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「アルピナ」の商標権がBMWに譲渡されるというニュースが、2022年に話題になりました。アルピナ社はBMWと長年協力関係を結び、独自の開発でBMW車にひと味違う魅力を与えてきた自動車メーカーです。 規格外のハイパワーエンジンと独自の世界観をもつ内外装が魅力のアルピナについて、商標権譲渡の真相とともに詳しく紹介します。 BMW車の価値を高めるアルピナ 自動車メーカーのアルピナは、BMW車に新たな命を吹き込む開発を続けてきました。一方で、長年続いたBMWとアルピナの協力関係は、商標権の譲渡によって2025年に終了することがすでに発表されています。 アルピナが単なるチューニングメーカーでないことと、商標権譲渡の意図を振り返っていきましょう。 アルピナ車は自動車メーカー ドイツにあるアルピナ社は、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社という正式名称の自動車メーカーです。ベース車輌がBMW製であることからBMWの高性能モデルブランドと誤解されがちですが、独立した自動車メーカーとして開発や組立工程から独自で行っています。 最近のモデルこそBMWのラインで組み立てられていますが、かつてはホワイトボディからアルピナで製造されていました。独自の思想でBMW車を再度開発し、オリジナルにはない新たな魅力と価値を与えたモデルを生み出してきたのがアルピナです。 商標権譲渡はアルピナブランドを次世代に残すための決断 長年BMWと良好な協力関係にあったアルピナですが、2022年にBMWによるアルピナ商標権の獲得が報じられました。株式や資産などは引き続きアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社に残されますが、アルピナが開発するBMW車は今後はなくなるということです。 ファンにとっては寂しいニュースですが、実は「アルピナ」というブランドを将来に残すための決断だったという見方もできます。電動化や世界的な規制が厳しくなるなか、小規模メーカーでは対応が難しくなってきていました。実際、現在アルピナが製造する車輌は、BMWの工場で多くの工程が組み立てられるように変化しています。 商標権をBMWに移譲したことで、「アルピナ」の名称は時代の変化による消滅の可能性が限りなく低くなりました。「自社のラグジュアリーカーをより多様なものにする」という展望をもつBMWが、今後どのような形でアルピナの名称を利用していくのかに期待が高まります。 中古車市場でも価値の落ちないアルピナ製BMW車 アルピナが製造していたモデルは現在でも人気が高く、ベースのBMWの車輌に価値がなくても高値で取引されているものがいくつもあります。つまり、アルピナの開発によってBMW車が新たな価値を得たということです。 名車揃いのアルピナ BMWのなかでも、特に人気の高い3モデルを紹介します。 E34を超高性能サルーンに高めたB10 Bi-Turbo B10は、強力なツインターボエンジンを搭載した超高性能サルーンです。「ビックシックス」と呼ばれる直列6気筒エンジンを究極までチューニングし、最高出力を370psまで高めました。ツインターボとしたことで、低回転域から高回転域までトルクが持続します。 大柄ボディの重量級E34ですが、アルピナのチューニングエンジンによって強烈な加速を実現。さらに、シャシーの剛性強化やゲトラグ製の5速ミッション、BOGE製のレベライザー付きショックアブソーバーなど、強力なパワーを余すことなく発揮できる車体設計もさすがアルピナというポイントです。 E36に究極の洗練さを与えたB8 4.6 リムジン E36の直列6気筒エンジンに換え、強力な4.6LのV8を搭載したのがB8 4.6 リムジンです。 BMWの3シリーズとして生産された比較的コンパクトなE36に、最大340psを発揮するV8エンジンを押し込んだことで異次元の加速力を発揮します。 一方で、誤差1/1000gの精度で組み上げられたエンジンは、暴力的な加速に反して驚くほどスムーズ。しなやかな足回りも相まって、E36にさらなる上質さを与えます。また、内装もスポーティーながらエレガントさも持ち合わせていて、究極のパワーと洗練さを両立したモデルです。 E28にメカチューンを加えたB9 3.5 B9 3.5は、SOHCエンジンながらDOHCエンジンの初代M5に匹敵するハイパフォーマンスモデルです。ボアアップや圧縮比の向上、カムシャフトと吸排気バルブの見直しといったNAエンジン定番のメカチューンを徹底的に施して、245psもの最高出力を絞り出すことに成功しました。 ターボでは味わえないNA特有の加速感が人気を集めたのか、生産台数は当時のアルピナとして最大の577台にまで達します。異径4灯のヘッドライトやアルピナストライプの入ったシャープなボディラインといった外観のアルピナらしさも、B9 3.5の魅力です。 永遠ともいわれるアルピナの価値の今後の動向に注目 アルピナの価値は旧車になっても失われることはありません。たとえば、現在では査定額がほぼつかないE36でも、B8 4.6 リムジンなら600万円もの価格がつきます。さらに、E28をベースにしたB9 3.5に至っては950万円もの高値での買取実績もあります。 一方で、もともと生産台数の少ないアルピナモデルは、旧車のなかでもかなり希少な部類です。特にベース車輌の価値が失われつつある現在では、旧車王のようにアルピナを正しく査定できる業者は決して多くありません。商標権の譲渡によってアルピナが今後BMWを製造しなくなることも含めて、アルピナの価値を評価してくれる専門性の高い業者に売却の相談をしてください。
ヨーロッパ・フォードが1980年代に販売していた、斜めに切り立ったフロントマスクと角目のヘッドライトが個性的なシエラ。正規輸入されていなかったこともあり、日本では知る人ぞ知る車種の1つです。レースでの活躍を目指して投入された高性能モデルで、欧州のみならず日本でも当時無敵を誇りました。 日産 R32型GT-R誕生のきっかけになったともいわれる、フォード シエラについて詳しく紹介します。 フォードなのにアメ車ではないシエラ アメリカ自動車メーカーのビッグスリーの一角をなすフォードですが、シエラはいわゆる「アメ車」ではなく欧州拠点で開発されたモデルです。 新世代ファミリーカーとして欧州市場でのシェア獲得を目指した、シエラの開発背景を振り返ってみましょう。 欧州市場を狙ったシエラ 欧州への進出を目指したフォードは、1960年代からヨーロッパ・フォードとしてイギリスとドイツに拠点を置いていました。シエラは、欧州両拠点から1982年に発売されます。コルティナとタウナスの後継である、「新世代ファミリーカー」として位置づけられました。 イタリアのカロッツェリア・ギア社がデザインを手掛けていたという点からも、フォードが欧州市場を強く意識していたことがわかります。一方で、空力を強く意識したモダンなデザインはイギリスの既存ユーザーには不評だったという話も残っているため、当初から欧州を席巻したモデルというわけでもなかったようです。 実力を証明するためレースに投入 ヨーロッパ・フォードは、設立時からレースに積極的に取り組んでいました。自動車レースの本場ヨーロッパだけに、欧州進出を目指すフォードにとって重要な戦略だったのでしょう。 シエラが発売された1982年からグループA規定を採用したETC(ヨーロッパ・ツーリングカー・チャンピオンシップ)では、既存のカプリで参戦したものの結果が残せずにいました。1986年にはシエラのスポーツグレードXR4Tiを投入しますが、レースで主導権を握るまでには至りません。そこでフォードは、シエラをベースにレースで戦えるマシンの開発に本気で取り組むことを決断しました。 名門コスワースとのタッグで誕生したシエラRSコスワース シエラでレースに勝つためにパートナーとして選んだのは、フォードと関係性の深かったイギリスのエンジンメーカーコスワースでした。コスワース製ハイパワーエンジンを手に入れたシエラは、ツーリングカー選手権で好成績をあげます。 無敵を誇ったシエラRSコスワースについて、日本での戦績も交えながら詳しく紹介します。 グループA規格で戦うために開発 グループA対策を施したシエラは、シエラRSコスワースとして1986年に登場します。シエラのためにコスワースが用意したのは、最高出力204馬力を発揮する2LのDOHCターボエンジンでした。5,000台の生産実績というグループAの規定(当時)を満たして、1987年からWTC(世界ツーリングカーチャンピオンシップ)に投入されました。 また、エンジンの変更だけでなく、フォードは車体各部を徹底的に見直します。フロントマスクに設けられた冷却用のエアインテークや大型のリアウィングによって、見た目の印象もファミリーカーから大幅に変わりました。 翌年にはRS500にアップデート シエラRSコスワースが登場した翌年の1987年には、シエラRS500コスワースにアップデートされます。タービンの変更やインタークーラーの大型化によって、最高出力は225馬力まで引き上げられました。さらに、レース用モデルは、最高出力500馬力だったともいわれています。 さらに、グループA規定に違反しない箇所の全てに手を加えたといわれるほど、車体も大幅に変更されました。外観は基本的にシエラRSコスワースを踏襲しているものの、2段式になったリアウィングが戦闘力の高さをうかがわせます。 日本のツーリングカー選手権を席巻 シエラRSコスワースは、トランピオチームからJTC(日本ツーリングカー選手権)にも参戦します。開幕戦こそリタイアに終わるものの、第2戦では2位、第3戦では早くも優勝を果たして実力の高さを証明しました。 さらに、WTC最終戦にも組み込まれたインターTECに投入されたシエラRS500コスワースも圧倒的な強さをみせます。エッゲンバーガー・モータースポーツが優勝、トランピオチームが2位というワンツーフィニッシュを達成しました。また、エントラント部門での世界チャンピオンも獲得しました。 1988年には、6戦中4戦でシエラが優勝を獲得。1989年には開幕戦と最終戦の2勝にとどまったものの1987年と1988年には2年連続で全日本タイトルを手中に収め、日本のツーリングカー選手権を席巻しました。 日産 R32型GT-Rの誕生のきっかけともいわれるシエラ 日本のレースで無敵を誇っていたシエラの快進撃を止めたのは、1990年の日産 R32型GT-Rでした。実は、R32型GT-Rはシエラを倒すために投入したともいわれています。R32の高い走行性能は誰もが認めるところですが、逆の見方をするとシエラはそこまでしないと倒せない存在だったということです。 輝かしいレースの成績を収めたシエラですが、正規輸入されていなかったこともあり日本国内ではあまり流通していません。希少車は入手が難しいのはもちろんですが、実は売却時にもスムーズに取引できないこともあるため注意が必要です。流通量が少ないがゆえに正しい金額がつかない場合や、業者によっては買い取ってもらえない場合もあります。 旧車の買取経験豊富な旧車王では、希少で流通しにくいシエラRSコスワースも2023年11月に買取りました。フォード シエラを取引する際は、旧車のノウハウをもった専門業者に相談することをおすすめします。
オープン2シーターにロングノーズショートデッキ、ヘッドライトやボンネットの形状こそ現代風ながら、ホンダの自動車開発の歴史を切り開いたSシリーズ伝統のスタイリングを踏襲したホンダ S2000。1999年からわずか10年間の生産にもかかわらず、現在でも個性的なスポーツカーとして高い人気を誇っています。 しかし、S2000の魅力はスタイリングだけではありません。スポーツカーとしての高い性能に裏打ちされたS2000の魅力と、世界を目指したSシリーズの歴史を紹介します。 Sシリーズを究極進化させたS2000 ホンダ初の普通乗用車としてS500が登場したのは1960年代初頭。日本の自動車産業の黎明期に、世界にも通用するクルマとして開発されました。オープン2シーターに高い性能を詰め込んだFRスポーツは、Sシリーズとしてホンダの歴史を作り上げた存在です。 ホンダの50周年を記念して開発されたS2000は、単なる記念モデルではなくクルマとして完成されたSシリーズの名に恥じないモデルでした。 自動車メーカーとしてのホンダの礎となったSシリーズの歴史から振り返って紹介します。 世界を目指して開発されたホンダSシリーズ 2000年目前に発売されたS2000ですが、Sシリーズの歴史は1960年代にまで遡ります。当時2輪しか製造していなかったホンダが、初の4輪として開発したのがSシリーズの起源であるSports 360でした。(同時に軽トラックのT360も開発) Sports 360は、オープン2シーターという当時としては挑戦的なスタイリングを採用しました。その後のSシリーズにも受け継がれます。残念ながらSports 360は発売にはいたらなかったものの、普通車として開発したS500を1963年10月に発売。「出すからには世界一でなければ意味がない」という本田宗一郎氏の信念のもと、ホンダ初の普通乗用車ながら世界最高峰の性能を誇るオープン2シーターは国内外の大きな注目を集めました。 Sシリーズの開発は精力的におこなわれ、次々と新モデルが投入されます。S500発売の翌年1964年にはS600、1966年にはS800を発売。1968年発売の最終モデルであるS800Mまで、マイナーチェンジを含めるとほぼ毎年モデルチェンジを繰り返しました。 ホンダ設立50周年を記念して発売されたS2000 Sports 360から続いたSシリーズが生産終了した1970年から29年後、1999年4月15日にホンダの創立50周年を記念して、久々のSシリーズ・S2000が登場しました。 オープン2シーターというSシリーズの伝統は、S2000でも踏襲されます。また、Sシリーズの系譜を受け継いだのはスタイリングだけではありません。世界最高峰の性能という点も、初代のS500同様に妥協することなく追求されていました。 高出力の新開発エンジンに、高剛性を実現した専用フレームとホンダのもつ技術が惜しみなくつぎ込まれた一台です。 過去のSシリーズ同様最高の性能を追い求めたS2000 S2000の本当の魅力は、スポーツカーとしての高い走行性能です。“エンジンのホンダ”とも言われるように、特にエンジンはこだわって開発されました。また、エンジン性能に負けないボディ剛性もS2000がただのオープンカーではなく、スポーツカーとして評価されている理由の一つです。 発売後も意欲的に開発され続けたS2000の性能面の魅力を紹介します。 ピュアスポーツと比べても遜色のない走行性能 オープン2シーターというボディスタイルは、開放感があって個性的な反面、スポーツカーとしての性能は妥協しているモデルも少なくありません。しかし、S2000は性能面だけを見てもピュアスポーツカーと遜色のない高い走行性能を備えています。 まず、新開発されたF20C型2L直列4気筒VTECエンジンは、自然吸気ながら250psを発生。しかも、フロントミッドシップに配置することで、スポーツカーとして最適な前後重量配分50:50を実現しています。一般販売されている車両にもかかわらず、9,000回転まで回るホンダ特有の、レーシングカーのような高回転型エンジンでした。 また、S2000専用に開発された「ハイXボーンフレーム」は、クローズド設計のスポーツカー並の剛性を発揮。さらに、前後の足回りには剛性を確保できるダブルウィッシュボーンを採用し、クルマ全体の剛性を極限まで高めています。しかも、“分離加圧式ダンパー”で高レスポンスを実現したことで、現在でも一線級のコーナリング性能を誇ります。 前後期でエンジン特性が異なる 1960年代のSシリーズ同様、S2000も発売後にも進化を続けました。10年間の販売期間のなかで、2度のマイナーチェンジを行っています。マイナーチェンジ時期によって前期・中期・後期と呼ばれ、なかでもビッグマイナーチェンジが施されたのが後期型です。 前期と中期は、型式は同じAP1で基本的には大きな変更はありません。スタビライザーとサスペンションの味付けがややマイルドに変更されました。 型式がAP2となり、唯一のビッグマイナーチェンジとなった後期型での最大の変更点はエンジンです。2LだったFC20型エンジンが2.2LのFC22型に変更されました。排気量を上げることで、FC20型で課題だった低中回転域でのトルク不足を解消します。最高出力は242psに抑えられたものの、S2000の求める「速いだけでなく、乗り手が『楽しい』と思える性能」がさらに熟成された上質なフィーリングのエンジンです。 国内生産は10年で2万台あまりの希少車 S2000の生産は、約10年間で国内では2万台ほど、全世界でも約11万台程度しかありません。しかも、スポーツ走行を楽しむオーナーも多く、状態のいい中古車はさらに年々減少しています。 中古車情報サイトで調査したところ、中古車は300万円前後を中心に取り引きされているようです。走行が35,000kmと少ない2008年のAP2型で、1,100万円というモデルもありました。 旧車王でも、10年以上前のクルマにもかかわらず、新車販売価格と同水準の350万円での買取実績もあります。今後S2000の入手を検討している方は、ぜひ早めに状態のいい車体を見つけてください。 ※中古車価格は2023年3月執筆当時
オークランド在住のtomatoです。 以前お伝えした通り、公共交通機関が貧弱なニュージーランドではクルマの保有率はほぼ1人1台と高く、スマートフォンと同様にクルマは生活必需品といっても過言ではありません。 ●懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポート https://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/ では、ニュージーランドでクルマを所有する際は、一体どんな車検や税金制度があり、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。 筆者の愛車「マツダ・ロードスター(ND型)」が2023年9月にちょうど更新タイミングを迎えたので、この機会にレポートします。 ■果たすべき義務は2つ ニュージーランドの公道を走行するためには、下記の2つの認可を取得または更新する必要があります。 ・ヴィークル ライセンス (Vehicle Licence) https://www.nzta.govt.nz/vehicles/licensing-rego/ ・ウォレント オブ フィットネス(Warrant Of Fitness) https://www.nzta.govt.nz/vehicles/warrants-and-certificates/warrant-of-fitness/ ●Vehicle Licence (Rego) これは公道の走行許可で、一般的には「Rego」(Registrationの短縮形で、「リジョー」と発音 )と呼ばれています。 とはいうものの、結局のところは税金を徴収する仕組みと考えられ、日本の「自動車税」に相当するかと思います。 ▲実際のRegoレーベル(ナンバー白つぶし) オンライン(または窓口)で費用を支払うことで、上記のような小型のレーベル(カード)が郵送されてきます。 それをフロントガラスの助手席側に掲示することで、プロセスは完了です。 日付形式は日本式やアメリカ式などとは異なる馴染みの薄いイギリス式で、この実例は2024年5月9日ではなく9月5日まで有効という意味になります。 ちなみに、このレーベルを見るだけで年式や車種などの基本的な車輌情報が得られるので、クルマのミーティングなどで会話のキッカケに非常に重宝しています。 そして気になるその費用はというと、筆者のロードスターはもっとも一般的な「ぺトロール(ガソリン)乗用車」カテゴリーに属していることから、最長となる12か月分の費用は(事務手数料が安価なオンライン申請で)$103.68でした。 なお、2023年10月からは価格改定により$106.15と若干の値上がりとなって、11月執筆現在の為替レート(89円/ニュージーランドドル)で換算するとおよそ9,400円。 ここで「あれ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 そうです。驚くことに「車輌重量」や「エンジン排気量」などは、金額にまったく影響しないのです。 さらに驚くことに、ニュージーランドには日本の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に相当するものも存在しないのです。 といっても、不安になる必要はありません。その代わりとしてACC(Accident Compensation Corporation)という仕組みがあり、なんとニュージーランドへの渡航者も含めて、自動車事故に限らずさまざまな事故での損害を補償してくれます。 したがって、この国では自動車保険といえば、「対人/対物保険」ではなく「対物保険」となります。 ただし、付保すること自体は義務ではないので、ここでは割愛します。 ●Warrant Of Fitness (WoF) これは日本でいう車検(自動車検査登録制度)にあたり、一般的には「WoF」と省略して表現することが多く、犬の鳴き声のように「ウォフ」と呼ばれています。 認可されている整備会社ごとに料金が異なるので一律ではありませんが、一般的には$50~$75(日本円で4,400~6,700円)ほど。 ▲WoF検査作業 ▲実際のWoFレーベル 検査に合格すると、上記のような、小型のレーベル(カード)をフロントガラスに貼りつけてWoFが完了となります。 この実例では、2024年9月まで有効という意味。 ただし、これは月末まで有効という意味ではなく、裏面にある日付が実際の有効期限になるので注意が必要です。 興味深いことにWoFは日本の車検とは少し方針が異なり、車輌の根本的な安全性のチェックが主体となっているようです。 例えば、エンジンオイルの交換はおろか、その状態を確認することもないのが特徴です。 <検査項目>・タイヤの状態(溝の深さ含む)・ブレーキの動作・車体の構造点検(特定の場所のサビは許されない)・ライト・ガラスの安全性・ワイパー、ウォッシャー・ドアの動作・シートベルト(痛んでいないか。正しく、バックルが動作するか)・エアバック・スピードメーター・ステアリング、サスペンション・排気システム(漏れていないか、うるさくないか)・燃料システム(漏れてないか) (ニュージーランドで初めて登録される)新車に関しては、初回のWoFを受ければ、3年間有効となります。 それ以外の車輌に関しては、大量の中古車を輸入するユニークな国だけに、有効となる期間はニュージーランドを含めた世界のいずれかの国で、「車輌が初めて登録された年月日」で決まる仕組み(下表)です。 要は新車でなければ一般的には1年間有効。 ただし、古いクルマは、「リスクが高いのだから、有効期間は6ヵ月だけですよ」となっているのです。 これは走行安全の観点からも理にかなっていると思えます。 なお、WoFで不合格となっても、28日以内に対象箇所を直し、同じ整備工場に持って行けば、ありがたいことに再検査の費用はかかりません。 ■まるで軽自動車並みのコスパ? 驚くことに、一般的な「ガソリン乗用車」であれば、義務はこれだけ! 仮に筆者の愛車が旧車、1990年式の初代ロードスター(NA型)であったとしましょう。 その場合WoFは年に2回更新する必要がありますが、それでもRegoとWoF合わせた年間総額は、(消耗品を除いて)2.5万円程度で済んでしまう計算です。 調べたところ日本国内でクルマを維持する場合、地方の「生活の足」として優遇されている軽自動車ですら自動車税と車検代(年換算)の合計は4.5万円程度となるようですから、ニュージーランドはクルマ好き/旧車好きにとても優しい国といえるのではないでしょうか。 今でもたくさんの懐かしいクルマ達が現役で走っているのにもうなずけますね。 ■編集後記 今回の更新を迎えるにあたり、ここオークランドにて輸入中古車を扱われている「マツダ・ホームグロウン」さんに、エンジンオイル交換といった車輌整備からWoFまでのフルソリューションを行なっていただきました。 実は同社を運営するのは日本国内の正規マツダディーラー「広島マツダ」さん。 実際に作業を担当するメカニックはマツダ車を熟知しているだけでなく日本人なのです。 ただし、WoFに関しては同社は認可を保有していないため、オークランドで20年以上にも渡り自動車整備工場を営んでいる同じく日系の「クリア・モータース」さんがWoF検査作業のみ請け負う形態となっていました。 なお、「クリア・モータース」さんには、今回の記事内容の監修をしていただきました。 この場をお借りして、お礼を申し上げます。 ありがとうございました。 ■取材協力 「マツダ・ホームグロウン」さんhttps://www.maho.co.nz/ 「クリア・モータース」さんhttps://clearmotors.co.nz/ [撮影・ライター / tomato 監修 / クリア・モータースさん]
日本車の歴代モデルを振り返ると、「登場した時は斬新で大注目されたけど……売れゆきはイマイチ。そして、ほどなくして絶版という悲運に」というクルマは意外と多い。 しかし、なかには「コンセプトが時代の先を行きすぎ、登場が10年、いや20年早すぎただけ!君たちはいいクルマだよ」と熱く語りたいモデルもある。 そして、今、後継モデルを発売すればヒットするかもしれない、というモデルもある! 筆者の好みが多分に含まれるが(汗)、「魅力にあふれる」それらのモデルを数台取りあげ、讃えていこうじゃないか。 ■どこか不器用な憎めないヤツ。その存在にエールを贈りたい、ホンダ エレメント 時代の先を行きすぎ、登場が10年、あるいは20年早すぎた日本車といえばホンダ エレメント(2003年登場)だろう。 開発もデザインもホンダ北米法人だけに、クルマ全体にアメリカ~ンな雰囲気が漂っている。 なにせ開発コンセプトが「ビーチのライフセーバーが詰めるライフガード・ステーション」。 サーフボードが積める室内設計、左右は観音開きドアで風通しバツグンと、「ロサンゼルスのビーチのことしか考えてないでしょ!」とツッコミたくなるつくり。 観音開きドアはユニークだけど、それ以上に使うのがちょいと面倒くさかったことを今でも筆者は覚えている(笑)。 不幸にも、そのツッコミが当たり、エレメントの日本での販売は2年ほどとかなりの短命。 でもね、カクカクした四角いデザインのなかには「個性のホンダ」がいっぱい詰まっていると思う。 同じようなデザインのSUVだらけの現代、見た目はこのままでe:HEVモデルを売れば、注目される可能性高し。 筆者はそう感じる。 ■このままのデザインで今の時代に合う「クーペSUV」を出せば大注目間違いなし!いすゞ ビークロス SUVの流れで、次はいすゞ ビークロスの登場だ。 1997年に登場したクルマとは思えない斬新な外観デザイン。 このデザインだけに限定すれば「まさに登場が20年早すぎたクルマ」と太鼓判を押せる! 全体的に丸みのあるスタイルで、無塗装PPで作られたボディの下部と絶妙な流れがあるオーバーフェンダー。 フロントマスクには洗練さが漂い、スペアタイヤが内蔵されたリアドア……と、どこをとっても斬新で格好いいと、誰もが認める素晴らしさ! しかも2ドアという部分にスペシャリティ感があり、今、世界的人気の「クーペSUV」を26年も前にいすゞは発売していたのだから、まさに感嘆! ……が。乗り込めば「車内の雰囲気はまんま、ミュー・ウィザードだね!」と腰砕けするところも(笑)、ビークロスの憎めないところ。 ミュー・ウィザードのプラットフォームを採用していたので、車内の雰囲気だけでなく走破性も本格クロカン。 見た目はスタイリッシュ、それでいてタフな走り。 そのギャップ萌えもこのクルマならでは! と感じる。 海外では乗用車も販売中のいすゞ自動車。 思い切ってこのビークロスそのままのデザインで、今の時代に合う「クーペSUV」を出せば、世界中の話題をさらうことができるだろう。 きっと。 ■どれがヘッドライト?と「惑わせ上手」な顔が懐かしいぞ、日産 ジューク 斬新なデザインのSUVとして挙げないわけにはいかないのが、日産 ジューク(2010年登場)。 現行トヨタ プリウスをはじめ、今「目つきが妙なモデル」が大人気だが、それを先駆けていたのがジュークといえよう。 なにせ、どれがヘッドライト?上部にあるシャープなものはウィンカーですか?……という感じで、目つきが妙なうえに「惑わせ上手」な顔。 この要素だけでも時代の先を行っていたといっていい。 そして全長4135mmという手頃サイズは、今大ヒット中のトヨタヤリスクロスの全長4180mmと同等。 ラウンドした塊感あるスタイルは、ヤリスクロスとは別方向の個性を発揮しているので、今、後継モデルを販売していたならヒットしていたはず。 惜しい。 ……え?欧州では2代目を販売中ですって!(写真を見ながら) こ、これは格好いい。 このままのカタチで、日産自慢のe-POWER搭載モデルを日本で売れば、「小さめ超個性派SUV」として人気者になるはず。 ぜひ、日本でも! ■確かに脇役ではあったが、光るものがあった日産 ミストラルの3ドアショートボディ 日産のSUVといえば、ミストラルも登場が10年早すぎたモデルだろう。 26文字前、「SUV」と書いたが、ミストラルが登場した1994年当時は、まだSUVという名称のカテゴリーではなく「クロカン」と言われていた。 製造国であるスペインの風を感じる丸みを帯びたオシャレなスタイルは「クロカンにしては優しすぎる!」というイメージが盛られ、販売面はパッとせず。 2.7L、直4ディーゼルターボ搭載という硬派な一面があるにもかかわらず……。 ゆえに、SUVカテゴリーが急成長した10年後の2004年頃にこのままのスタイリングで登場すれば、ミストラルの命運も変わっていただろうと思う。 加えて、オシャレさが増す3ドアのショートボディもいい。 筆者、大好きでした。 もしかして今、この3ドアショートボディのミストラル後継モデルを発売すれば、飽和状態のSUV界に風穴を開けるかもしれない。 ■日本車史上、初の市販ミッドシップ。今こそ大いに拍手を贈りたいトヨタ MR2 希望を含めた結論から先に述べましょう。 「BEVも視野に入れ、全方位で開発を進めている今のトヨタさん。あの格好いい超コンパクトスポーツのMR2の後継をBEVモデルで発売してほしい!」と。 今見ても……初代(1984年登場)も2代目(1989年登場)も格好いいスタイリングのMR2。 その初代は日本車史上、初の市販ミッドシップモデルだ。 ショーで出品したコンセプトカー、SV-3をほぼそのままのカタチで発売させたトヨタの心意気に「いいネ!」と賞賛を送るクルマ好きも多かったはず。 低コスト化を図るため、エンジン(1.5L、直4)や足回りなどは既存のカローラのものを流用と、中身的にはちょいと「うむむ…」という部分もあったが、それでも他社にはない2人乗りコンパクト2ドアクーペの存在感。 そのスペシャリティ感は注目の的だった。 その後のビッグマイナーチェンジでスーパーチャージャーモデルが追加され、Tバールーフが備わるモデルまで登場。 話題に事欠かないヤンチャ坊主(でも格好いい)という印象だった。 ■趣味的BEVモデルとして、MR2後継をぜひ発売してほしい、トヨタさん!! 1989年には2代目MR2が誕生。 2人乗りコンパクト2ドアクーペというクルマの立ち位置は変わらなかったが、セリカ/コロナベースとなったので初代よりサイズアップ。 曲線を取り入れたデザインは目を引くものがあり、初代と2代目、どっちがいい?と、もし聞かれたら「どっちも好き!」と即答するほど筆者の好みだ。 大ぶりなスポーツモデルでないわりには、車重1270kgという重さなどネガな部分も指摘されたが、セリカと同じ2L、直4にターボを追加したマッチョなパワートレーンはなかなかのもの! トヨタ MR2。 2世代にわたり「孤高のコンパクト2ドアクーペ」を貫いたが、時代のニーズが薄まったこともあり、残念ながら1999年を最後に販売終了となった。 MR2の項目の冒頭にも述べたが、BEVへも舵を切りつつあるトヨタ。 趣味的なBEVモデルなら、MR2後継モデルの登場も大いにありそうだ。 ぜひとも! ■登場が20年早かったというよりも、32年後の今も視線を集めるはずの日産 フィガロ 最後は日産 フィガロ(1991年)に登場いただこう。 ご存じ、初代マーチをベースにした、Be-1、パオに続くパイクカーシリーズの一台。 最近はテレビのバラエティ番組で、バナナマン・日村勇紀がフィガロに乗っていることもあり、「あのクルマ、何?」と注目もされている。 このフィガロ、今まで紹介したクルマたちと取りあげる意図が異なり……爆発的に売れたモデルなのである! 当初は8000台の限定生産だったが、希望者殺到で2万台に増大。 イギリスをはじめ、世界でも人気が高かったこともトピックだ。 1991~1992年のわずか2年間しか販売されなかったが、インパクトも人気も絶大だったクルマ。 それもそのはず、レトロな雰囲気に仕立てあげられた小型オープンカーで、インパネデザインも白ベースのレトロ調。 加えて白の本革シートの仕立ても好演出。 さらには直4、1Lターボ搭載で走りは必要充分! 登場が20年早かった……というよりも、「32年後」の今、e-POWER搭載で後継モデルを発売すれば、日産のラインナップに華やいだ彩を与えるはず。 最後にひと言。 デザインが完成されているフィガロなので、あまりいじらないで販売してほしい。 日産さんへの願いは、これ! [ライター / 柴太郎 ・ 画像 / Dreamstime]
週末の行楽地に出かけているとき、遠くから普段聞き慣れない種類の荒々しいエンジン音が響いてきて、思わず「おっ?」と気を惹かれてしまう、というシーンに遭遇したことはありませんか? そのまま運が良ければ、反対車線をすれ違う複数の旧車のツーリングに出くわすこともあるでしょう。 その際に聞こえてくる迫力を秘めたエンジン音のうち、「カアアアァァン・・・」というカン高く空に抜ける爽快な音の部分の多くは、キャブレターから発せられる吸気音なんです。 この例のように、大口径キャブレターの吸気音に魅せられて乗りたくなったという旧車ファンは少なくないでしょう。 ここではそんなキャブレターの魅力について、改めてしっかりお伝えしていきたいと思います。 まずは前編ということで、キャブレターの基本の部分を解説していきましょう。 ■旧車乗りが「キャブ、キャブ」っていうけど何がいいの? まずキャブレターの魅力について触れておきましょう。 魅力のひとつは上で話したように“吸気音”が心地良い、という点です。 私も旧車に乗るまでは、チューニングエンジンの音を味わうのは“排気音”だと思っていました。 しかし、初めて旧車のエンジン音をしっかり聴けるチャンスが訪れたとき、排気音よりも吸気音が気になるということに気付きました。 旧車の排気音は、触媒が無かったりサイレンサーの構造もシンプルだったりして、今どきのクルマの排気音よりストレートに響いてきます。 それはそれで好きなのですが、エンジンルームをのぞき込んだ状態や室内でアクセルを煽ったときに、耳に届いて感性をくすぐってくるのは吸気音の方でした。 音の印象を頑張って擬音で表してみましょう。 排気音は「ブオンブオン」や「ガオンガオン」という低めで腹に響く系の音質だと感じます。 一方で吸気音の方は、「カオーン」や「シュゴーッ」という、空に抜けていくような感じのする高めの音だと感じます。 これが、回転が高くなるほど音量が増し音質も高くなるので、アクセルを踏む自分の気持ちも昂ぶってくるんです。 ちなみにこの抜けるように響く感じは、キャブレターの口径が大きいほど気持ち良いと感じます。 声量のあるプロの歌手が、目いっぱい歌い上げているのを聴いている感じに近いでしょうか。 あとは加速感がガラッと変わります。 だいたいの車種で普段の使い勝手の方を優先して設計しているので、使用する頻度の高い低回転から中回転の領域でレスポンスとトルクの効率が最適になるように、かなり絞った口径のキャブレターを装着しています。 したがってピークパワーに関してはだいぶ抑えられている状態なのです。 パワーを出すにはカムなど他の要素も関わってくるので一概にはいえませんが、単純にキャブレターの口径を大きくすると、それまで抑えられていた部分が解放され、エンジンが求める空気(混合気)がより多く吸えるようになります。 その結果、パワーが上がります。 上がる割合はエンジンの特性や仕様、状態などで異なりますが、適切な口径を選んで、セッティングが合ってさえいれば、パワーが下がることはないでしょう。 パワーとともにレスポンスもアップします。 特に空ぶかしの時の反応がまったく違うので、シフトダウンの時にアクセルを煽るのが楽しくなるでしょう。 そして、これは機械いじり中級者以上の人になりますが、自分でメンテや調整がおこなえるという点も、趣味のクルマの装置としては魅力アップのポイントではないでしょうか。 ボンネットを開けてもカバーが邪魔でエンジンの存在が隠されているような今のクルマは論外ですが、80年代のじゅうぶん旧車と呼べる年式のクルマでも、インジェクションや排ガス浄化デバイスなどがひしめいていて、ちょこっとメンテしようかなという気も削がれてしまうでしょう。 その点、キャブレターがむき出しになっているエンジンなら、余計な手間をかけなくても直接キャブレターにアクセスできるので、ストレスがありません。 まあ、用も無いのにしょっちゅうキャブを触っているというのもちょっと考えものですが、それだけ気軽に作業できるというのはメリットだと感じます。 ■基本の基本、キャブレターってなんだ? そもそも「キャブレター」という単語を知っているという人はどれくらいいるでしょうか? まあ旧車に興味がある人がチェックしている「旧車王ヒストリア」の読者さんなら、ほとんどの人は耳にしたことはありますよね。 ではキャブレターが何をする装置なのかを知っている人はどうでしょうか。 まあこれも半分以上は大丈夫かと思います。 そうです、キャブレターはエンジンが燃焼を行なうのに必要な、ガソリンと空気をミックスした“混合気”を送り込むための装置です。 エンジンが調子よく回るかどうかの大部分は、このキャブレターの設定にかかっているのです。 キャブレターはその内部に、空気の通り道の一部を絞って流速を上げて負圧を作り出す「ベンチュリー」という機構が備わっています。 このベンチュリーで作り出した負圧の部分に燃料の管をつなげることで、自然と燃料が吸い出されていきます。 キャブいじりの解説で良く出てくる「ジェットの番手を上げる(大きいものに交換する)」というのは、燃料の管の入り口を絞ったり開けたりして流量を調節するための行為のことなんです。 ■キャブレターのセットアップやセッティングは難しい? キャブレターの装着とセットアップ、そしてセッティングをイチからおこなうという場合、まったくの初心者の場合はいろいろと覚えなくてはならない要素があるので、そういう意味ではけっしてカンタンではありません。 とはいえ、いまどきはキャブレターの扱い方を解説している本がいくつもありますし、動画配信などでも初心者向けに解説をしているものがありますので、そういう情報をしっかり勉強してから挑めば、エンジンを動かせるところまでは思ったほど時間はかからないと思います。 いちばんの近道は詳しい人を探してアドバイスしてもらうということですが、まあそう都合良く身近にはいないでしょう。 SNSで旧車の集まりに参加して、相談してみるところから始めるといいと思います。 キャブレターの魅力を楽しむためには、まずはキャブレター本体を入手しないことには始まりません。 そこで決めなくてはならないのがキャブレターの口径です。 エンジンの仕様や特性、オーナーの求める方向によって変わる部分はありますが、大きなガイドラインは排気量で見当が付けられます。 例えばよく使われている公式で見てみましょう。 D=0.82 √(CxNx0.001) D=キャブ口径(mm)C=1気筒あたりの排気量(cc)N=最高出力回転数(rpm) 実際にソレックスの40パイが装着されているトヨタの「2T-G型」を当てはめてみましょう。 0.82√(400×6400×0.01)=41.5 となり、だいたい合っていますね。 では旧車エンジンの代表格「L20型」を当てはめてみると、0.82√(333×5200×0.01)=34.1 となります。 実際に34パイのキャブレターとなると、ソレックスの36パイがあるにはありますが、かなり入手は難しいと思います。 私の経験では、L20型エンジンにソレックスの40パイを3機装着してみたことがありますが、ノーマルキャブレターに比べてゼロ発進の時、特に坂道発進ではすこし慎重になるものの、街乗りで不足を感じることはありませんでした。 むしろアクセルのレスポンスが良くなり、中回転から上のパワー感が増したので、差し引きでいうと大きくプラスになったと感じました。 ですので感じ方には個人差はありますが、目安はあくまで目安として考えたほうがいいでしょう。 慎重に選ぶなら小さめを、せっかく変えるなら変化が大きい方が良いと考えるのであれば、大きめを選ぶと良いと思います。 キャブレター選びで、ひとつ注意をして欲しい点をお伝えしておきます。 キャブレターは一部を除いてもう新品での販売はしていませんので、ほとんどの人はネットオークションや中古を扱っているネットショップなどから中古で購入することになると思います。 その際、さり気なく混じっている不良品をつかまないよう慎重に選ぶようにしてください。 といっても「良いか悪いか、写真とコメントだけでは判別できないよ!」というのが実際だと思います。 ただここでいえることは限られてしまいますが、可能な限り現物を見て購入するようにすれば、少しでも失敗は遠ざけられると思います。 少なくとも写真で見てキレイだったからと安易な判断は控えましょう。 ■あとがき どうでしょう、キャブレターの魅力をしっかり伝えられたでしょうか? ひと昔前に比べると、キャブレターの価格も上がってきていて、手軽に購入しづらくなってきてはいますが、私自身は旧車のカスタムパーツの中で一二を争うくらいに交換した時の変化が大きいものだと思っています。 せっかく旧車ライフを楽しむならば、ぜひ一度はこの効果を体感していただきたいです。 次回はもう少しマニアックな部分に踏み込んで、キャブレターの楽しさの奥深さを話してみたいと思います。 [ライター・画像 / 往 機人]
2022年に初代誕生から生誕50周年を迎えた、ホンダ車のなかでもっとも長い歴史をもつクルマであるシビック。初代の大ヒットを受けて登場した2代目シビックの派生車種が、ホンダ初のステーションワゴン、シビックカントリーです。 木目パネルが印象的なアメリカンテイストに仕上げられたシビックカントリーですが、その魅力は外観だけではありません。1980年の販売開始から、わずか3年間のみ製造された隠れた名車・シビックカントリーの全貌に迫ります。 時代背景を味方につけたシビック 高度経済成長を受けて一般庶民の多くが自家用車を手にするようになるなか、経済性と性能のバランスを追求して開発された初代シビックは成功をおさめます。また、基本フォルムを踏襲しつつ、ユーザーニーズに合わせた豊富なボディタイプが用意されていたこともシビックがヒットした要因の一つです。 続いて投入された2代目シビックでも、3ドアハッチバックを基本としつつ多くの派生車種が開発されました。なかでも「シビックカントリー」はホンダ初のステーションワゴンとしてシビック派生車種のなかでも特に異彩を放っています。 初代から正当進化を遂げた2代目シビック クルマとしての基本性能、居住性、さらには経済性をコンセプトに、バランスを重視して開発された初代シビック。コンパクトながら前後のオーバーハングをギリギリまで詰めたロングホイール化したことによる“台形”のようなフォルムは、当時の日本では斬新でした。また、発売翌年に搭載されたCVCCエンジンによって、世界一厳しいと言われたアメリカの排ガス規制、通称“マスキー法”を世界で初めてクリアしたこともあり、初代シビックは世界的な大ヒットを記録します。 初代の成功を受けて、1979年に投入されたのが2代目シビックです。当初、3ドアハッチバックのみが販売され「スーパーシビック」の愛称で知られる2代目は、初代の成功につながった台形プロポーションを受け継ぎつつ、ホイールベース、全長、全福のすべてでサイズアップされました。さらに、インパネの速度計と回転計を同軸に配置した「集中ターゲットメーター」や「ロータリー式オートラジオ」など新たな装備を採用したことでも注目を集めます。 アウトドアレジャーブームにホンダ シビックも呼応 1970年代後半には、日本国民の生活水準の向上とともにアウトドアレジャーブームが起きました。ちょうど2代目シビックの開発を進めていたホンダは、シビックの派生車種でアウトドアレジャーに対応することを決定し、ホンダ初のステーションワゴン「シビックカントリー」が誕生しました。 シビックカントリーは、2代目シビックの発売から1年後の1980年に登場。 商用のシビック・バンをベース車として開発されましたが、乗用にふさわしく内外装や走行性能、装着タイヤにいたるまで徹底的に再調整が施されました。アウトドアユースで、長距離移動をしても快適に過ごせるクルマに仕上がっています。 コンセプトを忠実に踏襲したシビックカントリー ただコンパクトで経済性が高いだけではなく、上質な内外装や高い走行性能をバランスよく実現したクルマだったことがシビック成功の理由です。シビックカントリーも、シビック本来のコンセプトを忠実に守って開発されています。 ここからは、高い走行性能や個性的な外装、機能性にこだわった内装とホンダのこだわりが随所にちりばめられたシビックカントリーの全貌を紹介します。 2代目シビックならではの高い走行性能 エンジンには、ベースであるシビック・バンには設定されていなかったEM型1.5L直列4気筒横置OHCエンジンを採用。最高出力80ps、トルク12.3kg・mを発生し、ストレスのない加速性能を発揮します。また、燃費性能も高く、5速MTモデルでは24km/L(60km/h定地走行時)を実現していた点も長距離ドライブの多いアウトドアユースにマッチしていました。 エンジン性能以外にも、ラック&ピニオン式ステアリングによって、スムーズなステアリングフィールを実現。エンジンパワーをいかした軽快な走りを楽しめました。 アメリカンテイストに仕上げられたエクステリア シビックカントリーの最大の魅力ともいえるのが、レジャーを強く意識した遊び心あふれるエクステリアです。 まず目を惹くのが、サイドとテールゲートに施された木目パネルと、サイドプロテクションモールです。さらに、前後の大型バンパーによって“カントリー”の名にふさわしいアメリカンテイストに仕上がっています。 アウトドアユースでの使い勝手を高めたインテリア アウトドアレジャーでの快適性や利便性を追求したインテリアも、シビックカントリーが注目を集めた理由の一つです。当時の実用車にありがちだった鉄板むき出しのインテリアではなく、フルトリム化されているうえ色味もトータルコーディネート。また、長さ1,720×幅1,290mmと広大な室内空間はクラストップレベルでした。 実用面でも、アウトドアを意識した装備となっています。4段階の角度調整のできる後席には、フルフラットにできる機構も組み込まれていて広いラゲッジスペースを確保できるようになっていました。また、運転席のボタン操作でテールゲートのロックを解除できる電磁式オープナーは、ユーザーの利便性を高める装備でした。 入手困難でも探す価値のあるシビックカントリー 新車販売当時、シビックカントリーは爆発的な人気があったとはいえないものの、高い走行性能とアウトドアレジャーのための快適性を兼ね備えていたことから常に一定の評価を得ていました。製造期間がわずか3年間で、販売終了からすでに40年が経過する旧車のため、現在中古車市場で見つけるのは至難の業です。 過去に販売した実績のある中古車販売会社へ問い合わせたところ、135万円で販売したとの回答がありました。また、旧車王でも100万円での買い取り実績があることから、今でも魅力的なクルマであることは間違いありません。 隠れた名車シビックカントリーを手に入れたい方は、旧車を取り扱う中古車業者にアンテナを張って根気強く探してみてください。 ※価格や経過年数は2023年2月記事執筆時のもの
通称サニトラと呼ばれる、日産・サニートラックは、国産大衆車の雄である日産のサニーをベースに開発されたボンネットトラックです。特に2代目サニトラは、生産終了から30年以上も経った現在でも高い人気を誇っています。 ノスタルジックなスタイリングから「旧車カスタマイズの入門車に最適」と言われる2代目サニトラの魅力を詳しくお伝えします。 サニトラは37年も続いたロングセラーモデル 2代目サニトラの販売期間は、1971年〜2008年(国内は1994年)の実に37年間にも及びます。途中マイナーチェンジはあったものの、派生モデルが1世代だけでこれだけ長期間販売されたクルマはあまり例がありません。 2代目へのモデルチェンジで、長く愛されるパッケージングと高い走行性能を手に入れたサニトラの歴史を振り返ります。 発売と同時に人気となったサニトラ 初代のサニトラは、ベース車両のサニー発売の1年後である1967年に登場しました。キャビンと荷室が一体化したスタイリングは当時としては画期的で、瞬く間に小型トラック市場の中心的存在になります。 すでに人気の高かったサニトラの地位を不動のものにしたのが、サニーのフルモデルチェンジに合わせて1971年に登場した2代目B120型です。人気のあったボディスタイルはそのままに全体にスペースを拡大、排気量を1.2Lに引き上げたエンジンによって居住性と走りの両面で大きく性能を向上させました。 また、ライバルが小型トラック市場から撤退したタイミングと重なったこともあり、同市場でオンリーワンの存在となります。結果的に2代目サニトラは、国内でも1994年、海外では2008年まで販売されるという異例のロングセラーモデルとなりました。 軽量FRという仕様が走り好きの心も掴んだ サニトラが人気となった理由の一つは、駆動方式がFRだったことです。ベースとなるサニーのプラットフォームを踏襲して開発されたサニトラも、駆動方式にはFRを採用。もともとの軽量コンパクトという特性と合わせて、小型トラックながら走りも楽しめるモデルだったことから、走行性能を求める層からの支持も集めます。 サニー自体がツーリングカーとして多くの実績を残していたこともあり、サニトラもチューニングベースとして注目されました。実際に1980年代のサファリラリーにも出走しています。 <h3>シンプルで頑丈なA12型エンジン</h3> サニトラに搭載されるA12型1.2リッターOHVエンジンは、68psを発生。現在の基準から考えると控えめに感じますが、当時としては十分な出力で、重量730kgのサニトラを軽々と走らせてくれました。 また、日産エンジンのなかでも名機と言われるA型エンジンは、シンプルな構造で耐久性の高いエンジンです。多くの車種に搭載され、チューニングベースとしての人気も高かったことから、サニトラでもチューニングを楽しむユーザーが増加しました。 カスタマイズを手軽に楽しめる2代目サニトラ 懐かしさの漂うフォルムから、オールドスタイルファンの心をつかんで離さないサニトラ。しかも、旧車にもかかわらず、手軽にカスタマイズを楽しめる点はサニトラの大きな魅力です。海外では2008年まで販売されていたため、多くの部品が比較的簡単に入手できます。 さらに、販売期間が長く愛好家も多いことから、アフターパーツの種類も豊富です。2代目サニトラのカスタマイズについて紹介します。 外装を好みのデザインにカスタマイズできる サニトラは外装のアフターパーツも豊富です。さまざまなパーツを組み合わせて、自分好みの外観に仕上げられます。 たとえば、後期の角型ヘッドライトを前期の丸型へのスワップやチンスポイラーの装着は、2代目サニトラの王道のカスタムスタイルです。また、リアバンパーをスムージングすると、旧車ながらもモダンなデザインを楽しめます。 なお、荷台のフックの取り外しも定番のカスタマイズのため、中古車を購入する際はフックの有無も確認しておきましょう。 素性のいいA型エンジンはチューニングベースに最適 サニトラに採用されるA型エンジンは、レースに使用された実績もある高性能エンジンです。ノーマルのA12型エンジンの排気量を1.3Lに拡大し、130psを発揮するものもありました。 多くのパーツが販売されているので、もともと搭載されているA12エンジンをチューニングするだけでも十分楽しめます。仮に購入した車両のエンジンの状態が悪くても、販売台数が多いため別のエンジンを探すことも容易です。さらに、排気量のより大きなA14型へのスワップも人気で、よりパワフルなサニトラを楽しんでいる方もいます。 カスタマイズできるのはエンジンだけではありません。純正の4MTを5MTへ変更するキットが販売されていて、チューニングしたA12型エンジンのパワーを余すことなく使えるようにできます。給排気系についてのカスタムパーツも豊富です。パワーや好みに合わせてチューニングすることで、キャブ車ならではのクラシカルなサウンドを楽しめます。 中古車を探すなら最終の後期型がおすすめ サニトラは1989年11月にビッグマイナーチェンジが実施され、後期型と呼ばれる最終モデルが登場しました。エンジンの改良やフロントにディスクブレーキを採用するなど、現代のクルマに近い仕様になっているほか、昭和63年の排出ガス規制(自動車NOx・PM法)にも対応しています。また、後期型は南アフリカで2008年まで生産されていたため、部品の入手性の高さもおすすめポイントです。 販売台数の多かった2代目サニトラは100万円前後から購入できます。販売初年度から50年以上、国内販売終了からでも29年が経過している旧車としては比較的入手性の高い車種です。しかし、少しずつ流通数は減ってきており、1992年式で328万円もの価格の車両もありました。また、旧車王では1992年式のサニートラック ロングボディデラックスを100万円という高値で買い取っています。 今後さらに台数が減少すると、サニトラの豊富なカスタマイズを楽しめる機会も減ってしまうかもしれません。 ※中古車価格は2023年2月執筆当時
欧州車を思わせる個性的な外観に高級感あふれる内装、さらにハイパワーエンジンをFRレイアウトにパッケージングしたことで、アリストはラグジュアリースポーツセダンとして確固たる地位と人気を獲得しました。そんなアリストの特別感をさらに高めたのが、ベルテックスエディションです。高級スポーツセダンとして人気を集めた16系アリストに設定されたベルテックスエディションについて、ベースグレードと比較しながら詳しく紹介します。 国産最速セダンとも呼ばれたアリスト アリストは、高級セダンとして他車に遜色のないデザインや装備を纏いつつ、スポーツカー顔負けの高い走行性能も備えるという、当時の国産車ではあまり例のない性格をもつ車種でした。 ここでは、そんな“国産最速セダン”とも呼ばれたアリストについて紹介します。 最後のアリストとなった160系 初代140系アリストは、クラウンマジェスタの姉妹車として1991年に登場しました。そして、登場から6年後の1997年に、最初で最後のフルモデルチェンジを実施して登場したのが2代目160系アリストです。 アリストの特徴は、初代・2代目とも一貫しています。高級セダンとしての車格にふさわしく、贅沢で丁寧に仕上げられ内外装と、高い走行性能を両立していました。「ハイパフォーマンス4ドアセダン」として、他の高級セダンと明確な差別化が図られていた車種です。 トヨタ最強のハイパフォーマンスターボエンジンや、四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用するなど、スポーツカーさながらの装備となっています。 ベースグレードは2種類 アリストのベースグレードは、V300とS300の2種類。大きな違いは吸気方式の違いで、V300がターボの2JZ-GTE、S300が自然吸気の2JZ-GEを搭載しています。 アリストは、海外向けには“レクサスGS”として販売されていましたが、レクサスGSにはターボエンジン搭載モデルはありません。アリストの魅力を最大限表現しているのは、国内向けのグレードであるターボモデルのV300です。 現在でも人気の名機2JZエンジンを搭載 アリストに搭載されているのは、ターボ、自然吸気ともに3L直列6気筒の2JZエンジンです。2JZ型のエンジンは、今もなおドリフト競技で多くの支持を集めています。 なお、先代で設定されていた4LのV8エンジンを搭載するグレードは、160系のアリストでは廃止されたため、2代目に搭載されるエンジンは2JZ型のみです。 ターボモデルの2JZ-GTEエンジンは、国内自主規制最大となる280psを発生しました。当時、トヨタのフラッグシップスポーツカーであった80スープラと同型エンジンというところからも、いかにアリストが“走り”にこだわっていたのかがわかります。 「走りのアリスト」を引き立てるベルテックスエディションのベースグレードとの違い 160系アリストには、V300、S300の両方で、ベースグレードのほかに“ベルテックスエディション”というグレードが用意されていました。ラグジュアリーセダンとしての性格に、よりスポーティで洗練されたイメージを付加したグレードです。 ここではベースグレードとベルテックスエディションの違いを紹介します。 黒を基調にまとめられたインテリア ベルテックスエディションとベースグレードで大きく異なる点は、内装色です。全体が黒で統一されており、アリストがもともと備えた高級感に加え、都会的でスタイリッシュな印象になっています。 ベースグレードから変更されたのは、それだけではありません。ダッシュボードやドアパネル、カーペットやシートにいたるまで、別のクルマといえるほどほぼ全面的に仕様が変更されています。高級セダンとしては一般的な、ベージュとグレーというベースグレードの配色はまったく残っていません。 ただし、ベルテックスエディションに標準装備されているシートは、黒とグレーの布製シートである点には注意が必要です。ベルテックスエディションの象徴的なイメージのある黒本革シートですが、実際にはオプション扱いになります。 特別感のある専用外装パーツを装備 ベルテックスエディションには、外装面でも2点の専用パーツが用意されました。アルミホイールとトランクスポイラーです。 高級感だけではなく、走行性能の高さもアリストの魅力の1つ。トランクスポイラーによって、より“走り”のイメージが際立ちます。 また、ターボモデルのV300のベルテックスエディションでは、専用デザインの17インチアルミホイールが装備されています。 アリストの中古車は今が狙い目 当時としては最高ともいえる高級感と、高い走行性能を備えたアリストは、中古車として狙い目の車種です。160系アリスト、ベルテックスエディションの中古車相場は、ターボ車のV300でも100〜200万円前後です。 大手中古車サイトで検索をしてみたところ、走行距離5万km未満、修復歴ナシという程度の良いV300ベルテックスエディションが300万円前後という価格でした。同じ2JZエンジンを搭載したモデルの80型スープラが、800万円前後で取り引きされていることを考えると、かなり手頃な価格です。 一方、旧車王では、V300ベルテックスエディションを160万円で買い取った実績があり、買取価格はやや上昇傾向にあると言えるかもしれません。 高級感と最高の走行性能を味わえる160系アリスト ベルテックスエディションに魅力を感じたのなら、早めに探し始めた方がいいでしょう。 ※価格は2022年12月執筆時
わずか197台の生産にもかかわらず、現在でも伝説的な人気を誇る“ケンメリGT-R”。生産台数が少なかった理由として、ネガティブな説が挙げられることもありますが、実際は最後のS20型エンジン車として後に進化を遂げたモデルです。今回は希少車“ケンメリGT-R”の魅力について詳しく紹介します。 ハコスカで登場したGT-Rはケンメリに受け継がれた GT-Rは、3代目のスカイラインである通称“ハコスカ”から追加された最上級グレードです。4代目スカイラインの“ケンメリ”にも、GT-Rのグレードは引き継がれました。 大衆受けを狙ったベース車両とは方向性が異なったものの、見事に伝統を受け継ぎ、ケンメリGT-Rはスカイラインの新たな伝統を生み出したモデルへと進化を遂げます。 ベースとなった4代目スカイライン 当時大ヒットした3代目“ハコスカ”の次モデルとして登場したのが、4代目C110型スカイライン、通称“ケンメリ”です。1972年9月に登場したケンメリは、高性能化を目的として骨太に作られたハコスカとは対照的に、大衆受けを狙ったクルマとして開発されます。 “ケンメリ”という愛称の発祥であるCMのキャッチコピー「ケンとメリーのスカイライン」に象徴されるようにソフトなイメージで売り出され、歴代最多となる約67万台を売上げました。 4ヶ月遅れで発売されたGT-R ケンメリGT-Rが登場したのは、ベース車両発売から4ヶ月後の1973年1月。大衆受けを狙って開発されたグレードとは異なり、KPGC110型ケンメリGT-Rはその称号にふさわしく、ベース車両とは大きく差別化が図られました。 オーバーフェンダーやダックテールスポイラー、フロントグリルといったGT-R専用設計の外装パーツを備え、ベース車両と大きく異なる印象に仕上げられています。 ハコスカからの進化を遂げたケンメリGT-R KPGC110型ケンメリGT-Rの生産台数は、わずか197台と言われています。(生産台数には諸説あり)ベースである4代目スカイラインの大ヒットを考えると、当時としてはかなり少ない台数です。しかし、限られた生産台数や条件のなかでも、ケンメリGT-Rは先代から大幅に進化を遂げています。特に大きな影響を受けたのは排ガス規制による同型エンジンの採用です。厳しい時代を背景に、ケンメリGT-Rがどれだけ魅力的なクルマに仕上げられていたかを紹介します。 余り部品の寄せ集めではない 限定197台となった理由を「先代"ハコスカ”で余った部品で組み上げたから」とする説もあります。しかし、ケンメリGT-R専用に開発された外観部品はもちろん、エンジンやサスペンションなど型番が共通の部品もケンメリ用として生産されました。 シャシーの見直しも含めて専用の部品開発も行われており、スカイラインGT-Rとしてしっかりと進化しています。 排ガス規制の中で模索したスペックアップ 新たに設けられた排ガス規制をクリアできなかったことが、ケンメリGT-Rをわずか4か月という短命に終わらせた要因だと言われています。新たな開発費を投じることができず、規制をクリアする新しいエンジンを搭載することが叶わなかったのです。 ハコスカから受け継いだ同型のS20型エンジンは最高出力160㎰、最大トルク18.0kgmを発生し、数値上のスペックに変更はありません。しかし、中速域重視のセッティングを見直し、補器類はケンメリ用にアレンジされて、型式とスペックが同様ながらも進化を感じられるよう手が加えられました。 また、シャシーやサスペンションの徹底的な見直し、ブレーキにマスターバックを導入するなど高いハンドリングとコントロール性能を手に入れています。 GT-Rらしいスパルタンな内装 性能や外観だけではなく、乗り込んだ際に感じるインテリアの特別感もGT-Rの魅力の1つです。ケンメリGT-Rは、先代のハコスカ以上に内外装でベース車両との差別化が図られています。 ダッシュボードには、横一列にメーターが並べられたインストパネルにアルミパネルが取り付けられ、よりスパルタンな印象に仕上げられています。その中には240km/hまで表示されたスピードメーターと、10,000rpmまで刻まれたタコメーターが組み込まれています。 ほかにも、表皮やデザイン、ヘッドレストまで一新された本格的なバケットシートや本革巻きのステアリングなど、“走り”と“特別感”を意識したGT-Rらしい内装に変化しました。 「ケンメリGT-Rならでは」の魅力が詰まっているからこそ希少車としての価値が高い 旧車で販売台数の少ない希少車ともなれば、確かに価格は高騰しがちです。しかし、クルマとしての魅力がなければ買い手がつきません。 ケンメリGT-Rが、余りものの寄せ集めやただ排ガス規制に翻弄されただけのクルマであれば、現在の人気はなかったでしょう。厳しい条件のなかでも妥協することなく、“GT-R”にふさわしいクルマ作りをしたことが現在の人気につながっているのです。