに、ロールゲージやバケットシート、セーフティハーネス、消火器、カットオフスイッチ、95L安全燃料タンクなどの安全装備を装着しており、車両購入後すぐに実戦レースへ参加可能な仕様に仕上がっています。 まさに「レーシングカー」そのものであり、中古車市場では滅多に見かけませんが、モータースポーツ好きには憧れの一台です。 日産フェアレディZ バージョン NISMOの中古車市場 フェアレディZ バージョンNISMOの中古車相場は138万円から338万円で、流通量は少ないものの状態の良い車両が多いです。限定車の割には価格が高騰していませんが、今後は純ガソリンエンジン車の減少、大排気量NA車の減少に伴い、価格の高騰が見込まれます。購入を検討している方は早めに市場をチェックするといいでしょう。 300台限定のフェアレディZ バージョンニNISMO タイプ380RSはさらに流通量が少なく、2022年8月時点では589万円で販売されています。新車価格を超える金額となっており、今後も値段が下がることは考えにくいでしょう。 そして、旧車王におけるフェアレディZ バージョンNISMOの買取価格は約180万円で、300台限定のバージョンニNISMO タイプ380RSは最大455万円の値がついています。ファンが多いNISMO限定車は驚くほど高い買取額が提示されるケースもあり、売却を考えている方は、一度査定に出してみるといいでしょう。 まとめ 日産 フェアレディZ バージョンNISMOは、性能アップしたVQエンジン搭載モデルやレーシングエンジンを搭載したコンペティションモデルをはじめ、当時の日産モータースポーツを象徴するモデルです。 R34スカイラインGT-Rが2002年に生産を終了し、2007年にR35GT-Rが登場するまでの6年間は、フラッグシップスポーツカーが存在しない時代でした。NISMOとオーテックが手を組み開発したフェアレディZ バージョンNISMOは、そのすき間を埋める存在であると同時に、日産の歴史に残る名車なのです。
初代ランサーのスポーツグレードが、三菱 ランサー 1600GSRです。特徴的な丸目ヘッドライトを採用した個性的なスタイリングで、小型車ながら高い戦闘力を秘めたランサー 1600GSRは、三菱の綿密な戦略によって生み出されました。後に三菱を代表する“ランエボ”にもつながるランサー 1600GSRの魅力と実力を詳しく見ていきましょう。 三菱の戦略で誕生したランサー 1600GSR ランサー 1600GSRは、1973年に登場した初代ランサーのスポーツグレードです。しかし、単にベース車両から派生したモデルではなく、もともと開発陣がランサーとして目指していた姿を体現したモデルでした。 ライバル他社に遅れをとらないよう、明確な戦略をもって投入された三菱 ランサー 1600GSRの歴史を紐解きます。 群雄割拠の1.5Lクラスに投入されたランサー 1973年2月にデビューしたランサーシリーズは、席の空いていたスモールセダンクラスを埋めるために開発されたモデルです。そのため、発売当初は大衆車としてファミリーユースを意識したラインナップになっています。 しかし、1970年代当時、このクラスはかなりの激戦区で、トヨタのコロナや日産のブルーバードなど強力なライバル車が先行している状況でした。 後発となる三菱としては、よりインパクトの強い車種の投入が必須で、若年層を意識した安価で高性能かつ、スポーティーなモデルを開発当初から目指すことになります。そこで、ベースモデルの発売からわずか7ヶ月後の1973年9月に投入されたのが、ランサー 1600GSRです。ラリー競技を念頭に開発された高性能エンジンを搭載し、当時としてはずば抜けた動力性能を発揮しました。 ライバルと違う道を目指したことで個性を発揮 1.5Lクラスで遅れをとっていた三菱にとって、ランサーは切り札ともいえる車種でした。そこで、三菱はラリーへの参戦というライバルメーカーとは違う宣伝戦略をとります。ラリーは世界的にも人気が高かったことと、サーキットを走るライバル車とあえて異なる道を選ぶことで差別化を図りました。 ランサー 1600GSRは、開発段階からラリーへの参戦を意識してつくられました。。結果的にこの戦略は奏功し、モノコックボディは剛性が高く、足回りもオーソドックスな構成ながら信頼性の高いものに仕上がりました。 ラリーでとにかく強かった ランサー 1600GSRは、市場投入後すぐにその力を発揮します。1973年10月開催のサザンクロスラリーに5台の1600GSRを送り込み総合優勝を勝ち取るとともに、4位までを独占するという輝かしい結果を残しました。 さらに、翌年の1974年にはサファリラリーで総合優勝、サザンクロスラリーも2年連続で制覇。この後1976年にかけてサザンクロスラリー4連覇、サファリラリー3連覇を達成しラリー界を席巻しました。 無敵の走りを見せていた1600GSRですが、オイルショックの影響で三菱はモータースポーツからの撤退を余儀なくされます。しかし、過酷なラリーで結果を残し続けてきたことで、走行性能だけではなく高い信頼性を世界にアピールすることに成功したのです。 大衆車なのにスポーツカー並の性能と装備 1600GSRはベース車両が大衆車と思えないほど、強力なエンジン、高いボディ剛性、魅力的な内外装を備えた完成度の高いクルマでした。 三菱開発陣の高い技術力はもちろん、こだわりがつまっていることがよく分かります。スポーティというよりも、スポーツカーともいえる1600GSRの特徴を見ていきましょう。 高いエンジン性能とボディ剛性 ランサー 1600GSRがベース車両と大きく異なる点はエンジンです。「サターン」のニックネームで呼ばれる4G32型4気筒SOHCエンジンは、9.5まで高めた圧縮比とツインキャブレターによって最大出力110ps/6,700rpm、最大トルクは14.2kgm/4,800rpmを発生。800kgほどの軽量な車体を、最高速度175km/hまで加速させます。 ラリー参戦を見据えて開発された完成度が高いボディも1600GSRの特徴の1つです。前後の頑丈なボックスセクションをボディ中央のトルクボックスでつなぐレイアウトは、ボディのねじり剛性を飛躍的に高めるとともに、高い衝突安全性も実現しています。 スポーティにまとめられた魅力的な内外装 曲線を多用したロングノーズショートデッキのスタイリングは、スモールセダンながら格上のスポーツカーを思わせる仕上がりです。さらに、丸目のヘッドライトと縦型のコンビネーションランプなど、個性的なデザインは今見ても魅力的です。 内装も、3連の円形メーターにフロアシフトを装備するなど、一貫してスポーティにまとめられ、当時の小型車としては先進的なデザインでした。 ランサー 1600GSRの成功が無ければ“ランエボ”は誕生しなかった!? ランサー 1600GSRは、三菱のラインナップをただ埋めるのではなく、先行するライバル車に打ち勝つために開発され、見事に三菱の目的を達成しました。ランサー 1600GSRの成功がなければ、その後のランサーエボリューションの開発もなかったかも知れません。 個性的なボディデザインと高い走行性能を誇る魅力的なランサー 1600GSRをぜひ手に入れたいところですが、残念ながら大手中古車サイトでも中古車両は見つかりませんでした。ただし、別グレードとなる1977年式ランサー GLでも398万円もの価格がついているため、万が一1600GSRが市場で見つかってもかなりの高額になることが予想されます。 どうしても手に入れたい方は、旧車専門の中古車店などで広くアンテナを張って根気強く探す必要がありそうです。 ※中古車相場は2022年8月原稿執筆時
愛車との付き合い方は千差万別である。 多くのユーザーは購入したクルマを一定期間乗って買い替える、いわば「消耗品感覚」で接していることが大半である。 最近では、カーシェアやレンタカーを利用することで、愛車を持たないスタイルも出てきている。 この記事を読んでくださっているクルマ好きの皆さまは、愛車を文字通り「愛している」に違いない。 旧車オーナーに増えている複数台所有の現状 愛車との時間を長く、より密に、すべての情熱を注ぎたいと思っているだろう。 そして旧車に関しては「不必要な消耗」を減らしたいというのが本音だと思う。 通勤や買物といった日常使いの多くは「不必要な消耗」と考えても良いと思っている。 無駄に(あえてこのように表現するが)増えてしまう走行距離、買物先での駐車中のトラブル・・・などなど。 現行車にとって、これらは大きなリスクにはならないが、旧車にとってはそうではない。 近年では外装部品はもちろん、走行に必要な部品も入手困難になっている車種も発生している。 そんな環境のためか、旧車オーナーのあいだでは複数台所有の方が増えているそうだ。 今回実際に複数所有オーナーたちの話も交えメリット•デメリットを紹介していきたい。 メリット-1:気分や目的に合わせて選べる! 多くの複数台所有オーナーは、違う車種やジャンルのクルマを所有していることがほとんどである。 ・走りを楽しむクルマ・快適に出かけるためのクルマ・アウトドアレジャーを楽しむクルマ・お買い物や通勤と機動性の高いクルマ・・・などなど 筆者の周りにいる複数台所有のオーナーはそれぞれ好みの車種選定を行っているため、その日の目的や気分に合わせて選び出かける楽しみがある。 ごく稀に、同一車種や同一ジャンルのクルマを複数台所有するオーナーもいる。 すべて同じクルマだと一般ユーザーからは思われることもあるそうだ。 しかし実は、ミッションやエンジンなど仕様が異なっているため、オーナーはその日の気分で選び、違いを楽しみ乗っていることもあったりする。 これはかなりのツワモノである(笑)。 メリット-2:クルマとおサイフへの負担を分散 一台のクルマで通勤、買い物、レジャーと使用していた場合、自ずと走行距離は増えてしまう。 特に通勤で使用すると、驚くほど走行距離は増えていく。 ハイオク指定や、燃費の悪いクルマに乗っているとガソリン代とダブルパンチだ。 筆者の友人がスポーツカーばかり所有していたとき、その一台でサーキット走行から買い物、アウトドアレジャーまですべての用事をこなしていた。 燃費があまり良くなく、高速を使用しても燃費は10km/Lに届かないと聞いて驚いたことがあった。 さすがに燃費の悪さと消耗品の交換頻度を考慮して、中古の軽自動車を導入した。 驚いたことに、中古の軽自動車を導入した結果、浮いたガソリン代で維持費が賄えたとのことだった。 元々運転が好きな友人なので、購入した軽自動車はMTを選択し、操る楽しさも妥協せずガマンしないカーライフを送っている。 メリット-3: 壊れた時の救世主⁉自己代車利用 旧車オーナーにとっての悩みは愛車の急な故障だったりする。 故障とまではいかなくとも不調がある場合、無理に動かし悪化はさせたくないものだ。 過保護でなくとも、気候によっては稼働させたくないこともあると思う。 だからといって、カーシェアやレンタカーが普及したとはいえ、都度借りるのは面倒であり、急用の際は手間が気になる。 しかし、愛車が増えることにより、不安や手間もなんと解消されるではないか! 急な故障だけでなく、長期にわたる大がかりなレストアや修理の際も代車を用意してもらう必要もない。 「余計な心配をせずに作業に専念できること」は、旧車趣味を楽しむオーナーにとっては実は大事なことだと筆者は思う。 デメリット-1:クルマの数だけ増える備品 クルマの備品のなかで1番かさばるものは何か?と考えた際、真っ先に思い浮かぶのはタイヤである。 多くはスタッドレスタイヤだったり、サーキット走行を楽しむ人は走行用のタイヤだったりする。 筆者の場合、スタッドレスタイヤが3台分あるため、置き場所をどうにか工面している。 旧車オーナーとしてはストックパーツを持っている方も多いかと思う。 周りにいる旧車オーナーは多かれ少なかれ何かしらのパーツを保管していると聞く。 小物もあれば外装パーツといった大物部品もあり、予防整備で交換した際に元々装着されている部品を予備として残しておくケースもある。 メインの愛車だけで済めば良いのだが、複数台所有しそれぞれの部品が増えだすと置き場所で困るのは筆者の実体験である。 部品単体で置いておくと邪魔で仕方ないため「動く部品取り」としてもう一台同車種を所有する友人がいる。 しかし友人はその車種が好きでたまらないので、結局は「動く部品取り」もきれいにしてしまったのである(笑)。 デメリット-2:乗るのに準備が必要!? 所有する愛車を自宅に置くことができる環境であれば理想的だ。 屋根付きガレージであればベストだろう。 さらに、並列に駐車できる環境であれば最高だが、なかなかそこまでの条件をクリアするのは難しいことも多い。 一軒家で自宅に複数台止められるお宅でも、縦列で止めるスタイルが多いと思う。 その場合、乗りたいクルマを出しやすいように並べ替えが必要になる。 また、駐車場を借りている場合は入れ替えに行かなくてはならない。 乗る頻度が少ない場合、保護のためのボディカバー、バッテリー上がりを防ぐためにバッテリー端子を外す対策も必要になる。 この手間に関して一番の解決策は、日頃こまめにローテーションで乗ることである。 まとめ:あると便利で心強い存在! 旧車オーナーにとって一台の愛車に全力で愛情を注ぐことは素敵なことだと思う。 その愛車と末永く過ごすためにも、さらに愛車を増やすことで、一台にかかる負荷を分散させるメリットがある点をご理解いただければ幸いである。 実は筆者自身、最近新たに軽自動車を手にすることになった。 旧車といえる年代の軽自動車だが、この機動力の高さに驚いている次第だ。 一般的に複数台所有は理解されがたいこともあるが、可能であれば新たなクルマの楽しみや驚きにも触れられるので、ぜひおすすめしたいと思っている。
レーシーにまとめられた専用の内外装に、強化されたエンジンと足回り。ホンダスポーツモデルの最高峰グレードであるTYPE-Rは、そのままサーキットを走れるほどのスペックを備えていました。特にインテグラとシビックは、TYPE-Rの代表車種として多くのファンを獲得しています。今回はインテグラとして最終型となるDC5型、ほぼ同世代にリリースされたFD2型シビック、2つのTYPE-Rの魅力に迫っていきましょう。 ホンダスピリッツを体現したTYPE-R TYPE-Rは、取り扱いやすさを求める一般向けで実現できなかったクルマ本来のポテンシャルを極限まで高めたモデルです。もともと高性能なスポーツモデルの車両をさらにチューニングすることで、最高峰のスポーツグレードに仕上げられています。 初代NSXに設定されたTYPE-R 初めてTYPE-Rが登場したのは1992年で、初代NSXの最上位スポーツグレードとして設定されました。もともと国産スーパーカーという位置付けで高性能だったNSXを、各パーツの徹底的な見直しによって120kgも軽量化されています。さらに、サスペンションのセッティングに加え、クランクシャフトやピストンといったエンジン内部にまで手を入れ、徹底的なハイパフォーマンス化が図られました。 TYPE-Rの両雄となったインテグラとシビック 初代TYPE-RとなったNSXの成功によって、TYPE-Rシリーズはインテグラとシビックにも展開されます。NSX TYPE-Rは高価な車両価格と希少な生産台数から、手にする人は限られていました。しかし、インテグラやシビックという大衆モデルで採用されたことで、TYPE-Rの名は一気に広まります。 クーペ、ハッチバックとそれぞれボディ形状は異なりますが、ホンダを代表するスポーツモデルをさらにスポーティに仕上げ、TYPE-Rはホンダファンのみならず多くのスポーツカーファンの人気を獲得しました。 世界最速FFと呼ばれたDC5型インテグラTYPE-R 世界最速FFの称号を得た先代DC2型からモデルチェンジしたDC5型TYPE-Rは、安全性能の見直しなどでやや大型化したものの、インテグラTYPE-R特有の軽快なハンドリング性能は継承されています。 エンジンや足回り性能のみならず、内装も走ることに特化したDC5型インテグラTYPE-Rも、やはり世界最速FFでした。 TYPE-Rのために開発されたDC5型 2代目インテグラとなるDC5型インテグラは、TYPE-Rの設定を前提に開発されています。また、プレリュードが廃止されたことにともない、ボディサイズは3ナンバーサイズに拡幅されました。 ボディタイプは3ドアハッチバックのクーペスタイルを採用。スポーツカーらしいクーペスタイルながら、ハッチバックで高い利便性も確保されています。 装備面の強化によって車重増をカバー 広い車内空間の確保と安全性能の強化により、車両重量は100kgほど重くなってしまいます。しかし、専用チューニングされたKA20型は220psを発生し、ホンダ初となるブレンボ製ブレーキを備えるなどエンジン性能や装備面では先代DC2型を上回っていました。 しかも、これだけのハイスペックエンジンを搭載しながら、12.4km/Lという低燃費も実現しています。 魂をくすぐられるレーシーな内装 「TYPE-R」のロゴがあしらわれたチタン製シフトノブや、チタン色のメーターパネルとペダル類から受ける印象は、まるでレーシングカーのコックピットを思わせるものです。専用に開発されたレカロシートに身を沈めれば、一気に気分が高まります。 スイッチ類やエアコンの吹き出し口もメーター同様の丸型に統一され、余計なスイッチ類は極力排除したシンプルなデザインです。 高級感ある4ドアセダンとなったFD2型シビックTYPE-R DC5型インテグラの販売終了後に登場したのが、FD2型シビックTYPE-Rです。高い性能もさることながら、4ドアセダンとしたことで居住性や使い勝手が向上しています。そして、TYPE-Rの称号にふさわしく、トルク感応式LSDやブレンボ製ブレーキキャリパーといった走行性能に直結するパーツを採用しているのが大きな特徴です。 重厚感のある4ドアモデル 歴代シビックのTYPE-Rは3ドアハッチバックで展開されてきましたが、FD2型シビックでは初めて4ドアセダンタイプを採用。また、全幅も3ナンバーサイズの1,770mmとなり、従来の軽量なイメージから重厚感のあるデザインに変わりました。 さらに、見た目だけではなくボディ剛性もDC5型インテグラTYPE-Rから50%も向上し、さらなる応答性と安定感が加えられました。 さらに高出力化されたKA20型VTECエンジン FD2型シビックTYPE-Rに搭載されたのは、DC5型と同型のKA20型です。最高出力は220psから225psにまで高められ、もともと専用チューニングされていたエンジンをさらにファインチューニングしたことで、回転域によっては10ps以上の出力向上を果たしました。 また、ピークトルクの発生も7,000回転から6,100回転に引き下げられていることに加え、0.9kgf・m向上していて、大柄な4ドアボディをストレスなく引っ張ります。 先進のコックピットが演出する高揚感 FD2型シビックTYPE-Rのコックピットデザインは、DC5型インテグラと大きく異なります。すべてのメーターをアナログメーターでまとめていたインテグラに対して、デジタルメーターとアナログメーターを融合させた先進のデザインでした。 スポーツドライビング時にもっとも気になるタコメーターは、視認性の高いアナログメーターを中央に配し、上部にデジタル表示のスピードメーターが配置されています。さらに、最適なシフトタイミングやVTECの作動状況が視認できる各種インジケーターもデジタルパネル部分にまとめられており、先進性を感じるコックピットになりました。 また、シートはTYPE-R用に専用開発されたオリジナルシートで、内装と統一された赤と黒のカラーリングはドライバーに高揚感を与えます。 高く甲乙つけがたい2台のTYPE-R インテグラとして最終型となったDC5型TYPE-Rと、4ドアモデルのFD2型シビックTYPE-R。発売年式が近いこともあり、この2車種はよく比較されますが、結論としてはどちらも優れたスポーツカーであることは間違いありません。 走行性能を追求して作り込まれたインテグラTYPE-Rは車重も軽く、FF車最速といわれる速さとハンドリングが楽しめます。一方で、4ドアによる高い居住性と安定性、先進のコックピットを誇るシビックTYPE-Rは、ファミリー層のユーザーにも受け入れられました。エンジンはどちらもKA20型を採用しているため、多くのアフターパーツも出ていてチューニングベースとしても最適です。 ホンダスピリッツが詰め込まれた、高い走行性能を誇る2台のTYPE-R。どちらを選んでも決して期待を裏切りません。
ラダーフレーム構造にこだわり、硬派な本格クロカンとしての地位を築き上げたパジェロ。モデルチェンジを繰り返しても、最初の開発ポリシーは最終モデルまで受け継がれました。トヨタ ランドクルーザーと双璧をなす日本が誇るオフローダー、三菱 パジェロのこだわりと魅力に迫ります。 トラックベースの硬派仕様【初代:1982年~1991年】 マイナーチェンジを含めて9年もの長きにわたり、さまざまなモデルやエンジンを投入した初代パジェロ。三菱が世界に誇る看板車種となったパジェロですが、実は発売当初はあまり話題になりませんでした。しかし、本格クロカン車としてこだわって開発したことで市場のパイオニアともいえる名車となっていくのです。 あまり注目されなかった初代パジェロ誕生 初代パジェロが登場したのは1982年です。ノックダウン方式で生産していたジープに代わるモデルとして開発されました。後に本格クロカン車として三菱を代表する車種となったパジェロですが、当時は主力車種という位置付けではなかったため限られた予算で開発されます。 発売当初の販売台数は月間数百台程度だったという情報もあり、あまり注目されたクルマではありませんでした。 本格クロカンとして高い性能を誇ったパジェロ 初代登場時、パジェロは主力車種ではなかったものの、フレームやエンジンなど、三菱の開発陣はしっかりと作り込んでいました。結果的にクルマとしてのポテンシャルの高さがその後のパジェロ人気につながります。 まず、車体にはトラックでも使用されるラダーフレームを採用しました。ラダーフレームは構造がシンプルで信頼性が高く、堅牢なプラットフォームです。さらに、駆動方式をFRベースのパートタイム4WDとしたことで高い悪路走破性を実現します。 エンジンは4WD車として国産初となるディーゼルターボエンジンを搭載。発売翌年には145psを誇るG63B型2.0L 直列4気筒ガソリンターボエンジンも追加され、「国産クロカン4WD最速」とも称されました。 パジェロ旋風を巻き起こしたパリダカ パジェロが転機を迎えたのは、発売から5年後の1987年です。もっとも過酷なラリーとして知られるパリ・ダカールラリー(通称パリダカ)で、プロトタイプのパジェロを駆る篠塚建次郎氏が3位という成績を残します。その模様は連日NHKで中継されていたこともあり、瞬く間にパジェロ旋風が巻き起こりました。 また、バブル景気によるアウトドアレジャーブームの後押しもあり、最盛期には年間8万台以上の注文を記録しました。ここから、パジェロは本格クロカンとしての地位を確立していきます。 RVブームを巻き起こした歴史的モデル【2代目:1991年~1999年】 初代で確立した国産クロカン車としての地位をより強固なものにしたのが、2代目パジェロです。世界初の画期的な4WD機構やハイパフォーマンスエンジンを投入して基本性能を向上させたことで、RVブームの火付け役になるとともにブームを牽引する存在となりました。 初代の成功を背景にフルモデルチェンジ 2代目パジェロの登場は1991年です。バブル景気まっただなかでの登場でした。初代で評価の高かった本格クロカンとしての性能と乗用車としての乗り味を両立させた三菱開発陣の強いこだわりが詰め込まれたモデルです。 より多くのユーザーに、本格クロカンを届けたいという三菱の狙いは見事に的中しました。高まりつつあったRV車への人気に火をつけ、RVブームを巻き起こすきっかけとなる車種になりました。 また、より多くのユーザー取り込みを狙って、軽自動車規格のパジェロミニと1.1Lモデルのパジェロジュニアが投入されたのも2代目パジェロです。どちらも小型ながら本格的なつくりで高い人気を集めました。 世界初搭載のスーパーセレクト4WD 2代目パジェロに搭載された4WDは、世界初搭載となる「スーパーセレクト4WD」です。スーパーセレクト4WDは、フルタイム4WDとパートタイム4WDの長所を兼ね備えた仕組みで、時速100km/h以内なら2WDと4WDの切り替えをセレクトレバーで簡単に行えるという画期的な機構でした。 ハイパフォーマンスエンジン 2代目パジェロには、初代から出力を155psまで引き上げた6G72型 2,972 cc V型6気筒SOHC12バルブエンジンを投入しました。この6G72型エンジンは改良を重ね、最終的には最高出力を185psまで引き上げられるとともに、4代目パジェロでも使用される長寿命エンジンとなります。 また、モデル末期となる1997年には、3.5Lの6G74型が追加されました。最高出力は245psを発生しつつ、V型6気筒エンジンとして世界初となるガソリン直噴(GDI)を採用することで、高出力と環境性能を両立しています。 さらに、同年にハイパフォーマンスエンジンを搭載したパジェロエボリューションがラリーのベース車両として投入されます。搭載された6G74型V型6気筒3.5Lエンジンは、新開発の可変バルブタイミング機構「MIVEC」を採用し、当時の自主規制上限である280psを発生させました。 クロカン系から高級路線に変貌【3代目:1999年-2006年】 本格的な悪路走破性能をもちつつ、普段使用を意識した変化を取り入れてきたパジェロ。3代目へと進化する過程で、より使いやすさと快適性追求し、ラグジュアリー志向のSUVへと大きな転換点を迎えることになります。 初代発売から17年目の大幅な路線変更 1999年に登場した3代目パジェロは、高級路線へと大きな方向転換を図ったモデルです。国内では1997年に登場した高級クロスオーバーSUVのハリアーが大ヒット。世界中の自動車メーカーが、乗用車としての乗り心地や高級感を重視したクロスオーバーモデルに舵を切り始めていました。その流れを受け、パジェロも高級路線になったものの、本格クロカンとしての性格は色濃く残すことで、他社のクロスオーバーSUVとは一線を画す存在でした。 フレーム構造をモノコックベースに変更 3代目パジェロは、乗り心地を重視しフレーム構造が大きく変更されました。ラダーフレーム構造から、モノコックフレームにラダーフレームを溶接したビルトイン構造を採用。高級路線で内装を豪華にしたことや安全性の強化などの重量増の要因があるにもかかわらず、軽量なモノコックフレームとすることで、約100kgの軽量化を実現しました。 一方で、ビルトイン構造のためラダーフレームの堅牢さも確保されており、本格クロカンという矜持は維持しています。 より安定性と操作性の向上が図られたパワートレイン 3代目パジェロには、2代目パジェロの末期に追加された6G74 V型6気筒3.5Lエンジンが引き続き搭載されました。最高出力こそ220psとややおさえられているものの、制御の問題点を改善。高級車にふさわしく安定性が高められています。 また、2代目から搭載されたスーパーセレクト4WDも「スーパーセレクト4WDⅡ」に進化しました。センターデフをプラネタリーギアに変更し、前後トルク配分を33:67とリアよりとすることでオンロードでの操縦性向上が図られています。 改良を続けその魂を貫いた【4代目:2006年~2019年】 結果的にパジェロの最終モデルとなった4代目パジェロ。販売最終年には、特別仕様車「ファイナルエディション」を投入し、惜しまれつつその歴史に幕を閉じることとなります。 本格クロカンにこだわり続けた4代目 4代目パジェロは、3代目の高級路線を踏襲する形で開発されました。本格クロカンへのこだわりでもあった、ビルトイン構造のフレームやハイパフォーマンスエンジン、スーパーセレクト4WDⅡを軸にした駆動系にも改良が加えられています。 シャーシに関しては、ビルトイン構造を継承しつつ、高張力鋼板や構造用接着剤の使用によって、先代以上のボディ剛性を実現。高級車としながらも、最後までオフロードでの走破性にこだわりました。 販売最終年となる2019年には、「ファイナルエディション」として特別仕様車を投入しました。三菱がいかにパジェロを大切にしてきたかがうかがえます。 初代から一貫してこだわった高い基本性能 4代目パジェロには、252psを発生する6G75 V型6気筒3.8Lエンジンが搭載されました。さらに2010年には新環境基準をクリアしつつ、パジェロ史上最大トルクとなる45.0 kgf・mを発生する新型のクリーンディーゼルエンジンが投入されたことも注目したいポイントです。 走行性能についても、3代目から採用しているスーパーセレクト4WDⅡに加えてさらなる安定化を図る機能を装備しています。独立したブレーキ制御をおこなうアクティブスタビリティコントロール(ASC)とエンジン出力制御によるアクティブトラクションコントロール(ATC)を組み合わせたASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)を全車に標準装備しました。滑りやすい路面や急ハンドルでも安定した走行を実現し、クロカン車としての機能が向上しています。 時代を作り時代に飲み込まれたパジェロ 4代目パジェロは、初代を超える13年という長期間販売されました。しかし、2019年の4代目生産終了とともに、パジェロは37年の歴史に幕をおろすことになります。 市場がクロスオーバーSUVへシフトしていったことで、本格クロカンにこだわり続けたパジェロの存在感は徐々に薄れていきました。RVブームのきっかけとなり市場を作り出したパジェロ。しかし、最後はその市場の動向やニーズの変化に飲み込まれるという皮肉な形で生産終了となりました。 まとめ クロスオーバーSUVの台頭という波に飲み込まれたパジェロですが、中古車市場では現在でも人気の高い車種の1つです。 大手中古車サイトでは、年式の古いものであれば60万円台から販売されていますが、4代目最終モデルの低走行車なら600万円程度と幅広い価格で販売されています。 対して旧車王での買取価格を見てみると、走行距離113,700kmの1999年式2代目パジェロGEバンが55万円。そして、2019年式、走行距離25,200kmのファイナルエディションで400万円の値が付けられています。(2022年8月原稿執筆時) 一部の国産スポーツカーのように、非現実的な価格で取引されているわけではありません。しかし、25年以上前の年式でも400万円を超えるような中古車も販売されており、パジェロも全体的には徐々に相場が上がりつつあると言えます。 電動化や自動運転など、悪路走行とは別の性能が重視されているいま、今後パジェロのような本格クロカンモデルが新たに登場する可能性はほぼありません。そのため、ハイパワーなエンジンと堅牢なシャシーを備えた硬派な存在のパジェロは、今後その相場が上昇する可能性も十分にあるのです。