【ベルリンレポート】環境意識の高いドイツではクルマの販売台数が減っている?

ドイツはベルリンのような都市部でも道路が広く、駐車可能なスペースも街の至るところに設置されています。そのため、東京のように大渋滞になる可能性が少なく、ストレスのない快適なクルマ生活を送れるといえるでしょう。

そんなベルリンの街中でよく見かける車種は、当たり前といえるかもしれませんが、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMWといったドイツの国産車が圧倒的に多いです。筆者が大好きなクラシックカーも根強い人気があります。日本メーカーのマツダやトヨタを見かけることもありますが、ごく稀です。

ドイツ全体では、どんな車種が人気なのでしょうか?連邦自動車交通局(KBA)の調査に基づき、「Best-Selling Cars」が発表した2025年1月から3月にかけてドイツで販売された人気車種ランキングを見てみましょう。

1位:フォルクスワーゲン・ゴルフ 
販売台数:22,000台

2位:フォルクスワーゲン T-Roc
販売台数:19,201台

3位:フォルクスワーゲン・ティグアン
販売台数:18,234台

4位:フォルクスワーゲン・パサート
販売台数:12,548台

5位:シュコダ・オクタビア
販売台数:11,694台

上記のとおり、フォルクスワーゲンが上位4位を独占する結果となりました。ドイツ人は電化製品や日用品など「メイド・イン・ジャーマニー」を好む傾向がありますが、クルマに関しても同様のことがいえます。フォルクスワーゲンは「ジャーマン・エンジニアリング」の象徴として、信頼性が高く、安定した走行や丈夫なボディ、精密なつくりが高く評価されています。扱いやすいコンパクトサイズであることも人気の理由です。

フォルクスワーゲン以外では、5位に、チェコメーカーのシュコダ・オクタビアがランク入りしました。日本ではあまり馴染みのないメーカーですが、ベルリンではよく見かけます。チェコはドイツの隣に位置しており、物価も安いことから、昔から部品工場が多く存在しています。1991年にフォルクスワーゲンの傘下に入ったことにより、技術やプラットフォームを活用し、品質やデザインが大幅に向上したことから人気が上昇しました。

ちなみに、6位にはスペインメーカーのセアト・レオンがランク入りしました。不動の人気を誇ると思っていたメルセデス・ベンツは11位とトップ10位にも入りませんでした。これには驚きましたが、同じドイツ国産車でもフォルクスワーゲンのようなコンパクトサイズのクルマがないからでしょうか?

しかし、上位を独占し、圧倒的な人気を誇るフォルクスワーゲンですが、2024年には国内での生産を約73万台削減し、人員削減も計画していることを発表しています。その背景には、ドイツにおけるクルマの販売台数が減少傾向にあることが理由に挙げられます。ランキング同様に「Best-Selling Cars」の調査を見てみると、2024年の新車登録台数は約281万台で、前年から約1%減少していることが分かります。

また、注目を集める一方で、販売台数約38万台と前年から27.4%も減少してしまったEV車も影響しているのではないでしょうか?EV車に関しては、政府の補助金の打ち切りの影響が大きいといわれていますが、クルマ全体で考えるとドイツにおける経済成長の停滞が最も大きな理由です。エネルギー高騰により製造コストが押し上げられ、製造業に影響を与えていることも原因となっています。

ドイツ政府やクルマ業界は、EV車の補助金制度を再導入することによって、市場の再活性化や持続可能なモビリティへの移行を目指しているとのことですが、もっとも有名なテスラでさえ、街中であまり見かけることはありません。しかし、ここ数年でタクシーやカーシェアリングサービスにEV車が導入されるようになりました。スーパーの駐車場や公道に充電スタンドが設置されるなど、街の至るところでインフラが整えられたことにより、需要が増えているようです。

特に、ベルリンのような都市部では、カーシェアリングサービスの需要が高まることによって、自家用車を所持する必要性がなくなってくるのではないでしょうか?事実、ベルリンでは、住民1,000人あたりの自家用車保有台数が338台とドイツ国内でもっとも低い水準となっています。交通公共機関が充実していることも理由のひとつですが、サステナブルの理念から、自家用車の使用を制限し、歩行者や自転車に優しい都市づくりを目指す動きが活発化していることも考えられます。

市民団体「Berlin Autofrei(正式名称:Volksentscheid Berlin autofrei)」は、ベルリン中心部のSバーン環状線内の地域を対象に、自家用車の通行を制限する法案を提案し、2021年の時点で5万人以上の署名を集めています。また、ベルリンの中心地では、低排出車両のみが通行可能な環境ゾーンが設けられています。

フォルクワーゲンのようなドイツのトップシェアを誇る国産車が絶大な信頼を得ているのに対して、環境に優しい街つくりに高い意識を持つ都市部や都市交通の変化により、EV車やカーシェアリングサービスの需要がより一層高まってくるのではないでしょうか?

[ライター・Kana / 画像・VW,Adobe Stock]

 

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