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旧車の魅力と知識

一時代を築いた縦目ベンツとは? 実は現代につながるモデルも多数あった1960年代のベンツを振り返る
旧車の魅力と知識 2023.12.27

一時代を築いた縦目ベンツとは? 実は現代につながるモデルも多数あった1960年代のベンツを振り返る

縦型に配置されたヘッドライトと、中央で存在感を放つフロントグリル。1960年代を中心に販売された縦目のベンツ、通称“タテベン”は、今見てもエレガントさを感じさせるクルマです。 特に人気の高いモデルはW111ですが、“タテベン”は1モデルだけではありません。そこで今回は、1960年代を席巻した縦目のベンツの歴史を振り返ってみます。 1960年代ベンツの象徴だった縦目 現在のベンツも個性的なフロントマスクではありますが、ヘッドライトを縦型に配したデザインはひと目でそれとわかる個性を放っていました。 “タテベン”が生まれた時代背景を振り返ってみましょう。 実用品から嗜好品に変わっていった時代 縦目のベンツが登場したのは、1950年代の終わり。第二次世界大戦を乗り越え、人々の暮らしが向上しつつあった時代の流れに呼応するように生まれました。実用性重視だったそれまでとは異なり、車にデザイン性や高級感をより求めるようになっていきます。 実際、縦目のベンツとして1959年に登場したW111/W112は、特徴的な縦に並んだヘッドライト以外にも、フィンテールと呼ばれるアメリカ車キャデラックに影響を受けた華飾が施されていました。機能性や実用性だけでなく、見た目も車の評価軸に加わり始めていたということです。 後に生まれた“タテベン”“ハネベン”というこの時代のベンツを表す愛称が生まれたことからも、見た目のインパクトが強かった車だったということがわかります。 個性的なのにエレガントさを感じさせる 当時の自動車デザインからすると、縦型のヘッドライトはかなり個性的な部類でした。しかし、縦目ベンツは、今の車にはないゆとりと独特のエレガントさを感じさせます。しかも、メルセデス・ベンツは、同様の意匠を複数のモデルで展開しました。つまり、メルセデス・ベンツの「顔」として、個性的な縦目を定着させようといった意図があったのでしょう。 エレガントさを備えた独特の存在感は、現在のベンツのブランドイメージそのものです。デザインこそ全く異なりますが、今のベンツの方向性と地位を確立したモデルが縦目ベンツといっても過言ではありません。 フィンテール以外にも縦目ベンツは魅力のある車種 縦目のベンツというと、代表的なのは優雅なフィンテールをまとった“ハネベン”と呼ばれるW111/W112です。しかし、“タテベン”には、ほかにも多くの名車があります。 1960年代のメルセデス・ベンツを象徴する縦目モデルをみていきましょう。 縦目ベンツを象徴するW111/W112(1959-1971) 独特のフィンテールと一緒に語られることの多い縦目ベンツといえば、やはりW111/W112です。最初に登場したモデルだけあって、“ハネベン”の愛称で呼ばれるほど多くの人から今も愛されています。しかし、実は“ハネベン”は、W111/W112のセダンのみです。 W111には、250SE、280SE 3.5といったクーペモデルも存在していました。クーペモデルのボディラインは1957年にスケッチが起こされ、その後縦目の最終モデルまで踏襲されます。 また、W111が登場した1959年は、自動差産業が隆盛し大量生産される1960年代の突入直前という時期でした。実際、W111は最後のハンドビルドモデルといわれています。 2シーターモデルの方向性を決定づけたW113 W113は、縦目のクーペ、カブリオレモデルとして1963年に登場しました。性能は高いものの扱いにくい初代300SLと、スポーティさにややかける190SLの中間ともいえるバランスのよさが魅力です。中央部がわずかに凹んだ、パゴダルーフと呼ばれるデザイン性の高さにも多くの注目が集まりました。 W113は、230SL、250SL、280SLと進化を続けながら、その後のメルセデス・ベンツの2シーターモデルの方向性を決定づけました。サルーンよりは高い運動性能を備えつつも、上質なインテリアと運転のしやすさは現代の「SL」にも通じます。 Sクラスの前身になったW108/W109 W108/W109は、W111/W112に変わるフラッグシップモデルとして、1965年に登場しました。最大の変更点は、象徴的だったフィンテールが排除されたことです。縦目のフロントマスクは踏襲しつつも、より現代的なデザインに仕上がりました。 フラッグシップモデルにふさわしい、運動性能と乗り心地もW108の特徴です。見切りが良いボディラインと小回りが利くステアリングによって思いのほか運転しやすく、ボディサイズの大きさを感じさせません。また、リアサスペンションは古典的なスイングアクスルだったものの、驚くほど乗り心地は快適でした。 次世代ベンツへの橋渡し役W114/W115 1968年、最後の縦目ベンツであるW114/W115が登場します。W114/W115は排出ガス規制への対応など、市場の特性に合わせて細かく調整されました。結果的に1976年の販売終了までに、実に180万台も生産されました。 最も進化したポイントは、新開発されたシャシーです。縦目デザインを踏襲しつつも、クラッシャブルゾーンやステアリングコラムを設けるなどより現代的な設計に進化しました。 W113は1,000万円近い評価をされることもある メルセデス・ベンツの古き良き時代を象徴しつつ、現代のラインナップの源流にもなった縦目ベンツ。通称“タテベン”とも呼ばれ、現在でも多くのファンから愛されている車種です。 一方で、縦目だからといって、全モデルの評価が極端に高いわけではありません。なかにはリーズナブルな価格で取引されているモデルも存在します。 ただし、W111のクーペモデルやW113のオープンモデルなど、“タテベン”の一部の車種では高値がつく場合があります。特にW113は、1,000万円近い価格で買取されることも少なくありません。 縦目のベンツが販売されていたのは1960年代です。60年以上も前の車種だけに、売却する際は旧車の知識が豊富な専門業者への依頼をおすすめします。

トヨタ ランドクルーザーシグナスは100系ランクルとは別車種?! 両車の違いを特別感のある魅力とともに紹介
旧車の魅力と知識 2023.12.27

トヨタ ランドクルーザーシグナスは100系ランクルとは別車種?! 両車の違いを特別感のある魅力とともに紹介

高級サルーンを思わせるラグジュアリーな内装と、クロスカントリー車がベースとは思えない洗練された外装を備えたトヨタ ランドクルーザー シグナス。人気の高い100系ランドクルーザーに設定されたグレードの1つでありながら、海外ではレクサスでも販売されるなど、もはや別車種とも思えるほどの存在感を放つモデルです。 今回は、通常モデルの100系ランドクルーザーとの違いも含めて、ランドクルーザー シグナスの魅力を詳しく紹介します。 シグナスは高級感漂う専用装備が満載 ランドクルーザー シグナスと100系ランドクルーザーは、外観の印象から全く異なります。同一車種ながら、開発コンセプトが根本的に違う点が大きな要因です。 数々の専用装備によって高級感溢れる仕様に仕上げられたシグナスの魅力を、100系ランドクルーザーとも比較しながらみていきましょう。 100系ランクルとは一線を画すエクステリア ランドクルーザー シグナスの外観では、フロントセクションの違いが真っ先に目を惹きます。フロントバンパーはシグナス専用にデザインされ、グリル形状も100系オリジナルとは別物です。さらに、ヘッドライトやフォグランプに至るまで、全てがシグナスのために開発されています。 さらに、クロスカントリー車としての象徴でもある背面のタイヤですが、シグナスでは排除されています。「トップ・オブ・SUV」を掲げて開発されただけに、主戦場はオフロードではなく市街地というコンセプトを明確にする意図があったのかもしれません。なお、背面のタイヤをなくすスタイルは、100系ランクルの定番カスタムです。 また、後期モデルではホイールサイズが16インチから18インチへと一気に2インチサイズアップが図られました。また、ATも4速から5速に変更され、スタイルと乗り心地を求めるシティ派のSUVという性格をより強めています。 高級サルーンのようなラグジュアリー感 インテリアでは、標準装備されている本革シートの質感だけでも100系ランドクルーザーとの違いがわかります。ダブルステッチで縫い上げられた柔らかく艶のあるレザーシートは、100系の本革シートとクオリティに圧倒的な差がありました。また、ステアリングやシートノブといった車内の至るところに本木目パネルが配され、さらなる高級感を演出しています。 装備面でも、1990年代のクルマながら専用開発されたメモリー機能付きパワーシートを搭載。後期モデルで追加された先進の盗難防止システムも、より高級車としての性格を強めています。エンジンイモビライザーシステムや、正規のキー以外の解錠で警報を発するオートアラーム機能を追加しました。 海外ではレクサスブランドで販売 ランドクルーザー シグナスは、海外ではレクサス LX470として販売されていました。トヨタの最高級ブランドである、レクサスの名にふさわしいクルマを目指して開発されたということです。 国内では100系ランドクルーザーのグレードの1つですが、実質的にはレクサス車という見方もできます。実際、欧州の高級車にも引けを取らない内外装は、まさにレクサスそのものです。 中古車市場でも異彩を放つランドクルーザー シグナス ランドクルーザー シグナスは、中古車市場でも特別な存在です。100系ランドクルーザーの1グレードでありながら、全く別車種のような評価を受けています。 シグナスがいかに特別な存在かを、改めて確認していきましょう。 100系ランドクルーザーの1グレードとして登場 ランドクルーザー シグナスは100系ランドクルーザーと多くの点で異なりますが、あくまでもグレードの1つです。1998年1月にフルモデルチェンジをした100系ランドクルーザーに、上級グレードとして同年の12月に投入されました。 しかし、「シグナス」という名称からは、グレードの枠を超えたモデルだったことがわかります。ほかのグレード名は「VX」や「VXリミテッド Gセレクション」といった、いわゆるグレード名らしい名称でした。独立した車名にも思える名を与えられたのは、それだけ「シグナス」が特別なクルマだったからということでしょう。また、ほかの100系ランドクルーザーとシグナスは、カタログも分けられていたようです。 ガソリン車でもシグナスは特別 モデル全般が人気の100系ランドクルーザーですが、ガソリンエンジン車よりもディーゼルエンジン車のほうがより多くの支持を集めています。高い走破性が特徴の車種だけに、耐久性やトルクを求めるユーザーが多いためでしょう。しかし、シグナスに関しては例外のようです。 シグナスにはガソリンエンジン車しかありませんが、特別なモデルとして高く評価されています。また、100系ランドクルーザーのなかでは評価の低いガソリンエンジンですが、スペックは決して他車種に劣っているわけではありません。最高出力235ps、最大トルク43.0kgf・mを発揮する4.7LのV8エンジンは、市街地はもちろんのことオフロードでも十分通用します。 500万円もの買取価格がつくこともある 買取価格の高さからも、シグナスの特別感がうかがえます。年式にもよりますが、シグナスの新車価格は高いモデルでも500万円台後半です。しかし、旧車王では、2023年11月に2006年式のシグナスを約500万円もの価格で買取りました。 走行距離が5,500kmと年式からするとかなり短かったこともありますが、新車登録から17年も経過しているにも関わらず、新車価格に近い金額がつくことこそがシグナスの価値の高さを示しています。 特別感のあるシグナスは価値が落ちにくい 海外ではレクサスブランドで販売されるほど、ランドクルーザー シグナスは100系ランドクルーザーのなかでも特別な存在です。世界最高峰のSUVを目指して開発されたシグナスは、ランドクルーザー本来の高い走破性と豪華さを兼ね備えています。 道具としての車は、年数が経過するほど性能の劣化とともに一般的には価値が落ちていきます。しかし、シグナスのように道具以上の魅力のあるクルマは、古くなっても輝きを失いません。中古車相場は複雑な要因で動くため一概にはいえませんが、シグナスは今後も一定の価値を保ち続けることが予想されます。

トヨタ EP82型スターレットは別格の速さだった!? エントリーカーとは思えない高い実力を徹底レポート
旧車の魅力と知識 2023.12.20

トヨタ EP82型スターレットは別格の速さだった!? エントリーカーとは思えない高い実力を徹底レポート

軽い車体に有り余るパワーのターボエンジンが搭載されていて、胸のすく加速を味わえるトヨタ EP82 スターレット。1980年代の終わりに登場したコンパクトカーですが、格上の1.6Lクラスと肩を並べる、世代を代表するホットハッチとして現在でも高い人気を集めています。 高性能とは無縁の大衆向け自動車をルーツにもつ意外な側面も含めて、EP82 スターレットの全てを徹底的に紹介します。 軽量コンパクトでも戦闘力は高かったEP82 スターレット 高い走行性能が魅力のEP82 スターレットですが、スポーツカーというわけではなく本来のコンセプトは大衆向けのコンパクトカーです。実際、価格面だけをみると若者でも購入しやすい設定になっていて、大衆車であることがよくわかります。 EP82 スターレットは、そもそもどんなクルマで、なぜ人気モデルになったのかを振り返ってみましょう。 スターレットは名車パブリカが源流 初代スターレットは、2代目パブリカの派生モデルとして1973年に登場しました。パブリカは、トヨタ初の大衆車として歴史に残る名車です。スターレットが大衆向けコンパクトカーとしての地位を確立した背景には、パブリカの存在があったといっても過言ではありません。 1989年に4代目スターレットとして登場したのが、EP82型です。安価なエントリーモデルから走りを楽しめるスポーツモデルまで、バブル景気を背景に豊富なラインナップが用意されました。 EP82 スターレットの人気につながったターボモデル「GT」 EP82 スターレットを象徴するモデルとして知られているのは、ターボエンジンを搭載した「GT」です。4バルブハイメカツインカムのDOHCエンジンにターボ搭載という、排気量以外は本格的なスポーツカーにも引けを取らないスペックを誇りました。 しかも、新車価格はわずか124万円からという当時としても破格の価格設定。高い運動性能を考えると、かなりコスパのよいモデルだったといえます。コンパクトカーという車格のため内装は決して豪華とはいえないものの、布張りのドアパネルやサイドサポートのあるスポーティなシートなど一定の水準を保っていました。 下位モデル「ソレイユ」も人気 EP82 スターレットといえばターボ搭載の「GT」ですが、実は下位のノンターボモデルも十分に高いポテンシャルを秘めていました。61万円からという販売価格ながら、最高出力100psを発揮するハイメカツインカムのDOHCエンジンを搭載していました。 また、サスペンションやタイヤをスポーティなものに交換すれば、手軽に運動性能を高められる点もソレイユの魅力です。車重がGTよりも100kg以上軽いわずか710kgということもあって、格上の「テンロク」と呼ばれる1.6L車はもちろん、NAモデルならシルビアよりも速かったという逸話も残っています。 じゃじゃ馬ながら格上にも勝る確かな運動性能を備える「GT」 EP82 スターレットが登場した1980年代後半から90年代前半にかけては、同じトヨタのレビン/ トレノ、ホンダ シビック、三菱 ミラージュといった1.6Lスポーツの全盛期を迎えつつありました。一方、EP82の排気量はテンロクから300ccも少ないわずか1.3L。これだけのハンデを背負いながら互角以上に戦える性能を備えていたため、多少ピーキーで扱いにくい面があったことは否めません。 しかし、エンジンだけでなく車体も細部まで作り込まれており、実は運動性能も先代からかなり向上していました。ここからは、EP82 スターレットの最高グレードGTの魅力をたっぷりご紹介します。 クラス最高峰のホットハッチ EP82 スターレットGTには、最高出力135psを発揮する1.3Lの水冷直列4気筒DOHC16バルブのインタークーラー付ターボエンジンが搭載されています。大衆車の車格ながら、高性能エンジンの目安といわれる1L当たり100psオーバーを実現していました。 同じくホットハッチの代表格として同時期に販売されていた1.6Lのホンダ シビック(EF9)でも、ちょうど100ps/Lだったことを考えると格下のEP82のエンジン性能は驚異的です。しかも、車重はわずか830kgだったため、加速力はシビックをも凌ぐほどでした。 運動性能は先代から大幅進化 830kgの車体に135psというハイパワーエンジンを搭載していることから、EP82スターレットは扱いにくい「じゃじゃ馬」とよく表現されます。先代のEP71から続く個性ともいえるキャラクターではあるのですが、EP82では実は運動性能が大きく改善されています。 前後トレッド幅の拡大やボディ剛性の強化、さらにこのクラスとしては幅の広い175/60R14サイズのタイヤを装着することでコーナリング時の安定性を強化。また、4輪ディスクブレーキを採用し、さらに格上のAE92と同サイズとすることでスポーツ走行に欠かせないブレーキ性能の向上も図られていました。 30年以上前のクルマなのに中古車としての価値を維持 EP82 スターレットの運動性能がいくら高いとはいえ、あくまでも大衆車という位置づけのクルマでスポーツカーではありません。しかも、登場は1980年代と30年以上前のオールドカーです。しかし、人気の高かった「GT」を中心に、いまだに中古車市場で一定の評価を得ています。 中古車の価値は需要と供給のバランスで決まるため確かなことはいえませんが、クルマとしての性能の高さはもちろん楽しさを感じられるために高く評価されているのではないでしょうか。 ただし、多くの人が普段の「足」として利用していたため、中古車で購入する際は状態の確認が重要です。また、旧車の取り扱いに慣れていない中古車業者だと、年式と車格からほとんど価値がないと判断されかねません。取引をする際は、旧車専門の業者に相談することをおすすめします。

国産車のチョー当たり年。1989年モデルはなぜ人の心をつかんだのか!?
旧車の魅力と知識 2023.12.18

国産車のチョー当たり年。1989年モデルはなぜ人の心をつかんだのか!?

奇跡といっていい年。 それが1989年。 国産車が次々と誕生し、まさに「国産車天国」「国産車の桃源郷」といっていい年だろう。 フルモデルチェンジや新規モデルはもちろん、MCや追加車種を含めると実に1年間に45モデルが誕生したとされる年。 数だけでなく、魅力あふれる質の高い国産車がどんどん誕生したのが特筆すべきことだ。 厳選して数台をピックアップしながら「なぜそれらは人気者になったのか?」を追っていき、最後に1989年が当たり年になった背景も交えていきたい。 ■まさに「スターの輝き」。まずはこのモデルを挙げないわけにはいかない、日産R32スカイラインGT-R 1989年国産車といえば……、まず日産R32スカイラインGT-Rを挙げないわけにはいかないだろう。 なにせ「1989年のクルマ=R32」と、0.7秒ほどですぐさま頭の中で結びつく人がほとんどだと思うから。 今見てもまとまりのある、2ドアスポーツモデルのカタチ。 絶妙に張り出したブリスターフェンダー。 格好いい~!と声を出さずにはいられないが、1989年当時の興奮度はこの比ではない。 先代GT-Rの販売終了から16年ぶりの復活誕生。 注目の浴び方はハンパなかった。 当時日産で行なわれていた「901運動」の集大成、新開発の2.6Lツインターボエンジン搭載。 日本車初の最高出力300psモデルを目指したが、馬力規制により280psに留められたモデル…… など、「見出し」になるネタがテンコ盛りというのもこのクルマの特色。 そして、いわゆる25年ルールが解禁され、アメリカがR32を輸入できるようになった昨今。 R32がもはや神格化している北米では、オークション落札価格が日本円で1000万円以上という事例も多いという。 日本で世界で、まさに「スターの輝き」のR32である。 ■R32が誕生した年に4代目フェアレディZ(Z32型)までも登場!もう泣くしかない! 日産のスポーツモデルの流れで、お次は日産4代目フェアレディZ(Z32型)に登場いただこう。 「フェアレディZといえばあのデザインね」と3代目までが頭の中にインプットされていたところ、このZ32型の姿を見て誰しも衝撃を受けたはずだ。 デザインからして「Zの新章スタート!」を感じるのに充分だった。 先代までのロングノーズ・ショートデッキではなく、ワイド&ロー。 先代より全幅がプラス65mmの1790mmとなり、当時としてはかなり平べったい日本車。 それだけに衝撃度も増し増しだった。 デザインのポイントは、これまた当時のクルマ好きにインパクトを与えたリアデザインとテールランプ。 現行RZ34型にこのテールランプデザインが盛り込まれているのは有名な話。 このデザインで、V6・3Lツインターボのアグレッシブな走りを見せるワケだから、街中で目を引かないわけがない。 それにしても、前項のR32スカイラインGT-RとZ32が同じ年に生まれるなんて……、やはり1989年は奇跡の年なのである。 ■ずっと憧れの的だったトヨタセリカも5代目が誕生。それが1989年という年だ 筆者のように「アラウンド還暦」世代にとって、子ども時分から格好いいクルマといえばセリカ。 憧れの存在でもあった。 そのトヨタ5代目セリカが生まれたのも1989年。 WRC用のホモロゲーションモデル、GT-FOUR RCも1991年に発表され、日本では限定1800台が販売されたという。 ということもあり、特別に5代目セリカのWRCカーの雄姿をお届けしているのが上の写真だ。 筆者の好きなハリウッド俳優、エディ・マーフィをCM起用し、「スゴスバ セリカ!」がキャッチフレーズ。 4代目より近未来感あるデザインになり、今見ると、現行クラウンクロスオーバーを思わせる顔をしていません……か?(こちらはリトラクタブル・ヘッドライトだが) 直4・2Lターボの最高出力は235psをたたき出し、当時の若者を興奮させるには充分。 歴代セリカでも強いインパクトを残した一台だ。 ■2人乗りコンパクト2ドアクーペというスペシャリティ感を味わえる、トヨタ2代目MR2 スポーティカーの流れでお次はトヨタMR2だ。 日本車史上、初の市販ミッドシップモデルとして誕生した初代のあとを受け、1989年に2代目MR2が誕生。 当時の日本車では珍しかった2人乗りコンパクト2ドアクーペ(今の日本車でも稀有な存在だが……)。 中身はセリカ/コロナベースがベースだが、初代の「角が取れた」感じの絶妙な曲線デザインが目を引いた。 のちに前項のセリカと同じ2L・直4にターボが追加され、シャープな走りを体感させてくれた。 乗るほどに2人乗りコンパクト2ドアクーペというスペシャリティ感が味わえるクルマ。 トヨタさん、よくぞこんなクルマを出してくれました~!と今でも感慨に浸るほどだ。 ■1989年誕生のスポーツモデル……。忘れちゃ困るぜ「人馬一体」のマツダロードスター R32GT-Rを皮切りに、1989年誕生のスポーツモデルの魅力を4台続けざまに取りあげてきた。 「スポーツモデルはもうないでしょ?」と言いたいところだが、あるんです。 そう、マツダ初代ロードスター(ユーノスロードスター)だ。 現行4代目まで脈々と続く「人馬一体のマツダロードスター」というクルマの礎を成した金字塔的クルマまでも、この年に生まれていたなんて……。 やはり、1989年という年は只者じゃない。 クルマ好きにとってまさに「盆と正月が一緒に来た」ような年である。  「MGのようなライトウェイトカーを作ってみよう」が開発のきっかけとされ、「人馬一体」というテーマがブレることなく現行モデルまで真髄を貫いているところは、脱帽するしかない。 爆発的な走りでもなく、アグレッシブな走りでもない。 車重を極限まで軽くした特有の「ひらひら感」あるFRの走りこそがロードスターの真骨頂、と筆者は熱く語りたい! その源流が初代モデルだ。 この誕生に感謝するしかないですね! ■海外メーカーにインパクトを与えた初代セルシオ。「高級車・新ステージ」への突入 今、「歴代の国産モデルのなかで海外メーカーにインパクトを与えたのはどれ?」と自動車ジャーナリストへ尋ねると、多くの方がこの名を挙げる。 それがトヨタ初代セルシオ。 1980年代前半、それまでの北米の高級車市場といえば、キャデラックやリンカーン、メルセデス・ベンツなどが占め、日本車メーカーが割って入れない状況が続いていた。 そこへトヨタが本腰を入れ、堅い門をこじ開けたのが高級車「レクサス」ブランドの戦略。 1989年、最初に投入されたのが初代LSで、それの日本仕様がトヨタ初代セルシオだ。 クルマ所有の大目標として「いつかはクラウン」が体の中に沁みついていた日本人にとっても、初代セルシオの登場は衝撃的だった。 (センチュリーは別格として)クラウンの上をいくセダンが誕生したわけだから。 が、当時はバブル景気、真っ盛り。 「超高級車、アリかも!」と市場が活気づき、初代セルシオは人気を博した。 時代背景も後押しし、「高級車の新ステージ」を築きあげたモデルといっていいだろう。 セダン然としたスタイル、全長4995mmという堂々たる風格。 新設計のV8・4Lエンジン搭載……。 クルマに新たな価値観が生まれたのも、1989年という年である。 ■ランクル80系と初代レガシィツーリングワゴン。のちのRVブームの礎となった2モデルも登場 現在、世界でも日本でもSUVの潮流は続くが、その源となるのがクロカン(クロスカントリー)だ。 そのクロカンやステーションワゴン、ミニバンといったカテゴリーで一時代を築いたのが、1990年代末から21世紀初頭にかけてのRV(レクレーショナル・ヴィークル)ブーム。 いまや「RV」という言葉自体が懐かしすぎますが……。 そのクロカンというカテゴリーを、歴代モデルたちが軸となり構築してきたのがトヨタ ランドクルーザーといっていい。 そして、ランクル80系が誕生したのが1989年だ。 2023年現在、復活販売として話題になっている70系の次の世代。 「無骨さの塊」という印象の70系以前より、洗練された雰囲気がある外観。 が、ランクルの真骨頂、ラダーフレームを基盤にオフロードでもタフな走りを見せる無骨さは健在。 オンロードでの快適性が向上したのも80系の特徴だ。 1989年にはもう一台、人気者のクロカンが登場している。 トヨタ2代目ハイラックスサーフで、ランクル80系を1.5まわりほど(!?)小さくしたモデルだ。 全長4470mmというサイズ感もあり、若い世代にも人気が高かったクロカン。 そして、のちのRVブームを支える大黒柱となるスバル レガシィツーリングワゴン、その初代モデルが誕生したのも1989年(写真下)。 いい意味で「レガシィよ、お前もか!」と有名な諺をアレンジして使いたくもなりますよ! スバル レオーネの後継モデルとして誕生。 それまでの各社のワゴンデザインが急にやぼったく見えるほど、洗練されたスポーティなデザインに目が留まった。 スタイルには確実に新鮮味があった。 5人がムリなく乗れ、荷物をたくさん積めるラゲッジという実用性の高いパッケージングは驚くばかり。 2Lターボが搭載され、スバル特有の4WD走破性。 「優等生」を地で行くクルマで、「ステーションワゴン」というカテゴリーに市民権を与えた立役者だ。 ■そして日産パオも誕生。1989年は「国産各メーカーの技術進化の絶頂期」でもあった! 1989年生まれの魅力あふれる国産車。 スポーツモデルやクロカンなどを取りあげてきたが、最後は毛色を変えて日産パオ。 今も記憶に残る、Be-1やフィガロとともに1990年前後に登場した日産パイクカーシリーズの一台だ。 どこかレトロ風味がありつつも、アウトドアテイストをも感じるスタイル。 いい意味で、初代マーチをベースにしたとは思えない出来。 3カ月間の予約受注で約5万1000台も売れ、時代のニーズに合致した「仕立て」だったことがよくわかる。 今スタイルを見ても、ユニークなボディサイドのキャラクターライン、上下二分割のリアガラス、開閉式の三角窓、外ヒンジのドア……など、かなり凝っている。 当時の企業としての日産の、余裕とセンスの高さが滲み出ているモデルといっていい。 ……ということで、「国産車の桃源郷」の年といえる1989年に登場した魅力あふれるクルマたちを取りあげてきたが、いやはや、よくぞこんなにも凄いクルマたちが同じ年に出揃ったな、とつくづく感じる。 国産各メーカーの技術進化と技術競争におけるひとつの絶頂期と、バブル景気の時期が重なり市場が一気に膨らんだ……ということが背景にあるといえるだろう。 後世に語り継がれる「奇跡の一年」。 1989年はなんとも濃い!です。 [ライター / 柴太郎 ・ 画像 / Dreamstime]      

アルピナ BMW車が消滅するって本当? 商標権譲渡の真相と人気の高性能モデルを一挙紹介
旧車の魅力と知識 2023.12.14

アルピナ BMW車が消滅するって本当? 商標権譲渡の真相と人気の高性能モデルを一挙紹介

「アルピナ」の商標権がBMWに譲渡されるというニュースが、2022年に話題になりました。アルピナ社はBMWと長年協力関係を結び、独自の開発でBMW車にひと味違う魅力を与えてきた自動車メーカーです。 規格外のハイパワーエンジンと独自の世界観をもつ内外装が魅力のアルピナについて、商標権譲渡の真相とともに詳しく紹介します。 BMW車の価値を高めるアルピナ 自動車メーカーのアルピナは、BMW車に新たな命を吹き込む開発を続けてきました。一方で、長年続いたBMWとアルピナの協力関係は、商標権の譲渡によって2025年に終了することがすでに発表されています。 アルピナが単なるチューニングメーカーでないことと、商標権譲渡の意図を振り返っていきましょう。 アルピナ車は自動車メーカー ドイツにあるアルピナ社は、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社という正式名称の自動車メーカーです。ベース車輌がBMW製であることからBMWの高性能モデルブランドと誤解されがちですが、独立した自動車メーカーとして開発や組立工程から独自で行っています。 最近のモデルこそBMWのラインで組み立てられていますが、かつてはホワイトボディからアルピナで製造されていました。独自の思想でBMW車を再度開発し、オリジナルにはない新たな魅力と価値を与えたモデルを生み出してきたのがアルピナです。 商標権譲渡はアルピナブランドを次世代に残すための決断 長年BMWと良好な協力関係にあったアルピナですが、2022年にBMWによるアルピナ商標権の獲得が報じられました。株式や資産などは引き続きアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン社に残されますが、アルピナが開発するBMW車は今後はなくなるということです。 ファンにとっては寂しいニュースですが、実は「アルピナ」というブランドを将来に残すための決断だったという見方もできます。電動化や世界的な規制が厳しくなるなか、小規模メーカーでは対応が難しくなってきていました。実際、現在アルピナが製造する車輌は、BMWの工場で多くの工程が組み立てられるように変化しています。 商標権をBMWに移譲したことで、「アルピナ」の名称は時代の変化による消滅の可能性が限りなく低くなりました。「自社のラグジュアリーカーをより多様なものにする」という展望をもつBMWが、今後どのような形でアルピナの名称を利用していくのかに期待が高まります。 中古車市場でも価値の落ちないアルピナ製BMW車 アルピナが製造していたモデルは現在でも人気が高く、ベースのBMWの車輌に価値がなくても高値で取引されているものがいくつもあります。つまり、アルピナの開発によってBMW車が新たな価値を得たということです。 名車揃いのアルピナ BMWのなかでも、特に人気の高い3モデルを紹介します。 E34を超高性能サルーンに高めたB10 Bi-Turbo B10は、強力なツインターボエンジンを搭載した超高性能サルーンです。「ビックシックス」と呼ばれる直列6気筒エンジンを究極までチューニングし、最高出力を370psまで高めました。ツインターボとしたことで、低回転域から高回転域までトルクが持続します。 大柄ボディの重量級E34ですが、アルピナのチューニングエンジンによって強烈な加速を実現。さらに、シャシーの剛性強化やゲトラグ製の5速ミッション、BOGE製のレベライザー付きショックアブソーバーなど、強力なパワーを余すことなく発揮できる車体設計もさすがアルピナというポイントです。 E36に究極の洗練さを与えたB8 4.6 リムジン E36の直列6気筒エンジンに換え、強力な4.6LのV8を搭載したのがB8 4.6 リムジンです。 BMWの3シリーズとして生産された比較的コンパクトなE36に、最大340psを発揮するV8エンジンを押し込んだことで異次元の加速力を発揮します。 一方で、誤差1/1000gの精度で組み上げられたエンジンは、暴力的な加速に反して驚くほどスムーズ。しなやかな足回りも相まって、E36にさらなる上質さを与えます。また、内装もスポーティーながらエレガントさも持ち合わせていて、究極のパワーと洗練さを両立したモデルです。 E28にメカチューンを加えたB9 3.5 B9 3.5は、SOHCエンジンながらDOHCエンジンの初代M5に匹敵するハイパフォーマンスモデルです。ボアアップや圧縮比の向上、カムシャフトと吸排気バルブの見直しといったNAエンジン定番のメカチューンを徹底的に施して、245psもの最高出力を絞り出すことに成功しました。 ターボでは味わえないNA特有の加速感が人気を集めたのか、生産台数は当時のアルピナとして最大の577台にまで達します。異径4灯のヘッドライトやアルピナストライプの入ったシャープなボディラインといった外観のアルピナらしさも、B9 3.5の魅力です。 永遠ともいわれるアルピナの価値の今後の動向に注目 アルピナの価値は旧車になっても失われることはありません。たとえば、現在では査定額がほぼつかないE36でも、B8 4.6 リムジンなら600万円もの価格がつきます。さらに、E28をベースにしたB9 3.5に至っては950万円もの高値での買取実績もあります。 一方で、もともと生産台数の少ないアルピナモデルは、旧車のなかでもかなり希少な部類です。特にベース車輌の価値が失われつつある現在では、旧車王のようにアルピナを正しく査定できる業者は決して多くありません。商標権の譲渡によってアルピナが今後BMWを製造しなくなることも含めて、アルピナの価値を評価してくれる専門性の高い業者に売却の相談をしてください。

フォード シエラはただのマイナー車種?! R32 GT-Rが登場するまで日本でも無敵を誇った実力を徹底紹介
旧車の魅力と知識 2023.12.13

フォード シエラはただのマイナー車種?! R32 GT-Rが登場するまで日本でも無敵を誇った実力を徹底紹介

ヨーロッパ・フォードが1980年代に販売していた、斜めに切り立ったフロントマスクと角目のヘッドライトが個性的なシエラ。正規輸入されていなかったこともあり、日本では知る人ぞ知る車種の1つです。レースでの活躍を目指して投入された高性能モデルで、欧州のみならず日本でも当時無敵を誇りました。 日産 R32型GT-R誕生のきっかけになったともいわれる、フォード シエラについて詳しく紹介します。 フォードなのにアメ車ではないシエラ アメリカ自動車メーカーのビッグスリーの一角をなすフォードですが、シエラはいわゆる「アメ車」ではなく欧州拠点で開発されたモデルです。 新世代ファミリーカーとして欧州市場でのシェア獲得を目指した、シエラの開発背景を振り返ってみましょう。 欧州市場を狙ったシエラ 欧州への進出を目指したフォードは、1960年代からヨーロッパ・フォードとしてイギリスとドイツに拠点を置いていました。シエラは、欧州両拠点から1982年に発売されます。コルティナとタウナスの後継である、「新世代ファミリーカー」として位置づけられました。 イタリアのカロッツェリア・ギア社がデザインを手掛けていたという点からも、フォードが欧州市場を強く意識していたことがわかります。一方で、空力を強く意識したモダンなデザインはイギリスの既存ユーザーには不評だったという話も残っているため、当初から欧州を席巻したモデルというわけでもなかったようです。 実力を証明するためレースに投入 ヨーロッパ・フォードは、設立時からレースに積極的に取り組んでいました。自動車レースの本場ヨーロッパだけに、欧州進出を目指すフォードにとって重要な戦略だったのでしょう。 シエラが発売された1982年からグループA規定を採用したETC(ヨーロッパ・ツーリングカー・チャンピオンシップ)では、既存のカプリで参戦したものの結果が残せずにいました。1986年にはシエラのスポーツグレードXR4Tiを投入しますが、レースで主導権を握るまでには至りません。そこでフォードは、シエラをベースにレースで戦えるマシンの開発に本気で取り組むことを決断しました。 名門コスワースとのタッグで誕生したシエラRSコスワース シエラでレースに勝つためにパートナーとして選んだのは、フォードと関係性の深かったイギリスのエンジンメーカーコスワースでした。コスワース製ハイパワーエンジンを手に入れたシエラは、ツーリングカー選手権で好成績をあげます。 無敵を誇ったシエラRSコスワースについて、日本での戦績も交えながら詳しく紹介します。 グループA規格で戦うために開発 グループA対策を施したシエラは、シエラRSコスワースとして1986年に登場します。シエラのためにコスワースが用意したのは、最高出力204馬力を発揮する2LのDOHCターボエンジンでした。5,000台の生産実績というグループAの規定(当時)を満たして、1987年からWTC(世界ツーリングカーチャンピオンシップ)に投入されました。 また、エンジンの変更だけでなく、フォードは車体各部を徹底的に見直します。フロントマスクに設けられた冷却用のエアインテークや大型のリアウィングによって、見た目の印象もファミリーカーから大幅に変わりました。 翌年にはRS500にアップデート シエラRSコスワースが登場した翌年の1987年には、シエラRS500コスワースにアップデートされます。タービンの変更やインタークーラーの大型化によって、最高出力は225馬力まで引き上げられました。さらに、レース用モデルは、最高出力500馬力だったともいわれています。 さらに、グループA規定に違反しない箇所の全てに手を加えたといわれるほど、車体も大幅に変更されました。外観は基本的にシエラRSコスワースを踏襲しているものの、2段式になったリアウィングが戦闘力の高さをうかがわせます。 日本のツーリングカー選手権を席巻 シエラRSコスワースは、トランピオチームからJTC(日本ツーリングカー選手権)にも参戦します。開幕戦こそリタイアに終わるものの、第2戦では2位、第3戦では早くも優勝を果たして実力の高さを証明しました。 さらに、WTC最終戦にも組み込まれたインターTECに投入されたシエラRS500コスワースも圧倒的な強さをみせます。エッゲンバーガー・モータースポーツが優勝、トランピオチームが2位というワンツーフィニッシュを達成しました。また、エントラント部門での世界チャンピオンも獲得しました。 1988年には、6戦中4戦でシエラが優勝を獲得。1989年には開幕戦と最終戦の2勝にとどまったものの1987年と1988年には2年連続で全日本タイトルを手中に収め、日本のツーリングカー選手権を席巻しました。 日産 R32型GT-Rの誕生のきっかけともいわれるシエラ 日本のレースで無敵を誇っていたシエラの快進撃を止めたのは、1990年の日産 R32型GT-Rでした。実は、R32型GT-Rはシエラを倒すために投入したともいわれています。R32の高い走行性能は誰もが認めるところですが、逆の見方をするとシエラはそこまでしないと倒せない存在だったということです。 輝かしいレースの成績を収めたシエラですが、正規輸入されていなかったこともあり日本国内ではあまり流通していません。希少車は入手が難しいのはもちろんですが、実は売却時にもスムーズに取引できないこともあるため注意が必要です。流通量が少ないがゆえに正しい金額がつかない場合や、業者によっては買い取ってもらえない場合もあります。 旧車の買取経験豊富な旧車王では、希少で流通しにくいシエラRSコスワースも2023年11月に買取りました。フォード シエラを取引する際は、旧車のノウハウをもった専門業者に相談することをおすすめします。

車がスリップする原因とは?対策を詳しく紹介
旧車の魅力と知識 2023.12.07

車がスリップする原因とは?対策を詳しく紹介

車のスリップは頻繁に経験するものではありません。しかし、悪条件が重なると、日常使いの範囲内でもスリップすることがあります。そこで今回は、車がスリップしてしまう原因やスリップしたときの対処法、スリップしないための対策について紹介します。 車がスリップする原因 車のスリップは、タイヤと路面の摩擦により発生するグリップ力の限界を超えると発生します。グリップ力の限界を超える理由は、車の速度、タイヤの性能、タイヤの摩耗具合などによって異なります。 ただし、車のスリップは、グリップ力の限界を超えたときだけではありません。路面とタイヤの間に水が入り込みタイヤが浮いてしまう「ハイドロプレーニング現象」もスリップの1つです。また、路面の上に散らばっている砂利や砂などによってタイヤのグリップ力が失われることでスリップする場合もあります。 このように、車のスリップは性能の限界を超えることで発生するだけでなく、車を走らせる環境によって発生する場合もあるのです。そのため、日常使いの範囲ではスリップすることがないとは言い切れません。 車がスリップしたらどうなるのか? 車がスリップすると、アクセル、ブレーキ、ハンドルなどの操作が効かない状態になります。つまり、車が制御不能状態に陥り、事故につながるリスクが格段に上がります。 カーブや曲がり角でスリップした場合、進みたい方向に進めないため、ドライバーがすぐにスリップに気づくでしょう。しかし、直進しているときや一瞬だけスリップした場合は、ドライバーがスリップに気づかないこともあります。 ■スリップしているときの警告灯を「スリップ表示灯」という 走行中に車の制御ができないと感じたときや違和感を覚えたときは、メーター内の車が滑っているマーク「スリップ表示灯」を見てください。 スリップ表示灯は、タイヤがスリップしているときに点滅する警告灯です。この警告灯が点滅しているときは、車がスリップしていることを意味します。 車がスリップしたときの対処法 車がスリップしたときは、どのように対処すればよいのでしょうか。ここからは、スリップした時の対処法を紹介します。 とっさにアクセルやブレーキを踏まないようにする 車がスリップすると、何とかしてスリップ状態から抜け出そうとするでしょう。このようなときに、アクセルを踏み続けたり、ブレーキを強く踏み込んだりするのは危険です。 そもそも、スリップ中はアクセル操作やブレーキ操作をしても効果がありません。また、スリップしながら自然と速度が低くなり、タイヤのグリップが回復したときにペダル操作をしていると、飛び出したり急減速による横滑りが発生したりします。 つまり、スリップ中のペダル操作は、効果がないだけでなく、タイヤのグリップが回復したときに新たな危険を発生させる原因となるのです。 ハンドルを大きく回さない 車がスリップしているとき、ドライバーはスリップによって進んでいる方向から早く元の走行ラインに戻りたいと考え、ハンドルを急いで大きく操作してしまうことがあります。 しかし、この大きなハンドル操作は、タイヤのグリップ力が回復したときに急旋回や横滑りを誘発する危険があるため、避けたほうがよいでしょう。 カウンターステアを行う カウンターステアをあてるのも有効な手段といえるでしょう。カウンターステアとは、後輪がスリップしている方向と同じ方向にステアリングを切る操作です。 しかし、カウンターステアは、ある程度の運転技量が必要となるため、運転技量を高めてから行うほうがよいでしょう。 車のスリップを防ぐ方法 車のスリップを防ぐためには、どのようにしたらよいのでしょうか。ここからは、車がスリップしないようにするための方法について紹介します。 悪路では速度を抑える 未舗装路、砂利道、濡れた路面、積雪路、凍結路などの悪路では、速度を抑えましょう。 車のスリップは、タイヤと路面の摩擦力がなくなったり、路面からタイヤが浮いたりすることで発生します。つまり、タイヤと路面の接地および摩擦を確保することでスリップを防げるのです。そのため、悪路では速度を落としたほうがよいといえるでしょう。 急ハンドルを切らない 急ハンドルをはじめとした急操作は、スリップの原因になることがあります。 カーブや曲がり角を通過するときは、直線部分であらかじめ減速し、落ち着いたハンドル操作で通行しましょう。このようなゆとりを持った操作は、スリップを防止するだけでなく交通の安全にもつながります。 空気圧を適切に保つ タイヤの空気圧を適正に保ちましょう。タイヤの空気圧が高すぎたり低すぎたりすると、タイヤが路面に正しく接地しません。 タイヤの面が正しく路面に接地していない場合、タイヤのグリップ力が最大限に発揮されず、スリップを誘発することがあります。このようなことから、タイヤの空気圧を適正に保つこともスリップを防止する方法の1つとなるのです。 タイヤの空気圧は、最低でも1ヶ月に1回はチェックし、適正値を保ち続けるようにしましょう。 タイヤの溝やヒビをチェックしておく スリップを防ぐためには、タイヤの管理が大切です。そのため、タイヤの残り溝の深さやひび割れも1ヶ月に1回はチェックしておきましょう。 タイヤは、路面との接地面に刻まれている溝で路面の水を排水しています。また、ゴムの柔軟性によって適切なグリップ力を確保しています。つまり、溝が浅く、ひび割れるほど硬化したタイヤでは、適切な排水やグリップ力を発揮することができません。 このようなことから、タイヤの残り溝の深さやひび割れなどを確認しておく必要があるのです。 まとめ 車のスリップは、公道での走行や日常使いの範囲内で経験することはほとんどありません。しかし、悪条件が重なると、通勤や買い物などの日常使いのシーンでもスリップする場合があります。車がスリップすると、焦って適切な操作ができないこともあるため、万が一に備えてスリップしたときの操作方法を覚えておくとよいでしょう。 また、車のスリップは運転操作の見直しや日常点検をすることで防げます。安全に車を走らせるためにも、車やタイヤの点検、ゆとりある運転を心がけるようにしましょう。

フライホイールとは?役割や原理を詳しく解説!
旧車の魅力と知識 2023.12.06

フライホイールとは?役割や原理を詳しく解説!

マニュアル車に乗っていると「フライホイールを軽量化した方が走りがよくなる」と言われることがあるのではないでしょうか。 今回はフライホイールが必要な理由や原理と役割、軽量化で得られる効果について紹介します。フライホイールについて調べている方は参考にしてみてください。 フライホイールとは? フライホイールは、クランクシャフトの端につけられている円盤状のパーツです。日本語で「弾み車」といわれます。マニュアル車には必ずある部品です。オートマチック車の場合にはトルクコンバーターがその代わりを果たすため使われていません。また、エンジンの回転を均一に保ったりエンジンを始動させたりする役割も担っています。 まずは、フライホイールが必要な理由とその原理を詳しく解説します。 フライホイールが必要な理由 エンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気という4つのサイクルで動いています。この4つサイクルの中でエネルギーを発生させられるのは燃焼行程だけです。それ以外の行程では動力が生み出されないため、フライホイールがない場合、アイドリングが安定しなくなります。 フライホイールの原理 フライホイールは円盤状の部品で、外側部分が歯車になっているのが特徴です。トランスミッション側のクランクシャフトの端に取り付けられています。 フライホイールは、慣性の法則を利用して回転するパーツとなっています。慣性の法則とは、運動している物体は運動を続け、静止している物体はいつまでも静止し続けるという法則です。エンジンが動き出すことによって回り始めたフライホイールは、慣性の法則によって回転し続けるため、エンジンの回転ムラを抑えることができるのです。 たとえば、手に空のペットボトルを持って腕を回した場合、腕を回すのに大きな力は必要なく、止めたいときに止めることができます。しかし、2Lの水が入ったペットボトルを持っている場合、動かし始めるのに大きな力が必要となり、自分が止めたいと思った瞬間に止めることが難しいでしょう。 これと同じ原理でフライホイールは作動しています。 フライホイールの役割 フライホイールの役割は以下の3つです。 ・エンジンの回転ムラをなくす ・エンジンの動力を伝える ・エンジンの始動 それぞれ詳しく解説します。 エンジンの回転ムラをなくす エンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気という4つのサイクルを繰り返して動力を発生させています。このプロセスを通じて発生したエネルギーは、クランクシャフトで、回転運動に変えられ、車輪に伝わります。 また、エンジンで発生した回転エネルギーは、クランクシャフトを通じてフライホイールにも伝わります。回転エネルギーを受けたフライホイールは、慣性の法則に従って運動を続けようとするため、燃焼以外のプロセスでもエンジンが止まることなく安定して回り続けるのです。 エンジンの動力を伝える フライホイールには動力をクラッチディスクに伝達する役割もあります。 エンジンで発生した動力は、フライホイールに伝わり、フライホイールとクラッチディスクがつながることで、トランスミッションにエンジンの動力が伝達されます。つまり、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチディスクがくっついたり離れたりすることで動力の伝達・遮断が行われるのです。 エンジンの始動 フライホイールはエンジンをスタートさせるときにも必要です。エンジンをスタートさせるためには、はじめに動き出すきっかけ、つまり、外側から力をかけなければなりません。 フライホイールの外周にあるリングギアにセルモーターが噛み合ってフライホイールが回転すると、エンジンが動き始めます。つまり、エンジンの始動にもフライホイールは欠かせないのです。 軽量フライホイールとは? 軽量フライホイールとは、クランクシャフトの端に取り付けられているフライホイールの重さを軽くしたタイプです。ここからは、軽量フライホイールのメリットとデメリットを解説します。 フライホイールを軽量化するメリット フライホイールを軽量化するメリットは以下のとおりです。 ・レスポンスアップ ・加減速性能アップ ・早くシフトアップできる 軽量化したフライホイールを使用すると、アクセルを踏んだときにエンジンの吹きあがり(レスポンス)がよくなり、アクセルを緩めたときの回転変化が素早くなります。 また、軽量フライホイールはエンジンの回転数を変化させるのに必要なエネルギーが少なくて済むため、加速と減速の性能アップも期待できます。さらに、エンジン回転数の上げ下げが素早いため、シフトアップのするときの回転数を合わせやすくなることも軽量フライホイールのメリットです。 軽量フライホイールのデメリット 軽量フライホイールの主なデメリットはは以下のとおりです。 ・アクセル操作がシビアになる ・燃費の悪化 エンジンのレスポンスがアップするということは、わずかな操作でもエンジンが敏感に反応することを意味しています。つまり、軽量フライホイールにすると扱いがシビアになるということです。 また、フライホイールを軽量化したことで慣性モーメントが減ってしまい、同じ速度を維持するためにエネルギーが増加します。その結果、より多くのエネルギーを作り出さなければならず、ガソリンの消費量が増える場合があります。 まとめ 今回は、フライホイールとは何なのか、その役割や軽量化のメリット・デメリットなどを解説しました。 フライホイールは、エンジン回転を均一に保つために必要なパーツです。フライホイールについて正しい理解と知識を得ることで、軽量化するべきかという判断も変わるでしょう。 フライホイールは、自分の車の使い方に合わせて、ベストなものをチョイスすることをおすすめします。

ニュージーランドは旧車にも優しい!驚きの自動車税と車検制度とは
旧車の魅力と知識 2023.11.28

ニュージーランドは旧車にも優しい!驚きの自動車税と車検制度とは

オークランド在住のtomatoです。 以前お伝えした通り、公共交通機関が貧弱なニュージーランドではクルマの保有率はほぼ1人1台と高く、スマートフォンと同様にクルマは生活必需品といっても過言ではありません。 ●懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポート https://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/ では、ニュージーランドでクルマを所有する際は、一体どんな車検や税金制度があり、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか。 筆者の愛車「マツダ・ロードスター(ND型)」が2023年9月にちょうど更新タイミングを迎えたので、この機会にレポートします。 果たすべき義務は2つ  ニュージーランドの公道を走行するためには、下記の2つの認可を取得または更新する必要があります。 ・ヴィークル ライセンス (Vehicle Licence) https://www.nzta.govt.nz/vehicles/licensing-rego/  ・ウォレント オブ フィットネス(Warrant Of Fitness) https://www.nzta.govt.nz/vehicles/warrants-and-certificates/warrant-of-fitness/ Vehicle Licence (Rego) これは公道の走行許可で、一般的には「Rego」(Registrationの短縮形で、「リジョー」と発音 )と呼ばれています。 とはいうものの、結局のところは税金を徴収する仕組みと考えられ、日本の「自動車税」に相当するかと思います。 オンライン(または窓口)で費用を支払うことで、上記のような小型のレーベル(カード)が郵送されてきます。 それをフロントガラスの助手席側に掲示することで、プロセスは完了です。 日付形式は日本式やアメリカ式などとは異なる馴染みの薄いイギリス式で、この実例は2024年5月9日ではなく9月5日まで有効という意味になります。 ちなみに、このレーベルを見るだけで年式や車種などの基本的な車輌情報が得られるので、クルマのミーティングなどで会話のキッカケに非常に重宝しています。 そして気になるその費用はというと、筆者のロードスターはもっとも一般的な「ぺトロール(ガソリン)乗用車」カテゴリーに属していることから、最長となる12か月分の費用は(事務手数料が安価なオンライン申請で)$103.68でした。 なお、2023年10月からは価格改定により$106.15と若干の値上がりとなって、11月執筆現在の為替レート(89円/ニュージーランドドル)で換算するとおよそ9,400円。 ここで「あれ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 そうです。驚くことに「車輌重量」や「エンジン排気量」などは、金額にまったく影響しないのです。 さらに驚くことに、ニュージーランドには日本の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に相当するものも存在しないのです。 といっても、不安になる必要はありません。その代わりとしてACC(Accident Compensation Corporation)という仕組みがあり、なんとニュージーランドへの渡航者も含めて、自動車事故に限らずさまざまな事故での損害を補償してくれます。 したがって、この国では自動車保険といえば、「対人/対物保険」ではなく「対物保険」となります。 ただし、付保すること自体は義務ではないので、ここでは割愛します。 Warrant Of Fitness (WoF) これは日本でいう車検(自動車検査登録制度)にあたり、一般的には「WoF」と省略して表現することが多く、犬の鳴き声のように「ウォフ」と呼ばれています。 認可されている整備会社ごとに料金が異なるので一律ではありませんが、一般的には$50~$75(日本円で4,400~6,700円)ほど。 検査に合格すると、上記のような、小型のレーベル(カード)をフロントガラスに貼りつけてWoFが完了となります。 この実例では、2024年9月まで有効という意味。 ただし、これは月末まで有効という意味ではなく、裏面にある日付が実際の有効期限になるので注意が必要です。 興味深いことにWoFは日本の車検とは少し方針が異なり、車輌の根本的な安全性のチェックが主体となっているようです。 例えば、エンジンオイルの交換はおろか、その状態を確認することもないのが特徴です。 <検査項目>・タイヤの状態(溝の深さ含む)・ブレーキの動作・車体の構造点検(特定の場所のサビは許されない)・ライト・ガラスの安全性・ワイパー、ウォッシャー・ドアの動作・シートベルト(痛んでいないか。正しく、バックルが動作するか)・エアバック・スピードメーター・ステアリング、サスペンション・排気システム(漏れていないか、うるさくないか)・燃料システム(漏れてないか) (ニュージーランドで初めて登録される)新車に関しては、初回のWoFを受ければ、3年間有効となります。 それ以外の車輌に関しては、大量の中古車を輸入するユニークな国だけに、有効となる期間はニュージーランドを含めた世界のいずれかの国で、「車輌が初めて登録された年月日」で決まる仕組み(下表)です。 要は新車でなければ一般的には1年間有効。 ただし、古いクルマは、「リスクが高いのだから、有効期間は6ヵ月だけですよ」となっているのです。 これは走行安全の観点からも理にかなっていると思えます。 なお、WoFで不合格となっても、28日以内に対象箇所を直し、同じ整備工場に持って行けば、ありがたいことに再検査の費用はかかりません。 まるで軽自動車並みのコスパ? 驚くことに、一般的な「ガソリン乗用車」であれば、義務はこれだけ! 仮に筆者の愛車が旧車、1990年式の初代ロードスター(NA型)であったとしましょう。 その場合WoFは年に2回更新する必要がありますが、それでもRegoとWoF合わせた年間総額は、(消耗品を除いて)2.5万円程度で済んでしまう計算です。 調べたところ日本国内でクルマを維持する場合、地方の「生活の足」として優遇されている軽自動車ですら自動車税と車検代(年換算)の合計は4.5万円程度となるようですから、ニュージーランドはクルマ好き/旧車好きにとても優しい国といえるのではないでしょうか。 今でもたくさんの懐かしいクルマ達が現役で走っているのにもうなずけますね。 編集後記 今回の更新を迎えるにあたり、ここオークランドにて輸入中古車を扱われている「マツダ・ホームグロウン」さんに、エンジンオイル交換といった車輌整備からWoFまでのフルソリューションを行なっていただきました。 実は同社を運営するのは日本国内の正規マツダディーラー「広島マツダ」さん。 実際に作業を担当するメカニックはマツダ車を熟知しているだけでなく日本人なのです。 ただし、WoFに関しては同社は認可を保有していないため、オークランドで20年以上にも渡り自動車整備工場を営んでいる同じく日系の「クリア・モータース」さんがWoF検査作業のみ請け負う形態となっていました。 なお、「クリア・モータース」さんには、今回の記事内容の監修をしていただきました。 この場をお借りして、お礼を申し上げます。 ありがとうございました。 取材協力 「マツダ・ホームグロウン」さんhttps://www.maho.co.nz/ 「クリア・モータース」さんhttps://clearmotors.co.nz/ [撮影・ライター / tomato  監修 / クリア・モータースさん]

令和の今こそキャブレターの魅力を伝えたい〜前編
旧車の魅力と知識 2023.11.27

令和の今こそキャブレターの魅力を伝えたい〜前編

週末の行楽地に出かけているとき、遠くから普段聞き慣れない種類の荒々しいエンジン音が響いてきて、思わず「おっ?」と気を惹かれてしまう、というシーンに遭遇したことはありませんか? そのまま運が良ければ、反対車線をすれ違う複数の旧車のツーリングに出くわすこともあるでしょう。 その際に聞こえてくる迫力を秘めたエンジン音のうち、「カアアアァァン・・・」というカン高く空に抜ける爽快な音の部分の多くは、キャブレターから発せられる吸気音なんです。 この例のように、大口径キャブレターの吸気音に魅せられて乗りたくなったという旧車ファンは少なくないでしょう。 ここではそんなキャブレターの魅力について、改めてしっかりお伝えしていきたいと思います。 まずは前編ということで、キャブレターの基本の部分を解説していきましょう。 ■旧車乗りが「キャブ、キャブ」っていうけど何がいいの?  まずキャブレターの魅力について触れておきましょう。 魅力のひとつは上で話したように“吸気音”が心地良い、という点です。 私も旧車に乗るまでは、チューニングエンジンの音を味わうのは“排気音”だと思っていました。 しかし、初めて旧車のエンジン音をしっかり聴けるチャンスが訪れたとき、排気音よりも吸気音が気になるということに気付きました。 旧車の排気音は、触媒が無かったりサイレンサーの構造もシンプルだったりして、今どきのクルマの排気音よりストレートに響いてきます。 それはそれで好きなのですが、エンジンルームをのぞき込んだ状態や室内でアクセルを煽ったときに、耳に届いて感性をくすぐってくるのは吸気音の方でした。 音の印象を頑張って擬音で表してみましょう。 排気音は「ブオンブオン」や「ガオンガオン」という低めで腹に響く系の音質だと感じます。 一方で吸気音の方は、「カオーン」や「シュゴーッ」という、空に抜けていくような感じのする高めの音だと感じます。 これが、回転が高くなるほど音量が増し音質も高くなるので、アクセルを踏む自分の気持ちも昂ぶってくるんです。 ちなみにこの抜けるように響く感じは、キャブレターの口径が大きいほど気持ち良いと感じます。 声量のあるプロの歌手が、目いっぱい歌い上げているのを聴いている感じに近いでしょうか。 あとは加速感がガラッと変わります。 だいたいの車種で普段の使い勝手の方を優先して設計しているので、使用する頻度の高い低回転から中回転の領域でレスポンスとトルクの効率が最適になるように、かなり絞った口径のキャブレターを装着しています。 したがってピークパワーに関してはだいぶ抑えられている状態なのです。 パワーを出すにはカムなど他の要素も関わってくるので一概にはいえませんが、単純にキャブレターの口径を大きくすると、それまで抑えられていた部分が解放され、エンジンが求める空気(混合気)がより多く吸えるようになります。 その結果、パワーが上がります。 上がる割合はエンジンの特性や仕様、状態などで異なりますが、適切な口径を選んで、セッティングが合ってさえいれば、パワーが下がることはないでしょう。 パワーとともにレスポンスもアップします。 特に空ぶかしの時の反応がまったく違うので、シフトダウンの時にアクセルを煽るのが楽しくなるでしょう。 そして、これは機械いじり中級者以上の人になりますが、自分でメンテや調整がおこなえるという点も、趣味のクルマの装置としては魅力アップのポイントではないでしょうか。 ボンネットを開けてもカバーが邪魔でエンジンの存在が隠されているような今のクルマは論外ですが、80年代のじゅうぶん旧車と呼べる年式のクルマでも、インジェクションや排ガス浄化デバイスなどがひしめいていて、ちょこっとメンテしようかなという気も削がれてしまうでしょう。 その点、キャブレターがむき出しになっているエンジンなら、余計な手間をかけなくても直接キャブレターにアクセスできるので、ストレスがありません。 まあ、用も無いのにしょっちゅうキャブを触っているというのもちょっと考えものですが、それだけ気軽に作業できるというのはメリットだと感じます。 ■基本の基本、キャブレターってなんだ? そもそも「キャブレター」という単語を知っているという人はどれくらいいるでしょうか?  まあ旧車に興味がある人がチェックしている「旧車王ヒストリア」の読者さんなら、ほとんどの人は耳にしたことはありますよね。 ではキャブレターが何をする装置なのかを知っている人はどうでしょうか。 まあこれも半分以上は大丈夫かと思います。 そうです、キャブレターはエンジンが燃焼を行なうのに必要な、ガソリンと空気をミックスした“混合気”を送り込むための装置です。 エンジンが調子よく回るかどうかの大部分は、このキャブレターの設定にかかっているのです。 キャブレターはその内部に、空気の通り道の一部を絞って流速を上げて負圧を作り出す「ベンチュリー」という機構が備わっています。 このベンチュリーで作り出した負圧の部分に燃料の管をつなげることで、自然と燃料が吸い出されていきます。 キャブいじりの解説で良く出てくる「ジェットの番手を上げる(大きいものに交換する)」というのは、燃料の管の入り口を絞ったり開けたりして流量を調節するための行為のことなんです。 ■キャブレターのセットアップやセッティングは難しい? キャブレターの装着とセットアップ、そしてセッティングをイチからおこなうという場合、まったくの初心者の場合はいろいろと覚えなくてはならない要素があるので、そういう意味ではけっしてカンタンではありません。 とはいえ、いまどきはキャブレターの扱い方を解説している本がいくつもありますし、動画配信などでも初心者向けに解説をしているものがありますので、そういう情報をしっかり勉強してから挑めば、エンジンを動かせるところまでは思ったほど時間はかからないと思います。 いちばんの近道は詳しい人を探してアドバイスしてもらうということですが、まあそう都合良く身近にはいないでしょう。 SNSで旧車の集まりに参加して、相談してみるところから始めるといいと思います。 キャブレターの魅力を楽しむためには、まずはキャブレター本体を入手しないことには始まりません。 そこで決めなくてはならないのがキャブレターの口径です。 エンジンの仕様や特性、オーナーの求める方向によって変わる部分はありますが、大きなガイドラインは排気量で見当が付けられます。 例えばよく使われている公式で見てみましょう。 D=0.82 √(CxNx0.001) D=キャブ口径(mm)C=1気筒あたりの排気量(cc)N=最高出力回転数(rpm) 実際にソレックスの40パイが装着されているトヨタの「2T-G型」を当てはめてみましょう。 0.82√(400×6400×0.01)=41.5 となり、だいたい合っていますね。 では旧車エンジンの代表格「L20型」を当てはめてみると、0.82√(333×5200×0.01)=34.1 となります。 実際に34パイのキャブレターとなると、ソレックスの36パイがあるにはありますが、かなり入手は難しいと思います。 私の経験では、L20型エンジンにソレックスの40パイを3機装着してみたことがありますが、ノーマルキャブレターに比べてゼロ発進の時、特に坂道発進ではすこし慎重になるものの、街乗りで不足を感じることはありませんでした。 むしろアクセルのレスポンスが良くなり、中回転から上のパワー感が増したので、差し引きでいうと大きくプラスになったと感じました。 ですので感じ方には個人差はありますが、目安はあくまで目安として考えたほうがいいでしょう。 慎重に選ぶなら小さめを、せっかく変えるなら変化が大きい方が良いと考えるのであれば、大きめを選ぶと良いと思います。 キャブレター選びで、ひとつ注意をして欲しい点をお伝えしておきます。 キャブレターは一部を除いてもう新品での販売はしていませんので、ほとんどの人はネットオークションや中古を扱っているネットショップなどから中古で購入することになると思います。 その際、さり気なく混じっている不良品をつかまないよう慎重に選ぶようにしてください。 といっても「良いか悪いか、写真とコメントだけでは判別できないよ!」というのが実際だと思います。 ただここでいえることは限られてしまいますが、可能な限り現物を見て購入するようにすれば、少しでも失敗は遠ざけられると思います。 少なくとも写真で見てキレイだったからと安易な判断は控えましょう。 ■あとがき どうでしょう、キャブレターの魅力をしっかり伝えられたでしょうか? ひと昔前に比べると、キャブレターの価格も上がってきていて、手軽に購入しづらくなってきてはいますが、私自身は旧車のカスタムパーツの中で一二を争うくらいに交換した時の変化が大きいものだと思っています。 せっかく旧車ライフを楽しむならば、ぜひ一度はこの効果を体感していただきたいです。 次回はもう少しマニアックな部分に踏み込んで、キャブレターの楽しさの奥深さを話してみたいと思います。 [ライター・画像 / 往 機人]

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