第16回ノスタルジック2デイズ2025は例年以上に胸アツだった!

目次
1.■緑色が映えるレーシングレプリカ 2.■小さめの謎のシート 3.■本物を味わえるビジネス 4.■複製はついにここまで 5.■筆者の思うところ 6.■旧車を知り、楽しむために

2025年2月22日、23日の2日間にわたり、パシフィコ横浜で「ノスタルジック2デイズ」が開催された。

同イベントは神奈川県と横浜市観光協会をはじめ、自動車部品・部品アフターマーケット振興会などが後押しする日本最大級のクラシックカーの祭典であり、今回で16回目の開催となる。

主催はノスタルジックヒーローやハチマルヒーローなどの雑誌で知られる芸文社。会場には日本中から旧車ショップやレストアメーカー、各種パーツを取り扱う企業などが集結。華やいだ空気と熱気があふれていた。


 
会場内には国産旧車はじめ、アメ車や欧州車などが数多く並び、外周部には貴重なコレクターズアイテムのような車輌やヒストリーを持った車体、あるいはかつてTVや映画で見た劇中車のレプリカなどが整然と置かれていた。


 入口からほどなくして柵に囲まれた赤絨毯の上に1台のクルマが置かれていた。型式はPGC10。いわゆるハコスカである。このクルマは実際にレースで使われていた車輌を市販車としてレストア、それゆえ、いたるところに軽量化のための穴がそのまま残されていたり、各所の部品が正規のモノとは違っていたりしたという。塗装も当時純正色であったグローレッドに塗られている(会場パンフレットより)。ちなみに車台番号もかなり早く、50番ということだ。

こちらのクルマは会場の人波をかき分けゆっくりと進む日産バイオレット。走行入場をする「選ばれし10台」の中の1台だ。

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■緑色が映えるレーシングレプリカ

皆さんは1960年代に実際に日本グランプリに出走した「ケロヨン号」というクルマをご存じだろうか?ご年配の方なら思い出すかもしれないが、「あのケロヨン」というキャラクターが由来のクルマであり、1968年の日本グランプリで伊能祥光選手がステアリングを握って日産やトヨタのワークスを相手に戦った車体である。

デルRSBというパイプフレームシャーシに日野コンテッサの5速ミッション、エンジンはセンチュリーのV8 3リッター(3.5Lに拡大とも)を搭載してFRP製の軽量ボディを架装し、仕上げられた車体である。


また同車輌は映画ケロヨンの大自動車レースという作品でも登場している。こちらの映像は今でもDVDとして入手可能とのことだ。ただし、作品中の個体はさすがに本物ではなく、撮影用の車輌と思われる。

ここではそのケロヨン号を可能な限り忠実に再現しようと製作したのだという。もちろんオリジナルの車体はすでに存在しない。また同車輌制作にあたっては原作者の藤城清治氏に許諾を得ている。市販車輌としてナンバー取得ができるようにあえてパイプフレームを止め、トライアンフのシャーシを使用。エンジンはセルシオの1UZ-FE型、それにスバルの5速ミッションを組み合わせる。ノーチラスの古川氏は組み合わせの関係でミッションの後ろが出てしまったから、うまくまとめないといけないと話されていたが、いまから完成が待ち遠しいクルマである。

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■小さめの謎のシート

会場内には車輌に関係した物以外にもウェアやグッズ、もちろん書籍なども展示販売されている。そのなかで少しばかり奇妙な物を見つけた。それがデンモータース(といっても車屋ではない)の「DEN GT SOFA」である。

ハコスカのシートを忠実に再現したリビング家具であり、その製品は日産の監修の下に許諾を受けた確かなものである。しかし、実物のシートと比べていささか小さいのでは?と思い質問をぶつけてみると、そこは本物と同じ仕上げにできないこともないが、あくまでもソファとしての実用性から使いやすい大きさや形状変化をさせているという。


なるほど。昨今の自動車のシートをそのままデスクチェアにするのとは真逆の考えで、形状や縫製を忠実にしながらあくまでもイスとしての実用性を優先するということだ。ガレージハウスの一角でこのソファーにもたれて愛車を愛でるのもアリかもしれない。

■本物を味わえるビジネス

会場に展示された2台のラリーカー。日産 ブルーバード(510型)と、マツダ サバンナ RX-7(SA22型)。見るからに本物感がにじみ出る車輌に目を疑う説明が。本物のラリーカーの「レンタカー」だという。
 
いいのだろうか?そもそも、誰とも知れない人間に貸しても大丈夫なのか?ブルーバード510といえばサファリラリー完全制覇の車輌であり、RX-7もクラス優勝とはいえモンテカルロで優勝したクルマである。もし何かあったらどうするのだろう。そんな不安を抱きつつレンタルできる理由訪ねると、ブルーバード510は精巧なレプリカ、RX-7は競技車輌のスペアカーだったそうだ。

それでも貴重な当時の生き証人のようなクルマである。いったいどんな方が借りていくのか訪ねると、主に雑誌関係者やプロのドライバーやレーサーの方が借りに来られるのだとか。現在実質プレオープン状態で本格稼働にはもう少し時間がかかるということだが、興味は尽きない。ちなみにこのときに答えてくれたのは、まだあどけなさが残る男の子。なんとRX-7の関係者のお孫さんだという。自分の物にできるまでこのクルマには頑張ってほしいと明るく話していた。

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■複製はついにここまで

神奈川トヨタのブースで「はじまりに出逢う」と銘打って展示されていた初代クラウン。その後ろではその再生に協力をしたと思われる企業の製品が展示されていた。

多くのパーツが3Dプリンターなどで復刻できる時代。一番やりにくい物はなんであろうか?ガラスである。そして多くの車輌で割れたら後がない部品である。そんなガラスを複製してくれる会社が板橋区にあるTOKYO HOKUTOだ。会場にはトヨタスポーツ800のリアガラスがサンプルとして展示されていた。製品としてもキチンとしており、日本のJISはじめ欧州のE6規格(ベルギー)、北米のAS1などの規格もクリアしているとのこと。

原型となるオリジナルさえあれば車種問わず制作可能ということだ。ただし金額的にはこちらのサンプルで200万くらいは掛かってしまうので、幾人か同志やクラブメンバーなどで希望者を募ってお願いするのが正解だろう(制作枚数が多ければ多いほど1枚単価は下げることができる。上記の値段も20枚ほどのオーダーで行われたものだという)。

ただ少なくとも希少なモデルのフロントスクリーンやパーツなどを万が一失ってもサンプルさえあれば再生できるというのは大きいと思う。

もうひとつ3Dスキャンして複製を作るのとは別に同社の得意とする分野がある。それがメーター修理だ。実はこちらの会社、元々制御基板の会社でありそういった機器には精通している。今回のことでも新規開拓を進めていくうちに神奈川トヨタと出逢ったそうだ。

80年代以前からメーターは電子部品が使われ、故障するとそのままにせざる得ない部品のひとつでもあった。多くは中古部品からのコンバートで直されるが、部品が出なかったり、海外で取り寄せが難しかったりした場合専門店に修理を頼むしかない。しかし、車種に偏りがあったり年式で出来ないと言われたりもすることがある。こちらでは車種は問わないという大変心強い言葉をいただいた。

サンプルに使われているアリストのメーターはじめ展示している場所も神奈川トヨタというだけあり、商談窓口は基本的に神奈川トヨタからお願いしますということだ。ここで思いきって聞いてみたのが欧州車とかも大丈夫ですか?という質問に依頼そのものは全く問題ないと答えをいただいた。メーターや部品の再生でお困りの方、ぜひ一度相談してはいかがだろうか?

■筆者の思うところ

ノスタルジック2デイズを振り返って変わらず国産車の展示が圧倒的に多い。その中でもスカイラインは群を抜いて多かったと思われる。

またメーカー別でも日産車は多かったのではなかろうか。ここしばらくの日産の話を耳にするに付け、なんとも皮肉なほどに日産車が人気である。もちろん他メーカーや外車勢も増えている。


 これには複製技術や小ロット生産の方法がかなり確立してきたおかげだろうと考える。この先新車に対して新たな車検制度やセンサーシステムの追加によって、ますますランニングコストが増えていくのではないだろうかと思う。

そうなったときにこの先果たして旧車と新車、いったいどちらが維持がしやすくなるのか?もしかしたら旧いクルマの方がよほど安心して維持ができるようなってくるのではないかと思えてしまう。いや、もちろんそんなことはないハズなのだが。


原初のBMWM5と最新のM5。1987年のデビュー時の値段が1,198万円。展示中の最新モデルがフルオプションで2,231万円。価格もおそらくは性能も倍以上の設定である。

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■旧車を知り、楽しむために

旧いクルマと新しいクルマ。その大きな違いはなんであろう?おそらくはトランスミッションではないだろうか。

もちろん今ならエンジンかモーターかということもあるであろうし、旧車でもATのクルマが好きな方もいるだろう。それでも会場を訪れる方々はMTを好む方が多いと思われる。

近年よくMTなどの時代じゃないなどと言われたり、MT免許がオプション的な扱いになる法改正が行われようとしている。確かにシステムとしてのトランスミッションで言えばATの方がすぐれているし、もはやよーいドンで速いのも間違いなくATだろう。それでもボク等はMTを好む。速さではなくシフトチェンジすることで走らせるのが楽しいからだ。

ノスタルジック2デイズはそうした走らせること、クルマを直すことの楽しさを表現するための知識や交流の場としてこれからも必要になるだろう。

再生の灯を絶やすな!マニュアルトランスミッションを決してロストテクノロジーになどしたりしない。この会場からはそうした決意にも似た熱気にあふれているように思えてならない。


 
[ライター・カメラ / きもだこよし] 
 
 

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