旧車の魅力

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」
旧車の魅力 2023.05.24

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」

2023年の今、マツダ「ボンゴ」というと、トヨタからのOEMとなる商用車「ボンゴバン(タウンエース)」と「ボンゴブローニィバン(ハイエース)」となりますが、かつてはトヨタ「タウンエースワゴン」や日産「バネットラルゴ」などと同様の(どちらも絶版ネームですが)乗用タイプ1ボックスワゴンでした。 1983年に登場した3代目は、フォード「スペクトロン」としてオートラマ店も販売され、三菱「デリカスターワゴン」にも似た雰囲気のRVテイストで一定の人気を獲得。 しかし、1990年代に入ってもフルモデルチェンジは行われず、古さが目立ってきたものでした。 そんな中、1995年に突如として登場したのが、「ボンゴ フレンディ」です(フォード版「フリーダ」も同時に)。 ▲ボンゴフレンディ シティランナーNAVIエディション(2002年) 完全なワンボックススタイルから、衝突安全性への対応のため短いボンネットがついたセミキャブオーバー(エンジンは運転席下のままだった)となり、昭和の面影が残るスタイルから平成時代のテイストへとチェンジ。 しかし、ボンゴ フレンディの真骨頂は、「屋根」にありました。 「オートフリートップ」です。 ■画期的な車中泊テント標準装備 「オートフリートップ」とは、いわゆるポップアップルーフのことで、車中泊などアウトドアユースを意識したもの。 他社にもこうしたルーフを持つモデルはありましたが、特装車扱いで、通常グレードの中にラインナップされたことが画期的でした。 ▲ボンゴフレンディRFS Aero(2001年) テレビCMや新聞広告でも、このオートフリートップが盛んにアピールされ(ここしかアピールされなかったともいう…?)、「ボンゴ フレンディ=屋根が開くワゴン」というイメージが定着。 乗用ワゴンとしては特殊な仕様ではあったものの、当時、流行っていたオートキャンプブームの波に乗って、多くの台数が売れました。 オートフリートップは電動でルーフがポップアップし、テントが出現。 車内が2階建てになるという仕組み。その広さは、大人2人の就寝スペースとして使えるほどでしたから、なかなかのものです。 ▲オートフリートップ ▲RFS Aeroのインテリア (全高以外は5ナンバーサイズだったけど)スクエアで立派に見るスタイリングも相まって、「家族思いの頼もしいお父さんのクルマ」というイメージが定着し、一定の成功を収めます。 以後、同様のルーフを標準ラインナップの中に持つモデルは、日本メーカーから出ていません。 そういう意味では、唯一無二の「名車」といえます。 ■一世代限りで終わった「そんな時代」 では、「迷車」の要素は?  それは、わずか一世代で終わってしまったその存在感にあります。 たしかに、キャブオーバーからFFベースのミニバンへの過渡期にあったセミキャブオーバーというパッケージングは、やや中途半端な存在ではありました。 しかし、それは日産の初代「セレナ」だって同じ。 ▲バネットセレナ(1991年) でも、セレナはFFベースへとパッケージングを改め、“カジュアルなスタイルの5ナンバーミニバン”というキャラクターを変えることなく、生き続けました。 一方のボンゴ フレンディは2006年に生産を終了すると(意外やロングセラーでした)、フルモデルチェンジを行うことなくフェードアウト。 約2年のブランクを経て、マツダはFFベースのミニバンを「ビアンテ」として発売します(これも10年販売されフェードアウトした名車&迷車といえそうです)。 もちろん、オートフリートップの設定はありません。 ▲ビアンテ(2008年) ビアンテを“事実上の後継車”と見る向きもありますが、ボンゴ フレンディの要素はキレイサッパリなくなってしまったのです。 だからといって、マツダの判断が間違っていたとはいいません。 なぜなら、“そんな時代”だったから。 1990年代後半は、ホンダ「オデッセイ」や「ステップワゴン」がヒットし、日産が「エルグランド」で高級ミニバンというジャンルを開拓。 それと相関するように「ハイラックスサーフ」や「パジェロ」といったクロカン4駆の販売が下降し、RVブームが終焉を迎えます。 そして2000年代に入ると「ヴォクシー」や「アルファード」も登場し、3列シート車に求められるものが、1990年代とはまったく異なるものに変わっていくのです。 ■もしも、登場が3年早かったら・・・? 仮に2代目ボンゴ フレンディが2000年代半ばに登場していたところで、オートフリートップ車がたくさん売れる状況にはならなかったでしょう。 事実、ボンゴ フレンディは1999年にエアロパーツ装着グレードを追加し、販売の主力はエアロ仕様に移っていきました。 ▲ボンゴフレンディ シティーランナーIV (2002年) オートフリートップ標準装備のボンゴ フレンディが登場し、10年でモデルライフを終えたのは、まさに“そんな時代”だったからなのです。 ボンゴ フレンディというクルマそのもの、というよりも、惑う時代の中で生まれた結果、その存在感が迷車とさせた。そういったほうが正確かもしれません。 歴史に「もしも」はありませんが、ボンゴ フレンディの誕生が1995年ではなく、オデッセイ発売前夜で、パジェロが飛ぶように売れていた1992年だったら。 あるいはエスティマ誕生と同じ1990年だったら……。 もしかしたら、オートフリートップが爆発的に売れ、マツダやRV車の歴史を変えていたかもしれません。 そう考えると、名車と迷車は紙一重。 だから、こうして「名車&迷車」として書き記しておきたかったのです。 [画像:マツダ、日産自動車/ライター:木谷宗義]

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.11
旧車の魅力 2023.05.17

日本アルミ弁当箱協会会長の「ちょっと斜めから見た旧車たち」Vol.11

■特別編 ~アルミ弁当箱と旧車とシン・仮面ライダー(旧仮面ライダー)の意外な関係~ どうも!「日本アルミ弁当箱協会」会長のマツド・デラックスでございます。 今回は「特別編」と言うことでちょっと変わった(いつもですけど)角度から「シン・仮面ライダー」「旧仮面ライダー」「アルミ弁当箱と旧車の意外な関係」を語って行きたいと思います! 多少のネタバレがありますので、まだ映画をご覧になっていない方はご注意を! また予習したい方、1回見たけど復習したい方はぜひ見て読んで笑ってくださいませ! ■旧仮面ライダーとアルミ弁当箱の不思議な関係 仮面ライダーの当時のアルミ弁当箱には2種類の図柄が現在まで確認されています。 それが「くも男」と「サラセニアン」が仮面ライダーと戦う2種類のアルミ弁当箱です。 こちらは私の著書である「アルミ弁当箱図鑑」にも書かさせて頂いているのですが図柄をよく見ていただきたい。 なぜか「仮面ライダー」の第1話の「くも男」と戦っているライダーにご注目いただきたい。 なにか違和感を感じる方はもうおわかりだろう。 そうなんです!何故か、戦っているのが「2号ライダー」なんです! 今までにもお話しましたが、アルミ弁当箱の図柄の決定は番組が始まる前に決定することが多く、そのせいでちょっと変わった図柄が出来てしまうことがあります。 しかし、どうもこの「仮面ライダー」は人気が出てからアルミ弁当箱の制作に「ヤマト」が急遽参入したために、2号ライダーが活躍中(1号病休中)にこの図柄を作成してしまったのではないかと「想像と妄想」をしたのであります。 ■オートバイだけではない旧車の活躍!立花藤兵衛の愛車? さあ「ライダー」だけにオートバイが主役になる作品ですが、旧車もなかなか渋い車種が登場します。 この先、仮面ライダーシリーズには欠かせない喫茶店「アミーゴ」のマスター「立花藤兵衛」が第1話で乗っている愛車が「コロナ1700(RT84)」でした。 私は人生でコロナを2台(TT100とRT104)乗りましたが、同級生達がケンメリやセリカに乗っている中、地味な(セダン)クルマで肩身の狭い思いをしたのを覚えています。 このRT84のコロナが今回の主役ではなく個人的には第4話にちょこっとだけ登場する「グロリア」が今回の主役なんです。 ■第4話のサラセニアンに登場のグロリアが「シン・仮面ライダーに繋がる? 第4話「人食いサラセニアン」にショッカーの戦闘員が乗っている日産の「グロリア」が登場します。 当時(子供の頃)このグロリア(通称タテグロ)が大好きで、仮面ライダーにちょこっと出てきただけで興奮していたのを覚えています。 ではなぜ今回、グロリアが中心なのか?それはこの回で登場したグロリアのナンバープレートなのです。 このシングルナンバーってどこかで見た覚えがありませんか? そう「シン・仮面ライダー」に登場した「クモオーグ」が乗って逃げる「ホンダアコード」に付いていたシングルナンバーなんです。 他のシーンは旧仮面ライダーと同時に見比べたくなる程リスペクトされているのですが、このクモオーグが逃げるシーンだけはどうも違うようです(くも男はトラックだったような・・・)。 また、違和感(旧車乗りしか感じない?)のあるホンダアコードは1989年~発売されたクルマなので当然、シングルナンバーが付くわけはないのですが、どうも色んな思いがあってこのナンバーがつけられたようです。 そして、このシーンにはもう一つ「庵野監督」の仕掛けがあったのです。 ■シン・仮面ライダーに登場のアコードの所有者はあの監督!?  クモオーグが不自然(?)な旧車アコードで逃げ、そのナンバープレートに秘密があったのですが、実はこのクルマは「ウルトラシリーズ」や「アイアンキング」等で活躍された「故、実相寺昭雄」監督のクルマなのです。 監督は2006年にお亡くなりになり現在までどう保存され、今回登場に至ったのかわかりませんが詳しく知りたい方は、ツイッターの「シン・仮面ライダー」の公式ページにそのヒントがあるかも知れません。 敢えて、リスペクトされてるシーンを続けてるなかで、このシーンになったのはやはり深い意味があったのだと思っております。 ■まさか庵野監督はアルミ弁当箱ファン? 常に「想像と妄想」で活動している「日本アルミ弁当箱協会」ですが最後にもう一つ戯言を書かせて頂くとしたら、アルミ弁当箱の図柄は2個。 それもクモ男とサラセニアン。 だからこのコラムが完成したわけでまるで庵野監督が「マツドデラックス」さんしか思いつかない繋げ方ですよね?って言ってくれてるような気がしている今日この頃です。 当然、個々の細かい話はとっくの昔から公開されているので今さらなのですが、監督が子供の頃このアルミ弁当箱たちを見て「くも男」と「サラセニアン」が好きになってくれていればいいなあと勝手に思っています。 ■お知らせ まったく脈絡のないコラムではありますが「旧車王」共々「マツドデラックスコレクション アルミ弁当箱図鑑」もよろしくお願いいたします。 また、アルミ弁当箱を展示して欲しい・アルミ弁当箱の貸し出し・トークショーやイベント等と、ご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●アルミ弁当箱図鑑 厳選50 ーマニア編ー マツドデラックスコレクション (ヴァンタス) https://www.amaZon.co.jp/dp/4907061471 ●日本アルミ弁当箱協会会長「アルミ弁当箱図鑑 厳選50」出版への道https://www.qsha-oh.com/historia/article/matsudo-bangai-1/ ※アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●日本アルミ弁当箱協会ホームページhttps://kyokai.fans.ne.jp/arumibenntou/ ●Twitterhttps://twitter.com/keisuke38922 そしてなんと!この私に映画出演のオファーがありました! 「路恋人」監督の「ぜんぶ朝のせいだ!」にちょこっと出演させていただきます。 詳細が決まりましたらまたご報告させてください! ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』オフィシャルTwitterhttps://twitter.com/morningall2023 ●映画『ぜんぶ朝のせいだ』特報https://www.youtube.com/watch?v=vg0LHPEM6Ss 6月4日(日)には、東京の「東京都産業貿易センター台東館 4F」で「アメイジング商店街V6」に「日本アルミ弁当箱協会」として参戦予定!お時間のある方はぜひお越しください!  ●アメイジング商店街へようこそ!https://www.macleod.jp/01/ ■アメイジング商店街V6 主催:合同会社マクラウド ■出展内容 玩具(新品・古物・ソフビ等オリジナル)・雑貨・同人誌(成人もの不可)・アート展示・フリマ■日時:2023年6月4日 10:30〜16:00■会場:東京都産業貿易センター台東館 4F■入場料:先行入場(10:30〜))1500円、一般入場(11:00〜)1000円 ※再入場可能 ※小学生まで無料*入場チケットはパスマーケットにて5月27日(土) 午前10時より発売開始。チケット販売終了はイベント当日9時。 [撮影/ライター・マツド・デラックス(山本圭亮)]    

耐久レースで知る、エンジントラブル防止の基本はスパークプラグの交換
旧車の魅力 2023.05.15

耐久レースで知る、エンジントラブル防止の基本はスパークプラグの交換

■寒い日のエンジントラブル。原因はプラグかぶり 少し前、冷え込んだ日のこと。 所用で早朝に出かけるべく、愛車S15のエンジンをかけようしたところ、「キュ、ガッガッガッ!」と、セルは回るものの始動しない。 大丈夫です、こういったアクシデントにはもう慣れました。 いや、慣れちゃダメだろ! 何度か始動を試みるも、症状は改善せず。 くすぶっている感じはあるので、ガソリンはエンジンまで届いている……あっ、プラグかぶりか。 あまりに久しぶりだったので忘れていましたが、これはプラグかぶりの典型的な症状。 クラッチとアクセルをベタ踏みし、一呼吸。 キーをひねって、そのまま戻さない! キュ、ガッガッガッ、ボッ! ガガッ、ボッ、ボッ。 かかれ! かかれ! キーを戻すな! ごめんよバッテリー、もってくれ! ボッ、ボボッ、ボッ、ボッ……。 かかれぇっ! ボボボッ、ドゥン! かかったぁ! アイドリングに元気はありませんが、かかってしまえばこっちのもの。 5分ほど様子をみましたが問題はなさそうなので、出発することができました。 ■プラグかぶりの対処は、強引にエンジンをかけること 今のクルマは電子制御がよくできているので、プラグかぶりを経験したことがない人も多いと思います。 プラグかぶりのプラグは、おなじみスパークプラグのこと。 プラグかぶりは、なんらかの理由でシリンダーに送られたガソリンが燃焼せず、スパークプラグの電極を濡らしてしまった状況のこと。 プラグかぶりを起こした電極(スパークプラグ)は思うように火花をちらせず、結果、エンジンはひどくかかりづらくなります。 一番、手っ取り早い対処法は先ほど私がやったように、アクセルを踏み込んだままセルを回し続けてシリンダーに空気を送り、火花がちりやすい環境を作って強引に始動させること。 エンジンがかかってしまえば電極も乾燥し、調子も戻ります。 それでも始動しないならプラグかぶりではなく、オイルかぶりやスパークプラグ自体に問題が出ているかもしれません。 スパークプラグはそう高価なものでもないので、交換しちゃうのも手です。 「一度、プラグかぶりをおこしたスパークプラグは、もう元には戻らない」という話もあります。 厳密にはそう(スパークプラグの性能が落ちる)なのかもしれませんが、四輪で街乗りが中心の場合は、そこまで気にしなくてもいいと思います。 エンジンが冷え切る寒い日は、いくぶんかプラグかぶりがおこりやすくなります。 これから旧車に乗られるならば、対処法を覚えておいても損はありません。 ■四輪ならば、スパークプラグの熱価は適正が最良 旧車を購入したらリフレッシュとして、スパークプラグは交換すべきパーツのひとつ。 ただ、どれでもいいから交換すればいいものではありません。 スパークプラグは燃焼によって受けた熱を処理する度合を示した「熱価」があります。 熱価の数値が高いほど耐熱性が高く、低いほど火花をちらしやすい特性を持っています。 適正の熱価は車種やグレードによって異なり、デンソーやNGKといった、スパークプラグを扱うメーカーの公式サイトで調べることができます。 「高回転で走行することが多いから」と、適正よりも高い熱価のスパークプラグに交換する方もいらっしゃいます。 実際、スパークプラグメーカーも、乗り方にあわせた熱価を推奨しています。個人的には、それは1万回転以上で長く走行し続ける二輪を想定しての話で、四輪ならば適正な熱価のスパークプラグが、もっともエンジンの性能を引き出すと考えています。 そんな考えに至ったのは、過去の経験から。 ■耐久レースで学んだ、普及品の性能の高さ! もう20年以上、過去の話になりますが、原付で耐久レースに出ていたことがあるんですよ。その耐久レースはレギュレーションにより「エンジンはノーマル状態であること」が義務付けられていました。 初参加の際はスパークプラグにレーシングプラグを奢り、「半日以上、高回転で走行するのだから」と、熱価も高いものを選択。 ところが実際にレースが始まると、練習走行のときよりもパワーが出ず、タイムも遅い。 排気音も元気がない。 当初は「原因はセッティングのミス」と推測し、どうすれば調子が戻るのかと、チーム全員で頭を抱えました。 あれこれと手直しするも、調子は戻らない。 「この際、全部を練習走行時に戻そう」と、スパークプラグもかぶっていたわけではないのですが、純正で使用される製品に戻します。 すると、とたんに排気音が勇ましく響きだしたじゃないですか!  実際にパワーやタイムも戻り、調子の良いまま完走することができました。 交換したスパークプラグに問題はなし。 電極に焼けすぎの兆候もありません。 耐久レースなので回転数は6000回転前後をキープ。 この回転数は、日頃から「高回転で走行する」という四輪と同程度じゃないでしょうか。 スパークプラグは普及品でも十分に性能は高く、色々と余裕のある四輪ならば、適正の熱価こそが一番、性能を引き出してくれると学んだ経験でした。 話はプラグかぶりに戻りますが、元気で適正な熱価のスパークプラグはプラグかぶりを予防し、対処の際もエンジンが始動しやすくなります。 リフレッシュの際はもちろんですが、「エンジンの調子が悪いな」と感じたら、交換してはいかがでしょう。 [画像/Adobe Stock、ライター・撮影/糸井賢一]

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.05 トヨタ「カローラ」8代目
旧車の魅力 2023.05.03

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.05 トヨタ「カローラ」8代目

1966年に初代がデビューし、現在販売されているのは2019年登場の12代目という、トヨタの看板車種にして、超ロングセラーモデルでもある「カローラ」。 その累計販売台数は5000万台を超えており、「ハイエース」や「ランドクルーザー」とともに世界で愛されている名車であることは間違いありません。 とはいえ、50年以上、通算12世代という長い歴史の間には当然、さまざまな試行錯誤や紆余曲折があり、中には迷いが見えたモデルも……。 それが、今回「名車&迷車」として取り上げたい、8代目カローラ(E10#型)です。 ▲1995年 8代目カローラ ■コンセプトは「ベストコンパクトカーの創造」 8代目カローラは、1991年から4年にわたって販売されてきたE9#型モデルに代わって1995年に登場しました。 当時のプレスリリースでは、「トータル コスト オブ オーナーシップに配慮した社会との調和をめざすベストコンパクトカー誕生」が掲げられ、次のように説明されています。 「コンパクトカーの本質を追求した『ベストコンパクトカーの創造』を狙いに、ジャストサイズや高い品質を維持しつつ、まず、社会との調和をめざすという観点から、省資源、省エネルギーおよび安全性を追求。 そして、デザインを一新するとともに、走行性能を飛躍させた上で、価格、維持費を抑え、トータル コスト オブ オーナーシップに配慮している」 7代目カローラは、バブル期の波に乗り高級化。しかし、バブルが弾けてコンパクトファミリーセダンたるカローラの存在価値が見直され、「社会との調和」や「価格、維持費を抑え」といった言葉が並んだのです。 参考までに7代目では、「21世紀に向けて、『新時代を見すえた次世代基準の創出』を基本コンセプトに、来るべき“心に響く感動を求める時代”にふさわしい、新しいクォリティをもつグローバルジャストサイズカーをめざして開発した」と謳われていましたから、イケイケなバブル時代から、コストなどを考えざるを得なくなった時代背景が浮かんできます。 実際、7代目カローラは高級化路線に乗って開発され、「セルシオを意識した」とも言われます。内外装の質感も高く、市場でもそれが受け入れられました。  ▲1991年7代目カローラ 一方、フルモデルチェンジにより8代目となったカローラはというと、見るからに質素。 「ぶつけても目立たず、また部分交換で補修も容易に」と配慮され、無塗装ブラックのパーツを装着したバンパーは高級感に欠き、ナンバー位置がバンパーから6代目以前のようにトランクリッドへと移されたリヤは、どこか1980年代的でありコンビランプの形状や配色もあって、安っぽく見られてしまったのです。   ▲1995年8代目カローラのリヤまわり ■ベーシックセダンであるがゆえのジレンマ? カローラというクルマの基本に立ち返り、「カローラってこういうものだよね」とベーシックセダンとしての姿を追求したこと自体はよかったものの、どこかで「カローラってこんなもんだよね」と、ベーシックセダンであるがゆえに上を見ることを忘れてしまったかのようでした。 これまで、「上級化」「高級化」を目指して進化してきたからカローラが、初めてその路線での歩みを止めてしまったのです。 これはもちろん、双子車の「スプリンター」も同様でした。 ▲8代目カローラのインテリア この変化をユーザーは受け入れられず、8代目カローラは迷走。デビュー翌年の1996年には、エクステリアの売りの1つであった無塗装ブラックのバンパーモールをシルバーに塗る仕様変更を行い、1997年のマイナーチェンジではついに別体モールを廃した一体型のフルカラーバンパーに変更されました。 また、インストルメントパネルのソフトパッド化など、インテリアの質感アップも実行。 モデルライフ後半には、すっかり“従来路線”に戻されたのです。 ▲1996年 カローラ 一部改良モデル ▲1997年 カローラ マイナーチェンジモデル ちなみに、最大のライバルであった日産「サニー」も、1993年の8代目はカジュアルで若々しい雰囲気で登場しましたが、こちらもマイナーチェンジでメッキのグリルを採用するなど、カローラと同様の変更が行われました。いずれも、試行錯誤が実らなかったというわけ。 ■マイナーチェンジによる軌道修正が功を奏した カローラの販売台数は、「カローラワゴン」「カローラレビン」「カローラFX」を含めた“シリーズ合算”となるため、セダン単体での台数は不明瞭ながら、1995年に発売された翌年は販売台数を減らし、質感アップのためのマイナーチェンジが行われた1997年は1995年を超えるレベルにまで回復しています。 マイナーチェンジによる軌道修正は、功を奏したといえるでしょう。   ▲1997年 カローラ マイナーチェンジモデルのリヤまわり その後、8代目カローラは2000年まで生産が続き、NCVカローラと呼ばれた9代目へとバトンタッチします。 NCVには、「New Century Value=新しい世紀の価値」という意味があり、キャッチコピーは「変われるって、ドキドキ。」でした。 ここからも8代目に対するトヨタ社内の評価が見えるような気がします。 ▲9代目 NCVカローラ では、8代目カローラはダメなクルマだったのでしょうか? 販売的には成功しなかったかもしれませんが、そこはトヨタが真面目に考えた世界のカローラです。 実用的な世代としての実力は高く、手堅く作られたクルマだったといえるでしょう。 一部の輸入車好きの中には、軽量な1.3リッターモデルに対し「どこかフランス車のような乗り心地だ」と評する人もいたほど。 あまりに真面目に作りすぎてしまったがゆえに、内外装のコスメティックを間違えてしまった……。これが8代目カローラを迷走へと導いてしまった要因でしょう。 ■昭和的価値観の終わりに でも、仮に8代目カローラが当初から後期型のような内外装で発売されていたとしても、「結果はあまり変わらなかったのではないか」と筆者は見ています。 「名車&迷車烈伝」で何度も触れてきたように、1990年代は激動の時代です。1990年代後半は、日産「キューブ」やマツダ「デミオ」といった実用的でおしゃれなコンパクトカーも生まれてきますし、ファミリーカーは「イプサム」やホンダ「オデッセイ」といった3列シートミニバンに移行していきます。 もうファミリーカーとしてコンパクトなセダンを求める若年層は、いなくなっていたのです。きっと8代目カローラは、どんな形で出ていたとしても、悲運な世代となっていたのではないでしょうか。 [画像:トヨタ/ライター:木谷宗義]

魅惑のロータリーエンジン! オーバーホールの基準や相場は?
旧車の魅力 2023.05.01

魅惑のロータリーエンジン! オーバーホールの基準や相場は?

世界でも稀有な唯一無比の名機として知られる、マツダの名機ロータリーエンジンは、通常のレシプロエンジンに比べてコンパクトで軽量。また、中心のローターによる回転運動は振動やパワーロスも少なくまさに夢のエンジンです。しかし、そんな一見メリットばかりに映るロータリーが、2012年をもって生産終了を迎えたのはなぜでしょうか? 燃費と環境性能が最優先の時代には合わなかったロータリーエンジン ロータリーエンジンが途絶えてしまった大きな要因は“採算性”の乏しさに尽きます。 まずユーザーにとって大きなデメリットと言えるのが燃費の悪さで、最後のロータリー搭載車となったRX-8で実数値6〜8km/L前後。ターボを装着したFC型やFD型のRX-7では、5km/Lを下回ることも少なくありません。また、構成部品点数が少ないからこそ、確実なメンテナンスとそれを請け負う確かな技術が要求されます。その結果、ロータリーエンジンを本来の性能で維持していくためには、それなりの手間と費用を覚悟しなければなりません。 運転の楽しさやスポーティーな走りを求める層は激減する一方、今や電気自動車をはじめハイブリッド車がもてはやされるいま、ロータリーエンジンは時代に合わないと判断されてしまったのです。 ロータリーエンジンに欠かせないオイル交換とオーバーホール 燃費と環境性能ばかりが注目される昨今では、デメリットばかりに見えるロータリーエンジンですが、やはりその滑らかで鋭い回転フィールはナニモノにも代えられない魅力です。 そんなロータリーエンジンの性能を維持し、快適に維持していくためには、確実なオイル交換とオーバーホールが欠かせません。 ロータリーエンジンのオイル管理はシビア 通常のレシプロエンジンとは構造が異なるため、エンジンオイルは単なる潤滑油という役割以上に重要であり、定期的な交換と慎重な管理が必要です。 最低でも3000kmでオイル交換、できればその都度のフィルター交換をおすすめ。ただし、構造上エンジンオイルも燃料と一緒に燃えるため、通常のレシプロエンジンよりも早くエンジンオイルは減少します。そのため、距離に限らずオイル量のチェックはこまめに行うようにしましょう。 また、粘度はFC型やFD型のRX-7なら10W-40とやや硬め、RX-8ならば0W-30がおすすめです。 平均8万km以上でオーバーホールが必要になる 燃焼室が移動しながら爆発する構造のため、ロータリーエンジンには特有のトラブルがあります。その代表的なトラブルが圧縮抜けです。 回転するロータリーの気密を保持しているのは、三角形のローター頂点にあるアペックスシールとサイドハウジングとのあいだにあるサイドシール。これらのシール類のすき間にススや異物が入り込むことで動きが阻害され、十分な気密を保持できなくなってしまうのです。 MTなのかATなのか?また使い方によっても違いはありますが、十分なメンテナンスをされてこなかった個体で50000km前後、平均でも8〜90000km前後で圧縮抜けの症状が現れます。明らかに始動性が悪くなった、力不足を感じた場合にはオーバーホールを考えた方が良いかもしれません。 オーバーホールの判断基準はコンプレッション オーバーホールが必要かどうか判断する大きな基準である圧縮圧力。コンプレッションとも言われるこの圧縮圧力は、ロータリーエンジンの健康状態を計るバロメーターです。 計測方法は250rpm回転数を基準に、1ローター3室、前後それぞれのコンプレッションを測定。標準の基準値は850kpa(RX-8は830kpa)ですが、万が一下限値とされる700kpa(RX-8は650kpa)を下回った場合。また、1ローター3つある燃焼室に150kpa以上の差がある場合や、前後ローターで100kpa以上差がある場合はオーバーホールが必要と判断されます。 オーバーホール費用は個体によって異なる ロータリーエンジンのオーバーホール費用について、30万円程度からというのが相場です。しかし、それはあくまでもアペックスシールやサイドシール、さらにオーバーホールにともなって必要になる最低限の消耗品を交換する程度と考えておきましょう。 万が一ローターの交換が必要ならば50万円は必要となり、各部の研磨や補機類の交換などが加算されれば、最悪の場合100万円近い価格になる可能性も0ではありません。これからロータリーエンジンのオーバーホールを検討している方は、信頼できる専門ショップとよく相談することがおすすめです。 ロータリーエンジンが持つ魔力にも似た魅力 通常のレシプロエンジンであれば、よほどのことが無い限りオーバーホールをする必要はありません。しかし、ロータリーエンジンはその特異な構造のため、どんなエンジンでも定期的なオーバーホールは必須。特にファミリーカー的な使われ方をする傾向の強いRX-8は圧縮不足による始動不良を起こす車両が多く、マツダ純正のリビルトエンジンが存在するほどです。 そんな手間とお金の掛かるロータリーエンジンですが、それでも人気が衰えないのはロータリーエンジンにしかない魅力があるからにほかなりません。あの軽快で滑らかな吹け上りとトルク感、さらに独特な音を一度でも体験してしまったら最後。多くの車好きがその魔力にも似た魅力から逃れられなくなってしまうのです。 [ライター/増田真吾]

右ハンドル車は超希少!ドイツで日本の中古車は売れない3つの理由とは
旧車の魅力 2023.05.01

右ハンドル車は超希少!ドイツで日本の中古車は売れない3つの理由とは

ドイツで生活をしていると、日本車の少なさに日々驚かされる。 世界中どこの国に行っても日本車が至るところで活躍していると思い込んでいた著者は、ドイツに来て現実を目の当たりにしたときにすぐに理解することができなかった。 なぜなら、この国では国産車いわゆるメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、BMWなどが圧倒的な人気を誇っており、ドイツにおける日本車の年間新規登録台数はわずか7%に過ぎないという現実だ。 では、なぜドイツでは日本車が不人気なのか。 著者はとある3つの答えに辿り着いた。 今回はドイツの日本車事情について解説していく。 ■1.そもそも右ハンドル車がほとんど存在しない? まずは世界全体の右ハンドル車と左ハンドル車の割合を見てみよう。 現在では、右ハンドル:3割、左ハンドル:7割という割合になっており、右ハンドルの生産台数は全体の25%、左ハンドルは75%である。 アメリカや中国、ヨーロッパなど、ほとんどの国では左ハンドル・右側通行が標準となっている。 対して右ハンドルが標準となっている国で最大の地域、日本、インド、インドネシア、イギリス、南アフリカ、オーストラリアとなっている。 上記の割合も見ても分かる通り、世界全体で見たときに右ハンドル車の割合は少なく、ドイツをはじめヨーロッパのほとんどの地域では左ハンドルが標準となっている。 ではヨーロッパでは左ハンドルしか運転できないのか、というと、そういうわけでもない。 EU諸国では2014年、欧州司法裁判所によって右ハンドル車を自由に購入し登録することができるよう正式に許可されている。 しかし、ドイツ最大手の中古車サイトで見てみると、総台数約100万台のうち、右ハンドル車はわずか300台ほどしかない。 ちなみに日本の大手中古車サイトと比較してみると、日本では総台数約55万台のうち、1万台が左ハンドルとなっている。 その差は歴然である。 ■2.マニュアル車が選ばれているドイツ ドイツでは日本と違い、いまだになお多くのMT車が走っている。 それはトラックやバスに限らず一般の乗用車でも同じだ。 ドイツにおける中古車全体のMT車の割合は驚異の44%、ほぼ2台に1台はMT車と言っても過言ではない。 ドイツ人はクルマをスポーティに走らせたいと考える人が多く、AT車では物足りないため、新車・中古車問わずMT車が選ばれている。 しかし、日本ではどうだろうか。 ほとんどの乗用車がAT車となっており、MT車といえば軽トラやバンなどの商用車、または一部のスポーツカーなど限りなく少ないのではないだろうか。 仮に右ハンドルがドイツで受け入れられたとしても、そもそもマニュアルの設定がない日本車が選ばれるとは思えない。 ちなみに、ドイツで販売されている日本車には多くのモデルで新車販売時にMT車とAT車を選択できるようになっている。 個人の主観ではあるが、ドイツにある少し年式が古い日本車はほとんどがMT車のイメージだ。 ■3.右ハンドル車は販売店泣かせ 例えば、マニュアルトランスミッションの日本車が多くあったとしよう。 さらにコストパフォーマンスにも優れた日本車は間違いなくドイツでも人気のクルマとなるだろう。 しかし、仮に右ハンドルのクルマを日本からドイツへ輸入した場合、改造変更をしなくてはならない。 当然、日本とドイツでは車検の検査基準が異なるからだ。 恐らく、ドイツの車検は日本よりも厳しい。 基本的にはすべてオリジナルのパーツでなくなてはならず、タイヤも少しのヒビ割れでNG、ヘッドライトも調整もしくはドイツ基準のものに交換しなくてはならない。 そうこうしていたら、販売するまでに多くの出費が重なり、せっかく日本から安く仕入れたとして蓋を開けてみればドイツにある日本車よりも高くなってしまうなんてことも十分あり得る。 ■右ハンドル車をドイツで買うメリットがないという事実 つまり、日本から仕入れてドイツでクルマを販売するということは現実的ではないということだ。 それゆえ、ドイツにある日本車はほとんどがドイツ国内で新規登録されたもので、日本から輸入したものはほとんどない。 ドイツにおける日本車の販売台数は年々減少しており、当然新車が売れなければ中古車にも回ってこないため、負の連鎖となっている。 そもそも右ハンドル車をドイツで買うメリットがないと考える。 パーキングの出し入れやドライブスルーなどは左側となっているため、実用的にも右ハンドルだと不便だと感じるだろう。 さらに売却もしくは下取りの際に右ハンドルであればかなり安くなってしまうだろう。 上記の理由が、日本の中古車が選ばれない理由ではないだろうか。 [ライター・撮影/高岡ケン]

Rollbahn(ロルバーン)の嵐「MAJIで蒐集する5秒前」
旧車の魅力 2023.04.29

Rollbahn(ロルバーン)の嵐「MAJIで蒐集する5秒前」

もともとコレクター気質であることは自分でも自覚している(つもりだ)。 いつだったか覚えていないが、躊躇することなくハードカバーの本を買えるようになったとき、少しは大人の階段を上ったと実感したものだ。 そしてミニカーを買うきっかけになったのは、1台目のナローポルシェを手放したあとに、外車王SOKENおよび旧車王ヒストリアの執筆陣のおひとりである北沢剛司さんにポルシェディーラーに連れて行かれ、まんまと911ターボセットを買う羽目になったせいだ。 しかし、ここ最近は本もミニカーも極力買わないようにしている。 気になる本は買うのだけれど、なかなか読む時間がないのだ。 読書する時間が持てることって、実はとてもぜいたくなのかもしれない、と遅まきながら気づいた。 時間を気にすることなく読書できるようになる頃にはおじいちゃんになっているかもしれない。 そしてミニカー。気づけばポンと買える金額ではなくなってしまった。 いつの間にか、1/43スケールのミニカーが1万円オーバーでも驚かなくなった。 いまや、かつての1/43スケールの価格が1/64に相当するのだ。 いまさら1/64に鞍替えする気にもなれず、ミニカー蒐集は事実上の休止状態だ。 コレクションとは無縁の生活になって早数年が経ち、平穏な日々・・・と思いきや、「MAJIで蒐集する5秒前」状態になっているものがある。 Rollbahn(ロルバーン)のノートだ。 以前からRollbahnの存在は知っていたけれど、どちらかというとMOLESKINE(モレスキン)党だった。 しかし最近になってRollbahnのノートが急激に数を増やしつつある。 クルマ関連のRollbahnのノートが少ないにもかかわらず、だ。 なぜだか分からないが、クルマに関連するRollbahnのノートをあまり見掛けない。 その代わりなぜか惹かれるのが「鉄道関連」だ。 最初に手に入れたのは、てっぱく(鉄道博物館)に行ったときに売店で見つけたEF55(通称ムーミン)のノートだ。 色合いといい、デザインといい、一目ぼれ。迷わず購入した。 鉄とRollbahnは相性がいいのか、魅力的なノートがいくつもある。 何を隠そう、小学生までは「バリバリ」に「バリ」がもうひとつ加わるくらい、筋金入りの鉄ちゃんだった。 私が幼少期の頃、父親は電車通勤だったこともあり、家にはクルマがなかった。 加えて父親は鉄道模型が趣味だったので、HOゲージを買い集めていたのだ。 そして母親の実家の目の前は線路。昼夜問わず列車が走る。 赤ちゃんの頃から眺めていたのだから、そりゃ鉄にならない方が無理なハナシだ。 しかし、中1のときに鉄道からクルマに鞍替えした。そして現在にいたる。 4才になる息子もバリバリの鉄ちゃんだ。 今年に入り、プラレールでしか見たことがなかったホンモノのドクターイエローを、東京駅まで親子で観に行った(すごい人だった)。 息子もクルマ好きでもあるけれど、鉄道との比率は9:1くらい。「一応、クルマ好き」のレベルだ。 子どもにはまだ知らせていないが、クローゼットには幼少期に集めたNゲージが眠っている。 オトナ買いした20系ブルートレインのフル編成(電気機関車込み)も未使用のまましまってある。 よもやこんなお宝が自宅に眠っているとは夢にも思わないだろう。 それはさておきRollbahnだ。 先日、家族で江ノ電に乗ったとき、鎌倉駅の売店でRollbahn×江ノ電コラボのノートを見つけ、即買いしてしまった。 このあいだは東京駅限定のRollbahn……。 他にもどんな種類があるのかと、ついにメルカリやヤフオクの物色を始めてしまった。 子どもたちが好きな絵本のRollbahnノートを見つけて、思わず落札してしまった。 いや、これはまずい。 「MAJIで蒐集する5秒前」だ。 自分でも分かる。おそらく、ここが踏みとどまる最後のチャンスだと。 もしここでタカが外れたら、一気に蒐集癖が爆発するのは目に見えている。 送料込みで1000円前後という手軽さも非常によろしくない。 開封すらしないであろうRollbahnのノートを何十冊も集めてどうすんだ。 これでクルマ関連のRollbahnのノートが増えてきたらもうダメだ。 各自動車メーカーの皆さま、どうかRollbahnとのコラボ企画のノートが出ませんように……といいつつ、めぼしいアイテムがないかチェックしている自分がいる。 「MAJIで散財する5秒前」だ。誰か止めてください。 [ライター・撮影/松村透]      

市場シェアは驚異の44%!ドイツでMT車が人気の理由とは
旧車の魅力 2023.04.21

市場シェアは驚異の44%!ドイツでMT車が人気の理由とは

著者がドイツに移住して約10ヶ月が経過した。 この国ではトラック、タクシー、レンタカー、一般の乗用車でさえも日本とは比較にならないほどのマニュアル車が走っている。 著者はドイツで自動車業界に携わっており、日々新しい在庫車の仕入れを行っているが、働き始めた当初はそのマニュアル車の多さに驚きを隠せなかった。 ドイツ最大手の中古車取引サイトを見てみると、現在約130万台の中古車が掲載されており、そのなかでもマニュアル車の掲載台数は約57万台である。 ドイツ国内におけるマニュアル車の市場シェアは驚異の44%、おおよそ2台に1台がマニュアル車と言っても過言ではない。 ではなぜドイツではこれほどまでにマニュアル車が選ばれているのか? 今回は現地調査を行ってみた。 ■マニュアル車の歴史 ガソリン自動車がこの世に誕生したのは1886年。 ドイツ人のカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーによってガソリン自動車の歴史が始まった。 その後、1908年にはアメリカのフォード社によって流れ生産方式が構築され、初めて自動車の量産が行われた。 当時は一般的に2速のマニュアルトランスミッションが搭載されていた。 1930年にはドイツの高級車メーカー、マイバッハによって変速機技術は飛躍的な進歩を遂げ、伝説の名車「マイバッハDS8 ツェッペリン」には8速のマニュアルトランスミッションが搭載されるまでになった。 1970年代には3速および4速のマニュアル車が支流となり、現在では5速および6速のマニュアル車が一般的となっている。 ■オートマ車は女性の乗り物? 1940年代から1950年代にかけてゼネラルモーターズ(GM)を始め、アメリカの主要メーカーは急速にオートマチックトランスミッションの開発を促進した。 日本でも1960年代からオートマ車の普及が始まり、1963年にはトヨタ・クラウンに初の2速オートマチックトランスミッションが搭載された。 しかし、1990年代に入るまでオートマチックトランスミッションは動きが鈍く、高価であり、マニュアル車と比べると燃費が悪いと考えられていた。 そのため、当時のドイツでの新車登録台数の80%はマニュアル車が占めていた。 さらにドイツ人男性はスポーティに運転するのを好み、オートマ車は女性の乗り物だという偏見が根強く残っているそうだ。 ■マニュアル車はいずれなくなる? これまでにドイツでのマニュアル車における人気度を解説してきたが、今後もマニュアル車は選ばれ続けるのか。 現在、ドイツでは新車の3分の2(66.4%)がオートマ車となっている。 マニュアル車の新車販売台数は年々減少傾向にあり、その背景にはヨーロッパにおける電気自動車の急速な普及が関係している。 電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)にはマニュアル車の設定がなく、電気自動車の普及が進めば進むほどマニュアル車の数は減少していくだろう。 加えて、ドイツの大手自動車メーカーはマニュアル車の設定を徐々に減らしているため、マニュアル車に乗りたくても乗れない現状となっている。 これについて、多くのドイツ人が不満を抱えていることはいうまでもないだろう。 [画像・PORSCHE/Adobestock、撮影・ライター/高岡ケン]

エクストレイルはどんな車?リセールバリューについても解説
旧車の魅力 2023.04.13

エクストレイルはどんな車?リセールバリューについても解説

エクストレイルは2000年に初代モデルが登場し、2022年から現行モデル(2023年4月時点)である4代目の販売が開始された日産の人気SUVです。2013年に登場した3代目はややスタイリッシュな雰囲気が加わりましたが基本的に直線基調で、全体的にタフさを感じられるデザインが受け継がれています。今回は、エクストレイルの特徴とリセールバリューについて解説します。 エクストレイルはどんな車なのか? エクストレイルは、日産が日本で販売しているSUVの基幹車種です。本格的な4WD性能を持ちながら価格を抑え、アウトドアを楽しむ若者にも手が届く「4人が快適で楽しい、200万円の使える4駆」がコンセプトとなっています。 日産は、2004年から2015年までムラーノ、2009年から2016年まではスカイラインクロスオーバーといったSUVをラインナップしていました。いずれも北米市場を狙ったモデルであったため、サイズが大きく、ラグジュアリー感も意識した仕上げになっていることが特徴でした。その点、エクストレイルは手が届きやすい実用的なSUVとなっているため、現在も高い人気を誇っています。 エクストレイルの特筆すべき特徴 エクストレイルの特筆すべき特徴は、本格的な4WDモデルであること、アウトドアでも使えること、販売台数が多いという実績から得られる安心感の3つです。 まず、エクストレイルは本格的な4WD性能を備えるSUVとして高いオフロード性能を持っています。日産が開発した電子制御式の四輪駆動システムである「オールモード4x4」は、基本的に前輪駆動ですが、路面の状況が変化すると後輪にトルクを伝達し、安定した走行を実現します。「オールモード4x4」は、経済性と悪路走破性を両立させたエクストレイルの一番の特徴と言えるシステムです。 2つ目は、アウトドアでも安心して使える実用性の高さが挙げられます。マリンスポーツやウインタースポーツなど、車内を濡らしてしまいがちなシチュエーションでも、気兼ねなく使えるシートやラゲッジスペースは、エクストレイルならでは魅力です。 3つ目は、販売台数が多いため、古いモデルであっても補修部品が多く、安心して乗り続けられるという点です。また、2代目に設定されていたクリーンディーゼル車は、6速ATとの組み合わせにより、力強い走りと低燃費を実現しています。日本では流通量の少ない希少な車ですが、隠れた実力の高い車と呼べる一台です。 エクストレイルが人気の理由 エクストレイルが人気なのは、実用的なSUVとして幅広く使える点にあります。 エクストレイルには、優れた悪路走破性能や濡れてもサッと拭き取れる素材を採用したシートなど、アウトドアを楽しむ人に嬉しい機能が充実しています。 また、高い環境性能と経済性を実現するCVTやクリーンディーゼル、日産独自の1モーター2クラッチ式ハイブリッドシステムやe-Powerなどを搭載していることも人気の理由といえるでしょう。 エクストレイルリセールバリューの相場 エクストレイルのリセールバリューは、多くのモデルが150万円程度で取引されています。また、先代(3代目)の中には、250万円ほどで取引されている車両もあります。エクストレイルのリセールバリューは、ハイブリッドやエクストリーマXなど上級モデルになるほど、高価買取になるといえるでしょう。 エクストレイルの高価買取が期待できる業者の特徴 エクストレイルの高価買取が期待できる業者には、3つの特徴があります。エクストレイルを売却するときは、これから紹介する点を確認して売却先を決めると良いでしょう。 買取実績がある エクストレイルを売却するなら、まずはエクストレイルの買取実績がある業者を選びましょう。エクストレイルを買い取ったことがある業者なら、エクストレイルの価値を正しく評価できます。そのため、買取実績がある業者で売却すると高く買い取ってもらえるでしょう。 二重査定をしない 二重査定とは、売買契約をして車両を引き渡した後に、故障や不具合などが見つかったことを理由に買取額を減額することです。二重査定をする業者に売却すると、予期せず買取額を減らされてしまうおそれがあるため、二重査定を行っている業者は避けましょう。 古いオフロード車の買取も得意としている エクストレイルは、日常生活でも使える車ですが、本格的なオフロード車としても十分な性能を持っている車です。そのため、売却するときにはオフロード車の買取も得意としている業者を選びましょう。オフロード車の価値を正しく評価できる業者であれば、高額買取が期待できます。 エクストレイルの売却なら旧車王がおすすめ ここまでに紹介した3つのポイントを考慮すると、エクストレイルを売却するときは旧車王が最適です。旧車王は、エクストレイルの買取実績があり、オフロード車の価値も正しく評価できます。もちろん買取のプロである旧車王は、二重査定は一切ありません。所有しているエクストレイルを売却するなら旧車王にお任せください。

「限界レストアラー」による限界ガレージライフ
旧車の魅力 2023.04.12

「限界レストアラー」による限界ガレージライフ

紆余曲折を経て、ガレージを借りることとなり、電気が開通して早1年が経ちました。 ガレージ通いも、いまやすっかり日々のルーティーンです。 最近はカブオーナー(世にいう「カブ主」)で、ウーバー専業配達員の友人も同じ敷地内でガレージを借り、仕事道具のカブのメンテナンスピットとして使っています。 ときには壁にかけてあるソケットレンチや、電気をシェアすることもあります。  ■まさしく「限界ガレージライフ」? ガレージライフといえば、例えばGQやPOPEYE、BRUTUSあたりのライフスタイル雑誌に出てくるような、古い英国車と骨董品や雑貨のインテリアのファッションセンスに満ちたガレージを思い浮かべる方がいるかもしれません。 あるいはオールドタイマーやガレージ系YouTubeに出てくるような、二柱リフトもあって、加工機や特殊工具がちょっとした町工場並みの設備を揃えた「DIYメカニックガチ勢」を期待するかもしれません。 残念ながら、筆者にそんな甲斐性はなく、物置小屋に工具や設備を無理やり詰め込んだ雰囲気のガレージです。 サイズ的にも、スバル360だからかろうじて作業スペースとしてどうにか……という状況です。 ゆえに、同じ旧車王ヒストリア執筆陣のクマダ氏の記事を見ていると、これでガレージライフを名乗るのも正直穴があったら入りたいとさえ思えてくる有様です(苦笑)。 本来はあくまで、屋根付きシャッター付の月極駐車場。 ガレージや車庫というと、車両の保管場所以外に車両のメンテナンススペースという意味合いも出てくると個人的には思っています。 しかし、筆者が借りているガレージは昔の2Lのクラウンクラスを基準に最低限保管できる間取りのようです。 2ドアクーペのようなドアの大きい車両では、片方に寄せないとドアを開けるのにも苦労します。  おそらく現在のフルサイズSUVではかなり乗り降りが大変だろう、というのも予想がつきます。 賃料が比較的安価で、ほとんどの利用者がレンタルコンテナとして使っているのも、自動車の保管場所(特に本来室内保管が必須の高級車)には小さいという事情があると思われます。 ■昔の小型車の趣味車やオートバイとなると 車庫としては小ぶりですが、筆者のような昔の360cc規格の軽自動車をレストアしたいとなると事情は変わります。 エンジンの不調で一時的にセリカLBを保管したときは、ボンネットを開けて圧縮を計ったり、ラジエターホースを外したりするにも狭くて大変でした。 しかし、スバル360程度なら工具棚や機材を車庫内に設置して、外した部品を周りに置いてもどうにか作業スペースを確保できます。  現在は足回りもすべて外して、モノコックのみの状態ですが、単管パイプと自在キャスターを組み合わせた台車の上に載せてあります。 手で押すだけで前後左右に動かせるので、タイヤが装着されている状態より、狭い場所の移動は楽かもしれません。 ちなみに、この単管パイプは自宅に簡易ガレージを作ろうとしたときのもので、どうにかここで役に立ってくれました。 ■収納は自作の棚 いくらスバル360が小さいといっても、工具類や部品、スプレー等の置き場所は限りがあります。 内見したときに即思いついたのが、波板の壁の梁を利用して棚を作ることでした。 不動産屋さんに聞くと、壁や柱への多少の穴あけはOKとのこと。 よく見ると古い鉄板ビスがそのままになっていたり、床にアンカーを打ち込んであったりします。 退去時に自費で撤去さえすればいいとのことで、寛容な大家さんには本当に感謝です。 ちなみに、壁にかかっている流木らしき物体は、なぜかこのガレージの屋根の上に載っていた状態で、これは電気工事の際に見つけたものです。 エアガンは職場の引っ越しの際に出てきた、社長が昔遊んでいたというつづみ玉型のボルトアクションの空気銃、今ではガレージのオブジェになっています。 ■極力、もらいものや廃品を再利用 棚は新品の木材を使いましたが、配電盤は廃業したパチンコ店から出た中古、照明器具は職場の移転で出た廃棄品の再利用です。 中の工具や機材は20年間かかって集めたものです。 ボール盤は元土木関係のお隣さんからもらったもの、コンプレッサーは昔の職場の自転車屋でエア漏れを起こしたコンプレッサーを譲り受け、自力でエア漏れを直したものです。 一方で、溶接機はネットで買った格安のノンガス半自動溶接機。 仕上がりはそれなりですが、DIYで腐食部分の切り継ぎをする分にはどうにか使えるという感じです。 ■自分のガレージでDIYで弄ればリーズナブルになんて思われがち 専門業者に出せば最低でも数百万円といわれているレストア費用も、確かに自分でやれば部品代、油脂類代、塗料代だけで済みます。 全部自分でやれば数十万円でフルレストアできるのでは?と思ってしまいますが、なかなかそうはいきません。 筆者もここまで工具類を揃えるのに20年以上かかりました。 整備マニュアルと首っ引きでエンジンやサスペンションを自力で脱着して分解、組立ができるようになるまでに10年、そろそろ鈑金も自分でやってみるかと思い始めるまで15年かかりました。 自分でやってみて(仕事でもするようになって)、改めてレストア費用には工賃はもちろん、ノウハウの蓄積や、想定外の損傷に対応するための労力など、相応の意味があるのだなと思い知らされます。 筆者のスバル360は完全に個人の趣味なので、あえて仕事で請けるようなレストア作業なら絶対にやらないような(採算が合わないであろう)やり方とペースでのんびり作業しています。 クルマを実用品として考えている人は、安くクルマを買ってDIYで整備すれば安上りだと考えてはなりません。 やっぱりクルマの値段や整備の工賃には意味があり、それなりの金額を出して買ったクルマを信頼できる整備工場に出すのが費用対効果では安くつきます。 何かしら得るものがあるという意味で苦労は買ってでもしろという言葉があります。 しかし、何も得るものがなくても苦労したことの達成感に価値を見出せる人ではないとガレージライフは向いてないかもしれません。 [ライター・撮影/鈴木修一郎]

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