旧車の魅力と知識

アメリカンスポーツの祖!車好きを魅了するコルベットC2の魅力とは?
旧車の魅力と知識 2022.02.01

アメリカンスポーツの祖!車好きを魅了するコルベットC2の魅力とは?

轟くV8エンジンサウンドと、ワイド&ローな特徴的なフォルムで、今もアメ車好きを魅了し続けるコルベット。そんなコルベットの地位を現在の地位にまで押し上げたのは、2代目となるコルベットC2と言っても良いかもしれません。 リトラクタブルヘッドライトによって尖ったフロントノーズ、今なおマニアの間で人気の「スプリットウィンドウ」を備えた個性的なリアビュー。当時としては、かなり先鋭的なデザインと大排気量V8エンジンで欧州のファンまでも納得させました。 今回は、今や名車と呼ばれるまでになったコルベットC2の魅力に迫ります。 まさにアメリカンスポーツの代名詞!コルベットC2とは シボレー コルベットと聞けば、アメリカンスポーツカーの代表格と言って差し支えないでしょう。しかし、1953年に初代コルベットが発表された当時、見た目もさることながら、性能でも欧州車には全く歯が立ちませんでした。 そんなコルベットの地位を一気に押し上げたのは、初代登場から10年となる1963年に登場した2代目コルベットC2です。 シボレー コルベットは当初はV8エンジンではなかった シボレー コルベットは、シボレー初の2シーターレイアウトのオープンスポーツカーとして、当時遅れを取っていた欧州のスポーツカーに対抗すべく、1954年に登場しました。 現在ではコルベットの代名詞とも言える大排気量V8エンジンですが、意外なことに初代販売当初は直列6気筒エンジンで、最高速度はわずか102マイル/h(約163km/h)ほど。ほぼ同サイズだったジャガーは、120マイル/h(192km/h)を容易に達成していたため、欧州車との実力差は圧倒的でした。 その後、欧州のスポーツカーに対しての遅れを打破すべく、翌年の1955年にオプションとして搭載されたのが、専用チューンされたセダン用の4,343cc水冷V8 OHVエンジン。その後、1956年から標準ラインナップに追加され、現在のコルベットのイメージ通り、大排気量、パワー至上路線を歩むことになります。 名車としての地位を確立したC2 欧州のスポーツカーに対抗すべく開発されたコルベットは、2代目となるC2の登場によりその地位を確立します。2020年に登場した最新C8にも採用されたスティングレイ(アカエイ)の名称が最初に使用され、アカエイという名の通り、C1とは異なるシャープで前衛的なデザインが特徴でした。 欧州車に引けを取らないフォルムとV8エンジンの圧倒的なパワーには、当時のシボレーも自信を持っており、初お披露目の舞台に敢えてパリのサロンを選んだほどです。 そして、その自信の通り、目の肥えた欧州のユーザーはもちろん、多くのスポーツカーファンの支持を集め、アメリカンスポーツカーとしての地位を確立していきました。 大排気量V型8気筒OHVの有り余るパワー コルベットC2のエンジンは、大排気量化の流れの中で開発されました。 これぞアメ車という、5Lを超える大排気量で300馬力以上を発生するV8エンジンは、C2が名車と呼ばれる理由の一つです。 いかにもアメリカらしい大排気量エンジン C2の初期モデルに搭載されたエンジンは、基本構造はC1から引き継いだV8OHVエンジンでしたが、排気量は5,358ccへと大幅に拡大されました。 その後、レーシングスペックZ06では、ビッグブロックとも呼ばれる6,489ccのエンジンが搭載され、最終的には6,997ccまで拡大。大排気量+ハイパワーという、いかにもアメ車らしい進化を遂げます。 わずか20台のみ販売されたL88型 コルベットC2末期には、L88型と呼ばれるレーシングエンジンをデチューンしたモデルを追加。わずか20台の販売にとどまりましたが、公称430馬力というカタログスペックは、監督官庁の懸念やパワーによって決められていた保険料などの問題で伏せていただけで、実際には500馬力以上だったとも言われるモンスターマシンでした。 現在では、7,000万円以上の価格で取引されたこともあるほど、希少性と人気の高いモデルです。 C2は後世コルベットのデザインを決定づけた C2という名称よりも、スタイリングからついた、コルベットスティングレイという名前の方の知っているという方も多いでしょう。 コルベットC2は、その後のコルベットのデザインの基礎となったとも言えるモデルです。 試作車を元に開発した先鋭的な外観 コルベットC2は、試作車であるスティングレイレーサーを原型にデザインされた為、コルベットスティングレイと呼ばれます。 エッジに曲線を組み合わせたデザインは、当時としてはかなり先鋭的な外観でした。さらに初年度のモデルでは、ルーフからテールエンドを繋ぐフレームによってリアウインドウが二分割された「スプリットウィンドウ」を採用。この特徴的なリアウインドウは、今でも人気のポイントです。 伝統のリトラクタブルヘッドライト コルベットC2の外観的特徴のもう一つが、リトラクタブルヘッドライトの採用。「アカエイ」という意味であるスティングレイの名のごとく、平たいワイド感とシャープな印象を生み出しています。 リトラクタブルヘッドライトは、この後コルベットC5まで装備され、コルベットの外観を表す特徴の一つとなりました。 アメ車の伝統 今回は、アメリカンスポーツカーの金字塔ともいうべき名車、コルベットC2をご紹介してきました。 速さと操る楽しさを追い求めるスポーツカーの世界では、欧州車が世界を席巻していた1950年代。そんな伝統と格式を持った欧州勢に対し、これぞアメリカのスポーツカーともいうべき骨太なV8サウンドを轟かせ、1963年に登場したコルベットC2の功績は、とても大きなものです。 先鋭的なデザインに加え、FRPの採用で1.3tという軽さを実現したボディ。さらに300馬力以上のパワーを誇るコルベットC2は、50年以上経過した今でも色あせることの無い魅力的な車の一つです。 [ライター/増田真吾]

300万円で買えた和製ミッドシップスーパーカー!トヨタ MR2(SW20)
旧車の魅力と知識 2022.02.01

300万円で買えた和製ミッドシップスーパーカー!トヨタ MR2(SW20)

かつてフェラーリ348やホンダ NSXより速いと言われた国産車がありました。それが国産ミッドシップスポーツカーの扉を開いた、トヨタSW20型MR2です。しかも新車価格はたった300万円。 販売当初は、過敏なハンドリングが不評だったものの、トヨタ開発陣は市場投入後も改良を続け、国産ミッドシップスーパーカーと言っても過言ではないレベルにまで昇華させました。今回は、SW20の特徴と進化について詳しくご紹介します。 トヨタが手掛けた本格ミッドシップスポーツカー2代目MR2(SW20型) 初代MR2であるAW11は、FF車であるカローラをベースに開発され、安価なミッドシップスポーツカーということで、一定の成功をおさめます。 このAW11の成功を元に、本格的ミッドシップスポーツカーとして開発されたのが、2代目MR2であるSW20です。 先代AW11からの大幅アップグレード SW20型のMR2は、初代となるAW11からのアップグレードをテーマに開発されました。 特に力を入れて改善されたのが、スタイリングと居住性。結果、ミッドシップレイアウトを存分に活かし、イタリアンテイストとも言えるスタイリングを実現しました。 大型化による居住性の改善と共に、バブル景気を背景にした豪華な内装が施し、1989年~1999年の10年間販売される国産ミッドシップスーパーカーが誕生します。 伝統の名機3S-Gを搭載 SW20のエンジンは、車格に合わせてアップグレード。セリカGT-FOURにも搭載され、当時トヨタのレースシーンで欠かせなかった3S-Gを採用し、2Lという排気量ながらターボ搭載の3S-GTEは、最高出力225馬力を発生させました。 大型化したにも関わらず、当時としては優秀な、0-60mph加速(約96km/h)6.1秒を記録しています。さらに1993年のマイナーチェンジで、最高出力は245馬力にアップ。フェラーリ348やNSXに勝るタイムを叩き出すまでに進化します。 乗り手を選ぶじゃじゃ馬から誰でも乗れるスポーツカーへ SW20登場時は、デザイン面でAW11の弱点を補えていたものの、スポーツカーとしての評価は決して高くありませんでした。 各部の性能がダイレクトに走行性能に反映されるミッドシップレイアウトは、ミッドシップスポーツカー開発ノウハウの乏しいトヨタにとっては大きな挑戦だったのです。しかし、トヨタ開発陣は改良を続け、SW20がミッドシップスーパーカーとしての地位を確立するまでに高めました。 登場初期のハンドリングはピーキー SW20登場時、もっとも不評を買ったのは、ピーキーなハンドリング性能。元々FF用に開発された重心の高い3S型エンジンに貧弱な足回り、ハイトの高い14インチタイヤと、腕に自信のあるドライバーでさえ、手に汗握るハンドリング特性でした。 ミッドシップレイアウトは、スポーツカーとしては理想的なレイアウトとという印象がありますが、他のレイアウトに比べ荷重移動が激しいという欠点があります。そのため、重心バランス、足回りの設計などが伴わなければ、操りにくい特性に仕上がってしまうのです。 AW11の開発経験があったとはいえ、FFレイアウトを基本に開発をしてきたトヨタにとって、ミッドシップレイアウトの本格スポーツカーの開発は挑戦の連続でした。 10年間の間に4度もマイナーチェンジ SW20には、通称I型からV型と呼ばれる5つのモデルが存在します。 トヨタ開発陣は、度重なるマイナーチェンジで、I型販売当初未成熟だったミッドシップレイアウトを完成の域にまで高めたのです。 如何に現在でも高い人気を誇るスーパーカーに仕上がっていったのか、SW20の各モデルの変遷と特徴をご紹介します。 II型(1991年~) 最初のモデルチェンジでは、まずピーキーなハンドリングの改善に取り組みます。 タイヤを14インチから15インチにサイズアップし、フロントサスペンションの改良。スタビライザーの大型化と、足回りを中心に見直し、ハンドリングの安定性向上を図りました。 III型(1993年11月~) 2度目のマイナーチェンジでは、マイナーチェンジとは思えないほどの変更が加えられます。 まず最大の変更はエンジンの大幅なパワーアップ。LジェトロからDジェトロへの変更し、ターボチャージャーの改良、燃料ポンプの大型化などで20psアップとなる245psを獲得します。(NAモデルは15psアップの180ps) また、外観もリアスポイラーやテールランプのデザインを変更、サイドモールやボディ下部の塗装をボディ同色にするなど、内外装共に大幅な変更が加えられました。 IV型(1996年6月~) 三度目のマイナーチェンジは、小幅な変更に留まります。前回のマイナーチェンジで搭載したスポーツABSを4輪独立制御に変更し、トラクションコントロールシステムにも変更が加えられました。 V型(1997年12月) 最後のマイナーチェンジとなる、4度目の変更では、いよいよ完成形とも言える進化を遂げます。 NAエンジンは、吸排気の見直しにより、排気量1Lあたり100馬力となる200馬力まで最高出力が高められました。外観ではタイヤハウス下部にエアスパッツが追加され、リアには可変式大型スポイラーを装備。空力性能が高められると共に、見た目も完成形と呼ぶに相応しい仕上がりとなります。 また、内装もシート、ステアリング、シフトノブ、メーターの目盛り色に至るまで細かく見直され、スポーツカーのコクピットとして機能美に溢れた仕上がりになりました。 SW20の中古車相場について SW20型MR2の中古車価格は、マイナーチェンジの世代、グレードによって大きく開きがあるのが特徴です。 安価なものは80万円ほどから購入可能な一方で、最終V型の限定車は480万円ほどに高騰しているので、世代、グレードをよく確認して予算に合わせて選ぶと良いでしょう。 海外での日本車スポーツカー人気の追い風もあり、買取価格は最大150万円ほどと、年式を考えると高値で安定しています。 まとめ 国産ミッドシップスポーツカーのパイオニアとも言えるSW20型MR2は、トヨタの開発陣の粘り強い挑戦によって、名車と呼ばれる域に達しました。 各世代とも特徴があるので、中古車を選ぶ際は求める性能やデザインによって、選ぶモデルが変わってきます。同じ型式の車種で世代によってこれだけのバリエーションのある車種も珍しいので、是非自分好みの一台を探してみてください。 [ライター/増田真吾]

バブルが生んだ夢の軽スポーツ!アメリカにも影響を与えた平成のABCトリオ
旧車の魅力と知識 2022.01.31

バブルが生んだ夢の軽スポーツ!アメリカにも影響を与えた平成のABCトリオ

日本がバブル経済真っ只中だった1990年代初頭、自動車業界もユニークな車が多く登場しました。その中でも記憶に残るのが、車名の頭文字をとって「ABCトリオ」と呼ばれていた軽スポーツカー、マツダ AZ-1、ホンダ ビート、スズキ カプチーノの3台でしょう。 今回はバブル時代に強烈な個性を残し、海外でも人気となっているABCトリオの魅力を解説していきます。 マツダ オートザム AZ-1 1992年9月にマツダオートザム店より発売されたAZ-1は、軽自動車で唯一のガルウイングドアを採用。ドアが上に開いていくさまはABCトリオの中でも特に異質であるとともに強い魅力でもあり、現在でも根強いファンが多く存在します。 ボディ外装にFRPを使用することで車両重量はわずか720kgに抑え、エンジンはスズキ アルトワークスのDOHCターボであるF6A型をミッドシップレイアウトである運転席後方に搭載。車体の軽さとガルウイングの奇抜さを売りにし、当時は149.8万円(税抜)で販売されました。 2021年7月の原稿執筆現在、マツダ AZ-1の市場相場は大手中古車サイトで消費税込みの車体価格が158~348万円。旧車王での買取価格は全グレード50~200万円となっており、購入、買取ともにAZ-1はABCトリオの中でも最も高値で取引されています。 ホンダ ビート 量産車としては初の試みであるミッドシップフルオープンモノコック構造を採用し、1991年5月に発売されたホンダ ビート。軽オープンの軽量ボディながら、新機軸のモノコックフレームは高い剛性を発揮し、まさにスポーツ走行に適した車です。 ABCトリオの中では唯一のターボ未搭載車ではありますが、ミッドシップに搭載された高回転型エンジン(E07A型)の最高出力は自主規制いっぱいの64ps。レブリミットまで回しきって楽しむホンダらしい走りを提供してくれました。その他にも、4輪ディスクブレーキの採用やSRSエアバッグ、サイドインパクトバーなど軽自動車では初となる装備も多く搭載し、発売時の新車価格は当時の価値としては割高な138.8万円(税抜)という設定でした。 ビートの中古車相場は、2021年7月の執筆時点で28~240万円で取引されており、旧車王での買取額は~150万円です。価格はそこまで高値ではなく、流通台数も120台ほど。オープンカーのため雨漏れなどの心配はあるものの、ABCトリオの中では手に入れやすい存在です。 スズキ カプチーノ 1991年10月に発売されたスズキ カプチーノは、他のABCトリオとは違い、はっきりとしたロングノーズ・ショートデッキのフォルムが特徴的。DOHCターボエンジン(F6A型)を縦置きに搭載したFRレイアウトを採用したことで、ノーズの長いFRスポーツらしいシルエットを演出しています。 他にもオープンカー特有の収納ルーフは、そのときの気分によってフルオープン、タルガトップ、Tバー、クローズの4つから選択でき、運転が楽しくなるユニークなギミックを搭載。また、アルミボディによる軽量化や、4輪ダブルウィッシュボーンサスの採用など、走行面でも手を抜かず、当時は145.8万円(税抜)で販売されました。 そんなカプチーノの中古車相場は、2021年7月の執筆時点で39~289万円と上下幅が大きく、旧車王での買取り相場はベースグレードが~100万円、特別仕様車の「リミテッド」が~130万円となっています。 当時の日本だからできた突き抜けたコンセプト 個性豊かなABCトリオは30年経過した現在でも高い人気を保ち、その需要は海外にまで及んでいます。どの車種にも共通することは、オープンカーの軽自動車であり、エンジンを限界まで回し、軽い車体を振り回すように運転できる楽しい車だということです。 日本のバブル経済による潤沢な資金から生み出したこの3車種は、造形だけ見ても今では考えられないほど斬新。軽自動車にあまり馴染みがないアメリカでは、ホビーカーとして多くのファンを生み出しました。 制度の恩恵もあり、アメリカでは大人気 このABCトリオがアメリカで人気なのは、スポーツカーならではの運動性や、アグレッシブなスタイリングだけでなく、25年ルールの影響もあるでしょう。 製造から25年経過した日本車は、アメリカ国内の保安基準(FMVSS)による縛りを受けることなく輸入可能になるため、ABCトリオはこういったルールの影響もあり北米での人気が高いのです。しかし、現在は輸入するにも車本体の在庫台数が減少しており、生産台数が4500台ほどと少ないAZ-1は特に希少性が高く、値段も上昇傾向にあります。 まとめ バブル時代の遊び心ある軽オープンカーとして、国内外問わず幅広い人気を持つ平成ABCトリオ。車をただ目的地に向かうだけの道具ではなく、生活の彩を豊かにする存在として、日本のみの企画である軽自動車のオープンカーはなくてはならない存在です。 ただし、ホンダ S660が2022年3月の製造販売終了を前に、現在新車で買える軽オープンカーはダイハツ コペンのみ。合理的な価値観が支持されるこのご時世では、室内荷室ともに窮屈なABCトリオのような車は絶対的な販売台数が見込めません。 しかし、海外まで浸透している軽オープン熱は未だ衰えることはなく、ファンの間ではこれからも需要は尽きないことでしょう。人気に比例して在庫も減ってくるので、ABCトリオを楽しむならば、今がベストのタイミングなのかもしれません。 [ライター/増田真吾]

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由
旧車の魅力と知識 2022.01.31

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由 日本初の大衆車として、戦後国内の自動車事情を支えてきたスバル360。キュートで印象なフォルムは「てんとう虫」の愛称で親しまれ、現在でも根強い人気を誇っています。しかし、そんな360でもアメリカ市場では辛酸を舐め、辛い時代があったのです。 今回はスバル360がアメリカで受け入れられなかった理由、そして現在は高値で取引されている現状を解説していきます。 まだマイカーが浸透していない時代に誕生した360 日本では1950年代当時、戦後の経済成長を図るために「国民車構想」という自動車生産計画が提唱されていました。 排気量350~500ccで、価格は25万円以下。さらに、最高時速100km/h、車両重量400kg以下で4人乗車可能という当時の技術では厳しい条件が示され、各メーカーは頭を悩ませます。 そんななか、スバルが1958年に発売したのが360という全長3mにも満たない小さな自動車でした。 機械遺産にも選ばれた技術の結晶 余計なフレームを必要としない「モノコックボデー」を採用し、FRPと0.6mm鋼板を使用することで385kgという軽さを実現。リアに横置きされた排気量360ccの空冷2気筒2ストロークエンジンは、最高出力16馬力ながら4人乗車の状態でも最高速度83km/hを記録しました。 そして、サスペンションには省スペースの「トーションバースプリング」を使用し、家族4人が座れる室内空間を確保しています。 価格は425,000円で、360が発売された1958年当時、一般的なサラリーマンの月収が16,000円程度だったことを考えるとまだまだ高値の花。しかし、時が経つにつれ国民の給料も上がっていき、1970年に生産が終了するころには、累計で約39万台を売り上げる大ヒットとなりました。 創意工夫を重ね、日本にマイカー時代を到来させた360は現代でも評価されており、2016年には日本機械学会が定める「機械遺産」として認定されています。 アメリカでの360の価格上昇 そんな一時代を築いた360ですが、半世紀経った現在において市場価格が上昇しています。 2020年1月時点のアメリカで10,100ドル(約110万円)だった1969年式の360が、1年後には44,300ドル(約486万円)まで上昇。さらに2020年10月には、上位グレードの「デラックス」が50,000ドル(約550万円)で取引されています。 半世紀も前に販売されていた360の価値がわずか1年の間で4倍以上も上がっているのは、一体どういうことなのでしょうか。 360はアメリカの道には適さなかった もともと360は1968年にアメリカ市場でも展開されており、出荷台数は累計1万台とそれほど振るいませんでした。 360は28km/Lという燃費の良さも売りでしたが、当時のアメリカでは燃費にあまり関心がなく、むしろ車体重量の軽い360は「安全基準の低い車」と捉えられ、良いイメージは与えられなかったのです。 アメリカ車と比べた場合の衝突安全性に、加速性、後部ヒンジドアが走行中に開いてしまう問題など、あらゆる点を考慮した上で360は北米の道路を走るには適さない車だと結論づけられました。 なぜ今になって価格が上がってきているのか? そんな評価の低かった360が現代のアメリカで再評価され、価格も高騰しているのはなぜなのでしょう。日本のクラシックカーには多くのファンが存在しており、時間が経過するにつれ価値は上がっていきます。 そのなかでも日本大衆車の始祖という立ち位置の360は、海外ファンにとってはジャパニーズクラシックとして非常に人気。年数が経つことで価値が増すクラシックカーと、360の持つ歴史的価値が相まって価格の上昇が起こっているのです。 360の中古車相場と直近のオークション価格 海外での需要が高い360ですが、日本国内の大手中古車サイトでの消費税込みの車体価格は、90万円~220万円。最高額の個体はエンジンの出力アップや、内外装を洗練させた「ヤングSS」というスポーティグレードで、1972年式で走行距離は14,000kmと低走行で、ファンの方なら220万でも高くはない買い物かもしれません。 直近の海外オークションでも50~120万円の相場になっていますが、状態の良いものが出品されれば200~300万越えは当たり前になってくるでしょう。 まとめ スバル 360は1958年の発売から日本国内で市民権を得ることに成功し、日本に「マイカー」を定着させました。 比較的安価で、小さな車体に家族4人が乗れるというコンセプトは日本の生活ではピッタリ。しかし、“大きく重く強い”ことが良しとされていた当時のアメリカでは快く受け入れられませんでした。 しかし、現在はその歴史的かつ技術的価値が見直され、クラシックカーとして多くの人々に愛され需要が上昇。日本国内の中古市場でも手ごろとは言えませんが、個体によっては手の届く範囲の価格ですので、360に乗って道路上で周りの注目を得てみるのも面白いかもしれません。 [ライター/増田真吾]

免許返納後の移動手段は自転車が良いのか?メリットやデメリットを解説
旧車の魅力と知識 2022.01.31

免許返納後の移動手段は自転車が良いのか?メリットやデメリットを解説

免許返納後の移動手段について悩む方が多いのではないでしょうか。警視庁交通部の「運転免許を返納された方へ」によると、免許を保有している人の多くが、車を運転する理由は移動手段と答えています。このことからも免許返納後の移動手段に悩む人が多いといえるでしょう。今回は、免許返納後の移動手段、自転車のメリットやデメリットを解説します。移動手段に悩んで免許返納をためらっている方は参考にしてみてください。 出典元:警視庁交通部『運転免許を返納された方へ』 免許返納後の移動手段 免許返納後の移動手段には、自転車・徒歩・公共交通機関などがあります。ここからは、免許を返納した後の主な移動手段を紹介します。 自転車 車と同じように時間に左右されず、自由に移動できる乗り物が自転車です。自転車には、軽量タイプや三輪車タイプなど、さまざまな種類があります。また、近年では走行を支援する電動アシスト自転車も増えています。電動アシスト自転車は、モーターのアシストによって楽に運転できる自転車で、脚力や体力に自信がなくても走らせやすいことが特徴です。さらに、運転経歴証明書を提示すれば自転車の購入代金が割引になることもあります。 徒歩 徒歩は、適度な運動になるだけではなく、認知症のリスクを低減できる可能性がある移動方法です。買い物をするついでに運動もできる徒歩は、健康維持にも有効な手段といえるでしょう。 タクシー タクシーは、目的地まで直接移動できる公共交通機関です。希望する場所へ呼んだり、送ってもらえたりすることが特徴です。運転経歴証明書があれば運賃が割引になることもあります。 バス・電車 バスや電車は、最寄りのバス停や駅まで移動しなければなりませんが、タクシーよりも安く運賃で移動できることが特徴です。最寄りの停留所まで自転車や徒歩で移動することで、適度な運動にもなるでしょう。また、徒歩や自転車で移動できる範囲よりも遠くに行けるのも、バスや電車ならではのポイントです。日常生活圏内から離れると気分転換にもなるでしょう。 免許返納して自転車移動に切り替えるメリット 免許を返納して自転車に乗って移動するメリットは、車よりも維持がしやすく、運動にもなることでしょう。ここからは、自転車を利用するメリットを解説します。 運動が習慣づく 移動手段を車から自転車に変えると、適度な運動が習慣づくでしょう。生活必需品の買い出しや郵便物の差し出しなどに自転車を使うことで、生活の一部に運動を取り入れることが可能です。適度な運動は、健康の維持につながり、認知症のリスクを低減できる可能性もあります。 気分転換になりやすい 自転車は、気分転換にも有効です。車の運転では渋滞や歩行者・自転車などに気を付けなければなりません。そのため、ストレスを感じやすい移動方法といえるでしょう。自転車でも他の交通にストレスを感じやすいものの、渋滞を避けやすいことから、ストレスを感じにくいといえます。また、適度な運動はストレス発散効果があるため、車よりも気分転換がしやすいです。 維持費が安い 自転車は、車のような税金や燃料代がかからないため、維持費が安く済みます。車は、自動車税やガソリン代、車検代やメンテナンス費など多くのコストがかかります。一方、自転車は購入以降、税金や燃料代がかかりません。そのため、毎年多額の維持費を支払う必要がなくなります。 壊れてもすぐに修理できるケースが多い 自転車が故障したときは、自転車の販売店やホームセンターなどで修理ができます。車の場合は、修理に時間がかかることが多く、費用も高くなりやすいです。しかし、自転車ならすぐに修理できることが多く、修理費も安いことがほとんどです。 免許返納して自転車移動に切り替えるデメリット 移動手段に自転車を使うことはメリットばかりではありません。ここからは、自転車を移動手段として使うデメリットを解説します。 雪道には使用することが難しい 雪道は路面が滑りやすいため、自転車を使うことが難しいです。また、雨で濡れた路面や砂利が堆積している道路では、タイヤが滑ってケガをしてしまうこともあります。自転車は、天候や路面の状況によって運転が難しかったり、使用できなかったりすることがデメリットです。 盗まれるリスクが高い 自転車は、車体が軽いため盗難リスクが高いです。駅やスーパーの駐輪場などでは、自転車そのものの施錠だけでなく、柱や車輪止めなどを利用して盗まれないようにしておきましょう。 小さな事故でも大怪我を負うリスクが高い 身を守るものが少ない自転車は、小さな事故でも大きなケガになる場合があります。自転車に乗るときは、肌の露出が少ない服装で運転をしたり、安全な場所を選びながら走らせたりするようにしましょう。  

免許返納をしたらタクシーの特典を受けられるのか解説
旧車の魅力と知識 2022.01.31

免許返納をしたらタクシーの特典を受けられるのか解説

免許を返納すると、家から目的地まで移動する手段が限られてしまいます。特に、ドアtoドアの移動は、タクシーや家族の手を借りなければなりません。ドアtoドアの公共交通機関であるタクシーに、免許返納後の特典はあるのでしょうか。今回は、免許返納をしてから交付される運転経歴証明書を提示することで受けられるタクシーの特典について解説します。 免許返納で受けられるタクシーの特典内容 免許を返納し、運転経歴証明書の交付を受けた高齢者がタクシーを利用するときに受けられる特典には、運賃の割引やタクシー券の交付があります。特典内容は、タクシー会社や各自治体によって異なるため、各自治体の高齢運転者の支援情報を確認してください。ここからは、運転経歴証明書を提示して受けられるタクシーの特典を解説します。 常に割引 高齢者が運転経歴証明書を提示することで、タクシーの運賃割引を受けられます。多くのタクシー会社では、運賃10%割引となっています。ただし、都道府県や自治体によっては、回数券の交付をしているケースもあるため、自分の自治体でどのような支援が受けられるのか、条件を満たしているかなどを確認しましょう。 回数券を1回だけ配布 都道府県や自治体によっては、運転経歴証明書(または写し)を持参し、申請することで、タクシー券を1回限りで交付してもらえる場合があります。金額や枚数、交付条件などは、各自治体によって異なるため、各自治体のホームページなどで確認してください。 免許返納でタクシーの特典を受けられる地域 免許返納でタクシーの特典を受けられる地域は日本各地にあります。ここでは、タクシーの特典を受けられる主な地域と特典内容を紹介します。 富山県富山市 富山県富山市は、運転免許を全部自主返納した満65歳以上の方を対象に、公共交通機関やタクシーで利用できる支援券(1万円分)を交付しています。ただし、支援は1人1回限りで、令和3年度(2022年3月31日)で申請受付が終了となります。 山形県山形市 山形県では、県内広域においてタクシー・ハイヤーの運賃が10%引きとなります。また、山形市では、山形市に住民登録がある70歳以上の免許返納者を対象に、タクシー券2万円分を交付しています。ただし、タクシー券の交付には条件があるため、交付前に対象かどうか確認しておきましょう。 千葉県八千代市 千葉県八千代市では、八千代市内に居住し、住民登録がある65歳以上の高齢者を対象に、乗車1回につき500円割引となるタクシー券を20枚交付しています。ただし、1人1回限りの交付となっており、再発行ができません。また、有効期限が交付から3年となっています。タクシー券の交付には、運転経歴証明書の写しの提示が必要です。 千葉県我孫子市 千葉県我孫子市では、運転経歴証明書を所有している70歳以上の我孫子市民を対象に、市内で利用できるタクシー券4,000円分(200円×20枚)を発行しています。ただし、タクシー券の発行は1回限りとなり、追加発行(更新)できません。 新潟県長岡市 新潟県長岡市では、運転免許証を自主返納した65歳以上の方を対象に、公共交通機関利用券3,000円分の交付をしています。また、市内のタクシーを利用する際に、運転経歴証明書を提示すると運賃が10%割引されます。 福島県小野町 福島県小野町は、運転免許証を自主返納した方を対象(年齢制限なし)に、タクシー料金の助成をしています。小野町の助成制度は、運転経歴証明書を提示してタクシーに乗り、乗車料金が800円を超えた場合、利用者の負担額が800円のみになるというものです。ただし、移動範囲は町内のみ、利用時間は原則7:00から19:00、利用回数は1ヶ月に16回まで等の条件があります。 静岡県沼津市 静岡県沼津市では、有効期間内の運転免許証を自主返納した65歳以上の市民を対象に、バス・タクシーの利用券5,000円分(100円券×50枚)を交付しています。利用券の有効期限は、交付を受けた日から1年後の年度末までとなっています。 大阪府堺市 大阪府では、免許返納した大阪府在住の65歳以上の方のタクシー運賃が10%割引となります。運転経歴証明書を利用して運賃割引を受ける場合は、タクシーに乗車した際に証明書を提示します。 大分県 大分県では、運転経歴証明書の交付を受けている高齢者のタクシー運賃が10%引きとなります。また、タクシー券(タクシーチケット)の交付をしている自治体もあります。年齢条件やチケットの金額については各自治体に確認してください。 免許を返納してタクシーを利用するメリット 免許を返納してタクシーを利用すると、事故を起こすリスクが減ります。また、頻繁に車に乗ることがない場合には、車の維持費よりもタクシー代の方が安く済むこともあるでしょう。ここからは、タクシーを利用するメリットを解説します。 事故で罪に問われるリスクが低い タクシーを利用すると、自分で運転する必要がなくなるため、事故の当事者になるリスクが低くなります。交通事故を起こすと、多額の損害賠償を支払ったり、罪に問われたりすることがあります。金銭的・精神的な負担を減らせることも、タクシーを利用するメリットといえるでしょう。 維持費を考慮すると支出が少なくなることも 車は、自動車税、車検代、燃料代、メンテナンス代など、さまざまな費用がかかります。軽自動車であっても、年間20万円ほどの維持費がかかることから、車に乗る頻度が低い場合は、タクシーを利用した方が出費を抑えられるでしょう。

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向
旧車の魅力と知識 2022.01.28

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向

今も現役のスポーツカーとして販売されているトヨタ スープラは長い歴史の中で人気を博してきた車です。先代モデルのA80型スープラは特に人気が高く、中古市場では走行距離10万km近い個体でも当時の新車価格を超える車体もあります。現時点で28年も前の車がなぜそこまで人気なのか、その理由は国内だけではなく、海外の影響もあるのです。 グランドツーリングからピュアスポーツに方向転換したA80型 1990年代前半当時は、日産 「R32 GT-R」やマツダ「 RX-7 FD3S」など魅力的なスポーツカーが数多く発売されていました。そんな車好きを熱くさせた1993年5月、ニュルブルクリングで幾多の走行テストを重ね、研究し尽された新型スープラが誕生。これまでのグランドツーリング志向の歴代モデルに比べ、よりピュアなスポーツカーとして登場しました。 「THE SPORTS OF TOYOTA」のキャッチコピーのもと発売されたA80型スープラは、曲線を多用したグラマラスな外観ながら、ツインターボエンジンやダブルウィッシュボーンサス、大型ブレーキ、ゲトラグ社の6速MTなど、多くの魅力的な装備が備わっています。 1000馬力にも耐えうる2JZエンジン 全長4,520mm×全幅1,810mm×全高1,275mmのボディに搭載される2JZ型はパワーとトルク、耐久性にも優れており「トヨタ最強エンジン」との呼び声も高いエンジンです。 シーケンシャルツインターボを搭載したRZグレードは、最高出力は自主規制いっぱいの280psでありながら、最大トルク44.0kgmという当時のライバルたちを蹴散らすかの性能を発揮しました。 おまけに鋳鉄製のエンジンブロックはとても頑丈で、およそ1000psのパワーにも耐えることができ、チューニング業界でも非常に重宝されています。その性能の高さから、GRヤリスなど現在の車にも載せ替えが積極的に行われており、ドリフトやゼロヨンなどでは未だ現役のエンジンだといえるでしょう。 ワイルド・スピードへの登場で人気は加速 そんなA80型スープラは、北米でカルト的とも言える人気を誇っています。その理由は2001年に第一作が公開され、現在までシリーズが続くカー・アクション映画「ワイルド・スピード」の存在です。 故ポール・ウォーカー演じる主人公「ブライアン・オコナー」が駆るA80型スープラは、劇中でもその力強い走りを見せつけ、多くのファンを生み出します。 しかし、主演のポールは実生活でもスープラを所有するほどの車好きでしたが、2013年11月に自動車事故に遭い、40歳という若さでこの世を去ってしまいました。この衝撃的なニュースにファンは深い悲しみに暮れ、その後公開された7作目「ワイルド・スピード SKY MISSION」はポールの遺作となったのです。 なぜ中古市場が高騰しているのか 2021年6月17日〜19日にラスベガスで行われた「バレット・ジャクソン・オークション」では、ポールが劇中で乗ったA80型スープラが出品されました。 劇中どおりのオレンジのボディカラーとアルミ製の大型リアウイングが装着されたその姿にオークションは沸き、55万ドル(約6106万5950円)もの価格で落札されたのです。A80型スープラの海外人気はワイルド・スピードの影響もありますが、北米仕様として販売された日本車を純日本仕様にカスタムする「JDM」がブームだったことも関係しています。 そして、北米での制度により、製造から25年が経過した車は自由に販売、運転することができるため、日本の多くのA80型スープラは海外に輸出されました。その「25年ルール」の影響でA80型スープラの需要は急増、それに従って日本国内の中古車価格も高騰している現状です。 A80型スープラの中古車価格と買取相場 では、A80型スープラの中古車価格はどうなっているのか、車両本体価格と買取相場について見ていきましょう。 2021年6月時点での中古車は、最安個体でNAのSZグレードが243万円であるに対し、最高額はRZグレードの1080万円と、新車価格の4倍近い価格でした。やはり「RZ」や「RZ-S」といったターボ付きグレードは年式、走行距離問わず高額で取引されており、10万km走行車でも600~800万円の価格がついています。 旧車王での買取相場は「SZ」が100~300万円、「RZ」が200~700万円と、車両の状態によっては新車価格以上の買取が期待できることから、A80型スープラの需要は非常に高いことがわかります。 まとめ A80型スープラは2002年7月に新設された排気ガス規制に対応できず、販売を終了していますが、その人気は新型が発売されても未だに衰えることがありません。 チューニング、モータースポーツ、ワイルド・スピード、25年ルールなど、国外問わずさまざまな要素がA80型スープラを取り囲んでいます。 販売期間中の売上台数はわずか3万台ほどで、国内の在庫も着実に減っていっており、中古車相場はますます高くなる可能性があるでしょう。それほどの魅力に満ち溢れたA80型スープラ、購入を検討しているならば早いうちが得かもしれません。 [ライター/増田真吾]

ジャパニーズスポーツカーの雄!日産 フェアレディZの価値は空冷ポルシェ911並ぶか!?
旧車の魅力と知識 2022.01.27

ジャパニーズスポーツカーの雄!日産 フェアレディZの価値は空冷ポルシェ911並ぶか!?

2021年8月に待望の新型車が発表されることが正式に決まった日産 フェアレディZ。1969年に登場した初代となるS30型は、日本のみならず、北米市場も席巻し、日産を世界的企業へと押し上げた1台となりました。 日産の高い技術力と個性的なデザインが融合したフェアレディZは、どのモデルも常に独創的で、日産ファンのみならず、全ての自動車ファンが注目するモデルのひとつ。今回は、日産の地位を世界的なものにしたフェアレディZの歴史と、中古車価格から見る現在のZシリーズの人気についてご紹介します。 新型が登場する日産 フェアレディZの歴史 2021年8月に新型車の発表をすると正式にアナウンスがあった日産 フェアレディZ。 初代の登場は半世紀以上前となる1969年で、現在まで発売されたモデルは全6世代です。 どのモデルも個性的で人気の高いフェアレディZの初代から現行の6代目までの特徴を順にご紹介します。 S30型(初代:1969年~1978年) 初代フェアレディZが登場したのは1969年。登場から10年に渡り、世界累計55万台を売り上げるロングヒットモデルとなりました。 特徴的な、ロングノーズ・ショートデッキの独特のフォルムは、海外でも人気が高く、高い走行性能に対して価格の安い、いわゆるコスパのいいことも手伝って、海外、特に北米での売上を伸ばし、日産の名前を世界に知らしめた1台です。 S130型(2代目:1978年~1983年) 国産車初のTバールーフ車となった2代目Zは、初代のフォルムを引き継ぎながらややワイド化したモデルでした。 ド派手な爆破シーンとカーアクションで大人気の刑事ドラマ、西部警察で大門刑事(渡哲也)が乗るスーパーZとして活躍したのが記憶に残っています。 Z31型(3代目:1983年~1989年) ロングノーズ、ショートデッキという基本的なフォルムは継承しつつ、2代目までとはイメージが大きく異なるモデルです。 フェアレディZシリーズ唯一のリトラクタブルヘッドライトが特徴的で、エンジンもハイパワーのターボエンジンVG30ETを搭載するなど、ハイパフォーマンススポーツカーという新しいZの方向性を決めたモデルになりました。 Z32型(4代目:1989年~2000年) 先代からスーパースポーツカーへと変更した方向性を、より発展させたモデルとなりました。 一番大きな変更点は、フェアレディZの外観上の特徴だった、ロングノーズ・ショートデッキを改め、スポーツカーの象徴であるワイド&ローにデザイン変更したこと。 これによって、主要マーケットであった北米で、ポルシェなどと同等の高級スポーツカーの地位を確立しました。 Z33型(5代目:2002年~2008年) 1969年の初代登場から途切れる事がなかったフェアレディZの歴史上、唯一の空白となった2年間を経て登場したのが5代目となるZ33型です。 ボディタイプは、クーペとロードスターの2種類で、伝統の2by2モデルを排して、2シーターのみの設定でした。日産リバイバルプランの目玉の一つとして登場したのも記憶に新しいところです。 Z34型(6代目/現行型:2008年~) 現行型となるフェアレディZ6代目のZ34型は、Z33型を正統に進化させたと言えるモデルです。 フォルムは前作を引き継ぎつつ、エンジンは排気量を200cc増加させて最大355馬力を発生するV型6気筒3.7Lエンジンを搭載。ドライブトレインやボディ・シャシー設計の見直しを行うなど、性能面を徹底的に煮詰めたモデルとなりました。 歴代フェアレディZの中古車相場について 現行車種が販売中にも関わらず、歴代モデルも人気の高いフェアレディZの中古車相場を調べてみました。 歴代のフェアレディZは、古いモデルほど相対的に高値で取引されている傾向があります。特に初代となるS30型の価格は高値となっていて、中古車価格は軒並み500万円以上で、中には1000万円を超えるものもあるほどの人気車種です。 一方で、Z31型以降は100万円台から400万円程度と、今のところ常識的な価格で推移しています。 30年以上経過していても100万円以上の買取実績も しかし、旧車王での買取実績を見ると、新車登場からすでに30年以上が経過しているZ31でさえ、100万円での買取実績もあり、Zシリーズはやはり人気の高いモデルであることは間違い有りません。 フェアレディZシリーズは、特に海外では安定した人気があり、今後海外での価格動向次第で、国内での中古車価格が上がる可能性もあり、今後の動向に注目です。 フェアレディZは空冷ポルシェ911のようになれるか 2010年代半ばから起こったポルシェ911の価格が、世界的に暴騰したことをご存知でしょうか。 ポルシェ911はアメリカ市場において、2010年台に入るまで徐々に価格が上昇していたものの、日本円換算約500万円以下で取引されていました。 しかし、2010年代に入り、約650万円を超えたあたりで、車のコレクターだけではなく投機家の注目も集め、2015年には約1300万円と2倍に高騰。特に保存状態が良いという理由で、日本で流通していた993型以前の空冷モデルは海外のバイヤーから注目されたこともあり、日本の中古車市場相場を押し上げる要因となりました。 アメリカ市場で急騰するフェアレディZ!今後の価格動向に注目 元々海外での人気が高く、比較的高値で取引されることの多かったフェアレディZシリーズは、近年、ポルシェと同じ様な値動きをしています。 特に初代となるS30系は、2020年の300万円前後から2021年には、400万円弱まで急騰していて、アメリカ市場といえども今後の値動きから目を話せない状況です。 海外での日産の地位を確立したフェアレディZは現代でも健在 独特のデザインと、バーゲン価格というべき驚きの低価格設定で、日産の技術力を世界に知らしめたS30型、そしてポルシェなどと同等の高級スポーツカーとしての地位を海外で確立したZ32型。 フェアレディZの歴史は、日産を世界企業にした歴史と言っても過言ではありません。 初代S30系Zの登場から半世紀以上経った現在でも、新型が発表されるという点からも、フェアレディZの存在が日産にとって特別であることが分かります。 [ライター/増田真吾]

庶民にも手が届く本格ライトウェイトスポーツ!ホンダ 初代インテグラタイプRの魅力と中古車相場
旧車の魅力と知識 2022.01.26

庶民にも手が届く本格ライトウェイトスポーツ!ホンダ 初代インテグラタイプRの魅力と中古車相場

ホンダが設定するスポーツグレード「タイプR」は、1992年に発売された初代NSXにはじめて設定されました。しかし、当時900万円を超える価格に、なかなか手が出づらいものでした。そんな中、222万円という価格ながら、1.8Lの排気量で最高出力200psを8000回転で絞り出す本気仕様のマシン、インテグラタイプRが登場します。 今回は、大衆車から一躍スポーツカーに躍り出たインテグラタイプRのスペックと、中古車相場について紹介していきましょう。 価格は控えめなのにスペックは本格派 インテグラタイプRは「もっと身近なレーシングスポーツが欲しい」というユーザーの声に応えるべく、1995年8月に発売されました。 3代目インテグラをベースとした初代インテグラタイプRは、超高回転型エンジンをはじめ、専用の足回りやLSDの採用でハンドリングを徹底的に追求。さらに、ボディ剛性の強化も施され、まさにメーカーチューンドと呼ぶにふさわしいスペックが与えられました。 それにも関わらず車体価格は222万8000円と、NSXタイプRに比べるとかなりリーズナブル。 ボディは3ドアクーペの他に4ドアハードトップも設定され、スポーツモデルながらパワステやパワーウィンドウも装備されるなど、家族での使用も想定されていたことが特徴的です。 性能がさらに強化された98spec、99spec 1998年1月には通称「98spec」と呼ばれる後期型へとマイナーチェンジし、各部の性能が強化されました。 ECUの見直しやエキゾーストマニホールドのステンレス化、さらに、タイヤは16インチへ拡大し、ホイール穴も5穴仕様に変更など、大幅なアップデートが実施されています。 その後の1999年7月のマイナーチェンジでは「99spec(00specとも呼ばれる)」が登場。基本的な性能は98specと変わりませんが、電動格納ミラーやキーレスエントリーなどの快適装備が追加されたほか、99spec特別ボディカラーとして「サンライトイエロー」が設定されています。 サンライトイエローを選択するとボディと同じ黄色のレカロシートが選べたため、それ以外に変更点はないものの、特別感を味わうことができました。 レーシングカー並みのスペックでも価格は200万円台前半! 搭載される1.8L直列4気筒DOHC VTEC(B18C型)エンジンは、Spec Rと名付けられたスペシャルモデル。最高出力200psを8,000rpmで発生し、8,400rpmを許容するレーシングエンジン並みのスペックが与えられました。 今の市販車ではまず採用されることの無い限界まで踏んで回すタイプのエンジンに、1060kgという軽量なボディが組み合わさることで、スペック以上のレーシーぶりを発揮してくれます。 専用部品を各部に惜しみなく使用 インテグラタイプRの特筆すべき点はエンジンだけでなく、各部細かい箇所まで徹底的にチューンナップされていることです。 4輪ダブルウイッシュボーンの専用サスペンションは、標準車に比べ車高を15mmダウン。さらにヘリカルLSDを採用し、エンジンやダンパーなどの各部マウント部も強化品に交換されています。 このタイプR用に開発された新規パーツ60点に及ぶにも関わらず、販売価格はベースモデルよりも約12万円高い222万8000円。20年以上前とは言え、メーカーチューンドといっても良いスペックであることを考えれば、まさにバーゲンプライスと言っても良い価格でした。 インテグラ タイプRの中古車相場と買取価格 そんな本格スポーツ仕様のインテグラタイプRですが、2021年8月時点で大手中古車サイトの相場は最安で1997年式の128万円。最高値は1999年式の98specが589万円と、当時の新車価格の2.5倍ほどのプライスがついており、インテグラタイプRの人気の高さが伺えます。 一方、旧車王での買取相場は3ドアクーペ、4ドアハードトップともに50~250万円。マイナーチェンジ後の98spec、99specとなると、3ドアクーペのみ50~300万円と買取り相場がアップします。 インテグラタイプRはジムカーナやターマックラリーなど、モータースポーツのベース車としての海外での需要も高く、市場での相場は新車価格越えが当たり前となっている現状です。 まとめ タイプRシリーズ第2弾として登場したインテグラタイプRは、NSXのときには味わえなかったスポーツカーの楽しさを身近なものにしてくれました。 新車価格は控えめにしながら、超高回転型エンジンを搭載するなど振り切った仕様にしたことで多くのファンを生み、タイプRシリーズはのちのシビックにも受け継がれていきます。 刺激的かつ、誰にでも乗ることのできるスポーツカーの楽しさを提供してくれたインテグラ タイプRは、ホンダのスポーツカー展開に大きな影響を与えた車であることは間違いありません。 [ライター/増田真吾]

熟成に熟成を重ねた第三世代!ランサーエボリューションⅦ~Ⅸの魅力と故障しやすい箇所を解説
旧車の魅力と知識 2022.01.26

熟成に熟成を重ねた第三世代!ランサーエボリューションⅦ~Ⅸの魅力と故障しやすい箇所を解説

ハイパワーエンジンと卓越した4WD性能を有し、伝説的存在となっている三菱のスポーツセダン、ランサーエボリューション。WRCや多くのモータースポーツで好成績を残したこともあり、今でもその熱は冷めやらず、多くのユーザーに愛され続けています。 今回はそんなランサーエボリューション「VII」から「IX」の第3世代を、よくある故障個所なども含めて解説していきましょう。 第3世代ランサーエボリューションとは? ランサーエボリューションは大きく4つの世代に分けられ「Ⅰ」から「III」が第1世代。「IV」から「VI」が第2世代で「VII」から「IX」が第3世代です。 そして最後の第4世代が「X」となっていますが、今回はシリーズ中でも性能が煮詰められた第3世代「CT9A」型について解説します。 新たなプラットフォームと新開発のACDを備えたランエボVII  2000年5月に登場したランサーエボリューションVIIは、ベース車をそれまでの「ランサー」から「ランサーセディア」に変更したことによりボディサイズが拡大しました。 エンジンは、初代から続く2リッター直列4気筒ターボの4G63型を搭載。大型インタークーラーの採用やターボの改良などを行い、最大トルクは39.0kg.mまでアップしています。 そしてVIIの目玉ともいえる、電子制御可変多板クラッチ機構「ACD」は、電子制御によって前後タイヤのトルク配分を行い、ハンドリング、トラクションともに大きく向上しました。 スーパーAYCでコーナリング性を高めたランエボVIII ランサーエボリューションVIIIは2003年1月に登場し、シリーズ初の6速MTを採用しています。 ターボはさらなる調整を施し、最大トルクは40.0kg.mに増加。さらにIVから採用のヨー・コントロールシステム「AYC」を発展させた「スーパーAYC」の搭載し、タイヤ左右間の限界駆動力を倍増させ旋回能力を向上させています。 MIVECでさらに加速が強化されたランエボIX 2005年3月に登場し、第3世代の集大成となるランサーエボリューションIX。フロントバンパーにダクトを新設したことで見た目はよりスポーティーになり、冷却効率も向上しました。 そして、エンジンに可変バルブタイミング機構「MIVEC」の採用。中低速のパワーを無駄なく使えるようになり、最大トルクも41.5kgmまで上がっています。 第3世代ランエボに乗るうえで知っておきたい故障個所 ランサーエボリューションはそのレーシーなキャラクターゆえ、サーキットの高負荷走行が多く、そのぶん故障の事例も多く出ています。 ここでは、第3世代通して故障しやすい箇所についてご紹介しましょう。 ACDポンプ VIIから採用されたACDを制御する「ACDポンプ」はスポーツ走行の繰り返しで故障するケースが多く、異常時は走行こそできますが、油圧による駆動制御が効かなくなってしまいます。 ACDポンプは部品代と交換工賃を合わせると20万円ほどの費用にもなるので、サーキットを走行する機会がある方は、故障に注意する必要があるでしょう。 O2センサー エンジンの吸入空気濃度を検知するO2センサーは、タービンのアウトレット部に設置されており、その熱やススが原因で故障することが多く見られます。 故障した場合は最適な燃料噴射量が狂い、加速不良やアイドリングの不調を起こします。センサー本体は純正だと3万円ほどですが、費用を抑えたい場合は約7000円前後で販売されているOEM品を使用するのがおすすめです。 カム角センサー カムシャフトの動きを検知するカム角センサーは、エキゾーストマニホールド付近に設置されているため、O2センサーのように熱にやられてしまうことが多くあります。 部品代は5000円ほどと比較的安価ですが、故障の際はエンジンが始動しなくなる恐れがあるので早急な修理が必要です。 車体のサビ 雪道を走行する場合はサビにも気を付けなければなりません。雪道に散布される融雪剤には「塩化カルシウム」が含まれており、車体のフレームやマフラーを腐食させる恐れがあります。 フルタイム4WDのランサーエボリューションは降雪地帯で使われることも多く、サビの被害も多数出ているので、下回りをこまめに洗い付着した融雪剤をできる限り落とすようにしましょう。 第3世代ランサーエボリューションの中古車市場 ランサーエボリューションのなかでも第3世代は特に人気が高く、中古車価格の高騰が続いています。 記事執筆時の2021年12月時点で、大手中古車サイトに掲載されている第3世代の中でも、いちばん高額だったのが平成18年式1.8万km走行のGSR IX MRで、車体価格は800万円。走行距離が少ないとは言え、15年以上前の中古車と考えれば、どれだけ高額で取引されているのかがお分かりいただけるのではないでしょうか。 一方、旧車王での買取価格はVIIが~250万円、VIIIが~300万円、IXが~350万円と高額。さらに、走行性能を高めたモデルのVIII MRは~380万円、IX MRは~500万円となっており、世界中で人気の高いランサーエボリューションならではのプライスといえるでしょう。 まとめ VIIからIXまでの第3世代ランサーエボリューションは、すでに頭打ちと思われていた第2世代からさらに進化を遂げ、多くのファンと業界関係者を驚かせました。 ユーザーによっては、その後に登場した第4世代のXよりも、車重の軽い第3世代を高く評価する場合もあり、根強い人気を保ち続けています。 しかし、その高い走行性能とは裏腹に、経年劣化による故障も決して珍しくないため、購入の際は、それまでどのように使われてきた、きちんとメンテナンスされてきたかなども確認するようにしましょう。 [ライター/増田真吾]

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