理想的なエンジンレイアウトともいわれるミッドシップは、これまでスポーツカーを中心に多くのモデルに採用されてきました。しかし、そんなミッドシップも技術革新によってその優位性は下がりつつあります。今回はミッドシップの優れているポイントや弱点といった基本的な情報をおさらいしつつ、近年採用車種が増えているフロントミッドシップについても詳しく掘り下げます。 ミッドシップの特徴 「FF」や「FR」「RR」そして「MR」というよく聞くアルファベット2文字は、クルマのエンジン搭載位置と駆動方式を表したものです。1文字目がエンジン搭載位置で、2文字目が駆動輪の位置となります。「F」がフロント、「R」がリヤ、そして「M」がミッドシップの略号です。 ここからは、クルマのカタログや解説サイトなどでよく出てくる「ミッドシップ」という言葉の定義を改めて確認しつつ、特徴についても詳しく解説します。「ミッドシップ=MR」という誤解についても触れているので、曖昧に理解している方もぜひご覧ください。 「ミッドシップ」とは車軸に対するエンジン搭載位置 エンジンの搭載位置は、車軸に対する位置関係で区分されています。ミッドシップとはエンジンの搭載位置を示す言葉で、前後の車軸の間にエンジンを搭載しているエンジンレイアウトです。 一般に販売されているクルマの多くはFFかFRで、駆動輪の場所は車種によって前か後か異なりますが、エンジンはフロント、つまり車両の前車軸側に搭載されています。 トラディショナルなスーパーカーやスポーツカーで採用されているMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)は、後車軸の前方、居住スペース後方にエンジンを搭載しているケースがほとんどです。 誤解されやすいのですが、ミッドシップは“MR”だけではありません。「ミッドシップ」とはあくまで前後車軸の間にエンジンが搭載されているレイアウトを示すので、前寄りにエンジンを搭載した「フロントミッドシップ」もミッドシップの一種です。最近では日産 R35GT-Rに代表される高性能車や、身近なところではキャブオーバー仕様の軽トラックもフロントミッドシップに分類できます。 MRスポーツカーの高い旋回性能 ミッドシップ最大のメリットは、旋回性能が高い点です。車軸の間に重量物であるエンジンを搭載することで、ハンドリングに対してクルマが素直に反応してくれます。 クルマの旋回とは、直進方向に働いていた慣性力を曲がる方に向けるという動作です。しかし、前方に重量物であるエンジンを搭載しているフロントエンジン車では、重い部分に大きな遠心力と慣性力が働いて曲がりにくくなってしまいます。 対して、ミッドシップは前後車軸にかかる荷重(重さ)の偏りを抑え、4つのタイヤに対して均一な荷重をかけやすくタイヤのグリップ力を効率よく使用できます。そのため、スーパーカーなどのハイパフォーマンスカーは、重量のある大排気量のエンジンを搭載しても、MRレイアウトの採用によって高い旋回性能を発揮するのです。 MRの優位性はやや下がってきている 適切な重量配分を実現しやすいMRは、スポーツカーやさらに高い運動性能を求められるスーパーカーに広く採用されてきました。 しかし、近年の技術革新によってMRの優位性は下がってきています。ミッドシップは今後どうなっていくのか、MRの構造的問題とともに解説していきます。 MRが抱える構造的問題 MR車両が抱える構造的な問題は、居住空間と収納スペースです。クルマの重量バランスを考えるとMRは理想的なエンジンレイアウトですが、運動性能以外の多くの部分が犠牲となります。 MRは運転席後方と後車軸の間にエンジンを設置するため、後部座席のスペースが十分に確保できません。一部には後部座席を設けているMR車両もありますが、ほとんどが2シーターです。 また、クルマの収納スペースとして重要なトランクも、エンジンに追いやられる形で限られたスペースしか確保されていません。フロント側にも収納は可能ですが、クルマは本来流線形に作られているので、高さが不十分なうえ、ブレーキのマスターシリンダーやウォッシャータンクなどもあるので収納として利用できるスペースは限られています。 フロントミッドシップという選択肢 技術革新によって小型のハイパワーエンジンが開発されるようになった現在、理想的なエンジンレイアウトの1つとして注目されているのがフロントミッドシップです。 フロントミッドシップであれば車室空間や収納スペースも確保もできるので、快適性をそのままに運動性能に影響する重量バランスを最適化できます。 フロントミッドシップには、前車軸とバルクヘッド(車室とエンジンルームの隔壁)の間の限られたスペースにエンジンを搭載するという設計上のハードルがありました。しかし、排気量に頼らなくてもハイパワーを実現できるようになったことや、エンジンの小型化でフロントミッドシップの設計が容易になりました。こうした背景から、高い走行性能と引き換えに居住性を犠牲にしているMRの優位性は失われつつあります。 また、フロントミッドシップであれば、さらなる重量バランスの最適化が可能です。GTカーやR35GT-Rでは、後車軸側に変速機とディファレンシャルを搭載した「トランスアクスル」という構造にすることで重量物を前後に分散し、最適な前後重量バランスを保っています。 今でも人気の高いMR車両 技術革新によってさらに性能の高いクルマが開発されることは喜ばしいですが、特別感のあったMRが減っていくのは寂しくもあります。国産車として、唯一販売されていたホンダ S660は2022年3月で販売終了となり、現在新車として購入できるMRは、フェラーリやランボルギーニといった輸入車のスーパーカーしかありません。 そのため、MR車両に乗りたい場合は中古車から探す必要があります。ただし、中古車でもMRの人気は高く、高値で取り引きされている傾向があるので注意しましょう。 たとえば、1997年式のトヨタ MR2(SW20型)で699万円、フロントミッドシップである2007年式のホンダ S2000は980万円もの価格がついていました。旧車王でも、初代NSX タイプR(NA1)には、2550万円もの価格での買取実績があります。 スーパーカーのように趣味性を追求したモデルより、燃費が良く使い勝手の優れたモデルが重宝されるなか、MR車両は年々減少しています。中古相場の高騰はしばらく続くことが予想されるため、購入したい方も手放したい方も相場の動向には注意してください。 ※中古車相場は2022年9月原稿執筆現在
昨今新車販売価格を大きく超える価格で取引されているBNR34型スカイラインGT-Rに対し、同じエンジンパワーのER34型スカイラインは現実的な価格で取引されています。なぜ同じR34型で価格がこれだけ違うのか?R34型スカイラインの開発コンセプトと併せて、BNR34(GT-R)とER34の違いを詳しくご紹介します。 R34型スカイラインを振り返る コンパクトなボディにハイパワーエンジンとアテーサ4WDを搭載することで大成功だったR32型スカイラインに対し、大型化されたR33型スカイラインは市場の支持を得られませんでした。そんな中、第2世代スカイラインの3代目にして、最後モデルとなったR34型スカイラインは、日産の開発陣が満を辞して開発。また、R34型スカイラインには、最上位グレードで人気のGT-Rだけではなく、ユーザー層に合わせて多くのモデルが用意されていました。 R34型の使命はスカイラインの復権 R34型スカイラインは、R32型から続く第2世代最後のモデルとして1998年に登場しました。前作のR33型のセダンライクな大柄なボディデザインや内装が不評だったため、R34型の開発には”スカイライン”の復権という使命が課せられます。 スカイライン本来の魅力を取り戻すべく開発されたR34型で、大きく変更されたのはボディです。「ボディは力だ!ドライビングボディ」のキャッチコピーのもとに開発されたボディはR33からダウンサイジングされ、直線基調のシャープなデザインに生まれ変わりました。つり目となったヘッドライトデザインも含めて、鋭敏な印象に仕上がっています。 また、進化したのはデザインだけではありません。スカイライン本来の走行性能を実現するためにボディ剛性も徹底的に高められています。一般的にボディ剛性を高めると重量は増加しますが、R34型スカイラインはR33型とほぼ同じ重量に抑えられています。 エンジン性能などはグレードによって異なるものの、ボディの刷新によりR34型はスカイライン本来の魅力を取り戻します。しかし、R34型スカイラインは、排ガス規制などの時代背景もあり結果的に第2世代GT-Rの最後のスカイラインとなりました。 走りを意識した「R34」はGT-Rだけじゃない スカイラインを代表するグレードは“GT-R”です。しかし、R34型スカイラインにはグレードによって「BNR34」「ER34」「ENR34」「HR34」の4種の型式があります。このうち、最上位グレードであるGT-RはBNR34型です。 型式に含まれる「R」の文字は“GT-R”の「R」と誤解されがちですが、実は”スカイライン”を示す文字で、全ての型式に記載されています。R以外の文字の意味は、先頭の文字「B」「E」「H」が搭載エンジンで、2文字目に「N」が入っている場合は四輪駆動です。つまり、GT-RであるBNR34とER34は、エンジンと駆動方式が異なるモデルとなります。 BNR34とER34がよく比較される理由は、R34型スカイラインのなかでこの2種のみがスポーツグレードだからです。 ENR34はエンジンのベースこそER34と同じRB25型ですが、ターボが非搭載のため出力は200馬力に抑えられています。HR34はそもそもエンジンの排気量もパワーも最下位のグレードです。 R34型スカイラインのなかで、ER34だけがGT-Rと比肩する280馬力を発生するターボエンジンを搭載するグレードが存在していました。エンジンパワーに合わせて対向ピストンブレーキや電動SUPER HICASなどもも採用されていて、さらに2ドアだけではなく4ドアという選択肢があったのも特徴です。 戦闘力のBNR34かバランスのER34か R34型GT-Rを詳しく見ていくと、クルマの持つポテンシャルを最大限発揮するために開発されたことがよく分かります。一方で、ER34も扱いやすさと性能のバランスが取れた優秀なクルマです。両車の圧倒的な性能の違いは当然価格差に表れていますが、どちらも価格では図れない魅力をもっています。 馬力は同じでも特性がまったく異なるエンジン R34型GT-RであるBNR34に搭載されているエンジンは、2,600cc直列6気筒ツインターボのRB26DETTです。最上位グレードにふさわしく自主規制いっぱいの280馬力を発生し、トルクも40.0kgmまで引き上げられています。ターボエンジンながら、レッドゾーンは8,000回転という高い耐久性を誇る高回転型エンジンで、チューニングベースとしても注目を集めました。 一方、ER34に搭載されたRB25DETエンジンは、シングルタービンながらRB26DETTと同様の280馬力を発生します。しかし、エンジン特性はGT-Rと大きく異なり、日常的な扱いやすさを意識して、低回転域からトルクがマイルドに立ち上がる味付けとされていました。 とにかく速さにこだわったBNR34型 BNR34(GT-R)とER34で決定的に異なるのは、クルマの魅力と性能を最大限引き出す装備です。スポーツグレードとはいえ一般での日常使いも意識して開発されたER34に対し、日産スポーツカーの最上位グレードであるR34型GT-Rは、目一杯“速さ”を追求しています。 R34型GT-Rに搭載されたタービンやインタークーラーは、レースでの使用も見越した600馬力まで対応可能です。さらに、専用開発された6速マニュアルのトランスミッションでエンジンパワーを余すことなく発揮します。 足回りは、専用設計のサスペンションに、純正では異例となる鍛造の18インチ6本スポークホイールが装備されていました。ブレーキも容量の大きいブレンボ製が標準搭載され、そのままサーキット走行できるほど充実した装備でした。 外装には、空力性能をとことん追求し、ベースグレードであっても一般的な乗用車の3分の1のリフトフォース(揚力)に押さえられています。また、上級グレードのVスペックには、アドバンスドエアロシステムを採用。下部のエアフローの改善を意識し新開発された専用のフロントバンパーやリアカーボンディフューザーを装備し、日本車初のマイナスリフトを達成しています。 車内の装備が充実しているのも34型GT-Rの特徴で、水温、ブースト圧などの車両情報をデジタル表示できるマルチファクションディスプレイがインパネ中央部に搭載されました。 扱いやすさと楽しさが共存するFRのER34型 性能や装備ではGT-Rのほうが圧倒的に充実していますが、日常使いからスポーツ走行まで幅広く使用できるのがER34の魅力です。 たとえば、四輪駆動のGT-Rに対してER34は2輪駆動のFRなので、トラクション性能では劣ります。つまり、絶対的な速さではGT-Rには敵いません。しかし、ドライブや買い物といった日常使いから、サーキットでのスポーツ走行で車を操る感覚を楽しめます。 また、チューニングベースとしてもER34は優秀なクルマです。エンジンのRB25DETは、RB26DETT同様耐久性に優れたエンジンのため、チューニングの余地があり、足回りやブレーキなどにも手を入れる余地が残されています。 クルマとして完成されたGT-Rではどこかをチューニングするとバランスが崩れてしまう可能性もありますが、ER34は自分なりにカスタムやチューニングを楽しむことのできるモデルです。 さらに、ボディタイプは2ドアに加えて4ドアモデルもあるため、用途に合わせて選べるでしょう。全長が長く迫力のある4ドア車をあえてドリフトなどのスポーツ走行に使用する人もいます。 R34型GT-Rは無理でもER34の中古車なら狙える R34型GT-Rの中古車価格は、高騰の一途をたどっています。新車価格でも600万円前後でしたが、大手中古車サイトで調査したところ、2002年式R34型GT-Rで5,500万円もの価格がついている車両もありました。 ER34型スカイラインは、一部のチューニングされた車両は500万円前後です。一方2000年式の4ドアモデルでは120万円程度で、現実的な価格推移をしています。 ただし、20年ほど前のクルマなので、市場に出回る台数の減少とともに価格が高騰する可能性は十分にあります。手に入れたい方は早めに検討する必要があるでしょう。 ※中古車相場は2022年9月原稿執筆現在
リーフスプリングはサスペンション形式の一種で、オフロード車や商用車を中心に多く採用されています。時代の流れとともに採用する車種が減少しつつあるものの、オフロード車を中心に今でも一定の人気があるサスペンション方式です。今回はそんなリーフスプリングの構造や特徴、リーフスプリングが採用された代表的な車種をご紹介します。 リーフスプリングとは リーフスプリングとは数枚の鋼板を重ね合わせた“板ばね”のことで、湾曲した鋼板が元に戻ろうとする力を利用してサスペンションの役割を果たします。 構造がシンプルで壊れにくいことから、商用車ではいまだに主流のサスペンション形式です。また、オフロード車でも多く採用されてきましたが、オフロード性能よりも快適性が求められるようになった現在ではほとんど使用されていません。 リーフスプリングは、板ばねのほかにシャックルという部品で構成されています。シャックルは板ばねの片側先端に取り付けられており、前後に動くことで板ばねの長さ変化を吸収しています。板ばねの長さや枚数、シャックルの長さを調整することでカスタマイズも可能です。 リーフスプリングはリジッドアクスルと合わせて使用される場合が多く、その際にはリーフリジッドと呼ばれることもあります。 リーフスプリングが採用された代表車種 現在、乗用車には主にコイルスプリングが採用されています。過去にはリーフスプリングを採用した乗用車も存在していましたが、今では商用車を除き、リーフスプリングを採用したモデルは新車で購入できません。 ここからは、今でも中古車として高い人気を獲得しているリーフスプリングを採用した車種をご紹介します。 スズキ ジムニー 軽オフロード車として人気のあるスズキのジムニーでは、1970年に初代LJ型が発売されてからJA11型まで前後ともリーフスプリングが採用されていました。 1995年にはJA11型はビックマイナーチェンジを受け、JA22型、JA12型へと進化すると共に、前後コイルスプリングへ変更されています。その後、3代目ジムニーであるJB型には前後コイルスプリングが採用され、同時に丸みを帯びたデザインとなりました。 クロカンやトライアル競技でもJA型のジムニーが活躍しています。エンジンパワーよりもサスペンションが命となるオフロード競技ではJA型ジムニーが上位を独占することも多く、その走破性は今でも健在です。 最後のリーフスプリング採用車であるJA型ジムニーは、そのレトロなスタイルも相まって中古車としても高い人気を獲得しています。20年以上古い軽自動車でありながら、状態のいいものだと100万円を越える取引も珍しくありません。 トヨタ ランドクルーザー 長い歴史を持つランドクルーザーも、長年リーフスプリングを採用してきた車種です。ランドクルーザーの起源となるトヨタジープBJから「ナナマル」の愛称で知られる70シリーズのランドクルーザーまで、リーフスプリングが採用されていました。 70シリーズのランドクルーザーは1999年のマイナーチェンジを受けるまで、前後リーフスプリングが採用されていましたが、次期モデルの80シリーズからは前後ともにコイルサスペンションのコイルリジッド方式となっています。 最後のリーフスプリング採用車である70シリーズのランドクルーザーは、今でもオーストラリアとアフリカの一部で新車が販売されています。1984年のデビューから基本設計を変えずに販売され続けている理由は、「必ず帰ってこられる信頼性」が重要視されているからにほかなりません。 快適性やファッション性よりも、耐久性が求められる70シリーズのランドクルーザーだからこそ、長年に渡ってリーフスプリングが採用されているのです。 リーフスプリングのメリットとデメリット 長らく人々に愛されたリーフスプリングですが、今では商用車の一部にしか採用されていません。ここではリーフスプリングが使われなくなった理由と、そのメリット・デメリットをご紹介します。 リーフスプリングのメリット リーフスプリングのメリットは、耐久性に優れ構造がシンプルである点です。 上記でもご紹介したジムニーやランドクルーザーは、過酷な環境で使用される場合が多いモデルです。故障しにくく万が一トラブルが起きた際にも部品の入手が容易であることも重要なため、構造がシンプルで、部品の汎用性の高いリーフスプリングが採用されてきました。 また、リーフスプリングとリジッドアクスルの組み合わせでは、ホーシング(駆動系を収めるケース)の位置決めをリーフスプリングが兼ねています。そのため、部品点数が少なく、コストダウンを実現すると共に部品一つ一つの剛性も確保できます。 リーフスプリングのデメリット リーフスプリングはオフロードでの信頼性が高いものの、乗り心地が悪い点がデメリットです。 板ばね自体が重いため、どうしても重量が増えてしまいます。それは単純な車両重量だけでなく、“バネ下重量”が増加するということであり、これがリーフスプリング最大の弱点です。バネ下重量が増えるとサスペンションの動きが悪くなり、オンロードでは操縦安定性も低く、速度の上がるような場面では不安を感じる原因になります。 オフロードでは絶大な信頼性を持つリーフスプリングも、日常づかいでは不便に感じることが多く、そのことが乗用車で採用されなくなった大きな要因です。 まとめ リーフスプリングはその頑丈さと硬派な乗り味から、悪路の走破性を重視するオフロード車では今でも人気の高いサスペンション方式です。 しかし、SUVが全盛の昨今では、硬派な悪路の走破性よりも快適性やオンロードの操縦安定性が求められています。そのため、商用車を除いて、今後販売される新型車でリーフスプリングを採用した車種が登場する可能性は低いでしょう。
日本のスポーツセダンを牽引し続ける「スカイライン」。今では日産を代表する車種として認識されていますが、その源流は日産に吸収合併される前のプリンス自動車という国内メーカーが生み出しました。今回は、特に名車の呼び声が高い2代目スカイラインのレースモデル「スカイライン2000GT」にフォーカスを当て、プリンス自動車 スカイラインについて振り返ります。 プリンス自動車から始まった名車スカイラインの歴史 1950年代にプリンス自動車によって開発されたスカイラインは、当時としては先進的なデザインと性能を誇る小型車でした。初代の成功により誕生した2代目は、高性能スポーツセダンとしての地位を確立します。 2世代に渡って開発されたスカイラインは、常にクラストップの先進性と性能を誇っていました。 戦後すぐに生まれた国内トップクラスの小型車 プリンス自動車 スカイラインの誕生は、終戦から12年後の1957年で、プリンス自動車の前身である「富士精密工業」によって開発されました。 従来のプリンス車から構造を一新したオリジナルのセミ・モノコックボディに、アメリカンスタイルのボリュームあるボディデザインを採用しています。当時の国産車としては先進的なスタイリングが特徴的でした。 また、クラストップの性能面も、多くの注目を集めました。新型エンジンではないものの、改良されたGA30型エンジンは、同クラスで競合するトヨタや日産を超える60psを発生。当時の国産1,500cc最速となる125km/hを達成しています。 スカイラインの地位を確立した2代目S50系 スカイラインは、初代発売から6年後の1963年にフルモデルチェンジを受けます。明確に小型量産車市場を狙った2代目のボディデザインは、初代とは異なるヨーロピアンテイストに変更されました。 新たに採用したモノコックボディによって軽量化と高剛性も実現し、高性能スポーツセダンとしての認知を高めていくことになります。搭載されたG1型1.5L直列4気筒OHVエンジンは、クラストップの性能とともにメンテナンスフリーエンジンとしても話題を呼びました。 2年間または4万kmの保証をつけたエンジンは、シリンダーヘッドとエンジンブロックを「封印」しました。必要なメンテナンスは6000kmごとのオイル交換と3万kmごとのエアクリーナー交換だけとされています。さらに、サスペンションやステアリングギアボックスも1年間または3万kmまでグリスアップ不要で、日本初のメンテナンスフリー車として販売されました。 スカイラインに課された命題はレースで勝つこと S54A型、S54B型として人気の高いスカイライン2000GTシリーズが誕生したのは、レースに惨敗したことがきっかけでした。レースに勝つことを課せられ、結果を残したことで一気に評価が高まったスカイライン2000GT。当時の国内での人気が、S54B型の派生モデルとなるS54A型の発売につながりました。 初戦に惨敗したことで生み出されたS54型 2代目S50系スカイラインは、発売直前に初開催された日本グランプリに出場したものの惨敗を喫しています。この結果を受けてS54型として開発されたのが、スカイライン2000GTにつながるスカイラインGTでした。 エンジンにG7型2L直列6気筒OHCエンジンを採用し、エンジンの大型化にあわせてフロントの車軸を前方に移動させホイールベースが200mm延長されました。標準使用でも105psを発生する高性能モデルで、S54Rと呼ばれるレース仕様車は、ウェーバー製の3連キャブレターを装備し最終的に152ps以上を絞り出します。 そして迎えた第2回日本グランプリで、スカイラインGTはポールポジションを獲得します。レースでは格上のポルシェを抜いて1周ではあるもののトップに立つ活躍を見せ、サーキットに集まったファンを熱狂させます。最終的にポルシェに敗れてしまいますが、上位を独占するという輝かしい結果を残しました。 スカイラインGTはホモロゲーションを満たすために合計100台が製作されましたが、レース結果を受けて一般販売用として用意された92台はすぐに完売。スカGの愛称がつけられるなど、スカイラインGTの発売を望む声が高まっていきました。 世間の強い要望によって発売されたスカイライン2000GT レースで実力を証明したスカイラインGTを望む声を受けて、カタログ掲載モデルとして1965年に発売されたのが通称54Bと呼ばれるスカイライン2000GT(のちのスカイライン2000GT-B)です。 スカイライン2000GTは、レース仕様とほぼ同スペックで販売され、ウエーバー製の3連装40DCOE型キャブレターに加えて、圧縮比を8.8から9.3に向上させます。その結果、125ps/5,600rpmの最高出力と17.0kgm/4,400rpmの最大トルクを発生させるまでになります。 さらに、3速フルシンクロを備えたトランスミッションにはオーバードライブも設定され、最高速は180km/hを記録し、当時としては日本最高のスペックを誇るモデルでした。 マイルドなスカイライン2000GT-A ファン層が広がったことで「もっとマイルドな2000GTに乗りたい」という声が高まり、派生モデルとなるスカイライン2000GT-A(通称54A)が生み出されます。 スカイライン2000GTの発売からわずか7ヶ月後にスカイライン2000GT-Aが誕生したことで、従来2000GTと呼ばれていたモデルは、2000GT-Bに変更されました。スカイライン2000GT-Aは、エンジンがシングルキャブ仕様となり、54Bに比べるとマイルドなスペックであるものの国内トップクラスの105psを発生させるモデルです。 より幅広い層のスカイラインユーザーを獲得することに成功しました。 現在も人気のスカイラインGT スカイラインのルーツともいえるスカイライン2000GTは、発売が60年以上前ということもあり、市場ではほとんど見かけません。また、歴史的価値と希少性から一般の中古車相場は当てはまらないため、購入したい場合はその都度問い合わせる必要があります。大手中古車サイトで検索したところ1966年式のS54Bが1台だけ見つかりましたが、価格は応談となっていて不明です。 旧車王での買取相場を見ると、1968年式のS54Bが不動車にもかかわらず20万円もの価格がついています。もしガレージで眠っているスカイライン2000GTがあれば、どんな状態でも思わぬ買い取り価格がつくかも知れません。 ※中古車相場は2022年9月原稿執筆時
2007年に登場したフェアレディZ バージョンNISMOは、2002年から2008年まで発売されていたZ33フェアレディZの限定モデルです。NISMOとオーテックが手を組んで開発し、当時の日産モータースポーツシーンを象徴するモデルでした。今回は、そんなフェアレディZバージョンNISMOの特徴と中古車相場、リセールバリューについて解説します。 日産車カスタマイズを司る“両雄”がタッグを組んだスペシャルモデル 2007年のマイナーチェンジと同時に発売されたのが、フェアレディZバージョン NISMOです。「バージョンNISMO」「バージョンNISMO タイプ380RS」「バージョンNISMO タイプ380RS コンペティション」という3種類のモデルが発売されました。いずれもニスモとオーテックジャパンが共同開発しており、モータースポーツのノウハウが詰め込まれたモデルです。 日産のモータースポーツ参戦と車両開発を担ってきたNISMO(ニスモ)と、日産車向けのカスタマイズパーツを開発・販売してきたオーテックジャパン。フェアレディZ バージョンNISMOは、そんな日産車カスタマイズを司る“両雄”がタッグを組んだスペシャルモデルなのです。 バージョンNISMO 3種類の限定モデルの中でも新車価格が低く、タマ数も多いことから一番入手しやすいモデルが「バージョンNISMO」です。新車販売当時の価格は、449.4万円でした。ノーマルモデルからの変更点はレイズ製鍛造アルミホイール、専用剛性アップボディ、専用サスペンション、YAMAHA製のパフォーマンスダンパーです。 内装に関しても、本革 / アルカンターラのコンビシートのほか専用装備を数多く搭載しています。本革巻ステアリングホイール、シフトノブ、パーキングブレーキレバー、ドアトリム、コンビネーションメーターなど、分かりやすい派手さはないものの、質感と走行性能を向上させるパーツが採用されています。 エンジンはノーマルモデルと同様ですが、同時に行われたマイナーチェンジによりVQ35DEからVQ35HRへ変更されました。出力は初めて300psを超え、313ps / 6,800rpm、36.5kgm / 4,800rpmの数字を誇ります。 VQ35HRはVQ35DEを高回転型に再設計しており、そのフィーリングは別物です。VQ35HR搭載のフェアレディZは販売期間が短く、市場に出ている数が少ないため、ハイパワーNAが好きな方にはおすすめのエンジンです。また、VQ35HRに変更されたことでボンネットに膨らみがあるため、VQ35HR搭載モデルであることを一目で見分けることができます。 空力についてはノーマルとは大きく異なっており、専用エアロパーツを装備することで、cd値0.30という当時としては世界最高水準の空力性能を実現しました。これにより、市販車では珍しいマイナスリフトを達成しています。 また、ノーマルでは「乗り味が大型の高級車のよう」といわれていましたが、専用サスペンションとボディ剛性の強化によりスポーツモデルらしい機敏さが加わりました。 レース仕様エンジン搭載モデルも市販化 2022年は新型RZ34フェアレディZの発売とGT500クラスへの参戦が話題ですが、Z33も全日本GT選手権 GT500に参戦した実績をもちます。 R34型スカイラインGT-Rに代わり、2004年から2007年まで参戦しました。中でも有名なザナヴィNISMO Zは、デビューイヤーである2004年の第1戦TIサーキット英田と、第6戦オートポリスでも優勝するなど安定した強さを発揮。2004年だけではなく、続く2005年にはモチュール ピットワーク Zと共にもNISMOとして2年連続のチームチャンピオンに輝きました。 そんなZ33フェアレディZのレーシングスピリットは「バージョンニNISMO タイプ380RS」と「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」の二つの限定車で体感できます。 バージョンニNISMO タイプ380RS 「バージョンニNISMO タイプ380RS」はレース専用車両である「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」をデチューンした公道使用モデルです。新車当時の価格は539.7万円で、冒頭に紹介した「バージョンニNISMO」よりも高額なものの、レーシングカーの性能を公道でも味わえる魅力的な一台です。 モデル名にある380は排気量を表し、エンジンは3.5Lから3.8Lにボアアップされています。鍛造ピストン、強化コンロッド、プロフィールやバルブリフト量が見直されたカムシャフトなどに変更され、最高出力350ps / 7200rpm、最大トルク40.5kgm / 4800rpmを発生。レスポンス良くどの回転域からでも胸のすくような加速が得られる感覚は、大排気量NAエンジンの醍醐味です。 バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション 「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」は、スーパー耐久などのレース専用車両で、プライベーターのレースドライバー向けに販売されました。受注生産のみで、価格は2,625万円と驚愕の金額です。しかし、NISMOのレーシングカーをそのまま購入できる「夢のクルマ」といえます。 「バージョンNISMO タイプ380RSコンペティション」に搭載されるエンジンは3.8Lのレーシングエンジンです。MOTEC社製の専用ECMを採用し、最高出力400ps以上、最大トルク43.0kgm以上を発生します。 その他にも、6速クロスミッション、強化クラッチ、メカニカルLSD、ブレンボ社製6ピストンキャリパーと380mm大径ローターを装備。また軽量化のためにドアやボンネットなどにカーボンファイバー、ドアおよびバックドアのウインドウにポリカーボネートが採用されています。 さらに、ロールゲージやバケットシート、セーフティハーネス、消火器、カットオフスイッチ、95L安全燃料タンクなどの安全装備を装着しており、車両購入後すぐに実戦レースへ参加可能な仕様に仕上がっています。 まさに「レーシングカー」そのものであり、中古車市場では滅多に見かけませんが、モータースポーツ好きには憧れの一台です。 日産フェアレディZ バージョン NISMOの中古車市場 フェアレディZ バージョンNISMOの中古車相場は138万円から338万円で、流通量は少ないものの状態の良い車両が多いです。限定車の割には価格が高騰していませんが、今後は純ガソリンエンジン車の減少、大排気量NA車の減少に伴い、価格の高騰が見込まれます。購入を検討している方は早めに市場をチェックするといいでしょう。 300台限定のフェアレディZ バージョンニNISMO タイプ380RSはさらに流通量が少なく、2022年8月時点では589万円で販売されています。新車価格を超える金額となっており、今後も値段が下がることは考えにくいでしょう。 そして、旧車王におけるフェアレディZ バージョンNISMOの買取価格は約180万円で、300台限定のバージョンニNISMO タイプ380RSは最大455万円の値がついています。ファンが多いNISMO限定車は驚くほど高い買取額が提示されるケースもあり、売却を考えている方は、一度査定に出してみるといいでしょう。 まとめ 日産 フェアレディZ バージョンNISMOは、性能アップしたVQエンジン搭載モデルやレーシングエンジンを搭載したコンペティションモデルをはじめ、当時の日産モータースポーツを象徴するモデルです。 R34スカイラインGT-Rが2002年に生産を終了し、2007年にR35GT-Rが登場するまでの6年間は、フラッグシップスポーツカーが存在しない時代でした。NISMOとオーテックが手を組み開発したフェアレディZ バージョンNISMOは、そのすき間を埋める存在であると同時に、日産の歴史に残る名車なのです。
トヨタ・ソアラは、時代を先取りしたデジタルメーターやハイパフォーマンスエンジンを搭載し、高級セダンのような上質な内外装をもっています。今振り返ってみても、トヨタ・ソアラはどの国産車にも類をみない特別なパーソナルカーです。元祖ハイソカーといわれ、多くのファンが憧れたトヨタ・ソアラの歴史を振り返ります。 高級感と走りで一世を風靡したトヨタ・ソアラ 元祖ハイソカーといわれるトヨタ・ソアラの特徴は、高い走行性能とゴージャスな内外装の両方を持っていたことです。 70年代前半の厳しい排気ガス規制により、名だたる国産スポーツカーがパワーダウンを余儀なくされました。そんな中、高級パーソナルカーであるソアラは、大きな話題と人気を獲得していきます。 欧州の高級GTカーを目標に開発された ソアラの登場以前から海外での日本車に対する評価は徐々に高まっていました。しかし、評価されていた日本車はほとんどが小型車で、高級GTカーのジャンルでは遅れをとっていたのです。この状況を打破するため「メルセデス・ベンツ SLクラス」や「BMW 6シリーズ」などの欧州の高級GTカーを目指してソアラの製造が始まりました。 トヨタ歴代のハイパワーエンジンを搭載 ソアラがラグジュアリークーペの地位を確立できた大きな理由は、搭載するエンジンを妥協しなかったことです。M型エンジン、JZ系エンジンとトヨタを代表する歴代のハイパワーエンジンが搭載されました。 初代ソアラが登場する1年前に、日産のレパードが国産高級パーソナルカーとして先にリリースされています。しかし、ソアラはトヨタ最高峰のハイパワーエンジン、M型エンジンを2,800ccに大型化したうえでDOHC化。性能面で圧倒的な優位性を打ち出して、国産随一と呼ばれるラグジュアリークーペの地位を築きあげました。 先進技術を初採用するイメージリーダー スタイリッシュなデザインと高い走行性能、さらに装備の先進性によってソアラは多くのクルマ好きから支持を得ました。 エンジン統合制御システムであるTCCSや電子制御サスペンションTEMSなど、初代ソアラに搭載された先進技術は、現在のトヨタ車にもつながっています。なかでも、デジタル数字での車速表示やバーグラフ表示のタコメーターは、高い先進性と「クルマの未来」を予感させました。 24年にわたって生産された歴代ソアラ トヨタ・ソアラはデビューから24年にわたり、国産パーソナルカーとして強い存在感を放っています。ここからは、初代Z10型から最終モデルとなった4代目Z40型までの、それぞれの特徴を振り返っていきましょう。 欧州車並みのハイスペックを打ち出した初代Z10型 初代ソアラのZ10型が登場したのは1981年です。 他社も含め、当時はSOHC車が多かったなか、全車にDOHC6気筒が装備されているという圧倒的な高性能を打ち出しました。加えて3,000ccがラインナップされていた点も大きな強みです。また、高級セダン並みの贅沢な内装と、2ドアクーペながら余裕のある居住性を確保するボディ形状も初代ソアラの魅力で、他のクーペタイプとは一線を画す存在であった理由はここにあるといえるでしょう。 デジタルメーターの採用などの先進装備とともに、もう1つ話題となったのがボディカラーです。当時の日本車で設定されていたホワイトは、ほとんどがややクリームがかった色だったのに対し、スーパーホワイトという名称がつけられたソアラの白色は、まばゆいほどの鮮烈な白色でした。 初代を正当に進化させ不動の地位を築いた2代目Z20型 1986年に、ソアラは2代目にフルモデルチェンジされます。バブル景気を背景に、初代ソアラを正当に進化させたモデルです。 ソアラ専用に開発されたM型エンジン7M-GTEUは、空冷インタークーラー装備のターボエンジンで、当時の日本車では最高出力となる230psを発揮しました。 エクステリアも、初代を踏襲しつつ曲線も取り入れた現代的なデザインとなり、エレガントなボディスタイルに進化しています。寸法は初代とほぼ同様ながら、より伸びやかでバランスの取れた印象になりました。 装備もさらに進化していて、従来のデジタルメーターに奥行感をプラスしたスペースビジョンメーターが採用されています。さらにエアコンなどのコントローラーには、液晶タッチパネルが採用されました。 500台限定で販売された特別仕様車「エアロキャビン」も忘れられません。ルーフ部とリアウィンドウが電動で格納されてオープン仕様となる、時代の先を行く装備でした。 ついに世界クラス車となった3代目Z30型 初代、2代目と国内専用車だったソアラですが、1991年に登場した3代目Z30型は、トヨタがグローバルブランドとして展開を始めていた「レクサス」からも発売されました。 全幅は1,805mmに拡幅され、全長も5m弱まで伸ばされます。これまでの直線的なボディから曲線を多用したデザインに変更されたこともあり、迫力のあるスポーティでグラマラスなスタイリングになりました。 エンジンも、2.5Lの1JZや3.0Lの2JZというトヨタ自慢のハイパフォーマンスエンジンに加え、V型8気筒4.0Lエンジンの1UZ-FEエンジンもラインナップ。車格の向上に合わせてパワートレインも大幅に強化されます。 伝統を受け継いだ高級感のある内装や高い走行性能にも定評があり、グローバルカーを名乗るに相応しい仕上がりでした。 レクサスブランドへの橋渡しとなった4代目Z40型 2001年に登場したのが、4代目のZ40型です。最も大きな変更点はボディ形状で、伝統のクーペタイプではなく、クーペとコンバーチブルの両方が楽しめる全車リトラクタブルハードトップとなりました。 搭載エンジンは4.3LのV8エンジン、3UZ-FE型のみとなり、より一層ラグジュアリー志向が高められました。また、内外装は前モデル以上に上質なものになり、初代開発当初から続いていた最上級クーペの世界観を究極的に高めたモデルです。 リトラクタブルハードトップも注目したい装備です。当時としては世界初となるフル電動のルーフシステムによって、他社では実現できない静粛性と俊敏なルーフ開閉を実現しています。 そんな究極的な進化を遂げたZ40型ソアラですが、レクサスブランドへの統合にともなってソアラとしては最終モデルになってしまいました。 ソアラの中古車市場は初代〜3代目が高騰傾向 トヨタ ソアラの中古車相場は、JDM人気の影響を強く受けています。特に海外輸出されなかった初代と2代目は価格の高騰が顕著なため、価格の動向には注意が必要です。 大手中古車サイトで確認したところ初代Z10型は500万円弱で、なかには569万円もの高値がついていたものもありました。Z20型も初代よりはやや価格は落ちるものの400万円前後が相場です。3代目Z30型についても新車価格が高価だったこともあり、300〜400万円台で取引されるなどほとんど値崩れしていません。 ただし、4代目となるZ40型は30万円台から300万円で販売されており、歴代ソアラの中ではやや値崩れを起している存在です。 旧車王での買取価格も高騰中で、1984年式初代Z10型ソアラで280万円もの買取価格がついているものもあります。 今後の高騰も予測されるため、歴代ソアラを入手したい方は市場動向を注視しつつ早めの入手をおすすめします。 ※中古車相場と買取価格は2022年8月原稿執筆時
初代ランサーのスポーツグレードが、三菱 ランサー 1600GSRです。特徴的な丸目ヘッドライトを採用した個性的なスタイリングで、小型車ながら高い戦闘力を秘めたランサー 1600GSRは、三菱の綿密な戦略によって生み出されました。後に三菱を代表する“ランエボ”にもつながるランサー 1600GSRの魅力と実力を詳しく見ていきましょう。 三菱の戦略で誕生したランサー 1600GSR ランサー 1600GSRは、1973年に登場した初代ランサーのスポーツグレードです。しかし、単にベース車両から派生したモデルではなく、もともと開発陣がランサーとして目指していた姿を体現したモデルでした。 ライバル他社に遅れをとらないよう、明確な戦略をもって投入された三菱 ランサー 1600GSRの歴史を紐解きます。 群雄割拠の1.5Lクラスに投入されたランサー 1973年2月にデビューしたランサーシリーズは、席の空いていたスモールセダンクラスを埋めるために開発されたモデルです。そのため、発売当初は大衆車としてファミリーユースを意識したラインナップになっています。 しかし、1970年代当時、このクラスはかなりの激戦区で、トヨタのコロナや日産のブルーバードなど強力なライバル車が先行している状況でした。 後発となる三菱としては、よりインパクトの強い車種の投入が必須で、若年層を意識した安価で高性能かつ、スポーティーなモデルを開発当初から目指すことになります。そこで、ベースモデルの発売からわずか7ヶ月後の1973年9月に投入されたのが、ランサー 1600GSRです。ラリー競技を念頭に開発された高性能エンジンを搭載し、当時としてはずば抜けた動力性能を発揮しました。 ライバルと違う道を目指したことで個性を発揮 1.5Lクラスで遅れをとっていた三菱にとって、ランサーは切り札ともいえる車種でした。そこで、三菱はラリーへの参戦というライバルメーカーとは違う宣伝戦略をとります。ラリーは世界的にも人気が高かったことと、サーキットを走るライバル車とあえて異なる道を選ぶことで差別化を図りました。 ランサー 1600GSRは、開発段階からラリーへの参戦を意識してつくられました。。結果的にこの戦略は奏功し、モノコックボディは剛性が高く、足回りもオーソドックスな構成ながら信頼性の高いものに仕上がりました。 ラリーでとにかく強かった ランサー 1600GSRは、市場投入後すぐにその力を発揮します。1973年10月開催のサザンクロスラリーに5台の1600GSRを送り込み総合優勝を勝ち取るとともに、4位までを独占するという輝かしい結果を残しました。 さらに、翌年の1974年にはサファリラリーで総合優勝、サザンクロスラリーも2年連続で制覇。この後1976年にかけてサザンクロスラリー4連覇、サファリラリー3連覇を達成しラリー界を席巻しました。 無敵の走りを見せていた1600GSRですが、オイルショックの影響で三菱はモータースポーツからの撤退を余儀なくされます。しかし、過酷なラリーで結果を残し続けてきたことで、走行性能だけではなく高い信頼性を世界にアピールすることに成功したのです。 大衆車なのにスポーツカー並の性能と装備 1600GSRはベース車両が大衆車と思えないほど、強力なエンジン、高いボディ剛性、魅力的な内外装を備えた完成度の高いクルマでした。 三菱開発陣の高い技術力はもちろん、こだわりがつまっていることがよく分かります。スポーティというよりも、スポーツカーともいえる1600GSRの特徴を見ていきましょう。 高いエンジン性能とボディ剛性 ランサー 1600GSRがベース車両と大きく異なる点はエンジンです。「サターン」のニックネームで呼ばれる4G32型4気筒SOHCエンジンは、9.5まで高めた圧縮比とツインキャブレターによって最大出力110ps/6,700rpm、最大トルクは14.2kgm/4,800rpmを発生。800kgほどの軽量な車体を、最高速度175km/hまで加速させます。 ラリー参戦を見据えて開発された完成度が高いボディも1600GSRの特徴の1つです。前後の頑丈なボックスセクションをボディ中央のトルクボックスでつなぐレイアウトは、ボディのねじり剛性を飛躍的に高めるとともに、高い衝突安全性も実現しています。 スポーティにまとめられた魅力的な内外装 曲線を多用したロングノーズショートデッキのスタイリングは、スモールセダンながら格上のスポーツカーを思わせる仕上がりです。さらに、丸目のヘッドライトと縦型のコンビネーションランプなど、個性的なデザインは今見ても魅力的です。 内装も、3連の円形メーターにフロアシフトを装備するなど、一貫してスポーティにまとめられ、当時の小型車としては先進的なデザインでした。 ランサー 1600GSRの成功が無ければ“ランエボ”は誕生しなかった!? ランサー 1600GSRは、三菱のラインナップをただ埋めるのではなく、先行するライバル車に打ち勝つために開発され、見事に三菱の目的を達成しました。ランサー 1600GSRの成功がなければ、その後のランサーエボリューションの開発もなかったかも知れません。 個性的なボディデザインと高い走行性能を誇る魅力的なランサー 1600GSRをぜひ手に入れたいところですが、残念ながら大手中古車サイトでも中古車両は見つかりませんでした。ただし、別グレードとなる1977年式ランサー GLでも398万円もの価格がついているため、万が一1600GSRが市場で見つかってもかなりの高額になることが予想されます。 どうしても手に入れたい方は、旧車専門の中古車店などで広くアンテナを張って根気強く探す必要がありそうです。 ※中古車相場は2022年8月原稿執筆時
レーシーにまとめられた専用の内外装に、強化されたエンジンと足回り。ホンダスポーツモデルの最高峰グレードであるTYPE-Rは、そのままサーキットを走れるほどのスペックを備えていました。特にインテグラとシビックは、TYPE-Rの代表車種として多くのファンを獲得しています。今回はインテグラとして最終型となるDC5型、ほぼ同世代にリリースされたFD2型シビック、2つのTYPE-Rの魅力に迫っていきましょう。 ホンダスピリッツを体現したTYPE-R TYPE-Rは、取り扱いやすさを求める一般向けで実現できなかったクルマ本来のポテンシャルを極限まで高めたモデルです。もともと高性能なスポーツモデルの車両をさらにチューニングすることで、最高峰のスポーツグレードに仕上げられています。 初代NSXに設定されたTYPE-R 初めてTYPE-Rが登場したのは1992年で、初代NSXの最上位スポーツグレードとして設定されました。もともと国産スーパーカーという位置付けで高性能だったNSXを、各パーツの徹底的な見直しによって120kgも軽量化されています。さらに、サスペンションのセッティングに加え、クランクシャフトやピストンといったエンジン内部にまで手を入れ、徹底的なハイパフォーマンス化が図られました。 TYPE-Rの両雄となったインテグラとシビック 初代TYPE-RとなったNSXの成功によって、TYPE-Rシリーズはインテグラとシビックにも展開されます。NSX TYPE-Rは高価な車両価格と希少な生産台数から、手にする人は限られていました。しかし、インテグラやシビックという大衆モデルで採用されたことで、TYPE-Rの名は一気に広まります。 クーペ、ハッチバックとそれぞれボディ形状は異なりますが、ホンダを代表するスポーツモデルをさらにスポーティに仕上げ、TYPE-Rはホンダファンのみならず多くのスポーツカーファンの人気を獲得しました。 世界最速FFと呼ばれたDC5型インテグラTYPE-R 世界最速FFの称号を得た先代DC2型からモデルチェンジしたDC5型TYPE-Rは、安全性能の見直しなどでやや大型化したものの、インテグラTYPE-R特有の軽快なハンドリング性能は継承されています。 エンジンや足回り性能のみならず、内装も走ることに特化したDC5型インテグラTYPE-Rも、やはり世界最速FFでした。 TYPE-Rのために開発されたDC5型 2代目インテグラとなるDC5型インテグラは、TYPE-Rの設定を前提に開発されています。また、プレリュードが廃止されたことにともない、ボディサイズは3ナンバーサイズに拡幅されました。 ボディタイプは3ドアハッチバックのクーペスタイルを採用。スポーツカーらしいクーペスタイルながら、ハッチバックで高い利便性も確保されています。 装備面の強化によって車重増をカバー 広い車内空間の確保と安全性能の強化により、車両重量は100kgほど重くなってしまいます。しかし、専用チューニングされたKA20型は220psを発生し、ホンダ初となるブレンボ製ブレーキを備えるなどエンジン性能や装備面では先代DC2型を上回っていました。 しかも、これだけのハイスペックエンジンを搭載しながら、12.4km/Lという低燃費も実現しています。 魂をくすぐられるレーシーな内装 「TYPE-R」のロゴがあしらわれたチタン製シフトノブや、チタン色のメーターパネルとペダル類から受ける印象は、まるでレーシングカーのコックピットを思わせるものです。専用に開発されたレカロシートに身を沈めれば、一気に気分が高まります。 スイッチ類やエアコンの吹き出し口もメーター同様の丸型に統一され、余計なスイッチ類は極力排除したシンプルなデザインです。 高級感ある4ドアセダンとなったFD2型シビックTYPE-R DC5型インテグラの販売終了後に登場したのが、FD2型シビックTYPE-Rです。高い性能もさることながら、4ドアセダンとしたことで居住性や使い勝手が向上しています。そして、TYPE-Rの称号にふさわしく、トルク感応式LSDやブレンボ製ブレーキキャリパーといった走行性能に直結するパーツを採用しているのが大きな特徴です。 重厚感のある4ドアモデル 歴代シビックのTYPE-Rは3ドアハッチバックで展開されてきましたが、FD2型シビックでは初めて4ドアセダンタイプを採用。また、全幅も3ナンバーサイズの1,770mmとなり、従来の軽量なイメージから重厚感のあるデザインに変わりました。 さらに、見た目だけではなくボディ剛性もDC5型インテグラTYPE-Rから50%も向上し、さらなる応答性と安定感が加えられました。 さらに高出力化されたKA20型VTECエンジン FD2型シビックTYPE-Rに搭載されたのは、DC5型と同型のKA20型です。最高出力は220psから225psにまで高められ、もともと専用チューニングされていたエンジンをさらにファインチューニングしたことで、回転域によっては10ps以上の出力向上を果たしました。 また、ピークトルクの発生も7,000回転から6,100回転に引き下げられていることに加え、0.9kgf・m向上していて、大柄な4ドアボディをストレスなく引っ張ります。 先進のコックピットが演出する高揚感 FD2型シビックTYPE-Rのコックピットデザインは、DC5型インテグラと大きく異なります。すべてのメーターをアナログメーターでまとめていたインテグラに対して、デジタルメーターとアナログメーターを融合させた先進のデザインでした。 スポーツドライビング時にもっとも気になるタコメーターは、視認性の高いアナログメーターを中央に配し、上部にデジタル表示のスピードメーターが配置されています。さらに、最適なシフトタイミングやVTECの作動状況が視認できる各種インジケーターもデジタルパネル部分にまとめられており、先進性を感じるコックピットになりました。 また、シートはTYPE-R用に専用開発されたオリジナルシートで、内装と統一された赤と黒のカラーリングはドライバーに高揚感を与えます。 高く甲乙つけがたい2台のTYPE-R インテグラとして最終型となったDC5型TYPE-Rと、4ドアモデルのFD2型シビックTYPE-R。発売年式が近いこともあり、この2車種はよく比較されますが、結論としてはどちらも優れたスポーツカーであることは間違いありません。 走行性能を追求して作り込まれたインテグラTYPE-Rは車重も軽く、FF車最速といわれる速さとハンドリングが楽しめます。一方で、4ドアによる高い居住性と安定性、先進のコックピットを誇るシビックTYPE-Rは、ファミリー層のユーザーにも受け入れられました。エンジンはどちらもKA20型を採用しているため、多くのアフターパーツも出ていてチューニングベースとしても最適です。 ホンダスピリッツが詰め込まれた、高い走行性能を誇る2台のTYPE-R。どちらを選んでも決して期待を裏切りません。
ラダーフレーム構造にこだわり、硬派な本格クロカンとしての地位を築き上げたパジェロ。モデルチェンジを繰り返しても、最初の開発ポリシーは最終モデルまで受け継がれました。トヨタ ランドクルーザーと双璧をなす日本が誇るオフローダー、三菱 パジェロのこだわりと魅力に迫ります。 トラックベースの硬派仕様【初代:1982年~1991年】 マイナーチェンジを含めて9年もの長きにわたり、さまざまなモデルやエンジンを投入した初代パジェロ。三菱が世界に誇る看板車種となったパジェロですが、実は発売当初はあまり話題になりませんでした。しかし、本格クロカン車としてこだわって開発したことで市場のパイオニアともいえる名車となっていくのです。 あまり注目されなかった初代パジェロ誕生 初代パジェロが登場したのは1982年です。ノックダウン方式で生産していたジープに代わるモデルとして開発されました。後に本格クロカン車として三菱を代表する車種となったパジェロですが、当時は主力車種という位置付けではなかったため限られた予算で開発されます。 発売当初の販売台数は月間数百台程度だったという情報もあり、あまり注目されたクルマではありませんでした。 本格クロカンとして高い性能を誇ったパジェロ 初代登場時、パジェロは主力車種ではなかったものの、フレームやエンジンなど、三菱の開発陣はしっかりと作り込んでいました。結果的にクルマとしてのポテンシャルの高さがその後のパジェロ人気につながります。 まず、車体にはトラックでも使用されるラダーフレームを採用しました。ラダーフレームは構造がシンプルで信頼性が高く、堅牢なプラットフォームです。さらに、駆動方式をFRベースのパートタイム4WDとしたことで高い悪路走破性を実現します。 エンジンは4WD車として国産初となるディーゼルターボエンジンを搭載。発売翌年には145psを誇るG63B型2.0L 直列4気筒ガソリンターボエンジンも追加され、「国産クロカン4WD最速」とも称されました。 パジェロ旋風を巻き起こしたパリダカ パジェロが転機を迎えたのは、発売から5年後の1987年です。もっとも過酷なラリーとして知られるパリ・ダカールラリー(通称パリダカ)で、プロトタイプのパジェロを駆る篠塚建次郎氏が3位という成績を残します。その模様は連日NHKで中継されていたこともあり、瞬く間にパジェロ旋風が巻き起こりました。 また、バブル景気によるアウトドアレジャーブームの後押しもあり、最盛期には年間8万台以上の注文を記録しました。ここから、パジェロは本格クロカンとしての地位を確立していきます。 RVブームを巻き起こした歴史的モデル【2代目:1991年~1999年】 初代で確立した国産クロカン車としての地位をより強固なものにしたのが、2代目パジェロです。世界初の画期的な4WD機構やハイパフォーマンスエンジンを投入して基本性能を向上させたことで、RVブームの火付け役になるとともにブームを牽引する存在となりました。 初代の成功を背景にフルモデルチェンジ 2代目パジェロの登場は1991年です。バブル景気まっただなかでの登場でした。初代で評価の高かった本格クロカンとしての性能と乗用車としての乗り味を両立させた三菱開発陣の強いこだわりが詰め込まれたモデルです。 より多くのユーザーに、本格クロカンを届けたいという三菱の狙いは見事に的中しました。高まりつつあったRV車への人気に火をつけ、RVブームを巻き起こすきっかけとなる車種になりました。 また、より多くのユーザー取り込みを狙って、軽自動車規格のパジェロミニと1.1Lモデルのパジェロジュニアが投入されたのも2代目パジェロです。どちらも小型ながら本格的なつくりで高い人気を集めました。 世界初搭載のスーパーセレクト4WD 2代目パジェロに搭載された4WDは、世界初搭載となる「スーパーセレクト4WD」です。スーパーセレクト4WDは、フルタイム4WDとパートタイム4WDの長所を兼ね備えた仕組みで、時速100km/h以内なら2WDと4WDの切り替えをセレクトレバーで簡単に行えるという画期的な機構でした。 ハイパフォーマンスエンジン 2代目パジェロには、初代から出力を155psまで引き上げた6G72型 2,972 cc V型6気筒SOHC12バルブエンジンを投入しました。この6G72型エンジンは改良を重ね、最終的には最高出力を185psまで引き上げられるとともに、4代目パジェロでも使用される長寿命エンジンとなります。 また、モデル末期となる1997年には、3.5Lの6G74型が追加されました。最高出力は245psを発生しつつ、V型6気筒エンジンとして世界初となるガソリン直噴(GDI)を採用することで、高出力と環境性能を両立しています。 さらに、同年にハイパフォーマンスエンジンを搭載したパジェロエボリューションがラリーのベース車両として投入されます。搭載された6G74型V型6気筒3.5Lエンジンは、新開発の可変バルブタイミング機構「MIVEC」を採用し、当時の自主規制上限である280psを発生させました。 クロカン系から高級路線に変貌【3代目:1999年-2006年】 本格的な悪路走破性能をもちつつ、普段使用を意識した変化を取り入れてきたパジェロ。3代目へと進化する過程で、より使いやすさと快適性追求し、ラグジュアリー志向のSUVへと大きな転換点を迎えることになります。 初代発売から17年目の大幅な路線変更 1999年に登場した3代目パジェロは、高級路線へと大きな方向転換を図ったモデルです。国内では1997年に登場した高級クロスオーバーSUVのハリアーが大ヒット。世界中の自動車メーカーが、乗用車としての乗り心地や高級感を重視したクロスオーバーモデルに舵を切り始めていました。その流れを受け、パジェロも高級路線になったものの、本格クロカンとしての性格は色濃く残すことで、他社のクロスオーバーSUVとは一線を画す存在でした。 フレーム構造をモノコックベースに変更 3代目パジェロは、乗り心地を重視しフレーム構造が大きく変更されました。ラダーフレーム構造から、モノコックフレームにラダーフレームを溶接したビルトイン構造を採用。高級路線で内装を豪華にしたことや安全性の強化などの重量増の要因があるにもかかわらず、軽量なモノコックフレームとすることで、約100kgの軽量化を実現しました。 一方で、ビルトイン構造のためラダーフレームの堅牢さも確保されており、本格クロカンという矜持は維持しています。 より安定性と操作性の向上が図られたパワートレイン 3代目パジェロには、2代目パジェロの末期に追加された6G74 V型6気筒3.5Lエンジンが引き続き搭載されました。最高出力こそ220psとややおさえられているものの、制御の問題点を改善。高級車にふさわしく安定性が高められています。 また、2代目から搭載されたスーパーセレクト4WDも「スーパーセレクト4WDⅡ」に進化しました。センターデフをプラネタリーギアに変更し、前後トルク配分を33:67とリアよりとすることでオンロードでの操縦性向上が図られています。 改良を続けその魂を貫いた【4代目:2006年~2019年】 結果的にパジェロの最終モデルとなった4代目パジェロ。販売最終年には、特別仕様車「ファイナルエディション」を投入し、惜しまれつつその歴史に幕を閉じることとなります。 本格クロカンにこだわり続けた4代目 4代目パジェロは、3代目の高級路線を踏襲する形で開発されました。本格クロカンへのこだわりでもあった、ビルトイン構造のフレームやハイパフォーマンスエンジン、スーパーセレクト4WDⅡを軸にした駆動系にも改良が加えられています。 シャーシに関しては、ビルトイン構造を継承しつつ、高張力鋼板や構造用接着剤の使用によって、先代以上のボディ剛性を実現。高級車としながらも、最後までオフロードでの走破性にこだわりました。 販売最終年となる2019年には、「ファイナルエディション」として特別仕様車を投入しました。三菱がいかにパジェロを大切にしてきたかがうかがえます。 初代から一貫してこだわった高い基本性能 4代目パジェロには、252psを発生する6G75 V型6気筒3.8Lエンジンが搭載されました。さらに2010年には新環境基準をクリアしつつ、パジェロ史上最大トルクとなる45.0 kgf・mを発生する新型のクリーンディーゼルエンジンが投入されたことも注目したいポイントです。 走行性能についても、3代目から採用しているスーパーセレクト4WDⅡに加えてさらなる安定化を図る機能を装備しています。独立したブレーキ制御をおこなうアクティブスタビリティコントロール(ASC)とエンジン出力制御によるアクティブトラクションコントロール(ATC)を組み合わせたASTC(アクティブスタビリティ&トラクションコントロール)を全車に標準装備しました。滑りやすい路面や急ハンドルでも安定した走行を実現し、クロカン車としての機能が向上しています。 時代を作り時代に飲み込まれたパジェロ 4代目パジェロは、初代を超える13年という長期間販売されました。しかし、2019年の4代目生産終了とともに、パジェロは37年の歴史に幕をおろすことになります。 市場がクロスオーバーSUVへシフトしていったことで、本格クロカンにこだわり続けたパジェロの存在感は徐々に薄れていきました。RVブームのきっかけとなり市場を作り出したパジェロ。しかし、最後はその市場の動向やニーズの変化に飲み込まれるという皮肉な形で生産終了となりました。 まとめ クロスオーバーSUVの台頭という波に飲み込まれたパジェロですが、中古車市場では現在でも人気の高い車種の1つです。 大手中古車サイトでは、年式の古いものであれば60万円台から販売されていますが、4代目最終モデルの低走行車なら600万円程度と幅広い価格で販売されています。 対して旧車王での買取価格を見てみると、走行距離113,700kmの1999年式2代目パジェロGEバンが55万円。そして、2019年式、走行距離25,200kmのファイナルエディションで400万円の値が付けられています。(2022年8月原稿執筆時) 一部の国産スポーツカーのように、非現実的な価格で取引されているわけではありません。しかし、25年以上前の年式でも400万円を超えるような中古車も販売されており、パジェロも全体的には徐々に相場が上がりつつあると言えます。 電動化や自動運転など、悪路走行とは別の性能が重視されているいま、今後パジェロのような本格クロカンモデルが新たに登場する可能性はほぼありません。そのため、ハイパワーなエンジンと堅牢なシャシーを備えた硬派な存在のパジェロは、今後その相場が上昇する可能性も十分にあるのです。
RX-7をはじめとするRXシリーズが有名ですが、はじめてロータリーエンジンを採用した車は1967年発売のコスモスポーツです。マツダコスモは時代の流れとともにエンジンやデザインを変え、各モデルともに魅力的な車となっています。そんなマツダコスモの歴史を振り返りましょう。 初代マツダ コスモスポーツ(1967年~1972年) レシプロエンジンは、ピストンの上下運動をクランクシャフトにより回転運動に替えています。それに対し、ロータリーエンジンはハウジングの中でおむすび型ローターを回転させ、すべてを回転運動で完結させるというのが大きな特徴です。。ロータリーエンジンは理想のエンジンと呼ばれながらも、技術的課題が多く、長らく「エンジニアの夢」と言われたエンジンでした。 1951年、ドイツのフェリックスヴァンケル博士(Felix Wankel:1902−1988)がロータリーエンジンの原理を確立したものの、量産化には多くの課題が存在しました。そのため、ロールスロイスや日産を始め、世界中のメーカーが開発に着手したものの量産化には至りませんでした。 そんな中、1964年の東京モーターショーでロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツコンセプトが鮮烈なデビューを飾ります。 名前の由来はイタリア語で宇宙を意味するCosmo(コスモ)。「宇宙時代にふさわしいエンジンを」という願いが込められていました。 1967年5月30日、モーターショーでのデビューから3年、マツダはついにコスモスポーツの販売を開始。搭載された12A型ロータリーエンジンは、総排気量491cc×2、最高出力110PS、最高速度185km/h、0-400m加速16.3秒というスペックを持ち、当時のスポーツカーとしては十分な性能を持っています。 さらに、上下に分割されたテールランプやボディ全体の厚みを抑えたデザインは、航空機や宇宙船を彷彿とさせ「走るというより、飛ぶ感じ」という言葉を具現化した車でした。 2代目マツダ コスモ(1975年~1981年) コスモスポーツの生産終了から3年後、1975年に発売された車がコスモAPです。マツダのフラッグシップとして高級路線にシフトされました。欧米市場を意識した2代目コスモは、順調に販売台数を伸ばし、発売から1年半で10万台を達成します。1977年にはバリエーション違いのコスモLを追加し、これも同じく市場から高い評価を得ます。6年にわたり販売された2代目コスモは、コスモ史上最も売れたコスモとなりました。 コスモAP 1973年に発生したオイルショックの影響で燃費の悪いロータリーエンジンは嫌煙され、販売台数は悪化してしまいます。そんな中、1975年に他社に先駆け昭和51年排ガス規制をクリアし発売されたのがコスモAPです。 APは「反汚染」を意味するアンチポリューション(Anti Pollution)の略で、搭載された13B型 654cc×2ローターのロータリーエンジンは、51年排出ガス規制をクリアしながら最高出力は135ps/6000rpmを達成。コスモAPのイメージアップに一役買うことになります。 デザイン面ではアメリカを意識したスペシャリティカーへ進化を遂げ、メッキ仕上げの大型フロントグリルを持つファストバックスタイルとなります。特徴的なBピラーにはピラーにウィンドウを配置し、手動式レギュレーターで全開が可能でした。 コスモL コスモLは1977年7月に追加された2代目コスモの高級仕様です。単に部品を変えただけの仕様違いではなく、ノッチバックスタイルを持つこだわりの一台となっています。コスモLの「L」は、ランドートップ(上級馬車)の頭文字から取ったもので、ルーフ後端は高級感のある革調の素材を採用。2ドアクーペでありながら、高級リムジンのような雰囲気を醸し出しています。 後部座席はゆったりとしており、5人乗車が可能。見るからに小さい後部座席の窓は、すべての景色が見えなくとも、ラグジュアリーな時間を車内で過ごしてほしいという意図により採用されました。上質でありながらどこかかわいらしさも感じる内装は、旧車ファンの心を掴んで離しません。 初代コスモスポーツから受け継ぐ走行性能を持ち、環境性能も満足させながら、独特の世界観を持つ2代目コスモは、マツダの名作と言って間違いないでしょう。 3代目マツダ コスモ(1981年~1990年) 1981年9月、マツダは車名をシンプルなもの変更した3代目コスモを発売します。同時期にフルモデルチェンジを受けたルーチェの姉妹車となり、ボディバリエーションも複数用意されました。2ドアハードトップ、4ドアハードトップ、なんとピラー付き4ドアセダンまでラインナップを広げています。(コスモの社名を有する4ドアボディはこのモデルが最初で最後)多様化する需要に応えるように選択肢を広げた3代目コスモは、マツダの意欲作でしたが、その期待とは裏腹に販売台数は伸び悩みます。 エンジンはロータリー・レシプロ・ディーゼルの3本立てとなっており、ロータリーエンジンを持つマツダならではのユニークなバリエーションです。デザイン面でもコスモらしい個性的なもので、直線基調のインテリア、カセットテープを正面から見せるオーディオなど、当時のファンを驚かせます。エクステリアでは先代のAPと同様にBピラーに小さな窓を備え、ウエストラインを下げてグラスエリアが拡大されました。さらに、角4灯のリトラクタブルヘッドライトという個性的なものとなっています。 しかしながら、発売当初搭載されたロータリーエンジンは、先代の13B型ではなく排気量の小さい12A型を採用しています。数値的には130ps/7000rpmと先代と同等でしたが、頼りないフィーリングはコスモファンを満足させることは出来ませんでした。 そこで、同年10月には初のロータリーターボを採用。160ps/6500rpmの最高出力と23.0kgm/4000rpmで当時最高速213.33kmに達しています。そして、1983年10月のマイナーチェンジでは、固定式ヘッドライトに変更された4ドアハードトップにインジェクション化された13B型(最高出力160㎰)を搭載したグレードが設定されました。 人気は2代目には及ばないものの、当時最高レベルの走行性能を持つ3代目コスモも魅力的な一台です。 4代目ユーノス コスモ(1990年~1996年) 1990年4月発売、4代目コスモはユーノスコスモとして登場。先代とは対照的にボディバリエーションは2ドアクーペのみで、ロータリーエンジンに一本化されました。 ラグジュアリーさを漂わせるそのフォルムに搭載されるエンジンは、20B-REW型の3ローターターボエンジンです。V12に匹敵するなめらかさを持ち、当時300ps以上と言われた出力は自主規制により280psにデチューンされています。 内装に目を向けるとオーストリア製の本革シートやイタリア製の天然目パネルに加え、世界初のGPSカーナビが搭載されています。至れり尽くせりの至高の高級車となっていましたが、販売台数は思うように伸びませんでした。 その理由は533万円からという高額なプライスと、街乗りでは3km/Lにもなると言われた極悪な燃費にほかなりません。バブル時代の当時でもライバルとなるR32スカイラインGT-Rが445〜529万円となっており、それほど理解を得られなかったのです。 ユーノスコスモ誕生から6年、マツダはユーノスコスモの販売を終了し、長いコスモの歴史に終止符を打つことなります。 モータリゼーションの長い歴史の中でも3ローターターボを採用した車は後にも先にもこのユーノスコスモだけであり、今後このような車が世に出ることは難しいでしょう。そのため、旧車界でもユーノスコスモは多くのファンを獲得しています。 まとめ マツダのコスモシリーズは、市販化が難しいとされたロータリーエンジンをはじめ、ユニークで洗練されたデザインなど、自動車好きの記憶に色濃く残る存在感を放ってきました。 一方、ロータリーエンジンの宿命とも言える燃費の悪さや、先を行き過ぎたデザインなど、失敗作と酷評されることも少なくありません。 しかし、明と暗がクッキリしたコントラストのある歴史こそが、難しい課題も豊富なアイデアで解決する技術者集団「マツダ」のイメージリーダーである証拠なのです。
価格の高騰もあり、いま旧車に注目が集まっています。しかし、あまり知識のないかたが、経年劣化のすすんだ旧車を、他の中古車と同じ感覚で購入するのは危険です。今回は、旧車購入の要となる信頼のおけるショップの見つけ方から、状態のいい旧車の見極め方まで詳しくご紹介します。 妥協はNG!ショップ選びが初めの一歩 どれだけ万全に整備されていても、発売から数十年が経過する旧車にはトラブルがつきものです。目に見える場所の劣化だけでなく、エンジン内部やメーターなどの電気系までトラブルの原因となる箇所は多岐に渡ります。 購入時の整備はもちろん、購入後のアフターサービスまで信頼のおけるショップを選ぶことが、長く乗れる旧車を手に入れる重要なポイントです。 ショップの経験と整備体制を事前に確認 旧車を購入する際は、購入先となる中古車ショップの経験や整備体制を事前に確認しておきましょう。とくに旧車に対する知識や経験は重要で、購入時に問題がなくても、乗り始めたらすぐに故障することもありえます。 ただし、購入する側は素人なのでショップの実力を判断するのは至難の業。最低限、誠実で信頼のおけるショップを選びましょう。数十年前のクルマなのに、とくにマイナスポイントを挙げることなく「すべて問題ありません」と言い切ってしまうショップは避けたほうが無難です。 また、整備に必要な部品の供給体制も事前に確認しておきたいポイント。旧車の部品はすでに絶版となっていることもあるので、現状の在庫保有や供給体制について話しておくことも大切です。 ショップの扱っている中古車ラインナップから判断 信頼のおけるショップかどうかは、営業年数と取り扱っている中古車ラインナップである程度判断できます。営業年数がそれなりにあり、購入予定の中古車と同年代のクルマを多く取り扱っているショップがベストです。 また、ファンの多い旧車であればその車種を専門に扱っているショップもあります。そのようなショップは、取り扱い台数が多く、当然のことながら経験が豊富です。加えて、特定車種に特化したショップであれば、整備用の部品も多く確保していることも多いので、アフターフォローにも期待できます。 旧車だからこそ可能な限り細かくチェックする 中古車、しかも旧車となると各部が新車同様に万全の状態ということはまずありません。しかし、しっかりと整備されていて良好な状態を保っているクルマであれば長く乗り続けることができます。旧車購入前には、エンジンや足回りなど可能な限り細かくチェックし、正確に状態を把握することが大切です。 必ず購入前にエンジンを始動する 旧車を購入する際は、必ず事前にエンジンをかけて状態を確認しましょう。エンジンはごまかしがきかないパーツのひとつで、クルマの状態を判断する大きな材料になります。 まずは、始動性。スムーズに始動するか、可能ならエンジンがかかった後1度切って再度確認しましょう。状態が良ければ何度始動してもスムーズに始動します。次に確認するのがアイドリングの状態です。旧車のエンジンは、暖気が完了しないと安定しないものもあるのである程度時間をかけて確認しましょう。 最後に確認するのが吹け上がりと異音です。軽くアクセルを吹かしてスムーズに吹け上がるか、異音はないかを確認します。また、マフラーからの排気も同時に確認しましょう。白煙や黒煙があがっている場合は、納得いくまで説明を求めましょう。 万が一エンジンがかけられない場合は理由を説明してもらい、納得がいかなければ避けた方が無難です。どちらにしても、購入前までにはエンジンの動作確認を必ずおこないましょう。 試乗をさせてもらえればベスト 購入を最終決定する前に、可能なら試乗をすることをおすすめします。シフトの入り具合、足回りのガタつき、ステアリングラックの不具合などは試乗をしないとわかりません。 とくに長い間動かしていなかったクルマの場合は、動かすことで不具合が出てくることもあります。試乗をする際は、段差を乗り越えた際の音やボディのきしみ、ステアリングを切った際の抵抗感など神経を研ぎ澄ませて細かくチェックすることが大切です。 「古いクルマなのでこんなものです」と言われても、気になる部分は納得いくまで説明をしてもらいましょう。また、できるだけ多く試乗をすればクルマの違和感に気がつきやすくなります。 部位によっては修復不可!?内外装のチェックポイント どれだけ高い技術力をもったショップでも、修復が難しいのがボディの腐食と内装パーツの経年劣化です。場所や程度によっては、修復費用が高額になるばかりか、そもそも修復不能な場合もあるのでしっかりと目視で確認しておきましょう。 腐食箇所をくまなくチェック 旧車を購入する際にもっとも懸念されるのが、ボディやシャシーの腐食です。ボディの外観だけではなく、エンジンルームの細部や車内、トランクルームのカーペットの下など可能な限り目視で確認しましょう。 万が一大幅な腐食の修復箇所を見つけた場合は、他の箇所にも腐食がある場合もあるので、経緯や修復方法などを細かく販売店に確認しましょう。 内装はオリジナル部品がないこともある 内装を見る際に、最低限確認しておきたいのがメーターパネルや各種スイッチです。とくにメーターや各種警告灯の動作はしっかりと確認しておかないと車検に通りません。車種によっては、すでに交換部品を製造していない場合もあるので修復が困難な場合もあります。 また、そのほかの内装は走行性能に直接影響がないので軽視されがちですが、旧車を購入する場合は注意が必要です。内装に使われているプラスチックや布は経年劣化しやすいので、ちょっとした塗装のはがれやシートの破れでも、使いはじめると劣化が一気にすすむこともあります。 少しでも気になる部分は、修復の可否や金額を購入前に必ず確認しておきましょう。 まとめ いかに精巧で頑丈に作られていても、クルマが工業製品である以上経年劣化には抗えません。しかし、劣化していることを前提に万全な整備をすることで、旧車でも安心して乗ることはできます。 アクセルを踏み込んだときの吹け上がりや心地よい振動やキビキビとしたハンドリング、個性的なボディスタイル。多くの旧車はクルマ本来の魅力を追求した設計思想のものが多く、現代のクルマにはない魅力あふれる車種がたくさんあります。 ぜひ信頼のおけるショップを見つけて、旧車ライフを楽しんでください。
欧州プレミアムセダンを思わせる高級感あふれた内外装に加え、上質な走りと高い走行性能を実現したホンダ アコードユーロR。わずか2代しか製造されなかったにもかかわらず、今なお高い人気を誇るスポーツセダンです。「タイプR」ではなく「ユーロR」とした真意と、「R」の称号へのこだわりに迫ります。 初代アコードユーロR(CL1)の概要 初代アコードユーロRの登場は2000年。6代目アコードの最上位モデルとして投入されます。アコードのスポーツグレードはMT専用として「SiR-T」が設定されていましたが、ユーロRへの変更によって、より上質でスポーティな走りを実現しました。 あえてタイプRとしなかった ホンダの最上位スポーツグレードといえば「タイプR」です。しかし、アコードユーロRは単純な速さの追求ではなく、「セダンとしての扱いやすさとスポーツ性の両立」をコンセプトに開発。そのため、タイプRとの差別化を図るべく、「ユーロR」という新たなネーミングが与えられることになります。 大人4人が余裕で乗れる広い車内空間や遮音性、マイルドな走行フィーリングといった高級セダンとしての性格をしっかりと残しつつ、スポーティさを追求した意欲的なモデルです。 エンジンはタイプR以上 乗り味こそセダン向けにマイルドな調整をされていますが、「R」の称号にふさわしく、スポーツカーさながらの装備となっています。 とくに搭載されたH22A型VTEC 2.2Lエンジンは、最高出力220psを発生。アコードの欧州仕様で設定されていたタイプRをも凌ぐ高出力エンジンに専用チューニングされています。また、エンジン以外の仕様も大幅に見直されました。足回りは専用設計のサスペンションを採用し、15mmのローダウン化を実現。軽量16インチホイールを装着することで、さらに走行性能を高めています。 内外装もほかのグレードと一線を画し、レカロ社製バケットシートやモモ社製ステアリングホイール、アルミシフトノブを採用するなど、いずれも専用設計されたこだわりの内装。さらに、外装面では専用のエアロパーツが装着され、タイプRに引けを取らないスポーティな仕様となっていました。 2代目アコードユーロR(CL7)の概要 2代目アコードユーロRの登場は2002年。初代アコードユーロRの成功を受けて、7代目へモデルチェンジするタイミングで同時に投入されました。初代同様、高級セダンとしての上質さを実現しつつより走行性能を高めたことで、欧州プレミアムセダンにも引けをとらないモデルに仕上がっています。 初代を正統進化させた2代目アコードユーロR 先代が評価されたポイントをそのまま受け継ぎ、正統に進化させた2代目アコードユーロR。専用のサスペンションはスプリングやスタビライザー、ブッシュ類と細部に渡って強化され、17インチにインチアップされたホイールを履きこなします。 また、もともと強化されていたボディ剛性は、ストラットタワーバーの追加をはじめ、さらなる見直しが図られました。しかも、当時のセダンとしてトップレベルとなるCD値0.26を達成したボディも含め、操縦安定性や快適性が一段と向上しています。 エンジンはインテグラタイプRと同じ 2代目アコードユーロRは、インテグラタイプR(DC5型)と同型のK20A型i-VTECエンジンを搭載し、排気量を2.0Lに小型化しつつ最高出力は220psを維持。初代同様「R」の称号にふさわしい仕様となっています。 また、タイプRではなく、あくまでも高級セダンであるユーロRにふさわしい専用のチューニングも施されました。モリブデンコーティングスカートの非対称高強度ピストンと、DC5型のK20Aにはない2次バランサーによって確かな質感と振動の抑制を実現しています。 アフターパーツ市場も盛況 モデル当初から投入された2代目アコードユーロRは、販売年数の少なかった初代に比べてアフターパーツも豊富に販売されています。エアロパーツはもちろん、足回りなど好みの仕様に仕上げることが可能です。 また、K20A型エンジンはインテグラタイプRと同型のため、吸排気はもちろんコンピューターまでパーツを揃えることができ、タイプRに負けない爆速セダンを作ることも不可能ではありません。 アコードユーロR はNA VTECエンジン搭載モデルとして狙い目! アコードユーロRの中古車価格は、比較的落ち着いた価格で推移。大手中古車サイトで検索すると、2代目アコードユーロRで107万円という販売価格のものもあります。 一方で、同型のエンジンを搭載するDC5型インテグラタイプRは、200万円前後と高値で推移しており、今後さらなる高騰も予測されます。また、B16系エンジンを搭載するシビックにいたっては、300万円前後が中心の価格帯です。 高級セダンとしての上質さを持ちつつ、タイプR同等の走りを実現するホンダ アコードユーロR。セダンという特性上、過剰な価格上昇はしていないため、VTECファンのみならず、スポーツNAエンジンを求めるかたにとって狙い目の車種であることは間違いありません。 ※価格は2022年7月現在