V12搭載のFDや40年ぶり発掘のジムニー!SEMA2022に登場した驚きの旧車5選

目次
1.■「SEMAショー」とは? 2.■1.40年の眠りから覚めたスズキ ジムニー LJ20 3.■2.1000馬力の四輪駆動 RX-7(FD3S) 4.■3.1200馬力のドラッグマシンへと変化したトヨタ4ランナー 5.■4.パガーニ ゾンダのエンジンを積んだ RX-7 6.■5.ENEOS ダットサン521ピックアップトラック

■「SEMAショー」とは?

SEMA(Specialty Equipment Market Association、米国自動車用品工業会)が1967年より年に一回開催している自動車アフターマーケットの見本市である。

日本ではカスタムカーイベントのイメージが強いかもしれないが、チューニングパーツだけでなく、タイヤやオフロード用品、板金塗装、補修、カーケア用品など、自動車アフターマーケットに関わるすべての商品がお披露目されている。

出展各社のブースには自社や協力会社の製品を装着したデモカーが展示されており、これもSEMA SHOWの大きな魅力の一つ。

近年は北米での人気に合わせて日本の旧車カスタムカーの出展が急増。こちらではそれらのなかでも特に注目を集めた5台を紹介してみたい。

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■1.40年の眠りから覚めたスズキ ジムニー LJ20


▲40年の眠りから覚めたジムニーを1年かけてレストア

パウダーコート塗料を扱うプリズマティックパウダーズ社のブースに出展された金色に輝くスズキ ジムニーは、1972年に日本で発売された LJ20である。

わずか600kgの車重で登坂能力は27.5度。最小回転半径4.4mの小さなボディもあいまって圧巻のオフロード走破性能で大人気となった。

出展されたLJ20はみた目にも美しい仕上げが施されているが、実はこのジムニー、遠い昔になだれに巻き込まれ、シエラネバダの山奥に40年以上も放置されていたのである。

なお初代ジムニーLJ10は1971年ごろ「ブルート」として約2000台が北米に輸出されたが、その後LJ20の輸出はなく、こちらの個体は並行輸入でアメリカに持ち込まれたと思われる。

山奥に長年放置されたジムニーを引き上げたのはYouTubeチャンネル「Matt's Off Road Recovery」のスタッフだ。

同チャンネルはどんな悪路も走破するために改造されたジープ チェロキーでさまざまなレスキュー活動を展開しており、このLJ20もオーナーであるエドに許可をもらってサルベージに挑んだ。

山奥から引き上げたあとは、川に浸したり、巨大な落石を乗り越えたり難儀を極めながらもなんとか自社のガレージまで運んでくることができたとのこと。

激しく損傷したボディは完璧な姿に修復し、エンジンとトランスミッションはスズキ サイドキック(エスクードの北米仕様)用に換装。

歴史に残る圧巻のレストモッドプロジェクトとなった。

■2.1000馬力の四輪駆動 RX-7(FD3S)

▲1200馬力発生の4ローターを搭載したAWD仕様のFD

ヴァルヴォリンのブースに展示されたRX-7は、ギャレット社が取り揃えている最大容量106mmのターボを搭載し、1200馬力超えまでチューニングされた4ローターを搭載。

さらに駆動方式は全輪駆動という信じられない仕様となっている。

大量の燃料を必要とするため50ガロンの燃料電池を装備していることも注目を集めた。

なお、フルスロットルで走行するとわずかな時間で1.5ガロン以上(約5.7L)の燃料を消費するという。

世界が電動化に向かうなか、今や希少な究極のガス・ガズラーである。

全輪駆動部分には日産スカイラインGT-R用のトランスミッションを採用しており、リアのディファレンシャルはBMW 3シリーズ(E36)用を流用して、この唯一無二のマシンを作り上げたとのこと。

制作期間は6年!とのことなので、オーナーであるロブ・ダーム氏の苦労や思い入れの強さがひしひしと伝わってくる。

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■3.1200馬力のドラッグマシンへと変化したトヨタ4ランナー

▲2JZ-GTE搭載で出力は1200馬力

日本の旧車を中心に、自動車用アフターマーケットパーツのディストリビューターとしてアメリカで急速にその存在感を高めつつある「TURN14」は、今回のSEMA SHOWに多数のカスタムカーを出展している。

そのなかでももっともアグレッシブで、多くの注目を集めていたのが、こちらの1993年型トヨタ 4ランナー(日本名ハイラックスサーフ)である。

一見、車高を落として綺麗にまとめられた普通の4ランナーに見るが、実はフレームをすべてパイプフレームにし、エンジンには3.4リッターまでボアアップした2JZ-GTEを搭載。

出力は1200馬力超えというとんでもないマシンに仕上がっている。

また、注目すべきは今はなき「TAKATA」のフルハーネスベルトを採用していること。

日本ではエアバッグ関連の大規模不祥事などもあって、すっかり「終わった企業」というイメージが強いが、アメリカでは今も根強い人気がある。

レーシーなJDMにTAKATAのフルハーネスを装着することは旧車オーナーにとってステイタスでもあるようだ。

▲SEMA SHOWのデモカーにもTAKATAのフルハーネスが多数見られた

■4.パガーニ ゾンダのエンジンを積んだ RX-7

マツダ RX-7はその美しいルックスとカスタム用ベースカーとしての魅力にあふれることから日本はもちろん、世界多くのクルマ好きを虜にしてきた。

トーヨータイヤの屋外ブース「トーヨータイヤ トレッドパス」に展示されたRX-7はその外装色から「ピスタチオFD」との愛称がつけられているが、人気の理由はそこにとどまらない。

驚くことに心臓部にはデフォルトのツインターボ 13B-REW エンジンではなく、パフォーマンス ワークショップである Gooichi Motors によって組み込まれたメルセデス・ベンツ製 V12エンジンにシフトされている。

同エンジンはイタリア製スーパーカー「パガーニ ゾンダ」などに搭載されるV12エンジンでノーマルの状態でも、720bhp と 780Nmのパワーを吐き出すハイパワーで知られる。

ホイールはBergmeister fifteen52 アロイ ホイールに、トーヨータイヤのハイパフォーマンスタイヤ「Toyo Proxes RR 345」を装着。

ボンネットが取り払われた状態で展示され、興味津々にエンジンルームをのぞく来場者たちが多く見られた。

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■5.ENEOS ダットサン521ピックアップトラック


 
アメリカで人気のドリフトメディア「DSPORTマガジン」のマネージャーと、その息子によって作られた1台はENEOS USAからの出展となる。

ダットサントラックはアメリカにおいて長く愛されてきたライトトラックだが、こちらは6代目となる1971年型 ダットサン 521 ピックアップをベースに世界中からレストアパーツを集め、5年間かけてレストアされたもの。

50年前の車両から摩耗したガスケットとシールをすべて取り外し、元の L16 1.6Lエンジンと 4速トランスミッションはキープ。

サスペンションは QA1ショックと エナジーサスペンションのウレタンブッシングでアップグレードされている。

エクステリアはPandem製ボディキットをベースにハコスカ フェンダーミラー、Eimer Engineering 製テールゲート パネルとロール バーなどを装備。

シートはバーバリー チェック パターンのカスタム シートに張り替えられ、クイック リリース ハブ付きの NRG ステアリング ホイール、騒音と熱を抑えるためのDEI サウンド コントロール、Lokar シフター ブーツと CNC トリムに交換されている。

[撮影・加藤ヒロト/ライター・自動車生活ジャーナリスト加藤久美子]

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